エリアマーケティングで押さえておきたい3つのコツと効果的な手法

地域密着型の事業を展開している企業や医療クリニック、税理士事務所……これらのビジネスでは、全国規模の広告施策を実行する予算はかけられないという事業主が多く、そもそも所在するエリア外への広告はあまり意味がありません。

そんなエリア特化型ビジネスだからこそ取り組むことができる、最適な費用対効果のマーケティング手法3つのコツを、エリアマーケティングの基礎知識や具体的な施策とあわせて解説します。

目次【本記事の内容】

執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)


福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経済法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を担当し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。

◉エリアマーケティングとは?

エリアマーケティングとは、言葉の通り、自社の商圏となるエリアに特化したマーケティング戦略です。

「地域密着の〜」とはよく聞く言葉ではありますが、一般的には実店舗型の小売業などBtoC事業でよく用いられる手法です。

ただ、実はBtoBビジネスでもこのエリアマーケティングの考え方はとても重要なのです。たとえば、税理士事務所の場合、全国で4389もの事務所(税理士登録者・税理士法人届出数(令和3年6月末日現在)の主たる事務所数の総数)がありますが、そのなかでも全国対応している大型の事務所は一部に限られるでしょう。

ほとんどが地域密着型の商圏の限られた事務所のはずです。

対象地域から新規顧客を獲得するためには、エリアマーケティングが必要不可欠といえるのです。

◉エリアマーケティングを成功させる3つのコツ

エリアマーケティングは、地域に特化した販売戦略を行なううえで重要な方法ですが、適切に実行することでさまざまな恩恵を受けることができます。効率的かつ売上や集客につながる施策とするために、次のような3つのコツを押さえて準備を進めましょう。

◉-①エリア内の市場の特性を理解し需要予測を立てる

自社の活動エリアで結果を出すために、市場の特性を知ることはとても重要です。

市場規模や人口推移、ターゲットとなりうる潜在顧客の数など、自社商品やサービスを提供するにあたり需要予測をしておきましょう。

仮にエリア内にターゲットとなる顧客層がいない場合、予算をかけて広告戦略や販売戦略をとっても効果が出ることはありません。

◉-②ターゲット特性を知り商圏を見極める

ターゲット顧客の特性を知ることも重要です。一般的に小売店のターゲット分析においては、商圏内の人々のライフスタイルを知ることからエリアマーケティング戦略が始まります。

前述した税理士事務所の場合は、ターゲットが企業経営者であれば行動時間帯は平日の日中であることがほとんどでしょう。そのなかでもターゲット業種ごとに、多忙な時間帯や電話に出づらい時間帯などを把握しておくとアプローチがしやすくなることもあります。

ターゲット特性を知ることができれば、商圏内での営業活動は円滑に進めることが可能になります。

◉-③競合他社の特性を知りエリアに特化した広告戦略を組み立てる

競合他社が得意とすること、強みを分析することも重要です。

競合が自社と近しい商品やサービスを提供しているとしても、狙っているターゲットが違う場合があります。競合他社が踏み込めていないターゲットに自社がアプローチできればバッティングすることもなく、自社の顧客に迎え入れられます。

具体的な手段は後述しますが、エリアに特化した広告戦略を組み立てるうえで競合を分析して、明確な商圏で営業活動を行なうことはとても重要です。

◉地域ナンバー1を目指したマーケティング戦略を立てる

エリアマーケティングを実行するにあたり、地域一番を目指すことは成功への近道となります。ここまでに解説してきたポイントを踏まえて、とにかく地域でナンバー1を目指してマーケティング戦略を組み立てる手法があります。

前述の税理士の例でいえば、「税理士+中野区」といった地域別のキーワードを組み立てて、検索上位を狙うウェブでのマーケティング手段がおすすめです。

明確なエリアが決まっていれば、ポスティングやDM(ダイレクトメール)のようなオフラインの手段も考えられますが、不特定多数へのアプローチということもあり結果はまちまちです。

一方、SEO対策を実施したうえで検索してホームページに来てくれた潜在顧客は、すでに悩みを抱えた状態で来てくれるので、高確率で成約することが期待できます。

オンライン上の施策は、インターネットが全世界とつながっていることもあり、商圏が広い全国区の企業に適していると思われがちですが、エリアに特化した企業や事業主こそ取り組むべきなのです。

◉-1、コンテンツマーケティングで戦略的に地域ナンバー1になろう

地域に特化したエリアマーケティングの手段として、自社ホームページのSEO対策を踏まえた、コラム更新を中心としたコンテンツマーケティングは有効な手段です。

自社のオウンドメディアを立ち上げて大規模で戦略的なコンテンツマーケティングを実行するには多額の費用がかかりますが、コーポレートサイトのコンテンツとして運用するのであればコストを抑えて実行することが可能です。

正しい戦略で取り組むことで、地域の競合が大してウェブに力を入れてなければ半年程度で、競合が強力でも1年程度仕込めば、大きな広告予算をかけなくても検索上位に食い込むことができるでしょう。

▶コンテンツマーケティングについては、関連記事「コンテンツマーケティングとは? 広告費を削減して売上を増やす方法」もあわせてご参考にしてください。

◉-2、ブックマーケティングによる地域ナンバー1戦略

地域に特化したマーケティング戦略としては、ブックマーケティング(企業出版)もおすすめです。

ブックマーケティングとは、企業ブランディングの手段の一つで、書籍を出版し、その書籍を利用して企業や商品・サービスの知名度向上や信頼性向上などを行うことです。

企業の伝えたい理念や商品・サービスの開発秘話、その企業ならではの特徴・強みなど、他の広告手段とは圧倒的な7万字〜10万字ほどのコンテンツ量で発信をすることができるのが魅力。そこに加えて、書籍出版することで全国の書店に流通させることができるのです。

もし企業が地域ナンバー1を目指すならば、該当エリア内の書店に重点的に配本する方法が考えられます。または、今後集客を強化したいエリアに戦略的に配本することで、その地域の読者に認知してもらい、そのまま問い合わせを獲得するという成果にもつながります。

近年はデジタルマーケティングの競争が激化しており、Web広告やSNS運用、SEO対策など、やれば成果が出る時代ではなくなっています。そのため、いかにデジタルマーケティングとアナログマーケティングの手法を掛け合わせて効果を最大化させるか、が重要視されているのです。

▶ブックマーケティングについては、関連記事「ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方」もあわせてご参考にしてください。

▶デジタルマーケティングとアナログマーケティングについては、関連記事「デジタル全盛期だからこそ重要なアナログマーケティング戦略」もあわせてご参考にしてください。

◉【まとめ】エリア内の顧客が欲している情報や悩みを言葉にする

今回はエリアマーケティングの基礎知識だけでなく、地域ナンバー1になるためのコンテンツマーケティング、ブックマーケティングという手段を紹介しました。

とにかく自社の魅力を伝えるためには、ターゲットの顧客層が何を欲しているかをキャッチすることが重要です。それを具体的な言葉にして発信し続ければ、自ずと顧客に選ばれるようになるでしょう。

ブックマーケティング
 

特定のニーズに対して販売戦略を組み立てるニッチビジネス。

市場が小さいからこそ市場の開拓が難しいと感じる企業は多いでしょう。

今回の記事では、ニッチビジネスの基本的な情報や成功例をもとに、どのような方法でマーケティング戦略を組み立てると良いかを解説します。

目次【本記事の内容】

執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)


福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経済法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を担当し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。

◉ニッチビジネスとは

ニッチビジネスとは、市場の隙間にある一部の限られた特定のニーズに対して、商品やサービスを展開するビジネスのことです。

ニッチやニッチビジネスの意味について、以下で詳しく見ていきましょう。

◉-1、ニッチとは

「ニッチ(英:niche)」とは、英語で「隙間」を意味する単語です。

経済やマーケティングなどの分野では、「市場のニーズが小規模ながらも専門性の高い事業領域」のことを指します。

◉-2、ニッチビジネスの意味

ニッチビジネスは、大手企業があまり手を出さない特定の小規模市場や、独特な顧客ニーズに特化したビジネスモデルのことを指します。

たとえば、『セイコーマート』というコンビニは「北海道に特化している」という点で、全国展開するセブンイレブンやファミリーマートに比べて、ニッチビジネスに該当します。

また、トースターで有名な『バルミューダ』なども、「家電業界の中でもひときわ高級価格の商品を販売している」という点でニッチビジネスです。

◉ニッチビジネスのメリットとデメリット

ニッチビジネスの主なメリットは、「競合他社が少ないこと」です。

一方、主なデメリットは、「市場が小規模なため、マーケティングが難しいこと」です。

それぞれ、具体的に見ていきましょう。

◉-1、メリット:競合が少ない!

「競合他社が少ないこと」は、ニッチビジネスの最大のメリットと言っても過言ではありません。

なぜニッチビジネスに競合他社が少ないのかというと、資本力や技術力のある大手企業がカバーしきれない、またビジネス対象としづらい特定の領域をターゲットにしているためです。

実は、大手企業はある一定の規模がなければ、ビジネスにしにくいという弱点があります。そういった大手企業で満たされない強いニーズの穴をうまく狙ったのが、ニッチビジネスになります。

大手ではビジネスにならなくても、中小企業では十分ビジネスとして成り立つ場合が多いです。

また、ニッチビジネスは市場規模は小さいですが、競合が少ないため、顧客の囲い込みやシェアを独占することなども可能です。

たとえば、半導体関連装置などの開発・製造・販売サービスを行う「レーザーテック株式会社」は、従業員数が数百名程度の中小企業でありながら、マスク欠陥検査装置でシェア100%を実現しています。

このように、ニッチビジネスは競合他社がそもそも少ないか、いないので、価格競争に巻き込まれるリスクも低く、商品やサービス自体の質を高めて、ニーズを拡大したり、それをきっかけに大きなビジネスに発展させたりすることもできるのです。

◉-2、デメリット:市場が小さくマーケティングが難しい!

ニッチビジネスのデメリットは「市場が小さく、マーケティングが難しいこと」です。

ニッチビジネスでは、市場規模の大きなビジネスとは違い、大々的に広告を打っても、その商品・サービスが売れないことがあります。なぜなら、市場規模が小さいが故に、市場規模の大きなビジネスよりも細かいターゲティングをしていく必要があるからです。

たとえば、メンズアパレルブランド『RetroPics.(レトロピクス)』は、メンズの小さいサイズの服に特化しているため、ターゲットは一般的なメンズアパレルブランドと違い「身長160cm前後の男性」です。

既存のWeb広告プラットフォームでは、そういった細かいターゲティングをすることが難しいため、広告を出すキーワードなどを考えたり、それ以外の方法でターゲットへのリーチ方法を模索していく必要があります。

このように、ターゲットが細かすぎてターゲットへの効率的なリーチが難しい、という課題が出てきます。これが、ニッチビジネスのデメリットだと言えるでしょう。

◉ニッチビジネスの成功例

ここからは、実際にニッチビジネスで成功した具体的な事例を5件紹介します。

◉-1、成功例1:楽天ブックスネットワーク

楽天ブックスネットワークは、楽天グループ傘下の出版取次会社であり、「ホワイエ」という本の少部数卸売サービスを展開しています。

今までは、取次会社が出版社から新刊書籍を受け取り、各書店に必要な冊数を配送するというやり方が一般的でした。そして、「書店は配本冊数の指定はできないが、一定期間が過ぎても売れなかった本は返品できる」という委託販売(返品条件付き売買)制度が日本の出版市場を支えています。

しかし、この制度下では、「小さくてもいいから書店を開いて、自分の好きな本を売りたい」「カフェでお店の雰囲気に合った本を並べたい」「雑貨などと一緒に本も売りたい」などといったニーズを満たすことが難しく、そういったニーズが無視されてきていたのです。

そこで楽天は、保証金不要で、最低1冊からでも本を卸売できる「ホワイエ」を事業化し、こうしたニッチなニーズに応えています。

それにより、以前は本を扱うノウハウを持たなかったカフェや雑貨店、衣料品店、美容室やホテルなどが小規模で書籍の販売ができるようになりました。また、楽天ブックスネットワークは、じわじわと取引先を開拓していき、売上を拡大。楽天グループの新たな売上の柱の1つとして成長しています。

ニッチビジネスだったものが、徐々に拡大し、企業を支える柱となった典型的な成功事例と言えるでしょう。

◉-2、成功例2:星野リゾート

星野リゾートは、競合他社の多い業界でありながら、根強いファンを獲得しており、旅館業界の中で独自の地位を確立しています。なぜなら、ニッチな層に向けて他にはないサービスを展開しているからです。

たとえば、『星野リゾート トマム』は、かつて1980年代のバブル経済期にスキー客で賑わっていたリゾート施設『アルファリゾート・トマム』を星野リゾートが再建したものです。

施設内のファームで乳牛やヤギ、ヒツジを飼育し、獲れたての新鮮な牛乳やチーズを販売していたり、トマム特有の雲海の鑑賞施設「雲海テラス」を営業したり、さまざまな工夫が凝らされています。

また、『星のや富士』では、日本初のグランピングリゾートとして、狩猟体験ツアーを実施するなど、「大人の楽しみ」にも対応するなど、他ではできないような体験や、独自のサービスを展開しています。

さらに、それぞれの宿泊客に対して、特定のスタッフがチェックインからチェックアウトまでのあいだ一貫してすべての業務を担う「マルチタスクオペレーション」を導入し、より顧客に寄り添ったサービスを展開しています。

顧客満足度を高めることにより、リピーター獲得に成功しているのです。

このように、企業の独自性や強みを明確にし、ターゲットを絞ることや、他にはないサービスや質の高いサービスを提供することにより、ニッチビジネスを成功させています。

◉-3、成功例3:解決本舗

株式会社解決本舗は、名古屋市に本社を置く化粧品受託製造販売会社です。

解決本舗は、OEM(自社ではないブランド製品の製造)を、10本から受注するニッチビジネスを展開しています。通常は3,000本程度から受注している会社がほとんどなため、このような小ロットでの受注に対応している会社は、解決本舗以外にほぼありません。

また、解決本舗は、他店との差別化を図るため、オリジナルの化粧品を求めるエステサロンや美容室を顧客とし、継続的に取引することで、事業を発展させています。

1点ものから対応する試作品専門の製造業者などもそうですが、大手ではやらない小さいロット数でのニッチビジネスに成功した典型的な成功事例と言えるでしょう。

◉-4、成功例4:バルミューダ

日本で家電と言えば、パナソニックや東芝、日立、など大手企業の名前が数多く挙がると思います。

日本の家電市場は大手が競争し合うほどの飽和状態だった中、そこに切り込んだのが、バルミューダです。

バルミューダは、2015年に「BALMUDA The Toaster」という2万円以上もするトースターを生み出したことで話題となり、世の中に知られるようになりました。

「え?トースターに2万円?」という声もあがるほど、大多数のニーズからは外れたニッチな値段設定でしたが、他にはないシンプルで洗練された「デザイン性」と、プロもうならせる上質なトーストが出来上がるという「機能性」で、ユーザーの心をつかみ、20万台を超えるヒット商品となりました。

それまでの「家電は実用的でなるべく安く」という常識を覆したと言えます。

その後トースターだけではなく、扇風機、電子ケトル、炊飯器、などさまざまな高級家電をリリースし成功しています。

大手がやらないような高価格帯を狙ったニッチビジネスの典型的な成功例と言えるでしょう。

◉-5、成功例5:小泉成器

小泉成器は、家電メーカーと家電卸売の二刀流で事業を展開している会社です。

小泉成器の家電は「一芸家電」と呼ばれ、ニッチなニーズにとことん応える製品が多いのが特徴。

たとえば、大風量のドライヤー、小型のコードレスボトルミキサー、充電式でコンパクトなコードレスヘアアイロン、6個のゆで卵が手軽に作れるエッグスチーマープラスなどです。

「あったらいいな」というニッチなニーズを常に掘り起こして、「ちょっと便利な生活スタイル」を提案しています。

一方、タニタやティファールなど国内外160社以上の卸もやっていて、消費者のニーズに合わせたチョイスで的確な販促につなげています。

このように、「消費者が本当に欲しがる商品をいかに発掘するか」を強みにして、ニッチなニーズに応えることで、成功を収めているのです。

◉ニッチビジネスのマーケティングのポイント

ニッチビジネスの成功事例などを分析してみると、ある共通するポイントが見えてきます。

ニッチビジネスのマーケティングを行う場合には、具体的に以下のようなポイントを最低限押さえた上で、戦略立て、施策実施を行っていくことが大切です。

◉-1、ポイント1: 確実なニーズの有無を見極める

ニッチビジネスを成功させる最も重要なポイントは、確実なニーズの見極めです。

消費者の間でまだ顕在化していない普遍的なニーズをいかに掘り起こすか、ニーズをどれだけ深く理解し、そのニーズを的確に満たせるか、が重要になります。

たとえば、バルミューダの例でいえば、「とにかく美味しいパンが食べたい」「キッチンをおしゃれにしたい」という普遍的なニーズが成功のポイントでした。

消費者に確実なニーズがあることがわかれば、それは事業を展開していく足掛かりになります。

◉-2、ポイント2: リピーターが獲得できるかを吟味する

その商品やサービスが、一度の購入だけで終わらず、リピーターを獲得できるかどうかも重要です。

少人数でもコアなユーザーから高評価を得られれば、購入を継続してもらえる可能性が高くなります。

人生でそう何度も買わないものであっても、「この商品ならこの会社」のようなイメージがあれば、ニーズが出た時に選ばれやすくなります。

たとえば、「高級トースターと言えば?」と街中で聞いた時に「バルミューダ」と答える方は多いと思います。

このように、ニッチビジネスの場合はいかに少人数のコアなファンを作りリピートしてもらえるか、また、コアなファンが口コミなどで思わず人に紹介したくなるような付加価値や成功体験をいかに獲得してもらえるかどうか、が成功のポイントになります。

◉-3、ポイント3: 付加価値のある商品・サービスを提供する

ユーザーは、ニッチな商品やサービスだからこそ、他にはない付加価値を求めています。

特に、品質の高さやデザイン性、独自性、アフターサービスの質の高さなどは、既存の商品やサービスと差別化するうえで大きなポイントとなるでしょう。

つまり、既存の商品やサービスと差別化する付加価値をつけることは、ニッチビジネスを成功させるうえで重要なポイントと言えます。

たとえば、星野リゾートは、ただ宿泊して美味しいご飯を食べるという、一般的な宿泊サービスにはない、他のリゾート施設ではできないような、さまざまな体験を付加価値として提供しています。

ニッチビジネスを展開していく際には、「自社の独自性や強みを活かして、魅力的な付加価値をつけられないか?」を検討しましょう。

◉-4、ポイント4: 流行に流されない

時代の流れに乗って、今流行っているものを看板商品・サービスとしたニッチビジネスを立ち上げようとしても、失敗の可能性が高くなります。

なぜなら、流行に乗った商品・サービスというのは、一時的には爆発的な売上を見せたとしても、流行が終焉した後もそれが売れ続けるかどうかが分からないためです。

また、流行りの商品やサービスを取り扱う競合他社も多いため、ニッチビジネスにも関わらず差別化を考えていく必要がでてきます。実際に、ニッチビジネスの成功事例を見てみると、どこも流行に流されず、独自路線でサービスを展開しています。

このように、ニッチビジネスを行う上で流行は避けるべきポイントと言えるでしょう。逆に、成功させるポイントは、ロングセラーの定番商品や既存のサービスの中にあるニーズの「隙間」を見つけることです。

