「本の出版には興味があるが、何か自分自身や、経営する会社、行っている事業にとってメリットがあるのか?」と、本を出版する効果について疑問を持っている経営者は多いと思います。
結論から言えば、本の出版は、経営者に多くのメリットをもたらします。
しかし「うまく活用すれば」という条件付きです。
ただ本を出版しただけでは、自己満足で終わってしまいます。
この記事では、本の出版を経営者自身のブランディングや、経営する会社や行っている事業の発展につなげていくための、戦略的書籍出版の方法について解説していきます。
経営者で本の出版に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次【本記事の内容】
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慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。
経営者が本を出版するメリットとは?
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「全く同じ内容が書いてあるネットの記事と本、どちらが情報として信用できるか?」と聞かれたら、多くの人が本と答えると思います。
ネットやSNSで自分の欲しい情報がいつでも手に入る時代ですが、今でも本は信用性の高い媒体として多くの人に認知されているのです。
そのため、経営者が本の出版をうまく活用すれば、次のような7つのメリットを得ることができます。
メリット①:経営者自身のブランディング・認知度向上につながる
これまで会社を経営してきた経験や、培った専門性、想いなどを本にすることで経営者自身のブランディングや認知度向上につながります。
なぜなら、多くの人が「一握りの専門家しか本を出版できない」というイメージを持っているためです。
たとえば、ある経営者がサイバーセキュリティに関する本を書いて出版したとしましょう。
それを読んだ多くの人が、「サイバーセキュリティの業界ですごい人なんだ」と思うはずです。
このように、本の出版をうまく活用することで、世の中に自分自身の専門性や、人となりを認知してもらえるようになります。
後にご紹介しますが、ある保険代理店の経営者は、「自身の保険代理店の経営論」に関する本を出版し、多くの業界関係者からの理解と共感を獲得。
講演依頼がくるなど、業界内での認知度向上やブランディングにつながっています。
このように、本の出版をうまく活用すれば、経営者自身のブランディングや認知度向上につなげることができるのです。
▶︎認知度向上については、関連記事【経営者必読!認知度向上の方法と効果的なマーケティングの選択肢】もあわせて参考にしてください。
メリット②:会社や事業のブランディング・認知度向上につながる
本に自身が経営する会社のことや、事業について書くことで、ブランディングや認知度の向上につながります。
後にご紹介しますが、実際に、ある建設業専門のコンサルティング会社の経営者は、本の出版により認知度が向上し、仕事の依頼や商圏の拡大につながっています。
「見込み顧客である層に本を届けることができれば」という条件付きではありますが、「こんな会社だったんだ」「こういう事業をやっているんだ」「こういう強みがあるんだ」と認知度向上につながり、問い合わせや仕事の依頼につながる可能性だってあるのです。
▶︎企業ブランディングについては、関連記事【企業ブランディングとは?企業の成長における重要性や手法を徹底解説】もあわせて参考にしてください。
メリット③:経営者・企業の社会的信頼性の向上につながる
いまだに本は社会的信用性の高い媒体として多くの人に認知されています。
ネットやSNSでの情報収集が主流となった現代であっても、「本を出した」と言ったら、「本を出版できるすごい人なんだ」と思ってくれる人は多いはずです。
また、本の出版をきっかけに、テレビや雑誌などのメディアに注目が集まれば、番組出演やインタビューなどへのオファーにつながる可能性もあります。
本を出版しているというだけで、地域や業界内で一目置かれる存在になれるかもしれません。
このように、経営者が本の社会的信頼性の高さをうまく活用することができれば、自分自身や経営する企業、行っている事業の社会的信頼性を高めることができるのです。
メリット④:競合他社との差別化ができる
ネットやSNSのように、パッと見た印象や、判断されるキャッチーさが求められる媒体とは違い、本はじっくり読まれる媒体です。
ネットやSNSとは違い、本を手に取ってくれた読者に、しっかりと経営者の事業にかける想いや、商品やサービスなどが作られた背景などを伝えることができてしまうのです。
つまり、浅く広く多くの人に認知されやすいネットやSNSとは違い、本は狭い範囲で深い共感を得られやすいのです。
後ほどご紹介しますが、実際にある保険代理店の経営者は、本に自分の想いや考え方を入れ込み、同業他社からの深い共感を得ることに成功しています。
本という媒体の性質を正しく理解し、うまく活用することができれば、同業他社との差別化につなげることができるのです。
▶︎差別化戦略については、関連記事【差別化戦略の成功の秘訣−メリットやデメリット、成功事例とは!?】もあわせて参考にしてください。
メリット⑤:潜在顧客へのアプローチができる
書店を訪れるのは、あらかじめ購入したい本を決めている人ばかりではなく、「こんな感じの本がないかなぁ」という漠然としたイメージを持っている人や、「なにか面白い本がないかなぁ」と全くイメージを持たずに訪れる人もいます。
タイトルを見て回ったり、立ち読みしたりしながら本を選ぶ人もいるでしょう。
このように、書店は潜在的なニーズを持った人が多く集まる場所でもあります。
該当するジャンルの書棚に陳列されることで、そのジャンルの悩みや課題を抱えた潜在顧客に出版した本を購入してもらえる可能性があるのです。
このように、一般的な営業やマーケティング手法では接することができない潜在顧客へのアプローチができることも、本の出版の大きなメリットの1つと言えるでしょう。
メリット⑥:成約までの期間の短縮ができる
本に入れることができる情報量は多く、一般的なビジネス書(200ページ程度)であれば、7万字〜10万字という膨大な情報を入れ込むことができます。
そのため、本の中には、次のような経営者に関わるあらゆる情報を入れることが可能です。
【ブックマーケティング著者のご紹介】・自社の紹介
・自社商品やサービスの紹介
・経営者自身の考えや想い
・創業のきっかけや、これまでの経緯
・商品やサービス開発の背景
・自社の強みやノウハウ
単に会社や商品・サービスの内容だけではなく、その背景にある考えや想いなどもまとめて伝えることができてしまうのです。
このように、本ならではの強みを活用すれば、顧客との信頼関係構築がしやすくなるだけではなく、自社の事業の理解も得られやすくなります。
たとえば、本を読んでいない人と商談を行う場合と、本を読んで問い合わせをしてくれた方と商談を行う場合であれば、後者の方が成約につながりやすく、リードタイムも短くなる可能性が高いと言えます。
なぜなら、すでに本を読んで自社や商品、サービスについてある程度理解してくれている可能性が高いからです。
中には自社や商品、サービスのファンになり、成約前提で問い合わせをしてきている方もいらっしゃるかもしれません。
このように、本をうまく活用すれば、これまで顧客との信頼関係の構築にかかっていた期間や、成約前に顧客教育が必要だった期間が不要となり、成約までのリードタイムを短縮することができるのです。
メリット⑦:経営者や企業にとっての棚卸し(強みの再構築)につながる
本を作る前には、出版する目的や、本にどのような内容を盛り込みたいか、を企画していきます。
経営者へのヒアリングや、打ち合わせを入念に実施した上で企画を作っていくため、そのプロセスの中で経営者自身が「これが自社の強みだ」と改めて気づくことも多いのです。
たとえば、弊社のクライアントさまの中にも、出版のプロセスの中で自身や自社の強みを再認識し、「セミナーで自分の言葉で語れるようになった」「自分自身の自信につながった」という経営者が実際にいらっしゃいます。
本をきっかけに講演に呼ばれて話しても、自信を持って語れる。以前から考えてはいたけど言語化されていなかった概念が、出版によってスルスルと言葉になって出てくるようになった。その言葉が聴衆に刺さっているのも感じます。
引用元:【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店
経営者が出版する目的を明確に!選ぶべき最適な出版方法が異なる
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ここまで、経営者が本を出版することで得られるメリットをお伝えしてきましたが、ただ本を出版しただけでは、これらを得ることは難しいと言えます。
出版する目的をはじめ、「誰に、どのような情報を、どうやって届けていくのか」など、出版後も見据えた戦略があってはじめてメリットを享受できるようになります。
そのための第一歩が出版方法の選択です。
出版「商業出版」「自費出版」「企業出版」という3種類がありますが、その中から最適な出版方法をまずは決めていく必要があります。
自費出版:書籍化が目的
自費出版は、次のように書籍化が目的の場合に選択される出版方法です。
・自分史を後世に残したい
・名刺代わりに配る本を作りたい
・趣味の集大成を書籍にしたい
著者が書きたい内容を書けるというのがメリットですが、出版のためにかかる費用は全て著者負担になります。
また、自費出版の場合は、出版後の書店配本やプロモーション費用も著者負担になることがほとんどです。
よって、「出版しても流通しにくい」というのがデメリットです。
本を出した後に、経営者自身が出版パーティーを開いたり、名刺代わりに積極的に配ったり、送付したりすれば、前述した出版のメリットのうち、いくつかは享受できる可能性はありますが、基本的には何か成果を求めて選択するような出版方法ではありません。
「書きたいことがあるので、どうしてもそれを本にしたい」という方におすすめの出版方法です。
▶︎自費出版については、関連記事【自費出版とは?メリットやデメリット、費用相場、成功事例などを解説】もあわせて参考にしてください。
企業出版:企業の集客・ブランディングなどの課題解決が目的
企業出版は、企業が、集客やブランディングなど、経営課題を解決するという目的で選択される出版方法です。
次のような、さまざまな経営課題を解決したい場合におすすめの出版方法と言えます。
・自社やサービス、商品の認知度をあげたい
・競合他社と差別化を図りたい
・自社のブランディングを強化したい
・自社やサービス、商品の社会的信用性をあげたい
・社内ブランディング(インナーブランディング)を強化したい
・成約までにかかるリードタイムを短縮したい
・上場に向けて、会社の認知度や社会的信用性をあげたい
・WebやSNSで集客しているがうまくいかない、それ以外の集客方法を探している
・富裕層や決裁権者などに効率的にアプローチしたい
出版費用はすべて企業側の負担となる点や、本の内容の最終決定権が企業側にあるという点は自費出版と同じです。
しかし、企業の課題解決が目的であるため、「目的達成のためにどのような本を出版すれば良いのか」という企画提案が出版社側からあるのが、大きな違いと言えるでしょう。
また、自費出版とは違い、出版後のプロモーションや配本も行われることが前提です。
出版社の流通網を活用し、商圏内の書店に的確に配本できることも自費出版にはない、企業出版ならではの特徴と言えるでしょう。
「本がどれぐらい売れたのか」というよりも、「いかに見込み顧客に1冊でも多く届けられるか」ということが重要なので、出版後のプロモーションをどうするかも見据えて本の企画を行っていく必要があります。
出版社によっては、SNSや、SEO、Web広告、クラウドファンディングなど、あらゆるマーケティング施策を活用していくことを見据えて本の企画を考えていくこともあります。
マーケティング施策の一環として本の出版を活用することから、ブックマーケティングとも呼ばれることもある出版方法です。
商業出版:出版社の売上向上が目的
商業出版は、出版社がヒット作を作り、売上や利益を向上させることが目的の出版方法です。
売れる本を作るために、出版社が自ら本の内容の企画や著者の選定を行い、配本やプロモーションを大々的に行っていくので、ベストセラーが生まれやすいというのが商業出版の特徴です。
実際にベストセラーの本のほとんどが商業出版によって生まれています。
出版社主導の出版方法なため、企業や経営者個人の一存で商業出版ができるわけではありません。
著者自身や出版コーディネーターが企画を出版社に持ち込んで出版されるケースもありますが、全体のごく一部です。
また、出版社が決めた方向性に沿って本を作るため、著者が伝えたいことを自由に書ける訳ではありません。
出版社都合で内容が変更されることもよくあります。
あくまで出版社の企画に沿って著者がアサインされる、という形になるため、著者には印税という名の報酬が発生します。
▶︎商業出版については、関連記事【商業出版とは?企業がブランディングを考えたときの出版の選択肢】もあわせて参考にしてください。
単なる自己満足な出版で終わらせないためには?
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「商業出版からなぜベストセラーが多くでるのか」というと、出版社が「売れる本を作る」という明確な目的を持って、トレンドや読者の興味関心をリサーチしたり、配本やプロモーションなども見据えて戦略的に本の企画を行うためです。
商業出版のようにベストセラーが目的では無かったとしても、何か本を出版することで成果を得たい場合は、「いかに戦略的に本を企画し出版するか」が自己満足な出版で終わらせないコツです。
具体的には次のようなポイントを押さえましょう。
本を出版する目的を明確にし、有効な出版方法を選択する
まずは「何のために本を出版するのか?」という目的を明確にしましょう。
「社会的信用性をあげるために本を出したい」「何か自分の生きた証を残したい」「自分の考えや想いを形にしたい」という目的であれば、自費出版がおすすめです。
このような目的の場合は、「自分が好きなことを書ける」ということが重要です。
一方で、本を出版することで、自社の認知度・知名度向上や、競合他社との差別化、ブランディング、集客アップ、新規顧客獲得などを期待するのであれば、企業出版がおすすめです。
この場合は、「自分が好きなことを書く」というよりも、「いかにターゲットに1冊でも多く届けるか」が重要であり、配本やプロモーション、マーケティング戦略が必要になってきます。
企画の段階から、こういったことを含め、コンセプトや戦略を練っていくことが何より重要です。
出版後のプロモーション戦略と書籍活用も見据えた企画を立案する
自己満足で終わらないためには、「これを書きたい」ということよりも、「自社の強みが何なのかを再認識し、その強みを誰にどうやって伝えるのか」の方が重要です。
そのためには、本の企画の段階から、ターゲット決めや、出版後のプロモーション方法や本の活用方法をある程度決めておく必要があります。
むしろ、それを見据えた本の内容にしていくことが重要なのです。
たとえば、本の出版後にSNSで情報を拡散していく予定であれば、小出しにできるような見出し構成にしたり、SNSと連動する要素を盛り込んでいくなどができるはずです。
また、本の出版後にセミナーや講演会を積極的に行っていく場合には、そこに思わず足を運びたくなるような内容を盛り込むことができます。
このように、先を見据えた戦略的なプロモーションやマーケティングを踏まえて、本の内容を決めていくことが、ただの自己満足で終わらせないコツの1つです。
出版後の書籍の流通経路をあらかじめ考え、出版社と相談しておく
出版後の流通経路も重要です。
商圏以外の地域に配本しても意味がありません。
そのため「どの地域の書店に配本していくのか」などを出版社と相談しておきましょう。
「商圏拡大のためにこの地域に配本していきたい」「この地域で競合他社との差別化を図りたい」という明確な目的があるのであれば、流通経路もそれに応じて変えていくべきです。
出版後に書籍を活用したプロモーションを実施する
「本を出版したけど、何も反響がなかった」という声をよく聞きますが、その原因は明確です。
本を出版した後に、何もしなかったから、反響がなかったのです。
すでに知名度が高い経営者、企業であっても、書店配本はもちろんのこと、SNSで定期的に書籍の内容の一部を投稿したり、出版記念セミナーを開催したり、営業ツールとして積極的に配ったり、見込み顧客に送付したり、出版後にあらゆるプロモーションを行わなければ、反響を得ることは難しいと言えます。
実際に、ベストセラーになっている本の多くは、内容が良いだけではなく、出版社がお金をかけて積極的にプロモーションをしているから売れているのです。
そのため、出版後にも積極的にプロモーションを実施していきましょう。
電子版のみはNG!紙の書籍を出版する
「デジタルの時代だから」と、電子書籍のみで出版を検討している方も多いと思いますが、注意してください。
なぜなら、誰でも無料で電子書籍を出せるというハードルの低さから、競合が多く、見つけてもらうことが難しいためです。
ある程度知名度がある会社だったとしても、簡単に埋もれてしまいますので、プロモーションやマーケティングをしっかりと行っていかないと、電子書籍のみで企業の課題を解決するのは難しいと言えるでしょう。
あくまで紙媒体の補助的な役割で電子書籍を活用するのがおすすめです。
Kindle出版やプリントオンデマンドには注意
出版費用を抑えるための方法として、Kindleなどの電子書籍やプリントオンデマンドがありますが、利用は慎重に検討しましょう。
なぜなら、電子書籍は紙媒体に比べて社会的信用性が低いからです。
誰でも無料で出せるのが電子書籍の強みであり、弱点でもあるのです。
安易に安いから、といって手を出すのはおすすめしません。
経営者の出版成功事例
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本の出版をうまく活用すると、実際にどのような成果が期待できるのか。
実際に経営者が本の出版をうまく活用した事例をいくつかご紹介します。
事例1:保険代理店の経営者の場合
ある保険代理店の経営者は「保険業界の給与体系を変えることによって業績拡大ができる」という持論を世に問うために書籍を出版。
書籍の中で、保険業界では当たり前の「成果報酬型」を「一律報酬型」に変えることを提唱し、「一部のスーパー営業マンに頼った経営から、全員がアベレージヒッターになる経営に変えていこう」と訴えかけました。
保険業界の当たり前とは反対の持論を展開した形でしたが、予想以上に多くの業界関係者から理解と共感が得られたのです。
結果として、ブランディングに成功。
本の出版によって保険の契約獲得数も増え、新規コンサルティング契約の獲得や講演会の依頼などにもつながっています。
なんというか、当社の見られ方が確実に変わりましたね。同業者の集まりに出ても「あのイナバプランニングカンパニーさん」という反応で最初から一目置かれている。保険の商談に従業員と同行するときも、お客様に事前に本を読んでおいてもらうと、ご面談するときにちゃんと「あったまっている」んですよね(笑)
引用元:【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店
事例2:不動産会社の経営者の場合
高収入な医師をターゲットに不動産投資サービスを提供していた、ある不動産会社の経営者は、SNSやWeb広告を運用しても成果が得られない現状や、成約までのリードタイムの長さを改善したいと考えていました。
不動産投資サービスは、高額で、パッと判断して購入に踏み切れる商品ではありません。
「見込み顧客といかに信頼関係を築けるか」や、「いかに必要性や有効性を理解してもらうか」が重要です。
そのため、パッと見て一瞬で「買う・買わない」や、「興味ある・ない」を判断されるSNSやWeb広告とは相性が悪かったのです。
そこで「高収入な医師に最も効果的な節税対策は不動産投資である」というテーマで本を出版。
ターゲットである医師に的確に本を届けるためのプロモーション戦略を企画段階から練っていたことが功を奏して、多くの医師に本を読んでもらうことに成功しました。
実際に、本を読んだ医師に、不動産投資に大きな節税効果があることが認知されて問い合わせが増加。
さらには既存顧客や、本を読んだ医師からの口コミなどによって評判が広がり、新規顧客の獲得につながっています。
事例3:建設業専門コンサルティング会社の経営者
この経営者は、自社で行う事業があまり世間に認知されていないことを課題に感じていました。
そこで、知名度向上や商圏の拡大のために本の出版に踏み切りました。
ターゲットである建設業者の決裁権者に確実にアプローチするために、書籍のタイトルに「建設業のための」という文言を入れたり、その後のプロモーション戦略も見据えて本の内容を企画。
出版後、ターゲットとしていた建設業者の決裁権者に読んでもらうことができ、出版翌日から電話が鳴り止まないほどの反響を得ています。
結果として、10件近くの新規顧問契約獲得につながり、首都圏中心に配本したことにより、商圏の拡大にも成功しました。
建設業専門のコンサルティング会社としての地位を確立し、ブランディングにも成功。
業界からの認知度向上にもつながっています。
【まとめ】目的を持って戦略的に本を作ろう!
経営者が本を出版するなら、自身の自己満足で終わらせるのではなく、経営者自身にとっても、経営する企業や行っている事業にとっても良い影響が期待できる「企業出版」がおすすめです。
もちろん、「自己満足でも自分の書きたいことがかければ良い」ということであれば自費出版で良い思いますが、せっかくお金をかけて本を出版する訳ですから、目的を明確にして、戦略的に本を作った方がメリットが大きいと言えます。
もし、経営者自身や経営する企業の目的に合わせた、戦略的な出版をお考えであれば、フォーウェイまでご相談ください。
配本やプロモーション戦略はもちろんのこと、SNSやWeb広告、SEO、クラウドファンディング、セミナーなど、あらゆるマーケティング施策を駆使した戦略的書籍出版をご提案いたします。
▼パノラボのブックマーケティングのご案内はこちら
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マーケティング手法の一つである「出版マーケティング」は書籍を利用して、長期的に集客や認知度向上を図る仕組みです。
本記事では、「出版マーケティング」に取り組むためはどういうやり方があるのか、その費用感はどの程度か、および成功事例にはどのようなものがあるのかなどについてくわしく解説します。
目次【本記事の内容】
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福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経営法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を歴任し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。
そもそも出版マーケティングとは?
