企業が持続的に成長していくためには、商品やサービスの魅力を外部に発信する「アウターブランディング」だけでなく、社員一人ひとりの意識をそろえ、企業理念や価値観を浸透させる「インナーブランディング」も重要です。
実際、社員が自社に誇りを持ち、ブランド価値を理解して行動できるようになると、組織の一体感が高まり、顧客へのサービス品質向上や採用力の強化といった効果も期待できます。
しかし、「具体的にどのように進めればよいのか」「どんな施策が効果的なのか」と悩む企業担当者も少なくありません。
そこでこの記事では、インナーブランディングの基本や実際の施策、導入のステップなどを解説します。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
インナーブランディングとは?基本定義と目的
インナーブランディングとは、自社の理念やビジョン、ブランドの価値を社員に浸透させ、日々の業務や意思決定に反映させる取り組みです。
ここでは、次の2点について解説します。
・インナーブランディングの目的 ・アウターブランディングとの違い |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
◉-1、インナーブランディングの目的
インナーブランディングの主な目的は、社員が企業の方向性を理解し、自らの役割に誇りを持って働けるようにすることです。
また、経営理念やビジョン、価値観と現場の行動を一致させて、組織全体を同じ方向に進めることが狙いです。
社員が自社のブランドに誇りを持って働くことで、顧客対応においても自然にその価値観が表れて業績向上にもつながります。
◉-2、アウターブランディングとの違い
アウターブランディングが市場や顧客といった社外に向けた取り組みであるのに対し、インナーブランディングは社員に対してブランドを浸透させる活動を指します。
この2つは相反するものではなく、むしろ補完関係にあります。
社内での浸透が不十分なまま外部に発信しても、メッセージが形だけのものになりやすく、期待した効果は得られません。
一方で、社内に根付いた理念と社外への発信内容が一致することで、一貫したブランドイメージを築けます。
◉インナーブランディングが企業経営に与える4つの効果
インナーブランディングに取り組むことで、企業経営に以下のような効果があります。
・組織文化の強化につながる ・人材の定着と採用力が高くなる ・経営戦略を実行しやすくなる ・業績や成果の向上につながる |
4つの効果を見ていきましょう。
◉-1、組織文化の強化につながる
社員が共通の価値観や理念を理解し、行動に反映することで、企業独自の文化が強固になります。
組織文化が明確になると意思決定が速くなり、社内の一体感が高まるのです。
インナーブランディングを通じて組織文化や価値観を共有することが、企業の持続的成長につながります。
◉-2、人材の定着と採用力が高くなる
自社ブランドに誇りを持てる職場環境を整えることは、社員のモチベーションやエンゲージメントを高め、離職率の低下につながります。
「自分の仕事がその一部を担っている」と実感できれば、会社への帰属意識が高まるからです。
また、インナーブランディングが確立されている企業は、外部からも魅力的に映ります。
応募者は企業の理念に共感して入社を希望するため、採用活動においてもミスマッチが減り、優秀な人材を確保しやすくなります。
◉-3、経営戦略を実行しやすくなる
企業の経営方針や戦略を社員が理解し共感していると、現場の行動と経営の意図が一致しやすくなります。
その結果、経営戦略の実行スピードや精度が向上します。
◉-4、業績や成果の向上につながる
インナーブランディングを通じて、ブランドの理念が社内にしっかりと浸透すれば、顧客対応や業務に一貫性が生まれ、業績や成果の向上につながります。
こうした一貫性は顧客満足度を向上させ、リピーターの増加や新規顧客の獲得も期待できます。
結果として、売上や利益が向上し、企業価値が継続的に高まるという好循環を生み出せるでしょう。
◉【5ステップ】インナーブランディングの進め方
一般的に、インナーブランディングは次の5ステップで進めます。
・ステップ1.現状を把握して課題を整理する ・ステップ2.ビジョンとブランドの方向性を明確にする ・ステップ3.浸透させるための施策を設計する ・ステップ4.実行しながら社員の参加を促す ・ステップ5.成果を測定し改善につなげる |
順番に見ていきましょう。
◉-1、ステップ1.現状を把握して課題を整理する
まずは、自社の現状を客観的に見つめ直すことから始めます。
社員の満足度調査やインタビューを通じて、「会社の理念やビジョンを社員がどの程度理解し共感しているか」を把握します。
また、企業文化や組織風土における課題、部署間の連携状況、日々の業務における理念の浸透度合いなどの詳細な分析も必要です。
この段階で課題を明確にすることで、次に取るべき施策の方向性が定まってくるのです。
◉-2、ステップ2.ビジョンとブランドの方向性を明確にする
現状の課題が整理できたら、企業の目指すべき未来像、つまりビジョンとブランドの核となる価値観を改めて言語化します。
このとき、経営層だけでなく社員を巻き込んで議論する機会を設けることが重要で、より納得感のあるビジョンやブランドの価値観を創り上げることができます。
これらは抽象的なものではなく、「顧客にどのような価値を提供するのか」「社会に対してどのような存在でありたいのか」といった具体的な言葉で表現することが重要です。
◉-3、ステップ3.浸透させるための施策を設計する
次に、明確になったビジョンや価値観を社員に浸透させるための具体的な施策を設計します。
たとえば、経営理念を解説した書籍の制作、理念を体現する社員の表彰制度の導入、双方向のコミュニケーションを促す社内ツールの活用などがあります。
単発的なイベントではなく、日常の業務や評価制度に組み込むなど、継続的な効果が期待できる仕組みを考えることが成功のポイントです。
◉-4、ステップ4.実行しながら社員の参加を促す
ここでは、設計した施策を実際に実行に移します。
このとき、一方的な情報発信に終始するのではなく、社員が能動的に参加できる機会を増やすことが大切です。
たとえば、理念について語り合うワークショップの開催、社員が自社のブランドについてSNSで発信するキャンペーンなど、さまざまな社員を巻き込む企画を実行しましょう。
現場の小さな成功事例を共有することで、社員全員のモチベーションも高まり、自律的な行動が促されます。
◉-5、ステップ5.成果を測定し改善につなげる
施策の実行後は、その効果を定期的に測定して改善につなげます。
改めて社員満足度調査やエンゲージメント調査を行うと、理念の浸透度や社員の意識の変化を数値で把握することが可能です。
また、社員からのフィードバックを積極的に集め、「施策が期待通りの効果を生んでいるか」「改善すべき点はないか」を確認します。
このPDCAサイクルを回し続けることで、インナーブランディングの効果はより高まって行くのです。
◉インナーブランディングの具体的な施策
ここでは、インナーブランディングを成功させるための具体的な施策を5つ紹介します。
・研修やワークショップ ・書籍出版 ・表彰制度 ・1on1ミーティング ・社内ツールでの共有 |
それぞれ詳しく解説します。
◉-1、研修やワークショップ
研修やワークショップは、インナーブランディングの核となる施策です。
重要なのは、一方的に知識を伝える場にするのではなく、社員自身が企業理念を考え、意見を交わし合える「参加型の場」をつくることです。
たとえば、部門を越えてチームを編成し、「自社の理念を実現するためにできる改善案」を議論するワークショップを実施すれば、理念の理解が深まるだけでなく、部署間の連携強化や新たなアイデアの創出にもつながります。
このような体験型の学びは、社員同士の相互理解や信頼関係を深め、チーム全体の一体感を高める効果があります。
◉-2、書籍出版
書籍出版もインナーブランディングに有効な手段です。
企業の歴史や成功事例、商品開発の裏話、そして経営者の思いを本という形で残すことで、社員はいつでも立ち返って創業理念やビジョンを再認識できます。
書籍は、単なる情報共有を超えて社員が自社のブランドに誇りを持つきっかけとなるのです。
書籍を新入社員へ配布することで、会社の価値観をスムーズに伝えるツールにもなります。
また、社外への情報発信にも効果的で、インナーブランディングとアウターブランディングをつなぐ役割を果たします。
▶︎書籍出版のやり方については、関連記事【企業出版の効果とは?費用相場や成功のポイント、事例を徹底解説】もあわせて参考にしてください。
◉-3、表彰制度
表彰制度や社内イベントは、企業理念を具体的な行動として示し、それを称賛することで組織の規範を明確にする役割があります。
企業理念に沿った行動をした社員を表彰する仕組みを導入することで、他の社員も「どのような行動が評価されるのか」を理解しやすくなり、行動指針が社内に浸透しやすくなります。
また、普段関わることの少ない他部署のメンバーと交流する社内イベントによって、組織全体の結束力が高まるでしょう。
◉-4、1on1ミーティング
上司と部下が定期的に向き合う1on1ミーティングも、インナーブランディングを推進するうえで重要な場です。
対話を通じて、個人の目標が企業のビジョンとどのように結びついているかを確認し、キャリアプランを話し合うことで、社員は自分の仕事が組織全体に与える影響を実感できます。
◉-5、社内ツールでの共有
社内ツール(掲示板、イントラネット、アプリなど)を活用した情報共有は、インナーブランディングを日常の中に根付かせる有効な方法です。
経営層からのメッセージ、企業理念を体現した社員のエピソード、各部署の取り組み事例などを発信することで、社員は常に企業ビジョンに触れ、自分の行動を理念と結びつけて考えやすくなります。
理念が一部の社員だけでなく、組織全体に浸透します。
◉書籍出版がインナーブランディングにおすすめな理由
インナーブランディングの施策として書籍出版がおすすめな理由として、次の4つが挙げられます。
・企業理念が浸透しやすくなる ・社員のモチベーションを上げられる ・採用活動に活用できる ・長期的に残る「資産」となる |
具体的な理由を見ていきましょう。
◉-1、企業理念が浸透しやすくなる
書籍として会社の理念や歴史、未来へのビジョンをまとめることで、抽象的になりがちなメッセージを具体的で分かりやすい形にできます。
社員はいつでも手にとって読み返すことができ、経営者の想いを深く理解する機会が得られるのです。
理念を物語として語ることで、単なるスローガンではなく、共感できる価値観として社員の心に根付きます。
◉-2、社員のモチベーションを上げられる
自社が社会に向けて書籍を出版することは、社員にとって誇りとなります。
自分たちの会社が特定の分野で専門性や権威性を認められることは、働く社員にとって大きな自信につながるからです。
また、書籍に社員の成功事例やインタビューを掲載すれば、社員は自分の仕事が会社のビジョンに直結していることを実感でき、モチベーションをさらに高められます。
さらに、会社の近隣の書店に自社の書籍が並ぶことで、「自分の働いている会社の本が書店に置かれている」という実感を得られ、社員の誇りややる気が一層高まることもあるでしょう。
加えて、新人社員にとっても、入社前に会社の文化や価値観を理解するための指針になり、早い段階で組織への共感や帰属意識を育むきっかけになります。
◉-3、採用活動に活用できる
書籍は、企業の魅力を伝える採用ツールとしても優れています。
ウェブサイトやパンフレットでは伝わりにくい企業の理念・価値観・文化を体系的に示すことができ、求職者により深い理解を与えられるからです。
書籍を通して企業の「ありのままの姿」を伝えることで、価値観に共感した質の高い人材の獲得につながります。
さらに、入社後のミスマッチを防ぐ効果も期待できます。
◉-4、長期的に残る「資産」となる
デジタルコンテンツが消費されていく現代において、書籍は物理的な形として残り、世代を超えて受け継がれる「資産」となります。
一時的なキャンペーンでは得られない、持続的なインナーブランディング効果を生み出します。
また、社史や理念をまとめた書籍は周年記念や外部PRの場でも活用でき、長期的に価値が高いです。
◉書籍出版×インナーブランディングの成功事例
ここでは、書籍出版によってインナーブランディングに成功した事例を3つ紹介します。
・出版で確度の高い顧客だけでなく、モチベーションの高い社員の採用にも成功した事例 ・出版が社員のモチベーションを高めた事例 ・出版がインナーブランディングと採用成功を後押しした事例 |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
◉-1、出版で確度の高い顧客だけでなく、モチベーションの高い社員の採用にも成功した事例
不動産投資会社の経営者は、自社の理念や事業への姿勢をまとめた書籍を出版しました。
経営者が書籍を通じて「顧客の長期的利益を第一に考える姿勢」を広く発信したことで、確度の高い顧客からの信頼を得ることに成功。
出版の効果はこれにとどまらず、理念に共感した読者が自ら入社を志望してくるという成果が生まれました。
結果として、顧客の信頼獲得と採用活動の成功につながっています。
◉-2、出版が社員のモチベーションを高めた事例
大手システムインテグレータは、最新の技術や社会の未来像をテーマにした書籍を出版しました。
自社の専門性や将来ビジョンが書籍として世に出ることで、社員一人ひとりが「自分たちは先端領域で社会に貢献している」という誇りを持つようになりました。
外部への情報発信が社内にも良い影響を与え、社員が主体的に学び成長しようとする姿勢が高まり、組織全体のモチベーション向上につながりました。
◉-3、出版がインナーブランディングと採用成功を後押しした事例
法人向けの保険代理店の経営者は、保険業界の現状と問題点を解説し、これからの保険代理店経営に必要な考え方をまとめた書籍を出版しました。
保険業界では「成果報酬型」の給与が当たりまえですが、その結果少数のスーパー営業マンに頼る構図になっていました。
そこで、書籍の中で「一律報酬型」によって社員全員が育つ仕組みを提案。
書籍で理念や方針を明確化したことで、社外からの信頼が高まると同時に、社員の意識も変化しました。
結果として、出版をきっかけに社員のモチベーションが向上し、人材の定着率が改善しています。
さらに、書籍を読んで応募した新しい人材の採用にもつながり、インナーブランディングと採用成功を同時に実現した好事例となりました。
▶︎保険代理店の詳しい事例については【【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店】もあわせて参考にしてください。
◉【まとめ】書籍出版を活用してインナーブランディングを強化しよう
この記事では、企業の経営者や経営幹部に向けて、インナーブランディングの基本や実際の施策、導入のステップなどを解説しました。
インナーブランディングは、自社の理念やビジョン、ブランドの価値を社員に浸透させ、日々の業務や意思決定を効率化し、業績向上につなげる取り組みです。
さまざまな手法がありますが、なかでも書籍出版はインナーブランディングとアウターブランディングの両面に効果を発揮する施策として注目されています。
フォーウェイでは、書籍出版をマーケティングやブランディングに活用する「ブックマーケティングサービス」を提供しています。
自社の理念やビジョンを一冊にまとめ、社内外に発信することで、ブランド価値を高めてみませんか。
経営者向けの広告は、一般的な営業手法や従来型の広告展開とは異なる特徴があります。
その理由として、経営者は多忙であり、限られた時間の中で効率的に情報収集を行い、会社の将来を左右する意思決定を下しているからです。
もし広告が経営者に響けば、短期間で導入や商談につながる可能性が高まるでしょう。
一方で、経営者向け広告は単なる露出だけでは効果を発揮しにくく、ターゲットに適した媒体や手法を選ぶことが欠かせません。
さらに、広告だけでは信頼関係を築いたり、潜在的なニーズを探り出したりするのは難しいため、広告以外の取り組みも合わせて行うことが重要です。
この記事では、広告戦略を検討している企業経営者や事業責任者の方に向けて、経営者向け広告の特徴や代表的な手法、広告以外の有効なアプローチ方法などについて詳しく解説します。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
経営者向けに特化した広告出稿は効果的!
経営者は最終的な意思決定権を持ち、企業の方向性を左右する重要な立場にあります。
そのため、経営者に特化した広告には、次のような効果が期待できるのです。
・意思決定者に直接リーチできる ・非効率な営業活動をなくせる |
以下で、それぞれの効果について詳しく解説します。
◉-1、意思決定者に直接リーチできる
経営者は、商品やサービスの最終的な導入可否を決定します。
従来の広告手法では、まず担当者にアプローチし、そこから社内稟議を経て、ようやく経営者の決裁にたどり着くという長いプロセスを踏むのが一般的です。
その過程で、経営者に情報が届く前に却下されてしまうリスクも少なくありません。
もし経営者に直接リーチできれば、導入までのスピードを大きく短縮できることになります。
◉-2、非効率な営業活動をなくせる
多くの経営者は多忙なため、知らない電話や飛び込み営業に対応することはほとんどないでしょう。
そのため、従来の営業スタイルでは門前払いになりやすく、労力に見合う成果が得られにくいのです。
そこで有効なのが経営者向けに特化した広告の活用です。
経営者が自ら課題解決のための情報収集を行うタイミングで広告を提示できれば、関心を持ってもらえる確率が高まります。
結果として、無駄な営業活動を減らし、効率的に質の高いリードを獲得することが可能になります。
営業担当者は商談や提案に集中できるようになるので、より早く成果を出すことにつながるのです。
経営者向け広告は大きく分けて2種類
経営者に向けた広告は、次の2種類に分けることができます。
・オフライン広告|経営者が接触する媒体や場所に出稿する ・デジタル広告|特定の属性を持つ経営者に絞り込んでアプローチする |
以下では、それぞれの広告の具体的な方法について解説します。
◉-1、オフライン広告|経営者が接触する媒体や場所に出稿する
オフライン広告は、経営者が直接接触する機会の多い場所やシーンを狙って出稿することが重要です。
次のような場所や媒体に広告を出稿することで、効果的に認知を高めることができます。
・タクシー広告 ・新幹線・飛行機内の広告 ・空港ラウンジ・ゴルフ場での広告 ・ビジネス誌・業界専門誌への広告掲載 |
4つの広告を見ていきましょう。
◉-1-1、タクシー広告
経営者は取引先への訪問や会合への移動などでタクシーを利用する頻度が高く、広告展開において有効な接点となります。
特に、車内モニターの動画広告や後部座席に貼られるステッカー広告は、移動中に自然と視界に入るため、訴求力が高いです。
◉-1-2、新幹線・飛行機内の広告
長距離移動の際に利用することが多い新幹線や飛行機も、経営者と接触できる場です。
座席前の情報誌や機内映像に広告を掲載すれば、移動中に自然と目に留まり、無理なくブランドを印象づけることが可能です。
◉-1-3、空港ラウンジ・ゴルフ場での広告
空港ラウンジやゴルフ場も、経営者が多く集まる場所です。
リラックスした状態で広告に触れることで、心理的な受け入れやすさも高まり、ポジティブなブランドイメージが形成されやすくなります。
◉-1-4、ビジネス誌・業界専門誌への広告掲載
情報収集に熱心な経営者は、ビジネス誌や業界専門誌を購読していることが多いため、これらの媒体への広告掲載は効果的です。
信頼性の高い媒体に掲載されることで、広告自体も価値ある情報として受け取られやすくなります。
◉-2、デジタル広告|特定の属性を持つ経営者に絞り込んでアプローチする
デジタル広告の場合も、経営者が持つ属性をターゲットとしてアプローチすることが有効です。
主なデジタル媒体としては、次のようなものがあります。
・SNS広告 ・動画広告 ・リスティング広告・ディスプレイ広告 ・メール広告・DM |
それぞれ解説します。
◉-2-1、SNS広告
FacebookやInstagram、X(旧Twitter)やLinkedInなど、ビジネス層が積極的に利用するSNSは、経営者をターゲティングしやすい媒体です。
特にFacebookやInstagramは利用者数が多く、興味・関心や行動履歴に基づいたターゲティング精度が高いため、幅広い業界の経営者やビジネス層に効率的に広告を届けられます。
また、X(旧Twitter)は、情報の拡散性とリアルタイム性に優れており、経営者が業界動向や最新情報を収集する場として活用されるため、タイムリーな広告展開に適しています。
さらに、世界最大級のビジネスSNSのLinkedInは役職・業種・企業規模などで精緻なセグメント配信が可能で、意思決定者に直接リーチできることが特徴です。
経営者は情報収集や人脈形成の目的でSNSをチェックするため、自然な形で広告が目に留まりやすい環境が整っています。
◉-2-2、動画広告
短時間で強い印象を与えられる動画は、企業の経営理念やサービス価値を端的に伝える手段として効果的です。
テキスト広告や静止画広告に比べ、視覚と聴覚の両方に訴求できるため、記憶に残りやすいのが特徴です。
YouTubeのインストリーム広告や、ダイヤモンド・オンライン、日経ビジネス電子版などのビジネス系メディアでの動画枠を活用すれば、経営者がビジネス情報を収集しているタイミングで自然に接触できます。
◉-2-3、リスティング広告・ディスプレイ広告
経営者は課題解決のために、自ら検索エンジンで情報を調べるケースが少なくありません。
たとえば、「業務効率化」「資金調達」「M&A」「人材採用」など、経営者が検索しやすいキーワードに合わせて広告を出稿することで、ニーズが顕在化している層に的確にアプローチできます。
また、ディスプレイ広告を組み合わせれば、経営者が閲覧するビジネスメディアやニュースサイトで再度接触を図れるため、認知から検討、導入までをスムーズに促進することが可能です。
◉-2-4、メール広告・DM
ターゲットリストを活用したメールマーケティングやダイレクトメールは、経営者に直接広告を届けられる手段です。
特に経営層は日常的に多くのメールや郵送物に目を通すため、適切に設計されたメッセージであれば接触できる可能性が高いのです。
また、セグメントを絞り込み、関心度の高い層にピンポイントで届ければ、効率的に商談機会を創出できます。
経営者向け広告だけでは不十分!ほかのアプローチ方法も必要な理由
経営者に特化した広告は、認知や関心を高めるうえで大きな効果を持っています。
しかし、それだけに依存してしまうと成果が限定的になってしまいかねません。
主な理由として、次の3つが挙げられます。
・広告だけでは深い信頼関係を築けないから ・潜在的なニーズを掘り起こせないから ・他社との差別化が難しいから |
以下で、それぞれどのような理由なのかを見ていきましょう。
◉-1、広告だけでは深い信頼関係を築けないから
広告は「認知」や「関心」を広げるには効果的ですが、どうしても一方的な情報発信になりがちです。
経営者は商品やサービスの導入を判断する際に、企業の規模や実績だけでなく、経営理念やビジョン、担当者の人柄なども重視します。
広告だけではこれらを十分に伝えられず、「信頼」や「共感」といった深い関係性を築くのは難しいのが実情です。
また、広告で届けられる情報量が限定的であることも関係性の構築に不十分な要因です。
そのため、広告を通じて興味を持ってもらった後に、最終的な商談や契約につなげるためには、広告以外の方法で信頼を積み重ねることが欠かせません。
◉-2、潜在的なニーズを掘り起こせないから
広告は、すでに課題を明確に認識している経営者には効果的です。
たとえば、「業務効率化」というキーワードで検索している経営者には、解決策となるサービスを提示することができます。
しかし、多くの経営者は自社の課題を明確に言語化できていなかったり、潜在的な問題に気づいていなかったりします。
このような潜在ニーズを掘り起こすには、広告だけでは不十分です。
そこで、セミナーやウェビナー、専門的な質の高いコンテンツを通じて「気づき」を提供することが、初めて見込み客として認識してもらえるきっかけになります。
◉-3、他社との差別化が難しいから
特定の広告媒体は多くの企業が利用するため、競合他社の広告と並んで表示されることも少なくありません。
似たような広告が並ぶ中で、自社の強みや差別化ポイントを明確に伝えることはなかなか困難です。
そこで有効なのが、広告以外のアプローチ方法です。
たとえば、書籍出版やイベント登壇、専門性の高いオウンドメディアなどは、自社のユニークな価値や専門性を深く伝えることができ、競合との差別化につながります。
広告だけに頼らず、他のアプローチを組み合わせることで、経営者の記憶に残る存在になることができます。
経営者に届く!広告以外のアプローチ方法
広告は経営者に認知や関心を持ってもらう有効な手段ですが、信頼関係を築いたり、経営者自身がまだ自覚していない潜在的なニーズを掘り起こしたりするには限界があります。
そこで重要になるのが、広告以外の直接的かつ継続的なアプローチです。
ここでは、経営者に届く代表的な方法として、次の4つを紹介します。
・セミナー・ウェビナーの開催 ・コンテンツマーケティングの活用 ・業界のイベント・交流会への参加 ・書籍出版(ブックマーケティング) |
それぞれどのような方法なのかを具体的に見ていきましょう。
◉-1、セミナー・ウェビナーの開催
経営者が関心を持ちやすいのは、自社の「経営課題の解決」や「業界の最新トレンド」に関する情報です。
セミナーやウェビナーを開催して、単なる商品説明ではなく専門的な知見や将来の展望を提示することで、信頼性と権威性を築くことにつながります。
また、リアルタイムで質疑応答できる点も経営者にとっては魅力的で、リード獲得や商談のきっかけになります。
◉-2、コンテンツマーケティングの活用
経営者は多忙な中でも「意思決定の参考になる情報」を求めています。
そのニーズに応える手段として、ホワイトペーパーや専門記事、動画などを活用したコンテンツマーケティングがあります。
特に、業界動向の解説や他社の成功事例、専門家によるインタビューなどは実務に直結する情報として価値が高く、経営者の興味を引きやすい内容です。
自社の商品やサービスを直接売り込むのではなく、価値ある情報を提供することで「信頼できる情報源」として認識されることがポイントとなります。
▶︎コンテンツマーケティングのやり方については、関連記事【コンテンツマーケティングとは?期待できる効果や具体的な手法、戦略の練り方まで解説!】もあわせて参考にしてください。
◉-3、業界のイベント・交流会への参加
経営者が集まる展示会や交流会、カンファレンスは、人脈形成や信頼関係を築く場です。
名刺交換や短時間の対話でも、リアルな接触は記憶に残りやすく、後日の商談につながるきっかけとなります。
広告にはない「対面の力」を活かすことで、より強固な関係が築けます。
◉-4、書籍出版(ブックマーケティング)
経営者に強い影響を与える手段として、書籍出版も効果的です。
書籍は深い専門性や実績を体系的に伝えられる媒体であり、広告よりも高い信頼性を持っています。
さらに、出版をきっかけにメディア露出や講演依頼が増えるケースも多く、経営者との接点を増やす効果があります。
特に専門性の高いテーマや経営課題に直結するテーマを扱えば、ターゲット層に深くアピールすることが可能です。
また、先に説明した「セミナー・ウェビナー」や「コンテンツマーケティング」「イベント・交流会」でも、書籍というアイテムを取り入れることによって、さらに効果を上げることができます。
たとえば、セミナーやウェビナーでは、書籍購入者に特典をつけたり、書籍のプレゼントによって集客を図ることができます。
コンテンツマーケティングでは、自社に著作権のある書籍の内容を引用するなどの横展開が可能です。
イベントや交流会では、書籍を持参して自己紹介のネタにしたり、書籍を出版していることで権威性を示したり、名刺代わりに書籍を配布して商談につなげたりと、幅広く活用できます。
▶︎書籍出版のやり方については、関連記事【企業出版の効果とは?費用相場や成功のポイント、事例を徹底解説】もあわせて参考にしてください。
書籍出版で経営者にアプローチした事例
ここでは、実際に書籍出版を通じて経営者にアプローチした事例を3つ紹介します。
・出版で問い合わせの質が向上、受注単価2倍を実現した経営コンサルタント ・出版をきっかけに大型案件・人材・講演依頼が次々と舞い込んだ保険代理店 ・出版1か月で即重版!ニュース掲載や新規顧客を獲得した建設業コンサルタント |
3つの事例を見ていきましょう。
◉-1、出版で問い合わせの質が向上、受注単価2倍を実現した経営コンサルタント
ある経営コンサルタントは、中小企業の経営者をターゲットに、自社の専門知識や実績を体系的にまとめた書籍を出版しました。
