自費出版とは?メリットやデメリット、費用相場、成功事例などを解説

書籍を出版する方法は、大きく自費出版、商業出版、企業出版の3つに分けることができます。

本記事では、3つの出版方法の中で、自費出版とはどういうものなのか、そしてメリットやデメリット、費用相場、成功事例などについて詳しく解説します。

目次【本記事の内容】

自費出版とは?

自費出版とは、主に個人が自分の経験や考えを伝えたり、自分史をまとめたり、趣味の集大成としたりするために原稿を書き、それを出版社に依頼して書籍化する出版方法です。

出版費用は全て著者負担となりますが、売上や発行部数などにとらわれずに一冊の本としてまとめることができるのが特徴であり、魅力と言えます。

収益を得るためではなく書籍化すること自体が目的の出版方法です。

また、個人ではなく企業経営者などが原稿を書いて自費出版するというケースもありますが、この場合も名刺代わりに配るためなどであり、書籍化することに重点が置かれます。

自費出版、商業出版、企業出版それぞれの特徴について、以下の表に分かりやすくまとめました。

出版方法 特徴
自費出版 主に個人が、自分の経験や考えを伝えたり自分史をまとめたり趣味の集大成とするために、自分で書籍の内容やデザイン、発行部数などを決めて出版する方法。

書籍の出版費用は著者が全額負担し、初版発行部数は100部~500部程度。

商業出版 出版社がヒット作をつくって利益を上げるために、書籍の企画や内容などを決めて出版する方法で、積極的にプロモーションを行う。

書籍の出版費用は出版社が全額負担するのが一般的で、初版発行部数3,000部~10,000部程度。

企業出版 企業や企業経営者がブランディングや信頼性向上、集客などの経営上の課題を解決するために書籍を出版する方法。

書籍の出版費用は企業が全額負担し、初版発行部数は1,000部~10,000部程度。

商業出版との違い

商業出版とは、出版社と著者が協力して書籍を出版する方法です。

出版社が書籍の企画をして著者を選定し、書籍がたくさん売れるような内容にして積極的にプロモーションを行うのが特徴です。

実際に世の中で実際にベストセラーとなった書籍のほとんどは商業出版によって出版されたものです。

ヒット作を作って出版社が利益を上げることが商業出版の目的なので、出版費用は出版社の全額負担になります。

また、出版社の企画に協力した著者には、販売・印刷部数に応じて決められた割合で印税が入ります。このように、著者に報酬が支払われることも商業出版の大きな特徴の1つであり、自費出版や企業出版との違いです。

一方で、商業出版の場合は、著者の伝えたいことよりも出版社側の意向が優先されるので、著者の言いたいことが書けなかったり、修正されたりすることがあります。

自費出版のように、著者が伝えたいことを自由に書けるわけではないという点も商業出版の大きな特徴であり、違いの1つと言えるでしょう。

▶商業出版については、関連記事【商業出版とは?企業がブランディングを考えたときの出版の選択肢】もあわせて参考にしてください。

企業出版との違い

企業出版とは、企業や企業経営者が自社のブランディングや信頼性向上、集客などの経営上の課題を解決するための手段として使われる、出版方法です。

出版費用は企業や企業経営者である著者が全額負担するので、この点では自費出版と同じです。そのため、自費出版とよく混同されがちですが、次のように出版する目的が大きく異なります。

  • ・企業出版の目的:【課題解決】企業のブランディングやマーケティングの課題解決
  • ・自費出版の目的:【出版】自分の書きたい内容を本として出す
  • ・商業出版の目的:【利益】売れる本を作り、売上をあげる

企業出版は課題解決が目的であるため、その費用の中には、出版社が行う企画、編集、デザイン、校正、書店への流通、プロモーションなどの費用が含まれています。

そのため、自費出版よりも費用は高額です。

自費出版の費用相場はどれぐらい?

