信頼獲得と成果につながる病院パンフレット作りのポイント!効果的な活用方法も解説

病院もこれからの時代はいかに多くの人に認知してもらって、多くの病院の中から選んでもらえるように、積極的な情報発信を行っていく必要があります。

そのための手段の1つがパンフレットです。

パンフレットを作るにはそれなりのお金や手間がかかるのですから、しっかりとした認知や信頼の獲得、人材の確保などの成果につながるものにすべきです。

今回は、このような成果にこだわった病院パンフレット作りのポイントや効果的な活用方法について詳しく解説いたします。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
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慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

◉病院のプロモーションにパンフレットが有効な理由

病院のプロモーションにパンフレットが有効な理由は、主に次の2点です。

・パンフレットには紙媒体ならではの安心感
・信頼感がある
・パンフレットを見るのはネットに不慣れな高齢者が多い

各理由について詳しく見ていきましょう。

◉-1、パンフレットには紙媒体ならではの安心感・信頼感がある

病院のプロモーションは、一般的な企業の商品やサービスのプロモーションとは異なります。

なぜなら、病院にとっては「ここなら自分の体を預けられる」と感じられる安心感や、「ここなら質の高い治療が受けられる」という信頼感を持ってもらえることが重要だからです。

紙媒体のパンフレットは、物理的に手に取って読むことができるため、HPやSNSなどのデジタル情報と比べて安心感や信頼感を与えることができます。

近年、一般的にはデジタル技術によるプロモーションが優先される傾向がありますが、病院のプロモーションにおいては紙媒体のパンフレットも有効なのです。

◉-2、パンフレットを見るのはネットに不慣れな高齢者が多い

厚生労働省が公表している「平成19年国民生活基礎調査の概況」に示されているように、病院を利用する方の多くは高齢者です。

この調査によれば、病院全体では人口千人当たりの通院者率は333.6ですが、これを年齢階級別に分けると、「15~24歳」の通院者率が119.4で最も低く、年齢階級が高くなるに従って高くなり「75~84歳」の通院者率は692.4となっています。

つまり、病院に通院する方の多くは高齢者で、ネットに不慣れな方が多いため、紙媒体のパンフレットの方が向いているということが言えるのです。

紙媒体の病院パンフレットを制作して、このような高齢者のターゲットにアプローチすれば、高いプロモーション効果が得られると考えられます。

◉病院パンフレットは主に3種類

病院パンフレットは、制作する目的によって大きく次の3つに分けることができます。

・診療案内パンフレット
・病院案内パンフレット
・採用パンフレット

制作するパンフレットが、この中のどれに該当するかで掲載すべき内容や構成が変わってきます。

◉-1、診療案内パンフレット

どのような診療を行っているのかを紹介するパンフレットで、病院パンフレットの中では最も一般的なものです。

病院が掲げている診療方針や、治療を行っている診療科目の種類、診療時間、担当医師、導入している医療機器などについて、主に患者さまやそのご家族向けに紹介する内容になっています。

診療案内パンフレットを制作する際に心に留めておかなければならないのは、患者さまやご家族が必要しているのは、「最新の医療機器」ではなく「安心できる治療」だということです。

そのため、導入医療機器を羅列するだけではなく、「その医療機器を使ってどのような治療が行えるのか」ということを主に説明した方が良いでしょう。

その他にも、患者さまやご家族が知りたいと思うことはしっかり盛り込みましょう。

たとえば、病院の所在地やアクセス、駐車場の有無、入院設備のある病院の場合はその内容についても紹介した方が良いでしょう。

※後述しますが、院内のみで配る「診療案内パンフレット」の場合は医療広告ガイドライン上は「医療広告」に該当しないため、規制の対象外になります。

◉-2、病院案内パンフレット

病院の沿革や理念、治療方針などを総合的に紹介するパンフレットです。

病院案内パンフレットは、病院のブランディングを目的としたパンフレットと言うこともできるので、「その病院らしさ」や「こだわりポイント」などが見る人に伝わるように工夫しましょう。

パンフレットを手にとる患者さまやご家族、医療関係者に安心感を与えて、病院の魅力をよりアピールするブランディングツールになります。

病院案内パンフレットは、患者さまやご家族のほかに、就活生などの就職希望者も見るものなので、前述の診療案内パンフレットに含まれる診療方針や診療科目などの情報が掲載されることもあります。

◉-3、採用パンフレット

病院で働く看護師や保健師、薬剤師などの医療スタッフや職員の採用を目的としたパンフレットです。

採用パンフレットは、就活生や就職希望者に対して、「その病院で働く魅力」を伝えるものなので、基本的な情報や募集要項はもちろん、運営理念や治療方針、教育プログラム、キャリアパス、労働環境などを紹介する内容にしましょう。

また、それぞれの現場の写真を掲載したり、先輩スタッフのインタビューを載せたり、看護師や保健師、薬剤師などが実際の現場で働くイメージが分かるように工夫することが大切です。

就職後のミスマッチを減らすためにも、できる限り詳しい情報を掲載した方が良いため、患者さま向けのパンフレットとは違い、必要に応じて専門用語などを使って説明することも検討しましょう。

※後述しますが、医療機関の人材採用目的で配る「採用パンフレット」の場合は医療広告ガイドライン上は「医療広告」に該当しないため、規制の対象外になります。

◉-3-1、採用目的の広告が病院のプロモーションにもなる場合がある

採用目的のパンフレットではありますが、病院の存在を外向けに知ってもらうという副次的な病院の広告効果も見込めます。

たとえば、地元紙に折り込みのスタッフ広告を出した結果、来院数が増えたという事例も実際にあります。

もちろんあくまで「採用」が目的なのですが、こういった副次的な効果もあるということを知って起きましょう。

◉信頼獲得につながる病院パンフレットを作るポイント

病院パンフレットは、公益性の高さから一般の企業のように「集客」や「成果」という観点が薄くなってしまいがちですが、病院も一種のビジネスです。

お金を出す以上、「多くの患者さまに選ばれる」「採用候補者が多く集まる」など、成果につながるようなパンフレットを制作していきましょう。

信頼感や安心感を伝え、多くの人に選ばれるなどの成果をつなげるためには、各種の情報を綺麗にパンフレットに掲載するだけでは不十分です。

次に挙げるポイントを押さえて明確な戦略と目的を持って作る必要があります。

・厚生労働省の「医療広告ガイドライン」を遵守する
・「いつ」「誰に」「何を目的に」配るパンフレットなのかを明確にする
・安心感・信頼感を得られるデザインにする
・情報を詰め込みすぎないようにする
・WebサイトやSNSヘの導線を入れ込む
・作成後の配布やマーケティング活用も見据えた上で制作する

それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

◉-1、厚生労働省の「医療広告ガイドライン」を遵守する

病院内でのみ配布されるパンフレット、職員の採用に関するパンフレット以外は基本的に「医療広告」に該当するため、医療広告ガイドラインの遵守が必要不可欠です。

6 通常、医療に関する広告とは見なされないものの具体例
(1) 学術論文、学術発表等
(2) 新聞や雑誌等での記事
(3) 患者等が自ら掲載する体験談、手記等
(4) 院内掲示、院内で配布するパンフレット等
(5) 医療機関の職員募集に関する広告

引用元:厚生労働省「医療広告ガイドライン」

医療広告ガイドラインでは、主に次のような広告表現を禁止しています。

パンフレットに病院のWebサイトなどに、QRコードや気軽にお問い合わせができるような導線をつけること自体は問題ありませんが、「ご来院ください」「お問い合わせください」のように誘う文句などを入れるとガイドラインに違反する可能性があります。

「誘引性(患者の受診等を誘引する意図がある)」のある表現などには十分配慮して制作を行いましょう。

まずはきちんと国のルールに則って制作をすることが信頼獲得の大前提となります。

◉-2、「いつ」「誰に」「何を目的に」配るパンフレットなのかを明確にする

病院パンフレットに限ったことではありませんが、「いつ」「誰に」「何を目的に」配るパンフレットなのかを明確にする必要があります。

病院パンフレットには、前述のように主に「診療案内パンフレット」「病院案内パンフレット」「採用パンフレット」の3種類があります。

まず最初にどのパンフレットを作るのかをはっきりさせましょう。

なぜなら、どの種類のパンフレットを制作するのかによって「いつ」「誰に」「何を目的に」が変わってくるからです。

◉-3、安心感・信頼感を得られるデザインにする

病院パンフレットは、安心感や信頼感が得られるようなデザインにすることが基本です。

この点が企業のパンフレットと大きく異なる点です。

患者さま向けのパンフレットであれば、ターゲットは子供から高齢者まで幅広い年代の方が対象になるので、誰にでも分かりやすく親しみのあるイメージになるようにします。

パンフレットで使用するフォントは、高齢者でも読みやすいように大きめのものを選択しましょう。

同様に、写真や図表なども分かりやすさを基本に考えましょう。

また、病院内の清潔感のある写真を掲載したり、優しいイメージの色遣いになるように意識することも大切です。

病院と言っても、地域密着のクリニックから皮膚科・眼科・耳鼻咽喉科などのような専門病院、複数の診療科目を扱う総合病院、先端医療を取り扱う大学病院など様々な医療機関があります。

いずれも安心感や信頼感を与えるようなデザインにすることが重要ですが、それぞれの病院の特徴を表すような独自性のあるデザインを考慮することも必要です。

なお、デザインや色遣いに関して注意すべき点は、清潔感を出すために「クリーン」なイメージを持たせようとして、結果的に「クール」な冷たいイメージになってしまっている例があるということです。

無駄なものを省きすぎたり、寒色系の色合いを多く使った「クール」なパンフレットは、冷たいイメージを与えかねません。

温かみを感じさせるような「ハートフル」な暖色系の色使いが、病院パンフレットには相応しいと考えられます。

◉-4、情報を詰め込みすぎないようにする

病院目線でパンフレットを作ると「これも入れておいた方が良い」などと情報を詰め込み過ぎたり、専門用語を使ってしまったり、一般の患者さまやそのご家族には意味が分かりにくいものになってしまいがちです。

病院は子どもから高齢者まで幅広い年代の方が利用する場所ですから、「難しい漢字を利用しない」「漢字にフリガナを付ける」「読みやすい大きさの文字を使う」など利用者目線のパンフレットになるようにすることが大切です。

「診療案内パンフレット」や「病院案内パンフレット」のような患者さまやそのご家族向けのパンフレットにはターゲットが必要としている情報を厳選して掲載するようにしましょう。

一方で、「採用パンフレット」の場合は、対象者が医療関係者ということもあり、ある程度の専門性を訴求するような内容になります。

患者さまやそのご家族向けとは違い、専門的な情報は入れつつも、やはり情報は詰め込み過ぎないように心がけましょう。

いずれの場合も、第三者のプロの目線を入れて情報を整理して制作した方が、「患者さまやそのご家族にこの情報は必要だろうか?」という病院以外の視点で情報を精査できるという点でおすすめです。

◉-4-1、Webサイトなどへの導線を入れ込む

前述のように、パンフレットに掲載する情報は厳選して最小限にすべきですが、パンフレットで説明しきれなかった詳細な内容については、Webサイトなどで見てもらうようにするのがおすすめです。

具体的には、パンフレットにWebサイトのQRコードやURLなどを入れておくと、患者さまがスムーズにWebサイトで詳細な情報を見ることができます。

また、気軽に問い合わせや質問などができるLINE公式アカウントなどのURLをパンフレットに明記しておくなど、パンフレットを見た人が自らの意志で次の行動を起こしやすい導線を入れておくことも大切です。

ただし、医療広告ガイドラインにより「誘引性」のある表現などは規制されているので、「お問い合わせください」や「お気軽にご相談ください」など患者さまを誘い込むような文言は使わない方が無難です。

QRコードやURLを掲載して、患者さまが自らの意志で詳細な情報を取りにいく導線の設置は問題ないと考えられるため、掲載しておきましょう。

このように、Webサイトなどへの導線を入れ込んでおかないと「見て終わり」のパンフレットになってしまいます。

◉-5、作成後の配布やマーケティング活用も見据えた上で制作する

「パンフレットを作ってはみたものの、いま一つ成果や反響が感じられない」という方の多くは、「パンフレットを作る」ということを目的に作ってしまっている傾向があります。

制作後に「どこで」「誰に」「どれぐらいの量を」「どうやって配布するのか」などの活用方法をしっかりと見据えた上で制作していかないと、成果につながりにくくなってしまいます。

パンフレットの制作に取り掛かる前に、しっかりとターゲットに届けるにはどうすれば良いのか、というマーケティング視点も入れた活用方法を検討しておきましょう。

◉病院のパンフレットを効果的に活用する方法

パンフレットは、ただ作るだけでは成果につながりません。

次のようにパンフレットをいかにターゲットの手元に届けて、見てもらうかという行動をしていかないと成果にはつながりません。

・PDF化してネット上でも見れるようにする
・配布するタイミングや場所を検討する
・デジタルマーケティングと組み合わせてターゲットに配布する

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

◉-1、PDF化してネット上でも見れるようにする

パンフレットは紙媒体の冊子ですが、Webサイトで閲覧したりダウンロードしたりできるようにPDF化してデジタルデータとしても利用できるようにしておきましょう。

スマホやPCで、症状や診療科目、地域などをキーワードにして検索をして病院を探す方も増えています。

「診療案内パンフレット」や「病院案内パンフレット」をPDF化して公式Webサイトに置いておくと、検索結果から病院の公式サイトを訪れた方が引き続き閲覧するなど、患者さまやご家族の目に触れるチャンスを増やすことができます。

◉-2、配布するタイミングや場所を検討する

パンフレットは、病院のロビーなどの机の上などにただ単に置いておくだけでは不十分です。

病院内であれば、受付カウンターや会計カウンターなどの患者さまが立ち止まる場所のよく見えるところに並べたり、看護師や医師のオペレーションの中にパンフレットの配布を組み込んだりするなど、配布タイミングや場所を十分に検討しましょう。

また、病院外でターゲットが多く訪れる施設をリサーチして、その場所に置いてもらったりすることも有効です。

たとえば、小児科などであれば、保育園や幼稚園、子どもを持つ親が集まるような施設に置けないかを検討したり、という様に、制作したパンフレットを1枚残らずターゲットの手元に届けるためにはどうすれば良いのかを事前によく検討して、配布する場所やタイミングを決めることが重要です。

◉-3、デジタルマーケティングと組み合わせてターゲットに配布する

WebサイトやSNS上に、パンフレットの内容の一部を切り取って投稿したり、WebサイトからPDFデータを容易にダウンロードや閲覧できるようにしたり、デジタルマーケティングと組み合わせる方法が有効です。

また、LINE公式アカウントのQRコードをパンフレットに入れて患者さまが気軽に相談や質問ができるようにするといった活用方法も有効と言えます。

実際に、コロナ禍の発熱外来で患者さまが増えたタイミングでLINE公式アカウントで医院からの情報発信を実施し、患者が再診に訪れる仕組みを作った事例もあります。

パンフレットの内容をWebサイトやWeb広告に二次活用するなども考えられるでしょう。

このように、デジタルマーケティングとの組み合わせによって、より多くのターゲットにパンフレットの内容を届けることができます。

◉【まとめ】活用方法や成果も見据えたパンフレット制作はプロに依頼しよう!

本記事では、信頼獲得と成果につながる病院パンフレット作りのポイントや効果的な活用方法について詳しく解説しました。

パンフレットを病院スタッフだけで制作しようとすると、患者さまやそのご家族にとっては分かりにくいものになってしまいがちです。

なぜなら、どうしても医療用語や専門用語が多くなったり、情報を詰め込み過ぎたり、病院側の伝えたいことを詰め込んだ一方的なパンフレットになってしまいがちだからです。

また、マーケティング視点などを入れての情報設計なども難しいと言えるでしょう。

成果を出すパンフレットを目指すのであれば、ターゲットに応じた利用者目線での制作はもちろんのこと、制作後の配布やマーケティング活用なども見据えて制作することが何より大切です。

フォーウェイでは、書籍やパンフレット制作だけにとどまらず、コンテンツをいかにターゲットに届け、成果につなげるかをサポートしております。

「採用候補者を増やしたい」「来院いただける患者さまの数を増やしたい」など、成果のでる病院パンフレット制作をお考えであれば、フォーウェイまでご相談ください。

パンフレット

世の中は情報に溢れ、企業が情報発信しても全く見られなかったり、読まれなかったり、反応がほとんどなかったりが当たり前の時代。

・HPを作って情報発信を行ってみたけれど、閲覧者がほとんどいない…
・SNSで情報発信をしているが反応がいまいち…
・色々な媒体で情報発信を行っているのに、成果につながらない…

そんな情報発信に関する悩みを抱え、どの情報発信ツールをどのように使えば良いのかが分からなくなっている経営者や広報・マーケティング担当者も多いのではないでしょうか。

この記事では、情報過多の時代にしっかりとターゲットに自社の情報を届けるために知っておくべき企業の情報発信に有効なツールや、それぞれの効果的な活用方法などを詳しく解説いたします。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 29d5ead1ee41a6d25524876e7bd315d5-scaled.jpg
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

◉企業の情報発信に有効なツール一覧

企業が情報発信するために有効なツールとしては、以下のようなものがあります。

◉-1、HP(ホームページ)

HPは企業が情報発信を行うための軸となる情報発信ツールの1つです。

HPでは、主にミッションやビジョン、行動指針といった経営方針や、会社の沿革、行っている事業や商品・サービスの紹介、所在地や代表者名のような会社概要など、企業の基本情報を発信します。

HPに掲載する内容を定期的に更新したり、ブログ機能をつけてお知らせをしたり、「スタッフブログ」や「コラム」で記事という形で情報発信をしたり、比較的自由に情報発信を行うことができるというのが特徴です。

また、HPは銀行口座の開設や融資の審査などの際にHPの情報が求められたり、企業の信頼性を図る一つの指標ともなっており、企業の情報発信の基幹となる必須ツールとも言えるでしょう。

しかし、HP上で発信した情報をターゲットに見てもらえるまでにはタイムラグが発生するため、時間の経過とともに変わるトレンド性や即効性の高い情報の発信には不向きです。

恒久性のある情報をきちんと保存していく情報発信媒体として活用するのが効果的と言えます。

なお、HPをただ単に作っただけでは見てもらえません。

URLをSNSなどでシェアしたり、SEO対策をして検索結果で上位表示させたり、ブログ投稿で入り口を増やしたりするなど、HP上で情報発信を行っていることを周知していく施策を合わせて行う必要があります。

