自費出版とは?メリットやデメリット、費用相場、成功事例などを解説

書籍を出版する方法は、大きく自費出版、商業出版、企業出版の3つに分けることができます。

本記事では、3つの出版方法の中で、自費出版とはどういうものなのか、そしてメリットやデメリット、費用相場、成功事例などについて詳しく解説します。

目次【本記事の内容】

自費出版とは?

自費出版とは、主に個人が自分の経験や考えを伝えたり、自分史をまとめたり、趣味の集大成としたりするために原稿を書き、それを出版社に依頼して書籍化する出版方法です。

出版費用は全て著者負担となりますが、売上や発行部数などにとらわれずに一冊の本としてまとめることができるのが特徴であり、魅力と言えます。

収益を得るためではなく書籍化すること自体が目的の出版方法です。

また、個人ではなく企業経営者などが原稿を書いて自費出版するというケースもありますが、この場合も名刺代わりに配るためなどであり、書籍化することに重点が置かれます。

自費出版、商業出版、企業出版それぞれの特徴について、以下の表に分かりやすくまとめました。

出版方法 特徴
自費出版 主に個人が、自分の経験や考えを伝えたり自分史をまとめたり趣味の集大成とするために、自分で書籍の内容やデザイン、発行部数などを決めて出版する方法。

書籍の出版費用は著者が全額負担し、初版発行部数は100部~500部程度。

商業出版 出版社がヒット作をつくって利益を上げるために、書籍の企画や内容などを決めて出版する方法で、積極的にプロモーションを行う。

書籍の出版費用は出版社が全額負担するのが一般的で、初版発行部数3,000部~10,000部程度。

企業出版 企業や企業経営者がブランディングや信頼性向上、集客などの経営上の課題を解決するために書籍を出版する方法。

書籍の出版費用は企業が全額負担し、初版発行部数は1,000部~10,000部程度。

商業出版との違い

商業出版とは、出版社と著者が協力して書籍を出版する方法です。

出版社が書籍の企画をして著者を選定し、書籍がたくさん売れるような内容にして積極的にプロモーションを行うのが特徴です。

実際に世の中で実際にベストセラーとなった書籍のほとんどは商業出版によって出版されたものです。

ヒット作を作って出版社が利益を上げることが商業出版の目的なので、出版費用は出版社の全額負担になります。

また、出版社の企画に協力した著者には、販売・印刷部数に応じて決められた割合で印税が入ります。このように、著者に報酬が支払われることも商業出版の大きな特徴の1つであり、自費出版や企業出版との違いです。

一方で、商業出版の場合は、著者の伝えたいことよりも出版社側の意向が優先されるので、著者の言いたいことが書けなかったり、修正されたりすることがあります。

自費出版のように、著者が伝えたいことを自由に書けるわけではないという点も商業出版の大きな特徴であり、違いの1つと言えるでしょう。

▶商業出版については、関連記事【商業出版とは?企業がブランディングを考えたときの出版の選択肢】もあわせて参考にしてください。

企業出版との違い

企業出版とは、企業や企業経営者が自社のブランディングや信頼性向上、集客などの経営上の課題を解決するための手段として使われる、出版方法です。

出版費用は企業や企業経営者である著者が全額負担するので、この点では自費出版と同じです。そのため、自費出版とよく混同されがちですが、次のように出版する目的が大きく異なります。

  • ・企業出版の目的:【課題解決】企業のブランディングやマーケティングの課題解決
  • ・自費出版の目的:【出版】自分の書きたい内容を本として出す
  • ・商業出版の目的:【利益】売れる本を作り、売上をあげる

企業出版は課題解決が目的であるため、その費用の中には、出版社が行う企画、編集、デザイン、校正、書店への流通、プロモーションなどの費用が含まれています。

そのため、自費出版よりも費用は高額です。

自費出版の費用相場はどれぐらい?

自費出版の費用は、出版する書籍の形式(単行本、文庫、写真集など)や判型、出版部数、紙質、含まれるサービスなどによって変わってきます。費用相場には幅があり、約100万円〜1,000万円程度です。

他の出版方法の費用相場と比べると次のようになります。

出版方法 費用相場
自費出版 100万円~1,000万円程度(一般的なのは251万円〜600万円程度)
商業出版 0円(出版費用は出版社が負担するため)
企業出版 400万円~1000万円程度

自費出版する際にかかる費用の項目としては次のようなものがあります。

  • ・企画費
  • ・執筆費
  • ・編集費
  • ・写真・イラスト費
  • ・デザイン費
  • ・校正・校閲費
  • ・印刷・製本費
  • ・プロモーション費

執筆費は、クオリティの高い書籍にするためにライターに執筆を依頼する場合に発生する費用です。

また、写真・イラスト費は、写真集などを自費出版する際の写真撮影や書籍の中にイラストを入れたりする場合に必要となります。

プロモーション費は、出版社の営業力を使って広告宣伝を行う場合に発生する費用です。

たとえば、写真やイラストを自分で用意したり、自分で執筆したり、プロモーションなどを自分で行うなどをすれば、費用はその分安くなる可能性があります。

自費出版の費用対効果

自費出版する際の費用対効果に関して、ポイントとなるのは出版目的と書籍のクオリティです。

とにかく書籍にして出版することが目的なのであれば、そもそも効果を期待する必要がありません。

しかし、セルフブランディングという目的がある場合は、その目的を達成するためにどの程度の書籍のクオリティにするのが最適なのかを考えなければなりません。

また、販売数をある程度伸ばして印税収入を得たいという目的があるのであれば、クオリティを上げるのに加えて、出版社の販路などを利用してプロモーションを行うことも必要となり、相応の費用がかかります。

このように、自費出版の場合の費用対効果は、その出版目的に応じて変わってきます。

【参考】企業出版の費用対効果

企業出版は、自費出版と同様に著者が出版費用を全額負担する出版方法ですが、自費出版との違いは明確な出版目的があることです。

企業の宣伝・PRや問い合わせによる成約率の向上などの目的があるのであれば、ターゲットの設定とそのターゲットに書籍を購入してもらうためのプロモーションが必要となります。

そういった目的を見据えて書籍の企画や出版を行うため、企業出版に成功すると出版費用などを上回る大きな利益が期待できます。

実際に企業出版によって経営課題を解決した2つの事例を紹介します。

企業出版事例①:読者からの反響により出版から2ヶ月で6億円の売上達成

これは、ある不動産投資会社の企業出版事例です。

出版前は、Web広告による新規顧客の集客はほとんどなく、紹介のみに頼っていたそうです。

また、見込み顧客との信頼関係の構築などにかなりの時間が必要で、成約までのリードタイムが長いことが課題となっていました。

そこで、年収は多いものの税金も多いという悩みを抱える医師をターゲットとして「節税対策に不動産投資が効果的」という内容の書籍を発売。

出版社の販路を利用して、主に一都三県や大阪府、福岡県を中心に書店への流通・配本を実施しました。

出版後、多くの読者である医師から問い合わせがあり、出版から2ヶ月で6億円の売上を実現しています。

問い合わせのほとんどは不動産投資に関心のある読者からの反響が中心で、成約までのリードタイムが短縮でき、営業効率の向上にもつながっています。

企業出版事例②:出版記念のイベントを開催し企業の認知度が向上

これは、わさびの製造・販売会社の企業出版事例です。

出版前は、自社で製造・販売しているわさびの魅力に関する顧客へのアピール不足が課題で、同業他社との差別化も不十分だという認識がありました。

そこで、料理に関心のある30代~40代の女性をターゲットとして、わさびの効能や歴史、レシピを収録した書籍を出版。

また、出版後に本社がある名古屋の書店で、書籍へのレシピを提供してくれた料理研究家とのコラボレーションで出版記念のトークイベントを実施したところ、当日はイベント会場が満員御礼となり書籍を50冊以上売り上げるなど大盛況となりました。

その後、出版をきっかけに平均聴取者数20万人の全国放送のラジオ番組から2週連続の出演依頼があるなど、書籍を出版したことにより、企業の認知度向上や売上向上につながりました。

自費出版のメリット

自費出版のメリットとしては次のようなものがあります。

自分の企画や内容、デザインで本が出版できる

自費出版の最大のメリットは、自分の思い通りの本を作ることができることです。

自分自身で企画をして、本の内容もデザインも自由に決めることができます。

一方、商業出版の場合は、企画を出版社が行うため、著者が書きたいことを書くことはできません。企業出版も、マーケティングやブランディングが目的であるが故の制約があり、自分の自由に本を作ることは難しいと言えるでしょう。

しかし、自費出版であれば、著名人ではない一般人であっても、自分の人生をまとめた自分史を出版したり、趣味の句集や詩集を出版したりして、個人的な活動を知ってもらうために書籍を出版することができてしまいます。商業出版や企業出版などに比べて制約が少なく、自由に自分の本を出版できるのが自費出版の魅力なのです。

なんでもアリではない。薬機法や景品表示法などには注意!

ただし、自費出版であってもなんでもアリというわけではありません。

たとえば、本の内容によっては薬機法(旧:薬事法)や景品表示法に抵触する可能性もあります。該当する場合は、出版社や専門家に相談したり、専用のチェックツールなどを利用して法に抵触しないように注意しましょう。

▶薬機法(旧:薬事法)については、関連記事【薬機法(旧:薬事法)とは?違反せずに広告・PRする7つのポイントを分かりやすく解説】もあわせて参考にしてください。

出版実績が自分で作れる

自費出版の場合は、著者の都合によって好きなときに好きな内容の本を出版することができます。

つまり、自分の出版実績は自分で作ることができるのです。

たとえば、あるセミナーを開催したとしましょう。

出版実績のある講師の方が、セミナーの参加者から「信頼できる」と感じてもらいやすくなります。このように、自費出版はセルフブランディングにつながります。

また、名刺代わりに配ることで、相手に「出版したことのある人なんだ」と強く印象づける効果も期待できます。

このように、簡単に自分のビジネス上のブランディングができてしまうのも自費出版ならではのメリットの1つです。

出版後は書籍が著者の著作物になる

書籍の著作権は出版費用の負担者に帰属します。そのため、自費出版の場合は著者の著作物になります。

商業出版の場合には、出版費用を出版社が持つため、いくら著者と言えども無許可で内容を使うことはできませんが、自費出版の場合には、著作権が著者にあるため、書籍の一部を抜粋した冊子を作ったり、Webやブログなどに転載したりすることも自由に行うことができます。

自費出版のデメリット・リスク

自費出版のデメリットやリスクとしては次のようなものが挙げられます。

出版費用が全額著者負担なため、高額になりやすい

自費出版の場合、出版費用は全額著者負担となります。

出版費用は、自費出版の依頼先によっても異なりますが、大手出版社の自費出版部門はサポートが手厚い一方で費用は高額になりがちです。

出版後のプロモーションなどが行われないことが多い

自費出版の場合、出版後のプロモーションが行われないケースが多いと考えておきましょう。

大手出版社の自費出版部門などに依頼する場合は、プロモーション費用を支払えばオプションとして行ってもらえますが、期待通りのプロモーションを行ってもらえるのかは出版社次第です。

プロモーションを依頼する場合は、事前にどのようなプロモーションを行ってもらえるのかを確認しておくことをおすすめします。

出版後の流通を行ってくれないことが多い

自費出版の場合、出版後の流通も行ってくれないことが多いと考えておきましょう。

プロモーションと同様に、大手出版社の自費出版部門などに依頼する場合は、書店流通費用を支払えばオプションとして行ってもらえますが、商業出版や企業出版のように積極的には行ってもらえないと思っておきましょう。

流通を依頼する場合も、事前に出版社に「流通をどれぐらい行ってもらえるのか?」「流通の方法は何か?」などを確認しておくことをおすすめします。

なぜなら、書店を訪れた方が全く足を運ばないような自費出版専門棚に1冊置いてあるだけで「流通している」と謳う出版社も実際に存在するためです。

自費出版を行う場合には、その点に十分警戒しましょう。

自費出版を行う際の注意点

自費出版は費用さえ捻出できれば、誰でも出版することが可能です。

そういったハードルの低さ故に注意しなければならないことがいくつかあります。

自費出版が最適な方法なのかを慎重に検討する

個人や企業・企業経営者が出版を行う場合に、自費出版が最適な方法なのかを慎重に検討する必要があります。

たとえば、企業経営者が個人的に名刺代わりに書籍を配ったり、個人のセルフブランディングをしたりするのが目的であれば、自費出版がおすすめです。

自費出版の目的は、著者のこれまでの経験や考えを書籍の形にまとめることにあり、自分史や回顧録などのように自身を振り返る手法に向いています。

その他に、個人的に創作してきた小説や俳句、詩などを自分の成果として1冊の書籍にすることもできます。

一方、企業や企業経営者が、自身の事業やビジネスのブランディングや宣伝・PRを目的として出版するのであれば、企業出版がおすすめです。

なぜなら、企業出版のサービスは書店への流通力や営業力を持った出版社が提供していますので、これらを利用して全国の書店で販売されるからです。

企画段階で書籍を購入してくれるターゲットを設定して、ターゲットの目に留まるような書店の書棚に並べることができます。

このように、著者の目的によって自費出版、企業出版どちらが良いかが変わってくるので、今一度慎重に考えてみましょう。

参考までに、自費出版と企業出版の目的別のおすすめの人は次表の通りです。

出版方法 こんな目的を持つ人におすすめ
自費出版 名刺代わりに自分の書籍を配りたい企業経営者や個人のセルフブランディングをしたい人など
企業出版 自身の事業やビジネスのブランディングや宣伝・PRをしたい企業や企業経営者など

信頼できる出版社を選ぶポイント

自費出版ができる出版社はたくさんあります。

そのため、中には思ったようなサポートをしてもらえない出版社や、価格だけ高いような出版社があるのも事実です。

自費出版は費用が高額なので、失敗しないためにも、信頼できる自分に合った出版社を選ぶ必要があります。出版社選びで押さえておくべきポイントとして、まず、ホームページなどで自費出版を行っている出版社かどうかを確認します。

自費出版を取り扱っているのであれば、出版社としての歴史や実績がしっかりしているのか、代表や社員がどのような経歴や実績を持っている人なのかについても確認しましょう。

そのうえで、実際に営業担当者と打ち合わせをして自費出版に必要な費用や期間などについてヒアリングをして見積もりを依頼します。

また、自費出版の場合は、発行部数や紙質の選び方などによって見積金額が変わってきますし、提示された見積金額以外に追加費用が発生する可能性もありますので、この点についてもきちんと確認しておく必要があります。

営業担当者が信頼できるかどうか?

営業担当者と打ち合わせしたり見積もりを依頼したりする際に注意したいのは、その営業担当者が信頼できる人物かどうかということです。

たとえば、見積書の内容を詳細に説明しなかったり契約を急がせたりするような場合は要注意と考えた方が良いでしょう。

「社員は会社の顔」とよく言われますが、自費出版の場合も、営業担当者の対応がよく信頼できる場合は、良い出版社である可能性が高いです。

「営業担当者が信頼できる人なのかどうか?」はしっかりとチェックしておきましょう。

原稿のチェックやアドバイスをしっかりと行ってくれるかどうか?

見積もりを依頼する際に、営業担当者や編集者と打ち合わせをすることになりますが、その際に企画内容や原稿などのチェックやアドバイスをしっかりと行ってくれるかどうかもチェックポイントの1つです。

営業担当者には売上ノルマが課せられている場合があり、自分のノルマを稼ぐために契約させるようなケースもあります。

また、営業担当者や編集者が適切な原稿チェックやアドバイスをするだけの経験がないというケースも考えられます。

印税や儲けを目的にしない

世の中には、自費出版からスタートしてベストセラーになった書籍が実際にあります。

たとえば、夏目漱石の「こころ」、島田洋七の「佐賀のがばいばあちゃん」、山田悠介の「リアル鬼ごっこ」などが有名ですが、これは非常に稀な事例です。

よく、自費出版の営業などの際に語られるこういった事例を真に受けないようにしましょう。

基本的に、自費出版の場合は印税で儲けるというようなことを目的とするべきではありません。

内容は自分でよくチェックする

自費出版の場合も出版社で編集や校正をやってくれますが、その分だけ費用が発生するので注意しましょう。

基本的な誤字脱字や表記ゆれのチェック・修正などの校正作業は出版社に依頼する必要がありますが、最小限の費用で収まるように自分でよくチェックする必要があります。

適切な発行部数を選択する

自費出版の費用は全額著者が負担しますので、発行部数も著者が自由に決めることができます。

発行部数が増えると1冊あたりの単価は安くなりますが、出版費用は高くなります。

自費出版の書籍が余ってしまっても困りますので、適切な発行部数を選択するようにしましょう。

自費出版の流れ・出版までにかかる期間

以上、自費出版の費用や特徴、さらには出版社の選び方まで詳しく解説しました。

自費出版でも企業出版でも、自分のニーズを満たしてくれる出版社なのかどうかはとても重要です。

費用が安いに越したことはありませんが、「安かろう悪かろう」に当たらないためには契約前に出版社の営業担当者と綿密にやり取りをし、懸念を払拭しておくことです。

見積もり

書籍の企画が決定すると、出版社が見積もりを行います。

見積もりに際しては、金額を大きく左右する条件などについて双方でよく確認しておく必要があります。

また、この段階で見積もり以外にどのような費用が発生する可能性があるのか、についても事前に聞いて把握しておくことが重要です。

出版業界には専門用語も多く、業界ならではの常識も多いので、結果的に自分で想定していた金額よりも大幅に高くなってしまった、などのトラブルもよくあります。十分に注意しましょう。

申込・契約

出版社から提示された見積金額や条件に納得できた場合は、出版の申し込み・契約となります。

費用の支払いについては、「全額前払い」「着手金+校了時に残金」など出版社によって異なるので、契約前によく確認しておきましょう。

また、自費出版の場合の著作権は著者に帰属しますが、この点も事前に確認が必要です。

原稿・デザイン作成

契約が終わると、著者は原稿作成と写真やイラストなどの準備をします。

原稿や写真・イラストなどの素材が揃ったら、出版社の編集者からアドバイスをもらい必要に応じて修正をします。

原稿や写真・イラストなどの素材の準備に必要な期間は約2週間~6か月です。

原稿が完成後、デザイナーが表紙や紙面のデザインやレイアウトを行います。

デザイナーからの提案によって、原稿の加筆や減筆、写真やイラストの見直しなどが発生することがあるので、デザインやレイアウトに必要な期間は、2週間~1か月です。

校正・校閲

デザインが終わった初校を紙やPDFに出力して、校正を行います。

イメージ通りのデザインになっているか、誤字脱字や表記ゆれはないか、写真やイラストの見え方は適切か、などについて校正と修正を繰り返します。

また、校閲を行い事実関係に誤りがないことなどを確認(ファクトチェック)していくので、校正・校閲に必要な期間は、2週間~1ヶ月程度です。

印刷・製本・納品

校正が終わると、出版社から印刷会社に書籍のデータが送られますが、これを入稿といいます。

印刷会社から実際の本に近い紙やインクを使って印刷した色校正が提示されるので、インクのノリ具合や写真の色味を確認して、必要に応じて調整を依頼します。

色校正が終わったら、契約部数の書籍が印刷・製本されて納品、と言う流れです。

印刷・製本に必要な期間は、約1ヶ月です。

自費出版の成功事例

ここでは自費出版の成功事例について紹介します。

しかし、前述の通り、そもそも自費出版が書籍を出版することが目的だったり、名刺代わりに知人に配りたいという目的、セルフブランディングに活用したいという目的、ベストセラーで印税収入を得たいという目的まで千差万別ですので、何をもって「成功」というかは人それぞれです。

1つ目の成功事例は、自費出版をきっかけに新聞や週刊誌などに取り上げられて話題となり、テレビ番組などへの出演オファーが殺到したというケースです。

その書籍はビジネス書だったので、書籍の売上部数の大幅アップにはなりませんでしたが、その後も講演依頼や執筆物の依頼が増えて、専門家としての認知度も向上しました。

2つ目の成功事例は、自費出版をきっかけとしてラジオ番組を担当することになったものです。

たまたまその書籍を読んだラジオ番組の関係者が、番組制作の担当者に話をして、トントン拍子に1つのラジオ番組を担当することになりました。

大きなビジネスチャンスにつながったというような成功事例ではありませんが、著者としては自身の専門性を認めてもらえて、より多くの人に自分の意見や考えを伝える場をえることができ、セルフブランディングにつながりました。

自費出版は出版目的を持つが大切

自費出版はただ出すだけではなく、「何のために出すのか?」という出版目的をしっかりと持って行うことが重要な出版方法です。

出版目的が明確であれば、100万円程度の安い自費出版サービスでも最高の満足度を得られる場合もあります。

しかし、一方で高額な自費出版サービスを使ったからと言って自分にとって最高の満足度が得られるとは限りません。

「あれだけ、高額な費用を使って、できたのがこれか・・・」と後悔してしまうケースもあります。

そのため、もし今みなさんが自費出版を考えているのであれば、自分自身に「何を目的に出版するのか?」を問いかけて、明文化してみてください。

とにかく書籍化するのが目的であれば、安価なサービスでも問題はないでしょう。

しかし、他の目的であれば、今一度出版社の人と本当に自分に適した出版方法は何なのかを相談してみましょう。

自費出版は出版目的を持つが大切

本記事では、自費出版とはなにか、メリット・デメリット、費用相場、成功事例などについて解説しました。

自費出版は、著者が自由に本の内容を決めることができるので、名刺代わりに配ったりセルフブランディングをしたりするのには最適な方法です。

しかし、著者自身の事業やビジネスの宣伝・PRやブランディング目的の場合にはあまり効果が期待できません。

なぜならば、出版社によるプロモーションなどがないため、多くの顧客に購入してもらうことができないからです。

自分自身が行っている事業やビジネスをより拡大していくための宣伝・PRやブランディング、マーケティングが目的ならば、企業出版や企業出版を活用して問い合わせにつなげるブックマーケティングという手法を検討してみてください。

▶ブックマーケティングについては、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。

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執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)

福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経営法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を歴任し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。

コンサルティングサービスは、顧客側からすると費用対効果が分かりづらい代表的なビジネスの1つです。

そのため、どんな素晴らしいサービスを提供しているコンサルタントであっても、実績や知名度がない状態では、依頼してもらえるまでのハードルが高く、なかなか成約に至らないのが現実です。

もっと言えば、実績や知名度がなければ、見込み顧客の集客も難しいのが実情です。

このように、コンサルタントで集客に関する悩みを抱えている方は、意外と多いのではないでしょうか。

本記事では、集客できないと悩むコンサルタントが、見込み顧客との信頼性を獲得し、効率的かつ効果的に集客できる手段を詳しく解説します。

目次【本記事の内容】

コンサルタントの集客が難しい理由

コンサルタントの集客が難しい最大の理由は、サービス内容などの分かりにくさにあります。

そういった分かりにくさを払拭することができずに、次のような理由で集客に苦戦しているコンサルタントが多いようです。

自分の強みをうまく発信できていない

少しでも多くの仕事が欲しいコンサルタントは「どんなことでも相談に乗ります」というアピールをしがちです。

これは、特に独立したばかりのコンサルタントに多く見られる傾向です。

これは「顧客からのどんな依頼にも応えて多くの受注を獲得したい」と考えてのことですが、そのことがかえってコンサルタント本人の狙いとは逆に集客を難しくする一因になっています。

実際に依頼する顧客側の視点で考えると、何が専門なのかが分からず、「依頼しても的確なアドバイスが得られないかもしれない」と思って依頼しにくいのです。

たとえば、自社のIT情報システムに課題があることが分かっているときには、「何でもサポートできます」というコンサルタントよりは「IT分野ならお任せください」というコンサルタントを選ぶのではないでしょうか。

もっと言えば、「IT情報システムの見直しや再構築ならお任せください」とより具体的にアピールしているコンサルタントの方が「この人にお願いしたい」と思ってもらいやすくなります。

