出版は個人や企業にとって、ブランディングの強化や社会的信頼性の向上、さらに集客やマーケティングなどビジネスチャンスを広げるための効果的な手段の1つです。
しかし、「本を出したい」と思ったら、出版に踏み切る前に検討すべき重要なポイントがいくつかあります。
本記事では、現役の書籍編集者が、出版方法の選択から、目的設定、そして出版後の効果的な活用方法などについてくわしく解説していきます。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
◉本を出したいと思ったらまず検討すべき3つのこと
「本を出したい」と思ったときに、まず検討すべきことは次の3つです。
・出版方法の検討
・出版する目的
・出版後の活用方法
それぞれについて、くわしく見ていきましょう。
◉-1、出版方法の検討
本の出版方法としては次の3つの方法があります。
・商業出版
・自費出版
・企業出版
それぞれメリットとデメリットが異なるので、それぞれについてくわしく見ていきましょう。
◉-1-1、商業出版
商業出版とは、出版社が主導して本の企画をして著者の選定までも行う出版方法で、出版費用のすべてを出版社が負担します。
本の認知度を上げて出版社が利益を出すために行うもので、初版の発行部数は3,000部~10,000部程度が一般的です。
ベストセラーになる本の多くが商業出版で出版されており、出版社がプロモーションをして出版社の販路を使って全国の書店やインターネット書店で販売します。
そのため、商業出版では著者が書きたい内容の本が書けるわけではなく、また著者側から商業出版をしたいと企画を持ち込んでも採用される確率は低いというのが実情です。
▶︎商業出版については、関連記事【商業出版とは?企業がブランディングを考えたときの出版の選択肢】もあわせて参考にしてください。
◉-1-2、自費出版
自費出版とは、自分が出したい本の企画を出版社に持ち込み、出版していく方法です。
主に個人(企業の経営者も含む)が社会的権威性を高める目的で出版したり、自分の経験や考えを世の中に伝えたり、自分史をまとめたりする目的で行われます。
初版の発行部数は100部~500部程度です。
売上や発行部数などにとらわれずに、著者自身のペースで出版が可能で、内容についても自由にコントロールできるのが特徴です。
一方で、出版費用はすべて著者が負担するので、高い費用がかかるのがデメリットと言えるでしょう。
また、本を作ること自体は出版社がアドバイスなどをしてくれますが、商業出版や企業出版のようにプロモーションや流通(書店配本など)などについては関与してもらえないことがほとんどです。
プロモーションや流通などは基本的に著者自身が行わなければなりません。
別料金で行ってもらえる可能性もありますが、全くそういったサービス提供を行っていない場合もあります。
▶︎自費出版については、関連記事【自費出版とは?メリットやデメリット、費用相場、成功事例などを解説】もあわせて参考にしてください。
◉-1-3、企業出版
企業出版とは、企業や企業経営者が経営課題を解決するために利用する出版方法です。
企業出版により解決できる経営課題としては、主に次のようなものがあります。
・ブランディング強化
・社会的信頼性の向上
・自社の商品やサービスの認知度向上
・従業員への企業理念の浸透
・採用活動におけるミスマッチの減少
出版費用は全額企業が負担します。
本の社会的信頼性の高さやストーリー性という特徴を使って、企業が顧客や従業員に伝えたいメッセージをしっかりと形にできるのが企業出版のメリットと言えるでしょう。
企業出版では、出版社の販路を使って全国の書店への配本を行い、しっかりと読者の手元に届けるような施策を行います。
通常の営業活動ではアプローチが難しい富裕層や、社長などの経営トップ層にも読んでもらいやすいのも特徴です。
ある程度の規模になった中小企業が次のステージに進みたい場合や、同業他社との差別化を図りたいという場合にも有効な施策と言えるでしょう。
▶︎企業出版については、関連記事【企業出版(ブックマーケティング)のメリットとは? 企業が考えるべき出版による効果】もあわせて参考にしてください。
株式会社フォーウェイでは、企業出版で単に経営課題を解決するだけではなく、本というコンテンツをマーケティングに活用していく、ブックマーケティング(企業出版+マーケティング)サービスを提供しています。
◉-2、出版する目的
本を出版する際には、出版する目的を明確にすることが重要です。
目的を決めないままに出版してしまうと、何にも活用できない、ただ単に名刺代わりに配ることしかできない本ができ上がってしまいます。
本を出版する目的としては主に次のようなものがあります。
・ブランディング強化
・信頼性向上
・集客・マーケティング
それぞれくわしく見ていきましょう。
◉-2-1、ブランディング強化
本に対する社会的信頼性は高いため、本を出版することによって社会的な知名度が向上してブランディングが強化されます。
近年ではホームページやブログなどのデジタル媒体で、自社の商品やサービスの魅力をアピールする方法が注目されていますが、デジタル媒体よりは紙媒体の方が高い信頼性が得られます。
同じ消費をするのなら、信頼性の高い会社の商品やサービスを利用したいという消費者心理に応えられるのも出版のメリットと言えるでしょう。
また、本を出版することによってその道の専門家と見られるようになるので、競合他社との差別化にも有効です。
たとえば、出版後に営業マンが顧客を訪問すると「本を出版した会社の方ですね」といわれて営業活動がやりやすくなるというようなことが起こります。
◉-2-2、信頼性向上
経営者が個人として本を出版する場合でも、企業の代表者として本を出版する場合でも、個人や企業の社会的信頼性の向上につながります。
紙媒体であり、出版社や書店など多くの企業を介して作られる本の社会的信頼性はデジタル媒体での情報発信に比べて必然的に高くなります。
本を出版しているというだけで、業界内での地位が向上して一目置かれる存在として注目される可能性もありますし、テレビや雑誌などからの注目が集まれば、番組出演やインタビューなどへのオファーがあるかもしれません。
また、本をマーケティングに活用すれば、顕在層をファン化して商品やサービスの購入を促進できるようになります。
◉-2-3、認知度向上
認知度とは、名前だけでなく商品・サービスなどの価値が知られている度合いのことをいいます。
本を出版することによって、企業の認知度が上がって自社の商品やサービスの価値が顧客に認知されるようになり、集客や売上の向上につながります。
▶︎認知度向上については、関連記事【経営者必読!認知度向上の方法と効果的なマーケティングの選択肢】もあわせて参考にしてください。
◉-2-4、集客・マーケティング
本は自分でお金を支払って購入するものです。
そのため本を購入してくれた読者は、自社の商品やサービスに興味や関心のある潜在顧客だと考えられます。
この潜在顧客に本をじっくりと読んでもらうことで顧客教育につながり、より受注確度の高い顧客に引き上げることが可能です。
もちろん、潜在顧客の手元に出版した本を届けることができたという前提ではありますが、出版をうまく活用することができれば、潜在顧客や受注確度の高い集客が期待できるのです。
一方で、集客・マーケティング戦略としての書籍出版にも1つだけ決定的な弱点があります。
それは、書籍を購入してくれた読者を追いかけられないことです。
書籍を購入してくれた方というのは見込み度合いの高いリードです。
書籍を購入してくれても「いきなり問い合わせするのはハードルが高い」「まだそこまでの温度感ではない」という方も多くいらっしゃいます。
そんな方に引き続きアプローチし続ける仕掛けを書籍に行うことで、見込み度合いの高いリードを獲得することができるのです。
弊社ではそういった書籍出版や配本だけではなく、出版後のリード獲得などにもつなげる施策を提供していますが、書籍を集客・マーケティングに最大限活用するのであれば、こういった書籍出版の弱点を補う施策もどんどん活用していく必要があります。
◉-3、出版後の活用方法
出版後に本が有効に活用されるか、ただ出版するだけで終わるかどうかは、出版前に活用方法を見据えて本の企画をしたかどうかによって決まります。
自費出版や企業出版で失敗したという事例の多くは、出版後の活用方法を見据えて企画がされていないことによるものがほとんどです。
出版前から本の活用を見据えて、以下のようなことをしっかり取り決めておきましょう。
・書店配本による認知度向上
・出版記念イベント、セミナーの開催
・マーケティングや営業ツールとしての活用
・SNSと連携したプロモーション活用
・各種情報発信などへの活用
それぞれ、くわしく解説していきます。
◉-3-1、書店配本による認知度向上
書店には富裕層や企業の経営者や役員など、さまざまな方が本を探しに来店します。
ネットやSNSなどを見ないような方も多数来店されるので、他の広告手法ではアプローチできないような顧客層との接点につながります。
また、書店には、なんらかの悩みを持った人が悩みの解決になるような本を探しに来ることもあるでしょう。
自分が持っている悩みに関連するジャンルの棚から本を探す際に、目に触れる機会があり認知度向上に役立ちます。
書籍の活用方法として書店配本はプロモーションの基本です。
出版を行うのであれば、一番最初に考えるべきものと言えます。
◉-3-2、出版記念イベント、セミナーの開催
本の出版をきっかけとした出版記念イベントやセミナーを開催することも活用方法として有効です。
本の認知度を自然と高めたり、本をきっかけに自社や商品・サービスの情報を多くの人にしってもらう良いきっかけにつながります。
ただ「この商品・サービスをぜひ使ってください!」と宣伝するより、「出版を記念してイベント・セミナーを開催します!」の方が売り込み感がなく、自然な流れで商品・サービスのプロモーションのきっかけを作るのに有効な方法と言えるでしょう。
また、出版記念イベントやセミナーでは、読者や顧客と直接つながる機会を作れるので、読者や顧客の興味や関心を惹くような強い訴求ができます。
◉-3-3、マーケティングや営業ツールとしての活用
本はマーケティングツールや営業ツールとしても有効活用できます。
たとえば、販促のためにターゲットに本を配布したり、顧客との商談の際にお渡しして信頼構築や顧客教育につなげたりすることが考えられます。
◉-3-4、SNSと連携したプロモーション活用
本には大量のコンテンツが集約されています。
その一部を切り取ってSNSなどで発信することもプロモーションのきっかけとなり有効です。
「本を出版しました!」という投稿だけではなく、その中身を小出しにして活用すれば、さまざまな角度、ターゲットに対して訴求する投稿が作れるため、それだけでSNS運用を行うことが可能になります。
「何を投稿すればいいのか」と投稿内容に悩むこともなくなります。
◉-3-5、各種情報発信などへの活用
本の著作権は著者(契約者)に帰属するので、コンテンツを二次利用してより効果的に情報発信することが可能です。
そのため、Webサイトやニュースレター、メールマガジンなどに本の一部のコンテンツを活用することで、相乗効果が期待できます。
たとえば、Webサイトに活用すればSEO対策につながりますし、ニュースレターやメールマガジンに活用すれば、読者の興味喚起や、見込み顧客への教育、アップセルなどにつなげることが期待できます。
本の内容は独自性の高いコンテンツなので、こういったデジタル媒体での二次利用は効果的です。
◉本を出すまでの流れ
実際に本を出すためには、次のような手順を踏むのが一般的です。
・本の企画
・原稿の執筆
・デザイン
・校正・校閲
・印刷・製本
本を出すまでにかかる期間としては、早くて3ヶ月程度です。
一般的には半年〜8ヶ月程度かかると見積もっておくと良いでしょう。
それぞれの手順についてくわしく見ていきましょう。
▶︎書籍出版の流れ、費用感、出版社の選び方などより詳しく知りたい場合には、関連記事【本の出版費用は?項目別の目安や成果を出すために意識すべき「出版社の選び方」も解説】もあわせて参考にしてください。
◉-1、本の企画
まず「本を出したい」と思ったら、本のコンセプトとターゲットを決めることが重要です。
具体的には、次のようなことを決める必要があります。
・なぜ本を書くのか?
・誰に読んでもらうのか?
・何を伝えるのか?
また、ターゲットに本を届けるためのプロモーションについても検討しておく必要があります。
本の企画に要する期間は約2週間~2か月程度です。
◉-2、原稿の執筆
本の企画が終わると、構成案を起こし、原稿を執筆していきます。
もしライターに執筆してもらう場合は、ライターからの取材を複数回受けて、それを元に書いてもらうことになります。
また、本の中で使う写真・図表・イラストなどの準備も必要です。
原稿執筆や写真・図表・イラストなどの準備に必要な期間は約2週間~4か月程度です。
◉-3、デザイン
原稿が完成すると、本の内容に合った表紙や誌面のデザインやレイアウトを決めていきます。
デザインに必要な期間は約2週間~1か月程度です。
◉-4、校正・校閲
デザインが完了すると紙やPDFに出力して校正を行い、誤字脱字や表記ゆれがないか、イメージ通りのデザインになっているか、写真や図表・イラストは適切かなどについてチェックをする校正を行います。
同時に校閲(ファクトチェック)を行い事実関係に誤りがないことを確認します。
校正・校閲に必要な期間は約2週間~1か月程度です。
◉-5、印刷・製本
校正が終わって校了すると、出版社から印刷会社に本のデータを入稿します。
印刷会社から色校正が提示されるので、インクのノリ具合や写真の色味を確認して問題がなければ印刷・製本されて納品されます。
印刷・製本に必要な期間は約1か月程度です。
◉本を出してビジネスが発展した成功事例
ここでは、実際に本を出版してビジネスの発展につながった成功事例を紹介します
◉-1、保険代理店の出版事例
法人をメインターゲットとして営業しているある保険代理店の経営者は、保険業界における人材育成と給与体系に関する持論を公開するために本を出版しました。
本の中で、保険業界で当たり前に行われている「成果報酬型」の給与体系を、自社でも取り入れて業績向上に寄与している「一律報酬型」に変えることを提唱。
これは、一部のスーパー営業マンに頼った経営から、社員をアベレージヒッターに育成して、全員で支えていく経営に変えることによって業績拡大できることを紹介したものです。
情報量が大きく信頼性の高い本というメディアを使って持論を展開したことで、多くの業界関係者から共感を得られ、自社のブランディングに成功。
本業の保険代理店の保険契約数が伸長したのはもちろんのこと、新規事業であるコンサルティングの新規契約を獲得できたという大きな効果が得られました。
不動産投資サービスを営む不動産会社の経営者は、高収入でありながら多忙なため節税対策を考える暇がなく高額納税をしている医師をターゲットとして、SNSやウェブ広告などを利用して情報発信を行っていました。
しかし期待通りの効果が得られないことから、「医師の節税対策として最も効果的なのは不動産投資である」という内容の本を出版。
本の企画段階から、医師を対象としたマーケティング戦略やプロモーション戦略を立案して実践したことにより、多くの医師に本を購入してもらうことに成功しました。
出版後は、本を購入した医師からの問い合わせが相次ぎ、「不動産投資に大きな節税効果があること」を認知してもらい売上が倍増。
また、既存顧客の医師が知り合いの医師に紹介してくれたりして口コミが広がり、新規顧客の獲得にもつながりました。
◉「本を出したい!」という方からいただくよくある質問
ここでは「本を出したい!」という方からいただく、よくある質問に対する回答を紹介します。
◉-1、出版による費用対効果は良いか?
単に本を出版しただけでは費用対効果は良くはなりません。
本の企画段階で、出版後にどのように活用するのかを見据えて、ターゲットの設定や本の内容の検討、プロモーションの方法などを検討することによって費用対効果を高められます。
◉-2、ビジネスのどのようなフェーズで出版は有効?
たとえば、企業が次のような状況で本を出版することが有効です。
・すでに多くの広告手法やマーケティング手法を実践してきているものの、徐々に効果が低くなってきている場合
・売上や利益は安定して上がってきて従業員も増えてきており、業界内での自社の地位をいま一歩高めたい場合
・企業としての社会的信頼性を高めたい場合
◉-3、出版に向き・不向きはある?