◉-2、SNS

SNSは気軽に情報を発信してフォロワーとの間でコミュニケーションを取ることができるツールです。

リアルタイムで膨大な情報が流れており、拡散性が高い反面、情報の寿命が短いという特徴があります。

また、SNSといっても多くの種類があります。

それぞれ、情報発信の方法やユーザー層、特性が異なるので、企業が発信したい情報や、ターゲットに合わせてSNSを使い分けていくことが大切です。

SNS名国内月間アクティブユーザー数主なユーザー層情報発信の方法特性
LINE9,600万人(2023年9月時点)全世代(中でも50代が多め)・LINEメッセージ自社サービスと連携してメルマガや1to1施策で活用できるSNS
YouTube7,120万人(2023年5月時点)全世代・ショート動画・動画世界最大の動画SNS。インフルエンサーマーケティングに活用される
X(旧Twitter)6,658万人(2024年1月時点)20代〜30代が過半数・140文字以内の投稿・長文の投稿・画像 / 動画リアルタイム性のある情報が投稿され、情報拡散しやすい、一方で炎上しやすいSNS
Instagram6,600万人(2023年12月時点)20代〜30代で半数を占める・画像・リール動画・ストーリー雑誌感覚で食や美容、メイク、ファッションなどビジュアルの情報発信と相性が良いSNS
Facebook2,600万人(2019年3月時点。それ依頼発表なし)30代〜50代が多い・文章 / 画像 / 動画による投稿実名登録がマストなため、安心感があり、ビジネスシーンでの活用が多いSNS
TikTok2,800万人(2024年2月時点)10代〜20代で半数を占める・ショート動画エンタメ系の投稿と相性が良く、企業の採用などによく使われるSNS

▶︎SNS運用については、関連記事【SNS運用のやり方をとことん解説|フォロワーを集めてビジネスに繋げる成功法則とは?】もあわせて参考にしてください。

◉-2-1、X(旧Twitter)

X(旧Twitter)は140文字の短文でコミュニケーションをするSNSです。

国内の月間アクティブユーザーは約6,658万人(2023年5月時点)で、若年層のユーザーが多い傾向にあります。

X上では、リアルタイム性の高い情報が日々飛び交っており、情報拡散がしやすいのが特徴。

興味を引く投稿はリポストなどによって拡散されて爆発的な集客を得ることもできます。

フォロワーからの反応も早いため、たとえば、次のようなトレンド性や即効性の高い情報の発信に向いています。

・新商品やサービスのティーザー(「あと数日で販売開始」など)
・期間限定のキャンペーン告知
・システム障害などの緊急情報
・時事性の高い情報

こういった特徴から東北大震災など災害の際の現地情報収集元として活用されたり、選挙活動など政治などにも活用されています。

一方で、投稿した情報がすぐに古くなってしまうため、あまり変化のない情報発信には向いていません。

むしろ、HPやWebメディアで発信した恒久的な情報を広く拡散するためにXを活用したりします。

◉-2-2、Instagram

Instagramは画像や動画の投稿がメインのSNSです。

国内の月間アクティブユーザーは約6,600万人(2023年12月時点)で、メインユーザーは20代~40代です。

総務省の「令和5年 情報通信に関する現状報告の概要」によれば、特に20代の利用者が最も多く、約78.6%の人が利用。

次いで10代(約72.3%)、30代(約57.1%)と利用者が多くなっています。

また、性別で言えば女性ユーザーの利用が約59%と多くなっています。

2017年に「インスタ映え」という言葉が流行語大賞を受賞したように、食や美容、メイク、衣類、アクセサリー・雑貨などの見た目のビジュアルが重要な情報発信と相性が良いのが特徴です。

近年、ビジネスアカウントの登場や、ストーリーズ、リール動画などさまざまな機能が追加された上、投稿から商品ページに直接遷移するショップ機能がついたため、自社で販売する商品やサービスの情報発信やブランディングなどに活用する企業も増えてきています。

一方で、ビジュアルで訴求が難しい情報との相性が悪いため、文章での情報発信や訴求には向いていません。

◉-2-3、Facebook

FacebookはMeta社が運営する全世界の利用者数が30億人を超える世界最大のSNSで、他のSNSとは違い、実名利用が必須なので炎上しにくく、ビジネスユーザーの利用が多いのが特徴。

国内の月間アクティブユーザーは約2,600万人(2019年3月時点、それ以降発表なし)で、30代~50代のユーザーが多い傾向があります。

実名登録が必須という制度上、企業の代表や営業マンなどが情報を投稿したり、DMで営業メールを送ったり、人主体での発信がメインになってしまうため、企業主体の発信には利用されない傾向があります。

企業による情報発信の場合、プラットフォーム内に年齢や性別、居住地、趣味・嗜好、行動傾向など膨大なデータが蓄積されており、精度の高いターゲティングができるということから、広告などが主に活用されます。

◉-2-4、TikTok

TikTokは中国発のショート動画SNSです。

15〜60 秒の短尺動画の投稿がメインです。

国内の月間アクティブユーザーは約2,800万人(2024年2月時点)で、総務省の「令和5年 情報通信に関する現状報告の概要」によれば、10代の利用率が約62.4%、20代の利用率が46.5%と多いことから、若年層向けの情報発信におすすめのSNSです。

X(旧Twitter)と同様にトレンド性の高い情報との相性がよく、拡散性も高いのが特徴。

1つの動画が一気に数千、数万、数十万回再生されるなど、話題になると一気に情報が拡散していきます。

若年層のユーザーが多いことや、エンタメ性のある投稿が多いことから、企業の採用活動などに活用されることが多くなっています。

◉-2-5、YouTube

YouTubeは世界最大の動画共有サイトで、国内のアクティブユーザーは約7,120万人(2023年5月時点)です。

ショート動画と長尺の動画が投稿でき、自社の商品やサービスに関連する有益な情報を分かりやすく紹介したり、YouTuberなどとコラボしたインフルエンサーマーケティングなどに活用されます。

Google社が運営しているため、Googleの動画検索などに表示ができ、SEO効果が期待できるのも特徴です。

YouTube内でも検索需要があり、動画の概要欄などを最適化してYouTubeの検索結果で上位表示を目指すことでより閲覧されるように工夫することも可能です。

▶︎Youtube動画については、関連記事【YouTube動画の作り方をカンタン解説!初心者でも再生回数を稼ぐテクニック】もあわせて参考にしてください。

◉-2-6、note

noteは文章や写真・イラスト・音楽・映像などの作品を配信できるブログ形式のサイトで、月間アクティブユーザー(ブラウザ数)は約5,145万人(2023年11月現在)です。

クリエイターやビジネスパーソンなどにブログとして、自社のノウハウや商品・サービスの開発背景などの情報発信に利用されています。

最大の特徴は、記事コンテンツの有料販売ができる点です。

情報発信自体を収益化することができます。

◉-2-7、LINE

LINEはLINEヤフー株式会社が運営するメッセージ型のSNSです。

国内の月間アクティブユーザー数は約9,700万人で、SNSというよりはメッセージアプリという印象が強いかもしれません。

企業アカウントを作成することで、友だち登録してくれたユーザーに向けてメッセージやクーポン・キャンペーン情報を送ることができたり、メルマガのような感覚で情報発信ができるのが特徴。

LINEから直接HPやECサイト、予約ページに遷移させたり、さまざまな機能が備わっていたり、個別にメッセージを送れたり、メルマガシステムなどに比べて気軽にユーザーと密にやりとりできる情報発信ツールとして多くの企業に活用されています。

◉-3、メルマガ

メルマガは登録した顧客やステークホルダーに、自社の製品やサービス、イベント、キャンペーンなどの情報を定期的に発信するツールです。

近年ではMA(マーケティング・オートメーション)ツールと連携して顧客の行動やステータスなどによってメールを出し分けたり、OnetoOne施策に欠かせないものとなっています。

また、見込み客獲得や顧客教育や、引き上げ(アップセル)になくてはならないツールと言えるでしょう。

送られたメールは新しく届くメールにどんどん流されていくため、新商品・サービスの販売、セミナー開催などの告知情報など、即効性やトレンド性の高い情報発信に適しています。

◉-4、オウンドメディア

オウンドメディアは企業が所有する情報発信メディアの総称です。

たとえば、自社のHPで更新しているコラムや、HPのサブドメインや別ドメインで運営するジャンルの情報発信に特化したWebメディアなどがオウンドメディアに該当します。

アメブロやはてなブログなどのブログサービス、noteなどのSNSなどと比べて、自社の意思によって自由に情報発信やコンテンツの保存ができ、第三者に削除されないという特徴があります。

一方で、記事を更新したからと言ってすぐに見られることはありません。

あるキーワードでの検索順位が上がったり、更新した記事をメルマガやSNSなどで告知することで見てもらえるようになってきます。

そのため、即効性やトレンド性の高い情報発信には向いていません。

知っておくと便利なお役立ち情報や知識、悩みの解決方法など長期間変わらないような情報発信に適しています。

▶︎SEO対策については、関連記事【SEO対策とは? 効果的な戦略の組み立て方と対策方法】もあわせて参考にしてください。

◉-5、ブログ

ブログはもともと個人の意見や情報を公開するプラットフォームでしたが、現在では企業の情報発信や集客ツールとしての利用が多くなっています。

「アメブロ」「はてなブログ」などのブログサービスを利用したり、自社HP内にブログ機能を設置して情報発信を行うのが一般的なやり方です。

自社HPに設置したブログを更新した場合は、オウンドメディアと同様にすぐに見られることはありませんが、ブログサービスを利用した場合には、「新規更新欄」などに掲載されるためSNSのnoteと同様に比較的早く見てもらうことができます。

そのため自社スタッフの日記など、リアルタイムの情報発信であればブログサービスの方が適しています。

検索経由でしっかりと発信したい情報などであれば自社HPに設置したブログを利用する方が良いと言えるでしょう。

◉-6、プレスリリース(PR)

プレスリリースは企業からメディアに向けた公式な情報発信手段です。

新商品や新サービスの発表や業績報告・業務提携・キャンペーンの案内などをメディアに対して行い、Webメディアや雑誌、新聞、TVなどで取り上げてもらうことが目的です。

ターゲット層が多く閲覧している各メディアに取り上げられることで認知獲得につながる可能性があります。

メディア側は常に新しい情報の種を探しているので、時代性やトレンド、今までになかったような切り口での情報発信を心がけることで、取り上げられやすくなります。

◉-7、Googleビジネスプロフィール

GoogleビジネスプロフィールはGoogleマップ上でビジネス情報を発信できる無料のサービスです。

たとえばGoogleマップ上で「駅名 居酒屋」と検索すると、多くの居酒屋の情報が出てきます。

表示できる情報は所在地・営業時間・電話番号・最新情報などがあり、最新情報を活用すると新商品・キャンペーン情報をタイムリーに発信することが可能です。

Googleマップ上に表示される情報であるため、店舗のあるビジネスとの相性が良いのが特徴。

店舗系ビジネスではぜひ活用しておくべき情報発信ツールと言えるでしょう。

◉-8、DM

DMは企業がターゲット層に郵送や電子メールを送付するという情報発信方法です。

具体的にはターゲット層の企業のリスト1つひとつにDMを郵送したり、企業のメールアドレスに直接広告メールを送付したりします。

郵送DMはコストはかかるものの、実体のあるものが届きますので比較的レスポンス率が高く、顧客の認知や関心を高めることが可能です。

利用できるクーポンなど次のアクションにつなげやすいオファーをつけておくのがポイントです。

メールについては基本的に無視されますが、郵送DMほど手間をかけずに多くのリスト向けに送付できるというメリットがあります。

郵送DMは確度の高いターゲット層向けや、高単価商品・サービスの場合、メールについてはBtoB向けの商品・サービスの場合、などうまく使い分けをしていくことが重要です。

◉-9、チラシ

チラシは1枚の紙の両面または片面に情報を印刷したものです。

商品やイベントなどの案内・告知を目的として大量に配布するために利用されます。

代表的な配布方法は、新聞折込チラシ・ポスティング・街頭ビラ配りなどです。

実態のあるものがターゲットに届くため、WebやSNSなどに比べて見てもらいやすいのがメリットと言えます。

地域密着型のビジネス(水道修理、士業、マッサージ店、美容院、不動産など)におすすめの情報発信方法です。

しかし制作に手間とコストがかかるので、ターゲット層の多いエリアをしっかりとセグメントをした上で配布していくのがポイントです。

◉-10、パンフレット

パンフレットは複数枚の紙を折り曲げて重ねて冊子にした印刷物です。

会社案内や製品・サービスの詳細な紹介など、情報量の多い用途に利用されます。

WebやSNS、また1枚もののチラシやDMとは違い、何度も作り直したりすることは難しいため、中長期で変わらないような情報の発信に向いています。

一方で、「パンフレットをきちんと作れるようなしっかりとしたところなんだ」という紙媒体ならではの信頼性のアピールにもつながるのが特徴です。

また、パンフレットはWebやSNSとは違い、机に並べて比較検討しやすいということもあり、大学や学習塾、老人ホーム・介護施設、建設会社など、商品やサービス、取引先選びの際に比較検討をするような業界の情報発信ツールとしてもおすすめです。

▶︎パンフレットのマーケティング活用については、関連記事【商品やサービスが売れるパンフレットを作るポイントと有効活用方法】もあわせて参考にしてください。

◉-10-1、パンフレットによる企業の情報発信成功事例

ある投資スクールでは、投資に興味があるものの何から取りかかれば良いのか分からないという人に向けて「入校を後押しする」パンフレットを制作。

パンフレットの中で、投資スクールのサービス内容や講師陣、受講料などの説明のほかに、実際に投資スクールを受講して利益を得た人のインタビューを掲載したり、メディア実績を掲載したりして、信頼性が得られるような工夫を行いました。

その結果、パンフレットを読んで「自分でもできるかもしれない」という気持ちになった多くの方から問い合わせが増え新規入校者の増加につながっています。

◉-11、名刺

名刺は名前や会社名・所属・住所などのプロフィールを記載した情報発信ツールです。

ビジネス上の初対面の相手に自分のプロフィール情報を伝えるのに適していますが、話のきっかけづくりや、後で見返した時に相手が興味を持つような工夫をするのがおすすめです。

掲載できる情報は少ないですが、うまく興味を惹くことができれば新規顧客の獲得にもつながる可能性があります。

◉-12、書籍

書籍は自社や自社の商品・サービスのことをより詳しく知ってもらいたい場合に有効な情報発信ツールです。

書籍の最大の特徴は社会的信頼性が高いことで、出版をきっかけに各種メディアに取り上げられたり、著者がセミナー講師に招かれたりすることもあります。

また、WebやSNSとは違い「読まれる媒体である」ということが大きな特徴です。

一般的な書籍の場合、7万字~10万字もの情報を盛り込むことができます。

そのため、商品やサービスの情報だけでなく企業の歴史・創業者の想い・理念・開発秘話などをストーリー性を持ってまとめて伝えることが可能です。

ただし、出版しただけで読まれる訳ではないですし、注目される訳でもないので、その点には注意しましょう。

出版後の書店配本はもちろんのこと、SNSやクラウドファンディング、SEOなどあらゆるデジタルマーケティングを駆使して、ターゲットの手元に届けることができてはじめて効果を発揮します。

信頼性の高さから、不動産投資や保険、コンサル、住宅など、契約までのリードタイムが長い業界、富裕層向けビジネス、広告規制が厳しい健康食品やサプリなどの情報発信に向きます。

また、競合が多すぎて差別化が難しいような業界や、あらゆるWebマーケティングなどをやり尽くした後のさらなる会社の発展、認知度拡大のための情報発信ツールとしても有効です。

▶︎ブックマーケティングについては、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。

◉-12-1、書籍による企業の情報発信成功事例

ある保険代理店の経営者は、保険業界の実態と保険業界に定着している「成果報酬型」の給与体系を「一律報酬型」に変えることによって業績向上が目指せるという持論を世に問うために書籍を出版。

その結果顧客や同業者からの見られ方が大きく変わって、大型契約などの成約に成功したり、講演会の講師に招かれたりするようになりました。

書籍の出版によって自社の信頼性が高まって、商談の際に顧客企業の経営にまで踏み込んだ相談を受けるケースも出てきています。

本来の出版目的であった、同業の保険代理店からのコンサル依頼がまず数件。そして驚いたのは、保険会社から講演の依頼が来たり同業支援の話が回ってきたりと、「保険会社にとって頼れる代理店」というありがたいイメージを持ってもらえるようになったことです。保険代理店はコンビニより数が多いうえ、扱う商品で差別化ができません。保険会社側から一目置いてもらえる代理店になることの価値はとても大きいんです。
引用元:【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店

◉-13、ニュースレター

ニュースレターは、主に企業のファンづくりのためのコミュニケーションツールとして定期的にメールや郵送で配信されるものです。

ターゲットは顧客だけではなく、株主や従業員・メディア関係者などのさまざまなステークホルダーです。

DMが広告宣伝を主目的としているのに対して、ニュースレターは企業に対して親しみを持ってもらうことに重きを置いていることが特徴です。

そのため、商品やサービスの情報というよりはむしろ関連するお役立ち情報や、企業の社長、社員、スタッフなどのインタビュー、などの情報発信に向いています。

Web上のブログなどと比べて読まれやすく、印象に残りやすいのがメリットと言えるでしょう。

◉-14、Web広告

Web広告はインターネット上のメディアに掲載される広告の総称で、検索時に表示される広告やSNSで表示される広告などです。

Web広告と言っても広告の出し方や出す媒体によって、次のように多くの種類があります。

・リスティング広告
・ディスプレイ広告
・アフィリエイト広告
・記事広告
・動画広告
・メール広告
・SNS広告

そのため、年齢や性別などの属性によってターゲティングをして、特定のターゲットに向けて効率的に広告を配信することができるという特徴があります。

また、Web広告の閲覧数やクリック数などを集計してほぼリアルタイムに広告効果を分析でき、分析結果を見ながら訴求内容やターゲットの変更が行えるのも特徴の1つです。

コラムのような読み物系ではなく、商品やサービスの宣伝に向く情報発信ツールです。

◉-15、TVCM

テレビ番組の途中や番組の間に放送されるCMを活用する方法です。

企業が自社の商品やサービスの宣伝をするために、テレビ局のCM枠を購入して広告を配信します。

TVCMは年代や性別を問わず幅広い視聴者へ効率的に情報発信を行えるマス広告の一つで、即効性があり商品やサービスの認知や購買意欲を促進するというメリットがあります。

大きく認知を広げていきたい時におすすめの情報発信方法と言えるでしょう。

地方ローカル局や、TverなどのネットTVなど比較的安価で活用できるTVCMも増えてきていますが、キー局などは数千万円〜数億円など多額の費用がかかるので、なかなか情報発信方法としてはハードルが高い方法と言えます。

また、番組を見ている視聴者層や、曜日、時間帯などのターゲットは可能ですが、Web広告のように細かなターゲティングができず、広告効果の測定が難しいというデメリットもあります。

◉-16、デジタルサイネージ

デジタルサイネージは駅や店舗・施設・オフィスなどに、ディスプレイやプロジェクターを設置して情報を発信するシステムです。

従来ポスターや看板で情報発信していたものが、デジタルサイネージに置き換わってきています。

最初にデジタルサイネージが使われたのは駅構内でしたが、最近では各種店舗や病院・宿泊施設・銀行・学校などあらゆるところに設置されています。

◉情報過多の中、企業が情報発信ツールを効果的に活用するポイント

これまでに紹介してきたように多くの情報発信ツールがありますが、これらを何の意図もなく使っているだけでは効果的な情報発信はできません。

次の3つのポイントを押さえた上で、明確な意図と戦略をもって情報発信ツールを使い分けることが企業の情報発信のコツです。

◉-1、情報発信の目的を明確にする

情報発信をする際は「誰に何を伝えて」「どうしたいのか」という目的を明確にする必要があります。

なぜなら目的に応じた最適な情報発信ツールを選定しなければならないからです。

たとえば数日限定キャンペーンの応募者を増やす目的で、即効性やトレンド性の薄いHPを選択しても期待する効果は得られないでしょう。

情報発信の目的が「集客や問い合わせ数や売上数の向上」なのか、「認知度を拡大していきたい」のか、「世の中に周知したい」のかなどを明確にすることが大切です。

◉-2、情報発信ツールの得意・不得意を把握する

情報発信ツールには得意・不得意があるので、これをきちんと把握しておく必要があります。

たとえばX(旧Twitter)は拡散性が大きいため話題性やトレンド性のある情報発信は得意ですが、しっかりと文章を読みこんでもらいたい長文の情報発信は不得意です。

Instagramは画像や動画で視覚的に訴求するような情報発信は得意ですが、文章での情報発信は不得意です。

このように、「自社の発信したい情報をうまく訴求できる媒体は何か?」をしっかりと考えた上で情報発信ツールを選定していく必要があります。

◉-3、デジタルとアナログをうまく組み合わせる

企業の情報発信では、デジタルとアナログをうまく組み合わせることが効果的です。

たとえば、リコーが行なった「DM実証実験結果」によれば、顧客をWebサイトに誘導する手段としてeメール(メルマガ)を使っていましたが、開封率は13.8%、Webサイト遷移率は1.5%と低い成果しか出ていなかったそうです。

そこでeメール送付後に紙のDMを送る検証実験を行ったところ、Eeメールの開封率が5.5倍の75.8%に、Webサイト遷移率が3.4倍の4.4%に大幅に向上。

つまりデジタルだけでは弱かった訴求が、アナログの強みをうまく組み合わせることによって大きな相乗効果が得られることが確認できたのです。

このように、デジタルの時代だからデジタルだけを活用するのではなく、アナログの特性も活かしていくことでより効果的な情報発信が可能になります。

◉-3-1、デジタルとアナログをうまく組み合わせた成功事例

ある不動産投資会社の経営者は、医師をターゲットとして「高収入な医師に最も効果的な節税対策は不動産投資である」という書籍を出版。

企画段階からSNSやクラウドファンディングなどのデジタルのプロモーションを検討し、出版タイミングに合わせて実施しました。

その結果、狙い通りに多くの医師に書籍を購入してもらうことができ、書籍を購入した医師から成約を獲得して売上を倍増させることに成功。

また、既存顧客からの口コミなどによって評判が広がり、新規顧客の獲得にもつながっています。

書籍というアナログな情報発信ツールとSNSやクラウドファンディングなど、デジタルな情報発信ツールを組み合わせ成果につながった好例と言えます。

◉【まとめ】情報発信ツールを効果的に活用しよう!