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「出版マーケティング」とは、書籍を出版してマーケティングに活用する手法のことです。
企業が自社の事業や商品、サービスなどに関する書籍を出版し、集客や認知度向上に役立てることを目的としています。
現代では、インターネット上で必要な情報を容易に見つけることができる一方で、根拠や情報ソース、発信者が不明確なものも多く、本当に信頼できる情報を探し出すことが難しいのが実情です。
一方、書籍には出版社と著者が明記されていますので「インターネット上の情報よりも信頼できる」と考えられやすい傾向があります。
そのため、企業の強みや独自技術・実績、取り組みなどをストーリーとしてまとめて一冊の書籍として出版すれば、書籍の信頼性や出版社の全国的な販路を活かした効果的なマーケティングが可能となります。
また、SNSやWebサイト、ブログ、クラウドファンディングなど、他のWebマーケティング手法と組み合わせることもできるので、より高い効果を狙うことができます。
企業出版、自費出版、商業出版との違い
一般的に、書籍を出版する方法として企業出版、自費出版、商業出版という3つの出版方法があります。
企業出版は、企業が出版費用をすべて負担して、企業の認知度や信頼性を向上するために書籍を出版し書店へ流通させてプロモーションを行うものです。
「いかにターゲット顧客に書籍を届けるか」が目的になってきますので、そもそも書籍がたくさん売れなくても問題ありません。
もちろん、売れるにこしたことはありませんが、読者の中に1人でも、内容に共感し、企業や商品・サービスへの親近感を持ち商品やサービスの購入に至ってくれれば企業出版は成功と言えます。
次に、自費出版は、個人が出版費用をすべて負担して書籍を出版するもので、書店へ流通させることもありますが、基本的には積極的なプロモーションは行いません。
個人の趣味の集大成としたり、企業経営者が名刺代わりに配るために、書籍化することが目的の出版方法です。
商業出版は、出版社が出版費用をすべて負担して書籍を出版するもので、ヒット作を作って販売数を伸ばし、出版社が利益を上げるための出版方法です。
出版社が力を入れて宣伝やマーケティングを行うため、世の中にあるベストセラーの本のほとんどはこの方法によって出版されています。
これらの3つの出版方法の中で「出版マーケティング」に最も近いと考えることができるのは企業出版です。
企業出版の場合の商品やサービスの利用は副次的な結果ですが、結果的にはマーケティング効果があったと考えられるからです。
他のマーケティング手法との違い
代表的なマーケティング手法としては、下表のようなものがあります。
マスマーケティング |
テレビ広告、ラジオ広告、新聞広告、雑誌広告、屋外広告 |
ダイレクトマーケティング |
テレアポ、ダイレクトメール、メール、SNS、インターネット広告、レコメンドエンジン |
インバウンドマーケティング |
SEO、動画 |
これらのマーケティング手法に共通しているのは、施策を実施している間は高い効果が期待できますが、施策をやめた途端に効果が激減することです。
これに対して、「出版マーケティング」では書籍を利用しますので、マーケティング効果が長期的に継続します。
出版マーケティングはこんな人におすすめ
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書籍は、他のマーケティング手法と違い長い文章を読んでもらえるという点が大きなメリットです。
そのため、他のマーケティング手法とは違った訴求が可能になります。
WebやSNSの場合は「読まない」を前提にパッと見ていかに見込み顧客に伝わるかが重要になります。
一方で、書籍の場合には、そういった心配なくあらゆる情報を見込み顧客に読んでもらうことが可能です。つまり、一冊で信頼関係の構築や顧客教育がすべてできてしまうということです。
こういったメリットを考慮すると、出版マーケティングは特に、次のような企業や経営者におすすめです。
- ・成約までに信頼関係構築が必要で、成約までの期間が長い
- ・ビジネスモデルが複雑で、成約するためにある程度の顧客教育が必要である
- ・事業も安定してきたので、企業の次なる成長への打ち手に困っている
- ・WebやSNSではなかなか自社のサービスが伝わらないと感じている
- ・競合他社との差別化が難しい
- ・企業としての認知度向上、ブランディングを効果的に行いたい
- ・富裕層や経営者などへのアプローチが可能
出版マーケティングの成功事例
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「出版マーケティング」の成功事例は数多くありますが、ここではその中から3件を紹介します。
成功事例1:医師向けの不動産投資
この不動産会社の経営者は、高収入な医師をターゲットとして、従来からSNSやウェブ広告などを使って不動産投資サービスに関する情報発信を行っていましたが、見込み顧客が獲得できずに悩んでいました。
そこで「高収入な医師に最も効果的な節税対策は不動産投資である」という内容の書籍を出版して、自身の考えや想いを伝える出版マーケティングを行うことを決心。
書籍の企画段階から医師をターゲットとしたマーケティング戦略を練っていたため、狙い通り多くの医師に書籍を購入してもらうことに成功しました。
具体的には、出版のタイミングに合わせたSNS投稿やセミナー開催、クラウドファンディングなどをうまく組み合わせてプロモーションを行ったのです。
この「出版マーケティング」によって、書籍を購入した医師に「不動産投資に大きな節税効果があること」を認知してもらうことができ、売上を倍増させることができました。
さらに、既存顧客から知り合いの医師への口コミや書籍を配布することなどによって評判が広がり、新規顧客を獲得することにもつながっています。
成功事例2:保険代理店経営
この保険代理店の経営者は、保険業界の給与体系を変えることによって業績拡大ができるはずだという持論を持っていました。
そして、その持論を世に問うために「出版マーケティング」を利用して書籍を出版。
その書籍の中で、保険業界では当たり前となっていた「成果報酬型」を「一律報酬型」に変えることを提唱しました。
これは、一部のスーパー営業マンに頼り切った経営から、アベレージヒッターを育てて全員で支えていく経営に変えていって業績拡大ができるという内容でした。
書籍という情報量の多い媒体を使ったため、多くの業界関係者から理解と共感が得られて、自社のブランディングにも成功。
書籍の出版をきっかけに保険代理店の契約数も飛躍的に伸びたのはもちろんですが、他の保険代理店からコンサルティングの新規契約を獲得することにも成功しています。
成功事例3:工場コンサルティング
このコンサルティング会社は、従来から製造業を対象に工場向けのコンサルティングサービスを提供していました。
コンサルティング費用が高単価で、営業をしても説明に時間がかかることなどから受注率が低いことが悩みのタネでした。
そこで、「出版マーケティング」により書籍を出版。
「ファクトリーオートメーションによって製造業の人材不足を解決し、経営効率化と利益の最大化ができる」というメッセージを伝えました。
書籍出版後の1ヶ月で10件以上の引き合いがあり、今までリーチできていなかった分野の企業からの問い合わせも増えて売上向上につながっています。
このような顕著な成果が得られた要因として、書籍のターゲットを生産部門の決裁者とし、「ターゲットに向けた明確なキャッチコピーを採用したこと」「書籍を購入して読んでもらうことによって説明に要する時間を大幅に省略できたこと」などが挙げられます。
【ココが違う】出版マーケティングならではの活用メリット
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成功事例からもわかるように「出版マーケティング」では書籍を利用しているため、他のマーケティング施策にはないさまざまなメリットが享受できます。
代表的なものは、次の7つです。
他のマーケティング施策に比べて多くの情報量を伝えることができる
書籍の情報量が、他のマーケティング施策(テレビCM・新聞広告・雑誌広告・Web広告・チラシなど)に比べて圧倒的に多いという特徴があります。
たとえば、A4サイズのチラシに記載できる文字数は1,000文字~2,000文字程度に過ぎませんが、書籍は一般的に200ページ程度で、その文字数は約7万文字~10万文字です。
この膨大な情報量を利用して、企業の商品やサービスの特徴はもちろんのこと、企業理念や経営者の考え方までを一冊に集約して伝えることができます。
このように、多くの情報をまとめて伝えることができるマーケティング施策は他にはありません。
顧客との信頼関係構築や顧客教育が1冊でできる
「書籍を出版している」という事実だけで、その企業の信頼性は格段に高くなるので、顧客との信頼関係の構築に大きく寄与します。
また、取り扱っている事業のビジネスモデルが分かりづらい場合などでも、書籍を読んでもらうことによって顧客教育ができます。
このように、顧客との信頼関係構築や顧客教育が1冊でできるため、商談効率や成約までの期間が短縮できます。
長期的な運用・活用ができる
「出版マーケティング」によって出版された書籍は長期間にわたって流通し、購入された場合もそう簡単に捨てられることはありません。
また、Webサイトやブログ、SNSなどに掲載されたコンテンツも長いことインターネット上に残り続けてマーケティング効果を発揮します。
そのコンテンツの専門性や信頼性が高ければ、価値の高い資産としてマーケティング効果を最大化できるでしょう。
書籍は、テレビCMやWeb広告などのような短期的なマーケティング施策ではありませんので、長期的な企業活動に運用・活用することが可能です。
潜在顧客へのアプローチができる
「出版マーケティング」によって出版された書籍は配本されて書店の書棚に並べられます。
書店を利用する顧客は「なにか面白そうな本はないかな」と興味のあるジャンルの書棚を眺めて、そこで書籍のタイトルにひかれると手にとって気に入れば購入します。
つまり、書店に並べられることによって潜在顧客へのアプローチができるということです。
本を読んで自社の商品やサービスに信頼感を持つ顧客が出てくる可能性もあります。
他施策への二次利用でマーケティング効果を最大化できる
出版した書籍を他のマーケティング施策に二次利用することができます。
たとえば、既存顧客に無料でDM発送したり、営業ツールとして活用したり、展示会やセミナーで配布するなどです。
また、書籍の著作権は著者企業に帰属しますので、そのコンテンツをWebサイトやブログ、SNSなどに二次利用することができます。
これらの他のマーケティング施策への二次利用によって、マーケティング効果を最大化することができます。
・書籍をDM発送
・営業ツールとして活用
・出版セミナーを開催
・SEO対策(権威性、信頼性、オリジナル性)
・各種SNSの情報発信での二次活用 |
WebやSNSでは狙えない顧客にアプローチできる
現代の広告宣伝は、インターネットを介したWebサイトやSNSによる情報発信が主流となっていますが、特に高齢者などはWebサイトやSNSとは縁遠いためなかなかアプローチすることができません。
しかし、書籍であればこのような顧客にもアプローチすることが可能となります。
実際に、インターネット中心に会員登録数を増加させていた投資助言業の企業が、なかなかアプローチできていない高齢者層への訴求に書籍を活用して集客に成功した事例もあります。
企業のブランディングや認知度向上ができる
書籍を出版することによって、その書籍を自社のブランディングや認知度向上、顧客の購買意欲向上などに役立て、売上の向上や利益改善などの経営課題の解決につなげることができます。
そのためには「出版マーケティング」のゴールは書籍の販売ではなく、書籍をきっかけにした企業の成長にあることをきちんと認識しておくことが大切です。
出版マーケティングの費用感
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「出版マーケティング」にかかる費用は、書籍の仕様や発行部数、制作費用、プロモーション費用などの要素によって変わってきますが、一般的には450万円~1,000万円程度です。
書籍の仕様としては四六判(横130mm×縦188mmの単行本サイズ)で200ページ程度の書籍が多く、印刷費用には書店に流通する流通部数だけでなく、著者に納品する部数も通常は含まれます。
制作費用はライターや編集者、デザイナーの依頼費や人件費、プロモーション費用はメディアへのリリースや書店営業、Web広告・新聞広告への出稿、出版記念イベントの開催などの費用です。
出版マーケティング施策に取り組むには?流れや必要な期間
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ここでは、「出版マーケティング」施策に取り組むために必要なプロセスの流れや必要な期間などについて解説します。
書籍の企画 |
企画段階では、出版の目的とターゲット、アプローチ方法をきちんと決めておく必要があります。つまり、何のために書籍を出版して、誰に読んでもらって、何を伝えるのかということを決め、さらにそのターゲットに確実に届けるためのプロモーションまでを想定しておく必要があるということです。書籍の企画に必要な期間は、約2週間~1ヶ月です。 |
原稿執筆 |
書籍の企画が決まると、それに従って原稿を執筆し写真・図表・イラストなどを準備します。その後出版社の編集者からアドバイスをもらい必要に応じて修正をします。
原稿執筆や写真・図表・イラストなどの準備に必要な期間は、約2週間~4ヶ月です。 |
デザイン |
原稿が完成すると、表紙や誌面のデザインやレイアウトを行います。
デザインに必要な期間は、約2週間~1ヶ月です。 |
校正・校閲 |
デザインが終わると紙やPDFに出力して校正を行います。誤字脱字・表記ゆれはないか、デザインはイメージ通りか、写真・図表・イラストは適切かなどについて校正と修正を行います。同時に校閲によって事実関係に誤りがないことを確認します。
校正・校閲に必要な期間は、約2週間~1ヶ月です。 |
印刷・製本 |
校正が終わると、出版社から印刷会社に書籍のデータが送られて、印刷会社から色校正が提示されます。インクのノリ具合や写真の色味を確認して問題がなければ書籍が印刷・製本されます。
印刷・製本に必要な期間は、約1ヶ月です。 |
プロモーション |
書籍が完成すると企画段階で決定したプロモーションを実施して書籍を販促し、「出版マーケティング」の目的達成を目指します。 |
出版マーケティングを成功させる3つのポイント
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「出版マーケティング」を成功させるためには次の3つのポイントがあります。
戦略的に流通・配本を行える出版社を選ぶ
「出版マーケティング」において、出版社選びは非常に重要です。
出版する書籍のジャンルに強い出版社であることはもちろんですが、戦略的な流通や配本が行える出版社でなければなりません。
一般的には、全国規模の流通網がある出版社が良いと考えられますが、書籍のテーマや企業の事業展開によっては、ある特定のエリアだけに配本したいケースやある特定のターゲットに届くように配本したいというケースなどがあるからです。
なお、全国の書店に流通網がある大手出版社の場合は、部数を多めに刷って大量に流通させることによりコストが上がってしまう可能性があります。結果的に大多数が返品されてしまうため、効果的にターゲットに届けたいなど目的がある場合は注意が必要です。
出版後のプロモーションを見据えた書籍の企画戦略を立てる
「出版マーケティング」で書籍を出版する際は、企画段階で出版の目的とゴールを設定し、さらに出版後のプロモーションも含めた戦略を立てることが必要です。
出版の目的とゴールが明確になっていないと、ターゲット読者が曖昧なままに書籍の制作とプロモーションを行うことになり、最悪の場合成果が得られないことになりかねないからです。
「書籍を使って解決したい課題は何なのか」「最終的なゴールは何なのか」「そのためにどのようなプロモーションを行うべきなのか」について最初にしっかりと考えておく必要があります。
出版後にあらゆるプロモーション施策を実施する
書籍を出版した後には、あらゆるプロモーション施策を実施する必要があります。
主なプロモーション施策は次のとおりです。
- ・SNS施策
- ・クラウドファンディング
- ・セミナー、講演活動
- ・Web広告
- ・SEO施策
- ・書店プロモーション
以下、順にこれらの施策について紹介します。
SNS施策
現代ではインターネット環境が整っており、すでに多くの企業がマーケティングツールとしてSNS(X、Instagram、TikTok、YouTubeなど)を利用しています。
出版マーケティングとSNSを組み合わせることによってマーケティング効果を最大化することが可能です。
SNSには大きな拡散力がありますので、テレビCMやWeb広告よりも大きな効果を得ることができます。
書籍の制作には6ヶ月~8ヶ月程度かかりますので、制作期間中に一貫したSNSアカウントを立ち上げて事前告知を行ってフォロワーの興味を喚起し、フォロワーがファン化した頃に出版するという状態が作れれば理想的です。
vまたは、ストーリーテリングの手法を取り入れて、SNS上でストーリーを紡ぎ、その続きを書籍につなげるような方法も考えられます。
▶ストーリーテリングについては、関連記事【ストーリーブランディングとは?企業の物語を伝えてファンを作る方法】もあわせて参考にしてください。
クラウドファンディング
書籍の企画を決定した後に、クラウドファンディングを実施して書籍の事前告知をして企業の認知度向上を図ることができます。
クラウドファンディングを実施することによって、出版費用や広告宣伝費用を調達することができるだけではなく、書籍に関する情報発信の機会が増えることになります。
クラウドファンディングの支援ページは書籍の出版後も残りますので、自社の取り組みを長い期間残すことが可能です。
セミナー、講演活動
書籍の制作期間中に書籍の内容に関するセミナーや講演会などを開催することができます。
さらに、出版後には出版記念セミナーを開催して、セミナーの最後に直接書籍を販売したり配布したりするのも一つの方法です。
出版記念セミナーを開催して集客することによって、より広い潜在顧客に書籍を届けることができます。
Web広告
書籍の発売に合わせてWeb広告を使ったプロモーションを行ったり、書籍専用のLPを作ったり、書籍のコンテンツを抜き出してコンテンツマーケティングを行うことなどが考えられます。
LPを利用する場合は、訪問者リストを作成して分析し今後のマーケティングに利用することが可能です。
SEO施策
書籍の著作権は契約主体である企業に帰属しますので、コンテンツを自社のWebサイトやブログなどに自由に掲載することができます。
近年のSEO対策で重要なことは、コンテンツのオリジナリティーですので、書籍のようなオリジナルコンテンツは自社サイトに高いSEO効果をもたらします。
また、オリジナルで専門性の高いコンテンツは、他社サイトやブログからの引用も多く見込めるため、被リンク獲得にもつながり、自社サイトのドメインパワーを高めることができます。
結果として、高いSEO効果を得ることにつながるのです。
書店プロモーション
書店プロモーションには次のような施策があります。以下の順に説明していきます。
- ・出版社の流通力がカギ! 戦略的な配本
- ・実績として打ち出せる! ランキング買取
- ・露出力を高めるには買取プロモーションを活用!
- ・書棚以外でも認知促進が図れる! 有力なポスター展開
- ・書籍や自社告知のための新聞広告
- ・ブックカバーやしおりの配布
- ・店頭看板やデジタルサイネージ
- ・イベントスペースを活用した講演会の実施
出版社の流通力がカギ! 戦略的な配本
全国への流通網が整った実績のある大手出版社から出版することによって戦略的に配本することが可能です。
たとえば、ダイヤモンド社、日経BP、幻冬舎メディアコンサルティング、クロスメディア・パブリッシングがあり、いずれも出版費用は高額ですが流通力が高く大きなメリットが得られます。
フォーウェイでは、雑誌やWebメディアへの発信を積極的に行っている主婦の友社や小学館などの出版社と提携しているほか、戦略的な配本を得意とするグループ出版社パノラボでの一気通貫での出版も行っています。
これらの出版社の流通力を活用すれば、2,000部程度あれば、全国の大型書店~中堅書店には十分に配本することができ露出力を高めることができます。
また、パノラボでは、自社の商圏に近い書店に重点配本するなどの自社のビジネスメリットを想定した戦略的なエリアマーケティングを行うことも可能です。
実績として打ち出せる! ランキング買取
一度に100冊~500冊などを買取するという約束をして、書店での週間ランキングで1位を獲得するようにする方法があります。
週間ランキングで1位を獲得すれば、自社のホームページなどに掲載することによりブランディング効果を高めることができます。
また、書籍の販売促進のための新聞広告を実施する際にも、このランキング情報を掲載すると「この本は売れている」という説得力を持たせることも可能です。
露出力を高めるには買取プロモーションを活用!
書籍を一定数買取するという約束をして、一定期間大型展開を実施してもらう方法もあります。
ランキング買取との違いは、一括で数100冊も買取するのではなく、たとえば50冊の展開を依頼して、1ヶ月後に売れ残った書籍を買取るというものです。
近年、出版業界では返品率の高さが問題視されているので、書店にとっては売れ残った書籍を全て買取るという条件は、返品の必要がなく売上も担保されるためうれしい提案なのです。
通常の配本ではなかなか読者に手に取ってもらえない可能性もあるため、売れ残った書籍の買取を条件に1ヶ月間で展開をしてもらうと販売促進にもつながり、企業の認知度も向上します。
なお、買取りした書籍はセミナーでのプレゼントや、営業活動で顧客に配布したりできるので、長期的に書籍を活用する点で有効なプロモーションとなります。
書棚以外でも認知促進が図れる! 有力なポスター展開
書店に一定のプロモーション費を支払って、書籍の近くや店頭・店内の目立つ場所にポスターの展開をしてもらうこともできます。
ポスター制作については出版社と調整する必要がありますが、書籍の認知度を上げるのに効果的です。
買取プロモーションと異なるのは、書籍を買取りする必要がないことです。
自社で書籍を必要としない場合は、ポスター展開ができるプロモーションは有力な手段と言えるでしょう。
書籍や自社告知のための新聞広告
書籍の出版に合わせて、書籍や自社の告知をするために新聞広告を出稿する方法があります。
たとえば、全国の書店への配本と同時に新聞広告を使ってプロモーションを行うこともできます。
特にビジネス書は日経新聞の広告掲載と相性がよく、現代でも書籍の販売促進には最も有効な手段の一つです。
ブックカバーやしおりの配布
書店でプロモーションをする際に、書籍の内容と連動したブックカバーやしおりを準備しておき、店内に設置したり書店員に配布してもらうことができます。
書店に来店する顧客の多くは、好奇心が旺盛で知識欲などのリテラシーが高い人たちなので、出版した書籍に興味を持って手に取ったり購入したりしてくれる可能性があります。
店頭看板やデジタルサイネージ
大型書店などであれば、店頭看板や懸垂幕などで広告してもらい、来店客ばかりでなく通行人にアピールする方法もあります。
また、近年ではデジタルサイネージに注目が集まっており、店内に設置された液晶モニターに映像や音声を配信して書籍の広告をすることも可能です。
イベントスペースを活用した講演会の実施
都市圏の大型書店の場合、イベントスペースを有していることが多いので、企業の告知スペースとしても活用できます。
書籍出版する場合は、書籍のテーマに合わせてセミナーを開催することも考えられます。
書店でのセミナーは、自社開催のセミナーとは異なった客層を集客することができますので、潜在顧客へのアプローチとしても有効です。
Amazonの販売促進広告
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Amazonなどのネット書店の場合は、タイトルや著者名が分かっていないと書籍にたどり着かないことがあります。
リアル書店であれば、興味や関心のあるジャンルの書棚を眺めているうちに、意外な1冊に巡り合う可能性がありますが、ネット書店ではそのようなことはありません。
この対策としてAmazonのスポンサー広告や書籍販促を目的としたGoogleディスプレイ広告、SNS広告などの利用があります。
ターゲットが明確であれば、そのターゲットが検索しそうなキーワードをスポンサー広告等に設定することによって、書籍の販売促進につなげることができます。
【まとめ】出版マーケティングは長期的な集客、認知度向上の仕組み作り
「出版マーケティング」を利用すれば、書籍を出版するだけではなく、その書籍をブランディングに活用して自社の信頼性の向上などに役立ていくことができます。
つまり、「出版マーケティング」とは長期的な集客、認知度向上のための仕組み作りだということができるでしょう。
「出版マーケティング」にトライしてみようとお考えなら、ぜひフォーウェイまでご相談ください。
▼パノラボのブックマーケティングのご案内はこちら
![](https://forway.co.jp/wp-content/uploads/2023/05/unnamed-2-1024x584.png)
企業経営者が書籍を出版する際には、出版社や編集者などのプロの手を借りることが必要です。
もしくは、出版社には属していない「出版プロデューサー」という職業の方にサポートしてもらうことも考えられます。
本記事では、「出版プロデューサー」の役割や選ぶ際の注意点などについて詳しく解説します。
目次【本記事の内容】
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慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。
出版プロデューサーとは何者か
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「出版プロデューサー」という職業はあまり知られていませんが、映画業界やTV業界、音楽業界などで「プロデューサー」といえば、「作品を制作する人」や「作品の制作責任者」を指します。
「出版プロデューサー」も同じように、「出版物を制作する人」や「出版物の制作責任者」のことをいいます。
ただしここで気をつけなければならないのは、「出版プロデューサー」と紛らわしい名前の「出版コンサルタント」や「出版エージェント」などがいるということです。
名前が似ているというだけでその役割は違っているので、書籍を出版したいと考えている方は、それぞれの違いをよく分かったうえで、のちのちトラブルにならないように「出版プロデューサー」を選ばなければなりません。
以下では、「出版プロデューサー」について説明した後に「出版コンサルタント」や「出版エージェント」についても説明し、役割の違いを明確にします。
出版プロデューサーとは
「出版プロデューサー」とは、一言でいえば「本の出版に責任を持つ人」です。
具体的には、著者の発掘から出版企画書の作成、出版社への企画の提案、出版後の販促などまで、書籍の作成や出版に関わるすべてのプロセスにおいて著者をサポートします。
「出版プロデューサー」は出版社には所属しておらず、個人または法人に所属して活動しています。
多くのジャンルの出版に関わった幅広い経験や、多くの出版社や編集者とのネットワークをもっているため、適切な出版企画書の作成をして、最もふさわしい出版社にコンタクトして、著者と出版社との橋渡しをします。
以下では、より具体的に「出版プロデューサー」の役割について見ていきましょう。
「出版プロデューサー」の1つ目の役割は、著者を発掘することです。
「出版プロデューサー」は、世の中に価値を提供できる、かつ売れる見込みのある本をプロデュースする仕事ですので、企業経営者や普通のサラリーマン、主婦の中から「他人に届ける価値」を持った著者を探し出します。
その人たちの中に潜んでいる「他人に届ける価値」を適切に引き出せる出版プロデューサーが、腕の良い「出版プロデューサー」ということになります。
「出版プロデューサー」の2つ目の役割は、出版企画書の作成、またはアドバイスを行うことです。
多くの著者は出版に関しては素人なので、ほとんどの場合「出版プロデューサー」が出版企画書を作成した方が短期間で質の良いものが出来上がります。