誰もが必要とするものの中から、これまでとは違う「こんな商品・サービスが欲しかった」と思われる種を小さくても良いので見つけることが大切です。

◉-5、ポイント5: 競合会社をリサーチ

ニッチビジネスといっても、多かれ少なかれ競合他社は存在します。

今参入している企業はもちろんのこと、これから参入予定の企業についても事前にリサーチしておくことが重要です。

また、大企業の参入可能性などもリサーチすべきです。

具体的には、競合他社と比べて、自社がどれくらい優位に立てるのか、自社の強みをどう活かせるのか、それぞれの企業の強み、自社との類似性の有無なども確認しておきましょう。

◉-6、ポイント6: その道の専門家を目指す

ニッチビジネスを行うには、自社そのものが「ニッチな存在である」方がうまくいきます。

なぜなら、ニッチな商品やサービスを求める人は、その人自身も専門的な知識を持っていたり、質の高い商品を求めていたりするためです。

たとえば、本記事で紹介した解決本舗は、「小ロットのOEMの専門家」です。

3,000本以上のロットからしか受けていないOEM会社に、「毎月30本から40本に発注数をあげたらどれぐらい原価が下がりますか?」という質問をするよりも、解決本舗に相談した方が、小ロットOEMに関する対応実績などをベースに、精度の高い回答が期待できます。

このように、ニッチな顧客のニーズに応えるには、その会社自体も専門的な知識や高い技術を持つ必要があります。

特定の分野についてより深い知識や技術を身につけ、その情報を顧客に提供することで、顧客のニーズをつかむことができるのです。

◉ニッチビジネスに適したブックマーケティングの活用

ニッチビジネスを成功させる上ではマーケティングが重要ですが、市場が小さいが故に既存のマーケティング施策ではターゲットに精度よくリーチできない可能性があります。

数あるマーケティング施策の中で、ニッチビジネスに適したマーケティング施策としておすすめなのが書籍を活用したブックマーケティングです。

◉-1、ブックマーケティングとは

ブックマーケティングとは、企業が、自社の事業や商品・サービスなどについて書いた書籍を出版し、それを自社のマーケティングに活用していく手法のことです。

今はネットで検索すればすぐに欲しい情報が取れる時代ですが、ネット上にあふれる情報は、根拠が明確でなかったり、情報ソースが不明瞭だったり、発信者の信頼性がわかりにくかったりするため、「この情報は本当に信頼していいのか?」と思ってしまった経験があるという方は多いと思います。

一方で、書籍の場合は、出版社と著者が明記されていることや、紙媒体として現物があるという点から、「ネット上の情報よりも信頼できる」と考える人が多い傾向があります。

こういった書籍そのものの信頼性を活かし、自社の事業や商品・サービスについての情報をターゲットに書籍として届けていくことで、商品・サービスの販促につなげていくのがブックマーケティングです。

一般的な書籍は企画を立ててから書籍を作り始めますが、ブックマーケティングの場合は、書籍の企画前から「ターゲットにどの様な情報を届けるか?」というマーケティング戦略から組み立て、それに合わせて書籍の内容を作り始めます。

ただ書籍出版をして、書籍販売プロモーションをするだけではなく、SNSマーケティングやSEOコンテンツマーケティング、クラウドファンディングなど、あらゆるマーケティング施策を組み合わせて、戦略を作っていくのが特徴です。

そのため、一般的な自費出版、商業出版とは、目的や書籍の作り方が全く異なります。

また、ブックマーケティングはあくまでマーケティング施策の1つであるため、数万部のように大量に書籍を販売する必要もないのです。

少ない部数であっても、確実なニーズを持つ顧客をつかむことができれば、その後の大きな事業リターンにつながります。

たとえば、不動産投資サービスを提供する会社の経営者のブックマーケティングの場合、1件の成約でブックマーケティングの費用を大きく上回るリターンを得られています。

このように、部数を大量に流通させることよりも、「いかに確度の高い見込み顧客に精度よく届けられるか?」がブックマーケティングで重要なポイントです。

▶️ブックマーケティングの詳細については、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。

ブックマーケティング

◉-2、ニッチビジネスとブックマーケティングの成功例①

不動産投資は競合の多い市場です。大手企業も多く参入している業界です。

そんな中、ある不動産会社の経営者は、高収入で購買意欲が高い医師というニッチな層に向けた不動産投資サービスを開始。SNSやWeb広告で発信していましたが、見込み顧客獲得に繋がらず、悩んでいたそうです。

そこで、ターゲットである医師に対して、「最も効果的な節税対策が不動産投資である」という自身の考えや想いを伝えるべくブックマーケティング施策として書籍を出版しました。

あらかじめその後のマーケティング戦略や展開なども見据えて書籍の内容を企画したことや、SNSやセミナー、クラウドファンディングなどを上手く組み合わせてプロモーションをしたことから、ターゲットである多くの医師の手元に届けることができたのです。

そして、書籍を読んだ医師から問い合わせがあり、多くの成約を獲得しています。

不動産投資という競合の多い市場で、医師というニッチな層に的を絞って、信頼性の高いブックマーケティングをしたからこその成功と言えるでしょう。

◉-3、ニッチビジネスとブックマーケティングの成功例②

あるコンサルティング会社は、製造業の工場向けのコンサルティングサービスを提供していましたが、営業をしても高単価であることや、説明に時間がかかることから受注率の低さに悩んでいました。

そこで、ブックマーケティングを実施。社会問題となっている製造業の人材不足を解決する方法の1つとして、「ファクトリーオートメーションによる経営効率化、利益の最大化ができる」というメッセージを伝える書籍を、生産部門の決裁者をターゲットとして企画、出版しました。

書籍を出版したところ、販売から1ヶ月で10件以上の引き合いがありました。今までリーチできていなかった分野の企業からの問い合わせも増え、売上にもつながった成功事例です。

「製造業の生産部門の決裁者」という非常にニッチなターゲットに、「あなた向けの本ですよ」とわかるような明確なキャッチコピーを出したことや、説明にかかる時間を、書籍を読んでもらうことで一気に省略できたことが、発売1ヶ月で成約につながった成功した大きな要因と言えるでしょう。

◉まとめ

本記事では、ニッチビジネスのマーケティングについて、基本的な部分から解説してきました。

ニッチビジネスのマーケティングは市場規模が少ないが故に難しいことが課題となっていますが、それを解決する1つの手法としてブックマーケティングが、今注目されています。

ニッチビジネスは、ターゲットが限定されているため、いかにコアなファンを多く作れるかが重要です。

そのためには、会社の理念や特徴、独自の技術などを書籍としてまとめて伝えることができるブックマーケティングという手法が適しています。

特に高単価商品・サービス、購入までに長い説明が必要な商材、顧客との信頼関係構築が必要な商材などは、それらが信頼性のある書籍という媒体で一括してできてしまうので、特に相性が良いと言えます。

ニッチビジネスを始めようと思っているが、なかなか良いマーケティング施策がない、という方や、マーケティングをやっているが実際に上手くいっていないという方は、これを機にブックマーケティングの活用も検討してみてはいかがでしょうか。

ブックマーケティング
 
 

書籍を出版する方法は、大きく自費出版、商業出版、企業出版の3つに分けることができます。

本記事では、3つの出版方法の中で、自費出版とはどういうものなのか、そしてメリットやデメリット、費用相場、成功事例などについて詳しく解説します。

目次【本記事の内容】

執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)


福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経済法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を担当し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。

■自費出版とは?

自費出版とは、主に個人が自分の経験や考えを伝えたり、自分史をまとめたり、趣味の集大成としたりするために原稿を書き、それを出版社に依頼して書籍化する出版方法です。

出版費用は全て著者負担となりますが、売上や発行部数などにとらわれずに一冊の本としてまとめることができるのが特徴であり、魅力と言えます。

収益を得るためではなく書籍化すること自体が目的の出版方法です。

また、個人ではなく企業経営者などが原稿を書いて自費出版するというケースもありますが、この場合も名刺代わりに配るためなどであり、書籍化することに重点が置かれます。

自費出版、商業出版、企業出版それぞれの特徴について、以下の表に分かりやすくまとめました。

出版方法特徴
自費出版主に個人が、自分の経験や考えを伝えたり自分史をまとめたり趣味の集大成とするために、自分で書籍の内容やデザイン、発行部数などを決めて出版する方法。書籍の出版費用は著者が全額負担し、初版発行部数は100部~500部程度。
商業出版出版社がヒット作をつくって利益を上げるために、書籍の企画や内容などを決めて出版する方法で、積極的にプロモーションを行う。書籍の出版費用は出版社が全額負担するのが一般的で、初版発行部数3,000部~10,000部程度。
企業出版企業や企業経営者がブランディングや信頼性向上、集客などの経営上の課題を解決するために書籍を出版する方法。書籍の出版費用は企業が全額負担し、初版発行部数は1,000部~10,000部程度。

商業出版との違い

商業出版とは、出版社と著者が協力して書籍を出版する方法です。

出版社が書籍の企画をして著者を選定し、書籍がたくさん売れるような内容にして積極的にプロモーションを行うのが特徴です。

実際に世の中で実際にベストセラーとなった書籍のほとんどは商業出版によって出版されたものです。

ヒット作を作って出版社が利益を上げることが商業出版の目的なので、出版費用は出版社の全額負担になります。

また、出版社の企画に協力した著者には、販売・印刷部数に応じて決められた割合で印税が入ります。このように、著者に報酬が支払われることも商業出版の大きな特徴の1つであり、自費出版や企業出版との違いです。

一方で、商業出版の場合は、著者の伝えたいことよりも出版社側の意向が優先されるので、著者の言いたいことが書けなかったり、修正されたりすることがあります。

自費出版のように、著者が伝えたいことを自由に書けるわけではないという点も商業出版の大きな特徴であり、違いの1つと言えるでしょう。

▶商業出版については、関連記事【商業出版とは?企業がブランディングを考えたときの出版の選択肢】もあわせて参考にしてください。

企業出版との違い

企業出版とは、企業や企業経営者が自社のブランディングや信頼性向上、集客などの経営上の課題を解決するための手段として使われる、出版方法です。

出版費用は企業や企業経営者である著者が全額負担するので、この点では自費出版と同じです。そのため、自費出版とよく混同されがちですが、次のように出版する目的が大きく異なります。

  • ・企業出版の目的:【課題解決】企業のブランディングやマーケティングの課題解決
  • ・自費出版の目的:【出版】自分の書きたい内容を本として出す
  • ・商業出版の目的:【利益】売れる本を作り、売上をあげる

企業出版は課題解決が目的であるため、その費用の中には、出版社が行う企画、編集、デザイン、校正、書店への流通、プロモーションなどの費用が含まれています。

そのため、自費出版よりも費用は高額です。

■自費出版の費用相場はどれぐらい?

自費出版の費用は、出版する書籍の形式(単行本、文庫、写真集など)や判型、出版部数、紙質、含まれるサービスなどによって変わってきます。費用相場には幅があり、約100万円〜1,000万円程度です。

他の出版方法の費用相場と比べると次のようになります。

出版方法費用相場
自費出版100万円~1,000万円程度(一般的なのは251万円〜600万円程度)
商業出版0円(出版費用は出版社が負担するため)
企業出版400万円~1000万円程度

自費出版する際にかかる費用の項目としては次のようなものがあります。

  • ・企画費
  • ・執筆費
  • ・編集費
  • ・写真・イラスト費
  • ・デザイン費
  • ・校正・校閲費
  • ・印刷・製本費
  • ・プロモーション費

執筆費は、クオリティの高い書籍にするためにライターに執筆を依頼する場合に発生する費用です。

また、写真・イラスト費は、写真集などを自費出版する際の写真撮影や書籍の中にイラストを入れたりする場合に必要となります。

プロモーション費は、出版社の営業力を使って広告宣伝を行う場合に発生する費用です。

たとえば、写真やイラストを自分で用意したり、自分で執筆したり、プロモーションなどを自分で行うなどをすれば、費用はその分安くなる可能性があります。

自費出版の費用対効果

自費出版する際の費用対効果に関して、ポイントとなるのは出版目的と書籍のクオリティです。

とにかく書籍にして出版することが目的なのであれば、そもそも効果を期待する必要がありません。

しかし、セルフブランディングという目的がある場合は、その目的を達成するためにどの程度の書籍のクオリティにするのが最適なのかを考えなければなりません。

また、販売数をある程度伸ばして印税収入を得たいという目的があるのであれば、クオリティを上げるのに加えて、出版社の販路などを利用してプロモーションを行うことも必要となり、相応の費用がかかります。

このように、自費出版の場合の費用対効果は、その出版目的に応じて変わってきます。

【参考】企業出版の費用対効果

企業出版は、自費出版と同様に著者が出版費用を全額負担する出版方法ですが、自費出版との違いは明確な出版目的があることです。

企業の宣伝・PRや問い合わせによる成約率の向上などの目的があるのであれば、ターゲットの設定とそのターゲットに書籍を購入してもらうためのプロモーションが必要となります。

そういった目的を見据えて書籍の企画や出版を行うため、企業出版に成功すると出版費用などを上回る大きな利益が期待できます。

実際に企業出版によって経営課題を解決した2つの事例を紹介します。

企業出版事例①:読者からの反響により出版から2ヶ月で6億円の売上達成

これは、ある不動産投資会社の企業出版事例です。

出版前は、Web広告による新規顧客の集客はほとんどなく、紹介のみに頼っていたそうです。

また、見込み顧客との信頼関係の構築などにかなりの時間が必要で、成約までのリードタイムが長いことが課題となっていました。

そこで、年収は多いものの税金も多いという悩みを抱える医師をターゲットとして「節税対策に不動産投資が効果的」という内容の書籍を発売。

出版社の販路を利用して、主に一都三県や大阪府、福岡県を中心に書店への流通・配本を実施しました。

出版後、多くの読者である医師から問い合わせがあり、出版から2ヶ月で6億円の売上を実現しています。

問い合わせのほとんどは不動産投資に関心のある読者からの反響が中心で、成約までのリードタイムが短縮でき、営業効率の向上にもつながっています。

企業出版事例②:出版記念のイベントを開催し企業の認知度が向上

これは、わさびの製造・販売会社の企業出版事例です。

出版前は、自社で製造・販売しているわさびの魅力に関する顧客へのアピール不足が課題で、同業他社との差別化も不十分だという認識がありました。

そこで、料理に関心のある30代~40代の女性をターゲットとして、わさびの効能や歴史、レシピを収録した書籍を出版。

また、出版後に本社がある名古屋の書店で、書籍へのレシピを提供してくれた料理研究家とのコラボレーションで出版記念のトークイベントを実施したところ、当日はイベント会場が満員御礼となり書籍を50冊以上売り上げるなど大盛況となりました。

その後、出版をきっかけに平均聴取者数20万人の全国放送のラジオ番組から2週連続の出演依頼があるなど、書籍を出版したことにより、企業の認知度向上や売上向上につながりました。

■自費出版のメリット

メリット

自費出版のメリットとしては次のようなものがあります。

自分の企画や内容、デザインで本が出版できる

自費出版の最大のメリットは、自分の思い通りの本を作ることができることです。

自分自身で企画をして、本の内容もデザインも自由に決めることができます。

一方、商業出版の場合は、企画を出版社が行うため、著者が書きたいことを書くことはできません。企業出版も、マーケティングやブランディングが目的であるが故の制約があり、自分の自由に本を作ることは難しいと言えるでしょう。

しかし、自費出版であれば、著名人ではない一般人であっても、自分の人生をまとめた自分史を出版したり、趣味の句集や詩集を出版したりして、個人的な活動を知ってもらうために書籍を出版することができてしまいます。商業出版や企業出版などに比べて制約が少なく、自由に自分の本を出版できるのが自費出版の魅力なのです。

なんでもアリではない。薬機法や景品表示法などには注意!

ただし、自費出版であってもなんでもアリというわけではありません。

たとえば、本の内容によっては薬機法(旧:薬事法)や景品表示法に抵触する可能性もあります。該当する場合は、出版社や専門家に相談したり、専用のチェックツールなどを利用して法に抵触しないように注意しましょう。

▶薬機法(旧:薬事法)については、関連記事【薬機法(旧:薬事法)とは?違反せずに広告・PRする7つのポイントを分かりやすく解説】もあわせて参考にしてください。

出版実績が自分で作れる

自費出版の場合は、著者の都合によって好きなときに好きな内容の本を出版することができます。

つまり、自分の出版実績は自分で作ることができるのです。

たとえば、あるセミナーを開催したとしましょう。

出版実績のある講師の方が、セミナーの参加者から「信頼できる」と感じてもらいやすくなります。このように、自費出版はセルフブランディングにつながります。

また、名刺代わりに配ることで、相手に「出版したことのある人なんだ」と強く印象づける効果も期待できます。

このように、簡単に自分のビジネス上のブランディングができてしまうのも自費出版ならではのメリットの1つです。

出版後は書籍が著者の著作物になる

書籍の著作権は出版費用の負担者に帰属します。そのため、自費出版の場合は著者の著作物になります。

商業出版の場合には、出版費用を出版社が持つため、いくら著者と言えども無許可で内容を使うことはできませんが、自費出版の場合には、著作権が著者にあるため、書籍の一部を抜粋した冊子を作ったり、Webやブログなどに転載したりすることも自由に行うことができます。

■自費出版のデメリット・リスク

自費出版のデメリットやリスクとしては次のようなものが挙げられます。

出版費用が全額著者負担なため、高額になりやすい

自費出版の場合、出版費用は全額著者負担となります。

出版費用は、自費出版の依頼先によっても異なりますが、大手出版社の自費出版部門はサポートが手厚い一方で費用は高額になりがちです。

出版後のプロモーションなどが行われないことが多い

自費出版の場合、出版後のプロモーションが行われないケースが多いと考えておきましょう。

大手出版社の自費出版部門などに依頼する場合は、プロモーション費用を支払えばオプションとして行ってもらえますが、期待通りのプロモーションを行ってもらえるのかは出版社次第です。

プロモーションを依頼する場合は、事前にどのようなプロモーションを行ってもらえるのかを確認しておくことをおすすめします。

出版後の流通を行ってくれないことが多い

自費出版の場合、出版後の流通も行ってくれないことが多いと考えておきましょう。

プロモーションと同様に、大手出版社の自費出版部門などに依頼する場合は、書店流通費用を支払えばオプションとして行ってもらえますが、商業出版や企業出版のように積極的には行ってもらえないと思っておきましょう。

流通を依頼する場合も、事前に出版社に「流通をどれぐらい行ってもらえるのか?」「流通の方法は何か?」などを確認しておくことをおすすめします。

なぜなら、書店を訪れた方が全く足を運ばないような自費出版専門棚に1冊置いてあるだけで「流通している」と謳う出版社も実際に存在するためです。

自費出版を行う場合には、その点に十分警戒しましょう。

■自費出版を行う際の注意点

自費出版は費用さえ捻出できれば、誰でも出版することが可能です。

そういったハードルの低さ故に注意しなければならないことがいくつかあります。

自費出版が最適な方法なのかを慎重に検討する

個人や企業・企業経営者が出版を行う場合に、自費出版が最適な方法なのかを慎重に検討する必要があります。

たとえば、企業経営者が個人的に名刺代わりに書籍を配ったり、個人のセルフブランディングをしたりするのが目的であれば、自費出版がおすすめです。

自費出版の目的は、著者のこれまでの経験や考えを書籍の形にまとめることにあり、自分史や回顧録などのように自身を振り返る手法に向いています。

その他に、個人的に創作してきた小説や俳句、詩などを自分の成果として1冊の書籍にすることもできます。

一方、企業や企業経営者が、自身の事業やビジネスのブランディングや宣伝・PRを目的として出版するのであれば、企業出版がおすすめです。

なぜなら、企業出版のサービスは書店への流通力や営業力を持った出版社が提供していますので、これらを利用して全国の書店で販売されるからです。

企画段階で書籍を購入してくれるターゲットを設定して、ターゲットの目に留まるような書店の書棚に並べることができます。

このように、著者の目的によって自費出版、企業出版どちらが良いかが変わってくるので、今一度慎重に考えてみましょう。

参考までに、自費出版と企業出版の目的別のおすすめの人は次表の通りです。

出版方法こんな目的を持つ人におすすめ
自費出版名刺代わりに自分の書籍を配りたい企業経営者や個人のセルフブランディングをしたい人など
企業出版自身の事業やビジネスのブランディングや宣伝・PRをしたい企業や企業経営者など

信頼できる出版社を選ぶポイント

自費出版ができる出版社はたくさんあります。

そのため、中には思ったようなサポートをしてもらえない出版社や、価格だけ高いような出版社があるのも事実です。

自費出版は費用が高額なので、失敗しないためにも、信頼できる自分に合った出版社を選ぶ必要があります。出版社選びで押さえておくべきポイントとして、まず、ホームページなどで自費出版を行っている出版社かどうかを確認します。

自費出版を取り扱っているのであれば、出版社としての歴史や実績がしっかりしているのか、代表や社員がどのような経歴や実績を持っている人なのかについても確認しましょう。

そのうえで、実際に営業担当者と打ち合わせをして自費出版に必要な費用や期間などについてヒアリングをして見積もりを依頼します。

また、自費出版の場合は、発行部数や紙質の選び方などによって見積金額が変わってきますし、提示された見積金額以外に追加費用が発生する可能性もありますので、この点についてもきちんと確認しておく必要があります。

営業担当者が信頼できるかどうか?