その結果、経営者層からの問い合わせが急増し、従来とは質の異なる顧客層を獲得できるようになりました。
特に、専門性と信頼性を評価して依頼してくれる経営者が増加し、結果として受注単価は出版前の2倍以上に向上。
相談件数も3〜4倍に拡大し、無料相談やコンサルティング指導も「1か月待ち」の状態となったと言います。
書籍出版によって「専門家としてのブランド」が定着し、同業他社との差別化、優秀な人材の獲得にもつながりました。
◉-2、出版をきっかけに大型案件・人材・講演依頼が次々と舞い込んだ保険代理店
ある法人保険代理店は、自社の経営ノウハウや人材育成の考え方をまとめた書籍を出版しました。
出版直後から経営者層や同業の保険代理店からの問い合わせが急増し、これまでアプローチできなかった層からの経営相談が数多く舞い込むようになりました。
特に、大型の法人契約が次々と決まるなど、直接的な売上アップに直結。
さらに、保険会社からの講演依頼や同業支援の依頼も増え、「保険会社にとって頼れる代理店」という強いブランドイメージが確立されました。
▶︎保険代理店の詳しい事例については【【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店】もあわせて参考にしてください。
◉-3、出版1か月で即重版!ニュース掲載や新規顧客を獲得した建設業コンサルタント
ある建設業専門のコンサルタントは、自身の最新ノウハウと豊富な実績をまとめた書籍を出版しました。
新聞広告の掲載をきっかけにAmazonや書店では売り切れが続出。
出版からわずか1か月で重版が決定し、累計発行部数は5,000部を突破しました。
さらに過去の著作との相乗効果も生まれ、シリーズ累計では6万部を超える大ヒットとなりました。
書籍は、livedoor NEWSやLINEニュースなど17媒体に取り上げられるなどメディア露出も拡大。
反響の大きさから、ターゲット層である大手建設会社からも「この本はどこで購入できますか?」と出版社に問い合わせが入るほどでした。
広告では得にくい信頼性と話題性を獲得し、ブランド価値を一気に高めることに成功しました。
【まとめ】広告よりも効果的!書籍出版で経営者にアプローチしよう
この記事では、経営者向け広告の特徴や代表的な手法、広告以外の有効なアプローチ方法、書籍出版の事例などについて解説しました。
経営者に向けた広告は、意思決定者に直接リーチできる点で大きなメリットがあります。
しかし、広告だけでは信頼関係を築いたり、潜在的ニーズを掘り起こすことには限界があります。
そこで有効なのが、広告以上に信頼性が高く、専門性や実績を体系的に伝えることができる書籍出版です。
フォーウェイでは、書籍をマーケティングに活用する「ブックマーケティングサービス」を提供しています。
企業のブランディングにも直結する手法なので、経営者への新たなアプローチを検討している方は、ぜひフォーウェイまでお問い合わせください。
富裕層や高所得者向けに自社の商品やサービスをアピールしたい場合、適切な広告手法を選ぶことが重要です。
保有資産や年収、居住エリアなどの条件を絞れる広告手法なら、狙いたいターゲットにリーチできます。
しかし、「どんな広告手法が効果的なのだろう」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
富裕層は価格よりも価値や信頼性を重視し、日常的に多くの広告に触れているため、一般消費者向けの広告戦略がそのまま通用するとは限りません。
そこで本記事では、富裕層・高所得者向けの広告の種類や戦略のポイントなどについて解説します。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
富裕層・高所得者向け広告とは
富裕層・高所得者向け広告とは、年収や資産規模が高い顧客層に特化して設計された広告手法です。
年収数千万円以上や、資産数億円といった高い経済力を持つ顧客層をターゲットとする業界で、富裕層・高所得者向けの広告が活用されます。
たとえば、高額商品やプレミアムサービス、高級不動産などを販売する際は、富裕層・高所得者向け広告が有効です。
また、投資商材やラグジュアリー体験などを訴求するケースでも活用できます。
◉-1、一般消費者向け広告との違い
一般消費者は、価格や機能、コストパフォーマンスといった実利的な価値を重視する傾向があります。
一方で、富裕層が重視する要素は、ブランドの信頼性や希少性、社会的評価などです。
そのため、一般消費者向け広告と富裕層向け広告では、効果的な表現や訴求軸、使用する媒体などが異なります。
富裕層・高所得層向け広告の種類
富裕層・高所得者層向け広告には、以下のような種類があります。
・運用型広告 ・Webメディア広告 ・情報誌広告 ・タクシー広告 ・サイネージ広告 |
それぞれ特徴が異なるため、商材の種類やターゲットに応じて最適な手法を選ぶことが重要です。
ここでは、各広告の特徴について解説します。
◉-1、運用型広告
運用型広告とは、広告主が配信先やターゲット、広告文などを自社で細かく設定して運用できる広告です。
検索エンジンの結果画面やSNS、Webサイト、ブログなどの広告枠に自社の広告を配信できます。
運用型広告は一般消費者向けにも活用されますが、富裕層向けでも利用することが可能です。
主な運用型広告のサービスとして、以下のようなものが挙げられます。
・Google広告 ・Yahoo!広告 ・Meta広告 ・Microsoft広告 ・LINE広告 |
これらを富裕層・高所得者向け広告として活用する際は、幅広く配信するのではなく、ターゲットの年収や職業、居住エリア、興味関心などを絞り込むことが重要です。
◉-2、Webメディア広告
Webメディア広告とは、オンラインで閲覧できるWebサイトやアプリに掲載される広告です。
富裕層が情報収集に利用する専門メディアや業界メディアに広告を出稿することで、信頼感を得られます。
経済・投資系、ラグジュアリーライフスタイル系のWebメディアは、読者層が明確なため、ブランドの格を損なわずに情報を届けることが可能です。
具体的なWebメディアとして、「Forbes Japan」や「ZUU ONLINE」などが挙げられます。
◉-3、情報誌広告
高級ホテルの客室や会員制クラブ、航空機内などに設置されるラグジュアリー系情報誌は、富裕層の手に直接届く媒体です。
誌面自体が高級感を演出しているため、情報誌広告を出すことで、ブランド価値を高める効果が期待できます。
情報誌広告を掲載できる主な媒体は、富裕層向けの情報誌「Nile’s NILE(ナイルスナイル)」や「PAVONE(パヴォーネ)」、ダイナースクラブの会員誌「シグネチャー」などです。
◉-4、タクシー広告
タクシー広告は、都市部のハイヤーやタクシーの後部座席モニターに配信できる広告です。
ハイヤーやタクシーの乗客には、経営者や役員クラスの人が含まれるため、タクシー広告を配信することでピンポイントにアプローチできます。
タクシー広告を出す際は、ターゲットの興味を引くために、商材の価値をわかりやすく訴求することが重要です。
また、移動中の限られた時間に情報を届けるため、簡潔かつ印象に残るクリエイティブを作る必要があります。
◉-5、サイネージ広告
サイネージ広告は、街中や施設内、建物の壁面などに設置されているディスプレイに配信できる広告です。
富裕層や高所得者がよく利用する場所にあるデジタルサイネージに広告を配信すると、自社の商品やサービスの認知を効果的に広げられます。
たとえば、空港ラウンジや高級マンション、ゴルフ場にサイネージ広告を出すと、富裕層・高所得者へのアプローチが可能です。
サイネージ広告の特徴として、視認性が高く、商品の世界観を短時間で伝えやすいことが挙げられます。
富裕層・高所得者向け広告で成果を出すポイント
富裕層・高所得者向け広告を出す際は、媒体選びだけでなく、以下のようなポイントも重要です。
・ターゲットを具体的に定義する ・価格ではなく、価値を訴求する ・洗練されたデザインと表現を追求する |
富裕層・高所得者向け広告で成果を出すポイントについて見ていきましょう。
◉-1、ターゲットを具体的に定義する
富裕層・高所得者層と一口に言っても、そのライフスタイルや価値観、興味関心は多岐にわたります。
そのため、自社のターゲットを具体的に定義することが、広告を出す際に重要です。
年齢層や性別、居住地域、家族構成、職業、役職、年収といったターゲット属性を明確にしましょう。
さらに、「どのような生活を送っているのか」「休日は何をしているのか」「どのような趣味を持っているのか」などを具体的に想定することも、広告の成果につながります。
◉-2、価格ではなく、価値を訴求する
富裕層は安さではなく、希少性やブランドストーリー、人生を豊かにする体験価値に惹かれる傾向があります。
そのため、富裕層向け広告を出す際は、価格ではなく価値を訴求することが重要です。
「なぜこの商品・サービスが特別なのか」「所有することでどんな価値が得られるのか」を明確に示すことで、興味を持ってもらいやすくなります。
◉-3、洗練されたデザインと表現を追求する
富裕層は日常的に質の高いデザインや演出に触れているため、広告クリエイティブも洗練されたデザインと表現を追求することがポイントです。
ターゲットとする富裕層にマッチする高品質なクリエイティブを作ることで、「本物を提供する企業である」という信頼感を持ってもらいやすくなります。
広告文の内容やフォント、配色、動画広告の場合は映像や音による演出など、細部まで妥協しない広告表現を追求する必要があります。
広告だけではない!富裕層・高所得層に効果的な集客施策
富裕層や高所得者に自社の商品・サービスを広める方法には、広告以外に以下のような手法があります。
・イベント出展 ・富裕層向け商品・サービスとのコラボレーション ・セミナー・勉強会 ・企業出版(ブックマーケティング) |
ここでは、各集客施策について解説します。
◉-1、イベント出展
富裕層が集まる展示会や限定イベントへの出展は、ターゲット層と直接関われる施策です。
たとえば、高級車やアート、ワイン、ジュエリー、海外不動産などをテーマにした展示会や、会員制・招待制の限定イベントに出展することが、認知拡大や商談の獲得につながります。
イベント出展時は、自社のブランドイメージを体験できるブース設計や、ストーリー性のあるプレゼンテーションを行い、ブランド価値を印象付けることが重要です。
◉-2、富裕層向け商品・サービスとのコラボレーション
自社と同じターゲット層を持つ高級ブランドと連携し、相互に送客をすることも、効果的な集客施策です。
たとえば、高級時計ブランドと高級ホテルの宿泊プラン、高級車メーカーとリゾート施設のタイアップといったコラボレーション企画が考えられます。
お互いの顧客に対して信頼ある企業として紹介されるため、初めての接触でも心理的なハードルが下がりやすいことが、コラボレーションのメリットです。
さらに、限定性や希少性を持たせた特別なプランを用意すると、より良い反応を得られる可能性があります。
◉-3、セミナー・勉強会
富裕層は自身の資産管理やライフスタイルの質向上に高い関心を持っています。
そのため、資産運用や税務、相続、健康などをテーマとしたセミナーや勉強会を開催することが、富裕層へのアプローチに有効です。
講師として各分野の専門家や著名人を起用すると、限定感や特別感を与えられるため、参加者の関心を高めて商談へつながりやすくなります。
また、参加者限定の相談会や交流会を設けて、より深い関係を構築することも効果的です。
◉-4、企業出版(ブックマーケティング)
企業出版は、自社の専門知識やブランドストーリー、理念などを一冊の書籍としてまとめることで、信頼性を高めるマーケティング施策です。
広告やWebサイトで発信する情報と異なり、書籍は多くの手間と時間をかけて出版されるため、権威性が高いという特徴があります。
中長期的にはブランド力を高め、競合との差別化が可能です。
ブックマーケティングの詳細については、以下の記事でも解説しています。
▶︎企業出版のやり方については、関連記事【企業出版の効果とは?費用相場や成功のポイント、事例を徹底解説】もあわせて参考にしてください。
富裕層・高所得層にリーチするなら企業出版がおすすめ!
企業出版は、以下のような特徴があるため、富裕層・高所得者へのアプローチに有効です。
・信頼を獲得しやすい ・富裕層特有の購買行動に合っている ・継続的な見込み客(リード)の獲得につながる |
ここでは、企業出版ならではの特徴について解説します。
◉-1、信頼を獲得しやすい
富裕層は、信頼できる情報源から情報を得たいと考えていることが一般的です。
書籍を出版して、著者や企業の専門知識を体系的に伝えると、情報の信頼性を高められます。
一方的な宣伝ではなく、読者にとって有益な情報を届ける書籍は、信頼関係を築くための効果的な手段となります。
◉-2、富裕層特有の購買行動に合っている
富裕層は商品購入を検討する際、口コミや専門家の意見を参考にし、時間をかけて判断する傾向があります。
企業出版では、自社や商品・サービスに関する情報を詳しく伝え、富裕層に十分な検討材料を提供することが可能です。
書籍を通じて、企業の理念や商品・サービスの開発背景、創業者の想い、業界の課題といった深い情報を提供することで、富裕層から納得されやすくなります。
◉-3、継続的な見込み客(リード)の獲得につながる
一般的に、広告は出稿期間が終わると効果が途切れます。
一方で、書籍は出版後に長期的に残り続け、配布・販売を通じて新しい顧客へのリーチが可能です。
書店での流通をはじめ、セミナーやイベントでの配布、オンライン施策との組み合わせにより、長期的に安定したリード獲得ができます。
企業出版で富裕層・高所得者にリーチした成功事例
企業出版は、さまざまな業界における富裕層・高所得者向けとして有効です。
ここでは、企業出版で富裕層・高所得者にリーチした成功事例を3つ紹介します。
◉-1、アンティークコイン投資の分野で富裕層を獲得した事例
アンティークコインを扱う企業では、富裕層をターゲットにしたアンティークコイン投資に関する書籍を出版しました。
書籍の流通戦略として、投資関連書籍の販売好調店と、富裕層が住むエリアの書店に重点的に配本。
また、日経新聞の複数の広告枠に連続出稿し、認知度向上も図りました。
出版後間もなく100名以上の無料資料ダウンロードがあり、数千万円の売上につながっています。
また、出版記念セミナーでは、数百万円の売上を複数獲得。
書籍を購入した富裕層の顧客からも反響があり、面会の3日後に数億円の売上につながりました。
◉-2、セミナー講師に権威性がつき、富裕層から商談を獲得した事例
不動産投資業界のセミナー講師のブランディングを目的とした企業出版では、セミナー講師を著者、代表取締役を監修として書籍を制作しました。
同社が得意とする投資ノウハウをタイトルに据え、投資家の興味を引く書籍に仕上げたことも、企画編集のポイントです。
一都三県の中で高収入層の割合が多いエリアへの配本や、日本経済新聞への広告掲載、書籍のランキング獲得施策などを実施。
著者であるセミナー講師を指名する問い合わせが殺到し、出版後1か月で10件強の商談を獲得できました。
また、出版後に富裕層向けセミナーも開催し、不動産投資家やオーナー社長の集客にも成功しています。
◉-3、医師をターゲットに書籍を出版し、6か月で10億円以上の売上につながった事例
新規顧客の獲得経路がほとんど紹介のみに限られていた不動産投資企業では、医師をターゲットとした不動産投資の書籍を出版しました。
自社独自の不動産投資ノウハウや資産運用スキームをまとめ、権威性と信頼性を獲得することが、企業出版の狙いです。
書籍発売1か月で複数の反響があり、読者の医師との面談後に投資用区分10戸購入が決まりました。
また、大手病院の勤務医からの反響が成約につながるなど、出版から6か月で10億円以上の売上を獲得。
ほかにも書籍読者からの問い合わせがあり、不動産投資を検討している高所得者との商談が実現しています。
【まとめ】富裕層・高所得者向け企業出版で商品やサービスをアピールしよう!
富裕層・高所得者向けの広告は、高額商品やプレミアムサービスを販売するために有効な施策です。
価格の安さではなく、希少性やブランドストーリーなどの価値を訴求することで、富裕層からの信頼を得やすくなります。
また、富裕層・高所得者向けの集客施策の一つとして、企業出版も効果的です。
フォーウェイでは、富裕層・高所得者にリーチしたい企業に向けて、ブックマーケティングのサービスを提供しています。
企業出版で自社の商品やサービスを効果的にアピールしたい方は、ぜひフォーウェイにご相談ください。
「自社のWebサイトに集客したい」「サービスや商品の認知度を上げたい」と考えている企業担当者の方は多いのではないでしょうか。
インターネットが普及した現代では、誰もが簡単に情報へアクセスできるようになり、従来のような一方的な広告だけでは顧客の心を動かすのが難しくなっています。
そこで、多くの企業が注目しているのが「コンテンツマーケティング」です。
言葉にすると簡単なようですが、コンテンツマーケティングを実践したものの成果が出ないという企業も少なくありません。
そこで今回は、コンテンツマーケティングの手法や効果を発揮するための戦略について解説します。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
コンテンツマーケティングとは
コンテンツマーケティングとは、コンテンツを活用したマーケティングの手法を指します。
ここでいうコンテンツは、顧客や見込み顧客にとって有益で価値のある情報であることが重要です。
顧客が興味を持つコンテンツの発信・提供によって信頼関係を築き、最終的に自社の商品やサービスの購入・利用につなげます。
コンテンツマーケティングでは、広告のように積極的な売り込みは行いません。
読者や視聴者のニーズを満たしたり、課題を解決するための情報を提供し続けたりすることで、認知度向上や見込み顧客(リード)獲得といった効果を狙います。
◉-1、コンテンツマーケティングとコンテンツSEOは違う?
Webを活用したマーケティング手法として、メジャーになりつつあるコンテンツマーケティング。
しかし、コンテンツSEOと混同されているケースも散見されます。
コンテンツSEOとは、ターゲット読者が求める情報をコンテンツとして提供し続け、Googleなどの検索結果で上位を目指す手法のことです。
コンテンツマーケティングの一種ですが、イコールではありません。
コンテンツSEOは検索エンジン(SEO)対策の方法であり、あくまで検索結果の上位表示を目指してコンテンツを提供することが目的です。
一方、コンテンツマーケティングはさらに広い意味で用います。
広告以外の手段で有益な情報を発信し続け、見込み顧客に興味を持ってもらい、行動に移してもらうまでを戦略的に設計するのがコンテンツマーケティングです。
簡単にいうと、顧客側から興味を持ってこちら側に寄ってくるインバウンドマーケティングの仕組みづくりをコンテンツマーケティングといいます。
コンテンツマーケティングが重要視されるようになった背景
コンテンツマーケティングが重要視されるようになった背景として、以下の3つが挙げられます。
・売り込み型マーケティングの効果が下がった ・消費者の購買行動が変化した ・アルゴリズムが変化した |
それぞれ詳しく解説します。
◉-1、売り込み型マーケティングの効果が下がった
従来のマーケティングでは、テレビやラジオのCM、インターネットなどの広告で商品やサービスを知ってもらう売り込み型(プッシュ型)のマーケティングが一般的でした。
売り込み型のマーケティングは潜在層にも知ってもらえる可能性が高く、即効性も期待できます。
しかしその一方で、企業から一方的に押しつけられる情報になりやすく、受け手である消費者にとっては広告が不快に感じられるケースも少なくありません。
また、「そもそも広告を見ない」という消費者も増えており、売り込み型マーケティングの効果は薄れてきています。
さらに、プッシュ型手法の代表格であるアウトバウンドのテレアポも、難易度が上がり効果が出にくくなっています。
誰もが手軽に始められる一方で、成果を出すには高いスキルが求められるためです。
特に、コロナ禍を経てオンラインでの打ち合わせや在宅ワークが普及したことで担当者と直接つながりにくくなり、これまで以上に効果を出すのが難しくなっています。
◉-2、消費者の購買行動が変化した
インターネットが普及したことで、誰もがほしい情報を自分で調べられるようになりました。
今では、気になることは自分で検索し、比較・検討したうえで選択することが当たり前になっています。
そのため、自社の製品やサービスが選ばれるためには、ただ売り込むだけでなく、消費者にとって役立つ情報を提供することが重要になりました。
逆にいえば、良質なコンテンツを提供することで、これまで自社の製品やサービスを知らなかった消費者にも認知されるきっかけになります。
たとえば「就職祝いに贈る品物」で悩んでいる消費者が検索し、喜ばれる贈り物やマナーを紹介した記事に辿り着いたとします。
その情報を参考にして最適な品物を選び、「相手にも喜んでもらえた」「お祝いにまつわるマナーや知識も得られた」という体験ができたら、自然とその企業に好感を抱き、ファンになってくれる可能性が高まるでしょう。
◉-3、アルゴリズムが変化した
検索エンジンやSNSのアルゴリズムは従来に比べ、価値のあるコンテンツを評価するようになりました。
そのため、情報が薄いコンテンツや専門性が低いコンテンツは評価されにくく、Webページの上位に表示されません。
検索エンジンで露出を増やすためには、良質なコンテンツの作成が必要不可欠です。
信頼できる情報であるのはもちろん、専門性や独自性といった観点も踏まえ、質の高いコンテンツを提供することが重要です。
コンテンツマーケティング手法は主に2タイプ
コンテンツマーケティングの手法は、以下の2つのタイプに分けられます。
それぞれのタイプにはさらに細かい手法があるため、以下で各コンテンツの特徴を紹介します。
◉-1、ストック型
ストック型のコンテンツは一度制作すれば長期間にわたって価値が落ちず、時間が経っても需要が続くコンテンツのことを指します。
季節やトレンドなどに左右されることなく、安定したアクセスを見込めるのがメリットです。
こうしたコンテンツを継続的に蓄積していくことで、自社のWebサイトやアカウントに辿り着く消費者を増やせるでしょう。
具体的には、次のようなコンテンツがストック型にあたります。
ストック型コンテンツ | 特徴 |
ブログ記事 | ・オウンドメディアなどで自社の商品・サービスを紹介できる・ハウツー記事など役立つ情報を発信できる・主に長めのテキストで構成され、読み応えのある記事を蓄積すれば継続的なアクセスが期待できる |
SNS(文字・画像・動画投稿コンテンツ) | ・InstagramやX(旧Twitter)などで、商品の使い方や企業紹介といった情報を発信する・時間が経っても役立つ内容は検索で見つけられやすく、ストック型として機能する |
動画コンテンツ | ・YouTubeやTikTokなどで配信される動画・テキストだけでは伝わりにくい情報を視覚的にわかりやすく届けられ、訴求力が高い |
音声コンテンツ | ・ラジオやポッドキャストなど音声のみの配信・ノウハウや課題解決のヒントをじっくり発信できる・通勤や作業中など「ながら利用」ができる点が魅力 |
ホワイトペーパー | ・商品・サービスの概要や調査結果をまとめた資料・サイトからダウンロードでき、顧客も比較的気軽に入手しやすい |
インフォグラフィック | ・データや調査結果をグラフやイラストでわかりやすくまとめたもの・一目で要点を伝えやすく、SNSなどでも拡散されやすい |
書籍 | ・出版には時間がかかるが、信頼性が高いコンテンツ・必要なときにあとから見返してもらいやすい・資料や情報源として長期的に活用できる |
◉-2、フロー型
フロー型コンテンツは鮮度やタイミングが重視され、拡散されやすいのが特徴です。
そのため、新商品や新サービスの告知、キャンペーンなど「今すぐユーザーに知ってもらいたい情報」を伝えるのに適しています。
ただし、フロー型コンテンツは短期間で効果が出やすい反面、時間が経過すると発信した情報が埋もれてしまい、価値が薄れやすいのがデメリットです。
代表的なフロー型コンテンツとして、以下が挙げられます。
フロー型コンテンツ | 詳細 |
SNS(タイムライン消費型のコンテンツ) | ・SNSの中でもニュースやトレンド、キャンペーン告知、日常の出来事などをリアルタイムで発信・タイムライン投稿や、24時間で消えるストーリーズ機能が該当する |
プレスリリース | ・新商品の発売やイベントの開催などをメディアを通じて発信する・記事に引用される可能性が高く、普段接点のない層にも届きやすい |
メールマガジン | ・登録している既存顧客に直接アプローチできる・登録者の属性をもとに、特定のユーザーに合わせて配信可能 |
イベント・セミナー | ・自社に関心を持つユーザーを集めやすく、新規層にもアプローチできる・ウェビナーのようにオンライン開催なら、録画を残して動画コンテンツとして再利用できる |
コンテンツマーケティングに取り組むメリット
コンテンツマーケティングを実践することで、以下のようなメリットが得られます。
・潜在顧客のリード獲得 ・自社の認知度向上とブランディングの実現 ・コンテンツの資産化 ・将来的な広告費の削減 |
4つのメリットについて詳しく見ていきましょう。
◉-1、潜在顧客のリード獲得
ユーザーが欲する情報を提供し続けることで、自社に興味を持ってもらうきっかけができます。
興味を持ったユーザーがホワイトペーパーをダウンロードする等のアクションを起こす際、連絡先など必要事項の記入を行います。
これが「リードの獲得」です。
リードを獲得できると、その連絡先に対して自社のメルマガを配信したり、電話やメールでキャンペーン情報を伝えるなど、具体的な営業活動につなげることができます。
ほかにも、コンテンツ発信をきっかけとしたメルマガの登録などもリード獲得の手法として考えられます。
◉-2、自社の認知度向上とブランディングの実現
ユーザーにとって有益な情報を提供し続ければ、SEO順位で上位獲得ができ、自社の認知度が上がることが期待できます。
有益な情報であれば、ユーザーによって拡散されていく可能性があるので、自ずと認知度が上がっていくのです。
さらに発信するコンテンツが企業のブランドイメージそのものになるため、自社の事業領域における専門家としてのブランディング効果が期待できます。
◉-3、コンテンツの資産化
コンテンツには情報の新鮮さが求められるフロー型コンテンツと、時間が経過しても価値が失われにくいストック型コンテンツがあります。
ストック型コンテンツは、フロー型のように短期間で大きく拡散されることは少ないものの、公開し続ける限り安定した集客効果を期待できるのが特徴です。
有益なコンテンツは既存顧客との関係強化に役立つだけでなく、検索から流入したユーザーが新規顧客になる可能性もあります。
蓄積されたコンテンツは自社にとって資産となり、さらにアクセス数を伸ばすことにもつながります。
◉-4、将来的な広告費の削減
自社のサービスや商品を購入してもらう手っ取り早い方法は、広告です。ただし、広告は成果が期待できますが、打ち続ける必要があり、結果的に広告費がかさみます。
しかし、コンテンツマーケティングで発信した情報は継続的に費用を投じなくてもネット上に残り続け、長期的な広告費の削減になります。
顧客がファン化して継続的に自社サービスを利用してくれれば、費用対効果が非常に高い施策となるのです。
【9ステップ】コンテンツマーケティングの戦略設計の仕方
コンテンツマーケティングの失敗でよくあるのが、目的設定や準備も行わずにいきなりコンテンツを作りはじめてしまうケースです。
しかし、まずは成果を得るために戦略を練る必要があります。
具体的には、以下のステップに沿って進めていきます。
・ステップ1:ターゲットを設定する ・ステップ2:カスタマージャーニーを作成する ・ステップ3:目的を明確化する ・ステップ4:コンテンツマーケティング手法を決める ・ステップ5:KGI・KPIを設定する ・ステップ6:責任者とメンバーを決定する ・ステップ7:スケジュールとコンテンツテーマを確定する ・ステップ8:コンテンツを制作する ・ステップ9:結果を測定してPDCAを回す |
順を追って詳しく解説します。
◉-1、ステップ1:ターゲットを設定する
ターゲットがぶれてしまうと、制作するコンテンツもテーマが不明瞭なものが増えてしまい、結果的にはコンテンツマーケティング自体が徒労に終わる可能性が高まってしまいます。
その中で、ターゲット設定のコツとしては「これまでに集客できていない理想の顧客像」を分析のうえ、設定することです。
マーケティング用語でいう「ペルソナ」を設計します。
自社の顧客になりうる人物像を想像し、言語化することが重要です。
ペルソナ設計では、「デモグラフィック」と呼ばれる人口統計の属性データを使います。
「住所」「性別」「年齢」「職業」「所得(年収)」「世帯規模」「学歴」など、自社サービスにマッチするよう細かく想定するのです。