出版企画書を作成するにあたっては、著者からヒアリングして著者が持っている「他人に届ける価値」や「他の人にはない著者だけの強み」を引き出していきます。
高いヒアリング能力を持つ「出版プロデューサー」が、多くのベストセラーを出すことができるのです。
「出版プロデューサー」の3つ目の役割は、出版社へ企画を売り込んで採用してもらうことです。
日本には、大手・中堅・小規模の出版社や専門出版社、その他の組織の出版局などを合わせると約4,500社の出版社があります。
ここでは「出版プロデューサー」の出版社や編集者とのネットワークが問われます。
著者の専門分野に近い出版社とネットワークを持っていなければ、企画書の売り込みはできませんし採用してもらうこともできません。
「出版プロデューサー」の4つ目の役割は、書籍のプロモーションです。
出版企画書が出版社に採用されると、必要な制作プロセスを経て書籍が完成しますが、出版不況とも言われる現代では、販促やプロモーションを行わなければ簡単に本は売れません。
実際の販促活動は出版社が主導して行うので、「出版プロデューサー」は出版社に最適な販促活動をするように働きかけることになります。
出版コンサルタントとは
「出版コンサルタント」とは、出版企画書へのアドバイスを主な業務とする人のことです。
コンサルタント(Consultant)は、もともと「一緒に座って議論する」という意味を持ったラテン語を語源とする言葉です。
基本的に「コンサルタント」の仕事はアドバイスだけですので、出版に関わる実務は行いません。
そのため、「出版コンサルタント」は、どうすれば採用される出版企画書を書けるのかというアドバイスをして相談料をもらうだけで、「出版プロデューサー」のように出版企画書を作成したり、企画を出版社に持ち込んだりという仕事までは行いません。
「出版コンサルタント」に依頼する場合は、出版に関しては素人である著者が、自分自身で出版企画書を作らなければなりません。
さらに、でき上がった出版企画書を出版社に持ち込むのも著者がやらなければなりませんので、出版社や編集者とのネットワークがない素人には、出版社を探すことさえ難しいことになります。
ただし、良心的な「出版コンサルタント」の場合は、著者が作成した出版企画書を添削してくれたり、企画が採用される可能性の高い出版社を紹介してくれたりします。
出版エージェントとは
「出版エージェント」とは、著者の代理人として出版社や編集者と様々な交渉をする人のことです。
エージェント(Agent)とは「代理人」のことを指す英語で、本人から委任された代理権限の範囲内で、本人に代わって取引や契約などを行います。
特に海外では「出版エージェント」は出版に欠かせない存在です。
たとえばアメリカでは、著者が出版社に出版企画書を持ち込むケースはほとんどなく、すべて「出版エージェント」を介して行われます。
「出版エージェント」は著者の代理人として、著者が有利になるように交渉や契約をすることが役割ですので、出版コンサルティングなどを行うことはありません。
出版プロデューサーに依頼するメリットとは
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企業経営者が書籍を出版する際に「出版プロデューサー」に依頼することによって得られるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
代表的なメリットは、次の4つです。
専門知識やノウハウをもとにアドバイスをしてくれる
企業経営者としては、どうせ書籍を出版するのなら「売れる本」を作って、「自社のPRやブランディング」に寄与できるものにしたいと思うはずです。
しかしながら、年間約7万タイトルもの書籍が出版されているわけなので、無名の企業経営者がヒット作を作るのは容易なことではありません。
その点、「出版プロデューサー」に依頼すれば、近年のヒット作のトレンドを把握した出版のプロからアドバイスを受けることができます。
書籍のテーマに応じた専門知識やノウハウを駆使して、構成やタイトル、デザインなどあらゆるプロセスにおいて「売れる本」を目指してブラッシュアップしてくれます。
企業経営者が持っている、独自の経験やノウハウ、伝えたい思いを引き出して言語化して「売れる本」に仕上げるサポートをしてくれるのが「出版プロデューサー」です。
プロジェクト進行のサポートにより時間と労力を短縮できる
企業経営者が出版をするためには、出版企画書を作成して出版社に持ち込み採用されなければなりません。
運良く企画が通ったとしても、原稿の執筆はもちろんですが、編集や校正、デザインなどの多くのプロセスで多くの作業をしなければなりません。
そして最大の問題点は、一般の企業経営者は出版そのものに精通していないということで、慣れない作業に大変な時間と労力がかかってしまいます。
しかし、「出版プロデューサー」に依頼すれば、ほとんどの作業をサポートしてくれるので、時間と労力を短縮できることになります。
販売戦略やマーケティング支援も受けられる
「出版プロデューサー」は、出版企画書の作成から出版社への提案、そして実際の出版までをサポートしてくれますが、さらに出版後の販促まで関わってくれます。
個人の「出版プロデューサー」の場合は、販促活動のアドバイスにとどまる可能性がありますが、たとえば株式会社フォーウェイのような自社グループに出版社を持つ「出版プロデューサー」であれば販売戦略やマーケティング支援までトータルでサポートすることが可能です。
商業出版により費用対効果の高い出版が可能となる
「出版プロデューサー」は、企業経営者の商業出版をサポートするのが仕事です。
商業出版は出版社がベストセラー目的で利益を上げるために行うものなので、出版費用は出版社が負担します。
そのため商業出版で本を出すことができれば、費用をかけることなく「自社のPRやブランディング」ができるので、費用対効果の高い出版が可能になります。
商業出版と自費出版の違い
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出版方法を費用負担や書店に並ぶかどうかという観点から商業出版と自費出版に分けることができます。
以下では、それぞれの違いについて解説します。
商業出版とは
商業出版とは、出版社が利益を出すことを目的とする出版方法で、出版社が全額費用負担をします。
より多くの書籍が売れて出版社が利益を上げることができるように、積極的にプロモーションを行うのが特徴です。
実際に、ベストセラーとなっている書籍のほとんどは商業出版によるものです。
しかしながら、商業出版の場合は、著者が伝えたいことよりも出版社の意向が優先されるので、著者が言いたいことが書けなかったり、出版社によって修正されたりすることがあります。
企業経営者が書きたいことがすべて書けるわけではないということが、商業出版における唯一のデメリットということができるでしょう。
自費出版とは
自費出版とは個人出版ともいうように、筆者が個人的に書籍を出版することを目的とした出版方法で、出版費用は全額著者の負担です。
自費出版のメリットは、出版社が企画に介入しないため本の内容の自由度が高いことで、著者は自由に書籍の内容を決めることができます。
基本的に自費出版は書店で販売されることはありませんが、出版社の販路を利用して書店で販売することも可能です。
つまり、企業経営者が本を出す場合、自費出版で制作して書店に流通させるような方法も考えられるということです。
出版プロデューサーを選ぶ際に注意すべきポイント
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ここでは「出版プロデューサー」を選ぶ際に注意すべき4つのポイントについて説明します。
なお、著者から費用ばかりを巻き上げる悪質な詐欺まがいの「出版プロデューサー」や「出版コンサルタント」も存在するので、くれぐれもそのような人を選ばないように十分注意しましょう。
経験とスキルを持つプロデューサーを選ぶ
「出版プロデューサー」に限ったことではありませんが、多くの経験を積んで確かなスキルを持った人を選ぶ必要があります。
具体的には、出版点数や代表作、著者、得意ジャンルなどの実績を確認します。
書籍には多くの分野があるので、出版したい本のテーマの分野に関する知識や知見が豊富で、その分野の出版社からの出版実績があることもきちんと確認するようにしましょう。
出版経路を明確に持つプロデューサーを選ぶ
「出版プロデューサー」には個人または法人所属の人がいますが、いずれの場合も確実に書籍の流通まで行える人を選ぶようにしましょう。
個人の「出版プロデューサー」の場合は、どこの出版社とコネクションがあるのか、複数の出版社の中から選ぶことができるのかなども重要です。
法人所属の「出版プロデューサー」の場合は、そのグループ内に出版社がある場合があるので、その点についても確認することをおすすめします。
編集者の所属やコネクションを確認する
法人所属の「出版プロデューサー」の場合、その法人の中に編集者がいるのかどうか、そしてその編集者の実績も確認しましょう。
個人の「出版プロデューサー」の場合は、どのような実績を持つ編集者とコネクションがあるのかを確認する必要があります。
契約内容や、職務範囲、報酬体系を明確にする
「出版プロデューサー」に依頼する場合は、きちんとした契約を結ぶことになります。
契約前に確認しなければならないのは、職務範囲、報酬体系、支払条件、印税の条件(印税率や、印刷部数と販売部数のどちらで印税が支払われるのか、など)などです。
ほとんどの出版社は持ち込みの企画や原稿を求めていない
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ここまで、「出版プロデューサー」に依頼して商業出版する前提での説明をしてきましたが、一つ重要なことをお伝えしておく必要があります。
それは、出版社は「持ち込み企画の商業出版を歓迎していない」ということです。
現実に大半の出版社は原則として持ち込み企画や原稿を求めていません。
商業出版とは、出版社自身が本の企画、著者の選択・指名をして、本という商品を売って利益を稼ぐものだからです。
このように、そもそも商業出版の門戸は狭くハードルが高いということは認識しておく必要があります。
企業がPRやブランディングで検討する他の出版方法
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では、企業が「自社のPRやブランディング」を目的として書籍を出版したい場合には、他にどのような選択肢があるのでしょうか。
企業出版(ブックマーケティング)という手段
企業が「自社のPRやブランディング」を目的として書籍を出版する場合におすすめしたいのは、企業出版(ブックマーケティング)という方法です。
企業が書籍を出す目的は「自社のPRやブランディング」です。
言い換えれば、いかに自社の存在を正しく認知してもらい、自社のファンになってもらえる人を増やすか、が企業が書籍を出す本来の目的です。
企業出版の場合は、出版社のプロモーションによって「いかに企業の顧客ターゲット層に書籍を届けるか」ということが目的になるので、企業の目的と合致します。
企業出版(ブックマーケティング)では、具体的に目的達成のための手段として書籍を活用し、SNSマーケティングやSEOコンテンツマーケティング、クラウドファンディングなどと組み合わせて、最終目的である「自社のPRやブランディング」を達成するためのマーケティング戦略を立てていくのです。
まとめ
本記事では、企業経営者が書籍を出版する際に依頼する「出版プロデューサー」の役割や選ぶ際に注意すべきポイントなどについて詳しく解説しました。
しかし、商業出版の門戸は狭くハードルが高いという現実があるので、「出版プロデューサー」に依頼したとしても、実際に書籍を出版するのは難しいことです。
書籍を利用して「自社のPRやブランディング」を実現したいという企業経営者の方には、企業出版(ブックマーケティング)をおすすめします。
▼パノラボのブックマーケティングのご案内はこちら
![](https://forway.co.jp/wp-content/uploads/2023/05/unnamed-2-1024x584.png)
企業経営者であれば、自社のブランディング戦略の一環としてビジネス書の出版を選択肢に入れている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ビジネス書の出版は、その企業にさまざまな効果をもたらしてくれます。
本記事では、ビジネス書の出版方法やメリット・デメリット、具体的な成功事例などについてくわしく解説します。
目次【本記事の内容】
![](https://forway.co.jp/wp-content/uploads/2024/05/29d5ead1ee41a6d25524876e7bd315d5-scaled.jpg)
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。
ビジネス書の出版についての基本知識
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最初に、ビジネス書を出版するに際して知っておくべき基本知識について説明します。
ビジネス書とは
ビジネス書とは、ビジネスに役立つ知識やノウハウ、経営・経済・自己啓発などをテーマにして書かれた書籍のことをいいます。
たとえば、経営に関するビジネス書には、経営の考え方やノウハウ、事例などが、マーケティングに関するビジネス書であれば、マーケティング理論や手法、事例などが紹介されています。
ビジネス書を購入する読者の多くは企業経営者や会社員などです。
自分自身のビジネスや仕事に活かせる知識やノウハウ、気付きなどを得ることを目的として購入されます。
また、ビジネスで成功した人の考え方や価値観、生き方、人生などを知ることによって、自分自身のスキルや教養の向上に役立てたいという目的で購入されることもあります。
ビジネス書のジャンルやテーマ
ビジネス書はいろいろなジャンルに分けることができ、大別すると「経営」「経済」「ビジネススキル」「自己啓発」などに分けられます。
さらに次のように業種やテーマによってより細かいジャンルに分かれています。
- ・会社経営
- ・経営学
- ・マーケティング
- ・組織
- ・リーダーシップ
- ・ビジネススキル
- ・自己啓発
- ・投資全般
- ・不動産投資
- ・株式投資
- ・資産形成、資産運用
- ・金融・保険
- ・経済
- ・相続対策
- ・節税対策
- ・人事・労務管理
- ・起業・開業
- ・営業
ビジネス書の出版方法について
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ビジネス書の出版を視野に入れている方にとって、どのような出版方法があるのかは気になるところでしょう。
一般的な出版方法には「商業出版」「自費出版」「企業出版」の3つがありますが、ビジネス書の出版方法としては、向き不向きがあります。
以下では、それぞれについて詳しく説明します。
商業出版/出版社主導で認知度を上げる出版方法
「商業出版」は、出版社が主導して認知度が上がる出版方法で、出版社が利益を出すために行う出版方法です。
出版費用はすべて出版社が負担するので、書籍の企画なども出版社が行います。
また、その企画の書籍の著者を誰にするかを決めるのも出版社です。
つまり、著者が「商業出版したい」と思ってできるような出版方法ではないので、ハードルが高いと言えます。
著者に知名度があったり、SNSのフォロワー数が多かったり、ネット上でバズったコンテンツなどを持っていない限り現実的ではないと言えるでしょう。
自費出版/名刺代わりの書籍を制作する出版方法
「自費出版」は、企業経営者などが名刺代わりに顧客や取引先などに配るための書籍を制作する出版方法で、出版費用はすべて著者(企業経営者など)が負担します。
もともと書籍の形にすることが目的の出版方法なのですが、せっかくコストをかけるので、ただの名刺代わりにするだけではなく、長期的に見て投資対効果のある経営施策として検討すべきでしょう。
たとえば、書店に流通させて自社のブランディングや信頼性の向上、新たなビジネスチャンスの獲得のために活用できるようにした方が良いと考えられます。
企業出版/企業課題を解決する企業主導の出版方法
「企業出版」は、企業が抱えている経営課題を解決するための出版方法で、出版費用は全額企業負担です。
解決できる経営課題としては、「自社の商品やサービスの認知度を高めたい」「従業員に企業理念を浸透させたい」「採用活動のミスマッチを減らしたい」などです。
書籍には「信頼性が高い」「ストーリー性がある」「長期的に活用できる」という特徴があるので、企業が顧客や従業員に伝えたいメッセージをしっかりと形にすることができます。
費用負担については「自費出版」と同じく著者が負担しますが、「企業出版」では出版社の販路を利用して全国の書店などで販売することが可能です。
このように、「企業出版」は、企業が書きたいテーマのビジネス書を出版することができ、かつ読者からの反響なども期待できるプロモーションを前提とした出版方法です。
ビジネス書出版のメリット
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ここでは、ビジネス書を出版することによってどのようなメリットが得られるのかについて説明します。
代表的なメリットは次の3つです。
メリット①:ブランディングの確立による信頼性の向上
書籍などの紙メディアに対する信頼性は非常に高いものがあるので、本を出版することによってブランディングが確立して信頼性や知名度が向上するという効果が期待できます。
本を出版するとその道の専門家と見られるようになるので、競合他社との差別化にも有効な施策となります。
営業マンが顧客を訪問したときに「本を出版した会社の方ですね」と言われて営業活動がやりやすくなったという実例もあるように、必ずしも大ヒット作にはならなくても興味を持って読んでくれている方がいるのもビジネス書出版のメリットです。
近年ではホームページやブログで、自社の商品やサービスの魅力や優位性をアピールする手法が注目されていますが、デジタルメディアよりはアナログな紙メディアの方が高い信頼性が得られます。
同じ消費をするのなら、信頼性の高い会社の商品やサービスを利用したいという消費者心理に応えることができるのもビジネス書出版のメリットということができます。
メリット②:受注確度の高い顧客を集客できる
ビジネス書は自分のお金を出して購入するものなので、購入した読者は自社の商品やサービスに興味や関心を持っている質の高い潜在顧客だと判断することができます。
また、ホームページやブログの記事、テレビCM、ネット広告と違って、顧客に伝えることができる情報量が圧倒的に多いため、書籍をじっくりと読んでもらうことによってさらに受注確度の高い顧客に変わっていくことが期待できます。
実際に多くの経営者がビジネス書を出版しているのは、受注確度の高い顧客を集客できるから、と言っても過言ではないでしょう。
メリット③:ビジネスの知見や経験を体系化できる
個人事業でない限り一つの企業には複数名が在籍していて、それぞれの人が事業経営のための役割を担っているはずです。
つまり、多くの知見や経験、ノウハウが各個人にバラバラに蓄積されていることになります。
ビジネス書を出版することをきっかけとして、社内の人材が分散して保有している知見や経験、ノウハウを集約して体系化して共有することが可能となります。
ビジネス書出版のデメリット
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一方、ビジネス書を出版することによるデメリットもあり、代表的なものは次の2つです。
デメリット①:一定のコストがかかる
ビジネス書の出版方法でも説明したように、多くのビジネス書は「企業出版」によって出版されています。
つまり、経営課題を解決するための手段と考えられるので、ある程度のコストがかかるのは仕方がないのですが、ビジネス書の出版には少なくとも数百万円程度の費用がかかります。
実際に出版する際には投資対効果の検討も行うことになりますが、一定のコストがかかるという点はデメリットと言えるでしょう。
デメリット②:数値分析がしづらい
前項のメリットの中で紙メディアである書籍の信頼性が高いことを挙げましたが、逆に書籍という特性から数値分析がしづらいというデメリットがあります。
この点、ウェブ広告の場合は表示回数やクリック数などが容易に収集できるので、数値分析によって広告効果を把握することができます。
ビジネス書出版に関する市場動向とトレンド
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ビジネス書の出版を検討中の方にとって、その市場動向やトレンドについては気になるところでしょう。
以下では、これらについて説明します。
書籍の刊行点数とビジネス書の市場動向
総務省による2022年の日本統計年鑑によれば、1年間に刊行される書籍は約7万点です。
この統計にはビジネス書という分類がないため正確な数値は分かりませんが、ビジネス書は「社会科学」「工学工業」「産業」「語学」のいずれかに分類されているので、この4つの分類の合計2万点に含まれると考えられます。
このことから、年間約1万点のビジネス書が刊行されているものと推測されます。
1年間に刊行される約7万点の書籍のうち約1万点がビジネス書であるということを考えると、ビジネス書の市場は非常に堅調であるということができるでしょう。
2024年度版:トレンドのビジネス書を紹介
ここでは、2024年にトレンドとなっているビジネス書11冊を一挙に紹介します。
◆営業の科学 セールスにはびこるムダな努力・根拠なき指導を一掃する
営業1万人・お客様1万人、合計1万人の調査による膨大な検証分析をもとに12年間・営業4万人を指導してきた著者が、「お客様の本音がわからない」という悩みで直面する各プロセスの「壁」を乗り越えるノウハウを一冊に凝縮しました。
「成果を出す営業のメカニズム」をデータとロジックで裏づけした渾身の一冊です。
◆The Intelligent Sales AIを活用した最速・最良でクリエイティブな営業プロセス
どんな業種、どんな相手先、どんなプロダクトにも適用できる「究極の営業手法」の全てを本書で大公開しています。
「企業分析」「リストアップ」「ターゲティング」「提案資料作成」「商談の相談役」など営業活動の全てを生成AIがサポートしてくれることによって劇的な業務効率化が可能になります。
◆経営中毒 社長はつらい、だから楽しい
大企業からベンチャーまで1000社以上の企業変革を支援してきたエッグフォワード代表徳谷智史氏が、組織マネジメントで起こるトラブル・苦難を赤裸々に告白した一冊です。
「裏切り」「資金枯渇」「孤独」これらが組織を強くする、全企業人必読の「経営指南書」です。
◆ビジネス会食 完全攻略マニュアル すべての食事会を成功に導く最強の実務メソッド
発売わずか1ヶ月で2.1万部を突破しました。
大手広告代理店出身、非体育会系、アルコールに弱い著者が最大28回/月の会食経験から編み出した会食・食事会を成功に導ける必勝メソッド、体系的ノウハウを全網羅しました。
◆ユニクロ
圧倒的な筆力で描き出す、迫真のノンフィクションの決定版です。
閑古鳥の鳴く商店街でくすぶっていた青年柳井正氏が「ユニクロ」を創業して一流経営者にのし上がるまでの知られざる暗黒時代、製造小売業への挑戦、東京進出、フリースブームの到来、集まる仲間たち、古参社員との別れ、苦戦する海外展開、ブラック企業批判、情報製造小売業への進化、柳井正とその夢に惹かれた同志たちの長き戦いをリアルに描き出した一冊です。
◆「やりたいこと」も「やるべきこと」も全部できる! 続ける思考
「これならできる」「続けることへの苦手意識がなくなる」「もはや継続が趣味になる」と反響続々。
三日坊主のための等身大の習慣本がついに完成しました。
継続の方法だけではなく「苦手意識のなくし方」「楽しみ方」「自分を変える力」も知ることができます。
「習慣の本」なのに、なぜかクスッと笑えて泣ける画期的な一冊、その読書体験をぜひお楽しみください。
◆「起業参謀」の戦略書 スタートアップを成功に導く「5つの眼」と23のフレームワーク
ベストセラー「起業の科学」「起業大全」の著者田所雅之氏の最新刊です。
発売5日で大重版3刷決定、Amazon3部門ベストセラー第1位を達成した話題の書です。
「起業参謀こそが日本のブレークスルーのカギを握る」と早稲田大学ビジネススクール教授入山章栄氏も推薦しています。
今の日本に不足しているのは起業家の右腕となり支える人材「起業参謀」だ。
「起業参謀」を養成する「スタートアップアドバイザーアカデミー」の講座内容を1冊に凝縮しました。
◆戦略ごっこ―マーケティング以前の問題
300以上の海外論文や実証研究に基づく「エビデンスベーストマーケティング」の決定版です。
「根拠のある事業成長」を目指すビジネスパーソン必読のファクト&エビデンスが凝縮された一冊です。
◆勘違いが人を動かす 教養としての行動経済学入門
わずか1ヶ月強で5万部を突破した話題の新刊です。
Amazon経済学分野で売れ筋ランキング1位、総合6位を獲得しました。
「人間の非合理性が実社会でどう利用されているかよくわかる」と東京大学大学院経済学研究科教阿部誠氏も絶賛しています。
あなたの日常に潜む「選択と行動」の科学について、興味深い事例と豊富な研究から学ぶ行動経済学の入門書です。
◆87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え 資産18億円を築いた「投資術」
発売即12万部突破し爆発的に売れている話題の書籍書です。
Amazonベストセラー第1位を達成。
シゲルさん投資歴68年を洗いざらいこの一冊に凝縮しました。
昭和・平成・令和の相場を見続けて、バブル崩壊、リーマンショックも乗り越えたカリスマ個人投資家の投資術を徹底「初」公開しました。
◆わが投資術 市場は誰に微笑むか
話題沸騰により連続重版を達成し、たちまち15万部を突破したベストセラーです。
個人資産800億円超。長者番付1位となった伝説のサラリーマン投資家清原達郎氏が、咽頭がんで声帯を失って引退を決めた今、自身の人生で得た株式投資のノウハウを明かす一冊です。
ビジネス書を出版するための具体的な流れ
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以下では、ビジネス書を出版するための具体的な流れ(プロセス)について解説します。
プロセス①:書籍のテーマやターゲット読者を明確化
ビジネス書を書くに際して重要なのは、書籍のテーマとターゲット読者を決めることです。
まず、書籍のテーマについては、ビジネス書を出版する目的がブランディングや知名度・信頼性の向上にあるわけですから、自社の強みが読者に訴求できるものである必要があります。
SWOT分析などの手法を用いて自社が保有する技術やノウハウの掘り起こしを行い、自社の強みを把握した上で、テーマを決めるようにしましょう。
ここで、すでに多くの人が出版したことのあるテーマを選択すると、読者にとっては新鮮味がないために埋もれてしまう可能性もあるため、斬新さや独自性のあるテーマを発掘することが大切です。
ターゲットについては、テーマが決まれば自ずと決まってくるという考え方もできるのですが、このときに「多くの人に読んでほしい」と考えてターゲット設定を曖昧にすることだけは避けるべきです。
ターゲットが曖昧なままだと、執筆内容にブレが生じたり、適切なプロモーションが打てなくなるなどの問題を生じる可能性があります。
プロセス②:企画の作成と目次づくり
ビジネス書を出版するためには、ビジネス書を手掛けている出版社に企画書を持ち込んで受けてもらわなければなりません。
企画書の作り方には決まりはありませんが、書籍のタイトル案、ターゲット層、自分や自社のプロフィールなどは必須となります。
ここでもターゲット層は重要項目で、この本をたとえば1500円程度払ってでも購入してくれる読者はどんな人なのかを明確に示せなければなりません。
目次については、企画書を作成する段階で目次案が出来上がっていれば望ましいですが、出版社が決まったあとに、編集者と相談して決めていくことも可能です。
プロセス③:原稿執筆(自分で執筆orライターが執筆)
出版社が決まって、テーマやターゲット、目次が決まると、原稿を執筆することになります。
原稿は、著者自身が執筆する場合とライターが執筆する場合に分かれます。ただ、ビジネス書の出版目的は、経営課題の解決であって経営者の自己満足ではないことを考えると、ライターに依頼して読者にとって読みやすいビジネス書を目指した方が良いでしょう。
ライターに依頼する場合は、ライターの選定やライターによる著者や関係者へのインタビューを行います。
また、ライターが執筆した原稿を著者がチェックして加筆修正することもあります。
プロセス④:原稿のチェックや編集