本の出版は、企業に長期的な視点での効果をもたらすので、ブランディングや認知度向上、社会的信頼性の向上などには向いています。
一方、今すぐ集客効果を得たいというような短期的な目的には不向きです。
すぐに集客効果を得たい場合には、デジタル広告などの活用が有効です。
◉【まとめ】本を出すのは意外と簡単!それをどう活かしていくのかの方が重要
本記事では、本を出したいときにやるべきことについてくわしく解説しました。
株式会社フォーウェイでは、大手出版社の編集者経験があるスタッフが、本の企画から出版後の本を活用したマーケティングまでを一括でサポートする、ブックマーケティングサービスを提供しています。
「本を出したい」という希望をお持ちの方は、ぜひ株式会社フォーウェイまでご相談ください。
コンサルティングサービスは、顧客側からすると費用対効果が分かりづらい代表的なビジネスの1つです。
そのため、どんな素晴らしいサービスを提供しているコンサルタントであっても、実績や知名度がない状態では、依頼してもらえるまでのハードルが高く、なかなか成約に至らないのが現実です。
もっと言えば、実績や知名度がなければ、見込み顧客の集客も難しいのが実情です。
このように、コンサルタントで集客に関する悩みを抱えている方は、意外と多いのではないでしょうか。
本記事では、集客できないと悩むコンサルタントが、見込み顧客との信頼性を獲得し、効率的かつ効果的に集客できる手段を詳しく解説します。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
◉コンサルタントの集客が難しい理由
コンサルタントの集客が難しい最大の理由は、サービス内容などの分かりにくさにあります。
そういった分かりにくさを払拭することができずに、次のような理由で集客に苦戦しているコンサルタントが多いようです。
◉-1、自分の強みをうまく発信できていない
少しでも多くの仕事が欲しいコンサルタントは「どんなことでも相談に乗ります」というアピールをしがちです。
これは、特に独立したばかりのコンサルタントに多く見られる傾向です。
これは「顧客からのどんな依頼にも応えて多くの受注を獲得したい」と考えてのことですが、そのことがかえってコンサルタント本人の狙いとは逆に集客を難しくする一因になっています。
実際に依頼する顧客側の視点で考えると、何が専門なのかが分からず、「依頼しても的確なアドバイスが得られないかもしれない」と思って依頼しにくいのです。
たとえば、自社のIT情報システムに課題があることが分かっているときには、「何でもサポートできます」というコンサルタントよりは「IT分野ならお任せください」というコンサルタントを選ぶのではないでしょうか。
もっと言えば、「IT情報システムの見直しや再構築ならお任せください」とより具体的にアピールしているコンサルタントの方が「この人にお願いしたい」と思ってもらいやすくなります。
主なコンサルタントの専門領域としては、経営、業務改善、IT、マーケティング、財務、人事、事業再生などがあります。
自分がどの分野に強く、かつ顧客にどのようなメリットをもたらすことができるのかを明確に発信していくことが重要です。
◉-2、見込み顧客に向けての信頼性の欠如
コンサルタントが見込み客に自身のサービスをアピールしたとしても、簡単には信頼してもらえません。
なぜなら、コンサルタントは肩書きだけで信頼されるような職種ではないためです。
コンサルタントには、弁護士や税理士などのように公的な資格などがありません。
極端に言えば、コンサルタントと名乗れば誰でもなれてしまう職種であり、肩書きだけでは信用されにくい職種です。
そんな中で、見込み顧客の信頼を獲得するためには、自身のこれまでの経歴や、コンサルティング実績、それに代わるエビデンスを明確に示していく必要があります。
それがコンサルタントの集客を難しくしている要因の1つです。
◉-3、知名度やブランド力の不足
コンサルタントの知名度やブランド力が不足している場合も集客が難しくなります。
なぜなら、知名度やブランド力が不足していると、どんなに高品質なサービスを提供していたとしても、顧客側の依頼候補先として上がりにくいためです。
たとえば、「SEOコンサルタント」とネットで検索した際に、せいぜい担当者が見るのは検索結果の2〜3ページ目程度です。
もし8ページに表示されていたとしても、見てもらえないでしょう。
このように、知名度やブランド力が不足していると、どんなに良いサービスを提供している優秀なコンサルタントでも、顧客側の候補先としても上がりにくくなります。
どうしても知名度やブランド力の強いコンサルタントに依頼が集中してしまい、それらが不足しているコンサルタントに依頼が来にくい、というのも集客が難しいと言われる要因の1つと言えるでしょう。
◉-4、集客につながるマーケティング手法が打てていない
コンサルタントが効果的なマーケティング手法を実施していない場合も、集客は難しくなります。
なぜなら、コンサルティング業を営んでいる競合他社は数多くいるからです。
競合が多いため、マーケティングをすることなく集客ができるような業種ではありません(もちろん、例外もあります)。
たとえば、コンサルタントには、外部からの視点で経営課題を把握し、論理的に分析し、目標を達成するための解決策を示す能力が求められますが、コンサルティング契約を結ぶ時点ではその能力を持っているかどうかは分かりません。
ホームページやコラム、SNSなどでの発信情報、セミナーでの講義内容などから、信頼に足るコンサルタントであることが確信できなければ、相談をしてもらうことはもちろん成約に至ることはありえません。
そのため、コンサルタントにとって、マーケティングは集客を行う上で必要不可欠なものであることを認識しておく必要があります。
◉コンサルはまずクライアントを知ることから
集客につながるマーケティング施策を検討するためには、見込み顧客がどうやってコンサルタントを探すのかを、まず知ることからです。
なぜなら、顧客企業のコンサルタント選定がどのように行われているのかを知らずに、マーケティング施策を考えることはできないからです。
一般的にコンサルタントは、次のような過程を踏んで選定されます(あくまで一般例です。例外もあります)。
- 1.社内に経営課題が見つかり、外部の視点を入れた解決の必要性が生じる
- 2.その経営課題に対応できるコンサルタントを探す
- 3.対応可能な複数のコンサルタントの実力や課題解決能力を知る
- 4.対応可能な複数のコンサルタントを比較して依頼先を決める
このコンサルタントの選定過程からわかることは、まず最初の「コンサルタント探し」の段階で「自分の存在に気づいてもらうこと」、すなわち「認知してもらうこと」の重要性です。
また、そもそも見込み顧客はなぜコンサルタントに社内の課題解決を依頼しようとするのかについても知る必要がありますが、それは次の3つに集約することができます。
- 第三者視点からの客観的な評価や分析
- 課題解決のスピードアップ
- 課題解決能力や知識、ノウハウの習得
このように、見込み顧客がどのような時にコンサルタントへの依頼を検討し、どのようなプロセスで選ぶのかは、最低限知っておくべきことと言えるでしょう。
◉コンサルが集客施策を実行するときの心構え
ここからは、コンサルタントが集客施策を実行する際に、心がけておきたい3つのポイントについて解説していきます。
◉-1、相談しやすい受け皿を作る
コンサルタントは、そもそも見込み顧客側にとってサービス内容や専門性、経歴や実績などが分かりづらい職種です。
見込み顧客にとって相談ハードルが高くなりやすい職種とも言えます。
そのため、見込み顧客が相談しやすい仕組みを作り、相談ハードルを下げることを心がけていく必要があります。
たとえば「集客コンサルタント」であれば、「企業の広報担当者向けのSNS集客セミナー」「企業の広報担当者向けのブログ集客セミナー」など、ターゲットを絞り込んだ具体的な無料セミナーを企画するなどです。
そういったセミナーに集まった方々に、無料相談などのサービスを提供し、お悩みを聞いた上で解決策を提案していきます。
このように、「集客のことならなんでも相談ください」というスタンスではなく、「自分が顧客側だったら」という視点で、顧客が相談しやすい仕組みを構築していく必要があります。
◉-2、人脈(ネットワーク)を作る
コンサルタントは、見ず知らずの第三者からの依頼ではなく、知人からの紹介など人とのネットワークを介した相談や仕事の依頼が最も多いと言われています。
そのため、まずは自分の人脈をフルに活用して集客を図ることが大切です。
顧客側からすれば、全く知らない人よりも、信頼できる友人や知人に紹介してもらった人の方が、相談しやすいものです。
また、「友人や知人が紹介してくれるコンサルタントだから」と信頼も得やすくなります。
コンサルタントとして集客に困っている方は、Web広告やSNSなどに目が向いてしまいがちですが、人脈を活用した方が早く確実に成約につながりやすくなります。まずは「人脈を活用して集客ができないか」を考えてみましょう。
過去に勤めていた会社の同僚や、その際に知り合った知人など既存のネットワークを大切にしていくことはもちろん、異業種交流会や勉強会、各種セミナーなどに顔を出すことで人脈を広げることができます。
また、このような場で自分の強みや得意分野について紹介して、認知度を上げるようにしましょう。
◉-3、フォローアップを忘れない
コンサルタントの中には、実績を上げるために新規顧客の獲得にばかり熱心な方がいます。
しかし、既存の顧客のフォローアップも忘れずに行う必要があります。
なぜなら、リピーターになってくれたり、長期契約や顧問契約に発展したりして売り上げの安定化につながる可能性があるからです。
さらに、既存の顧客が知人を紹介してくれて新規顧客の獲得につながることもあります。
フォローアップにはいろいろな方法がありますが、たとえば定期的にメルマガやDMを発信して、有益な情報を届けるという方法が考えられます。
このように、既存の顧客一人ひとりにしっかりと応えてきめ細かに対応することが、経営の安定化や新規顧客獲得につながるということを忘れてはいけません。
◉コンサルタントに適した集客手段とは
集客する手段としては、多くの選択肢がありますが、職種によって向き不向きがあります。
ここからは、コンサルタントに適した集客手段をいくつかご紹介いたします。
◉-1、ホームページ制作とコンテンツマーケティングを実践
コンサルタントの集客手段としてホームページの制作は必要不可欠です。
なぜなら、「依頼する前にまずはホームページを見る」という顧客が多いからです。
いくら良いサービスを提供していたとしても、「誰が提供するのか?」は誰でも気になるものです。特にコンサルタントのような、自身のビジネスにとって重要な助言をもらう存在であればなおさらです。
また、HPがあれば、コンテンツマーケティングを行うことが可能です。
コンテンツマーケティングにおいては、開設したホームページに自分の専門領域や実績を掲載し、加えて顧客にとって有益な情報をコラムなどの形で発信していきます。
これによって、自分の強みやノウハウなどが言語化されて顧客に伝わりますし、SEO対策を行うことによって、検索エンジンで検索結果の上位に表示されることも可能となります。
つまり、問い合わせや相談の機会が増加して、それに伴う成約率アップの可能性が高まるということです。
◉-2、チラシやパンフレット、名刺のコンテンツ化
紙媒体のチラシやパンフレット、名刺をコンテンツ化して集客を図る方法もあります。
インターネットやSNSの時代だからこそ紙媒体のチラシやパンフレット、名刺を見込み客などに配布することは集客に効果的です。
チラシやパンフレット、名刺に経営理念、経歴、専門分野、コンサル実績などのブランディングを意識したコンテンツを掲載するなど工夫すれば、顧客から興味を持ってもらえる可能性があります。
また、自分自身が力を入れて発信している媒体(SNSやブログ、自社サイトなど)のQRコードを掲載するのも有効です。
◉-3、SNSで自己PRと情報発信
SNSによる情報発信もコンサルタントの集客手段として有効です。
SNSで発信した情報は「いいね」や「シェア」「リポスト」などによって拡散されます。思わぬ人や企業に伝わって、認知や集客につながる可能性があります。
SNSで発信される情報の種類は千差万別なので、多くの情報の中に埋もれてしまわないように、独自性を持たせた専門分野の豆知識やTIPSなどを定期的に投稿することがコツです。
SNSの投稿は比較的気軽に行えることがメリットですが、ホームページのコンテンツと同様に手間がかかるという点や、集客できるまでには時間がかかる点には注意しましょう。
◉-4、セミナーを開催
自分の得意分野や専門分野をテーマとするセミナーを開催することも有効です。
なぜなら、セミナーにはテーマに関心のある顧客が有益な情報を求めて参加しているためです。
また、そういった受講者と直接話をする機会を持つことができるのもメリットです。
受講者の中には、テーマに関心があるだけではなく、他にも具体的な課題を抱えた方がいる可能性もあり、コンサル契約に発展することも十分に考えられます。
自分の得意分野や専門分野に関するセミナーということもあり、自ずと自信にあふれた講義ができるので、ブランディングという点からも効果的です。
◉-5、書籍を出版
自分の専門分野に関する書籍を出版し、全国の書店に流通させることも集客に有効な手段の1つです。
「書籍が持つ信頼性の高さ」は他のメディア以上です。そのため、書籍は自身のブランディングという点でも非常に効果があります。
また、書籍の情報量はホームページのコラムやチラシ、パンフレット、SNS投稿などよりも多いため、自分が顧客に伝えたいことを余すことなく掲載することができます。
ちなみに、一般的な書籍のページ数は200ページ程度で、文字数は7万~10万文字程度です。
紙媒体のA4判のチラシの文字数は1,000文字〜2,000文字程度ですから、書籍では比較にならないほどの情報を伝えることができることがわかります。
しかし、出版するだけではダメです。出版しても、ターゲットとなる見込み顧客に読んでもらえなければ意味がありません。そこで重要になってくるのが、ブックマーケティングです。
◉ブックマーケティング(企業出版)の重要性
コンサルタントが書籍を出版したとしても、単に自分が配るだけの名刺代わりの書籍で終わってしまっていては意味がありません。
書籍をマーケティングの一部として活用し、コンサルタント自身の強みなどを伝え、問い合わせなどの集客につながるような取り組みをしていく必要があります。
そこで重要になってくるのがブックマーケティングです。
ブックマーケティングは、書籍を単に出版社の販路だけではなく、あらゆる情報発信の手段を活用し、ターゲットとなる見込み顧客に届けて問い合わせなど、集客面で貢献させるマーケティング施策です。
ブックマーケティングを実施する際の重要事項について、以下で具体的に説明します。
◉-1、事業ターゲットの理解と的確なアプローチ
ブックマーケティングを行う際には、書籍の企画段階からターゲットの明確化とアプローチ方法を決めておく必要があります。
つまり、出版する書籍を誰に読んでもらって、何を伝えるのかということを決めておき、さらにそのターゲットに確実に届けるためのプロモーションまでを想定しておくことが大切です。
◉-2、効果的なコンテンツ戦略の立案と事例の紹介
書籍のターゲットと伝えたいことが決まったら、次は具体的なコンテンツを練り上げていく段階です。
編集者とともにターゲットの課題に寄り添うコンテンツを作り上げていきます。コンテンツの中に、自然な形で自分自身の実績もできるだけ事例として掲載していくことを心がけましょう。
◉-3、書店でプロモーションを実践
書籍が完成すると、具体的なプロモーション計画を立てます。
ブックマーケティングの場合は、あくまで書籍はマーケティングのためのツールですから、確実にターゲットの目にとまる書店の書棚に並べて、書籍テーマに関心のある方やニーズのある方に購入してもらうようにしなければなりません。
ブックマーケティングのゴールは書籍を売ることではなく、書籍を読んだ見込み客の集客をはじめとして、ビジネスメリットを達成するための手段であることにあります。
◉-4、書籍コンテンツを二次利用してSNSやWEBサイトを強化
ブックマーケティングで出版した書籍コンテンツは、著作権が著者にあるため、二次利用できます。
たとえば、書籍の一部をホームページのコラムやブログに掲載してSEO対策に活用したり、SNSで発信したりすることも可能です。
このように、書籍コンテンツをあらゆる媒体に活用し、マーケティング効果を最大化することができます。
◉-5、営業ツールや紹介ツールとして書籍を活用
ブックマーケティングで出版した書籍を、営業ツールとして配布したりすることができます。
また、自分で配布する以外にも、見込み顧客や知人に配布しておくことで、思わぬ集客や相談につながる可能性があります。
◉-6、書籍テーマでセミナーを開催
ブックマーケティングで出版した書籍のテーマでセミナーを開催することもできます。
書籍は全国規模で流通しますので、興味や関心のある見込み顧客や書籍の内容に共感した潜在顧客などが全国から参加してくれる可能性があります。
さらに、セミナー後に名刺交換会や懇談会を設けることによって、集客や具体的案件の相談などにつながる可能性があります。
▶️ブックマーケティングの詳細については、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。
◉コンサルタントのブックマーケティング成功事例
コンサルタントのような、顧客から依頼してもらえるまでのハードルが高く、顧客との信頼関係の構築が重要なビジネスを行っている方にとって、ブックマーケティングは相性の良いマーケティング手法です。
実際に、コンサルタントがブックマーケティングを行って集客に成功した事例を2件ご紹介します。
◉-1、事例①:ターゲット特化してその道の専門家としてブランディング
建設業専門のコンサルタントの事例です。
この方は、自身の商圏での開拓はある程度行ってきていましたが、次のステージにすすむために、知名度の向上と商圏の拡大を狙って書籍を出版しました。
書籍のタイトルに「建設業のための」という文言を入れたことによって、狙い通りのターゲットにダイレクトにアプローチすることができ、さらには書籍の配本を首都圏中心に行うことによって「商圏の拡大」にもつながりました。出版の翌日から問い合わせが殺到し、複数件の顧問契約獲得につながっています。
このように、ターゲットに特化した専門家であることを世間に認知させ、ブランディングを行っていくために、ブックマーケティングは有効な手段と言えます。
通常、本は販売部数を増やすために、「できるだけ多くの人に読んでもらいたい」という意図でタイトル付けをするものです。今回の書籍であれば、「建設業のための」と入れることによって、ターゲットが一気に狭まってしまうため、販売できる可能性のある部数が減ってしまいます。
しかし、書籍を通じでどのようなブランディングを行っていきたいのか、の目的を企画段階で明確にしていたからこそ、書籍のタイトルに「建設業のための」という、ターゲットを狭めながらも狙った読者層からの集客をイメージした文言を入れる決断ができたのです。
このように、通常の出版とは違う考え方で、マーケティングのツールの1つとして企画し、出版していくのがブックマーケティングです。
◉-2、事例②:得意分野をコンテンツ化してその分野のNo.1へ
日本では起業した会社の約6割が1年以内に廃業しているという現実がありますが、資金調達支援のコンサルタントである著者は「適切な融資の下、創業者が夢を実現できるように」という思いから書籍を出版しました。
書籍の中では、自らが立ち上げた会社が創業後3年間に8200万円の融資を受けて事業を軌道に乗せることができた実績を元に、中小企業でも高額の融資が受けられるという秘訣を公開。
自社が得意とするWebやSNSのコンテンツ化によって、問い合わせ件数が3~4倍に増加して受注件数が伸び、その結果、融資支援実績が日本一になりました。
このように、自身の強みや想いをしっかりとターゲットに届けることができるのもブックマーケティングならではのメリットです。
Web広告やSNSなどでいくら長文で伝えようとしたとしても、「パッと見てわかる」ことが重視されるネット媒体では、伝えられる情報量に限界があります。
しかし、書籍は違います。しっかりと長文が読まれる媒体です。特に内容がターゲットに刺さるものであれば、ネット媒体の比にならないほどの情報量を伝えることができます。
また、書籍を読んでもらえることによって著者や提供するコンサルティングサービスへの理解も深まり、顧客教育にもつながります。
結果として、読者は著者のファンになり、仕事の依頼をすること前提で問い合わせいただけるようなホットな信頼関係を作ることができるのです。
◉まとめ
本記事では、コンサルタントの集客が難しい理由やコンサルタントに適した集客手段について解説しました。
コンサルタントの集客手段にはいろいろありますが、成功事例でも紹介したようにブックマーケティングを利用した集客は相性抜群です。
コンサルティングの依頼をしてもらうためには顧客からの信頼を勝ち取ることが不可欠ですが、「書籍を出版したという事実」だけで社会的な信頼性は飛躍的に高まります。
また、ターゲットを明確にした書籍内容やタイトルなどによって、効果的なマーケティングが可能です。結果として相談件数や成約件数の増加が期待できるでしょう。
集客に課題をお持ちのコンサルタントの方は、ぜひブックマーケティングの活用を検討してみてください。
また、士業のマーケティングについては次のコラムでもわかりやすく解説されているので参考にしてみてください。
参考コラム:士業マーケティング成功の秘訣:集客力を高める戦略と実践|神栄企画
企業SNSを運用したいが、やり方がわからないーーこのように考えるマーケティングや広報の担当者は多いことでしょう。
以前は「個人の遊び」という印象が強かったSNSですが、時代はすっかり変わりました。SNSはビジネスにおけるコミュニケーションの重要な一部分である、という認識が多くの企業に浸透してきたのです。
しかし、企業SNSのアカウントが乱立するなかで、ビジネスにおけるメリットをきちんと獲得できているケースはごく一部と言わざるを得ません。
そこで本記事では、企業SNSの運用を考える方向けに、SNSによってビジネスメリットを実現する「運用のやり方」を解説します。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
■企業のSNS運用とは?