そのうえで、求めるユーザーの「ライフスタイルの送り方」「思考の傾向」「特有の悩みやストレス」「願望」を設定し、明確に文章で言語化することでペルソナが完成します。
◉-2、ステップ2:カスタマージャーニーを作成する
ターゲットが設定できたら、カスタマージャーニーを作成します。
カスタマージャーニーとは、ターゲットが自社の商品やサービスを認知して購入に至り、その後も継続して利用してくれるまでのプロセスを可視化したものです。
カスタマージャーニーの作成では、認知・興味・比較検討・購入・継続利用といったフェーズごとに顧客の思考や感情、行動を洗い出します。
たとえば、「認知」のフェーズでは、自社の商品やサービスを知るきっかけがSNSなのか、動画コンテンツなのかなどが洗い出す要素の一つです。
顧客の志向や行動などを理解しておくことで、施策を立てやすくなります。
◉-3、ステップ3:目的を明確化する
カスタマージャーニーを作成したら、次に行うべきはコンテンツマーケティングの目的を明確にすることです。
まずは解決したい課題を整理し、そのうえで以下のような目的を具体的に設定します。
・CV(コンバージョン)の獲得 ・見込み度の高いリードの獲得 ・自社の認知度向上やイメージアップ ・採用活動につなげるためのブランディング |
さらに、CVやリードの獲得など、自社サービスや商品の購買につなげたい場合、「どのサービスおよび商品を誰に届けたいのか」を設定する必要があります。
目的とマーケティングの着地点となるサービスを明確化し、社内で共通認識を持って取り組むことが大切です。
◉-4、ステップ4:コンテンツマーケティング手法を決める
ターゲットやカスタマージャーニー、目的が明確になったら、次はどの媒体で、どのようなコンテンツマーケティングを実施するのかを決めていきます。
たとえば、Z世代や20代前半の層であれば、動画やSNSを活用したコンテンツが効果的です。
一方で、BtoB企業を対象とする場合は、サービス導入事例をまとめたホワイトペーパーや、専門的なノウハウを整理した書籍などが適しています。
ターゲットに合わせて媒体と手法を選択することで、より効果的なコンテンツマーケティングが可能になります。
◉-5、ステップ5:KGI・KPIを設定する
マーケティングでは、最終的な目標を示すKGIと、その進捗を測る中間指標であるKPIを決めます。
具体的な指標は、月間リード数や記事PV、コンバージョン率などです。
たとえば「最終的な成約数30件」をKGIとするなら、その達成に向けたKPIとして「月間リード数100件」を目標に設定するといった形です。
◉-6、ステップ6:責任者とメンバーを決定する
コンテンツマーケティングは成果を安定して出すまで時間がかかります。
したがって、コンテンツマーケティングのプロジェクトに根気よく情熱を持って取り組んでくれる、理解ある責任者を決定する必要があります。
コンテンツマーケティングでは、成果につながらない時期というのが訪れます。
常にトライアンドエラーを繰り返しながら、「成果につながらないコンテンツはどのように改善していくのか」といった意識が重要です。
責任感と覚悟を持って意思決定を行える責任者を任命しましょう。
そして、責任者を決めたら、次はともにプロジェクトに取り組むメンバーの招集をします。
会社としてコンテンツマーケティングを実施する目的と意義を理解して、そこに共感して取り組んでくれるメンバーを選びましょう。
ありがちな失敗としては、次のようなメンバーを集めてしまうパターンがあります。
・文章を書くのが好きなメンバー ・過去にライティング経験があるメンバー ・通常業務の合間に手伝ってくれそうなメンバー |
コンテンツマーケティングにおけるSEOライティングには、必ずしも紙媒体などでライティングに従事した経験は必要ありません。
また、片手間ではそのうち手が回らなくなって放置されてしまうのがオチです。
コンテンツの品質を保つには、あくまでビジョンと目的に共感してくれるメンバーを集めなければなりません。
▶︎コンテンツマーケティングの失敗要因については、関連記事【コンテンツマーケティングの失敗を招くNG行動6】もあわせて参考にしてください。
◉-7、ステップ7:スケジュールとコンテンツテーマを確定する
責任者とメンバーが決まったら「スケジュール」と「コンテンツテーマ」を確定させます。
コンテンツマーケティングは、一朝一夕で成果や効果が出にくい施策のため、最低でも1年間のスケジュール計画を立てる必要があります。
その際、決めなければならない要素としては以下の通りです。
・アクセスやCVといった1年後の数値目標 ・具体的なコンテンツの内容と制作担当者、制作の締め切り |
コンテンツマーケティングによって、広告に頼らない価値ある基盤を1年後に作り上げるために、詳細なタスクを整理して、「誰が」「いつまでに」「どんなコンテンツ」を制作するのかを計画立てましょう。
目標達成に向けて、たとえば3か月目までは認知獲得や商品理解を促すコンテンツを制作し、6か月目以降は少しずつCVにつなげていくために、「購入欲求」をかき立てるコンテンツを制作する、といった計画です。
さらに、上記スケジュールの組み立てができたら、具体的なコンテンツの確定をしていきましょう。
目的や顧客がどのような情報を欲しているかを考え、テーマを選びます。
◉-8、ステップ8:コンテンツを制作する
コンテンツ制作では、マーケティングの目的を踏まえ、設定したターゲットやカスタマージャーニーに沿った内容を設計することが重要です。
ユーザーの関心を引きつけるためには、有益な情報を提供するだけでなく、デザイン面にも配慮する必要があります。
レイアウトや配色、フォントのサイズ、種類など、見た目の印象も影響を与えます。
また、制作したコンテンツには、自社サイトやサービスページへスムーズに移動できる導線を用意しておくことで、売上や商談といった成果につながりやすくなります。
◉-9、ステップ9:結果を測定してPDCAを回す
コンテンツは作成して終わりではなく、その後の効果測定と改善が欠かせません。
実際には、せっかく制作したコンテンツが期待した成果につながらない場合もあります。
また、新しい情報が次々に発信されるなかで、自社コンテンツの検索順位が下がってしまうことも考えられます。
そのため、あらかじめ設定したKGI・KPIを基準に、どの程度効果が出ているのかを定期的に確認しましょう。
そこで明らかになった課題や改善点を次の施策に反映させることで、PDCAを回しながら成果を高めていくことができます。
コンテンツマーケティングを成功させるにはターゲットに合わせた手法選びが重要!
コンテンツマーケティングは、広告のように企業側から積極的にアプローチする「攻めのマーケティング」ではなく、ターゲットが集まりやすい媒体に魅力的なコンテンツを配置し、自然に関心を持ってもらう「待ちのマーケティング」です。
そのため、ターゲットが集まりにくい媒体にコンテンツを置いても効果はありません。
成功のポイントは、ターゲットが集まる場所を見極め、そのうえで効果的な手法を選ぶことです。
たとえば、企業を対象とする場合、企業の課題解決につながる情報や専門性を示す書籍・ホワイトペーパー・プレスリリースといったコンテンツが有効です。
一方で、決裁者層へのアプローチや潜在顧客との関係構築においては、SNSやブログも重要な役割を果たします。
特に、自社の専門性を発信したり、企業のブランドイメージを伝えたりするうえで効果を発揮します。
このように、コンテンツマーケティングでは「ターゲットに最適化した手法の選択」が成功を左右するのです。
◉-1、富裕層や企業などがターゲットの場合は書籍でのコンテンツマーケティングがおすすめ!
現代はインターネットを通じて膨大な情報を得られる一方で、その中には根拠があいまいで信頼性に欠けるものも少なくありません。
一方、出版社から刊行された書籍は「現物」として手元に残るだけでなく、Web記事やSNS投稿と比べてテーマを深く掘り下げ、体系的にまとめられています。
そのため、専門性や権威性をアピールでき、読者からの信頼やブランド価値の向上につなげやすい点が魅力です。
また、出版後には出版記念イベントやセミナーの開催、SNSやオウンドメディアでの紹介といった形で二次活用でき、マーケティング効果をさらに広げられます。
▶︎企業出版の詳細については、関連記事【企業出版の効果とは?費用相場や成功のポイント、事例を徹底解説】もあわせて参考にしてください。
◉コンテンツマーケティングの成功事例
コンテンツマーケティングとして書籍を出版し、成功した事例として3つ挙げます。
・書籍でブランディングと見込み客獲得を実現した事例 ・出版でファン化が加速し、LTV向上につながった事例 ・発信に悩む食品メーカーが書籍によって差別化に成功した事例 |
それぞれの事例を以下で紹介します。
◉-1、書籍でブランディングと見込み客獲得を実現した事例
保険代理店向けのコンサルティング事業を立ち上げた経営者は、新規開拓の有効な手段がなく、信頼性を高めるブランディング施策を模索していました。
そこで選んだのが企業出版。
フルコミッション(成果報酬)が当たり前の保険業界において、「月額給与制の一律報酬型」で業績を伸ばした独自のノウハウを体系化し、書籍として発信しました。
出版後は大きな反響を呼び、わずか発売2週間で即重版が決定。
Amazonでも一時的に欠品するほどの人気となりました。
また、出版記念セミナーには60名が参加し、その場で20名と商談、複数件のコンサル契約へとつながっています。
さらに、大手生命保険会社の支社長や部課長クラスにも読まれ、講演依頼が継続的に舞い込むように。
加えて、書籍が経営者同士で紹介される動線が生まれ、紹介を通じて新たな見込み客との接点が広がりました。
結果として、本業である保険契約の件数も増加し、書籍出版がきっかけとなって大口契約の成約につながるなど、大きな成果を上げることができました。
▶︎保険代理店の詳しい事例については【【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店】もあわせて参考にしてください。
◉-2、出版でファン化が加速し、LTV向上につながった事例
あるサプリメントメーカーでは、商品の販促と長期的なブランド構築を目的に書籍を出版しました。
ターゲットは中年期以降の女性とし、「一生のうちで変化の多い「女性の人生の悩み」を解決する」というコンセプトを掲げたことで、顧客の共感を獲得しました。
出版時には著者と連携し、SNSでの情報発信を強化。
その結果、Amazon予約が殺到し発売前に重版が決定しました。
また、既存顧客向けに実施した書籍プレゼント企画では、予想の8倍にあたる240名以上が応募。
贈呈した顧客の半数以上がリピート購入を続けるなど、LTV(顧客生涯価値)の向上にもつながっています。
▶︎サプリメントメーカーの詳しい事例については【【事例コラム】”書籍無料プレゼント”に想定の6倍の応募、リピート率アップにインパクト!サプリメントメーカーの出版プロジェクト】もあわせて参考にしてください。
◉-3、発信に悩む食品メーカーが書籍によって差別化に成功した事例
わさびの開発・製造・販売を手がける食品メーカーは、日本文化の象徴である「わさび」の魅力を広めると同時に、自社のPRにつながる新たな発信手段を模索していました。
しかし、従来のプロモーションでは成果に限界があり、同業他社との差別化が大きな課題となっていたのです。
そこで、料理に関心を持つ30代〜40代女性をメインターゲットに設定し、わさびの効能や歴史、レシピを紹介する書籍を出版。
出版をきっかけに著者と料理研究家によるトークイベントを開催し、その場で50冊以上を販売する成果を上げました。
また、営業活動に活用できるよう書籍のダイジェスト版を小冊子として制作し、営業ツールとしても展開しました。
結果的に、書籍を通じて「わさびファン」を増やし、販売拡大につながっています。
◉コンテンツマーケティングに関するよくある質問
最後に、コンテンツマーケティングに取り組む際によくある質問に回答します。
◉-1、どのくらいで効果が出ますか?
コンテンツマーケティングは「攻める」手法ではなく、「待つ」手法であるため、新たに始めた場合は効果が出るまでに早くても3〜6か月、一般的には半年〜1年以上かかります。
SEOやSNSでは、継続的に取り組み、信頼や評価を積み重ねる必要があります。
そのため、即効性を期待するのではなく、長期的な視点で取り組むことが重要です。
◉-2、どんな企業に向いていますか?
コンテンツマーケティングは、BtoB・BtoCを問わず、顧客が購入前に情報収集を行う傾向が強い業界に適しています。
特に高額商品や専門性が高い商品、比較検討が必要な商品・サービスなどに、コンテンツマーケティングは効果的です。
◉-3、自社でやるべきですか?外注したほうがいいですか?
コンテンツマーケティングは自社でも取り組むことが可能ですが、すべてを内製化しようとするとリソースの負担につながるおそれがあります。
効果的なのは、役割を分担することです。
たとえば、戦略設計や自社にしかわからない専門知識の提供は社内で担い、記事執筆・デザイン・動画制作・編集といった制作部分は外注するといった形です。
こうすることで、自社の強みを活かしながら効率的に運用でき、クオリティも安定しやすくなります。
さらに、外注パートナーを活用することで最新のマーケティング手法や専門スキルを取り入れられるのもメリットです。
【まとめ】権威性を高めるなら書籍を活用したコンテンツマーケティングがおすすめ
この記事では、コンテンツマーケティングの手法や効果を発揮するための戦略について解説してきました。
コンテンツマーケティングは根気よく続ける必要がありますが、自社コンテンツを魅力に感じた顧客はファンとなり、長期的にサービスを利用し続けてくれる可能性があります。
そのためには、「ブレないためのターゲット設定」と「目的を見失わないための戦略設計」が重要です。
広告費を削減し、安定した売上を積み上げるためのコンテンツマーケティングを実施するうえで本記事の内容を参考にしてください。
「フォーウェイ」はブックマーケティングを主軸とし、徹底的な経営コンサルティング目線で書籍の出版をサポートしています。
企業のブランディングにも役立つ書籍を活用したコンテンツマーケティングを検討しているのなら、フォーウェイにご相談ください。
現代の市場では、ただ高品質な商品やサービスを提供するだけでは、顧客に選ばれるのが難しくなっています。
競合がひしめく中で「信頼できる企業」「格のあるブランド」として際立つためには、見た目や実績だけでなく、社会からの評価や存在感、つまり「箔」をいかにまとうかが重要です。
「箔をつける」という言葉は、もともと金箔を施して価値を引き立てるという意味に由来していますが、ビジネスの世界ではそれが「信頼性やブランド価値を高めるための働きかけ」として解釈されます。
本記事では、「箔をつける」という考え方を企業活動にどう応用できるのか、目的や得られるメリット、方法などを具体的に解説します。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
「箔をつける」の意味とは?
「箔をつける」とは、元々金箔や銀箔などで表面を装飾し、見た目を豪華にすることから生まれた言葉です。
そこから転じて、「見た目や評価をより魅力的に見せる」「価値があるように演出する」といった意味で使われるようになりました。
現代のビジネスシーンでは、企業や商品・サービスに「格式」「信頼性」「話題性」などを加えることで、その価値を高め、他者からの評価を上げるための表現として使われることが多くなっています。
自社や商品・サービスに箔をつける目的
まず、自社や商品・サービスに箔をつける目的は何なのかについて考えてみましょう。
主な目的として、次の4つが挙げられます。
・ブランドや企業価値の信頼性を高めるため ・市場での差別化を図るため ・認知度・知名度を高めるため ・高価格帯でも納得してもらえる価値を示すため |
以下で、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
ブランドや企業価値の信頼性を高めるため
箔をつけることで、顧客や取引先、ステークホルダーから信頼を得やすくなります。
たとえば、書籍の出版やメディアへの出演、講演活動などを通じて企業の専門性や実績を可視化することは、ブランドや企業の信頼の裏付けとなります。
また、認定資格の取得や各種受賞歴なども信頼を高める要素の一つです。
こうした「箔」があることで、初めて出会う相手にも安心感や期待感を与えやすくなります。
市場での差別化を図るため
同じような商品やサービスがあふれている現代においては、顧客に「選ばれる理由」を明確に示すことが重要です。
箔がついていると市場において差別化を図ることができ、価格競争に巻き込まれにくくなり、自社のポジションを高めることができます。
箔をつけることによって、顧客に「選ばれる理由」を提示することができるのです。
認知度・知名度を高めるため
企業が信頼性を得られたとしても、そもそも商品やサービスが知られていなければ選ばれることはありません。
しかし、箔をつけることが広報・PR施策になり、商品やサービスの認知度や知名度を高めることにつながります。
特にメディア露出は、第三者評価として顧客からの信頼を得やすく、SNSやWeb検索を通じて認知を拡大する起点にもなります。
▶︎知名度・認知度を高めるやり方については、関連記事【【経営者必見】知名度・認知度を高めるには?選ばれる企業になるための施策と成功事例まとめ】もあわせて参考にしてください。
高価格帯でも納得してもらえる価値を示すため
高価格帯の商品やサービスを提供する際には、「なぜこの価格なのか?」という問いに明確に答える必要があります。
このとき、その価値を裏付けて、顧客に納得感を与える要素が「箔」です。
たとえば、有名人の推薦やブランドヒストリーの明示などがあると、顧客は価格だけでなく「価値」に対してお金を払っているという納得感を得やすくなります。
結果として価格競争から脱却し、持続可能なビジネスモデルを築くことができるのです。
自社や商品・サービスに箔をつけるメリット
では、自社や自社の商品・サービスに箔をつけるとどのようなメリットが得られるのでしょうか。
主なメリットは、次の3つです。
・顧客の購買意欲を刺激し、売上が上がる ・ブランドに対するロイヤリティが高まり、リピート率が向上する ・専門家・権威として見られ、信用されやすくなる |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
顧客の購買意欲を刺激し、売上が上がる
商品やサービスを選ぶときに、「これは良さそう」「信頼できそう」と思わせる要素があると、顧客の購買意欲は自然と高まります。
たとえば、「〇〇賞受賞」「専門家監修」「有名人推薦」といった箔のついた情報は、顧客の背中を押す決め手となり、成約率や客単価の向上につながります。
ブランドに対するロイヤリティが高まり、リピート率が向上する
顧客に一度商品やサービスを利用してもらい、「やはりこの会社(商品)は信頼できる」と感じてもらえると、継続的な支持につながります。
ブランドに箔がつくことで、企業としての格が高まり、他社への乗り換えを防ぎやすくなります。
その結果、ブランドへのロイヤリティが深まり、リピート購入の可能性も高まるのです。
専門家・権威として見られ、信用されやすくなる
情報があふれている現代においては、「誰が発した情報なのか」がこれまで以上に重要です。
講演活動や書籍出版、メディア出演といった実績があると、それだけで専門家や権威として見られ、取引先や顧客からの信頼が得やすくなります。
特にBtoBビジネスにおいては、初対面であっても大きな信頼を得ることができ、その後の取引においても有利に働きます。
自社や商品・サービスに箔をつけるための方法
自社や商品・サービスに箔をつけるためには、信頼性や独自性を社会に示す必要があります。
箔をつけるための方法として、以下の3つが挙げられます。
・商品・サービスそのものを磨く ・実績や受賞歴をアピールする ・情報発信によってブランド価値を伝える |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
商品・サービスそのものを磨く
箔をつけるうえで、本質的で持続性の高い方法は、商品やサービスの質を高めることです。
クオリティが高ければ、顧客満足度が向上し、自然と好意的な評価が集まり、SNSやレビューでの高評価が箔となってブランドの信頼性を高めてくれます。
単なる装飾的な魅力アップではなく、本質的な価値に裏打ちされた信頼は、競合との差別化にもつながります。
実績や受賞歴をアピールする
他社や第三者からの評価は、「客観的な信頼」を得る手段となります。
たとえば、業界アワードの受賞や大手企業との取引実績、導入実績数の提示などは、信頼の証として積極的にアピールすべきポイントです。
受賞歴や実績は「第三者から評価されている」という説得力を持ち、見込み顧客やパートナー企業に好印象を与えます。
名刺やWebサイト、提案資料などに分かりやすく記載することで、箔を可視化できます。
情報発信によってブランド価値を伝える
自社や商品・サービスの価値や想いを正しく社会に伝えることで、箔をつけ、ブランド力を高めることができます。
情報発信の方法としては、主に次の3つがあります。
・講演・セミナーを開催する ・プレスリリースや取材対応を通じてメディア露出を図る ・書籍を出版する |
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
講演・セミナーを開催する
経営者や担当者が登壇する講演・セミナーは、企業のビジョンや専門性を直接顧客に届けられる場です。
講演やセミナーを開催することで、顧客やパートナーとの信頼関係を深め、業界内での自社のポジションを高めて存在感を示すことができます。
また、登壇の様子を動画やSNSで発信すれば、当日参加できなかった顧客にも企業の姿勢を届けることが可能です。
さらに、第三者主催のイベントに招かれることは、専門家であることの証明にもなり、さらなるブランド強化へとつながります。
プレスリリースや取材対応を通じてメディア露出を図る
マスコミや業界メディアへの情報提供を積極的に行うと、第三者評価としてのメディア掲載を得ることができます。
企業自らが語る自社の魅力よりも、第三者であるメディアが紹介することで、情報の信頼性や客観性が格段に高まります。
メディアへの露出が増えれば、「この会社は信頼できる」「注目されている」というポジティブな印象を広めることができるでしょう。
また、Webメディアでの掲載はSEO対策としても効果的です。
企業名やサービス名で検索した際に記事が上位表示されることで、検索エンジンからの信頼性(E-E-A-T:経験・専門性・権威性・信頼性)向上にもつながります。
書籍を出版する
書籍の出版は、企業の理念や専門的知見を体系的に伝える情報発信手段の一つです。
「著者」という肩書きは強力なブランディング要素となり、営業・採用・広報といったあらゆる企業活動において活用できます。
なかでも営業においては、書籍を名刺代わりに手渡すことで、初対面でも「信頼できる専門家」という印象を与えやすくなります。
出版はまさに「信用と実績の証」といえるため、独自性をアピールするうえで効果的です。
▶︎企業出版のやり方については、関連記事【企業出版(ブックマーケティング)のメリットとは? 企業が考えるべき出版による効果】もあわせて参考にしてください。
箔がつくだけではない!企業出版によって得られる効果
自社や商品・サービスに箔をつけるための方法の一つに書籍の出版があることを紹介しましたが、出版の効果は箔をつけるだけにとどまりません。
企業出版は、以下のような効果も期待できます。
・ブランディングの強化につながる ・メディア露出が増加する可能性が高まる ・営業ツールとして活用できる ・採用活動で人材が集まりやすくなる |
企業出版は一時的な効果ではなく、中長期的に企業の価値を高める資産として機能する点が特徴です。
4つの効果を詳しく見ていきましょう。
ブランディングの強化につながる
書籍は企業の「思想」「専門性」「社会的な立ち位置」を、信頼性のある形で社会に伝える媒体です。
WebサイトやSNSと異なり、本という媒体自体が「信頼の証」となるため、企業ブランドに箔をつけて格を上げる効果があります。
特に、オンライン上で情報があふれかえり、信頼性の見極めが難しくなっている現代においては、「時間と労力をかけて編集・出版された書籍」は、質の高い情報源として一目置かれる存在です。
出版社による審査や編集を経て出版されることで、企業の考えや専門性に対する本物感が生まれます。
メディア露出が増加する可能性が高まる
書籍を出版すると、書籍そのものが話題となって、メディアへの露出機会が広がるケースが多く見られます。
新聞や業界誌、Webメディアなどに「出版をきっかけとした取材」が入ることも少なくありません。
また、書籍出版のプレスリリースの発行や出版記念イベントなどを通じて、広報のフックとして活用することも可能です。
実際に、出版直後に「どのような経緯で書籍を出したのか」「どんな内容が書かれているのか」などを切り口に、多くのメディアからインタビューや記事掲載の依頼が寄せられることがあります。
こうした第三者による紹介は、企業自身の発信とは異なり、客観性と信頼性のある情報として受け取られるため、広報効果がより高まるでしょう。
営業ツールとして活用できる
書籍を営業活動に活用することもできます。
特に初回商談や提案の際に、自社の実績や理念をまとめた書籍を渡すことで、信頼性・専門性・安心感を短時間で伝えることが可能です。
たとえば、事前に商談が決まっている見込み客に書籍を送っておくことで、商談当日までに内容を読んでもらえる可能性が高くなります。
見込み客が書籍を読んだ状態で商談を迎えられれば、商品・サービスの基本理解が進んでいるため、質疑応答がスムーズに進むというメリットもあります。
実際にある企業では、初回商談時に見込み客が書籍に付箋を貼ってきたページの質疑に答えただけで、懸念点が解消され、スピーディーな受注につながったという事例もありました。
書籍は単なるパンフレットや会社案内とは異なり、幅広い情報や企業の哲学まで網羅しているため、「この企業は本気でこの分野に取り組んでいる」という印象を与えることができます。
採用活動で人材が集まりやすくなる
書籍は、採用活動においても役に立ちます。
会社の理念や代表者の考え方などを伝えることで、応募者が企業に共感しやすくなり、結果として企業理念に共感した人材を確保することにつながります。
特に若年層は、「どんな思いで仕事をしているのか」「どのような社会的使命があるのか」などに興味を持って応募するケースが増えており、書籍を通じて企業の価値観を伝えることは効果的です。
採用後のミスマッチを防ぐという意味でも、出版は有効な手段の一つといえるでしょう。
書籍出版で箔をつけることに成功した事例
ここでは、書籍出版によって箔をつけることに成功した事例を紹介します。
・持論を形にして箔がついた保険代理店の事例 ・他社との差別化と売上アップを実現した公認会計士事務所の事例 |
具体的にどのような取り組みが行われ、どのような効果が得られたのか、以下で見ていきましょう。
持論を形にして箔がついた保険代理店の事例
法人保険を取り扱っている保険代理店の社長は、2023年に『人材が続々集まる、メキメキ育つ!スゴい保険代理店経営』という書籍を出版し、人材育成に関する持論を展開しました。
その結果、業界内でのポジションが確立され、次のような成果を得ました。
同業からのコンサル依頼が複数寄せられた保険会社からの講演依頼が舞い込んだ商談前に本を読んでもらうことで、深い議論につながり大型契約が成約できた本を読んだ人材が応募してきて採用活動にも効果があった |
書籍出版によって箔がつき、直接的な売上だけでなく、ブランド力・人材力・企業文化に良い影響を及ぼした事例です。
▶︎保険代理店の詳しい事例については【【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店】もあわせて参考にしてください。
他社との差別化と売上アップを実現した公認会計士事務所の事例
公認会計士事務所の所長は、独立直後に海外進出の第一人者という「箔をつける」ために『次世代リーダーが知っておきたい 海外進出”失敗”の法則』という書籍を出版しました。
結果として、以下のような効果を得ました。
出版直後から同業の会計士コミュニティ内で注目されるようになった発売後わずか一週間でAmazonだけで数百冊を販売した地元新聞やラジオ、クーリエ・ジャポンなどの複数のメディアから取材の申し込みがあった出版をきっかけにセミナー講師依頼や商談の機会が急増した |
書籍の出版は「専門性」や「信頼性」を可視化する手段となり、出版をきっかけとしたブランド強化と事業拡大につながっています。
▶︎公認会計士事務所の詳しい事例については【【事例コラム】出版をきっかけにメディア取材が続々、著名人との対談も実現!”海外進出の第一人者”のポジションを得た公認会計士】もあわせて参考にしてください。
【まとめ】「箔をつけたい」経営者こそ、企業出版で次のステージを目指そう!