原稿の執筆が終わると、使用する写真や図表、イラストなどの素材と一緒に編集者に提出するのが通常の流れです。
編集者は、読者に文章の意図がきちんと伝わるように、適切な言葉遣いを選んだり、情報を取捨選択したりします。
また、表現の重複や表記のゆれがないかなどのチェックも行い、必要な場合は修正します。
プロセス⑤:組版とカバーデザイン
原稿が完成すると、文字組みやデザインなどの組版をして誌面レイアウトを決めます。
組版と並行して表紙やカバーデザインなどを決めていくのが一般的です。
デザイナーからの提案によって、原稿の加筆や減筆、写真やイラストの見直しなどが発生することもあります。
プロセス⑥:再校や最終校正
組版とカバーデザインが終わった初校を紙に印刷したりPDFに出力して校正を行います。
校正は編集作業の中でも重要度の高いプロセスで、その目的は訂正すべき箇所がないかを探し出すことです。
誤字脱字がないか、表記ゆれがないか、イメージ通りのデザインになっているか、写真や図表、イラストは適切かなどについてチェックして修正します。
必要に応じて、校正(再校)と修正を繰り返し、問題がなければ校了です。
なお、記載内容の事実関係に誤りがないかをチェックする校閲も必要に応じて行っていきます。
プロセス⑦:印刷・製本
校了すると、出版社から印刷会社に書籍の印刷データが送られます(入稿)。
印刷会社から実際の書籍に近い紙やインクで印刷した色校正が提示されるので、インクのノリ具合や図表や写真の色味を確認して、必要な場合は調整を依頼。
色校正が終わると、契約部数の書籍が印刷・製本されて納品されます。
ビジネス書では並製本が多いので、最後にソフトカバーと帯をつければ、書籍の完成です。
プロセス⑧:書店営業や各種プロモーションの準備
書籍が完成すると、出版社から書店に対して新刊の案内をします。
やり方としては、書店に出向いてビジネス書の担当者に売り込んだり、FAXで新刊案内と注文書を送付したりが一般的です。
プロモーションとして出版記念イベントなどを開催する場合は、相手先の書店と準備を行います。
SNSでの出版案内やウェブ広告の出稿などもこの時期に行います。
プロセス⑨:取次と配本調整、部決
書店からの注文部数がまとまったら、出版社としての希望部数を決めて各取次店に書籍を見本として持参して仕入れを依頼します。
各取次店ではその書籍を総合的に見て、仕入れ部数や書店へ配本する部数を決定します。
プロセス⑩:新刊配本、書籍発売
発売日の数日前に各取次店が決定した仕入れ部数に合わせて、各社の倉庫に書籍を搬入。
その後、書籍は各取次店から書店に配本され、発売日に書店の書棚に並べられます。
書店では、売れ行きの良い書籍はフェア台に配置したり平台に平積みしたりして、目立つ場所に陳列されます。
売上が好調な場合は、初版に加えて重版されることもありますし、追加でプロモーションが行われることもあります。
成功したビジネス書の事例紹介
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ビジネス書の出版によってブランディングや集客に成功して飛躍的な業績アップを果たした事例は数多くありますが、ここでは3件の成功事例を紹介します。
事例①:新規事業の集客と本業集客の両立に成功したビジネス書出版の経営者
保険代理店の経営者が、保険業界に対する持論と実例を公開するためにビジネス書を出版しました。
書籍の中では、保険業界で当たり前に行われている「成果報酬型」の給与体系を「一律報酬型」に変えることを提唱しました。
つまり、限られた一部のスーパー営業マンに頼った経営から、アベレージヒッターを育てて全員で支えていく経営に変えることによって業績拡大ができることを紹介したのです。
伝達できる情報量が膨大な書籍というメディアを使って持論を展開したことにより、多くの業界関係者からの共感が得られ、自社のブランディングにも成功しました。
同時に、新規事業であるコンサルティングの新規契約の獲得と本業の保険代理店の保険契約数が伸長するという大きな効果が得られたそうです。
出版後のインタビューでも、次のように語っていらっしゃいます。
保険の商談に従業員と同行するときも、お客様に事前に本を読んでおいてもらうと、ご面談するときにちゃんと「あったまっている」んですよね(笑)
書籍に盛り込んだ当社の経営方針や理念に、強く興味を持ってもらえている。
引用元:【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店
法人保険の営業は、人材戦略や財務状況など、相手の経営に踏み込んだ提案をしなければ大型の保険契約を決めることができないそうですが、書籍のおかげで商談の時から踏み込んだ話ができる理想的な商談の機会が増えたと言います。
このように、書籍を上手く活用すれば、お客様との良い商談を増やすきっかけにもつながるのです。
お客様との信頼関係などが重要な職種には良いツールと言えるでしょう。
事例②:メインターゲットの集客に成功し売上を倍増させたビジネス書出版の経営者
不動産投資サービス事業を行っている不動産会社の経営者は、従来から高収入でありながらも支払う税金が多い医師をメインターゲットとして、SNSやウェブ広告などを利用した情報発信を行っていました。
しかし期待する効果が得られていなかったことから、「医師に最も効果的な節税対策は不動産投資である」という内容のビジネス書を出版しました。
ビジネス書の企画段階からメインターゲットである医師を対象としたマーケティング戦略やプロモーション戦略を立てていたことで、多くの医師に書籍を購入してもらうことができました。
出版後は、書籍を購入した医師に「不動産投資に大きな節税効果があること」を認知してもらうことができ、売上を倍増させることができました。
また、既存の顧客が知り合いの医師にビジネス書を配ってくれたり口コミで広げてくれたりして、新たな顧客の獲得にもつながっています。
事例③:SNSとの相乗効果で圧倒的なブランディングに成功したビジネス書出版の経営者
資金調達支援のコンサルタント業を営む経営者は「創業者が夢を実現するためには適切な融資が必要」との思いからビジネス書の出版を決意しました。
日本では起業した会社の約6割が1年以内に廃業しているという現実があるので、これをなんとか改善したいと考えたのです。
自身の会社も創業後の3年間で8200万円の融資を受けて事業を軌道に乗せることができたという経験があるため、中小企業であっても高額の融資を受けることができるという秘訣を公開しました。
ビジネス書の出版に合わせてSNSやウェブでのコンテンツ発信も行い、これらの相乗効果によって顧客からの信頼を獲得してブランディングに成功しました。
具体的には、問い合わせ件数が3~4倍に増えて受注件数も増加し、結果的に融資支援実績が日本一になりました。
ビジネス書を出版する出版社一例
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ビジネス書を出版している出版社は数多く存在しますが、実際にどこに依頼すべきかはそれぞれの出版社の特徴を知ったうえで検討した方が良いでしょう。
以下では、代表的な出版社の特徴などについて解説します。
幻冬舎メディアコンサルティング
「幻冬舎メディアコンサルティング」は、2005年に設立された企業出版に特化した出版社です。
名前の通り幻冬舎のグループ会社であるため、幻冬舎の流通網を活用した全国約4,200書店への流通、プロモーション、出版記念セミナーの開催などが行えるという強みがあります。
プロモーションに力を入れているので、メニューが豊富で、実書店では書棚の効果的な展開により狙いのターゲット層に訴求したり、新聞やSNS、Amazonバナーなどを利用した広告も行っています。
企業の事業戦略に合わせた配本も行っているので、頼りになる出版社といえるでしょう。
日経BP社
「日経BP社」は、日本経済新聞社の子会社で雑誌と書籍の出版を行っている会社です。
「日経ビジネス」をはじめとしたビジネス関連の雑誌が多いという特徴があるため、ビジネス書についても強みがあり、多くのベストセラーを出しています。
ビジネス分野に精通した編集者が書籍の企画からデザインなどの出版全般に関わる提案をしてくれるのが特徴です。
ダイヤモンド社
「ダイヤモンド社」は、ビジネスや経済に関する書籍や雑誌を出版している、1913年に創業した老舗の出版社です。
100年以上にわたってビジネス書を発刊してきたという大きな実績があるので、信頼性が高くプロモーション力も高いという特徴があります。
また、「週刊ダイヤモンド」などの著名な雑誌を刊行しているため、ビジネス書についても一定の固定客が獲得できることが強みです。
東洋経済新報社
「東洋経済新報社」は、ビジネスや経済に関する書籍の発行を専門とする出版社で、1895年に創立された歴史のある出版社です。
「週刊東洋経済」や「会社四季報」などが有名で、業界知識が豊富な編集者から効果的なサポートを受けることができます。
また、社内史や広報誌などの社内向けの書籍も手掛けているため、社内ブランディングにも活用することができます。
「東洋経済オンライン」などの自社メディアを利用したプロモーション力も魅力です。
プレジデント社
「プレジデント社」は、経営層や富裕層に向けたビジネス書や雑誌を主力とする出版社で、1963年に創立されました。
日本で初めての海外提携紙「プレジデント」を創刊したことでも有名です。
これまでに約100社以上の企業をサポートしてきたという実績があります。
インターネットと実際のイベントを組み合わせたメディア展開によって、企業やビジネスを広く周知させることができます。
クロスメディア・パブリッシング
「クロスメディア・パブリッシング」は、クロスメディアグループでビジネス書を専門とする出版社として2005年に設立されました。
現在では、ビジネス書だけではなく自己啓発書、実用書まで幅広い書籍を刊行しています。
パノラボ
「パノラボ」は、株式会社フォーウェイ(弊社)のグループ出版社で、2021年11月に設立されました。
他の競合他社と異なり企業出版を専門としているため、ブランディングやマーケティングなどの目的を達成するためのビジネス書の出版の全プロセスを一気通貫でサポートしています。
また、グループ会社の株式会社フォーウェイ(弊社)が手掛けているSNS運用やウェブサイト制作などを活用して、ゴールから逆算した動画制作やSNS運用、クラウドファンディングなどを組み合わせたプロモーションの提案ができる点も大きな強みです。
ほか、前述した大手出版社とは異なり、コストメリットの高いブックマーケティングを提案していることもメリットとして打ち出しています。
まとめ
本記事では、ビジネス書の出版を検討中の企業経営者に向けて、ビジネス書の出版方法やメリット・デメリット、具体的な成功事例などについてくわしく解説しました。
ビジネス書の出版は、ブランディングや知名度・信頼性の向上のための経営戦略の一つとしてとらえることができ、企業経営に非常に大きな効果を及ぼします。
本文中でも紹介したように、ビジネス書の出版は多くの出版社が行っていますが、ビジネス書の出版に強く、ビジネス書の出版目的である自社のブランディングや知名度・信頼性の向上を達成するためのノウハウやプロモーション力を持った出版社を選ぶことが重要です。
▼パノラボのブックマーケティングのご案内はこちら
![](https://forway.co.jp/wp-content/uploads/2023/05/unnamed-2-1024x584.png)
自伝を書きたいという理由や動機は人それぞれでしょう。
たとえば、「自分が生きた証を残したい」「自分の知識や経験を後世に伝えたい」「自分が創業した会社の技術を多くの人に知ってほしい」などいろいろな理由や動機が考えられます。
しかし、自伝を書きたい人すべてが文章を書くのが得意というわけではありません。
本記事では、自伝を書きたいと思っている人のために、構成や執筆の仕方、出版方法までをわかりやすく解説します。
目次【本記事の内容】
![](https://forway.co.jp/wp-content/uploads/2024/05/29d5ead1ee41a6d25524876e7bd315d5-scaled.jpg)
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。
自伝を書く意義とは
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自伝とは、自分の人生や半生における経験や考え方などを自分で記述した本のことです。
自伝のことを、自叙伝や自分史ということもあります。
有名な自伝としては、フランスのジャン=ジャック・ルソーの「告白」、アメリカのベンジャミン・フランクリンの「自伝」、ドイツのヨハン・ヴォルフガンク・ゲーテの「詩と真実」、福沢諭吉の「福翁自伝」などがあります。
最も古い自伝はローマのアウグスティヌスの「告白録」といわれていますが、これは「神への告白」という性格を持っているものでした。
しかし、近年では、親族や子孫・後生の人に「自分の生きた証」や「自分の知識や経験」を残したり、「自分の存在や生き方」「自分の考えの正当さ」を書き残したりするものに変わってきています。
自伝を書く意義は人によって異なっていますが、代表的なものは次のようなものでしょう。
- ・自分が生きた証を親族や子孫に残す
- ・自分の知識や経験を後世の人に残す
- ・これまでの人生を振り返って今後の人生の糧とする
- ・自分が興した会社の技術を役立ててもらう
- ・ある物事や事故・事件の真実を伝える
- ・特定の人に感謝の気持ちを伝える
自伝の書き方や目的別タイプ
![](https://forway.co.jp/wp-content/uploads/2024/05/AdobeStock_273324927_page-0001-1024x683.jpg)
自伝は、その「書き方」と「目的別」によっていくつかのタイプに分けることが可能です。
「書き方」は「ストーリー型」と「年表型」の2つに分けることができ、「目的別」は「ビジネスタイプ」「啓蒙タイプ」「伝世タイプ」の3つに分けられます。
以下では、それぞれについて詳しく解説していきます。
書き方①:ストーリー型
「ストーリー型」は、名前の通りストーリー(物語)を重視した自伝の書き方です。
読者を引き付けるストーリー(物語)にするためには「起承転結」を考慮した構成を考えることが不可欠となります。
時系列にこだわらずに現在と過去を行き来するような内容になっても構いませんが、ストーリー(物語)性を持たせるためには、ストーリーテリングの執筆技法が必要になります。
たとえば、企業経営者の方が自伝を書くのであれば、ストーリーテリングを含めた、ストーリーブランディングという手法で、自身の考えを伝えていくのが有効です。
▶︎ストーリーブランディングについては、関連記事「ストーリーブランディングとは?企業の物語を伝えてファンを作る方法」をあわせて参考にしてください。
書き方②:年表型
「年表型」は、自分の人生を振り返りながら、出生から現在までの出来事を順に書いていく書き方です。
自分の身に起こったことなどを時系列に沿って書いていくので、「ストーリー型」のように「起承転結」を考慮した構成にする必要はありません。
著者にとってはこの点が大きなメリットですが、読者にはやや退屈で単調なものとなりがちです。
「年表型」の目次の例としては、次のようなものが考えられます。
しかし、これではあまりに当たり前で平凡なので、特徴のあるサブタイトルを付けることによって変化を持たせることができます。
たとえば、次のようなサブタイトルを入れれば、「年表型」であっても読者に興味を抱かせることができます。
- 1.生い立ち:波乱万丈の人生の幕開け
- 2.幼少期:今と違って寡黙な子供時代
- 3.小学校:親の仕事の都合で10回以上も転校
- 4.・・・:○○○○○○○○
こういった年表型の書き方が推奨されるのは、企業の周年記念のタイミングでの記念出版などです。
もし、記念出版をお考えであれば、年表型の構成を検討してみましょう。
▶︎周年については、関連記事「【周年担当者必読】周年記念の意味と手段、具体的な事例とは」をあわせて参考にしてください。
目的別①:ビジネスタイプ
「ビジネスタイプ」は、自分が経営している会社のことをより多くの人に知ってもらいたいというブランディングや知名度向上などを主な目的とした自伝です。
会社のことは前面には出さずに、自分や自分が経営している会社が保有している技術やノウハウについて記述して、それに興味を持った人が問い合わせをしてくることによってブランディングや知名度向上に寄与させることも可能です。
「書籍を出版している」という事実だけでも信頼性や知名度の向上に結びつきますし、テレビや新聞などのメディアで話題になれば、新規顧客の獲得や売上高の向上につながることも期待できます。
基本的に、自分のビジネスについて執筆するのですが、自伝なので、自分の生い立ちやなぜそのビジネスを始めようと思ったのかなどについても触れることになります。
一般的には、「ビジネスタイプ」の自伝を書くのはかなり難易度が高いといわれているので、プロの編集者の力を借りて「読者にとって魅力的な本」となるように注意する必要があるでしょう。
また、ブランディングや知名度向上を狙うためには、プロモーションや出版社の流通を上手に使うことも大切です。
目的別②:啓蒙タイプ
「啓蒙タイプ」は、自分の身に起きた病気や事故、事件などの経験を読者に知らせるために書く自伝です。
何らかの啓蒙のために出版するので、読者から共感を得られるような構成や内容にすることが大切です。
より多くの読者に自分の経験を知ってもらって、共感や勇気を与えることができるようにしたいものです。
たとえば、闘病経験を自伝にする場合であれば、読者に何を伝えたいのかで構成や内容が変わってきます。
伝えたいことが「誰でもかかる可能性がある病気なので毎年健康診断を受けましょう」なのか、「病気になってもこうやれば症状が改善します」なのかでは、書き方が変わってくるからです。
なお、病気や事故、事件などが特殊な場合は、あまり関心を持たれない可能性があることに注意が必要です。
目的別③:伝世タイプ
「伝世タイプ」は家族や親族などに向けて作る自伝で、自分が生きた証を子孫に残すことを目的とした自伝です。
「伝世タイプ」の書き方は自由なので、一般的な自伝の書き方にこだわる必要はありません。
むしろ、自分の個性を前面に押し出したような構成や内容にすることによって、親近感を抱いてもらえるようになると思われます。
自伝はターゲット設定が重要
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自伝に限ったことではありませんが、「誰に読んで欲しいのか」「誰に伝えたいのか」というターゲット設定が重要です。
ターゲットが定まれば、その後の自伝の構成や執筆、出版後のプロモーションまで一貫性を持って取り組むことができるようになります。
特に「ビジネスタイプ」の自伝の場合は、ブランディングやビジネスチャンスの獲得を目的として出版するので、ターゲットの心に刺さるタイトルや構成、目次にすることも重要になります。
また、内容によっては市場調査を行う必要性も出てくるので、何となくターゲットを選定しただけでは、自伝がブランディングや知名度向上につながることにはなりません。
▶知名度向上については、関連記事【経営者必読!認知度向上の方法と効果的なマーケティングの選択肢】をあわせて参考にしてください。
自伝の書き方の基本プロセス
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自伝を書く際には、基本的なプロセスがあります。以下で説明します。
まずは自分の人生を振り返ろう
自伝の書き方に「ストーリー型」と「年表型」があることを紹介しましたが、どちらで書くにしても、年表を作って自分の人生を振り返って言語化することが必須であり、最も重要な作業です。
まずは、すぐに思い出せるものから書き出していきますが、すぐに思い出せるということは自分にとって印象に残る出来事だったということなので、自伝の中でも重要なエピソードとなる可能性があります。
自分の身の回りで起こったことはもちろん、世の中でどんなことがあったのかなども記載しておき、「いつ」「何が」「どのようにして」起こったのかを明確にしておきましょう。
ただし、この作業はかなり労力が必要なので、出版社の編集者やライターに依頼すれば、自分の年表の整理をしてもらうことができます。
執筆だけでも大変な作業になるので、出版社の力も有効活用した方が良いでしょう。
構成の作成(目次とタイトル、サブタイトルの決定)
一般の人が本を購入する際には、タイトルだけではなく目次を見る人も多いはずです。
目次を見ることによって「何がどのように書かれているのか」を知ることができます。
特に「ビジネスタイプ」の自伝の場合は、誰かに購入してもらうことを意識しなければなりませんので、本の構成や目次を決定する作業も重要です。
書店で本を手に取った人に興味を持ってもらえるような各章のタイトルやサブタイトルを考えましょう。
また、実際に執筆する際にも構成や目次がきちんと出来上がっていれば、それに沿って文章を書くことができます。
この段階でも、出版社の編集者やライターに依頼すれば、読者を惹きつけるタイトルの付け方や構成・目次などについての有益な提案をしてもらうことができます。
執筆方法の検討
ここでいう執筆方法とは、自分で書くのか、取材をしてもらってライターに書いてもらうのかということです。
自伝なので、自分で書くのが当然という考え方もありますが、文章を書き慣れていない人にとっては、一冊の本を執筆するのは思いの外大変な作業です。
もちろん、普段から文章を書き慣れている人や自分で書くことにこだわる人は、自分のペースで少しずつ執筆していけばいいと思います。
しかし、文章を書き慣れていない人や「ビジネスタイプ」の自伝で自分の経営する会社のブランディングを目的とする方などは、プロのライターに取材して書いてもらうという執筆方法も検討してみましょう。
実際に出版されているビジネス書のほとんどはライターが執筆したものですし、読者が読みやすい本を目指すのであればプロのライターに任せるのも一案だと思われます。
自伝を自身で執筆する場合の注意点
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ここでは自伝を自分で書くことにこだわる人の場合の注意点について説明します。
目標設定を明確にする
まず挙げておきたいのは、目標設定を明確にするということです。
たとえば、「いつまでに年表を完成させるのか」「いつまでに構成や目次を決定するのか」「いつまでに何文字の原稿を書いて、いつまでに完成させるのか」などです。
「時間が取れたときに少しずつ書いていこう」などという考えで取り掛かると、いつまでたっても完成できないということになってしまいます。
計画倒れにならないためにも、きちんと具体的な目標設定をするようにしましょう。
書くことを習慣づける
次に、文章を書くことを習慣づけることも大切です。
自分で会社を経営している方であれば、何ごとも習慣化することの大切さが分かっていることでしょう。
自伝の原稿を書くことが日常生活の中に組み込まれると、毎日「原稿を書き進めることができた」という達成感が得られるようになるので、自ずと原稿を完成させることに近づいていきます。
自伝を出版する方法
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原稿が出来上がると、次は自伝を出版する方法を考えなければなりません。
以下では、自伝を出版するメリットやデメリット、3つの出版方法について具体的に説明します。
自伝を出版するメリットとデメリット
自伝を出版するメリットとしては、主に次のことが挙げられます。
- ・自分が生きていた証を残せること
- ・自分の人生を振り返って見つめ直すきっかけとなること
- ・読者に何らかの影響を与えることができること
- ・自分の会社や保有する技術などを世の中に知ってもらえること
- ・ベストセラーになる可能性があること
また、デメリットとして次のようなことがあります。
- ・出版費用が自己負担になってしまうこと
- ・自分の人生が公になってしまい誹謗中傷などを受けるリスクがあること
出版方法(自費出版、企業出版、商業出版)
出版方法としては「自費出版」「商業出版」「企業出版」の3つがあるので、自伝の場合もこの3つの中から選ぶことになります。
「自費出版」は、自伝を本という形にして残したい人が最も利用する一般的な方法です。
出版費用が全額著者負担となる点がデメリットと言えますが、その分著作権を自分で持ったり、自分の書きたいことを書籍にかけるのがメリットです。
発行部数などによって費用は変わってきますが、原稿を直接印刷会社に持ち込んで印刷してもらってコストを削減することも可能です。
「企業出版」も著者(会社や会社の経営者)が出版費用を全額負担する出版方法ですが、出版社による企画や編集・書店への流通・プロモーションなどの費用が含まれます。
そのため、「企業出版」を利用すれば書店に流通させたり出版社によるプロモーションを行ったりすることができるので、「ビジネスタイプ」の自伝の場合、会社や著者である経営者のブランディングや知名度向上につなげることが期待できます。
「商業出版」は出版社がベストセラーを狙って著者と協力して出版する方法で、出版費用は全額出版社の負担です。
著名人やタレントなどの自伝の場合は「商業出版」もありえますが、ほぼ無名の一般人の自伝が「商業出版」されることはありません。
自伝を読者に届けるための工夫
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「ビジネスタイプ」や「啓蒙タイプ」の自伝の場合は、本を出版しただけでは目的を達成することができません。
ブランディングや知名度向上、啓蒙活動を達成するためには、その自伝を読者に届けるための工夫が必要になります。
つまり出版社の流通チャネルを利用して書店に配本して、読者に手にとってもらって購入してもらう必要があるということです。
ここでは、そのための工夫をいくつか紹介します。
読者に興味を持たせる表現方法
出版社の流通チャネルを利用して書店に配本され書棚に並んだとしても、読者が購入してくれるとは限りません。
まず、読者の目を引き興味を持って手に取ってもらうためには、タイトルを工夫する必要があります。
たとえば、「借金1億円を背負いながらも会社をV字回復させた」というようなタイトルがついていれば、読者は「そんな状態からどうやってV字回復させたのか?」と、もっと知りたくなって、本を手に取ることでしょう。
そして実際に購入してもらうためには、さらに企画段階における本の構成や目次の組み立て方にも工夫をする必要があります。
読者に届ける戦略的なプロモーションの方法
自伝を書いて出版したというだけでは、読者に手に取ってもらうことは難しいと言えます。
なぜなら、毎年多くの書籍が出版されているためです。
総務省が2022年に発行した「日本統計年鑑」によれば、年鑑約7万冊(月間約6千冊)もの本が出版されています。
そのため、会社や経営者のことを全く知らない読者に書店などで手に取ってもらうためには、プロモーションなどを工夫する必要があります。
自伝を読者に届けるための工夫として、次のようなことが考えられます。
- ・書店営業をして書店員さんにその自伝のことを認知してもらう
- ・書店でのプロモーションを行う
- ・Amazonなどのウェブ広告を活用して多くの人に知ってもらう
- ・新聞広告などによって認知してもらう
ただ自伝を出版しただけでは本を売ることは難しいので、売る手段を持っている出版社に依頼することが賢明だと思われます。
まとめ
本記事では、自伝の構成の作り方や執筆の仕方、出版方法などについて解説しました。
自伝は、その目的によって「ビジネスタイプ」「啓蒙タイプ」「伝世タイプ」に分けることができます。
この中で「ビジネスタイプ」は、経営者が自分の経営する会社のブランディングや知名度向上などを目的として出版する自伝で、出版社の流通チャネルを利用した書店への配本やプロモーションなどを行います。
実際に書店に配本されて書棚に並びますが、実際に読者に手に取ってもらい購入してもらうためには工夫が必要です。
ただ単に本を出せば売れて知名度が上がるというようなことはほぼありませんので、「ビジネスタイプ」自伝の場合は、売れるためのサポートをしてくれて、売るための手段を持っている出版社を選ぶ必要があります。
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書籍を出版する方法は、大きく自費出版、商業出版、企業出版の3つに分けることができます。
本記事では、3つの出版方法の中で、自費出版とはどういうものなのか、そしてメリットやデメリット、費用相場、成功事例などについて詳しく解説します。
目次【本記事の内容】
自費出版とは?