企業にとってSNS運用は、ビジネスの成長に欠かせないものとなっています。
企業のSNS運用は、一言でいえば「ビジネス目的」である点が最大のポイント。個人のアカウントに比べてよりプロフェッショナルで戦略的な運用のやり方が求められます。
◉個人のSNS運用との違い
個人のSNS運用は、主に自己表現や交流が目的です。もちろんSNSを通じたマネタイズに成功しているインフルエンサーなどの個人はいますが、そうした人たちはビジネス目的の運用という意味で、個人の趣味的なアカウントとは違う種類の運用だと言えるでしょう。
企業のSNS運用は、商品やサービスのプロモーションやブランドイメージの向上など、ビジネス上の目的があります。そのため、やり方としても投稿内容や投稿頻度、ターゲット層など戦略的な視点が求められます。
また、ユーザーに悪印象を与えないようにする気配りも、個人アカウントに比べてより重要になるのです。
◉SNSマーケティングとの違い
SNSマーケティングは、SNSを活用してマーケティング活動を行うことです。
具体的には、下記のようなやり方があります。
- インフルエンサーマーケティング
- SNS広告運用
- ソーシャルリスニング
- SNSキャンペーン施策の実施
総じて言えることとして、費用を投じたタイミングにだけ効果を発揮し、商品購入や問い合わせなど直接的なリターンを目指すのがSNS運用以外のSNSマーケティングです。広告施策としての色が強い取り組み、とも言い換えられます。
一方でSNS運用はSNSマーケティングのくくりにはありますが、下記のような特徴があります。
- オーガニック投稿として自由度の高い発信が可能
- ユーザーとのコミュニケーションによりファン化を促進できる
- 運用をやめたり頻度を鈍らせたりしてもアカウントや過去の投稿は残る
- 一度フォローしてもらったユーザーをアカウントの資産として持ち続けられる
- 長期にわたる施策の継続がやりやすい
これらの特徴により、長期的なブランディングを目指したりマーケティングの基盤を作ったりといった目的を達成するために適しているのが、SNS運用です。
■SNS運用が重要になっている理由
SNS運用がビジネスにおいて重要になっているトレンドは、データからもわかります。
「ソーシャルメディアマーケティング市場、2023年ついに1兆円を突破の予測【サイバー・バズ/デジタルインファクト調べ】」(https://webtan.impress.co.jp/n/2022/11/11/43642)によると、ソーシャルメディアマーケティングの市場規模は2020年の5,971億円から2022年には9,317億円へと大幅増加。
2027年には1兆8,868億円にまで市場が拡大すると推計されています。
SNS運用はやり方を工夫すれば大きなリターンを得られる一方で、フォロワーを伸ばすためにはどうしても一定の時間が必要です。SNSの市場が伸びていくなかで、早く始めた企業ほど成功に近づくのは間違いありません。
■SNS運用によって得られるメリット
ここで、企業のSNS運用によって得られるメリットを改めて整理しましょう。
大きくいうと、以下のとおりです。
- 商品やサービスのプロモーションができる
- 自社ターゲット層に直接訴求できる
- 顧客とのコミュニケーションを深めることができる
- 企業のブランドイメージを向上させることができる
- リアルタイムな情報の発信が可能になる
いずれにも共通するのが、SNS運用によるメリットの発揮とは運用のやり方にかかっている、ということです。
SNSアカウントがあるだけで売上につながるような理想的状況を作るには、狙ったターゲット層のフォロワーをたくさん抱えた「強い」アカウントを作る労力を惜しまないのが、成功事例に共通した特徴です。
■各SNSの特徴と運用のコツ
一言にSNSといっても、種類は様々です。母体となる会社もそれぞれ違います。
SNSの種類によって、やり方や発信すべき内容は異なります。
主要なSNSの特徴について、運用のコツも含めて紹介しましょう。
◉Instagram
Instagramは、写真や動画を投稿するSNSです。ビジネスにおいては、商品の宣伝やイメージアップに活用されることが多く、特に若い世代に人気があります。
ただ、40代以上の層も利用率は低いものの、実数でいうと若年層に匹敵しており、実は全年齢に向けたアプローチにも使えるSNSがInstagramです。
Instagramの運用のポイントは簡単に以下の通りです。
- ハッシュタグや発見タブによって投稿を検索されやすくする
- 投稿のビジュアルについて方向性を定め、ユーザーに価値を感じてもらえる投稿を一定頻度で続ける
- ストーリーズ機能を使い、日常的な情報を発信することでフォロワーとのコミュニケーションを深める
- インスタライブを使い、フォロワーとの関係性をより強化する
勘違いされがちですが、「発信者のビジュアルが優れていて顔出しできる」「商品の綺麗な宣伝写真がたくさんある」などの要素はInstagram運用で必須ではありません。
「商品のターゲット層が興味を持つノウハウを発信する」「日常風景の投稿でユーザーと距離感を縮める」など企画の方向性によって、あらゆるビジネスでInstagramの強みを発揮できます。
◉X(旧Twitter)
X(旧Twitter)は、140文字以内(X Premium加入者はそれ以上も可能)の短い文章を投稿することができるSNSです。
主にリアルタイム情報の収集や発信に使われ、特にニュースやトレンドに関する情報が多く取り扱われています。
Xの運用のポイントは以下の通りです。
- アカウントのテーマに沿った自分なりの「情報提供」と「持論」を発信してフォロワーを増やす
- 他のアカウントとコミュニケーションを増やし、タイムライン上の表示優先度を高める
- 他のアカウントをフォローし、フォロー返しを獲得することでフォロワーを増やす
Xは実名顔出しで運用するアカウントが多く、アカウント同士のコミュニケーションが非常に重視されるカルチャーのSNSです。
企業アカウントとして活用する場合でも、事務的な発信だけでなく「中の人」の人柄が感じられるアカウントが好まれます。
リツイート機能でツイートが大きく拡散される仕様により、投稿が大きくバズる可能性のあるSNSでもあります。
◉Facebook
Facebookは、世界で最も利用者数の多いSNSの一つです。友達や家族とのコミュニケーションが中心ですが、ビジネスにも活用されることが多く、商品の販売やブランドの発信などに使われます。
Facebookの運用のポイントは以下の通りです。
- 定期的にコンテンツを投稿することで、フォロワーの獲得やエンゲージメントの向上を目指す
- Facebookページを作成し、“いいね”を獲得することで拡散力を高める
- Facebookグループを作成し、ファンコミュニティを形成することで、ファンとの交流を深める
Facebookは一定年齢以上の人のビジネス活用においては根強い人気のあるSNSです。
ただ、友達に追加する人数に5000人という制限があるため、つながりをたくさん増やして大きく拡散しようとする運用方針には向きません。
関係性のある相手から自社への認知を維持したり、仕事の相談をもらいやすくしたりする運用がFacebook活用のコツです。
◉LinkedIn
LinkedInは、ビジネス関係者が集まるSNSです。求人情報やビジネスマッチングなどに使われることが多く、ビジネスユースに特化したSNSであると言えます。
LinkedInの運用のコツは以下のとおりです。
- 原則実名登録なので、反感を招くような投稿は避ける
- 他のアカウントと交流し、コミュニティなどにも積極的に参加する
- ターゲットに対して積極的にDMを送る
いわゆる営業のためのDMや採用DMは他のSNSだと嫌がられる場合がありますが、LinkedInはビジネスSNSである側面から、他アカウントへの直接アプローチは比較的、受け入れられているのが特徴です。
ただし、大量のスパム送信はLinkedIn側から制限をかけられる危険があります。
丁寧に絞り込んだターゲットアカウントに対し、一通一通、心を込めてDMを送ることが成果の秘訣です。
■SNS運用を始める前に決めること5
続いてはSNS運用の実践編です。
SNS運用は、やり方を決めずにとりあえず始めてみても成功率は低いです。
ビジネスにつなげるためには、事前準備がカギを握ります。
事前準備として考えるべき項目は、以下のとおりです。
◉決めること①運用の目的
SNSを始める前に、まずは運用の目的を明確にすることが必要です。
例えば、ブランド認知度の向上、製品やサービスの販売促進、情報発信や顧客対応など、目的は様々です。
目的に応じて、運用するSNSの種類やコンテンツ、投稿頻度、投稿内容、ターゲット層などが異なるため、運用の目的をはっきりと決めてから取り組むことが重要です。
気をつけたいのが、「運用目的は売上に決まっているでしょ」と単純に決めてしまうこと。SNS運用は短期的な売上効果だけでなく、ブランディング効果やファンユーザーの獲得など様々な尺度での効果を視野に入れる必要があります。
長期的にアカウントを育てる施策だけに、短期の集客では広告施策より数値が劣る場合が多く、運用目的を売上だけと定めてしまうとスムーズな運用が進まない危険性が高いのです。
短期で何を目的にするのか、中期〜長期で何を目指すのか……など、細かく設計するのが成功するコツです。
▼SNS運用の目的設定については、過去コラム『SNS運用で大切な「目的設定」とは?運用効果を最大化する秘訣を徹底解説』で解説しているので、こちらもご参照ください。
◉決めること②運用体制
SNS運用では、運用担当者やチームの体制を整えることも大切です。
運用にあたっては、誰が投稿するのか、どのようなスケジュールで投稿するのか、コメントやメッセージの返信は誰が担当するのか、といったことを明確にしておく必要があります。
また、社内で運用する場合は、社員の研修やマニュアル作成なども必要かもしれません。
会社としてSNS運用に取り組むときの体制で重要なのは、組織として担当者をフォローアップして運用を管理する仕組みをつくることです。
社内の担当者はほとんどの場合、SNSのプロではありません。「いい感じにやっておいてくれ」と丸投げして放置していると、運用の目的が達成できないどころか投稿やアクション自体が止まってしまうケースも珍しくありません。
自社の貴重なリソースを使って、徒労に終わらないように気をつけましょう。
◉決めること③アカウントの方向性
SNSアカウントの方向性についても、事前に決めておくことが重要です。
たとえば、ファッションブランドのアカウントであれば、コーディネートの紹介や新作アイテムの情報を発信することが求められます。
一方で、医療機関のアカウントであれば、健康情報や病気の予防・治療についての情報提供がいいかもしれません。アカウントの方向性を明確にしておくことで、フォロワーの期待に応えることができ、効果的な運用が可能になります。
例えばSNS運用の代行を請け負うプロであれば、クライアントへのヒアリングをもとにペルソナシートやアカウント構成シートといった資料を作成します。
ターゲット層や運用目的に合わせてデザインのトンマナから投稿文体まで細かく設定し、ブレない運用を実現するのです。
◉決めること④ターゲット層
SNSを利用するユーザーは、それぞれ年齢層や性別、興味関心、ライフスタイルなどが異なります。運用するアカウントのターゲット層を明確にし、その層に合った投稿やコンテンツを提供することが必要です。
また、ターゲット層に応じて、運用するSNSや投稿する時間帯、投稿内容、コンテンツの種類なども変わってきます。
このターゲット設定は、「30代以上の女性」など大まかすぎるくくりではあまり意味がありません。
よくマーケティングで使われる「ペルソナ(代表的なターゲット像の架空のプロフィール)」を設定するのも効果的でしょう。
誰か一人に深く刺さるコンテンツは他の人にも刺さる、というのがSNS運用の原則です。
◉決めること⑤具体的なタスクとスケジュール
SNSの運用においては、具体的なタスクとスケジュールを決めておくことが大切です。どのようなコンテンツを、どのようなタイミングで発信するのかを明確にすることで、運用がスムーズに行われます。
また、週次や月次での運用の報告や評価を行い、必要に応じて改善を行うことも大切です。
コツとしては、とにかく曖昧さを残さないこと。「ネタがあるときに投稿する」「なるべく他のアカウントに“いいね”する」といったルール設定でなく明確に行動目標を決めましょう。
実際ちゃんとやってみると担当者にかなりの負担がかかりますが、強いアカウントを育てるにはそれなりの努力が必要です。
■SNS運用の効果測定と運用改善
続いて、運用開始後のやり方についてです。
「SNS運用の効果はどのように測定して改善したらいいの?」と思われる方も多いかもしれません。
たとえば、計測指標には下記が考えられます。
- フォロワー数
- リーチ数
- エンゲージメント数(「いいね!」やコメント数など)
- コンバージョン数(集客数、商品の売上数など)
計測すべき指標は、運用目的やどのSNSを用いるかによって変わってきます。
たとえば対面アポイントの獲得を目標にする運用なら、DMのうちのアポイント率が指標になるでしょう。改善項目としては普段の投稿の質よりも、アカウントの信頼性を高めるためのフォロワー増やDM文面の改善などの優先順位が高くなります。
おすすめとして、ある程度フォロワーが増えるまではフォロワー数だけをKPIにするのが良いでしょう。
SNS運用による効果の多くは、ある程度フォロワーがいないと発揮されにくいためです。管理をシンプルにすることで運用もスムーズになります。
■SNS運用のよくある失敗例3パターン
続いてSNS運用において、よくある失敗例を3パターン、紹介します。
どれも本当に多いので、失敗の典型例に当てはまらないよう注意して運用しましょう。
◉失敗例①フォロワー数が増えない
思うようにフォロワーが伸びないのは、SNS運用で最もよくある失敗ケースです。
理由として、たとえば下記が考えられます。
多くのSNSは、自アカウントの投稿が他のユーザーのタイムラインに表示されることでフォローが発生します。
したがって、投稿が少なければどんなにアカウントを作り込んでいてもフォロワーが増えるチャンスはほとんどありません。
最低でもInstagramなら週3回、Xなら1日1回は投稿が必要です。
「いいね」や「コメント」など他のアカウントに対して自分からアクションするのも、フォロワーを増やすためには重要です。ここを怠るとフォロワーはほとんど増えません。
ただし、アクションする先のアカウントの選定にもコツがあります。リアクションを返してくれそうなアカウントや信頼度の高いアカウントの共通点を見出し、適切な相手に対してコミュニケーションを取る必要があります。
◉失敗例②運用が止まってしまう
前述したように、SNS運用がストップしてしまう失敗事例はとても多いです。
その理由のほとんどは、はっきり方針を決めずに担当者に丸投げしたきり管理しない運用体制にあります。
投稿スケジュールの明確な設定と投稿物の確認、定例の確認ミーティングなどは組織内で必ず行いましょう。
また、「売上につながっていないからものすごくクオリティの高い投稿をしなきゃ」など、成果を焦って答えのない課題を設定してしまうのも投稿ストップの原因になります。
SNSは定期的にコンテンツを発信して自アカウントにあった運用のやり方を探っていくプロセスがとても重要です。むやみにクオリティにこだわるよりも継続的な運用を重視しましょう。
◉失敗例③運用の方向性が迷走する
SNSの運用は、アカウントの方向性を守ることがとても重要です。
失敗例②に近いですが、成果を焦って方向性の切り替えを連発し、コンセプトのよくわからないアカウントになってしまうのもよくある失敗パターンです。
どんな方向性を試してみても、運用初期に一つの投稿でわかりやすい効果が発揮されることはなかなかありません。
まずは運用開始前のコンセプト設計を細かく行い、決めた方向性に則って腰を据えて取り組みましょう。そうすれば長期的な成果に高い確率でつながります。
■SNSの炎上を防ぐ対応策4選
SNS運用において、炎上を気にする方は多いかもしれません。
企業のSNS活用が普及するにあたって、炎上してしまった事例も多く聞かれるようになりました。
そこで以下に、SNSの炎上を防ぐための対応策を紹介します。
◉炎上防止策①投稿ガイドラインの策定
SNS運用を始める前に、社内でSNSマニュアルを策定しましょう。
このマニュアルには、発信内容のチェックや、危険な発言を行わないようにするためのガイドラインなどが含まれています。
ガイドラインを設定する際には、ぜひSNS慣れした若いスタッフの力を借りてください。普段からSNSに慣れ親しんだ人間であれば、それぞれのSNSにおけるマナーを感覚で理解しています。
若いスタッフにたたき台をつくってもらったうえで、広報やリスク管理担当などプロの目で見てブラッシュアップする進め方がおすすめです。
◉炎上防止策②対応ガイドラインの共有
もしも炎上騒ぎが起こってしまった場合には、迅速かつ的確な対応が必要です。SNS上でのトラブルの拡散を防ぐために、炎上した場合には速やかに謝罪し、原因究明を行いましょう。
ただし、SNS運用に慣れていない企業が担当者任せにする体制は危険です。機転をきかせたつもりが火に油を注いでしまう可能性もあります。
投稿物だけでなく、炎上懸念がある場合の対応についても社内でガイドラインを設定し、フローを明確にするのがおすすめです。
弁護士やPR会社などの外部専門家にリアルタイムで相談できる体制を構築しておくのも効果的でしょう。
◉炎上防止策③投稿監視体制の整備
SNS上でのトラブルを未然に防ぐためには、定期的にSNSのコンテンツを監視し、問題のあるコメントや投稿に対して迅速に対応することが必要です。
また、不適切なコメントや投稿があった場合には、速やかに削除し、投稿者に対して注意喚起を行う必要があります。
投稿の監視には、「上司が毎日11時にチェック」「広報が朝礼でチェック」など、担当者ではなく第三者的な目線でチェックを入れる決まりごとを作っておきましょう。
社内リソース的に難しければアルバイト数人でチェックする体制でも、一般的な目線による第三者チェックは入れられます。
さらに、SNSコンテンツの監視を効率化するために、ソーシャルリスニングツールの活用もおすすめします。
Meltwaterのソーシャルリスニングツールは、SNSの投稿をリアルタイムで一元的に分析できるため、炎上の火種となりうる投稿の把握に役立ちます。
◉炎上防止策④炎上事例の社内共有
SNSの炎上を防ぐのにもっとも大事なのは、抽象的ながら社内のリテラシーです。
関係者の知識を増やし教育をしていくのが、時間はかかりますが炎上を防ぐために最も有効な施策です。
そこで、日々SNS上の炎上情報をウォッチし、社内で定期的に共有、ポイントを話し合う機会を設けましょう。
特に自社と業種や運用目的の近いアカウントが炎上してしまった事例は、貴重な学習材料になります。
■SNS運用で一番大切なポイントとは?
ここまで、SNS運用のノウハウについて述べてきました。
では、SNS運用において最も大事なポイントとは、なんなのでしょうか?
それは、「投稿コンテンツ」です。
他アカウントとのコミュニケーションや、広告・キャンペーンとの併用もビジネスで成果を出すためには有効ですが、これらは要領がわかれば競合他社でも実行可能です。
しかし、自アカウントならではの良質な投稿は、決して差別化のできないコンテンツになります。良質なコンテンツでフォロワーを獲得すれば、ファン顧客という得がたい財産になるでしょう。
濃いファンを直接自社の側から取りにいけるのは、企業のSNS運用がもつ最大の魅力だといえます。
いわば雑誌などのメディア編集者になったつもりで、ユーザーにとって価値のあるコンテンツを定期的に発信するのが、SNS運用の極意です。
■外注の運用パートナーは入れるべきか
SNS運用を外注化するかどうかは、企業の状況や目的によって異なります。
外注するメリットとしては、運用に必要な人材をスピーディに確保できることや、専門的なノウハウを持った運用パートナーを活用できることが挙げられます。
一つの考え方として、「人手が足りない」「アカウントを育てるのにそこまで長い期間をかけられない」という課題がある場合、外注を検討することがおすすめです。
ここまで述べたように、SNS運用をきちんとやると担当者にも組織にも意外に手間がかかります。
社員一人がほとんど張り付きになっている会社も多いです。
そうなると、人件費的にSNS運用会社に頼んだほうが安くつく場合も考えられます。
また、外注先は当然ノウハウを持っているため、プロの運用によって最短経路でアカウントを育ててくれるのは大きなポイントでしょう。特に投稿コンテンツの企画は、一般企業のリソースではなかなか難しい場合も多いです。
ゼロの状態から探り探りでSNS運用をスタートすると、継続できても成果が出るのは数年後といったケースが少なくありません。その時間を短縮して成果を確実にする選択肢として、外注を活用するのはおすすめです。
■SNS運用に関するおすすめ書籍4選
最後に、企業のSNS運用者にとって役に立つおすすめ書籍を4冊、紹介しましょう。
◉『平均4.2カ月で1万フォロワーを実現する プロ目線のインスタ運用法』石川侑輝 (著)
アカウントの設定方法からフォロワーが増えやすいプロフィールの書き方、投稿内容の考え方などわかりやすくまとまった一冊。2022年7月出版と比較的、新しいのもポイントです。
SNS界隈は非常に変化の激しい業界なので、なるべく新しくて売れている本から情報収集するのがコツです。
◉『世界一やさしい Twitter集客・運用の教科書 1年生』岳野めぐみ (著)
Twitter(現X)のビジネス活用についての書籍です。
Twitterは日本で浸透した歴史が古く、多くのユーザーを獲得しています。基本的に短文を投稿するのみのシンプルな仕様ですが、ビジネスに繋げるのにはちょっとしたノウハウが必要です。
本書なら、Twitterで集客したい方の入門書としておすすめです。
◉『LinkedIn(リンクトイン)活用大全 情報発信、起業、転職、人脈…ビジネスで一番使えるSNS』松本 淳 (著)
まだ日本にはほとんどない、LinkedInのビジネス活用についての書籍です。
実際にLinkedInを数多くのビジネスに繋げたLinkedInインフルエンサーによる執筆で、LinkedInの基本知識からアカウント設定の方法まで具体的に述べられています。
これからLinkedInを始める方にはぜひ読んでほしい一冊です。
◉『【超完全版】YouTube大全 6ヶ月でチャンネル登録者数を10万人にする方法』小山 竜央 (著)
今回のコラムで個別には扱いませんでしたが、YouTubeもコンテンツによって視聴回数やチャンネル登録を増やすという意味では、運用の性質がSNSにとても近いツールです。
こちらの書籍では、実際に10万登録を超えるチャンネルを多数作り出してきたマーケターがYouTube運用を徹底的に解説しています。
特にユーザー受けするコンテンツの考え方は本質的で、YouTubeだけでなく他のSNSやコラム記事などあらゆる媒体にノウハウを転用できます。
■まとめ
以上、ビジネスに繋がるSNS運用について述べました。
ビジネスコミュニケーションにおけるSNSの重要性が高まっている昨今、とにかくやらなきゃ!と考える企業は多いです。
ただし、SNS活用はやり方次第な部分がとても多いです。
それぞれのSNSの特徴を理解し、運用の方針をしっかりと定め、戦略的なSNS運用をスタートさせましょう。
ゴーストライターとは、著者に代わって書籍を執筆するライターのことです。著者へのインタビューや取材を通じて発信したいメッセージを正しく把握し、読者へ向けてわかりやすい文章を書いてくれます。
ビジネス書では、ゴーストライターに近い役割として「ブックライター」と呼ばれる執筆者が担当することが一般的です。ブックライターは、ビジネス書の執筆において当たり前の存在となっています。実際にビジネス書では、多くの著者がブックライターを活用しています。
ブックライターは、忙しい著者に代わり「メッセージをわかりやすく世間に発信する」という重要な役割を担う存在です。
著者自身の本業に集中しながら書籍を出版したいのであれば、積極的にゴーストライター(ブックライター)を活用することがおすすめです。
今回は、ゴーストライターの意味やビジネス書の執筆で活用すべき理由、ハイクオリティな原稿を書いてもらうためのコツなどを解説します。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
◉ゴーストライターとは?