本記事では、「箔をつける」ことの本質や必要性、自社ブランドの格を上げる具体的な方法としての企業出版の効果、さらには成功事例を通して、書籍を活用したブランド戦略の実践的なヒントをご紹介しました。
特に差別化が難しい現代において、信頼性や専門性といった「目に見えにくい価値」を可視化する手段として、箔をつけることの重要性が高まっています。
その中でも、自社の思想や強みを体系的に発信できる書籍出版は、他にはない独自性を打ち出す手段として注目されています。
フォーウェイでは、書籍をマーケティングに活用する「ブックマーケティングサービス」を行っており、箔をつける方法として有効です。
次のステージへと飛躍を目指す経営者にとって、企業出版は単なる広報手段ではなく、信頼とブランド価値を築く手段です。
あなたのビジョンを形にし、世の中に示す一冊を検討してみてはいかがでしょうか。
競合がひしめく現代の市場において、「選ばれる企業・商品」になるには「ブランド力」が不可欠です。
価格や機能だけでは差別化が難しいため、顧客からの信頼や共感を得るための「ブランディング」がますます注目されています。
しかし一口にブランディングといっても、「そもそも何を指すのか?」「マーケティングと何が違うのか?」といった疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。
ブランディングの重要性は理解していても、具体的に何から始めればよいのか分からないという声も少なくありません。
本記事では、ブランディングの基本的な意味や手法、そして出版を活用した成功事例などを詳しく解説します。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
ブランディングとは
ブランディングとは、自社独自のブランドを構築し、その価値を社会に認知・浸透させることで信頼や共感を得て、他社との差別化や企業価値の向上を図るマーケティング戦略の一つです。
ここでいう「ブランド」とは、単にロゴや名称を指すのではなく、他社とは明確に区別できる「企業や商品・サービスの個性」そのものを指します。
ブランドというとファッションや高級品などの世界を思い浮かべてしまうかもしれませんが、ブランディングは中小企業や地域密着の小規模事業者であっても、決して無関係なものではありません。
たとえば、「一人ひとりのお客様にきめ細やかな対応ができる」という点が自社の強みであれば、それもブランディングのポイントになるからです。
自社の商品やサービスをお客様に選んでもらうためには、選ばれる仕組みを作る必要があります。
つまり、ブランディングは意図的にブランドを設計し、市場に根付かせていくための一連の取り組み全般を意味します。
ブランディングの目的
市場に同様の商品やサービスがあふれるなかで、「この会社」や「この商品・サービス」を選ぶ理由を明確にするのがブランディングの目的です。
単に機能や価格だけの価値で判断するものではなく、感情や価値観によるつながりを重視します。
たとえば、「環境負荷への取り組みに熱心な企業」には、環境問題に対する意識の高い方が興味を寄せる可能性が高いといえるのではないでしょうか。
ブランディングによって企業や商品・サービスへのイメージが確立され、他社との差別化ができていれば、物や情報があふれるなかで記憶に残りやすくなります。
良いと思った顧客がSNSや口コミを通じて拡散する可能性が高く、「○○といえばこの商品」のように認知度の向上に役立つでしょう。
ブランディングで企業や商品・サービスに対する信頼性が高まれば、ブランドに愛着を持つロイヤルカスタマーやリピーターを獲得でき、長期的な売上や利益の向上にもつながります。
ブランディングとマーケティングの違い
ブランディングもマーケティングも企業が行う取り組みという点では共通していますが、その目的や手法が異なります。
マーケティングは自社の商品やサービスを販売することが目的です。
そのために顧客のニーズを知るために市場調査を行ったり、商品・サービスを理解してもらえるような宣伝広告や販売促進の活動を行ったりします。
一方で、ブランディングは、自社や自社の商品・サービスに対するイメージを構築することが目的です。
顧客からの好感や信頼を得ることを目的とし、他社とは異なる独自のイメージを思い浮かべてもらい、選ばれるような活動を行います。
▶︎マーケティングとブランディングの違いの詳細については、関連記事【マーケティングとブランディングの違いとは?経営戦略における重要性を徹底解説】もあわせて参考にしてください。
現代のブランドを構成する要素
ビジネスでいわれるブランドとは、たとえば高級革製品のエルメスやグッチといったブランドが皆さんにも馴染み深いでしょう。
こうしたハイブランドのみならず、自動車のトヨタや家電のパナソニックなどもブランドです。
現代のブランドを構成する要素には、たとえば次のようなものがあります。
・企業や製品のロゴ ・名称や商標 ・広告などに用いられるキャッチフレーズ ・WEBサイトやその他制作物のデザインとコンテンツ ・CSRなど企業の理念を体現した取り組み ・経営者や社員による社会への発信 |
企業と社会とが接点を持つすべての施策による総合的なイメージから、ブランドが形作られるのです。
そして、ブランドを意図して確立するために行なう取り組みを総称して、「ブランディング」と呼びます。
ブランディングには4つの分類がある
「○○ブランディング」と呼ばれる手法や考え方は多数存在しますが、実はその多くは4つの視点で分類できます。
・何をブランディングするのか? ・誰に向けたブランディングか? ・どの市場を意識したブランディングか? ・どんな手法でブランディングするか? |
以下で4つの視点からのブランディングを紹介します。
何をブランディングするのか?
何をブランディングしたいのかで、発信すべき内容や他社と差別化するポイントも変わってきます。
具体的には、以下の3つです。
・企業ブランディング ・商品・サービスブランディング ・採用ブランディング |
企業そのもののブランディングをしたい場合と、商品・サービスに焦点を当てたブランディング、自社に応募してくれる求職者に対するブランディングの3つに分けて解説します。
企業ブランディング
企業ブランディングは「コーポレートブランディング」とも呼ばれ、企業そのものの価値やイメージを社会に認知してもらうことを目的としたブランディングです。
経営理念やビジョン、企業文化や社会的なスタンスなどを社会に対し、一貫した形で発信することでその企業らしさを打ち出します。
▶︎企業ブランディングについては、関連記事【企業ブランディングとは?効果や具体的な8つの手法を徹底解説】もあわせて参考にしてください。
商品・サービスブランディング
商品・サービスブランディングは、名前の通り、自社の商品やサービスの価値・魅力を高めるためのブランディングです。
品質・価格・独自性・ストーリー性など、競合他社と差別化できる要素を打ち出し、自社が「選ばれる理由」を確立します。
たとえば、「高品質ながらリーズナブルな価格」「専門知識の豊富なスタッフによる丁寧な対応」などです。
▶︎商品・サービスブランディングについては、関連記事【商品ブランディングとは?効果や手順、具体的な手法を解説】もあわせて参考にしてください。
採用ブランディング
採用ブランディングはお客様ではなく、求職者に対して自社の魅力や理念を訴求します。
自社に対して共感を持って応募してもらうためのブランディングであり、人手不足の時代において、良い人材に「この会社で働きたい」と選ばれる企業になることが目的です。
企業ブランディングで訴求する理念やビジョンとブレがないよう、連動している必要があります。
▶︎採用ブランディングについては、関連記事【採用ブランディングとは?選ばれる企業になるための進め方とは」もあわせて参考にしてください。
誰に向けたブランディングか?
誰に向けたブランディングかでも違いがあり、大きく分けて2種類があります。
内向きのインナーブランディングと外向きのアウターブランディングという、異なる視点のブランディングについて、さらに詳しく掘り下げます。
インナーブランディング
インナーブランディングとは、企業の理念やビジョン、価値観を社内に浸透させるためのブランディング施策です。
従業員が企業の方針に共感し、「自分もその価値を体現する存在である」という意識を持って働けるようになることで、結束力やエンゲージメントの向上につながります。
また、採用後のミスマッチを防ぎ、定着率を高めたい企業にとっても欠かせない取り組みです。
▶︎インナーブランディングについては、関連記事【インナーブランディングとは?組織としての連携を強化し企業価値を高めるための手法を解説】もあわせて参考にしてください。
アウターブランディング
アウターブランディングは、顧客や取引先はもちろん、求職者なども含めた社外に対して企業や商品・サービスの魅力を発信する活動です。
紙の広告やテレビCMからWebサイトやSNSまで、さまざまな媒体を通じてブランドイメージを定着させ、「この会社やこの商品・サービスなら信頼できる」と思ってもらうことを目的とします。
どの市場を意識したブランディングか?
どの市場に向けてブランディングを行うのかによっても、訴求の方法や踏まえておくべきポイントが異なります。
主な市場として、3つあります。
・BtoCブランディング ・BtoBブランディング ・地域ブランディング |
それぞれのブランディングの特徴と重要なポイントは、以下の通りです。
BtoCブランディング
BtoCブランディングは、個人の消費者を対象としたブランディングです。
BtoCブランディングでは、感情に訴えるメッセージやビジュアル訴求が重視されます。
商品に愛着を持ってもらったり、サービスを信頼してもらったりなど、ブランドへの共感を得る必要があります。
また、消費者が普段から直接手にする食品や化粧品、アパレル、サービスなどを対象としていることが多いため、ライフスタイルへの親和性があることもポイントです。
BtoBブランディング
BtoBブランディングは、法人向けのブランディングです。
BtoCブランディングのように感情を煽るようなメッセージやビジュアルに頼るのではなく、実績や専門性、信頼を訴求します。
一般の消費者は商品やサービスを気に入れば、すぐにでもアクションを起こす可能性がありますが、企業の場合、その場で決定することは稀です。
意思決定までの過程が多く、複数人によって選定されるため、論理に基づいた説明や安心感のある情報提供が重要です。
BtoBブランディングの具体例としては、コンサルティングやITサービス、製造業などがあります。
地域ブランディング
地域ブランディングは特定の地域に根ざした文化や資源の価値を明確にして発信することで、地域全体のブランド価値を高める活動です。
たとえば、地域産の製品をブランド化する、自然景観や食文化、温泉などの観光資源をもとに観光客を呼び込むなどの活動があります。
また、移住促進といった取り組みも、地方創生の一環として注目されています。
どんな手法でブランディングするか?
ブランディングの手法による分類も4つあります。
・デザインブランディング ・SNSブランディング ・ストーリーブランディング ・出版ブランディング |
それぞれの特徴や有効なケースを紹介します。
デザインブランディング
デザインブランディングは、視覚的要素を一貫させてブランドイメージを確立する手法です。
ただし、見た目が美しければいいというわけではありません。
たとえば、企業を象徴するカラーで統一すると、イメージと合致しやすいでしょう。
カラー以外でもロゴやフォント、パッケージやWebサイトに至るまで、ブランドに関わるものをイメージに合わせて統一する必要があります。
視覚に訴えかけるデザインブランディングは直感的な印象づけに強く、短時間でブランドを認識してもらうのに有効です。
SNSブランディング
SNSブランディングはSNSを活用してブランドの世界観を発信し、親近感を育てる手法です。
InstagramやX(旧Twitter)、Facebook、Tik Tokなど、複数のツールから顧客層に合うものを選び、発信します。
ユーザーが日常的に利用しているツールを活用し、双方向でやり取りできるのがメリットです。
ユーザーの反応を確認できるほか、意見や感想を受け取ったうえでコミュニケーションが取れるため、エンゲージメントの高いブランド構築に効果的です。
ストーリーブランディング
ストーリーブランディングは、ブランドの成り立ちや商品開発の背景、創業者の想いなどを物語として発信し、ユーザーの共感を得るブランディングの手法です。
「なぜこのブランドなのか」を言語化してストーリー仕立てにすることで、記憶にも残りやすくなり、ブランドそのもののファンになってくれる可能性も高まります。
▶︎ストーリーブランディングについては、関連記事【ストーリーブランディングとは?企業の物語を伝えてファンを作る方法】もあわせて参考にしてください。
出版ブランディング
出版ブランディングは、書籍や電子書籍、ホワイトペーパーなどを活用し、自社の思想や専門性、信頼性を発信することでブランドの権威づけを行う手法です。
インターネットを検索すれば多くの情報を得られるものの、根拠が不明な情報もあふれています。
その点、「書籍を出版した」という実績は、信用獲得につながりやすいのがメリットです。
▶︎出版ブランディングについては、関連記事【出版ブランディングとは?次なるステージに進みたい企業におすすめの施策】もあわせて参考にしてください。
ブランディングによって得られるメリット
ブランディングによって得られるメリットは、主に5つです。
・価格競争から脱却できる ・顧客ロイヤルティが向上し、売上とリピート率のアップにつながる ・広告宣伝にかかるコストを抑えられる ・社員のモチベーションアップにつながる ・優秀な人材を集めやすくなる |
5つのメリットについて、それぞれ詳しく解説します。
価格競争から脱却できる
「ブランド力がある」というと、「高級なイメージがあって価格が高くても買ってもらえる」という意味と同義で考えている人が多いかもしれません。
こうした認識はブランドの一部を捉えていますが、本来のブランドはもう少し広い概念を含みます。
たとえば、アウトドアファッションブランドのパタゴニアは、「リサイクル素材100%使用のアイテム開発」「持続的な農業研究への参画」など、環境意識の高いサステナブルな企業としての取り組みを積極的に発信しています。
このブランディングが功を奏し、環境意識の高い先進的な人々から、他のブランドではなく絶対にパタゴニアを選ぶ、というファン層を多く獲得しているのです。
シューズメーカーのドクターマーチンは、その独特な丸みを帯びた靴のフォルムがイギリスのロックカルチャー文化の体現としてブランド化され、ブリティッシュロックのファン層から積極的に選ばれています。
ほかに有名どころだと、コーヒーチェーンのスターバックスは、元CEOのハワード・シュルツ氏による「サードプレイス(家でも職場でもない素敵な第三の場所)」というコンセプトに基づいたブランディングの成果で、外で落ち着いてコーヒーを飲みたいユーザーが真っ先に思い浮かべる場所として自社を位置づけることに成功しました。
これらのブランディング成功企業は、必ずしも競合に比べて価格がとても高いわけではありません。
重要なポイントは、ブランディングによって自社の位置付けや考え方をユーザーと明確に共有し、競合と比較されずに指名で選ばれる商品・サービスにできた点です。
ブランディングに成功すれば、競合との値下げ競争から解き放たれ、適正な利益を確保しながらブランドをより強化する取り組みに経営資源を割くことができています。
顧客ロイヤルティが向上し、売上とリピート率のアップにつながる
ブランディングが成功すると、自社そのものや提供する商品・サービスに対して、安心感や信頼感を持ってもらえます。
愛着が湧き、ファンとして育ってくれると、「また次も商品を購入しよう」「サービスを利用しよう」という感情を起こさせるため、結果的に売上やリピート率のアップにつながります。
広告宣伝にかかるコストを抑えられる
ブランディングによって既存の顧客がファン化してくれると、顧客自身がSNSや口コミで情報を拡散してくれる可能性が高まります。
SNSなどで拡散されれば、それまで自社や自社の商品・サービスに興味がなかった新しいターゲット層にも情報が届き、アプローチしやすくなるのもメリットです。
結果的に広告宣伝にかかるコストを抑えつつ、事業の拡大も狙うことができます。
社員のモチベーションアップにつながる
ブランドイメージが確立して自社が提供する商品やサービスに自信が持てるようになると、社員にも自社に対する誇りが生まれます。
企業が掲げる理念や価値観に共感し、やりがいを持って働けるようになることで業務に対するモチベーションも上がり、生産性の向上にもつながります。
優秀な人材を集めやすくなる
ブランディングによって企業の価値や信頼度が向上すると、既存の社員の共感を得られるだけではなく、求職者にとっても魅力のある企業として認識されます。
「この企業で働きたい」という応募者が集まりやすくなると、従来ほど採用に注力する必要がなくなり、コストの削減にもつながります。
ブランディングを成功させる4ステップ
では、実際にビジネスの現場でブランディング、あるいはリブランディングを成功させる方法を解説します。
今回は、個人事業主や小さな企業でもブランディングを実行できるように、ごくごくシンプルなステップにまとめました。
・ブランディングのステップ①自社ブランドの現状測定 ・ブランディングのステップ②ブランドコンセプトとターゲットの決定 ・ブランディングのステップ③個別施策の精査と実行 ・ブランディングのステップ④効果の検証と改善(PDCAを回す) |
4つのステップに分けて、詳しく解説します。
ブランディングのステップ①自社ブランドの現状測定
ブランディングに取り組むうえでまず行なうべきは、現状の自社ブランドについて、客観的に把握することです。
それには、ユーザーの声を聞くことが最も有効です。
自社の既存ユーザーにアンケートを取ったりヒアリングをかけたりして、なぜ自社を選んだのか聞いてみてください。
自社の担当者から直接聞くとおべっかを使われてしまう可能性があるので、外部調査機関を使っても良いでしょう。
一方で、「選ばれなかった理由」を知るのはさらに重要です。
営業マンなどから、商談のなかで競合に決まってしまったケースの情報を可能な限り多く集め、社内で徹底的に分析しましょう。
この際、「価格では負けていなかったのに競合に取られてしまった」「競合であると考えていなかった低価格低品質の他社に取られた」といった事例が必ず出てくるはずです。
このような事例こそ、自社のブランド力不足を明らかにするヒント。
ブランドが確立していれば起こり得ないケースだからです。
とことん突っ込んで議論し、自社の現状を謙虚に把握しましょう。
ブランディングのステップ②ブランドコンセプトとターゲットの決定
自社のブランドについて現状を把握したら、次は進むべき方向を定めます。
ステップ①で把握した現状の不足に対して、それを克服できるようなブランドコンセプトを定め、自社のターゲットも同時に明確にします。
実在の例を用いると、次のような内部コンセプトを決定するイメージです。
おしゃれで先進的な人々に対し、クールな製品を通じたスタイリッシュなライフスタイルを提供する(Apple)最も安心できる自動車をお手頃価格で求める人々に対し、運転しやすく安全性能の高い、丈夫なクルマを適正価格で提供する(トヨタ自動車)モノへのこだわりを表現して自分自身をブランディングしたいハイソサエティ層に対し、職人一人ひとりのストーリーが詰まった最高品質の腕時計を提供する(リシャール・ミル) ※それぞれのブランドの内部コンセプトは、当社の独自分析によるものです。 |
このように、ターゲットを含めた内部コンセプトがはっきりすると、ブランディングの方向性は自然と明確になってきます。
ブランディングのステップ③個別施策の精査と実行
ブランドコンセプトとターゲットが定まったら、自社が現在、ユーザーと持っている接点をすべて再検証します。
たとえば、ハイソサエティ向けに高品質な商品・サービスを提供しているのに、自社サイトがポップなデザインで「安さ・手軽さ」を売りにしているようであれば、ブランドコンセプトとのミスマッチになります。
製品に対する哲学やサービスに対する思いを強みにしたいのに、自社の理念やストーリーを何も公開していないとしたら、ブランディングは成功しません。
このように、あるべき自社のブランドに沿った施策をきちんと取っているか精査し、足りない施策は新たに実行する必要があるのです。
ブランディングプロセスの好事例として、ゼネコンの前田建設工業の取り組みを紹介しましょう。
ゼネコンとはブランディングの難しい業種です。
ある程度の規模であればどこも技術力や得意な工事にはさほど差がなく、結局横並びで「安心」「誠実」といった抽象的なメッセージを発信するブランディング施策になってしまいがちなのです。
前田建設工業についても、特徴や強みの打ち出しに苦労していたことは容易に想像できます。
そこで前田建設工業が行なったのは、特設ページによる「前田建設ファンタジー事業部」というコンセプトの打ち出しです(https://www.maeda.co.jp/fantasy/)。
前田建設ファンタジー営業部は特設サイトにおいて、「マジンガーZ地下格納庫一式工事は予算72億円、工期6年5ヵ月(ただし機械獣の襲撃期間を除く)で引き受けます」など、ファンタジー世界の構造物を実際に大手ゼネコンが請け負ったらどうなるか、という空想を面白コンテンツとして展開。
そのマニアックさと異様なまでの緻密な分析によってサイトが大ヒットし、同テーマで出版した書籍もベストセラーになりました。
2020年には映画も公開されています。
こうした、ブランドの現状を見据えた一連のブランディング施策により、前田建設工業は「遊び心があって挑戦的なゼネコン」としてのブランドを確立することに成功。
会社の知名度を大きくアップさせるとともに、競合と比べられない独自の立ち位置を確立したのです。
このほかにも、テレビCMをはじめとした大規模な広告ブランディングや、自社店舗の全店改装でブランディングを成功させた事例が見られます。
ただ、今回は「予算がそれほど潤沢でなくても実行できる」という観点に重きをおいて解説しました。
ブランディングのステップ④効果の検証と改善(PDCAを回す)
ブランディングは一度行ったら終わりではありません。
トレンドが変化して、ブランディングの内容とは合わなくなってしまうこともあるでしょう。
また、競合他社が増え、市場の状況が変わる場合もあります。
そのため、ブランディングは中長期視点で考え、効果を上げているかどうかを定期的に検証することが重要です。
ブランドがどのくらい認知されているのかを検証する方法には、以下があります。
・Webサイトへのアクセス数や訪問者の行動 ・SNSへのリアクション ・メディア掲載数 ・口コミやレビューサイトでの評価 |
自社のブランディングに合う検証方法で効果を見直し、修正点が見つかれば戦略を練り直して改善に努めましょう。
ブランド力を高めるなら出版ブランディングがおすすめ!