営業担当者と打ち合わせしたり見積もりを依頼したりする際に注意したいのは、その営業担当者が信頼できる人物かどうかということです。

たとえば、見積書の内容を詳細に説明しなかったり契約を急がせたりするような場合は要注意と考えた方が良いでしょう。

「社員は会社の顔」とよく言われますが、自費出版の場合も、営業担当者の対応がよく信頼できる場合は、良い出版社である可能性が高いです。

「営業担当者が信頼できる人なのかどうか?」はしっかりとチェックしておきましょう。

原稿のチェックやアドバイスをしっかりと行ってくれるかどうか?

見積もりを依頼する際に、営業担当者や編集者と打ち合わせをすることになりますが、その際に企画内容や原稿などのチェックやアドバイスをしっかりと行ってくれるかどうかもチェックポイントの1つです。

営業担当者には売上ノルマが課せられている場合があり、自分のノルマを稼ぐために契約させるようなケースもあります。

また、営業担当者や編集者が適切な原稿チェックやアドバイスをするだけの経験がないというケースも考えられます。

印税や儲けを目的にしない

世の中には、自費出版からスタートしてベストセラーになった書籍が実際にあります。

たとえば、夏目漱石の「こころ」、島田洋七の「佐賀のがばいばあちゃん」、山田悠介の「リアル鬼ごっこ」などが有名ですが、これは非常に稀な事例です。

よく、自費出版の営業などの際に語られるこういった事例を真に受けないようにしましょう。

基本的に、自費出版の場合は印税で儲けるというようなことを目的とするべきではありません。

内容は自分でよくチェックする

自費出版の場合も出版社で編集や校正をやってくれますが、その分だけ費用が発生するので注意しましょう。

基本的な誤字脱字や表記ゆれのチェック・修正などの校正作業は出版社に依頼する必要がありますが、最小限の費用で収まるように自分でよくチェックする必要があります。

適切な発行部数を選択する

自費出版の費用は全額著者が負担しますので、発行部数も著者が自由に決めることができます。

発行部数が増えると1冊あたりの単価は安くなりますが、出版費用は高くなります。

自費出版の書籍が余ってしまっても困りますので、適切な発行部数を選択するようにしましょう。

ブックマーケティング

■自費出版の流れ・出版までにかかる期間

以上、自費出版の費用や特徴、さらには出版社の選び方まで詳しく解説しました。

自費出版でも企業出版でも、自分のニーズを満たしてくれる出版社なのかどうかはとても重要です。

費用が安いに越したことはありませんが、「安かろう悪かろう」に当たらないためには契約前に出版社の営業担当者と綿密にやり取りをし、懸念を払拭しておくことです。

見積もり

書籍の企画が決定すると、出版社が見積もりを行います。

見積もりに際しては、金額を大きく左右する条件などについて双方でよく確認しておく必要があります。

また、この段階で見積もり以外にどのような費用が発生する可能性があるのか、についても事前に聞いて把握しておくことが重要です。

出版業界には専門用語も多く、業界ならではの常識も多いので、結果的に自分で想定していた金額よりも大幅に高くなってしまった、などのトラブルもよくあります。十分に注意しましょう。

申込・契約

出版社から提示された見積金額や条件に納得できた場合は、出版の申し込み・契約となります。

費用の支払いについては、「全額前払い」「着手金+校了時に残金」など出版社によって異なるので、契約前によく確認しておきましょう。

また、自費出版の場合の著作権は著者に帰属しますが、この点も事前に確認が必要です。

原稿・デザイン作成

契約が終わると、著者は原稿作成と写真やイラストなどの準備をします。

原稿や写真・イラストなどの素材が揃ったら、出版社の編集者からアドバイスをもらい必要に応じて修正をします。

原稿や写真・イラストなどの素材の準備に必要な期間は約2週間~6か月です。

原稿が完成後、デザイナーが表紙や紙面のデザインやレイアウトを行います。

デザイナーからの提案によって、原稿の加筆や減筆、写真やイラストの見直しなどが発生することがあるので、デザインやレイアウトに必要な期間は、2週間~1か月です。

校正・校閲

デザインが終わった初校を紙やPDFに出力して、校正を行います。

イメージ通りのデザインになっているか、誤字脱字や表記ゆれはないか、写真やイラストの見え方は適切か、などについて校正と修正を繰り返します。

また、校閲を行い事実関係に誤りがないことなどを確認(ファクトチェック)していくので、校正・校閲に必要な期間は、2週間~1ヶ月程度です。

印刷・製本・納品

校正が終わると、出版社から印刷会社に書籍のデータが送られますが、これを入稿といいます。

印刷会社から実際の本に近い紙やインクを使って印刷した色校正が提示されるので、インクのノリ具合や写真の色味を確認して、必要に応じて調整を依頼します。

色校正が終わったら、契約部数の書籍が印刷・製本されて納品、と言う流れです。

印刷・製本に必要な期間は、約1ヶ月です。

■自費出版の成功事例

ここでは自費出版の成功事例について紹介します。

しかし、前述の通り、そもそも自費出版が書籍を出版することが目的だったり、名刺代わりに知人に配りたいという目的、セルフブランディングに活用したいという目的、ベストセラーで印税収入を得たいという目的まで千差万別ですので、何をもって「成功」というかは人それぞれです。

1つ目の成功事例は、自費出版をきっかけに新聞や週刊誌などに取り上げられて話題となり、テレビ番組などへの出演オファーが殺到したというケースです。

その書籍はビジネス書だったので、書籍の売上部数の大幅アップにはなりませんでしたが、その後も講演依頼や執筆物の依頼が増えて、専門家としての認知度も向上しました。

2つ目の成功事例は、自費出版をきっかけとしてラジオ番組を担当することになったものです。

たまたまその書籍を読んだラジオ番組の関係者が、番組制作の担当者に話をして、トントン拍子に1つのラジオ番組を担当することになりました。

大きなビジネスチャンスにつながったというような成功事例ではありませんが、著者としては自身の専門性を認めてもらえて、より多くの人に自分の意見や考えを伝える場をえることができ、セルフブランディングにつながりました。

■自費出版は出版目的を持つが大切

自費出版はただ出すだけではなく、「何のために出すのか?」という出版目的をしっかりと持って行うことが重要な出版方法です。

出版目的が明確であれば、100万円程度の安い自費出版サービスでも最高の満足度を得られる場合もあります。

しかし、一方で高額な自費出版サービスを使ったからと言って自分にとって最高の満足度が得られるとは限りません。

「あれだけ、高額な費用を使って、できたのがこれか・・・」と後悔してしまうケースもあります。

そのため、もし今みなさんが自費出版を考えているのであれば、自分自身に「何を目的に出版するのか?」を問いかけて、明文化してみてください。

とにかく書籍化するのが目的であれば、安価なサービスでも問題はないでしょう。

しかし、他の目的であれば、今一度出版社の人と本当に自分に適した出版方法は何なのかを相談してみましょう。

■まとめ

本記事では、自費出版とはなにか、メリット・デメリット、費用相場、成功事例などについて解説しました。

自費出版は、著者が自由に本の内容を決めることができるので、名刺代わりに配ったりセルフブランディングをしたりするのには最適な方法です。

しかし、著者自身の事業やビジネスの宣伝・PRやブランディング目的の場合にはあまり効果が期待できません。

なぜならば、出版社によるプロモーションなどがないため、多くの顧客に購入してもらうことができないからです。

自分自身が行っている事業やビジネスをより拡大していくための宣伝・PRやブランディング、マーケティングが目的ならば、企業出版や企業出版を活用して問い合わせにつなげるブックマーケティングという手法を検討してみてください。

▶ブックマーケティングについては、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。

▼ブックマーケティングのご案内はこちら

ブックマーケティング
 

Web広告やSNS運用、SEO対策などのデジタルマーケティングを駆使して見込み顧客の獲得を行っている企業は多いと思います。

しかし、「デジタルマーケティングの限界が見えてきた…」「デジタルマーケティングで成果が徐々に下がってきた…」という様な悩みを抱えている企業も少なくありません。

なぜデジタルマーケティングをやるだけでは成果が出づらくなってきているのか。

その理由は2つあります。

一つは、顧客が「広告かそうではないか」の情報の精査や判別ができるようになってきていること、もう一つはデジタルマーケティングの競争の激化によりひと昔前のように「やれば成果が出る」という状況ではなくなってきていることです。

また、デジタルマーケティングを駆使した詐欺まがいのビジネスなどの横行により、国や媒体(GoogleやYahoo!、各SNSなど)による規制や、顧客側の警戒心も強くなってきています。

そんな厳しい状況の突破口となるのが、アナログマーケティングです。

実際に、今現在成果を出している企業の多くはデジタルマーケティングとアナログマーケティングをうまく組み合わせて活用しています。

本記事では、そんなデジタル全盛期の時代だからこそ見直し、再検討すべきアナログマーケティング戦略について解説いたします。

目次【本記事の内容】

執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)


福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経済法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を担当し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。

◉アナログマーケティングとは?

アナログマーケティングとは、従来の伝統的な方法で顧客の感覚に訴えかけるマーケティング手法のことです。

具体的には、新聞広告や雑誌広告、テレビ・ラジオのコマーシャル、ポスター、パンフレット、チラシ、ダイレクトメールなどがあり、セミナーやイベント、展示会なども含まれます。

メリットとして、高級な紙で作られたパンフレットで高級感を与えることができたり、ポスティングによって地域密着をアピールできたり、展示会などで現物に触れることができることなどが挙げられます。

デメリットとして、コストが高めであることや効果の測定が難しいこと、情報伝達が一方通行であることなどがあります。

◉-1、デジタルマーケティングとの違い

アナログマーケティングに対して、インターネットやデジタル技術を利用したデジタルマーケティングがあります。

具体的には、WebサイトやSNS、SEO、電子メール、メールマガジン、オンライン広告などがあり、オンラインのデジタルプラットフォームを使用します。

アナログマーケティングに対するメリットとしては、比較的低コストでターゲットを絞り込んで顧客にリーチできることです。

また、即時性が高いためすぐに効果が得られ、情報伝達に双方向性があるため顧客の反応をメッセージなどで受け取ることができます。

さらに、広告効果の測定がほぼリアルタイムでできるため、その結果をすぐに広告内容に反映することも可能です。

◉-2、アナログマーケティングの種類

アナログマーケティングには多くの種類があるので、それぞれの特徴などについて表にまとめました。

アナログマーケティングの種類特徴
DM(ダイレクトメール)個人や法人に郵送や電子メールで送付する広告物。特に郵送DMは形のあるものが届くため比較的レスポンス率が高く、顧客の認知や関心を高めることができる。幅広いターゲットにターゲティングをして送付できるメリットがある一方で、コストや手間がかかるというデメリットがある。
書籍自社や商品・サービスのことをより詳しく知ってもらいたい場合に利用される。最大の特徴は社会的信頼性が高いことで、各種メディアに取り上げられたり、著者がセミナー講師として招かれたりすることがある。盛り込める情報量が多い(文字数で7万~10万字)ため、商品やサービスの情報以外に企業の歴史・創業者の想い・理念・開発秘話などを読み物としてまとめて伝えることができる。
パンフレット複数枚の紙を折り曲げて重ねて冊子にした印刷物で、会社案内や製品・サービスの詳しい紹介など情報量の多い用途に利用される。デジタル情報が苦手な高齢者世代にも届けることができる。同業他社のパンフレットと並べて比較検討するような使い方もされる。
小冊子ページ数の少ない書物や冊子のことで、複数枚の紙を綴じた印刷物。パンフレットやブックレットは小冊子に含まれる。パンフレットは、商品や施設・学校の案内や説明などの広告要素がある小冊子。ブックレットは、CDやDVDの付属冊子やゲームの解説書などの広告要素のない読み物の性質が強い小冊子。
リーフレット1枚の紙を折り曲げた綴じられていない印刷物。コンパクトで情報量が少ないため商品や施設、イベントなどの案内・告知目的に利用される。
チラシ1枚の紙の両面または片面に情報を印刷したもの。商品やイベントなどの案内・告知を新聞折込チラシ・ポスティング・街頭ビラ配りによって大量配布することができる。
新聞折り込み広告新聞に折り込んで配布されるマス広告。エリアを細かく指定して配布することができるため、そのエリアを商圏とする店舗などの広告に利用される。新聞は毎日配達されるため、即時性や速報性がある。
新聞広告新聞の広告枠に印刷されたマス広告。新聞購読者に確実に届き、信頼性と即時性が高いという特徴がある。ターゲットに応じて全国紙と地方紙を使い分けることができる。新聞の非購読者には届かず、若年層にはリーチしづらいというというデメリットもある。
雑誌広告雑誌の広告枠に印刷されたマス広告。適切な雑誌を選択すれば、その雑誌を購読している特定のターゲットに効率よく届けることができる。新聞広告と比較すると時間がかかるため、即時性を求める広告には向かない。
TV広告TV番組の途中や番組間に放送されるマス広告。視聴者に対して、年代や性別を問わず情報を伝えることができる。即効性や権威性・信頼性があり、商品やサービスの認知や購買意欲を促進するというメリットがある。一方で、広告費用が高い、細かなターゲティングができない、広告効果の測定が難しいというデメリットがある。
ラジオ広告TV広告に比べてリスナーは少ないものの、広い年代のターゲットに広告を届けることができる。スマホアプリなどを利用してラジオの視聴が習慣化しているユーザーも多いため、継続的な情報提供ができる。
イベント・展示会最大の特徴は特定のテーマや課題解決に興味や関心のある見込み顧客と短期間に直接会うことができること。形のある商品の場合は現物を見せて商品説明することができる。名刺やアンケートによって顧客リストが取得でき、後日アプローチすることができる。一方、出展費用や労力がかかるというデメリットがある。
セミナー新商品・サービスの紹介、新規顧客の獲得、ナーチャリングなどの目的をもって開催される企業セミナーなどがあり、テーマに関心のある見込み顧客と直接会うことができる。テーマによっては、セミナー後に個別相談会などを行って引き続き商談に持ち込むことも可能。

◉デジタル全盛期にアナログマーケティングが重要な理由

デジタルマーケティングは、多くの見込み顧客に効率的にアプローチできるので、一見万能な見込み顧客の獲得方法に見えますが、必ずしもそうではありません。

次に挙げる理由から、アナログマーケティングの重要性を再認識する必要があります。

・顧客はデジタルとアナログの両方で行動しているため
・アナログマーケティングの方が顧客への訴求力が強いため
・それぞれアプローチできる客層が異なるため
・アナログマーケティングの方が保存性があるため

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

◉-1、顧客はデジタルとアナログの両方で行動しているため

常に膨大なデジタル情報が流れている現代ですが、顧客はデジタルだけで行動しているわけではありません。

Web広告やSNS広告を目にする一方で、テレビCMや新聞広告・チラシを見たり、店舗やイベントなどで現物を見ることもあります。

年代や性別などの属性によって、デジタルとアナログに接する時間の比率に違いはあるものの、デジタルだけに接しているわけではありません。

このようなことから、マーケティングにおいてもデジタルとアナログの組合せが高い効果を発揮すると考えられており、アナログマーケティングの重要性が再認識されています。

◉-2、アナログマーケティングの方が顧客への訴求力が強いため

デジタルマーケティングでは視覚と聴覚を使って情報を伝達しますが、アナログマーケティングを使うと、触覚、嗅覚、味覚も伝えることもできます。

上質な紙を使ったパンフレットで高級感を与えることができますし、現物を見たり試食したりすることもできます。

つまり、アナログマーケティングの方が五感を使って消費者に訴求することができるということなのです。

◉-3、それぞれアプローチできる客層が異なるため

デジタルが効果的かアナログが効果的かは、顧客の年齢や年代によって異なります。

若年層はデジタルネイティブ世代で日常的にネットやSNSに触れているので、若年層にアプローチしたい場合はデジタルの方が有利です。

一方で、ネットやSNSなどよりは、テレビや新聞などに接する機会の多い世代にアプローチしたい場合は、アナログの方が良いでしょう。

また、新規店舗オープン、キャンペーン告知などの地域限定情報は、チラシの街頭配布やポスティングが効果的です。

このように、アプローチしたい客層によっては、アナログの方が効果が出ることがあります。

◉-4、アナログマーケティングの方が保存性があるため

アナログマーケティングの中でも、パンフレットやカタログ、書籍などの印刷物は一度受け取ると捨てない限り、現物がターゲットの手元に残ります。

自分にとって必要な情報であれば長い間保存されて繰り返し参照されて長期的に宣伝効果が持続する訳です。

これに対してデジタル情報は、圧倒的な情報量が常時流れているので、埋没しやすく保存性は低くなります。

◉デジタル全盛期のアナログマーケティング戦略で成果を出すには?