ゴーストライターとは、著者に代わって書籍の執筆を行う人物のことです。著者へのインタビューや取材などを通じ、本人の主張や考え、価値観を把握したうえで、読者がスムーズに理解できるようわかりやすい文章でまとめていきます。
また、書籍だけでなく、作曲など別ジャンルでゴーストライターという言葉が使われることもあります。
◉ゴーストライター自体は決して悪ではない!
もしかすると、ゴーストライターに対して「悪いもの」というイメージを持つ方がいるかもしれません。
しかし名称こそ違いますが、上記で解説したようにゴーストライターは、著者の代理として本人の主張をわかりやすく噛み砕き、世間へ発信する役割を持っています。とくに、著者本人が「自分の知識をわかりやすく伝える自信がない」と考えている場合、理解しやすい文章を書けるゴーストライターは大いに力を発揮する存在です。
このように、著者の主張を世間にわかりやすく伝える力を持ったゴーストライターが「悪いもの」ということは、決してありません。
◉-1、ただし「ゴーストライターを使うべきでないケース」も存在するのは事実
ただし、小説・詩・曲など「制作者自身の独創性」が重要な作品では、ゴーストライターを使うべきではありません。
小説の世界観や言葉遣い、曲のメロディラインなどは、制作者の感性によって作られることが一般的です。読者やファンも「制作者自身が創作した作品」に対して価値を感じています。
それにも関わらず、ゴーストライターが小説を書いたり曲を作ったりしてしまうと、もはや「制作者本人による作品」とは呼べません。ファンとしても裏切られた気分になるでしょう。
このように、著者による創作性が高い分野については、ゴーストライターを使うべきではありません。
◉ビジネス書の執筆ではむしろゴーストライターを活用すべき!その理由は?
小説や詩などの分野ではゴーストライターを使うべきではありません。しかし、ビジネス書や実用書などでは、むしろゴーストライター(ブックライター)を活用することが当たり前になっています。
具体的な理由は、以下の3つです。
- 著者が多忙で執筆に時間を割けないため
- 著者が本業に注力するため
- 「文章を書くプロ」に任せたほうがクオリティの高い書籍を作れるため
◉-1、著者が多忙で執筆に時間を割けないため
ビジネス書や実用書は、経営者などの多忙な人物が著者となることが一般的です。そのため本業が忙しく、なかなか執筆に時間を取れないことも珍しくありません。
執筆に時間を取れなければ、文章の構成をブラッシュアップしたり誤字脱字を入念にチェックしたりなど「質を高めるための作業」にリソースを割けず、書籍のクオリティが下がるリスクがあります。もし、内容に間違いがあったり日本語的におかしい部分が多かったりすると、著者の信頼性にも関わるでしょう。また、原稿が進まず納期に遅れる可能性もあります。
ブックライターを活用できれば、多忙な著者でもハイクオリティな書籍を出版することが可能です。
◉-2、著者が本業に注力するため
書籍は平均して「200〜300ページ・7万〜10万文字」というボリュームで文章を書きます。そのため、自分で執筆すると大幅に時間を取られてしまいます。とくに、著者自身に本業がある以上、執筆に時間を使い過ぎるわけにもいきません。
確かに、長期的な視点で「自社のブランディングを強化したい」「認知度を高めて売上アップにつなげたい」といった目的を達成したいなら、書籍は執筆すべきです。とはいえ、著者本来の仕事に支障が出ることは避けなければなりません。
ブックライターを活用すれば、執筆に関わる作業はほぼ丸投げできるため、著者は本業に注力できます。日々の業務をこなしながら、長期的な施策である書籍の制作にも取り組めるのは、ブックライターを活用するからこそできることです。
◉-3、「文章を書くプロ」に任せたほうがクオリティの高い書籍を作れるため
基本的に著者は、特定ジャンルの専門家ではありますが「文章を書くプロ」ではありません。
ターゲットにもよりますが、基本的に書籍は、専門知識を持たない人でも理解できるよう「わかりやすく・噛み砕いて」まとめる必要があります。もし、執筆に慣れていない著者が無理に文章を書くと、読みにくい書籍が完成するかもしれません。せっかく役立つ知識を持っているのに、執筆に慣れていないことが原因で読者へ正しく伝えられないのはもったいないです。
文章のプロであるブックライターなら、著者の主張を理解して噛み砕き、読者の視点に合わせてわかりやすくまとめられます。執筆のプロであれば修正回数も少なく済むため、結果的にハイクオリティな書籍をスピーディーに仕上げられるでしょう。
◉出版業界では「ゴーストライター(ブックライター)」が著者の代理で執筆するケースが当たり前!
このようにビジネス書においては、忙しい著者に代わりハイクオリティな原稿を執筆できるゴーストライターによる執筆が当たり前になっています。出版業界では「ブックライター」と呼ばれるほどスタンダードな存在です。実際に弊社が書籍の出版を請け負う中でも、ビジネス書ではほとんどの著者がブックライターに執筆を任せています。
とはいえ、出版を検討する中で「文章なら自分でも書けるのでは?」と考える人もいるでしょう。確かに「文章を書く」という行為は、ほとんどの人が日常的に行っています。
しかし、実は「日頃から何気なく書いている文章」と「書籍を書く文章」では、必要なスキルが違います。そのため、文章表現のプロであるブックライターに依頼したほうが、著者にとっても大きなプラスとなるのです。
具体的な理由を確認していきましょう。
◉-1、文章表現のプロであるブックライターに依頼したほうが著者にとってもプラス
基本的にビジネス書は、以下のような目的の達成に向けて出版するものです。
- 商品購入につなげたい
- 問い合わせを増やしたい
- 採用の応募者数を増やしたい
- 自社のブランディングを強化したい
目的を達成するには、自社の知識や考え方などを「わかりやすく・想定読者が理解できる形で」まとめることが必須です。
しかし、執筆に不慣れな専門家が文章を書くと、つい専門用語を使ってしまい、知識を持たない読者では理解できないことも多いでしょう。
一方でブックライターなら、対象読者の理解度に合わせ、専門的な話を順序立てて噛み砕いて説明できます。そして、結果的に自社のメッセージがターゲットへスムーズに伝わり、目的も達成しやすくなるのです。
とくにブックマーケティングでは、書籍の出版を通じて上記のような目的を達成することがメインとなるため、なおさらブックライターに依頼したほうがよいでしょう。
▶︎ブックマーケティングについては、関連記事【ブックマーケティングとは?効果的な戦略】もあわせて参考にしてください。
◉ブックライターにハイクオリティな原稿を書いてもらうためのポイント!
このようにビジネス書を執筆する際は、ブックライターに任せたほうが安心です。
もちろん「ブックライターに丸投げしたらOK」というわけではありません。ブックライターに高品質な原稿を制作してもらうには、以下のポイントを押さえて依頼することが大切です。
- 書籍を出版する目的を明確化しておく
- 取材やインタビューへ丁寧に回答する
- 伝えたいメッセージを事前に洗い出しておく
◉-1、書籍を出版する目的を明確化しておく
以下のように、書籍の出版目的を明確化しておきましょう。
- 自社のブランディングにつなげたい
- 採用活動に使いたい
- 問い合わせ数を増やしたい
- 信頼性を高めて商談の成約率を改善したい
こうした書籍の出版目的に応じて、執筆すべきコンテンツも変わります。例えば「ブランディングにつなげたい」という目的であれば、自社の理念やサービスのコンセプト、哲学などを深掘りした内容がメインになるでしょう。
ブックライターとしても、出版目的を明確化しているほうが、最初の著者へのヒアリング時に「どこを質問して深掘りすべきか?」を的確に判断できます。
◉-2、取材やインタビューへ丁寧に回答する
ブックライターに依頼する場合は、書籍の執筆前に取材やインタビューが行われるため、丁寧に回答しましょう。質問へしっかりと回答することで、ブックライターも執筆に必要な情報を集めやすくなり、結果的に著者の意向を反映した高品質な原稿を制作しやすくなります。
◉-3、伝えたいメッセージを事前に洗い出しておく
「書籍を通じ伝えたいメッセージ」を洗い出しておくことも大切です。ビジネス書であれば、例えば「投資に関する知識を知ってもらいお金で困る人を減らしたい」「◯◯業界で利益を最大化する方法を広めて赤字続きの会社を救いたい」などが挙げられるでしょう。
目的と合わせメッセージも明確化することで、ブックライターや出版社と書籍のイメージをより正しく共有し、スムーズな執筆を実現できます。
また、メッセージと合わせて「原稿の完成イメージ」もブックライターに伝えると、さらに書きやすくなるでしょう。具体的には、参考書籍を提示して「この本の◯◯と同じように表現したい」などと伝えることがおすすめです。
◉まとめ
この記事では、ゴーストライターの意味や出版業界における呼び方、ビジネス書の執筆で活用すべき理由などを解説しました。
ゴーストライターとは、著者の代理として書籍を執筆する人のことです。著者への取材やヒアリングを行って主張や考え方を把握し、わかりやすい文章でまとめる役割を持ちます。
このゴーストライターは、出版業界では「ブックライター」と呼ばれています。ビジネス書や実用書の執筆では、今やブックライターに執筆してもらうことが当たり前です。文章執筆のプロであるブックライターに任せることで、著者は本業に集中しつつ、高品質な原稿を制作してもらうことができます。
とくにブックライターは、読者の理解度に合わせて「専門知識をわかりやすくまとめること」のプロです。そのため、著者の主張がより明確に読者へ伝わり、ブックマーケティングにおける「自社のブランディングにつなげたい」「採用活動に使いたい」といった目的を達成しやすくなるでしょう。
ブックマーケティングの成功確率を高めたいのであれば、ブックライターの活用に加えて「出版後のマーケティング戦略を設計する」「書店に置いてもらえるよう営業を行う」といった施策も重要です。
弊社が提供するブックマーケティングサービスでは、上記のようなサポートを含め、書籍がターゲットの手元に届くまで責任を持ってお手伝いいたします。書籍の執筆経験が豊富なブックライターも在籍しているため、書籍の出版によるマーケティングを考えている方は、まずお気軽にお問い合わせください。
ブランディング戦略とは、自社ブランドや商品、サービスのイメージを市場へ浸透させるために行う戦略のことです。ブランディング戦略を行い、競合との差別化や世間からの認知度アップなどを実現できれば、競争相手が多い業界でも顧客から選ばれる確率が上がります。
ブランディング戦略の手法としては、ロゴの設計やイベントの実施、ブックマーケティングの活用など、さまざまなものが挙げられます。とくにブックマーケティングは、書籍を出版したことが差別化につながるうえ、充実した情報を発信して読者からの信頼を獲得できるためおすすめです。
今回は、ブランディング戦略の概要や実行のステップ、具体的な手法などを解説します。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
◉ブランディング戦略とは?
ブランディング戦略とは、「自社をどのようなイメージで認知させたいか?」という方向性を定めて、世間に浸透させる戦略のことです。自社独自の強みや価値観などを一貫して明確に伝えることで、顧客からの信頼性や安心感を獲得し、長期的な関係を構築できます。
とくに中小企業は、まだ社名や商品、サービスが世に知られていないため、ブランディング戦略を実行し顧客からの認知度を高める重要性は大きいでしょう。
◉ビジネスでブランディング戦略が重要な理由
ビジネスでブランディング戦略が重要な理由は下記の4つです。
- 自社のポジショニングを明確化して競合との差別化を図れる
- ブランドの認知度を向上できる
- 顧客からのリピート率を高められる
- 商品開発やマーケティング施策などを行う際の方向性で迷わない
◉-1、自社のポジショニングを明確化して競合との差別化を図れる
ポジショニングとは、業界や市場内における「自社の立ち位置」のことです。ブランディング戦略を通じ価値観やメッセージなどを浸透させることで、自社の立ち位置が明確になり、競合との差別化につなげられます。
現在では、多くの業界でさまざまな商品やサービスが開発されています。そうした状況下で自社が選ばれるには、差別化を図り「この会社の商品だから買いたい」と顧客に感じてもらうことが必須です。自社ならではの価値があることで、価格競争を回避しながら顧客から選ばれやすくなります。
◉-2、ブランドの認知度を向上できる
ブランドの認知度が高いほど、顧客は商品やサービスに対して安心感を抱くため、自社を選んでもらえる確率が高まります。
また、認知度が高ければ、似たような機能や価格帯の商品があったとしても、「安心できる」「信頼できる」といった理由で自社を選んでもらいやすくなるでしょう。「安心感や信頼があれば競合より多少高くても購入されやすくなる」というのは、ブランディング戦略の魅力です。
◉-3、顧客からのリピート率を高められる
上記のような差別化や認知度アップに成功することで、顧客は自社商品やサービスの魅力を十分に理解してくれます。自社の魅力を知って信頼感や愛着を抱きリピーターになってくれれば、自発的に商品やサービスを購入してくれるでしょう。リピーターが増えれば、新規顧客の獲得コストを投下しなくても売上を伸ばせるため、会社にとっては理想の状態になります。
また、リピーターであれば、自社が新しいブランドを展開した際も購入してくれる可能性があります。そのため、積極的に新規事業へ乗り出しやすくなるでしょう。
◉-4、商品開発やマーケティング施策などを行う際の方向性で迷わない
ブランディング戦略によって自社が目指す方向性を明確にすることで、商品開発やマーケティング戦略の設計などを行う際に、以下のような点を正しく判断できます。
- 自社のメッセージと一致した商品を開発できているか?
- ブランド価値を損ねないマーケティング施策を考えられているか?
- 自社の世界観を表現するロゴマークを作れているか?
顧客からしても、商品や戦略の内容などがブランドイメージと一貫している会社であるほど信頼できるでしょう。
◉ブランディング戦略を実行するための5ステップ
ここからは、実際にブランディング戦略を実行するための5ステップを紹介します。
- 自社の現状を分析して課題を洗い出す
- 自社ブランドの価値を洗い出す
- ブランドの価値が刺さるペルソナを設定する
- 市場内における自社のポジションを定める
- ブランドに沿った一貫性のあるメッセージ発信や戦略を実行する
◉-1、自社の現状を分析して課題を洗い出す
最初に自社の現状を把握したうえで課題を抽出しましょう。具体的に以下のような点を洗い出します。
- 市場における自社ブランドの立ち位置は?
- ブランドの認知度は?
- 現状で競合にどんな差をつけられている?
- 顧客に信用してもらうための課題は?