主なコンサルタントの専門領域としては、経営、業務改善、IT、マーケティング、財務、人事、事業再生などがあります。

自分がどの分野に強く、かつ顧客にどのようなメリットをもたらすことができるのかを明確に発信していくことが重要です。

見込み顧客に向けての信頼性の欠如

コンサルタントが見込み客に自身のサービスをアピールしたとしても、簡単には信頼してもらえません。

なぜなら、コンサルタントは肩書きだけで信頼されるような職種ではないためです。

コンサルタントには、弁護士や税理士などのように公的な資格などがありません。

極端に言えば、コンサルタントと名乗れば誰でもなれてしまう職種であり、肩書きだけでは信用されにくい職種です。

そんな中で、見込み顧客の信頼を獲得するためには、自身のこれまでの経歴や、コンサルティング実績、それに代わるエビデンスを明確に示していく必要があります。

それがコンサルタントの集客を難しくしている要因の1つです。

知名度やブランド力の不足

コンサルタントの知名度やブランド力が不足している場合も集客が難しくなります。

なぜなら、知名度やブランド力が不足していると、どんなに高品質なサービスを提供していたとしても、顧客側の依頼候補先として上がりにくいためです。

たとえば、「SEOコンサルタント」とネットで検索した際に、せいぜい担当者が見るのは検索結果の2〜3ページ目程度です。

もし8ページに表示されていたとしても、見てもらえないでしょう。

このように、知名度やブランド力が不足していると、どんなに良いサービスを提供している優秀なコンサルタントでも、顧客側の候補先としても上がりにくくなります。

どうしても知名度やブランド力の強いコンサルタントに依頼が集中してしまい、それらが不足しているコンサルタントに依頼が来にくい、というのも集客が難しいと言われる要因の1つと言えるでしょう。

集客につながるマーケティング手法が打てていない

コンサルタントが効果的なマーケティング手法を実施していない場合も、集客は難しくなります。

なぜなら、コンサルティング業を営んでいる競合他社は数多くいるからです。

競合が多いため、マーケティングをすることなく集客ができるような業種ではありません(もちろん、例外もあります)。

たとえば、コンサルタントには、外部からの視点で経営課題を把握し、論理的に分析し、目標を達成するための解決策を示す能力が求められますが、コンサルティング契約を結ぶ時点ではその能力を持っているかどうかは分かりません。

ホームページやコラム、SNSなどでの発信情報、セミナーでの講義内容などから、信頼に足るコンサルタントであることが確信できなければ、相談をしてもらうことはもちろん成約に至ることはありえません。

そのため、コンサルタントにとって、マーケティングは集客を行う上で必要不可欠なものであることを認識しておく必要があります。

コンサルはまずクライアントを知ることから

集客につながるマーケティング施策を検討するためには、見込み顧客がどうやってコンサルタントを探すのかを、まず知ることからです。

なぜなら、顧客企業のコンサルタント選定がどのように行われているのかを知らずに、マーケティング施策を考えることはできないからです。

一般的にコンサルタントは、次のような過程を踏んで選定されます(あくまで一般例です。例外もあります)。

  • 1.社内に経営課題が見つかり、外部の視点を入れた解決の必要性が生じる
  • 2.その経営課題に対応できるコンサルタントを探す
  • 3.対応可能な複数のコンサルタントの実力や課題解決能力を知る
  • 4.対応可能な複数のコンサルタントを比較して依頼先を決める

このコンサルタントの選定過程からわかることは、まず最初の「コンサルタント探し」の段階で「自分の存在に気づいてもらうこと」、すなわち「認知してもらうこと」の重要性です。

また、そもそも見込み顧客はなぜコンサルタントに社内の課題解決を依頼しようとするのかについても知る必要がありますが、それは次の3つに集約することができます。

  • ・第三者視点からの客観的な評価や分析
  • ・課題解決のスピードアップ
  • ・課題解決能力や知識、ノウハウの習得

このように、見込み顧客がどのような時にコンサルタントへの依頼を検討し、どのようなプロセスで選ぶのかは、最低限知っておくべきことと言えるでしょう。

コンサルが集客施策を実行するときの心構え

ここからは、コンサルタントが集客施策を実行する際に、心がけておきたい3つのポイントについて解説していきます。

相談しやすい受け皿を作る

コンサルタントは、そもそも見込み顧客側にとってサービス内容や専門性、経歴や実績などが分かりづらい職種です。

見込み顧客にとって相談ハードルが高くなりやすい職種とも言えます。

そのため、見込み顧客が相談しやすい仕組みを作り、相談ハードルを下げることを心がけていく必要があります。

たとえば「集客コンサルタント」であれば、「企業の広報担当者向けのSNS集客セミナー」「企業の広報担当者向けのブログ集客セミナー」など、ターゲットを絞り込んだ具体的な無料セミナーを企画するなどです。

そういったセミナーに集まった方々に、無料相談などのサービスを提供し、お悩みを聞いた上で解決策を提案していきます。

このように、「集客のことならなんでも相談ください」というスタンスではなく、「自分が顧客側だったら」という視点で、顧客が相談しやすい仕組みを構築していく必要があります。

人脈(ネットワーク)を作る

コンサルタントは、見ず知らずの第三者からの依頼ではなく、知人からの紹介など人とのネットワークを介した相談や仕事の依頼が最も多いと言われています。

そのため、まずは自分の人脈をフルに活用して集客を図ることが大切です。

顧客側からすれば、全く知らない人よりも、信頼できる友人や知人に紹介してもらった人の方が、相談しやすいものです。

また、「友人や知人が紹介してくれるコンサルタントだから」と信頼も得やすくなります。

コンサルタントとして集客に困っている方は、Web広告やSNSなどに目が向いてしまいがちですが、人脈を活用した方が早く確実に成約につながりやすくなります。まずは「人脈を活用して集客ができないか」を考えてみましょう。

過去に勤めていた会社の同僚や、その際に知り合った知人など既存のネットワークを大切にしていくことはもちろん、異業種交流会や勉強会、各種セミナーなどに顔を出すことで人脈を広げることができます。

また、このような場で自分の強みや得意分野について紹介して、認知度を上げるようにしましょう。

フォローアップを忘れない

コンサルタントの中には、実績を上げるために新規顧客の獲得にばかり熱心な方がいます。

しかし、既存の顧客のフォローアップも忘れずに行う必要があります。

なぜなら、リピーターになってくれたり、長期契約や顧問契約に発展したりして売り上げの安定化につながる可能性があるからです。

さらに、既存の顧客が知人を紹介してくれて新規顧客の獲得につながることもあります。

フォローアップにはいろいろな方法がありますが、たとえば定期的にメルマガやDMを発信して、有益な情報を届けるという方法が考えられます。

このように、既存の顧客一人ひとりにしっかりと応えてきめ細かに対応することが、経営の安定化や新規顧客獲得につながるということを忘れてはいけません。

コンサルタントに適した集客手段とは

集客する手段としては、多くの選択肢がありますが、職種によって向き不向きがあります。

ここからは、コンサルタントに適した集客手段をいくつかご紹介いたします。

ホームページ制作とコンテンツマーケティングを実践

コンサルタントの集客手段としてホームページの制作は必要不可欠です。

なぜなら、「依頼する前にまずはホームページを見る」という顧客が多いからです。

いくら良いサービスを提供していたとしても、「誰が提供するのか?」は誰でも気になるものです。特にコンサルタントのような、自身のビジネスにとって重要な助言をもらう存在であればなおさらです。

また、HPがあれば、コンテンツマーケティングを行うことが可能です。

コンテンツマーケティングにおいては、開設したホームページに自分の専門領域や実績を掲載し、加えて顧客にとって有益な情報をコラムなどの形で発信していきます。

これによって、自分の強みやノウハウなどが言語化されて顧客に伝わりますし、SEO対策を行うことによって、検索エンジンで検索結果の上位に表示されることも可能となります。

つまり、問い合わせや相談の機会が増加して、それに伴う成約率アップの可能性が高まるということです。

チラシやパンフレット、名刺のコンテンツ化

紙媒体のチラシやパンフレット、名刺をコンテンツ化して集客を図る方法もあります。

インターネットやSNSの時代だからこそ紙媒体のチラシやパンフレット、名刺を見込み客などに配布することは集客に効果的です。

チラシやパンフレット、名刺に経営理念、経歴、専門分野、コンサル実績などのブランディングを意識したコンテンツを掲載するなど工夫すれば、顧客から興味を持ってもらえる可能性があります。

また、自分自身が力を入れて発信している媒体(SNSやブログ、自社サイトなど)のQRコードを掲載するのも有効です。

SNSで自己PRと情報発信

SNSによる情報発信もコンサルタントの集客手段として有効です。

SNSで発信した情報は「いいね」や「シェア」「リポスト」などによって拡散されます。思わぬ人や企業に伝わって、認知や集客につながる可能性があります。

SNSで発信される情報の種類は千差万別なので、多くの情報の中に埋もれてしまわないように、独自性を持たせた専門分野の豆知識やTIPSなどを定期的に投稿することがコツです。

SNSの投稿は比較的気軽に行えることがメリットですが、ホームページのコンテンツと同様に手間がかかるという点や、集客できるまでには時間がかかる点には注意しましょう。

セミナーを開催

自分の得意分野や専門分野をテーマとするセミナーを開催することも有効です。

なぜなら、セミナーにはテーマに関心のある顧客が有益な情報を求めて参加しているためです。

また、そういった受講者と直接話をする機会を持つことができるのもメリットです。

受講者の中には、テーマに関心があるだけではなく、他にも具体的な課題を抱えた方がいる可能性もあり、コンサル契約に発展することも十分に考えられます。

自分の得意分野や専門分野に関するセミナーということもあり、自ずと自信にあふれた講義ができるので、ブランディングという点からも効果的です。

書籍を出版

自分の専門分野に関する書籍を出版し、全国の書店に流通させることも集客に有効な手段の1つです。

「書籍が持つ信頼性の高さ」は他のメディア以上です。そのため、書籍は自身のブランディングという点でも非常に効果があります。

また、書籍の情報量はホームページのコラムやチラシ、パンフレット、SNS投稿などよりも多いため、自分が顧客に伝えたいことを余すことなく掲載することができます。

ちなみに、一般的な書籍のページ数は200ページ程度で、文字数は7万~10万文字程度です。

紙媒体のA4判のチラシの文字数は1,000文字〜2,000文字程度ですから、書籍では比較にならないほどの情報を伝えることができることがわかります。

しかし、出版するだけではダメです。出版しても、ターゲットとなる見込み顧客に読んでもらえなければ意味がありません。そこで重要になってくるのが、ブックマーケティングです。

ブックマーケティングの重要性

コンサルタントが書籍を出版したとしても、単に自分が配るだけの名刺代わりの書籍で終わってしまっていては意味がありません。

書籍をマーケティングの一部として活用し、コンサルタント自身の強みなどを伝え、問い合わせなどの集客につながるような取り組みをしていく必要があります。

そこで重要になってくるのがブックマーケティングです。

ブックマーケティングは、書籍を単に出版社の販路だけではなく、あらゆる情報発信の手段を活用し、ターゲットとなる見込み顧客に届けて問い合わせなど、集客面で貢献させるマーケティング施策です。

ブックマーケティングを実施する際の重要事項について、以下で具体的に説明します。

事業ターゲットの理解と的確なアプローチ

ブックマーケティングを行う際には、書籍の企画段階からターゲットの明確化とアプローチ方法を決めておく必要があります。

つまり、出版する書籍を誰に読んでもらって、何を伝えるのかということを決めておき、さらにそのターゲットに確実に届けるためのプロモーションまでを想定しておくことが大切です。

効果的なコンテンツ戦略の立案と事例の紹介

書籍のターゲットと伝えたいことが決まったら、次は具体的なコンテンツを練り上げていく段階です。

編集者とともにターゲットの課題に寄り添うコンテンツを作り上げていきます。コンテンツの中に、自然な形で自分自身の実績もできるだけ事例として掲載していくことを心がけましょう。

書店でプロモーションを実践

書籍が完成すると、具体的なプロモーション計画を立てます。

ブックマーケティングの場合は、あくまで書籍はマーケティングのためのツールですから、確実にターゲットの目にとまる書店の書棚に並べて、書籍テーマに関心のある方やニーズのある方に購入してもらうようにしなければなりません。

ブックマーケティングのゴールは書籍を売ることではなく、書籍を読んだ見込み客の集客をはじめとして、ビジネスメリットを達成するための手段であることにあります。

書籍コンテンツを二次利用してSNSやWEBサイトを強化

ブックマーケティングで出版した書籍コンテンツは、著作権が著者にあるため、二次利用できます。

たとえば、書籍の一部をホームページのコラムやブログに掲載してSEO対策に活用したり、SNSで発信したりすることも可能です。

このように、書籍コンテンツをあらゆる媒体に活用し、マーケティング効果を最大化することができます。

営業ツールや紹介ツールとして書籍を活用

ブックマーケティングで出版した書籍を、営業ツールとして配布したりすることができます。

また、自分で配布する以外にも、見込み顧客や知人に配布しておくことで、思わぬ集客や相談につながる可能性があります。

書籍テーマでセミナーを開催

ブックマーケティングで出版した書籍のテーマでセミナーを開催することもできます。

書籍は全国規模で流通しますので、興味や関心のある見込み顧客や書籍の内容に共感した潜在顧客などが全国から参加してくれる可能性があります。

さらに、セミナー後に名刺交換会や懇談会を設けることによって、集客や具体的案件の相談などにつながる可能性があります。

▶️ブックマーケティングの詳細については、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。

コンサルタントのブックマーケティング成功事例

コンサルタントのような、顧客から依頼してもらえるまでのハードルが高く、顧客との信頼関係の構築が重要なビジネスを行っている方にとって、ブックマーケティングは相性の良いマーケティング手法です。

実際に、コンサルタントがブックマーケティングを行って集客に成功した事例を2件ご紹介します。

事例①:ターゲット特化してその道の専門家としてブランディング

建設業専門のコンサルタントの事例です。

この方は、自身の商圏での開拓はある程度行ってきていましたが、次のステージにすすむために、知名度の向上と商圏の拡大を狙って書籍を出版しました。

書籍のタイトルに「建設業のための」という文言を入れたことによって、狙い通りのターゲットにダイレクトにアプローチすることができ、さらには書籍の配本を首都圏中心に行うことによって「商圏の拡大」にもつながりました。出版の翌日から問い合わせが殺到し、複数件の顧問契約獲得につながっています。

このように、ターゲットに特化した専門家であることを世間に認知させ、ブランディングを行っていくために、ブックマーケティングは有効な手段と言えます。

通常、本は販売部数を増やすために、「できるだけ多くの人に読んでもらいたい」という意図でタイトル付けをするものです。今回の書籍であれば、「建設業のための」と入れることによって、ターゲットが一気に狭まってしまうため、販売できる可能性のある部数が減ってしまいます。

しかし、書籍を通じでどのようなブランディングを行っていきたいのか、の目的を企画段階で明確にしていたからこそ、書籍のタイトルに「建設業のための」という、ターゲットを狭めながらも狙った読者層からの集客をイメージした文言を入れる決断ができたのです。

このように、通常の出版とは違う考え方で、マーケティングのツールの1つとして企画し、出版していくのがブックマーケティングです。

事例②:得意分野をコンテンツ化してその分野のNo.1へ

日本では起業した会社の約6割が1年以内に廃業しているという現実がありますが、資金調達支援のコンサルタントである著者は「適切な融資の下、創業者が夢を実現できるように」という思いから書籍を出版しました。

書籍の中では、自らが立ち上げた会社が創業後3年間に8200万円の融資を受けて事業を軌道に乗せることができた実績を元に、中小企業でも高額の融資が受けられるという秘訣を公開。

自社が得意とするWebやSNSのコンテンツ化によって、問い合わせ件数が3~4倍に増加して受注件数が伸び、その結果、融資支援実績が日本一になりました。

このように、自身の強みや想いをしっかりとターゲットに届けることができるのもブックマーケティングならではのメリットです。

Web広告やSNSなどでいくら長文で伝えようとしたとしても、「パッと見てわかる」ことが重視されるネット媒体では、伝えられる情報量に限界があります。

しかし、書籍は違います。しっかりと長文が読まれる媒体です。特に内容がターゲットに刺さるものであれば、ネット媒体の比にならないほどの情報量を伝えることができます。

また、書籍を読んでもらえることによって著者や提供するコンサルティングサービスへの理解も深まり、顧客教育にもつながります。

結果として、読者は著者のファンになり、仕事の依頼をすること前提で問い合わせいただけるようなホットな信頼関係を作ることができるのです。

まとめ

本記事では、コンサルタントの集客が難しい理由やコンサルタントに適した集客手段について解説しました。

コンサルタントの集客手段にはいろいろありますが、成功事例でも紹介したようにブックマーケティングを利用した集客は相性抜群です。

コンサルティングの依頼をしてもらうためには顧客からの信頼を勝ち取ることが不可欠ですが、「書籍を出版したという事実」だけで社会的な信頼性は飛躍的に高まります。

また、ターゲットを明確にした書籍内容やタイトルなどによって、効果的なマーケティングが可能です。結果として相談件数や成約件数の増加が期待できるでしょう。

集客に課題をお持ちのコンサルタントの方は、ぜひブックマーケティングの活用を検討してみてください。

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執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

健康食品や化粧品、サプリメントなどの広告・PRに携わっている広告担当者や広報担当者にとって、薬機法(旧:薬事法)に関する知識は欠かせません。

薬機法(旧:薬事法)に違反する広告・PRを行ってしまうと、場合によっては罰金や逮捕などの厳罰が課せられることもあります。

そこで本記事では、まず薬機法(旧:薬事法)とは何かについて説明し、その後に薬機法(旧:薬事法)に違反せずに広告・PRするための7つのポイントについて分かりやすく解説していきます。

目次【本記事の内容】

薬機法(旧:薬事法)とはどんな法律?

薬機法(旧:薬事法)とは、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの品質と有効性、安全性を確保するために、製造から販売、販売後の安全対策までを規制する法律です。

この法律は従来「薬事法」と呼ばれていましたが、2014年(平成26年)に改正が行われて、名称が「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に変更されたため、これを略して「医療品医療機器等法」や「薬機法」と呼ばれています。

薬機法(旧:薬事法)の規制対象となるジャンル

薬機法(旧:薬事法)の規制対象となっているのは、主に以下のようなジャンルの商品・サービスです。

  • ・医薬品
  • ・医薬部外品
  • ・化粧品(コスメ)
  • ・医療機器
  • ・再生医療等製品

薬機法(旧:薬事法)の規制対象となる広告の3要件

1998年(平成10年)9月29日、厚生労働省は「医薬監第148号厚生省医薬安全局監視指導課長通知」において、「薬機法(旧:薬事法)の規制対象となる広告」とは、次の3つの要件をすべて満たすものであるということを示しました。

  • ・顧客を誘引する意図が明確である
  • ・特定医薬品等の商品名が明らかにされている
  • ・一般人が認知できる状態である

以下では、この3つの要件について詳しく見ていきましょう。

顧客を誘引する意図が明確であること

1つ目の要件は「顧客の購入意欲を昂進(こうしん)させる意図が明確であること」と言い換えることが可能です。

つまり、「商品を販売したい」という目的が明確にわかることが要件だということです。

この意味から、アフィリエイトリンクやインフルエンサーによるPR投稿などは、この要件を満たしているため、「広告」とみなされます。

逆に、学会などでの論文において「ある健康食品の効果」について発表したような場合は、「商品を販売したい」という目的で行われたものではないので、この要件を満たさず、「広告」とはみなされません。

特定医薬品等の商品名が明らかにされていること

2つ目の要件は、販売者(事業者や企業など)から消費者に対して行うアプローチを総合的にみて「広告」に該当するかどうかが判断されます。

たとえば、販売者(事業者や企業など)が消費者に「ある商品に含まれる成分の効果効能について説明されたチラシ」を送付した場合、このチラシは効果効能だけを説明しているので「広告」とはみなされません。

しかし、その数日後に「商品のチラシ」や「商品の購入案内」などを送付すると、総合的に判断して「広告」とみなされてしまうのです。

また、ホームページなどで「ある商品に含まれる成分の効果効能を説明するページ」と「商品の購入申し込みページ」が分かれている場合であっても」、「ある商品に含まれる成分の効果効能を説明するページ」から「商品の購入申し込みページ」へのリンクが貼られている場合には、「広告」とみなされてしまいます。

このように、単独のチラシやページだけでは「広告」に該当しない場合であっても、総合的に見て「広告」とみなされるということです。

一般人が認知できる状態であること

3つ目の要件は、「広告の3要件」の中で最も広く解釈されて運用されているものです。

そのため、この要件にはホームページ(HP)、LP、広告、SNS投稿、などほとんどすべての情報発信が該当します。

たとえば、2014年(平成26年)5月22日の厚生労働省の通知において、IDやパスワードを入力しないと入れないサイトであっても「一般人が認知できる状態」に該当するとされています。

薬機法(旧:薬事法)における広告・PR担当者が知っておくべき主な禁止事項

健康食品や化粧品、サプリメントなどの広告・広報担当者の頭を悩ませる薬機法(旧:薬事法)。

もちろん、専門家によるチェックや修正は重要ですが、担当者もある程度「これはダメ」「これはOK」と言った薬機法(旧:薬事法)の禁止事項などを事例とともに知っておいた方が良いと言えます。

そうすることで担当者である程度チェック・修正することができますし、薬機法(旧:薬事法)のチェックにかかる費用の削減や、ダブルチェックにもつながります。

薬機法(旧:薬事法)に該当するような商品・サービスの広告・広報担当者は、次に挙げるような「薬機法(旧:薬事法)における主な禁止事項」をぜひ知っておきましょう。

虚偽・誇大広告の禁止(過度な褒めや効果効能など)

薬機法(旧:薬事法)では、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの名称や製造方法、効能・効果、性能に関して、虚偽広告や誇大広告をすることが禁止されています。

具体的には、「過度な褒め」や「過度な効能・効果」などを謳った広告がダメということです。

実際に「ズタボロだった肝臓が半年で復活」という肝臓疾患の予防に関する誇大広告を行ったとして摘発された事例や、解毒成分であるグルタチオンを含む錠剤 (医療用医薬品)に「美白や日焼け予防などの効果がある」と宣伝して摘発された事例などがあります。

このように、「〜するだけで痩せる」「〜することで血圧が下がる」など自社の商品やサービスを使うことによって何らかの健康効果が得られる」といった表現をする場合には十分注意しましょう。

未承認の医薬品の広告の禁止

薬機法(旧:薬事法)では、未承認の医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの名称や製造方法、効能・効果、性能に関して広告することが禁止されています。

たとえば、「米国食品薬品局が認可した画期的な飲む育毛剤」と広告した事例がありますが、たとえ米国食品薬品局で承認されていた医薬品であっても、日本で承認されていないものの広告をすることはできません。

実際に厚生労働大臣の承認を受けていない医薬品である「スーパープラセンタ」を、肌の若返りなどを謳って宣伝・販売したとして摘発された事例もあります。

そもそも取り扱う医薬品がきちんと厚生労働大臣の承認を受けているものなのかを確認することも重要です。特に他社の商品を取り扱う会社の広報・広告担当者は注意しましょう。

他社商品の誹謗広告の禁止

薬機法(旧:薬事法)では、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの名称や製造方法、効能・効果、性能に関して、他社商品の誹謗広告をすることが禁止されています。

たとえば、「〇〇社の製品よりも良く効きます」や「他社製品より安全です」などの表現が該当します。

「他社製品より安全です」のように、他社や他社製品を明示せずに漠然と比較する場合でも、間接的に他社を批判しているとみなされて薬機法に抵触するおそれがあるので注意が必要です。

そのため、製品同士で比較広告を行う場合は、自社製品の範囲で行う必要があります。また、対象商品の名称を明示しなければなりません。

医療関係者等の推せんの禁止

薬機法(旧:薬事法)では、「医療関係者等」による推せんが禁止されています。

ここでいう「医薬関係者等」とは、医療や美容に関する国家資格や同等の資格を持っている専門家のことを言い、医師や歯科医師、美容師、理容師、鍼灸師、教授などが該当します。

これは、医師や美容師による推せんには影響力があり「効能・効果や安全性の保証」とみなすことができると考えられるからです。

たとえば、医薬品などの広告で、医師が「〇〇に効きます」というような表現をしている場合は「効能・効果を保証している」と誤解されるおそれがあるため禁止されています。

また、化粧品の広告で「美容師がおすすめします」というような推せん行為もNGです。

ただし、医師や美容師が監修した商品の広告において、「共同開発した事実」を記載することは問題ないとされています。

化粧品の効能・効果の範囲を超えた表記の禁止

薬機法(旧:薬事法)では、化粧品の広告においては効能・効果以外の表記が禁止されています。

たとえば、基礎化粧品の広告で「脂肪分解を昂進(こうしん)してセルライトの除去や皮膚の老化防止をする作用があります」と表現したところ、肌の機能そのものに関わる表現は化粧品の効能効果の範囲を超えているとして摘発を受けた事例があります。