では、デジタル全盛期の現代において、アナログマーケティングで成果を出すにはどうすれば良いのでしょうか。

次の3つを意識することが重要です。

・デジタルマーケティングと連携する
・効果測定・分析を行いPDCAを回す
・アナログマーケティングもデジタル施策を見据えて実施する

それぞれ、くわしく見ていきましょう。

◉-1、デジタルマーケティングと連携する

アナログをデジタルとうまく連携させることによって、よりマーケティング効果を高めることができます。

マーケティングで成果を上げるためには、「接触時間×接触頻度」を最大化することが必要です。

「接触時間」が長いのは書籍やパンフレットなどのアナログですが、「接触頻度」を上げるのはデジタルが得意です。

つまり、デジタルとアナログの組み合わせを考えることが非常に重要になってきているのです。

以下では、デジタルとアナログの連携例を5件紹介します。

◉-1-1、連携例:SEO対策×アナログマーケティング

記事の中に導線として資料請求を埋め込んだSEO記事をアップしておき、資料請求が来たら、パンフレットや説明資料、商品カタログなどを送付する連携手法です。

主に、老人ホームや結婚式場、大学など複数の施設を比較検討したいというニーズのある商品やサービスに使われます。

SEO記事だけではなく、Web広告でも同様の連携ができます。

▶︎SEO対策については、関連記事【SEO対策とは? 効果的な戦略の組み立て方と対策方法】もあわせて参考にしてください。

◉-1-2、連携例:メール×アナログマーケティング

Web広告などを利用してメールアドレスリストを獲得し、メルマガやステップメールを送信するという連携手法です。

何通目かでセミナーの告知をして集客し、セミナー後に個別相談や商品・サービスの提案を行うなど、デジタルからより成約率の高い対面の場に集客していくことができます。

◉-1-3、連携例:書籍×デジタルマーケティング

書籍の出版前にクラウドファンディングを実施したり、出版後に出版記念セミナーを開催したり、Web広告を出稿したり、SEO記事やSNS投稿に二次活用したりする連携手法です。

書籍とデジタルマーケティングを連携して、確実にターゲットに届けることができます。

また、書籍を読んでもらうことによって顧客教育ができるため、不動産などの高単価商品やデジタルマーケティングでは集客が難しいBtoB商材、契約までのリードタイムが長くなってしまいがちな場合に有効です。

▶︎ブックマーケティングについては、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。

◉-1-4、連携例:パンフレット×デジタルマーケティング

デジタルマーケティングやGoogleMap、名刺などで集めたターゲットリストに対してパンフレットを直接送付する連携手法です。

相見積もりを取る習慣のある建設系やアセンブラー(部品メーカーから部品を買って組み立てるメーカーなど)と相性が良い手法です。

問い合わせフォームと連携して、会社案内や商品・サービスのPDFを送付することもできます。

▶︎パンフレットのマーケティング活用については、関連記事【商品やサービスが売れるパンフレットを作るポイントと有効活用方法】もあわせて参考にしてください。

◉-2、効果測定・分析を行いPDCAを回す

現代は顧客のニーズが多様化しているので「この施策を実施すれば必ず成果が出る」というものではありません。

そのため、仮説を立ててマーケティング施策を実施し、その施策の効果測定や分析を行って次に活かすというPDCAサイクルを回すことが重要です。

具体的には、施策の実施前にペルソナを設定してカスタマージャーニーを作り、仮説を立て、効果を検証する、という一連のPDCAサイクルを高速で回し続けることが唯一の成功の秘訣です。

◉-3、アナログマーケティングもデジタル施策を見据えて実施する

パンフレットは紙の印刷物なのでリアルに配布するだけで良いという「アナログに固執した発想」ではなく、パンフレットをPDF化して「デジタル媒体として活用」することも考えましょう。

PDF化すれば、HPやSNSに掲載してアナログ情報の二次活用ができます。

アナログとデジタルの連携を見据えてデザインや構成、導線などを検討しましょう。

◉アナログマーケティング×デジタルマーケティングの成功事例

アナログマーケティングとデジタルマーケティングの組み合わせによる成功事例をいくつかご紹介します。

◉-1、成功事例1:不動産投資会社

不動産投資サービスを行っている会社の経営者は、高収入ながらも多額の税金を払っている医師をターゲットとして「高収入な医師に最も効果的な節税対策は不動産投資である」という書籍を出版。

書籍の企画段階から、SNSなどを利用したデジタルプロモーションの検討を行い、書籍の出版に合わせて実施しました。

出版直後からその成果が表れて、書籍を購入して読んだ医師からの問い合わせにつながったそうです。

書籍の中で、高収入な医師の悩みとして高額な税金があること、最も効果的な節税対策が不動産投資であることなどを詳しく説明していたので、問い合わせの段階で顧客教育が十分行われており、ほぼ100%が成約につながるという圧倒的な成果をあげることができました。

さらに、既存顧客から知り合いの医師への口コミや書籍の配布などによって評判が広がり、新規顧客を獲得することもできました。

◉【まとめ】デジタル全盛期だからこそ、アナログマーケティング戦略を見直そう!

この記事では、アナログマーケティングとデジタルマーケティングの違い、アナログマーケティングが重要な理由、アナログマーケティングで成果を出すにはどうすれば良いのかなどについて、事例をあげて詳しく解説しました。

デジタル全盛の今だからこそ、アナログマーケティングを見直すべきであり、デジタルとアナログを組み合わせたマーケティング戦略を採用すべきです。

フォーウェイは、書籍やパンフレットなどのアナログマーケティングとデジタルマーケティングの融合が得意なコンテンツマーケティング会社です。

デジタルと連携したアナログマーケティング施策なら、フォーウェイにお任せください。

新規見込み顧客の獲得は企業の生命線と言っても良いほど、重要な課題です。

「顧客獲得がうまくいきすぎて悩む」というよりも「新規見込み顧客の獲得がうまくいかない」という課題を持っている方のほうが多いのではないでしょうか。

立ち上げたばかりで顧客獲得基盤が全くできていない企業はもちろんのこと、事業の拡大や刷新、改善、新規事業の立ち上げのタイミングでも、新規見込み顧客の獲得は課題となってきます。

そこで本記事では、新規見込み顧客の獲得に悩んだら検討すべき19の方法について詳しく解説していきます。

自社の新規見込み顧客の獲得に合いそうなものを実施できないか検討してみてください。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

◉新規見込み顧客を獲得する方法は大きく2つ

新規見込み顧客を獲得するアプローチ方法は、大きく「プル型」と「プッシュ型」に分けることができます。

それぞれどのような施策なのかを、くわしく見ていきましょう。

◉-1、プル型

プル型はWebサイトやSNSなどに商品やサービスの情報を発信して、ターゲットからの問い合わせを待つタイプのアプローチ方法です。

効率的な見込み顧客獲得の仕組みをつくることによって、人が動かなくても多くの顧客にアプローチできるというメリットがある一方で、プッシュ型に比べて売上が上がるまでに時間がかかるというデメリットがあります。

◉-2、プッシュ型

プッシュ型はターゲットに商品やサービスを積極的に提案して新規見込み顧客の獲得につなげるアプローチ方法です。

すぐに売上があがりやすいという即効性が大きなメリットですが、人件費や手間がかかるというデメリットがあります。

人が動かないと継続的な見込み顧客の獲得にはつながりません。

◉プル型の新規見込み顧客獲得手法

プル型の新規見込み顧客獲得の手法には以下のようなものがありますが、かけられる予算にも限りがあります。

・Web広告
・SEO対策(コンテンツマーケティング)
・SNS運用
・メルマガ運用
・インフルエンサーマーケティング
・MEO対策(GoogleMap)
・企業出版(ブックマーケティング)
・プレスリリース
・セミナー開催
・展示会への出展
・新聞折り込み広告
・新聞・雑誌広告
・パンフレット
・異業種交流会への参加

「いずれかの手法をやれば必ず効果が出る」というものではないので、それぞれの手法の特徴や得意・不得意を押さえた上で、優先順位やタイミング、予算配分などを検討して実施する必要があります。

◉-1、Web広告

Web広告は検索時に表示される広告やSNS広告などのインターネット上のメディアに表示される広告です。

年齢や性別など、特定のターゲットに向けて効率良く広告を配信できることや、Web広告の閲覧数やクリック数、成約数などのデータを分析して改善が素早くできるのが特徴。

Web広告と言っても、どこにどのように広告を表示するのかによって次のような種類があり、ターゲットや商材によって使い分けることが成果をあげるポイントです。

・リスティング広告
・ディスプレイ広告
・SNS広告(X、Meta、TikTok、Instagram、LINEなど)
・アフィリエイト広告
・記事広告
・動画広告
・メール広告

Web上での問い合わせや販売が可能な商品全般で活用されている新規見込み顧客獲得手法ですが、Web広告ではほとんど成約しないような商材もあるので、「自社の商品・サービスでWeb広告をして問い合わせや購入につながるか?」をしっかりと確認しましょう。

◉-2、SEO対策(コンテンツマーケティング)

SEO対策(コンテンツマーケティング)は検索をした際に、自社のWebサイトを検索結果の上位に表示させる手法です。

多くの顧客は商品やサービスを購入する前に、色々と検索して情報収集をしたり、比較検討をします。

そのため、ターゲットが検索するようなキーワードで上位に表示されると、自然と自社サイトを訪れるような仕組みが出来上がるのです。

中長期的に安定した問い合わせや顧客リストが獲得できることがメリットですが、即効性のある集客は不得意です。

SEO対策を始めてから成果が出るまでには最低でも6ヶ月~1年以上かかります。

初期投資が必要なため、広告やSNSなどである程度集客ができている企業が、将来的な広告費削減を見込んで、次の新規見込み顧客獲得手段として選ぶのがおすすめです。

▶︎SEO対策については、関連記事【SEO対策とは? 効果的な戦略の組み立て方と対策方法】もあわせて参考にしてください。

◉-2-1、オウンドメディア運用

オウンドメディア運用は、企業が自社で情報発信メディアを所有して運用することで新規見込み顧客を獲得していく手法です。

主に公式Webサイト上のブログやコラム、企業が運営する別メディアなどがオウンドメディアに該当します。

自社の意思によって自由に情報発信やコンテンツの蓄積ができ、SNSやブログサービスのように他の会社のサービスを利用している訳ではないので、第三者に勝手に削除されないという特徴があります。

◉-3、SNS運用

SNS運用は、SNSで情報を発信し、顧客(フォロワー)との間で双方向のコミュニケーションを取りながらマーケティングを行うことです。

よく利用されるSNSには、X(旧Twitter)、Facebook、Instagram、LINE、YouTubeなどがあり、利用するユーザー層や発信方法などが異なります。

そのため、ターゲットの年代や性別などによって適切なSNSを選ぶ必要があります。

SNSは拡散性が高い上、GoogleやYahoo!などの検索エンジンではなくSNSで検索する方も増えているので、うまく運用すれば多くの新規見込み顧客の獲得が期待できます。

得意なことはトレンド性や即時性のある情報発信で、不得意なことは情報の寿命が短く情報の保存性が低いことです。

▶︎SEO対策については、関連記事【SNS運用のやり方をとことん解説|フォロワーを集めてビジネスに繋げる成功法則とは?】もあわせて参考にしてください。

◉-4、メルマガ運用(メールマーケティング)

メルマガ運用(メールマーケティング)は、自社のWebサイトを訪れて会員登録や資料請求をしてくれた顧客に対して、メールで定期的に情報発信を行う手法です。

比較的低コストで運用できるので、中小企業でも取り組みやすいのが特徴です。

定期的なメルマガ配信によって顧客とのつながりを維持したり、役立つ情報などを配信して購入意欲を高めたりすることができます。

BtoB向けの場合は、新規見込み顧客獲得だけではなく顧客教育のために利用するなども有効です。

ただし、こちら側からの一方的な発信になってしまうため、SNSのように双方向のコミュニケーションができないのがデメリットと言えるでしょう。

◉-5、インフルエンサーマーケティング

インフルエンサーマーケティングは、SNS上で大きな影響力をもつインフルエンサーに商品やサービスの良い口コミをしてもらって顧客の認知獲得や購買につなげる手法です。

インフルエンサーとは主にSNS上で世間に対して影響を与えるような情報発信をする人のことです。

たとえば、YouTuberなどのことをインフルエンサーと呼びます。

企業からの直接的な情報発信ではなく、消費者目線のインフルエンサーによる情報発信なので、広告臭がなく顧客からの共感や信頼が得られやすくなります。

ただし、近年のステルスマーケティング規制の強化により、「これは広告である」ということを伝えないと違法になってしまい取締の対象になってしまうので注意しましょう。

得意なのはSNSネイティブ世代の女性向けのコスメ、ファッション、グルメなどで、不得意なのはSNSを利用する機会が少ない世代向けの商材です。

◉-6、MEO対策(GoogleMap)

MEO対策はGoogleマップで地図検索をしたときに、自社店舗の情報を検索結果の上位に表示させるとともに、魅力などをアピールして店舗の集客に結びつける手法です。

地図検索の結果で上位に表示されると認知度が向上して来店数は増加しますが、売上に結び付けるためにはその店舗やサービスの魅力を向上させる必要があります。

得意なのは実店舗がある業種や地域密着型のサービス業などで、具体的には飲食店、小売店、美容院、病院や薬局などの医療機関、など地域のサービス業者などです。

また、緊急対応の必要がある水道修理や害虫駆除、鍵の修理などの見込み顧客獲得にも有効です。

不得意なのは実店舗を持たない業種やBtoBがメインの業種です。

◉-7、企業出版(ブックマーケティング)

企業出版(ブックマーケティング)は書籍をマーケティングに活用する手法です。

書籍を出版して全国の各書店に配本するだけ(企業出版)でも一定の社会的信頼性を高め、認知向上やブランディングに効果があります。

書店に配本するだけではなく、SNS運用やクラウドファンディング、出版記念イベント企画、SEO対策などさまざまなマーケティング施策を駆使して、ターゲットの手元に書籍をより届けていくことで新規見込み顧客獲得につなげる手法がブックマーケティングです。

商品やサービスの紹介だけではなく、その必要性や効果、企業の保有技術や実績、取り組みなどをストーリーとしてまとめて一冊の書籍にして顧客に届けることができるので、顧客教育ができたり、成約までのリードタイムの短縮なども期待できます。

BtoBの高単価商材・サービスや、不動産、住宅、保険など成約までに顧客教育が必要であり、リードタイムが長くなりがちな業種の企業に向く手法です。

実際にコンビニよりも数が多いことから差別化が難しいとされている保険代理店でブックマーケティングを実施したところ、同業種からのコンサル依頼や、講演依頼、大型の法人保険契約が決まったり、新たな新規見込み顧客の獲得につながっています。

すごいことになっています。出版直後から反響があり、時間が経つほどに色んな出来事が起こっていますね。
本来の出版目的であった、同業の保険代理店からのコンサル依頼がまず数件。そして驚いたのは、保険会社から講演の依頼が来たり同業支援の話が回ってきたりと、「保険会社にとって頼れる代理店」というありがたいイメージを持ってもらえるようになったことです。
保険代理店はコンビニより数が多いうえ、扱う商品で差別化ができません。保険会社側から一目置いてもらえる代理店になることの価値はとても大きいんです。
引用元:【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店

▶︎ブックマーケティングついては、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。

◉-8、プレスリリース

プレスリリースは企業が、TV、ラジオ、新聞、雑誌、Webメディアなど報道機関に向けて行う公式な情報発信です。

プレスリリースの目的はメディアに取り上げられて記事にされたり、番組などで特集してもらうことで、内容は新商品や新サービスの発表や業績報告・業務提携・キャンペーンの案内などが主です。

従来はメディアに対してFAXや郵送で送っていましたが、近年ではWebメディアなどを中心にメール送信を希望するメディアが増えています。

時代性や流行に合った商品・サービスなどはメディアに取り上げられやすい傾向があるため、どのような切り口でプレスリリースを打つのかがポイントとなります。

◉-9、セミナー開催

自社の商品やサービスに関連するテーマで受講者を集めて、新規見込み顧客を獲得する手法です。

商品やサービスの紹介というテーマでは受講者は集まらないので、自社の商品やサービスに関連する悩みの解決方法のセミナーを開催することがポイントです。

テーマに興味を持つ新規見込み顧客と直接会うことができ、セミナー後に無料の個別相談会などを開いて商談にもつなげることができます。

得意なことはテーマに興味のある新規見込み顧客を集客できることですが、リアルな場で行うセミナーの場合はアクセスできる比較的狭い範囲の顧客に限られますので、大きな集客効果を得ることは不得意です。

一方でZoomをはじめとしたオンライン会議システムなどを活用して行うWebセミナーの場合は、場所を選ばずに参加できるため大きな集客効果を得ることが得意ですが、リアル開催のセミナーのように臨場感がないため、成約率が低くなる傾向があります。

◉-10、展示会への出展

展示会は、特定のテーマや業種に関する企業が出展して、新規見込み顧客と名刺交換をしたり直接情報交換をしたりする場で、最近ではオンライン展示会も開催されています。

展示会中に商談ができたり、展示会終了後に名刺をリスト化して優先順位をつけてアプローチすることができます。

特定のテーマや課題解決に関心のある新規見込み顧客を短期間に獲得できるのがメリットです。

◉-11、新聞折り込み広告

新聞折り込み広告は、その名の通り、新聞に折り込んで新聞の定期購読者に配布されるマス広告です。

主に一枚の紙の片面や両面に印刷されたチラシで、記載できる情報量は限られていますが、配布日やエリアを細かく指定して配布することができます。

得意なのは配布エリア内にある店舗や、地域性のある商品・サービスの広告やキャンペーン・イベント情報の告知などです。

◉-12、新聞・雑誌広告

新聞・雑誌広告は新聞や雑誌の広告枠に印刷されたマス広告です。

新聞広告は新聞の購読者に見てもらいやすく、雑誌広告はターゲットが良く購読する雑誌を選べば、特定のターゲットに効率よく情報を届けることができます。

新聞広告が得意とするのは新聞の読者層に響くような商品・サービスの広告で、不得意なのは若年層などをターゲットとした商品・サービスの広告や、ニッチなターゲット向けの広告です。

一方、雑誌広告が得意とするのはその雑誌を購読している特定のターゲットにアプローチすることです。

雑誌は新聞と違い、制作から発行までにある程度時間がかかるため、即時性を必要とする広告には不向きと言えるでしょう。

◉-13、パンフレット

パンフレットは複数枚の紙を折り曲げて重ねて冊子にした印刷物です。

会社案内や製品・サービスの詳細な紹介など伝えたい情報量が多い用途に利用されます。

実体のある紙の冊子なので信頼性が高く、紙質などによって高級感を与えることができたり、デジタルが苦手な高齢世代にも情報を届けることができるなどの特徴があります。

最近ではパンフレットをPDF化してWebサイトやSNSなどで顧客に配布するケースもあります。

主に老人ホームや介護施設、大学や学習塾など比較検討が必要な高額商品・サービス、相見積もりなどが当たり前の建設業や製造業などの新規見込み顧客獲得に向いている媒体です。

▶︎パンフレットついては、関連記事【出版社クオリティのパンフレット制作】もあわせて参考にしてください。

◉-14、異業種交流会への参加

異業種交流会は名前の通り異なる業種の人が集まって親睦を深めたり情報交換をしたりする会議・勉強会・パーティーなどの会合です。

主な目的は人脈形成と情報交換で、他業種の人から違う考え方や気づきを得ることができたり、新商品の共同開発につながったりするケースもあります。

得意なことは異なる業種の人との情報交換や人脈作りです。

まずは参加者との信頼関係を築く必要があるため、すぐに自身のビジネスや新規見込み顧客獲得にはつながりにくい傾向があります。

◉プッシュ型の新規見込み顧客獲得手法

プッシュ型の新規見込み顧客獲得の手法には以下のようなものがあります。

・テレアポ
・フォーム営業(フォームアプローチ)
・SNS営業
・DM(ダイレクトメール)
・メール送付

プル型と同様に、その手法をやれば必ず効果が出るというわけではなく、それぞれの手法の特徴や得意・不得意を押さえた上で、対象となる商品・サービス、タイミングなどを検討して実施する必要があります。

◉-1、テレアポ

テレアポは電話をリストに対してかけ、ターゲットの企業や個人などとアポイントメント(会う約束)を取る手法で、多くの企業で行われています。

うまくアポが取れればその後営業マンが商談を行い短期間で成約につながる可能性があるため、新規見込み顧客獲得や売上につながりやすいのがメリットです。

▶︎テレアポついては、関連記事【テレアポは時代遅れ! マーケティング活況時代の非対面営業戦略】もあわせて参考にしてください。

◉-2、フォーム営業(フォームアプローチ)