上記のようなポイントを丁寧に洗い出すことで、「ブランディング戦略で達成したい目的」が明らかになり、今後のステップで戦略の方向性を正しく考えられるようになります。
現状分析や課題の洗い出しの際は、さまざまな部門や現場の従業員、ユーザー、取引先などへヒアリングを行うこともおすすめです。
◉-2、自社ブランドの価値を洗い出す
続いて、以下のような自社ブランドの価値をしっかりと洗い出します。
- 競合にはない差別化ポイント
- 自社のミッション・哲学・理念
- サービスのコンセプト
- 実現したい世界観
- キーメッセージ
ブランドの価値を把握することで、ブランディング戦略で押し出すポイントが明らかになり、顧客へ自社の魅力を伝えやすくなります。
◉-3、ブランドの価値が刺さるペルソナを設定する
ここまで抽出した課題や自社ブランドの価値を踏まえて、アプローチすべきペルソナを設定しましょう。他にも「自社の優良顧客の特徴」「現場で顧客と接している従業員からのヒアリング内容」といった情報も踏まえることで、適切なペルソナを設定できます。
ペルソナについては、単純な顧客の属性(居住地域・家族構成・性別・年代など)だけではなく、以下のような情報まで細かく考えることが大切です。
- 顧客の悩み
- 普段の行動パターン
- 日常の過ごし方
- 趣味嗜好
- 価値観
- 感情が動く瞬間
「自社の強みを発揮して一番価値を提供できる顧客層」をペルソナに設定するとよいでしょう。
◉-4、市場内における自社のポジションを定める
ここまで分析した自社ブランドの価値やペルソナなどを踏まえて、市場における自社ブランドのポジションを決めましょう。競合には真似できない差別化ポイントや自社の魅力などをもとに決めることが重要です。
具体的なポジションの例としては、以下が挙げられます。
- 独自の機能を搭載している
- 手厚いサポートを提供している
- 自社ならではの素材を使って高品質な商品を作っている
◉-5、ブランドに沿った一貫性のあるメッセージ発信や戦略を実行する
最後に、ブランドイメージを守るために以下のような施策を実行しましょう。
- SNSでのメッセージ発信
- キャッチコピーの策定
- ブランドイメージにマッチした媒体での広告配信
- オウンドメディアにおけるキーメッセージの発信
- ブランドカラーに合わせたWebサイトの改修
- 自社の強みを押し出した商品開発
- 世界観を表現したブランドロゴの制作
このように、メッセージ発信媒体やロゴのデザイン、Webサイトのカラーなど、さまざまな面でブランドイメージを意識することで、一貫した企業メッセージを顧客へ伝えられます。
また、全社でブランディング戦略のイメージを共有し、部門を超えて統一したブランド価値を発信することで、より効率的に市場での認知度を高められるでしょう。
◉ブランディング戦略で活用できる具体的な手法の例
ブランディング戦略で活用できる手法の例として、以下の3つが挙げられます。
- イメージキャラクター
- SNS
- ブックマーケティング
イメージキャラクターは顧客の記憶に残りやすいため、視覚的に自社ブランドを伝えて認知度を高める手段として有効です。有名なイメージキャラクターとして、不二家のペコちゃんやヤンマーのヤン坊・マー坊、くまモンなどが挙げられます。
SNSについては、X(旧Twitter)やInstagram、TikTokなどを活用しましょう。SNSでのブランディングを成功させるには、顧客ニーズに寄り添った発信やフォロワーとのコミュニケーションを意識することが重要です。例えば「代表者が事業への想いを語る」「著名人とのコラボ企画を行う」などが挙げられます。
また、ブランディング戦略の手法として「ブックマーケティング」も有効です。ブックマーケティングとは、自社の情報や専門知識を書籍として出版し、著者のブランディングの一環として活用する手法です。書籍であれば、自社の理念やストーリー、商品の開発秘話など、ブランディング戦略に関わるコンテンツを十分に盛り込めます。
▶︎上記も含め、ブランディング戦略で活用できる具体的な手法は、関連記事【企業ブランディングとは?重要性を解説】もあわせて参考にしてください。
◉ブックマーケティングがブランディングに有効な理由
ブランディング戦略で活用できる具体的な手法をいくつか紹介しましたが、中でもとくに「ブックマーケティング」がおすすめです。具体的なおすすめの理由は以下の通りです。
- 書籍を通じて信頼性をアピールできる
- 「書籍を出版する」ということが業界内でのポジショニングにつながる
- 広告やSNSなどと異なり長期的に情報を発信できる
- 自社のコンセプトやメッセージを深掘りして伝えられる
◉-1、書籍を通じて信頼性をアピールできる
書籍はWeb広告やコラム記事などと異なり、平均して「200ページ・7万〜10万文字」というボリュームで情報を伝えられます。大量の情報を込められるため、ブランディングに関わる哲学や理念、コンセプトなどを丁寧にわかりやすくまとめることが可能です。
自社のブランドについて丁寧に説明できれば、読者の納得度を高めて最終的な会社への信頼性につなげられるでしょう。
また、書籍の出版は時間と費用がかかるため、競合も手を出しにくい領域です。そのため、ブックマーケティングを活用するだけでも、「この企業は本を出版できるほど信頼性が高い会社である」と認識してもらえます。
◉-2、「書籍を出版する」ということが業界内でのポジショニングにつながる
上記で解説したように、書籍を出版するには以下のような手間がかかるため、競合も気軽には参入できません。
- 書籍の内容に間違いがないか入念にチェックする
- 自社ブランドを表現できるデザインであるかチェックする
- Web広告などを絡めたマーケティング戦略を設計する
また、プロモーションや認知度促進につながる施策に注力するのであれば、500万〜1,000万円程度の費用も必要です。このように、書籍を出版するハードルが高いため「本を出す」という行為自体が、業界内における自社のポジショニングにつながります。
◉-3、広告やSNSなどと異なり長期的に情報を発信できる
広告やSNSは情報発信の手段として有効です。しかし、広告は「出稿期間が設けられている」、SNSは「タイムラインですぐ流れやすい」といった特徴があるため、一定期間を過ぎるとターゲットへ届きにくくなります。
一方で書籍は、購入者の手元に残り何度も見返してもらえるため、長期的に情報を発信可能です。また、「セミナー参加者へ配布する」「SNSのプレゼントキャンペーンに利用する」といった二次活用もできます。こうした二次活用を通じて、自社のブランド価値をどんどん浸透させられる点も書籍の魅力です。
◉-4、自社のコンセプトやメッセージを深掘りして伝えられる
上記で解説したように、書籍はWeb広告やコラム記事などより圧倒的な情報量を込めることができます。この豊富な情報量の中で、自社のコンセプトや哲学、キーメッセージ、理念などを深掘りすることで、より効率的にブランド価値を伝えられるでしょう。
▶︎ブックマーケティングについては、関連記事【ブックマーケティングとは?効果的な戦略】もあわせて参考にしてください。
◉ブランディング戦略を成功させるためのコツ
ブランディング戦略を成功させるには、以下4つのコツを意識しましょう。
- ペルソナを明確に決める
- デザインやマーケティング戦略などでもブランドイメージを一貫させる
- ブランディングの方向性を社内で十分に周知する
- 定期的にブランディング戦略の方向を振り返って改善する
◉-1、ペルソナを明確に決める
自社のブランド価値を伝える相手を決めるために、最初に明確なペルソナを定めましょう。ペルソナを明確に定めることで、ブランディング戦略を考える際に「発信するメッセージ内容」「ペルソナに合わせたブランドのアピール方法」などを正しい方向性で決められます。
また、上記で解説したように、ペルソナは以下のように「実際のターゲットが目の前にいるイメージ」を持てるまで細かく設定しましょう。
- 基本的な顧客属性(居住地域・家族構成・性別・年代など)
- 顧客の悩み
- 普段の行動パターン
- 日常の過ごし方
- 趣味嗜好
- 価値観
- 感情が動く瞬間
◉-2、デザインやマーケティング戦略などでもブランドイメージを一貫させる
ブランディング戦略を効果的に進めるには、以下のようにさまざまな場面で一貫したブランドイメージを伝えることが重要です。
- SNSでのメッセージ発信
- キャッチコピーの策定
- ブランドイメージにマッチした媒体での広告配信
- オウンドメディアにおけるキーメッセージの発信
- ブランドカラーに合わせたWebサイトの改修
- 自社の強みを押し出した商品開発
- 世界観を表現したブランドロゴの制作
上記のように、細かい部分までブランドイメージを一貫させることで、顧客に「◯◯といえばこの会社だ」と直感的に思ってもらえるようになります。
◉-3、ブランディングの方向性を社内で十分に周知する
ブランディング戦略の方向性に関する認識が揃っていないと、社内で「ブランド価値を浸透させるための取り組み」を統一できません。部署や部門ごとで認識が異なると、例えば「広報が考えたCM案がブランドイメージに沿っていない」といった事態が起こります。
部署や部門が変わっても、全社員が「今から行うアクションはブランディングに沿っているか?」という視点で考えられるよう、社内でブランディング戦略の方向性を統一しましょう。
こうした細かい部分までブランディングが徹底されていれば、顧客からのイメージも統一されやすいです。
◉-4、定期的にブランディング戦略の方向を振り返って改善する
ブランディング戦略の施策は、最初から成功するとは限りません。「思ったより売上が変わらない」「ブランドイメージを変えたら顧客が離れた」といった問題が起きることもあります。
そのため、顧客の声や実際の売上などを踏まえて、定期的にブランディング戦略の成果を振り返りましょう。「結果をチェックして失敗原因を考える→新たな仮説を設定する→仮説に沿って戦略を進める→再度成果をチェックする」というサイクルを繰り返すことで、効果的に改善できます。
◉まとめ
この記事ではブランディング戦略の重要性や実行のステップ、具体的な手法、成功させるコツなどについて解説しました。
ブランディング戦略は、会社の認知度を高めるうえで重要な施策のひとつです。自社の独自性やコンセプトなどの「ブランド価値」を洗い出し、市場内のポジションを定めることで、競合との差別化を図り顧客から選ばれる可能性を高められます。
実際にブランディング戦略を立てる際は、以下5つのステップを踏まえましょう。
- 自社の現状を分析して課題を洗い出す
- 自社ブランドの価値を洗い出す
- ブランドの価値が刺さるペルソナを設定する
- 市場内における自社のポジションを定める
- ブランドに沿った一貫性のあるメッセージ発信や戦略を実行する
上記のステップを踏まえつつ、イメージキャラクターの展開やSNS運用、ブックマーケティングなどの手法を活用することで、効率的にブランディング戦略を進められます。
とくにブックマーケティングについては、書籍を通じて自社のメッセージを惜しみなく伝えられるため、ブランディング戦略を進める手法としておすすめです。「書籍を出版する」という行為自体が差別化ポイントになりうるため、業界内で独自のポジションを築きたい会社は活用しましょう。
弊社では「ブランディングのために書籍を出版したい」というケースも含めて、ブックマーケティングを行いたい方を手厚くサポートします。伝えたいメッセージを入念にヒアリングし書籍としてまとめるだけでなく、確実にターゲットの手元へ届けられるよう「Web広告と組み合わせたマーケティング施策の立案」「書店に並べてもらうための営業活動」なども実行するため、よりスムーズにブランディング戦略を進められるでしょう。
書籍の出版を活用して自社のブランディングを促進したい方は、まずはお気軽にお問い合わせください。
本の出版費用は「出版方法の種類」に応じて異なり、安く抑えたいのであれば、自費出版や商業出版が最適です。一方で、あまり安く抑えすぎると、企業ブランディングの一環で出版する際に「書籍経由で問い合わせを増やしたい」「商品の売上を伸ばしたい」といった目的を達成しにくくなるため注意しましょう。
書籍の出版で成果を出すためには、「必要な部分にはしっかり費用を投下する」といった決断が重要です。
今回は、本の出版費用の相場や項目別の目安、成果を出すために意識すべき「出版社の選び方」を解説します。
目次【本記事の内容】
執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)
福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経済法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を担当し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。 |
◉本の出版費用は「出版の種類」に応じて異なる
本の出版費用は「出版の種類」に応じて異なります。具体的な種類は以下の3つです。
- 自費出版
- 商業出版
- 企業出版(ブックマーケティング)
◉-1、自費出版
自費出版とは、著者が出版費用を全額負担し、自ら書籍を制作する方法です。著者自身で文章やデザイン、印刷部数などを自由に決定できるため、オリジナリティのある作品に仕上げられます。販売する際は、著者自身がプロモーション施策を決めて実行することが多いです。
費用は「250万〜600万円程度」が目安です。この費用には、デザインや編集、印刷、流通などのコストも含まれており、印刷部数や仕様に応じて増減します。
▶自費出版に関しては、関連記事【自費出版とは?メリットやデメリット、費用相場、成功事例などを解説】も合わせて参考にしてください。
◉-2、商業出版
商業出版とは、出版社が書籍の企画を担当し、著者に経済的な負担をかけず出版する方法です。著者は基本的に「費用負担なし」で出版できます。
ただし、出版社が費用を負担する分、自費出版と異なり著者の好きなように執筆できるわけではありません。また、出版自体のハードルも高く、「企画が市場のニーズに合っているか?」「著者に一定の影響力があるか?」などをクリアした場合に出版できます。
企画が採用されれば、出版社の流通網やマーケティング戦略を活用できるため、広い読者層へアプローチが可能です。
▶商業出版については、関連記事【商業出版とは?企業がブランディングを考えたときの出版の選択肢】もあわせて参考にしてください。
◉-3、企業出版(ブックマーケティング)
企業出版(ブックマーケティング)とは、書籍の出版を活用したマーケティング手法のことです。独自の知見や有益情報、商品・サービスなどを書籍にまとめて出版し、「会社のブランディング強化」「サービスへの集客」「認知度向上」といった自社の目的を達成するために行います。
自費出版や商業出版では「部数を伸ばすこと」がメインの目的です。一方で企業出版(ブックマーケティング)の場合、部数よりも「書籍を通じて自社の目的を達成できたか?」という点を重視します。
出版費用は「500万〜1,000万円程度」です。広告やプロモーション費用も含まれるためやや高額ですが、その分、ターゲットに届けるまでのマーケティング戦略を入念に設計してくれます。書籍を通じて達成したい目的がある企業であれば、積極的に活用すべきです。
▶企業出版については、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。
◉本の出版費用を決める主な項目
本の出版費用を決める主な項目は、以下の8つです。
- 企画費
- 原稿作成(ライティング・編集・構成)や撮影にかかる人件費
- 流通にかかわる費用
- デザイン費用
- 印刷代
- 本の保管費用
- 書籍の作り
- 出版社のクラス
具体的な金額の相場は、出版社の方針や値付け方法などで変動するため、実際に出版社へ問い合わせてみることがおすすめです。
◉-1、企画費
企画費とは、書籍の内容やテーマを定めるために必要な費用です。以下のように書籍の方向性を明確化する要素が含まれており、プロジェクトの成否を大きく左右します。
- 読者ターゲット
- ターゲットの市場
- 書籍タイトルやサブタイトル
- 帯のキャッチコピー案
- 類書の分析・調査内容
- 目次案(章立て)
- 著名人の推薦文
経験豊富なスタッフによる企画立案や著者へのインタビューなどで詳細なリサーチが求められる場合には、その分の費用がかかります。書籍の完成度を高め自社の目的を達成するためには、この企画費にどこまで注力できるかが重要です。
◉-2、原稿作成(ライティング・編集・校正)や撮影にかかる人件費
著者の主張を初心者でもわかりやすくまとめたり、自社の魅力を伝えたりするには、プロの「ライティング・編集・校正」技術を持った人材が不可欠です。また、本文や表紙などで写真を使うのであれば、カメラマンへの人件費も必要になります。
上記のようなライターやカメラマンといった「クリエイターへの委託費用」は、クリエイター自身のレベルが高いほど上がります。例えば「ベストセラー書籍に関わった実績を持つクリエイター」などへの依頼費は高くなりやすいです。
◉-3、流通に関わる費用
本を読者に届けるためには、書店で流通させるための手配が不可欠です。流通費には、例えば以下が挙げられます。
- 書店に書籍の配置を依頼するための営業費用
- ISBNコードの取得費
- 広告などを活用したマーケティング戦略の費用
- 書店に本を置く際の手数料
- オンラインショップに販売ページを作るための費用
- 出版後の倉庫管理料
安定した流通経路を確保することで、ターゲットの手元に届く可能性が高まります。とくにブックマーケティングの場合は、ターゲットの手元に届かなければ自社の目的達成が遠のくため、流通に関わる費用をいかに割けるかという点もポイントです。
◉-4、デザイン費用
デザイン費用とは、書籍の表紙やページレイアウト、帯などのデザインを整えるために必要なコストです。とくに表紙デザインは、読者への第一印象を決定づけるため重要なポイントです。
また、ページレイアウトは、読者の読みやすさや情報の伝わりやすさに関わるため、細部にわたって丁寧に設計することが求められます。
プロのデザイナーに依頼し、ターゲットにマッチした質の高いデザインを制作してもらえれば、書籍の販売促進効果が期待できるでしょう。
◉-5、印刷代
印刷費用は、書籍のサイズやページ数、発行部数、使用する紙の質、カラーの有無などによって変動します。
印刷については、「版」を作る際に大きな費用がかかります。しかし残りは同じ版を使えるため、「部数が2倍なので金額も2倍」とはならず、印刷数が多いほど単価は下がるでしょう。
ただし、だからといって安易に印刷部数を増やすことは避けましょう。印刷部数を増やしても、すべての書籍を必ず書店が受け入れてくれるわけではありません。需要と供給のバランスを考えないと、大量の在庫が残るため要注意です。
◉-6、本の保管費用
書籍を保管するには、在庫管理の費用が必要です。保管費用は書籍がある限り発生します。書籍がすぐ売り切れるとは限らないため、需要と供給のバランスをチェックしながら、常に最適な数の在庫を維持することが重要です。
保管する際は、しっかりとスペースを確保し、汚損や劣化を防ぎつつ必要なときに確実に出荷できる体制を整えることが求められます。
出版社の中には、出版物の保管用倉庫を契約しているケースもあるため、その倉庫を利用することがおすすめです。とくに「書籍を年間にいくつも出版している」「書店流通に力を入れている」といった出版社であれば、基本的に自社倉庫を保有しています。
◉-7、書籍の作り
テキストだけでなく、以下のように書籍の作りに凝った場合、費用は大きく変動します。
- イラストをふんだんに盛り込む
- 撮り下ろしの写真を本文中に差し込む
- ページレイアウトを雑誌のように凝る
- 著名人から帯コメントをもらう
とくに著名人とタイアップすると、謝礼金が発生するため別途で確認が必要です。
◉-8、出版社のクラス
出版社のクラスも費用を決めるポイントです。基本的には、実績豊富でブランド力がある会社ほど、出版費用も高めに設定されています。
この出版費用については、書籍のクオリティや実際の売れ行きとは関係なく設定されることが多いです。
◉出版費用以上のリターンを得るために!出版社を選ぶ際のポイント
出版費用以上のリターンを得るためには、以下のポイントを意識しましょう。
- 原稿作成前のターゲット設定やヒアリングなどを入念に行ってくれるかチェックする
- 流通戦略の設計までをサポートしてくれるかをチェックする
- 過去に出版した本が残した成果をチェックする
- スキルが高いクリエイターが在籍しているか
◉-1、原稿作成前のターゲット設定やヒアリングなどを入念に行ってくれるかチェックする
原稿作成に入る前に、出版社が「ターゲット設定や内容のヒアリングなどを丁寧に行ってくれるか?」という点を確認しましょう。ターゲット設定が曖昧なまま進めてしまうと、伝えたいメッセージがぼやけてしまい、期待する成果を得られない可能性があります。
とくにブックマーケティングの場合は、会社の目的を達成する手段として書籍の出版を活用しています。そのため、届けたいターゲット層や自社の主張などの詳細を丁寧にヒアリングしてもらうことが必須です。
ターゲットやコンテンツの詳細などを丁寧にヒアリングしてくれる出版社であれば、読者に響く内容を提供しやすくなり、結果として出版後の反響も大きくなるでしょう。
◉-2、流通戦略の設計までをサポートしてくれるかチェックする
出版後に読者へリーチするためには、的確な流通戦略の構築が不可欠です。流通戦略とは、書籍を「どの書店やオンラインショップに展開するか?」「どのようなプロモーションを行うか?」などを計画することを指します。
具体的な施策として、「ターゲットに合わせてWeb広告や新聞広告を活用して書籍の認知度を向上させる」「書店に営業を行い目立つ場所に書籍を並べてもらうよう交渉する」などが挙げられます。
読者の手元に書籍が届くよう設計してくれる出版社を選ぶことで、ターゲット層へ効果的にアプローチでき、出版による目的達成が期待できるでしょう。
◉-3、過去に出版した本が残した成果をチェックする
出版社を選ぶ際は、具体的に「どのような本を出版し・どの程度の成果を上げたか?」を確認することが重要です。出版を通じて「著者自身にどのようなビジネス上の成果を残せたのか?」がわかると、信頼できる出版社であるか判断できます。
具体的に「出版によって問い合わせ数が◯◯件増加した」「売上が前年比◯◯%アップを実現した」といった数値的な成果を挙げていれば、質の高いマーケティング戦略の設計や流通サポートを受けられると期待できるでしょう。
◉-4、スキルが高いクリエイターが在籍しているか?
