【経営者必読!】書籍マーケティングの効果的な戦略の立て方とは?

「書籍をマーケティング戦略で活用」と聞くとどのようなメリットを思い浮かべるでしょうか。

出版の方法はさまざまですが、企業が取り組む場合はその具体的な活用法を知っておきたいところ。

この記事では、書籍マーケティングの手法やメリットについて詳しく解説します。

目次【本記事の内容】

書籍マーケティングとは

書籍マーケティングとは、書籍を自社の信頼性・認知度向上や企業ブランディングに役立てるマーケティング手法です。

出版社が持つ販路を利用できるため、効率的にターゲットの元に届けることができます。

独自の技術や実績などの企業の強み、開発秘話などをストーリーとしてまとめて一冊の書籍という形で出版すれば、書籍そのものの信頼性と出版社の全国的な販路を活かして効果的なマーケティングを行うことが可能です。

書籍マーケティングの具体的な手法

書籍マーケティングにはいくつかの手法が存在します。

それぞれに特徴やメリット・デメリットがあるため、自社にとってどの手法が合っているか比較することが大切です。

書籍マーケティングの具体的な手法は以下の3つです。

商業出版/すでに影響力のあるインフルエンサー向け

商業出版はすでに影響力を有しているインフルエンサーや著名人が著者となる場合に向いた手法です。

出版にかかる費用をすべて出版社が負担して、出版社が利益を出すことを目的としています。

つまり、出版社は「売れる」という確信が持てるものしか採用できません。

実際に、ヒット作やベストセラーになる書籍の多くがこの方法で出版されています。

商業出版では、無名の人物が企画を持ち込んだ場合、よほど内容が良いものでなければ採用されることはありません。

また、万が一採用されたとしても書籍の内容を制限されることがほとんどです。

一方で、すでに影響力のあるインフルエンサーであれば、「インフルエンサーのファンに買ってもらえるだろう」「このファンの数ならこれぐらいの利益が期待できる」と目処を立てることができます。

そのため、出版に踏み切りやすくなるのです。

商業出版は出版社の負担で書籍を出せる魅力的な出版方法ですが、書籍の内容の自由度が低いことがデメリットにもなり得ますし、そもそも採用されるのは至難の技であると言えるでしょう。

自費出版/出版した事実を残したい経営者向け

自費出版は出版にかかる費用を著者自身が負担する出版方法です。

出版社からの制限を受けず、経営者が読者(顧客)に伝えたいことを自由に書くことができます。

著名人ではなくても自伝や個人的なノウハウ、物語を書籍という形で出版することができるため、出版した事実を残したい経営者向けの出版方法です。

自費出版の書籍の一つに、山田悠介『リアル鬼ごっこ』があります。

『リアル鬼ごっこ』は著者のデビュー作ですが、この作品がヒットし、今やメディアから注目されるホラー小説作家となりました。

上記のようにヒットする書籍もありますが、簡単なことではありません。

ヒットさせるのが難しい理由として、「発行部数が少ないこと」「プロモーションを自分で行う必要があること」が挙げられます。

自由な内容で書籍を出版できるという点では魅力的ですが、費用負担が重く、利益も出しにくいという点がネックとなる出版方法です。

企業出版/マーケティングとして書籍活用したい経営者向け

企業出版は、「商品・サービスの認知度向上」「他社との差別化」「企業ブランディング」など、企業が抱える課題の解消を目的とする出版方法です。

出版に関わるすべての費用を企業が負担します。

企業出版の最大の魅力は、企業が伝えたいメッセージを書籍という形で発信することができる点です。

たとえば、企業理念や、これまでの歩み、商品開発ストーリーなどを書籍という形で発信すれば、それを読んだ読者の心を動かし、ファン化させることができます。

書籍は信頼性の高い媒体という共通認識があるため、「書籍を出版している」という事実があるだけでも顧客にとって安心できる要素になります。

また、WebやSNSなどの媒体よりもメディアへの露出を増やしたり、宣伝広告費の削減に繋げたりすることも可能です。

このように企業の課題を解決し、事業成長に繋げたい企業にとって最適な方法と言えます。

書籍マーケティングのメリットとは

書籍マーケティングは費用や時間のかかる手法です。

しかし、それでも取り組む企業は数多くあります。

なぜなら、以下の6つのメリットを享受できるからです。

メリット①:信頼感の醸成ができる

書籍マーケティングによって、顕在層をファン化して商品やサービスの購入を働きかけることができるようになります。

なぜなら、「書籍を出版している」ということによって信頼感を醸成することができるからです。

もし、ファン化した顧客の商品やサービスの購入頻度が低かったとしても、中長期的には売上に貢献してくれると考えられます。

メリット②:情報量が多い/情報が集約できる

書籍マーケティングを行うことによって、自社の商品やサービスのPRだけではなく、企業理念や経営者の考えを顧客に伝えることができます。

なぜなら、書籍は他の媒体(テレビCM・新聞広告・雑誌広告・Web広告・チラシなど)と比べて織り込める情報量が圧倒的に多いからです。

たとえば、A4のチラシの文字数は1,000文字〜2,000文字程度ですが、200ページ程度の書籍の場合の文字数は約7万〜10万文字になります。

また、商品やサービスの情報だけではなく企業理念や経営者の考えなども含めた顧客に伝えたい種々の情報を1冊に集約することができることもメリットとなります。

情報を集約化する過程で、経営者の思考を整理したり、編集者の外部の視点から新たな気づきが得られたりすることも期待できます。

メリット③:メディア露出が増えPR効果が高まる

書籍の内容の専門性や話題性が高い場合は、多くのメディアに注目されて、露出の機会が増えることになります。

なぜなら、書籍は信頼性の高い媒体と認識されているため、メディアはその信頼性の高い情報を採用したり引用したりしようとするからです。

たとえば、良質な睡眠を得る方法が書かれたWebやブログの内容よりは、書籍に書かれている方法の方が信頼性が高いと判断されて、メディアが書籍の内容を紹介しようとします。

その結果、メディア露出が増え、PR効果を高めることができるのです。

メリット④:コンテンツが資産となり長期活用が可能に

書籍マーケティングによるコンテンツは資産として残りつづけます。その理由は、書籍は長期にわたって流通し、書籍に書かれたコンテンツも様々な用途に二次利用することができるからです。

たとえば、自社の商品の開発ストーリーを書籍にまとめて出版した場合は、営業ツールやセミナー資料として配布することが可能です。

さらに、書籍からWebサイトやブログなどのオウンドメディアに転用された場合も長い間ネット上に残り続ける資産となります。

その内容の専門性が高く信頼性のある内容であればあるほど、書籍としても二次利用されたコンテンツとしても価値の高い資産として残り続けます。

メリット⑤:ターゲティングやエリアマーケティングに最適

書籍を購入してまで情報を集めようとする人は、その商品・サービスに対する関心が高いと言えます。

そういったユーザーをターゲティングすれば、ピンポイントでユーザーの心に刺さる書籍をつくることが可能です。

また、書籍マーケティングでは、特定のエリアの書店だけに重点的に配本して、そのエリア内の顧客の認知度を高めるといったこともできます。

このように、書籍マーケティングはターゲティングやエリアマーケティングがしやすいため、テレビCMなどのマス広告よりも効果的にマーケティングを行うことができるのです。

メリット⑥:インナーブランディングも強化できる

書籍の中に企業理念や経営者の考えなども含めておけば、その書籍を社内研修などで配布したり、Webで公開したり、従業員に対するインナーブランディングに活用することもできます。

たとえば、株式会社アカツキでは、「アカツキハート」という会社で掲げる哲学を社内に浸透させるために、ブランドブックを作成。

ブランドブックの作成により、本社から離れた福岡や台湾にある拠点にも哲学が浸透し、本社との熱量に差がない状況を作り出すことに成功しています。

このように、書籍マーケティングによって企業理念などを著すことで社員のロイヤリティを向上させ、インナーブランディングを強化することが可能です。

書籍マーケティング成功のポイント

書籍マーケティングを成功させるためには、ゴールまでの道筋を立てることが最も重要です。

企画から書籍がターゲットに届くまでの道筋が定まっていないと、目的を達成することはできません。

書籍マーケティングを成功に導くためには、失敗事例を知ることも必要です。

▶️失敗事例については、関連記事【企業出版の教科書|メリットから費用、成功のポイントまでまとめて解説】もあわせて参考にしてください。

失敗事例から学ぶ成功のポイントについて、詳しく見ていきましょう。

目的とターゲットの設定

書籍マーケティングの最初の段階で決めなければならないことは、目的とターゲットの設定です。

「何のために書籍を作るのか」「情報の受け手であるターゲットは誰なのか」が決まらなければマーケティングの成功はあり得ません。

目的地が定まっていないのに出発したら、道に迷ってどの目的地にも辿り着けないのと同じです。

逆に言えば、目的とターゲットがきちんと設定できれば効果的な書籍マーケティングを実現できるということです。

そのため、書籍マーケティングを利用して目的を達成するためには、最初に目的とターゲットを設定する必要があるのです。

プロモーション戦略の立案と実行

書籍マーケティングは、顧客が達成したいゴールから逆算して流通戦略や広告販売戦略を考えます。

書籍を出版したとしても黙っているだけでは書店に置いてもらうことはできません。

書棚に置かれるためには、新刊を必ず書店に並べることを約束する特約店契約や書店との関係性が大切です。

書店販売のための流通戦略以外にも、様々な施策を組み合わせて流通させていく方法もあります。

書店販売以外の流通戦略とは、出版記念イベントや、書籍の内容に関係する著名人やインフルエンサーとのコラボレーションなどです。

書籍に合ったプロモーション方法を立案し、確実に実行することは書籍マーケティングの成功のポイントと言えます。

書籍を出すことで満足しない長期的視野での活用戦略

書籍マーケティングは、書籍を出版することを目的とするものではありません。

なぜなら、書籍の出版は手段であり、商品・サービスの認知度向上や顧客の購買意欲向上などを図り、売上や利益の向上を図ることがゴールだからです。

書籍を出版することが目的になってしまっては、「名刺代わり」で終わってしまいます。そうならないためにも、出版した後に書籍をどのように活用するのかというイメージを立てておくことが大切です。

たとえば、書籍の企画決定後にクラウドファンディングを立ち上げて資金集めを図りつつ、書籍の事前告知をして認知拡大を図ったり、書籍の発売に合わせてSNS上でストーリーを紡いで続きを書籍に引き継いだりすることも活用方法として考えられます。

近年メジャーになっているLINEマーケティングを書籍に活用するのも効果的です。

書籍にLINEの友だち登録のQRコードを設置しておけば、ユーザーとの接点を作ることができます。

LINEで定期的に商品・サービス情報やクーポンなどを配信することで、コストをかけずに販促活動を行うことができます。

書籍マーケティングの出版社の選び方

書籍マーケティングにおいては、いかに自分が著したい内容に寄り添って提案・プロモーションをしてくれる出版社を選ぶかが大切です。

出版社を選ぶ上で見極めるポイントは次の3点です。

出版プランナーの提案と質疑応答

書籍の企画を考える段階では、「読者に何を伝えたいのか」「自社の強みはどういうところにあるのか」を整理して、どのような書籍を書くことができるかを出版社のプランナーと検討します。

このときには、プランナーの提案内容と質疑応答の態度などに注意しましょう。

たとえば、経営者の視点に立って提案をしてくれるような場合は問題ありませんが、質問に対して真摯に答えてくれず、はぐらかされてしまうような場合は要注意と考えるべきでしょう。

プランナーは出版社における営業の役割を担うため、プランナーの対応は出版社を見極める際の大きなポイントとなります。

出版社および編集者の実績

出版社の実績ということになると大手の出版社が優位になってしまいますが、実は編集者の実績も重要なポイントです。

なぜなら、「編集者がどのようなジャンルの書籍を得意としているのか」「これまでにどのような成功事例があるのか」によって、書籍マーケティングの成否が変わってくるからです。

たとえば、「編集実績が業界内でトップクラス」「編集した書籍が軒並み成功している」などの実績を持つ編集者がいれば、安心して任せることができるでしょう。

出版社のネームバリューだけにとらわれず、必ず編集者の実績も確認することが大切です。

書籍のプロモーション方法の確認

出版社がどのようなプロモーションを行ってくれるのかを具体的に確認することも、自分の書籍にとって良い出版社を選ぶ上で重要です。

書籍のプロモーション方法の確認を行うべき理由は、打ち合わせの時に決めたプロモーション方法が行われないことがあるからです。

実際に、提案時は「書店に並びますよ」などと調子がいいことばかり言っていたのに、実際に出版してみるとほとんど並んでない、一般の書棚ではなく自費出版専門の書棚に並んでいたというのはよくある事例です。

このようなことにならないためにも、依頼したプランやオプションの範囲内で、具体的にどのようなプロモーションを行ってくれるのか確認しましょう。

▶️書籍マーケティングの具体的なプロモーション方法については、関連記事【出版マーケティングの効果的なプロモーションとは? 広告手段も解説】もあわせて参考にしてください。

まとめ

この記事では、書籍マーケティングの具体的な手法やメリット、書籍マーケティングを成功させるためのポイント、出版社の選び方などについて詳しく解説しました。

書籍マーケティングを活用することによって、その書籍を企業のブランディングや認知度向上、顧客の購買意欲向上などに役立て、売上向上・利益改善などの経営課題の解決につなげることができます。

広告やSNS、SEO、オンライン施策など、様々なマーケティング手法を試しているにも関わらず、なかなか効果が出ない、目的を達成できない場合は、書籍マーケティングを取り入れてみてはいかがでしょうか。

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執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)

福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経営法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を歴任し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。

競合他社との差別化は、企業の成長戦略を考える上で欠かせないポイントです。

ただし、差別化戦略は各種広告施策とは異なり、売上や利益向上など、分かりやすい成果として表れにくく、差別化に成功しているかどうかの判断が難しいでしょう。

本記事では、差別化の重要性や、他社と差別化するため具体的な戦略の考え方を解説し、成功のポイントや成功事例を紹介します。

目次【本記事の内容】

差別化戦略とは

そもそも「差別化戦略」とは、アメリカの経営学者マイケル・ポーターが提唱した3つの競争戦略(コストリーダーシップ戦略、差別化戦略、集中戦略)の中の1つです。

▶️参考記事【競争戦略とは? ポーターの基本戦略と国内企業の実践事例を振り返る】https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00081/021700329/

差別化戦略の定義と目的

差別化戦略とは、競合他社がマネすることができない自社の製品・サービスの価格以外の特徴や付加価値をアピールすることにより、自社の競争優位性を築き上げる戦略のことです。

業界内でのポジションの確立と、市場におけるブランド力の向上、自社製品やサービスの価格が高くても売れるようにすることを主な目的としています。

差別化戦略の重要性

競争が激化する市場において、企業が成功するためには差別化戦略が必要不可欠です。

インターネットやSNSが浸透した現在の社会では、顧客には多くの製品やサービスの選択肢があります。ひと昔前と違い、良い製品・サービスを作ったから売れる、という時代ではありません。顧客のニーズに合致した自社にしか出せない魅力をアピールし、認知してもらわないと製品やサービスを利用してもらえない時代です。

一方で、競合他社との違いを明確にして、自社製品やサービスが優位であることを顧客に認知させることができれば、価格競争にならず、ニーズのある顧客に選ばれる存在になります。そのための戦略が差別化戦略です。

今後、SNSなどと同様にメタバースが浸透していけば、今以上に多くの製品やサービスの選択肢が増えてくることが予想されます。そのため、企業の生き残りや成長にとって、差別化戦略はますます重要になってくるでしょう。

差別化戦略のメリット

企業が差別化戦略を行うメリットとして、次の4つが挙げられます。

①価格競争から離脱できる

これは、企業が差別化を行う最大のメリットと言えるでしょう。

製品やサービスの基本機能は同じであっても、自社にしかできない何らかの特徴や付加価値をアピールでき、それが顧客から認められれば価格競争に巻き込まれることはありません。

たとえば、ファミリーレストランチェーンのロイヤルホストは、ホテルで出されるような高級メニューに特化しています。結果として、「いつもよりもちょっと優雅に、でも気軽に食事を楽しみたい」という消費者のニーズと合致し、価格競争に巻き込まれることなく、「高級ファミレス」という業界内で確かなポジションを確立しています。