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自費出版とは、主に個人が自分の経験や考えを伝えたり、自分史をまとめたり、趣味の集大成としたりするために原稿を書き、それを出版社に依頼して書籍化する出版方法です。
出版費用は全て著者負担となりますが、売上や発行部数などにとらわれずに一冊の本としてまとめることができるのが特徴であり、魅力と言えます。
収益を得るためではなく書籍化すること自体が目的の出版方法です。
また、個人ではなく企業経営者などが原稿を書いて自費出版するというケースもありますが、この場合も名刺代わりに配るためなどであり、書籍化することに重点が置かれます。
自費出版、商業出版、企業出版それぞれの特徴について、以下の表に分かりやすくまとめました。
出版方法 |
特徴 |
自費出版 |
主に個人が、自分の経験や考えを伝えたり自分史をまとめたり趣味の集大成とするために、自分で書籍の内容やデザイン、発行部数などを決めて出版する方法。
書籍の出版費用は著者が全額負担し、初版発行部数は100部~500部程度。 |
商業出版 |
出版社がヒット作をつくって利益を上げるために、書籍の企画や内容などを決めて出版する方法で、積極的にプロモーションを行う。
書籍の出版費用は出版社が全額負担するのが一般的で、初版発行部数3,000部~10,000部程度。 |
企業出版 |
企業や企業経営者がブランディングや信頼性向上、集客などの経営上の課題を解決するために書籍を出版する方法。
書籍の出版費用は企業が全額負担し、初版発行部数は1,000部~10,000部程度。 |
商業出版との違い
商業出版とは、出版社と著者が協力して書籍を出版する方法です。
出版社が書籍の企画をして著者を選定し、書籍がたくさん売れるような内容にして積極的にプロモーションを行うのが特徴です。
実際に世の中で実際にベストセラーとなった書籍のほとんどは商業出版によって出版されたものです。
ヒット作を作って出版社が利益を上げることが商業出版の目的なので、出版費用は出版社の全額負担になります。
また、出版社の企画に協力した著者には、販売・印刷部数に応じて決められた割合で印税が入ります。このように、著者に報酬が支払われることも商業出版の大きな特徴の1つであり、自費出版や企業出版との違いです。
一方で、商業出版の場合は、著者の伝えたいことよりも出版社側の意向が優先されるので、著者の言いたいことが書けなかったり、修正されたりすることがあります。
自費出版のように、著者が伝えたいことを自由に書けるわけではないという点も商業出版の大きな特徴であり、違いの1つと言えるでしょう。
▶商業出版については、関連記事【商業出版とは?企業がブランディングを考えたときの出版の選択肢】もあわせて参考にしてください。
企業出版との違い
企業出版とは、企業や企業経営者が自社のブランディングや信頼性向上、集客などの経営上の課題を解決するための手段として使われる、出版方法です。
出版費用は企業や企業経営者である著者が全額負担するので、この点では自費出版と同じです。そのため、自費出版とよく混同されがちですが、次のように出版する目的が大きく異なります。
- ・企業出版の目的:【課題解決】企業のブランディングやマーケティングの課題解決
- ・自費出版の目的:【出版】自分の書きたい内容を本として出す
- ・商業出版の目的:【利益】売れる本を作り、売上をあげる
企業出版は課題解決が目的であるため、その費用の中には、出版社が行う企画、編集、デザイン、校正、書店への流通、プロモーションなどの費用が含まれています。
そのため、自費出版よりも費用は高額です。
自費出版の費用相場はどれぐらい?
自費出版の費用は、出版する書籍の形式(単行本、文庫、写真集など)や判型、出版部数、紙質、含まれるサービスなどによって変わってきます。費用相場には幅があり、約100万円〜1,000万円程度です。
他の出版方法の費用相場と比べると次のようになります。
出版方法 |
費用相場 |
自費出版 |
100万円~1,000万円程度(一般的なのは251万円〜600万円程度) |
商業出版 |
0円(出版費用は出版社が負担するため) |
企業出版 |
400万円~1000万円程度 |
自費出版する際にかかる費用の項目としては次のようなものがあります。
- ・企画費
- ・執筆費
- ・編集費
- ・写真・イラスト費
- ・デザイン費
- ・校正・校閲費
- ・印刷・製本費
- ・プロモーション費
執筆費は、クオリティの高い書籍にするためにライターに執筆を依頼する場合に発生する費用です。
また、写真・イラスト費は、写真集などを自費出版する際の写真撮影や書籍の中にイラストを入れたりする場合に必要となります。
プロモーション費は、出版社の営業力を使って広告宣伝を行う場合に発生する費用です。
たとえば、写真やイラストを自分で用意したり、自分で執筆したり、プロモーションなどを自分で行うなどをすれば、費用はその分安くなる可能性があります。
自費出版の費用対効果
自費出版する際の費用対効果に関して、ポイントとなるのは出版目的と書籍のクオリティです。
とにかく書籍にして出版することが目的なのであれば、そもそも効果を期待する必要がありません。
しかし、セルフブランディングという目的がある場合は、その目的を達成するためにどの程度の書籍のクオリティにするのが最適なのかを考えなければなりません。
また、販売数をある程度伸ばして印税収入を得たいという目的があるのであれば、クオリティを上げるのに加えて、出版社の販路などを利用してプロモーションを行うことも必要となり、相応の費用がかかります。
このように、自費出版の場合の費用対効果は、その出版目的に応じて変わってきます。
【参考】企業出版の費用対効果
企業出版は、自費出版と同様に著者が出版費用を全額負担する出版方法ですが、自費出版との違いは明確な出版目的があることです。
企業の宣伝・PRや問い合わせによる成約率の向上などの目的があるのであれば、ターゲットの設定とそのターゲットに書籍を購入してもらうためのプロモーションが必要となります。
そういった目的を見据えて書籍の企画や出版を行うため、企業出版に成功すると出版費用などを上回る大きな利益が期待できます。
実際に企業出版によって経営課題を解決した2つの事例を紹介します。
企業出版事例①:読者からの反響により出版から2ヶ月で6億円の売上達成
これは、ある不動産投資会社の企業出版事例です。
出版前は、Web広告による新規顧客の集客はほとんどなく、紹介のみに頼っていたそうです。
また、見込み顧客との信頼関係の構築などにかなりの時間が必要で、成約までのリードタイムが長いことが課題となっていました。
そこで、年収は多いものの税金も多いという悩みを抱える医師をターゲットとして「節税対策に不動産投資が効果的」という内容の書籍を発売。
出版社の販路を利用して、主に一都三県や大阪府、福岡県を中心に書店への流通・配本を実施しました。
出版後、多くの読者である医師から問い合わせがあり、出版から2ヶ月で6億円の売上を実現しています。
問い合わせのほとんどは不動産投資に関心のある読者からの反響が中心で、成約までのリードタイムが短縮でき、営業効率の向上にもつながっています。
企業出版事例②:出版記念のイベントを開催し企業の認知度が向上
これは、わさびの製造・販売会社の企業出版事例です。
出版前は、自社で製造・販売しているわさびの魅力に関する顧客へのアピール不足が課題で、同業他社との差別化も不十分だという認識がありました。
そこで、料理に関心のある30代~40代の女性をターゲットとして、わさびの効能や歴史、レシピを収録した書籍を出版。
また、出版後に本社がある名古屋の書店で、書籍へのレシピを提供してくれた料理研究家とのコラボレーションで出版記念のトークイベントを実施したところ、当日はイベント会場が満員御礼となり書籍を50冊以上売り上げるなど大盛況となりました。
その後、出版をきっかけに平均聴取者数20万人の全国放送のラジオ番組から2週連続の出演依頼があるなど、書籍を出版したことにより、企業の認知度向上や売上向上につながりました。
自費出版のメリット
自費出版のメリットとしては次のようなものがあります。
自分の企画や内容、デザインで本が出版できる
自費出版の最大のメリットは、自分の思い通りの本を作ることができることです。
自分自身で企画をして、本の内容もデザインも自由に決めることができます。
一方、商業出版の場合は、企画を出版社が行うため、著者が書きたいことを書くことはできません。企業出版も、マーケティングやブランディングが目的であるが故の制約があり、自分の自由に本を作ることは難しいと言えるでしょう。
しかし、自費出版であれば、著名人ではない一般人であっても、自分の人生をまとめた自分史を出版したり、趣味の句集や詩集を出版したりして、個人的な活動を知ってもらうために書籍を出版することができてしまいます。商業出版や企業出版などに比べて制約が少なく、自由に自分の本を出版できるのが自費出版の魅力なのです。
なんでもアリではない。薬機法や景品表示法などには注意!
ただし、自費出版であってもなんでもアリというわけではありません。
たとえば、本の内容によっては薬機法(旧:薬事法)や景品表示法に抵触する可能性もあります。該当する場合は、出版社や専門家に相談したり、専用のチェックツールなどを利用して法に抵触しないように注意しましょう。
▶薬機法(旧:薬事法)については、関連記事【薬機法(旧:薬事法)とは?違反せずに広告・PRする7つのポイントを分かりやすく解説】もあわせて参考にしてください。
出版実績が自分で作れる
自費出版の場合は、著者の都合によって好きなときに好きな内容の本を出版することができます。
つまり、自分の出版実績は自分で作ることができるのです。
たとえば、あるセミナーを開催したとしましょう。
出版実績のある講師の方が、セミナーの参加者から「信頼できる」と感じてもらいやすくなります。このように、自費出版はセルフブランディングにつながります。
また、名刺代わりに配ることで、相手に「出版したことのある人なんだ」と強く印象づける効果も期待できます。
このように、簡単に自分のビジネス上のブランディングができてしまうのも自費出版ならではのメリットの1つです。
出版後は書籍が著者の著作物になる
書籍の著作権は出版費用の負担者に帰属します。そのため、自費出版の場合は著者の著作物になります。
商業出版の場合には、出版費用を出版社が持つため、いくら著者と言えども無許可で内容を使うことはできませんが、自費出版の場合には、著作権が著者にあるため、書籍の一部を抜粋した冊子を作ったり、Webやブログなどに転載したりすることも自由に行うことができます。
自費出版のデメリット・リスク
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自費出版のデメリットやリスクとしては次のようなものが挙げられます。
出版費用が全額著者負担なため、高額になりやすい
自費出版の場合、出版費用は全額著者負担となります。
出版費用は、自費出版の依頼先によっても異なりますが、大手出版社の自費出版部門はサポートが手厚い一方で費用は高額になりがちです。
出版後のプロモーションなどが行われないことが多い
自費出版の場合、出版後のプロモーションが行われないケースが多いと考えておきましょう。
大手出版社の自費出版部門などに依頼する場合は、プロモーション費用を支払えばオプションとして行ってもらえますが、期待通りのプロモーションを行ってもらえるのかは出版社次第です。
プロモーションを依頼する場合は、事前にどのようなプロモーションを行ってもらえるのかを確認しておくことをおすすめします。
出版後の流通を行ってくれないことが多い
自費出版の場合、出版後の流通も行ってくれないことが多いと考えておきましょう。
プロモーションと同様に、大手出版社の自費出版部門などに依頼する場合は、書店流通費用を支払えばオプションとして行ってもらえますが、商業出版や企業出版のように積極的には行ってもらえないと思っておきましょう。
流通を依頼する場合も、事前に出版社に「流通をどれぐらい行ってもらえるのか?」「流通の方法は何か?」などを確認しておくことをおすすめします。
なぜなら、書店を訪れた方が全く足を運ばないような自費出版専門棚に1冊置いてあるだけで「流通している」と謳う出版社も実際に存在するためです。
自費出版を行う場合には、その点に十分警戒しましょう。
自費出版を行う際の注意点
自費出版は費用さえ捻出できれば、誰でも出版することが可能です。
そういったハードルの低さ故に注意しなければならないことがいくつかあります。
自費出版が最適な方法なのかを慎重に検討する
個人や企業・企業経営者が出版を行う場合に、自費出版が最適な方法なのかを慎重に検討する必要があります。
たとえば、企業経営者が個人的に名刺代わりに書籍を配ったり、個人のセルフブランディングをしたりするのが目的であれば、自費出版がおすすめです。
自費出版の目的は、著者のこれまでの経験や考えを書籍の形にまとめることにあり、自分史や回顧録などのように自身を振り返る手法に向いています。
その他に、個人的に創作してきた小説や俳句、詩などを自分の成果として1冊の書籍にすることもできます。
一方、企業や企業経営者が、自身の事業やビジネスのブランディングや宣伝・PRを目的として出版するのであれば、企業出版がおすすめです。
なぜなら、企業出版のサービスは書店への流通力や営業力を持った出版社が提供していますので、これらを利用して全国の書店で販売されるからです。
企画段階で書籍を購入してくれるターゲットを設定して、ターゲットの目に留まるような書店の書棚に並べることができます。
このように、著者の目的によって自費出版、企業出版どちらが良いかが変わってくるので、今一度慎重に考えてみましょう。
参考までに、自費出版と企業出版の目的別のおすすめの人は次表の通りです。
出版方法 |
こんな目的を持つ人におすすめ |
自費出版 |
名刺代わりに自分の書籍を配りたい企業経営者や個人のセルフブランディングをしたい人など |
企業出版 |
自身の事業やビジネスのブランディングや宣伝・PRをしたい企業や企業経営者など |
信頼できる出版社を選ぶポイント
自費出版ができる出版社はたくさんあります。
そのため、中には思ったようなサポートをしてもらえない出版社や、価格だけ高いような出版社があるのも事実です。
自費出版は費用が高額なので、失敗しないためにも、信頼できる自分に合った出版社を選ぶ必要があります。出版社選びで押さえておくべきポイントとして、まず、ホームページなどで自費出版を行っている出版社かどうかを確認します。
自費出版を取り扱っているのであれば、出版社としての歴史や実績がしっかりしているのか、代表や社員がどのような経歴や実績を持っている人なのかについても確認しましょう。
そのうえで、実際に営業担当者と打ち合わせをして自費出版に必要な費用や期間などについてヒアリングをして見積もりを依頼します。
また、自費出版の場合は、発行部数や紙質の選び方などによって見積金額が変わってきますし、提示された見積金額以外に追加費用が発生する可能性もありますので、この点についてもきちんと確認しておく必要があります。
営業担当者が信頼できるかどうか?
営業担当者と打ち合わせしたり見積もりを依頼したりする際に注意したいのは、その営業担当者が信頼できる人物かどうかということです。
たとえば、見積書の内容を詳細に説明しなかったり契約を急がせたりするような場合は要注意と考えた方が良いでしょう。
「社員は会社の顔」とよく言われますが、自費出版の場合も、営業担当者の対応がよく信頼できる場合は、良い出版社である可能性が高いです。
「営業担当者が信頼できる人なのかどうか?」はしっかりとチェックしておきましょう。
原稿のチェックやアドバイスをしっかりと行ってくれるかどうか?
見積もりを依頼する際に、営業担当者や編集者と打ち合わせをすることになりますが、その際に企画内容や原稿などのチェックやアドバイスをしっかりと行ってくれるかどうかもチェックポイントの1つです。
営業担当者には売上ノルマが課せられている場合があり、自分のノルマを稼ぐために契約させるようなケースもあります。
また、営業担当者や編集者が適切な原稿チェックやアドバイスをするだけの経験がないというケースも考えられます。
印税や儲けを目的にしない
世の中には、自費出版からスタートしてベストセラーになった書籍が実際にあります。
たとえば、夏目漱石の「こころ」、島田洋七の「佐賀のがばいばあちゃん」、山田悠介の「リアル鬼ごっこ」などが有名ですが、これは非常に稀な事例です。
よく、自費出版の営業などの際に語られるこういった事例を真に受けないようにしましょう。
基本的に、自費出版の場合は印税で儲けるというようなことを目的とするべきではありません。
内容は自分でよくチェックする
自費出版の場合も出版社で編集や校正をやってくれますが、その分だけ費用が発生するので注意しましょう。
基本的な誤字脱字や表記ゆれのチェック・修正などの校正作業は出版社に依頼する必要がありますが、最小限の費用で収まるように自分でよくチェックする必要があります。
適切な発行部数を選択する
自費出版の費用は全額著者が負担しますので、発行部数も著者が自由に決めることができます。
発行部数が増えると1冊あたりの単価は安くなりますが、出版費用は高くなります。
自費出版の書籍が余ってしまっても困りますので、適切な発行部数を選択するようにしましょう。
自費出版の流れ・出版までにかかる期間
以上、自費出版の費用や特徴、さらには出版社の選び方まで詳しく解説しました。
自費出版でも企業出版でも、自分のニーズを満たしてくれる出版社なのかどうかはとても重要です。
費用が安いに越したことはありませんが、「安かろう悪かろう」に当たらないためには契約前に出版社の営業担当者と綿密にやり取りをし、懸念を払拭しておくことです。
見積もり
書籍の企画が決定すると、出版社が見積もりを行います。
見積もりに際しては、金額を大きく左右する条件などについて双方でよく確認しておく必要があります。
また、この段階で見積もり以外にどのような費用が発生する可能性があるのか、についても事前に聞いて把握しておくことが重要です。
出版業界には専門用語も多く、業界ならではの常識も多いので、結果的に自分で想定していた金額よりも大幅に高くなってしまった、などのトラブルもよくあります。十分に注意しましょう。
申込・契約
出版社から提示された見積金額や条件に納得できた場合は、出版の申し込み・契約となります。
費用の支払いについては、「全額前払い」「着手金+校了時に残金」など出版社によって異なるので、契約前によく確認しておきましょう。
また、自費出版の場合の著作権は著者に帰属しますが、この点も事前に確認が必要です。
原稿・デザイン作成
契約が終わると、著者は原稿作成と写真やイラストなどの準備をします。
原稿や写真・イラストなどの素材が揃ったら、出版社の編集者からアドバイスをもらい必要に応じて修正をします。
原稿や写真・イラストなどの素材の準備に必要な期間は約2週間~6か月です。
原稿が完成後、デザイナーが表紙や紙面のデザインやレイアウトを行います。
デザイナーからの提案によって、原稿の加筆や減筆、写真やイラストの見直しなどが発生することがあるので、デザインやレイアウトに必要な期間は、2週間~1か月です。
校正・校閲
デザインが終わった初校を紙やPDFに出力して、校正を行います。
イメージ通りのデザインになっているか、誤字脱字や表記ゆれはないか、写真やイラストの見え方は適切か、などについて校正と修正を繰り返します。
また、校閲を行い事実関係に誤りがないことなどを確認(ファクトチェック)していくので、校正・校閲に必要な期間は、2週間~1ヶ月程度です。
印刷・製本・納品
校正が終わると、出版社から印刷会社に書籍のデータが送られますが、これを入稿といいます。
印刷会社から実際の本に近い紙やインクを使って印刷した色校正が提示されるので、インクのノリ具合や写真の色味を確認して、必要に応じて調整を依頼します。
色校正が終わったら、契約部数の書籍が印刷・製本されて納品、と言う流れです。
印刷・製本に必要な期間は、約1ヶ月です。
自費出版の成功事例
ここでは自費出版の成功事例について紹介します。
しかし、前述の通り、そもそも自費出版が書籍を出版することが目的だったり、名刺代わりに知人に配りたいという目的、セルフブランディングに活用したいという目的、ベストセラーで印税収入を得たいという目的まで千差万別ですので、何をもって「成功」というかは人それぞれです。
1つ目の成功事例は、自費出版をきっかけに新聞や週刊誌などに取り上げられて話題となり、テレビ番組などへの出演オファーが殺到したというケースです。
その書籍はビジネス書だったので、書籍の売上部数の大幅アップにはなりませんでしたが、その後も講演依頼や執筆物の依頼が増えて、専門家としての認知度も向上しました。
2つ目の成功事例は、自費出版をきっかけとしてラジオ番組を担当することになったものです。
たまたまその書籍を読んだラジオ番組の関係者が、番組制作の担当者に話をして、トントン拍子に1つのラジオ番組を担当することになりました。
大きなビジネスチャンスにつながったというような成功事例ではありませんが、著者としては自身の専門性を認めてもらえて、より多くの人に自分の意見や考えを伝える場をえることができ、セルフブランディングにつながりました。
自費出版は出版目的を持つが大切
自費出版はただ出すだけではなく、「何のために出すのか?」という出版目的をしっかりと持って行うことが重要な出版方法です。
出版目的が明確であれば、100万円程度の安い自費出版サービスでも最高の満足度を得られる場合もあります。
しかし、一方で高額な自費出版サービスを使ったからと言って自分にとって最高の満足度が得られるとは限りません。
「あれだけ、高額な費用を使って、できたのがこれか・・・」と後悔してしまうケースもあります。
そのため、もし今みなさんが自費出版を考えているのであれば、自分自身に「何を目的に出版するのか?」を問いかけて、明文化してみてください。
とにかく書籍化するのが目的であれば、安価なサービスでも問題はないでしょう。
しかし、他の目的であれば、今一度出版社の人と本当に自分に適した出版方法は何なのかを相談してみましょう。
自費出版は出版目的を持つが大切
本記事では、自費出版とはなにか、メリット・デメリット、費用相場、成功事例などについて解説しました。
自費出版は、著者が自由に本の内容を決めることができるので、名刺代わりに配ったりセルフブランディングをしたりするのには最適な方法です。
しかし、著者自身の事業やビジネスの宣伝・PRやブランディング目的の場合にはあまり効果が期待できません。
なぜならば、出版社によるプロモーションなどがないため、多くの顧客に購入してもらうことができないからです。
自分自身が行っている事業やビジネスをより拡大していくための宣伝・PRやブランディング、マーケティングが目的ならば、企業出版や企業出版を活用して問い合わせにつなげるブックマーケティングという手法を検討してみてください。
▶ブックマーケティングについては、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。
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執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)
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福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経営法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を歴任し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。
コンサルティングサービスは、顧客側からすると費用対効果が分かりづらい代表的なビジネスの1つです。
そのため、どんな素晴らしいサービスを提供しているコンサルタントであっても、実績や知名度がない状態では、依頼してもらえるまでのハードルが高く、なかなか成約に至らないのが現実です。
もっと言えば、実績や知名度がなければ、見込み顧客の集客も難しいのが実情です。
このように、コンサルタントで集客に関する悩みを抱えている方は、意外と多いのではないでしょうか。
本記事では、集客できないと悩むコンサルタントが、見込み顧客との信頼性を獲得し、効率的かつ効果的に集客できる手段を詳しく解説します。
目次【本記事の内容】
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慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。
コンサルタントの集客が難しい理由
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コンサルタントの集客が難しい最大の理由は、サービス内容などの分かりにくさにあります。
そういった分かりにくさを払拭することができずに、次のような理由で集客に苦戦しているコンサルタントが多いようです。
自分の強みをうまく発信できていない
少しでも多くの仕事が欲しいコンサルタントは「どんなことでも相談に乗ります」というアピールをしがちです。
これは、特に独立したばかりのコンサルタントに多く見られる傾向です。
これは「顧客からのどんな依頼にも応えて多くの受注を獲得したい」と考えてのことですが、そのことがかえってコンサルタント本人の狙いとは逆に集客を難しくする一因になっています。
実際に依頼する顧客側の視点で考えると、何が専門なのかが分からず、「依頼しても的確なアドバイスが得られないかもしれない」と思って依頼しにくいのです。