化粧品の効能・効果の範囲については、厚生労働省が平成23年7月に発表した「化粧品の効能の範囲の改正について」で明確に56項目が指定されています。

たとえば、以下が化粧品の効能の範囲として許されている表現例です。

(1)頭皮、毛髪を清浄にする。
(2)香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。
(3)頭皮、毛髪をすこやかに保つ。
(4)毛髪にはり、こしを与える。
(5)頭皮、毛髪にうるおいを与える。
(6)頭皮、毛髪のうるおいを保つ。
(7)毛髪をしなやかにする。
(8)クシどおりをよくする。
(9)毛髪のつやを保つ。
(10)毛髪につやを与える。

引用元:厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」

また、「化粧品であれば上記どのような表現を使っても良い」という事ではなく、あくまでその化粧品に該当するもののみ使用可能となっているので、注意しましょう。

薬機法(旧:薬事法)に違反すると重い罰則を受ける可能性があるので注意

薬機法(旧:薬事法)に違反した場合は、業務停止や課徴金納付などの重い罰則を受ける可能性があるので注意が必要です。

以下では、具体的な罰則の内容などについて説明します。

「措置命令」や「中止命令」が下される

薬機法(旧:薬事法)に違反した事業者や企業に対しては、厚生労働大臣や都道府県知事から違反行為の中止や排除、再発防止策の実施を命じる「措置命令」や「中止命令」が下されることがあります。

なお、未承認の医薬品や医療機器の販売をした場合は、刑事罰の対象となる可能性もありますので、十分な注意が必要です。

売上に対する課徴金が課せられる

薬機法(旧:薬事法)に違反して虚偽や誇大広告を行った事業者や企業に対しては、厚生労働大臣から課徴金が課せられます。

この「課徴金制度」は2021年(令和3年)8月1日から施行されたもので、違反を行っていた期間における対象商品の「売り上げ金額×4.5%」を課徴金として納付しなければなりません。

社会的信用を失い契約打ち切りなど連鎖的に事業失墜に向かってしまう

薬機法(旧:薬事法)に違反して措置命令や中止命令が下されたり、売上に対する課徴金が課せられたりすると、その企業の社会的信用は低下します。

企業イメージがダウンして商品の販売中止・回収になったり、消費者はもちろんのこと株主や取引先からの信用も失って株式の下落や取引先との取引停止になることもありえます。

また、未承認の医薬品や医療機器の広告・販売をした場合は「未承認医薬品の広告禁止」に該当するため、より重い刑事罰の対象となりますので十分な注意が必要です。

最悪の場合、その企業の経営者などが逮捕されるケースも。

このように、1つの広告の違反行為によって大きな損失を被る可能性があることを知っておきましょう。

実際の薬機法(旧:薬事法)の広告・PR違反事例

薬機法(旧:薬事法)は範囲や解釈が広いため、広告・広報担当者が一から全てを学ぶのには無理があります。

そこでおすすめしたいのが、「違反事例をたくさん学ぶ」ということです。

法律の文面や表現のOK・NG事例を覚えるよりも、実際に薬機法(旧:薬事法)違反をした事例が頭に入っているだけで、「これはOKかNGか?」の判断ができるようになってくるので、効率的です。

では、実際に発生した薬機法(旧:薬事法)の広告・PRの違反事例をいくつか見ていきましょう。

免疫機能を正常化

2023年(令和5年)9月27日、ペットフードの研究開発・製造・販売を行っている企業が、承認を受けずにホームページで「免疫機能を正常化」と広告したことにより、その企業の代表取締役が薬機法(旧:薬事法)の「承認前の広告の禁止等」に違反した疑いで逮捕されました。

ペットフードであっても薬機法(旧:薬事法)違反で摘発される可能性があるというもので、新潟県内では初の事例、全国でも2件目の事例となりました。

このように、「初の摘発事例」などは要チェックです。

今までは見過ごされていたものがある時期から摘発対象になる場合もあるので、十分注意しましょう。

アトピー治る

この違反事例は、2013年(平成25年)2月に、自ら作製した液体を「アトピー治る」と謳って医薬品として無許可で販売した製造業者が、当時の薬事法違反の疑いで逮捕されたものです。

この容疑者は、2009年(平成21年)ごろから食酢や緑茶の成分を混ぜた「クリン8」という液体を、インターネットで全国の約2400人に1本100ML入りを4900円で販売していました。

「クリン8」の購入者から「薬機法(旧:薬事法)違反になるのではないか」という相談が警察にあり、山形県警が捜査して逮捕に至ったようです。

未承認の医薬品を販売したことはもちろんのこと、広告・広報担当者として注目したいのは「アトピー治る」と未承認の医薬品を宣伝したということです。

がん予防

2020年(令和2年)10月に、「がんに効く」という広告をして医薬品として未承認のサプリメントなどを販売した容疑で医師らが逮捕されました。

この医師が経営するサプリメント製造販売会社のホームページで、4種類のサプリメントやお茶について「乳がん予防」「インフルエンザ予防」「便秘解消」などのように医薬品としての効果があるように広告・販売していました。

この事例では、代表者の医師だけではなくサプリメント製造販売会社の従業員2名も逮捕されています。

未承認の医薬品を販売したのはもちろんのこと、注目すべきはその製造や宣伝に関わった人も巻き込んで逮捕されているということです。

このように、薬機法(旧:薬事法)違反は、 周辺のさまざまな関係者を巻き込んでしまう可能性があることを知っておきましょう。

薬機法(旧:薬事法)に違反せずに広告・PRするためのポイント

広告・広報担当者が薬機法(旧:薬事法)に違反せずに、健康食品や化粧品、サプリメントなどの広告・PRを行うためにはどのようなことに注意すれば良いのでしょうか。

具体的には以下の5つのポイントを押さえておくことで、薬機法(旧:薬事法)違反を防ぐことができます。

自社商品・サービスが薬機法(旧:薬事法)に該当するかをチェックする

まず最初にすべきことは、自社の商品やサービスが薬機法(旧:薬事法)に該当するかどうかをチェックすることです。

薬機法(旧:薬事法)の対象となるジャンルは、医薬品や医薬部外品、化粧品(コスメ)、医療機器、再生医療等製品などですので、自社の商品やサービスがこのジャンルに該当するかどうかで判断することができます。

業界のガイドラインを良く読む

次に、薬機法(旧:薬事法)に関するガイドラインをよく読み込んで理解することが必要です。

基本となるガイドラインとしては、以下の2つです。

また、広告に関する基準としては、以下のようなガイドラインがあります。

・厚生労働省「医薬品等適正広告基準

また、これらを元にして、以下のように各業界で個別のガイドラインが作成されているのでそちらを参考にするのもおすすめです。

これらのガイドラインを理解しておくことによって、広告を作成する際に意識して違反表現を避けることができるようになります。

また、次のように地方自治体のHPなどでも分かりやすいガイドラインが作られていたりするので、そちらも見ておきましょう。

また、これらのガイドラインを参考に、自社の商品やサービスに関する独自のガイドラインを作成しておくことも有効です。

他社の違反事例から学ぶ

他社の違反事例から学ぶことも重要なポイントです。

たとえば、2020年(令和2年)、健康食品輸入会社が「抗ウイルス効果がある」とお茶の広告を自社サイトで行い、医薬品として未承認の健康食品を販売したとして代表ら2人が逮捕されました。

この事例のように、特に健康食品については、医薬品と同等の効能・効果があるという広告をすると「未承認の医薬品」とみなされて薬機法(旧:薬事法)に抵触する場合があります。

これらの他社事例を参考にして、「OK表現」「NG表現」などを自社のガイドラインとしてまとめておくことも有効です。

専門家への確認 / リーガルチェック

薬機法(旧:薬事法)の専門家にリーガルチェックを依頼して確認してもらう方法もあります。

薬機法(旧:薬事法)の知識を持った専門家が行いますので、間違いや見落としが起こる可能性は非常に少ないのですが相応の費用が発生します。

Webページの更新頻度が高いような場合は、費用対効果について検討する必要があるでしょう。

薬機法チェックツールを使用

薬機法(旧:薬事法)チェックツールを使用する方法もあります。

薬機法(旧:薬事法)チェックツールとは、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、健康食品などの広告表現が薬機法(旧:薬事法)などの法律に抵触していないかどうかをチェックしてくれるツールのことです。

広告表現に問題がないかどうかを確認するだけではなく、代替表現の提案をしてくれるものもあります。

料金体系はツールごとに異なっており無料で利用できるものもありますが、文字数の制限などがある場合がありますので、用途に応じて検討が必要です。

主に以下のようなツールがあります。

薬事法広告表現チェックツール:無料のチェックツールで、30文字までの広告表現のチェックが可能です。主に健康食品や化粧品に対応しています。薬機法(旧:薬事法)に抵触する表現の場合は結果欄に抵触している箇所とその理由が表示されます。

TRUSQUETTA(トラスクエタ):従来KONOHAという名称で利用されていたツールで有料です。主に化粧品(コスメ)や健康食品に関する広告表現が薬機法(旧:薬事法)や景品表示法に抵触していないかどうかをチェックし、代替表現を提案してくれる機能もあります。

Cosme Design:化粧品(コスメ)の広告チェック、成分表示名称チェックなどを行うツールです。有料ツールですが、2日間だけ全機能を制限なしで利用できるお試し制度があります。

書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディングの活用

広告宣伝というと、テレビCMやWeb広告、SEO記事、SNS投稿などのように、パッと見てすぐわかるような方法を考えますが、「書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディング」という方法も有効です。

これは、商品やサービスの効果・効能を伝えるのではなく、それに含まれる成分などについて詳しく訴求することにより、その成分の入った商品・サービスのニーズを喚起するという方法です。

▶ブックマーケティングについては、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。

実際に書籍を使い成分ブランディングに成功して問い合わせが殺到した事例が数多くあります。

ただし、書籍だからといって一般広告よりも薬機法(旧:薬事法)の規制が緩いということではありません。

一般広告と同じように薬機法(旧:薬事法)のリーガルチェックが必要になりますし、薬機法(旧:薬事法)に違反すると、その罰則は著者だけではなく、出版社にも及ぶことがあります。

バイブル商法にならないように出版社選択は慎重に

「書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディング」を行う際に注意しなければならないのは「バイブル商法」にならないようにすることです。

「バイブル商法」とは、健康食品や化粧品、サプリメントなどの効果効能を書籍で宣伝すると同時に、その商品を販売するような商法のことをいいます。

出版業界では過去に出版社の社長がこの「バイブル商法」で逮捕されるという事件が発生しています。

これは2011年(平成23年)に発生したもので、書籍で「健康食品がガンに効く」と宣伝して健康食品の販売を幇助した容疑で逮捕されたものです。

どんなに広告担当者が薬機法(旧:薬事法)に気をつけていても、出版社に薬機法(旧:薬事法)の知識やノウハウがなければこのような事件に発展してしまいかねません。

「バイブル商法」にならないように、出版社選びは慎重に行いましょう。

書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディングの具体的な活用事例

ここでは、「書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディング」を活用して問い合わせの増加や販促につながったという具体的な事例を2件紹介します。

事例①:コラーゲンという成分について説明し結果的にサプリメントの販売促進につながった事例

「あらゆる死に至る病気の原因は血管が老朽化することであり、その血管を若返らせることが健康寿命を延ばす近道だ」という内容の書籍があります。

著者は、コラーゲンサプリメントの開発・販売会社の代表者であり、医師でもありました。

書籍のタイトルやカバーなどには、サプリメントの販促につながるような話は一切入っておらず、内容も血管を若返らせるコラーゲンについて説明をする内容となっています。

しかし、本の出版後、書籍を読んだ読者から「この本で説明されているコラーゲンはどうやったら摂取できるのか」という問い合わせが出版社や著者に殺到し、結果的にコラーゲンサプリメントの販売促進につながっています。

書籍の中でコラーゲンについて説明することで、読者の中に「この本で説明されているコラーゲンを取りたい」というニーズが生まれたのです。

書籍は広告などと違い、長文をしっかりと読んでもらえる媒体です。

書籍の中でしっかりとコラーゲンに関する魅力を伝え、読者教育ができたからこそ、このようなニーズが読者の中に生まれたのだと言えます。

事例②:サラダ油の危険性を訴求し、結果的に米油ブームにつながった事例

この書籍の著者は米油の製造・販売している企業に勤務している研究開発者で、出版の目的は米油のBtoB販売の促進でした。

書籍の内容は「一般家庭で当たり前に使っているサラダ油を摂りすぎると、がんや脳卒中、心臓病の原因になりうるという」というものです。

特に商品の訴求などをしている訳ではありませんでしたが、出版後に大きな反響があり、結果的に米油ブームにつながりました。

その後は、出版目的のBtoBでの米油の卸先の開拓だけでなく、一般消費者の反響が大きかったためBtoCでの訴求にも成功しています。

このように、商品やビジネスの話を出さずとも、成分について詳しく語ることで、商品の販売促進やビジネスの活性化につながることを証明した事例と言えるでしょう。

まとめ

健康食品や化粧品、サプリメントなどの広告担当者や広報担当者は、薬機法(旧:薬事法)に違反しないように、広告・PRについて自社で入念にチェックをしたり、社外の専門家にリーガルチェックを依頼したり、薬機法(旧:薬事法)チェックツールを使用したりといろいろなことを行っていることと思います。

しかし、同時に「広告やPR、SEO記事、SNS投稿など以外の方法で、自社商品やサービスの良さを効果的に伝える方法はないのか?」ということを検討していくことも重要です。

そこでおすすめしたいのが、この記事でご紹介した「書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディング」です。

広告やPR、SEO記事、SNS投稿などのように商品やサービスの効果・効能をダイレクトに伝えるのではなく、商品に含まれる成分について訴求することで、ユーザーに「成分を取りたい」と言うニーズを喚起させるという、薬機法(旧:薬事法)規制が厳しい時代には有効なマーケティング手段の1つです。

「薬機法(旧:薬事法)の規制によりうまくマーケティングができていない」と感じている方はぜひ一度書籍による成分ブランディングを検討されてみてはいかがでしょうか。

※書籍であっても薬機法(旧:薬事法)の規制を受けますので、薬機法(旧:薬事法)に関する知識やノウハウを有する弊社のような出版社を選ぶようにしてください。

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執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

経営者として将来的に出版したい思いがある人は少なくないでしょう。

中でも出版社から声がかかる商業出版に夢を見ている人もいるかもしれません。

今回の記事では、そんな商業出版の基本情報のほか、複数ある出版の方法や企業が取り組む上で重要視したいポイントを解説します。

目次【本記事の内容】

商業出版とは

商業出版とは、出版社が費用を負担して書籍を出版する方法を指します。

商業出版の定義と特徴

商業出版は、出版社が利益を出すことを目的とするため、より多くの書籍が売れるような内容の企画やプロモーションを行うのが特徴です。

実際に、ベストセラーとして有名な書籍のほとんどは商業出版です。

具体的には、今でも売れ続けている岸見一郎・古賀史健著の『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』や、岩崎夏海著の『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーのマネジメントを読んだら』などが、商業出版の代表的な事例として挙げられます。

しかし、商業出版の場合、著者の伝えたいことよりも出版社側の意向が優先されます。そのため、いくら著者に言いたいことがあったとしても、書けなかったり、出版社によって修正されてしまうことが多々あります。

著者が書きたいことが100%書ける方法ではないのも商業出版ならではの特徴と言えるでしょう。

出版することのメリット

書籍を出版すること自体のメリットとしては、「信頼性向上」「著者のブランディング」「メディアへの露出」などが挙げられます。

現代ではインターネット上のWebやブログなどで情報を発信することもできますが、書籍として発信した情報の方が格段に信頼性が高くなります。

たとえば、ダイエット時に推奨される食事に関する情報を得たいと思った時に、個人が運営しているブログの情報よりも、専門家が出版している本の方が信頼できると感じる方は多いのではないでしょうか。

信頼度が高い情報は様々なメディアへの露出にもつながります。

実際に、商業出版をしたことで雑誌への掲載やゴールデンタイムのテレビ番組への出演につながった例があります。

出版やメディア露出により「その道の専門家である」と認識されることで、著者自身をブランディングすることが可能です。

さらに、副次的なメリットとして、出版社から発刊するとISBNコードが付与されることが挙げられます。

国会図書館にも収蔵されるため、ほぼ永久的に保存されて後世に残すことが可能です。

このように、出版することは著者自身のイメージ向上やブランディングで高い効果を期待できる手段と言えます。

商業出版のメリット

「出版すること」のメリットとして、信頼性向上、著者のブランディング、メディアへの露出などが挙げられますが、もう少し的を絞って「商業出版」のメリットに焦点を当てると、次の2つが挙げられます。

著者の費用負担がない(出版社負担)

出版社の費用負担がない場合、著者が出版費用を負担することになります。

自費で出版する場合の費用は100万〜500万円ほどかかるため、著者の費用負担がないことは、著者にとって大きなメリットです。

印税の支払いがある

商業出版の場合、書籍の販売数や印刷数に応じて、著者に印税が支払われます。つまり、収入が得られるということです。

自費出版や企業出版などは、そもそも印税を目的とした出版方法ではありませんが、「重版して総流通部数が10,001部を超えたら定価の5%をお支払い」のように、契約によっては印税が支払われることもあります。

このように、印税が支払われるのは商業出版する最大のメリットと言っても過言ではありません。

印税は印刷した部数に応じて支払われる「刷り部数印税」が主流で、相場は書籍価格の5〜10%です。たとえば、1,300円の書籍が初版で3,000部印刷されたとすれば、印税は10%の場合で39万円となります。

100万部を超えるミリオンセラーともなれば、1億円以上の印税が発生することもあります。

出版社主導での販売活動

出版した書籍が売れなければ出版社が損をすることになるため、出版社は売るためのプロモーションを積極的に行います。

商業出版は出版社が利益を出す目的で行うため、ベストセラーやヒット作になるようにプロモーションにも力を入れるのです。

実際に、書店での販促では、出版社の主導でPOPの設置やブックDM、広告やウェビナーなどのネット施策などが行われます。

著者自身で販促をせず、プロである出版社に任せることができるため、効率よく本を売ることが可能です。

商業出版のデメリット

一方、商業出版のデメリットとしては、次の2つが挙げられます。

企画の自由度が低い

自費出版や企業出版の場合は、著者が書きたい企画を自由に立てることができますが、商業出版は企画を出版社側が立てるのが一般的です。出版社側が立てた企画に合った著者に「出版などどうですか?」と持っていくという流れで出版に至るのが商業出版です。

そのため、基本的には著者が書きたいことではなく、出版社の企画に沿って書きます。

つまり、商業出版はたとえ著者が書きたいと思っていた企画であっても、出版社の企画内容に沿わなければ修正されてしまうということです。著者が書きたい内容を書けない出版方法とも言えます。これが商業出版の最大のデメリットと言えるでしょう。

商業出版自体のハードルが高い

商業出版自体のハードルが高いということもデメリットとして挙げることができます。

なぜなら、よほど有名で話題性のある企業の経営者でない限り著者に選定されることは難しく、著者自身が持ち込んだ企画が商業出版に採用されるケースはまれだからです。

また、そもそも企画書の持ち込みを受け付けている出版社が少ないという現実があり、インターネットで公表している出版社は、専門分野の出版社を除くと数社程度しかありません。

運よく企画書の打ち合わせまで持ち込めた場合でも、最終的に自費出版に誘導されてしまったり、さらに運よく商業出版できたとしてもほとんど売れないという状態に陥ったりすることも考えられます。

商業出版の現実と出版業界の実情

著者の費用負担がなく販売活動も出版社が行ってくれる魅力的な商業出版ですが、その現実と出版業界の実情についても知っておく必要があります。

商業出版の現実と出版業界の実情について詳しく解説していきます。

出版業界は斜陽産業?

現代は、ひと昔前に比べると本が売れにくい時代です。

インターネットを使えば無料で簡単に情報が手に入ってしまう現代社会。ひと昔前に比べると紙の書籍が売れにくい時代と言われています。

実際に出版業界の市場規模は年々縮小していますが、その主な原因は雑誌の販売数の減少であり、ビジネス書や実用書などは昔とそれほど変わらずに売れ続けています。

公益社団法人 全国出版協会・出版科学研究所の『2023年版 出版指標 年報』に掲載されている「出版物の推定販売金額」によれば、1996年時点での雑誌の推定販売金額が15,633億円なのに対して、2022年時点では4,795億円にまで減少しています。

一方で、書籍に関しては、1996 年時点での推定販売金額が10,931億円なのに対して、2022年時点では6,497億円となっています。

雑誌ほど減少していないというのが現実です。また、書籍についても趣味の多様化により小説などのエンタメ系書籍が販売部数を落としてしまったのが大きな要因です。

実際に、雑誌や小説などの売上が落ち込み、書店の数が減少していたり、市場規模は大きく下がっていたりしますが、ビジネス書や実用書などは今現在も堅調に売れ続けています。

著者の知名度頼りの販売

商業出版では出版社が著者を選定しますが、その選定基準としてはSNSのフォロワー数やメディア露出が多いなどの著者の知名度が頼りになっているという現実もあります。

実際に、芸能人やSNSでフォロワー数の多い専門家やインフルエンサーなどが著者として選ばれることが多いです。

出版社が販促を行うとはいえ、無名の経営者が書いた本を売るのは難しいものがあります。

そのため、どうしても著者の知名度に頼ってしまう面があるのです。

商業出版だから「売れる」は盲信

もし運よく出版社から商業出版で出版できたとしても必ず売れるとは限らないということも覚えておく必要があります。

実際に、著者が著名人やタレントであっても、販売数が数千部や数百部程度になってしまうこともあります。

ましてや、無名の人物が書いた本が売れる確率は低いです。

「商業出版だから売れる」という考えは捨てましょう。

商業出版プロデューサーの罠(出版コンサル)

商業出版プロデューサーとは、著者を発掘し、企画を立案し、出版社に企画を持ち込み、その企画を出版に導く人のことで、出版コンサルタントと呼ばれることもあります。

無名の経営者が商業出版を目指す場合には、商業出版プロデューサーにコンサルティングを依頼することがあります。

なぜなら、経営者は企業経営のプロではあるものの、出版のプロではないからです。

出版プロデューサーの費用は、実績やサービス内容によって異なりますが、200万~300万円もの高額の費用がかかる場合があります。

これだけの高額費用がかかっても商業出版が実現できれば良いのですが、出版社への企画の売り込みだけで終わってしまうという詐欺まがいのケースもあるようです。

もちろん、これは悪い出版プロデューサーに引っかかってしまった場合であって、全ての出版プロデューサーが悪いというわけではありません。

「商業出版プロデューサーがついているから必ず売れる」ことはないと理解したうえで依頼しましょう。

商業出版以外の出版の選択肢

商業出版以外の選択肢には自費出版(個人出版)、共同出版、電子書籍での出版、企業出版の4つがあります。

それぞれの特徴を表にまとめました。

 

 

商業出版 自費出版
(個人出版)
共同出版 電子書籍での出版 企業出版
出版目的 ヒットする本をつくる 個人的な表現欲求を満たす ・出版社の販路を活用し、より多くの人々に書籍を届ける
・費用を抑えて書籍を出版する
・費用をかけずに書籍を出版する
・国内外の人々に書籍を届ける
・認知度を向上させる
・企業ブランディングを行う
・信頼性を向上させる
費用負担 出版社 著者 出版社・著者 著者 企業
書籍企画 出版社 著者 出版社 著者 出版社
自由度
プロモーション 出版社 著者 出版社 著者 出版社
初版発行部数 3,000部〜10,000部 100部〜500部 100〜1,000部 1,000〜1万部

それぞれの特徴を詳しく解説します。

自費出版(個人出版)