このように、差別化を行うことで、競合他社との価格競争から脱却し、高価格でも選ばれる確かなポジションを確立することができます。

②利益率が向上する

自社の製品・サービスが他社にない特徴や付加価値を持っていることが消費者に認知されると、価格が高めであっても購入されます。

たとえば、今治タオルは、タオル生産の歴史や製造工程のこだわりなど、製品の背景にあるストーリーを訴求し差別化戦略に成功しました。

▶️参考記事【衰退一途の今治タオルが息を吹き返した“大事件”】
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1705/15/news040.html

結果として、100円均一や、ニトリ、IKEAなど、格安で高機能なタオルが出回る中、高級タオルとしての地位を確立。1枚数千円のタオルが売れ続けています。

このように、差別化戦略に成功すると、高価格であっても製品やサービスが売れます。それに伴い利益率の向上にもつながるのです。

③新規参入企業を抑制できる

差別化戦略によって業界内や市場で確かなポジションを獲得することができれば、新規で参入する競合他社の動きを抑制することができます。

なぜなら、消費者が認める優位性があり、ブランド力を持った製品やサービスに対抗することは簡単ではなく、膨大なコストや労力が必要となるからです。

たとえば、前述した今治タオルに対抗して、新しい高級タオルブランドを立ち上げることはできても、高級タオルと言えば今治タオル、と言う消費者の認識を覆すのは簡単ではありません。

これから新規で参入しようと検討している企業にとっては大きな障壁となるため、新規参入しようという決断がしにくくなります。

④自社の特徴や強みを明確化できる

自社の製品やサービスの特徴 、強みをはっきりさせられるのも差別化戦略のメリットの1つです。

差別化戦略に成功している企業の多くは「〜と言えば⚫︎⚫️」というように、自社の地位をひと言で言い表すことができます。

たとえば、「高級タオルと言えば今治タオル」、「高級ファミレスと言えばロイヤルホスト」などです。

他社にマネのできない特徴や強みは、営業活動や広告宣伝活動にも活用することができ、それによって強固なブランドイメージを構築することにつながります。

差別化戦略のデメリット

差別化戦略を行うことのデメリットとしては、次の3つが挙げられます。

①顧客離れのリスクがある

市場調査や顧客のニーズ調査が不十分なまま差別化を行うと、「ただ値上がりしただけなのでは」と顧客が離れてしまうリスクがあります。

たとえば、今治タオルを製造・販売するメーカーであるハートウェルが販売し話題となったのが『あえてカタいタオル』です。

タオルはやわらかい質感や肌触りの良さが重視される傾向がありますが、消費者調査の結果、硬い質感のタオルの需要があることが分かり、商品を開発したとのこと。

ここで重要なのが、硬い質感のタオルの需要がユーザーにあることを調査した上で商品開発を行った、という点です。ニーズがあると分かって商品を販売したからこそ、高い価格でもユーザーに選ばれているのです。

このように、差別化戦略には、「会社都合の値上がり」だと認識されないための説得力が必要になります。

差別化によって上昇した価格に納得できなければ顧客は自社より安い競合他社に流れるため、市場シェアの縮小に繋がりかねません。

そのため、まずは市場調査を行い、ユーザーのニーズを調査した上で、自社にしか出せない差別化を考えていくことが重要です。

②多大な費用や労力がかかる

差別化戦略を行うためには、市場調査や差別化のための技術開発などに多くの労力や費用が必要となります。市場調査や差別化にかかる労力や費用に見合う利益が得られなければ、差別化戦略が成功したとはいえません。

特に自社の特徴や強み、市場、競合他社、顧客ニーズ分析などが必要になるため、リサーチに膨大な時間と労力がかかります。また、確立したオリジナルの価値を顧客に伝える必要もあるため、広告宣伝やブランディングが必須となり、さらに多くの時間と労力を要します。

消費者がブランド価値を理解して認知するまでには時間がかかるのが前提です。差別化戦略には継続的な取り組みや、それに伴う労力と費用が必要になると考えておきましょう。

③競合他社に模倣される可能性がある

差別化戦略がうまくいき、自社製品やサービスの認知度が向上したとしても、競合他社に模倣されて類似の製品やサービスを安い価格で販売され、顧客を奪われる可能性があります。

模倣され顧客が奪われると、差別化戦略のために投資したコストを回収できなくなったり、競合他社にシェアを奪われてしまったりする可能性も十分に考えられます。

このようなケースも起こりうることだ、と認識した上で、事前に対策などを考えておく、商標権を申請しておく、などの対応も重要です。

差別化手法の一例

差別化戦略においては、何を対象に差別化を行うかが重要です。具体的には、以下のような手法を組み合わせることで、競合他社と差をつけることが可能になります。

  • ・製品やサービス
  • ・価格
  • ・ブランドイメージ
  • ・顧客体験

これら4つを対象にした差別化手法について詳しく見ていきましょう。

製品・サービスの品質向上

製品やサービスの品質向上による差別化は、最も一般的な差別化手法です。

具体的には、消費者が他社との違いを明確に感じることができる特徴や付加価値を製品やサービスに持たせる、ことで差別化を行っていきます。

たとえば、「1リットル30kmの燃費性能の車が一般的な中で、1リットル50kmの燃費性能を持つ車を開発する」などです。

一般的な差別化手法ではありますが、品質や新技術などで差別化する場合は、大きなコストがかかるので、商品やサービスを生み出すまでのストーリーや自社のこだわり、ユーザーのニーズ調査結果などをヒントにどの部分を差別化していくのかを検討してみると良いでしょう。

価格戦略の工夫

他社と比較して優位となる価格設定を行い、顧客から選ばれるようにする差別化手法です。必ずしも低価格にすることとは限りません。

代表的な価格による差別化戦略としては、「低価格戦略」「高価格戦略」「中間価格戦略」などがあります。

  • ・低価格戦略:最も一般的。他社よりも低い価格を設定する戦略
  • ・高価格戦略:製品やサービスに高い品質や付加価値を付加して高い価格を設定するもの
  • ・中間価格戦略:コストと価値とのバランスを考慮して価格を設定する戦略

いずれの価格戦略においても、価格に対する消費者の受け止め方や競合他社の価格設定などを正確に分析することが必要です。

価格戦略の工夫をする際には、競合他社などを価格帯ごとに分類したり、ユーザー調査結果などの分析から初めてみると良いでしょう。

ブランドイメージの構築

ブランドイメージの構築による差別化は、ブランドのイメージや価値を高めて競合他社との差別化を図る戦略で「ブランディング」と呼ばれることもあります。

ブランドによる差別化には、ロゴのデザインやカラー、ブランドストーリー、パッケージデザイン、宣伝広告などがあります。

重要なのは、これらすべてに一貫性を持たせることです。

商品自体を高級路線で差別化し、ブランドストーリーも立派なものを作ったのにも関わらず、パッケージがチープだったり、ロゴやデザインが古臭かったりしては、その商品が高級であるという説得力がなくなってしまいます。

結果として差別化戦略の効果が十分に発揮できません。

「商品だけ」「ロゴだけ」ではなく、商品を中心として、顧客が触れるすべてのものを1つの方向性に沿って作り上げていくことがブランドイメージの構築にとって何より重要です。

顧客体験の充実

顧客体験とは、顧客が製品やサービスに興味を持った段階から購入・使用・アフターサポートに至るまでの一連の経験のことです。

一連の購買プロセスの中のすべての接点で、いかに顧客に優れた体験を提供できるのかを考えていくことで、他社との差別化が図れます。

たとえば、高級デパート伊勢丹で買い物をした際に、スーパーの袋や100円均一で買えるような紙袋に商品を入れられたらどうでしょうか。

おそらく、「せっかく高級なものを買ったのに…」と少しがっかりした気持ちになると思います。

このように、製品やサービスの特徴や付加価値だけではなく、あらゆる顧客との接点で優れた顧客体験を提供することが差別化戦略において重要になります。

差別化戦略成功のポイント

差別化戦略を行う前の段階で、手間や時間をかけて、確かな戦略を確立させることが重要となります。

差別化戦略を成功させるための主なポイントは、次の4つです。

①ターゲットを明確にする

全ての顧客を対象にするのではなくターゲット層を明確にすることによって、ターゲット層のニーズに合わせた差別化戦略を行うことができます。

たとえば、ある不動産会社は、競合他社や大手企業との差別化に悩んでいました。しかし、高額所得者であり、高額納税者でもある医師をターゲットに設定し、不動産投資サービスを展開することで、他社との差別化に成功しています。

「不動産投資サービス」よりも「医師向けの不動産投資サービス」の方が、医師への訴求力が強く働き、結果として売上につなげることができた差別化戦略の好事例と言えるでしょう。

このようにターゲットを明確にしているからこそ、商品やサービスの方向性が決めやすくなります。

②消費者のニーズを分析して把握する

差別化戦略を成功させるためには、消費者のニーズを徹底的に分析して正確に把握することが何より重要です。

なぜなら、消費者がどのような製品やサービスを求めているのかを正確に把握できなければ、いくら差別化をしたとしても受け入れてもらえないからです。

たとえば、スポーツカーメーカーが差別化戦略として、ファミリー向けのスポーツカーを開発したとしましょう。さらには、ファミリー向けということもありスポーツカーの中では燃費性能がNO1、車室も家族4人がゆったり乗れるNO1の広さ、というものだったとします。

性能だけ見れば差別化ができているように見えますが、そもそも大半のファミリー層は、選択肢としてスポーツカーを選びません。この場合、いくら差別化ができているとは言え、消費者から受け入れてもらえないことが容易に想定できます。

このように、いくら差別化を図ったとしても、それがユーザーのニーズに合致していないものだったとしたら、いくら性能が良かったとしても受け入れてもらえません。

そうならないためにも、まずは差別化戦略を図る前に、消費者がその製品やサービスに関して重視しているポイントや欲している付加価値が何かを知る必要があります。

③競合他社を徹底的に分析する

競合他社を徹底的に分析することによって、自社の製品やサービスの取るべきポジションが見えてくる可能性もあります。

代表的な競合分析手法として「3C分析」や「4P分析」があります。

3C分析はCompany(自社)・Competitor(競合他社)・Customer(顧客)の3つの要素に注目して分析する手法、4P分析はProduct(製品)・Price(価格)・Place(流通チャネル)・Promotion(販促)の4つの要素に注目する手法です。

このような競合分析手法の分析によって自社よりも競合他社が優れている点や競合他社の戦略などが見えてくるため、分析結果をもとに自社の戦略を検討することができます。

たとえば、競合他社が低価格戦略を取っていることが分かった場合は、自社では高品質や高付加価値をアピールすれば差別化を図りやすくなるでしょう。

④自社の強みを見つける

自社にしか出せない強みは何なのか、を考えることも差別化の方向性を見出すのに有効です。

簡単なのが、競合他社と自社を比較することです。

競合他社分析だけではなく、自社と比べてどうか、も調べてみましょう。

代表的な手法としてStrength(強み)・Weakness(弱み)・Opportunity(機会)・Threat(脅威)の4つの要素に注目して分析を行う「SWOT分析」があります。

これによって強みと機会を生かして弱みと脅威に対処する戦略立案ができます。

また、顧客へのヒアリングや自社の中で顧客と直接接している社員へのヒアリングも重要です。顧客や消費者の生の声や隠れた要望の中から、自社の強みが見つかる可能性もあります。

差別化戦略のためのブックマーケティング手法

差別化戦略の手法の1つとしてブックマーケティングも有効です。

なぜなら、書籍を使えば、自社の強みやこだわりなどをターゲット層に的確に伝えることができるからです。

人が文章を読まないと言われる時代ですが、それは無料で読める媒体に限ってのことです。お金を出して書籍を買って、読むまで積読しておくことはあっても、全く読まない、という人は少ないと思います。

書籍という信頼性が高く、読まれやすい媒体で、自社製品やサービスへのこだわりや、特徴、付加価値、企業理念や代表の考え方などを紹介することで、自社のことを知ってほしいターゲット層に効果的に認知してもらうことができます。

書籍は手に取ってもらえさえすれば、企業側にとっては長文を読んでもらえ、読者を拘束できるのがメリットです。そのため、見込み顧客の教育や、関係性の構築に多大なコストや長い時間をかけることなく、書籍1冊だけで製品やサービスが売れるきっかけを作ることができます。「Web広告やSNSを試してみたけれど、顧客の教育や関係性の構築が難しい」と感じる企業などに適した方法と言えるでしょう。

また、書籍を出版していることによる信頼性の向上や、書籍を買ってくれた質の高い顧客からの問い合わせの獲得が期待できます。

「書籍を出しても手に取ってくれなかったら意味がないのでは?」と不安に思う方もいらっしゃると思いますが、もちろんただ書籍を出すだけでは名刺程度の効果しかありません。

ただ書籍を出すだけではなく、次のように、あらゆる手を尽くして、ターゲット顧客に書籍のコンテンツを読んでもらえるようにするのがブックマーケティングです。

  • ・書店営業
  • ・クラウドファンディング
  • ・Youtube運用(配信)
  • ・SNS運用
  • ・PR
  • ・メディア露出
  • ・フォローセミナーの開催
  • ・クロスセル、アップセル

▶️ブックマーケティングのメリットや効果については、関連記事【ブックマーケティング(企業出版)のメリットとは? 企業が考えるべき出版による効果】もあわせて参考にしてください。

ブックマーケティングを取り入れた成功企業事例

ブックマーケティングは、特に消費者側に差別化をしていることが分かりづらい業種やビジネスモデルを持っている企業や、ひと言では言い表せないような特徴や優位性を持っている企業などに効果的です。

実際にブックマーケティングを取り入れて、競合ひしめく中で差別化戦略に成功した企業の事例を2つ紹介します。

出版によりエリアでのブランド確立を実現した保険代理店の事例

1つ目は埼玉県の保険代理店の事例です。

出版した書籍の中で保険業界の現状と問題点を解説。これからの保険代理店経営に必要な考え方やシステムについて述べています。

保険業界では成果に応じて給与が決まる「成果報酬型」が当たりまえですが、結果として少数のスーパー営業マンに頼る経営になってしまいがちです。

この保険代理店の経営者は、少数のスーパー営業マンに頼る経営に疑問を持ち「一律報酬型」に変えることによって、アベレージヒッターを育てて業績拡大ができることを紹介。

出版の結果、各種セミナーに講師として招かれたり、新たなコンサル契約を獲得したり、紹介者が増えて保険契約数が伸びるという効果が得られ、エリア内でのブランドを確立することができました。

このように、「なぜ一律報酬型が重要なのか?」「少数のスーパー営業マンよりもなぜ、アベレージヒッターが重要なのか?」は、とてもひと言では言い表せません。

そこを書籍にまとめ、保険代理店を経営するターゲット層にブックマーケティングで的確に届けられたことが、この結果を作り出したと言えます。

差別化成功で圧巻の受注率を実現した不動産会社の事例

2つ目は東京都の不動産会社の事例です。

この経営者は、高収入でありながらも多忙で投資リテラシーを持っていない人が多い医師をメインターゲットとして不動産投資や節税についてまとめた書籍を出版しました。

高所得者である医師の悩みとして高額な税金があげられますが、最も効果的な節税対策として不動産投資があることを紹介しています。

出版した結果、大きな節税効果のある投資方法として不動産投資を認知してもらうことができ、多くの医師からの受注を獲得しました。

また、書籍からの問い合わせがほぼ100%不動産投資案件の成約につながる、という圧倒的な受注率を叩き出しています。

この経営者は、医師に特化するという差別化戦略を実施していますが、そもそも忙しい医師に不動産投資の節税メリットなどを商談や広告だけで伝えるのは、限界があります。

一方で書籍は医師に限らず多くの知識欲求層が読みます。ひと言では語れない、理解してもらえないようなものだからこそ、ブックマーケティングで的確にターゲットとなる医師に書籍を届けることができ、しっかりと読んでもらえたことが、この結果を作り出したと言えます。

まとめ

以上のように、差別化戦略を行うことで、競合他社にはマネできない独自の魅力を作り出し、業界での競争優位性を高めることができます。

簡単に見える差別化戦略ですが、安易に行うとかえって顧客が離れたりしてしまいます。そのため、事前に顧客のニーズを調査し、ニーズと合致した差別化を見出していくことが何より重要です。

また、ターゲットとなる層に的確に届けていくことも差別化戦略の成功にとって重要です。そんな中、差別化戦略の手法の1つとして、ブックマーケティングが注目されています。

書籍をただ出版するだけの自費出版とは違い、書籍をターゲット層に手に取ってもらえるようにあらゆる施策や手法を総合的に用いていくのがブックマーケティングです。

ブックマーケティングにより、自社の特徴や強みなどを特定のターゲット層に効果的にアピールすることができるので、差別化戦略の1つの手法として注目されています。

今現在、差別化戦略や自社のブランディングなどを検討されている方は、1つの方法としてブックマーケティングを検討してみてはいかがでしょうか。

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参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから

執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)

福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経営法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を歴任し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。

出版したいと考えた時に選択肢になるのが自費出版。

ただし、自費出版にはトラブルがつきものです。

本記事では、自費出版を実施する際に注意すべきポイントや企業や個人が心配するトラブル、リスクについて解説しています。

PRやブランディング、自己表現などを目的とした出版社選びの参考になる記事コンテンツです。

目次【本記事の内容】

自費出版におけるトラブルとは

自費出版は、個人でいえば自己を表現するための手段であり、企業にとってはブランディングやPRの手段の意味合いがあります。

しかし、そんな自費出版にはトラブルがつきものです。具体的なトラブルの事例を解説しましょう。

制作中のトラブル

自費出版で注意したいのは制作中に発生するトラブルです。

編集者との相性が合う合わないといった部分はもちろんありますが、校正や校閲でのトラブルも考えられます。

たとえば、事実無根な内容を記載したまま出版してしまったり、人名やプロフィールなどの重大なミスがあったりなどです。

書籍は200ページ前後で、文字数に直すと7万字前後の量があります。全て著者や編集者、校正士ら人の目でしか確認できないため、ミスは出る時には出てしまいます。取り返しのつかないミスに繋がらないように、重要なポイントは何度も確認するようにしましょう。

また、執筆をライターに代行してもらうケースも珍しくありません。企業出版という手段であれば、ライターがインタビューして執筆することは一般的ですが、自費出版の場合は初回の取材からいきなり初対面のライターがやってくるというケースもあるようです。

結果的に自分の意思や意向に反する原稿が上がってくることがあるので、執筆を代行してもらう場合は企画段階からきちんと編集者がサポートしてくれるのかは事前に確認をした方が良いでしょう。

印刷や製本の品質トラブル

自費出版は、執筆した本を印刷して製本するまでがゴールです。

ただし、この印刷工程でトラブルが発生しやすいので気をつけましょう。

たとえば、印刷時のかすれや色むら、落丁などです。インターネットが普及している昨今なので、ウェブコラムなどは修正があればすぐに対応できますが、紙媒体は一度印刷してしまえば取り返しがつきません。

もちろん、失敗した場合に刷り直しをしようとすると、追加の費用が発生します。そのため、ゲラ(誤字脱字チェック用の校正刷り)を試し刷りする段階で、しっかりとチェックすることをおすすめします。

流通や販売のトラブル

自費出版では、流通や販売で著者と出版社の「言った言わない」のトラブルが発生しがちです。

その主な要因が、出版業界ならではの仕組みや慣習の存在。一般的には書籍が完成したら、当然のように書店に並ぶものだと考えている人もいます。

しかし、本を書店に流通して陳列させるのはそう簡単なことではありません。

書籍の流通の仕組みはかなり特殊で、出版社と書店の間には取次という問屋が存在します。その取次が出版社の実績などを踏まえて、配本を組み立てているのが通例です。

一般的に自費出版と呼ばれる手段の場合は、部数が限られていることや版元の営業力がそれほど強くないことが要因で、結果的に書店に全然並んでいないことは珍しくありません。

そのため、書籍を出版することになった出版社には流通システムについて、きちんと確認を行いましょう。具体的には次の項目を確認すると良いでしょう。

  • 配本可能な書店数(目安)
  • 配本可能な書店の規模感
  • 書店でどのように配本されるか
  • どのように書店営業を実行するのか
  • 書店プロモーションの実施可否
  • ちなみに、SNSやメディア露出などで影響力のある著者でない限りは、初めての出版できちんと書店に並ぶのは至難の業です。書店で販売していきたい意欲をお持ちであれば、どの程度のプロモーションを実施するのかは、出版社に事前確認すると良いでしょう。

    販促活動の不備や効果不足

    自費出版でよく聞かれる不満として、「思ったほど販促活動をしてもらえなかった」という声があります。

    出版社にもよりますが、書店に並ぶというメリットをバリューにして提案するところが大半です。しかし、注意してほしいのは最終的に書籍を並べるかどうかの判断をするのは書店員である点です。これはネームバリューのある大手出版社であっても同様です。

    出版の流通におけるトラブルの多くは認識の相違から生まれます。

    書店への販促活動や広告施策、プロモーション活動などを、契約内でどれほど実施してもらえるのかは必ず確認しましょう。

    著作権や権利のトラブル

    自費出版において重要なのは権利関係の確認です。

    大きく3つの権利があり、それぞれ著作権、出版権、所有権です。

    書籍を執筆したのが著者である以上、著作権が著者に帰属するのは当然でしょう。一方で、一般的に聞き馴染みがないのが出版権です。

    出版権とは、著者側が出版社に対して著作物を販売して良いという許可を与えること。著作権が著者にある以上、著作物の二次利用については著者である程度自由に活用できるのですが、書籍の「文庫化」や「映画化」の話が来たら著者だけで判断することができません。

    なぜならば、文庫化や映画化することは書籍の売り上げに直結することだからです。出版社は出版権を保有している以上、そのような話が舞い込んできた時にどのように対処するかを話し合って決める必要があります。

    細かい取り決めは出版社との契約内容で変わってくるので、事前に確認をしておきましょう。

    所有権については、著作物の実物がどちらの手元にあるかで変わってきますが、著者に納品された書籍は著者に、流通・販売する書籍は出版社に所有権があります。

    自費出版を検討する際に注意すべきポイント

    次に、具体的に自費出版を検討する際に、どのような点に注意したらよいかを解説します。

    出版社の信頼性と実績

    書籍を出版する場合、いかに出版社が信頼できるか、実績があるかを確認することは重要です。

    現在、出版社は全部で2907社ある(日販による「出版物販売額の実態」最新版(2021年版)より)と言われており、正確な数字は不明ですが自費出版のサービスを提供している出版社も少なくありません。

    その中で、営業力および流通力がある出版社はごく一部です。そのため、一般的に誰もが知るような出版社で本を出すことが一番安心できるでしょう。

    ただし、大手の出版社は多くの人員を抱えており、制作体制や流通力を担保できる一方で、多額の出版費用がかかってしまいがちです。

    そのほか、自費出版サービスの提供会社には、過去の出版物や編集者の制作実績を確認することをおすすめします。自費出版を検討するうえで、費用は重要なポイントになるでしょうから、いかに信頼と実績でバランスの良い会社を選択するかが大切です。

    契約内容や条件の確認

    自費出版をいざ実行しようとすると、出版契約書を締結することになります。

    出版契約書で確認する事項として重要なのは下記のポイントです。

  • 書籍の仕様(判型、本文カラーもしくはモノクロ、ページ数、写真やイラストの有無)
  • 書籍の納期(出版時期)
  • 書籍の制作部数(流通部数と著者への納品部数の内訳)
  • 自費出版の著者負担費用および支払い回数と時期
  • どこまで予算内で制作してくれるか(どこから追加予算がかかるか)
  • 権利の帰属(著作権、出版権、所有権の記載があるか)
  • 印税の有無
  • 増刷する場合の費用負担はどちらか
  • 追加で著者が買取をしたい場合の割引や費用負担について
  • 確認すべき項目は多いですが、最低限でも上記は確認しましょう。

    なかでも書籍を出版する著者として、印税は気になるところだと考えられます。自費出版の印税はさまざまな形態があります。初版から印税が発生するケースは稀ですが、重版をしたら印税が支払われるケースがあります。

    自費出版と似て非なる手法として企業出版がありますが、企業出版は広告の手段として実施するケースがほとんどですので、印税を目的に出版を検討するものではありません。

    費用や予算の明確化

    自費出版は著者が費用を負担します。

    そのため、書籍を制作するのにいくらかかるのか、著者自身の予算はいくらまでなのかをある程度明確にする必要があるでしょう。

    出版のトラブルの一つでもよくありますが、後になって想定していた予算以上に追加費用がかかってくるケースは悩みの種となります。書店に流通するプロモーションや広告宣伝のための予算も含めていくらでやってくれるのかは、事前に出版社に確認をしておきましょう。

    販売・宣伝活動の充実度

    書籍を出版した以上は「本を売りたい」と思うのは自然なことです。

    そのためには、出版社がいかに書店営業活動や販売活動に懸命になってくれるかが重要でしょう。

    書籍は発売したら簡単に売れるというものではありません。読者がその本を知るきっかけを作る必要があるからです。

    事前の書店営業活動にどれだけ熱心に動いてくれるか、広報および広告宣伝をどれだけやってくれるか、書籍を売るためのプラン計画は必要不可欠です。

    本を売るためのプロモーションの方法など、さまざまなアイデアを提案してくれる出版社と組むことがポイントです。

    自費出版成功のための具体的な対策

    自費出版をどこから成功と呼べるのかの基準は、著者自身の中にしかありません。

    書籍を出版することがゴールなのか、それとも届けたいターゲットに届けることがゴールなのか、より多くの人々に届けてベストセラーを目指すのかなどです。

    著者の期待値と理想を、出版社ができる役務内容といかに近づけられるかを確認しましょう。

    プロの編集者への依頼

    自費出版の成功には、腕のある編集者に担当してもらうのが一番の近道です。

    書籍の制作には編集者やライター、校正者、デザイナーなど多くの人員が関わります。この人員をまとめ上げ、ディレクションするのが編集者の仕事です。

    著者の最大の理解者になる必要があるため、お互いに知り合う場を作ることが大切でしょう。

    また、編集者にはジャンルによって得意や不得意があります。これまでの編集・制作実績でどのようなものがあるかを事前に確認するのをおすすめします。

    実績のある編集者であれば、ライターやデザイナーといったクリエイターも多くの繋がりがあります。著者の出版したい内容に応じて、最適な制作布陣を作り上げられるかも成功の鍵となるでしょう。

    マーケティングプランの検討

    執筆した書籍を届けたいターゲットが明確であるほど、具体的なマーケティングプランが必要です。

    どのように販売するかという流通・販売戦略も重要ですが、一番大切なのは企画段階からのペルソナの設計。作り上げた企画が世の中にどれだけ求められているのか、どのようなターゲットにニーズがあるのか、そもそもどのようなターゲットに届けたいのかなどです。

    だからこそ、前述したとおり、腕と実績のある編集者に担当して提案をもらうことがとても重要といえます。

    費用対効果の高い販促活動

    書籍の販売促進のためのプロモーションはさまざまです。

    自費出版をする目的に立ち返って、その目的を達成するにはどのようなプロモーションが効果的かを検討しましょう。

    書籍の販促活動で効果的なのは、新聞広告です。新聞の購読者数や広告費は年々減少をしていますが、ビジネス書やシニア向けの書籍の場合はいまだに新聞広告で売り伸ばしが図りやすいです(新聞広告データアーカイブ「新聞広告月間動向」より)。

    ほか、店頭で目立たせて手に取ってもらうためには、書店でのプロモーションも検討の余地はあるでしょう。

    ▼書籍出版の効果的なプロモーションについては「出版マーケティングの効果的なプロモーションとは? 広告手段も解説」でも紹介していますので、合わせてお読みください。

    自費出版と他の出版方法の比較

    書籍出版の方法は、自費出版のほかにもさまざまです。企業出版や商業出版、近年では電子書籍のみやオンデマンド出版という方法もあります。

    自費出版のメリットとデメリット

    自費出版は、著者自身が費用負担することで書きたいテーマで本を作ることができます。

    では、自費出版のメリットとデメリットを紹介しましょう。

    <メリット>

  • 企画には著者の意思が自由に反映できる
  • 著者の希望や予算に応じて、発行部数が調整しやすい
  • 名刺や営業ツールとして活用できる
  • 「本を出版した」というステータスになる
  • <デメリット>

  • 制作費から印刷費、倉庫保管費など出版にかかるコストは全て著者負担
  • 市場にほとんど流通しないため、名刺代わりのツール以外のブランディング効果は薄い
  • 印税をはじめとした金銭的なメリットは期待しづらい
  • このように、自費出版は自由度が高い一方で、自己満足で終わる可能性が高く、あくまで「本を作った」という実績が欲しい人のための手法といえます。

    企業出版のメリットとデメリット

    企業出版は、企業や法人、または個人が自身のブランディングやPRのために本を作ります。では、企業出版のメリットとデメリットを紹介しましょう。

    <メリット>

  • 自社ブランディング効果にくわえ、集客や採用など、さまざまな経営課題の解決につながる
  • 出版社の流通網を活用し、全国の書店やAmazonなどのインターネット書店で販売される
  • 自社のアピールしたいサービスや商品を意識した企画を作ることができる
  • <デメリット>

  • 自費出版と比較すると、負担する費用が高額
  • 出版社によっては編集経験の乏しい新人が担当になることがある
  • 大部数で流通した場合に多くが返品になり無駄なコストがかかることがある
  • このように、企業出版は一定の広告コストを負担する必要がありますが、ブランディング効果が期待できます。明確な目的やテーマがある法人は、企業出版は一つの選択肢となりえるでしょう。

    ▼企業出版については、「企業出版のメリットとは? 企業が考えるべき出版による効果」でも詳しく解説しているので、合わせてお読みください。

    商業出版のメリットとデメリット

    商業出版は、出版社が企画を作り、制作費も出版社が負担します。

    では、商業出版のメリットとデメリットを紹介しましょう。

    <メリット>

  • 著者の費用負担がない
  • 販売部数を伸ばすことが目的のため、プロモーションも全て出版社負担
  • 「商業出版をした」実績はブランディング効果絶大
  • 売れれば印税が支払われるため、副収入が期待できる
  • <デメリット>

  • 企画は出版社主導のため、著者がやりたいテーマで出版できるとは限らない
  • 売れなかった場合に再び商業出版の声がかかることはほぼない

    このように、商業出版はブランディング効果やメリットが大きい出版方法です。ただし、声がかかるかは著者の認知度や専門性といった要因が必要なので、声がかかるハードルはかなり高いでしょう。

    電子書籍のメリットとデメリット

    電子書籍は紙で印刷せずに、電子データとしてオンラインストアのみで販売する出版方法です。電子書籍のメリットとデメリットを紹介しましょう。

    <メリット>

  • 印刷不要のため、その分安く出版できる
  • 在庫リスクがないため、その後のコストの心配もない
  • 取り寄せの必要がないので、読者は購入後すぐに読むことができる
  • <デメリット>

  • 書店には並ばないため、新規の読者に見つけてもらいづらい
  • 人に配布するなど二次的な活用ができない
  • 実物が手元に残らないため、「本を出した」というブランディング効果も薄い
  • このように電子書籍は、圧倒的にコストを抑えて出版することができます。ただし、実物がない分、人に渡しづらいのは難点です。紙の書籍出版にくわえて、電子書籍の購読者にも広く読んでもらうためのオプションのような立ち位置と考えた方が良いでしょう。

    オンデマンド出版のメリットとデメリット

    オンデマンド出版は、オンデマンド印刷という技法を活用して、読者から注文が入ってから印刷して販売する出版方法です。オンデマンド出版のメリットとデメリットを紹介しましょう。

    <メリット>

  • 1部単位から少部数で印刷ができるため、費用負担も少ない
  • 在庫リスクがないため、その後のコストの心配もない
  • 版を作らずに印刷するため、都度の修正にも対応しやすい
  • 品切絶版になりづらい
  • <デメリット>

  • 大量印刷には向かない
  • オフセット印刷と比較して品質は低い
  • このように、オンデマンド出版は安価に少部数から作れるのが魅力です。ただし、たくさん売りたい、大量に配布したいといったニーズがある場合は余分にコストがかかるうえ、印刷の品質が低いため、出版社で流通する書籍と比べると箔もつきづらいでしょう。

    企業出版という選択肢

    ここまで企業出版という出版手法が何度か登場しました。この企業出版という選択肢について見ていきましょう。

    自費出版と企業出版は何が違う?