出版を成功させるには、質の高いクリエイターによる制作が欠かせません。ライティング・デザイン・編集といった各プロセスで、高い専門性を誇るクリエイターが携わることで、自社の魅力がわかりやすく伝わる書籍を制作できます。
例えば、デザイナーであれば「ターゲット層に合わせたデザインを作れる」、編集者であれば「専門知識を持たない読者でも読めるように文章を磨き上げられる」といったイメージです。また、ブックマーケティングを行うのであれば「ブックライティング専門のライターが在籍している」という点も重要です。
とくに、ベストセラーや業界で話題となった書籍の制作に関わったスタッフがいる出版社であれば、目的にマッチした高品質な本を制作できるでしょう。
◉まとめ
この記事では、本の出版費用の目安や、会社が出版費用以上のリターンを得るためのポイントについて解説しました。
本の出版費用目安は、以下のように書籍の種類によって異なります。
- 自費出版:250万〜600万円程度
- 商業出版:基本的に費用負担なし
- 企業出版(ブックマーケティング):500万〜1,000万円程度
具体的な費用は、企画のクオリティやクリエイターの人件費、流通にかかわる費用などによって変動します。自社の目的に合わせて最適な出版方法を選び、適切な部分にコストを投下しましょう。
とくに、「問い合わせ増加につなげたい」「商品の売り上げ個数を伸ばしたい」などを目的にしてブックマーケティングを行う際は、必要な部分に惜しまず費用を投下する意識が重要です。適切に投資を行い、詳細なターゲット設定やメッセージの洗い出し、ハイスキルなクリエイターの採用などを行うことで、ターゲット層に確実に届く書籍を制作できます。
弊社が提供するブックマーケティングサービスでも、出版後にターゲットの手元に届くよう手厚いサポートを行っています。Web広告と絡めたマーケティング戦略の立案や書店に並べてもらうための営業活動も含め、幅広く支援可能です。
書籍の出版を活用したマーケティング戦略の設計を考えている場合は、まずお気軽にご相談ください。
富裕層向けのビジネスを展開する場合、「富裕層の特徴」を把握し特性にマッチしたアプローチを行うことが大切です。具体的な富裕層の特徴として「商品購入の検討に際して信頼関係を重要視する」というものが挙げられます。そのため、信頼を獲得しながらアプローチできる媒体の活用が不可欠です。
具体的なアプローチ方法としては、「富裕層向けの媒体を利用する」「特別感を醸成できるイベントを開催する」「書籍を出版する」などが挙げられます。とくに書籍は、1冊の本に大量の有益情報を書いて発信できるため、富裕層からの信頼を獲得するアプローチ方法として最適です。
今回は、富裕層にアプローチする具体的な方法や「ブックマーケティング」というおすすめの手法について解説します。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
◉富裕層へのアプローチを設計する際に押さえたい「富裕層の特徴」
富裕層への効果的なアプローチを考えるためには、まず富裕層の特徴を押さえる必要があります。以下の4つが富裕層の主な特徴です。
- 信頼性を重要視する
- 独自のネットワークを構築していることが多い
- 自分で情報をリサーチして取りに行く人が多い
- 「自分だけの特別感」を大切にする
◉-1、信頼性を重要視する
資産が多い富裕層には、外部から「この人の資産を利用しよう」という気持ちで近づいてくる人もいます。そのため富裕層は、外部からアプローチされた際「本当に信頼できる人物か?」ということを慎重に判断しがちです。
こうした背景もあり、富裕層は商品やサービスを選ぶ際も、価格より「ブランドの信頼性」を重視します。そのため、会社が富裕層と信頼関係を構築するには、長期的な目線で少しずつ距離を縮めることが大切です。
適切な距離感でコミュニケーションを取り徐々に信頼を獲得できれば、新規購入につながり最終的なリピーターにもなってくれるでしょう。
◉-2、独自のネットワークを構築していることが多い
富裕層は信頼関係を重視するため、独自の人脈とネットワークを形成しているケースもあります。信頼できる人物と協力して新たなビジネスに取り組むことも珍しくありません。
もし富裕層が商品やサービスを使って満足した場合、所属するネットワーク内で積極的におすすめしてくれる可能性があります。信頼関係がある富裕層の中で紹介されれば、「この人のおすすめなら利用してみよう」となり、新規顧客の獲得につながりやすいでしょう。
◉-3、自分で情報をリサーチして取りに行く人が多い
富裕層は商品やサービスを購入する際、自発的に情報をリサーチして「信用できるか?」「本当に自分に必要か?」などを判断する傾向にあります。
情報を集める手段としては、例えば以下が挙げられます。
- 経済誌や専門書を読む
- セミナーに参加する
- 専門家に相談する
お金の重要性を知っているからこそ、入念にリサーチしたうえで、購入の可否を判断するのです。
そのため、アプローチの際に過剰な売り込みをかけることは避けましょう。最終的に富裕層本人が納得して購入の可否を決断できるよう、必要な情報や自社の魅力などを丁寧に伝えることが大切です。
◉-4、「自分だけの特別感」を大切にする
富裕層は、一般的な商品やサービスであればほとんど購入できるため、物質的には満足していることが多いです。そのため、富裕層は「モノ」ではなく「コト=自分だけの特別感」を重視する傾向にあります。
具体的には、以下のような「限定性・希少性」を重視するイメージです。
- VIP会員限定イベント
- 招待された人限定の特別サービス
- 期間限定の特別サービス
- 要望に合わせた特別なカスタマイズサービス
こうした特別な体験を受けることで、富裕層はステータスを感じ商品やサービスを利用する動機付けになります。
▶︎富裕層の特徴も含めて、富裕層向けマーケティング施策全般については、関連記事【富裕層マーケティングとは?効果的な手法と成功事例の一挙公開】もあわせて参考にしてください。
◉具体的なアプローチ方法
上記の「富裕層の特徴」を満たしてアプローチする方法として、以下7つが挙げられます。
- 富裕層にセグメント分けしてWeb広告(オンライン広告)を出稿する
- 富裕層向けの雑誌やWebメディアへ出稿する
- 富裕層向けに「ポスティング・DM発送・フリーマガジンの発行」を行う
- 富裕層向けビジネスを展開する会社とコラボする
- 「オフラインの限定イベント」など特別感がある顧客体験を提供する
- 自社メディアやSNSで富裕層向けに有益情報を発信する
- ブックマーケティングを活用する
◉-1、富裕層にセグメント分けしてWeb広告(オンライン広告)を出稿する
Web広告であれば、ターゲットを絞って効率的にアプローチできます。配信先を絞り、ターゲットに響くメッセージやデザインを意識した広告を発信することで、予算を無駄にせず効果的に富裕層へアプローチが可能です。絞り方の例としては、「年齢」「富裕層が集まっていそうな地域」「年収」などが挙げられます。
Web広告の種類としては、具体的に以下が挙げられます。
広告の種類 | 説明 |
純広告(ディスプレイ広告) | 大手ポータルサイトでバナー広告を出稿する方法。広告をクリックしたユーザーに限定してリーチできる。 |
タイアップ広告 | メディアやインフルエンサーと協力し、動画・記事などで自社を紹介してもらう方法。 |
動画広告 | YouTubeやTVerなどの動画配信プラットフォーム上で広告を出稿する方法。視覚的なインパクトでユーザーの記憶に残りやすい。 |
ネイティブ広告 | サイト内の記事リストに「記事風の広告」を掲載する方法。違和感がない自然な形で情報を提供できる。 |
SNS広告 | FacebookやInstagramなどで、ユーザーデータに基づいたターゲティングを設定し広告を配信する方法。 |
リスティング広告 | 検索エンジン上で、ユーザーの検索キーワードに関連した広告を表示する方法。 |
リターゲティング広告 | 過去に自社サイトを訪問したユーザーが他サイトを閲覧した際、再度自社に関する広告を表示する方法。 |
自社がターゲットとしている富裕層の特徴に合わせて、広告の配信媒体を決めることが大切です。
▶︎Web広告については、関連記事【広告手法を徹底比較! デジタルからDMまでマーケティングのメリデメを解説】もあわせて参考にしてください。
◉-2、富裕層向けの雑誌やWebメディアへ出稿する
以下のように、富裕層向けの雑誌やWebメディアへ広告出稿することも、アプローチとして有効です。
- 高所得者向けクレジットカード入会者の会員誌
- 高級料亭や時計、高級旅館など富裕層に関わる情報をまとめたライフスタイル誌
- 経営者クラスのビジネスパーソン向け会員誌
アプローチできる読者数は減りますが、その分、自社のターゲットになりうる富裕層へ効果的にアプローチできます。
また、広告だけでなく「会員誌やメディアでコラムを連載してアプローチする」といった方法も効果的です。
◉-3、富裕層向けに「ポスティング・DM発送・フリーマガジンの発行」を行う
富裕層が集まる高級住宅地やタワーマンションに絞って「ポスティング・DM発送・フリーマガジンの発行」を実施すれば、効果的にターゲットの関心を獲得できます。具体的なサービスとしては、以下が挙げられます。
- 価格相場や坪単価から高級マンションをピックアップできるポスティングサービス
- 45歳〜60歳の富裕層向け総合⽣活情報誌にチラシやサンプル品などを同梱できるサービス
- 50 代以上の富裕層向けに発行したフリーマガジン
実際に形として残る「紙」などで印象付けられるため、自社への反響アップが期待できます。
◉-4、富裕層向けビジネスを展開する企業とコラボする
すでに富裕層と信頼関係を築いている会社とコラボすることで、自社ターゲットと近い層へ効果的にアプローチできます。
とくに富裕層は、サービス購入において「信頼感」を重視します。そのため、富裕層自身が普段使っている会社とコラボできれば、自社の知名度が低くても効果的にPRできるでしょう。
コラボの際は、自社サービスと親和性が高い会社を選ぶことが大切です。例えば、自社がジュエリーを販売していれば、高級ブランドショップとコラボすると効果的でしょう。
◉-5、「オフラインの限定イベント」など特別感がある顧客体験を提供する
富裕層は限定性や希少性を重視するため、オフラインイベントを開催し特別感を提供するのもおすすめです。具体的には「会員限定のVIPパーティーへ招待する」「専任担当者が手厚くサポートしてくれる」などで特別感を提供することで、顧客からの信頼を獲得して継続利用につなげやすくなります。
また、オフラインで直接顧客とコミュニケーションを取って、より深く富裕層のニーズを理解することで、サービス改善にも応用できるでしょう。
◉-6、自社メディアやSNSで富裕層向けに有益情報を発信する
富裕層は商品やサービスの購入前に、自発的に情報を集めて比較・検討する傾向にあります。そのため、自社メディアやSNSで富裕層向けの有益情報を発信することで、ターゲットからの認知度や満足度を高め、最終的な購買へつなげやすくなるでしょう。
富裕層からの信頼を獲得するには、「どんなことに興味を持っているのか?」「どんな悩みを持って検索しているのか?」などにマッチした情報を発信することが大切です。
◉-7、ブックマーケティングを活用する
ブックマーケティングとは、自社が定めた目標を達成するために「書籍出版」を活用してマーケティング施策を行うことです。目標としては、例えば「書籍購入者から◯◯件の新規契約を獲得して高い費用対効果を得たい」などが挙げられます。
ブックマーケティングを活用して書籍を出版し、知見や富裕層が知りたい情報を惜しみなく発信することで、自社の認知度や信頼性を高めて目標達成につなげられるでしょう。
ブックマーケティングでは、ただ単に書籍を出版するだけでなく、富裕層の手元へ届けるまでの戦略を設計することも重要です。「富裕層向け会員誌へ書籍の広告を出稿する」などまで設計できれば、効率的にターゲットへアプローチできます。
▶︎ブックマーケティングについては、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。
◉富裕層へのアプローチで「ブックマーケティング」がとくにおすすめな理由
このように、富裕層へのアプローチ方法にはさまざまな種類があります。その中でもとくに、以下のような理由から「ブックマーケティング」によるアプローチがおすすめです。
- 信頼感を生み出せる
- 書籍代を支払うことに抵抗がない
- 富裕層のネットワーク内で書籍が紹介される可能性がある
- 成約確率が高い見込み顧客から問い合わせが来やすくなる
◉-1、信頼感を生み出せる
書籍を出版するまでには、以下のようにさまざまな工程を経るため手間と時間がかかります。
- 書籍の情報に間違いがないかチェックする
- 発信したい主張を出版社と入念に擦り合わせる
- 富裕層に響くデザインや書籍の構成を練り上げる
さらに、出版後のプロモーションまで念入りに設計する場合、500万〜1,000万円程度の費用が必要です。
このように、書籍出版までには多くの時間と費用を投下します。そのため、書籍を出版することで「この会社は本を出せるほど信頼性が高い」と対外的にアピールできます。信頼性を重視する富裕層にとって、「書籍を出版できるほど信頼性が高い」というのは重要なポイントです。
◉-2、書籍代を支払うことに抵抗がない
富裕層は知的好奇心が高い人が多いため、読書習慣が身に付いており、ビジネスの新しい知識を積極的に学習する傾向にあります。
このように、書籍を購入するほど知識欲が高い富裕層に対し、満足できる有益情報を提供できれば、自社への信頼性が高まり最終的な購買までつなげやすくなるでしょう。
◉-3、富裕層のネットワーク内で書籍が紹介される可能性がある
書籍の内容が購入者のニーズを満たせると、所属する富裕層のネットワーク内で推薦してもらえる可能性があります。信頼関係で結ばれた富裕層のネットワーク内で紹介されれば、次の購入につながりやすいでしょう。
また、書籍であれば実物を手に取って見てもらえるため、実際の内容を見てもらいつつ本の魅力を伝えやすくなります。
◉-4、成約確率が高い見込み顧客から問い合わせが来やすくなる
ブックマーケティングでは、書籍を通じて自社の魅力や豊富な知見を十分に伝えられます。自社の魅力や商品情報などを知ったうえで問い合わせた見込み顧客であれば、購買意欲が高いため成約確率も上がるでしょう。
とくに富裕層向けの商品やサービスは高単価なケースが多く、成約までに時間がかかる傾向にあります。そうした検討の過程を省略し、一気に成約までつなげられるというのは、ブックマーケティングならではの魅力です。
ブックマーケティングを活用し効果的に富裕層へアプローチした事例として、「医師向けの不動産投資ビジネスを行っている会社」が挙げられます。
この不動産会社では、医師をターゲットに「不動産投資ビジネス」を展開しており、ほぼ紹介のみで売上を作っていました。しかし、動く金額が大きいこともあり「紹介であっても信頼関係構築に時間がかかる」という問題点が浮かび上がります。
そこで、信頼関係の構築スピードを早めるために、「独自の不動産投資の運用スキーム」「代表が持つ知識・実績」などをまとめた書籍を販売。その結果、出版からたった1ヶ⽉で、書籍購入者からの問い合わせ獲得に成功します。いずれも高い確度で不動産投資を検討していたこともあり、6ヶ月で10億円以上の売上達成に貢献しました。成約率も驚異の100%となっています。
◉富裕層向けのブックマーケティングを成功させるポイント
富裕層向けのブックマーケティングを成功させるには、以下のポイントを押さえましょう。
- 富裕層の中でもさらに細かくペルソナを設定する
- 出版の予算を十分に確保する
- Web広告など他のマーケティング戦略と絡めて出版する
- 顧客の手元に書籍が届くまで丁寧に設計してくれる出版社を選ぶ
◉-1、富裕層の中でもさらに細かくペルソナを設定する
一言で「富裕層」といっても、さまざまなタイプがいます。例えば、親の遺産を引き継いだ「遺産相続型」や、実力で会社の経営者に上り詰めた「オーナー社長型」などです。
こうしたタイプの違いによって、響くメッセージやアプローチ方法は変わるため、富裕層の中でもさらに細かくペルソナを設定しましょう。例えば「遺産相続型の富裕層」の場合、資産を減らさないことを重視するため、徐々にアプローチを仕掛けて信頼関係を構築したほうがよいかもしれません。
このように、富裕層のペルソナをさらに細分化し、それぞれのニーズや悩みにぴったり合ったコンテンツを提供することが必要です。
◉-2、出版の予算を十分に確保する
富裕層向けに出版する場合、充実した情報を提供することはもちろん、デザインや紙の質感などにもこだわることが必要です。さらに書籍のプロモーション戦略まで入念に設計することを考えると、500万〜1,000万円程度の費用がかかります。
確かに費用はかかりますが、その分、ブックマーケティングが成功した際には、投下した金額以上の売上が見込めます。そのため、出版に必要な予算を十分に確保し、ハイクオリティな書籍を富裕層へ届けられるようにしましょう。
◉-3、Web広告など他のマーケティング戦略と絡めて出版する
他のマーケティング戦略と組み合わせることで、書籍をターゲットへ届けやすくなります。例えば「Facebook広告を運用して露出回数を増やす」といった方法が挙げられます。
とくに、富裕層向けの会員誌へ広告を出稿したりオフラインのプレミアムイベントでPRしたりすることで、より効果的にターゲットへアプローチできるでしょう。
◉-4、顧客の手元に書籍が届くまで丁寧に設計してくれる出版社を選ぶ
書籍で富裕層にアプローチして自社の目的を達成するには、ターゲット選定や入念な原稿のチェック、流通経路の確保、効果的なマーケティング戦略の設計などが必須です。出版社を選ぶ際は、こうした「富裕層へ書籍を届けるためのサポート」をトータルで提供しているかチェックしましょう。
とくに出版社の中には、書籍を出版するだけで、流通させるための戦略は実行してくれないケースも珍しくありません。そもそも書店に並ばないこともあるため、「目立つ場所に置いてもらえるよう専門の営業部隊が交渉してくれる」といった部分までサポートしてくれる出版社を選ぶことが理想です。
◉まとめ
この記事では、富裕層向けのアプローチで押さえるべき「富裕層の特徴」や具体的なアプローチ方法などについて解説しました。
富裕層は、ビジネスにおいて「信頼性」を重要視する傾向にあります。商品やサービスについても、信頼できるネットワーク内で紹介されたものを購入する傾向にあります。そのため、富裕層向けのアプローチでは、長期的に信頼関係を築くことが大切です。
「富裕層向けの雑誌に広告を出稿する」「オフラインの限定イベントを開催する」など適切な方法で長期的にアプローチできれば、自社への信頼感を醸成し最終的な購買へつなげられるでしょう。
富裕層向けのアプローチ方法としては、ブックマーケティングの活用もおすすめです。ブックマーケティングを活用し、自社の知見を惜しみなく伝えて信頼を獲得することで、望んだ目標を達成できます。
さらに、書籍経由で問い合わせた顧客は、自社への興味が非常に高まっています。そのため、高単価な商品やサービスであっても、比較的短期間で成約までつなげられるでしょう。
弊社が提供するブックマーケティングサービスでも、富裕層向けの情報を提供し目標を達成できるよう、最後まで書籍出版をサポートしています。「富裕層向け会員誌への広告出稿」といったマーケティング戦略と組み合わせた施策に加えて、書店に置いてもらうための営業活動にも力を入れています。
ブックマーケティングを活用して「効率的に富裕層からの信頼を獲得したい」「高単価な商品を短期間で販売したい」などと考えている方は、まずお気軽にお問い合わせください。
近年、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)という言葉をきく機会が増えてきました。
これは、企業は利益を追求するだけでなく、社会や環境と共存して持続的な成長を図り、その活動の影響について責任を取る行動を実践して、企業を取り巻くステークホルダーからの信頼性を高めていくことが必要だという考え方です。
ここで、ステークホルダーとは、顧客・従業員・取引先・株主などの企業活動に関わるすべての人のことを指しています。
本記事では、企業がステークホルダーからの信頼性を高めるために重要な視点、そのために必要な情報発信についてくわしく解説いたします。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
◉企業として成長していくためには信頼性を高めることが必要不可欠
企業としての規模拡大や事業成長を行っていくためには、社会的信頼性を高めていくことが極めて重要です。
企業の規模が大きくなればなるほど、信頼性が高くないと企業成長の停滞などにつながってきてしまうおそれが出てきます。
◉企業の信頼性を高める上で重要な4つの視点
企業の信頼性を高めるためには、次の4つの視点の信頼性をそれぞれ高めていくことが重要です。
・経営者自身の信頼性 ・企業(組織)としての信頼性 ・従業員の信頼性 ・商品・サービスの信頼性 |
それぞれくわしく見ていきましょう。
◉-1、経営者自身の信頼性
企業の信頼性を語るときに真っ先に考えなければならないのは、経営者自身の信頼性です。
経歴やこれまでの実績なども重要ですが、それよりはむしろ経営者になった現在、どのような想いで事業を行っているのか、経営を行っているのかが最も重要です。
企業の舵とりを担う経営者自身の信頼性を高めることが、企業の信頼性を高めることにつながると言っても過言ではないでしょう。
◉-2、企業(組織)としての信頼性
企業の信頼性を高めるためには、企業(組織)の信頼性も高める必要があります。
経営者自身の信頼性が高くても、経営者の想いを形にして実行する企業(組織)の信頼性が伴わなければ企業としての成長は得られません。
ある程度の規模まで達した企業が、更に成長するためには組織力の強化が必要です。
企業の規模が大きくなって組織が複雑化して経営者の目が届かなくなったとしても、それぞれの部署がその役割をきちんと自覚して役割を果たすようになっていなければならないのです。
組織力が高くて信頼性のある企業の特徴としては「従業員の人間関係が良い」「コミュニケーションが活発」「経営者・企業(組織)・従業員が目標を共有している」などが挙げられます。
◉-3、従業員の信頼性
前項の企業(組織)を構成しているのは従業員ですから、従業員の信頼性も重要です。
従業員の信頼性の高さは、モチベーションの高さによって大きく左右されます。
なぜなら、モチベーションの高い従業員ほど、「成果を出そう」という意識が強く、顧客対応などがよくなるためです。
結果として従業員に対してのさらなる信頼性の向上につながります。
従業員のモチベーションを維持して向上させていくためには、個々の人材が優れているということも必要ですが、それ以上に「企業組織の風通しの良さ」「コミュニケーションの活発さ」「従業員通しがお互いを尊敬しあう風土」「失敗をしてもそれをカバーし合うような行動意識」などが重要です。
これらは、一朝一夕にできるものではなく、創業時から培われてきた社風など代々の経営者の努力によるところが大きいと言えるでしょう。
◉-4、商品・サービスの信頼性
企業は、商品やサービスを開発したり製造したり販売したりして利益を挙げることで成り立っています。
その商品やサービスが、顧客から信頼されていなければ購入してもらえないので、企業として成り立ちません。