本記事では企業の情報発信に有効なツールの特徴や企業が効果的に活用するためのポイントについて解説しました。

情報発信ツールには多くの種類がありますので、目的を明確にしたうえで適切なツールを選ぶことが大切です。

また、デジタル全盛の現代だからこそ、デジタルとアナログをうまく組み合わせることが効果的です。

デジタルマーケティングと書籍やパンフレット、チラシなどアナログマーケティングとの組み合わせをお考えなら、まずはフォーウェイにご相談ください。

お悩みや課題に合わせて最適なご提案をさせていただきます。


ブックマーケティング
パンフレット

費用をかけてパンフレットを作ったは良いものの、「商品やサービスの売上が上がらず効果が実感できていない」という方は多いのではないでしょうか。

パンフレットの中で、ただ単に商品やサービスだけの紹介をしても、売上向上にはつながりにくいのが実情です。

パンフレットを活用して商品やサービスの売上を上げていくためには、マーケティングや営業活動へ活用していくことをしっかりと見据えた企画や制作・活用が重要になります。

この記事では、どんなパンフレットを作れば商品やサービスが売れるのか、企画や制作のコツや有効活用方法について詳しく解説いたします。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
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慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

◉パンフレットは商品やサービスを知ってもらう効果的な営業ツール

パンフレットを、ただ単に商品やサービスを紹介するだけのツールにしておくのは大きな広告機会の損失です。

なぜなら、パンフレットはWeb広告やSNSなどとは違って、ターゲットに直接手渡すことができ、見て、読んでもらえる媒体だからです。

効果的な営業・マーケティングツールになり得る媒体なのです。

せっかく費用をかけて作るのであれば、自社の商品やサービスの売上向上につながるように、また営業やマーケティングの販売促進ツールとしても活用できるように企画して制作するべきです。

◉成果の出るパンフレットを作る7つのポイント

パンフレットで商品やサービスの売上向上などの成果を出すためには、次の7つのポイントを意識して制作することが大切です。

・パンフレットの配布先や活用方法を見据えて作る
・訴求したい商品・サービスのコンセプトを作り込む
・分かりやすくキャッチーな訴求
・第三者評価を入れる
・アンケート結果など客観的な視点を入れる
・視覚的に訴えかけるコンテンツ
・マーケティング視点で作る

それぞれどのようなポイントなのか、具体的に見ていきましょう。

◉-1、パンフレットの配布先や活用方法を見据えて作る

パンフレットは「商品やサービスを紹介するもの」という視点で作られることが多く、配布先や活用方法までを明確に見据えて作られることはあまりありません。

そのため、商品やサービスの一方的な情報発信になってしまいやすいのです。

商品やサービスの売上向上を目指すためには、まずはパンフレットを「どんなターゲットに」「どのようにして配布するのか」をしっかりと明文化して社内で共有しておくことが大切です。

◉-2、訴求したい商品・サービスのコンセプトを作り込む

一冊のパンフレットに掲載できる情報量には限りがあるため、「どんなターゲットに」「どの商品やサービスの強み」を訴求し、「ターゲットが商品やサービスを使用することによってどう変わるのか」を端的に伝える必要があります。

そのためには、「ターゲット」「商品・サービスの強み」「商品やサービスを手にした後の未来像」を明文化しておかなければなりません。

◉-2-1、ターゲット

まず、パンフレットを「どんなターゲット」に配布するのかを明確にしましょう。

ターゲットが明確になれば、それに応じてパンフレットに掲載する「内容」や「デザイン」が決まってきます。

たとえば、ターゲットが若年層である場合は、親近感の湧く色調やデザインにする必要がありますし、高齢層である場合は、文字を大きくして読みやすくするなどの配慮が必要となります。

◉-2-2、商品やサービスの強み

パンフレットに掲載すべき主要な内容は、売上につなげたい「商品やサービスの強み」です。

そこで、改めて自社の「商品やサービスの強みとは何か」を整理して明確にする必要があります。

強みを把握するためには、3C分析やSWOT分析などのフレームワークを用いるのが一般的です。

同業他社と差別化できるような自社の「商品やサービスの強み」が何なのかを明確にして、目的に沿ったアピールができるような形でパンフレットに掲載していきます。

◉-2-3、商品やサービスを手にした後の未来像

ターゲットが、商品やサービスを手にして使用した後どのようなメリットを享受できるのか、どのような変化があるのかを明確にしましょう。

たとえば、家庭用WiFiルーターという機器がありますが、従来家庭内でWiFiが使えなかった時には、パソコンやテレビ、ゲーム機などをすべて有線でインターネットに接続なければならず、LANケーブルがごちゃごちゃする上にLANケーブルが届く範囲でしか使えませんでした。

しかし、家庭用WiFiルーターを使用すると、ケーブルレスで接続できたり、スマホなどのデータ通信料を節約できたりするようになるので、利便性が大きく向上することが分かり普及につながりました。

このように、商品やサービスを使用する前後でどのような変化が得られるのかがパンフレットに明確に示されていれば、それにメリットを感じると購入に踏み切ってくれます。

◉-3、分かりやすくキャッチーな訴求

パンフレットは、Web広告やSNSなどと比べると、実際に手に取って、見て、読んでもらえる紙媒体ですが、パッと見て、サッと読んで頭に入ってくるようなものでないとなかなか読み進めてもらえません。

理解に時間がかかるような専門用語のキャッチコピーや文章ではなく、ターゲットが普段から使っている言葉や言い回しなどをうまく活用したキャッチーで印象に残るものでなければなりません。

最初の数秒でサッと頭に入り、理解ができるようなキャッチーな訴求を心がけましょう。

◉-4、第三者評価を入れる

パンフレットは、企業による商品やサービスの一方的な情報発信にならないように気を付ける必要があります。

たとえば、ターゲット層へのインタビュー内容や利用者の事例などは第三者的な評価や情報として受け取られます。

第三者評価を入れることで客観性を加えることができるのです。

◉-5、アンケート結果など客観的な視点を入れる

パンフレットには、アンケート結果などの客観的な視点を取り入れることも大切です。

たとえば、自社で行ったアンケート結果、政府や自治体などの公的機関の統計情報などを盛り込むと、ターゲットに「客観的に見てパンフレットに記載されていることは正しい」という認識が生まれます。

これは、日本人は「他の人はどう思うのか?」「多くの人がどういう判断をしたのか?」など他人の判断に重きを置く傾向があるからです。

◉-6、視覚的に訴えかけるコンテンツ

パンフレットには、視覚的に訴えかけるコンテンツを入れて読む気にさせることが大切です。

文章だけだと、読む気にならないという人が増えてしまいます。

読む気にさせるためには、商品やサービスを解説する図表や画像、ターゲットがピンとくるような写真などを掲載して、視覚的に訴求するようなパンフレットにする必要があります。

◉-7、マーケティング視点で作る

パンフレットを自分や社内で作ろうとすると、知らず知らずのうちに自身や自社の主観が入ってしまいます。

「パンフレットという冊子があれば良い」というのであればそれでも構いませんが、「パンフレットで何らかの効果を出したい」と考えているのであれば、マーケティングのプロの視点で作ることをおすすめします。

◉パンフレットをただ作るだけではダメ!有効に活用しよう!

パンフレットを作ってただ闇雲に配るだけでは、売上向上などの効果は期待できません。

パンフレットの企画段階で見据えた営業やマーケティング施策などによって、しっかりとターゲットの手元に的確に届けて初めて売上向上につながるのです。

具体的には次の6つの活用方法によって、パンフレットをターゲットの手元にしっかりと届けるようにしましょう。

・PDF化してWeb上でも配布
・パンフレットの内容の一部をWebマーケティングや営業に活用
・営業ツールとしての活用
・取引先や提携先、パートナーなどに郵送
・MAと連携してリスト取得に活用
・ターゲットリストに順次送付

具体的にどのような方法なのかを詳しく解説していきます。

◉-1、PDF化してWeb上でも配布

紙媒体で作るだけではなく、作った紙媒体をPDF化してWeb上で配布していくこともできます。

問い合わせフォーム営業などであれば、対象企業にパンフレットのURLを送付したりすることも可能です。

現物の配布だけではなく、Web上での配布もしっかりと行うことが重要です。

◉-2、パンフレットの内容の一部をWebマーケティングに活用

パンフレットの内容の一部をWeb上のコンテンツとして掲載して、Webマーケティングに有効活用していく方法もあります。

たとえば、パンフレットの内容を一部抜粋してSNSに投稿したり、一部をスクリーンショットしてSEO記事などに活用したりすることが考えられます。

◉-3、営業ツールとしての活用

パンフレットを営業ツールの一つとして営業マンに活用してもらうこともできます。

営業マンにとっては、説明がしやすくなったり、商談後もお客様の手元に自社の商品やサービスの情報がある状態を作ることができるというメリットがあります。

パンフレットに「無料相談チケット」「割引チケット」などのオファーを付けておくと、後日顧客から何らかのアクションも期待できるのでおすすめです。

◉-4、取引先や提携先、パートナーなどに送付

パンフレットは、ただ自社で活用するだけではなく、取引先や提携先、パートナーなどにも積極的に送付しましょう。

取引先や提携先、パートナーなどが「知り合いにこんな会社ありますよ。よかったらおつなぎしましょうか」というように活用してくれて、紹介につながることがあります。

既存の取引先や提携先、パートナーなどの中で紹介が見込めるようなところに送付しておくと良いでしょう。

◉-5、MAと連携してリスト取得に活用

マーケティング活動を自動化するツールであるMA(マーケティングオートメーション)と連携して、新規の顧客リスト取得や顧客育成(ナーチャリング)などを実施していくような仕組みを構築することもできます。

たとえば、顧客がメールアドレスを登録すると、自動的にパンフレットのダウンロードURLが送られるような仕組みを作ることも可能です。

◉-6、ターゲットリストに順次送付

見込み度合いの高いターゲットリストに直接パンフレットを送付するのも有効な活用方法の1つです。

パンフレットを送付するためのコストがかかりますが、ターゲットリストの見込み度合いが高ければ高いほど、問い合わせや商談、成約につながる可能性が高くなります。

送付する際には手書きの手紙を付けたり、何らかのオファーを付けるとより効果的です。

◉パンフレットで成果が出た事例

ここでは、パンフレットを制作することによって何らかの成果が得られた事例をいくつかご紹介します。

◉-1、事例1:新規顧客の獲得につながっている

高収入の医師をターゲットとして不動産投資サービスを行っている不動産会社では、すでにブックマーケティングにより書籍を出版して成約率向上などの大きな効果を上げていました。

しかし、書籍は読んでいないものの不動産投資サービスには関心があるという検討段階の見込み顧客に提供するようなツールがないため、興味を喚起して問い合わせや成約につなげるためのツールとしてパンフレットを制作。

パンフレットは既に出版している書籍のダイジェスト版として、「実際にどれぐらい節税できるのか」「なぜ不動産投資で節税できるのか」「投資物件を見極めるポイントは何か」などがパッと見て分かるようにビジュアル面での工夫を施しました。

また、実際に投資用不動産を購入した顧客のインタビュー内容を掲載して信頼性を上げる工夫も実施。

パンフレットの配布方法は、自社のHPからのダウンロードという形を取っていますが、HP来訪者のほとんどがダウンロードしてくれることが分かっており、さらにその中から問い合わせなどのアクションを起こしてくれる顧客も多く、新規顧客の獲得に貢献につながっています。

◉-2、事例2:有能な人材採用につながった

東京都で建築設計会社を営む企業では、採用希望者の獲得が期待できる専門学校などに求人票と一緒に配布することを想定して、採用パンフレットを制作。

「他社と比べて目を引くようなインパクトのあるデザイン」「建築設計事務所ということがすぐに分かるデザイン」「学生向けに親しみやすい明るいデザイン」にしたいという要望を元にパンフレットの構成、デザイン、内容を作り混んでいきました。

結果として、若い有能な人材の採用につながったということです。

◉-3、事例3:新規入校者の増加につながった

投資スクールを運営している会社では、入校者の増加を図るためのツールとしてパンフレットを制作しました。

ターゲットは、投資に興味がありながらもノウハウや知識を得るために何をしたら良いかわからないという人です。

ターゲットがパンフレットを読むことによって「入校を決意してくれる」ようなパンフレットにすることを目的に構成や内容を作り込みました。

安心感や信頼感を持ってもらえるように、投資スクールを受講して利益を得た方のインタビュー内容を掲載したり、メディアで取り上げられた実績を掲載したりした上、投資スクールのサービス内容や講師陣、受講料などについても詳しく紹介。

受講料割引キャンペーンを実施中であるというオファーも掲載しました。

完成したパンフレットを配布したところ、パンフレットを読んで「自分にもできるかもしれない」という気持ちになった多くの方からの問い合わせが増え、新規入校者の増加という目に見える効果が得られました。

◉【まとめ】どうせなら商品・サービスが売れるパンフレットを作ろう!

本記事では、成果の出るパンフレットを作るポイントを実際の制作事例とともに詳しく解説しました。

デジタルによるWeb広告やSNSなどが主流となっている現代ですが、アナログなツールの一つであるパンフレットには、ターゲットに手渡しができて、直接読んでもらえるという強みがあります。

さらに、商品やサービスの強み、それを使うことによるターゲットの変化やメリットなどが適切に記載されていれば、パンフレットを読んだターゲットから売上につながるアクションが来ることも期待できます。

せっかく費用をかけて制作するパンフレットだからこそ、商品やサービスが売れるようなパンフレットを作りましょう。

成果の出るパンフレットの制作をお考えであれば、コンテンツマーケティングの専門家であるフォーウェイまでご相談ください。

パンフレット

会社案内(パンフレット)は、ターゲットに企業や商品・サービスの強みを伝え、ターゲットとの間に信頼関係を構築するために有効なツールの1つです。

「見ない」「読まない」「行動しない」という前提の広告と異なり、会社案内はターゲットにしっかりと届けることができれば「見て」「読んで」「行動する」という方向に持っていきやすい媒体です。

ただ単に会社概要や事業内容を紹介するだけではなく、ターゲットが興味を持ち、問い合わせをしたくなるような会社案内を作ることで、売上向上につなげることができます。

今回は、そんな問い合わせが増える会社案内の作り方について詳しく解説いたします。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 29d5ead1ee41a6d25524876e7bd315d5-scaled.jpg
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

◉会社案内(パンフレット)は企業の問い合わせ獲得に重要なツール

多くの企業が会社案内を作成していると思いますが、会社案内をただの会社紹介資料として制作してしまっていることも多いと思います。

しかし、会社案内は、Web広告やSNSなどと違って、ターゲットに比較的見てもらいやすく、読んでもらいやすいツールです。

実際に、企業が取引先や問い合わせ先を決める際には、相手先の会社案内を見て信頼できる会社かどうかをチェックして決めているケースが多いです。

そのため、「問い合わせにつなげる」「マーケティング・営業に活用する」という目的を見据えて会社案内を作っていないのは広告機会の損失にもつながります。

せっかくお金をかけて紙媒体の会社案内を作るのですから、問い合わせにつながるような工夫やマーケティング・営業への活用を見据えた企画・制作を行なっていきましょう。

◉問い合わせが増える会社案内(パンフレット)を作るポイント

問い合わせが増える会社案内を作る上で押さえておくべきポイントは次の8つです。

・使用目的を明確にする
・自社の強みを明確にする
・会社案内を見込み顧客がどのタイミングで見るのかを想像して作る
・図表や写真を効果的に使い、視覚的に印象を残す
・印象に残るキャッチコピー・文章にする
・何かしらのオファー・導線を設ける
・ターゲットが問い合わせをしたくなるようなデザインにする
・自社以外の視点を入れる

それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

◉-1、使用目的を明確にする

多くの企業では、会社案内をただの会社紹介資料だと思って作ってしまっています。

会社案内があることが企業として重要であり、特に使用目的などを考えて作っているというケースも少ないと思います。

そのため、まずは「問い合わせにつなげる」「マーケティング・営業に活用する」といった使用目的を書き出し、明文化しましょう。

なぜなら、次のように使用目的によって会社案内の構成や内容、デザインが大きく変わってくるからです。

「使用目的に応じて会社案内を作り分ける」というやり方も有効です。

◉-1-1、営業目的の場合

営業目的の場合は、営業マンがどのようなタイミングで、どんな効果を狙って会社案内を活用するのかについて知る必要があります。

営業マンへのヒアリングなどを行った上で、より営業現場で使いやすい構成、デザイン、内容にしていくことが重要です。

たとえば、営業マンが使っているトークスクリプトなどを参考にして内容を工夫することも良いでしょう。

また、あまり営業がうまくいかなかった際に次のアクションにつなげる「無料相談チケット」などのオファーを付ける工夫も考えられます。

◉-1-2、採用目的の場合

採用目的の場合は、会社説明会でどのようなポイントをアピールしているのかなどについて採用担当者にヒアリングし、それらを盛り込んで採用現場で使いやすい構成、デザイン、内容にしていくことが重要です。