    自費出版と企業出版は、著者が費用を負担する出版という意味では同義です。

    最も大きな違いは、出版する「目的」です。

    自費出版は、自己表現のための出版で、書籍を流通して販売することは二の次です。

    一方、企業出版は、経営者もしくは法人がブランディングやPRなどの目的を持っていることが多いです。広告を打つときに「商品の販売促進のため」などの目的を持つことと同じです。

    とくに企業出版は、高額商材を販売している業種・業態の会社や一言で説明が難しいようなサービス・商材を販売しているような会社には向いています。

    書籍はほかの広告宣伝手段と比較して、圧倒的にボリュームが多いからです。書籍が営業マンの代わりとなって、自社の説明ツールの役割を果たし、商談が進めやすくなると喜びの声も少なくありません。

    ▼経営者や企業が検討する出版については、「本を出版したい! 経営者が取り組むべき書籍出版とは」でも解説しているので、合わせてお読みください。

    企業出版に向く業種・業態

    企業出版に向く業種や業態は、次のような方々です。

  • 税理士
  • 弁護士
  • 司法書士
  • 開業医(医療クリニックの院長、医師)
  • 整体師
  • 経営コンサルティング
  • 不動産投資会社
  • 注文住宅の建築会社
  • 健康食品の製造・販売会社
  • 予備校(医学部受験予備校など)
  • また、上記にくわえて、一般の広告で効果が感じられなかったり、情報発信の手段に悩んでいたりする人にはおすすめの手段です。

    企業出版は目的以外にも、ターゲットが明確であればあるほど効果が期待しやすいため、前述の業種・業態のほか、地域に特化したエリアマーケティングに取り組む事業者とも相性は良いでしょう。

    ▼エリアマーケティングについては、「出版によるエリアマーケティングのススメーー地域で勝つための営業戦略」でも解説しているので、合わせてお読みください。

    まとめ

    以上、自費出版のトラブル事例や各種出版の方法ごとの特徴を解説しました。

    トラブルについては「自費出版商法」や「自費出版詐欺」のように、著者に夢を与えて騙すような出版社や出版コンサルタントも存在します。

    今回の記事で解説したようなポイントを踏まえて、まずは自分のニーズを満たしてくれる出版方法なのか、きちんと納得した上で出版に踏み切ることをおすすめします。

    少しでも疑念があるようであれば、出版社の担当者と細かく確認を取り合って、お互いに信頼できる関係性を築いたうえで契約をしましょう。

    ▼パノラボ出版のご案内はこちら

    https://forway.co.jp/panolabo/lp/

    参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから

    執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

    慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

    動画制作は現代のマーケティングにおいてとても重要な役割を果たしています。

    目に映る情報を通じて商品やサービスの魅力を伝え、視聴者との強い結びつきを生み出すことができるからです。

    しかし、効果的な動画制作には適切なスケジュールと計画が必要です。

    本記事では、動画制作のスケジュールを組み立てる上で必要なタスクと管理の方法について解説します。

    目次【本記事の内容】

    ステップ1:動画制作の準備

    動画制作を始めるにあたり、最初に取り組むべき準備を解説します。

    準備①:制作目的と想定ターゲットの設定

    動画制作を始める前に、明確な目的とターゲットオーディエンスを設定することが重要です。

    動画を公開する目的を達成するためには、ターゲットオーディエンスのニーズや興味を理解し、それに合ったコンテンツを制作する必要があります。

    準備②:アイデアのブレストとコンセプトの決定

    次に、プロジェクトメンバーでアイデアのブレストを行い、コンセプトを決定します。

    面白くて記憶に残る動画を制作するためには、独創的で魅力的なコンセプトが欠かせません。

    たとえば、映画のようにシネマスコープサイズで制作してみたり、数本の動画を同じシリーズだとわかるように雰囲気を似せてみたりと様々な工夫を凝らしてみると良いでしょう。

    準備③:予算の確定とスケジュールの立案

    動画制作には予算とスケジュールの確定が欠かせません。

    最初に決めた予算に応じて、必要なリソースを適切に割り当てることが第一です。とくに外部に依頼する場合は撮影内容によっては追加予算がかかることもあります。事前に大まかな予算を決めておくか、作りたい動画のイメージに応じた見積書を作ってもらいましょう。

    また、スケジュールについては納期を決めておくことが重要です。撮影のやり直しや再編集の可能性も珍しくないので、「いつまでに終わらせる」という時期を確定させて、余裕を持ったスケジュールで進行することをおすすめします。

    ステップ2:動画制作のプロセス

    続いて、実際に動画制作をスタートするうえで必要なプロセスを解説します。

    動画制作プロセス①:プロキャストの選定もしくは社内人材の活用

    動画制作にはプロのキャストをアサインすることがあります。くわえて、撮影クルーの選定も重要となります。

    キャストについては演技力の優れた人材を選ぶことで、クオリティの高い動画を制作することができます。当然ながらセリフまわしや立ち振る舞いに慣れているため、撮影時間を短縮することができるでしょう。キャストによっては契約条件次第で、動画の公開範囲や時期が限られているパターンもあるので、事前にきちんと確認することをおすすめします。

    一方、企業ブランディングのための動画制作においては、企画によっては社内の従業員が出演することもあります。その場合は、事前に会社としてのルールを設定し、出演候補となる従業員に了承を得ましょう。ただし、社内人材だけで撮影すると、慣れていない分、余計な時間がかかってしまう可能性は否めないので注意が必要です。

    動画制作プロセス②:ロケーションの確保と撮影

    動画撮影に適したロケーションの確保と撮影計画の立案も重要です。

    ロケ地の選定や撮影日程の調整を行い、効率的な撮影を行いましょう。

    撮影地としては、商業施設や広場なども考えられますが、事前に許可が必要な場合が多いです。外での撮影にこだわらない場合は、レンタルスペースを借りるのも一案です。

    このように外部スタジオを活用する利点は、会社の狭いスペースや自宅よりも広いことや照明が明るかったり、内装がきれいだったりする点です。

    また、初めての撮影ともなれば、想定外の出来事が起こるのは当然と考えましょう。そこで撮影スケジュールは前倒しを意識し、予期せぬトラブルを避けられるように注意してください。

    動画制作プロセス③:必要な機材や技術の準備

    動画制作には適切な機材と技術が必要です。

    撮影や編集に使用するカメラ、照明機材、音響機器などを準備し、スムーズな制作環境を整えてください。

    また、必要な技術の習得や扱うソフトウェアやアプリの使い方を熟知しておくことも大切です。

    ただし、これだけの機材知識や技術を一朝一夕で身につけることは困難なので、頼れるところはプロに任せるのも一つです。

    ステップ3:ポストプロダクション(編集)

    動画制作で重要ともいえる作業が編集です。具体的に編集で押さえておくポイントを解説します。

    編集ポイント①:収録素材の編集と編集スケジュール

    収録した素材を編集する際には、編集スケジュールを立てて効率的に作業を進めてください。

    編集は思った以上に時間がかかる作業なので、慣れていない場合はとくに、スケジュールは長めに取っておきましょう。もし上司のチェックなどを受ける場合は、作り込む前にいったん雰囲気を見てもらうなどして後からひっくり返るのを防ぐことも大切です。

    また、編集段階でストーリーテリングや映像効果の工夫を行い、より魅力的な動画を完成させましょう。

    編集ポイント②:グラフィックスやエフェクトの追加

    より視聴者に動画の魅力を伝えるために、グラフィックスやエフェクトの追加も検討してください。

    タイトルデザインや遷移エフェクトなどを工夫することで、動画の印象を高めることができます。

    編集ポイント③:音楽やナレーションの挿入

    音楽やナレーションは動画の雰囲気を大きく左右します。

    適切な音楽や声の演技を選び、映像と調和するように編集してください。

    視聴者の心を動かす動画を制作するために、音響面にもこだわりましょう。

    ナレーションは社内の従業員で対応するのも一つの手段ですが、プロのナレーターやフリーアナウンサーなどに依頼することも一考の余地があります。

    動画の作り方や機材、編集ソフトについては、YouTubeを一例に下記のコラムで詳しく解説しています。合わせてご覧ください。

    参考:YouTube動画の作り方をカンタン解説!初心者でも再生回数を稼ぐテクニック

    ステップ4:公開と告知戦略

    動画が完成したら、次にどのように公開するかを確定し、認知を高めるための施策を検討していかなければなりません。

    その1:動画の公開プラットフォームの選定

    動画が完成したら、次は適切な公開プラットフォームを選定することが重要です。

    YouTubeやVimeoなどの動画共有サイトや、企業のウェブサイト、SNSなどで公開することが一般的です。

    ターゲットオーディエンスの嗜好や利用状況に合わせてプラットフォームを選びましょう。

    その2:タイミングと告知戦略

    動画の公開タイミングと告知の配信戦略も成否に大きく影響します。

    公開時期や時間帯、重要なイベントやキャンペーンとの連動などを考慮して、動画の最大限のリーチを狙いましょう。

    また、SNSやメールマーケティングなどを活用して動画の告知を行い、多くの視聴者にアクセスしてもらうことが重要です。

    その3:成果を測定するための分析と改善

    公開後は、動画の成果を測定するための分析を行いましょう。

    視聴回数や再生時間、反応数などのデータを収集し、動画の効果を把握します。

    また、視聴者のフィードバックやコメントも重要な情報源です。

    収集したデータを元に、次回の動画制作やプロモーション戦略の改善に活かしましょう。

    ステップ5:動画制作のスケジュール管理とツール

    ここまでに紹介してきた動画制作のプロセスをうまく実行するには管理ツールを活用することをおすすめします。たとえば次のような方法があります。

    ①スケジュール管理ツールの紹介

    動画制作プロジェクトでは、スケジュール管理ツールの活用が重要です。

    タスクの進捗状況や担当者の割り当て、期限の管理などを一元的に管理できるツールを導入しましょう。代表的なツールとしては、TrelloAsanaMicrosoft Projectなどがあります。

    ②チームコラボレーションツールの重要性

    動画制作は多くの人たちが関わるクリエイティブなプロジェクトです。

    そのため、チームコラボレーションツールを導入すると管理がやりやすくなります。

    リアルタイムでのコミュニケーションやファイル共有、タスク管理などが円滑に行われるようなツールを選定し、チームのコラボレーションを強化しましょう。

    まとめ

    以上のステップに従って、効果的な動画制作の計画設計からスケジュール管理をしっかり行うことです。

    とはいえ、動画制作はクリエイティブな施策でもあるので、不慣れだとかなり苦戦するでしょう。

    ブランドの認知拡大や顧客の獲得に向けた成功を収めるためには、まずはプロに依頼するのも一つの手段です。将来的な内製化なども想定し、動画制作の実績がある会社に相談してみてもよいかもしれません。

    参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから

    執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

    慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

    パンフレットは、企業にとって顧客に行動を起こしてもらう上で重要なツールです。

    用途としては、企業のサービスや商品のメリットを訴求した営業ツール、新卒や中途採用のための会社案内などさまざまです。

    本コラムでは、ビジネスやイベントのプロモーションにおいて効果的なパンフレットの作り方を紹介します。

    そもそものパンフレット作成の重要性だけでなく、構成の準備、コンテンツの制作、デザインのポイント、印刷と配布の手順、業者選定の仕方まで、包括的なガイドになることを目指しました。

    目次【本記事の内容】

    パンフレット作成の目的とは?

    パンフレットは、ビジネスやイベントのプロモーションにおいて重要な役割を果たします。

    たとえば、営業ツールとして活用したパンフレットを見込み顧客に配布することで、自社サービスを導入するきっかけになるなどです。

    企業および法人がパンフレットを制作する目的は、配布したツールを通じて、自社のサービスや商品についてより多くの人に知ってもらうこと。

    さらに、パンフレットを配布することで、自社の理念を訴求できるため、ブランディングイメージを構築することにもつながります。

    一般的な営業資料と異なるのは、一度配布すれば捨てられづらい点です。A4用紙で出力してホッチキスで綴じた営業資料の場合は、必要ないと認識されればすぐに捨てられてしまいます。

    その点、パンフレットはすぐに必要ない場合でも、長期的に手元に保管をしておいて、いざ必要になった時に見込み顧客から自社のことを思い出してもらって問い合わせにつながるようなケースもあるのです。

    パンフレット作成の準備の仕方

    パンフレット作成に取りかかる前には、いくつかの準備が必要です。

    準備が必要なのは、「目的の設定」「ターゲットの設定」「構成・掲載コンテンツの確定」「デザイン・サイズの決定」です。

    一つひとつ詳細を解説します。

    準備その1:目的の設定

    パンフレットの作り方において、まず決めなければならないのは「目的の設定」です。

    目的といってもさまざまあります。「自社商品やサービスの紹介をしたい」「新規出店の店舗の告知をしたい」「開催イベントの告知をしたい」「会社の理念や概要を理解してもらいたい」などです。

    パンフレットを配布した見込み顧客に、その後どのような行動変容を促すかが重要なのです。

    目的さえ明確になれば、軸がぶれずに伝えたいターゲットに、伝えるべき要素を発信することができるでしょう。

    準備その2:ターゲットの設定

    パンフレットの目的が決まったら、次は伝えたい「ターゲットの設定」を考えましょう。

    たとえば、大学受験の予備校が集客目的で配布用のパンフレットを制作する場合、誰に受け取ってもらうべきかを想定することが大切です。

    大学受験予備校の場合は、入塾するのはもちろん高校2〜3年生の学生本人ですが、入塾の意思決定をするのはその保護者です。実際に入塾してもらった後のイメージを学生に向けて伝えることはとても大事ですが、保護者にとって魅力的な予備校だと思ってもらえなければ入塾にはつなげることができません。

    その他の事例でも、ターゲットの深掘りは重要な要素となります。

    女性向けの化粧品を扱っているような会社であれば、女性受けのするデザインにするなどの工夫が必要ですが、さらに狙うべき年齢層によってもデザインのテイストは大きく変わります。

    あくまで自社が集客したいターゲット、もしくは今後集客していきたい新規顧客層をイメージすることが重要でしょう。

    準備その3:構成・掲載コンテンツの確定

    パンフレットの目的とターゲットが明確になったら、次に決めるのは掲載コンテンツです。

    目的が集客であれば、ターゲット顧客が商品を購入したい、サービスを導入したいという魅力が伝わる構成になっているかを想定しながらコンテンツを作りましょう。

    企業の会社案内を制作する場合は、たとえば次のような構成が考えられます。

    ・代表のあいさつやメッセージ

    ・企業理念

    ・業務やサービスのご紹介

    ・役員や社員の紹介

    ・自社の代表事例の紹介

    ・社員インタビュー

    ・沿革

    ・会社概要

    会社案内の場合は、配布先が多岐に渡ります。取引先や新規の営業先、新卒や中途の応募者、投資家などのステークホルダーなどです。

    このようなコンテンツは、通常業務で扱う文章のボリュームとは大きく異なります。会社案内のコンテンツを考えるリソースが割ける場合は別ですが、そうでなければ制作会社などに外注することも視野に入れることをおすすめします。

    準備その4:デザイン・サイズの決定

    パンフレットの掲載コンテンツが固まったら、実際に印刷工程の仕上がりを想定します。

    会社案内をはじめとしたパンフレットを制作するにあたり、デザインにはこだわりたいところ。一方で、多くの企業が陥りやすい落とし穴は、最初にデザインの方向性を考えることです。

    デザインにばかりこだわっていると、大事な中身が伴わないパンフレットができてしまいます。

    そのため、先に構成やコンテンツを考えてから、その後にデザインに着手をすることが大切だといえます。

    デザインは、会社案内の場合は企業カラーやコンセプトに合わせて、取引先や顧客に渡すことを想定して信頼感や安心感が演出できるようにすると良いでしょう。

    サイズについては、パンフレットの場合はA4サイズが一般的です。携帯しやすいハンドブックサイズのものなど、目的に合わせたサイズを設定することもあります。

    ちなみに、ページ数は4の倍数で設定することをおすすめします。パンフレットの場合は、ボリュームにもよりますが、手渡し用では12ページや16ページで構成されることが多いです。

    4の倍数でない場合は、印刷代が高くなってしまう可能性があるので注意しましょう。

    書籍のように厚みのあるタイプと異なり、パンフレットの場合は中綴じと呼ばれるホッチキス綴じ製本がおすすめです。一方、書籍で主に使われる綴じ方は無線綴じといいます。

    パンフレットの依頼先の選び方

    ここまでに紹介したように、パンフレット制作には様々な工程とコンテンツを作るリソースが必要になります。

    そこで、自社で制作がリソース的に厳しいようであれば、プロの制作会社に依頼を検討しましょう。

    依頼先の選定基準は次のとおりです。参考にしてみてください。

    選定ポイント①:制作実績が豊富

    パンフレット制作の依頼先として、とくにポイントとなるのは制作実績でしょう。

    同業界の制作事例があるか、同じような目的で制作したパンフレットがあるか、などが選定基準となります。

    ただし、ただパンフレットの制作実績が豊富であるかだけでなく、企業のパンフレット制作において重要なのは企業のコンテンツ制作にどれだけ多く携わってきたかです。

    パンフレット制作を請け負う業者としては、デザイン制作会社、印刷会社、編集プロダクション、広告代理店などが考えられます。

    デザイン制作会社の場合は、デザイン性を重視する場合に選択肢となりますが、費用が高額になるケースが考えられます。

    印刷会社は、入稿されたデータを印刷することが本分です。なかにはデザイン制作から印刷・納品までを一括で対応してくれるところもあります。自社で印刷が対応できる分、ほかの業者よりは安いですが、デザイン性やコンテンツの制作力に長けているわけではありません。