自費出版(個人出版)とは、書籍の出版にかかる費用を著者自身が負担する出版方法です。

自費出版は、出版社の販路を利用して書店で販売するものと書店での販売はしない私家版に分けることができます。

自費出版のメリットは、本の内容の自由度が高いことです。

出版社は書籍の企画に介入せず、著者自身が企画をするため、内容を自由に決めることができます。

たとえば、著名人ではなくても「自分のこれまでの人生を一冊の本にまとめたい」「築いてきたノウハウを読者に共有したい」など、個人的な活動を周囲に知ってもらう本を出版することが可能です。

実際に、島田洋七『佐賀のがばいばあちゃん』は著者の自伝を著した自費出版の書籍ですが、全世界で累計800万部を売り上げたベストセラーとなりました。

自費出版は本の内容の自由度が高いことがメリットとなる一方で、出版に関わる費用をすべて負担する必要があること、発行部数が少ないことがデメリットとして挙げられます。

費用がかかったとしても大きな利益を出すことができればいいのですが、そもそも書籍の発行部数が100部程度〜と少ないため、大きな利益を出すことは簡単ではありません。

このように、自費出版は書籍の内容にこだわりがある人には適した出版方法ですが、費用の面でデメリットが大きい出版方法です。

共同出版

共同出版とは、書籍の出版にかかる費用を著者と出版社が事前に決めた割合で負担する出版方法です。

共同出版では、費用負担に加え初版発行部数の一部を買い取るやり方もあります。

自費出版では費用さえ負担できれば誰でも出版できる方法ですが、共同出版は出版社が企画内容によって採用の可否を決めるため、誰でも出版できるわけではありません。

たとえば、出版社が「この内容では売れない」と判断した場合は、出版費用を出してもらうことはできないということです。

ほとんどの場合、出版社が損失を被ることはないため、企画は通りやすいものの、自費出版よりも自由度は低くなります。

たとえば、自伝や個人的なノウハウは採用されないことが多いでしょう。

また、自費出版との違いとして、出版社の販路を使って全国の書店やインターネット書店で販売できることが挙げられます。

このように、共同出版は費用負担、自由度、販売される場所の3点において商業出版と自費出版(個人出版)の中間に位置している出版方法と言えます。

電子書籍での出版

出版方法には、紙媒体で出版する方法の他にも、電子書籍で出版する方法があります。

電子書籍として出版する方法のメリットは主に以下の3つです。

  • ・出版までのハードルが低い
  • ・在庫を抱える可能性がない
  • ・国内外に発信できる

また、印税率も紙の書籍より高いため、同じ冊数だけ売ることができれば、紙の書籍よりも儲かることになります。

しかし、電子書籍は紙媒体よりも売るのが難しいとされているだけでなく、紙の書籍よりも通常では定価が安いため、利益も少なくなってしまうのが現状です。

よほど影響力のある著名人でない限り、大きな利益を出すのは難しくなっています。

実際に、電子書籍を出版してもほとんど読まれずに終わってしまったという書籍は数多くあります。

電子書籍の市場は年々拡大しているとはいえ、現状ではまだまだ認知度が低く、利用率が限られているため、うまくプロモーションできなければ利益を出せずに終わってしまうのです。

そこで重要となるのが企業出版をはじめとする紙媒体の書籍です。

紙媒体の書籍は、電子書籍よりも社会的信頼性が高いため、出版における効果を高めることができます。

このように、電子書籍はメリットの大きい出版方法である反面、デメリットも大きい出版方法です。

社会的信頼度の面で紙媒体の出版方法に大きく劣ることから、企業が事業の発展を目指して行う場合には適していません。

企業出版

企業出版とは、企業が「商品・サービスの認知度を向上したい」「他社と差別化したい」「企業のファンを作りたい」などの企業が抱える課題を解消することを目的として行うものです。

書籍の出版にかかる費用は企業が負担して出版します。

内容は自由に企画できるため、企業が伝えたいメッセージをしっかりと書籍に込めることができます。

自費出版(個人出版)との大きな違いは、「誰が出版するのか」「誰がプロモーションを行うか」という点です。

自費出版は著者が出版し、著者自身でプロモーションを行う必要がありますが、企業出版の場合は出版社に依頼することができます。

企業主導でセミナーやWebでのプロモーションを組み合わせれば、よりピンポイントでターゲットに訴求することが可能です。

このように、企業が抱える課題を解決したい場合には、企業出版が最も適した出版方法と言えます。

ブックマーケティングという選択肢

これまでに、出版の選択肢として「商業出版」「自費出版(個人出版)」「共同出版」「電子書籍出版」「企業出版」という5つの出版方法を紹介しましたが、実は「ブックマーケティング」という選択肢もあります。

新しい選択肢となるブックマーケティングについて詳しく解説します。

ブックマーケティングとは

ブックマーケティングとは、書籍を活用してマーケティングに活用する手法です。

自社の創業ストーリーや商品開発ストーリーなどをまとめ、企業や商品・サービスの認知度向上や購買意欲向上などに役立てることが主な目的です。

ブックマーケティングの特徴は、あくまでもマーケティングの一環として書籍を活用する点です。

明確なターゲットを定め、どのように顧客ターゲットに届けるかをマーケティング戦略の知見で組み立てるため、書籍販売プロモーションに限らず、様々なマーケティング戦略をとることができるのです。

引用元:ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方(https://forway.co.jp/post_column/bookmarketing/ )

商業出版や共同出版、企業出版の場合は、書店プロモーションや新聞広告などのプロモーション方法によってマーケティング効果を得る方法です。

一方で、ブックマーケティングは、マーケティングの一環として書籍を活用します。

書店プロモーションや新聞広告などに加え、SNSマーケティングやSEOコンテンツマーケティング、クラウドファンディングなどを組み合わせて戦略を練るため、通常の出版社ではマネできないやり方で効果を最大化させることが可能です。

ビジネス目標達成のための出版戦略

企業戦略として書籍を出版する場合は、最初に「出版の目的とターゲットを設定する」ことが重要です。

なぜなら、出版の目的とターゲットが明確になっていないと、対象となる読者がはっきりせず、書籍の内容も販売戦略も不明確になってしまうからです。

出版の目的やゴールを設定するためには、現在企業が抱えている課題を把握することから始めましょう。

「書籍を使って解決したい課題は何なのか」について最初にしっかりと考えておくことで、その後の道筋を明確にすることが可能です。

出版で叶えられる企業の課題には、「商品やサービスの認知度向上」「集客や売上の向上」「企業理念や経営方針の浸透」「優秀な人材の育成・採用」などが挙げられます。

最初に目的やターゲットを明確に設定できるとプロモーションの方法も明確になり、できあがった書籍の活用方法も具体的にイメージすることができるようになります。

課題を洗い出しても、目的やターゲットを設定しなければどのように戦略を立てればよいかわからず、道に迷ってしまいます。

最短距離かつ効果の高い方法で目的を達成しターゲットに訴求できるよう、出版戦略を練ることが重要です。

出版を戦略的に活用するためのポイント

出版を戦略的に活用するためのポイントは、「書籍に合ったプロモーション施策を行うこと」です。

書籍販売プロモーションには、以下のように様々な施策がありますが、とにかくすべてやればいいというわけではありません。

  • ・書店の広告プロモーション
  • ・書店ポスター
  • ・新聞広告
  • ・ランキング買取
  • ・Amazon施策(ランキング1位、広告)

その理由は、書籍によって効果のあるプロモーション方法が異なるからです。

たとえば、ビジネス書であれば、ウェビナーやAmazon施策、書店ポップやポスター、広告の設置など、王道のプロモーション方法が効果的です。

一方で、ビジネス書とは対極にある絵本では、ワークショップの開催やオンライン読み聞かせ会などで、どのような話なのかある程度知ってもらうことが大切になります。

このように、出版を戦略的に活用するには、より効果のある方法でターゲットに訴求することが重要なのです。

出版による競合優位性の構築

インターネットやSNSが発達した現代では、いかに差別化を図り競合優位性を確保するかが重要です。

なぜなら、顧客はインターネットを介して多くの製品やサービスを容易に知ることができるため、良い製品やサービスを作ったからといって必ず売れるという時代ではなくなったからです。

自社にしかない魅力をアピールしたり、多くの顧客に認知してもらったりする手段として出版を利用する一つの方法が「ブックマーケティング」ということになります。

出版を通じた顧客との関係性構築

出版を通じて、顧客の信頼を獲得して顕在層をファン化させるなどの関係性構築を図ることができます。

なぜなら、「書籍を出版している企業」だということによって信頼性が高まり、書籍を通じて自社の取り組みや商品・サービスなどを顧客に伝えることができるからです。

これによって、ファン化した顧客に商品やサービスの購入を働きかけることができるなど良好な関係性の構築につながります。

まとめ

この記事では、出版方法の一つとして商業出版について解説しました。

商業出版は出版社が出版に関するすべての費用を負担し、企画からプロモーションまでを行う出版方法です。

書籍を出版することで「信頼性向上」「著者のブランディング」「メディアへの露出」など様々なメリットを享受できるため、企業にとってはプラスになることが多いのが魅力です。

商業出版は著者にとって夢のある出版方法である反面、書籍内容が制限されたり持ち込み企画が通りにくかったりと、内容にこだわりのある人にとってはデメリットの大きい出版方法と言えます。

著名人でない場合、「この内容であれば売れる」と思われない限り、採用されることはありません。

また、運良く商業出版で書籍を出せたとしても、確実に売れる保証はありません。

その点、ブックマーケティングであれば、様々なマーケティング施策を組み合わせて戦略を練るため、より多くのターゲットの元へ届けることが可能です。

書籍の出版によって企業や事業を成長させたいと考えている方は、ブックマーケティングも視野に入れて検討してみてはいかがでしょうか。

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執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

企業戦略においてマーケティングとブランディングが重要なのは周知の事実でしょう。

一方、その違いを明確に答えられる人は少ないかもしれません。

本記事では、マーケティングとブランディングの違いを紹介し、それらが経営戦略上どのように影響を及ぼすかを解説します。

目次【本記事の内容】

マーケティングとブランディングとは

「マーケティング」と「ブランディング」は企業が商品やサービスを販売し、存続し続けていく上で必要不可欠な活動です。

まずは、マーケティングやブランディングについて、それぞれがどのような活動を指すのかを正しく把握しておきましょう。

マーケティングとは何か

マーケティングとは、自社の商品やサービスを効率的に売るために行う活動全般のことを指し、「市場をつくる」という意味があります。

たとえば、市場調査や商品企画、価格設定、流通・販売チャネルの構築、広告宣伝、顧客の声のフィードバックなどの活動が含まれます。

商品やサービスを売るためのあらゆる活動がマーケティング活動に該当すると考えてください。

ブランディングとは何か

ブランディングとは、自社や自社の商品・サービスそのものの価値やイメージを高めようとする活動のことで、顧客の頭の中に自社やサービスへの良いイメージを作ってもらうことを目的としています。

たとえば、ブランディングに成功している代表的な企業がiPhoneなどで有名なアップル社でしょう。

アップル社と聞けば、「こだわり抜かれたデザインや革新的な商品を出す会社」「創業者のスティーブジョブズの妥協なきものづくりの精神が根付いた会社」といったイメージを持つ人が多いと思います。

このようにアップル社に対する良いイメージが消費者に浸透しているため、たとえアップル社の出した商品が、他社よりも性能が劣っていたとしても、多少価格が高かったとしても、「アップル社の商品が欲しい」と選ばれるようになります。

このように、自社や自社の商品・サービスに良いイメージを持ってもらうための活動全般がブランディングです。

▶️企業ブランディングについては、関連記事【企業ブランディングとは?企業の成長における重要性や手法を徹底解説】もあわせて参考にしてください。

リブランディングとは何か

リブランディングとは、今までに作り上げてきたブランドを再構築すること、およびその戦略のことです。

時代の変化や、消費者の価値観の変化、競合他社の成長などにより、古くなってしまったブランド価値を刷新するために行います。

具体的なリブランディングの方法としては、ターゲットの見直しや、ロゴ変更、パッケージデザインの刷新、コーポレートサイトの刷新などがあります。

たとえば、リブランディングに成功した代表的な企業がユニクロを運営するファーストリテイリング社です。

ユニクロはかつて2000年代後半に、「ユニクロとばれると恥ずかしい(ユニバレ)」という言葉が浸透するほど、安かろう悪かろうなイメージが定着していました。

しかし、メイドインジャパンを強調するロゴマークの刷新や、それと連動した世界各地の店舗デザインや商品企画、プロモーション戦略の刷新を実施。

見事に今現在のような「高品質の商品を低価格で提供するジャパンブランド」としてのリブランディングに成功しています。

時代の移り変わりが激しい時代だからこそ、時代に沿ったニーズに柔軟に適応していくために、ブランディングと共に重要視されているのがリブランディングです。

PRとは何か

PRとは、「Public Relations(パブリック・リレーションズ)」の略語で、直訳すると「公衆との望ましい関係づくり」という意味です。

PRは宣伝や広報よりも広い概念で、自社の情報を広く社会に周知する活動全般を指します。

たとえば、「プレスリリース」「オウンドメディア」「社内報」「メディア対応」などが主なPR活動です。

よくマーケティングと混同されることもありますが、そもそもPRとマーケティングは目的が違います。

PRは企業価値の向上や認知度の拡大、マーケティングは商品・サービスの販売促進を目的としています。迷ったら「どんな目的で行うのか?」で見分けましょう。

また、PRはブランディングで形成されたイメージを元に実施されるのが一般的です。

そのため、ブランディングの延長線上にPRがあると考えてください。ブランディングで良いイメージを構築し、PRでさらにそれを広く社会に周知していくというのが一般的な流れです。

マーケティングとブランディングの違い

マーケティングとブランディングの違いは主に次の5つです。

  • ・その1:目標
  • ・その2:意義・方針
  • ・その3:ニーズ・焦点
  • ・その4:手段・方法
  • ・その5:施策の期間

それぞれについて具体的にどのような違いがあるのかを見ていきましょう。

違いその1:目標

ブランディングとマーケティングはよく混同されますが、そもそも目標とするものが全く違います。

まず、ブランディングは、消費者に自社や自社の商品・サービスに対する良好なイメージを持ってもらうことが目標です。

一方で、マーケティングは、自社の商品やサービスの価値を効果的に訴求することが目標です。

そのため、商品・サービスをとにかく売りたいのであればマーケティング施策を、価格競争などから脱していきたいのであればブランディング施策を選択する必要があります。

「自社の商品を販売したいからブランディング施策を実施する」のは大きな間違いです。

目標とするものが何かによって取るべき最適な施策が異なるので注意しましょう。

違いその2:意義・方針

ブランディングとマーケティングには、意義や方針の違いもあります。

ブランディングは、自社の商品やサービスが「どうあるべきか」という社会的存在意義や向かうべき方向性を大きな枠組みで考え続けることです。

時代により消費者の価値観が変わると、自社の商品やサービスに対するイメージも変化することが考えられます。ブランディングは一度考えたら終わりではなく、時代に沿って、継続的に「どうあるべきか」を考え続けることが大切です。

一方で、マーケティングは、自社の商品やサービスを売るために「どうすべきか」を考える具体的な活動方針です。

たとえば、テレビCMなどのマス広告、Web広告、SNSの利用などのプロモーション活動などがこれにあたりますが、商品やサービスが変われば活動方針も施策もガラリと変わります。

このように、大きな枠組みの中で存在意義や方向性を考え続けるのがブランディング、その土台の上で「自社の商品やサービスをどう売っていくのか」という具体的な活動方針を考えるのがマーケティングです。

違いその3:ニーズ・焦点

ブランディングとマーケティングには、ニーズや焦点の当て方に違いがあります。

ブランディングは、自社の強みをターゲットの消費者に訴求して、「このブランドを選べば間違いない」というイメージを持ってもらうことに焦点を当てます。

つまり、焦点は自社です。

一方で、マーケティングは「消費者のニーズは何か」に焦点を当てます。

このように、「自社の強み」と「消費者のニーズ」どちらに焦点を当てるのかが、マーケティングとブランディングの大きな違いです。

また、消費者のニーズが顕在化している場合は、それに応える具体的な商品やサービスを訴求するようなマーケティングを実施します。

一方で、消費者のニーズが潜在的にある場合は、ニーズを深掘りし、自社の商品やサービスで解決できるようなイメージを持ってもらうようにブランディング施策を実施していきます。

つまり、顕在化した消費者のニーズにはマーケティングを、潜在的なニーズにはブランディングを、というように使い分けていく必要があるのです。

違いその4:手段・方法

ブランディングとマーケティングには、手段や方法にも違いがあります。

ブランディングを行う際には、消費者の心理形成につながるような手段や方法を採用します。

なぜなら、消費者の心の中に良好なイメージを作ってもらう必要があるからです。

たとえば、消費者に対してのブランディングの場合、印象に残りやすいブランド名やロゴの設定、キャラクターの作成やコーポレートメッセージの作成、サイトの刷新などが主なブランディング施策の方法です。

また、社内に対するブランディングの場合、従業員向けのブランドブックの作成、独自の人事認定制度の創設などの方法があります。

一方、マーケティングでは、商品やサービスに対する消費者の理解や購買意欲向上につながるような手段や方法を採用します。

たとえば、各種広告やオウンドメディアのコンテンツ、SNSでの情報発信、メールマガジンなどを利用して消費者への広告宣伝を行う、などです。

このように、手段や方法も異なるので、混同してしまわないように注意しましょう。

違いその5:施策の期間

ブランディングとマーケティングでは、施策に取り組む期間の長さが違います。

マーケティングと違い、ブランディングは長期的な取り組みが必要です。

なぜなら、ブランディングの目標であるブランドイメージを形成するには長い期間を必要とするからです。

一方で、マーケティングが目標とする顧客の購買行動は比較的短い期間で成果が表れます。

たとえば、ロゴを刷新したところで、すぐにその効果は感じられませんが、Web広告に出すページを修正した場合には、その効果はすぐに現れます。

このように、ブランディングとマーケティングはそもそも取り組む期間の長さが違うということを認識しておきましょう。

アウターブランディングとインナーブランディング

ブランディングには、大きく分けてアウターブランディングとインナーブランディングの2種類があります。

アウターブランディングとは、社外に対するブランディングのことです。

アウターブランディングの対象には、消費者や取引先をはじめとするステークホルダーのほか、新卒や中途採用の就職希望者なども含まれます。

消費者に自社やサービスに対して良いイメージを持ってもらうのが目的であり、一般的に多くの人が「ブランディング」と認識しているのが、このアウターブランディングです。

また、法人を対象としたビジネスをしている企業が行うBtoBブランディング、一般消費者を対象とする企業が行うBtoCブランディング、自分自身をブランド化して価値を高めるセルフブランディングなどのように、アウターブランディングの中でも細かく種類が分かれています。

一方で、インナーブランディングとは社内向けのブランディングで、その対象には従業員のほか経営層・マネジメント層も含まれます。

たとえば、インナーブランディングとは自社の企業理念やブランド価値、行動指針を従業員に浸透させて共有できるようにする取り組みのことです。

インナーブランディングによって企業理念や行動指針などの理解が深まると、従業員のモチベーションやパフォーマンスが向上し、定着率アップや優秀な人材の確保につながります。

このように企業体質の改善を図り、市場における競争力を企業の内側から高めていくことがインナーブランディングの目的です。

ブランディングを行う企業メリット

企業がブランディングを行うメリットは、顧客を自社やサービスのファンにできることです。

ファンが増えることにより、具体的に次の3つのようなメリットを得ることができます。

ファン化の促進とリピーター獲得につながる

企業がブランディングに成功すると、ファンになってくれた人が商品やサービスを何度もリピートして購入してくれるようになります。

たとえば、アップル社の新商品販売日に、アップルストアに行列ができている光景をテレビなどで見たことがあるという方が多いのではないでしょうか。このように、企業がファン化に成功すると、消費者が頼んでもいないのに、一生懸命に購入してくれるようになります。

リピート購入とは、広告費用をかけずに購入してもらえるようになる、ということです。つまり、リピート購入が増えれば増えるほど、企業がかける1人あたりの広告費用は減っていきます。

このように、ブランディングにより顧客のファン化が促進し、リピーターが増えると、企業の利益向上が見込めるということです。

同業他社との差別化の実現による競争力の強化

ブランディングにより自社や自社の商品・サービスへ信頼感が高まると、ブランド力だけで商品を購入してもらえるようになります。そのため、同業他社との差別化が実現でき、競争力が強化できます。

なぜなら、機能がほぼ同等の商品であれば、価格が多少高めであっても自社の商品やサービスを選んでくれるようになるからです。

たとえば、素材も製法もほぼ同じ商品やサービスがあったとしても、ブランディングを実現することで価格の高い自社商品・サービスを購入してもらえるようになります。

このように、ブランディングに成功することにより、市場における価格や性能の競争に巻き込まれずに、価値を提供することができるということです。

▶️差別化戦略については、関連記事【差別化戦略の成功の秘訣ーメリットやデメリット、成功事例とは!?】もあわせて参考にしてください。

ブランド認知度および注目度の向上

ブランディングにより、ブランドの認知度や注目度が高まります。

なぜなら、ブランディングという活動自体が、自社や自社の商品・サービスに良いイメージを持ってもらうための施策だからです。

ブランディングを行ったから必ずブランド認知度や注目度が上がるという訳ではありません。

しかし、自社や自社の商品・サービスの強みや価値を見出し、それを上手く訴求できれば、ブランドの認知度および注目度の向上につながります。

たとえば、ユニクロは商品や店舗で使うロゴの刷新だけではなく、ユニクロの強みである「安くて良い品質のメイドインジャパン」を有名スポーツ選手をアンバサダーにするなど、戦略的に訴求したことによって世界的な認知度向上に成功しました。

また、今ではよく知られる鍋のメーカー、バーミキュラは日本の老舗中小企業「愛知ドビー株式会社」のブランドです。海外のメーカーだと思っていた人も多いのではないでしょうか。

バーミキュラの鍋は、「ホーロー加工された鋳物の鍋なのに、無水調理できるほどの機密性の高さ」という革新的な技術と、技術者の努力に裏付けされた説得力のあるブランドメッセージにより、世界的な認知度向上に成功しました。

このように、ブランディングに成功すると、企業活動自体が注目され、宣伝・販促活動が効果的に行えるようになります。

また、投資家からも注目されるようになり、資金調達も有利に行えるようになるなど、付加的なメリットにもつながります。

ブランディングを行うユーザーメリット

ブランディングは企業側のメリットばかりが語られますが、実は企業がブランディングを行うメリットはユーザーにもあります。

具体的には、次の2つのメリットをユーザー側は受けることができるのです。

商品・サービスを選択しやすくなる

企業がブランディングを行うことによって、ユーザーは、商品やサービスを選択しやすくなります。

なぜなら、知っているブランドの商品であれば、購入時に迷わなくても済むからです。

たとえば、企業が全くブランディングを行わなかったらどうなるでしょうか。毎回性能や材質、品質などを見て自分自身で見極めていかなければなりません。

自分が欲しいと思っていたものとは違う商品を購入してしまうことも多くなるでしょうし、商品そのものを探す時間が多くかかってしまいます。

このように、企業がブランディングを行うことによって、私たちは自分の欲しいものを短時間で選ぶことができているのです。

安心感が得られリスク回避になる

ブランディングは、購入するユーザー側の安心感にも繋がります。

なぜなら、信頼感のあるブランドを選べば、「商品やサービスを購入した後に後悔するのではないか」という不安を感じなくても済むからです。

たとえば、いつも購入しているブランドの食品があると安心して購入することができますが、はじめて購入するブランドの食品はどうでしょうか。きっと「美味しいのだろうか?」「ちゃんとした品質をしているのだろうか?」など色々な不安が出てくるはずです。

また、ブランドが確立している商品を選ぶことによってリスクの回避にもつながります。

なぜなら、新しい商品を購入する場合は、購入したものが期待した機能を果たすのか、支払った価格に見合うのか、などのリスクを消費者側が負わなければならないからです。

このように、企業がきちんと自社の強みを訴求してブランディングしてくれているおかげで、私たちは安心してリスクの少ない買い物ができているのです。

マーケティングとブランディングの相関関係と経営における重要性

マーケティングとブランディングはこれまで説明してきた通り全く違う施策ですが、相関関係にあります。

なぜなら、ブランディングは土台であり、その土台の上でマーケティングを行うことでより大きな影響力のあるプロモーションが行えるからです。

ブランディングによって認知度や信頼性が高くなると市場での競争力が強化されます。このような状態でマーケティング活動を行うと、より自社の優位性を高めた上で商品やサービスを販売することが可能です。