また、「採用希望者が企業に求めること」など、公表されている調査・統計情報などを参考にするのも有効です。

新卒採用や中途採用など、さまざまなターゲット層を対象にした調査・統計資料があるので、自社の採用に合わせた情報を活用しましょう。

たとえば、産業能率大学総合研究所が行った『2022年度 新入社員の会社生活調査(第33回)』の結果を見ると、「新入社員が働くうえで企業に求めるもの」として、次のような項目がトップ3にランクインしています。

1位:長期的な安定性
2位:将来の成長性
3位:社員への福利厚生の充実

新卒採用候補者がターゲットであれば、こういった情報を元に、企業の売上や利益の推移や、今後の見込み売上・利益などの情報や、平均賞与支給額、福利厚生についての情報を入れ、企業が安定的に昔も今もこれからも成長していくこと、社員への待遇の手厚さをアピールしていきましょう。

また、株式会社マイナビが公表している『転職動向調査 2024年版(2023年実績)』を見ると、入社の決め手として中途採用者が重要視しているのが以下の4項目であることが分かります。

・希望の勤務地である
・給与が良い
・休日や残業時間が適正で生活にゆとりができる
・福利厚生が整っている

また、同調査で転職の理由のトップ4としてあがっているのが次の4項目です。

・給与が低かった
・仕事内容に不満があった
・会社の将来性、安定性に不安があった
・職場の人間関係が悪かった

中途採用候補者がターゲットであれば、このような情報を元に、入社後に働く可能性のある勤務地や、平均月収や年収、昇給や賞与、残業代などの仕組みについて詳しく記載したり、職場の和やかな雰囲気の写真を入れたりして人間関係の良さをアピールしていきましょう。

このように、ヒアリング結果や公表されている調査・統計情報を活用するだけで、これだけの工夫ができるのです。

また、採用希望者からよくある質問をQ&A形式で紹介したり、全社員に対して行ったアンケート結果を紹介したりするなど、HPや採用サイトなどでは知ることができない情報を掲載するなども有効です。

会社案内に「社員食堂1食無料チケット」などユニークなオファーを付けることによって、採用希望者に次のアクションを促すこともできます。

採用目的の会社案内を作る際には、さまざまな情報を元に1人でも多くの採用候補者が「入りたい」と思えるような内容になるよう検討しましょう。

◉-1-3、ブランディング目的の場合

ブランディング目的の場合は、各部署で話し合いやディスカッションの場を設けて、同業他社との差異を明確にしながら自社の強みを棚卸しして明文化していくことが重要です。

また、社外に対してのブランディング(アウターブランディング)なのか、従業員など社内に対して(インナーブランディング)なのか、対象を明確にすることも必要です。

そこが明確になっていないと、情報がただ書いてあるだけで、伝えたいことが全く伝わらない会社案内になってしまいます。

まずは軸となる部分と対象者をしっかりと決めた上で、創業の経緯や創業者の想い、価値観、将来に向けた方向性などをストーリー仕立てにしたり、全社的なアンケートを実施してその結果を会社案内に掲載したり、など「伝える方法」を検討しましょう。

◉-2、自社の強みを明確にする

企業が商品やサービスを購入したり、取引先企業を選ぶ際には「数ある会社の中で、なぜその会社の商品やサービスを選ぶのか、なぜその会社が取引先として良いと考えられるのかという理由」が必要になります。

特に金融機関や大企業などでは、担当者が社内稟議でこういったことを発表して承認を得る必要があります。

会社案内を通じて「自社の強み」が明確に伝わっていれば、「なぜこの会社に決めたのか」を担当者が把握することができるのです。

したがって、会社案内では「自社の強み」を根拠を示して端的に伝える必要があります。

「良いことはわかるけれども具体的にどう良いのかがわからない」というフワッとした印象の会社案内で終わってしまわないように、「自社の強みはなんですか?」と聞かれたらすぐに答えられるように明文化しておきましょう。

◉-3、会社案内(パンフレット)を見込み顧客がどのタイミングで見るのかを想像して作る

会社案内を見込み顧客がどのようなタイミングで見ているのかをきちんと想像することが大切です。

たとえば、自動車メーカーが開発を依頼する部品メーカーを選定する際には、多くの部品メーカーの会社案内を見比べて、見積もり依頼をする複数の部品メーカーを選定したりします。

また、顧客が投資用不動産を購入する際には、その不動産会社が本当に信頼できるのかをチェックしたり、本当に損しないかどうかを確認したりするために会社案内を見たりします。

このように、会社案内を配布するターゲットがどのようなタイミングで、どのような目的を持って見るのかを把握し、それに合わせて内容や見せ方を工夫していくことが重要です。

◉-4、図表や写真を効果的に使い、視覚的に印象を残す

会社案内は、Web広告やSNSなどと比べると、「見てもらえる」「読んでもらえる」媒体ですが、開いたときに文字ばかりが並んでいると、読む気がなくなる方も多くなってしまいます。

会社案内をパッと見た時に、ある程度視覚的なインパクトや説得力を与えられるように図表や写真を効果的に使って「読む気にさせる」ことが重要です。

また、同時にパッと見て会社案内の内容が大体理解できるようにするのが理想です。

最初の数秒でターゲットに「ちょっと見てみよう」という気を起こさせることができなければ、問い合わせにつながらないどころか、読んでももらえないということになりかねません。

◉-5、印象に残るキャッチコピー・文章にする

会社案内では、印象に残るキャッチコピーや文章は重要です。

ターゲットがよく使っているような言い回しや言葉を使うと、「お!この会社わかってるな」と親近感が湧くなどの効果があり、読んでもらいやすくなります。

逆に、その業界でしか使わないような専門用語や言い回しを多用したりすると、違和感や警戒感を与えてしまい読んでもらえないことになります。

◉-6、何かしらのオファー・導線を設ける

会社案内は多くの場合、「見て、読んで、終わり」というパターンが多いものです。

電話番号や住所が明記されていて「お気軽にお問い合わせください」と書かれていたとしても、興味を持っていない限りターゲット側から問い合わせをすることは基本的にありません。

そのため、会社案内の裏側や一部に、会社案内限定の「無料相談チケット」や「商品お試し申し込み」などのオファーを付けておき、ターゲットに次のアクションを起こしてもらいやすくすることが大切です。

◉-7、ターゲットが問い合わせをしたくなるようなデザインにする

会社案内のデザインも、ターゲットに合わせて最適なものにする必要があります。

たとえば、介護施設を運営する会社のパンフレットであれば、メインターゲットは高齢の親を持つ40代~50代の男女なので、40代~50代の男女が高齢の両親を入居させて安心しているような写真を使ったり、親近感を覚えさせるような工夫が必要です。

また、40代~50代になると近視や老眼などで細かい文字が見えにくくなってくるため、問い合わせ方法を目立つところに大きく設置するなどのデザインの工夫も大切です。

◉-8、自社以外の視点を入れる

会社案内の内容は、どうしても「自社の視点からのみ」の一方的な情報発信になってしまいがちです。

そのため、自社以外の「利用者の声」や「顧客事例」などで、自社以外の第三者の言葉や情報を入れて、客観性を持たせることが重要です。

また、顧客満足度調査の結果を掲載したり、自社で行なったお客様アンケート調査の結果を掲載したりするなども考えられます。

◉会社案内(パンフレット)制作事例

実際に、今回解説してきたような観点で制作を行った会社案内の制作事例を1つご紹介します。

◉-1、事例:採用目的の会社案内制作事例

建築設計会社の採用活動を目的とした会社案内の制作事例です。

大々的な情報発信ではなく、専門学校などに求人票と一緒に配布することを想定。

また、社外の専門家に委託して会社案内を制作することが初めてということもあり、社内の素人で制作したものとは異なるデザイン性の高さや上質さ、フォローの手厚さなどに対する期待もありました。

デザインについては、「他社と比べて目を引くようなインパクトがほしい」「建築設計事務所ということがすぐに分かるデザインにしてほしい」「学生向けなので親しみやすく、明るいデザインにしてほしい」などが主な要望でした。

当社では、これらの要望を満たすことができるような提案を行い、会社案内が完成。

作成した会社案内を有効に活用して、優秀な若手人材の確保ができたということです。

◉【まとめ】ターゲットに伝わる会社案内(パンフレット)を作るためにも自社の深掘りと言語化が大切!

本記事では、問い合わせが増える会社案内を作るためのポイントについて解説してきました。

会社案内は、WebやSNSとは違い、見て、読まれるツールです。

使い方や工夫次第で問い合わせなどにつながる広告効果を出す魅力的なツールにすることが可能です。

そのためには、「自社の強み」をきちんと把握することが不可欠で、同業他社との差異を意識した自社の深掘りと明文化がファーストステップとなります。

そして、「自社の強み」を文章によってターゲットにきちんと伝えることができるような構成や内容にした上で、ターゲットの興味を惹く工夫や、問い合わせをしやすい導線の設置などを配置して初めて広告媒体としての力を発揮します。

もし、広告効果が期待でき、問い合わせにつなげるマーケティング視点の会社案内を作りたいという方は、フォーウェイまでご相談ください。

自社の強みの深掘りからトータルでサポートいたします。

パンフレット

パンフレットは「企業や学校、商品やサービスを紹介するために配布するもの」というPRや広報のイメージが強いため、パンフレットを広告宣伝用に活用するイメージを持っていない方が多いのではないでしょうか。

そのため、パンフレットの内容や構成については「広告媒体である」という認識で作成されていないことがほとんどだと思います。

せっかく企画やデザイン、印刷にお金をかけて制作する訳ですから、PRや広報はもちろんのこと、広告媒体としてマーケティングや営業への活用も見据えて制作すべきです。

今回は、パンフレットを広告として有効活用するための方法について、構成や内容、制作する際のポイントなどについて解説いたします。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 29d5ead1ee41a6d25524876e7bd315d5-scaled.jpg
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

◉パンフレットを広告として有効活用するには?

パンフレットを広告として有効活用するために考えなければならないのは次の4点です。

  • ・目的や活用方法
  • ・内容
  • ・デザイン
  • ・配布方法

具体的にどのようなことを考えていくのか、詳しく見ていきましょう。

◉-1、パンフレットを作る目的や活用方法を明確にする

パンフレットを作る目的や活用方法などが明確になっていないと、誰にもピンとこない「ただの説明資料」になってしまいます。

まずは、パンフレットを「誰に向けて」「どんな目的で」「どのような活用方法を見据えて」作るのかを次のような形で明文化しておきましょう。

たとえば、建設業の会社案内パンフレットであれば、次のような形で明文化します。

誰に向けて・既存の取引先、パートナー企業
・工事の発注元となる可能性のある企業
どんな目的で・発注元企業からの認知獲得(工事の発注元企業に自社の存在を知ってもらう)
・信頼関係構築(信頼して工事を発注してもらうためのきっかけ作り)
どのような活用方法を見据えて・直接発送(取引先、パートナー企業、リスト先)
・PDF化して送信(問い合わせフォーム、メールアドレス)

上記のように文章にしておくことで、社内で共有ができ、目的をぶらすことなく制作を進めていくことができます。

◉-1-1、リーフレットやチラシ、カタログとの違い

パンフレットとよく混同されがちなのが、リーフレットやチラシ、カタログなどです。

以下の表に、パンフレット・リーフレット・チラシ・カタログの特徴や主な利用目的についてまとめています。

それぞれ特徴や利用目的などが異なるので、違いをしっかりと理解しておきましょう。

媒体特徴主な利用目的
パンフレット・複数枚の紙を折り曲げて重ね、真ん中をホッチキスなどの針金で綴じた冊子印刷物・UNESCOの定義では「表紙を除いて5ページから48ページまでのもの」で、48ページ以上は「書籍」に該当する会社案内や製品・サービスの詳細な紹介など、情報量の多い用途に利用される
リーフレット・1枚の紙を折り曲げて使用する綴じられていない簡易的な印刷物・コンパクトなため1枚の情報量は少なくなるが、折り曲げることによってページを作って、それぞれに情報を分けることが可能・商品や施設、イベントなどの案内・説明・告知を目的として利用される・広告宣伝用の手渡しツールとしても使用される
チラシ・1枚の紙を折り曲げずに使用する印刷物・最大でも両面印刷の2ページで、片面印刷の場合もある・商品やイベントなどの案内・告知を目的として大量に配布するために利用される
カタログ・パンフレットと同じく複数枚の紙を折り曲げて重ね、真ん中をホッチキスなどの針金で綴じた冊子印刷物・見た目はパンフレットと同じだが利用目的が異なるもの・商品や作品などを一覧で紹介することを目的として利用される。

◉-2、パンフレット制作をする前に企画をしっかりと行う

パンフレットは、ただ何かを紹介するためだけに制作するのではなく、あらかじめ明文化しておいた目的や活用方法をベースに、どんな内容のパンフレットを作るのかをより深く検討しておく必要があります。

パンフレットの企画段階における検討ポイントは以下の通りです。

◉-2-1、配布するターゲットを明確に設定する

まず、パンフレットを配布するターゲットを明確に設定します。

なぜなら、ターゲットによって掲載すべき「内容」や「デザイン」が変わってくるからです。

「誰に伝えたいのか」を明確にすることによって、「何を伝えるのか」というポイントがはっきりして、有効な「キャッチコピー」や「内容」「デザイン」につながります。

◉-2-2、ターゲットのニーズを深掘りする

次に、設定したターゲットがどのような情報を求めているのかというニーズを深掘りしましょう。

ターゲットのニーズを踏まえたうえで、「キャッチコピー」や「内容」「デザイン」を決めることによって、パンフレットとターゲットとのミスマッチを防ぐことができます。

ニーズに応えられるような「内容」になっていなければ、パンフレットを読んでさえもらえません。

◉-2-3、自社の強みを明確にする

ターゲットとニーズが明確になったら、それに対する自社の強みを明確にします。

3C分析やSWOT分析などのフレームワークを用いて、同業他社との差別化を意識しながら、パンフレットの目的に沿ったアピールができる強みを整理し、明確にしていきましょう。

◉-3、ターゲットの興味を惹く構成、デザインに落とし込む

パンフレットを見たターゲットに、商品・サービスの問い合わせや資料請求、購入などの何かしらのアクションを起こしてもらうためには、まずパンフレットを開いた時に「自分向けのパンフレットだ」と思ってもらう必要があります。

たとえば、人材採用を目的とするパンフレットであれば、ターゲットと同年代の従業員の写真を入れて、「自分がこの会社に入ったら、こんな風に活躍できるんだ」というイメージを持ってもらいやすくなり、「読んでみよう」と思ってもらいやすくなります。

また、商品やサービスのパンフレットであれば、ターゲットと同じ属性の「お客様の声」を入れたりするのも有効です。

ターゲットに「自分ごと」にしてもらわなければ、パンフレットをいくらうまく作っても読んでもらえないので、以下のようなポイントを押さえて、「いかにターゲットの興味を惹くか」を検討しましょう。

◉-3-1、ターゲットがピンとくるキャッチコピー・文章にする

ターゲットがパンフレットを見た時に、まず目に入る文章がキャッチコピーです。

キャッチコピーが刺さるか刺さらないかで、中身の文章を読んでもらえるのかが決まる重要な要素なので、次のポイントを押さえて文言を考えていきましょう。

・訴求ポイントを、短くわかりやすく表現する
・他社との差別化を意識したユニークなものにする
・ターゲットが普段使う言い回しや言葉を使う(普段使わない言葉を使っても刺さらないため)

また、キャッチコピーだけではなく、文章も重要です。

伝えたいことを羅列しただけでは、ただ長いだけの無味乾燥な文章になってしまいます。

パッと読んだだけで理解できるような分かりやすい文章表現を心がけましょう。

◉-3-2、内容を詰め込みすぎないように注意する

パンフレットを制作する際には、「せっかく作るんだからこの情報もあった方が良い」という風に、多くの情報を入れ込みたいという気持ちになりがちです。

しかし「内容を詰め込み過ぎる」とターゲットには伝わりにくくなります。

なぜなら、ターゲットにとって「どの情報が自分向けなのか」「どの情報が重要なのか」が分かりにくくなってしまうからです。

パンフレットの内容は、「何を載せるか」ではなく「何を残すか」という引き算の観点で考えた方が良いでしょう。

前述したように、「誰に向けて」「どんな目的で」「どのような活用方法を見据えて」作るのかを明文化しておけば、「何を残すか」の優先順位を決めやすくなります。

◉-3-3、次のアクションにつながるオファーを入れる

パンフレットを広告宣伝に活用するには、ターゲットの次のアクションにつながるようなオファーを入れることも重要です。

購入や販促などの広告の目的を達成するために、顧客にメリットを提示することをオファーといいます。

たとえば、パンフレットの中にバーゲン情報を記載したり割引クーポン券などを付けたりすることで、ターゲットに次のアクションを促すことができます。

「パンフレットを読んで終わり」にならないよう、次に繋げる意識が大切です。

◉-3-4、自社以外の第三者視点を入れる

パンフレットでは、自社の商品やサービスの優位性を強く訴求したくなりますが、自社の視点からだけの紹介では、一方的な押し付け情報と受け取られてしまいます。

これを回避するために、自社以外の第三者による評価などを入れたりできないか検討してみましょう。

たとえば、モニターによる商品・サービス利用の感想や、既存のユーザーに対して行ったアンケート結果などです。

ユーザー視点からの意見を入れることによって、よりパンフレットに記載されている内容に信頼感を持ってもらいやすくなります。

◉-3-5、図や表を入れて視覚的に訴求する

パンフレットには文章だけではなく、図や表を入れて視覚的に訴求するようにしましょう。

図表を使うと自社の商品やサービスの優位性など、伝えたい情報の正しさや正当性を分かりやすく示すことができるからです。

また、ターゲットの中には文字を読むことに苦痛を感じる人もいます。

できる限り、キャッチコピーなどの目立つ文章と写真、図表などを見ればあらかたパンフレットの内容を理解できるようにするのが理想です。

◉-3-6、売り込み色が強くなりすぎないように注意する

「自社の商品やサービスを買って欲しい」というイメージが強いパンフレットだと、ターゲットは警戒し、慎重になってしまいます。

「自社の強みをもっとアピールしたい」「自社の商品・サービスを売りたい」という気持ちは持っていても、パンフレットに売り込み色を強く反映しないように、注意して制作しましょう。

売り込み感を隠すぐらいが広告として丁度良いと言えます。

◉-4、ターゲットの手元に的確に届ける

パンフレットは、ただ単に作るだけではダメです。

ターゲットがよく利用する媒体を積極的に活用したり、無料セミナーを開いたり、営業マンに見込み顧客に手渡してもらったりしながらターゲットの手元に的確に届けていくことが重要です。