    編集プロダクションは、出版社からの依頼で編集や企画を請け負っているケースが多いです。パンフレットを専門に扱っていたり、実績が豊富だったりする会社はあるでしょう。出版社とのつながりがある分、腕のあるデザイナーやカメラマンがアサインできる可能性も高いです。

    広告代理店は、企業の広告企画を行っているため、マーケティング的な視点も持ち合わせながらパンフレット制作の対応ができるでしょう。一方で、デザインから文章コンテンツの執筆、印刷など、すべて外注することになるので費用は高額になります。

    選定ポイント②:自社のニーズと得意領域がマッチしている

    パンフレット制作は印刷して出来上がってしまったら、もうやり直しがききません。

    紙媒体の制作物を外部に発注する際によくある失敗が、「思っていたものと違った」という嘆きの声です。

    一般的な紙媒体の制作会社は、一定のクオリティでパンフレットを仕上げることはできるでしょう。

    しかし、パンフレットの作り方において重要な要素は、依頼先のビジネスモデルを理解しているかどうかです。

    そのため、「税理士との仕事が多い」「不動産業との仕事が多い」「医療関係の仕事が多い」など、専門領域に応じた業務依頼実績が豊富にあるかどうかは選定のポイントとなります。

    きちんと自社のビジネスモデルの理解があり、伝えたいことを読み手に伝わるコンテンツに昇華させられるかが、パンフレット制作成功のカギとなるでしょう。

    選定ポイント③:営業担当者と見積もりの内容

    どんなにパンフレットの作り方において、質にこだわったとしても定性的なもので、正直なところ完成するまで満足できるものができるかわかりません。

    そこで、選定するうえで重要視してほしいのは、依頼候補先の営業担当者の対応と見積もり内容。費用は安いに越したことはありませんが、費用と品質のバランスはとらなければなりません。

    まずは、営業担当者と面談をしてみて、自社が作りたいパンフレットの要件をしっかりと伝えましょう。

    顧客優先で動く担当者であれば、きちんと要望を汲み取ってそれを見積書に反映してくれるはずです。とくに要求しなくても、数パターンの見積もりを提示してくれる業者は優秀と言えるでしょう。

    パンフレットに限らず、紙の制作物は何度か作り直すこともあり得ます。依頼先の担当者が信頼できるかどうかは今後も長期的に付き合っていくうえで重要な要素となるでしょう。

    パンフレットの配布方法

    パンフレットの作り方の次は、完成した現物をどのように配布するかが重要です。具体的には下記の方法が考えられます。

    選定ポイント③:営業先への手渡し

    自社の営業マンが営業訪問をする際に、取引先や見込み顧客に直接手渡しする方法があります。

    サービスや商品の訴求のほか、自社理解を促進させられる効果が見込め、パンフレットの配布をきっかけに話を膨らませるなど、お互いの信頼関係構築にも大きく寄与します。

    配布方法②:ダイレクトメール(DM)

    既存の取引先や自社の保有するリストにある見込み顧客に向けて、パンフレットをダイレクトメールで送付する方法があります。

    ダイレクトメールの送付数から反応率を計算することで、効果測定もしやすいのはメリットの一つ。

    郵送するにはコストがかかるため、送付先に追客施策としてテレアポをしたり、営業マンが訪問したりすることで効果も高められるでしょう。

    配布方法③:ポスティング

    ポスティングは、一定のエリア内の家庭や企業などのポストに直接投函する方法です。

    地域密着で運営している店舗型ビジネスであれば、ポスティングは大きな効果を発揮するでしょう。パンフレットに限らず、チラシもポスティングで配布することがありますが、すぐに捨てられる可能性があります。

    視認率が高い施策ではあるので、捨てられづらいパンフレットを配布するのは一定の効果が期待できます。

    配布方法④:街頭や施設内配布

    街頭配布や施設内配布は、チラシの配布方法としてはよく使われます。

    特定のエリアでの集客を目的とするのであれば、パンフレット配布も一定の効果は発揮されるでしょう。

    施設内配布は、学校やショッピングモールなどで、ターゲットに合わせて配布することができるので、集客には寄与しやすい方法といえます。

    ただし、パンフレットとチラシどちらでも、手荷物になってしまう分、受け取ってもらいづらいデメリットも考えられます。

    配布方法⑤:イベント開催先での配布

    自社でイベントを開催したり、展示会などの出展イベントにブースを出したりする企業の場合は、開催先でのパンフレット配布が効果的です。

    イベント開催自体にコストがかかるのがデメリットではありますが、イベントや展示会は目的やテーマに則ったお客さんが足を運ぶため、相性の良い見込み客を集客できる可能性が高いです。

    そのような人たちに、自社のサービスや商品の強みを訴求するにはパンフレットの配布がおすすめです。

    自社の周年イベントや学生向けの採用説明会などで、パンフレット配布する手段も考えられるでしょう。

    そのほか、オフラインのマーケティングについて、下記のコラムで解説しています。合わせてご覧ください。

    参考:広告手法を徹底比較! デジタルからDMまでマーケティングのメリデメを解説

    まとめ

    自社が満足いくパンフレットを制作するにあたり、パンフレットを渡す相手である顧客目線は欠かせません。

    それは制作を外注する場合も同様です。依頼先が自社の要望をきちんと汲み取ってくれているのか、自社のビジネスモデルを理解しているのかは、担当者との面談でしっかりと見極めましょう。

    本コラムがパンフレット制作の参考になれば、これ以上に嬉しいことはありません。

    参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから

    執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、ディレクター)

    慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

    YouTubeを始めてみたい、でも動画の作り方がわからない!

    このような悩みを抱える人は近年、とても増えているようです。

    「動画制作」というと、かなり専門的な印象を受けがちです。

    「高い機材を買わないといけないの?」

    「専門のソフトの使い方を覚えるの?」

    そんな疑問の声は、YouTubeを始めようとする人から多く聞かれます。

    そこで今回は、YouTubeチャンネルの開設方法から動画の作り方、再生回数を伸ばすコツまで、わかりやすく解説します。

    個人でYouTuberを目指す人も、会社の取り組みとしてYouTubeチャンネルの担当になった人も、ぜひ参考にしてみてください。

    目次【本記事の内容】

    執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

    慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

    ◉YouTubeを運用する意味は?

    さて、そもそも、YouTubeチャンネルを運用する意味とはなんなのでしょうか。

    YouTubeの意味には、下記のようなものがあります。

    ・個人やビジネスをブランディングできる

    YouTubeは、世界的な規模で視聴者を集めるプラットフォームです。

    日本だけで見ても月間のアクティブユーザーは7000万人を超えます。

    このように大変多くの視聴者をもつメディアであるYouTubeで独自の動画コンテンツを発信することで、個人やビジネスにおいてとても強いブランディング効果を発揮できる可能性があります。

    チャンネル登録者はいわばチャンネル運営者の「ファン」であり、多くのファンを抱えるメリットは個人にも企業にも大きいです。

    ※数値は「【2023年3月更新】YouTube利用状況データ | Videoクラウド」参照

    ・アイデアやノウハウを発信できる

    動画は、個人や法人がもつ専門知識やスキル、アイデアを紹介する媒体として非常に優れています。

    例えば個人であれば、料理のレシピやメイクのテクニック、プログラミングのノウハウなど。会社ならばビジネスのコツや就職活動の情報、マネーテクニックなど、自分の得意な分野で価値のあるコンテンツを提供することができます。

    それにより、ブランディングを実現したりビジネスに繋げたりといった効果の期待ができるのです。

    ・視聴者とのコミュニケーションツールにできる

    YouTubeチャンネルにおいては、動画に対するコメントやいいね、シェアなどの機能を通じて視聴者との対話が可能です。

    視聴者からの意見やフィードバックを受け取って動画を改善したり、オンラインサロンやLINE登録などのマネタイズに向けた導線を作ったりが非常にやりやすいのが、YouTube運用の強みです。

    ただ動画を観てもらうだけでなく、運営者のほうからコミュニケーションによって視聴者のファン化を促進する努力がしやすいのは、YouTubeを運用する大きなインセンティブだといえるでしょう。

    ・ビジネスとしてマネタイズできる

    YouTubeの運営者はYouTubeパートナープログラムに参加することで、広告収入を得ることができます。自身のチャンネルを収益化することで、副業や本業としての収入を得ることも可能です。

    数多くの登録者を抱えるYouTuberになれば、YouTubeだけで億万長者になるのも夢ではありません。

    一方で、広告による収益化だけでなく、商品販売や自身のビジネスへの誘導など、YouTubeチャンネルをマーケティングツールとして活かすのも有効な戦略です。

    特に法人でYouTubeを運用する場合、広告収入よりは本業でメリットを得ることを目指す動画の作り方が重要になってきます。

    ◉YouTubeチャンネル開設から動画投稿まで

    続いて、YouTubeのチャンネルを開設し、動画を投稿する手順を解説します。

    チャンネル開設は、下記の流れです。

    ①Googleアカウントの作成

    YouTubeのチャンネルを作成するためには、まずGoogleアカウントを作成する必要があります。

    既にGoogleアカウントをお持ちの場合は、次のステップに進んでください。

    ②YouTubeにログイン

    YouTube(https://www.youtube.com/)にアクセスし、作成したGoogleアカウントでログインしてください。

    ③チャンネルの作成

    YouTubeを開き、ブラウザ上に表示されている右上のアイコンをクリックしてドロップダウンメニューを表示し、「YouTube Studio」を選択します。

    YouTube Studio画面の左側にあるメニューで「チャンネル」セクションを選択し、[+チャンネルを作成]ボタンをクリックします。

    ④チャンネル名とアイコンの設定

    [+チャンネルを作成]ボタンをクリックすると、チャンネル作成ウィザードが表示されます。そこでチャンネル名を入力し、アイコンを設定してください。

    アイコンは、プロフィール写真として表示されます。

    ⑤チャンネルアートのアップロード

    続いて、チャンネルアートを設定します。チャンネルアートとは、チャンネルのヘッダーに表示される大きな画像です。

    ⑥チャンネル設定の編集

    左側のメニューから「設定」を選択し、チャンネルの詳細設定を編集します。ここで、チャンネルの説明、タグ、プライバシー設定などをカスタマイズできます。

    好みに合わせて設定してみてください。

    ⑦動画のアップロード

    チャンネルが準備できたら、動画をアップロードする準備が整います。YouTube Studioの左上にある[動画]ボタンをクリックし、[+動画をアップロード]を選択します。アップロードしたい動画ファイルを選択し、必要な情報(タイトル、説明、サムネイルなど)を入力します。

    ⑧公開と設定

    動画情報を入力した後、公開設定を選択します。公開、非公開、限定公開などのオプションがあります。必要な設定を行ったら、[公開]ボタンをクリックして動画を公開します。

    以上が、YouTubeチャンネルの作成と動画投稿のステップです。

    YouTubeチャンネルの立ち上げ方は、下記のコラムで詳しく解説しています。

    合わせてご覧ください。

    参考:YouTubeチャンネル開設のやり方を解説!ビジネスに繋げやすくするコツも紹介

    ◉YouTube動画撮影の機材選び

    動画を投稿できる状態になったところで、いよいよ撮影です。

    YouTube動画の撮影には、適切な機材の選択が重要です。

    撮影用のカメラには、次のような選択肢があります。

    ◉-1、スマートフォンのカメラ

    現代のスマートフォンのカメラは、非常に高性能です。

    画質が求められるような動画の作り方を追求するのでない限り、スマホのカメラで動画を撮影すれば十分でしょう。

    ちょうど良い感じに素人感のある画が、逆に親近感を演出して好感を持たれる場合もあります。

    スマホのカメラを使うのであれば、自分のスマホを使えばいいので投資額はゼロです。

    注意点として、「通常動画は横向き、ショート動画は縦向き」で撮影することです。

    向きが違う素材はうまく画面に当てはまりません。

    ◉-2、一眼レフカメラ

    主に写真を撮る用途に用いる一眼レフカメラですが、動画も撮影できる機能がついた機種もあります。

    一眼レフカメラは性能がとても高いので、プロ並みにきれいな画質で撮影することができます。

    デメリットとしては、価格の高さと容量の小ささです。

    まともな一眼レフだと10万円は下らないので、はじめてのYouTubeでいきなり投資するのはハードルが高いかもしれません。

    また動画用のメモリは1時間以内くらい分しかない機種が多く、長時間の素材をおさえるのにはメモリの増設などが必要になります。

    ◉-3、Vlog用カメラ

    Vlog用カメラと呼ばれる、SNS等にアップする動画を撮影するのに適したカメラを使うのも選択肢です。

    Vlog用カメラは10万円を切るくらいで探せるので、一眼レフを使うのに比べると投資額は少なくて済みます。画質も十分に良く、多くのYouTuberがVlog用カメラを愛用しています。

    YouTube動画の撮影に適したさまざまなサポート機能もついているので、長期的な相棒としておすすめです。

    ◉-4、付属設備

    撮影の際には、スタビライザーや三脚、マイクなどのアクセサリーも活用することで、より安定した映像やクリアな音声を実現できます。

    また、YouTube撮影用の照明はできれば買っておいたほうが良いでしょう。

    照明をきちんと当てるだけで、画面が一気にプロっぽい仕上がりになるからです。映像の仕上がりへの影響は、カメラの性能よりも照明のほうが大きいといっても過言ではありません。

    どのように照明を当てればきれいな画面ができるのかは、書籍やWEBコラムなどで解説されています。基礎だけでも勉強してみてください。

    ◉YouTube動画をツールで編集する

    撮影が完了したら、アップする前に動画を編集しましょう。

    編集は、魅力的なYouTubeコンテンツを作り上げるための重要なステップです。

    動画編集というと専門技術が必要なように思えますが、無料のツールでできる範囲でも十分に価値のある動画を編集することができます。

    テロップをつけたりシーンをカットして切り貼りしたり、音楽をつけたりといった程度の編集であれば意外に簡単です。

    下記にいくつか、おすすめの動画編集ソフトウェアやアプリの選択肢を紹介しましょう。

    ◉-1、iMovie

    iPhoneユーザーであれば、iMovieという動画編集ソフトをデフォルトで使用可能。もちろん無料です。

    Appleユーザーであれば慣れっこのインターフェースが持ち味で、スマホだけで感覚的に動画を編集できます。

    機能としては、「4K とマルチトラックの編集」「動画の配列」「無料の音楽を挿入」などが可能で、初心者でもある程度の動画は作れてしまいます。

    ◉-2、VN

    VN(https://apps.apple.com/jp/app/id1343581380)も、スマホで使える動画編集アプリです。

    強みとしてはとにかく直感的にタップなどで操作ができることで、色味の調整や速度の調節などが簡単にできます。おしゃれな動画を作りたい!という場合にも適しているでしょう。

    また、うれしいのがウォーターマーク(アプリロゴの透かし)が動画に入らない点で、YouTuberからも支持者が多い動画編集アプリです。

    ◉-3、DaVinci Resolve

    スマホでなくパソコンでしっかり腰を据えて編集したい場合、DaVinci Resolve(https://www.blackmagicdesign.com/jp/products/davinciresolve)が使用可能です。

    無料版と有料版がありますが、無料版でも基本的な機能は一通り使えます。カットやテロップ入れ、エフェクトの反映などが使えるので、一般的な動画を作成する分には十分でしょう。

    ただ、無料の場合は書き出しサイズに制限が生じてしまうのが注意点です。長尺の動画をYouTubeで投稿したい場合には向きません。

    ◉-4、Premire Pro

    本格的な動画編集を行いたいのであれば、プロも使っているAdobe社のPremire Pro(https://www.adobe.com/jp/products/premiere.html)が定番。簡易版のPremire Rushもおすすめです。

    Premire Proは、他のAdobe製品で作ったクリエイティブを動画に活用したり、Adobeのストック素材を活用したりと、ほぼ制限のない動画編集が可能です。本気で勉強してプロ並みのスキルを身につけたいのであれば、使用を検討しても良いでしょう。

    一方で、Premire Proは初心者のうちはインターフェースがややわかりづらいのが難点です。解説書籍を買って調べながら編集したり、専門の講座に通ったりといった追加の努力が必要になるかもしれません。

    ◉YouTubeを収益化するには?