企業活動においてブランディングとマーケティングは車の両輪のようなものであり、経営の安定化を図るための重要な活動だということができます。

マーケティングとブランディングを同時に実現させる方法

ブランディングは自社や自社の商品・サービスのイメージを高めようとする活動で、マーケティングは商品やサービスを売るための活動です。いずれも企業活動を行うためには重要な活動です。

この2つの活動を同時に実現できる効率の良い方法が「ブックマーケティング」です。

なぜなら、書籍であれば1冊で、商品やサービスの特徴だけではなく、自社の強みや取り組みなどを含めたあらゆる情報を伝えることができるからです。

また、書籍は信頼性の高い媒体なので、オウンドメディアなどのWeb媒体に比べて、ターゲットである消費者に良いイメージを作ってもらうのに最適な媒体ということができます。

このように、信頼性の高い媒体で商品やサービスについてのマーケティング要素、自社の強みや取り組みなどを含めたブランディング要素の両方を一気に伝えられるという点で、書籍は効率的な媒体と言えるでしょう。

しかし、商業出版や企業出版をはじめとしてただ書籍を出版すれば良いという訳ではなく、それをしっかりとターゲットの手元に届け、読んでもらわなければ意味がありません。

そこで、出版するだけではなく、ターゲットに読んでもらうまでを戦略的に行っていくのが、ブックマーケティングです。

さらに、ブックマーケティングでは、どのようなターゲットに、どのような書籍を届けたいかの戦略設計を行います。

たとえば、ブランディングやマーケティングをこれまで全く意識的に行ってこなかった会社であってもブックマーケティングという施策を通して、自社の強みを見出し(ブランディング)、それを書籍としてまとめて見込み顧客に届ける(マーケティング)の両方を実施することになります。

今後マーケティングやブランディングを強化していきたい、という会社だけではなく、今までどちらも意識的にやってこなかった、という会社が行うファーストステップとしてもブックマーケティングはおすすめです。

▶️ブックマーケティングの施策内容や効果については、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。

まとめ

この記事では、マーケティングとブランディングの違いや、ブランディングを行うことによる企業とユーザー双方のメリット、経営戦略におけるマーケティングとブランディングの重要性などについて詳しく解説しました。

前述しましたが、マーケティングとブランディングは企業という車の前進を支える両輪です。どちらも企業の存続には必要不可欠なものです。

ぜひ、この記事でマーケティングとブランディングについて正しく理解し、両方を上手く取り入れてみてください。

どのようにマーケティングやブランディングの施策を始めたら良いかわからないという方や、どちらもやっているけれどもなかなか成果がでない、という方は、それら2つの施策を同時に実行できる「ブックマーケティング」という施策を検討してみてはいかがでしょうか。

フォーウェイではブックマーケティングによる、企業のブランディングやマーケティングをサポートしております。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

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執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

「書籍をマーケティング戦略で活用」と聞くとどのようなメリットを思い浮かべるでしょうか。

出版の方法はさまざまですが、企業が取り組む場合はその具体的な活用法を知っておきたいところ。

この記事では、書籍マーケティングの手法やメリットについて詳しく解説します。

目次【本記事の内容】

書籍マーケティングとは

書籍マーケティングとは、書籍を自社の信頼性・認知度向上や企業ブランディングに役立てるマーケティング手法です。

出版社が持つ販路を利用できるため、効率的にターゲットの元に届けることができます。

独自の技術や実績などの企業の強み、開発秘話などをストーリーとしてまとめて一冊の書籍という形で出版すれば、書籍そのものの信頼性と出版社の全国的な販路を活かして効果的なマーケティングを行うことが可能です。

書籍マーケティングの具体的な手法

書籍マーケティングにはいくつかの手法が存在します。

それぞれに特徴やメリット・デメリットがあるため、自社にとってどの手法が合っているか比較することが大切です。

書籍マーケティングの具体的な手法は以下の3つです。

商業出版/すでに影響力のあるインフルエンサー向け

商業出版はすでに影響力を有しているインフルエンサーや著名人が著者となる場合に向いた手法です。

出版にかかる費用をすべて出版社が負担して、出版社が利益を出すことを目的としています。

つまり、出版社は「売れる」という確信が持てるものしか採用できません。

実際に、ヒット作やベストセラーになる書籍の多くがこの方法で出版されています。

商業出版では、無名の人物が企画を持ち込んだ場合、よほど内容が良いものでなければ採用されることはありません。

また、万が一採用されたとしても書籍の内容を制限されることがほとんどです。

一方で、すでに影響力のあるインフルエンサーであれば、「インフルエンサーのファンに買ってもらえるだろう」「このファンの数ならこれぐらいの利益が期待できる」と目処を立てることができます。

そのため、出版に踏み切りやすくなるのです。

商業出版は出版社の負担で書籍を出せる魅力的な出版方法ですが、書籍の内容の自由度が低いことがデメリットにもなり得ますし、そもそも採用されるのは至難の技であると言えるでしょう。

自費出版/出版した事実を残したい経営者向け

自費出版は出版にかかる費用を著者自身が負担する出版方法です。

出版社からの制限を受けず、経営者が読者(顧客)に伝えたいことを自由に書くことができます。

著名人ではなくても自伝や個人的なノウハウ、物語を書籍という形で出版することができるため、出版した事実を残したい経営者向けの出版方法です。

自費出版の書籍の一つに、山田悠介『リアル鬼ごっこ』があります。

『リアル鬼ごっこ』は著者のデビュー作ですが、この作品がヒットし、今やメディアから注目されるホラー小説作家となりました。

上記のようにヒットする書籍もありますが、簡単なことではありません。

ヒットさせるのが難しい理由として、「発行部数が少ないこと」「プロモーションを自分で行う必要があること」が挙げられます。

自由な内容で書籍を出版できるという点では魅力的ですが、費用負担が重く、利益も出しにくいという点がネックとなる出版方法です。

企業出版/マーケティングとして書籍活用したい経営者向け

企業出版は、「商品・サービスの認知度向上」「他社との差別化」「企業ブランディング」など、企業が抱える課題の解消を目的とする出版方法です。

出版に関わるすべての費用を企業が負担します。

企業出版の最大の魅力は、企業が伝えたいメッセージを書籍という形で発信することができる点です。

たとえば、企業理念や、これまでの歩み、商品開発ストーリーなどを書籍という形で発信すれば、それを読んだ読者の心を動かし、ファン化させることができます。

書籍は信頼性の高い媒体という共通認識があるため、「書籍を出版している」という事実があるだけでも顧客にとって安心できる要素になります。

また、WebやSNSなどの媒体よりもメディアへの露出を増やしたり、宣伝広告費の削減に繋げたりすることも可能です。

このように企業の課題を解決し、事業成長に繋げたい企業にとって最適な方法と言えます。

書籍マーケティングのメリットとは

書籍マーケティングは費用や時間のかかる手法です。

しかし、それでも取り組む企業は数多くあります。

なぜなら、以下の6つのメリットを享受できるからです。

メリット①:信頼感の醸成ができる

書籍マーケティングによって、顕在層をファン化して商品やサービスの購入を働きかけることができるようになります。

なぜなら、「書籍を出版している」ということによって信頼感を醸成することができるからです。

もし、ファン化した顧客の商品やサービスの購入頻度が低かったとしても、中長期的には売上に貢献してくれると考えられます。

メリット②:情報量が多い/情報が集約できる

書籍マーケティングを行うことによって、自社の商品やサービスのPRだけではなく、企業理念や経営者の考えを顧客に伝えることができます。

なぜなら、書籍は他の媒体(テレビCM・新聞広告・雑誌広告・Web広告・チラシなど)と比べて織り込める情報量が圧倒的に多いからです。

たとえば、A4のチラシの文字数は1,000文字〜2,000文字程度ですが、200ページ程度の書籍の場合の文字数は約7万〜10万文字になります。

また、商品やサービスの情報だけではなく企業理念や経営者の考えなども含めた顧客に伝えたい種々の情報を1冊に集約することができることもメリットとなります。

情報を集約化する過程で、経営者の思考を整理したり、編集者の外部の視点から新たな気づきが得られたりすることも期待できます。

メリット③:メディア露出が増えPR効果が高まる

書籍の内容の専門性や話題性が高い場合は、多くのメディアに注目されて、露出の機会が増えることになります。

なぜなら、書籍は信頼性の高い媒体と認識されているため、メディアはその信頼性の高い情報を採用したり引用したりしようとするからです。

たとえば、良質な睡眠を得る方法が書かれたWebやブログの内容よりは、書籍に書かれている方法の方が信頼性が高いと判断されて、メディアが書籍の内容を紹介しようとします。

その結果、メディア露出が増え、PR効果を高めることができるのです。

メリット④:コンテンツが資産となり長期活用が可能に

書籍マーケティングによるコンテンツは資産として残りつづけます。その理由は、書籍は長期にわたって流通し、書籍に書かれたコンテンツも様々な用途に二次利用することができるからです。

たとえば、自社の商品の開発ストーリーを書籍にまとめて出版した場合は、営業ツールやセミナー資料として配布することが可能です。

さらに、書籍からWebサイトやブログなどのオウンドメディアに転用された場合も長い間ネット上に残り続ける資産となります。

その内容の専門性が高く信頼性のある内容であればあるほど、書籍としても二次利用されたコンテンツとしても価値の高い資産として残り続けます。

メリット⑤:ターゲティングやエリアマーケティングに最適

書籍を購入してまで情報を集めようとする人は、その商品・サービスに対する関心が高いと言えます。

そういったユーザーをターゲティングすれば、ピンポイントでユーザーの心に刺さる書籍をつくることが可能です。

また、書籍マーケティングでは、特定のエリアの書店だけに重点的に配本して、そのエリア内の顧客の認知度を高めるといったこともできます。

このように、書籍マーケティングはターゲティングやエリアマーケティングがしやすいため、テレビCMなどのマス広告よりも効果的にマーケティングを行うことができるのです。

メリット⑥:インナーブランディングも強化できる

書籍の中に企業理念や経営者の考えなども含めておけば、その書籍を社内研修などで配布したり、Webで公開したり、従業員に対するインナーブランディングに活用することもできます。

たとえば、株式会社アカツキでは、「アカツキハート」という会社で掲げる哲学を社内に浸透させるために、ブランドブックを作成。

ブランドブックの作成により、本社から離れた福岡や台湾にある拠点にも哲学が浸透し、本社との熱量に差がない状況を作り出すことに成功しています。

このように、書籍マーケティングによって企業理念などを著すことで社員のロイヤリティを向上させ、インナーブランディングを強化することが可能です。

書籍マーケティング成功のポイント

書籍マーケティングを成功させるためには、ゴールまでの道筋を立てることが最も重要です。

企画から書籍がターゲットに届くまでの道筋が定まっていないと、目的を達成することはできません。

書籍マーケティングを成功に導くためには、失敗事例を知ることも必要です。

▶️失敗事例については、関連記事【企業出版の教科書|メリットから費用、成功のポイントまでまとめて解説】もあわせて参考にしてください。

失敗事例から学ぶ成功のポイントについて、詳しく見ていきましょう。

目的とターゲットの設定

書籍マーケティングの最初の段階で決めなければならないことは、目的とターゲットの設定です。

「何のために書籍を作るのか」「情報の受け手であるターゲットは誰なのか」が決まらなければマーケティングの成功はあり得ません。

目的地が定まっていないのに出発したら、道に迷ってどの目的地にも辿り着けないのと同じです。

逆に言えば、目的とターゲットがきちんと設定できれば効果的な書籍マーケティングを実現できるということです。

そのため、書籍マーケティングを利用して目的を達成するためには、最初に目的とターゲットを設定する必要があるのです。

プロモーション戦略の立案と実行

書籍マーケティングは、顧客が達成したいゴールから逆算して流通戦略や広告販売戦略を考えます。

書籍を出版したとしても黙っているだけでは書店に置いてもらうことはできません。

書棚に置かれるためには、新刊を必ず書店に並べることを約束する特約店契約や書店との関係性が大切です。

書店販売のための流通戦略以外にも、様々な施策を組み合わせて流通させていく方法もあります。

書店販売以外の流通戦略とは、出版記念イベントや、書籍の内容に関係する著名人やインフルエンサーとのコラボレーションなどです。

書籍に合ったプロモーション方法を立案し、確実に実行することは書籍マーケティングの成功のポイントと言えます。

書籍を出すことで満足しない長期的視野での活用戦略

書籍マーケティングは、書籍を出版することを目的とするものではありません。

なぜなら、書籍の出版は手段であり、商品・サービスの認知度向上や顧客の購買意欲向上などを図り、売上や利益の向上を図ることがゴールだからです。

書籍を出版することが目的になってしまっては、「名刺代わり」で終わってしまいます。そうならないためにも、出版した後に書籍をどのように活用するのかというイメージを立てておくことが大切です。

たとえば、書籍の企画決定後にクラウドファンディングを立ち上げて資金集めを図りつつ、書籍の事前告知をして認知拡大を図ったり、書籍の発売に合わせてSNS上でストーリーを紡いで続きを書籍に引き継いだりすることも活用方法として考えられます。

近年メジャーになっているLINEマーケティングを書籍に活用するのも効果的です。

書籍にLINEの友だち登録のQRコードを設置しておけば、ユーザーとの接点を作ることができます。

LINEで定期的に商品・サービス情報やクーポンなどを配信することで、コストをかけずに販促活動を行うことができます。

書籍マーケティングの出版社の選び方

書籍マーケティングにおいては、いかに自分が著したい内容に寄り添って提案・プロモーションをしてくれる出版社を選ぶかが大切です。

出版社を選ぶ上で見極めるポイントは次の3点です。

出版プランナーの提案と質疑応答

書籍の企画を考える段階では、「読者に何を伝えたいのか」「自社の強みはどういうところにあるのか」を整理して、どのような書籍を書くことができるかを出版社のプランナーと検討します。

このときには、プランナーの提案内容と質疑応答の態度などに注意しましょう。

たとえば、経営者の視点に立って提案をしてくれるような場合は問題ありませんが、質問に対して真摯に答えてくれず、はぐらかされてしまうような場合は要注意と考えるべきでしょう。

プランナーは出版社における営業の役割を担うため、プランナーの対応は出版社を見極める際の大きなポイントとなります。

出版社および編集者の実績

出版社の実績ということになると大手の出版社が優位になってしまいますが、実は編集者の実績も重要なポイントです。

なぜなら、「編集者がどのようなジャンルの書籍を得意としているのか」「これまでにどのような成功事例があるのか」によって、書籍マーケティングの成否が変わってくるからです。

たとえば、「編集実績が業界内でトップクラス」「編集した書籍が軒並み成功している」などの実績を持つ編集者がいれば、安心して任せることができるでしょう。

出版社のネームバリューだけにとらわれず、必ず編集者の実績も確認することが大切です。

書籍のプロモーション方法の確認

出版社がどのようなプロモーションを行ってくれるのかを具体的に確認することも、自分の書籍にとって良い出版社を選ぶ上で重要です。

書籍のプロモーション方法の確認を行うべき理由は、打ち合わせの時に決めたプロモーション方法が行われないことがあるからです。

実際に、提案時は「書店に並びますよ」などと調子がいいことばかり言っていたのに、実際に出版してみるとほとんど並んでない、一般の書棚ではなく自費出版専門の書棚に並んでいたというのはよくある事例です。

このようなことにならないためにも、依頼したプランやオプションの範囲内で、具体的にどのようなプロモーションを行ってくれるのか確認しましょう。

▶️書籍マーケティングの具体的なプロモーション方法については、関連記事【出版マーケティングの効果的なプロモーションとは? 広告手段も解説】もあわせて参考にしてください。

まとめ

この記事では、書籍マーケティングの具体的な手法やメリット、書籍マーケティングを成功させるためのポイント、出版社の選び方などについて詳しく解説しました。

書籍マーケティングを活用することによって、その書籍を企業のブランディングや認知度向上、顧客の購買意欲向上などに役立て、売上向上・利益改善などの経営課題の解決につなげることができます。

広告やSNS、SEO、オンライン施策など、様々なマーケティング手法を試しているにも関わらず、なかなか効果が出ない、目的を達成できない場合は、書籍マーケティングを取り入れてみてはいかがでしょうか。

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執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)

福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経営法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を歴任し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。

企業が安定して売上を作っているためには認知を向上させブランド化させることが重要です。

ただ認知度はそう容易く上げられるものではありません。

今回の記事では、企業が認知度を上げるために押さえておくべきポイントや具体的な認知度向上の手段を解説します。

目次【本記事の内容】

認知度とは何か

社名だけでなく事業内容や取り扱っている製品・サービスや、その価値が知られている度合いを指し示す指標が、「認知度」です。

たとえば、「サイゼリヤ」と言われた時に、「安くて美味しいイタリアンレストラン」のように、提供するサービス内容(イタリアンレストラン)や価値(安くて美味しい)まで連想できる人は多いはずです。

サイゼリヤのように多くの人に認知されている状態は「認知度が高い」と言えるでしょう。

一方で、「日清紡〜、名前は知ってるけど〜、日清紡〜、何をやっているかは知らない」という印象的なCMでおなじみの日清紡は、そのフレーズの通り、何をやっているかは知らないけれど、名前は知っている企業の代表例です。

このように、社名は知っているが、どのような製品やサービスなのかをよく知らない状態を、「認知度が高い」ではなく、「知名度が高い」といいます。

認知度と知名度の違い

認知度と知名度の違いは、「製品やサービスの内容や価値まで知られているかどうか」という点にあります。

知名度とは、「企業名や製品・サービスの名前が知られている度合い」を指します。

たとえば、企業名は知られていても、どんな製品・サービスを取り扱っているかわからないのは、「知名度が高く認知度が低い状態」です。

  • ・認知度:社名だけではなく製品・サービスの内容や価値まで理解されている状態
  • ・知名度:社名や製品・サービスの名前が知られている度合い

知名度が高く認知度が低い場合は、自社の取り組みや製品・サービスを知ってもらうための施策が必要になります。

認知度向上の目的

企業が認知度を向上させる目的は、顧客に製品・サービスを購入してもらうことです。

そのためには、自社の取り組みや製品・サービスの特徴を理解してもらう必要があります。

しかし、認知度を上げるには時間がかかるため、中長期的な戦略を立てて取り組むことが大切です。

認知度向上のメリットとは

認知度が向上する主なメリットは売上アップです。

なぜなら、認知度が向上すると、顧客が製品・サービスを購入する際の選択肢の一つとなりやすくなるからです。

売上アップ以外にも、企業や製品・サービスの認知度が向上するメリットは次の5つがあります。

5つのメリットについて、詳しく見ていきましょう。

ブランド価値及び信頼性の向上

認知度が高い企業の製品・サービスは、信頼性の高さにもつながります。

なぜなら、認知度が上がれば製品・サービスとの接点(タッチポイント)が増え、顧客が製品・サービスに好意的なイメージを持ちやすくなるからです。

タッチポイントを増やせば、色々な角度から繰り返しアプローチできます。

結果として、ブランド価値の向上につながりやすくなるのです。

ブランド価値を向上させることができれば、「高級スーパーといえば⚫️⚫️」「深夜にゆっくり嗜むなら⚫️⚫️のウイスキー」といったように、優先的に選ばれやすくなります。

BtoBのビジネスでも「この案件を発注するなら⚫️⚫️」「この類のコンサルを依頼するなら⚫️⚫️」というように、同様のことが言えます。

このように、認知度を高められれば、顧客からの信頼の獲得にもつながり、リピート購入や固定客の獲得にもつながりやすくなるのです。

競合他社との差別化による新規顧客の獲得

企業の認知度が向上すると、競合他社との差別化を図ることができ、価格競争から脱却できます。

なぜなら、「⚫️⚫️の製品ならば間違いない」という信頼性を獲得できるからです。

たとえば、家電製品を選ぶ時に、「知らないメーカーの安い製品ではなく、少し高くてもよく知っているメーカーのものを選ぶ」という人は多いと思います。

BtoBビジネスの場合でも同様のことが言えます。

このように、認知度によって差別化を図ることで、比較的高めの価格であっても顧客の方から選んでもらいやすくなるのです。

業界内での影響力向上

企業の認知度が向上すると、必然的に業界に与える影響も大きくなります。

たとえば、ビール類で市場シェア2位を誇るキリンビールは、コロナ禍でビール市場が縮小したことにより、販売業績が前年を下回る結果となりました。そこで、起死回生を狙うべく投入したのは、「スプリングバレー」というブランドのクラフトビールです(2021年3月発売)。

テレビCMや広告、店舗向け小型ビールサーバーの展開により認知度を向上させた結果、クラフトビール業界をけん引する存在となりました。同社調べでは、2021年の国内の販売規模は6万リットル強と、20年と比較すると約1.6倍に増加しているそうです。(※1)

また、認知度が向上すれば、「影響力がある会社」として紹介が増えたりアライアンスの打診が増えたり、ビジネスチャンスの拡大につながりやすくなります。

このように、認知度を向上させることで、企業はさまざまな恩恵を受けることができるのです。

※1:日経クロストレンド「キリンはクラフトビールに活路 17年連続縮小のビール市場活性化へ

広告宣伝費の長期的な削減

企業の認知度が上がることは、広告宣伝費の削減にもつながります。

なぜなら、認知度が向上すると、口コミやSNSなどで製品・サービスの情報が自然と拡散されやすく、宣伝される機会が増えるためです。

たとえば、認知度が高い企業が生み出した製品・サービスが、SNSで拡散されているのを見たことがあるという人は多いのではないでしょうか。

このように、認知度が向上することで「この企業の製品だから自分も紹介したい」という状態を作ることができます。

ユーザーが自ら紹介したいと感じる状態が生まれれば、短期的な広告宣伝を行って購入を喚起する必要がなくなるため、結果的に広告宣伝費の長期的な削減にもつながります。

このように、「広告依存から脱却する」という観点からも、企業にとって、認知度を上げる活動は重要なのです。

人材採用の決定率の向上

認知度が向上すると、「この企業で働きたい」という意欲を持った人が集まりやすくなります。

なぜなら、誰もが見知っていたり、どんな取り組みを行っているのか、どんな製品・サービスを提供しているのかイメージがつく企業に対して、人は好意的な印象を持つからです。

一方で、そもそも何をしている会社なのかが分からない場合、好意的な印象を持てないどころか、選択肢の1つにもなれません。

また、何をしている企業なのか分からないと、入社後のミスマッチにもつながりやすくなります。

このように、認知度を向上させることは、求職者数の増加にもつながるだけではなく、人材のミスマッチの予防も可能です。

結果的に、人材採用における決定率の向上につながります。

認知度向上の方法とは

認知度の向上において大切なのは、自社の製品・サービスの強みと相性の良い媒体や手法を活用することです。

企業が認知度を向上させるための方法としては、主に次の5つの方法があります。

それぞれ、どのような方法なのか詳しく解説します。

広告媒体の活用

企業が認知度を向上させる一般的な方法が「広告媒体の活用」です。代表的なのが、テレビやラジオ・新聞・雑誌などのマスメディアを用いたマス広告や、検索連動型広告やディスプレイ広告・リターゲティング広告などのWeb広告です。

インターネットの普及によりマスメディアの影響力が落ちてきているといわれていますが、マス広告は、依然として高い効果が期待できる方法の1つです。

マス広告の場合、顧客は偶然に広告を見ることになるため、潜在顧客に対して広告を見せて認知を獲得する効果が期待できます。

たとえば、ふと目に入るテレビCMが印象的で、紹介されている製品やサービスについて調べた経験のある方はいるのではないでしょうか。

一方で、インターネット環境における広告媒体として検索連動型広告やディスプレイ広告・リターゲティング広告があります。

検索連動型広告やディスプレイ広告、リターゲティング広告の概要は以下の通りです。






検索連動型広告 GoogleやYahoo! JAPANなどの検索エンジンで検索したときに、検索したキーワードに連動して表示される広告のこと。製品やサービスの購入を検討している顧客にアプローチできるため、費用対効果が高い点が特徴。
ディスプレイ広告 Webサイトやアプリの広告枠に表示される画像や動画の広告のこと。イメージとして顧客が視認することができるため、認知度の向上効果が高い点が特徴。書籍の広告も相性が良い。
リターゲティング広告 自社のWebサイトに訪問したことのある顧客に再度広告を表示させるWeb広告。
自社の製品やサービスに興味を持ってサイトを訪れた顧客に、再度広告を表示することができるため、認知率を向上させ購買につなげることが可能。