ターゲット以外の人に届けても意味がありません。

あくまで、ターゲットの手元に届くように、次のような工夫や施策を実行してはじめて成果につながるのです。

◉-4-1、PDF化して、Web上で配布する

パンフレットをPDF化して、自社のHPやポータルサイトに掲載しておき、メールマガジンやLP(ランディングページ)などから適切なリンクを貼ることによって、Web上で配布することができます。

パンフレットを紙媒体で作るだけではなくWeb上で配布していくことも重要です。

また、PDFであればWeb上で多くのターゲットに送付することができます。

たとえば、メインターゲットから少し外れていたり、「紙媒体で送るにはちょっとコストをかけすぎかな…」と思うような相手にもPDFであればコストを気にせずに送ることが可能です。

◉-4-2、ターゲットに直接送付する

自社で保有している見込み顧客リストの住所にパンフレットを直接送付する方法は効果的です。

また、エリア限定の商品やサービスのパンフレットであればポスティングで直接届けるのも有効と言えるでしょう。

パンフレットが郵便受けに届くので、捨てる前に必ず一度はターゲットの目に入ります。

そのため、表紙などでうまく興味を惹くことができれば、ターゲットに内容まで読んでもらえる可能性が高くなるのです。

手書きの手紙を付けたり、「バーゲン情報」「クーポン券」などのオファーを付けておくと集客につながる可能性が高まるのでおすすめです。

◉-4-3、セミナーや講座などで手渡す

自社が開催するセミナーや講座などで、受講者にパンフレットを手渡しする方法です。

受講者はセミナーや講座の内容に関心を持って参加しているわけですから、テーマに関連するパンフレットであれば、ほぼ確実に受け取って読んでもらえるでしょう。

さらに、パンフレットを読んだ受講者が問い合わせや資料請求などのアクションを起こして購買や成約につながる可能性もあります。

ポイントはセミナーの前に配っておくことです。

早めについて時間を持て余したりした際に読んでもらえる可能性が高くなるからです。

また、セミナーや講座で配ったパンフレットについては「こういう内容が書かれていますので読んでください」と必ず説明するようにしましょう。

こういった細かい配慮の1つひとつがパンフレットの広告効果を高めてくれます。

◉-4-4、ターゲットが集う場所に置かせてもらう

パンフレットの企画段階で設定したターゲットの属性などから、ターゲットが集まりやすい場所が特定できる場合は、その場所にパンフレットを置かせてもらうなども有効です。

たとえば、高齢者がターゲットであれば病院やクリニック、接骨院や整体、公民館やカルチャーセンターなどが良いと言えます。

ターゲットによって有効な場所は異なりますので、そのリサーチをいかにできるかがポイントと言えます。

もちろん、置かせてもらう場所のオーナーや責任者に依頼して了解を得てから置くようにしましょう。

◉-4-5、営業ツールの一つとして営業マンに活用してもらう

パンフレットを営業ツールの1つとして営業マンに持たせて活用してもらうのも有効です。

営業マンにとっては、パンフレットがあることで、説明の時間を短縮できたり、お客様を訪問しやすくなったり、話のきっかけ作りになったりします。

この場合も、ただ営業マンが手渡して終わりにならないように、顧客の次のアクションを促すような「無料相談チケット」「割引クーポン」などのオファーをパンフレットに付けておくと良いでしょう。

パンフレット

◉パンフレット制作事例

実際に広告宣伝にパンフレットを活用した事例を3件ご紹介します。

「いまいちパンフレットを広告にどう使えば良いか分からない」という方は、ぜひこれらの事例と同じような活用ができないかを検討してみてください。

◉-1、事例1:建築設計会社の採用パンフレット制作

ある建築設計会社では、採用活動を目的とした会社案内のパンフレットを制作。

中小企業ということもあって広く発信することは考えておらず、専門学校などに求人票と一緒に配布することを想定して、「他社と比べて目を引くようなインパクトのあるデザイン」「建築設計事務所ということがすぐに分かるデザイン」「学生向けに親しみやすい明るいデザイン」にしたいというのが先方の要望でした。

パンフレットを制作する前から、すでにターゲットが明確になっており、利用目的や要望もはっきりしていたため、専門スタッフ・デザイナーの力を結集して、満足していただける出来栄えのパンフレットを制作することができ、採用活動で実績を上げることに成功しました。

◉-2、事例2:不動産投資サービスの見込み顧客への配布用パンフレット制作

医師向けの不動産投資サービスを行っている不動産会社では、すでにブックマーケティングを実践し、書籍出版により大きな成果を上げていました。

しかし、中には書籍を一冊読むまでには至っていない検討段階の見込み顧客もいらっしゃるとのこと。

そういったライトな見込み顧客向けに配布するためのパンフレットを作成しました。

イメージ的には、既に刊行済の書籍のダイジェスト版ですが、「どれぐらい節税できるのか」「なぜ不動産投資が節税になるのか」「物件を見極めるポイント」などがパッと見て分かるように配慮し、実際に投資用不動産を購入した顧客との対談インタビューを掲載するなどを工夫。

自社HPからパンフレットのPDFデータをダウンロードしてもらう形で配布しており、新規問い合わせなどにつながっています。

◉-3、事例3:投資スクールの入校募集パンフレット制作

ある投資スクールでは、投資に興味がありながらもノウハウや知識を得るために何をしたら良いかわからない人に向けて、「入校を後押しする」ようなパンフレットを目指して制作。

新規入校生募集のためのパンフレットということもあり、表紙に投資スクールを受講したことによって利益を得た実績が分かりやすいように、「Before・After」を掲載して、インパクトを与えるように工夫しました。

また、投資スクールという世間のイメージがあまりよくないため、実際にスクールを受講して利益を得た方のリアルなインタビュー内容を掲載したり、メディアで取り上げられた実績を掲載したり、安心感や信頼感を与えることができるような内容になっています。

投資スクールのサービス内容や講師陣、受講料など、受講を検討する方が気になる項目についても詳しく紹介。

結果として、多くの方から問い合わせが増えて、新規入校者の増加につながっています。

◉【まとめ】デジタル時代の今だからこそ、パンフレットは有効な広告ツール!

本記事では、パンフレットを広告としてもっと有効活用するための方法について紹介しました。

PC、スマホなどを利用したデジタル広告が主流となっている現代ですが、こういうデジタル時代だからこそ、アナログなパンフレットが際立ち、有効な広告ツールとして効果を発揮します。

せっかく費用をかけて制作するのですから、広告や営業への活用も視野に入れてパンフレットを制作してみてはいかがでしょうか。

広告に有効活用することを見据えたパンフレット制作をお考えであれば、フォーウェイまでお気軽にご相談ください。

日本の経済成長を常に支えてきた、建設業界。

しかし近年、深刻な人材不足が業界全体の課題となり、ほとんどの会社は先行きが見えずに悩んでいるのが実態です。

そんななか、建設業界でも戦略的な活動による自社ブランディングに成功し、経営課題を解決する事例が増えてきています。

建設会社のブランディングについて、その必要性と適した手法を解説します。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 29d5ead1ee41a6d25524876e7bd315d5-scaled.jpg
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

建設業界に広がるブランド構築の意識

従来、建築会社であれ土木会社であれ、日本の建設業界に自社の「ブランド」という意識はあまり浸透していませんでした。

しかし、そういった業界の体質が、近年になって変わってきているのです。

背景にある深刻な若者不足

建設会社の意識が変わった背景にあるのは、業界を襲う恒常的な若者不足です。

建設業界に新しく入ってくる新規学卒者はバブル期のピークから激減しており、2000年に約4万7000人いたのが2009年には2万9000人にまで減少しました。

東日本大震災の復興需要やオリンピック関連工事の需要によって近年やや回復してきてはいますが、それでも横ばいを続ける程度にとどまっているのが現状です。

参考:建設業ハンドブック2020

https://www.nikkenren.com/publication/pdf/handbook_2020.pdf

若者から魅力を感じてもらえない!

そんな状況から、建設業界におけるほとんどの企業は、社員が高齢者ばかり。

何年も若者を採用できておらず、そもそも募集広告を出したところで応募がほとんどない、という悩みを多くの会社が抱えています。

そんな状況を打破するため、特に後継者が事業を継いだ直後の会社や、新しく立ち上げられた会社を中心に、ブランディング戦略によって人材を集めようとする機運が高まっているのです。

建設業のブランディングとは?

では、近年注目される建設業のブランディングとは、具体的にどのような手法なのでしょう。

従業員10人、おじさんだらけの設備工事会社

ここからは、実際の成功事例を通してブランディングの手法を紹介します。

M社は東京近郊に所在する設備工事会社。主に電気関係の設備工事を請け負う会社です。

創業家の3代目であるA社長が経営者を引き継いだ際、社員は10人で男性ばかり、平均年齢は50歳をゆうに超えていました。

このままではあと10年もすれば社員と一緒に会社も老衰状態になり、ものづくりの技術がついえてしまう……そう危惧したA社長は、自社ブランディングの施策によって会社を若返らせることを決意したのです。

ベンチャー企業のようなWEBサイトを制作

A社長が踏み切ったのは、WEBサイトの全面改修です。

それまでのWEBサイトは、1ページで簡単に会社の概要を紹介する公式ホームページがあったのみ。公開してから一度も更新されておらず、WEBサイト経由の問い合わせは皆無でした。そもそも、想定する閲覧対象すら決めずになんとなく制作したページだったのです。

A社長はベンチャー企業を中心とした実績を持つデザイン会社とタッグを組み、旧サイトをスタイリッシュなデザインで豊富なコンテンツを保有したコーポレートサイトに刷新しました。

具体的な企画は、代表自身の言葉による事業理念紹介、採用案内ムービー、業務内容が伝わる自社コラム、社員とプロジェクトの紹介など……とにかく情報を豊富にして、あらゆるテーマで自社と事業について広報する役割を自社サイトに持たせました。

女性が活躍する設備工事会社に

サイト改修の効果は、てきめんでした。

まず、採用募集の広告に対する反響率が劇的に上がり、若手人材や女性が次々に面接に訪れたのです。

以前ではあり得なかった、広告経由でないWEBサイト閲覧からの応募者も現れました。

さらに特筆すべきは、応募者が面接に訪れた時点でM社を魅力的に感じている状態であった点です。

「事業理念を読んで、工事会社の仕事に大きな社会的価値を感じた」「映像を見て、品質へのこだわりに共感した」「仕事に取り組む社員さんの姿勢に憧れた」など、応募者の語る志望動機は軒並み具体的で、ほぼすべての人がWEBサイトを見て志望度が高まった状態で面接にやってきました。

このようにM社のイメージや方向性に共感してくれている人材は入社後のミスマッチも少なく、育成もスムーズに。M社はどんどん拡大し、サイト改修から5年で「おじさんばかりの10人」から「女性と若手が活躍する40人」へと大躍進を遂げたのです。

効果は採用強化だけではなかった

WEBサイト改修というM社のブランディング施策の効果は、採用のみにとどまりませんでした。

まず、WEBサイトからの問い合わせを起点にした仕事の受注が、毎月一定数入ってくるようになったのです。

建設業界は、創業者のウデの良さが口コミによって広まり、地域の顧客を獲得できるようになることが重要。経営が安定してからは既存顧客からの相談や顧客紹介で売上を保つのが当たり前の世界です。

そんな常識なので大半の建設会社はWEBによるマーケティングに力を入れておらず、サイトの充実したM社はWEB問い合わせの需要を総取りできました。

インナーブランディングの威力

くわえて、サイトによるコンテンツ発信の価値は、お客様だけでなく社内にも波及しました。

A社長いわく、「サイト改修以降は会社としての考え方を社員みんなが理解してくれるようになり、明らかに仕事の動きが変わった」のだといいます。

実際、社員のモチベーションアップによって工事現場の利益率は以前よりも改善しているそうです。

M社は、ブランディング戦略によって会社の構造を丸ごと変えるほどのインパクトを達成したといえるでしょう。

▶企業のブランディングについてより詳しく知りたい方は、関連記事【企業ブランディングとは?企業の成長における重要性や手法を徹底解説】もあわせて参考にしてください。

まとめ

多くの建設会社が挑戦しているブランディングについて、一つの例を通じて解説しました。

今回の事例はWEBサイトを使った採用ブランディング施策でしたが、会社によって課題はさまざまですし、施策もパンフレットや出版といった紙媒体による発信から、セミナーやイベントといったリアルコミュニケーションまで数多く存在します。

建設業には将来性がないと諦めず、未来に向かって行動を起こしてみましょう。

▼企業ブランディングのためのブックマーケティングのご案内はこちら

 

書籍の出版を通して、集客や販促、採用、権威性の向上、ブランディングなど、自社が抱える課題を解決することを「出版ブランディング」といいます。

デジタルマーケティングなどである程度売上も安定して上がるようになり、「既にある程度やっているが、これ以上何をやったら良いのか?」と、伸び悩みや頭打ちを感じている企業を次なるステージに進めるのにおすすめの施策です。

今回は、そんな「出版ブランディング」について、やり方やメリット・デメリット、かかる費用感や成功事例などを詳しく解説します。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 29d5ead1ee41a6d25524876e7bd315d5-scaled.jpg
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

出版ブランディングとは?

「出版ブランディング」とは、書籍を出版し、その書籍を利用して企業や商品・サービスの知名度向上や信頼性向上などを行うことです。

具体的には、制作した書籍を出版して書店流通させ、マーケティング・ブランディング施策を行います。

近年、インターネットやデジタル技術の発達により必要な情報を容易に見つけることができるようになりましたが、根拠や発信者、ソースなどが不明確なため、本当に信頼できる情報なのかどうかがあいまいなケースも増えています。

一方で、書籍はアナログな媒体でありながら、著者や出版社が明記されているため、インターネット上のものよりも信頼できる情報です。

情報ソースとして社会的にも信頼性が高い媒体で情報発信を行うことで、「出版できるほどの企業なんだ」という、一般的なマーケティング施策では実現できない、企業のさらなる知名度や信頼性の向上につながるのです。

そのため、すでにWebサイトやブログ、SNSなどのデジタル技術をブランディングに活用して一定の成果をあげている企業が、次のステージに進む手段としても「出版ブランディング」は有効です。

企業出版(カスタム出版)とは何が違うの?

企業が書籍を出版する方法として「企業出版」及び「カスタム出版」が知られています。

「企業出版」及び「カスタム出版」は、企業が出版費用をすべて負担して企業の認知度や信頼性を向上するために書籍を出版し、書店へ流通させてプロモーションを行うものです。

出版ブランディングは、「企業出版」及び「カスタム出版」という方法を活用することで企業ブランディングを行うことを指す言葉であり、言い換えただけで大きな違いはありません。

一方で、「企業出版」及び「カスタム出版」や、出版ブランディングの一つとして、出版による成果にこだわり、マーケティング設計から作り込むブックマーケティングのようなサービスもあります。

具体的には、一般的な出版社のプロモーション施策だけではなく、SNSの活用やクラウドファンディングの実施、Web広告や記事の寄稿など、あらゆるマーケティング施策を活用することで1冊でも多くターゲットに届けていくのがブックマーケティングです。

「企業出版」及び「カスタム出版」よりも多くのマーケティング施策を活用するため、ターゲットに本を届けやすくなるのが特徴です。

出版ブランディングを検討しているのであれば、「企業出版」や「カスタム出版」だけではなく、ブックマーケティングも一つの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。

出版ブランディングを行うメリット

メリット

「出版ブランディング」を行うことによって、次のようなメリットを享受することができます。

  • ・社会的信頼性
  • ・権威性の向上
  • ・業界内における認知度の向上
  • ・人材採用の強化
  • ・社員の定着率の向上
  • ・新たな見込み顧客の獲得
  • ・顧客教育の強化

具体的にどのようなメリットなのかをくわしく見ていきましょう。

社会的信頼性・権威性の向上

企業の代表者や企業自体が書籍を出版すると、商品・サービス、代表者個人の社会的信頼性の向上につながります。

デジタルの広告宣伝手段が主流となっている現代においても、書籍の「社会的信頼性」は高いです。

また、書籍を出版するとその道の専門家と見られるようになりますので「権威性」も向上します。

テレビや雑誌などのメディアの注目が集まれば、番組からのオファーも考えられますので、さらなる信頼性の向上やブランディングにつながります。

▶︎企業の権威性を上げる方法については、関連記事【企業や経営者の権威性を高めるには?SEOやマーケティングへの活用法】もあわせて参考にしてください。

業界内における認知度の向上

企業の代表者が書籍を出版すると、その企業や事業の認知度向上につながります。

出版ブランディングとは、企業が顧客や取引先、業界、株主、地域社会、従業員などのステークホルダーに対して、認知度や、共有してもらいたい自社のイメージを高める目的で行われます。

社会的信頼性の高い書籍を出版しているということによって、業界内における認知度や地位が向上して一目置かれる存在になるのです。

なんというか、当社の見られ方が確実に変わりましたね。同業者の集まりに出ても「あのイナバプランニングカンパニーさん」という反応で最初から一目置かれている。
引用元:【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店

▶認知度向上の方法についてより詳しく知りたい方は、関連記事【経営者必読!認知度向上の方法と効果的なマーケティングの選択肢】もあわせて参考にしてください。

人材採用の強化

企業が成長するためには、優秀な人材が欠かせません。

「出版ブランディング」によって、企業の知名度が上がり、その魅力が周知されると、より自社に合った優秀な人材が応募してくることが期待できます。

人は安定した収入が得られることはもちろん、社会的な存在意義が高く、社会貢献につながるような仕事に就きたいと考えているため、人材採用という点からも企業のブランディングは重要なのです。

実際に株式会社学情が2025年3月卒業(修了)予定の大学生・大学院生を対象に行なったアンケート結果によれば、学生の半数以上の57.1%の学生が「企業のSDGsに関する取り組みを仕事選びで重視する・どちらかと言えば重視する」を選択しています。

「働きたい仕事である」というのはもちろんのこと、こういった企業の理念や創業者の思い、カルチャーなどの面も重視される傾向になってきているのです。

そのため、今後企業がより優秀な人材を採用するためには、企業が掲げる理念や想いもしっかりと伝えていく必要があります。

書籍は、そういった企業の商品やサービスの魅力以外の側面や背景などを伝えるのに適した媒体なので、出版ブランディングを行うことにより、将来的な人材採用の強化につながることが期待できます。

社員の定着率の向上

「出版ブランディング」は、顧客や社外の関係先に働きかけることが目的です。

しかし、書籍の中に企業理念や経営者の考えなどを含めることによって従業員に対するインナーブランディングに活用することもできます。

社員に企業理念を浸透させたり、社員のロイヤリティを向上させたりすることも可能です。

インナーブランディングによって企業理念や行動指針などの理解が深まると、従業員のモチベーションやパフォーマンスの向上が期待できます。

結果として、定着率アップや優秀な人材の確保につながります。

新たな見込み顧客獲得

書店には「何か面白い本はないかな」と訪れる人も多く、タイトルを見たり立ち読みをしたりして、興味関心のある本を購入します。

つまり、いろいろな悩みや課題をかかえた潜在顧客に購入してもらえる可能性があるということです。

通常の営業やマーケティング施策では接することのできない決裁者や富裕層などの潜在顧客へアプローチできることも、書籍の出版のメリットとなります。

実際に、企業の決裁者や富裕層などをターゲットにしている企業で、営業やWebマーケティングを実施しても良い成果が出なかったところ、出版ブランディングを活用して問い合わせを獲得した事例もあります。