たとえば、自社のIT情報システムに課題があることが分かっているときには、「何でもサポートできます」というコンサルタントよりは「IT分野ならお任せください」というコンサルタントを選ぶのではないでしょうか。
もっと言えば、「IT情報システムの見直しや再構築ならお任せください」とより具体的にアピールしているコンサルタントの方が「この人にお願いしたい」と思ってもらいやすくなります。
主なコンサルタントの専門領域としては、経営、業務改善、IT、マーケティング、財務、人事、事業再生などがあります。
自分がどの分野に強く、かつ顧客にどのようなメリットをもたらすことができるのかを明確に発信していくことが重要です。
見込み顧客に向けての信頼性の欠如
コンサルタントが見込み客に自身のサービスをアピールしたとしても、簡単には信頼してもらえません。
なぜなら、コンサルタントは肩書きだけで信頼されるような職種ではないためです。
コンサルタントには、弁護士や税理士などのように公的な資格などがありません。
極端に言えば、コンサルタントと名乗れば誰でもなれてしまう職種であり、肩書きだけでは信用されにくい職種です。
そんな中で、見込み顧客の信頼を獲得するためには、自身のこれまでの経歴や、コンサルティング実績、それに代わるエビデンスを明確に示していく必要があります。
それがコンサルタントの集客を難しくしている要因の1つです。
知名度やブランド力の不足
コンサルタントの知名度やブランド力が不足している場合も集客が難しくなります。
なぜなら、知名度やブランド力が不足していると、どんなに高品質なサービスを提供していたとしても、顧客側の依頼候補先として上がりにくいためです。
たとえば、「SEOコンサルタント」とネットで検索した際に、せいぜい担当者が見るのは検索結果の2〜3ページ目程度です。
もし8ページに表示されていたとしても、見てもらえないでしょう。
このように、知名度やブランド力が不足していると、どんなに良いサービスを提供している優秀なコンサルタントでも、顧客側の候補先としても上がりにくくなります。
どうしても知名度やブランド力の強いコンサルタントに依頼が集中してしまい、それらが不足しているコンサルタントに依頼が来にくい、というのも集客が難しいと言われる要因の1つと言えるでしょう。
集客につながるマーケティング手法が打てていない
コンサルタントが効果的なマーケティング手法を実施していない場合も、集客は難しくなります。
なぜなら、コンサルティング業を営んでいる競合他社は数多くいるからです。
競合が多いため、マーケティングをすることなく集客ができるような業種ではありません(もちろん、例外もあります)。
たとえば、コンサルタントには、外部からの視点で経営課題を把握し、論理的に分析し、目標を達成するための解決策を示す能力が求められますが、コンサルティング契約を結ぶ時点ではその能力を持っているかどうかは分かりません。
ホームページやコラム、SNSなどでの発信情報、セミナーでの講義内容などから、信頼に足るコンサルタントであることが確信できなければ、相談をしてもらうことはもちろん成約に至ることはありえません。
そのため、コンサルタントにとって、マーケティングは集客を行う上で必要不可欠なものであることを認識しておく必要があります。
コンサルはまずクライアントを知ることから
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集客につながるマーケティング施策を検討するためには、見込み顧客がどうやってコンサルタントを探すのかを、まず知ることからです。
なぜなら、顧客企業のコンサルタント選定がどのように行われているのかを知らずに、マーケティング施策を考えることはできないからです。
一般的にコンサルタントは、次のような過程を踏んで選定されます(あくまで一般例です。例外もあります)。
- 1.社内に経営課題が見つかり、外部の視点を入れた解決の必要性が生じる
- 2.その経営課題に対応できるコンサルタントを探す
- 3.対応可能な複数のコンサルタントの実力や課題解決能力を知る
- 4.対応可能な複数のコンサルタントを比較して依頼先を決める
このコンサルタントの選定過程からわかることは、まず最初の「コンサルタント探し」の段階で「自分の存在に気づいてもらうこと」、すなわち「認知してもらうこと」の重要性です。
また、そもそも見込み顧客はなぜコンサルタントに社内の課題解決を依頼しようとするのかについても知る必要がありますが、それは次の3つに集約することができます。
- ・第三者視点からの客観的な評価や分析
- ・課題解決のスピードアップ
- ・課題解決能力や知識、ノウハウの習得
このように、見込み顧客がどのような時にコンサルタントへの依頼を検討し、どのようなプロセスで選ぶのかは、最低限知っておくべきことと言えるでしょう。
コンサルが集客施策を実行するときの心構え
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ここからは、コンサルタントが集客施策を実行する際に、心がけておきたい3つのポイントについて解説していきます。
相談しやすい受け皿を作る
コンサルタントは、そもそも見込み顧客側にとってサービス内容や専門性、経歴や実績などが分かりづらい職種です。
見込み顧客にとって相談ハードルが高くなりやすい職種とも言えます。
そのため、見込み顧客が相談しやすい仕組みを作り、相談ハードルを下げることを心がけていく必要があります。
たとえば「集客コンサルタント」であれば、「企業の広報担当者向けのSNS集客セミナー」「企業の広報担当者向けのブログ集客セミナー」など、ターゲットを絞り込んだ具体的な無料セミナーを企画するなどです。
そういったセミナーに集まった方々に、無料相談などのサービスを提供し、お悩みを聞いた上で解決策を提案していきます。
このように、「集客のことならなんでも相談ください」というスタンスではなく、「自分が顧客側だったら」という視点で、顧客が相談しやすい仕組みを構築していく必要があります。
人脈(ネットワーク)を作る
コンサルタントは、見ず知らずの第三者からの依頼ではなく、知人からの紹介など人とのネットワークを介した相談や仕事の依頼が最も多いと言われています。
そのため、まずは自分の人脈をフルに活用して集客を図ることが大切です。
顧客側からすれば、全く知らない人よりも、信頼できる友人や知人に紹介してもらった人の方が、相談しやすいものです。
また、「友人や知人が紹介してくれるコンサルタントだから」と信頼も得やすくなります。
コンサルタントとして集客に困っている方は、Web広告やSNSなどに目が向いてしまいがちですが、人脈を活用した方が早く確実に成約につながりやすくなります。まずは「人脈を活用して集客ができないか」を考えてみましょう。
過去に勤めていた会社の同僚や、その際に知り合った知人など既存のネットワークを大切にしていくことはもちろん、異業種交流会や勉強会、各種セミナーなどに顔を出すことで人脈を広げることができます。
また、このような場で自分の強みや得意分野について紹介して、認知度を上げるようにしましょう。
フォローアップを忘れない
コンサルタントの中には、実績を上げるために新規顧客の獲得にばかり熱心な方がいます。
しかし、既存の顧客のフォローアップも忘れずに行う必要があります。
なぜなら、リピーターになってくれたり、長期契約や顧問契約に発展したりして売り上げの安定化につながる可能性があるからです。
さらに、既存の顧客が知人を紹介してくれて新規顧客の獲得につながることもあります。
フォローアップにはいろいろな方法がありますが、たとえば定期的にメルマガやDMを発信して、有益な情報を届けるという方法が考えられます。
このように、既存の顧客一人ひとりにしっかりと応えてきめ細かに対応することが、経営の安定化や新規顧客獲得につながるということを忘れてはいけません。
コンサルタントに適した集客手段とは
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集客する手段としては、多くの選択肢がありますが、職種によって向き不向きがあります。
ここからは、コンサルタントに適した集客手段をいくつかご紹介いたします。
ホームページ制作とコンテンツマーケティングを実践
コンサルタントの集客手段としてホームページの制作は必要不可欠です。
なぜなら、「依頼する前にまずはホームページを見る」という顧客が多いからです。
いくら良いサービスを提供していたとしても、「誰が提供するのか?」は誰でも気になるものです。特にコンサルタントのような、自身のビジネスにとって重要な助言をもらう存在であればなおさらです。
また、HPがあれば、コンテンツマーケティングを行うことが可能です。
コンテンツマーケティングにおいては、開設したホームページに自分の専門領域や実績を掲載し、加えて顧客にとって有益な情報をコラムなどの形で発信していきます。
これによって、自分の強みやノウハウなどが言語化されて顧客に伝わりますし、SEO対策を行うことによって、検索エンジンで検索結果の上位に表示されることも可能となります。
つまり、問い合わせや相談の機会が増加して、それに伴う成約率アップの可能性が高まるということです。
チラシやパンフレット、名刺のコンテンツ化
紙媒体のチラシやパンフレット、名刺をコンテンツ化して集客を図る方法もあります。
インターネットやSNSの時代だからこそ紙媒体のチラシやパンフレット、名刺を見込み客などに配布することは集客に効果的です。
チラシやパンフレット、名刺に経営理念、経歴、専門分野、コンサル実績などのブランディングを意識したコンテンツを掲載するなど工夫すれば、顧客から興味を持ってもらえる可能性があります。
また、自分自身が力を入れて発信している媒体(SNSやブログ、自社サイトなど)のQRコードを掲載するのも有効です。
SNSで自己PRと情報発信
SNSによる情報発信もコンサルタントの集客手段として有効です。
SNSで発信した情報は「いいね」や「シェア」「リポスト」などによって拡散されます。思わぬ人や企業に伝わって、認知や集客につながる可能性があります。
SNSで発信される情報の種類は千差万別なので、多くの情報の中に埋もれてしまわないように、独自性を持たせた専門分野の豆知識やTIPSなどを定期的に投稿することがコツです。
SNSの投稿は比較的気軽に行えることがメリットですが、ホームページのコンテンツと同様に手間がかかるという点や、集客できるまでには時間がかかる点には注意しましょう。
セミナーを開催
自分の得意分野や専門分野をテーマとするセミナーを開催することも有効です。
なぜなら、セミナーにはテーマに関心のある顧客が有益な情報を求めて参加しているためです。
また、そういった受講者と直接話をする機会を持つことができるのもメリットです。
受講者の中には、テーマに関心があるだけではなく、他にも具体的な課題を抱えた方がいる可能性もあり、コンサル契約に発展することも十分に考えられます。
自分の得意分野や専門分野に関するセミナーということもあり、自ずと自信にあふれた講義ができるので、ブランディングという点からも効果的です。
書籍を出版
自分の専門分野に関する書籍を出版し、全国の書店に流通させることも集客に有効な手段の1つです。
「書籍が持つ信頼性の高さ」は他のメディア以上です。そのため、書籍は自身のブランディングという点でも非常に効果があります。
また、書籍の情報量はホームページのコラムやチラシ、パンフレット、SNS投稿などよりも多いため、自分が顧客に伝えたいことを余すことなく掲載することができます。
ちなみに、一般的な書籍のページ数は200ページ程度で、文字数は7万~10万文字程度です。
紙媒体のA4判のチラシの文字数は1,000文字〜2,000文字程度ですから、書籍では比較にならないほどの情報を伝えることができることがわかります。
しかし、出版するだけではダメです。出版しても、ターゲットとなる見込み顧客に読んでもらえなければ意味がありません。そこで重要になってくるのが、ブックマーケティングです。
ブックマーケティングの重要性
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コンサルタントが書籍を出版したとしても、単に自分が配るだけの名刺代わりの書籍で終わってしまっていては意味がありません。
書籍をマーケティングの一部として活用し、コンサルタント自身の強みなどを伝え、問い合わせなどの集客につながるような取り組みをしていく必要があります。
そこで重要になってくるのがブックマーケティングです。
ブックマーケティングは、書籍を単に出版社の販路だけではなく、あらゆる情報発信の手段を活用し、ターゲットとなる見込み顧客に届けて問い合わせなど、集客面で貢献させるマーケティング施策です。
ブックマーケティングを実施する際の重要事項について、以下で具体的に説明します。
事業ターゲットの理解と的確なアプローチ
ブックマーケティングを行う際には、書籍の企画段階からターゲットの明確化とアプローチ方法を決めておく必要があります。
つまり、出版する書籍を誰に読んでもらって、何を伝えるのかということを決めておき、さらにそのターゲットに確実に届けるためのプロモーションまでを想定しておくことが大切です。
効果的なコンテンツ戦略の立案と事例の紹介
書籍のターゲットと伝えたいことが決まったら、次は具体的なコンテンツを練り上げていく段階です。
編集者とともにターゲットの課題に寄り添うコンテンツを作り上げていきます。コンテンツの中に、自然な形で自分自身の実績もできるだけ事例として掲載していくことを心がけましょう。
書店でプロモーションを実践
書籍が完成すると、具体的なプロモーション計画を立てます。
ブックマーケティングの場合は、あくまで書籍はマーケティングのためのツールですから、確実にターゲットの目にとまる書店の書棚に並べて、書籍テーマに関心のある方やニーズのある方に購入してもらうようにしなければなりません。
ブックマーケティングのゴールは書籍を売ることではなく、書籍を読んだ見込み客の集客をはじめとして、ビジネスメリットを達成するための手段であることにあります。
書籍コンテンツを二次利用してSNSやWEBサイトを強化
ブックマーケティングで出版した書籍コンテンツは、著作権が著者にあるため、二次利用できます。
たとえば、書籍の一部をホームページのコラムやブログに掲載してSEO対策に活用したり、SNSで発信したりすることも可能です。
このように、書籍コンテンツをあらゆる媒体に活用し、マーケティング効果を最大化することができます。
営業ツールや紹介ツールとして書籍を活用
ブックマーケティングで出版した書籍を、営業ツールとして配布したりすることができます。
また、自分で配布する以外にも、見込み顧客や知人に配布しておくことで、思わぬ集客や相談につながる可能性があります。
書籍テーマでセミナーを開催
ブックマーケティングで出版した書籍のテーマでセミナーを開催することもできます。
書籍は全国規模で流通しますので、興味や関心のある見込み顧客や書籍の内容に共感した潜在顧客などが全国から参加してくれる可能性があります。
さらに、セミナー後に名刺交換会や懇談会を設けることによって、集客や具体的案件の相談などにつながる可能性があります。
▶️ブックマーケティングの詳細については、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。
コンサルタントのブックマーケティング成功事例
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コンサルタントのような、顧客から依頼してもらえるまでのハードルが高く、顧客との信頼関係の構築が重要なビジネスを行っている方にとって、ブックマーケティングは相性の良いマーケティング手法です。
実際に、コンサルタントがブックマーケティングを行って集客に成功した事例を2件ご紹介します。
事例①:ターゲット特化してその道の専門家としてブランディング
建設業専門のコンサルタントの事例です。
この方は、自身の商圏での開拓はある程度行ってきていましたが、次のステージにすすむために、知名度の向上と商圏の拡大を狙って書籍を出版しました。
書籍のタイトルに「建設業のための」という文言を入れたことによって、狙い通りのターゲットにダイレクトにアプローチすることができ、さらには書籍の配本を首都圏中心に行うことによって「商圏の拡大」にもつながりました。出版の翌日から問い合わせが殺到し、複数件の顧問契約獲得につながっています。
このように、ターゲットに特化した専門家であることを世間に認知させ、ブランディングを行っていくために、ブックマーケティングは有効な手段と言えます。
通常、本は販売部数を増やすために、「できるだけ多くの人に読んでもらいたい」という意図でタイトル付けをするものです。今回の書籍であれば、「建設業のための」と入れることによって、ターゲットが一気に狭まってしまうため、販売できる可能性のある部数が減ってしまいます。
しかし、書籍を通じでどのようなブランディングを行っていきたいのか、の目的を企画段階で明確にしていたからこそ、書籍のタイトルに「建設業のための」という、ターゲットを狭めながらも狙った読者層からの集客をイメージした文言を入れる決断ができたのです。
このように、通常の出版とは違う考え方で、マーケティングのツールの1つとして企画し、出版していくのがブックマーケティングです。
事例②:得意分野をコンテンツ化してその分野のNo.1へ
日本では起業した会社の約6割が1年以内に廃業しているという現実がありますが、資金調達支援のコンサルタントである著者は「適切な融資の下、創業者が夢を実現できるように」という思いから書籍を出版しました。
書籍の中では、自らが立ち上げた会社が創業後3年間に8200万円の融資を受けて事業を軌道に乗せることができた実績を元に、中小企業でも高額の融資が受けられるという秘訣を公開。
自社が得意とするWebやSNSのコンテンツ化によって、問い合わせ件数が3~4倍に増加して受注件数が伸び、その結果、融資支援実績が日本一になりました。
このように、自身の強みや想いをしっかりとターゲットに届けることができるのもブックマーケティングならではのメリットです。
Web広告やSNSなどでいくら長文で伝えようとしたとしても、「パッと見てわかる」ことが重視されるネット媒体では、伝えられる情報量に限界があります。
しかし、書籍は違います。しっかりと長文が読まれる媒体です。特に内容がターゲットに刺さるものであれば、ネット媒体の比にならないほどの情報量を伝えることができます。
また、書籍を読んでもらえることによって著者や提供するコンサルティングサービスへの理解も深まり、顧客教育にもつながります。
結果として、読者は著者のファンになり、仕事の依頼をすること前提で問い合わせいただけるようなホットな信頼関係を作ることができるのです。
まとめ
本記事では、コンサルタントの集客が難しい理由やコンサルタントに適した集客手段について解説しました。
コンサルタントの集客手段にはいろいろありますが、成功事例でも紹介したようにブックマーケティングを利用した集客は相性抜群です。
コンサルティングの依頼をしてもらうためには顧客からの信頼を勝ち取ることが不可欠ですが、「書籍を出版したという事実」だけで社会的な信頼性は飛躍的に高まります。
また、ターゲットを明確にした書籍内容やタイトルなどによって、効果的なマーケティングが可能です。結果として相談件数や成約件数の増加が期待できるでしょう。
集客に課題をお持ちのコンサルタントの方は、ぜひブックマーケティングの活用を検討してみてください。
▼パノラボのブックマーケティングのご案内はこちら
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健康食品や化粧品、サプリメントなどの広告・PRに携わっている広告担当者や広報担当者にとって、薬機法(旧:薬事法)に関する知識は欠かせません。
薬機法(旧:薬事法)に違反する広告・PRを行ってしまうと、場合によっては罰金や逮捕などの厳罰が課せられることもあります。
そこで本記事では、まず薬機法(旧:薬事法)とは何かについて説明し、その後に薬機法(旧:薬事法)に違反せずに広告・PRするための7つのポイントについて分かりやすく解説していきます。
目次【本記事の内容】
薬機法(旧:薬事法)とはどんな法律?
薬機法(旧:薬事法)とは、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの品質と有効性、安全性を確保するために、製造から販売、販売後の安全対策までを規制する法律です。
この法律は従来「薬事法」と呼ばれていましたが、2014年(平成26年)に改正が行われて、名称が「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に変更されたため、これを略して「医療品医療機器等法」や「薬機法」と呼ばれています。
薬機法(旧:薬事法)の規制対象となるジャンル
薬機法(旧:薬事法)の規制対象となっているのは、主に以下のようなジャンルの商品・サービスです。
- ・医薬品
- ・医薬部外品
- ・化粧品(コスメ)
- ・医療機器
- ・再生医療等製品
薬機法(旧:薬事法)の規制対象となる広告の3要件
1998年(平成10年)9月29日、厚生労働省は「医薬監第148号厚生省医薬安全局監視指導課長通知」において、「薬機法(旧:薬事法)の規制対象となる広告」とは、次の3つの要件をすべて満たすものであるということを示しました。
- ・顧客を誘引する意図が明確である
- ・特定医薬品等の商品名が明らかにされている
- ・一般人が認知できる状態である
以下では、この3つの要件について詳しく見ていきましょう。
顧客を誘引する意図が明確であること
1つ目の要件は「顧客の購入意欲を昂進(こうしん)させる意図が明確であること」と言い換えることが可能です。
つまり、「商品を販売したい」という目的が明確にわかることが要件だということです。
この意味から、アフィリエイトリンクやインフルエンサーによるPR投稿などは、この要件を満たしているため、「広告」とみなされます。
逆に、学会などでの論文において「ある健康食品の効果」について発表したような場合は、「商品を販売したい」という目的で行われたものではないので、この要件を満たさず、「広告」とはみなされません。
特定医薬品等の商品名が明らかにされていること
2つ目の要件は、販売者(事業者や企業など)から消費者に対して行うアプローチを総合的にみて「広告」に該当するかどうかが判断されます。
たとえば、販売者(事業者や企業など)が消費者に「ある商品に含まれる成分の効果効能について説明されたチラシ」を送付した場合、このチラシは効果効能だけを説明しているので「広告」とはみなされません。
しかし、その数日後に「商品のチラシ」や「商品の購入案内」などを送付すると、総合的に判断して「広告」とみなされてしまうのです。
また、ホームページなどで「ある商品に含まれる成分の効果効能を説明するページ」と「商品の購入申し込みページ」が分かれている場合であっても」、「ある商品に含まれる成分の効果効能を説明するページ」から「商品の購入申し込みページ」へのリンクが貼られている場合には、「広告」とみなされてしまいます。
このように、単独のチラシやページだけでは「広告」に該当しない場合であっても、総合的に見て「広告」とみなされるということです。
一般人が認知できる状態であること
3つ目の要件は、「広告の3要件」の中で最も広く解釈されて運用されているものです。
そのため、この要件にはホームページ(HP)、LP、広告、SNS投稿、などほとんどすべての情報発信が該当します。
たとえば、2014年(平成26年)5月22日の厚生労働省の通知において、IDやパスワードを入力しないと入れないサイトであっても「一般人が認知できる状態」に該当するとされています。
薬機法(旧:薬事法)における広告・PR担当者が知っておくべき主な禁止事項
健康食品や化粧品、サプリメントなどの広告・広報担当者の頭を悩ませる薬機法(旧:薬事法)。
もちろん、専門家によるチェックや修正は重要ですが、担当者もある程度「これはダメ」「これはOK」と言った薬機法(旧:薬事法)の禁止事項などを事例とともに知っておいた方が良いと言えます。
そうすることで担当者である程度チェック・修正することができますし、薬機法(旧:薬事法)のチェックにかかる費用の削減や、ダブルチェックにもつながります。
薬機法(旧:薬事法)に該当するような商品・サービスの広告・広報担当者は、次に挙げるような「薬機法(旧:薬事法)における主な禁止事項」をぜひ知っておきましょう。
虚偽・誇大広告の禁止(過度な褒めや効果効能など)
薬機法(旧:薬事法)では、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの名称や製造方法、効能・効果、性能に関して、虚偽広告や誇大広告をすることが禁止されています。
具体的には、「過度な褒め」や「過度な効能・効果」などを謳った広告がダメということです。
実際に「ズタボロだった肝臓が半年で復活」という肝臓疾患の予防に関する誇大広告を行ったとして摘発された事例や、解毒成分であるグルタチオンを含む錠剤 (医療用医薬品)に「美白や日焼け予防などの効果がある」と宣伝して摘発された事例などがあります。
このように、「〜するだけで痩せる」「〜することで血圧が下がる」など自社の商品やサービスを使うことによって何らかの健康効果が得られる」といった表現をする場合には十分注意しましょう。
未承認の医薬品の広告の禁止
薬機法(旧:薬事法)では、未承認の医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの名称や製造方法、効能・効果、性能に関して広告することが禁止されています。