検索連動型広告やディスプレイ広告、リターゲティング広告は、ターゲットを細かく設定できるのが強みです。

たとえば、「キャンプ用品に関するサイトを訪れたら、YouTubeの広告にキャンプメーカーの広告が表示されるようになった」のような経験がある人は多いのではないでしょうか。

このように、マス広告とWeb広告は異なる強みや特徴があるため、2つを組み合わせることで認知度を効率的に向上させることが可能になります。

SNS媒体の活用

SNSはコミュニケーションツールとしてだけではなく、情報収集ツールとして活用されています。

そのため、うまく活用することによって効率的に認知度を向上させることができます。

たとえば、アイスクリームメーカーのハーゲンダッツジャパンは、ハーゲンダッツのミニカップに現れるハート型をシェアしてもらうキャンペーンを実施しました。

このキャンペーンは、X(旧:Twitter)を媒体として行われ、約4,200件もの投稿が集まっています。

投稿がタイムライン上に表示されることで、企業名さえ知らなかった人から知ってはいたけど何をしている企業か分からない人まで、さまざまな層の認知度を高めることにつながった典型的な事例です。

また、自社のアカウントを使ってSNSキャンペーンや広告を打つのではなく、「既にSNS上で一定の影響力を持つインフルエンサーに情報を発信してもらう」といった方法もあります。

インフルエンサーが製品やサービスに好意的な意見を投稿すると、自然に消費者目線の情報として拡散され、そのフォロワーにも情報が届きます。

インフルエンサーが、あたかも自然にその製品やサービスを使っているかのように見せかけるステルスマーケティングの規制には十分注意が必要ですが、「これはPRである」と明示したうえで、影響力のあるインフルエンサーに製品・サービス情報を発信してもらうのは、認知度の向上に効果的です。

また、SNSと言っても色々な種類があります。InstagramやX(旧:Twitter)、TikTok、YouTubeなどのSNSごとにユーザー層が異なるため、ターゲット層に合わせて最適なSNSを選ぶことが必要です。活用する際は、どの潜在層に届けたいのかを明確にして適切なSNS媒体を選ぶようにしましょう。

ウェブでのコンテンツマーケティングの実施

コンテンツマーケティングでは、特定の企業の取り組みや製品・サービスについて知らない潜在層に対して認知を拡大させることが可能です。

なぜなら、企業の取り組みや製品・サービスを認知していないユーザーに、自然な形で知ってもらうことができるからです。

たとえば、新たな集客施策としてリスティング広告を検討している場合、いきなりリスティング広告の企業に依頼する人はいません。まずは情報収集から始める人がほとんどでしょう。

この場合、検索エンジンで「リスティング広告とは」「リスティング広告 メリット」「リスティング広告 業者」などのキーワードで検索し検索上位にあるコラムなどを見て情報収集していくと思います。

その際に、検索上位に出てきたコラムを運営する企業に対して人は、「A社はリスティング広告において有名な企業」というイメージを持ちやすくなります。

また、そのコラムの内容が優れていた場合には、「この企業は信頼できる」というイメージもプラスされるでしょう。

このように、コンテンツマーケティングで質の高いコンテンツを作成して検索上位を狙うことは認知度の向上においても重要です。

有名人やインフルエンサーとのコラボレーション

有名人やインフルエンサーとコラボレーションすることも、認知度の向上に効果的です。

特に、好感度の高い有名人やインフルエンサーを起用すれば、企業や製品・サービスに対するイメージアップを図ることができます。

さらに、「あの有名人がPRしている商品」として認知されるだけではなく、利用シーンも伝えることができるため、ユーザーがイメージを湧かせやすくなります。

たとえば、ヘアケア製品を扱う企業であれば、髪が綺麗な有名人を起用することで「私もこんな髪になれるかも」「この有名人が使っているなら効果があるだろう」と売上に直結させることができるのです。

このように、有名人やインフルエンサーとのコラボレーションによって認知度を向上させるためには、知名度や好感度、製品・サービスとの相性まで考えて起用することが大切です。

ブックマーケティングの活用

ブックマーケティングを活用することで、特定のターゲットの認知度を向上させやすくなるだけでなく、不特定多数の人々に認知してもらうきっかけを掴むことができます。

そもそもブックマーケティングとは、書籍の出版だけではなく、SNSやSEO、クラウドファンディングなど、あらゆるマーケティング施策を組み合わせて書籍をより多くのターゲットの元に届けるマーケティング手法のことです。

ブックマーケティングは、「認知度をあげたいが、SNSやWeb広告などでは期待したような効果が得られなかった」「成約までに顧客教育や関係値構築が必要で、時間がかかりすぎる」という企業の次なる認知度向上のための施策としておすすめです。

なぜなら、ブックマーケティングの場合、他の手法とは違い、特定のターゲットに書籍コンテンツ(長い文章)を読んでもらえる可能性が高くなるからです。顧客教育や関係値構築、信頼の獲得がその一冊で完結してしまうため、結果として、成約につながりやすくなるという訳です。

たとえば、弊社でブックマーケティングを行わせていただいたある不動産会社の場合は、不動産投資という単価が高いサービスだったこともあり、顧客教育や関係値の構築に時間がかかることが悩みでした。Web広告やSNSでもうまく自身のサービスの強みを伝え切ることができなかったそうです。

そんな時に弊社のブックマーケティングを活用し、高給取りであり、高額納税者でもある医師をターゲットに、節税対策としての不動産投資のメリットを解説した書籍を出版し、医師の手元に届けたところ、発売2ヶ月で6億円もの売上につながりました。

このように、ブックマーケティングは、BtoB企業や、製品やサービス単価の高い企業などの認知度向上に効果的な施策の1つと言えます。

ブックマーケティングが認知度向上に与える影響

ブックマーケティングで認知度が向上すると、様々な部分でポジティブな影響が出てきます。

主にブックマーケティングが認知度向上に与える影響は以下の5つです。

企業メッセージの具現化とブランドイメージの強化

書籍を活用し企業の理念や価値観を具現化することで、読者とのコミュニケーションを通じて企業メッセージを浸透させることが可能です。

なぜなら、書籍を読むことで読者は企業のメッセージを理解し、共感や応援の気持ちを抱く傾向があるからです。

たとえば、自動車メーカーが自社の環境保護への取り組みをアピールするために、サステナブルなモビリティの重要性に焦点を当てた書籍を出版したとします。

書籍の中で、環境保護やサステナビリティに関する具体的な取り組みが紹介されることで、読者の中に共感や「応援したい!」という気持ちが生まれれば、ブランドに対してよりポジティブなイメージが形成されるのです。

さらに、企業メッセージの具現化とブランドイメージの強化ができれば、売り上げの増加や利益率アップなどの経営課題の解決に寄与することもできます。

ターゲットとの親和性の向上

コンセプト設計の段階からターゲットを定め、ニーズを理解したりコンテンツを選定したりすることで、ターゲットとの親和性を高め、書籍の売上を向上させることが可能です。

なぜなら、自分にとって親和性の高い情報だと感じると、人はその情報を求めやすい傾向にあるからです。

たとえば、書店を訪れた際、平置きされている書籍のタイトルや装丁に惹かれて購入してしまったという経験がある方は多いのではないでしょうか。

このように、ターゲットのニーズを理解した上で書籍のタイトルや装丁をターゲットに刺さるように作ることで、ターゲットとの親和性を高めることが可能です。

また、ブックマーケティングの場合は、SNSやSEO、クラウドファンディング、セミナーなどあらゆる手法を活用し、特定のターゲットに書籍が届くように仕掛けをしていきます。

そのため、書店だけではなく、あらゆる媒体において、ターゲットとの親和性の向上につなげることができます。

専門知識や情報発信力のアピール

書籍を出版するには、相応の専門知識が必要になるため、顧客に対して「この企業は専門性の高い会社だ」という印象を与えることができます。

なぜなら、そもそも書籍は信頼性が高い媒体だからです。

具体的には、書籍出版までの過程では、編集者や校正者などのプロが目を通すことになります。

加えて、出版社が事業として出しているものなので「信頼できる情報だ」という共通認識があるのです。

さらに、ブックマーケティングには、読み物としての魅力や専門知識を効果的に情報として発信する力も必要となります。

つまり、ブックマーケティングを行うことによって、専門知識とともに情報発信力があることも示すことができるのです。

イメージアップと信頼度向上

イメージの良し悪しによって多くの顧客が製品やサービスの選択をしていると言われているため、イメージアップは企業にとって大きな課題となっています。

そこでブックマーケティングを活用すれば、認知度の向上とともにイメージアップと信頼度の向上が期待できます。

なぜなら、商品開発の過程や創業時のできごとなどをストーリーにのせて表現することで、人の心を動かし、記憶に残すことができるからです。

実際に、経営者の自伝を読んで、「自分もこうなりたい」と感じ、自伝を著した経営者のファンになったことがある人は少なからずいるはずです。

このように、ストーリーにのせることで、より自然な形でイメージアップや信頼度の向上を図ることができるのです。

出版記念イベントやプロモーションによる認知拡大

書籍の出版に合わせた記念イベントや書店プロモーションなどを行うという方法もあります。

出版記念イベントには、大手書店の店頭、イベント会場、オンラインなどの方法があります。書籍の内容やターゲット層の特性などによって最適な方法を選ぶことが重要です。

出版記念イベントを行う場合は、事前に自社Webサイトやブログなどのオウンドメディア、SNSなどで事前に告知を行うことで、より多くのターゲット層に知ってもらうことができます。

出版記念の具体的な例として、出版記念のトークイベントとして書籍の内容を深掘りするセミナーの開催や、内容に応じたゲストと著者との対談などが挙げられます。

ゲストの選び方によっては、当初予定していたターゲット以外の層にもアプローチすることが可能です。

このように、ブックマーケティングという施策の中で記念イベントやプロモーションを行うことで、認知拡大に繋がります。

▶️ブックマーケティングについては、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。

まとめ

認知度を向上させることで、ブランドの価値が上がり、売上アップに貢献することを解説しました。

認知度向上の方法には、広告やSNS媒体、Webでのコンテンツマーケティング、有名人やインフルエンサーとのコラボレーション、ブックマーケティングなどがありますが、どの施策もすぐに成果が出るとは限りません。

そのため、長期的な視点で戦略を立てていく必要があります。

また、自社と相性の良い施策を選ぶことも重要です。

特にBtoB企業や、製品・サービスの単価が高い企業などのようにターゲットが明確な場合は、一般的なマーケティング施策をやっても効果が出ないことがよくあります。

そんな時には、次なる認知度向上のための施策として、ブックマーケティングを検討してみてはいかがでしょうか。

▼パノラボのブックマーケティングのご案内はこちら

参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

企業ブランディングの方法としてストーリーブランディングが注目を集めています。

売れ続ける企業には理由があり、共通点は発信しているストーリーに消費者が心を動かされていることです。

本記事では、ストーリーブランディングの価値やメリット、具体的な方法を解説します。

目次【本記事の内容】

ストーリーブランディングとは

ストーリーブランディングとは、企業や製品・サービスのブランドイメージを確立するために、ストーリーを活用するブランディング手法の一つです。

心理学では「人は感情が揺さぶられたときのことを深く記憶する」と言われています。

そのため、単に企業の成り立ちや、製品の開発エピソード、発売・リリースまでの道のりを解説するよりも、ストーリーにのせて伝えた方が、自社や製品・サービスの印象が強く残りやすくなるのです。

たとえば、経営者が自伝や伝記を出版しファンを増やしたり、ブランドムービーを作ったり、CMを物語調にしたりするのはストーリーブランディングの手法の一つです。

また、ストーリーブランディングは、結果として競合他社との差別化にもつながります。

たとえば、競合他社よりも製品・サービスの質や価格が劣っていたとしても、ストーリーで顧客の感情に強く訴えかけることができれば、「この製品・サービスを買いたい」と思ってもらえます。

このように、ストーリーブランディングは、単なるブランディング手法としてだけではなく、競合他社との性能・価格競争を脱却し、強固な差別化を図るための手法としても注目されているのです。

ブランディングのもたらす価値を知る

ブランディングがもたらす価値の種類は、主に次の4つです。

  • ・機能的便益
  • ・情緒的便益
  • ・自己表現便益
  • ・社会的便益

それぞれどのような価値なのかを詳しく見ていきましょう。

その1:機能的便益

機能的便益とは、商品やサービスの基本的な便益のことです。簡単に言えば、「商品やサービスそのものの良さ」という意味です。

機能的便益が低いと、商品やサービスを利用したユーザーから低い評価しか得られなくなります。そのため、企業がブランディングにより真っ先に取り組むべきものは機能的便益の向上と言えるでしょう。

たとえば、スポーツシューズの場合であれば「履き心地が良い」や「走ったときの衝撃が小さい」という機能的便益があります。

「このメーカーのスポーツシューズは履き心地が良い」「このメーカーのスポーツシューズは走ったときの衝撃が小さい」のように、ブランディングにより、自社製品・サービスの機能的便益が向上すれば、売上に繋がります。

しかし、現代ではさまざまな特徴を持った製品サービスが市場に溢れているので、機能的便益だけで他社との差別化を図るのは難しいのが実情です。

その2:情緒的便益

情緒的便益とは、特定のブランドの商品を購入する時に覚える感情のことです。

顧客が商品やサービスを選択する際には、機能的便益だけでなく、情緒的便益も重要な要素です。

たとえば、パソコンを購入する際に、機能面や価格の安さで劣っていたとしても「スタイリッシュでかっこいい」「これを持っていると気持ちが高揚する」というように、情緒面でApple社のMacBookシリーズを選ぶ人は多いのではないでしょうか。

このような情緒的便益は、企業やブランドの歴史、独自の世界観などのブランドストーリーによって作り上げられます。

競合他社の商品やサービスとの価格・性能競争にならず、差別化を図るために有効なのが、この情緒的便益です。

その3:自己表現便益

自己表現便益とは、特定のブランドの製品やサービスを身に着けたり、利用したりすることによって顧客が自己表現をできる便益のことです。

たとえば、高級ブランド品を持っていることによって「お金持ちになった気分になれる」「自信が持てるようになる」というような気持ちになれるのが、自己表現便益になります。

自社の製品・サービスが顧客に自己表現便益を提供できるようになると、ブランドと顧客との関係が強固になり、結果としてリピートやLTV(ライフタイムバリュー)の向上につながります。

その4:社会的便益

社会的便益とは、特定ブランドの製品やサービスが顧客をある社会的集団やコミュニティに所属させる便益のことです。

さらに、その商品やサービスを所有していることにより感じる「集団の一員である」という所属感や、それに伴う喜びや満足感も社会的便益にあたります。

たとえば、あるブランドのファッションを着ていることによって「おしゃれな人」に属していると感じる場合は、そのブランドは社会的便益を持っていることになります。

ストーリーブランディングのメリット

ストーリーブランディングを実施するメリットは、主に次の3つがあります。

  • ・シーンが伝わりやすい
  • ・共感を得られやすい
  • ・ファン獲得に繋がりやすい

それぞれどのようなメリットなのかを具体的に見ていきましょう。

シーンが伝わりやすい

創業時の苦労、製品・サービスの開発プロセスが、映画のワンシーンのように顧客に伝わりやすくできることは、ストーリーブランディングならではのメリットです。

たとえば、製品・サービスを利用している最中に、開発プロセスや開発者の想いなどが映画のワンシーンのように脳裏に浮かび、感慨深い気持ちになったり、「頑張るぞ」と気持ちが高揚してきたりした経験がある方も多いのではないでしょうか。

ただ利用することとは違った感情が顧客に芽生えるため、製品・サービスに特別な感情を抱くようになります。結果として顧客に「この製品・サービスでないとダメだ」と思ってもらいやすくなり、リピート購入などにつながりやすくなります。

共感を得られやすい

ストーリーブランディングは顧客の共感が得られやすいというメリットもあります。

たとえば、次の2つの製品の紹介文を比べてみてください。

・その1:子育てと仕事の両立に悩むシングルマザーのためのサプリメントです。
・その2:このサプリメントは、「子育てと仕事の両立に悩むシングルマザーの悩みを解決したい」という開発担当の女性社員の想いから生まれました。またその想いに共感した3人のシングルマザーの社員が立ち上がり、プロジェクトチームが発足。300以上の試作品を作り、成分1gまで細かく調整。5年かかってようやく完成したサプリメントです。

簡単ではありますが、その2の紹介文の方が開発プロセスや開発者のバックグラウンドも見え、ただのサプリメントとは違う感情が湧き出てきませんか?

このように、ストーリーは顧客の感情に訴えかけるため、機能性をアピールするブランディング手法よりも顧客の共感を得やすく、拡散性が高いという特徴があります。

ファン獲得に繋がりやすい

ファンの獲得につながりやすいということもストーリーブランディングのメリットと言えるでしょう。

顧客がストーリーに共感するとブランドそのものに魅力を感じるようになり、ファン化してブランドから離れづらくなります。

ファンが獲得できると、LTV(ライフタイムバリュー)が上がったり、リピート購入につながったり、製品・サービスの性能や価格によらず、売れ続ける状況が生まれやすくなります。

企業がストーリーブランディングを始めるべき理由

商品やサービスの機能などでは競合他社との差別化が難しくなってきている時代。

そのため、今後は、機能的便益以外の要因によって差別化を図る必要があります。

機能的便益以外で競合他社との差別化を図るために有効な方法として注目されているのが、ストーリーブランディングです。

具体的に、なぜ今企業がストーリーブランディングを始めるべきなのか、その理由は次の3つです。

  • ・容易に商品・サービスが購入できる環境
  • ・ものや情報が溢れている環境
  • ・SNSの普及による情報キャッチの速さ及び拡散性

それぞれ3つの観点について解説していきます。

容易に商品・サービスが購入できる環境

今は、いつでも好きなときにネットショッピングを利用して、製品・サービスが購入できる時代です。

もっと極端に言えば、どのメーカーの製品・サービスを買っても基本的に必要な機能はあらかた備わっています。また、ネットで購入した商品は翌日か翌々日には届きます。

今や機能や品質、納期などで差別化することに限界が来ている時代なのです。その突破口の一つとして、ストーリーブランディングが重要になってきます。

ものや情報が溢れている環境

インターネットでも店舗でも、今現在、市場にはモノが溢れています。

むしろ、「製品・サービスを購入したくても選択肢が多すぎて選べない」という悩みを抱える人の方が多いのではないでしょうか。

このように、物質的に満たされた環境だからこそ、顧客はモノの豊かさよりも心の豊かさを重視する傾向にあります。

また、それに伴い、顧客は自分のライフスタイルや価値観に合った製品・サービスを選択する傾向が増えてきています。

だからこそ、顧客の感情に訴えかけるストーリーブランディングが有効な時代とも言えるのです。

SNSの普及による情報キャッチの速さ及び拡散性

今は、FacebookやX(旧Twitter)、Instagramなど、SNSの普及によって情報の伝達や更新、拡散のスピードが早い時代です。

また、各SNSの「いいね」や「リツイート」「リポスト」などの機能より、共感の意思表示や、情報の拡散も容易です。

そのため、SNSのユーザーが共感しやすいストーリーブランディングの方が、従来のマーケティング手法よりも、より多くの見込み顧客にアプローチでき、認知してもらえる可能性が高くなります。

実際に、SNSを利用したストーリーブランディングを展開する企業も増えており、インフルエンサーが消費者目線で企業のストーリーを投稿したり拡散したりする活用法も増えてきています。

このように、今の時代に、競合他社との差別化を図るためには、SNSの活用も必要不可欠です。

▶️ストーリーブランディングを含む、他社との差別化戦略成功の秘訣については、関連記事【差別化戦略の成功の秘訣ーメリットとデメリット、成功事例の解説】をあわせて参考にしてください。

ストーリーブランディングの3パターン

実際にストーリーブランディングを行おうと思ったら、次の3つのパターンを押さえておくと良いでしょう。

3つのパターンを一つひとつ紹介します。

パターン①:エピソードストーリー

エピソードストーリーとは、一つひとつの細かいエピソードのことです。

簡単に言えば、創業や製品・サービス開発のこぼれ話、と呼ばれるような小さなエピソードのことです。

たとえば、『沈黙のWebマーケティング』という書籍で有名なSEO会社である株式会社ウェブライダーは、自社運営の文章作成アドバイスツール『文賢』のバージョンアップに伴うHP改善MTGをYouTubeでライブ配信しています。

一見、「自社MTGを配信するなんて、誰のため、何のためのYouTubeライブなのか」と思われるかと思いますが、これはれっきとしたストーリーブランディングの施策です。

なぜなら、このYouTube配信を通して、製品開発にどのような人がどういう温度感で関わっているのかが伝わるからです。「誠実に真剣に仕事をしている会社」「ちゃんと色々とやってくれる会社」というイメージを顧客に理解してもらう上で有効なエピソードと言えるでしょう。

また、その他にも次のようなちょっとした社内でのエピソードが、そのままストーリーブランディングとして使える可能性があります。

  • ・ぶっちゃけた話
  • ・失敗した話
  • ・他社と比べて劣る点の話
  • ・コミットした話
  • ・社内で感情と感情がぶつかり合った話
  • ・苦労した話
  • ・開発の裏側

一つひとつのエピソードは小さくても、順にストーリーとして伝えていくことによって、全体としてまとまったイメージを顧客に持ってもらうことができます。

たとえば、「開発責任者がミーティングに遅刻して社長に怒られた話」など、一見すると「使えないだろう」と思われるようなエピソードも、使いようによってストーリーブランディングに有効な可能性があるのです。

パターン②:ブランド化ストーリー

ブランド化ストーリーとは、自社や商品・サービスが認知されてブランド化されるまでのストーリーのことです。

創業ストーリー、製品・開発ストーリーなどがこれにあたります。

ブランド化ストーリーを作る上で重要なのが、ナンバーワンではなくオンリーワンになることです。

自社が勝てる強みを見つけ、その軸で創業ストーリーや製品・開発ストーリーを語っていくことが何より重要になります。また、ここでいう強みとは、製品・サービスの品質や性能の高さ、安さなどではなく、「自社らしさ」のことです。

たとえば、チームプレーを大切にしている企業であれば、社員同士で衝突したり、助け合ったりしたエピソードなどをメインに語ることで、「チームプレーを大切にしている会社」というイメージが伝わりやすくなります。

製品・サービスをメインに紹介しがちですが、ブランド化ストーリーの場合は、むしろ製品・サービスよりも、「自社らしさ」にフォーカスした方が、良い結果につながりやすいと言えるのです。

パターン③:ビジョンストーリー

ビジョンとは「まだ実現はしていないが将来こうありたい」という想いのことです。

将来の見通しや長期的な目標という言い方もできるでしょう。

ビジョンストーリーは、顧客に対してだけではなく自社の社員に対しても働きかける効果があり、モチベーションを高めたり組織の活性化を図ったりする効果が期待できます。

あくまで1つの参考例ではありますが、「人を成長させる会社」というビジョンを顧客や自社の社員に印象づけたければ、「一人の失敗が多い社員が仕事を通して成長していく様を追ったドキュメンタリー風のストーリーにする」などがストーリーとして有効でしょう。

「会社のビジョンを安直に表現しなければ伝わらないのでは?」と思ってしまう人もいらっしゃるかと思いますが、違います。それがストーリーブランディングの難しいところです。