しかし、出版したからといって必ず書店に配本され、書棚に並べられるとは限らないので注意しましょう。

書棚に並べられることなく返品になる本も山ほどあるのです。

しっかりと本を書棚に並べてもらうためには、出版実績が豊富な出版社や、営業力が高い出版社などを選んで本を出すことが重要です。

顧客教育の強化

「書籍を出版した」ということだけで、その企業の社会的信頼性や権威性が向上するので、顧客との間の信頼関係の構築に大きく貢献します。

また、書籍を読むことによって、その企業の商品やサービス、企業理念、成り立ちなどについて理解してもらうことができます。

特に高額商品やBtoB商品の場合は、「なぜその商品やサービスが必要なのか?」や「商品やサービスを利用することによってどのようなメリットがあるのか」などを顧客に理解してもらわなければ成約に至りません。

一般的に顧客教育に数ヶ月以上の期間がかかりリードタイムが長くなります。

しかし、書籍を読んでもらうことによって「顧客教育」が終わってしまう場合もありますので、商談の期間や成約までのリードタイムが短縮できます。

保険の商談に従業員と同行するときも、お客様に事前に本を読んでおいてもらうと、ご面談するときにちゃんと「あったまっている」んですよね(笑)
引用元:【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店

出版ブランディングのデメリット

デメリット

「出版ブランディング」を行うことによるデメリットは、主に費用がかかることのみです。

出版費用を含めて費用がかかる

「出版ブランディング」の費用は「商業出版」とは違って、出版費用だけではなく、書店流通費用や、ターゲットに届けるためのプロモーションやマーケティング施策の費用などがかかるため、合わせて数百万円程度になります。

しかしながら、「出版ブランディング」は企業としての知名度向上や新たな顧客獲得にもつながるため、これらの費用をすぐにペイできるケースが多いというのも事実です。

出版ブランディングの費用感

費用

「出版ブランディング」の費用は、書籍の仕様や発行部数、プロモーションなどをどうするかによって変わってきます。

書籍の仕様は、一般のビジネス書であれば130mm×188mmサイズ(四六判)、200ページ程度のものが多いので目安にすると良いでしょう。

この仕様のビジネス書の文字数は7万文字~10万文字程度になりますが、文字数によってライターの人件費が増減します。

また、発行部数によって印刷費用や流通費用も増減します。

プロモーション費用は、メディアへのリリース、書店営業、Web広告・新聞広告、出版記念イベントなどをどうするかによって決まります。

これらのことを考慮すると、「出版ブランディング」の費用相場は450~1000万円程度と言えるでしょう。

出版ブランディングの流れ

「出版ブランディング」の一般的な流れは次の通りです。

書籍の企画まず最初にやるべきことは、出版目的とターゲット、アプローチ方法(プロモーション)をきちんと決めておくことです。何のために出版して、誰に読んでもらって、何を伝えるのか、そしてどうすればターゲットに確実に届けることができるかを想定しておかなければなりません。書籍の企画にかかる期間は、約1ヶ月~2ヶ月です。
原稿執筆書籍の企画に従って原稿を執筆します。自身で執筆しても良いですが、多くの場合はライターにインタビューをしてもらってライターが執筆します。写真・図表・イラストなどが必要であれば、これらを準備します。その後編集者からアドバイスを受けて必要に応じて修正します。原稿執筆などにかかる期間は、約1ヶ月~4ヶ月です。
デザイン完成した原稿に対して、表紙や誌面のデザインやレイアウトを行います。書籍の内容やターゲットに合わせたデザインになるようにします。デザインにかかる期間は、約2週間~1ヶ月です。
校正・校閲デザインが終わると最終段階の校正や校閲を行います。紙やPDFに出力して、誤字脱字・表記ゆれはないか、イメージ通りのデザインになっているか、写真・図表・イラストは適切かなどをチェックして校正と修正を繰り返します。同時に校閲を行って事実関係に誤りがないことを確認します。校正・校閲にかかる期間は、約2週間~1ヶ月です。
印刷・製本印刷会社に書籍データを送付して印刷・製本を行います。インクのノリ具合や写真の色味を確認するために、印刷会社から色校正が提示されますので、問題がなければ印刷・製本して書籍が完成します。。印刷・製本にかかる期間は、約1ヶ月です。
プロモーション企画段階で決定したプロモーションを実施して書籍の販促をして「出版ブランディング」の目的達成を目指します。

出版ブランディングの成功事例

実際に出版ブランディングを行って、企業としての知名度向上や新たな顧客獲得に成功した事例をいくつかご紹介します。

出版をきっかけに前年比売上が倍に増加(不動産投資)

ある不動産投資会社の経営者は、従来からSNSやWeb広告などを利用して不動産投資サービスに関する情報発信を行っていましたが、伸び悩みを感じて打開策を検討していました。

そして、医師をターゲットとして「高収入な医師に最も効果的な節税対策は不動産投資である」という内容の書籍による「出版ブランディング」を実施。

企画段階から医師をメインターゲットにしたプロモーションを検討し、出版のタイミングに合わせたSNS投稿やセミナー開催、クラウドファンディングなどを実施しました。

結果として、狙い通り多くの医師に書籍を購入してもらうことができ、書籍を購入した医師に「不動産投資に大きな節税効果があること」を認知してもらうことに成功。

売上を倍増させることにつながりました。

さらに、既存顧客から知り合いの医師への口コミや書籍の配布などによって評判が広がり、新規顧客の獲得にもつながりました。

業界内での認知度が向上!共感を生み、売上も向上(保険代理店)

法人向けの保険代理店の経営者は、新規事業を始めたタイミングをきっかけに、更なる飛躍のために「出版ブランディング」を実施。

著書の中で、保険業界が抱えている問題点について取り上げるとともに、保険業界では当たり前の給与体系である「成果報酬型」を「一律報酬型」に変えることによって業績拡大を実現した自社の事例などを紹介しました。

出版後、多くの保険業界関係者などに読んでもらうことができ、自社の知名度が向上。

同業者内で「あの保険代理店の社長さん」と一目おかれるようになり、ブランディングに成功しました。

保険契約数が飛躍的に伸びたのはもちろん、新規のコンサルティング契約を獲得したり、保険会社などから講演会の講師として招かれたりするようになりました。

出版によりコンスタントに新規来院が継続!遠方や海外からの来院も増加(開業医)

千葉県で耳鼻咽喉科を開業している医師は、自身が研究治療をしているめまいや耳鳴りの専門家としての認知度を上げるために「出版ブランディング」を実施。

めまいや耳鳴りは現代病とも言われて潜在患者は多いものの、積極的な治療が行われていないという実情があるため、「本当は怖い」という警鐘を鳴らす書籍にしました。

自身のクリニックに近い一都三県の書店に集中的に配本したところ、出版後1ヶ月で読者の新規来院が10名以上増えて、その後も読者の新規来院がコンスタントに続くように。

また、全国の書店でも販売しているため、遠方や海外からの来院患者も増えました。

成分を訴求したことで売上が前年比4倍に増加(健康食品)

コラーゲンサプリメントなどの健康食品の開発・販売を行っている会社の代表者は、サプリメントの販促のために書籍を出版。

ただし、書籍のタイトルなどにはサプリメントの販促に関するものは一切なく、書籍の内容も血管を若返らせるコラーゲンについて説明をしたものとしました。

つまり「あらゆる死に至る病気の原因は血管の老朽化であり血管を若返らせることが健康寿命を延ばす近道だ」という内容の書籍を出版したのです。

これは、サプリメントの効果効能や商品名を訴求すると薬事法(現在の薬機法)に抵触する恐れがあるためです。

サプリメントの成分であるコラーゲンの良さを伝えるという方向性の内容にすることで薬事法に抵触することなく、成分の認知度向上に成功しました。

出版後、読者から著者や出版社への問い合わせが殺到。

結果としてコラーゲンサプリメントの成分ブランディングに成功し販売促進につながっています。

▶薬機法についてより詳しく知りたい方は、関連記事【薬機法(旧:薬事法)とは?違反せずに広告・PRする7つのポイントを分かりやすく解説】もあわせて参考にしてください。

【まとめ】出版ブランディングは次のステージに進みたい企業におすすめの施策

本記事では、「出版ブランディング」のやり方やメリット・デメリット、費用感、成功事例などについて詳しく解説しました。

「出版ブランディング」は、すでにWeb広告やSNS・SEOなどの「デジタルコンテンツ」によるマーケティングを行っているにもかかわらず、伸び悩みや頭打ちを感じている企業が、次のステージに進むためにおすすめの施策です。

なぜなら、現在一番うまくいっているマーケティング施策は「デジタルとアナログの組み合わせ」と言われており、書籍はアナログメディアの中でも社会的信頼性や権威性が高いブランディングに最適なものだからです。

従来行ってきた「デジタルコンテンツ」と「アナログメディア」の組み合わせにより、大きなブランディング効果を獲得することができるでしょう。

出版ブランディングをお考えの場合は、まずはお気軽にフォーウェイまでご相談ください。

ご要望や予算感に合わせた最適な提案をさせていただきます。

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Web広告も、SNS運用も、SEOも、PRも、あらゆるマーケティング施策をやっているのにも関わらず商品が売れない、という時はどう対処すれば良いのでしょうか。

「色々手は尽くしているけど商品が売れない、売れ行きがよくない」という場合には、八方塞がりで、次にどんな施策を打っていけば良いのかが分からなくなってしまいがちです。

今回はそんな商品が売れない主な原因や、改善を検討すべき8つのポイントについて解説します。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 29d5ead1ee41a6d25524876e7bd315d5-scaled.jpg
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

手を尽くしても商品が売れない主な原因

あらゆるマーケティング施策を行っているのに商品が売れない、あるいは売れ行きがよくないという場合、次のような原因が考えられます。

  • ・ターゲット設定を間違っている
  • ・商品スペックをアピールしてしまっている
  • ・ターゲットにアプローチできていない
  • ・商品の強みを明確にできていない
  • ・商品に信頼性がない
  • ・大手の売り方を真似している
  • ・ブルーオーシャンを狙いすぎている

あなたの商品がいずれかの原因に該当していないかをチェックしてみましょう。

ターゲット設定を間違っている

商品を売りたいターゲット設定を間違っていると売れません。

たとえば、ターゲットが絞りきれていない、広く設定しすぎている、そもそもターゲットにニーズがないなどです。

売上や利益のことを考えると、ターゲットを絞ることは勇気がいりますが、「男性がターゲット」として販売するよりも、「40代で年収600万円以上の独身男性がターゲット」とした方が訴求が明確になります。

年代や年収額、家族構成などによって生活スタイルや思考、抱えがちな悩み、解決方法などは大きく変わるので、どんなに良い商品であったとしても、その商品を必要としている人に適切にアプローチすることができなければ売れることはありません。

商品スペックをアピールしてしまっている

商品スペックばかりをアピールしてしまう、というのも企業が陥りがちな落とし穴です。

今現在、商品の性能・成分などのスペックや、価格の安さばかりをアピールしてしまっているようなことはないでしょうか?

この場合、顧客も商品をスペックでしか判断できなくなるので、他の商品とのスペック競争に巻き込まれてしまいやすくなります。

たとえば、価格の安さをメインに訴求している場合は、同じようなスペックで価格が低い商品が出たら簡単に切り替えられてしまうでしょう。

また、「とある成分が50%入っている」ということをメインで訴求している場合でも、同じような価格で60%の商品が出たら、同様に切り替えられてしまうことが予想できます。

このように、他の商品とのスペック競争に勝っているうちは良いですが、スペックの高い他社商品が出てきてしまうと次第に売れなくなってしまうのです。

商品スペックは見た目にも分かりやすい訴求になるため、初動の売上を出すには良い方法ですが、時間の経過とともに競合他社とのいたちごっこになりやすいデメリットがあるので注意しましょう。

もし資金力のある大手が参入してきた瞬間に、資金力のない中小企業は商品スペック競争に勝てなくなり、ますます売れなくなってしまいます。

ターゲットにアプローチできていない

マーケティング施策や利用する媒体の種類によって、アプローチできるターゲット層が変わってきます。

狙いのターゲット層が見ることもないし利用することもないような媒体に、いくら広告を打っても、情報発信をしても、そもそも顧客がその広告や情報を目にすることはないため商品が売れることもありません。

たとえば、狙いのターゲット層が高齢者の場合、いくらInstagramで情報発信しても高齢者がInstagramを見るはずもないということです。

このように、ターゲットにアプローチできる媒体やマーケティング手法を間違えている場合はいくらやっても売れません。

商品の強みを明確にできていない

その商品ならではの強みを明確に訴求できていない場合は、顧客にその魅力が伝わらないため売れません。

たとえば、商品の説明が分かりにくい、文章を読んでもよく理解できないなど、そもそも商品の強みを自社でうまく言語化できていない可能性があります。

たとえば、「若々しさを取り戻したい」というニーズを持った顧客に「年相応」と訴求しても刺さりません。

ターゲットにしっかりとアプローチできているはずなのに、商品が売れない場合は、自社が訴求している商品の強みと、ターゲットのニーズのズレが原因となることが多いです。

このような場合、いくらマーケティング施策を打っても売れません。

商品に信頼性がない

商品の見た目や評判などが怪しげだったり、安っぽかったりして信頼性がないことも売れない原因の1つです。

これは商品だけではなく、商品の製造元や販売元、店舗などにも当てはまります。

消費者は潜在的に「失敗したくない」「騙されたくない」と強く思っているものです。

安心できるもの、信頼できるものを購入したいと考えているので、商品などの信頼性が低い場合は、たとえ価格が高くても失敗しない安心できる競合他社の商品を選ぶ傾向があります。

また、高単価な商品の場合は、購入にあたってのリスクが大きくなるので、特に「どこが販売しているか」という販売元の信頼性が重要になります。

大手の売り方を真似している

中小企業と大企業ではマーケティング手法は異なります。

そのため、中小企業が大手をベンチマークして真似をしてしまうと、大抵が途中で資金不足

になり失敗してしまいます。

なぜなら、大企業は資金が潤沢にあるという前提で、マーケティングを行っているからです。

一方で中小企業は限られた予算の中で優先度をつけ、効率的に行わなければなりません。

ある程度の期間売れなくても、マーケティング費用を出し続けられるような資金力がなければ大手のやり方を真似することはできません。

ベンチマークとして大手企業を挙げている中小企業の場合、こういった失敗をしやすくなるので十分に注意しましょう。

ブルーオーシャンを狙いすぎている

「ブルーオーシャン」とは、マーケティング用語で「まったく新しい領域に事業や商品を展開していくこと」を指します。

つまり、「ブルーオーシャンを狙う」とは、これまでに存在しなかったような商品を発売して、他社とも競合することなく売るということです。

しかし「ブルーオーシャンで競合がいないこと」と、「売れること」は、イコールではありません。

ブルーオーシャンということは、顧客のニーズもそれほどない可能性がある、ということです。

ブルーオーシャンに商品を販売していくためには、まずこの顧客ニーズから作っていく必要があるので、そのための期間と潤沢な資金が必要となってしまいます。

たとえば、iPhoneなどが良い事例です。

最初は「本当に必要なのか?」など、顧客ニーズが全くなかったところから数年かけてニーズを地道に作りあげていったからこそ、今のような根強いiPhoneファンを獲得できているのです。

競合がいないということは魅力的ですが、資金力がないのに安易に「ブルーオーシャン」を狙っても、結局顧客に認知してもらうことができずに売れないということになってしまうので十分注意しましょう。

手を尽くしても商品が売れない時に検討すべき8つのポイント

いろいろと手を尽くしても売れない時には、次の8つのポイントに注意してマーケティング施策を再検討するのがおすすめです。

  • ・ターゲット設定を見直す
  • ・ターゲットにアプローチできるマーケティング施策を選ぶ
  • ・商品の強みを改めて考える
  • ・商品スペックではなく、商品を使った先の未来像を訴求する
  • ・社会的信頼性・権威性を高める
  • ・商品を売るのではなく、ファンを作る
  • ・マーケットインで販売戦略を考え直す
  • ・アナログなマーケティング施策を検討してみる

具体的にどのような点を再検討すべきかをくわしく見ていきましょう。

ターゲット設定を見直す

まず、その商品を売りたいターゲットが誰なのかについて設定を見直します。

ターゲットはできるだけ詳しく具体的に設定するようにすると、どのようなマーケティング施策が有効なのかが分かりやすくなります。

ターゲットの設定項目としては次のようなものがあります。

  • ・社会的属性:年齢、性別、居住地、職業、家族構成
  • ・心理的属性:価値観、ライフスタイル、性格、嗜好
  • ・レベル:初級者、中級者、上級者

想定したターゲットにそもそも商品を買いたいニーズがない場合も多いので、ターゲットと想定される人を集めて座談会やヒアリング、アンケート調査を実施したりしながらターゲットのニーズを深掘りしていくことから始めてみましょう。

ターゲットにアプローチできるマーケティング施策を選ぶ

狙いのターゲットが明確になったら、そのターゲット層に的確にアプローチできるマーケティング施策や媒体を選びます。

たとえば、富裕層や決裁権者のような広告やSNSでアプローチしにくい層を狙うのであれば、自発的に調べる傾向があるので、SEOや書籍などが有効となります。

高齢者にアプローチするのであればチラシやパンフレットなどのアナログな媒体を選びましょう。

20代〜30代の若年層であれば、XやInstagram。10代にはTikTokなどが有効です。

30から40代のターゲットにアプローチするのであればSNSの中でも特に詳細なセグメントで広告出稿ができるFacebook広告やGoogle広告がおすすめです。

このように、ターゲットがよく見る媒体などをリサーチした上で、ある程度の仮説をたててからマーケティング施策を実行していくことが重要です。

商品の強みを改めて考える

ターゲットが明確になり、アプローチ方法や媒体が決まったら、次は商品の強みを改めて考えてみましょう。

強みを顧客に訴求する場合には、言語データやイメージで表現する必要があるので、言葉にして洗い出すことが大切です。

言葉であらわすことによって、曖昧さや漠然さがなくなり強みがより明確になります。

このときに、ターゲットやアプローチ方法などを一旦頭の中から取り去って、純粋に「商品の強み」を考えることも重要です。

なぜなら、洗い出された強みを必要とするターゲットが間違っているということもあり得るからです。

訴求する商品の強みと、ターゲットのニーズのズレは商品が売れない原因に直結していくので、もし、洗い出された強みとターゲットが異なる場合は、先述のターゲット設定のステップからやり直しましょう。

商品スペックではなく、商品を使った先の未来像を訴求する

前述の通り、商品スペックをメインに訴求してしまうと、競合他社とのスペック競争に陥ってしまい、売れない原因になってしまいます。

最初は良くても、競合他社や大手が参入してくるとともに売れなくなっていきます。

商品スペックよりも、その商品を使うことによって、「どのような人」の「どのような課題や悩み」を「どのようにして解決する」ことができるのかの価値を説明し、顧客が自分でその商品を使ったときの未来像が想像できるようにすることが大切です。