    ここまでで、YouTube動画を撮影・編集し、アップロードするためのヒントを紹介しました。

    実際にチャンネルを運用して登録者数が増え始めたら、いよいよ収益化です。

    ◉-1、広告収入

    前述したYouTubeパートナープログラムへ参加することで、広告収入を得ることができます。広告が自動的に動画に表示され、視聴者が広告をクリックすると収益が発生します。

    ただ、チャンネルを収益化するには、下記の2つの条件を満たさなければいけません。

    ・チャンネル登録者数:1,000人以上

    ・動画の総再生時間:4,000時間以上(直近12カ月間)

    上記を満たしたチャンネルであれば、YouTube Studioから収益化を申請することができます。

    ◉-2、企業案件

    YouTube上の広告収益のほかに、いわゆる「案件」でもチャンネルを収益化できます。

    商品のプロモーションニーズがある会社から、お金を払って商品を動画で紹介するオファーを受けることで案件が成立します。

    当然ながらチャンネル登録者が多いほど案件が舞い込む可能性は高くなりますが、自分のチャンネルに関連する企業やブランドからであれば、100万人以上などの登録者数がなくても案件が来る可能性はあります。

    とはいえ案件獲得はYouTuber事務所に入ったり紹介サービスを使用したりしないと難しく、特に企業の運用などではあまり現実的なマネタイズ方法ではないかもしれません。

    個人のYouTuberと小さな会社が直接案件のやり取りをするとお金のトラブルになるケースも多いため、注意してください。

    ◉-3、自分の商品を売る

    YouTubeは、自分の商品の販売にも活用できます。自分が作成した商品や関連商品を紹介することで、収益を得られるのです。

    ただし、動画の内容と関係のない商品を販売するリンクを大量に貼り付けたり、有料のセミナーに直接誘導したりすると、「商用利用」の規約に違反してYouTubeからペナルティを受ける危険があります。

    一度ペナルティを受けるとアカウント自体の評価がずっと低いままになってしまうとも言われており、くれぐれも気をつけてください。

    YouTubeの視聴者をビジネスの顧客にする一番のコツは、やはり魅力的なコンテンツを提供し続けること。視聴者の関心を引きつけるテーマや独自のスタイルを持つことが成功のカギで、宣伝ばかりのチャンネルにはファンがつきません。

    ◉コストをかけずに再生回数を上げるポイント

    では、YouTube運用で視聴者を惹きつけ、動画を再生してもらうにはどうすれば良いのでしょうか。

    以下にいくつかのコツを紹介します。

    ◉-1、トレンド性のあるテーマをタイトルに入れる

    YouTube動画を観てもらうために、タイトルはとても大事です。

    そして、タイミングに合わせてトレンドになっているワードを盛り込んだタイトルを設定することで、ユーザーに動画を観てもらえる可能性が高まります。

    トレンドワードを調査するためには、拡張ツールであるvidIQ(https://vidiq.com/)を使いましょう。

    vudIQを使うと、指定のワードが含まれた動画が平均でどれくらい再生されているのかのデータを見ることができるので、動画企画とタイトル選定にとても役立ちます。

    トレンドのワードを使うことで、バズっている動画を観たあとのおすすめ動画としてあなたの動画が紹介されたり、YouTubeのトップページで動画をリコメンドしてもらえたりする可能性を高められます。

    ただし、タイトルにだけトレンドのワードを使って動画の中身が全然違う、というのはNGです。そういった不一致はYouTubeのアルゴリズムで厳しく評価されます。

    ◉-2、サムネイルを魅力的に

    動画のサムネイルを作り込むのも、タイトル設定と同じくらい重要です。

    慣れていないと動画の一部をキャプチャするだけのサムネを設定してしまったりしますが、極力そうしたサムネは避けたほうが良いでしょう。必ず画像を作ってください。

    サムネイル作成のコツは、「少ない文字数でキャッチーに」です。

    画像に「◯◯する方法3選」など文字を挿入し、シンプルにユーザーの心を掴みます。

    文字数が少ないほうが良い理由は、人はYouTube動画を見るかどうか、サムネを0.3秒見ただけで決めると言われているからです。文言が長いとそれだけで脱落を招きます。

    サムネイル作成にあたっては、Canva(https://www.canva.com/)がおすすめです。

    きれいなフォントやアイコンなどが無料で使用できるだけでなく、多数のテンプレートからアレンジして初心者でも簡単にサムネイルを作れます。

    ◉-3、撮影環境に気を配る

    動画をコンテンツとして成立させてユーザーを惹きつけるには、撮影環境はとても大事です。

    散らかった自室がバックで照明も薄暗く、演者の声は環境音でよく聞こえない……こういった動画では、もしユーザーがクリックしてくれてもあっという間に離脱してしまいます。

    背景はきれいに、照明は自然光を利用するか、手持ちの照明器具を使って明るく均一な照明を実現しましょう。

    また、動画の背景はあなたのチャンネルの世界観そのものです。たとえば書籍紹介のチャンネルであれば背景に本棚を映り込ませる、法律系のチャンネルであれば六法全書を机の上に置いておくなど、ちょっとした演出でブランディング効果は大きく高まります。

    ◉-4、無料素材をフル活用する

    動画を編集する際、無料の素材やリソースを徹底活用するのも再生回数を上げるポイントです。

    BGMや効果音、ビデオクリップなどの素材は、オンラインで無料で入手することができます。

    こうした素材をうまく組み合わせると、動画の仕上がりが格段にプロっぽくなります。

    慣れないうちは、有名YouTuberが使っている素材で真似して無料で使えるものがないか、研究してみると良いでしょう。

    ◉YouTube動画をより高度に編集するテクニック

    YouTube運営に慣れてきたから、もっと高度な編集ができるようになりたい……そんな方のために、下記にいくつか応用編の編集テクニックを紹介します。

    ・トランジション効果の活用

    トランジション効果は、シーンの切り替えや移行を滑らかにするためのエフェクトです。クロスフェードやズーム、スライドなどのトランジションを適切に使うことで、より魅力的な編集が可能です。

    ・オーディオ編集のテクニック

    音声のクリアさとバランスを調整するために、イコライザーやコンプレッサーなどのオーディオエフェクトを使用します。重要な内容をよりクリアに聞き取りやすく引き立てたり、音の加工で演出を入れたりすることで動画の魅力がアップします。

    ・色調補正やフィルターの使用

    明るさ、コントラスト、彩度などの色調を調整し、映像に一貫性や特別な雰囲気を与えることができます。あなたのチャンネルならではの世界観を演出することで、ユーザーの心を掴める可能性が高まります。

    また、フィルターやエフェクトを使って独自のスタイルを作り出すこともできます。チャンネルの定番演出がユーザーの心に残るようになれば、YouTubeチャンネルとしてワンランクアップです。

    ◉YouTube動画の作成でよくある失敗例

    最後に、YouTubeの運用でよくある失敗例を紹介します。

    下記の例に当てはまらないようにチャンネルを運用しましょう。

    ◉-1、動画が長すぎるor短すぎる

    動画の尺が長すぎたり短すぎたりするのは、よくある失敗パターンです。

    まず長すぎる場合で、立ち上げ当初のチャンネルで長尺の動画を見てもらうのはかなり難しいです。せっかくサムネイルをクリックしてもらえても、途中で離脱するユーザーがあまりに多いとチャンネル評価がマイナスになってしまいます。

    一方で、短すぎる動画もいけません。

    なぜなら、YouTubeがチャンネルを評価するアルゴリズムでは総再生時間が重要な指標になると言われており、短い動画ばかりだとそれだけで不利になってしまうからです。

    また、短すぎる動画には広告もつけられません。

    ベストな動画の長さはチャンネルのジャンルにもよりますが、15〜20分くらいで試してみながら、自分のチャンネルで一番再生される尺を探っていくと良いでしょう。

    ◉-2、投稿が止まってしまう

    良い動画を作ろうと考えすぎた結果、投稿が止まってしまう……これもよくあるパターンです。

    特に企業チャンネルなどでは、社内の確認プロセスに時間がかかったりして投稿が止まってしまうケースが多いです。

    当然のことですが、投稿が止まってしまえばチャンネルの評価はどんどん下がっていきます

    最低でも週に1回くらいは動画を投稿したいところです。

    YouTube運用はやってみないとわからない部分が大きい施策なので、作り込みすぎずに実験のつもりでたくさん動画を投稿するのがおすすめです。

    ◉-3、自分が表現したいことにこだわりすぎる

    ユーザーの評価を無視して運営者が「表現したい」ことばかり動画にしてしまうのも、良くないケースです。

    YouTubeは継続によって初めて効果が出る面も大きいですが、まったく当たっていない方向性にずっとこだわり続けても、何かを変えなければ成功する確率は低いでしょう。

    現在では有名YouTuberとなった人でも、開設当初の方向性を途中からまったく変えたことでヒットしたケースは少なくありません。

    運用目的にもよりますが、譲れない部分は大切にしながら、ユーザーに評価してもらえるように柔軟にいろんな表現を試してみましょう。

    ◉まとめ

    以上、YouTube動画の作り方について解説しました。

    現在では初心者でも簡単に扱える動画編集ソフトなども増えており、個人でYouTubeチェンネルを運営することは可能です。

    ただ、「本業が忙しくて動画制作する暇がない」など、YouTubeをやりたくても一歩前に進めない人もいるかもしれません。

    そんな場合は、立ち上げの時期だけでもプロのサポートを受けても良いかもしれません。

    フォーウェイでは、チャンネル方向性の設定から動画の企画、実際の制作などさまざまなフェーズでYouTube運営をサポートしています。

    相談は無料ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

     

    YouTubeの視聴者数は年々増加しており、そのプラットフォームを活用するために企業公式チャンネルを立ち上げる企業が急増しています。

    しかし、チャンネル運用を始めても1年後にはやめてしまう企業が大半です。

    今回の記事では、企業がYouTubeチャンネルを開設するメリットや開設方法、そして運用方法のコツを解説します。

    目次【本記事の内容】

    YouTubeと企業のチャンネル開設

    YouTubeは、世界最大の動画共有プラットフォームで、日本国内の月間利用者数は7500万人以上にものぼります(Think with Googleより)。

    テレビでYouTubeを視聴する層は月間2000万人以上と言われており、テレビ同然かそれ以上の生活に根差したコンテンツです。

    このような流れを受けて、YouTubeチャンネルを開設し運用する企業が増えています。

    企業がYouTubeチャンネルを運用する意義とは

    YouTubeはほかのSNSとは異なり、動画主体の配信サービスのため、視覚的に企業の商品やサービスの魅力を伝えやすい特徴があります。

    InstagramやFacebook、Twitter、TikTokでも動画の投稿は可能ですが、数分以上にわたる長尺の動画配信となると離脱しやすいデメリットがあります。

    長尺コンテンツの視聴が当たり前のYouTubeであれば、商品やサービスの使い方、メリットなど短時間では伝えきれない情報を、効果的に伝えることができるのです。

    動画の特性上、視聴者の時間を長く拘束することができるのも魅力です。企画の工夫次第では、ながら見需要にも応えられるため、チャンネル再生をし続けてもらうことも期待できます。

    ほかの情報発信施策と比較して、ユーザーとの接点が長く取れるので、チャンネルおよび企業へのファン化が見込めるのです。

    ▼各種SNSについては「SNS運用で大切な「目的設定」とは?運用効果を最大化する秘訣を徹底解説」でも詳細に紹介しているので参照ください。

    ◆YouTubeはSEOでも優位に立てる

    SEOとは「Search Engine Optimization」の頭文字をとった略語で、検索エンジン最適化のことです。

    動画コンテンツは検索ユーザーにとって有益な情報だと、Googleのクローラーに判断される傾向が高く、Google検索では検索結果の上位になりやすくなっています。

    記事型のコラムコンテンツのほか、動画も戦略的にコンテンツを充実させることで、競合他社よりもSEOの検索性で優位に立てる可能性が高まるのです。

    ▼SEO対策については「SEO対策とは? 効果的な戦略の組み立て方と対策方法」でも解説しているので、こちらも合わせてお読みください。

    企業がYouTubeチャンネルを開設する前の準備

    企業が公式チャンネルとしてYouTubeを利用する場合、商品販促や集客、会社のブランディングなどの目的があるはずです。

    マーケティングの手段としてYouTubeチャンネルを利用するならば、事前にYouTubeチャンネル運用のための準備をしておきましょう。

    準備その1:アイコン画像とバナー画像を用意する

    YouTubeチャンネルの顔となる画像を用意しましょう。

    アイコン画像は配信動画やコメントの横に表示されます。画像サイズは98×98ピクセルの正方形もしくは4MB以下の円形の画像で、800×800ピクセルを推奨されています(YouTubeヘルプを参照)。

    バナー画像はYouTubeチャンネルの上部に表示される横長の画像です。

    アスペクト比は16:9、2048×1152ピクセル以上の6MB以上の画像を推奨されています。

    画像は社員の集合写真などを安易に選択すると、ユーザーに訴えかける力が弱くなってしまいます。企業の公式チャンネルとしてはブランドイメージに繋がる部分なので、チャンネルのコンセプトを魅力的に伝える広告バナーのようなデザインを作成することをおすすめします。

    準備その2:チャンネル名の決定

    企業公式チャンネルの名前は、企業のブランドイメージを確立するうえで重要です。

    企業名やブランド名が入るなど、ユーザーがわかりやすいことが前提です。

    YouTubeチャンネルの登録者数が増えると、チャンネル名で認識されることも多いため、キャッチーで呼びやすく覚えやすいものが良いでしょう。

    ただし、カテゴリを狭めすぎたチャンネル名にしてしまうと、企画で様々な方向性を試しづらくなり自分たちの首を絞めることになりえます。そのため、ジャンルのイメージはわかるように設定し、大まかにくくるぐらいが良いでしょう。

    準備その3:チャンネルの説明欄の入力

    YouTubeチャンネルの説明をまとめましょう。

    チャンネルの[概要]セクションや検索結果に表示されるため、チャンネルの詳細がわかりやすい文章にすることです。企業の商品やサービス、発信するコンテンツの内容など、企業としてユーザーに知ってほしい内容は過不足なく記載しましょう。

    ほか、企業のホームページや特設ページ、ECサイトといった商品購入ページのURLを導線として貼り付けることが可能です。YouTubeチャンネルの視聴をきっかけに関心を持ったユーザーが問い合わせしやすいように、問い合わせ先としてメールアドレスを記載するのも一つの手段です。

    YouTubeチャンネル開設から動画投稿までのステップ

    さて、YouTubeチャンネルを開設するにはいくつかのステップを踏まなければなりません。その手順を紹介しましょう。

    ステップ1:Googleアカウントを作成する

    まず、YouTubeにログインするためにGoogleアカウントを用意しましょう。

    Googleアカウントを作成し、YouTubeにログインできるようになれば、動画にコメントや高評価・低評価をつけることができるようになります。

    ステップ2:YouTubeアカウントの種類を選択する

    用意したGoogleアカウントでYouTubeにログインしたら、次はYouTubeチャンネルの種類を選びましょう。

    YouTubeチャンネルの種類には、個人用の「デフォルトアカウント」とチャンネル専用の「ブランドアカウント」の2種類があります。

    デフォルトアカウントは最初にGoogleアカウントを作成した時に作成されるアカウントで、YouTubeチャンネル用にはブランドアカウントを選択しましょう。

    デフォルトアカウントでYouTubeチャンネルを開設してしまうと、個人名およびGoogleアカウントの名前がチャンネル名となってしまいます。

    チャンネル作成の際に注意したいのは、ブランドアカウントを作成するにはパソコンやスマートフォンのブラウザを利用することです。スマホのYouTubeアプリからはブランドアカウントは作成できないので注意しましょう。

    ステップ3:YouTubeチャンネルを作成する

    ブランドアカウントを選択したら、YouTubeチャンネルの作成ができます。

    「チャンネルを作成」をクリックして、「名前」と「画像」の入力画面が立ち上がるので、ここに準備しておいた「チャンネル名」と「アイコン画像」を設定して、「チャンネルを作成」をクリックします。