企業の専門性や信頼性を伝える手段として、出版ブランディングが効果的です。
現代ではインターネットを駆使すれば、さまざまな情報を入手できます。
しかし、根拠があいまいだったり、出典が明記されていなかったりする情報も多く、必ずしも正確な情報が得られるとは限りません。
一方、信頼できる出版社から書籍を出版し、自社の思想やノウハウを体系的に伝えられれば、ブランドに対する「信頼」や「共感」を獲得しやすいのがメリットです。
出版実績が注目されれば、他社との差別化やメディア露出のきっかけにもつながります。
書籍出版はBtoC・BtoB領域だけではなく、求職者に向けた採用ブランディングやPR強化にも活用できます。
ブランド価値を根本から高めたい企業には、出版ブランディングは効果的な施策です。
▶︎企業出版のやり方については、関連記事【企業出版(ブックマーケティング)のメリットとは? 企業が考えるべき出版による効果】もあわせて参考にしてください。
出版ブランディングの成功事例
実際に出版ブランディングを実施し、成功した事例は以下の3つです。
・出版を通じて著者をリブランディング!建設業コンサルタントの出版成功事例 ・医師向けブランディングに成功!不動産投資会社の出版プロモーション事例 ・発売前に重版決定!美容・健康食品ブランドの信頼性とリピート率を高めた出版事例 |
3つの事例をそれぞれ紹介します。
出版を通じて著者をリブランディング!建設業コンサルタントの出版成功事例
建設業専門のコンサルティング会社が、自社の事業を認知してもらうために書籍を出版しました。
同社は2016年にも書籍を出版しており、今回はその後に蓄積されたノウハウや成功事例をより分かりやすく体系化した最新版として再発信することが目的でした。
出版にあたって、ターゲット層に届けられるように「建設業のための」という文言をタイトルに入れ、専門分野を明確にしています。
その結果、発売からわずか1か月で重版が決定し、累計発行部数は5,000部を突破。
livedoor NEWSやLINEニュースをはじめ、計17媒体に取り上げられ、反響を呼びました。
出版をきっかけに、コンサルティング契約の問い合わせが10数件増え、顧客層の広がりにもつながっています。
医師向けブランディングに成功!不動産投資会社の出版プロモーション事例
不動産投資サービスを手がけるある不動産会社の経営者は、もともとSNSやWeb広告で情報を発信していたものの、効果は得られていませんでした。
そこで、「医師にとって最も効果的な節税対策は不動産投資である」というメッセージを軸にした書籍を出版。
企画段階からターゲット戦略を明確にし、出版後のプロモーションまで一貫して設計した結果、多くの医師に書籍を手に取ってもらうことができました。
その結果、書籍を読んだ医師に不動産投資による具体的な節税効果が伝わり、発売から6か月間で獲得した10件の問い合わせすべてが成約という、驚異の成約率100%を達成しました。
さらに既存顧客から情報が拡散され、新規顧客の獲得にもつながっています。
発売前に重版決定!美容・健康食品ブランドの信頼性とリピート率を高めた出版事例
美容・健康食品ブランドは、既存顧客のファン化と企業ブランディング強化を目的に、代表自らの人生観を反映した書籍を出版しました。
出版記念として行った書籍プレゼント企画には、想定の6倍以上の応募が集まり、読者から共感の声が多数届いたことでブランド好感度が上昇。
LTV(顧客生涯価値)も出版前より明確に向上しました。
著名人とも連携したことで発売前から重版が決定し、メディアにも取り上げられています。
さらに、自社メディアやSNSでの出版実績が差別化要素となり、テレビ通販番組への出演や講演依頼も実現し、出版が「信頼の証」として、ビジネスチャンスにつながりました。
【まとめ】出版ブランディングでブランド力を高めよう!
ブランディングは競合他社との差別化を図り、企業の価値を向上させるためにも重要な戦略です。
ブランディングは4つの視点で分類でき、目的に応じてさらに細かい手法があります。
なかでも、出版ブランディングは自社の理念や思想、ノウハウなどを書籍として体系的にまとめて伝えられるため、信頼や共感を獲得しやすいのがメリットです。
フォーウェイでは、出版マーケティングを中心として、企業の成長を支えるサービスを展開しています。
「集客のため」「採用活動のため」など、企業によって異なる具体的な目的を達成できるよう、コンサルティング目線でサポートしています。
出版ブランディングを含め、自社のブランディングにお悩みの方は、フォーウェイまでご相談ください。
企業がマーケティングやブランディングのために行う企業出版(ブックマーケティング)。
出版不況と呼ばれる時代において、企業出版をメインでサポートしている出版社は売上や刊行点数を伸ばし続けています。
つまり、企業が企業出版を決断する機運は高まっているといえるでしょう。
企業が自らのストーリーや価値観を世に伝える手段として、書籍というメディアの可能性が再評価されています。
今回の記事では、企業出版(ブックマーケティング)のメリットを紹介しつつ、数字では表せない、企業出版だからこそ実現できる書籍の使い道を解説します。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
企業出版とはベストセラーを狙う出版ではない
出版を実施するにあたり、どうしても気になるのは書籍が売れるかどうか。
ただし、企業出版については、売れる本を作ることを目的としていません。
誤解を避けるために詳しく解説すると、企業出版はベストセラーになる本を目指してはいませんが、「狙ったターゲット」に売れる本を作ります。
出版に際しては企業のマーケティング戦略同様、自社の商品やサービスを知ってほしい顧客層をターゲットとして設定します。
そのうえで、設定したターゲットが手に取りたくなるような企画づくりや、書籍のカバーデザインを仕上げるのです。
不特定多数へ知らしめる広告手法としてではなく、明確なターゲットがある企業であればあるほど、企業出版は適しているといっても良いでしょう。
改めて正確にお伝えすると、企業出版とは、企業が自社の情報や専門知識を書籍の形式で出版することです。
出版社によって「カスタム出版」とも呼ばれます。
企業出版はブランディングや販促活動の一環として活用され、読者に対して企業の知見や価値を提供し、著者のビジネスにつなげることを目的としています。
近年、経営課題を解決する方法として出版を選ぶ企業は増え続けており、多くの企画が実際に出版に至っています。
そうした需要を背景に、既存の出版社が企業出版サービスを提供するケースも増えており、企業出版を専門とする出版社も出始めているようです。
企業出版の発行部数は、プランによって幅がありますが1,000〜5,000部くらいです。
部数や流通範囲が拡大するほど出版費用は上がります。
流通については通常の商業出版と同様の規模で書店にまくケースや、特約書店のみに配本するケース、オンライン書店のみで流通するケースなどさまざまです。
ただ共通するのは、実際に本を店頭に並べるかどうかは書店側の判断になるため、出版前の想定どおりに書店に並ぶかどうかは出してみるまでわからないという点です。
本の企画をはじめ内容については、出版社からの提案を著者が承認して決める形になります。
自費出版のように自分ですべて作るのではなく、自分の表現したい内容をプロの編集者のスキルを借りて形にできるのは大きなメリットです。
出版社がプロのライターをつけてくれる方式が一般的なため、インタビューに答えて上がってきた原稿に赤入れすることが著者の負担になります。
なお、以下にフォーウェイが行った、企業出版経験者への効果実感アンケートの結果リンクも掲載します。
上記のメリットが想像以上に発揮されている事実がよくわかるので、興味があればぜひご覧ください(以下の画像をクリック)。
▶企業出版については、関連記事【「出版の広告効果とは? 企業出版と自費出版の違い」】もあわせてご参考にしてください。
企業出版と他の出版の違い
出版の方式には大きく分けて「商業出版」「自費出版」「企業出版」の3種類があります。
また、企業出版の中にも「集客・ブランディングなどのビジネスゴールの達成」を目的にする通常の企業出版と、弊社フォーウェイが提供する「費用対効果の高いマーケティング」を目的とする企業出版(ブックマーケティング)があります。
それぞれの違いは、次の通りです。
自費出版 | 商業出版 | 企業出版(通常) | 企業出版(ブックマーケティング) |
出版目的 | ⼩説・エッセイなど私的原稿の書籍 | ヒット作(ベストセラー)制作による出版社の利益確保 | 集客・ブランディングなどビジネスゴールの達成 | 最適な費⽤的効果によるマーケティング出版の実現 |
版元 | ⽂芸社、現代書林など | 通常の大手・中小出版社 | 幻冬舎、ダイヤモンド社など | フォーウェイのプロデュースによりグループ出版社パノラボから出版 |
編集体制 | なし(ほぼ校正・組版・製本のみ) | 出版社の編集者、実績豊富なライターやデザイナーによる制作(企画内容によってさまざまな形態がある) | フリー編集者や編プロへの委託制作経験の浅い編集担当による制作(の可能性) | 出版実績230冊を超えるプロデューサーの責任編集企業出版実績豊富な編集担当者を選抜ベストセラー実績の豊富なライターやデザイナーアサイン |
部数 | 最低500部程度から | 最低3000部程度から | 最低5,000部程度から | 最低1,000部程度から(企画内容により出版社負担での部数増あり) |
書店流通 | ほぼなし(⼤書店の「⾃費出版」棚への展開) | 出版社が積極的な書店流通を行う | ⼤⼿出版社通常(部数により500〜1,000書店程度) | 該当書籍のジャンルに合わせた書店営業の実施通常プランに100冊分の1か月書店プロモーション付き |
プロモーション | ほぼなし | 出版社が積極的にプロモーションを行う | リリース送付+オプションにより買取施策や数百万円単位の広告出稿(追加料⾦なしでの雑誌への露出などは原則なし) | ・リリース送付+セットプランにより割安に広告施策を提供+Amazon販売促進施策のWEB広告をサービス内で実施+オプションとして各種コンテンツサービス、SNSブースト、クラウドファンディングなどの先進的施策・提携ビジネス媒体への掲載確約 |
適した著者 | ・とにかく費⽤を抑えて「出版した」という事実が欲しい個⼈・製本された現物を⼿元に持ちたい⼈ | ・基本的に出版社から依頼を受けた人 | ・多額の予算を⻑期的ブランディングに投資する余⼒のある企業・⼤部数の⾃社買取を前提に出版する企業 | ・経営施策として出版の成功を求める中⼩〜中堅企業・費⽤対効果にこだわる経営者やプロフェッショナル・⾃費出版や企業出版・カスタム出版に満⾜できなかった経験のある⼈ |
3つの出版方法について詳しく解説します。
商業出版
商業出版は、出版社が費用を負担して企画し、著者に執筆を依頼する出版方式です。
著者には出版社から、発行部数に応じた印税が支払われます。
出版した本が重版すればするほど印税が増える、著者にとっては夢のある出版です。
予算のかけ方は企画によってさまざまで、原稿の書けない著者にはゴーストライター(ブックライター)を用意したり、イラストレーターやデザイナーを用意して全ページカラーにしたりと、出版社が「売れる」と判断した企画内容に沿って体制が作られます。
注意点として、商業出版では企画から原稿の内容に至るまで、基本的には出版社に決定権があります。
書籍を売ることを目的に出版社が投資し、売れなかった場合のリスクも引き受けるためです。
したがって、自分の本であっても著者の希望は通らない場合が多くなります。
実際に、以下のようなケースが見られます。
・「著者にとってはマイナスイメージになりそうな企画でないと出さない」と言われた ・著者の事業の宣伝を入れようとしたら「流通に支障が出る」「作品性が損なわれる」と断られた ・全然気に入っていないカバーデザインに決められた |
そのため、商業出版の経験者のなかには、「自社のビジネスメリットにもなるかと思って依頼を受けたけど、全然思いどおりにならなかった」といった不満が残っている方もいるようです。
また、商業出版として進行していた企画でも、編集者からのレスポンスがなく停滞して出版されなかったり、実際に出版したものの思うように売れず、結果として数百万円分の在庫を買い取ることになったりと、自費出版と変わらない費用負担が発生するという事例も少なくありません。
このようなリスクもあるため、契約前には内容を十分に確認し、納得したうえで進めることが大切です。
▶︎商業出版については、関連記事【商業出版とは?企業がブランディングを考えたときの出版の選択肢】も合わせて参考にしてください。
自費出版
自費出版は、個人が自身の著作物を自己負担で出版する形式です。
「小説や詩集など趣味で書き溜めていた原稿を出版したい」「人生の軌跡を記録として残したい」といったニーズが多いです。
特徴としては、流通規模の小ささです。
自費出版はおおむね100〜500部程度の発行部数で、書店流通はまったくなしか、ごく一部の書店への配本に限られます。
書店へ配本されるケースでも、「自費出版棚」などの棚にまとめられたり、配本されても書棚に並ばないケースが多いようです。
内容については、自費出版は100%、著者の思いどおりです。
カバーに自作のイラストを入れたりといったアレンジも好きなようにできます。
自費出版での出版社の仕事は、持ち込まれた原稿を校正し、デザインレイアウトして印刷することです。
一方で、「内容に自信がないからもっと売れるように改善提案してほしい」といった希望は叶わないと思ったほうが良いでしょう。
▶︎自費出版については、関連記事【自費出版のやり方を現役書籍編集者が1から分かりやすく解説!】も合わせて参考にしてください。
企業出版(ブックマーケティング)
企業出版(ブックマーケティング)とは、書籍をマーケティングに活用する出版方法です。
企業が自社の事業や商品・サービスなどについてまとめた書籍を出版し、企業や商品・サービスの認知度向上や購買意欲向上などに役立てることを目的としています。
近年はインターネットで簡単に情報を得られるようになりましたが、根拠があいまいだったり、情報源が不明確だったり、発信者の信頼性が低いケースも少なくありません。
その点、書籍は出版社や著者が明示されており、手元に残る形ある媒体であることから、インターネット上の情報よりも信頼性が高いと考えられています。
企業の強みである独自の技術や実績、企業としての取り組みなどをストーリーとしてまとめて一冊の書籍という形で出版すれば、書籍そのものの信頼性や出版社の全国的な販路を活かした効果的なマーケティングが可能になります。
▶︎企業出版(ブックマーケティング)については、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】も合わせて参考にしてください。
企業出版を実施するメリット
企業の商品やサービスをPRするうえで、世の中にはさまざまな広告手法があふれています。
そんななかで企業出版という形式だからこそ得られるメリットを紹介します。
自社商品やサービスを知ってほしいターゲットに認知拡大できる
世間一般的に認知度を上げるのに手っ取り早いのは、テレビCMや全国紙の新聞広告掲載です。
それぞれかなりの視聴者や購読者がいる媒体なので、認知度を上げるには最適でしょう。
ただし、こうしたマス媒体への広告は1回あたりの負担額が数百万〜数千万円と高額で、しかも広告を打ち続けないと効果は持続しません。
一方、企業出版の広告宣伝の場は書店にある各書棚になります。
先述した通り、狙ったターゲットに知ってもらえる理由の一つです。
たとえば、不動産投資会社が潜在顧客に自社を知ってほしければ、書店の「不動産投資」や「資産形成」の棚に並べることで、自ずと手にとってもらえます。
耳鼻科のお医者さんが耳の病気に関する書籍を出版すれば、耳の病気に悩む人が立ち寄る「家庭の医学」の棚に展開されます。
このように、知ってほしいターゲット層に認知してもらうには企業出版が適しているのです。
企業出版で医者というターゲットへの認知拡大に成功した事例
不動産投資会社が、収入も納税額も高額な医師をターゲットに「不動産投資が医師の節税対策に最適」という内容の書籍を出版しました。
書籍を購入した医師に、不動産投資に大きな節税効果があることを認知してもらうことができ、多くの成約につながりました。
競合に対する優位性を高め信頼度も向上する
書籍は出版社から取次会社を介して書店に流通し、値段をつけて販売されます。
「書籍を出版している企業」という事実により、競合企業に比べた優位性を高められ、信頼度が向上するのです。
書籍を活用した情報発信でその道のプロフェッショナルとして認知してもらえ、社会的な信用が上がり企業ブランディングに貢献します。
競合他社が多い中、確固たる地位を築いた保険代理店
ある保険代理店は、保険業界の問題点とそれを変えるための持論をまとめた書籍を出版。
競合が多く差別化が難しい業種にもかかわらず、業界内での地位確立と顧客企業からの信頼を獲得し、大きく業績を伸ばしました。
他媒体に比べて圧倒的な情報量を誇る
さまざまな広告手段のなかでも、書籍の持つ情報量は圧倒的といえます。
テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、看板……広告のどれと比較しても、書籍ほどの情報量を盛り込める媒体はないでしょう。
書籍一冊でおよそ200ページの量があり、文字の組み方によって変わりますが、文字数にすると7万〜10万字もの情報を発信できるのです。
企業の商品やサービスの魅力だけでなく、企業理念や代表者の考え方などを余すことなく伝えることができる稀有な媒体といえるでしょう。
質の高い顧客からの問い合わせが獲得できる
書籍制作をするにあたって最初に考えるのが、「出版の目的」です。
集客を目的にする場合、自社商品やサービスが見込み客にとってどうメリットになるのかを整理していきます。
マーケティング戦略の基本であるペルソナの設計を、書籍企画づくりの中で同時に行うことができるのです。
先に解説した通り、書籍は信頼度の高い媒体ということもあり、自らが欲する情報が掲載された書籍を読むことで、読者ならびに見込み客から著者の会社に問い合わせするという導線を作ることができます。
著者のファンになった読者は自社ビジネスの内容を理解しているため質の高い顧客となり、商談も簡略化することができます。
このように企業出版は、一冊出版するだけで、他の広告媒体にはなし得ない認知度拡大や啓蒙、集客力向上、そしてブランディングを同時に達成できます。
ニッチな業種でありながら、質の高い問い合わせ獲得につながった事例
建設業専門のコンサルティング会社は、知名度の向上と商圏の拡大を狙って書籍を出版。
タイトルに「建設業のための」というフレーズを盛り込んだことで、ターゲット層への訴求力が高まり、問い合わせが相次ぎました。
最終的に10件以上の顧問契約を獲得し、毎年数百万円の売上を得る結果につながりました。
企業出版による副次的効果とは
ここまでは、企業出版をすることで実現できるわかりやすいメリットを紹介してきました。
次に、出版という手段だからこそ発揮される副次的な効果を解説します。
・著作権が企業側に帰属するため二次活用ができる ・営業ツールとしての活用で囲い込みやクロージングに役立つ ・社員教育や採用強化に活用できる ・メディアに取り上げられる可能性が高まる |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
著作権が企業側に帰属するため二次活用ができる
企業のマーケティング戦略の一環として出版を実施する以上、無視できないのが著作権です。
著作権とは、書籍出版においては書籍の原稿や写真、イラストなど、著作物を保護するための権利です。
知的財産権の一つで、著作物を著作権者以外に無断で使用させない権利でもあります。
企業出版においては、ライターが取材して原稿執筆するケースが一般的ですが、ライターは著作権を放棄し、出版契約した企業側に著作権が帰属するのが基本です。
なかにはイラストや写真など、各コンテンツに応じて著作権が制作者側に帰属しているケースがあるため、使用の際は確認が必要ですが、基本的に原稿については自社の判断で二次利用ができます。
昨今はCookieの規制が強化されるという話題もあり、オンライン上のGoogle広告やSNS広告が利用できなくなる可能性も考えられます。
WEB広告でアクセスを集められなかった場合、SEO対策として自社サイトのコンテンツを強化する重要性はますます増すでしょう。
そこで書籍があれば、コンテンツをホームページや自社オウンドメディアに転載することで、SEO対策としても活用できるのです。
ただ、出版権や所有権については契約での取り決めがあるので、各出版社に問い合わせてみましょう。
営業ツールとしての活用で囲い込みやクロージングに役立つ
書籍が完成すれば、手元に営業ツールとして活用できる書籍が届きます。
活用の仕方は幅広くさまざまですが、来店した見込み客にプレゼントとしてお渡しすることで、信頼性を向上させ、サービスや会社に対する理解度を促進させることができます。
セミナーを開催して販売や配布するという手段も考えられるでしょう。
競合他社との相見積もりになった際に、書籍を送ることでクロージングツールとして効果を発揮したという例も珍しくありません。
ほか、見込み客のリストや過去名刺交換をしたような掘り起こし顧客にDM(ダイレクトメール)として送付するという活用方法も有効です。
社員教育や採用強化に活用できる
企業出版で制作する書籍には代表者の考え方やサービスのメリットが網羅されていることもあり、採用や人材育成に効果を発揮します。
企画内容によりますが、企業が成長するまでにぶつかった壁やそれを乗り越えた方法など、事業拡大するまでの紆余曲折を、これから入社する新人にも知ってもらうことができるのです。
会社がどのような考えをもって経営しているのかを新人が理解できれば、ミスマッチの防止に役立ち、採用後の定着率アップにも大きく寄与します。
メディアに取り上げられる可能性が高まる
企業出版による書籍は、単なる紙媒体としてではなく、企業の広報戦略としても効果を発揮します。
企業名や商品・サービスが新聞や雑誌、WEBメディアなどの第三者視点で紹介されると、広告とは異なる信頼性の高い認知拡大が期待できます。
また、メディア掲載は一時的な広告効果にとどまらず、企業の実績として蓄積されるため、今後のブランディングや営業活動、採用活動などのさまざまなシーンで活用可能です。
企業出版と他の発信施策の比較
続いて、企業出版と他の発信施策の特徴を比べてみましょう。
「紙媒体広告」「WEB広告」「WEB媒体施策」との比較は以下の通りです。
紙媒体広告との比較
まず、新聞や雑誌といった紙媒体への広告出稿を見てみましょう。
紙媒体の広告はその発行部数の多さを活かし、数万〜数百万の人々にリーチできる点が大きな強みです。
一方で、紙媒体は基本的に広告出稿される号が世に出た瞬間にのみ、効果を発揮する施策となります。
効果の長期的継続はありません。
さらに、出稿によってもらえる枠は限られており、盛り込むメッセージはかなり取捨選択しなければいけません。
書籍の場合は、書店流通によって広告効果が持続的に発揮されるのが紙媒体広告と比較した際の強みです。
さらに、詳細な情報や専門知識を一冊分盛り込めるため、読者に対してより深い理解や感動を与えることができます。
説明が難しい製品や、販売に時間がかかるサービスにとっては適した発信手段です。
WEB広告との比較
WEB広告はご存じの通り、費用を投じている間のみ広告が回ります。
メリットとして、少額でも始められること、詳細にデータが出ることで細かな改善アクションを繰り返しやすいことが挙げられます。
一方、実物がある紙媒体以上に「残らない」広告施策であるところが難点。
「先につながらないのはわかっているけど、広告止めると売上落ちるから止められない…」と悩む経営者は多いです。
企業出版では紙媒体との比較同様、長期間にわたって読者に提供されて持続的な効果が期待できる点がポイントになります。
また、本によって読者の関心を引きつけるコンテンツを提供することができるため、たとえば「WEB広告で集客した見込み客に書籍をプレゼント」といった組み合わせ施策で受注確度を高める戦略は効果的です。
WEB媒体施策との比較
WEB媒体施策はWEBメディアに対する記事広告出稿や、自社サイトでコンテンツを発信するオウンドメディア施策を指します。
WEBメディアの記事広告はずっと掲載してもらえる場合があり、自社サイトコンテンツも長期的に掲載される点は大きなメリットです。
一方でWEBコンテンツはどうしてもユーザーが軽い気持ちで閲覧する傾向にあり、問い合わせなどの反響につなげるには相当クオリティの高いコンテンツを自社で作る必要がある点がハードルになります。
また、WEBコンテンツの閲覧者と書籍の読者はかなり層が違うため、こちらもターゲットや目的によってうまく併用することが成果を出すコツです。
この点に関して著者がよく言っているのは、「WEBは良くも悪くも関心がライトで発注権限も予算もないようなリードが多いが、本の場合は“本気の人”が来る」ということです。
このような特性から、特に高単価な商品・サービスは、書籍との相性が良く、強力な集客・販促手段となる可能性があります。
【業種別】企業出版の成功事例
世の中の多くの出版支援サービスは、商業出版を主とする出版社が「副業」として提供しているものが大半です。
つまり、「本業はあくまで売れる本を作ること。出版したいなら費用を払ってくれれば対応します」という姿勢が根底にあるケースが少なくありません。
そうした構造上、顧客のために尽くす体制が築きにくいのが現実です。
それに対して、私たちフォーウェイでは企業出版に「本業」として取り組んでいます。
「顧客のために作り、顧客のために売る」ことを使命に掲げた体制を最初から構築しており、企業出版そのものに真剣に向き合っています。
実際に、業界最多クラスとなる230冊以上の企業出版実績を誇る編集チームがそろっていることが強みです。
在籍するメンバーは全員が、大手出版社の書籍制作を手がけてきた実力派クリエイター。
デザイナーやライター、校正者といった各専門分野においても、複数のベストセラーを生み出してきたトップレベルの人材で構成されています。
そのため、自費出版では実現が難しい、完成度の高い書籍づくりが可能です。
以下では、実際に企業出版を通じて成果を上げた10件の事例を紹介します。
保険代理店|出版を通じて業界内の信頼を獲得し、採用・新規契約数を大幅に向上させた事例
本業とは別に新規事業としてコンサル事業を立ち上げた保険代理店では、有効な集客手段が打てず信頼性獲得のためのブランディング施策を探していました。
そこで、成果報酬型が当たり前の保険業界で、一律報酬型を採用して成⻑を遂げた自社のノウハウをまとめ、保険代理店の経営者が読みたくなる企画・構成の書籍を出版しました。
出版後わずか2週間で重版が決定し、Amazonでは一時的に在庫切れとなるほどの反響を獲得。
出版記念セミナーには60名が参加し、複数のコンサル契約へとつながりました。
また、大手保険会社から講演依頼の増加にもつながっています。
さらに、自社での人材採用にも大きな効果があり、応募者が事前に読んでくれて自社への理解が進み、採用のミスマッチがなくなりました。
▶︎保険代理店の詳しい事例については【【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店】もあわせて参考にしてください。
不動産会社|医師という専門層に向けた戦略的出版で高確度のリードを獲得し、売上10億円に貢献した事例
ある不動産投資会社では、Web広告による新規顧客の集客を行っていたものの効果がなく、ほぼ紹介に頼っている状況でした。
紹介の場合でも信頼関係構築に多くの時間を要し、成約リードタイムが長くなってしまうという問題がありました。
そこで、医師をターゲットとして「節税対策に不動産投資が効果的」という内容の書籍を出版したところ、多くの読者から問い合わせがあり、出版6か月で10億円以上の売上を達成。
問い合わせのほとんどは書籍を読んだ医師からだったため、成約までのリードタイムが短縮でき営業効率も向上しました。
さらに、同じ顧客が複数の物件を購入してくれるなど、通常の営業に比べて客単価が大きく向上したことも大きな効果でした。