また、イメージ画像や動画などを活用して未来像がビジュアルで分かりやすく顧客に届くように工夫することも大切です。

社会的信頼性・権威性を高める

「社会的信頼性」や「権威性」を高めることによって商品を売れやすくすることができます。

「社会的信頼性」も「権威性」もほぼ同じような意味を表す言葉で「社会的にどの程度信頼されているのか、どの程度承認されているのか」ということです。

顧客の多くは商品を買う際に「失敗すること」をできるだけ避けたいと考えます。

そのため、商品の「社会的信頼性」や「権威性」が高ければ、それだけで顧客からの信頼を受けやすくなり商品が売れやすくなるのです。

これは商品そのものだけではなく、その商品の製造元や販売元の「社会的信頼性」や「権威性」が高い場合も、商品が売れやすくなります。

大手企業などが良い例です。

社名などで「きっと大手が出しているのだから失敗はしないはずだ」と思い買ってもらいやすくなります。

このように、商品が売れない時には自社の社会的信頼性や権威性が現状どんなものなのかを調べ、それを向上させていく施策などを検討してみましょう。

商品を売るのではなく、ファンを作る

商品が売れない状態に陥っているときには、どうしても「目の前の商品を売れるようにしなければ」という考えに囚われてしまいがちです。

しかし、少し発想を変えて「商品や企業のファンをつくるにはどうすれば良いのか」と視点を変えることが遠回りに見えて一番の近道である場合もあります。

商品や会社のファンになってもらえれば、安易に他社の競合商品に乗り換えたりすることがなく、リピートで購入してくれる可能性が高くなります。

結果的に中長期的な売り上げの安定化につながります。

マーケットインで販売戦略を考え直す

ものが溢れた現代では、プロダクトアウトではなくマーケットイン。

つまり、顧客のニーズに応じた商品の企画開発をすることが重要です。

もちろん、プロダクトアウトの販売戦略には、企業本位の商品の企画開発という以外に、顧客の潜在ニーズを掘り起こすという意味もあるので、必ずうまくいかない訳ではありません。

しかし、商品が売れないということは、顧客のニーズに応える商品ではないという仮説が立てられます。

マーケティング施策などをしっかりと行っているのに売れないのであれば、プロダクトアウト的なマーケティングになっていないかを検証して、改めてマーケットインで販売戦略を練り直すなどを検討してみましょう。

アナログなマーケティング施策を検討してみる

現代では、インターネットを活用したWeb広告やSNSなどのデジタルなマーケティング施策が主流となっています。

しかし、デジタル全盛期だからこそ、アナログのマーケティングが際立つということも考えられます。

つまり、顧客が購買に至るまでの「認知」「興味・関心」「比較・検討」「商談」のプロセスの全てにおいて、顧客はデジタルだけに接しているわけではないのです。

実際に、現在マーケティング施策としてうまくいっているのは「デジタルとアナログの組み合わせ」です。

実際に2016年に一般社団法人日本ダイレクトメール協会が行なった「DMメディア実態調査2016」によれば、「DMだけ」「メールだけ」「DMとメールの両方」の3パターンで無作為に抽出したターゲットに送付したところ、「DMとメールの両方」の場合が最も反応率が高くなったという実験結果が出ています。

また、高齢者などのようにアナログマーケティング施策でしかアプローチできない層もいるためデジタルの時代だからこそ、次のようなアナログマーケティング施策を組み合わせることができないかを検討してみることが重要です。

次のようなアナログマーケティング施策を活用することで、思わぬ突破口が開けるかもしれません。

  • ・書籍
  • ・チラシ
  • ・パンフレット
  • ・手紙
  • ・DM

それぞれどのような方法を具体的に活用すべきかを見ていきましょう。

◉-8-1、書籍

マーケティング施策に書籍を活用するという方法です。

企業出版(ブックマーケティング)と呼ばれる手法です。

具体的には、自社の事業や商品・サービス、企業の成り立ち、企業理念、保有技術などについてまとめた書籍を出版してマーケティング活動に活用します。

書籍は社会的信頼性が高く、盛り込める情報が他のメディアに比べて圧倒的に多いため、読者をファン化させて自社サービスの購買意欲を向上させることが可能です。

顧客との面談や商談の前に、自社で出版した書籍を販売促進ツールとして手渡すことによって、顧客からの信頼を得やすくなり、成約につながる可能性も高くなります。

また、書店に配本して販売するので、書店の来店客の目に留まって購入した顧客から問い合わせが来るなど、新規顧客の獲得にもつながります。

◉-8-2、チラシ

商品のおすすめポイントなどを簡単にまとめたチラシもマーケティング施策に利用できます。

チラシは、顧客にキャンペーンなどのお得情報を告知したり、来店を促して商品の販促につなげたり、商品の認知度を上げるために、ポスティングなどの方法で特定のエリア内に配布します。

メールやSNSなどのデジタルマーケティングでは埋もれてしまいがちなキャンペーン情報やお得情報ですが、ポストに入っていたチラシを見て来店し購入する顧客は比較的多いものです。

チラシを作成する際は、「5W1Hを明記する」「内容をターゲットに合わせる」「会社や営業担当者の自己紹介を入れる」「ターゲットの興味を惹くビジュアルにする」などに配慮しましょう。

◉-8-3、パンフレット

商品案内などのパンフレットをマーケティング施策に利用する方法もあります。

パンフレットは商品を単に羅列するだけでなく、商品の特徴やメリット、ベネフィットなどを分かりやすく説明して、商品の良さがきちんと顧客に伝わるものにしなければなりません。

顧客の興味や関心を喚起して購買意欲を高めてくれるようなものにしましょう。

◉-8-4、手紙

手紙、それも手書きの手紙はアナログな手法の最たるものですが、マーケティング施策としては非常に有効です。

手紙は、電子メールやDMとは違って、受け取った顧客に深い印象を残すことができ、顧客が手紙の書き手に対して信頼感を抱きやすいという特徴があります。

また、手紙は宛名の人にダイレクトに届けられるため、決裁者に直接アプローチし、関係性を構築していきたい場合などにも有効です。

営業マンが訪問する場合の人的コストの発生、テレアポなどで取り次いでもらえない、相手の時間を拘束するなどのデメリットもありません。

◉-8-5、DM

紙のDMを送付するというマーケティング手法もあります。

日本ダイレクトメール協会が2021年に実施した「DMメディア実態調査2021」によれば、DMの開封率は約79.5%にものぼり、電子メールよりも5倍以上開封されやすいという結果が出ています。(電子メールの開封率は約14%)

多くの電子メールを受信する人の場合、他のメールに埋もれてしまって開封されないことが多々あるのに対して、郵便ポストを毎日確認する人は多いため、それが高い開封率につながっていると考えられます。

メールよりもコストはかかってしまうため、DMを送るターゲットをより明確にすることが重要と言えます。

【まとめ】手を尽くしても商品が売れない時は一度立ち止まることが大切

本記事では、「色々手は尽くしているけど商品が売れない、売れ行きがよくない」という場合の主な原因や、このようなときに検討すべき8つのポイントについて解説しました。

基本的な対応としては、一度立ち止まって、今回の8つのポイントについて、どうすべきかを検討してみましょう。

特にデジタル系のマーケティング施策しか行っていない方は、アナログなマーケティング施策を検討してみるのがおすすめです。

デジタル全盛期の時代だからこそ、アナログが際立つ時代です。

書籍やチラシ、DMなどの手法を一度検討してみてはいかがでしょうか。

フォーウェイではデジタル時代の集客に最適な書籍、パンフレット、チラシなどのアナログ集客の方法について、最適なご提案をさせていただいております。

ぜひ、デジタル集客に伸び悩みや頭打ちを感じている企業さまがいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。

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コンサルティングサービスや、保険、不動産、投資、など高単価商品や、BtoB向け商品やサービスを販売していくためには、顧客との信頼関係構築が何より重要と言われます。

なぜなら、金額も高いため、買う側も「信頼できる相手から買いたい」と考える傾向があるからです。

しかし、顧客との関係性を作るためには、ある程度の時間と手間が必要になります。

また、高単価であるが故にその商品やサービスの特徴、価値を伝えるのにも時間や手間が必要です。

結果として成約までのリードタイムが長くなってしまうことが往々にしてあります。

そんなリードタイムを短くできる施策の1つが顧客教育です。

今回は、成約までのリードタイムの短縮におすすめな顧客教育方法や成功事例について解説します。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 29d5ead1ee41a6d25524876e7bd315d5-scaled.jpg
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

高単価やBtoBはリードタイムが長くなりがち

高単価やBtoB向けの商品・サービスになればなるほど、顧客の「失敗したくない」という気持ちが強くなるため、信頼関係のある法人や個人から購入したくなるものです。

たとえば、不動産などの高額商品を販売する場合は、買い手側にとっては数千万円という買い物になるため、まずは小さな案件に対応したり、他の悩みや相談に応えたりしながら徐々に顧客の信頼を獲得していくことが重要になります。

また、「なぜその法人や個人の商品・サービスが必要なのか?」ということをはっきりと理解していないことも多いため、これらのことを理解してもらうにもある程度の時間が必要です。

顧客との間に信頼関係を構築して、商品の必要性などを理解してもらうためには数ヶ月以上かかるのが一般的なので、高単価やBtoB向けの商品・サービスはどうしてもリードタイムが長くなってしまうのです。

リードタイムを短くしてくれるのが顧客教育

長くなりがちなリードタイムを短縮する施策として「顧客教育」があります。

顧客に対して「自身がどういう法人、個人なのか?」「なぜその法人や個人の商品が必要なのか?」ということを、商談をする前に理解してもらうことができれば、成約までのリードタイムを短くすることが可能です。

たとえば、セミナーを開いて不動産投資用物件を販売する場合で考えてみましょう。

不動産投資について全く知識がない状態で初めて参加された方よりも、既に一定の知識を持ち会社との接点が過去に多い人の方が成約しやすいと言えます。

特に、高単価やBtoB向けの商品・サービスを販売している法人や個人は「顧客教育」をうまく活用してリードタイムの短縮を図るべきです。

成約までのリードタイムを短くする!おすすめの顧客教育手法

「顧客教育」にはさまざまな方法があります。

その中でも、特に成約までのリードタイムを短くするのに有効な「顧客教育」をご紹介します。

セミナーや講座の開催

自社が販売している商品やサービスのターゲットが、興味を抱くような内容のセミナーや講座を開催して、その中で自社の商品やサービスの必要性を理解してもらう手法です。

たとえば、「成年後見支援」を主要なビジネスにしている場合は、「終活セミナー」などを開催することが考えられます。

また、セミナーや講座であれば、最初から講師というポジションでターゲットと接することができるので、参加者から信頼を得やすいというメリットがあります。

書籍の出版(企業出版)

自社が販売している商品やサービスに関する書籍を出版して、書店に配本し他のマーケティング施策と組み合わせてターゲットの手元に届ける手法です。

書籍は社会的信用性が高いという特徴があるので、書籍を出版したことによって読者に「本を出版できるぐらい社会的信用性、専門性、権威性が高い」というイメージを持ってもらうことができます。

また、一般のビジネス書は7万文字~10万文字という情報量があるため、商品やサービスに関することだけではなく、開発にかける思いや独自技術、創業ストーリー、企業理念、プロフィールなどもまとめて伝えることが可能です。

さらに、SNSや広告とは違い、読者がお金を払って購入するため、読んでもらいやすいのが特徴です。

そのため、ターゲットの手元に届けることができれば、書籍の内容をしっかりと理解してもらえるというメリットを享受することができます。

実際に、出版後すぐに問い合わせがあり大型案件の成約が得られたり、商談で成約しやすくなった、という事例も豊富にあります。

単に書籍を出版するだけでは「顧客教育」にはなりませんが、企業出版によりターゲットに届けることができて、書籍の内容をしっかりと読んでもらえれば、リードタイムを短くする有効な手段となるのです。

マーケティングファネルの構築

さまざまな方法で取得した見込み顧客のメールアドレスに、メルマガやステップメールで情報を発信する手法です。

たとえば、メルマガやステップメールで無料セミナーの開催を告知して集客し、セミナーの中で「顧客教育」をして「なぜその商品が必要なのか?」を理解してもらった上で無料の個別相談を募集します。

そして、個別相談に参加してくれた見込み顧客に対して、商品やサービスのオファーをかけるというように、見込み顧客の状況に応じて最適な「顧客教育」を施していくのがマーケティングファネルの構築です。

一連のファネルごとの施策を通して「顧客教育」を行う仕組みを作ることで、高単価やBtoB向け商品が成約しやすくなります。

SEO

SEOは、顧客自身が興味のあることを調べたり、悩みを解決したりするために行う「インターネット検索」を利用するものです。

顧客自らが検索をして上位に表示される記事にアクセスするため読んでもらいやすく、その中で「顧客教育」をすることが可能です。

アクセスしたサイトの記事に有益な情報が書いてあればあるほど、その記事を書いた法人や個人のファンになっていく傾向があるため、確度の高い問い合わせが来やすくなります。

このようなことから、広告経由で成約した顧客よりもSEO経由で成約した顧客の方が質が高いという傾向があります。

Youtube配信

Youtube配信もSEOと同様に顧客が自発的に閲覧するものなので、見てもらいやすく、その中で「顧客教育」をすることが可能です。

有益な情報を分かりやすく動画にして配信すればするほど、その法人や個人のファンになり、確度の高い問い合わせが来やすくなるというのが特徴です。

Youtubeでの動画の場合は、SEOと違って顔を出して発信することができるため、動画の出演者に対する信頼感や興味が湧きやすく、ファン化しやすいという傾向があります。

また、顧客が自ら調べてたどり着くという特徴から、問い合わせの質が高いのが特徴です。

クラウドファンディング

クラウドファンディングは想いに共感する人を集めることができるという大きな特徴があります。

まず法人や個人のファンになってもらって、資金集めをしながら、支援者(顧客)との信頼関係を構築していくことが可能です。

クラウドファンディングの説明文などで、想いや取り扱っている商品・サービスなどを紹介をすることができ、これが「顧客教育」になります。

クラウドファンディングによって、すぐに商品・サービスが売れる訳ではありませんが、支援者という形でファンを獲得することが可能です。

たとえば、前述のような書籍を出版するためのクラウドファンディングを行い、出版した書籍をリターンとしてお渡しするようにすれば、読んでもらえて問い合わせにつながる可能性が高まります。

また、クラウドファンディングの場合は、共感した支援者が情報の拡散を行ってくれることがあるというのも特徴の一つです。

顧客教育用のパンフレット送付

自社の取り扱っている商品やサービス、法人、個人などについてまとめたパンフレットを作っておき、それを様々な手段で獲得した顧客に送ることによって「顧客教育」をすることができます。

パンフレットは書籍よりも手軽に安く作れますし、しっかりと読んでもらうことができれば成約までのリードタイムを短縮することができます。

リードタイムを短くするために押さえておくべき顧客教育のポイント

成約までのリードタイムを短くするための「顧客教育」の手法を紹介しましたが、いずれにも共通する押さえておくべきポイントがあります。

どのようなポイントがあるのか、くわしく見ていきましょう。

ターゲットを明確にする

ターゲットを明確にして、ピンポイントで「顧客教育」をしなければ、成約リードタイムの短縮どころか、成約も難しくなります。

なぜなら、商品やサービスを求めていないターゲットにいくら「顧客教育」をしても成約につながることはないからです。

また、ターゲットの範囲を広くすると「顧客教育」の対象者が増えますので一見多くの成約が得られるのではないかと考えがちですが、「顧客教育」の確度がぼやけてしまうため成約につながりにくくなります。

ターゲットに届きやすい施策を検討する

ターゲットによって有効な「顧客教育」は異なります。

ターゲットにアプローチできない施策をいくら頑張ったとしても成約につながることはありませんので、「ターゲットにアプローチできる施策は何か?」を慎重に検討する必要があります。

たとえば、高齢者をターゲットにするのであれば、SNSやWeb広告よりはパンフレットやチラシなどが有効です。

逆に、20代の若者をターゲットにするのであれば、断然SNSが良いでしょう。

また、企業の決裁権者をターゲットにするのであれば、書籍やパンフレット、SEOなどがおすすめです。

このように、どの施策が自社のターゲットにアプローチしやすいかを検討することが重要といえます。

ファンになってくれること、信頼感を生むことを目標にする

「顧客教育」は、あくまでも「役に立つ情報をいかに届けて信頼を獲得するか?」が目的なので、商品やサービスの「売り込み色」を出さないように注意しましょう。

「意図的に誘導する」などの「売りたいという気持ち」はすぐに顧客に気づかれてしまい、敬遠されたり、信頼を失うことになりかねません。

あくまでも、ファンになってくれること、信頼感を生むことを目標にしましょう。

商品情報だけではなく、背景や想いなども盛り込む

「顧客教育」の内容は、単なる商品やサービスの説明だけではいけません。

「なぜ、その商品やサービスを開発したのか?」などの背景や想いなどを盛り込んで、顧客からの共感を得やすくする必要があるからです。

背景や想いなどを盛り込むことによって「売り込み色」を消す効果も期待できます。

顧客教育によりリードタイムが短縮した成功事例!

実際に「顧客教育」を行ってリードタイムを短縮した事例を3件ご紹介します。

医師向け不動産投資の書籍を販売し10億円以上の売上に!(不動産投資)

この不動産投資会社は、自社の認知度や信頼性が低いために、ターゲットである医師の集客がうまくいかないことや成約までのリードタイムが長いことに悩んでいました。

これらの課題を解決するために、不動産投資が節税対策に有効なことなどを訴求する書籍を、医師をメインターゲットとして出版。

出版後1ヶ月で読者から大型案件を受注して3億円の売上を実現することができたそうです。

さらに、メインターゲットである医師(読者)から次々に問い合わせがあり少なくとも10億円以上の売上につながりました。

また、出版前の大きな課題だったリードタイムの長さも解消されて、ほとんどが初回の面談で決断してもらえるようになったそうです。

不動産投資のように、顧客にその必要性や重要性を認識させることが重要な商品・サービスには、「いかに顧客教育をするか」がリードタイムの短縮に関わってくるため、情報量が多い書籍は顧客教育に有効な手段と言えるでしょう。

場がホットな状態から商談ができるように!(保険代理店)

この保険代理店は、本業のリードタイムの長さの解消と新規事業であるコンサル事業の集客方法について模索していました。

これらの課題解決を狙って書籍を出版し、「成果報酬型」が当たり前の業界で「一律報酬型」の給与体系を導入した新規性をキャッチコピーとして書籍を出版。

業界の慣習に反した給与体系にもかかわらず売上高が右肩上がりで、社員の定着率も高いということに大きな反響があり、出版記念セミナーでは60名を集客し、複数件のコンサル契約を獲得することができたのだそうです。

その後も書籍が飛ぶように売れ、⼤⼿保険会社などの講演会に講師として招かれるようになりました。

また、実際の保険営業の現場でも、事前に書籍を読んでもらっているので「顧客教育」が終わった状態から商談に入れて、まさに場がホットな状態から商談ができるようになったそうです。

出版の狙いだったリードタイムの短縮も達成することができています。

当社で扱うような法人保険の営業は、商談が経営者同士の良い議論になるのか、出入り業者のような見られ方をするのかで結果がまったく違うんです。本来、人材戦略や財務状況など経営の中身を腹を割って話してもらって、相手の経営に踏み込んだ提案をしないと大型の保険契約は決まりませんから。本を出して、そういう理想的な商談をすごく増やせました。
引用元:【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店

保険営業のように顧客との関係値を構築する上でも書籍は有効な手段と言えるでしょう。

リードタイムの長い注文住宅が16件成約!(注文住宅)

この注文住宅の建築会社は、競合が多いうえポータルサイトへの広告費用が高額なため、質の高い顧客を効率よく集客することを狙って書籍を出版。

注文住宅の入門書という企画内容で、「良い見積もりと悪い見積もりの違い」「現場見学でのチェックポイント」「営業マンの選び方」など住宅会社選びのポイントを解説する内容としました。

自社の商圏に近い書店に重点配本したところ、その書店で購入した読者から問い合わせが殺到して、注文住宅16件の成約を実現。

出版の狙いだった集客効果はもちろんのこと、顧客は問い合わせ時点で書籍の内容を熟読して「顧客教育」ができた状態だったため、いずれもリードタイムの大幅な短縮ができました。

【まとめ】高単価・BtoB向け商品販売には顧客教育の活用がおすすめ!