フォーム営業とは顧客企業のHPの問い合わせフォームからアプローチをする手法です。

一般的に総合窓口からメッセージを送り、顧客企業内で担当部署に振り分けられてレスポンスが返ってくることによってアプローチが成立します。

送信した内容はほぼ確実に確認されるはずですが、その後レスポンスが返ってくるかどうかは不確実です。

基本的に無視されると思っていた方が良いでしょう。

得意なのは認知拡大やアプローチ増加によって販売数が増えるような商材で、不得意なのは顧客からの信用が第一であるような商材、長年の付き合いが重視される商材などです。

これは、フォーム営業は顧客から悪い印象を持たれるケースがあるためです。

◉-3、SNS営業

SNS営業はソーシャルセリングとも言われる手法で、SNSを介して1対1でアプローチして信頼関係を深めていくのが特徴です。

BtoCだけでなくBtoBにも対応でき導入コストもランニングコストも特にかかりません。

得意なことはターゲットにダイレクトにアプローチできること、リモートワークにも対応できることなどです。

効果が得られるまでに時間がかかりますので即効性を狙う営業は不得意です。

◉-4、DM(ダイレクトメール)

DM(ダイレクトメール)は企業が広告を目的として、ターゲットに郵送や電子メールで情報発信する手法です。

郵送の場合は形のあるパンフレットなどが顧客に届くので、認知されやすくレスポンスも良いという特徴がありますが、コストや手間がかかるというデメリットもあります。

不動産や車などの高単価商品、冠婚葬祭業、高級ホテル・旅館など、DMが送付されてくることに対して顧客が特別感を感じるような業種、商品・サービスに有効な手法です。

一方でDMを送付するコストに見合わないような薄利多売のビジネスモデルや、低単価の商品などには不向きなので注意しましょう。

◉-5、メール送付

メール送付はメルマガとは異なり、既存顧客や顧客一人ひとりにメールを送信してコミュニケーションを行う手法です。

メールの内容は商品やサービスの購入に対するお礼や関連する商品の紹介、キャンペーン情報などで、既存顧客へのアプローチを最も得意としますが、ターゲティングされた見込み顧客のメールアドレスリストや属性情報があれば新規見込み顧客獲得にも利用できます。

不得意なのはメールを見る暇がないような業態の顧客へのアプローチです。

注意点としては、開封されなかったり迷惑メールと判断されてサーバー側でブロックされたりすることがありますので開封率が高いとは言えないことです。

◉ただやるだけではダメ!新規見込み顧客を1人でも多く獲得するために重要なポイント

ひと昔前までは前述のプル型の施策やプッシュ型の施策をやるだけで成果を出すことができました。

しかし現在では顧客の目が肥えてきたため、さまざまな工夫をしていかないと成果が出せないのが実情です。

成果を出していくためには主に次のようなポイントを押さえた上で今回ご紹介した新規見込み顧客獲得方法を実施していきましょう。

◉-1、プル型とプッシュ型の連携・情報共有

プル型は人が動かなくても集客できる仕組みが強みで、プッシュ型は即効性が強みです。

最大の成果を出すためには、どちらかをやれば良いという訳ではなく、プル型とプッシュ型をうまく連携させて情報を共有していくことが重要です。

◉-2、デジタル施策とアナログ施策の連携

情報発信する際にデジタルとアナログをうまく組み合わせることによって効果を上げることができます。

企業におけるデジタル・アナログ組み合わせ施策の実施状況について、日経BPコンサルティングが2018年2月に実施した「デジタル・アナログ領域のマーケティング施策実態調査(第4回)」結果によれば、次表のように年々増加傾向にあることが分かります。

調査年月デジタル・アナログ組み合わせ施策を実施している企業の割合
2016年3月29.1%
2017年3月31.5%
2018年3月35.5%

また、デジタル・アナログ組み合わせ施策の効果については、リコーが行った「実証実験」の結果によって、次表のような結果が得られています。

検証ケースeメール開封率Webサイト遷移率
eメールのみを送付した場合13.8%1.5%
eメール送付後に紙のDMを送付した場合75.8%(5.5倍)4.4%(3.4倍)

eメールのみを送付した場合の開封率が13.8%、Webサイト遷移率が1.5%だったのに対して、eメール送付後に紙のDMを送付した場合は、開封率が5.5倍の75.8%に、Webサイト遷移率が3.4倍の4.4%に、と大幅に向上しています。

つまりデジタルとアナログをうまく組み合わせる方が、より大きな成果につながりやすいということです。

実際にデジタルとアナログの施策をうまく連携させ成果をあげている事例をいくつかご紹介します。

◉-2-1、成功事例1:デジタルマーケティング施策と書籍により売上倍増

不動産投資サービス業の会社経営者は医師をターゲットとして「高収入な医師に最も効果的な節税対策は不動産投資である」という書籍を出版。

書籍の企画段階からSNSなどのデジタルマーケティング施策の検討を行い、出版タイミングに合わせて実施しました。

デジタルとアナログの良さを活かしたマーケティング施策を行ったことで、狙い通りに多くの医師に書籍を購入してもらい不動産投資の節税効果を理解してもらうことに成功。

結果として、書籍を購入した医師から成約を獲得して売上を倍増させることや、既存顧客からの口コミで評判が広がり、新規見込み顧客の獲得にもつながっています。

◉-2-2、成功事例2:デジタル施策とアナログ施策の連携で大口契約獲得

保険代理店の会社経営者は保険業界の実態と保険業界に定着している「成果報酬型」の給与体系を「一律報酬型」に変えることによって業績向上ができるという内容の書籍を出版。

従来からSNSでの情報発信などを行っていましたが、1つ上のステージに上がることを目指して書籍を出版したところ、デジタルとアナログをうまく活用したマーケティング施策により、大口の企業案件の契約獲得につながりました。

また、社内人材の定着や講演活動への招へいの増加、商談もある程度ホットな状態から進められるなどさまざまな良い影響が出ています。

◉【まとめ】新規見込み顧客の獲得は戦略的に!

本記事では新規見込み顧客を獲得するアプローチ方法が「プル型」と「プッシュ型」に分けられることを説明し、具体的に「プル型」の14の手法と「プッシュ型」の5つの手法を紹介しました。

顧客の目が肥えてしまい、ひと昔前よりも新規見込み顧客獲得の難易度は上がっています。

そんな中、新規見込み顧客を1人でも多く獲得していくためには、「プル型とプッシュ型の連携」や「デジタル施策とアナログ施策の連携」が特に重要です。

フォーウェイは、アナログ施策の「企業出版(ブックマーケティング)」や「パンフレット」などとデジタル施策の「SNS」「SEO対策」「Web広告」などを連携した新規見込み顧客獲得のサポートを得意としています。

「今現在行っている方法ではなかなかうまく顧客獲得につながらない…」「色々と試行錯誤してやっているが、どのような方法を活用すれば良いのかが分からない…」など、新規見込み顧客の獲得に戦略的に取り組みたいと思っている方は、フォーウェイまでご相談ください。

ブックマーケティング

建設・建築業の会社で「なかなか契約や発注につながらない」と悩んでいる方もいらっしゃると思います。

デジタルマーケティング施策や営業手法などももちろん見直すべきことではありますが、その前にまず再検討しておきたいのが会社案内パンフレットです。

なぜなら、会社案内のパンフレットは、発注元企業における会社選びの際に「この会社に安心して任せられるかどうか」を判断する重要なツールの1つとなっているからです。

会社案内のパンフレットは、単なる会社案内資料ではありません。

今回は、契約や発注につながる建設・建築業の会社案内パンフレットを作るためには、どのような工夫をすべきなのか、活用方法などとともに解説いたします。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
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慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

◉建設・建築業で会社案内のパンフレットが必要な理由

建設・建築業の会社は、主に施主などの発注元企業から工事を受注する必要があり、その前段階として見積依頼に対して見積書を提出しなければなりません。

建設・建築業界には相見積もりを取る慣習があるので、相見積もりの依頼先に選定されて見積書を提出し、比較検討のうえ発注先に選定されなければ受注することはできません。

発注元企業では、相見積もりが揃ったら価格だけではなく工期やその会社の施工実績、信頼性などを総合的に比較検討して発注先を決めます。

このときに、会社案内パンフレットを並べて比較検討することもあるので、建設・建築業界では会社案内パンフレットは非常に重要なものとなっているのです。

建設・建築業で会社案内パンフレットが必要な理由をまとめると、以下のようになります。

・主な顧客が企業であるため
・顧客との信頼関係の構築が重要なため
・安心・信用して工事を発注してもらうため
・事業内容を明確に伝える必要があるため
・常に採用活動が必要な業種であるため

それぞれについて、くわしく見ていきましょう。

◉-1、主な顧客が企業であるため

発注元企業は、新しい発注先を探す際、多くの建設・建築業を営む会社の中から見積依頼先や発注先を選定します。

発注元企業が見積依頼先や発注先を選ぶ際には、紙媒体の会社案内パンフレットを並べて内容確認したり比較検討したりすることが多く、建設・建築業にとって会社案内パンフレットは仕事を取る上で重要なのです。

◉-2、顧客との信頼関係の構築が重要なため

一般的に、紙媒体のパンフレットの方がネット上の情報よりも信頼性が高いとされます。

これは紙媒体の情報の方が制作の手間や費用がかかっているからであり、発注元企業から「会社案内パンフレットを作っているしっかりとした会社だ」という印象を持ってもらえて、信頼関係構築のきっかけになります。

また、営業活動の際などに発注元企業のキーマンに会社案内パンフレットを手渡しして内容を説明し、信頼関係構築のきっかけとすることも可能です。

◉-3、安心・信用して工事を発注してもらうため

現代ではインターネットやスマホが広く普及していますが、紙媒体の会社案内パンフレットの方が、ネット上の情報よりも一覧性が良いことも理由の一つです。

建設・建築業の発注元企業は「工事を安心して任せられる会社」に発注したいと考えているので、パッと見てその会社の事業内容や工事実績などが分かることは重要です。

紙媒体の会社案内パンフレットがあれば、安心・信用して工事を発注してもらいやすくなります。

◉-4、事業内容を明確に伝える必要があるため

一口に建設・建築業といっても、実際には次表のように2種類の一式工事と27種類の専門工事に分かれており、建設業法で許可を受けた工事のみを施工することができます。

種類事業内容(施工できる工事内容)
土木一式工事道路・トンネル・橋梁・ダム・護岸などの工事
建築一式工事戸建住宅・マンション・店舗・ビル・公共施設などの建築
27種類の専門工事大工、左官、とび・土工、石、屋根、電気、管、タイル・れんが・ブロック、鋼構造物、鉄筋、ほ装、しゅんせつ、板金、ガラス、塗装、防水、内装仕上、機械器具設置、熱絶縁、電気通信、造園、さく井、建具、水道施設、消防施設、清掃施設、解体の各工事

そのため、会社案内パンフレットでは、自社は建設業法のどの許可を受けていて、どの工事を施工できるのかを明確にしておく必要があります。

また、実際の営業活動では、工事現場の事務所で工事監督の方と接することがありますが、相手も多忙なのでiPadの動画で説明するなどというようなことはできず、会社案内パンフレットで説明するのが精いっぱいという実情もあります。

◉-5、常に採用活動が必要な業種であるため

建設・建築業では、急に人手が必要になって採用活動をしなければならなくなることがよくあります。

このような急な採用時にもすぐに配布できる資料として、会社案内パンフレットは非常に便利です。

採用活動で会社案内パンフレットを使うことを考えて、「社員が元気に働いている様子が分かる写真」や「社員インタビューの内容」などを入れておくことも大切です。

▶建設業のブランディングについてより詳しく知りたい方は、関連記事【建設業にブランディングは必要なのか? その効果と適した手法を解説】もあわせて参考にしてください。

◉発注や採用につながる!建設・建築業の会社案内のパンフレットを作るコツ

建設・建築業では、会社案内パンフレットが発注の決め手になることが多いということを意識して作る必要があります。

単なる会社説明資料という観点ではなく、「どうしたら発注元企業に発注したいと思ってもらえるか」「どういう項目を入れたら工事を安心して任せられる会社と思ってもらえるか」を意識して会社案内パンフレットを制作することが大切です。

発注や採用につながる会社案内パンフレットを作るためのコツは次の通りです。

・顧客が建設・建築業者の比較検討
・発注のために必要な項目を分かりやすく入れる
・問い合わせにつながる導線を分かりやすく入れる
・お客様の声など第三者目線を入れる
・自社の施工実績を入れる
・デジタルマーケティング施策への活用も見据えて制作する
・コンテンツマーケティングができるパンフレット制作会社に依頼する
・採用活動に使う会社案内パンフレットは別で作る

それぞれについて、くわしく見ていきましょう。

◉-1、顧客が建設・建築業者の比較検討・発注のために必要な項目を分かりやすく入れる

顧客(発注元企業)が発注先を決めるときに「どのような項目をみて発注先を決めているのか」から逆算して、その項目を分かりやすく入れておく必要があります。

自社で実施できる具体的な工事内容や工事実績、主な取引先など、判断基準になりそうな項目を入れておくようにしましょう。

特に規模の大きな工事実績や、いわゆるスーパーゼネコンなどから安定して工事を受注できているということが記載されていると、「安心して工事を任せられる会社」だと判断してもらえる可能性が高くなります。

◉-2、問い合わせにつながる導線を分かりやすく入れる

会社案内パンフレットには、電話番号やメールアドレスを分かりやすく明記しておくことはもちろんですが、自社のHPに飛べるようなQRコードを入れておくことも大切です。

会社案内パンフレットを見て発注元企業が電話したりメールしたりすることも考えられますし、Webサイトを確認するようなこともあるので、問い合わせにつながるような導線を分かりやすく入れておくようにしましょう。

◉-3、お客様の声など第三者目線を入れる

自社目線の一方的な会社案内パンフレットになっていると、信頼性が低くなってしまうので、自社以外の第三者目線を入れることが重要です。

たとえば、発注元へのインタビュー内容などの第三者の情報を入れることによって、施工実績などの説得力や信頼感を向上させることができます。

◉-4、自社の施工実績を入れる

自社の施工実績を明記しておくことは非常に重要です。

過去にどのような規模のどのような工事を施工した実績があるのかが分かると、発注元企業が発注先を選定する際の大きな根拠となります。

発注元企業にも「この会社は以前同じような工事を施工したことがあるようだから安心してお願いできそう」と思ってもらいやすくなるでしょう。

施工実績を記載する際に注意すべきことは、できる限り具体的に書くことです。

自社でどのような範囲で何の工事を担当したのかなどが分かるように書くことが重要です。

◉-5、デジタルマーケティング施策への活用も見据えて制作する

会社案内パンフレットは紙媒体のアナログマーケティング施策で、発注元企業が発注先を決める際の重要な参考資料となります。

しかし、せっかく制作するのですから、デジタルマーケティング施策への活用も見据えて制作しましょう。

たとえば、会社案内パンフレットはWebマーケティングやインサイドセールスなどに積極的に活用することが可能です。

会社案内パンフレットを、工事の発注元となる可能性のある企業に送るだけではなく、デジタルマーケティングに活用することを考えた構成や内容にすることが重要です

◉-6、コンテンツマーケティングができるパンフレット制作会社に依頼する

どうせパンフレットを制作するのであれば、パンフレット制作だけをやっている会社よりも、パンフレット・書籍・記事などのコンテンツをマーケティングに有効活用するサポートをしてくれる会社に依頼することをおすすめします。

契約や発注の増加などを狙うのであれば、コンテンツマーケティングができるプロに依頼した方が良いでしょう。

◉-7、採用活動に使う会社案内パンフレットは別で作る

採用活動に使う会社案内パンフレットは、営業活動に使う会社案内パンフレットと別に作ることが理想的です。

しかし、予算的なこともあるので、両方を兼ねたパンフレットにすることもできます。

または、採用活動に使う「社員が元気に働いている様子が分かる写真」や「社員インタビューの内容」などだけを別のリーフレットとして制作し、採用活動の際は会社案内パンフレットと採用リーフレットを渡すようにする方法も考えられます。

これについては、会社によって考え方も違うと思われるので、ケースバイケースでの検討が必要です。

◉ただ作るだけではダメ!積極的にターゲットに配布してこそ成果につながる!

会社案内パンフレットをただ作るだけでは効果を発揮することはできません。

せっかく手間や費用をかけて作るのですから、1件でも多くの受注や契約につながるような活用をしなければ、かかった制作費用をペイすることはできません。

会社案内パンフレットの活用方法としては、次のようなものが考えられます。

・PDF化してWeb上でも配布する
・ターゲットリスト先に配布する
・フォーム営業などに活用する
・会社案内のパンフレットの一部をHPやSNSなどで活用する
・デジタルマーケティングに活用する

それぞれについてくわしく見ていきましょう。

◉-1、PDF化してWeb上でも配布する

会社案内パンフレットは紙媒体のアナログマーケティングのツールですが、PDF化することによってデジタルマーケティングのツールとして活用することができます。

たとえば、PDF化した会社案内パンフレットを自社の公式Web上でも配布するようなことが考えられます。

◉-2、ターゲットリスト先に配布する

先述したように、建設・建築業界では発注元企業が発注先を決める際に、会社案内パンフレットを並べて比較検討することが多いという実情があるため、発注元となる可能性のある企業に予め会社案内パンフレットを配布しておくなどが有効です。

既存の取引先やパートナー企業はもちろんのこと、今後工事の発注元となる可能性があるターゲットの企業には、各種のリストなどをもとに配布しておきましょう。

会社案内パンフレットを送付しておくことによって認知を獲得して、今後見積依頼を受けたり発注してもらえたりする可能性が出てきます。

◉-3、フォーム営業などに活用する

フォーム営業とは企業HPの問い合わせフォームからメッセージを送ってアプローチする営業手法で、相手企業の担当部署や担当者と面識がない場合に利用されます。

建設・建築業界では、電話やFAXが主要な連絡手段となっていると言われているので、必ずしも成果に直結するかどうかはわかりませんが、送信したメッセージが相手企業内で担当部署に振り分けられてレスポンスが返ってくる可能性もあります。

レスポンスが返ってきたらすぐに返信をするとともに、アポを取って会社案内パンフレットを持参して訪問するようにしましょう。

◉-4、会社案内パンフレットの一部をHPやSNSなどで活用する

会社案内パンフレットに掲載された内容の著作権は自社にあるので、その一部をキャプチャしてHPやSNSなどで活用することができます。

これによって、会社案内パンフレットを直接受け取っていないターゲットに自社の情報を届けることができ、認知の獲得などにつながります。

◉-5、デジタルマーケティングに活用する

マーケティング効果を高めるためには、「接触時間×接触頻度」を最大化することが必要で、「接触時間」が長いのはパンフレットなどのアナログですが、「接触頻度」を上げるのはデジタルが効果的です。

建設・建築業界でも、アナログとデジタルをうまく連携させることによってマーケティング効果を高めることができるはずです。

アナログとデジタルを組み合わせることによって、より多くのターゲットに配布することが可能になります。

◉【まとめ】成果につながる会社案内パンフレットを制作しよう!