企業のビジネス形態として、企業相手のBtoBビジネスと個人相手のBtoCビジネスに分けることができます。
BtoBビジネスでは、商品やサービスの品質やコストとともに信頼性が重視される傾向があります。
また、BtoCビジネスでは、テレビCMなどによる商品やサービス・企業のイメージが強く影響する傾向がありますが、やはり信頼性が伴わなければ購入されることはありません。
BtoBビジネスにおいても、BtoCビジネスにおいても、商品・サービスの信頼性が高いことは基本中の基本だということです。
◉企業としての信頼性を高めるための5つの方法
企業としての信頼性を高めるための方法としては、次の5つが考えられます。
・商品・サービスの質の向上 ・一貫性のあるブランディングの確立 ・企業の認知度向上 ・顧客満足度(CS)向上 ・社会貢献活動 |
一つひとつの方法について、くわしく見ていきましょう。
◉-1、商品・サービスの質の向上
企業が提供している商品やサービスの質が向上すると、企業の信頼性は向上します。
つまり、顧客のニーズを満足する品質の商品やサービスを提供することができれば、その企業に対する信頼性は向上し、リピート購入や固定客化につながります。
しかし、顧客が必要とする以上に質を向上させてしまうと、価格が高くなってしまい、かえって商品・サービスの質の低下につながってしまうことに注意が必要です。
たとえば、普段1,000円以下のシャンプーを使っている人をターゲットに、1本5,000円のシャンプーを販売しても、逆効果になってしまいます。
顧客の求める適正な価格で、その価格以上の価値を提供するバランスが重要です。
◉-2、一貫性のあるブランディングの確立
一貫性のあるブランディングが確立すると企業の信頼性も向上します。
ブランド確立のためには、すべてのチャネルで一貫したメッセージを発信することが必要で、デザインなどの統一によって、顧客などのステークホルダーの頭の中に良いイメージを持ってもらう必要があります。
ブランディングに成功すると同業他社との差別化ができ、長期にわたって顧客から選ばれる商品やサービスになります。
▶企業のブランディングについては、関連記事【企業ブランディングとは?企業の成長における重要性や手法を徹底解説】をあわせて参考にしてください。
◉-3、企業の認知度向上
企業の認知度とは、社名だけでなく商品・サービスやその価値が知られている度合いを示します。
認知度が高い企業の商品やサービスは、企業の信頼性の向上につながります。
顧客が商品やサービスに触れる機会が増えることによって、好感度が増して信頼性も高くなり、リピート購入や固定客の獲得につながるのです。
▶企業の認知度向上については、関連記事【経営者必読!認知度向上の方法と効果的なマーケティングの選択肢】をあわせて参考にしてください。
◉-4、顧客満足度(CS)向上
顧客満足度(CS)とは、Customer Satisfactionの略で、自社の商品やサービスに対する顧客の満足度を数値化したものです。
顧客満足度(CS)を簡単に言うと「顧客が商品やサービスを購入する前の期待値」に対する「購入後に感じた価値」の比率ですから、期待通りの商品やサービスが提供できれば顧客満足度は向上します。
そのため、商品やサービスの質を向上させると顧客満足度が向上することになりますが、実際には商品やサービス自体だけではなく、アフターサービス・営業マンなどの商品やサービスに関わるすべてのことが顧客満足度に影響を及ぼします。
◉-5、社会貢献活動
社会貢献活動とは、個人や企業などが社会をより良くするために行う活動のことを言います。
たとえば、公共の場所での清掃やゴミ拾い、環境保全活動、子どもやお年寄りへの支援、自然災害による被災地支援などが挙げられます。
冒頭で触れたCSR(企業の社会的責任)も社会貢献活動に含まれます。
企業が社会貢献活動を行うと、企業価値や企業イメージが向上して企業の信頼性にも良い影響を与えます。
◉適切な情報発信が社会的信頼性を高めるためには重要
前項では、企業が信頼性を高めるための5つの方法を紹介しましたが、これに加えて適切な情報発信を行うことも重要です。
主な情報発信方法として、次のような方法があります。
・コーポレートサイト ・SNS ・公式ブログ ・プレスリリース ・CM ・企業出版 |
それぞれの方法について、くわしく見ていきましょう。
▶企業の情報発信におすすめのツールについては、関連記事【企業の情報発信に有効なツールはどれ?効果的に活用するコツも解説】をあわせて参考にしてください。
◉-1、コーポレートサイト
コーポレートサイトとは企業の公式HPのことで、自社の情報発信を行うために運営されるものです。
コーポレートサイトで発信される情報としては、企業の基本情報(所在地、代表者名、沿革など)や商品・サービス情報、IR情報などがあり、企業の認知度を高めたり、ブランドイメージを定着させたりする目的があります。
また、企業に興味を持つ顧客やその他のステークホルダーに対して、総合的に情報を発信するプラットフォームの役割も果たしており、就職希望者に対するリクルート情報もこれに含まれます。
自社の公式情報をきちんと整理して保存していく意味合いの強い媒体なので、情報の更新頻度は後述するSNSや公式ブログよりは低くなるのが一般的です。
なお、コーポレートサイト(公式HP)を作っただけでは多くの人に見てもらうことはできません。
SEO対策をして検索結果で上位表示させたり、SNSでサイトのURLを投稿するなど、情報発信を行っていることを周知させる施策を行う必要があります。
◉-2、SNS
SNSは、気軽に情報を発信することができ、顧客との双方向のコミュニケーションが可能な媒体です。
さらにSNSには他の情報発信方法に比べて大きな拡散力がありますので、トレンド性や即効性の高い情報の発信に向いています。
コーポレートサイトなどではなかなか発信できないような細々とした内容をタイミングよく発信していくことや、決して売り込みばかりの情報に偏らないことがポイントです。
◉-3、公式ブログ
公式ブログとは、企業が運営するブログのことを指します。
企業の最新ニュースやサービス・保有技術の紹介など、その企業に関する情報を発信する目的で運営されるものです。
更新頻度はSNSなどよりも少ないですが、SEO対策などにもなり、記事数が増えるにつれてネット検索からサイトに流入する人も増えていくのが特徴です。
そのため、公式ブログは多くの情報発信を行って顧客を集客するのに向いています。
◉-4、プレスリリース
プレスリリースとは、企業からメディアに向けた公式な情報発信です。
新商品・サービスの発表や業績報告、業務提携のお知らせ、キャンペーンの案内などをプレスリリースとしてメディアに対して情報発信し、Webメディアや雑誌、新聞、TVなどで取り上げてもらうことを目的として行います。
ターゲット層が多く閲覧している各メディアに取り上げられると、認知獲得や信頼性向上につながる可能性が高くなります。
メディアは常に新しい情報を探しているので、トレンドに合ったものや今までになかった切り口での情報発信をするのが、取り上げられやすくするコツです。
◉-5、CM
CMとは、Commercial Message(コマーシャルメッセージ)の略で、もともとはメディアを通じて行われる商業目的の情報全般のことを指していましたが、現在ではテレビやラジオなどの放送を通じて行われる広告のことを言います。
CMは放送番組の前後や途中に流され、スポンサー企業が「企業名」「商品名やサービス名」「キャッチコピー」「スローガン」などを提示して消費者(顧客)に訴求します。
視聴者である消費者(顧客)の印象に残るCMにするために、映像や音楽、芸能人・著名人などを使って様々な工夫をすることが特徴です。
スポンサー企業は広告代理店を通じて民間放送局に広告料を支払います。
◉-6、企業出版
企業出版は、企業や企業の経営者などが出版費用を負担して書籍を出版するものです。
個人が出版することだけを目的に行う自費出版とは違って、全国の書店への配本など、しっかりと読者の手元に届けるような施策を合わせて行うのが企業出版の特徴です。
企業が行う情報発信方法の中では書籍が最も社会的信頼性が高い媒体ですので、通常の営業活動ではアプローチが難しい富裕層や社長・役員など経営トップ層にも読んでもらいやすいということも特徴です。
「中小企業として売上も安定し、規模も大きくなり、企業として次のステージにいきたい」「上場に向けて認知度をより向上させたい」「業界内での差別化が難しい」という場合に有効な情報発信方法と言えるでしょう。
▶企業出版(ブックマーケティング)については、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】をあわせて参考にしてください。
◉-6-1、保険代理店の信頼性が向上した事例
ある保険代理店の経営者は、保険業界の現状と問題点を解説し、これからの保険代理店に必要な考え方についての持論をまとめた『人材が続々集まる、メキメキ育つ! スゴい保険代理店経営』という書籍を出版しました。
その中で、保険業界で当たり前に行われている「成果報酬型」の給与体系を「一律報酬型」に変えることを提唱。
これは、一部の限られたトップセールスマンに頼るのではなく、自社のようにアベレージヒッターを育てて全員で支えていく経営にすれば業績拡大ができることを紹介したのです。
書籍を出版した結果、多くの業界関係者からの共感と信頼を獲得することができ、自社のブランディングにも成功しました。
本業の保険代理店の保険契約数が伸びて、新規事業のコンサルティングの新規契約も獲得できたうえに、各所からの講演依頼も来るようになりました。
◉【まとめ】信頼性を高めるためには、まず知ってもらうことが第一歩
本記事では、企業の信頼性を高めるために重要な4つの視点と5つの方法、そして企業の社会的信頼性を高めるための情報発信の方法についてくわしく解説しました。
「信頼性が高い」とは、企業と顧客やその他のステークホルダーとの双方向の矢印が密につながっている状態と考えることができます。
企業がいくら信頼性を高める活動をしていても、それを顧客やその他のステークホルダーが知らなければ意味がありません。
記事の中でも紹介したように、企業は信頼性を高める方法を行いながら、それをしっかりと顧客やその他のステークホルダーに情報発信していくことが何より重要です。
記念誌は、会社や団体などの周年記念日やその他の記念すべきイベントなどを祝うために制作される出版物です。
名前の通り、会社などの節目やイベントを記念するためのものですが、きちんと読んでもらえなかったり、終わった後は棚の奥にしまっておかれたりすることが多くあります。
せっかく時間と費用をかけて作るのですから、多くの人に読んでもらえて他の用途にもどんどん活用してもらえるような出版物にしたいものです。
そこで今回は、記念誌を読んでもらうためのコツや出版後の活用アイデアなどについてくわしく解説いたします。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
◉記念誌とは?
記念誌とは、会社や団体・学校・官公庁などが周年記念日や何らかの出来事、イベントを記念して発行される出版物のことです。
たとえば、創立(設立)20周年や50周年などの区切りの良い年に行われる記念行事や会社や社員の受賞、関連施設のオープンなどのイベントを記念して出版されることが多いようです。
内容としては、周年記念日やイベントなどを祝う内容や歴史、実績などが中心となりますが、基本的に構成や内容には決まりがなく、自由です。
◉-1、社史や周年史との違い
記念誌と似た出版物として、社史や周年史があります。
社史は会社の創業からの歴史や活動などを読み物としてまとめた出版物であり、周年史の一つの形です。
主に会社の周年事業の一貫として編纂されるのが一般的ですが、上場その他の会社にとって記念すべき出来事に合わせて作られる場合もあります。
一方で、周年史は会社や各種団体・学校・官公庁などが周年記念日に合わせて発行する出版物です。
創立20年や50年などの周年記念日に合わせて発行されます。
周年史の一般的な内容は、年表に基づいた創立や設立からの沿革と、その間の代表的な出来事などを時系列で記述したものとなっています。
▶周年誌については、関連記事【周年史とは?出版目的や具体的な制作の流れや活用方法について解説】をあわせて参考にしてください。
▶社史については、関連記事【読まれ、活用される社史を作るコツ!作成後の有効活用方法も解説】をあわせて参考にしてください。
◉記念誌を作る主な目的
従来は、会社がこれまで存続できたことへの感謝の気持ちを伝えることを目的として記念誌が制作されていました。
しかし昨今では、自社の企業理念やブランドの価値などを社内に浸透させていくインナーブランディングという目的も強く意識されるようになってきています。
記念誌を作る主な目的としては次のようなものがあります。
・周年記念事業の記念にする ・関係者各位への感謝を伝える ・ブランディング ・自社資料や歴史、実績などの整理をする ・営業・マーケティングツールとして活用する ・認知度の向上 |
目的について、それぞれくわしく見ていきます。
◉-1、周年記念事業の記念にする
一般的な会社では、創立10周年や20周年などの区切りの良い年に周年記念行事を開催してお祝いをし、その周年記念行事の一環として記念誌が出版されることがあります。
記念誌は周年記念行事のときに必ず出版するわけではなく、何らかの節目の年に出版されることが多いようです。
◉-2、関係者各位への感謝を伝える
記念誌には、会社がこれまで存続するためにお世話になった顧客や取引先、株主、パートナー会社、地域社会、従業員・OBなどに対するお礼の意味が込められています。
記念誌の編纂を通じてこれらの方々との関係を改めて認識し、完成した記念誌をお世話になった方々に寄贈して感謝の気持ちを伝えることができます。
関係者各位に感謝を伝え、今後も関係性を深めていくためのコミュニケーションツールと言えるでしょう。
◉-3、ブランディング
記念誌を用いて、通常の会社活動では伝わりにくい会社の歩みや実績・理念などを社内に浸透させることができます。
そのために、過去の記録だけではなく未来への展望なども積極的に掲載する企業が多いようです。
また、社内だけではなく、社外に向けて会社の存在意義や将来性などをアピールすることもできます。
◉-3-1、インナーブランディング
記念誌に記載された会社の歩みや実績・理念などを従業員に読んでもらうことによって、社内に浸透させて一体感を強めることができます。
また、自社の過去の出来事や考え方を知り、自分たちや組織の役割を再確認してモチベーションを高める効果も期待できるでしょう。
その他、人材教育や研修にも活用できるため、人材の育成や業績向上に役立ちます。
◉-3-2、アウターブランディング
記念誌は社外に対するブランディングにも効果があります。
これまでに開発して販売してきた商品やサービスの開発経緯や開発秘話、歴史、企業理念などがまとめて書かれていますので、顧客に自社のことを詳しく知ってもらうことができます。
そのため、記念誌は社外の方々への知名度が向上するなどブランディング活動に活用することが可能です。
自社の社会への貢献や役割をまとめることによって、対外的なイメージアップにつながります。
◉-4、自社資料や歴史、実績などの整理をする
会社活動を長く続けていると多くの資料が発生しますが、存続年数が長くなり会社規模が大きくなると散在したり、行方不明になったりすることがあります。
記念誌の制作をきっかけとして、社内に散在している資料を集めて自社の歴史や実績などを整理することができます。
過去の経営方針や事業成果、課題、その課題をどのようにして乗り越えたかなどをストーリーとして残し、これらを整理することで、経営に活かすことも可能です。
また、過去の資料の中には業界や地域社会にとって重要なものが含まれている可能性がありますので、業界団体や地域の図書館に寄贈した方が良いケースも考えられます。
◉-5、営業・マーケティングツールとして活用する
近年ではブランディングだけではなく、記念誌そのものを営業やマーケティングツールとして活用するために作る会社も多くなっています。
そもそも、記念誌は会社の過去から現在がすべて丁寧にまとめられた出版物なので、会社紹介のためのツールとして活用しない手はありません。
営業やマーケティングツールとして活用する場合は、事前に営業やマーケティングの部署にヒアリングを行いましょう。
◉-6、認知度の向上
記念誌には会社の歴史や経営理念、将来像などがまとめられているので、その会社の認知度を向上させるために適したツールと言えます。
また、出版物であるため社会的な信用性が高く、認知度の向上を目的の1つとして作る会社もあります。
◉記念誌を読んでもらうためのコツ
従来の記念誌は記念事業のために作ることがほとんどでしたが、近年ではブランディングで会社をより認知してもらって、実際の営業・マーケティング活動に活用することを視野に入れて作る会社が増えてきています。
そのためには、次のような視点で記念誌を作り込んでいくことが重要です。
・社員を巻き込んだ参加型のコンテンツ制作 ・会社のこれまでの成長を数値・図式化してわかりやすく掲載 ・会社の将来像を掲載 ・目を惹くデザイン・装丁 |
それぞれのコツについて、くわしく見ていきましょう。
◉-1、社員を巻き込んだ参加型のコンテンツ制作
社員を記念誌のコンテンツの中に巻き込むと、当事者感が増してより親近感を持って読んでくれるようになります。
具体的には次のようなコンテンツ作成を検討してみましょう。
◉-1-1、社員インタビュー
社員にインタビューを行って、それを記事化したコンテンツです。
記念誌などのインタビューというと社長や経営陣などへのインタビューが多いのですが、各年代別の男女それぞれにインタビューを行うのがポイントです。
なぜなら、社員インタビューに参加した方はもちろん、同じ部署の方などに当事者意識が芽生えやすく、読んでもらうきっかけになるからです。
または、現役社員だけではなく引退したOBなどへのインタビューを行ってみるのも面白いのではないでしょうか。
◉-1-2、社員座談会
社員の座談会を行って、それを記事にするのもおすすめです。
社長や経営陣を囲んでの座談会がよくあるパターンですが、社員が気になるテーマや会社の将来など、社員が主体的に語るようなテーマを設定するのがコツです。
社員にとっては、社長や経営陣よりも、他の社員の方が自分を投影しやすく、親近感を持ってもらいやすくなります。
◉-1-3、全社員アンケート
全社員に対するアンケートを行うと、全員がその結果に興味を持って読んでくるようになります。
テーマとしては、普段はちょっと聞きにくいけど気になるようなコトなどがおすすめです。
もちろんオーソドックスなテーマでも良いのですが、ちょっと変わったクスッと笑えるようなものが幅広い年齢層の従業員の興味を引くことにつながります
◉-1-4、全社員のお祝いメッセージ
全社員から寄せ書き形式で手書きのメッセージをもらって掲載するのも有効です。
手書きであることがポイントで、一体感の醸成や会社に対する意識を高めることにつながります。
◉-1-5、全社員の集合写真
全社員の集合写真を掲載するのもおすすめです。
会社の規模や拠点の数などによって、全社員一緒の集合写真が難しい場合は、部門別や拠点別の写真を撮って掲載しても良いでしょう。
◉-2、会社のこれまでの成長を数値・図式化してわかりやすく掲載
普段はあまり触れることがないような会社の内部事情が分かる数値を、ポップな形で分かりやすく掲載することで、より会社のことが理解できるようになります。
たとえば、社員数の推移、平均給与の推移、会社の売上推移など、パッと見て分かりやすい数値や図式を掲載すると、営業やマーケティング、採用などの活動に活用できたりします。
◉-3、会社の将来像を掲載
会社の過去の実績ばかり書かれていても、経営層だけの内輪ネタのように受け取られることがあります。
将来に向けてどのようなビジョンを持っているのか、経営者はどのような想いを持って進んでいこうとしているのか、社会に対してどのような貢献をしていくのか、などをしっかりと掲載することが、従業員の士気を高めたり、対外的な印象を良くしたりすることにつながります。
たとえば、会社が今後目指している未来予想図をイラストなどに表して、将来像を示すなど、文章だけではなく、視覚的に訴えかけるようなコンテンツがおすすめです。
◉-4、目を惹くデザイン・装丁
記念誌をパッと見たときに、「何これ、面白い!」と思われるようなデザインや装丁にすると手に取ってもらいやすくなります。
近年は「文章を読む」よりは「見て理解できる」ようにすることがコツと言えるでしょう。
デザインや装丁をビジュアルなものにするだけで話題になりやすくなります。
しかしながら、あまりにも会社のイメージとほど遠いものになると逆効果になる可能性もあるので、デザインや装丁が会社を象徴するようなものになるように工夫しましょう。
◉作るだけではダメ!記念誌の積極的活用方法
記念誌を出版した当初は記念事業などの一環として読まれますが、だんだん読まれなくなり活用されなくなり、本棚の奥底に眠ってしまいがちになってしまいます。
せっかく手間や費用をかけて作る出版物であり、会社のことを理解できる貴重なコンテンツなのですから、積極的に活用しなければ損ということになります。
具体的な積極的活用方法としては次のようなことがあり、これらを見据えたコンテンツを制作することが重要です。
・営業ツールとしての活用 ・マーケティングツールとしての活用 ・記念誌でまとめた情報をWebやSNSで二次活用 ・情報発信ツールとしての活用 |
それぞれについて、くわしく見ていきましょう。
◉-1、営業ツールとしての活用
記念誌は営業ツールとして活用できます。
なぜなら、記念誌では創業以降に開発・販売した商品やサービスなどが整理され、分かりやすく紹介されているからです。
また、自社のモノづくりに対する理念を、自社が属するエリアの文化や伝統などと一緒に紹介して、どのように世の中の役に立ってきたのかなどを記載すれば、優れた営業ツールとすることができます。
たとえば、飛騨地方のある家具メーカーでは、そのエリアのモノづくりの理念とその背景にあるエリアの文化や風土を紹介する記念誌を作成。
その記念誌が話題となってTV番組で紹介され、自社商品の売り上げが急増したという事例があります。
◉-2、マーケティングツールとしての活用
記念誌はマーケティングツールとして活用することも可能です。
ある総合商社では、記念誌を漫画化して出版して話題となりました。
創業期のエピソードなどを漫画化して出版するほか、創業地の図書館に寄贈したり、一連の活動がマスコミに取り上げられて、知名度や好感度のアップにつながっています。
◉-3、記念誌でまとめた情報をWebやSNSで二次活用
記念誌に掲載された情報をWebサイトに記事として投稿したり、SNSなどで投稿したりして二次活用することが可能です。
オリジナル性の高いコンテンツを投稿できるため、WebサイトにとってはSEO対策にもなり、SNSなどはフォロワーの獲得にもつながります。
◉-4、情報発信ツールとしての活用
記念誌には、過去の実績から将来展望まで書かれているので、読めば会社のことをしっかりと理解することができます。
つまり、記念誌は会社の認知度向上を図るための情報発信ツールとしても最適だということです。
たとえば、書店に流通させたり、見込み顧客に送付したりすることで会社のさらなる認知度向上につながります。
▶会社の認知度向上については、関連記事【経営者必読!認知度向上の方法と効果的なマーケティングの選択肢】をあわせて参考にしてください。
◉【まとめ】社内の継続的な利益につながる記念誌を作り、活用しよう!