本記事では、成約までのリードタイムの短縮におすすめな「顧客教育」の方法や成功事例について解説しました。

高単価やBtoB向け商品などを販売する際には、顧客との間に信頼関係を構築したり商品の必要性などを理解してもらう必要があり、そのためリードタイムが長くなります。

これを解消してリードタイムを短縮するには「顧客教育」が有効で、その中でも特に書籍の活用がおすすめです。

書籍は信用性が高い媒体ですので、読者に「本を出版するほどの社会的信用性や専門性が高い」というイメージを持ってもらうことができます。

また、書籍が伝えることができる情報量は膨大なため、商品やサービスの説明だけではなく、開発にかける想いや独自技術、創業ストーリー、企業理念、プロフィールなどもまとめて伝えることができます。

しかも、読者がお金を払って購入するため「必ず読んでもらえる」という特徴があることから、書籍の活用が「顧客教育」に最適なのです。

リードタイムの長さに悩んでいる場合は、ぜひ書籍の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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「権威性」とは、「社会全体からどの程度認められた存在なのか?」を表す評価指標です。

たとえば、「その業界や分野の第一人者であり、世界的な権威者」という人の話の方が、そうでない人の話に比べると、信頼感を持って聞いてもらえるということがあるはずです。

実際に、人は権威のある人の話に耳を傾けやすく、信用しやすいという傾向があります。

そのため、マーケティングで成果を出していく上では「いかに権威性を高めるか」は重要なポイントとなっています。

また、2014年からGoogleが検索結果の表示順位を決めるための要素の一つとして「権威性」を導入したことから、SEO対策を行う上でも重要性が増しました。

この記事では、企業や経営者が「権威性」を高める方法などについて詳しく解説いたします。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
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慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

権威性とは?

「権威性」とは、「社会的にどの程度承認を受けているのか」を表す評価指標です。

「権威」という言葉からは「権力」や「他人を服従させること」などを連想しがちですが、マーケティング分野やSEO対策において「権威性がある」とは、「社会的に承認を受けている」という意味になります。

たとえば、人や組織などが「社会的に承認を受けている」具体例としては、次のようなものがあります。

  • ・正式(オフィシャル)である
  • ・公的機関である
  • ・公的資格を有している
  • ・その分野の第一人者である

SEO対策においては、Googleが検索アルゴリズムに「権威性」を導入したことから、必要不可欠な要素となりました。

また、マーケティング分野においても「権威性」は重要な要素の一つで、たとえばLP(ランディングページ)制作の際には、「権威性」の表現を用いることが推奨されています。

権威性があるメリット

「権威性」があるメリットとして、顧客からの信頼を得やすくなるということがあります。

具体的なメリットとしては次のようなことが挙げられます。

  • ・サイトや記事などがGoogleから評価されやすくなる(SEO)
  • ・顧客からの信頼を得やすくなる(成約率向上)
  • ・ファンができる

それぞれくわしく見ていきましょう。

◉-1、サイトや記事などがGoogleから評価されやすくなる(SEO)

Googleは、2014年から検索品質ガイドラインに「E-E-A-T」という評価基準を導入しました。

これは、Exprerience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の頭文字を表しており、この中に「Authoritativeness:権威性」が含まれています。

つまり、Googleによって「権威性」が高いと評価されると検索結果の表示順位が上位になるということです。

これによって、顧客(検索した人)が自社サイトを閲覧する可能性が高くなり、売上や成約率の向上などにつながることが期待できるのです。

たとえば、SEOの傾向として、大手企業が運営するサイトの方が、個人や中小企業のサイトよりも検索結果の表示順位が上位になる傾向があります。

これは、個人や中小企業のサイトよりも大手企業が運営するサイトの方が「権威性」が高いと判断されるからです。

このGoogleの評価基準では、コンテンツやその作者だけではなく、Webサイト全体が評価対象となりますので、「権威性」を高めるためには、記事単位のコンテンツだけではなくWebサイト全般についても配慮しなければなりません。

◉-2、顧客からの信頼を得やすくなる(成約率向上)

経営者や営業担当者に「権威性」があると、顧客と話をする際に自然と説得力のある話し方になります。

商談の場などで説得力のある話し方をするためには、商品やサービスについての専門的な知識はもちろん、関連する質問などがあっても何でも答えられるという自信が必要です。

たとえば、経験豊富なベテラン営業担当者と新入社員の営業担当者とでは「権威性」には大きな差が出てくるでしょう。

また、同年代の営業担当者であっても、商品やサービスに関連する資格を持っている人とそうでない人では、話の説得力が変わってきます。

実際に、対面で話をする際には、自信がある話し方とそうでない話し方は、顧客にはすぐに違いが分かってしまいます。

「権威性」があると顧客から無条件に信頼してもらいやすくなり、結果として売上や成約率の向上につながります。

◉-3、ファンができる

「権威性」が高いと、SNSなどで発信したメッセージを受け取ってもらいやすくなり、メッセージの内容についても信頼して受け入れてもらいやすくなります。

たとえば、特に何の権威性のない人が「日本経済は今後こういった傾向になっていく」と発言するのと、有名大学の経済学部の教授が同じ発言をするのでは、後者の方が説得力を感じると思います。

このように、権威性があるかないかで発言についての説得力が変わってくるのです。

そのため、メッセージに対して好意的な返信をしたり、好意的なメッセージを付けて拡散をしたりしてくれるなど反響が大きく、ファンを獲得しやすくなるというメリットが生まれます。

企業や経営者の権威性を高めるための方法

「権威性」があると自社や自身に大きなメリットがもたらされます。

では、企業や経営者が自社や自身の「権威性」を高めるにはどうすれば良いのでしょうか?

具体的には次のような方法が有効です。

  • ・公的な資格を取得する
  • ・書籍を出版する
  • ・受賞する
  • ・メディア露出を増やす
  • ・権威性を高めるSEO対策の実施・講演を行う
  • ・実績の数を増やす
  • ・上場する

それぞれどのような方法なのか、具体的に見ていきましょう。

◉-1、公的な資格を取得する

弁護士や公認会計士、税理士、一級建築士などの国家資格や社会的に認知度が高い資格を取得することによって「権威性」を高めることが可能です。

難関資格であればあるほど、資格の等級が高ければ高いほど「権威性」は高まります。

たとえば、「簿記資格」よりは「公認会計士」や「税理士」の方が「権威性」は高くなりますし、「二級建築士」よりは「一級建築士」の方が圧倒的に「権威性」が高くなります。

なお、資格を必要としないコピーライターやデザイナー、フォトグラファーなどの職業を表す言葉も、その道の専門家というイメージを与えますので「権威性」を高めるための一定の効果があると言えるでしょう。

◉-1-1、民間資格ではダメ?

民間資格の場合、社会的に認知されていないことが多いため、あまり「権威性」は高くありません。

どちらかというと、「ないよりは良い」というレベルでしょう。

しかしながら、民間資格であっても「英検1級」のように認知度が高いものは存在します。

また、「薬機法管理者」などのように、民間であっても「こういった専門家なのかな」と分かりやすい資格もありますので、ないよりはあった方が「権威性」は高くなります。

◉-2、書籍を出版する

一般的に、その道の専門家であったり、知名度が高くないと書籍を出版できないイメージがあります。

デジタル時代の今でも書籍の社会的信頼性は高いため、書籍を出版することで「権威性」を高める効果が期待できます。

◉-2-1、書籍を出版するだけでは不十分!

書籍を出版するだけであれば、それほど難しくはありません。

費用はかかりますが、自費出版を活用すれば、自分の書籍を比較的簡単に出すことができるのです。

書籍を出版することで、確かに「権威性」は高まりますが、それだけでは不十分です。

なぜならば、前述のように「権威性」を高めるためには「より社会的に承認を受けている状態」でなければならないからです。

そのため、「自費出版」した場合は、書店でも販売したり、見込み客に配るなどの方法によって、世の中に「出版した事実」を広める努力が必要となります。

◉-3、受賞する

何か賞を受賞することによって「権威性」を高めることもできます。

賞といってもいろいろなものがありますので、自社の商品やサービスに応じて選ぶ必要があります。

たとえば、「グッドデザイン賞」は、日本のデザイン分野では最も認知度の高い賞です。

また、製品、建築、ソフトウェア、システム、サービスなど形の有る無しに関わらず対象となりますので応募しやすいと考えられます。

食品関係であれば「モンドセレクション」がありますし、販売系であれば通販サイトの「ショップ・オブ・ザ・イヤー」などがあります。

自社のHPや商品パンフレットなどにこれらの受賞実績を表示すると、取り扱っている商品やサービス、サイトを「すごい」と感じさせることができます。

その他にも探せば応募できる賞はたくさんありますので、自社に合ったものを探して応募してみましょう。

◉-4、メディア露出を増やす

「権威性」は「社会的にどれぐらい認められているのか」を表す指標なので、自身や企業自体がいかにメディアに露出して認知されるかが重要です。

そのためにも、書籍だけではなく、世の中の多くの人が「すごい」と思ってもらえるようなメディアに露出していく必要があります。

メディアにも多くの種類があります。

そのため、自社の取扱商品やサービスに応じて適切なメディアを選ばなければなりません。

たとえば、一般消費者向けの商品やサービスであれば、テレビや新聞、雑誌、SNSなどが考えられますし、BtoB商品やサービスであれば、新聞や業界紙、事業に関連するポータルサイト、SNSなどが考えられます。

また、できるだけ信用度の高い有名なメディアに取り上げられることが「権威性」を高めるためには重要です。

具体的には以下のような方法でメディア露出を増やしていけないかを検討してみましょう。

  • ・積極的にプレスリリースを打つ
  • ・大手メディアに記事を寄稿する
  • ・積極的にSNSで情報発信する
  • ・テレビやラジオに出演する
  • ・テレビCMを打つ

具体的にどのような方法なのかをくわしく見ていきましょう。

◉-4-1、積極的にプレスリリースを打つ

プレスリリースの最大の目的は、各方々のメディアに取り上げられて記事にされることです。

つまり、積極的にプレスリリースをすると、メディアの目に留まる機会が増え、取り上げられる可能性が高くなり「権威性」も高くなるというわけです。

メディアに取り上げられやすくするためには、トレンドになっている話題を絡めたり、開発秘話などのストーリー性のある話題を盛り込んだり、顧客にどのようなメリットがあるのかを分かりやすく盛り込んだりすることなどが必要です。

また、新商品発売のプレスリリースの場合は、旧商品とどこが違うのか、他社製品とどこが違うのかなどが分かりやすく記載しておくと、メディアで記事を作成する際の手間がかからないため取り上げられる機会が増えます。

◉-4-2、大手メディアに記事を寄稿する

大手メディアに記事を寄稿することによって、記事になり「権威性」が向上します。

まったく縁のないメディアにいきなり寄稿しても相手にされないことが多いと思われますので、たとえばこれまでにプレスリリースを取り上げてくれたメディアなど、何らかのつながりのあったところに寄稿依頼などを送ってみてはいかがでしょうか。

また、ジャンル違いのメディアに掲載しても意味がないので、商品やサービスに合ったジャンルのメディアを選定して依頼することが大切です。

◉-4-3、積極的にSNSで情報発信する

SNSで情報発信することによって、メディアの目に留まって取り上げられる可能性が増えて、「権威性」の向上につながります。

SNSは個人が閲覧するだけではなく、多くのメディアが何か記事になるネタがないかを探しています。

最近ニュースなどで「このニュースに関してSNSでは〜」という風にSNSの反響などをそのまま活用している放送局も多くなってきています。

前述のようにメディアといってもいろいろな種類があり、そのメディアのターゲットに注目されるようなネタを探しているわけですから、一般消費者向けの商品やサービスでなくても、積極的に情報発信をしていくべきです。

◉-4-4、テレビやラジオに出演する

テレビ番組やラジオ番組に出演してメディア露出を増やすことも「権威性」を高める方法の1つです。

テレビ番組やラジオ番組に出演するためには、テレビ局やラジオ局にふさわしい番組がなくてはなりませんが、ワイドショーなどの番組であれば最近話題の商品やサービスを紹介することがありますのでチャンスはあります。

自社の商品やサービスが、近年話題の省エネや環境問題、節約などに貢献するものであるなど、話題性のあるものであれば出演の機会が期待できます。

◉-4-5、テレビCMを打つ

自社の商品やサービスが一般消費者向けである場合は、テレビCMを打ってメディア露出を上げ「権威性」を高めることができます。

テレビCMを出稿するとそれなりに費用はかかりますが、CMが流れている期間中は確実にその効果が表れて売り上げに寄与することができます。

ただし、テレビCMが流れなくなったあとまで効果が継続するかどうかは、どのような商品やサービスなのかやテレビCMの出来などによって変わってくると考えられます。

◉-5、権威性を高めるSEO対策の実施

SEO対策により、検索結果で上位表示されることも「権威性」を高める方法の1つです。

具体的には次のような方法があります。

  • ・良質な被リンクの獲得
  • ・他メディアの記事を監修

◉-5-1、良質な被リンクの獲得

すでに「権威性」があると認められている良質なWebサイトから被リンクを獲得することによって「権威性」を高めることができます。

「権威性」のある良質なWebサイトとは、公的機関や業界で上位に位置する企業のWebサイトなどです。

権威性の高いサイトからの被リンクを獲得しているということは、それだけ信頼できる記事を出しているということと判断され、「権威性がある」とGoogleから評価されやすくなるのです。

具体的に被リンクを獲得するためには、継続的なプレスリリースを行ったり相互リンクの提案をしたりします。

◉-5-2、他メディアの記事を監修

他のメディアの記事を監修することによって「その道の専門家」と見られるようになります。

たとえば、税金のことを解説する記事に「監修者」として名前が載っていたら、その人が税金についての専門家であることが分かります。

このように、他メディアの記事を監修すると、自分自身の「権威性」を高めることができるのです。

ただし、この場合は自分自身が何らかの資格を持っていたり、専門知識があるなど、その記事のメディアから認められることが前提となります。

あるいは、自社の商品やサービス、保有技術などが他社にないような独自なものであるような場合も記事の監修をすることが可能です。

◉-6、講演を行う

講演は、その道の第一人者としてテーマに沿った話をする場なので「権威性」を高めるのに有効です。

たとえば、知名度の高いセミナーやイベントで講演すると、権威のある人と認識されて、別のセミナーの講師としてオファーを受けることも考えられます。

ちなみに、前述したように書籍を出版すると、その道の第一人者と認識されやすくなるため、講演の依頼が増加することがあります。

次の「【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店」でご紹介している保険代理店の代表は、書籍を出版した結果、多くの講演依頼が来たそうです。

◉-7、実績の数を増やす

実績の数を増やすことも「権威性」を高めるのに有効な方法です。

たとえば、HPに多くの実績が掲載されている企業と実績が掲載されていない企業では、実績が掲載されている方に「権威性」を感じるようになります。

実績の具体的例としては、売上高や売上数、顧客数、営業年数などがあります。

また、「顧客満足度No.1」や「リピート率98%」などのように計測可能な高い数値を表示すると多くの人が利用しているというイメージを抱かせることができ「権威性」を高めることにつながります。

◉-8、上場する

株式を上場すると会社の情報が公になるため、社会的認知度が一気に高まり「権威性」も高くなります。

一般的に「上場している会社=一流企業」というイメージがあるため「権威性」が高くなるのです。

◉書籍の出版が権威性を高めるにはやりやすくておすすめ!

「権威性」を高める方法の中で、一番やりやすく、かつ効果的なのが書籍の出版です。

実際に書籍の出版によって「権威性」が高まり、成約につながった事例を紹介します。

◉-1、保険代理店の事例

埼玉県で保険代理店を営む経営者は自身が出版した書籍の中で、保険業界の現状と問題点について解説し、今後の保険代理店経営に必要な考え方やシステムについて持論を展開しました。

それは保険業界の給与体系に関するもので、成果に応じて給与が決まる「成果報酬型」が当たり前ですが、これを「一律報酬型」に変えることで業績拡大ができるという内容でした。

つまり、限られた少数のスーパー営業マンに頼るのではなく、すべての社員による経営で業績拡大ができるということを書籍の中で紹介したのです。

書籍を出版したことにより業界関係者に読んでもらうことができ、多くのセミナーや講演会に講師として招かれるようになりました。

特に保険会社から講演の依頼が来たり、同業者を支援してほしいという依頼が来たり、保険会社側から一目置かれる代理店になったということの意義は非常に大きいと感じているそうです。

また、本を読んだ人から新規のコンサル契約を獲得したり、口コミでの紹介が増えて保険契約数が伸びるという大きな経営効果も得られて、出版前には考えられなかったような状態になっているそうです。

本来の出版目的であった、同業の保険代理店からのコンサル依頼がまず数件。そして驚いたのは、保険会社から講演の依頼が来たり同業支援の話が回ってきたりと、「保険会社にとって頼れる代理店」というありがたいイメージを持ってもらえるようになったことです。
引用元:【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店

【まとめ】権威性を高めることで、企業や事業、経営者に良い影響を出そう

本記事では、「権威性」についてのメリットや、高めるための具体的な方法などについて解説しました。

また、企業や経営者が「権威性」を高めるために最も効果的な方法として書籍の出版があり、実際に「権威性」の向上に成功した事例を紹介しました。

デジタル技術全盛の時代にあって、どうして紙メディアの書籍なのかという疑問もあるかと思います。

それは、書籍は伝達できる情報量が非常に多く、単なる商品やサービスの紹介だけではなく、開発秘話などのストーリーをまとめて顧客に届けることができるという大きな特徴があるからです。

書籍を出版しているという「権威性」に加えて、顧客をファン化することができるコンテンツを確実に伝達することができます。

書籍の出版によって「権威性」を高めて、企業や事業の経営に良い影響を与えることができるでしょう。

商品やサービスの課題として「権威性のなさ」を感じている企業さまは、ぜひ書籍の出版を検討してみてはいかがでしょうか。

フォーウェイまでお気軽にご相談ください。

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