本記事では、建設・建築業で会社案内パンフレットが必要な理由、発注や採用につながる会社案内パンフレットを作るコツ、成果につながる活用方法などについて解説しました。

デジタルによるWeb広告やSNSなどが主流となっている現代ですが、アナログなツールの一つであるパンフレットには、ターゲットに手渡しができて、見てもらえて、読んでもらえるという大きな特徴があります。

これまでに取引の実績はないものの、発注元となる可能性のある企業に会社案内パンフレットを配布しておくことによって、見積もり依頼を受けたり発注してもらえる可能性が高くなります。

それなりの費用をかけて制作するパンフレットなのですから、成果につながる会社案内パンフレットを作りましょう。

会社案内パンフレットの制作や活用をお考えの方は、フォーウェイまでご相談ください。

パンフレット

老人ホームや介護施設の入居者の集客に、紙媒体のパンフレットを使っている運営会社は多いと思います。

そんな中で、「パンフレットを作っているけれど、なかなか集客や入居に結びつかない」という悩みを持つ広告・広報・営業担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、集客や入居につながりやすい老人ホームや介護施設のパンフレットを制作するためにはどうすれば良いか、そのコツを活用方法と合わせて解説いたします。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
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慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

◉老人ホーム・介護施設の集客にパンフレットが有効な理由

老人ホームや介護施設の入居者の集客に紙媒体のパンフレットが有効な理由は、主に次の3点です。

・紙媒体の方が親族などと一緒に比較検討しやすいため
・入居するための費用が高額なため
・資料請求や見学をしてから決める人が多いため

それぞれの理由について、くわしく見ていきましょう。

◉-1、紙媒体の方が親族などと一緒に比較検討しやすいため

老人ホームや介護施設を選ぶ際には、入居候補者が家族や親族と一緒に比較検討しながら選ぶことが多いと考えられます。

その際に、スマホやPCにデジタル表示された情報を見比べるよりは、紙媒体のパンフレットを並べて見比べた方が断然見やすいはずです。

これは、老眼などで目が見えにくくなった高齢者だからというわけではなく、複数のページに渡る情報を見比べるには、パンフレットの方が便利だからです。

このような理由から、デジタル技術全盛とはいっても、紙媒体のパンフレットが必要とされます。

◉-2、入居するための費用が高額なため

老人ホームや介護施設の入居費用が高額であることや、自分の親が入居して生活を任せることになるという責任感から、子どもが一緒にパンフレットを見て検討するケースが多いのが実情です。

その際に、紙媒体のパンフレットがあると、しっかりとした施設だという安心感や堅実さが伝わります。

必要な情報を伝えるだけであれば、Webサイトなどに掲載された情報だけで十分ですが、老人ホームや介護施設という特性上、パンフレットから安心感や清潔感、堅実さが伝われば選ばれる可能性が高くなります。

◉-3、資料請求や見学をしてから決める人が多いため

老人ホームや介護施設を選ぶ際には、次のようなチャネルから資料請求や見学依頼が行われるのが一般的です。

・紹介会社(仲介会社など)
・病院、居宅介護支援事業所、包括支援センター(行政の相談窓口)
・自社広告(ポータルサイト掲載、広告出稿、自社HP、チラシなど)
・その他(入居者の口コミ)

紹介会社や病院、居宅介護支援事業所、包括支援センターなどの場合、候補となる複数の老人ホームや介護施設のパンフレットを渡して選んでもらいます。

選んだいくつかの施設に連絡して見学日程を調整して決めるというのが一般的です。

また、自社広告やその他の場合でも、直接資料請求や見学依頼を行ってから入居する施設を決めます。

このように、老人ホームや介護施設の場合、パンフレットを見たり、見学をしたりすることが決め手の1つとなります。

そのため、老人ホームや介護施設の集客にはパンフレットが有効と言えるのです。

◉老人ホーム・介護施設の集客につながるパンフレット制作のポイント

老人ホームや介護施設のパンフレットを制作する際は、施設側が発信したい情報をまとめるのではなく、入居候補者が比較検討する項目や知りたい情報などから逆算して考えて、パンフレットの構成や盛り込む情報を整理していくことが必要です。

具体的には、以下のポイントに注意しながら制作していくと良いでしょう。

・老人ホーム・介護施設選びで重視するポイントを掲載
・お客様の声など利用者側の意見を掲載する
・情報を詰め込みすぎないように注意する
・施設見学申し込みや電話などの導線を分かりやすく入れる
・デジタルマーケティングでの活用を見据えて作る
・コンテンツマーケティングのできる制作会社に依頼する

それぞれ、順にくわしく見ていきましょう。

◉-1、老人ホーム・介護施設選びで重視するポイントを掲載

2023年に「LIFULL介護」が実施した「介護施設入居に関する実態調査 2023年度」によれば、「施設を検討する際に金額と立地以外で重視したもの」として、上位にあがっていたのは次の項目でした。

順位重視したポイント
1入居者、スタッフの雰囲気
2医療サービス体制
3空室状況
4提供しているサービス内容
5スタッフの質
6室内の清潔さ
7面会方法や、家族へのサポート
8安全対策と緊急時の対応
9食事の内容・質
10終身入居が可能か
11口コミ・評判
12施設種別
13居室の景観・日当たり
14提供レクリエーションの種類

老人ホームや介護施設のパンフレットの中で、これらの項目が説明されていれば、施設選びの際の重要な情報になるはずです。

特に「月額の利用料」「立地・周辺の環境」は必須情報だと言えますが、むしろそれ以外で重視したものとしてトップにあがっていた「入居者、スタッフの雰囲気」については必ず入れておくべき情報と言えます。

「月額の利用料」は、老人ホームや介護施設のグレードだけではなく、付帯サービスの種類などによっても変わってきますので、ケース分けするなどして分かりやすく記載するようにしましょう。

「立地・周辺の環境」については、老人ホームや介護施設へのアクセス方法、公共交通機関の最寄り駅、近隣の主要な施設などの説明を入れるなどが適切です。

人によって、街中の利便性の良いところを好む人もいれば、交通は多少不便でも自然に恵まれたところを好む人もいますので、周辺環境も重要な情報です。

「入居者、スタッフの雰囲気」については、和やかで和気あいあいとした雰囲気が伝わるような写真を所々に入れたり、入居者の声のように第三者の視点を入れるなどで「安心して預けられて、本人が楽しく過ごせそうな雰囲気」を伝えられるように工夫しましょう。

また、このアンケート結果での順位は低かったのですが、「スタッフの質」「食事の質・内容」も重視すべきポイントです。

「スタッフの質」については、見学時などに直接会って話をしたり、介護の様子などを実際に見たりしないと判断はできませんが、パンフレットの中には「スタッフの声」や「スタッフインタビュー」などの形で入れるのがおすすめです。

「食事の質・内容」についても、見学時などに試食したりしないと実際のところは分かりませんが、パンフレットには厨房や食堂・実際のメニューの写真などを入れて紹介するなど工夫しましょう。

◉-1-1、頻繁に更新する項目は別紙で紹介する(コスト削減)

パンフレットは紙でできた印刷物なので、一度出来てしまうとWebのように簡単に修正することができません。

頻繁に更新する可能性のある項目は、パンフレットからは省いてWebで公開したり、別紙に印刷したものをパンフレットに挟んだりする方法がおすすめです。

一部の項目の情報更新のためにパンフレット全体を印刷し直すようなことになると、無駄なコストが発生してしまいます。

そうならないように構成を考えるなど、先を見据えて情報を整理していくことが大切です。

◉-2、お客様の声など利用者側の意見を掲載する

老人ホームや介護施設側の目線だけではなく、第三者目線の意見や情報を掲載した方が、選ぶ側から見て分かりやすいパンフレットになります。

手間がかかりますが、たとえば、お客様の声や入居者の親族アンケート、利用者アンケートなどを載せることを検討してみましょう。

◉-3、情報を詰め込みすぎないように注意する

せっかくパンフレットを作るのだからと考えると、どうしても情報を詰め込みたくなってしまいがちです。

しかし、詰め込みすぎたパンフレットは読みにくいため敬遠されやすくなります。

老人ホームや介護施設の入居候補者や家族が比較検討する上で重要な項目だけに絞り込んで、それらをいかにパッと見て分かりやすく伝えられるかを考えることが重要です。

また、文章だけが並んだパンフレットは読む気が起きなくなってしまいますので、写真や図表を配置して読む気にさせる工夫も必要です。

◉-4、施設見学申し込みや電話などの導線を分かりやすく入れる

老人ホームや介護施設への入居をパンフレットだけ見て決めることはほとんどなく、パンフレットを見て問い合わせをしたり、実際に施設を見学してから入居となるケースが多いです。

そのため、問い合わせの電話番号やメールアドレスを記載して、パンフレットを見た人がすぐに分かるようにしておく必要があります。

また、施設の見学申し込みができることも明記しておきましょう。

可能であればQRコードなどを記載して、専用のカレンダーやフォームで申し込みができるような仕掛けを入れ込んで、次のアクションを起こしやすいようにしておくことが重要です。

◉-5、デジタルマーケティングでの活用を見据えて作る

老人ホームや介護施設の紙媒体のパンフレットを制作する際には、WebサイトでPDF化して配布することも考えて構成や配色、デザインなどを検討する必要があります。

WebサイトだけではなくSNSなどへも投稿してデジタルマーケティングへの活用も考えられます。

入居候補者本人は高齢者なのでデジタルにはあまり縁のない世代と言えますが、その子ども世代や親族はデジタルに慣れ親しんでいることが考えられるので、それらと連携した情報発信も必要です。

アナログとデジタルの組み合わせによって、より多くのターゲットに配布することが可能になります。

▶︎パンフレットのようなアナログマーケティングとデジタルマーケティングをどのように連携させていくのかについては、関連記事【デジタル全盛期だからこそ重要なアナログマーケティング戦略】もあわせて参考にしてください。

◉-6、コンテンツマーケティングのできる制作会社に依頼する

パンフレットを制作して資料請求が来たら送付する、紹介会社や病院などに送って配布してもらうというような従来の活用方法だけではなく、老人ホームや介護施設側から積極的にマーケティング活用することによって、さらなる集客につながります。

パンフレットを制作するのであれば、制作だけではなく、そういったマーケティング施策にも精通しているコンテンツマーケティングの会社に依頼するのがおすすめです。

◉ただ配るだけではダメ!デジタルと連携して有効活用しよう

自社広告など集客は行っていたとしても、老人ホームや介護施設を運営している会社の多くは、集客を紹介会社や、病院・居宅介護施設事業所・包括支援センターなどに頼っていることが多いという実情があります。

自社でもより集客できるように、アナログな紙媒体のパンフレットをデジタルマーケティング手法などと連携してターゲットにしっかりと届けられる工夫をすることが重要です。

アナログとデジタルを組み合わせた有効活用方法としては、次のようなものがあります。

・PDF化してWeb上でもターゲットに配布する
・パンフレットの一部をHPやSNSでコンテンツとして活用する
・紹介が生まれやすい場所をセグメントして配布する
・エリアでセグメンテーションして気軽に配りやすいDMやチラシも併用する

それぞれについて、くわしく見ていきましょう。

◉-1、PDF化してWeb上でもターゲットに配布する

パンフレットは紙媒体だけではなく、PDF化してWeb上でターゲットに配布することも考えましょう。

たとえば、公式HPから資料請求すると、PDF資料としてダウンロードできるようにしておくなどです。

メールアドレスなどを入れると資料が自動でメールで送られてくる、という仕組みにしていると資料配布と同時にリストが手に入るのでおすすめです。

◉-2、パンフレットの一部をHPやSNSでコンテンツとして活用する

パンフレットの一部を公式HPやSNSでコンテンツとして活用することも考えられます。

パンフレットの写真や文章をキャプチャ画像としてWeb記事に使ってSEO対策をしたりSNSに投稿したりして、二次利用によって情報を拡散していくことも重要です。

◉-3、紹介が生まれやすい場所をセグメントして配布する

パンフレットの配布場所や配布方法についてもきちんと検討しておく必要があります。

一口で老人ホームや介護施設と言っても、高級な施設から一般の方が利用できるリーズナブルな施設までいろいろなところがあります。

また、付帯サービスの種類も様々です。

そのため自社の老人ホームや介護施設を紹介してくれる可能性のある紹介会社や病院などの医療施設、場所をきちんとリサーチしてセグメンテーションし、パンフレットを配布してもらうようにする必要があります。

また、ネット上の老人ホーム・介護施設探しのサイトに資料請求が来ることもあるので、入居先を探している人の手に確実に渡るように手配しておきましょう。

◉-4、エリアでセグメンテーションして気軽に配りやすいDMやチラシも併用する

パンフレットは1冊当たりの費用が高めなので、配布の前段階としてDMやチラシを配布するなども検討しましょう。

入居候補者がいるかどうかも分からないところにパンフレットを配ると、かなりの出費になります。

そこで、まずは安価なDMやチラシをポスティングして、資料請求が多い地域や、マンションなどをセグメンテーションしてパンフレットを送付するようにすれば、コストを抑えながら集客効果を効率的に上げることができます。

同じ紙媒体であっても、コストの安いものから活用していくことも検討してみましょう。

◉【まとめ】集客につながるパンフレットを制作しよう!

本記事では、集客や入居につながる老人ホームや介護施設のパンフレットを制作するためのコツや活用方法について、くわしく解説しました。

パンフレットは入居施設を決める上で、入居希望者が必ず見る重要な媒体です。

入居者が安心して両親や祖父母、親族などを預けられるような安心感や、比較検討に必要な情報を分かりやすく掲載し、選ぶ決め手となるようなパンフレット制作を心がけましょう。

また、せっかくパンフレットを制作するのですから、デジタルマーケティング施策などとも連携し、自社でも集客がしっかりできるような活用方法を検討することが重要です。

もし、集客につながるパンフレット制作をご希望であれば、デジタルマーケティング施策とアナログマーケティング施策、どちらにも精通するフォーウェイまでご相談ください。

パンフレット

 投資信託や保険、不動産など、富裕層をターゲットにしたビジネスは多く存在します。一方、資産1億円超の富裕層は日本の2%ほどでアプローチが困難です。

本記事では、富裕層マーケティングの基本と富裕層の信頼を勝ち取るための効果的な手法を解説します。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

■富裕層とは

富裕層とは、「経済力を持つ個人や世帯」のことを指す言葉であり、具体的な基準がある訳ではありません。

一般的な富裕層の定義や基準は曖昧ですが、野村総合研究所が2023年3月に発表したニュースリリース「日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計」によれば、富裕層は「純金融資産の保有額が1億円以上の世帯」と定義されています。

純金融資産としては、現金、株式、国債、投資信託、金融派生商品、保険準備金・年金準備金などがあり、不動産や機械設備などは含めません。

また、同リリースによれば、富裕層は、その純金融資産の保有額の違いによって、さらに「超富裕層」「富裕層」「準富裕層」に分けられています。

超富裕層(純金融資産が5億円以上)

「純金融資産の保有額が5億円以上の世帯」は、超富裕層と定義されています。

超富裕層は、2021年時点で世帯数9万世帯となっており、全世帯のうちの約0.16%です。

純金融資産総額は105兆円となっています。

超富裕層が興味を持つ商品やサービスとしては、高額な投資商品、資産運用サービス、プライベートバンキングなどがあり、海外旅行、教育、高級車などにも関心を持つ傾向があります。

出典:野村総合研究所の「日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計

富裕層(純金融資産が1億円以上5億円未満)

野村総合研究所の「日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計」によれば、「純金融資産の保有額が1億円以上5億円未満の世帯」は、富裕層と呼ばれています。

富裕層は、2021年時点で世帯数140万世帯となっており、全世帯のうちの約2.6%です。

純金融資産総額は259兆円となっています。

富裕層は、資産運用や教育関連の商品・サービスに強い関心があるほか、高級住宅や高級車などを好む傾向があります。

出典:野村総合研究所の「日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計

準富裕層(純金融資産が5,000万円以上1億円未満)

「純金融資産の保有額が5,000万円以上1億円未満の世帯」は、準富裕層と呼ばれています。

準富裕層は、2021年時点で世帯数325万世帯となっており、全世帯のうちの約6%です。

純金融資産総額は258兆円です。

準富裕層は、日常生活に役立つ商品やサービス、高級ブランド、高級リゾートなどの商品やサービスなどに興味を持つ傾向があります。

■富裕層の特徴

富裕層といっても、さまざまなタイプの人がいます。

タイプによって好む商品・サービスが異なるため、それぞれの特徴を知っておくことが重要です。

富裕層には大きく分けて次の3つのタイプがあります。

遺産相続型の富裕層

「遺産相続型の富裕層」は、富裕層の親から遺産を引き継いだ人々のことです。

受け継いだ資産を減らさないことを重視する保守的な人が多く、消費に対しては消極的な傾向があるタイプです。

オーナー社長型の富裕層

「オーナー社長型の富裕層」は、自分自身の実力で会社の経営者となったり、大企業の経営に参画するなど、一代で富裕層まで上り詰めた人々のことです。

たとえば、開業医や弁護士・税理士などの士業、中小企業のオーナー、IT分野などを中心としたベンチャー企業の経営者や実業家などがこのタイプです。

人生をより豊かにすることに前向きで、購買意欲が非常に高く、高級自動車、高級時計、靴、服などのステータスのある商品にお金を使う傾向が高いという特徴があります。

また、投資商品や資産運用にも積極的な人が多いという特徴もあります。

有名人型の富裕層

「有名人型の富裕層」は、自分の才能によって資産を得た人々のことです。

具体的には、スポーツ選手や芸能人、外資系金融などの年収が高い職業についた人などです。多額の退職金を得た人もこのタイプの富裕層になります。

自分自身の見た目に対する消費に積極的な点が特徴で、ファッションやブランド品、自動車などにお金を使う傾向があります。

また、引退したスポーツ選手が実業家や投資家として活躍するケースもあり、消費以外に資産運用にも積極的な人が多いのが特徴です。

■富裕層マーケティングとは

富裕層マーケティングとは、富裕層をターゲットとした一連のマーケティング活動のことです。

富裕層は多くの資産を持ち、お金に余裕があるため、高額な商品を購入することができます。また、さまざまな商品やサービスを求めているという特徴があります。

このような富裕層の多様な特徴や行動パターンに沿った商品やサービスを開発し、宣伝・販売するまでの一連の活動が富裕層マーケティングです。

たとえば、富裕層マーケティングを行っている商品・サービスの代表的な事例としては、次のようなものがあります。

  • ・高級自動車メーカー(レクサス、ポルシェなど)
  • ・会員権(リゾートトラストなど)
  • ・プラチナ・ブラックカード(アメックスなど)
  • ・プライベートバンク
  • ・節税対策用の金融商品・コモディティ
  • ・私募ファンド

■富裕層マーケティングで押さえたいポイント

成功すると大きな利益が期待できる富裕層マーケティングですが、うまくいかないことの方が多いと言われています。

それは次のような理由からです。

  • ・一般的な広告手法やPR活動では富裕層に届けることが難しいこと
  • ・富裕層は信頼できる人や企業から商品やサービスを購入すること
  • ・富裕層は多くの情報収集手段を持ち、さまざまな視点から良いものを選ぶ術を持っていること

このように、富裕層をターゲットにマーケティングを行う場合、従来のマーケティングとは押さえるべきポイントが異なります。

富裕層をターゲットに商品やサービスを販売していく場合には、最低限以下の2つのポイントを押さえておく必要があります。

ポイント①:富裕層のなかでターゲットをより絞る

富裕層といってもさまざまなタイプの人がいます。そのため、ターゲットを「富裕層」とざっくり決めるのではなく、どういうタイプの富裕層がターゲットなのかを絞り込んでいく必要があります。

たとえば、消費に消極的で保守的な傾向の強い「遺産相続型の富裕層」に、ハイリスクハイリターンの投資を持ちかけたとしても、興味を持ってもらえる可能性は少ないでしょう。