自費出版の費用は、出版する書籍の形式(単行本、文庫、写真集など)や判型、出版部数、紙質、含まれるサービスなどによって変わってきます。費用相場には幅があり、約100万円〜1,000万円程度です。

他の出版方法の費用相場と比べると次のようになります。

出版方法 費用相場
自費出版 100万円~1,000万円程度(一般的なのは251万円〜600万円程度)
商業出版 0円(出版費用は出版社が負担するため)
企業出版 400万円~1000万円程度

自費出版する際にかかる費用の項目としては次のようなものがあります。

  • ・企画費
  • ・執筆費
  • ・編集費
  • ・写真・イラスト費
  • ・デザイン費
  • ・校正・校閲費
  • ・印刷・製本費
  • ・プロモーション費

執筆費は、クオリティの高い書籍にするためにライターに執筆を依頼する場合に発生する費用です。

また、写真・イラスト費は、写真集などを自費出版する際の写真撮影や書籍の中にイラストを入れたりする場合に必要となります。

プロモーション費は、出版社の営業力を使って広告宣伝を行う場合に発生する費用です。

たとえば、写真やイラストを自分で用意したり、自分で執筆したり、プロモーションなどを自分で行うなどをすれば、費用はその分安くなる可能性があります。

自費出版の費用対効果

自費出版する際の費用対効果に関して、ポイントとなるのは出版目的と書籍のクオリティです。

とにかく書籍にして出版することが目的なのであれば、そもそも効果を期待する必要がありません。

しかし、セルフブランディングという目的がある場合は、その目的を達成するためにどの程度の書籍のクオリティにするのが最適なのかを考えなければなりません。

また、販売数をある程度伸ばして印税収入を得たいという目的があるのであれば、クオリティを上げるのに加えて、出版社の販路などを利用してプロモーションを行うことも必要となり、相応の費用がかかります。

このように、自費出版の場合の費用対効果は、その出版目的に応じて変わってきます。

【参考】企業出版の費用対効果

企業出版は、自費出版と同様に著者が出版費用を全額負担する出版方法ですが、自費出版との違いは明確な出版目的があることです。

企業の宣伝・PRや問い合わせによる成約率の向上などの目的があるのであれば、ターゲットの設定とそのターゲットに書籍を購入してもらうためのプロモーションが必要となります。

そういった目的を見据えて書籍の企画や出版を行うため、企業出版に成功すると出版費用などを上回る大きな利益が期待できます。

実際に企業出版によって経営課題を解決した2つの事例を紹介します。

企業出版事例①:読者からの反響により出版から2ヶ月で6億円の売上達成

これは、ある不動産投資会社の企業出版事例です。

出版前は、Web広告による新規顧客の集客はほとんどなく、紹介のみに頼っていたそうです。

また、見込み顧客との信頼関係の構築などにかなりの時間が必要で、成約までのリードタイムが長いことが課題となっていました。

そこで、年収は多いものの税金も多いという悩みを抱える医師をターゲットとして「節税対策に不動産投資が効果的」という内容の書籍を発売。

出版社の販路を利用して、主に一都三県や大阪府、福岡県を中心に書店への流通・配本を実施しました。

出版後、多くの読者である医師から問い合わせがあり、出版から2ヶ月で6億円の売上を実現しています。

問い合わせのほとんどは不動産投資に関心のある読者からの反響が中心で、成約までのリードタイムが短縮でき、営業効率の向上にもつながっています。

企業出版事例②:出版記念のイベントを開催し企業の認知度が向上

これは、わさびの製造・販売会社の企業出版事例です。

出版前は、自社で製造・販売しているわさびの魅力に関する顧客へのアピール不足が課題で、同業他社との差別化も不十分だという認識がありました。

そこで、料理に関心のある30代~40代の女性をターゲットとして、わさびの効能や歴史、レシピを収録した書籍を出版。

また、出版後に本社がある名古屋の書店で、書籍へのレシピを提供してくれた料理研究家とのコラボレーションで出版記念のトークイベントを実施したところ、当日はイベント会場が満員御礼となり書籍を50冊以上売り上げるなど大盛況となりました。

その後、出版をきっかけに平均聴取者数20万人の全国放送のラジオ番組から2週連続の出演依頼があるなど、書籍を出版したことにより、企業の認知度向上や売上向上につながりました。

自費出版のメリット

自費出版のメリットとしては次のようなものがあります。

自分の企画や内容、デザインで本が出版できる

自費出版の最大のメリットは、自分の思い通りの本を作ることができることです。

自分自身で企画をして、本の内容もデザインも自由に決めることができます。

一方、商業出版の場合は、企画を出版社が行うため、著者が書きたいことを書くことはできません。企業出版も、マーケティングやブランディングが目的であるが故の制約があり、自分の自由に本を作ることは難しいと言えるでしょう。

しかし、自費出版であれば、著名人ではない一般人であっても、自分の人生をまとめた自分史を出版したり、趣味の句集や詩集を出版したりして、個人的な活動を知ってもらうために書籍を出版することができてしまいます。商業出版や企業出版などに比べて制約が少なく、自由に自分の本を出版できるのが自費出版の魅力なのです。

なんでもアリではない。薬機法や景品表示法などには注意!