言いたいビジョンをそのまま安直に伝えるのではなく、人の成長や、気持ちの変化などを通して暗にビジョンを伝えるから、伝わるのがストーリーブランディングです。

たとえば、今はもう公開終了していますが、アニメーション映画監督の新海誠さんが手がけた大成建設のCMを見たことはあるでしょうか。

色々な社員が抱える悩みや葛藤を乗り越えて、「それでも自分の仕事はきっと人々の役に立つから」と仕事に邁進していく姿を30秒ほどのアニメーションで描いています。

このCM内では、大成建設のビジョンなどはほとんど語られていませんが、同社が伝えたい「地図に残る仕事」というビジョンを強烈に印象づけられます。

「直接ではなく、暗につたえる」ということがビジョンストーリーを作る上でのポイントと言えるでしょう。

ストーリーブランディングの具体的な方法

ストーリーブランディングによってブランドイメージを確立するにはいくつかの方法がありますが、特に有効なものが、「SNS活用」と「ブックマーケティング」です。

実際に、これら2つがどのような方法なのかを解説します。

ストーリーブランディングでのSNS活用方法

顧客の多くがSNSを情報収集やコミュニケーションツールとして利用している時代。ストーリーブランディングにおいても、SNSを積極的に活用していきましょう。

ストーリーブランディングでのSNS活用で最も重要なのは、「企業側が一方的に発信したい情報だけを発信しても意味がない」と言う点です。

たとえば、毎回投稿が「新サービスをリリース」「新しいサービスを開始」「セミナーを開催」などの告知ばかりでも、顧客には全く響きません。

SNS上で顧客が見るのは、興味関心のあることだけです。企業が発信したいこと、宣伝目的の発信などには反応されません。

ストーリーブランディングをSNS上でうまく行うためには、顧客が共感するようなことを投稿していく必要があります。

たとえば、「商品開発の裏側」など前述のエピソードストーリーでお伝えしたような、細かくキャッチーなエピソードは、SNS上の顧客の心に響く可能性があります。

たとえば、2020年ごろにX(旧Twitter)上でされた「冷凍餃子を夕食に出したら夫に手抜きだと言われた」という投稿に対して、味の素は「それは手抜きではなく、手”間”抜き」ですよ。大変な手間をお母さんの代わりに丁寧に準備しております〜(以下省略)」といった想いの丈を投稿。

このハートフルな味の素の投稿は話題となり、多くの共感が集まりました。また、このタイミングで味の素は冷凍餃子の製造工程を公開。

ただ「弊社の冷凍餃子の特徴は〜」と安直に語るのではなく、1人の女性に救いの手を差し伸べる自然な形で自社のブランディングを高めることに成功しています。

このように、一方的な情報発信の場ではなく、顧客とのコミュニケーションの場として、投稿を作成していくことが、後々結果につながっていく、というのがストーリーブランディングのSNS活用の鉄則と言えるでしょう。

ストーリーブランディングとしてのブックマーケティング

ブックマーケティングは、書籍をマーケティングに活用する手法のことです。

企業が自社や商品・サービスなどについてまとめた書籍を出版して認知度向上や購買意欲向上などに役立てていきます。

ブックマーケティングは、一般的に企業の強みや独自技術、企業としての取り組みなどをストーリーとしてまとめますが、ストーリーブランディングに活用する場合は、顧客の感情に訴えるような内容にする必要があります。

そして、ブランディングのためのストーリーの見つけ方として、「絞り込む」「見せ方を変える」「宣伝してしまう」という3つのアプローチ方法があるので、これらをうまく組み合わせて行っていきましょう。

「絞り込む」とは、商品やサービスの分野や、ターゲットを絞り込むことです。自社の強みとなる専門性や魅力などが見つかればブランド化につながります。

たとえば、「不動産投資による節税対策」という本を書いたとしても、ターゲットとなる対象が広すぎて手にとってもらえない可能性があります。

しかし、「医師のための不動産投資による節税対策」のように、高額所得者であり高額納税者でもある医師にターゲットを絞ることで、医師に手にとってもらいやすくなります。

実際に、この書籍を出版した不動産会社には医師からの問い合わせがあり、約2ヶ月で約6億円の売上がありました。

出版から約2ヶ月で、医師からの問い合わせがあり、約6億円の売上があがった書籍はこちらです。

このように、「絞り込む」ことで特定の対象に刺さりやすくなります。

「見せ方を変える」は、自社の商品やサービスに新しい何らかの付加価値を付けて、顧客に新しい何かを見せることです。今までにない新しい共感を顧客から得るきっかけにつながります。

たとえば、とある保険代理店は、一般的な少人数のスーパー営業マンに頼る経営から、アベレージヒッターを育てていく再現性のある経営への切り替えを提唱し、書籍で紹介。結果的に、保険業界の関係者からの共感を呼び、多くのセミナーや講演会に招かれたり、紹介者が増えて保険契約数の向上につながっています。

このように、「保険代理店だから保険を提案する」という見せ方から、「保険代理店の常識を変える」という見せ方に変えたことによって、ブランディングに成功し、結果として成果につなげることができたのです。

実際に、出版した書籍がこちらです。

「宣伝してしまう」は、とりあえず宣伝してしまうことによって、それが一人歩きしてブランド化につながるというものです。

たとえば、次の書籍の方は、「年商一億円のフリーランス」という名目で宣伝してしまうことで、フリーランス業界の成功者のようなブランディングを作り上げています(書籍はこちら)。

嘘はいけませんが、実際にこのように自身の成果や結果を肩書きとして語ることで、ブランディングにつながる可能性は十分にあります。

この「絞り込む」「見せ方を変える」「宣伝してしまう」という3つのアプローチ方法を、お互いにリンクさせることで、ブックマーケティングをストーリーブランディングに最大限活用することが可能になります。もし、自分でこれらのアプローチ方法が難しいと言う場合には、弊社のような外部業者に入ってもらうなどを検討してみてください。

自社の事業や商品・サービス、ターゲットに対する固定概念を持たない人が加わることによって、新しいブランド化のストーリーが生まれる可能性があります。

ストーリーブランディングとブックマーケティングの相乗効果

ストーリーブランディングを行う上で、ブックマーケティングは前述した通り相性がよい手法と言えます。また、Webでは得られない、書籍ならではの信頼性やPR効果、一貫性などの相乗効果も十分に見込める方法です。

ブランディングと書籍販促の一貫性とPR効果

そもそも、コンセプト設計やジャンルの絞り込み、ターゲットの設定、など、企業がブランディングするために必要な工程をひと通り行ってからでなければ、書籍を作ることはできません。

また、書籍の販売促進のための企画も、企業の専門性や特徴などをまとめ、市場でのポジショニングを明確にした上で行います。

なぜなら、ブックマーケティングは、企画コンセプトの制作段階から発売後の販促プロモーションまでの全体に一貫性を持たせなければ成功しないからです。

これはストーリーブランディングの戦略立案にも通じるところがあります。

このように、ブックマーケティングはストーリーブランディングを行わないとできないマーケティング手法であるため、全てのマーケティング施策の中で最も相性が良い方法と言えるのです。

また、書籍は人に文章を読んでもらいやすい媒体です。Web広告や記事のように「読まれない前提」の媒体ではありません。ターゲットに長い文章を読んでもらいやすいため、Web以上に書籍を通しての関係値構築や顧客教育が一冊でできてしまいます。

つまり、ストーリーなどを通じてファン化していくストーリーブランディングの長期的なプロセスを、書籍の場合は一冊でできてしまう可能性を秘めている媒体、と言うことができます。

ストーリーブランディング×出版の成功事例

実際に、ストーリーブランディングを書籍を活用して行い成功した事例はたくさんあります。

たとえば、ウエディング事業を営む老舗企業では、働くウエディングプランナーに取材を行い、思い出に残っている結婚式のエピソードを「感動的な21のストーリー」としてまとめ書籍を出版。

書籍の中には、父親の病床で結婚式を挙げた話や再婚者同士の子連れの結婚式の話、サプライズ結婚式の話など、小説以上にドラマティックなエピソードが紹介されています。

これらのエピソードが、多くの人の共感や感動を呼び、結果的にブランディングに成功しました。

書籍でなくWebなどであれば、きっとこの21のエピソードは読まれずに終わったかもしれません。書籍だからこそエピソードをしっかりと読んでもらえ、結果的にストーリーブランディングに成功した典型的な事例と言えるでしょう。

まとめ

この記事では、企業ブランディングの一つの方法としてストーリーブランディングについて解説しました。

ストーリーブランディングは、自社や製品・サービス、社員などに関わるストーリーを対象者に読ませ、共感や感動させなければ成功しません。

そのため、ターゲットに長文を読んでもらえる可能性が高い書籍や、それを活用するブックマーケティングこそ、最も相性の良い手法だといえます。

しかも、ブックマーケティングは、ただ書籍を出版するだけではなく、コンセプトを決めたり、ターゲットやジャンルを絞り込んだり、SNSやSEO、クラウドファンディング、セミナーを活用したり、ストーリーブランディングに必要なありとあらゆる手法を網羅しています。

つまり、ブックマーケティングを行えば、同時にストーリーブランディングもできてしまうということです。

これからストーリーブランディングへの取り組みを考えている方は、ぜひブックマーケティングを手法の1つとして検討してみてはいかがでしょうか。

▼パノラボのブックマーケティングのご案内はこちら

参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

企業の成長戦略の一つにブックマーケティングという手段があります。

企業出版やカスタム出版などと、よく混同されますが、ブックマーケティングとこれらの出版は似て非なるものです。

今回の記事では、ブックマーケティングの基礎的な情報とメリット、デメリット、最新のトレンドの手法を解説します。

目次【本記事の内容】

ブックマーケティングとは

ブックマーケティングとは、書籍をマーケティングに活用する手法のことです。

企業が自社の事業や商品・サービスなどについてまとめた書籍を出版し、企業や商品・サービスの認知度向上や購買意欲向上などに役立てることを目的としています。

現代では、ネット上で、欲しい情報をすぐに見つけることができます。

しかし、根拠がはっきりしなかったり、情報ソースが不明確だったり、発信者の信頼性がわかりづらかったりするため、本当に信頼できる情報を探り当てるのは至難の技です。

一方で、書籍は、出版社と著者が明記されている点や、現物がある点から「ネット上の情報よりも信頼できる」と考える人が多くいます。

また、ネット上でもこのような書籍の信頼性を活かして、企業の強みである独自の技術や実績、企業としての取り組みなどをストーリーとしてまとめて一冊の書籍という形で出版すれば、書籍そのものの信頼性や出版社の全国的な販路を活かした効果的なマーケティングが可能になります。

ブックマーケティングと企業出版の違い

ブックマーケティングと企業出版の違いは、顧客のゴールを達成するための「戦略の立て方」にあります。

それぞれ顧客の目的を達成するためという大義名分は同様ながら、企業出版は出版社ができる範囲での書籍販売プロモーション中心の戦略をとります。大手出版社であれば流通力があるため、5000〜1万部を発行してその頒布力頼りのプロモーションになります。つまり、部数を多く流通させるため、読者の手に渡る確率は増えますが、その分コストは高くなります。

一方で、ブックマーケティングは顧客の目的を達成するためにゴールから逆算して戦略を組み立てます。そのため、部数頼りのプロモーションにはなり得ません。明確なターゲットを定め、どのように顧客ターゲットに届けるかをマーケティング戦略の知見で組み立てるため、書籍販売プロモーションに限らず、様々なマーケティング戦略をとることができるのです。

ブックマーケティングは、基本的には企業出版の考え方に基づく施策ではありますが、企業出版とは似て非なるものと言えます。

具体的なプロモーション方法を例にすると、企業出版は読者の手に渡る確率を上げるために書店プロモーションや新聞広告のような出版社ならではのプロモーション方法によってマーケティング効果を得る施策です。

一方で、ブックマーケティングは、あくまでも企業の事業成長を達成するためのマーケティング戦略の一環として書籍という媒体を利用します。

ブックマーケティングでは、出版社ならではの書籍販売プロモーションはもちろん、SNSマーケティングやSEOコンテンツマーケティング、クラウドファンディングなどを組み合わせて戦略を練ることになります。

通常の出版社ではマネできない様々な種類の手法を組み合わせることで効果を最大化させることができるのです。

ブックマーケティングのメリットとは

ブックマーケティングは時間や手間のかかる手法ですが、手間や時間をかけてでも取り組む企業はたくさん存在します。

その理由は、次の6つのメリットを享受することができるからです。

6つのメリットについて詳しく見ていきましょう。

メリット①:信頼を獲得し顕在層をファン化できる

ブックマーケティングを行うことによって、顕在層をファン化することができます。

なぜなら、「書籍を出版している」という事実だけで信頼性が高まるからです。

さらに、自社の取り組みや商品・サービスなどの情報を発信することで、ファン化した顧客に商品やサービスの購入を働きかけることができます。

たとえ製品やサービスの購入頻度が低い顧客だったとしても、中長期的に安定した売上を築くことに貢献します。

メリット②:他の広告施策よりも情報量が多い

ブックマーケティングで利用される書籍は、テレビCM・新聞広告・雑誌広告・各種Web広告などの他の広告施策と比べて圧倒的に多くの情報量を盛り込むことができます。これも書籍ならではの特徴です。

実際に、書籍は一般的に200ページ程度で、文字数は7万~10万字になります。

一方で、広告の中でも情報量が多いチラシを例にすると、A4判の場合は1000文字〜2000文字程度が見やすいと感じる限度です。

さらに、画像やタイトル、見出しを組み込めば、半分以下の文字数になることもあります。

このように、情報量は書籍と広告における大きな違いです。

書籍の豊富な情報量を使って、企業の商品やサービスの特徴だけではなく企業理念や代表者の考え方まで伝えることができるのです。

メリット③:ターゲティングやエリアマーケティングがしやすい

ブックマーケティングは、テレビCMやWeb広告などのマス広告と比べて、ターゲティングしやすいというメリットがあります。

たとえば、投資用不動産の販売促進を目的としてブックマーケティングを行う場合、「お金を増やしたい」「節税したい」が読者ターゲットにとって大きな目的となります。

このような目的を持つ人の中で特にわざわざ自分でお金を出して書籍を購入する人は、投資用不動産に対する関心が高いと言えます。

そういったユーザーをターゲティングすることで、よりピンポイントで心に刺さる書籍を制作することができるのです。

また、特定のエリアの書店だけに重点的に書籍を配本することもできるため、そのエリア内の見込み顧客への認知度を高めることが可能です。

もちろん、日本全国に商圏を拡大したい場合にも有効ですが、地元などの狙ったエリアのターゲットに対してのファン獲得や販売促進などにもブックマーケティングは向いているのです。

ターゲティングやエリアマーケティングがしやすいことで、テレビCMなどのマス広告より効果的にマーケティングを行うことができるといえます。

▶️出版におけるエリアマーケティングについては、関連記事【出版によるエリアマーケティングのススメーー地域で勝つための営業戦略】もあわせて参考にしてください。

メリット④:コンテンツの二次活用で効果を最大化できる

ブックマーケティングで用いた書籍を二次活用することでマーケティング効果を最大化することができます。

たとえば、自社で開催するセミナーなどで配布したり、営業ツールとして活用したり、Webサイトやブログなどのオウンドメディアに書籍の一部を切り出して転載することで、副次的効果を生むことが可能です。

テレビCMやWeb広告などの短期的な広告施策ではないため、長期的に幅広い企業活動に利用することができます。

メリット⑤:メディア露出が増える

ブックマーケティングの内容が専門性高く話題性がある内容であれば、多くのメディアに引用され、露出が増える場合があります。

なぜなら、書籍は信頼性の高い媒体だからです。信頼性の高い媒体に書かれている情報を引用すれば、メディアが訴求したいことの根拠とすることができます。

たとえば、ダイエットに関するノウハウを発信するメディアがあったとします。そのメディアに「睡眠不足はダイエットに悪影響」という内容が根拠なく書かれているよりも、書籍に書かれているデータを引用した方がより説得力が高く、読者が納得する記事になるでしょう。

一方で、個人ブログなどの情報は、たとえ事実であっても引用されることはほとんどありません。

発信者が誰なのか、情報の根拠はどこにあるのかがはっきりしない情報はメディアにとって引用しにくいものとなります。

メリット⑥:コンテンツが資産として残り続ける

書籍は長期にわたって様々なことに利用することができます。

たとえば、自社の商品に関する開発ストーリーを書籍にまとめて刊行した場合、営業ツールやセミナー資料として活用することが可能です。

また、二次利用されてWebサイトやブログなどに引用されたコンテンツも長い間Web上に残り続ける資産となります。

このように、専門性や信頼性の高い内容であればあるほど、書籍としても二次利用されたコンテンツとしても価値の高い資産として残り続けることになります。

ブックマーケティングのデメリットとは

ブックマーケティングには上記のように様々なメリットがあります。

一方で、デメリットもいくつか存在します。

4つのデメリットについて詳しく見ていきましょう。

デメリット①:制作に時間を要する

ブックマーケティングでは、書籍の制作に時間を要するというデメリットがあります。

書籍の制作には「企画」「原稿制作」「デザイン」「印刷」というステップを経る必要があります。

それぞれのステップには以下のような期間が必要になるため、すべて完了するまでには6〜8ヶ月ほどの期間が必要です。目標とする出版時期がある場合は逆算して施策を進めていく必要があります。

なお、著者となる企業側の協力次第では、最短で3ヶ月ほどで制作も可能です。

さらに、ブックマーケティングを行う場合は、書籍の制作に取りかかる前に、書籍を発売した後のプロモーションまでの全体的な戦略を検討し、マーケティング戦略に一貫性を持たせるようにする必要があります。

このように、長期的な目線で準備をしていく必要があるため、特に短期で結果を求める企業にとってはデメリットとなるのです。

デメリット②:情報のアップデートが難しい

ブックマーケティングのデメリットとして、情報のアップデートが難しいということが挙げられます。

その理由は印刷して製本されれば、修正することはほぼ不可能だからです。

一度印刷・製本したものを修正しようと思うと、一からすべて刷り直すことになります。

書籍の部数が多ければ多いほど、その手間やかかる時間、費用は膨大になります。

Webメディアの場合はワンクリックで修正・更新することが可能ですが、書籍の場合そうはいきません。

もちろん、初版本が完売して二刷以降が出版される場合は、その際に内容を更新したり修正したりすることは可能ですが、他の媒体と比べると大きな手間がかかります。

デメリット③:出版社の流通力と宣伝力が試される

ブックマーケティングでは、書籍を出版するだけではなく、「いかにターゲットの手元に届けるか」が重要です。そのためには、出版社の流通力と宣伝力の高さが問われます。

たとえば、書籍を出版して書店に配本して終わりの出版社と、書店にFAXで新刊案内を送ったり、営業活動をして回ったり、店頭で「今売れている本」「話題の本」として展開されるように働きかける出版社とでは、書籍の売れ方が当然変わってきます。

また、書店以外での宣伝力も重要です。

たとえば、1度書店で目にしたことはあっても購入に至らなかった書籍が、Web広告で流れてきたり書店で大々的に宣伝されていたりしたのを見て、興味が湧いて購入してしまったという経験がある方は多いのではないでしょうか。

このように、流通力と宣伝力次第で書籍がターゲットに届く確率は大きく上がります。

出版社の流通力と宣伝力に依存する部分が大きいということは一つのデメリットといえるでしょう。

デメリット④:商品やサービスによって向き不向きがある

ブックマーケティングは、単価の低い商品の販促には向きません。

なぜなら、ブックマーケティングは、マス広告やデジタル広告のように多くの人にアプローチできる施策ではないためです。

単価の低い商品を売りたい場合、企業が利益を出すためには多売が必要です。つまり、より多くの人に購入してもらう必要がありますが、ターゲットが絞られてしまうと、その目的は達成できません。

たとえば、ペットボトル飲料のような単価が低く、誰にでも買ってもらいやすい商品を大量に売りたいBtoCビジネスの場合は、より多くの人が目にするテレビCMなどのマス広告やデジタル広告の方が適していると言えます。

一方で、不動産やコンサルティング、金融、医療などの客単価が高い事業や社会的に信頼性が求められる事業の場合は、ペットボトル飲料のように、誰もが欲しいと思われる製品・サービスではありません。また、単価が高いため、すぐに顧客が買ってくれません。

そのため、ターゲットを絞り込み、顧客と時間をかけて丁寧に関係値構築をしたり教育したりしながら、販売数を増やしていく必要があります。

だからこそ、「読みたい」と手にとってもらえたら、長い文章を読んでもらえる上、顧客との関係値構築や教育が一冊で完結してしまう、ブックマーケティングは最適な手法と言えるのです。

しかし、単価が高い事業や、社会的に信頼性が求められる事業であっても、健康や医療に関する事業の場合は注意が必要です。なぜならば、書籍の内容が薬機法などに抵触していないかという確認が必要になるからです。

健康、医療系の場合は、きちんとした実績のある出版社に依頼した方が良いでしょう。

▶️薬機法に関しては次の、関連記事【薬事法を乗り越えるための広告手段とは? 知らなきゃ損する薬機法の正体】もあわせて参考にしてください。

ブックマーケティングの戦略の組み立て方

ブックマーケティングの戦略を組み立てる際には、企画コンセプト制作から発売後のプロモーションまでの全体的な戦略を設計し、マーケティング戦略に一貫性を持たせることが大切です。

制作段階と流通段階に分けて詳しく説明します。

制作編:企画コンセプト制作と戦略設計

ブックマーケティングの制作段階では、その書籍を読んでもらいたいターゲット層は誰か、自社の何をどのように見せて最終的にどうしたいのかという目的を決めます。

また、この段階では、企画コンセプトの制作だけではなく、書籍を発売した後のプロモーションまでを想定した戦略を設計します。

流通編:書店流通と広告販売戦略

書籍が完成したら、書店流通と広告販売戦略を立て、どのように販売促進を行っていくかを考えます。ブックマーケティングの場合は、書籍の部数や大手出版社の流通力頼りの戦略を取る企業出版とは違い、顧客のゴールから逆算して書店流通と広告販売戦略を立てていきます。

「あくまで書籍は、マーケティング戦略の1つ」と考え、企業の事業成長というゴールに向かって、書店流通や広告販売を行っていくのが特徴です。

たとえば、弊社では、書籍販売数ヶ月前からyoutubeチャンネルやクラウドファンディング、SNSなどでどのようなターゲットを集めて書籍購入につなげていくのか、また「書籍販売後にどのようなオンラインセミナーやキャンペーンを実施するのか」を考えていきます。

このように、ブックマーケティングはゴールが書籍の販売ではありません。書籍をきっかけにした企業の事業成長がゴールです。書籍の企画段階から出版前・出版後のプロモーションなどゴールから逆算して戦略設計が行われるので、書店流通や広告戦略全体に一貫性を出すことが可能です。

より説得力を高めた状態で、書籍を手にとって読んでもらえるため、「ただ出版した」以上の反響や成約につながりやすくなる、という訳です。

ブックマーケティングにかかる予算

一般的なブックマーケティングの相場は450万~1000万円程度です。

ブックマーケティングにかかる費用は、「書籍の仕様」「発行部数」「制作費用」「プロモーション費用」などの要素によって決まります。

書籍の仕様としては四六判(130mm×188mmサイズ)で200ページ程度の書籍が多く、発行部数は印刷費用だけではなく、流通費用や返品された際のヘッジ分も加算されます。

制作費用はライターの人件費、プロモーション費用はメディアへのリリースや書店営業以外のWeb広告や新聞広告を出稿したり、出版記念イベントを開催したりする場合に発生します。

企業出版のメリットや費用など具体的な方法については、関連記事【企業出版の教科書|メリットから費用、成功のポイントまでまとめて解説】もあわせて参考にしてください。

ブックマーケティングの最新トレンド

効果的なマーケティング戦略を行うための、ブックマーケティングの最新トレンドをいくつかご紹介します。

SNS×ブックマーケティング

インターネット環境が整った現代では、すでに多くの企業が重要なマーケティングツールとしてSNS(X<旧Twitter>、Instagram、TikTok、YouTubeなど)を利用しています。このSNSとブックマーケティングを組み合わせることによってマーケティング効果を最大化させることができます。

たとえば、とあるWeb制作会社は、Webマーケティングに関する書籍を出版しました。ただ出版しただけではなく、自社のSNSで出版前からキャンペーンなどを実施したり、書籍の一部を切り出して投稿したり、PRを行うことで、書籍や自社の認知度を向上させることに成功しています。

SNSの企業アカウントで書籍の発売についてPRすれば、その企業に興味を持つフォロワーにいち早く情報を届けることが可能です。

さらに、SNSの特徴である拡散力を利用することで、テレビCMやインターネット広告以上の効果を得ることができます。

書籍の制作期間は6~8ヶ月程度かかるため、制作期間中に一貫したSNSアカウントを立ち上げて事前告知などを行って興味を喚起し、影響力が出てきて顧客をファン化することができた頃に出版するという状態が作れることが理想です。