むしろ、資産を安定的に運用できるサービスを提案した方が興味を持ってもらえる可能性は高くなるはずです。

このように、富裕層のタイプによってニーズが大きく異なるため、どのタイプの富裕層をターゲットにするのかを絞り込むかが重要です。

ポイント②:富裕層の信頼を得る方法を知る

富裕層は、信頼できる人や企業から商品やサービスを購入するという傾向があります。

たとえば、信頼している友人や知人から情報収集を行うことが多いのです。

なぜなら、多額の資産を持っていることから営業ターゲットにされることが多く、外部からのアプローチに対して慎重になっているからです。

そのため、一般的な営業手法などを使って富裕層相手に売り込みを行うなどの行動は、大きく信頼を失ってしまう可能性が高くなるので注意が必要です。

まずは「商品やサービスを売る・営業する」を目標にするのではなく「富裕層にとって信頼される」ことを目指していかなければ、富裕層マーケティングには成功しません。

商品やサービスの良さを知ってもらうことよりも、信頼される存在になることの方が富裕層マーケティングでは重要です。

■富裕層マーケティングにおけるターゲットの行動

富裕層をターゲットにマーケティングを行う場合には、タイプだけではなく、特有の行動パターンなどもある程度傾向として頭に入れておく必要があります。

全ての富裕層が当てはまるとは限りませんが、次のような行動傾向がある、ということは知っておきましょう。

富裕層は自ら調べ行動する

富裕層は、欲しい商品やサービスの情報収集段階から自分で調べて行動する傾向があります。

なぜなら、富裕層は自分が納得できるものにお金を使いたいと考える人が多いからです。

たとえば、ネット上の口コミやレビューだけではなく、友人や知人などの人脈を使って情報収集を行います。

富裕層にはこのような傾向があるため、必要以上の営業活動を行うことは逆効果となり、それ以上話を聞いてもらえなくなることがあります。

富裕層と良好な関係を構築するには、受け身の姿勢で富裕層からのアプローチを待ち、要望があったことにだけ確実に対応するというコミュニケーションの取り方が何より重要です。

富裕層同士は信頼関係で繋がっている

富裕層は、友人や知人など、横のつながりを大切にする傾向にあります。

富裕層同士で情報交換をして紹介しあうことも多く、独自のネットワークを作っている場合もあります。

もし、富裕層の人からの信頼を得ることができれば、他の富裕層の人に商品やサービスを紹介してもらえて購入してもらえる可能性があるということです。

富裕層は信頼する人にしか依頼しない

前述の通り、富裕層は自分で調べた上で、最終的には信頼できる友人や知人、専門家などに任せるケースが多いです。または、最終的な決定は自分で行い、商品やサービスの活用を人に任せてしまう富裕層もいます。

つまり、富裕層からの信頼を獲得することができれば、色々なことを任せてもらえる可能性があるということです。

しかし、富裕層は保有資産が多いため過去に他人から利用されてきた苦い経験を持つ人も多く、外部からのアプローチには強い警戒心を抱く人も多いのが実情です。

そのため、短期的に信頼関係を構築しようと思わないことです。長期的な関係の構築を地道に続けていきましょう。

■富裕層マーケティングの効果的な手法

富裕層へのアプローチを効果的に行う代表的な手法としては、次のようなものがあります。

  • ・ 富裕層にターゲティングしたウェブ広告
  • ・ 富裕層向けサービスとのコラボレーション
  • ・ 富裕層向けのメディア運営/コンテンツマーケティング
  • ・ 富裕層に特化したDMや紙媒体での訴求
  • ・ 富裕層にターゲティングしたブックマーケティングの活用

それぞれの特徴や向いている理由などについて具体的に見ていきましょう。

富裕層ターゲティングのウェブ広告

ウェブ広告は細かい属性のターゲティングができるので、富裕層に効果的にアプローチすることができます。

たとえば、Google広告の場合は、年収でターゲットを絞ることが可能です。

また、商品やサービスを紹介する広告(動画やアイコン画像)などを富裕層が利用するメディアやアプリなどに配信して、そこからLPなどへ誘導する、などの方法もあります。

富裕層向けサービスとのコラボレーション

すでに富裕層向けに提供されている商品やサービスとのコラボレーションは有効な手法です。

この手法により、たとえ認知度の低い商品であっても、既存の富裕層向けの商品やサービスとコラボレーションすることによって富裕層の注目を集めることができます。

たとえば、2014年設立の新興のプレミアムオーディオブランドMaster & Dynamicは、老舗高級自動車メーカーのランボルギーニとコラボレーションして、富裕層向けの高級ヘッドホンとイヤホンをPRしました。

また、居住用マンションの新興デベロッパーであるFIDO INCは、高級自動車メーカー『Porsche(ポルシェ)』や、高級ワイン&スピリッツブランド『Hennessy(ヘネシー)』とコラボレーションした物件の販売を行っています。

このように、すでに富裕層向けに販売されている商品やサービスとうまくコラボレーションしていくというのは、富裕層マーケティング手法として効果的と言えます。

もちろんMaster & Dynamicや、FIDO INCのようにすべての新興メーカーがこのようなマーケティング戦略が打てる訳ではないので注意しましょう。

富裕層向けのメディア運営/コンテンツマーケティング

富裕層向けには、一般的な広告ではなく、オウンドメディア運営やSNS運用など、コンテンツマーケティングが有効です。

なぜなら、自分で調べる人が富裕層には多いからです。

そのため、富裕層のニーズに合うようなメディアを作って、導線を考えながら継続的にコンテンツを発信していくというプル型営業の方が成果が出やすいと言えるでしょう。

ただし、オウンドメディアの場合は作ってから効果が出るまでに6ヶ月~1年ほどかかります。即効性のある効果は期待できないので注意しましょう。

即効性を求めるのであれば、自分自身でメディアを作り運営するのではなく、すでにある富裕層向けのメディアに広告を出すなどの方法もあります。

たとえば、「T JAPAN」などが富裕層メディアとしては有名です。

こういったメディアに広告を掲載して、富裕層から信頼が得られれば、紹介や口コミによって他の富裕層にリーチすることも可能となります。

富裕層に特化したDMや紙媒体での訴求

富裕層には、DMや雑誌・フリーペーパーなどの紙媒体も有効です。

富裕層が多く居住しているエリアにチラシを配布したり、富裕層が購読者となっている雑誌に広告を入れたりする方法です。

たとえば、企業オーナー向けの雑誌や医師向けの業界紙に広告を出せば、これらの富裕層にアプローチすることが可能となります。

紙媒体で重要なのが、特別な人間しか見ることができないという特別感の演出や、それに気づいてもらうための工夫が必要だということです。

なぜなら、富裕層は安いからという理由で購入することはなく、特別な商品であるという希少性や、あなただけという限定性、などに納得して購入する傾向があるためです。

富裕層にターゲティングしたブックマーケティングの活用

前述した通り、富裕層には紙媒体でのアプローチが有効です。紙媒体の中で特におすすめなのがブックマーケティングです。

基本的に、富裕層であっても書籍は買いますし、読みます。

他の媒体と違い、富裕層とそれ以外の層で大きな差がなく、読まれる媒体は書籍だけです。

また、富裕層は自分で調べて行動し、信頼する人からしか商品やサービスを購入しないという特徴があるので、これらを同時に達成する手段として書籍出版によるブランディングが効果的です。

書籍は信頼性の高い媒体として認知されており、自分でお金を払って購入した書籍の内容に共感できれば、著者や出版社に問い合わせをして商品やサービスの購入に至るというケースが考えられます。

ブックマーケティングを富裕層マーケティングに活用する上でもっとも重要なのは、明確に富裕層にターゲティングすることです。

書籍を企画する際は、まず最初に富裕層をターゲットとして設定して、富裕層に刺さるような内容やタイトル、著者にすることが重要になってきます。

ブックマーケティング

■富裕層ブックマーケティングの成功事例

実際に富裕層マーケティングにブックマーケティングを活用して成功した事例を2つご紹介します。

医師に特化した不動産投資のブックマーケティング

医師は「オーナー社長型の富裕層」に類型されるので、購買意欲が高く、投資商品や資産運用にも積極的な人が多い傾向があります。

一方で、医師の悩みとして多忙であることと税金が高額であるという共通点があります。

このことに着目した不動産投資コンサルタントが、最も効果的な節税対策が不動産投資であることを紹介する書籍を出版。もちろん、富裕層であり高額な税金に悩みながらも投資リテラシーを持っていない人が多い医師を、明確にメインターゲットとして設定した書籍となっています。

この書籍は、第1章「困ってませんか? 医師のお金のリアル」で医師の共感を得たうえで、第2章「医師に不動産投資が適している10の理由」で納得させて、第3章「どんな物件を購入すべきか?」で、不動産投資に引き込むという章立てで構成されています。

出版後には、多くの医師に大きな節税効果のある投資方法として不動産投資があることを認知してもらうことができ、多くの受注の獲得に成功しました。

また、書籍からの問い合わせがほぼ100%不動産投資案件の成約につながるという圧倒的な受注率をあげることができています。

ブックマーケティングを行うことによって、的確にターゲットである医師に書籍を届けることができ、内容に共感して納得してもらえたことが、この結果につながったものと言えるでしょう。

超富裕層向けのアンティークコイン投資のブックマーケティング

アンティークコイン投資により1年で3000万円を稼いだという実績を持つ著者が、経営者や医師などの超富裕層にその手法を書籍を通じて紹介したものです。

もともと不動産投資やFXなどによって3年間で1億円以上の資産を築いたという経験があるということも支持された理由の1つです。くわえて、超富裕層に購入してもらえるようにカバー装丁に高級感を持たせたり、タイトルを工夫したりすることも、狙い通りに富裕層に手にとってもらえるきっかけとなりました。

その結果、超富裕層の囲い込みに成功して、100名以上の無料資料のダウンロードがあり数千万円の売上につながっています。

また、書籍の出版記念セミナーでは、1件当たり数百万円の成約を複数名から得たり、読者からの反響で数億円の売上に貢献するなどの効果もあり、狙った以上の成果を上げることができました。

■まとめ

本記事では、富裕層の定義と種類、富裕層マーケティングの基本、富裕層の信頼を勝ち取るための効果的な手法などについて詳しく解説しました。

今回ご紹介した中でも特に、ブックマーケティングは、富裕層の行動パターンである「自分で調べて行動する」と「信頼する人からしか商品やサービスを購入しない」の2つを両立できる有効な手法です。

富裕層マーケティングを具体的に考えている方は、ぜひブックマーケティングを1つの手法として検討してみてはいかがでしょうか。

ブックマーケティング
 

少子化の進行によって18歳人口が急速に減少しており、いかに多くの学生を確保するかが大きな課題となっている大学が増えています。

そんな苦境に立たされている大学の情報発信の媒体として、特に重要なのがパンフレットです。

今回は、高校生や進学希望者の興味を惹き、入学者を増やすという成果を達成するための大学パンフレットを作るポイントや効果的な活用方法について詳しく解説いたします。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
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慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

◉大学のPR・プロモーションにパンフレットが有効な理由

高校生や大学への進学希望者は、最もスマホやSNSなどに慣れ親しんできたデジタルネイティブな世代です。

しかし、大学のPR・プロモーションには依然として紙媒体のパンフレットが有効です。

一体なぜでしょうか。

2023年2月にマイナビ進学総合研究所が行った「学校案内・パンフレットや学校公式WEBサイト等に関する高校生の意識調査」では、大学が高校生に対して行ったいくつかの広報手段に関して、高校生が志望校を検討する際にどの程度影響したかを調べており、次表のような結果が得られています。

広報手段「強く影響した」と「少し影響した」の合計割合「全く影響しなかった」と「あまり影響しなかった」の合計割合
学校案内・パンフレット82.8%8.3%
学校公式WEBサイト79.6%9.5%
入試要項・募集要項76.6%8.8%
オープンキャンパス(リアル形式)60.5%21.8%
学校のSNS36.3%37.3%
オープンキャンパス(オンライン形式)31.0%38.1%

影響度が最も高かったのは「学校案内・パンフレット」の82.8%、2番目が「学校公式WEBサイト」の79.6%に対して、最も低かったのは「オープンキャンパス(オンライン形式)」の31.0%、次は「学校のSNS」の36.3%という結果でした。

紙媒体の「学校案内・パンフレット」が最も影響度が高く、デジタル技術を活用した「オープンキャンパス(オンライン形式)」や「学校のSNS」の影響度が低いという予想外の結果が得られています。

「学校案内・パンフレット」の影響度が最も高かった理由として挙げられているのが「読みやすさ、比べやすさ」です。

つまり、複数の志望校同士を比較する際には、紙媒体の「学校案内・パンフレット」を並べて見ながら比較検討するということが考えられます。

また、「学校全体の特色・取り組み」や「興味のあった学部・学科」の情報は、「学校公式WEBサイト」よりも「学校案内・パンフレット」の方が参考になったという意見が多いなど、紙媒体の方が大学生活のイメージが伝わりやすいことが分かります。

このように、スマホやPCを使い慣れた世代の高校生であっても、大学選びの際にはデジタル媒体よりも紙媒体のパンフレットを重視する傾向があるということは注目すべきことだと言えるでしょう。

◉進学希望者の興味を惹く大学パンフレットを作るポイント

前述の調査から、高校生は大学選びの際にはパンフレットを重視することが分かりましたが、高校生や進学希望者の興味を惹く大学パンフレットを作るためにはどのようなことに注意すべきなのでしょうか。

具体的には、次の7つのポイントを押さえてパンフレット制作を検討しましょう。

・学部や学科など自校の特色を明確にする
・就職に有利など、将来性をアピールする
・キャンパスライフがリアルに想像できるような写真を多く使う
・説明を詰め込みすぎない
・WebサイトやSNSへの導線をしっかりと入れ込む
・入学したくなる表紙のデザインにする
・制作後の配布やマーケティングも見据えた内容にする

以下では、それぞれについて詳しく解説していきます。

◉-1、学部や学科など自校の特色を明確にする

リクルート進学総研が、2009年と2022年に行った「学校選択重視項目ランキング」によれば、高校生や進学希望者が進学先を決定するために重視する項目について次表のような項目が上位に挙がっています。

<変わらない重視項目>高校生や進学希望者が時代変化にかかわらず重視する項目学びたい学部・学科がある
校風や雰囲気が良い
自分の興味や可能性が広げられる
自宅から通える
キャンパスがきれいである

この「変わらない重視項目」からは、「学びたい学部や学科がある」や「自分の興味や可能性が広げられる」という当然の項目が見られるほか、「校風や雰囲気が良い」「自宅から通える」「キャンパスがきれいである」という環境に関する項目があがっているのが分かります。

また、2009年と2022年を比較して伸び率が高かったのは、次表のような項目です。

<変化した重視項目>高校生や進学希望者が進路環境変化に伴い、より重視するようになった項目教育内容のレベルが高いこと
学生の学力が高いこと
教育方針・カリキュラムが魅力的
入試方法が自分に合っている
規模が大きい

この「変化した重視項目」からは、「教育レベルの高さ」や「学力の高さ」など学びの内容を重視する傾向が増えていることが分かります。

これらの調査結果から、パンフレットの中で、学部や学科の特徴、校風や雰囲気、教育レベルの高さなど「うちの大学ならでは」の独自性のある特色をしっかりと打ち出していくことが重要だということが分かります。

多くの大学の中に埋もれないためにも、自校の特色を明確にしてパンフレットに積極的に記載していきましょう。

◉-2、就職に有利など、将来性をアピールする

前述した、リクルート進学総研の「学校選択重視項目ランキング」によれば、2009年も2022年も、文系の3位、理系の2位にランキングされた項目は「就職に有利である」でした。

つまり、多くの高校生や進学希望者が「就職」や「将来」を見据えて大学を選んでいると考えられます。

この調査結果から、「卒業後の進路がスムーズに決まるのか」「良いところに就職ができるのか」「就職に関するサポートはあるのか」など、将来の安心感を醸成する内容を、しっかりとパンフレットに記載しておくことが重要だと言えるでしょう。

◉-3、キャンパスライフがリアルに想像できるような写真を多く使う

前述した、リクルート進学総研の「学校選択重視項目ランキング」によれば、高校生が進学先を決定するために重視する項目として、「校風や雰囲気が良い」が挙げられており、文系では「キャンパスがきれいである」、理系では「学習設備や環境が整っている」などが上位に挙がっています。

これは、「良い雰囲気や環境のきれいなキャンパスの大学に進学したい」ということを表していると考えられるため、パンフレットでもこの点をアピールしていきましょう。

具体的には入学後のキャンパスライフが想像できるようなキャンパス、教室、学食、その他の設備などの写真を効果的に掲載するなどが有効です。

◉-4、説明を詰め込みすぎない

大学パンフレットだけに限ったことではありませんが、パンフレットには説明を詰め込み過ぎないようにすることが大切です。

特に、高校生や進学希望者などの若い世代はそれほど文章を読まない世代です。

写真やイラストなどを分かりやすく配置して、キャッチーな項目を厳選して入れ込むことが重要です。

文章だけが並んだパンフレットだと、せっかく手に取ってくれたとしても読まれなくなってしまうので、その点には注意しましょう。

大学側が伝えたい情報というよりは、学生側が欲しい情報を分かりやすく入れるようにすることが大切です。

必要に応じてプロを入れて「本当にこの情報は学生に必要なのか?」などの情報精査を客観的に行なっていくのがおすすめです。

◉-5、WebサイトやSNSへの導線をしっかりと入れ込む

前述した、マイナビ進学総合研究所「学校案内・パンフレットや学校公式WEBサイト等に関する高校生の意識調査」によれば、「Webサイトを見てから資料請求をする」パターンと「パンフレットを見てからWebサイトを見る」というパターンがあることが分かっています。

具体的には「学校案内・パンフレット」を見てから公式Webサイトを見に行ったのは53.1%、逆に公式Webサイトを見てから「学校案内・パンフレット」を見たのは48.1%となっています。

つまり、わずかな差ではありますが、「パンフレットを見てからWebサイトを見る」パターンの方が多くなっているのです。

このことから、パンフレットを見た学生がWebサイトにスムーズに移動できるようにWebサイトのQRコードやURLをしっかりと記載しておくなど導線をしっかりと入れ込んでおくことが重要であると言えます。

また、質問が気軽にできるようにLINE公式などのSNSアカウントの情報などを掲載して、それを見た高校生や進学希望者が気軽に次のアクションに起こせるような仕組みを入れ込むことも重要です。

◉-6、入学したくなる表紙のデザインにする

高校生や進学希望者がパンフレットを手に取ったときに真っ先に目に入ってくるのが表紙です。

表紙のデザインはパンフレットの顔ともいえる部分で、大学らしさを一番伝える部分なので、高校生や進学希望者に「この学校に入学したい」という気持ちを起こさせるようにする必要があります。

大学のイメージや雰囲気、PRしたいことなどがうまく伝わるようなデザインにしましょう。

大学によってイメージカラーを持っている場合は、その色をベースにパンフレット全体のデザインや構成などを考えます。

また、大学の魅力がうまく伝わるようなキャッチコピーを入れたり、大学の特徴が分かるような写真やイラストを入れたりすることも効果的です。

◉-7、制作後の配布やマーケティングも見据えた内容にする

「パンフレットを作ってみたものの、期待した成果や反響が得られない」という悩みの主な原因は「ただ単にパンフレットを作ってしまった」ということがほとんどです。

そうならないためにも、パンフレット制作後に、「どこで」「どれぐらいの量を」「どうやって配布するのか」などの活用方法を事前に見据えて制作することが重要です。

パンフレットを「確実に高校生や進学希望者に届けて」「入学したいという気にさせるにはどうすれば良いのか」というマーケティング視点を入れて、パンフレットに掲載する情報の整理や設計を行いましょう。

◉より成果につなげる大学パンフレットの活用方法

「入学者を増やす」という成果につなげるためには、ただパンフレットを作って今までのように配っているだけでは不十分です。

次のようなポイントを押さえた上で、いかにターゲットである学生にパンフレットを届けるか、活用方法を積極的に検討し、実践していきましょう。

・デジタルマーケティングと連携してターゲットに効果的に配布する
・PDF化してWeb上でも配布する
・配布場所、タイミングはしっかりと検討する

それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

◉-1、デジタルマーケティングと連携してターゲットに効果的に配布する

WebサイトやSNSなどのデジタルマーケティングを活用し、うまく資料請求につなげることも可能です。

たとえば、SNSで大学のリアルな情報を発信して資料請求につなげたり、LINE公式などを立ち上げて若者の質問などに対応しつつ資料請求につなげたり、さまざまな連携が考えられます。

また、紙媒体のパンフレットの一部を活用してSEO記事を投稿し、検索流入を増やして資料請求につなげていくなども可能です。

特に、高校生や進学希望者はデジタルネイティブ世代なので、デジタルと連携した情報発信は必要不可欠です。

デジタルマーケティングとの組み合わせによって、より多くのターゲットに配布できないかを検討してみましょう。

◉-2、PDF化してWeb上でも配布する

パンフレットは紙媒体だけではなく、PDF化して配布することも検討しましょう。

たとえば、公式Webから資料請求したら、PDF資料としてダウンロードできるようにしておく、などです。

◉-3、配布場所、タイミングはしっかりと検討する

パンフレットの配布場所や配布方法、タイミングはしっかりと検討しておく必要があります。

たとえば、対象となる高校3年生が在学している高校に、進路希望が決まる数ヶ月前のタイミングに配布しておく、などです。

その際に、過去の入学実績の多い高校には多めのパンフレットを送付することなども検討する必要があります。

また、高校以外にも、大学入試予備校や図書館、自習室、スポーツクラブ、などターゲットとなる学生が集う場所への配布も有効です。

各施設の責任者に事前相談して置いてもらうようにしましょう。

また、大学入試ポータルサイトに資料請求をするケースもあります。

進学希望者の手に確実に渡るようにポータルサイト運営者側と連携したり、パンフレットを素早く送付できるように手配しておきましょう。

◉【まとめ】成果につなげるパンフレット制作はプロに依頼しよう!