建設会社|経営者の人間力を本で可視化し、採用コストゼロを可能にした事例
湘南エリアで業績拡⼤中の建設会社では、慢性的な⼈材不⾜により受注チャンスを逃してしまうことが課題でした。
そこで、若⼿人材の採用強化とブランド力向上を狙って書籍を出版。
経営者の仕事や経営に関する考え⽅や人柄、創業ストーリーなどを余すところなく盛り込んだ書籍にしました。
出版後、応募者の多くが事前に書籍を読んでから応募するようになり、企業への理解度が高まった結果、採用決定率が大幅に向上。
年間500万円以上かかっていた採用エージェントの費用をゼロに抑えることができました。
地元新聞など複数のメディアからの取材依頼があり、狙いどおりの認知アップ効果を実感したといいます。
若手経営者である社長は、これまで地域の同業他社との関係性に課題を感じていましたが、出版を機に一目置かれる存在へとブランディングに成功しています。
経営コンサル|書籍出版で新しい層にアプローチし、指名相談が急増した事例
建設業専門の経営コンサルタントは、これまで届いていなかった新たな層へのアプローチを目的に書籍を出版しました。
これまでの支援実績やノウハウをわかりやすく整理し、自身の思いや考え方も盛り込んだ一冊に仕上げました。
出版後はわずか1か月で重版が決まり、17媒体のWebニュースに掲載されるなど反響を獲得。
新たに10数件の顧客が増え、若手経営者からの育成相談も急増しました。
ブランド力を高めながら、顧客の接点を作り出すことができています。
食品メーカー|わさびの効果・効能を発信し、販促と啓蒙を両立させた事例
わさびの製造販売を行う企業では、「わさびの魅力が十分に伝わっていない」「他社との差別化が図れていない」といった課題を抱えていました。
そこで、料理に関心の高い30〜40代女性をメインターゲットに、わさびの効能や歴史、アレンジレシピを紹介する書籍を企画・出版。
発売後には、レシピを監修した料理研究家を招き、本社所在地・名古屋の書店で出版記念トークイベントを開催しました。
会場は満席となり、当日だけで50冊以上の売上を記録するなど、認知拡大とファン獲得につながっています。
その後、出版をきっかけに平均聴取者数20万人を超えるラジオ番組から2週連続の出演オファーがありました。
さらに、自社営業マンが取引先への配布やプレゼンで活⽤し、⼤⼝取引の獲得のきっかけにもなりました。
健康ビジネス|Amazon1位を獲得し、会員数が500人増加した出版プロモーション事例
健康ビジネスを展開する企業は、耳ツボダイエットの魅力を広く伝えるために書籍を出版しました。
全国書店への配本とWeb広告を組み合わせたプロモーションを行い、Amazon「ビジネス実用書」カテゴリで1位(総合3位)を獲得しました。
また、書籍特設LPでは、既存会員の声を紹介し、見込み会員への信頼構築と紹介促進を実現。
出版後には大規模なセミナーも開催し、結果として半年間で新規会員が500人以上増加するといった、ブランディングと集客の両面で成果を上げました。
美容食品企業|書籍が既存顧客の理解と共感を呼び、リピート率が向上した事例
ある美容食品企業は、商品販促と自社のブランディングを目的に書籍を出版しました。
中年期以降の⼥性をメインターゲットに、「⼀⽣のうちで変化の多い「⼥性の⼈⽣の悩み」を解決する」をコンセプトとしたことから、既存顧客がファン化してリピート購入が増加しました。
発売前からSNSを活用した告知を強化した結果、予約が殺到し、発売前に重版が決定。
また、メディア出演や講演依頼も相次ぎ、認知拡大に成功しました。
既存顧客への書籍プレゼント企画では、予想の8倍以上の応募があり、書籍を受け取った顧客の半数以上が継続購入へとつながるなど、高い販促効果を発揮した事例です。
写真館|書籍で経営ノウハウを発信し、セミナー依頼と過去最高売上を実現した出版事例
写真館の経営者は、経営のノウハウの啓蒙及び写真館と自身のブランディングのために書籍を出版。
利⽤者の減少によって年々姿を消している個⼈経営の写真館の現状を伝え、厳しい業界で⽣き残ってきた秘訣を提⽰して読者からの信頼を得る書籍構成にしました。
兵庫県と⼤阪府、東京都をメインに配本を実施したところ、地元の⼤型書店でランキング1位を獲得、写真館経営者だけでなく他業界の経営者からも経営相談の問い合わせが相次ぎました。
さらに、セミナー依頼が⼤幅に増加し、新型コロナによる休業要請後の営業再開時には3か月連続で過去最⾼売上を更新するという快挙を成し遂げました。
ITサービス|難解な技術を体験で伝え、RPA分野での信頼と受注を得た出版事例
ITサービス企業の代表者が、中⼩企業経営者にとって読みやすいRPAシステムの⼊⾨書を出版。
自身の体験談や解説、コラムを各章に盛り込み、読みやすさを追求しました。
商圏に合わせた⼀都三県、⼤阪、名古屋、中⼩企業の多い地⽅(広島、福岡、熊本)を中⼼に展開し、ビジネス層からの問い合わせ獲得を狙いました。
出版直後から複数の問い合わせが発生し、1か月で2件の受注を獲得。
さらに、全国からセミナー依頼が殺到し、企業のブランド⼒の強化にもつながりました。
採用コンサル|理念に共感した人材を自然に引き寄せ、商談件数が10倍になったブランディング事例
人材採用コンサルタントは、⼈材獲得に悩む中⼩企業経営者を意識したタイトルの書籍を出版し、類書と異なるデザインで差別化に成功しました。
サラリーマンが多く⽴ち寄る駅構内の書店に重点配本して3書店でランキング1位を獲得。
出版後は商談件数が前年⽐10倍、成約率も約9割となり、本とは「⼤きなエネルギーをもった名刺のようなもの」と、効果を実感しました。
内容を理解した上で商談が始まるケースが多く、商談の効率化にもつながりました。
好調な売れ行きを受けて重版が決定し、反響が続いています。
企業出版の費用相場
企業出版は、1,000万円以上が費用相場です。
他の出版方法と比べると、以下の通りです。
自費出版 | 商業出版 | 企業出版(通常) | 企業出版(ブックマーケティング) |
費用 | 250〜500万円程度 | 0円(出版費用は出版社が負担する) | 1,000万円以上 | 500〜800万円程度 |
なお、1,000万円以上というのは一般的な費用相場であり、依頼する企業によって費用は異なります。
フォーウェイでは、一般的な企業出版とは異なり、企業のマーケティングの一環として書籍を活用していく新しい企業出版サービス(ブックマーケティグ)を500〜800万円の価格帯で提供しています。
フォーウェイのブックマーケティンング(企業出版)では、企業のマーケティング規模に合わせた最適な価格での企業出版をご提案可能です。
企業出版の価格に影響する要素として、以下が挙げられます。
企業出版の価格に影響する要素 | 詳細 |
書籍の仕様 | ・通常仕様は四六判(130mm×188mmサイズ)、中面白黒で200ページ程度・仕様変更(大きな判型、中面カラー、ページ数の増加、写真やイラストを入れるなど)の場合は追加費用が発生する |
部数 | ・部数が多くなればなるほど印刷費用が高くなる・部数が増えると流通拡大による書店営業経費が加算される・返品による損失のヘッジ分も加算される |
制作費用 | ・基本的な費用は人件費のため、ライターが必要か、持ち込み原稿かにより大きく異なる・編集者の出張や取材先が多岐にわたる場合も追加費用が発生する |
プロモーション費用 | ・基本的に書店やメディアへのリリース、書店営業は基本費用の範囲内となる・WEB広告、新聞広告、イベント実施などは追加費用が発生する |
基本的に値段が上がるほど出版社の規模が大きくなり、流通部数も多くなると考えてください。
どの価格帯での出版が最適かは、出版の目的や自社の事業規模に応じて判断する必要があります。
なお、費用を抑えるための工夫として、原稿を自社で用意することで料金の調整に応じてもらえるケースもあるので、出版社に確認をしてみましょう。
企業出版の流れ
実際に企業出版を行う場合(※ライターに原稿を書いてもらう場合)、流れは以下のようになります。
ステップ①:企画立案 | 出版の目的やターゲット読者を明確にし、内容やテーマを決定します。企画段階では、書籍の仮タイトルや章立てを作成します。 |
ステップ②:取材・執筆 | 著者本人や著者の会社の社員へのインタビュー取材を行い、必要な情報を収集します。取材データをもとにライターが執筆作業を進め、章ごとに文章をまとめていきます。インタビューは一冊分で合計10時間程度になることが多いです。 |
ステップ③:編集・校正 | 執筆された原稿を、著者と編集者で協力して校正(チェック)します。文章のクオリティや表現を整え、誤字脱字や文法の修正なども行います。 |
ステップ④:デザイン・レイアウト | 書籍のデザインやレイアウトを決定します。カバーデザインについては、いくつかの候補から最終的に著者が選ぶパターンが多いです。使用してほしい色や求めるテイストがあれば、事前に担当編集者に伝えておきましょう。 |
ステップ⑤:印刷・製本 | カバーと本文が完成したら、印刷所に原稿を送り、書籍の印刷と製本を行います。ここまで来たら、著者は刷り上がりを待つだけです。印刷が完了したら、いよいよ書店に書籍が並びます。 |
一方で、弊社フォーウェイが展開する企業出版(ブックマーケティング)は、単なる書籍の発行にとどまりません。
中小企業から大企業まで、法人としてさらなる認知度や知名度の向上を目指す企業に対し、次のステージへと進むための後押しをするプロモーション施策として展開しています。
その流れは、以下の通りです。
ステップ①:目的・ターゲットの確認 | 出版によって企業が達成したい目的やターゲット読者層を確認します。たとえば、集客強化、信頼構築、ブランディング、新規顧客開拓などの具体的なゴールを定めます。 |
ステップ②:書籍企画設計図の作成 | 書籍出版の目的を達成するために、クライアント企業の業務内容や強み、提供価値を丁寧にヒアリングし、企画骨子を設計図としてまとめます。 |
ステップ③:書籍企画案の作成 | 設計図を基に、より詳細な企画案へと深化させます。全体の構成や仮タイトル、目次案などを企画書として作成します。 |
ステップ④:取材・執筆 | 著者や関係者へのインタビューを通じて取材し、その内容をプロのライターが書籍原稿として執筆します。次のステップ⑤のカバー作成と並行して、執筆原稿の赤字入れなどをクライアント企業側に行ってもらいます。 |
ステップ⑤:カバー作成 | 複数のデザイン案を作成し、著者と相談しながら最適な表紙デザインを決定します。色使いやイメージのテイストもここで反映されます。 |
ステップ⑥:プロモーション戦略策定 | 書籍発売に向けた広報・販促施策を計画。書店営業戦略、Web広告、SNSや動画を活用したPRなど、多チャネルでの戦略を構築します。 |
ステップ⑦:書店営業・広告戦略実施 | 取次・書店へ営業をかけ、配本戦略を組み立てます。。オンライン・オフライン両面で広告出稿やSNS連動キャンペーンなどを企画します。 |
ステップ⑧:出版 | 印刷・製本が完了し、書店に並び始めます。出版日はメディア露出や販促活動の起点となります。 |
ステップ⑨:出版後の施策実施 | 重版対応、SNS運用支援、クラウドファンディングやウェビナー連動キャンペーン、Web広告による販促継続、成果測定を含むトータル支援を行います。 |
企業出版の失敗事例と成功のポイント
生涯に一度かもしれない企業出版、絶対に成功させたいのは著者として当然でしょう。
成功のポイントをつかむために、企業出版にありがちな失敗事例を6つ紹介します。
・失敗事例①出版目的が絞られていない ・失敗事例②ターゲット読者の選定ミス ・失敗事例③広告的な内容にしすぎる ・失敗事例④ターゲットに合わないデザイン ・失敗事例⑤出版後の活用戦略がない ・失敗事例⑥出版社・パートナーの選定ミス |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
失敗事例①出版目的が絞られていない
企業出版では、「何のために誰に向けて出版するのか」がしっかり定義されていてこそ、クオリティの高い企画ができます。
「集客にも採用にも個人ブランディングにも効かせたい」「若者にもシニア層にも届けたい」など欲張りすぎると、読者から見て役立つ本であると伝わりづらくなってしまいます。
特に企業出版は、一定のコストをかけて取り組む施策であるため、高単価な商材・サービスの集客手段として活用することがおすすめです。
WEB広告などでは良さが伝えづらく、比較検討されにくいサービスこそ、企業出版の本領が発揮される領域です。
出版の目的や届けたい相手像が明確であればあるほど、タイトル、構成、原稿のトーンすべてに一貫性が生まれ、クオリティの高い企画に仕上がります。
失敗事例②ターゲット読者の選定ミス
企業出版では、ターゲット読者のニーズや興味に合わせた出版物を提供することが重要です。
たとえば、マーケティングの初心者向けに書籍を出版したいのに、コトラーのマーケティング理論などを完璧に理解していないとわからないような高度な内容で本を書いても、ミスマッチになってしまいます。
加えて、そもそも本を読まない層をターゲットにしてしまうミスもあります。
一例として10代女性などは、ファッション系やタレントものなどでない限り、出版してもほとんど本を買ってもらえないので注意しましょう。
失敗事例③広告的な内容にしすぎる
読者のニーズを意識せず、自社の情報や宣伝ばかりを強調した内容にしてしまうのも、よくある失敗ケースです。
せっかく費用を投じての出版なので、著者として自社を存分に宣伝したいのは当然です。
ただし、書籍は読者が対価を払って購入する媒体であることを忘れてはなりません。
「広告だ」という認識で読者は本を手に取っていないので、著者の宣伝色が強すぎるとかなり違和感をもたれます。
「伝えたいこと」を「価値あるコンテンツ」に変更するためには、編集者を使い倒すのがコツです。
失敗事例④ターゲットに合わないデザイン
カバーをはじめとするデザインを選ぶうえでは、「ターゲットの好み」に合わせるのがとても重要です。
よくやってしまうのが、著者が「自分の好み」でデザインを指定してしまうパターン。
著者の好みがターゲットの求めるデザインに合致するとは限らず、自分の好みを優先しすぎると、違和感のあるデザインになってしまいます。
それを避けるため、どうしても譲れない部分は伝えつつも優秀な編集者の提案に任せたほうが出版効果は見込みやすいでしょう。
失敗事例⑤出版後の活用戦略がない
出版したことで満足してしまい、その後の活用について検討されていないという失敗ケースもあります。
せっかく完成度の高い書籍ができても、次のように販売促進やリード獲得、信頼獲得の導線が作られていないと効果が限定的になってしまいます。
・営業資料として配布していない ・ホームページで紹介していない ・セミナーや展示会で使っていない |
企業出版は「出したら終わり」ではなく、むしろ出版後の活用次第で成果に差が生まれるため、きちんと戦略を練っておくことが大切です。
失敗事例⑥出版社・パートナーの選定ミス
出版社の実績や得意ジャンル、自社との相性を見極めずに契約してしまうことも失敗ケースとしてあります。
その結果、「出版後の反響がほとんどなかった」「原稿のブラッシュアップが不十分だった」といった問題が起こります。
出版社ごとに得意なジャンルや販売ルートや編集スタイルがあるため、契約前の実績確認や出版目的の共有が必須です。
企業出版に関するよくある質問
ここでは、企業出版の際に、弊社フォーウェイによく寄せられる質問の中から代表的なものを4つ紹介します。
企業出版までにどれくらいの期間がかかりますか?
企業出版には、全体で8か月程度の期間を見込んで進行します。
主な流れは、以下の通りです。
1. ヒアリング企画立案 2. 取材・原稿執筆 3. 原稿チェック 4. カバーデザイン 5. プロモーション戦略 6. 印刷・製本 7. 出版 |
制作期間については、企業の目的や事業フェーズに応じて、ご相談いただけます。
文章が書ける人間が社内にいないのですが、企業出版をすることは可能ですか?
フォーウェイでは、大手出版社での書籍制作経験が豊富なプロのライターが原稿を担当します。
忙しい著者に代わって、取材インタビューを基に構成・執筆を進めるので、文章作成に不安がある場合でも安心して出版できます。
本を書いてくださるライターの方との相性や文章のクオリティが不安です。
フォーウェイには、大手出版社の書籍案件を手がけた経験を持つ編集チームが在籍しており、専門ジャンルに強く、品質の高い原稿を担保します。
アサインするライターは、副業のWEBライターではなく、書籍制作の実績が豊富なプロフェッショナルを厳選。
提携ライターは200〜300名にのぼり、幅広い業種・業界の書籍に対応できる体制を整えています。
そのため、専門性の高いテーマや独自性のある企画であっても、安定したクオリティの原稿制作が可能です。
企業出版後もサポートは受けられますか?
フォーウェイでは、出版後の販促活動(Web広告出稿、書店プロモーション、SNS運用代行など)までトータルサポートします。
一般的な自費出版では、出版後の販促活動は基本的に著者自身の努力に委ねられがちです。
それに対して、フォーウェイの企業出版は「出版して終わり」ではなく、「出版した後まで徹底サポート」という考えのもと、出版後の展開にも責任を持って取り組んでいます。
【まとめ】企業出版でさらなる企業成長を実現しよう
この記事では、企業出版(ブックマーケティング)とは何かをはじめ、メリット・デメリット、ブックマーケティングの最新トレンドなどについて紹介しました。
企業出版は、しっかりしたパートナー出版社と戦略的に取り組めば、投資対効果としてほかの施策ではあり得ないほどの効果が見込めます。
上記のコラムを参考に、企業出版という選択肢をぜひ検討してみてください。
ブックマーケティングを活用すれば、ただ書籍を出版するだけでなく、その書籍を自社のブランディング、認知度や購買意欲向上などに積極的に役立ていくことができます。
主に次のような方にブックマーケティングは最適です。
・Web広告やSEOなどあらかたの集客施策をすでに行っているが、なかなかそれ以上の集客効果が得られないと悩んでいる中小企業 ・難しすぎてWebではなかなか集客できないようなビジネスモデルをお持ちの経営者様 ・ある程度事業も安定しているが、更なる成長をするための打ち手に困っている経営者様 |
そんな方は、新たな成長の一手として、ブックマーケティングの活用をご検討ください。
企業SNSを運用したいが、やり方がわからないーーこのように考えるマーケティングや広報の担当者は多いことでしょう。
以前は「個人の遊び」という印象が強かったSNSですが、時代はすっかり変わりました。SNSはビジネスにおけるコミュニケーションの重要な一部分である、という認識が多くの企業に浸透してきたのです。
しかし、企業SNSのアカウントが乱立するなかで、ビジネスにおけるメリットをきちんと獲得できているケースはごく一部と言わざるを得ません。
そこで本記事では、企業SNSの運用を考える方向けに、SNSによってビジネスメリットを実現する「運用のやり方」を解説します。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
企業のSNS運用とは?
企業にとってSNS運用は、ビジネスの成長に欠かせないものとなっています。
企業のSNS運用は、一言でいえば「ビジネス目的」である点が最大のポイント。
個人のアカウントに比べてよりプロフェッショナルで戦略的な運用のやり方が求められます。
個人のSNS運用との違い
個人のSNS運用は、主に自己表現や交流が目的です。
もちろんSNSを通じたマネタイズに成功しているインフルエンサーなどの個人はいますが、そうした人たちはビジネス目的の運用という意味で、個人の趣味的なアカウントとは違う種類の運用だと言えるでしょう。
企業のSNS運用は、商品やサービスのプロモーションやブランドイメージの向上など、ビジネス上の目的があります。
そのため、やり方としても投稿内容や投稿頻度、ターゲット層など戦略的な視点が求められます。
また、ユーザーに悪印象を与えないようにする気配りも、個人アカウントに比べてより重要になるのです。
SNSマーケティングとの違い
SNSマーケティングは、SNSを活用してマーケティング活動を行うことです。
具体的には、下記のようなやり方があります。
・インフルエンサーマーケティング ・SNS広告運用 ・ソーシャルリスニング ・SNSキャンペーンの実施 |
総じていえることとして、費用を投じたタイミングにだけ効果を発揮し、商品購入や問い合わせなど直接的なリターンを目指すのがSNS運用以外のSNSマーケティングです。
広告施策としての色が強い取り組みとも言い換えられます。
一方で、SNS運用はSNSマーケティングのくくりにはありますが、下記のような特徴があります。
・オーガニック投稿として自由度の高い発信が可能 ・ユーザーとのコミュニケーションによりファン化を促進できる ・運用をやめたり頻度を鈍らせたりしてもアカウントや過去の投稿は残る ・一度フォローしてもらったユーザーをアカウントの資産として持ち続けられる ・長期にわたる施策の継続がやりやすい |
長期的なブランディングを目指したり、マーケティングの基盤を作ったりといった目的を達成するために適しているのがSNS運用です。
SNS運用が重要になっている理由
SNS運用がビジネスにおいて重要になっているトレンドは、データからもわかります。
「ソーシャルメディアマーケティング市場、2023年ついに1兆円を突破の予測【サイバー・バズ/デジタルインファクト調べ】」(https://webtan.impress.co.jp/n/2022/11/11/43642)によると、ソーシャルメディアマーケティングの市場規模は2020年の5,971億円から2022年には9,317億円へと大幅増加。
2027年には1兆8,868億円にまで市場が拡大すると推計されています。
SNS運用はやり方を工夫すれば大きなリターンを得られる一方で、フォロワーを増やすためにはどうしても一定の時間が必要です。
SNSの市場が伸びていくなかで、早く始めた企業ほど成功に近づくのは間違いありません。
SNS運用によって得られるメリット
ここで、企業のSNS運用によって得られるメリットを改めて整理しましょう。
大きくいうと、以下の通りです。
・商品やサービスのプロモーションができる ・自社ターゲット層に直接訴求できる ・顧客とのコミュニケーションを深めることができる ・企業のブランドイメージを向上させることができる ・リアルタイムな情報の発信が可能になる |
いずれにも共通するのが、SNS運用によるメリットの発揮とは運用のやり方にかかっているということです。
SNSアカウントがあるだけで売上につながるような理想的状況を作るには、狙ったターゲット層のフォロワーをたくさん抱えた「強い」アカウントを作る労力を惜しまないことが、成功事例に共通した特徴です。
各SNSの特徴と運用のコツ
ビジネスでよく活用されるSNSは、主に以下の7つです。
・Instagram ・X(旧Twitter) ・Facebook ・LinkedIn ・LINE ・Tik Tok ・YouTube |
各SNSの特徴と運用のコツを詳しく解説します。
Instagram
Instagramは、写真や動画を投稿するSNSです。
ビジネスにおいては、商品の宣伝やイメージアップに活用されることが多く、特に若い世代に人気があります。
ただ、40代以上の層も利用率は低いものの、実数でいうと若年層に匹敵しており、実は全年齢に向けたアプローチにも使えます。
Instagramの運用のポイントは、以下の通りです。
・ハッシュタグや発見タブによって投稿を検索されやすくする ・投稿のビジュアルについて方向性を定め、ユーザーに価値を感じてもらえる投稿を一定頻度で続ける ・ストーリーズ機能を使い、日常的な情報を発信することでフォロワーとのコミュニケーションを深める ・インスタライブを使い、フォロワーとの関係性をより強化する |
勘違いされがちですが、「発信者のビジュアルが優れていて顔出しできる」「商品のきれいな宣伝写真がたくさんある」などの要素はInstagram運用で必須ではありません。
「商品のターゲット層が興味を持つノウハウを発信する」「日常風景の投稿でユーザーと距離感を縮める」など企画の方向性によって、あらゆるビジネスでInstagramの強みを発揮できます。
X(旧Twitter)
X(旧Twitter)は、140文字以内(X Premium加入者はそれ以上も可能)の短い文章を投稿することができるSNSです。
主にリアルタイム情報の収集や発信に使われ、特にニュースやトレンドに関する情報が多く取り扱われています。
Xの運用のポイントは、以下の通りです。
・アカウントのテーマに沿った自分なりの「情報提供」と「持論」を発信してフォロワーを増やす ・ほかのアカウントとコミュニケーションを増やし、タイムライン上の表示優先度を高める ・ほかのアカウントをフォローし、フォロー返しを獲得することでフォロワーを増やす |
Xは実名顔出しで運用するアカウントが多く、アカウント同士のコミュニケーションが重視されるカルチャーのSNSです。
企業アカウントとして活用する場合でも、事務的な発信だけでなく「中の人」の人柄が感じられるアカウントが好まれる場合があります。
リツイート機能でツイートが大きく拡散される仕様により、投稿が大きくバズる可能性のあるSNSでもあります。
Facebook
Facebookは、世界で最も利用者数の多いSNSの一つです。
友達や家族とのコミュニケーションが中心ですが、ビジネスにも活用されることが多く、商品の販売やブランドの発信などに使われます。
Facebookの運用のポイントは、以下の通りです。
・定期的にコンテンツを投稿することで、フォロワーの獲得やエンゲージメントの向上を目指す ・Facebookページを作成し、“いいね”を獲得することで拡散力を高める ・Facebookグループを作成し、ファンコミュニティを形成することで、ファンとの交流を深める |
Facebookは一定年齢以上の人のビジネス活用においては根強い人気のあるSNSです。
ただ、友達に追加する人数に5000人という制限があるため、つながりをたくさん増やして大きく拡散しようとする運用方針には向きません。
関係性のある相手から自社への認知を維持したり、仕事の相談をもらいやすくしたりする運用がFacebook活用のコツです。
LinkedIn
LinkedInは、ビジネス関係者が集まるSNSです。
求人情報やビジネスマッチングなどに使われることが多く、ビジネスユースに特化したSNSであるといえます。
LinkedInの運用のコツは、以下の通りです。
・原則実名登録なので、反感を招くような投稿は避ける ・ほかのアカウントと交流し、コミュニティなどにも積極的に参加する ・ターゲットに対して積極的にDMを送る |
いわゆる営業のためのDMや採用DMはほかのSNSだと嫌がられる場合がありますが、LinkedInはビジネスSNSである側面から、ほかアカウントへの直接アプローチは比較的、受け入れられているのが特徴です。
ただし、大量のスパム送信はLinkedIn側から制限をかけられる危険があります。
丁寧に絞り込んだターゲットアカウントに対し、一通一通、心を込めてDMを送ることが成果の秘訣です。
LINE
LINEは日本国内において、幅広い世代で利用されているSNSです。
2025年3月末時点のLINEアプリ月間アクティブユーザーはLINEの自社調べで約9,800万人、2023年1月1日時点の日本の人口約1億2,475万から推計すると、約70%以上が使っていることになります。
LINEにはビジネス用にLINE公式アカウントを開設できるサービスがあり、企業や店舗が友だち追加してくれた顧客に情報発信できます。
LINEの公式アカウントには以下のような特徴があります。
・リピーターが増える・売上につながる ・機能が充実・操作は簡単 ・目的・用途に合わせて選べる料金プラン |
LINEが2021年7月に行った携帯電話のアンケートでは、LINE公式アカウントからメッセージを受け取って約80%がその日のうちに開封されていることが分かりました。
また、「よく行くお店のアカウントがあったら、友だち追加・フォローしたいサービス」として、57.8%がLINEと回答しています。
それだけ情報源としてLINEを活用したいと考えているユーザーは多く、リピーターの獲得や売上の向上につながりやすいSNSです。