ただし、自費出版であってもなんでもアリというわけではありません。

たとえば、本の内容によっては薬機法(旧:薬事法)や景品表示法に抵触する可能性もあります。該当する場合は、出版社や専門家に相談したり、専用のチェックツールなどを利用して法に抵触しないように注意しましょう。

▶薬機法(旧:薬事法)については、関連記事【薬機法(旧:薬事法)とは?違反せずに広告・PRする7つのポイントを分かりやすく解説】もあわせて参考にしてください。

出版実績が自分で作れる

自費出版の場合は、著者の都合によって好きなときに好きな内容の本を出版することができます。

つまり、自分の出版実績は自分で作ることができるのです。

たとえば、あるセミナーを開催したとしましょう。

出版実績のある講師の方が、セミナーの参加者から「信頼できる」と感じてもらいやすくなります。このように、自費出版はセルフブランディングにつながります。

また、名刺代わりに配ることで、相手に「出版したことのある人なんだ」と強く印象づける効果も期待できます。

このように、簡単に自分のビジネス上のブランディングができてしまうのも自費出版ならではのメリットの1つです。

出版後は書籍が著者の著作物になる

書籍の著作権は出版費用の負担者に帰属します。そのため、自費出版の場合は著者の著作物になります。

商業出版の場合には、出版費用を出版社が持つため、いくら著者と言えども無許可で内容を使うことはできませんが、自費出版の場合には、著作権が著者にあるため、書籍の一部を抜粋した冊子を作ったり、Webやブログなどに転載したりすることも自由に行うことができます。

自費出版のデメリット・リスク

自費出版のデメリットやリスクとしては次のようなものが挙げられます。

出版費用が全額著者負担なため、高額になりやすい

自費出版の場合、出版費用は全額著者負担となります。

出版費用は、自費出版の依頼先によっても異なりますが、大手出版社の自費出版部門はサポートが手厚い一方で費用は高額になりがちです。

出版後のプロモーションなどが行われないことが多い

自費出版の場合、出版後のプロモーションが行われないケースが多いと考えておきましょう。

大手出版社の自費出版部門などに依頼する場合は、プロモーション費用を支払えばオプションとして行ってもらえますが、期待通りのプロモーションを行ってもらえるのかは出版社次第です。

プロモーションを依頼する場合は、事前にどのようなプロモーションを行ってもらえるのかを確認しておくことをおすすめします。

出版後の流通を行ってくれないことが多い

自費出版の場合、出版後の流通も行ってくれないことが多いと考えておきましょう。

プロモーションと同様に、大手出版社の自費出版部門などに依頼する場合は、書店流通費用を支払えばオプションとして行ってもらえますが、商業出版や企業出版のように積極的には行ってもらえないと思っておきましょう。