たとえば、「米国食品薬品局が認可した画期的な飲む育毛剤」と広告した事例がありますが、たとえ米国食品薬品局で承認されていた医薬品であっても、日本で承認されていないものの広告をすることはできません。
実際に厚生労働大臣の承認を受けていない医薬品である「スーパープラセンタ」を、肌の若返りなどを謳って宣伝・販売したとして摘発された事例もあります。
そもそも取り扱う医薬品がきちんと厚生労働大臣の承認を受けているものなのかを確認することも重要です。特に他社の商品を取り扱う会社の広報・広告担当者は注意しましょう。
他社商品の誹謗広告の禁止
薬機法(旧:薬事法)では、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの名称や製造方法、効能・効果、性能に関して、他社商品の誹謗広告をすることが禁止されています。
たとえば、「〇〇社の製品よりも良く効きます」や「他社製品より安全です」などの表現が該当します。
「他社製品より安全です」のように、他社や他社製品を明示せずに漠然と比較する場合でも、間接的に他社を批判しているとみなされて薬機法に抵触するおそれがあるので注意が必要です。
そのため、製品同士で比較広告を行う場合は、自社製品の範囲で行う必要があります。また、対象商品の名称を明示しなければなりません。
医療関係者等の推せんの禁止
薬機法(旧:薬事法)では、「医療関係者等」による推せんが禁止されています。
ここでいう「医薬関係者等」とは、医療や美容に関する国家資格や同等の資格を持っている専門家のことを言い、医師や歯科医師、美容師、理容師、鍼灸師、教授などが該当します。
これは、医師や美容師による推せんには影響力があり「効能・効果や安全性の保証」とみなすことができると考えられるからです。
たとえば、医薬品などの広告で、医師が「〇〇に効きます」というような表現をしている場合は「効能・効果を保証している」と誤解されるおそれがあるため禁止されています。
また、化粧品の広告で「美容師がおすすめします」というような推せん行為もNGです。
ただし、医師や美容師が監修した商品の広告において、「共同開発した事実」を記載することは問題ないとされています。
化粧品の効能・効果の範囲を超えた表記の禁止
薬機法(旧:薬事法)では、化粧品の広告においては効能・効果以外の表記が禁止されています。
たとえば、基礎化粧品の広告で「脂肪分解を昂進(こうしん)してセルライトの除去や皮膚の老化防止をする作用があります」と表現したところ、肌の機能そのものに関わる表現は化粧品の効能効果の範囲を超えているとして摘発を受けた事例があります。
化粧品の効能・効果の範囲については、厚生労働省が平成23年7月に発表した「化粧品の効能の範囲の改正について」で明確に56項目が指定されています。
たとえば、以下が化粧品の効能の範囲として許されている表現例です。
(1)頭皮、毛髪を清浄にする。
(2)香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。
(3)頭皮、毛髪をすこやかに保つ。
(4)毛髪にはり、こしを与える。
(5)頭皮、毛髪にうるおいを与える。
(6)頭皮、毛髪のうるおいを保つ。
(7)毛髪をしなやかにする。
(8)クシどおりをよくする。
(9)毛髪のつやを保つ。
(10)毛髪につやを与える。
引用元:厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」
また、「化粧品であれば上記どのような表現を使っても良い」という事ではなく、あくまでその化粧品に該当するもののみ使用可能となっているので、注意しましょう。
薬機法(旧:薬事法)に違反すると重い罰則を受ける可能性があるので注意
薬機法(旧:薬事法)に違反した場合は、業務停止や課徴金納付などの重い罰則を受ける可能性があるので注意が必要です。
以下では、具体的な罰則の内容などについて説明します。
「措置命令」や「中止命令」が下される
薬機法(旧:薬事法)に違反した事業者や企業に対しては、厚生労働大臣や都道府県知事から違反行為の中止や排除、再発防止策の実施を命じる「措置命令」や「中止命令」が下されることがあります。
なお、未承認の医薬品や医療機器の販売をした場合は、刑事罰の対象となる可能性もありますので、十分な注意が必要です。
売上に対する課徴金が課せられる
薬機法(旧:薬事法)に違反して虚偽や誇大広告を行った事業者や企業に対しては、厚生労働大臣から課徴金が課せられます。
この「課徴金制度」は2021年(令和3年)8月1日から施行されたもので、違反を行っていた期間における対象商品の「売り上げ金額×4.5%」を課徴金として納付しなければなりません。
社会的信用を失い契約打ち切りなど連鎖的に事業失墜に向かってしまう
薬機法(旧:薬事法)に違反して措置命令や中止命令が下されたり、売上に対する課徴金が課せられたりすると、その企業の社会的信用は低下します。
企業イメージがダウンして商品の販売中止・回収になったり、消費者はもちろんのこと株主や取引先からの信用も失って株式の下落や取引先との取引停止になることもありえます。
また、未承認の医薬品や医療機器の広告・販売をした場合は「未承認医薬品の広告禁止」に該当するため、より重い刑事罰の対象となりますので十分な注意が必要です。
最悪の場合、その企業の経営者などが逮捕されるケースも。
このように、1つの広告の違反行為によって大きな損失を被る可能性があることを知っておきましょう。
実際の薬機法(旧:薬事法)の広告・PR違反事例
薬機法(旧:薬事法)は範囲や解釈が広いため、広告・広報担当者が一から全てを学ぶのには無理があります。
そこでおすすめしたいのが、「違反事例をたくさん学ぶ」ということです。
法律の文面や表現のOK・NG事例を覚えるよりも、実際に薬機法(旧:薬事法)違反をした事例が頭に入っているだけで、「これはOKかNGか?」の判断ができるようになってくるので、効率的です。
では、実際に発生した薬機法(旧:薬事法)の広告・PRの違反事例をいくつか見ていきましょう。
免疫機能を正常化
2023年(令和5年)9月27日、ペットフードの研究開発・製造・販売を行っている企業が、承認を受けずにホームページで「免疫機能を正常化」と広告したことにより、その企業の代表取締役が薬機法(旧:薬事法)の「承認前の広告の禁止等」に違反した疑いで逮捕されました。
ペットフードであっても薬機法(旧:薬事法)違反で摘発される可能性があるというもので、新潟県内では初の事例、全国でも2件目の事例となりました。
このように、「初の摘発事例」などは要チェックです。
今までは見過ごされていたものがある時期から摘発対象になる場合もあるので、十分注意しましょう。
アトピー治る
この違反事例は、2013年(平成25年)2月に、自ら作製した液体を「アトピー治る」と謳って医薬品として無許可で販売した製造業者が、当時の薬事法違反の疑いで逮捕されたものです。
この容疑者は、2009年(平成21年)ごろから食酢や緑茶の成分を混ぜた「クリン8」という液体を、インターネットで全国の約2400人に1本100ML入りを4900円で販売していました。
「クリン8」の購入者から「薬機法(旧:薬事法)違反になるのではないか」という相談が警察にあり、山形県警が捜査して逮捕に至ったようです。
未承認の医薬品を販売したことはもちろんのこと、広告・広報担当者として注目したいのは「アトピー治る」と未承認の医薬品を宣伝したということです。
がん予防
2020年(令和2年)10月に、「がんに効く」という広告をして医薬品として未承認のサプリメントなどを販売した容疑で医師らが逮捕されました。
この医師が経営するサプリメント製造販売会社のホームページで、4種類のサプリメントやお茶について「乳がん予防」「インフルエンザ予防」「便秘解消」などのように医薬品としての効果があるように広告・販売していました。
この事例では、代表者の医師だけではなくサプリメント製造販売会社の従業員2名も逮捕されています。
未承認の医薬品を販売したのはもちろんのこと、注目すべきはその製造や宣伝に関わった人も巻き込んで逮捕されているということです。
このように、薬機法(旧:薬事法)違反は、 周辺のさまざまな関係者を巻き込んでしまう可能性があることを知っておきましょう。
薬機法(旧:薬事法)に違反せずに広告・PRするためのポイント
広告・広報担当者が薬機法(旧:薬事法)に違反せずに、健康食品や化粧品、サプリメントなどの広告・PRを行うためにはどのようなことに注意すれば良いのでしょうか。
具体的には以下の5つのポイントを押さえておくことで、薬機法(旧:薬事法)違反を防ぐことができます。
自社商品・サービスが薬機法(旧:薬事法)に該当するかをチェックする
まず最初にすべきことは、自社の商品やサービスが薬機法(旧:薬事法)に該当するかどうかをチェックすることです。
薬機法(旧:薬事法)の対象となるジャンルは、医薬品や医薬部外品、化粧品(コスメ)、医療機器、再生医療等製品などですので、自社の商品やサービスがこのジャンルに該当するかどうかで判断することができます。
業界のガイドラインを良く読む
次に、薬機法(旧:薬事法)に関するガイドラインをよく読み込んで理解することが必要です。
基本となるガイドラインとしては、以下の2つです。
また、広告に関する基準としては、以下のようなガイドラインがあります。
・厚生労働省「医薬品等適正広告基準」
また、これらを元にして、以下のように各業界で個別のガイドラインが作成されているのでそちらを参考にするのもおすすめです。
これらのガイドラインを理解しておくことによって、広告を作成する際に意識して違反表現を避けることができるようになります。
また、次のように地方自治体のHPなどでも分かりやすいガイドラインが作られていたりするので、そちらも見ておきましょう。
また、これらのガイドラインを参考に、自社の商品やサービスに関する独自のガイドラインを作成しておくことも有効です。
他社の違反事例から学ぶ
他社の違反事例から学ぶことも重要なポイントです。
たとえば、2020年(令和2年)、健康食品輸入会社が「抗ウイルス効果がある」とお茶の広告を自社サイトで行い、医薬品として未承認の健康食品を販売したとして代表ら2人が逮捕されました。
この事例のように、特に健康食品については、医薬品と同等の効能・効果があるという広告をすると「未承認の医薬品」とみなされて薬機法(旧:薬事法)に抵触する場合があります。
これらの他社事例を参考にして、「OK表現」「NG表現」などを自社のガイドラインとしてまとめておくことも有効です。
専門家への確認 / リーガルチェック
薬機法(旧:薬事法)の専門家にリーガルチェックを依頼して確認してもらう方法もあります。
薬機法(旧:薬事法)の知識を持った専門家が行いますので、間違いや見落としが起こる可能性は非常に少ないのですが相応の費用が発生します。
Webページの更新頻度が高いような場合は、費用対効果について検討する必要があるでしょう。
薬機法チェックツールを使用
薬機法(旧:薬事法)チェックツールを使用する方法もあります。
薬機法(旧:薬事法)チェックツールとは、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、健康食品などの広告表現が薬機法(旧:薬事法)などの法律に抵触していないかどうかをチェックしてくれるツールのことです。
広告表現に問題がないかどうかを確認するだけではなく、代替表現の提案をしてくれるものもあります。
料金体系はツールごとに異なっており無料で利用できるものもありますが、文字数の制限などがある場合がありますので、用途に応じて検討が必要です。
主に以下のようなツールがあります。
薬事法広告表現チェックツール:無料のチェックツールで、30文字までの広告表現のチェックが可能です。主に健康食品や化粧品に対応しています。薬機法(旧:薬事法)に抵触する表現の場合は結果欄に抵触している箇所とその理由が表示されます。
TRUSQUETTA(トラスクエタ):従来KONOHAという名称で利用されていたツールで有料です。主に化粧品(コスメ)や健康食品に関する広告表現が薬機法(旧:薬事法)や景品表示法に抵触していないかどうかをチェックし、代替表現を提案してくれる機能もあります。
Cosme Design:化粧品(コスメ)の広告チェック、成分表示名称チェックなどを行うツールです。有料ツールですが、2日間だけ全機能を制限なしで利用できるお試し制度があります。
書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディングの活用
広告宣伝というと、テレビCMやWeb広告、SEO記事、SNS投稿などのように、パッと見てすぐわかるような方法を考えますが、「書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディング」という方法も有効です。
これは、商品やサービスの効果・効能を伝えるのではなく、それに含まれる成分などについて詳しく訴求することにより、その成分の入った商品・サービスのニーズを喚起するという方法です。
▶ブックマーケティングについては、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。
実際に書籍を使い成分ブランディングに成功して問い合わせが殺到した事例が数多くあります。
ただし、書籍だからといって一般広告よりも薬機法(旧:薬事法)の規制が緩いということではありません。
一般広告と同じように薬機法(旧:薬事法)のリーガルチェックが必要になりますし、薬機法(旧:薬事法)に違反すると、その罰則は著者だけではなく、出版社にも及ぶことがあります。
バイブル商法にならないように出版社選択は慎重に
「書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディング」を行う際に注意しなければならないのは「バイブル商法」にならないようにすることです。
「バイブル商法」とは、健康食品や化粧品、サプリメントなどの効果効能を書籍で宣伝すると同時に、その商品を販売するような商法のことをいいます。
出版業界では過去に出版社の社長がこの「バイブル商法」で逮捕されるという事件が発生しています。
これは2011年(平成23年)に発生したもので、書籍で「健康食品がガンに効く」と宣伝して健康食品の販売を幇助した容疑で逮捕されたものです。
どんなに広告担当者が薬機法(旧:薬事法)に気をつけていても、出版社に薬機法(旧:薬事法)の知識やノウハウがなければこのような事件に発展してしまいかねません。
「バイブル商法」にならないように、出版社選びは慎重に行いましょう。
書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディングの具体的な活用事例
ここでは、「書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディング」を活用して問い合わせの増加や販促につながったという具体的な事例を2件紹介します。
事例①:コラーゲンという成分について説明し結果的にサプリメントの販売促進につながった事例
「あらゆる死に至る病気の原因は血管が老朽化することであり、その血管を若返らせることが健康寿命を延ばす近道だ」という内容の書籍があります。
著者は、コラーゲンサプリメントの開発・販売会社の代表者であり、医師でもありました。
書籍のタイトルやカバーなどには、サプリメントの販促につながるような話は一切入っておらず、内容も血管を若返らせるコラーゲンについて説明をする内容となっています。
しかし、本の出版後、書籍を読んだ読者から「この本で説明されているコラーゲンはどうやったら摂取できるのか」という問い合わせが出版社や著者に殺到し、結果的にコラーゲンサプリメントの販売促進につながっています。
書籍の中でコラーゲンについて説明することで、読者の中に「この本で説明されているコラーゲンを取りたい」というニーズが生まれたのです。
書籍は広告などと違い、長文をしっかりと読んでもらえる媒体です。
書籍の中でしっかりとコラーゲンに関する魅力を伝え、読者教育ができたからこそ、このようなニーズが読者の中に生まれたのだと言えます。
事例②:サラダ油の危険性を訴求し、結果的に米油ブームにつながった事例
この書籍の著者は米油の製造・販売している企業に勤務している研究開発者で、出版の目的は米油のBtoB販売の促進でした。
書籍の内容は「一般家庭で当たり前に使っているサラダ油を摂りすぎると、がんや脳卒中、心臓病の原因になりうるという」というものです。
特に商品の訴求などをしている訳ではありませんでしたが、出版後に大きな反響があり、結果的に米油ブームにつながりました。
その後は、出版目的のBtoBでの米油の卸先の開拓だけでなく、一般消費者の反響が大きかったためBtoCでの訴求にも成功しています。
このように、商品やビジネスの話を出さずとも、成分について詳しく語ることで、商品の販売促進やビジネスの活性化につながることを証明した事例と言えるでしょう。
まとめ
健康食品や化粧品、サプリメントなどの広告担当者や広報担当者は、薬機法(旧:薬事法)に違反しないように、広告・PRについて自社で入念にチェックをしたり、社外の専門家にリーガルチェックを依頼したり、薬機法(旧:薬事法)チェックツールを使用したりといろいろなことを行っていることと思います。
しかし、同時に「広告やPR、SEO記事、SNS投稿など以外の方法で、自社商品やサービスの良さを効果的に伝える方法はないのか?」ということを検討していくことも重要です。
そこでおすすめしたいのが、この記事でご紹介した「書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディング」です。
広告やPR、SEO記事、SNS投稿などのように商品やサービスの効果・効能をダイレクトに伝えるのではなく、商品に含まれる成分について訴求することで、ユーザーに「成分を取りたい」と言うニーズを喚起させるという、薬機法(旧:薬事法)規制が厳しい時代には有効なマーケティング手段の1つです。
「薬機法(旧:薬事法)の規制によりうまくマーケティングができていない」と感じている方はぜひ一度書籍による成分ブランディングを検討されてみてはいかがでしょうか。
※書籍であっても薬機法(旧:薬事法)の規制を受けますので、薬機法(旧:薬事法)に関する知識やノウハウを有する弊社のような出版社を選ぶようにしてください。
▼パノラボのブックマーケティングのご案内はこちら
![](https://forway.co.jp/wp-content/uploads/2023/05/unnamed-2-1024x584.png)
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
![](https://forway.co.jp/wp-content/uploads/2023/05/952e03978010b08086a76170dbc29f71-300x213.jpg)
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。
経営者として将来的に出版したい思いがある人は少なくないでしょう。
中でも出版社から声がかかる商業出版に夢を見ている人もいるかもしれません。
今回の記事では、そんな商業出版の基本情報のほか、複数ある出版の方法や企業が取り組む上で重要視したいポイントを解説します。
目次【本記事の内容】
商業出版とは
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商業出版とは、出版社が費用を負担して書籍を出版する方法を指します。
商業出版の定義と特徴
商業出版は、出版社が利益を出すことを目的とするため、より多くの書籍が売れるような内容の企画やプロモーションを行うのが特徴です。
実際に、ベストセラーとして有名な書籍のほとんどは商業出版です。
具体的には、今でも売れ続けている岸見一郎・古賀史健著の『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』や、岩崎夏海著の『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーのマネジメントを読んだら』などが、商業出版の代表的な事例として挙げられます。
しかし、商業出版の場合、著者の伝えたいことよりも出版社側の意向が優先されます。そのため、いくら著者に言いたいことがあったとしても、書けなかったり、出版社によって修正されてしまうことが多々あります。
著者が書きたいことが100%書ける方法ではないのも商業出版ならではの特徴と言えるでしょう。
出版することのメリット
書籍を出版すること自体のメリットとしては、「信頼性向上」「著者のブランディング」「メディアへの露出」などが挙げられます。
現代ではインターネット上のWebやブログなどで情報を発信することもできますが、書籍として発信した情報の方が格段に信頼性が高くなります。
たとえば、ダイエット時に推奨される食事に関する情報を得たいと思った時に、個人が運営しているブログの情報よりも、専門家が出版している本の方が信頼できると感じる方は多いのではないでしょうか。
信頼度が高い情報は様々なメディアへの露出にもつながります。
実際に、商業出版をしたことで雑誌への掲載やゴールデンタイムのテレビ番組への出演につながった例があります。
出版やメディア露出により「その道の専門家である」と認識されることで、著者自身をブランディングすることが可能です。
さらに、副次的なメリットとして、出版社から発刊するとISBNコードが付与されることが挙げられます。
国会図書館にも収蔵されるため、ほぼ永久的に保存されて後世に残すことが可能です。
このように、出版することは著者自身のイメージ向上やブランディングで高い効果を期待できる手段と言えます。
商業出版のメリット
![](https://forway.co.jp/wp-content/uploads/2024/02/AdobeStock_482064173-1024x555.jpg)
「出版すること」のメリットとして、信頼性向上、著者のブランディング、メディアへの露出などが挙げられますが、もう少し的を絞って「商業出版」のメリットに焦点を当てると、次の2つが挙げられます。
著者の費用負担がない(出版社負担)
出版社の費用負担がない場合、著者が出版費用を負担することになります。
自費で出版する場合の費用は100万〜500万円ほどかかるため、著者の費用負担がないことは、著者にとって大きなメリットです。
印税の支払いがある
商業出版の場合、書籍の販売数や印刷数に応じて、著者に印税が支払われます。つまり、収入が得られるということです。
自費出版や企業出版などは、そもそも印税を目的とした出版方法ではありませんが、「重版して総流通部数が10,001部を超えたら定価の5%をお支払い」のように、契約によっては印税が支払われることもあります。
このように、印税が支払われるのは商業出版する最大のメリットと言っても過言ではありません。
印税は印刷した部数に応じて支払われる「刷り部数印税」が主流で、相場は書籍価格の5〜10%です。たとえば、1,300円の書籍が初版で3,000部印刷されたとすれば、印税は10%の場合で39万円となります。
100万部を超えるミリオンセラーともなれば、1億円以上の印税が発生することもあります。
出版社主導での販売活動
出版した書籍が売れなければ出版社が損をすることになるため、出版社は売るためのプロモーションを積極的に行います。
商業出版は出版社が利益を出す目的で行うため、ベストセラーやヒット作になるようにプロモーションにも力を入れるのです。
実際に、書店での販促では、出版社の主導でPOPの設置やブックDM、広告やウェビナーなどのネット施策などが行われます。
著者自身で販促をせず、プロである出版社に任せることができるため、効率よく本を売ることが可能です。
商業出版のデメリット
![](https://forway.co.jp/wp-content/uploads/2024/02/AdobeStock_398043467-1024x683.jpg)
一方、商業出版のデメリットとしては、次の2つが挙げられます。
企画の自由度が低い
自費出版や企業出版の場合は、著者が書きたい企画を自由に立てることができますが、商業出版は企画を出版社側が立てるのが一般的です。出版社側が立てた企画に合った著者に「出版などどうですか?」と持っていくという流れで出版に至るのが商業出版です。
そのため、基本的には著者が書きたいことではなく、出版社の企画に沿って書きます。
つまり、商業出版はたとえ著者が書きたいと思っていた企画であっても、出版社の企画内容に沿わなければ修正されてしまうということです。著者が書きたい内容を書けない出版方法とも言えます。これが商業出版の最大のデメリットと言えるでしょう。
商業出版自体のハードルが高い
商業出版自体のハードルが高いということもデメリットとして挙げることができます。
なぜなら、よほど有名で話題性のある企業の経営者でない限り著者に選定されることは難しく、著者自身が持ち込んだ企画が商業出版に採用されるケースはまれだからです。
また、そもそも企画書の持ち込みを受け付けている出版社が少ないという現実があり、インターネットで公表している出版社は、専門分野の出版社を除くと数社程度しかありません。
運よく企画書の打ち合わせまで持ち込めた場合でも、最終的に自費出版に誘導されてしまったり、さらに運よく商業出版できたとしてもほとんど売れないという状態に陥ったりすることも考えられます。
商業出版の現実と出版業界の実情
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著者の費用負担がなく販売活動も出版社が行ってくれる魅力的な商業出版ですが、その現実と出版業界の実情についても知っておく必要があります。
商業出版の現実と出版業界の実情について詳しく解説していきます。
出版業界は斜陽産業?