本記事では、高校生や進学希望者の興味を惹いて入学者を増やすという成果を達成するための大学パンフレットを作るポイントや効果的な活用方法について詳しく解説しました。

今回ご紹介したマイナビ進学総合研究所やリクルート進学総研の調査結果などのように、公表されている統計・調査結果などを見るなど、とにかくターゲットがどのような情報をどのように得て、どのように見ているのかなどを想像してパンフレットは制作していく必要があります。

また、ただいい感じに作るのではなく、配布先や活用方法などマーケティングも見据えた上で作らないと成果になかなかつながりません。

もし「今現在のパンフレットでの成果に満足していない」「成果を出せるようなパンフレット制作をしたい」とお考えの方は、ぜひフォーウェイまでご相談ください。

フォーウェイでは、書籍やパンフレットなど、ユーザー目線でのコンテンツ制作はもちろんのこと、それをどのように活用すればターゲットに効果的に訴求ができるのか、というコンテンツマーケティングを主業務として行なっております。

まずは、お気軽にお悩みをお聞かせください。

パンフレット

病院もこれからの時代はいかに多くの人に認知してもらって、多くの病院の中から選んでもらえるように、積極的な情報発信を行っていく必要があります。

そのための手段の1つがパンフレットです。

パンフレットを作るにはそれなりのお金や手間がかかるのですから、しっかりとした認知や信頼の獲得、人材の確保などの成果につながるものにすべきです。

今回は、このような成果にこだわった病院パンフレット作りのポイントや効果的な活用方法について詳しく解説いたします。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 29d5ead1ee41a6d25524876e7bd315d5-scaled.jpg
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

◉病院のプロモーションにパンフレットが有効な理由

病院のプロモーションにパンフレットが有効な理由は、主に次の2点です。

・パンフレットには紙媒体ならではの安心感
・信頼感がある
・パンフレットを見るのはネットに不慣れな高齢者が多い

各理由について詳しく見ていきましょう。

◉-1、パンフレットには紙媒体ならではの安心感・信頼感がある

病院のプロモーションは、一般的な企業の商品やサービスのプロモーションとは異なります。

なぜなら、病院にとっては「ここなら自分の体を預けられる」と感じられる安心感や、「ここなら質の高い治療が受けられる」という信頼感を持ってもらえることが重要だからです。

紙媒体のパンフレットは、物理的に手に取って読むことができるため、HPやSNSなどのデジタル情報と比べて安心感や信頼感を与えることができます。

近年、一般的にはデジタル技術によるプロモーションが優先される傾向がありますが、病院のプロモーションにおいては紙媒体のパンフレットも有効なのです。

◉-2、パンフレットを見るのはネットに不慣れな高齢者が多い

厚生労働省が公表している「平成19年国民生活基礎調査の概況」に示されているように、病院を利用する方の多くは高齢者です。

この調査によれば、病院全体では人口千人当たりの通院者率は333.6ですが、これを年齢階級別に分けると、「15~24歳」の通院者率が119.4で最も低く、年齢階級が高くなるに従って高くなり「75~84歳」の通院者率は692.4となっています。

つまり、病院に通院する方の多くは高齢者で、ネットに不慣れな方が多いため、紙媒体のパンフレットの方が向いているということが言えるのです。

紙媒体の病院パンフレットを制作して、このような高齢者のターゲットにアプローチすれば、高いプロモーション効果が得られると考えられます。

◉病院パンフレットは主に3種類

病院パンフレットは、制作する目的によって大きく次の3つに分けることができます。

・診療案内パンフレット
・病院案内パンフレット
・採用パンフレット

制作するパンフレットが、この中のどれに該当するかで掲載すべき内容や構成が変わってきます。

◉-1、診療案内パンフレット

どのような診療を行っているのかを紹介するパンフレットで、病院パンフレットの中では最も一般的なものです。

病院が掲げている診療方針や、治療を行っている診療科目の種類、診療時間、担当医師、導入している医療機器などについて、主に患者さまやそのご家族向けに紹介する内容になっています。

診療案内パンフレットを制作する際に心に留めておかなければならないのは、患者さまやご家族が必要しているのは、「最新の医療機器」ではなく「安心できる治療」だということです。

そのため、導入医療機器を羅列するだけではなく、「その医療機器を使ってどのような治療が行えるのか」ということを主に説明した方が良いでしょう。

その他にも、患者さまやご家族が知りたいと思うことはしっかり盛り込みましょう。

たとえば、病院の所在地やアクセス、駐車場の有無、入院設備のある病院の場合はその内容についても紹介した方が良いでしょう。

※後述しますが、院内のみで配る「診療案内パンフレット」の場合は医療広告ガイドライン上は「医療広告」に該当しないため、規制の対象外になります。

◉-2、病院案内パンフレット

病院の沿革や理念、治療方針などを総合的に紹介するパンフレットです。

病院案内パンフレットは、病院のブランディングを目的としたパンフレットと言うこともできるので、「その病院らしさ」や「こだわりポイント」などが見る人に伝わるように工夫しましょう。

パンフレットを手にとる患者さまやご家族、医療関係者に安心感を与えて、病院の魅力をよりアピールするブランディングツールになります。

病院案内パンフレットは、患者さまやご家族のほかに、就活生などの就職希望者も見るものなので、前述の診療案内パンフレットに含まれる診療方針や診療科目などの情報が掲載されることもあります。

◉-3、採用パンフレット

病院で働く看護師や保健師、薬剤師などの医療スタッフや職員の採用を目的としたパンフレットです。

採用パンフレットは、就活生や就職希望者に対して、「その病院で働く魅力」を伝えるものなので、基本的な情報や募集要項はもちろん、運営理念や治療方針、教育プログラム、キャリアパス、労働環境などを紹介する内容にしましょう。

また、それぞれの現場の写真を掲載したり、先輩スタッフのインタビューを載せたり、看護師や保健師、薬剤師などが実際の現場で働くイメージが分かるように工夫することが大切です。

就職後のミスマッチを減らすためにも、できる限り詳しい情報を掲載した方が良いため、患者さま向けのパンフレットとは違い、必要に応じて専門用語などを使って説明することも検討しましょう。

※後述しますが、医療機関の人材採用目的で配る「採用パンフレット」の場合は医療広告ガイドライン上は「医療広告」に該当しないため、規制の対象外になります。

◉-3-1、採用目的の広告が病院のプロモーションにもなる場合がある

採用目的のパンフレットではありますが、病院の存在を外向けに知ってもらうという副次的な病院の広告効果も見込めます。

たとえば、地元紙に折り込みのスタッフ広告を出した結果、来院数が増えたという事例も実際にあります。

もちろんあくまで「採用」が目的なのですが、こういった副次的な効果もあるということを知って起きましょう。

◉信頼獲得につながる病院パンフレットを作るポイント

病院パンフレットは、公益性の高さから一般の企業のように「集客」や「成果」という観点が薄くなってしまいがちですが、病院も一種のビジネスです。

お金を出す以上、「多くの患者さまに選ばれる」「採用候補者が多く集まる」など、成果につながるようなパンフレットを制作していきましょう。

信頼感や安心感を伝え、多くの人に選ばれるなどの成果をつなげるためには、各種の情報を綺麗にパンフレットに掲載するだけでは不十分です。

次に挙げるポイントを押さえて明確な戦略と目的を持って作る必要があります。

・厚生労働省の「医療広告ガイドライン」を遵守する
・「いつ」「誰に」「何を目的に」配るパンフレットなのかを明確にする
・安心感・信頼感を得られるデザインにする
・情報を詰め込みすぎないようにする
・WebサイトやSNSヘの導線を入れ込む
・作成後の配布やマーケティング活用も見据えた上で制作する

それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

◉-1、厚生労働省の「医療広告ガイドライン」を遵守する

病院内でのみ配布されるパンフレット、職員の採用に関するパンフレット以外は基本的に「医療広告」に該当するため、医療広告ガイドラインの遵守が必要不可欠です。

6 通常、医療に関する広告とは見なされないものの具体例
(1) 学術論文、学術発表等
(2) 新聞や雑誌等での記事
(3) 患者等が自ら掲載する体験談、手記等
(4) 院内掲示、院内で配布するパンフレット等
(5) 医療機関の職員募集に関する広告

引用元:厚生労働省「医療広告ガイドライン」

医療広告ガイドラインでは、主に次のような広告表現を禁止しています。

パンフレットに病院のWebサイトなどに、QRコードや気軽にお問い合わせができるような導線をつけること自体は問題ありませんが、「ご来院ください」「お問い合わせください」のように誘う文句などを入れるとガイドラインに違反する可能性があります。

「誘引性(患者の受診等を誘引する意図がある)」のある表現などには十分配慮して制作を行いましょう。

まずはきちんと国のルールに則って制作をすることが信頼獲得の大前提となります。

◉-2、「いつ」「誰に」「何を目的に」配るパンフレットなのかを明確にする

病院パンフレットに限ったことではありませんが、「いつ」「誰に」「何を目的に」配るパンフレットなのかを明確にする必要があります。

病院パンフレットには、前述のように主に「診療案内パンフレット」「病院案内パンフレット」「採用パンフレット」の3種類があります。

まず最初にどのパンフレットを作るのかをはっきりさせましょう。

なぜなら、どの種類のパンフレットを制作するのかによって「いつ」「誰に」「何を目的に」が変わってくるからです。

◉-3、安心感・信頼感を得られるデザインにする

病院パンフレットは、安心感や信頼感が得られるようなデザインにすることが基本です。

この点が企業のパンフレットと大きく異なる点です。

患者さま向けのパンフレットであれば、ターゲットは子供から高齢者まで幅広い年代の方が対象になるので、誰にでも分かりやすく親しみのあるイメージになるようにします。

パンフレットで使用するフォントは、高齢者でも読みやすいように大きめのものを選択しましょう。

同様に、写真や図表なども分かりやすさを基本に考えましょう。

また、病院内の清潔感のある写真を掲載したり、優しいイメージの色遣いになるように意識することも大切です。

病院と言っても、地域密着のクリニックから皮膚科・眼科・耳鼻咽喉科などのような専門病院、複数の診療科目を扱う総合病院、先端医療を取り扱う大学病院など様々な医療機関があります。

いずれも安心感や信頼感を与えるようなデザインにすることが重要ですが、それぞれの病院の特徴を表すような独自性のあるデザインを考慮することも必要です。

なお、デザインや色遣いに関して注意すべき点は、清潔感を出すために「クリーン」なイメージを持たせようとして、結果的に「クール」な冷たいイメージになってしまっている例があるということです。

無駄なものを省きすぎたり、寒色系の色合いを多く使った「クール」なパンフレットは、冷たいイメージを与えかねません。

温かみを感じさせるような「ハートフル」な暖色系の色使いが、病院パンフレットには相応しいと考えられます。

◉-4、情報を詰め込みすぎないようにする

病院目線でパンフレットを作ると「これも入れておいた方が良い」などと情報を詰め込み過ぎたり、専門用語を使ってしまったり、一般の患者さまやそのご家族には意味が分かりにくいものになってしまいがちです。

病院は子どもから高齢者まで幅広い年代の方が利用する場所ですから、「難しい漢字を利用しない」「漢字にフリガナを付ける」「読みやすい大きさの文字を使う」など利用者目線のパンフレットになるようにすることが大切です。

「診療案内パンフレット」や「病院案内パンフレット」のような患者さまやそのご家族向けのパンフレットにはターゲットが必要としている情報を厳選して掲載するようにしましょう。

一方で、「採用パンフレット」の場合は、対象者が医療関係者ということもあり、ある程度の専門性を訴求するような内容になります。

患者さまやそのご家族向けとは違い、専門的な情報は入れつつも、やはり情報は詰め込み過ぎないように心がけましょう。

いずれの場合も、第三者のプロの目線を入れて情報を整理して制作した方が、「患者さまやそのご家族にこの情報は必要だろうか?」という病院以外の視点で情報を精査できるという点でおすすめです。

◉-4-1、Webサイトなどへの導線を入れ込む

前述のように、パンフレットに掲載する情報は厳選して最小限にすべきですが、パンフレットで説明しきれなかった詳細な内容については、Webサイトなどで見てもらうようにするのがおすすめです。

具体的には、パンフレットにWebサイトのQRコードやURLなどを入れておくと、患者さまがスムーズにWebサイトで詳細な情報を見ることができます。

また、気軽に問い合わせや質問などができるLINE公式アカウントなどのURLをパンフレットに明記しておくなど、パンフレットを見た人が自らの意志で次の行動を起こしやすい導線を入れておくことも大切です。

ただし、医療広告ガイドラインにより「誘引性」のある表現などは規制されているので、「お問い合わせください」や「お気軽にご相談ください」など患者さまを誘い込むような文言は使わない方が無難です。

QRコードやURLを掲載して、患者さまが自らの意志で詳細な情報を取りにいく導線の設置は問題ないと考えられるため、掲載しておきましょう。

このように、Webサイトなどへの導線を入れ込んでおかないと「見て終わり」のパンフレットになってしまいます。

◉-5、作成後の配布やマーケティング活用も見据えた上で制作する

「パンフレットを作ってはみたものの、いま一つ成果や反響が感じられない」という方の多くは、「パンフレットを作る」ということを目的に作ってしまっている傾向があります。

制作後に「どこで」「誰に」「どれぐらいの量を」「どうやって配布するのか」などの活用方法をしっかりと見据えた上で制作していかないと、成果につながりにくくなってしまいます。

パンフレットの制作に取り掛かる前に、しっかりとターゲットに届けるにはどうすれば良いのか、というマーケティング視点も入れた活用方法を検討しておきましょう。

▶薬機法と広告・PRについてより詳しく知りたい方は、関連記事【薬機法(旧:薬事法)とは?違反せずに広告・PRする7つのポイントを分かりやすく解説】もあわせて参考にしてください。

◉病院のパンフレットを効果的に活用する方法

パンフレットは、ただ作るだけでは成果につながりません。

次のようにパンフレットをいかにターゲットの手元に届けて、見てもらうかという行動をしていかないと成果にはつながりません。

・PDF化してネット上でも見れるようにする
・配布するタイミングや場所を検討する
・デジタルマーケティングと組み合わせてターゲットに配布する

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

◉-1、PDF化してネット上でも見れるようにする

パンフレットは紙媒体の冊子ですが、Webサイトで閲覧したりダウンロードしたりできるようにPDF化してデジタルデータとしても利用できるようにしておきましょう。

スマホやPCで、症状や診療科目、地域などをキーワードにして検索をして病院を探す方も増えています。

「診療案内パンフレット」や「病院案内パンフレット」をPDF化して公式Webサイトに置いておくと、検索結果から病院の公式サイトを訪れた方が引き続き閲覧するなど、患者さまやご家族の目に触れるチャンスを増やすことができます。

◉-2、配布するタイミングや場所を検討する

パンフレットは、病院のロビーなどの机の上などにただ単に置いておくだけでは不十分です。

病院内であれば、受付カウンターや会計カウンターなどの患者さまが立ち止まる場所のよく見えるところに並べたり、看護師や医師のオペレーションの中にパンフレットの配布を組み込んだりするなど、配布タイミングや場所を十分に検討しましょう。

また、病院外でターゲットが多く訪れる施設をリサーチして、その場所に置いてもらったりすることも有効です。

たとえば、小児科などであれば、保育園や幼稚園、子どもを持つ親が集まるような施設に置けないかを検討したり、という様に、制作したパンフレットを1枚残らずターゲットの手元に届けるためにはどうすれば良いのかを事前によく検討して、配布する場所やタイミングを決めることが重要です。

◉-3、デジタルマーケティングと組み合わせてターゲットに配布する

WebサイトやSNS上に、パンフレットの内容の一部を切り取って投稿したり、WebサイトからPDFデータを容易にダウンロードや閲覧できるようにしたり、デジタルマーケティングと組み合わせる方法が有効です。

また、LINE公式アカウントのQRコードをパンフレットに入れて患者さまが気軽に相談や質問ができるようにするといった活用方法も有効と言えます。

実際に、コロナ禍の発熱外来で患者さまが増えたタイミングでLINE公式アカウントで医院からの情報発信を実施し、患者が再診に訪れる仕組みを作った事例もあります。

パンフレットの内容をWebサイトやWeb広告に二次活用するなども考えられるでしょう。

このように、デジタルマーケティングとの組み合わせによって、より多くのターゲットにパンフレットの内容を届けることができます。

◉【まとめ】活用方法や成果も見据えたパンフレット制作はプロに依頼しよう!

本記事では、信頼獲得と成果につながる病院パンフレット作りのポイントや効果的な活用方法について詳しく解説しました。

パンフレットを病院スタッフだけで制作しようとすると、患者さまやそのご家族にとっては分かりにくいものになってしまいがちです。

なぜなら、どうしても医療用語や専門用語が多くなったり、情報を詰め込み過ぎたり、病院側の伝えたいことを詰め込んだ一方的なパンフレットになってしまいがちだからです。

また、マーケティング視点などを入れての情報設計なども難しいと言えるでしょう。

成果を出すパンフレットを目指すのであれば、ターゲットに応じた利用者目線での制作はもちろんのこと、制作後の配布やマーケティング活用なども見据えて制作することが何より大切です。

フォーウェイでは、書籍やパンフレット制作だけにとどまらず、コンテンツをいかにターゲットに届け、成果につなげるかをサポートしております。

「採用候補者を増やしたい」「来院いただける患者さまの数を増やしたい」など、成果のでる病院パンフレット制作をお考えであれば、フォーウェイまでご相談ください。

パンフレット