    チャンネル作成が完了したら、「チャンネルのカスタマイズ」>「ブランディング」「基本情報」から事前準備した情報を入力しましょう。

    ステップ4:動画をアップロードする

    メニューリストの「コンテンツ」をクリックし、右上の「アップロード」を選択して動画をアップロードします。

    必須項目の「タイトル」と「視聴者情報」のチェックのほか、任意項目の動画の説明やサムネイルの設定も視聴されるには重要な項目です。

    アップロード時には「視聴者」情報の設定として、子ども向けか子ども向けではないかを選択する必要があります。子ども向けコンテンツを選択した場合、広告や通知の機能が利用できませんが、ほかの子ども向けコンテンツと一緒におすすめされる可能性が高くなります。

    最後に、「公開」「限定公開」「非公開」の公開設定をします。

    企業の公式チャンネルとして運営する場合、基本的には「公開」設定になると思いますが、「イベント参加者限定!」といったコンテンツの場合は、運用目的やコンテンツの内容に合わせて限定公開などの設定をしましょう。

    YouTubeチャンネルの運用方法について

    いざ、YouTubeチャンネルを開設しても、継続的に動画コンテンツを更新しなければ意味がありません。

    YouTubeチャンネルの運用を成功させるには、いくつかの条件を満たす必要があります。

    条件1:専属の担当者をつける

    企業のYouTubeチャンネル運用において、とくに重要なのは専属の担当者を置くことです。

    登録者数10万人以上のYouTubeチャンネル数は7700以上あり、年々増え続けています(Think with Googleより)。ユーザーのYouTube視聴者数や視聴率は増加傾向にあるなかで、チャンネル数も増加しているため、片手間でなんとなく運用していてもうまくいくはずがありません。

    YouTubeチャンネルを運用すると決めたならば、プロの運用代行業者に依頼することも選択肢に入れつつ、本気で取り組むことです。

    YouTube運用代行支援のサービスはこちら

    条件2:毎月数本を継続的に投稿する

    YouTubeチャンネルを立ち上げた時の主なKPIは「再生回数」と「チャンネル登録者数」です。

    なかでも最初に重視すべきは「再生回数」です。YouTubeのアルゴリズム上、多くの人に視聴されたという事実を作り上げないことには認知されることはありません。

    そのため、再生回数を増やすべく毎月のように継続的に、動画を更新し続ける必要があるのです。とくに誰もが視聴できるYouTubeという特性上、たまたまバズって視聴回数が数千〜数万回となることもありますが、基本的には再生回数1000回未満でもコツコツとやり続ける継続性が大事です。

    もう一つのKPIであるチャンネル登録者数を増やすためにも、まずは再生回数を伸ばしながら継続的な動画コンテンツの更新を心がけましょう。

    条件3:視聴者が望むテーマを分析して投稿する

    YouTubeに限らず、広告含め情報が量産されている現代において、ひとりよがりなコンテンツを投稿し続けても効果はありません。

    流行りの音楽に乗せて踊っていたり、自社の商品の良い部分だけをアピールしたりすることなどです。

    YouTube視聴者は自分の趣味や目的に合わせて、有益な情報を求めています。

    たとえば、悩みを解決する情報提供型のコンテンツなど、視聴者のためになる情報を提供しなければ興味を持ったチャンネル登録者は増えないでしょう。

    さらに、運営側はそんな中から再生回数が伸びた動画があれば、その要因を分析して同じテーマの動画を量産するなどの工夫が必要です。

    有益な情報を提供し続けるYouTubeチャンネルというブランディングが確立できれば、信頼感も上がり、会社への関心も高まってくるはずです。

    YouTubeは集中と継続が大事

    以上、企業のYouTubeチャンネル運用のメリットや開設方法、運用方法について紹介しました。

    企業ブランディングの一環として、YouTubeチャンネルは視覚的に残りやすく、チャンネル登録者数が増えれば認知も向上するなどメリットも多いでしょう。

    長期的な目線で運用を設計し、専任の担当者が集中して動画制作と運用を続けられる環境を作ることが重要といえます。

    世界的に利用者数の多いYouTubeだからこそ、チャンネル運用には本気で取り組みましょう。

    参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから

    執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、ディレクター)

    慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

     

     

    SNS運用では、フォロワーが多い有名な企業公式アカウントなど、成功事例が目を惹きます。

    しかし実態は、「フォロワーが増えない」「ビジネス的な効果が出ない」「リソースが足りない」などの理由で、大半の企業で運用がうまくいっていません。

    今回の記事では、企業がSNS運用を行うにあたっての目的やメリットなどを整理し、効果的な運用方法について解説します。

    企業のSNS運用の目的とは

    SNS運用とは、企業が情報発信や商品・サービスの宣伝のために各種SNSアカウントを運用することです。

    ここでいうSNSとは、Twitter、Instagram、Facebook、LINEなどのソーシャルネットワーキングサービスを指し、YouTubeやTikTokといった動画系ソーシャルメディアも含みます。

    さて、SNS運用を考えたとき、企業は一般的にどのような目的で実施を検討するのでしょうか。

    主に次のような理由が多いです。

    ・企業ブランディング
    ・自社商品やサービスの告知
    ・イベントの告知・周知
    ・口コミ効果によるファン獲得および集客や販売促進
    ・競合他社との差別化

    目的に沿った運用を継続的に続けることで、ファンからの継続的な商品購入やサービスの利用が期待でき、シェアやリツイートによる拡散効果で、大きな宣伝広告費を使うことなく情報拡散が可能になります。

    SNSの種類とそれぞれの特徴

    次に企業が運用するSNSの種類を、それぞれの特徴と合わせて紹介します。

    ◆Twitterは情報拡散力に優れる

    Twitterは国内の利用者が約4500万人。20代〜30代の利用者が多いですが、近年は40代以上の利用者も増加しており、幅広い年齢層が利用しているSNSです(Twitter公式アカウントのツイートより)。

    企業とユーザー同士が「いいね」や「リツイート(RT)」、「リプライ(リプ)」を行うことで、フォロー外のユーザーにも見てもらえる情報拡散性の高さが魅力です。

    Twitterは基本的には140文字以内のテキストを投稿する(ツイートする)機能が主な使い方になります。

    企業の告知としては、フォロー&リツイートキャンペーンがよく使われており、かなりの拡散力が見込めるうえ、自社の宣伝や商品販促にも効果を発揮する手段です。

    <Twitterの特徴>
    ・情報拡散力が高い
    ・リアルタイムでのコミュニケーションがとりやすい
    ・短文での情報発信やコミュニケーションに向く

    ◆Instagramはビジュアルでの訴求に向く

    Instagramは国内の利用者が約3300万人。10代〜20代のユーザーが半数近くを占めています。コロナ禍に30代や40代のユーザーが増えていることもあり、幅広い年代への訴求に向いているSNSといえます(Meta社Newsroomより)。

    Instagramは写真や動画などのビジュアルを重視した発信が特徴。ビジュアルメインの視覚的コンテンツの発信になるため、投稿内容には見せ方の工夫が必要です。

    健康商品の販売や飲食店などビジュアルで訴求できるアイテムを持つ事業はInstagram運用に向いています。日々の投稿の世界観を統一することで、自社ブランディングに繋がりやすいのもメリットです。

    機能としては、24時間限定で配信するストーリーやショップ機能などがあります。

    拡散力はTwitterに劣りますが、ハッシュタグ(#)や発見タブの活用により、フォロー外のユーザーにも認知してもらうことは可能です。

    <Instagramの特徴>
    ・フィードとストーリーの使い分けで情報発信ができる
    ・ハッシュタグや発見タブから共通の趣味のユーザーの流入が見込める
    ・ビジュアルでの訴求がメイン

    ◆Facebookは顧客との関係性構築向き

    Facebookは国内の利用者が約2,600万人。30代以上の利用者が多く、ビジネスシーンでの利用が多いのが特徴です。全世界で最もユーザーが多いのがこのFacebookです(CNET Japanによるフェイスブック ジャパン代表社独占インタビューより)。

    登録上の特徴としては、実名登録制をとっているため、ほかのSNSと比較してプロフィールが精緻に確認できます。

    ただし、Facebook広告の活用以外では情報拡散性は低く、すでに繋がりのあるユーザーとの関係性構築で活用するのがおすすめです。

    <Facebookの特徴>
    ・世界的にユーザー数の多いSNS
    ・実名性が高く、ターゲティングに向いている
    ・ビジネスシーンでの利用が多い

    ◆LINEは日本でインフラ化したSNS

    LINEは国内の利用者が9400万人を突破しており、日本で最も普及しているSNSです。家族や友人との連絡手段として一般化しており、スマートフォンを持っている人はほとんどが利用していると言ってよいでしょう(LINE For Business公式サイトより)。

    LINEの友達機能を利用した企業公式アカウントからの有益な情報発信などで、ユーザーと双方向のコミュニケーションがとりやすいのも特徴です。

    一日あたりでのLINEアプリの使用時間が長く、友だちとして繋がっているユーザーに告知が最も届きやすいSNSともいえます。飲食店やヘアサロンなど、地域密着型でサービス展開している企業に向いています。

    <LINEの特徴>
    ・日本で最も利用者数が多く、ほぼインフラ化している
    ・プッシュ通知機能を使った情報発信ができる
    ・基本的にはクローズドなメッセージのやり取りのため、友だちとして繋がる必要がある

    ◆YouTubeはテレビ同然に利用される

    YouTubeは日本国内の月間利用者数が7000万人以上といわれており、テレビ代わりの動画視聴SNSとして世界的に普及しています。Google調査情報によると、テレビ画面でYouTubeを視聴する人は1500万人以上といわれています(Think with Googleより)。

    企業や商品、サービスの魅力を視覚的に伝えやすく、BtoB企業、BtoC企業どちらでも活用しやすいのが特徴です。

    YouTube公式チャンネルを運用する企業も増えており、業界知識を発信したり、製品の使い方の手順を解説したり、導入事例を紹介したりするなど、映像としてユーザーに情報が伝えやすいのはメリットでしょう。

    ただし、動画という性質上、企画や撮影など必要な準備も多く、継続的に発信するには専用のスタッフを揃えるか、外部に依頼するなどしないと運営が難しいです。

    <YouTubeの特徴>
    ・テレビ代わりに視聴する動画メディアとして世界的に普及
    ・チャンネル登録してもらうことでファン化が期待できる
    ・若年層からシルバー層まで全年齢をカバーできる

    ◆TikTokは若年層への視覚的アプローチにおすすめ

    TikTokは国内のユーザー数が1700万人以上で、若年層を中心として年々利用者数が増加しています。ユーザーは10代〜20代が中心です(App Annieより)。

    YouTubeがテレビ代わりの動画メディアである一方で、TikTokは気軽に空き時間で視聴できる動画系SNSとして短尺の動画が配信されるのが特徴。

    フォロワー数が少ない状態でも一定の再生数が確保されるため、拡散性はとても高いといえます。

    これまでは10代の学生が趣味で動画をアップするのが一般的でしたが、若年層への訴求のためにTikTokを活用する企業も増えています。

    <TikTokの特徴>
    ・TwitterやInstagramと同じように気軽にチェックする利用者が多い
    ・利用ユーザーは10代〜20代が中心
    ・視聴回数が一定数担保される

    SNS運用のメリットとは

    続いて、企業がSNS運用をすることのメリットを確認していきましょう。

    メリットその1:認知拡大とユーザーへの刷り込みが同時に実現可能

    SNSごとの特徴は前述の通りですが、シェアやリツイート機能など情報拡散が期待できます。

    企業がSNS運用を継続的に行うことで、広告と比較して安価に情報発信ができ、フォロワーとコミュニケーションを取り合うことで情報が無限に拡散する効果も期待できるのです。

    そもそも自社が知られていないという場合、SNSごとの特徴を踏まえた発信をすることで情報拡散され、潜在層へのアプローチが可能になります。

    メリットその2:企業ブランディングに繋がる

    SNS運用を継続的に行うことで、企業や商品、サービスに対するブランディング効果が期待できます。

    まだ顧客化していない潜在層に対しては、まだ商品やサービスを利用したことがなくても、統一感のある投稿を継続して見せることで¥ブランドイメージを演出可能です。

    それによって企業のブランド価値が上がり、メジャーな企業だと認識してもらうことが期待できます。

    メリットその3:フォロワーのロイヤリティ向上に寄与

    企業が継続的に有益な情報コンテンツを発信し続けることで、ユーザーには信頼感や親近感を抱いてもらうことができます。

    このようにロイヤリティが向上すると、自社ブランドや商品に対するファン化が促進でき、他社との競合優位性が圧倒的に上がります。

    ファンとなったフォロワーは口コミとして自身のSNSでも情報拡散をしてくれるので、信頼できるユーザーを通した情報発信と集客効果が期待できるのです。

    ファン化が促進できれば、リピーターにもなり得るうえ、ユーザーが必要とした時に一番に思い出してもらうことができ、価格競争に陥り図らくなるメリットが大きいです。

    SNSでの発信を続けることで、採用面でも効果を発揮します。近年は、就活生が事前に企業のSNSをチェックするようにもなっており、リクルーティングのためにSNSを運用するのもおすすめです。

    このようにロイヤリティ向上を狙ったユーザー獲得では、アクティブフォロワーをいかに増やしていくかが重要。

    アクティブフォロワーとは、“いいね”や“リプライ”などで継続的な交流があったり、それによりファン化していたりするユーザーのことです。広告などで増やしたロイヤリティの低いフォロワーではなく、日々の投稿やコミュニケーションで繋がりを深く持つことが大切です。

    効果的なSNS運用を行うには?注意点を解説

    次に、SNSを運用するうえでの注意点を解説していきます。

    注意点その1:炎上リスク対策を講じる

    SNS運用を検討する際に、よくある心配事が「炎上」です。

    情報拡散性が高く、多くのユーザーが見ることができる分、ユーザーに問題視されると最悪の場合は炎上してしまう恐れがあります。

    炎上しないためには事前にSNS運用のガイドラインを作っておくことです。炎上を100%回避することは難しいため、いかにリスクを回避できるか、問題が発生した時にどのように対処するかを定めておくことは重要です。

    投稿する際には画像や文章をダブルチェックするルールも備えておくとより良いでしょう。

    注意点その2:ユーザーが共感するコンテンツを発信し続ける

    企業がSNS運用をする目的は、自社の認知向上や集客、商品販促などが挙げられます。

    ただ、注意が必要なのは企業都合のひとりよがりな投稿にならないことです。

    いかにユーザーにとって魅力のあるコンテンツを作成するかがポイント。もちろん企業の宣伝投稿をしてはいけないわけではありませんが、ユーザーに有益な情報提供を定期的に行わないと敬遠されるアカウントになってしまいます。

    たとえば、美容に関心あるユーザーに自社商品のドリンクを販売したい場合、商品のPRだけではユーザーが離れてしまいます。そこで、「お肌に良い食べ物」のような情報コンテンツを用意することで、美肌に憧れるユーザーが有益な情報を提供してくれる信頼あるアカウントとして認識してくれるのです。

    コンテンツの質を高める努力は必要ですが、何事もバランスが大事。ユーザーとの“いいね”や“コメント”などの双方向のコミュニケーションも継続的に進めましょう。

    注意点その3:運用の目的に合わせた最適なSNS選択する

    SNSにはそれぞれに特有の特徴があるため、企業の運用目的に合わせて最適なSNSを選択する必要があります。

    目的が曖昧なまま、「とりあえずSNSを始めよう」と企業アカウントだけ作ったところで、運用コストがかかるだけ、もしくは運用が長続きせず放置されてしまうという例が散見されます。

    集客などのコンバージョンを得るためには、複数のSNSを活用して、それぞれの特徴に合った運用を心がけましょう。

    SNS運用代行のすすめ

    いまや企業のSNS運用は必要不可欠です。

    しかし、とくに中小企業の場合は運用に専念できる人員を確保できるほどリソースに余裕があるところばかりではありません。

    そこで、一つ選択肢としておすすめするのがSNS運用代行の利用です。

    「インフルエンサーを活用してフォロワーを増やしましょう!」や「SNS広告の運用を支援します!」という会社はたくさんありますが、日常の運用できちんとフォロワーまで伸ばしてくれる会社は限られています。

    運用代行のノウハウがある会社に依頼すれば、日々の投稿物の作成から定期的な更新を実施することで、自社で発信する以上にクオリティの高いコンテンツを発信してくれる可能性があります。