現代は、ひと昔前に比べると本が売れにくい時代です。
インターネットを使えば無料で簡単に情報が手に入ってしまう現代社会。ひと昔前に比べると紙の書籍が売れにくい時代と言われています。
実際に出版業界の市場規模は年々縮小していますが、その主な原因は雑誌の販売数の減少であり、ビジネス書や実用書などは昔とそれほど変わらずに売れ続けています。
公益社団法人 全国出版協会・出版科学研究所の『2023年版 出版指標 年報』に掲載されている「出版物の推定販売金額」によれば、1996年時点での雑誌の推定販売金額が15,633億円なのに対して、2022年時点では4,795億円にまで減少しています。
一方で、書籍に関しては、1996 年時点での推定販売金額が10,931億円なのに対して、2022年時点では6,497億円となっています。
雑誌ほど減少していないというのが現実です。また、書籍についても趣味の多様化により小説などのエンタメ系書籍が販売部数を落としてしまったのが大きな要因です。
実際に、雑誌や小説などの売上が落ち込み、書店の数が減少していたり、市場規模は大きく下がっていたりしますが、ビジネス書や実用書などは今現在も堅調に売れ続けています。
著者の知名度頼りの販売
商業出版では出版社が著者を選定しますが、その選定基準としてはSNSのフォロワー数やメディア露出が多いなどの著者の知名度が頼りになっているという現実もあります。
実際に、芸能人やSNSでフォロワー数の多い専門家やインフルエンサーなどが著者として選ばれることが多いです。
出版社が販促を行うとはいえ、無名の経営者が書いた本を売るのは難しいものがあります。
そのため、どうしても著者の知名度に頼ってしまう面があるのです。
商業出版だから「売れる」は盲信
もし運よく出版社から商業出版で出版できたとしても必ず売れるとは限らないということも覚えておく必要があります。
実際に、著者が著名人やタレントであっても、販売数が数千部や数百部程度になってしまうこともあります。
ましてや、無名の人物が書いた本が売れる確率は低いです。
「商業出版だから売れる」という考えは捨てましょう。
商業出版プロデューサーの罠(出版コンサル)
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商業出版プロデューサーとは、著者を発掘し、企画を立案し、出版社に企画を持ち込み、その企画を出版に導く人のことで、出版コンサルタントと呼ばれることもあります。
無名の経営者が商業出版を目指す場合には、商業出版プロデューサーにコンサルティングを依頼することがあります。
なぜなら、経営者は企業経営のプロではあるものの、出版のプロではないからです。
出版プロデューサーの費用は、実績やサービス内容によって異なりますが、200万~300万円もの高額の費用がかかる場合があります。
これだけの高額費用がかかっても商業出版が実現できれば良いのですが、出版社への企画の売り込みだけで終わってしまうという詐欺まがいのケースもあるようです。
もちろん、これは悪い出版プロデューサーに引っかかってしまった場合であって、全ての出版プロデューサーが悪いというわけではありません。
「商業出版プロデューサーがついているから必ず売れる」ことはないと理解したうえで依頼しましょう。
商業出版以外の出版の選択肢
![](https://forway.co.jp/wp-content/uploads/2024/03/AdobeStock_159543786_page-0001-1024x682.jpg)
商業出版以外の選択肢には自費出版(個人出版)、共同出版、電子書籍での出版、企業出版の4つがあります。
それぞれの特徴を表にまとめました。
|
商業出版 |
自費出版
(個人出版) |
共同出版 |
電子書籍での出版 |
企業出版 |
出版目的 |
ヒットする本をつくる |
個人的な表現欲求を満たす |
・出版社の販路を活用し、より多くの人々に書籍を届ける
・費用を抑えて書籍を出版する |
・費用をかけずに書籍を出版する
・国内外の人々に書籍を届ける |
・認知度を向上させる
・企業ブランディングを行う
・信頼性を向上させる |
費用負担 |
出版社 |
著者 |
出版社・著者 |
著者 |
企業 |
書籍企画 |
出版社 |
著者 |
出版社 |
著者 |
出版社 |
自由度 |
低 |
高 |
中 |
高 |
高 |
プロモーション |
出版社 |
著者 |
出版社 |
著者 |
出版社 |
初版発行部数 |
3,000部〜10,000部 |
100部〜500部 |
100〜1,000部 |
– |
1,000〜1万部 |
それぞれの特徴を詳しく解説します。
自費出版(個人出版)
自費出版(個人出版)とは、書籍の出版にかかる費用を著者自身が負担する出版方法です。
自費出版は、出版社の販路を利用して書店で販売するものと書店での販売はしない私家版に分けることができます。
自費出版のメリットは、本の内容の自由度が高いことです。
出版社は書籍の企画に介入せず、著者自身が企画をするため、内容を自由に決めることができます。
たとえば、著名人ではなくても「自分のこれまでの人生を一冊の本にまとめたい」「築いてきたノウハウを読者に共有したい」など、個人的な活動を周囲に知ってもらう本を出版することが可能です。
実際に、島田洋七『佐賀のがばいばあちゃん』は著者の自伝を著した自費出版の書籍ですが、全世界で累計800万部を売り上げたベストセラーとなりました。
自費出版は本の内容の自由度が高いことがメリットとなる一方で、出版に関わる費用をすべて負担する必要があること、発行部数が少ないことがデメリットとして挙げられます。
費用がかかったとしても大きな利益を出すことができればいいのですが、そもそも書籍の発行部数が100部程度〜と少ないため、大きな利益を出すことは簡単ではありません。
このように、自費出版は書籍の内容にこだわりがある人には適した出版方法ですが、費用の面でデメリットが大きい出版方法です。
共同出版
共同出版とは、書籍の出版にかかる費用を著者と出版社が事前に決めた割合で負担する出版方法です。
共同出版では、費用負担に加え初版発行部数の一部を買い取るやり方もあります。
自費出版では費用さえ負担できれば誰でも出版できる方法ですが、共同出版は出版社が企画内容によって採用の可否を決めるため、誰でも出版できるわけではありません。
たとえば、出版社が「この内容では売れない」と判断した場合は、出版費用を出してもらうことはできないということです。
ほとんどの場合、出版社が損失を被ることはないため、企画は通りやすいものの、自費出版よりも自由度は低くなります。
たとえば、自伝や個人的なノウハウは採用されないことが多いでしょう。
また、自費出版との違いとして、出版社の販路を使って全国の書店やインターネット書店で販売できることが挙げられます。
このように、共同出版は費用負担、自由度、販売される場所の3点において商業出版と自費出版(個人出版)の中間に位置している出版方法と言えます。
電子書籍での出版
出版方法には、紙媒体で出版する方法の他にも、電子書籍で出版する方法があります。
電子書籍として出版する方法のメリットは主に以下の3つです。
- ・出版までのハードルが低い
- ・在庫を抱える可能性がない
- ・国内外に発信できる
また、印税率も紙の書籍より高いため、同じ冊数だけ売ることができれば、紙の書籍よりも儲かることになります。
しかし、電子書籍は紙媒体よりも売るのが難しいとされているだけでなく、紙の書籍よりも通常では定価が安いため、利益も少なくなってしまうのが現状です。
よほど影響力のある著名人でない限り、大きな利益を出すのは難しくなっています。
実際に、電子書籍を出版してもほとんど読まれずに終わってしまったという書籍は数多くあります。
電子書籍の市場は年々拡大しているとはいえ、現状ではまだまだ認知度が低く、利用率が限られているため、うまくプロモーションできなければ利益を出せずに終わってしまうのです。
そこで重要となるのが企業出版をはじめとする紙媒体の書籍です。
紙媒体の書籍は、電子書籍よりも社会的信頼性が高いため、出版における効果を高めることができます。
このように、電子書籍はメリットの大きい出版方法である反面、デメリットも大きい出版方法です。
社会的信頼度の面で紙媒体の出版方法に大きく劣ることから、企業が事業の発展を目指して行う場合には適していません。
企業出版
企業出版とは、企業が「商品・サービスの認知度を向上したい」「他社と差別化したい」「企業のファンを作りたい」などの企業が抱える課題を解消することを目的として行うものです。
書籍の出版にかかる費用は企業が負担して出版します。
内容は自由に企画できるため、企業が伝えたいメッセージをしっかりと書籍に込めることができます。
自費出版(個人出版)との大きな違いは、「誰が出版するのか」「誰がプロモーションを行うか」という点です。
自費出版は著者が出版し、著者自身でプロモーションを行う必要がありますが、企業出版の場合は出版社に依頼することができます。
企業主導でセミナーやWebでのプロモーションを組み合わせれば、よりピンポイントでターゲットに訴求することが可能です。
このように、企業が抱える課題を解決したい場合には、企業出版が最も適した出版方法と言えます。
ブックマーケティングという選択肢
![](https://forway.co.jp/wp-content/uploads/2024/03/AdobeStock_314885111_page-0001-1024x683.jpg)
これまでに、出版の選択肢として「商業出版」「自費出版(個人出版)」「共同出版」「電子書籍出版」「企業出版」という5つの出版方法を紹介しましたが、実は「ブックマーケティング」という選択肢もあります。
新しい選択肢となるブックマーケティングについて詳しく解説します。
ブックマーケティングとは
ブックマーケティングとは、書籍を活用してマーケティングに活用する手法です。
自社の創業ストーリーや商品開発ストーリーなどをまとめ、企業や商品・サービスの認知度向上や購買意欲向上などに役立てることが主な目的です。
ブックマーケティングの特徴は、あくまでもマーケティングの一環として書籍を活用する点です。
明確なターゲットを定め、どのように顧客ターゲットに届けるかをマーケティング戦略の知見で組み立てるため、書籍販売プロモーションに限らず、様々なマーケティング戦略をとることができるのです。
引用元:ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方(https://forway.co.jp/post_column/bookmarketing/ )
商業出版や共同出版、企業出版の場合は、書店プロモーションや新聞広告などのプロモーション方法によってマーケティング効果を得る方法です。
一方で、ブックマーケティングは、マーケティングの一環として書籍を活用します。
書店プロモーションや新聞広告などに加え、SNSマーケティングやSEOコンテンツマーケティング、クラウドファンディングなどを組み合わせて戦略を練るため、通常の出版社ではマネできないやり方で効果を最大化させることが可能です。
ビジネス目標達成のための出版戦略
![](https://forway.co.jp/wp-content/uploads/2024/02/AdobeStock_228518229-1024x523.jpg)
企業戦略として書籍を出版する場合は、最初に「出版の目的とターゲットを設定する」ことが重要です。
なぜなら、出版の目的とターゲットが明確になっていないと、対象となる読者がはっきりせず、書籍の内容も販売戦略も不明確になってしまうからです。
出版の目的やゴールを設定するためには、現在企業が抱えている課題を把握することから始めましょう。
「書籍を使って解決したい課題は何なのか」について最初にしっかりと考えておくことで、その後の道筋を明確にすることが可能です。
出版で叶えられる企業の課題には、「商品やサービスの認知度向上」「集客や売上の向上」「企業理念や経営方針の浸透」「優秀な人材の育成・採用」などが挙げられます。
最初に目的やターゲットを明確に設定できるとプロモーションの方法も明確になり、できあがった書籍の活用方法も具体的にイメージすることができるようになります。
課題を洗い出しても、目的やターゲットを設定しなければどのように戦略を立てればよいかわからず、道に迷ってしまいます。
最短距離かつ効果の高い方法で目的を達成しターゲットに訴求できるよう、出版戦略を練ることが重要です。
出版を戦略的に活用するためのポイント
出版を戦略的に活用するためのポイントは、「書籍に合ったプロモーション施策を行うこと」です。
書籍販売プロモーションには、以下のように様々な施策がありますが、とにかくすべてやればいいというわけではありません。
- ・書店の広告プロモーション
- ・書店ポスター
- ・新聞広告
- ・ランキング買取
- ・Amazon施策(ランキング1位、広告)
その理由は、書籍によって効果のあるプロモーション方法が異なるからです。
たとえば、ビジネス書であれば、ウェビナーやAmazon施策、書店ポップやポスター、広告の設置など、王道のプロモーション方法が効果的です。
一方で、ビジネス書とは対極にある絵本では、ワークショップの開催やオンライン読み聞かせ会などで、どのような話なのかある程度知ってもらうことが大切になります。
このように、出版を戦略的に活用するには、より効果のある方法でターゲットに訴求することが重要なのです。
出版による競合優位性の構築
インターネットやSNSが発達した現代では、いかに差別化を図り競合優位性を確保するかが重要です。
なぜなら、顧客はインターネットを介して多くの製品やサービスを容易に知ることができるため、良い製品やサービスを作ったからといって必ず売れるという時代ではなくなったからです。
自社にしかない魅力をアピールしたり、多くの顧客に認知してもらったりする手段として出版を利用する一つの方法が「ブックマーケティング」ということになります。
出版を通じた顧客との関係性構築
出版を通じて、顧客の信頼を獲得して顕在層をファン化させるなどの関係性構築を図ることができます。
なぜなら、「書籍を出版している企業」だということによって信頼性が高まり、書籍を通じて自社の取り組みや商品・サービスなどを顧客に伝えることができるからです。
これによって、ファン化した顧客に商品やサービスの購入を働きかけることができるなど良好な関係性の構築につながります。
まとめ
この記事では、出版方法の一つとして商業出版について解説しました。
商業出版は出版社が出版に関するすべての費用を負担し、企画からプロモーションまでを行う出版方法です。
書籍を出版することで「信頼性向上」「著者のブランディング」「メディアへの露出」など様々なメリットを享受できるため、企業にとってはプラスになることが多いのが魅力です。
商業出版は著者にとって夢のある出版方法である反面、書籍内容が制限されたり持ち込み企画が通りにくかったりと、内容にこだわりのある人にとってはデメリットの大きい出版方法と言えます。
著名人でない場合、「この内容であれば売れる」と思われない限り、採用されることはありません。
また、運良く商業出版で書籍を出せたとしても、確実に売れる保証はありません。
その点、ブックマーケティングであれば、様々なマーケティング施策を組み合わせて戦略を練るため、より多くのターゲットの元へ届けることが可能です。
書籍の出版によって企業や事業を成長させたいと考えている方は、ブックマーケティングも視野に入れて検討してみてはいかがでしょうか。
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執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
![](https://forway.co.jp/wp-content/uploads/2023/05/952e03978010b08086a76170dbc29f71-300x213.jpg)
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。
企業戦略においてマーケティングとブランディングが重要なのは周知の事実でしょう。
一方、その違いを明確に答えられる人は少ないかもしれません。
本記事では、マーケティングとブランディングの違いを紹介し、それらが経営戦略上どのように影響を及ぼすかを解説します。
目次【本記事の内容】
マーケティングとブランディングとは
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「マーケティング」と「ブランディング」は企業が商品やサービスを販売し、存続し続けていく上で必要不可欠な活動です。
まずは、マーケティングやブランディングについて、それぞれがどのような活動を指すのかを正しく把握しておきましょう。
マーケティングとは何か
マーケティングとは、自社の商品やサービスを効率的に売るために行う活動全般のことを指し、「市場をつくる」という意味があります。
たとえば、市場調査や商品企画、価格設定、流通・販売チャネルの構築、広告宣伝、顧客の声のフィードバックなどの活動が含まれます。
商品やサービスを売るためのあらゆる活動がマーケティング活動に該当すると考えてください。
ブランディングとは何か
ブランディングとは、自社や自社の商品・サービスそのものの価値やイメージを高めようとする活動のことで、顧客の頭の中に自社やサービスへの良いイメージを作ってもらうことを目的としています。
たとえば、ブランディングに成功している代表的な企業がiPhoneなどで有名なアップル社でしょう。
アップル社と聞けば、「こだわり抜かれたデザインや革新的な商品を出す会社」「創業者のスティーブジョブズの妥協なきものづくりの精神が根付いた会社」といったイメージを持つ人が多いと思います。
このようにアップル社に対する良いイメージが消費者に浸透しているため、たとえアップル社の出した商品が、他社よりも性能が劣っていたとしても、多少価格が高かったとしても、「アップル社の商品が欲しい」と選ばれるようになります。
このように、自社や自社の商品・サービスに良いイメージを持ってもらうための活動全般がブランディングです。
▶️企業ブランディングについては、関連記事【企業ブランディングとは?企業の成長における重要性や手法を徹底解説】もあわせて参考にしてください。
リブランディングとは何か
リブランディングとは、今までに作り上げてきたブランドを再構築すること、およびその戦略のことです。
時代の変化や、消費者の価値観の変化、競合他社の成長などにより、古くなってしまったブランド価値を刷新するために行います。
具体的なリブランディングの方法としては、ターゲットの見直しや、ロゴ変更、パッケージデザインの刷新、コーポレートサイトの刷新などがあります。
たとえば、リブランディングに成功した代表的な企業がユニクロを運営するファーストリテイリング社です。
ユニクロはかつて2000年代後半に、「ユニクロとばれると恥ずかしい(ユニバレ)」という言葉が浸透するほど、安かろう悪かろうなイメージが定着していました。
しかし、メイドインジャパンを強調するロゴマークの刷新や、それと連動した世界各地の店舗デザインや商品企画、プロモーション戦略の刷新を実施。
見事に今現在のような「高品質の商品を低価格で提供するジャパンブランド」としてのリブランディングに成功しています。
時代の移り変わりが激しい時代だからこそ、時代に沿ったニーズに柔軟に適応していくために、ブランディングと共に重要視されているのがリブランディングです。
PRとは何か
PRとは、「Public Relations(パブリック・リレーションズ)」の略語で、直訳すると「公衆との望ましい関係づくり」という意味です。
PRは宣伝や広報よりも広い概念で、自社の情報を広く社会に周知する活動全般を指します。
たとえば、「プレスリリース」「オウンドメディア」「社内報」「メディア対応」などが主なPR活動です。
よくマーケティングと混同されることもありますが、そもそもPRとマーケティングは目的が違います。
PRは企業価値の向上や認知度の拡大、マーケティングは商品・サービスの販売促進を目的としています。迷ったら「どんな目的で行うのか?」で見分けましょう。
また、PRはブランディングで形成されたイメージを元に実施されるのが一般的です。
そのため、ブランディングの延長線上にPRがあると考えてください。ブランディングで良いイメージを構築し、PRでさらにそれを広く社会に周知していくというのが一般的な流れです。
マーケティングとブランディングの違い
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マーケティングとブランディングの違いは主に次の5つです。
- ・その1:目標
- ・その2:意義・方針
- ・その3:ニーズ・焦点
- ・その4:手段・方法
- ・その5:施策の期間
それぞれについて具体的にどのような違いがあるのかを見ていきましょう。
違いその1:目標
ブランディングとマーケティングはよく混同されますが、そもそも目標とするものが全く違います。
まず、ブランディングは、消費者に自社や自社の商品・サービスに対する良好なイメージを持ってもらうことが目標です。
一方で、マーケティングは、自社の商品やサービスの価値を効果的に訴求することが目標です。
そのため、商品・サービスをとにかく売りたいのであればマーケティング施策を、価格競争などから脱していきたいのであればブランディング施策を選択する必要があります。
「自社の商品を販売したいからブランディング施策を実施する」のは大きな間違いです。
目標とするものが何かによって取るべき最適な施策が異なるので注意しましょう。
違いその2:意義・方針
ブランディングとマーケティングには、意義や方針の違いもあります。
ブランディングは、自社の商品やサービスが「どうあるべきか」という社会的存在意義や向かうべき方向性を大きな枠組みで考え続けることです。
時代により消費者の価値観が変わると、自社の商品やサービスに対するイメージも変化することが考えられます。ブランディングは一度考えたら終わりではなく、時代に沿って、継続的に「どうあるべきか」を考え続けることが大切です。
一方で、マーケティングは、自社の商品やサービスを売るために「どうすべきか」を考える具体的な活動方針です。
たとえば、テレビCMなどのマス広告、Web広告、SNSの利用などのプロモーション活動などがこれにあたりますが、商品やサービスが変われば活動方針も施策もガラリと変わります。
このように、大きな枠組みの中で存在意義や方向性を考え続けるのがブランディング、その土台の上で「自社の商品やサービスをどう売っていくのか」という具体的な活動方針を考えるのがマーケティングです。
違いその3:ニーズ・焦点
ブランディングとマーケティングには、ニーズや焦点の当て方に違いがあります。
ブランディングは、自社の強みをターゲットの消費者に訴求して、「このブランドを選べば間違いない」というイメージを持ってもらうことに焦点を当てます。
つまり、焦点は自社です。
一方で、マーケティングは「消費者のニーズは何か」に焦点を当てます。
このように、「自社の強み」と「消費者のニーズ」どちらに焦点を当てるのかが、マーケティングとブランディングの大きな違いです。
また、消費者のニーズが顕在化している場合は、それに応える具体的な商品やサービスを訴求するようなマーケティングを実施します。
一方で、消費者のニーズが潜在的にある場合は、ニーズを深掘りし、自社の商品やサービスで解決できるようなイメージを持ってもらうようにブランディング施策を実施していきます。
つまり、顕在化した消費者のニーズにはマーケティングを、潜在的なニーズにはブランディングを、というように使い分けていく必要があるのです。
違いその4:手段・方法
ブランディングとマーケティングには、手段や方法にも違いがあります。
ブランディングを行う際には、消費者の心理形成につながるような手段や方法を採用します。
なぜなら、消費者の心の中に良好なイメージを作ってもらう必要があるからです。
たとえば、消費者に対してのブランディングの場合、印象に残りやすいブランド名やロゴの設定、キャラクターの作成やコーポレートメッセージの作成、サイトの刷新などが主なブランディング施策の方法です。
また、社内に対するブランディングの場合、従業員向けのブランドブックの作成、独自の人事認定制度の創設などの方法があります。
一方、マーケティングでは、商品やサービスに対する消費者の理解や購買意欲向上につながるような手段や方法を採用します。
たとえば、各種広告やオウンドメディアのコンテンツ、SNSでの情報発信、メールマガジンなどを利用して消費者への広告宣伝を行う、などです。
このように、手段や方法も異なるので、混同してしまわないように注意しましょう。
違いその5:施策の期間
ブランディングとマーケティングでは、施策に取り組む期間の長さが違います。
マーケティングと違い、ブランディングは長期的な取り組みが必要です。
なぜなら、ブランディングの目標であるブランドイメージを形成するには長い期間を必要とするからです。
一方で、マーケティングが目標とする顧客の購買行動は比較的短い期間で成果が表れます。
たとえば、ロゴを刷新したところで、すぐにその効果は感じられませんが、Web広告に出すページを修正した場合には、その効果はすぐに現れます。
このように、ブランディングとマーケティングはそもそも取り組む期間の長さが違うということを認識しておきましょう。
アウターブランディングとインナーブランディング
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ブランディングには、大きく分けてアウターブランディングとインナーブランディングの2種類があります。
アウターブランディングとは、社外に対するブランディングのことです。
アウターブランディングの対象には、消費者や取引先をはじめとするステークホルダーのほか、新卒や中途採用の就職希望者なども含まれます。
消費者に自社やサービスに対して良いイメージを持ってもらうのが目的であり、一般的に多くの人が「ブランディング」と認識しているのが、このアウターブランディングです。
また、法人を対象としたビジネスをしている企業が行うBtoBブランディング、一般消費者を対象とする企業が行うBtoCブランディング、自分自身をブランド化して価値を高めるセルフブランディングなどのように、アウターブランディングの中でも細かく種類が分かれています。
一方で、インナーブランディングとは社内向けのブランディングで、その対象には従業員のほか経営層・マネジメント層も含まれます。
たとえば、インナーブランディングとは自社の企業理念やブランド価値、行動指針を従業員に浸透させて共有できるようにする取り組みのことです。
インナーブランディングによって企業理念や行動指針などの理解が深まると、従業員のモチベーションやパフォーマンスが向上し、定着率アップや優秀な人材の確保につながります。
このように企業体質の改善を図り、市場における競争力を企業の内側から高めていくことがインナーブランディングの目的です。
ブランディングを行う企業メリット
企業がブランディングを行うメリットは、顧客を自社やサービスのファンにできることです。
ファンが増えることにより、具体的に次の3つのようなメリットを得ることができます。
ファン化の促進とリピーター獲得につながる
企業がブランディングに成功すると、ファンになってくれた人が商品やサービスを何度もリピートして購入してくれるようになります。
たとえば、アップル社の新商品販売日に、アップルストアに行列ができている光景をテレビなどで見たことがあるという方が多いのではないでしょうか。このように、企業がファン化に成功すると、消費者が頼んでもいないのに、一生懸命に購入してくれるようになります。
リピート購入とは、広告費用をかけずに購入してもらえるようになる、ということです。つまり、リピート購入が増えれば増えるほど、企業がかける1人あたりの広告費用は減っていきます。
このように、ブランディングにより顧客のファン化が促進し、リピーターが増えると、企業の利益向上が見込めるということです。
同業他社との差別化の実現による競争力の強化
ブランディングにより自社や自社の商品・サービスへ信頼感が高まると、ブランド力だけで商品を購入してもらえるようになります。そのため、同業他社との差別化が実現でき、競争力が強化できます。
なぜなら、機能がほぼ同等の商品であれば、価格が多少高めであっても自社の商品やサービスを選んでくれるようになるからです。
たとえば、素材も製法もほぼ同じ商品やサービスがあったとしても、ブランディングを実現することで価格の高い自社商品・サービスを購入してもらえるようになります。
このように、ブランディングに成功することにより、市場における価格や性能の競争に巻き込まれずに、価値を提供することができるということです。
▶️差別化戦略については、関連記事【差別化戦略の成功の秘訣ーメリットやデメリット、成功事例とは!?】もあわせて参考にしてください。
ブランド認知度および注目度の向上
ブランディングにより、ブランドの認知度や注目度が高まります。
なぜなら、ブランディングという活動自体が、自社や自社の商品・サービスに良いイメージを持ってもらうための施策だからです。
ブランディングを行ったから必ずブランド認知度や注目度が上がるという訳ではありません。
しかし、自社や自社の商品・サービスの強みや価値を見出し、それを上手く訴求できれば、ブランドの認知度および注目度の向上につながります。
たとえば、ユニクロは商品や店舗で使うロゴの刷新だけではなく、ユニクロの強みである「安くて良い品質のメイドインジャパン」を有名スポーツ選手をアンバサダーにするなど、戦略的に訴求したことによって世界的な認知度向上に成功しました。
また、今ではよく知られる鍋のメーカー、バーミキュラは日本の老舗中小企業「愛知ドビー株式会社」のブランドです。海外のメーカーだと思っていた人も多いのではないでしょうか。
バーミキュラの鍋は、「ホーロー加工された鋳物の鍋なのに、無水調理できるほどの機密性の高さ」という革新的な技術と、技術者の努力に裏付けされた説得力のあるブランドメッセージにより、世界的な認知度向上に成功しました。
このように、ブランディングに成功すると、企業活動自体が注目され、宣伝・販促活動が効果的に行えるようになります。
また、投資家からも注目されるようになり、資金調達も有利に行えるようになるなど、付加的なメリットにもつながります。
ブランディングを行うユーザーメリット
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ブランディングは企業側のメリットばかりが語られますが、実は企業がブランディングを行うメリットはユーザーにもあります。
具体的には、次の2つのメリットをユーザー側は受けることができるのです。
商品・サービスを選択しやすくなる
企業がブランディングを行うことによって、ユーザーは、商品やサービスを選択しやすくなります。
なぜなら、知っているブランドの商品であれば、購入時に迷わなくても済むからです。
たとえば、企業が全くブランディングを行わなかったらどうなるでしょうか。毎回性能や材質、品質などを見て自分自身で見極めていかなければなりません。
自分が欲しいと思っていたものとは違う商品を購入してしまうことも多くなるでしょうし、商品そのものを探す時間が多くかかってしまいます。
このように、企業がブランディングを行うことによって、私たちは自分の欲しいものを短時間で選ぶことができているのです。
安心感が得られリスク回避になる
ブランディングは、購入するユーザー側の安心感にも繋がります。
なぜなら、信頼感のあるブランドを選べば、「商品やサービスを購入した後に後悔するのではないか」という不安を感じなくても済むからです。
たとえば、いつも購入しているブランドの食品があると安心して購入することができますが、はじめて購入するブランドの食品はどうでしょうか。きっと「美味しいのだろうか?」「ちゃんとした品質をしているのだろうか?」など色々な不安が出てくるはずです。
また、ブランドが確立している商品を選ぶことによってリスクの回避にもつながります。
なぜなら、新しい商品を購入する場合は、購入したものが期待した機能を果たすのか、支払った価格に見合うのか、などのリスクを消費者側が負わなければならないからです。
このように、企業がきちんと自社の強みを訴求してブランディングしてくれているおかげで、私たちは安心してリスクの少ない買い物ができているのです。
マーケティングとブランディングの相関関係と経営における重要性
マーケティングとブランディングはこれまで説明してきた通り全く違う施策ですが、相関関係にあります。
なぜなら、ブランディングは土台であり、その土台の上でマーケティングを行うことでより大きな影響力のあるプロモーションが行えるからです。
ブランディングによって認知度や信頼性が高くなると市場での競争力が強化されます。このような状態でマーケティング活動を行うと、より自社の優位性を高めた上で商品やサービスを販売することが可能です。
企業活動においてブランディングとマーケティングは車の両輪のようなものであり、経営の安定化を図るための重要な活動だということができます。
マーケティングとブランディングを同時に実現させる方法
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ブランディングは自社や自社の商品・サービスのイメージを高めようとする活動で、マーケティングは商品やサービスを売るための活動です。いずれも企業活動を行うためには重要な活動です。
この2つの活動を同時に実現できる効率の良い方法が「ブックマーケティング」です。
なぜなら、書籍であれば1冊で、商品やサービスの特徴だけではなく、自社の強みや取り組みなどを含めたあらゆる情報を伝えることができるからです。
また、書籍は信頼性の高い媒体なので、オウンドメディアなどのWeb媒体に比べて、ターゲットである消費者に良いイメージを作ってもらうのに最適な媒体ということができます。
このように、信頼性の高い媒体で商品やサービスについてのマーケティング要素、自社の強みや取り組みなどを含めたブランディング要素の両方を一気に伝えられるという点で、書籍は効率的な媒体と言えるでしょう。
しかし、商業出版や企業出版をはじめとしてただ書籍を出版すれば良いという訳ではなく、それをしっかりとターゲットの手元に届け、読んでもらわなければ意味がありません。
そこで、出版するだけではなく、ターゲットに読んでもらうまでを戦略的に行っていくのが、ブックマーケティングです。
さらに、ブックマーケティングでは、どのようなターゲットに、どのような書籍を届けたいかの戦略設計を行います。
たとえば、ブランディングやマーケティングをこれまで全く意識的に行ってこなかった会社であってもブックマーケティングという施策を通して、自社の強みを見出し(ブランディング)、それを書籍としてまとめて見込み顧客に届ける(マーケティング)の両方を実施することになります。
今後マーケティングやブランディングを強化していきたい、という会社だけではなく、今までどちらも意識的にやってこなかった、という会社が行うファーストステップとしてもブックマーケティングはおすすめです。
▶️ブックマーケティングの施策内容や効果については、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。
まとめ
この記事では、マーケティングとブランディングの違いや、ブランディングを行うことによる企業とユーザー双方のメリット、経営戦略におけるマーケティングとブランディングの重要性などについて詳しく解説しました。
前述しましたが、マーケティングとブランディングは企業という車の前進を支える両輪です。どちらも企業の存続には必要不可欠なものです。
ぜひ、この記事でマーケティングとブランディングについて正しく理解し、両方を上手く取り入れてみてください。
どのようにマーケティングやブランディングの施策を始めたら良いかわからないという方や、どちらもやっているけれどもなかなか成果がでない、という方は、それら2つの施策を同時に実行できる「ブックマーケティング」という施策を検討してみてはいかがでしょうか。
フォーウェイではブックマーケティングによる、企業のブランディングやマーケティングをサポートしております。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。
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執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
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慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。