LINEの公式アカウントはポイントカードの発行管理やクーポンの配信のほか、オリジナルのサブスクリプション型サービスを作成できます。
各種販促ツールも使えるなど、集客から販促まで活用できる機能が充実しているのもメリットでしょう。
3つの料金プランがあるため、想定するメッセージ数など、自社の状況に応じて選べます。
参考:LINEヤフーfor Business「LINE公式アカウント」
参考:総務省統計局「人口推計-2023年(令和5年)1月報-」
TikTok
Tik Tokは15~60秒程度の短い動画を投稿できるSNSで、X(旧Twitter)やFacebook、LINEなどに比べると比較的新しいサービスです。
Tik Tokの特徴は、以下の通りです。
・短尺動画がメイン ・若年層に人気 ・トレンドに敏感 ・拡散力が強い |
特に10~20代のユーザーが中心ですが、全世代でも利用率が伸びています。
総務省情報通信政策研究所が発表している「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」では、情報通信メディアの利用時間が報告されています。
主なソーシャルメディア系サービスやアプリの全世代利用率をみると、Tik Tokの利用率は2018年では10.3%でしたが、2020年には17.3%、2023年には32.5%にまで伸びました。
また、2023年の全世代利用率は32.5%であったのに比べ、10代は70.0%、20代では52.1%となっており、10~20代のユーザーが多いことが分かります。
短尺動画がメインということもあり、スキマ時間でも気軽に視聴しやすいのがTik Tokのメリットです。
限られた時間に伝えたい内容を盛り込む必要がありますが、「視覚的なインパクトを与えられる」「テンポの良いリズムで記憶に残りやすい」などのメリットがあります。
流行の音楽・ダンスや「○○チャレンジ」のようなトレンドに敏感な投稿が多く、ユーザーを巻き込み、拡散力が強いのも注目すべきポイントです。
Tik Tokには、ビジネス用の広告プラットフォーム「Tik Tok for Business」があります。
細かい設定の必要もなく、無料の動画広告制作ツールなどを利用して広告配信まですべてオンラインで完結します。
参考:総務省情報通信政策研究所「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」
YouTube
YouTubeの特徴は以下の通りです。
・短尺動画から長時間の動画まで投稿が可能 ・ライブ配信もできる ・利用者の年齢層が幅広い |
YouTubeはTik Tokとは異なり、短尺動画だけではなく情報量の多い長時間の動画も投稿できます。
単に自社の商品やサービスを紹介するだけにとどまらず、商品の使い方を実演して見せるなど、How-To動画の提供も可能です。
リアルタイムで情報が更新されていくフロー型のSNSはバズって一気に拡散される可能性がある一方、短期間で忘れ去られることも考えられます。
しかし、YouTubeはストック型の動画として、コンテンツを蓄積しておけます。
たとえば、ギフト商品を扱う企業のコンテンツとして、「新社会人への贈り物におすすめのアイテム」や「お祝いのマナー」などの動画をアーカイブとして残しておいたとしましょう。
フロー型のSNSのように爆発的な拡散力はないかもしれませんが、ギフトを贈るシチュエーションでは、一定の再生回数を得られます。
YouTubeのコンテンツから自社のWebサイトへ誘導できるようにしておけば、売上にも結びつきやすくなります。
有益なコンテンツが蓄積されていくと中長期的に顧客の信頼を得られるメリットがあるため、ターゲット層が求める情報を把握し、コンテンツを充実させていくことが重要です。
新商品の発表会やセミナーなどには、ライブ配信も活用できます。
総務省情報通信政策研究所の「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、YouTubeの全世代の利用率は、2014年時点ですでに65.1%でした。
その後も徐々に利用率は上がり、2023年では全世代で87.8%です。
利用者の年齢層も幅広く、2023年時点では60代では66.3%にとどまっているものの、50代以下では80~90%台の高い利用率になっています。
幅広い層に自社の商品・サービスをアピールできるため、活用の幅は広いでしょう。
参考:総務省情報通信政策研究所「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」
SNS運用を始める前に決めること5つ
続いてはSNS運用の実践編です。
SNS運用は、やり方を決めずにとりあえず始めてみても成功率は低いです。
ビジネスにつなげるためには、事前準備がカギを握ります。
事前準備として考えるべき項目は、以下の通りです。
・決めること①運用の目的 ・決めること②運用体制 ・決めること③アカウントの方向性 ・決めること④ターゲット層 ・決めること⑤具体的なタスクとスケジュール |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
決めること①運用の目的
SNSを始める前に、まずは運用の目的を明確にすることが必要です。
たとえば、ブランド認知度の向上や製品やサービスの販売促進、情報発信や顧客対応など、目的はさまざまです。
目的に応じて運用するSNSの種類やコンテンツや投稿頻度、投稿内容、ターゲット層などが異なるため、運用の目的をはっきりと決めてから取り組むことが重要です。
気をつけたいのが、「運用目的は売上に決まっているでしょ」と単純に決めてしまうこと。
SNS運用は短期的な売上効果だけでなく、ブランディング効果やファンユーザーの獲得などさまざまな尺度での効果を視野に入れる必要があります。
長期的にアカウントを育てる施策だけに、短期の集客では広告施策より数値が劣る場合が多く、運用目的を売上だけと定めてしまうとスムーズな運用が進まない危険性が高いのです。
「短期で何を目的にするのか」「中期〜長期で何を目指すのか」など、細かく設計するのが成功するコツです。
▶︎SNS運用の目的設定については、過去コラム『SNS運用で大切な「目的設定」とは?運用効果を最大化する秘訣を徹底解説』で解説しているので、こちらもご参照ください。
決めること②運用体制
SNS運用では、運用担当者やチームの体制を整えることも大切です。
運用にあたっては、「誰が投稿するのか」「どのようなスケジュールで投稿するのか」「コメントやメッセージの返信は誰が担当するのか」といったことを明確にしておく必要があります。
また、社内で運用する場合は、社員の研修やマニュアル作成なども必要かもしれません。
会社としてSNS運用に取り組むときの体制で重要なのは、組織として担当者をフォローアップして運用を管理する仕組みをつくることです。
社内の担当者はほとんどの場合、SNSのプロではありません。
「いい感じにやっておいてくれ」と丸投げして放置していると、運用の目的が達成できないどころか投稿やアクション自体が止まってしまうケースも珍しくありません。
自社の貴重なリソースを使って、徒労に終わらないように気をつけましょう。
決めること③アカウントの方向性
SNSアカウントの方向性についても、事前に決めておくことが重要です。
たとえば、ファッションブランドのアカウントであれば、コーディネートの紹介や新作アイテムの情報を発信することが求められます。
一方で、医療機関のアカウントであれば、健康情報や病気の予防・治療についての情報提供がいいかもしれません。
アカウントの方向性を明確にしておくことで、フォロワーの期待に応えることができ、効果的な運用が可能になります。
たとえば、SNS運用の代行を請け負うプロであれば、クライアントへのヒアリングをもとにペルソナシートやアカウント構成シートといった資料を作成します。
ターゲット層や運用目的に合わせてデザインのトンマナから投稿文体まで細かく設定し、ブレない運用を実現するのです。
決めること④ターゲット層
SNSを利用するユーザーは、それぞれ年齢層や性別、興味関心、ライフスタイルなどが異なります。
運用するアカウントのターゲット層を明確にし、その層に合った投稿やコンテンツを提供することが必要です。
また、ターゲット層に応じて、運用するSNSや投稿する時間帯、投稿内容、コンテンツの種類なども変わってきます。
このターゲット設定は、「30代以上の女性」など大まかすぎるくくりではあまり意味がありません。
よくマーケティングで使われる「ペルソナ(代表的なターゲット像の架空のプロフィール)」を設定するのも効果的でしょう。
誰か一人に深く刺さるコンテンツはほかの人にも刺さるというのがSNS運用の原則です。
決めること⑤具体的なタスクとスケジュール
SNSの運用においては、具体的なタスクとスケジュールを決めておくことが大切です。
どのようなコンテンツを、どのようなタイミングで発信するのかを明確にすることで、運用がスムーズに行われます。
また、週次や月次での運用の報告や評価を行い、必要に応じて改善を行うことも大切です。
コツとしては、とにかくあいまいさを残さないこと。
「ネタがあるときに投稿する」「なるべくほかのアカウントに“いいね”する」といったルール設定ではなく明確に行動目標を決めましょう。
実際に運用をしてみると担当者に負担がかかりますが、強いアカウントを育てるにはそれなりの努力が必要です。
SNS運用の効果測定と運用改善
「SNSの運用成果は、どうやって評価・改善すればよいの?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。
SNS運用の効果を可視化するためには、以下のような指標を活用します。
・フォロワー数 ・リーチ数 ・エンゲージメント数(「いいね!」やコメント数など) ・コンバージョン数(集客数、商品の売上数など) |
計測すべき指標は、運用目的やどのSNSを用いるかによって変わってきます。
たとえば、対面アポイントの獲得を目標にする運用なら、DMのうちのアポイント率が指標になるでしょう。
改善項目としては普段の投稿の質よりも、アカウントの信頼性を高めるためのフォロワー増やDM文面の改善などの優先順位が高くなります。
おすすめとして、ある程度フォロワーが増えるまではフォロワー数だけをKPIにするのが良いでしょう。
SNS運用による効果の多くは、ある程度フォロワーがいないと発揮されにくいためです。
管理をシンプルにすることで運用もスムーズになります。
SNS運用のよくある失敗例4パターン
SNS運用をする際には、失敗の典型例に当てはまらないよう注意して運用しましょう。
よくある失敗例として、以下の4パターンがあります。
・失敗例①フォロワー数が増えない ・失敗例②運用が止まってしまう ・失敗例③運用の方向性が迷走する ・失敗例④炎上してしまう |
それぞれ詳しく解説します。
失敗例①フォロワー数が増えない
思うようにフォロワーが伸びないのは、SNS運用で最もよくある失敗ケースです。
理由として、たとえば下記が考えられます。
投稿頻度が低い
多くのSNSは、自アカウントの投稿がほかのユーザーのタイムラインに表示されることでフォローが発生します。
したがって、投稿が少なければどんなにアカウントを作り込んでいてもフォロワーが増えるチャンスはほとんどありません。
最低でもInstagramなら週3回、Xなら1日1回は投稿が必要です。
ほかアカウントとのコミュニケーション不足
「いいね」や「コメント」などほかのアカウントに対して自分からアクションするのも、フォロワーを増やすためには重要です。
ここを怠るとフォロワーはほとんど増えません。
ただし、アクションする先のアカウントの選定にもコツがあります。
リアクションを返してくれそうなアカウントや信頼度の高いアカウントの共通点を見出し、適切な相手に対してコミュニケーションを取る必要があります。
失敗例②運用が止まってしまう
SNS運用がストップしてしまう失敗事例はとても多いです。
その理由のほとんどは、はっきり方針を決めずに担当者に丸投げしたきり管理しない運用体制にあります。
投稿スケジュールの明確な設定と投稿物の確認、定例の確認ミーティングなどは組織内で必ず行いましょう。
また、「売上につながっていないからものすごくクオリティの高い投稿をしなきゃ」など、成果を焦って答えのない課題を設定してしまうのも投稿ストップの原因になります。
SNSは定期的にコンテンツを発信して自アカウントにあった運用のやり方を探っていくプロセスがとても重要です。
クオリティにこだわりすぎるよりも継続的な運用を重視しましょう。
失敗例③運用の方向性が迷走する
SNSの運用は、アカウントの方向性を守ることが重要です。
失敗例②に近いですが、成果を焦って方向性の切り替えを連発し、コンセプトのよくわからないアカウントになってしまうのもよくある失敗パターンです。
どんな方向性を試してみても、運用初期に一つの投稿でわかりやすい効果が発揮されることはなかなかありません。
まずは運用開始前のコンセプト設計を細かく行い、決めた方向性に則って腰を据えて取り組みましょう。
そうすれば長期的な成果に高い確率でつながります。
失敗例④炎上してしまう
SNSの運用で最も避けたい失敗が「炎上」です。
一度炎上してしまうと、ブランドイメージに大きなダメージを与えかねません。
具体的な炎上理由として、以下の3つが挙げられます。
・不適切な表現や誤解を招く ・投稿社内の機密情報や個人情報の漏えい ・社会的背景を無視した不用意な発言 |
悪気はなくても、意図せず自社の投稿がネガティブに解釈されることもあります。
炎上すると信頼回復にも長い時間とコストがかかるため、炎上リスクを理解したうえで活用することが重要です。
SNSの炎上を防ぐ対応策4選
SNS運用において、炎上を気にする方は多いかもしれません。
企業のSNS活用が普及するにあたって、炎上してしまった事例も多く聞かれるようになりました。
そこで以下に、SNSの炎上を防ぐための対応策を紹介します。
・炎上防止策①投稿ガイドラインの策定 ・炎上防止策②対応ガイドラインの共有 ・炎上防止策③投稿監視体制の整備 ・炎上防止策④炎上事例の社内共有 |
4つの炎上防止策を見ていきましょう。
炎上防止策①投稿ガイドラインの策定
SNS運用を始める前に、社内でSNSマニュアルを策定しましょう。
このマニュアルには、発信内容のチェックや、危険な発言を行わないようにするためのガイドラインなどが含まれています。
ガイドラインを設定する際には、ぜひSNS慣れした若いスタッフの力を借りてください。
普段からSNSに慣れ親しんだ人間であれば、それぞれのSNSにおけるマナーを感覚で理解しています。
若いスタッフにたたき台をつくってもらったうえで、広報やリスク管理担当などプロの目で見てブラッシュアップする進め方がおすすめです。
炎上防止策②対応ガイドラインの共有
もしも炎上騒ぎが起こってしまった場合には、迅速かつ的確な対応が必要です。
SNS上でのトラブルの拡散を防ぐために、炎上した場合には速やかに謝罪し、原因究明を行いましょう。
ただし、SNS運用に慣れていない企業が担当者任せにする体制は危険です。
機転をきかせたつもりが火に油を注いでしまう可能性もあります。
投稿物だけでなく、炎上懸念がある場合の対応についても社内でガイドラインを設定し、フローを明確にするのがおすすめです。
弁護士やPR会社などの外部専門家にリアルタイムで相談できる体制を構築しておくのも効果的でしょう。
炎上防止策③投稿監視体制の整備
SNS上でのトラブルを未然に防ぐためには、定期的にSNSのコンテンツを監視し、問題のあるコメントや投稿に対して迅速に対応することが必要です。
また、不適切なコメントや投稿があった場合には、速やかに削除し、投稿者に対して注意喚起を行う必要があります。
投稿の監視には、「上司が毎日11時にチェック」「広報が朝礼でチェック」など、担当者ではなく第三者的な目線でチェックを入れる決まりごとを作っておきましょう。
社内リソース的に難しければアルバイト数人でチェックする体制でも、一般的な目線による第三者チェックは入れられます。
さらに、SNSコンテンツの監視を効率化するために、ソーシャルリスニングツールの活用もおすすめします。
Meltwaterのソーシャルリスニングツールは、SNSの投稿をリアルタイムで一元的に分析できるため、炎上の火種となりうる投稿の把握に役立ちます。
炎上防止策④炎上事例の社内共有
SNSの炎上を防ぐのに大事なのは、抽象的ながら社内のリテラシーです。
関係者の知識を増やし教育をしていくのが、時間はかかりますが炎上を防ぐために有効な施策です。
そこで、日々SNS上の炎上情報をウォッチし、社内で定期的に共有、ポイントを話し合う機会を設けましょう。
特に自社と業種や運用目的の近いアカウントが炎上してしまった事例は、貴重な学習材料になります。
SNS運用を成功させるためのコツ
SNS運用を成功させるためには、以下のようなコツがあります。
・目標を明確にする ・一貫性のある情報発信を意識する ・質の高いコンテンツを作成する ・データ分析に基づいた改善を行う ・ほかの集客施策と組み合わせる |
5つのコツについて詳しく解説します。
目標を明確にする
SNSを運用する際に重要なのは、「何のためにSNSを活用するのか」という目的とゴールを明確にすることです。
「自社の認知度を高めたいのか」「商品の購入につなげたいのか」「採用を強化やブランディングに力を入れたいのか」など、目的によって取るべき施策も違ってきます。
認知度を高めるのが目的なら、「SNS経由のWebサイト訪問者数を20%向上させる」のように、具体的な目標も設定できます。
目標を明確にすれば成果も見えやすく、投稿内容やKPI設定、分析の方針もブレません。
一貫性のある情報発信を意識する
SNSは「ブランドの人格」を映し出す場所です。
そのため、情報発信の仕方や内容に一貫性を持たせ、自社のイメージを損なわないようにする必要があります。
ビジュアルや投稿のトーンがバラバラでは、ユーザーに混乱を与えかねません。
たとえば、「シンプルながら温かみを感じる」イメージがそのブランドの「らしさ」ならば、色味やフォントもそのイメージに合わせて統一し、言葉選びも世界観や価値観に合わせるように心がけてください。
一貫性のある情報発信として、定期的なシリーズ投稿を設けるのも効果的です。
「このブランドらしさ」が定着すれば、ファンを育てることができます。
質の高いコンテンツを作成する
次々に投稿が更新されていくSNSは、情報量が膨大です。
ユーザーのスクロール速度も早いため、そのなかで目を留めてもらうためには、「質」の高いコンテンツが欠かせません。
そこで、以下の3点を意識することが重要です。
・見た瞬間に内容が伝わるビジュアル ・読者の悩みや興味に刺さるコピー ・保存したくなるようなノウハウ情報 |
読者の悩みや課題を解決する情報や興味を掻き立てるコピーで注意を引き、ビジュアルで内容がイメージできるようにしましょう。
一方的に商品やサービスをアピールするのではなく、保存したくなるような情報や再生したくなる動画などを盛り込むことが大切です。
データ分析に基づいた改善を行う
SNS運用は、「投稿して終わり」ではありません。
「どの投稿が反応を得られたのか」「どの時間帯の投稿が効果的なのか」など、以下の3点を踏まえた分析と改善が必要です。
・インサイト(解析ツール)を定期的にチェックする ・投稿のA/Bテストを行う ・KPI(リーチ数、保存数、クリック率など)を可視化する |
まずは、インサイト機能で定期的にリーチ数やフォロワー数、クリック率などをチェックし、記録してください。
特定の要素だけを変更した場合の成果を比較できるA/Bテストを実施すると、より高い成果を得られるパターンを見つけられます。
また、目標達成に向けた進捗を示すKPIは、可視化しておくと成果が見えやすいでしょう。
改善を繰り返すことで、SNS運用の精度は上がっていきます。
ほかの集客施策と組み合わせる
企業のSNS運用は、単体で完結させるものではありません。
SNS運用でより高い成果を生むポイントは、ほかの集客施策との組み合わせです。
SNSは、あくまでも入口であり、その先にある情報や体験にうまく接続できるかどうかがポイントになります。
ほかの集客施策との相乗効果でより高い成果を生み出し、ブランド理解や信頼構築はもちろん、行動喚起まで導くことが可能です。
SNSとの組み合わせで効果的なのは、以下の4つです。
・ブログ ・オフラインイベント ・広告運用 ・ブックマーケティング |
各施策との組み合わせによる効果について、以下で詳しく解説します。
Webサイト・ブログとの連携
SNSとWebサイト・ブログとの連携でSNSから公式Webサイトやブログに誘導できると、商品の購入や問い合わせなどのコンバージョン(成果)に結びつきやすくなるのがメリットです。
ユーザーにとって、SNSは気軽にチェックできる点がメリットですが、一度の投稿で提供できる情報量はそう多くありません。
一方、情報が流れていくSNSとは違い、Webサイトやブログは必要な情報が整理されていて見つけやすい特徴があります。
SNSで興味を持ったユーザーを公式Webサイトやブログに誘導できれば、より自社の商品やサービスの詳細情報を紹介できます。
たとえば、新商品発売の告知はSNSで行い、機能の詳細や開発秘話などはブログ記事で公開するのも効果的な方法です。
「続きはプロフィールURLから!」のようにSNSの投稿からの導線を敷いておくと、興味を持ってくれたユーザーを確実にWebサイトに呼び込めます。
オフラインイベント・店舗との連携
以下のような施策により、SNSと実店舗やイベントを連動させることで来店促進やブランド体験の共有が可能です。
・SNSでイベント情報を事前告知する ・ストーリーズやライブ配信で現場の臨場感を伝える ・イベント参加者にハッシュタグ投稿を促す ・SNS経由での限定クーポンや特典を用意する |
SNSを使ってあらかじめイベントの情報提供やクーポンの配信などを行うと、興味を持ってくれたユーザーの来店を促しやすくなります。
イベントを開催する際、当日参加できない方に向け、InstagramのストーリーズやYouTubeのライブ配信などで発信すれば、現場の臨場感も伝えられるでしょう。
参加者にハッシュタグ付きの投稿を促すことで、イベントの情報拡散も期待できます。
BtoB企業なら会社説明会や展示会、セミナーや講演イベントなどをSNSと結び付けても、同様の相乗効果が期待できます。
ただし、BtoBの場合は成果を即時に得ることよりも、「信頼形成」や「専門性の訴求」が重要です。
オフラインイベントとSNSを掛け合わせてブランドの熱量を可視化することで、営業活動の後押しとなるケースもあります。
広告運用との組み合わせ
SNSはコストを抑えて広告宣伝できるのが大きなメリットですが、広告を使用せずにコンテンツを配信できる無料のオーガニック投稿だけでは、情報が届く範囲に限界があります。
もちろん、ユーザーにとって有益で魅力的なコンテンツは、拡散されてファンが増える可能性もあるでしょう。
ただ、せっかく情報を投稿しても、ターゲット層に届かなければ効果がありません。
広告運用と組み合わせ、より広範囲なターゲット層にアプローチすれば、集客力を高められます。
ブックマーケティングとの連携
ブックマーケティングは、書籍の出版をマーケティングに活用する手法です。
たとえば、ブックマーケティングで出版した書籍をSNSと連携させ、以下のように活用することも可能です。
・出版前からSNSで制作過程や想いを共有 ・書籍の一部を図解や動画で発信して拡散 ・SNSを活用した書籍プレゼントキャンペーンを実施 |
さらに注目すべきポイントは、書籍のコンテンツそのものはSNSのネタとして流用できる点です。
SNSでは「発信ネタが尽きてしまい、継続できなくなる」という課題を多くの企業が抱えています。
しかし、書籍の中には、すでにプロの編集者とともに構築された高品質な情報が豊富に詰まっています。
書籍の内容をSNS向けにアレンジして発信することで、コンテンツを少しずつ再利用でき、ネタ切れを防ぎながら、継続的な情報発信が可能になります。
▶︎ブックマーケティングについては、関連記事【企業出版(ブックマーケティング)のメリットとは? 企業が考えるべき出版による効果】も合わせて参考にしてください。
SNS×ブックマーケティングの相乗効果とは?
SNSとブックマーケティングを掛け合わせることで、「信頼」と「共感」を育てられるメリットがあります。
編集者も交えてクオリティの高い書籍を出版すれば、読者に信頼性の高い情報を提供することが可能です。
書籍で打ち出した自社の専門性や理念、世界観を「日常の言葉」に落とし込んでSNSで伝えれば、ユーザーの理解や納得も深まりやすくなります。
また、SNSは拡散力があるのもメリットです。
書籍の発売をきっかけにアカウントの認知が広がったり、書籍を読んでくればフォロワーとの対話が生まれたりなど、良質なファン形成にもつながります。
出版を通じて得た「信頼」が、SNSを通じて強化される「接点」や「共感」が重なり、単なる集客以上のブランド価値を作り出せます。
▶︎ブックマーケティング(書籍の作り方)については、関連記事【本を出版するには?現役書籍編集者が本の出し方を分かりやすく解説】も合わせて参考にしてください。
SNS×ブックマーケティングで集客に成功した事例
実際にSNSとブックマーケティングを駆使し、集客に成功した事例を2つ紹介します。
・書籍出版とSNSの連動で問い合わせ・受注が劇的に増加した事例 ・発売前からSNSを活用し、話題化に成功した事例 |
それぞれの事例を以下で詳しく解説します。
書籍出版とSNSの連動で問い合わせ・受注が劇的に増加した事例
資金調達支援のスペシャリストとしてのブランディングを目的に、書籍を出版した事例です。
出版する書籍には具体的な数字を入れて読者の興味を引き、ビジネス書の売れ行きが良好な大都市圏の書店を中心に配本する戦略をとりました。
また、この著者は、書籍発売から一定期間が経過した後も、Twitter(現X)で書籍プレゼントキャンペーンの告知を定期的に実施。
その継続的な投稿が注目を集め、キャンペーンの告知と連動する形でAmazonでの販売数が急増しました。
結果として書籍はロングセラーとなり、改訂版が出版されるまでに至りました。
書籍とSNS活用を組み合わせ、出版後は問い合わせが3~4倍アップしています。
発売前からSNSを活用し、話題化に成功した事例
商品の販促はもちろん、長期的なブランディングや顧客のファン化を目的として、「女性の悩み」に焦点を当てた書籍を出版した事例です。
「何一つ諦めることなく、女性に生涯にわたり輝いてほしい」という社長の思いを書籍として形にまとめました。
発売前から著者がSNSで積極的に情報発信を行ったことで注目を集め、予約が殺到し、発売前に重版が決定。
また、既存顧客を対象にした書籍プレゼント企画では、想定の8倍もの応募が集まる反響がありました。
出版が実績となり、新規顧客の獲得はもちろん、講演やメディア出演の機会も獲得しています。
SNS運用に関するよくある質問
最後にSNS運用について、よくある3つの質問に回答します。
SNSは毎日投稿しなければならない?
投稿は毎日する必要はありませんが、継続的に発信することが重要です。
定期的に投稿することで露出が増加し、自社がフォロワーにとってタイムライン上でよく見かける存在になりやすいでしょう。
しかし、内容が薄かったり質が悪かったりする投稿を重ねていても、ユーザーにとって価値のない情報になってしまうかもしれません。
コンテンツがパターン化して、飽きられる可能性もあります。
SNSでの発信は週2~3回など、無理なく続けられる頻度を設定してください。
「休まず続ける」ことが信頼やアルゴリズムの評価につながります。
どのようなコンテンツを投稿すればよい?
SNSで発信するコンテンツは、ユーザーが「見たい」「知りたい」と思う内容であることが重要です。
具体的には、以下のようなコンテンツがあります。
・商品の紹介 ・サービスの活用事例 ・Q&A ・舞台裏 ・ユーザー参加型コンテンツ ・トレンド情報 |
実際に投稿する際は、競合他社にはない自社ならではの視点や世界観を反映させ、「らしさ」が伝わるようにしましょう。
また、単発で終わらせず、ストーリー性やシリーズ性を持たせて継続的に発信するのがおすすめです。
続きを待ち望むファンが増える可能性があり、つながりも深められます。
外注の運用パートナーは入れるべき?