SNSマーケティングでトレンドとなっているストーリーテリングを取り入れ、SNS上でストーリーを紡ぎ、続きを書籍につなげる方法も考えられます。

MEO×ブックマーケティング

店舗型ビジネスや開業医のクリニックなどのブックマーケティングを行う際に、MEO対策の仕掛けを行えば、書籍制作期間中でも集客効果を狙うことができます。

書籍制作には8ヶ月〜1年程度かかるため、その期間中に集客の術がないのは致命的です。

また、書籍が完成し発売しても、集客できていなければ人づてに広まっていくことは期待できません。

しかし、コンセプト設計を元にプロフィール設定や画像の変更を行い、集客力が上がった時点で書籍を発売することでより高い販促効果や集客効果を期待できます。

このように、MEO×ブックマーケティングはやり方次第で相乗効果を狙える手法と言えます。

セミナー×ブックマーケティング

「SNS×ブックマーケティング」や「MEO×ブックマーケティング」と同様に、制作期間中に一貫したコンセプトのセミナーを開催することで、書籍の制作期間もマーケティング施策をストップすることなく集客することが可能です。

さらに、出版後に出版セミナーのような形で集客すれば、さらに大きく集客することができます。

たとえば、出版記念セミナーなどを行い、セミナーの最後に直接書籍を販売したり配布したりするというのも手法の一つです。

出版記念セミナーで人を集め、さらに直接手にとってもらうことで、より広いターゲットに書籍を届けることができます。

このように、セミナーはブックマーケティングの書籍を出版する前後で利用できる集客方法です。

SEOコンテンツマーケティング×ブックマーケティング

書籍に記述されている内容、すなわちコンテンツの著作権は企業に帰属するため、自社のWebサイトやブログなどのオウンドメディアのコラムに自由に掲載することができます。

Webサイトやブログに掲載する際にSEO対策を施すことにより、検索エンジンでの検索結果の上位を目指すことができ、自社サイトのドメインパワーを高めることができます。

近年のSEO対策で重要なのは、何よりもオリジナル性のあるコンテンツです。

ネットで調べた情報をまとめたコンテンツが多い中、書籍のようなオリジナルコンテンツは自社のサイトに高いSEO効果をもたらします。

動画コンテンツ×ブックマーケティング

動画コンテンツとブックマーケティングを組み合わせることも効果的な手法です。

なぜなら、ブックマーケティングと組み合わせる際も、書籍の内容を要約して動画で発信したり、書籍の告知動画を作ったり、書籍のコンテンツを流用してYouTubeチャンネルを立ち上げたりして自社のブランディングに活用できるからです。

動画コンテンツでもストーリーテリングの活用が増えていますので、ブックマーケティングとの組み合わせでストーリーテリングを利用することが考えられます。

クラウドファンディング×ブックマーケティング

出版する書籍の企画コンセプトを決めた後に、クラウドファンディングを実施することによって、自社の認知拡大や書籍の事前告知をすることが可能です。

ブックマーケティングにかかる広告施策に必要な資金を調達することができるだけでなく、情報発信のチャネルが増えるということになります。

また、クラウドファンディングの支援ページは書籍を出版した後も残るため、自社の取り組みを残すことが可能です。

さらに、書籍出版やクラウドファディングをきっかけにプレスリリースが出せるため、メディアからの取材依頼を受ける可能性が⾼まります。

まとめ

この記事では、ブックマーケティングとは何かをはじめ、メリット・デメリット、ブックマーケティングの最新トレンドなどについて紹介しました。

ブックマーケティングを活用すれば、ただ書籍を出版するだけでなく、その書籍を自社のブランディング、認知度や購買意欲向上などに積極的に役立ていくことができます。

主に次のような方にブックマーケティングは最適です。

     

  • ・Web広告やSEOなどあらかたの集客施策をすでに行っているが、なかなかそれ以上の集客効果が得られないと悩んでいる中小企業
  •  

  • ・難しすぎてWebではなかなか集客できないようなビジネスモデルをお持ちの経営者様
  •  

  • ・ある程度事業も安定しているが、更なる成長をするための打ち手に困っている経営者様
  • そんな方は、ぜひ次のステージへの一歩として、ブックマーケティングを活用してみませんか。

    ▼パノラボ出版のご案内はこちら

    参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから

    執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

    慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

    競合他社との差別化は、企業の成長戦略を考える上で欠かせないポイントです。

    ただし、差別化戦略は各種広告施策とは異なり、売上や利益向上など、分かりやすい成果として表れにくく、差別化に成功しているかどうかの判断が難しいでしょう。

    本記事では、差別化の重要性や、他社と差別化するため具体的な戦略の考え方を解説し、成功のポイントや成功事例を紹介します。

    目次【本記事の内容】

    差別化戦略とは

    そもそも「差別化戦略」とは、アメリカの経営学者マイケル・ポーターが提唱した3つの競争戦略(コストリーダーシップ戦略、差別化戦略、集中戦略)の中の1つです。

    ▶️参考記事【競争戦略とは? ポーターの基本戦略と国内企業の実践事例を振り返る】https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00081/021700329/

    差別化戦略の定義と目的

    差別化戦略とは、競合他社がマネすることができない自社の製品・サービスの価格以外の特徴や付加価値をアピールすることにより、自社の競争優位性を築き上げる戦略のことです。

    業界内でのポジションの確立と、市場におけるブランド力の向上、自社製品やサービスの価格が高くても売れるようにすることを主な目的としています。

    差別化戦略の重要性

    競争が激化する市場において、企業が成功するためには差別化戦略が必要不可欠です。

    インターネットやSNSが浸透した現在の社会では、顧客には多くの製品やサービスの選択肢があります。ひと昔前と違い、良い製品・サービスを作ったから売れる、という時代ではありません。顧客のニーズに合致した自社にしか出せない魅力をアピールし、認知してもらわないと製品やサービスを利用してもらえない時代です。

    一方で、競合他社との違いを明確にして、自社製品やサービスが優位であることを顧客に認知させることができれば、価格競争にならず、ニーズのある顧客に選ばれる存在になります。そのための戦略が差別化戦略です。

    今後、SNSなどと同様にメタバースが浸透していけば、今以上に多くの製品やサービスの選択肢が増えてくることが予想されます。そのため、企業の生き残りや成長にとって、差別化戦略はますます重要になってくるでしょう。

    差別化戦略のメリット

    企業が差別化戦略を行うメリットとして、次の4つが挙げられます。

    ①価格競争から離脱できる

    これは、企業が差別化を行う最大のメリットと言えるでしょう。

    製品やサービスの基本機能は同じであっても、自社にしかできない何らかの特徴や付加価値をアピールでき、それが顧客から認められれば価格競争に巻き込まれることはありません。

    たとえば、ファミリーレストランチェーンのロイヤルホストは、ホテルで出されるような高級メニューに特化しています。結果として、「いつもよりもちょっと優雅に、でも気軽に食事を楽しみたい」という消費者のニーズと合致し、価格競争に巻き込まれることなく、「高級ファミレス」という業界内で確かなポジションを確立しています。

    このように、差別化を行うことで、競合他社との価格競争から脱却し、高価格でも選ばれる確かなポジションを確立することができます。

    ②利益率が向上する

    自社の製品・サービスが他社にない特徴や付加価値を持っていることが消費者に認知されると、価格が高めであっても購入されます。

    たとえば、今治タオルは、タオル生産の歴史や製造工程のこだわりなど、製品の背景にあるストーリーを訴求し差別化戦略に成功しました。

    ▶️参考記事【衰退一途の今治タオルが息を吹き返した“大事件”】
    https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1705/15/news040.html

    結果として、100円均一や、ニトリ、IKEAなど、格安で高機能なタオルが出回る中、高級タオルとしての地位を確立。1枚数千円のタオルが売れ続けています。

    このように、差別化戦略に成功すると、高価格であっても製品やサービスが売れます。それに伴い利益率の向上にもつながるのです。

    ③新規参入企業を抑制できる

    差別化戦略によって業界内や市場で確かなポジションを獲得することができれば、新規で参入する競合他社の動きを抑制することができます。

    なぜなら、消費者が認める優位性があり、ブランド力を持った製品やサービスに対抗することは簡単ではなく、膨大なコストや労力が必要となるからです。

    たとえば、前述した今治タオルに対抗して、新しい高級タオルブランドを立ち上げることはできても、高級タオルと言えば今治タオル、と言う消費者の認識を覆すのは簡単ではありません。

    これから新規で参入しようと検討している企業にとっては大きな障壁となるため、新規参入しようという決断がしにくくなります。

    ④自社の特徴や強みを明確化できる

    自社の製品やサービスの特徴 、強みをはっきりさせられるのも差別化戦略のメリットの1つです。

    差別化戦略に成功している企業の多くは「〜と言えば⚫︎⚫️」というように、自社の地位をひと言で言い表すことができます。

    たとえば、「高級タオルと言えば今治タオル」、「高級ファミレスと言えばロイヤルホスト」などです。

    他社にマネのできない特徴や強みは、営業活動や広告宣伝活動にも活用することができ、それによって強固なブランドイメージを構築することにつながります。

    差別化戦略のデメリット

    差別化戦略を行うことのデメリットとしては、次の3つが挙げられます。

    ①顧客離れのリスクがある

    市場調査や顧客のニーズ調査が不十分なまま差別化を行うと、「ただ値上がりしただけなのでは」と顧客が離れてしまうリスクがあります。

    たとえば、今治タオルを製造・販売するメーカーであるハートウェルが販売し話題となったのが『あえてカタいタオル』です。

    タオルはやわらかい質感や肌触りの良さが重視される傾向がありますが、消費者調査の結果、硬い質感のタオルの需要があることが分かり、商品を開発したとのこと。

    ここで重要なのが、硬い質感のタオルの需要がユーザーにあることを調査した上で商品開発を行った、という点です。ニーズがあると分かって商品を販売したからこそ、高い価格でもユーザーに選ばれているのです。

    このように、差別化戦略には、「会社都合の値上がり」だと認識されないための説得力が必要になります。

    差別化によって上昇した価格に納得できなければ顧客は自社より安い競合他社に流れるため、市場シェアの縮小に繋がりかねません。

    そのため、まずは市場調査を行い、ユーザーのニーズを調査した上で、自社にしか出せない差別化を考えていくことが重要です。

    ②多大な費用や労力がかかる

    差別化戦略を行うためには、市場調査や差別化のための技術開発などに多くの労力や費用が必要となります。市場調査や差別化にかかる労力や費用に見合う利益が得られなければ、差別化戦略が成功したとはいえません。

    特に自社の特徴や強み、市場、競合他社、顧客ニーズ分析などが必要になるため、リサーチに膨大な時間と労力がかかります。また、確立したオリジナルの価値を顧客に伝える必要もあるため、広告宣伝やブランディングが必須となり、さらに多くの時間と労力を要します。

    消費者がブランド価値を理解して認知するまでには時間がかかるのが前提です。差別化戦略には継続的な取り組みや、それに伴う労力と費用が必要になると考えておきましょう。

    ③競合他社に模倣される可能性がある

    差別化戦略がうまくいき、自社製品やサービスの認知度が向上したとしても、競合他社に模倣されて類似の製品やサービスを安い価格で販売され、顧客を奪われる可能性があります。

    模倣され顧客が奪われると、差別化戦略のために投資したコストを回収できなくなったり、競合他社にシェアを奪われてしまったりする可能性も十分に考えられます。

    このようなケースも起こりうることだ、と認識した上で、事前に対策などを考えておく、商標権を申請しておく、などの対応も重要です。

    差別化手法の一例

    差別化戦略においては、何を対象に差別化を行うかが重要です。具体的には、以下のような手法を組み合わせることで、競合他社と差をつけることが可能になります。

    • ・製品やサービス
    • ・価格
    • ・ブランドイメージ
    • ・顧客体験

    これら4つを対象にした差別化手法について詳しく見ていきましょう。

    製品・サービスの品質向上

    製品やサービスの品質向上による差別化は、最も一般的な差別化手法です。

    具体的には、消費者が他社との違いを明確に感じることができる特徴や付加価値を製品やサービスに持たせる、ことで差別化を行っていきます。

    たとえば、「1リットル30kmの燃費性能の車が一般的な中で、1リットル50kmの燃費性能を持つ車を開発する」などです。

    一般的な差別化手法ではありますが、品質や新技術などで差別化する場合は、大きなコストがかかるので、商品やサービスを生み出すまでのストーリーや自社のこだわり、ユーザーのニーズ調査結果などをヒントにどの部分を差別化していくのかを検討してみると良いでしょう。

    価格戦略の工夫

    他社と比較して優位となる価格設定を行い、顧客から選ばれるようにする差別化手法です。必ずしも低価格にすることとは限りません。

    代表的な価格による差別化戦略としては、「低価格戦略」「高価格戦略」「中間価格戦略」などがあります。

    • ・低価格戦略:最も一般的。他社よりも低い価格を設定する戦略
    • ・高価格戦略:製品やサービスに高い品質や付加価値を付加して高い価格を設定するもの
    • ・中間価格戦略:コストと価値とのバランスを考慮して価格を設定する戦略

    いずれの価格戦略においても、価格に対する消費者の受け止め方や競合他社の価格設定などを正確に分析することが必要です。

    価格戦略の工夫をする際には、競合他社などを価格帯ごとに分類したり、ユーザー調査結果などの分析から初めてみると良いでしょう。

    ブランドイメージの構築

    ブランドイメージの構築による差別化は、ブランドのイメージや価値を高めて競合他社との差別化を図る戦略で「ブランディング」と呼ばれることもあります。

    ブランドによる差別化には、ロゴのデザインやカラー、ブランドストーリー、パッケージデザイン、宣伝広告などがあります。

    重要なのは、これらすべてに一貫性を持たせることです。

    商品自体を高級路線で差別化し、ブランドストーリーも立派なものを作ったのにも関わらず、パッケージがチープだったり、ロゴやデザインが古臭かったりしては、その商品が高級であるという説得力がなくなってしまいます。

    結果として差別化戦略の効果が十分に発揮できません。

    「商品だけ」「ロゴだけ」ではなく、商品を中心として、顧客が触れるすべてのものを1つの方向性に沿って作り上げていくことがブランドイメージの構築にとって何より重要です。

    顧客体験の充実

    顧客体験とは、顧客が製品やサービスに興味を持った段階から購入・使用・アフターサポートに至るまでの一連の経験のことです。

    一連の購買プロセスの中のすべての接点で、いかに顧客に優れた体験を提供できるのかを考えていくことで、他社との差別化が図れます。

    たとえば、高級デパート伊勢丹で買い物をした際に、スーパーの袋や100円均一で買えるような紙袋に商品を入れられたらどうでしょうか。

    おそらく、「せっかく高級なものを買ったのに…」と少しがっかりした気持ちになると思います。

    このように、製品やサービスの特徴や付加価値だけではなく、あらゆる顧客との接点で優れた顧客体験を提供することが差別化戦略において重要になります。

    差別化戦略成功のポイント

    差別化戦略を行う前の段階で、手間や時間をかけて、確かな戦略を確立させることが重要となります。

    差別化戦略を成功させるための主なポイントは、次の4つです。

    ①ターゲットを明確にする

    全ての顧客を対象にするのではなくターゲット層を明確にすることによって、ターゲット層のニーズに合わせた差別化戦略を行うことができます。

    たとえば、ある不動産会社は、競合他社や大手企業との差別化に悩んでいました。しかし、高額所得者であり、高額納税者でもある医師をターゲットに設定し、不動産投資サービスを展開することで、他社との差別化に成功しています。

    「不動産投資サービス」よりも「医師向けの不動産投資サービス」の方が、医師への訴求力が強く働き、結果として売上につなげることができた差別化戦略の好事例と言えるでしょう。

    このようにターゲットを明確にしているからこそ、商品やサービスの方向性が決めやすくなります。

    ②消費者のニーズを分析して把握する

    差別化戦略を成功させるためには、消費者のニーズを徹底的に分析して正確に把握することが何より重要です。

    なぜなら、消費者がどのような製品やサービスを求めているのかを正確に把握できなければ、いくら差別化をしたとしても受け入れてもらえないからです。

    たとえば、スポーツカーメーカーが差別化戦略として、ファミリー向けのスポーツカーを開発したとしましょう。さらには、ファミリー向けということもありスポーツカーの中では燃費性能がNO1、車室も家族4人がゆったり乗れるNO1の広さ、というものだったとします。

    性能だけ見れば差別化ができているように見えますが、そもそも大半のファミリー層は、選択肢としてスポーツカーを選びません。この場合、いくら差別化ができているとは言え、消費者から受け入れてもらえないことが容易に想定できます。

    このように、いくら差別化を図ったとしても、それがユーザーのニーズに合致していないものだったとしたら、いくら性能が良かったとしても受け入れてもらえません。

    そうならないためにも、まずは差別化戦略を図る前に、消費者がその製品やサービスに関して重視しているポイントや欲している付加価値が何かを知る必要があります。

    ③競合他社を徹底的に分析する

    競合他社を徹底的に分析することによって、自社の製品やサービスの取るべきポジションが見えてくる可能性もあります。

    代表的な競合分析手法として「3C分析」や「4P分析」があります。

    3C分析はCompany(自社)・Competitor(競合他社)・Customer(顧客)の3つの要素に注目して分析する手法、4P分析はProduct(製品)・Price(価格)・Place(流通チャネル)・Promotion(販促)の4つの要素に注目する手法です。

    このような競合分析手法の分析によって自社よりも競合他社が優れている点や競合他社の戦略などが見えてくるため、分析結果をもとに自社の戦略を検討することができます。

    たとえば、競合他社が低価格戦略を取っていることが分かった場合は、自社では高品質や高付加価値をアピールすれば差別化を図りやすくなるでしょう。

    ④自社の強みを見つける

    自社にしか出せない強みは何なのか、を考えることも差別化の方向性を見出すのに有効です。

    簡単なのが、競合他社と自社を比較することです。

    競合他社分析だけではなく、自社と比べてどうか、も調べてみましょう。

    代表的な手法としてStrength(強み)・Weakness(弱み)・Opportunity(機会)・Threat(脅威)の4つの要素に注目して分析を行う「SWOT分析」があります。

    これによって強みと機会を生かして弱みと脅威に対処する戦略立案ができます。

    また、顧客へのヒアリングや自社の中で顧客と直接接している社員へのヒアリングも重要です。顧客や消費者の生の声や隠れた要望の中から、自社の強みが見つかる可能性もあります。

    差別化戦略のためのブックマーケティング手法

    差別化戦略の手法の1つとしてブックマーケティングも有効です。

    なぜなら、書籍を使えば、自社の強みやこだわりなどをターゲット層に的確に伝えることができるからです。

    人が文章を読まないと言われる時代ですが、それは無料で読める媒体に限ってのことです。お金を出して書籍を買って、読むまで積読しておくことはあっても、全く読まない、という人は少ないと思います。

    書籍という信頼性が高く、読まれやすい媒体で、自社製品やサービスへのこだわりや、特徴、付加価値、企業理念や代表の考え方などを紹介することで、自社のことを知ってほしいターゲット層に効果的に認知してもらうことができます。

    書籍は手に取ってもらえさえすれば、企業側にとっては長文を読んでもらえ、読者を拘束できるのがメリットです。そのため、見込み顧客の教育や、関係性の構築に多大なコストや長い時間をかけることなく、書籍1冊だけで製品やサービスが売れるきっかけを作ることができます。「Web広告やSNSを試してみたけれど、顧客の教育や関係性の構築が難しい」と感じる企業などに適した方法と言えるでしょう。

    また、書籍を出版していることによる信頼性の向上や、書籍を買ってくれた質の高い顧客からの問い合わせの獲得が期待できます。

    「書籍を出しても手に取ってくれなかったら意味がないのでは?」と不安に思う方もいらっしゃると思いますが、もちろんただ書籍を出すだけでは名刺程度の効果しかありません。

    ただ書籍を出すだけではなく、次のように、あらゆる手を尽くして、ターゲット顧客に書籍のコンテンツを読んでもらえるようにするのがブックマーケティングです。

    • ・書店営業
    • ・クラウドファンディング
    • ・Youtube運用(配信)
    • ・SNS運用
    • ・PR
    • ・メディア露出
    • ・フォローセミナーの開催
    • ・クロスセル、アップセル

    ▶️ブックマーケティングのメリットや効果については、関連記事【ブックマーケティング(企業出版)のメリットとは? 企業が考えるべき出版による効果】もあわせて参考にしてください。

    ブックマーケティングを取り入れた成功企業事例

    ブックマーケティングは、特に消費者側に差別化をしていることが分かりづらい業種やビジネスモデルを持っている企業や、ひと言では言い表せないような特徴や優位性を持っている企業などに効果的です。

    実際にブックマーケティングを取り入れて、競合ひしめく中で差別化戦略に成功した企業の事例を2つ紹介します。

    出版によりエリアでのブランド確立を実現した保険代理店の事例

    1つ目は埼玉県の保険代理店の事例です。

    出版した書籍の中で保険業界の現状と問題点を解説。これからの保険代理店経営に必要な考え方やシステムについて述べています。

    保険業界では成果に応じて給与が決まる「成果報酬型」が当たりまえですが、結果として少数のスーパー営業マンに頼る経営になってしまいがちです。

    この保険代理店の経営者は、少数のスーパー営業マンに頼る経営に疑問を持ち「一律報酬型」に変えることによって、アベレージヒッターを育てて業績拡大ができることを紹介。

    出版の結果、各種セミナーに講師として招かれたり、新たなコンサル契約を獲得したり、紹介者が増えて保険契約数が伸びるという効果が得られ、エリア内でのブランドを確立することができました。

    このように、「なぜ一律報酬型が重要なのか?」「少数のスーパー営業マンよりもなぜ、アベレージヒッターが重要なのか?」は、とてもひと言では言い表せません。

    そこを書籍にまとめ、保険代理店を経営するターゲット層にブックマーケティングで的確に届けられたことが、この結果を作り出したと言えます。

    差別化成功で圧巻の受注率を実現した不動産会社の事例

    2つ目は東京都の不動産会社の事例です。

    この経営者は、高収入でありながらも多忙で投資リテラシーを持っていない人が多い医師をメインターゲットとして不動産投資や節税についてまとめた書籍を出版しました。

    高所得者である医師の悩みとして高額な税金があげられますが、最も効果的な節税対策として不動産投資があることを紹介しています。

    出版した結果、大きな節税効果のある投資方法として不動産投資を認知してもらうことができ、多くの医師からの受注を獲得しました。

    また、書籍からの問い合わせがほぼ100%不動産投資案件の成約につながる、という圧倒的な受注率を叩き出しています。

    この経営者は、医師に特化するという差別化戦略を実施していますが、そもそも忙しい医師に不動産投資の節税メリットなどを商談や広告だけで伝えるのは、限界があります。

    一方で書籍は医師に限らず多くの知識欲求層が読みます。ひと言では語れない、理解してもらえないようなものだからこそ、ブックマーケティングで的確にターゲットとなる医師に書籍を届けることができ、しっかりと読んでもらえたことが、この結果を作り出したと言えます。

    まとめ

    以上のように、差別化戦略を行うことで、競合他社にはマネできない独自の魅力を作り出し、業界での競争優位性を高めることができます。

    簡単に見える差別化戦略ですが、安易に行うとかえって顧客が離れたりしてしまいます。そのため、事前に顧客のニーズを調査し、ニーズと合致した差別化を見出していくことが何より重要です。

    また、ターゲットとなる層に的確に届けていくことも差別化戦略の成功にとって重要です。そんな中、差別化戦略の手法の1つとして、ブックマーケティングが注目されています。

    書籍をただ出版するだけの自費出版とは違い、書籍をターゲット層に手に取ってもらえるようにあらゆる施策や手法を総合的に用いていくのがブックマーケティングです。

    ブックマーケティングにより、自社の特徴や強みなどを特定のターゲット層に効果的にアピールすることができるので、差別化戦略の1つの手法として注目されています。

    今現在、差別化戦略や自社のブランディングなどを検討されている方は、1つの方法としてブックマーケティングを検討してみてはいかがでしょうか。

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    参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから

    執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)

    福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経営法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を歴任し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。