    とくに、日常業務を行いながら、自社で質の高い投稿やフォロワーへのアクションを継続的に行うことは至難の業です。

    自社従業員のリソースを使って片手間で手探りの運用をするより、ノウハウがあるプロの代行会社に依頼することで結果的に時間的にも人員的にもコスト削減が期待できます。

    もちろん代行を専門に行う会社であれば、運用のノウハウがしっかりとあるので、炎上対策もしっかりと講じてくれるでしょう。毎月の運用ノウハウをチェックしていくことで、自社でも運用のノウハウを蓄積することもできます。

    <<SNS運用代行のサービスはこちらから!>>

    SNSごとの特徴を把握してアクティブフォロワーの獲得を目指そう

    以上のように、SNS運用は継続的な情報発信と、ユーザーとの密なコミュニケーションが大事になってきます。

    ここまでに解説したSNSごとの特徴や運用のメリットを把握したうえで、企業ブランディングのためのSNS運用を心がけましょう。

    自社リソースで運用を継続することが難しい時には、SNS運用の代行会社に相談するのも一つの手段です。

    参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから

    執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、ディレクター)

    慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

     

     

    企業のターニングポイントである周年。

    周年は一つの節目で、社員や取引先へ感謝や今後のビジョンを示す良い機会となります。10周年や50周年、100周年と、周年事業を検討する企業のタイミングはさまざまです。

    頻繁に実施する施策ではないため、企業側にノウハウがないということも珍しくありません。

    そこで、今回は周年事業を実施する目的と意義を整理し、周年事業の方法や社史・周年史制作について解説します。

    周年事業の目的とは

    周年事業とは、企業の一種のアニバーサリーという見方もあります。とはいえ、イベントを実施するにも予算がかかります。

    企業として記念事業を実施するという場合、やはり目的を整理しておくのがよいでしょう。

    まず、周年事業を実施するにあたり、「社内向け」か「社外向け」かで目的は大きく変わります。それぞれ確認していきましょう。

    ◆社内向け周年事業の目的は社員のモチベーションを上げビジョンを共有すること

    企業が創業・設立から10周年、20周年、30周年と会社を存続させることができるのは、働く社員全員が現場で貢献してくれているからです。

    2021年度の企業の倒産件数は6,015件と、2000年以降で最少という低水準でした。

    しかし、過去10年を振り返ると、計85,939件と決して少ない数字ではありません(帝国データバンク倒産集計を参照)。

    中小企業白書によると、企業の存続率(生存率)は1年後が約97%、5年後が約82%、10年後が約70%と減少していき、22年後は50%を下回ると言われています。

    そんな中、周年を迎えられる企業は、非常に価値あることであり、そこに社員の活躍がある点は無視できません。

    そのため、周年事業は企業を支える全てのステークホルダーに対して、感謝の意を示すとても良い機会なのです。

    通常、社員は業務に従事しているため、社員全員が集結する機会はあまりありません。

    経営者の考え方や会社の理念、今後のビジョンを示し、社員に日頃の感謝の意を表明することで、モチベーション向上を狙うことが可能になります。

    未来に向けてのビジョンを共有することで、社員も何のために業務にあたっているか、何のためにその会社で働いているかを今一度再認識することができ、全社的に一体感を生み出すことが期待できます。

    社内向けの目的は次のような内容が考えられます。

    ・社員に感謝を伝える機会
    ・会社の歴史や理念の理解促進を図る
    ・社員間のコミュニケーション活性化
    ・社員のモチベーション向上
    ・今後のビジョンや経営計画の共有

    ◆社外向けの周年事業の目的は取引先との関係性強化

    周年事業は対外的に発信することも意義があります。

    働く社員はもちろん必要不可欠ですが、会社存続のためには取引先も大きな存在です。

    仕事を円滑に進めるためやサービスの価値を向上させるためのパートナー企業の存在や会社の売上に欠かせないクライアント企業などです。

    会社としての今後のビジョンを意思表明することも大切ですし、周年という機会を使ってこれまでの実績や今後の取り組みについてPRすることも同時に重要です。

    社外向けの目的は次のような内容が考えられます。

    ・取引先に感謝を示し、関係性強化を図る
    ・企業イメージの刷新や再認識
    ・新商品や新サービスの発表や販売促進のためのプロモーション
    ・周年の記念商品やサービスを販売して売上向上を図る

    社内向けと社外向けそれぞれで目的が異なるため、目的に合わせた施策を実施することを検討しましょう。

    周年事業の方法とは

    企業の大事な節目となる周年事業に何を実施したらよいのでしょうか。

    まずは社内向けと社外向けそれぞれで考えられる代表的な方法を紹介します。

    ◆社内向け:社員旅行で結束力を高める

    社内向けに周年事業としての取り組みを実施する目的は、社員同士のコミュニケーション活性化やモチベーション向上が挙げられます。

    そこで、「社員旅行」は社員同士が長時間一緒に過ごし、さらに普段自分たちでは行くことが難しい旅行先に会社の予算で行けるという非日常体験は、モチベーションを上げるのに効果的な手段の一つです。

    ただし、社員が多ければ、人数分の旅費がかかり、旅行先の滞在費も高額な予算を用意する必要があります。

    さらに長時間会社の行事で拘束されることを好まない社員もいるでしょう。

    そのように社員の意に反した周年事業になると、逆にモチベーションや帰属意識が下がるなどの危険性すらあります。

    ◆社外向け:周年記念キャンペーンで特別感あるサービスを提供

    周年という節目は、対外的な発信に成功すれば、メディアにも取り上げてもらえる可能性が高まります。

    そこで「周年記念キャンペーン」と銘打った特別な商品やサービス、記念品を提供することで、取引先との関係性強化を図ることが可能です。

    会社としては売上や利益向上が狙えるため、会社の存在感や業績を上げるよい機会となるでしょう。

    ただし、キャンペーン内容の企画自体が魅力的なものでないと、結果的にさほど売上にも繋がらない可能性も考えられます。

    どのように告知をするかというPR手段も検討する必要があり、肩透かしな施策とならないように注意しましょう。

    ◆社内・社外向け:記念式典を開催

    社内と社外どちらにも周年をきっかけに企業としてのあり方をアピールするとしたら、「周年記念式典」を開催するのが通例です。

    社員や取引先など関係者を1ヶ所に集めることで、社員同士だけでなく、社員と取引先の関係性構築にも繋がるよい機会となります。

    呼びかけをする人数によって規模感や予算の検討が必要ですが、会社としての今後のビジョンを発信する場としてもこの上ないチャンスです。

    ただし、新型コロナウイルスの流行もあり、1ヶ所に大人数が集まることにためらいのある人も多いでしょう。

    全国各地から人を呼ぶことを鑑みると、そのための交通費・旅費もかかってくるため、予算が潤沢にある企業でないと実施は難しいかもしれません。

    企業のメッセージを社内外に発信するには周年史の制作がおすすめ

    周年事業の重要性はここまでに紹介したとおりですが、社内外同時にメッセージが発信できる手段として周年史制作があります。

    社員の帰属意識を高めるために「社内報」という手段もありますが、簡易的なパンフレットやチラシのような社内報を作っても、いずれ捨てられるのがオチです。

    そこで企業や創業者・代表者の考え方を色濃く反映させた周年史の制作は、周年事業の一環として効果的な方法です。

    ◆周年史の作り方と目的の整理

    周年事業としての「周年史」の作り方は、マーケティングやブランドの設計と同様に、まずは目的を明確化させることが最重要です。

    社員向けであれば、「周年史で何を知ってほしいか」「周年史を読むことをきっかけにどう行動してほしいか」など、作った後の目的をしっかり定めた方が軸のある意義あるものができます。

    社外向けも同様で、「周年史でイメージを刷新したい」「普段のコミュニケーションだけでは伝えきれない会社としての理念やメッセージを理解してほしい」など、なぜ社外の取引先に読んでもらいたいかを明確化させることです。

    そのうえで、企業向けの出版や周年史制作を請け負っている出版社や制作会社、印刷会社などに依頼をして制作しましょう。

    ただ、社員にも取引先にも読んでもらえる読み応えのある企画にするためには、企業出版や周年出版を手掛けた実績のある出版社や出版コンサルタントに相談することをおすすめします。

    ◆出版すれば社員のモチベーション向上や社外へのPRが同時に実現可能

    周年事業として大々的に周年史・社史を制作するのならば、書店に流通させる出版という選択肢も検討したいところです。

    前述した周年史制作の目的にもよりますが、社内向けだけでなく、社外にもメッセージを発信したいとき、書店に流通させることで、一石二鳥で社内外どちらへのアピールにも繋がります。

    たとえば、出版社の流通戦略によって、商圏や社員の居住地域を中心に配本を実施することで、社員は活動範囲内の書店に自分が働く会社の本が置かれていることに誇りを感じ、モチベーションが上がるのです。

    一般市場に流通されるため、既存の取引先だけでなく、新規の取引先にも自社の存在を知ってもらう機会となります。

    くわえて、会社の存在を知ってもらうという意味では、採用面でも効果が期待できます。会社の出版物を読んで入社いただくことで、帰属意識が高まり、採用後の定着率向上にも寄与します。

    自社では自分たちが把握できる範囲で、社員や取引先に書籍を配布して読んでもらうことも可能です。

    出版物は著作権も企業に帰属するため、書籍内のコンテンツは会社のホームページ等で二次利用することもできるので、活用の幅はとても広いのです。

    ▶企業の出版については、関連記事【企業の自費出版を考えるーー効果的な戦略の組み立て方と出版社の選び方】もあわせて参考にしてください。

    50年、100年と未来に存続していくために周年事業は超重要

    以上のように、周年事業は企業のこれまでとこれからの立ち位置を再認識して、関係各所との関係性を強化するためにとても大切です。

    これまでの会社の歴史を振り返り、今後のビジョンを社内外に発信することで会社はさらに成長することができます。

    周年事業は企業の一大イベントです。周年のタイミングの1年前〜2年前に準備を開始する企業も多く、その期間を利用して入念に準備をしていきましょう。

    参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから

    執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイゼネラルマネージャー)

    福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経営法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を歴任し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。

    企業のブランド価値向上のために、出版という手段を選択する経営者は増加傾向にあります。

    今回は数ある出版マーケティングの事例から、会員制ビジネスやFCビジネスを展開している企業の成功パターンを紹介します。

    企業が取り組む書籍出版とは

    近年、企業経営者が書籍を出版するケースが増えています。

    一部のメディアに多く出演している著名人でない限り、ほとんどが印税目的で出版はしていません。

    経営者の出版は、自社のブランディングや広告宣伝を目的としているのです。

    企業側のメリットは書店に書籍が並ぶことによる広告効果や、出版をきっかけにメディアに取り上げられるなどの副次的効果にあります。

    出版効果は数字では測りきれない様々な効果が同時に生まれます。そのため、拡大フェーズにあるタイミングで検討する企業が多いのも自然な流れでしょう。

    考えられる出版効果としては以下のようなものがあります。

    ・すぐに顧客化につながる質の高い顧客の集客
    ・メディアに取り上げられることで自社の認知向上に寄与
    ・書籍制作を通して事業の棚卸しができる
    ・書籍が自社で活用できる営業ツールになる
    ・出版によりブランド価値が向上し採用面でも効果を発揮
    ・提携先など協力者が他社に紹介しやすくなる
    ・一過性の広告とは異なり一度出版することで長期的な広告効果が期待できる

    上記のようなメリットが同時にやってくるのは一般的な広告とは大きく異なる部分です。

    ある意味、1冊の書籍を出版することで、経営に革命が起きる可能性があるということです。

    ▶企業の書籍出版については、関連記事【企業出版のメリットとは? 企業が考えるべき出版による効果】もあわせて参考にしてください。

    企業出版と相性抜群な会員制ビジネスやフランチャイズビジネス

    企業出版は一種の広告施策のため、コストがかかります。

    企業としては費用対効果が気になるところでしょう。

    まずは会員制ビジネスとフランチャイズビジネス(以下、FCビジネス)の特徴を整理していきます。

    会員制ビジネスは会員数がカギ

    会員制ビジネスには、スポーツジムやレンタルショップが代表的です。ほか、会員限定のオンラインショップ、ネットワークビジネスなど様々な業種業態があります。

    近年では、AmazonプライムやNetflixといった会員制サブスクリプションサービスも隆盛を極めており、会員数を大きく伸ばしています。

    これらは個人情報を登録して会員になったユーザーに対して、有益なサービスを提供してマネタイズを図るビジネスモデルです。

    会員制ビジネスの大きな特徴は、会員数が増えるほど月額課金をはじめとした収益が増加するため、経営の安定化と増益を同時に実現できる点です。

    会員数を増やすことが一つの目的となるため、読者のファン化を促進できる出版は相性の良い宣伝手法となります。

    FCビジネスは共感性を得ることが重要

    FCビジネスは、フランチャイズの本部が展開しているビジネスの看板を借りて、加盟した団体や個人が同様のサービスを提供していく内容です。

    加盟店は本部が提供する看板やアイデア、商品などをそのまま使用することでビジネスが展開でき、売上の一部をフランチャイズ本部に支払うことで成り立っています。

    いわゆる「ロイヤリティ」と呼ばれる加盟金を支払うビジネス構造です。

    フランチャイズ本部目線でいえば、その事業を展開している理由や展望、メリットなどを発信して、ビジネスに共感してくれる加盟オーナーを増やしていく必要があります。

    理念の発信を行ない、共感を得ることで、そのFCビジネスのファン化を狙っていくという意味では会員制ビジネス同様に書籍出版が効果的になり得るといえます。

    会員制ビジネスやFCビジネスの具体的な企業出版事例

    ここまでで会員制ビジネスやFCビジネスの一般的な特徴を解説してきましたが、次にそれぞれの具体的な企業出版事例を紹介していきます。

    会員制ビジネス事例:新たな顧客層を囲い込みでき会員数が急増!

    会員制の投資助言サービスを展開している企業の事例を紹介します。

    代表者が株式銘柄をテクニカルに分析し、短期売買で儲かる株式投資の成功者。大型銘柄から中型銘柄まで株価の上昇が期待される銘柄を会員向けに情報発信するサービスを展開しています。

    もともとオンライン中心で発信を行なっていたため、シニア層や地方層へのアプローチに苦慮していました。また投資助言業という業種の印象から、顧客との信頼感を醸成しないとなかなか会員登録にまで誘導しづらいという課題もあったようです。

    しかし、企業出版で株式投資のノウハウ書籍を全国展開したところ、販売好調によりたちまち重版。結果的に2万部を超える部数を世に輩出し、書籍読者からの問い合わせが大幅に増加したといいます。

    問い合わせ数は出版前と比較して4倍。課題でもあったシニア層や地方の潜在顧客も書店やAmazonで書籍を購入したことで、著者への問い合わせのきっかけとなりました。

    書籍出版をきっかけに読者がファン化し、新規会員が大きく増加した成功事例といえるでしょう。

    FCビジネス:自社のノウハウを発信することでビジネスの認知度が向上!

    続いて、全世界で1万店舗以上を展開している高齢者向けの体操教室フランチャイズ企業の事例を紹介します。

    2005年に日本に上陸し、FCビジネスで店舗数は780店鋪まで拡大。2010年にFC店舗のさらなる増加を目的に書籍出版を実施しました。

    50歳以上の女性をターゲットにして「体が変われば気持ちも人生も変わる」のキャッチコピーで販売したところ、発売1ヶ月で発行部数3万部を達成。

    書籍出版をきっかけに、自分でも体操教室をオープンできると希望を持ってFCオーナーとなった女性が急増し、発売から4年後の2014年には店舗数が1500店鋪を突破しました。

    現在は2000店舗を超え、会員数は86万人を誇るFCビジネスが展開できており、2020年3月には東証一部に上場。

    書籍出版をきっかけに、潜在的なFCオーナーだけでなく、一般層にも企業の取り組みを広めることができ、さらなる事業拡大に大きく貢献しました。

    潜在顧客との信頼関係を構築しファン化を実現させよう

    以上のように、会員制ビジネスやFCビジネスの企業出版は広告手段としてとても有益です。

    ビジネスとしての優位性や独自のノウハウを発信することは、「自分も同じように成功したい!」という意欲をかき立てるきっかけとなります。

    私たちフォーウェイが書籍出版をプロデュースした会員制ビジネスを展開している企業様は、出版直後にAmazonで購入が殺到しカテゴリ1位を獲得。さらなる会員獲得に大きく寄与しました。

    今後の新規会員やFCオーナーを開拓するにあたり、書籍出版という手段を検討するのも一つの手かもしれません。

    参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから

    執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイゼネラルマネージャー)

    福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経営法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を歴任し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。