本記事では、記念誌を作る目的や読んでもらうためのコツ、出版後の活用アイデアなどについてくわしく解説しました。
記念誌を作るのであれば、ただ記念事業の一環としてだけではなく、ブランディングやマーケティング、営業、採用などの会社活動に有益な影響を与えるような活用を見据えて作ることをおすすめします。
フォーウェイでは、コンテンツを作るだけではなく、マーケティングなどを掛け合わせて活用していくコンテンツマーケティングを追求しています。
会社のさまざまな部署で活用できる記念誌の制作をお考えてあれば、お気軽にご相談ください。
住宅会社やハウスメーカーなどのように高単価商品を取り扱う企業にとって、売上や利益を向上させるための有効なツールの一つがパンフレットです。
住宅販売は営業活動を始めてから成約に至るまでのリードタイムが長い傾向があるので、パンフレットのような紙媒体の販促ツールを活用することでリードタイムの短縮効果も期待できます。
本記事では、「住宅販売に伸び悩んでいる」「住宅販売のリードタイムの長さに悩んでいる」という方向けに、パンフレットの作り込み方や活用方法についてくわしく解説いたします。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
◉住宅会社・ハウスメーカーなど高単価ビジネスにパンフレットは有効!
パンフレットなどの紙媒体が高単価ビジネスに有効と言われる理由は次の通りです。
・紙媒体ならではの安心・信頼感 ・紙媒体の方が比較検討しやすい ・紙媒体の方が伝わりやすく、理解しやすい ・紙媒体の方が長期間手元に保管してもらいやすい |
それぞれ、くわしく見ていきましょう。
◉-1、紙媒体ならではの安心・信頼感
一般的に、紙媒体はデジタル媒体より信用度が高いと考えられています。
なぜなら、紙媒体はデジタル媒体と比べると発行の難易度が高いイメージがあるためです。
紙媒体は、一度紙にして出すと修正が難しいため、ライターや編集者、発行責任者など多くの人のチェックが入ったり、情報の発信元が明確です。
しかし、デジタル媒体は誰でもノーチェックで自由に情報を発信できてしまいます。
このようなイメージから、Webサイト記事やSNS投稿などに比べて顧客からの安心感や信頼感が得られやすいという特徴があります。
そのため、住宅会社やハウスメーカーのように高単価な商品を扱うビジネスにおいては、紙媒体のパンフレットは顧客との信頼関係を構築するうえで非常に有効なツールとなるのです。
◉-2、紙媒体の方が比較検討しやすい
紙媒体はデジタル媒体に比べて、同時に並べて比較検討しやすいことも有効な理由です。
Webサイト記事やSNS投稿などのデジタル媒体も画面を切り替えたりして複数の情報を見ることはできますが、同時に並べて見比べるのには向いていません。
特に住宅を購入する際は、家族などと一緒に比較検討することが多いため、紙媒体のパンフレットの方が複数人で一緒に見て比較検討しやすいのです。
◉-3、紙媒体の方が伝わりやすく、理解しやすい
紙媒体の方がデジタル媒体よりも視認性や可読性、一覧性が高いことも有効な理由です。
なぜなら、Webサイト記事やSNS投稿などよりはパンフレットの方が、パッと見て分かりやすく読みやすいため、記載内容が伝わりやすく理解しやすいのです。
また、Webサイト記事やSNS投稿などに比べて、パンフレットの方が写真や画像を鮮明に表示することができるため、イメージや印象が重要な住宅販売などに向いていると言うことができます。
◉-4、紙媒体の方が長期間手元に保管してもらいやすい
紙媒体はデジタル媒体よりも保存性や保管性に優れていることも有効な理由です。
Webサイト記事やSNS投稿などのデジタル媒体は、WebサイトやSNSにアクセスしているときだけしか情報を表示することができません。
それに比べて紙媒体は、捨てられない限り顧客の手元に残り続けるため、ふとしたタイミングで何度も見返してもらえる可能性があります。
◉住宅会社・ハウスメーカーで用意すべきパンフレットの種類
住宅会社やハウスメーカーで用意すべきパンフレットは、主に次の3種類です。
・会社案内パンフレット ・採用パンフレット ・住宅販売パンフレット |
それぞれどのようなパンフレットなのかを、見ていきましょう。
◉-1、会社案内パンフレット
一般的に、会社案内パンフレットには、企業の経営理念や事業・サービス内容のほか、会社の基本情報などが記載されています。
企業としてどのような理念やコンセプトのもとに住宅を提供しているのか、どのような強みや特徴を持っているのか、いつごろから住宅販売を行っているのかなどのストーリー性のあるコンテンツを盛り込むと顧客へのアピール効果が高くなります。
また、後述する他のパンフレットにも統一したキャッチコピーやデザインを採用して、ブランディングを意識したものにしても良いでしょう。
◉-2、採用パンフレット
採用パンフレットは、自社に必要な人材を確保するための重要なツールです。
企業の基本情報として企業理念や事業・サービス内容などを記載するほか、先輩社員へのインタビュー、部署ごとの業務内容の詳しい説明など「この会社で働いてみたい」と思ってもらえるようなコンテンツを盛り込みましょう。
実際に住宅を購入していただいたお客様の喜びの声などを掲載することも効果的です。
採用パンフレットは、新卒採用として学校に配布したり、中途採用として転職サイトや企業説明会で配布したりします。
◉-3、住宅販売パンフレット
住宅会社やハウスメーカーの住宅販売パンフレットは、商品である住宅の説明をするためのメインとなるパンフレットです。
住宅会社やハウスメーカーによっては、デザインや建築プラン、仕様などの違いによって複数の商品群を持っている場合がありますが、そのような場合はそれぞれ個別にパンフレットを作った方が良いでしょう。
個別パンフレットとは別に総合パンフレットを作ることも考えられますし、建築実績や施工実績などを集めたパンフレットも、顧客に実績をアピールするためには有効と言えます。
また、住宅会社やハウスメーカーの多くは「標準仕様」を設定しているケースが多いと思われるので、顧客にその具体的な情報を提示するためのパンフレットもあった方が良いでしょう。
◉住宅会社・ハウスメーカーのパンフレットに盛り込むべき内容
住宅会社やハウスメーカーのパンフレットを、より成果につなげられるものにするために、次のような内容を掲載することを検討してみましょう。
・販売する住宅のコンセプト、イメージ ・販売する住宅の写真 ・販売する住宅の仕様図(わかりやすく) ・住宅の施工事例・顧客の声・社員の声(施工のこだわりなど) |
以下で、それぞれについてくわしく解説します。
◉-1、販売する住宅のコンセプト、イメージ
住宅の仕様ではなく「自分がこの住宅に住んだらどのような生活が待っているのだろう」という将来像を伝えることが重要です。
住宅の仕様だけ伝えると、価格や性能の良し悪しなどでしか顧客は判断することができず、結果として他社住宅との競争に巻き込まれてしまいます。
競争にならないようにするためにも「その住宅がどのようなコンセプトで建てられているのか」「その住宅に住む人にどうなって欲しいのか」などのイメージをキャッチコピーとイメージ写真などを使って明確に伝えることが重要です。
◉-2、販売する住宅の写真
住宅会社やハウスメーカーのパンフレットにおいて、販売する住宅の写真の掲載は必須です。
住宅は高額商品ですが、同時にイメージや印象が重要な商品でもあります。
建築前で建物がない場合は3Dの設計図などで仕方ないと言えますが、写真で購入が決まるといっても過言ではないため、特にこだわって撮影すべきです。
◉-3、販売する住宅の仕様図(わかりやすく)
販売する住宅の仕様図を分かりやすく掲載するのもおすすめです。
専門的な建築図のようなものではなく、顧客が気にすると思われる水回りの仕様や収納スペースの大きさや数などがよく分かるようにしておくとベターです。
◉-4、住宅の施工事例
会社がこれまでに手掛けてきた施工事例を掲載することも重要です。
これまでにどのような住宅を施工してきた実績があるのかを明確に記載しておくと、豊富な施工実績に、顧客は安心感を覚えてくれます。
また、施工実績が多く掲載されていると、既存顧客との間にトラブルなどがなく信頼できる会社だということを印象付けることができます。
◉-5、顧客の声
会社が伝えたいことだけを発信するのではなく、実際に住宅を購入した人の声のように第三者視点も入れ込みましょう。
既存顧客へのインタビューなどを行って、掲載しても良いという許可が得られたものはできる限り掲載した方が良いです。
自社からの情報発信だと嘘くさく聞こえてしまいますが、顧客という第三者の視点と言葉で感想を語ってもらうと信頼性が高くなります。
◉-6、社員の声(施工のこだわりなど)
住宅会社やハウスメーカーのパンフレットには、自社の社員の声もぜひ掲載したいものです。
住宅は購入者にとっても大きな買い物ですが、住宅を建てる側の職人もこだわりを持って作っています。
社員や職人のこだわりや想いを記載することによって、顧客に「住みたい」と思ってもらいやすくなります。
社員や職員がこの住宅に持っている想いなどを語るコンテンツも有効です。
◉パンフレットを成果につなげるためには配るだけではなく、他部署との連携が重要!
住宅会社やハウスメーカーのパンフレットは、住宅展示会などで配布するのが一般的ですが、ただ配るだけではなく、より積極的に活用していくと成果につながりやすくなります。
具体的には次のような方法があります。
・WebサイトでもPDFを配布できるようにする(リスト獲得) ・ターゲットリストへの送付する ・営業部と連携してターゲットによってデザインを分ける ・他のマーケティング施策と連携 |
それぞれ、くわしく見ていきましょう。
◉-1、WebサイトでもPDFを配布できるようにする(リスト獲得)
パンフレットは紙媒体で作るだけではなく、PDF化してWeb上でも配布しましょう。
Web経由であれば多くの顧客に低コストで配布することができます。
近年はスマホやPCからWebサイトを訪問する人も増えているので、Webサイト上でもパンフレットを閲覧・配布できるようにしたりしておくべきです。
ダウンロード時に、住所や氏名、住宅購入の意向などの記載を必須にしておけば、顧客リストという資産獲得にもつながります。
◉-2、ターゲットリストへ送付する
自社で作成した見込み度合いの高いターゲットリストに、直接パンフレットを送付する方法も有効です。
パンフレットを送付するためにはコストがかかるので、ターゲットの興味関心度の高い層にはパンフレットを紙媒体で送付し、そうでもない層にはメールなどで送付するなど、送付方法を分けるのがおすすめです。
◉-3、営業部と連携してターゲットによってデザインを分ける
住宅会社やハウスメーカーの場合、住宅の種類によってターゲット顧客が異なります。
そのため、ターゲットに応じてパンフレットのデザインを使い分けることも有効です。
たとえば、富裕層向けの住宅であれば、ラグジュアリーなデザインにしたり、高齢者向けであれば安心感を持ってもらえるような柔らかいデザインにしたり、などです。
どのデザインにするかどうかは、営業部と連携をして、それぞれのターゲット層がどのようなテイストを好むのかなどを良くリサーチしたうえで決めるようにしましょう。
◉-4、他のマーケティング施策と連携
パンフレットをターゲットに送付するなどのようにパンフレット単体で使うという方法のほかに、他のマーケティング施策などの媒体と連携して相乗効果を狙うことも有効な活用方法の一つです。
具体的な連携方法としては、次の3つが挙げられます。
・SEO×住宅販売パンフレット ・SNS×住宅販売パンフレット ・企業出版(ブックマーケティング)×住宅販売パンフレット |
それぞれについてくわしく見ていきましょう。
◉-4-1、SEO×住宅販売パンフレット
住宅販売パンフレットの情報の一部をWebサイトに記事を掲載して情報発信をすることによって、検索結果によるWebサイトへの流入が期待できます。
住宅販売パンフレットに記載されたオリジナル性の高いコンテンツがWebサイトにアップされることになりますのでSEO対策にもつながります。
◉-4-2、SNS×住宅販売パンフレット
住宅販売パンフレットの情報の一部をSNSに小出しにしながら情報発信することによって、より多くの人に情報が伝わりやすくなります。
また、住宅販売パンフレットからSNSに飛べるようなQRコードを設置したり、住宅販売パンフレットと連動したキャンペーンをSNSで告知する方法などもおすすめです。
◉-4-3、企業出版(ブックマーケティング)×住宅販売パンフレット
ブックマーケティングとは、書籍を活用したマーケティング手法です。
たとえば、住宅販売パンフレットの中で書籍を紹介したり、顧客に住宅販売パンフレットを送付して良い反応があった場合に出版物を送付して購買意欲を高めてもらうなどで、成約につなげることができます。
出版物も住宅販売パンフレットも同じ紙媒体ですが、これらを連携することによって相乗効果を得ることができるのです。
また、注文住宅を得意とする住宅会社などでは、一定の商圏の中で営業活動を行っているケースがありますが、ブックマーケティングを利用すればその商圏の中の書店に重点配本してマーケティング効果を高めるといったことも可能です。
書籍は社会的に信頼性の高い媒体なので、住宅の信頼性向上にもつながります。
▶ブックマーケティングについては、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。
◉住宅会社・ハウスメーカーのパンフレット事例
実際の住宅会社・ハウスメーカーのパンフレット制作事例を紹介します。
◉-1、建築設計会社
東京都北区の建築設計会社で、専門学校などに求人票と一緒に配布することを想定した採用パンフレットを制作。
学生向けであることを意識して「目を引くようなインパクトのあるデザイン」「建築設計事務所だということがすぐに分かるデザイン」「親しみやすく明るいデザイン」を心がけたパンフレットにしました。
ターゲットや利用目的がはっきりしており、要望も明確になっていたことから短期間で完成度の高いパンフレットが完成。
その後、採用パンフレットを活用した採用活動によって若い有能な人材の獲得につながりました。
◉【まとめ】パンフレットを作り込み、売上と利益率向上、リードタイム短縮を目指そう!
本記事では、紙媒体のパンフレットが住宅などの高単価ビジネスに有効な理由、住宅会社やハウスメーカーのパンフレットに盛り込むべき内容、パンフレットの活用方法や制作事例などについてくわしく解説しました。
紙媒体のパンフレットのメリットとしては、信頼性の高さや比較検討のしやすさ、保存性の良さなどがあり、高単価商品である住宅販売において最も重要な顧客との信頼関係の構築に大きく寄与することができます。
フォーウェイでは、パンフレットの制作はもちろん、他のマーケティング施策との連携についても多くの実績があります。
住宅会社やハウスメーカーのパンフレットのご相談はぜひフォーウェイまで。