SNS運用を外注化するかどうかは、企業の状況や目的によって異なります。
外注するメリットとしては、運用に必要な人材をスピーディに確保できることや、専門的なノウハウを持った運用パートナーを活用できることが挙げられます。
一つの考え方として、「人手が足りない」「アカウントを育てるのにそこまで長い期間をかけられない」という課題がある場合、外注を検討することがおすすめです。
ここまで述べたように、SNS運用をきちんとやると担当者にも組織にも意外に手間がかかります。
社員一人が常駐のような状態で対応している会社も多いです。
そうなると、人件費的にSNS運用会社に頼んだほうが安くつく場合も考えられます。
また、外注先は当然ノウハウを持っているため、プロの運用によって最短経路でアカウントを育ててくれるのは大きなポイントでしょう。
特に投稿コンテンツの企画は、一般企業のリソースではなかなか難しい場合も多いです。
ゼロの状態から探り探りでSNS運用をスタートすると、継続できても成果が出るのは数年後といったケースが少なくありません。
その時間を短縮して成果を確実にする選択肢として、外注を活用するのはおすすめです。
【まとめ】SNSとブックマーケティングを掛け合わせて、集客効果を高めよう!
ビジネスコミュニケーションや企業のブランディングでは、今やSNSの運用は欠かせません。
しかし、SNSにはさまざまな種類があり、特徴も異なります。
そのため、自社に合うSNSを選び、そのうえで運用体制を整えることが重要です。
また、SNSはほかの集客施策と組み合わせることで、より効果を発揮します。
特に信頼性や専門性を打ち出せるブックマーケティングと、拡散力のあるSNSは相乗効果が期待できます。
フォーウェイは、230社以上の実績を誇るブックマーケティングに加え、SNS運用をはじめとするマーケティング支援を行っています。
戦略立案から実行まで一貫してサポートが可能です。
SNS運用やブックマーケティングをご検討の際は、ぜひフォーウェイまでご相談ください。
企業戦略においてマーケティングとブランディングが重要なのは周知の事実でしょう。
一方、その違いを明確に答えられる人は少ないかもしれません。
本記事では、マーケティングとブランディングの違いを紹介し、それらが経営戦略上どのように影響を及ぼすかを解説します。
目次【本記事の内容】
執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)
 福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経済法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を担当し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。 |
◉マーケティングとブランディングとは
「マーケティング」と「ブランディング」は企業が商品やサービスを販売し、存続し続けていく上で必要不可欠な活動です。
まずは、マーケティングやブランディングについて、それぞれがどのような活動を指すのかを正しく把握しておきましょう。
◉-1、マーケティングとは何か
マーケティングとは、自社の商品やサービスを効率的に売るために行う活動全般のことを指し、「市場をつくる」という意味があります。
たとえば、市場調査や商品企画、価格設定、流通・販売チャネルの構築、広告宣伝、顧客の声のフィードバックなどの活動が含まれます。
商品やサービスを売るためのあらゆる活動がマーケティング活動に該当すると考えてください。
◉-2、ブランディングとは何か
ブランディングとは、自社や自社の商品・サービスそのものの価値やイメージを高めようとする活動のことで、顧客の頭の中に自社やサービスへの良いイメージを作ってもらうことを目的としています。
たとえば、ブランディングに成功している代表的な企業がiPhoneなどで有名なアップル社でしょう。
アップル社と聞けば、「こだわり抜かれたデザインや革新的な商品を出す会社」「創業者のスティーブジョブズの妥協なきものづくりの精神が根付いた会社」といったイメージを持つ人が多いと思います。
このようにアップル社に対する良いイメージが消費者に浸透しているため、たとえアップル社の出した商品が、他社よりも性能が劣っていたとしても、多少価格が高かったとしても、「アップル社の商品が欲しい」と選ばれるようになります。
このように、自社や自社の商品・サービスに良いイメージを持ってもらうための活動全般がブランディングです。
▶️企業ブランディングについては、関連記事【企業ブランディングとは?企業の成長における重要性や手法を徹底解説】もあわせて参考にしてください。
◉-3、リブランディングとは何か
リブランディングとは、今までに作り上げてきたブランドを再構築すること、およびその戦略のことです。
時代の変化や、消費者の価値観の変化、競合他社の成長などにより、古くなってしまったブランド価値を刷新するために行います。
具体的なリブランディングの方法としては、ターゲットの見直しや、ロゴ変更、パッケージデザインの刷新、コーポレートサイトの刷新などがあります。
たとえば、リブランディングに成功した代表的な企業がユニクロを運営するファーストリテイリング社です。
ユニクロはかつて2000年代後半に、「ユニクロとばれると恥ずかしい(ユニバレ)」という言葉が浸透するほど、安かろう悪かろうなイメージが定着していました。
しかし、メイドインジャパンを強調するロゴマークの刷新や、それと連動した世界各地の店舗デザインや商品企画、プロモーション戦略の刷新を実施。
見事に今現在のような「高品質の商品を低価格で提供するジャパンブランド」としてのリブランディングに成功しています。
時代の移り変わりが激しい時代だからこそ、時代に沿ったニーズに柔軟に適応していくために、ブランディングと共に重要視されているのがリブランディングです。
◉-4、PRとは何か
PRとは、「Public Relations(パブリック・リレーションズ)」の略語で、直訳すると「公衆との望ましい関係づくり」という意味です。
PRは宣伝や広報よりも広い概念で、自社の情報を広く社会に周知する活動全般を指します。
たとえば、「プレスリリース」「オウンドメディア」「社内報」「メディア対応」などが主なPR活動です。
よくマーケティングと混同されることもありますが、そもそもPRとマーケティングは目的が違います。
PRは企業価値の向上や認知度の拡大、マーケティングは商品・サービスの販売促進を目的としています。迷ったら「どんな目的で行うのか?」で見分けましょう。
また、PRはブランディングで形成されたイメージを元に実施されるのが一般的です。
そのため、ブランディングの延長線上にPRがあると考えてください。ブランディングで良いイメージを構築し、PRでさらにそれを広く社会に周知していくというのが一般的な流れです。
◉マーケティングとブランディングの違い
マーケティングとブランディングの違いは主に次の5つです。
- ・その1:目標
- ・その2:意義・方針
- ・その3:ニーズ・焦点
- ・その4:手段・方法
- ・その5:施策の期間
それぞれについて具体的にどのような違いがあるのかを見ていきましょう。
◉-1、違いその1:目標
ブランディングとマーケティングはよく混同されますが、そもそも目標とするものが全く違います。
まず、ブランディングは、消費者に自社や自社の商品・サービスに対する良好なイメージを持ってもらうことが目標です。
一方で、マーケティングは、自社の商品やサービスの価値を効果的に訴求することが目標です。
そのため、商品・サービスをとにかく売りたいのであればマーケティング施策を、価格競争などから脱していきたいのであればブランディング施策を選択する必要があります。
「自社の商品を販売したいからブランディング施策を実施する」のは大きな間違いです。
目標とするものが何かによって取るべき最適な施策が異なるので注意しましょう。
◉-2、違いその2:意義・方針
ブランディングとマーケティングには、意義や方針の違いもあります。
ブランディングは、自社の商品やサービスが「どうあるべきか」という社会的存在意義や向かうべき方向性を大きな枠組みで考え続けることです。
時代により消費者の価値観が変わると、自社の商品やサービスに対するイメージも変化することが考えられます。ブランディングは一度考えたら終わりではなく、時代に沿って、継続的に「どうあるべきか」を考え続けることが大切です。
一方で、マーケティングは、自社の商品やサービスを売るために「どうすべきか」を考える具体的な活動方針です。
たとえば、テレビCMなどのマス広告、Web広告、SNSの利用などのプロモーション活動などがこれにあたりますが、商品やサービスが変われば活動方針も施策もガラリと変わります。
このように、大きな枠組みの中で存在意義や方向性を考え続けるのがブランディング、その土台の上で「自社の商品やサービスをどう売っていくのか」という具体的な活動方針を考えるのがマーケティングです。
◉-3、違いその3:ニーズ・焦点
ブランディングとマーケティングには、ニーズや焦点の当て方に違いがあります。
ブランディングは、自社の強みをターゲットの消費者に訴求して、「このブランドを選べば間違いない」というイメージを持ってもらうことに焦点を当てます。
つまり、焦点は自社です。
一方で、マーケティングは「消費者のニーズは何か」に焦点を当てます。
このように、「自社の強み」と「消費者のニーズ」どちらに焦点を当てるのかが、マーケティングとブランディングの大きな違いです。
また、消費者のニーズが顕在化している場合は、それに応える具体的な商品やサービスを訴求するようなマーケティングを実施します。
一方で、消費者のニーズが潜在的にある場合は、ニーズを深掘りし、自社の商品やサービスで解決できるようなイメージを持ってもらうようにブランディング施策を実施していきます。
つまり、顕在化した消費者のニーズにはマーケティングを、潜在的なニーズにはブランディングを、というように使い分けていく必要があるのです。
◉-4、違いその4:手段・方法
ブランディングとマーケティングには、手段や方法にも違いがあります。
ブランディングを行う際には、消費者の心理形成につながるような手段や方法を採用します。
なぜなら、消費者の心の中に良好なイメージを作ってもらう必要があるからです。
たとえば、消費者に対してのブランディングの場合、印象に残りやすいブランド名やロゴの設定、キャラクターの作成やコーポレートメッセージの作成、サイトの刷新などが主なブランディング施策の方法です。
また、社内に対するブランディングの場合、従業員向けのブランドブックの作成、独自の人事認定制度の創設などの方法があります。
一方、マーケティングでは、商品やサービスに対する消費者の理解や購買意欲向上につながるような手段や方法を採用します。
たとえば、各種広告やオウンドメディアのコンテンツ、SNSでの情報発信、メールマガジンなどを利用して消費者への広告宣伝を行う、などです。
このように、手段や方法も異なるので、混同してしまわないように注意しましょう。
◉-5、違いその5:施策の期間
ブランディングとマーケティングでは、施策に取り組む期間の長さが違います。
マーケティングと違い、ブランディングは長期的な取り組みが必要です。
なぜなら、ブランディングの目標であるブランドイメージを形成するには長い期間を必要とするからです。
一方で、マーケティングが目標とする顧客の購買行動は比較的短い期間で成果が表れます。
たとえば、ロゴを刷新したところで、すぐにその効果は感じられませんが、Web広告に出すページを修正した場合には、その効果はすぐに現れます。
このように、ブランディングとマーケティングはそもそも取り組む期間の長さが違うということを認識しておきましょう。
◉アウターブランディングとインナーブランディング
ブランディングには、大きく分けてアウターブランディングとインナーブランディングの2種類があります。
アウターブランディングとは、社外に対するブランディングのことです。
アウターブランディングの対象には、消費者や取引先をはじめとするステークホルダーのほか、新卒や中途採用の就職希望者なども含まれます。
消費者に自社やサービスに対して良いイメージを持ってもらうのが目的であり、一般的に多くの人が「ブランディング」と認識しているのが、このアウターブランディングです。
また、法人を対象としたビジネスをしている企業が行うBtoBブランディング、一般消費者を対象とする企業が行うBtoCブランディング、自分自身をブランド化して価値を高めるセルフブランディングなどのように、アウターブランディングの中でも細かく種類が分かれています。
一方で、インナーブランディングとは社内向けのブランディングで、その対象には従業員のほか経営層・マネジメント層も含まれます。
たとえば、インナーブランディングとは自社の企業理念やブランド価値、行動指針を従業員に浸透させて共有できるようにする取り組みのことです。
インナーブランディングによって企業理念や行動指針などの理解が深まると、従業員のモチベーションやパフォーマンスが向上し、定着率アップや優秀な人材の確保につながります。
このように企業体質の改善を図り、市場における競争力を企業の内側から高めていくことがインナーブランディングの目的です。
◉ブランディングを行う企業メリット
企業がブランディングを行うメリットは、顧客を自社やサービスのファンにできることです。
ファンが増えることにより、具体的に次の3つのようなメリットを得ることができます。
◉-1、ファン化の促進とリピーター獲得につながる
企業がブランディングに成功すると、ファンになってくれた人が商品やサービスを何度もリピートして購入してくれるようになります。
たとえば、アップル社の新商品販売日に、アップルストアに行列ができている光景をテレビなどで見たことがあるという方が多いのではないでしょうか。このように、企業がファン化に成功すると、消費者が頼んでもいないのに、一生懸命に購入してくれるようになります。
リピート購入とは、広告費用をかけずに購入してもらえるようになる、ということです。つまり、リピート購入が増えれば増えるほど、企業がかける1人あたりの広告費用は減っていきます。
このように、ブランディングにより顧客のファン化が促進し、リピーターが増えると、企業の利益向上が見込めるということです。
◉-2、同業他社との差別化の実現による競争力の強化
ブランディングにより自社や自社の商品・サービスへ信頼感が高まると、ブランド力だけで商品を購入してもらえるようになります。そのため、同業他社との差別化が実現でき、競争力が強化できます。
なぜなら、機能がほぼ同等の商品であれば、価格が多少高めであっても自社の商品やサービスを選んでくれるようになるからです。
たとえば、素材も製法もほぼ同じ商品やサービスがあったとしても、ブランディングを実現することで価格の高い自社商品・サービスを購入してもらえるようになります。
このように、ブランディングに成功することにより、市場における価格や性能の競争に巻き込まれずに、価値を提供することができるということです。
▶️差別化戦略については、関連記事【差別化戦略の成功の秘訣ーメリットやデメリット、成功事例とは!?】もあわせて参考にしてください。
◉-3、ブランド認知度および注目度の向上
ブランディングにより、ブランドの認知度や注目度が高まります。
なぜなら、ブランディングという活動自体が、自社や自社の商品・サービスに良いイメージを持ってもらうための施策だからです。
ブランディングを行ったから必ずブランド認知度や注目度が上がるという訳ではありません。
しかし、自社や自社の商品・サービスの強みや価値を見出し、それを上手く訴求できれば、ブランドの認知度および注目度の向上につながります。
たとえば、ユニクロは商品や店舗で使うロゴの刷新だけではなく、ユニクロの強みである「安くて良い品質のメイドインジャパン」を有名スポーツ選手をアンバサダーにするなど、戦略的に訴求したことによって世界的な認知度向上に成功しました。
また、今ではよく知られる鍋のメーカー、バーミキュラは日本の老舗中小企業「愛知ドビー株式会社」のブランドです。海外のメーカーだと思っていた人も多いのではないでしょうか。
バーミキュラの鍋は、「ホーロー加工された鋳物の鍋なのに、無水調理できるほどの機密性の高さ」という革新的な技術と、技術者の努力に裏付けされた説得力のあるブランドメッセージにより、世界的な認知度向上に成功しました。
このように、ブランディングに成功すると、企業活動自体が注目され、宣伝・販促活動が効果的に行えるようになります。
また、投資家からも注目されるようになり、資金調達も有利に行えるようになるなど、付加的なメリットにもつながります。
◉ブランディングを行うユーザーメリット
ブランディングは企業側のメリットばかりが語られますが、実は企業がブランディングを行うメリットはユーザーにもあります。
具体的には、次の2つのメリットをユーザー側は受けることができるのです。
◉-1、商品・サービスを選択しやすくなる
企業がブランディングを行うことによって、ユーザーは、商品やサービスを選択しやすくなります。
なぜなら、知っているブランドの商品であれば、購入時に迷わなくても済むからです。
たとえば、企業が全くブランディングを行わなかったらどうなるでしょうか。毎回性能や材質、品質などを見て自分自身で見極めていかなければなりません。
自分が欲しいと思っていたものとは違う商品を購入してしまうことも多くなるでしょうし、商品そのものを探す時間が多くかかってしまいます。
このように、企業がブランディングを行うことによって、私たちは自分の欲しいものを短時間で選ぶことができているのです。
◉-2、安心感が得られリスク回避になる
ブランディングは、購入するユーザー側の安心感にも繋がります。
なぜなら、信頼感のあるブランドを選べば、「商品やサービスを購入した後に後悔するのではないか」という不安を感じなくても済むからです。
たとえば、いつも購入しているブランドの食品があると安心して購入することができますが、はじめて購入するブランドの食品はどうでしょうか。きっと「美味しいのだろうか?」「ちゃんとした品質をしているのだろうか?」など色々な不安が出てくるはずです。
また、ブランドが確立している商品を選ぶことによってリスクの回避にもつながります。
なぜなら、新しい商品を購入する場合は、購入したものが期待した機能を果たすのか、支払った価格に見合うのか、などのリスクを消費者側が負わなければならないからです。
このように、企業がきちんと自社の強みを訴求してブランディングしてくれているおかげで、私たちは安心してリスクの少ない買い物ができているのです。
◉マーケティングとブランディングの相関関係と経営における重要性
マーケティングとブランディングはこれまで説明してきた通り全く違う施策ですが、相関関係にあります。
なぜなら、ブランディングは土台であり、その土台の上でマーケティングを行うことでより大きな影響力のあるプロモーションが行えるからです。
ブランディングによって認知度や信頼性が高くなると市場での競争力が強化されます。このような状態でマーケティング活動を行うと、より自社の優位性を高めた上で商品やサービスを販売することが可能です。
企業活動においてブランディングとマーケティングは車の両輪のようなものであり、経営の安定化を図るための重要な活動だということができます。
◉マーケティングとブランディングを同時に実現させる方法
ブランディングは自社や自社の商品・サービスのイメージを高めようとする活動で、マーケティングは商品やサービスを売るための活動です。いずれも企業活動を行うためには重要な活動です。
この2つの活動を同時に実現できる効率の良い方法が「ブックマーケティング」です。
なぜなら、書籍であれば1冊で、商品やサービスの特徴だけではなく、自社の強みや取り組みなどを含めたあらゆる情報を伝えることができるからです。
また、書籍は信頼性の高い媒体なので、オウンドメディアなどのWeb媒体に比べて、ターゲットである消費者に良いイメージを作ってもらうのに最適な媒体ということができます。
このように、信頼性の高い媒体で商品やサービスについてのマーケティング要素、自社の強みや取り組みなどを含めたブランディング要素の両方を一気に伝えられるという点で、書籍は効率的な媒体と言えるでしょう。
しかし、商業出版や企業出版をはじめとしてただ書籍を出版すれば良いという訳ではなく、それをしっかりとターゲットの手元に届け、読んでもらわなければ意味がありません。
そこで、出版するだけではなく、ターゲットに読んでもらうまでを戦略的に行っていくのが、ブックマーケティングです。
さらに、ブックマーケティングでは、どのようなターゲットに、どのような書籍を届けたいかの戦略設計を行います。
たとえば、ブランディングやマーケティングをこれまで全く意識的に行ってこなかった会社であってもブックマーケティングという施策を通して、自社の強みを見出し(ブランディング)、それを書籍としてまとめて見込み顧客に届ける(マーケティング)の両方を実施することになります。
今後マーケティングやブランディングを強化していきたい、という会社だけではなく、今までどちらも意識的にやってこなかった、という会社が行うファーストステップとしてもブックマーケティングはおすすめです。
▶️ブックマーケティングの施策内容や効果については、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。
◉【まとめ】マーケティングとブランディングはどちらも必要不可欠
この記事では、マーケティングとブランディングの違いや、ブランディングを行うことによる企業とユーザー双方のメリット、経営戦略におけるマーケティングとブランディングの重要性などについて詳しく解説しました。
前述しましたが、マーケティングとブランディングは企業という車の前進を支える両輪です。どちらも企業の存続には必要不可欠なものです。
ぜひ、この記事でマーケティングとブランディングについて正しく理解し、両方を上手く取り入れてみてください。
どのようにマーケティングやブランディングの施策を始めたら良いかわからないという方や、どちらもやっているけれどもなかなか成果がでない、という方は、それら2つの施策を同時に実行できる「ブックマーケティング」という施策を検討してみてはいかがでしょうか。
フォーウェイではブックマーケティングによる、企業のブランディングやマーケティングをサポートしております。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。
企業のブランド価値向上のために、出版という手段を選択する経営者は増加傾向にあります。
今回は数ある出版マーケティングの事例から、会員制ビジネスやFCビジネスを展開している企業の成功パターンを紹介します。
目次【本記事の内容】
執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)
 福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経済法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を担当し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。 |
◉企業が取り組む書籍出版(企業出版)とは
近年、企業経営者が書籍を出版するケースが増えています。
一部のメディアに多く出演している著名人でない限り、ほとんどが印税目的で出版はしていません。
経営者の出版は、自社のブランディングや広告宣伝を目的としているのです。</p
企業側のメリットは書店に書籍が並ぶことによる広告効果や、出版をきっかけにメディアに取り上げられるなどの副次的効果にあります。
出版効果は数字では測りきれない様々な効果が同時に生まれます。そのため、拡大フェーズにあるタイミングで検討する企業が多いのも自然な流れでしょう。
考えられる出版効果としては以下のようなものがあります。
・すぐに顧客化につながる質の高い顧客の集客
・メディアに取り上げられることで自社の認知向上に寄与
・書籍制作を通して事業の棚卸しができる
・書籍が自社で活用できる営業ツールになる
・出版によりブランド価値が向上し採用面でも効果を発揮
・提携先など協力者が他社に紹介しやすくなる
・一過性の広告とは異なり一度出版することで長期的な広告効果が期待できる
上記のようなメリットが同時にやってくるのは一般的な広告とは大きく異なる部分です。
ある意味、1冊の書籍を出版することで、経営に革命が起きる可能性があるということです。
▶企業の書籍出版については、関連記事【企業出版のメリットとは? 企業が考えるべき出版による効果】もあわせて参考にしてください。
◉企業出版と相性抜群な会員制ビジネスやフランチャイズビジネス
企業出版は一種の広告施策のため、コストがかかります。
企業としては費用対効果が気になるところでしょう。
まずは会員制ビジネスとフランチャイズビジネス(以下、FCビジネス)の特徴を整理していきます。
◉-1、会員制ビジネスは会員数がカギ
会員制ビジネスには、スポーツジムやレンタルショップが代表的です。ほか、会員限定のオンラインショップ、ネットワークビジネスなど様々な業種業態があります。
近年では、AmazonプライムやNetflixといった会員制サブスクリプションサービスも隆盛を極めており、会員数を大きく伸ばしています。
これらは個人情報を登録して会員になったユーザーに対して、有益なサービスを提供してマネタイズを図るビジネスモデルです。
会員制ビジネスの大きな特徴は、会員数が増えるほど月額課金をはじめとした収益が増加するため、経営の安定化と増益を同時に実現できる点です。
会員数を増やすことが一つの目的となるため、読者のファン化を促進できる出版は相性の良い宣伝手法となります。
◉-2、FCビジネスは共感性を得ることが重要
FCビジネスは、フランチャイズの本部が展開しているビジネスの看板を借りて、加盟した団体や個人が同様のサービスを提供していく内容です。
加盟店は本部が提供する看板やアイデア、商品などをそのまま使用することでビジネスが展開でき、売上の一部をフランチャイズ本部に支払うことで成り立っています。
いわゆる「ロイヤリティ」と呼ばれる加盟金を支払うビジネス構造です。
フランチャイズ本部目線でいえば、その事業を展開している理由や展望、メリットなどを発信して、ビジネスに共感してくれる加盟オーナーを増やしていく必要があります。
理念の発信を行ない、共感を得ることで、そのFCビジネスのファン化を狙っていくという意味では会員制ビジネス同様に書籍出版が効果的になり得るといえます。
◉会員制ビジネスやFCビジネスの具体的な企業出版事例
ここまでで会員制ビジネスやFCビジネスの一般的な特徴を解説してきましたが、次にそれぞれの具体的な企業出版事例を紹介していきます。
◉-1、会員制ビジネス事例:新たな顧客層を囲い込みでき会員数が急増!
会員制の投資助言サービスを展開している企業の事例を紹介します。
代表者が株式銘柄をテクニカルに分析し、短期売買で儲かる株式投資の成功者。大型銘柄から中型銘柄まで株価の上昇が期待される銘柄を会員向けに情報発信するサービスを展開しています。
もともとオンライン中心で発信を行なっていたため、シニア層や地方層へのアプローチに苦慮していました。また投資助言業という業種の印象から、顧客との信頼感を醸成しないとなかなか会員登録にまで誘導しづらいという課題もあったようです。
しかし、企業出版で株式投資のノウハウ書籍を全国展開したところ、販売好調によりたちまち重版。結果的に2万部を超える部数を世に輩出し、書籍読者からの問い合わせが大幅に増加したといいます。
問い合わせ数は出版前と比較して4倍。課題でもあったシニア層や地方の潜在顧客も書店やAmazonで書籍を購入したことで、著者への問い合わせのきっかけとなりました。
書籍出版をきっかけに読者がファン化し、新規会員が大きく増加した成功事例といえるでしょう。
◉-2、FCビジネス:自社のノウハウを発信することでビジネスの認知度が向上!
続いて、全世界で1万店舗以上を展開している高齢者向けの体操教室フランチャイズ企業の事例を紹介します。
2005年に日本に上陸し、FCビジネスで店舗数は780店鋪まで拡大。2010年にFC店舗のさらなる増加を目的に書籍出版を実施しました。
50歳以上の女性をターゲットにして「体が変われば気持ちも人生も変わる」のキャッチコピーで販売したところ、発売1ヶ月で発行部数3万部を達成。
書籍出版をきっかけに、自分でも体操教室をオープンできると希望を持ってFCオーナーとなった女性が急増し、発売から4年後の2014年には店舗数が1500店鋪を突破しました。
現在は2000店舗を超え、会員数は86万人を誇るFCビジネスが展開できており、2020年3月には東証一部に上場。
書籍出版をきっかけに、潜在的なFCオーナーだけでなく、一般層にも企業の取り組みを広めることができ、さらなる事業拡大に大きく貢献しました。
◉【まとめ】潜在顧客との信頼関係を構築しファン化を実現させよう
以上のように、会員制ビジネスやFCビジネスの企業出版は広告手段としてとても有益です。
ビジネスとしての優位性や独自のノウハウを発信することは、「自分も同じように成功したい!」という意欲をかき立てるきっかけとなります。
私たちフォーウェイが書籍出版をプロデュースした会員制ビジネスを展開している企業様は、出版直後にAmazonで購入が殺到しカテゴリ1位を獲得。さらなる会員獲得に大きく寄与しました。
今後の新規会員やFCオーナーを開拓するにあたり、書籍出版という手段を検討するのも一つの手かもしれません。