流通を依頼する場合も、事前に出版社に「流通をどれぐらい行ってもらえるのか?」「流通の方法は何か?」などを確認しておくことをおすすめします。

なぜなら、書店を訪れた方が全く足を運ばないような自費出版専門棚に1冊置いてあるだけで「流通している」と謳う出版社も実際に存在するためです。

自費出版を行う場合には、その点に十分警戒しましょう。

自費出版を行う際の注意点

自費出版は費用さえ捻出できれば、誰でも出版することが可能です。

そういったハードルの低さ故に注意しなければならないことがいくつかあります。

自費出版が最適な方法なのかを慎重に検討する

個人や企業・企業経営者が出版を行う場合に、自費出版が最適な方法なのかを慎重に検討する必要があります。

たとえば、企業経営者が個人的に名刺代わりに書籍を配ったり、個人のセルフブランディングをしたりするのが目的であれば、自費出版がおすすめです。

自費出版の目的は、著者のこれまでの経験や考えを書籍の形にまとめることにあり、自分史や回顧録などのように自身を振り返る手法に向いています。

その他に、個人的に創作してきた小説や俳句、詩などを自分の成果として1冊の書籍にすることもできます。

一方、企業や企業経営者が、自身の事業やビジネスのブランディングや宣伝・PRを目的として出版するのであれば、企業出版がおすすめです。

なぜなら、企業出版のサービスは書店への流通力や営業力を持った出版社が提供していますので、これらを利用して全国の書店で販売されるからです。

企画段階で書籍を購入してくれるターゲットを設定して、ターゲットの目に留まるような書店の書棚に並べることができます。

このように、著者の目的によって自費出版、企業出版どちらが良いかが変わってくるので、今一度慎重に考えてみましょう。

参考までに、自費出版と企業出版の目的別のおすすめの人は次表の通りです。

出版方法 こんな目的を持つ人におすすめ
自費出版 名刺代わりに自分の書籍を配りたい企業経営者や個人のセルフブランディングをしたい人など
企業出版 自身の事業やビジネスのブランディングや宣伝・PRをしたい企業や企業経営者など

信頼できる出版社を選ぶポイント

自費出版ができる出版社はたくさんあります。

そのため、中には思ったようなサポートをしてもらえない出版社や、価格だけ高いような出版社があるのも事実です。

自費出版は費用が高額なので、失敗しないためにも、信頼できる自分に合った出版社を選ぶ必要があります。出版社選びで押さえておくべきポイントとして、まず、ホームページなどで自費出版を行っている出版社かどうかを確認します。

自費出版を取り扱っているのであれば、出版社としての歴史や実績がしっかりしているのか、代表や社員がどのような経歴や実績を持っている人なのかについても確認しましょう。

そのうえで、実際に営業担当者と打ち合わせをして自費出版に必要な費用や期間などについてヒアリングをして見積もりを依頼します。

また、自費出版の場合は、発行部数や紙質の選び方などによって見積金額が変わってきますし、提示された見積金額以外に追加費用が発生する可能性もありますので、この点についてもきちんと確認しておく必要があります。

営業担当者が信頼できるかどうか?

営業担当者と打ち合わせしたり見積もりを依頼したりする際に注意したいのは、その営業担当者が信頼できる人物かどうかということです。

たとえば、見積書の内容を詳細に説明しなかったり契約を急がせたりするような場合は要注意と考えた方が良いでしょう。

「社員は会社の顔」とよく言われますが、自費出版の場合も、営業担当者の対応がよく信頼できる場合は、良い出版社である可能性が高いです。

「営業担当者が信頼できる人なのかどうか?」はしっかりとチェックしておきましょう。

原稿のチェックやアドバイスをしっかりと行ってくれるかどうか?

見積もりを依頼する際に、営業担当者や編集者と打ち合わせをすることになりますが、その際に企画内容や原稿などのチェックやアドバイスをしっかりと行ってくれるかどうかもチェックポイントの1つです。

営業担当者には売上ノルマが課せられている場合があり、自分のノルマを稼ぐために契約させるようなケースもあります。

また、営業担当者や編集者が適切な原稿チェックやアドバイスをするだけの経験がないというケースも考えられます。

印税や儲けを目的にしない

世の中には、自費出版からスタートしてベストセラーになった書籍が実際にあります。

たとえば、夏目漱石の「こころ」、島田洋七の「佐賀のがばいばあちゃん」、山田悠介の「リアル鬼ごっこ」などが有名ですが、これは非常に稀な事例です。

よく、自費出版の営業などの際に語られるこういった事例を真に受けないようにしましょう。

基本的に、自費出版の場合は印税で儲けるというようなことを目的とするべきではありません。

内容は自分でよくチェックする

自費出版の場合も出版社で編集や校正をやってくれますが、その分だけ費用が発生するので注意しましょう。

基本的な誤字脱字や表記ゆれのチェック・修正などの校正作業は出版社に依頼する必要がありますが、最小限の費用で収まるように自分でよくチェックする必要があります。

適切な発行部数を選択する

自費出版の費用は全額著者が負担しますので、発行部数も著者が自由に決めることができます。

発行部数が増えると1冊あたりの単価は安くなりますが、出版費用は高くなります。

自費出版の書籍が余ってしまっても困りますので、適切な発行部数を選択するようにしましょう。

自費出版の流れ・出版までにかかる期間

以上、自費出版の費用や特徴、さらには出版社の選び方まで詳しく解説しました。

自費出版でも企業出版でも、自分のニーズを満たしてくれる出版社なのかどうかはとても重要です。

費用が安いに越したことはありませんが、「安かろう悪かろう」に当たらないためには契約前に出版社の営業担当者と綿密にやり取りをし、懸念を払拭しておくことです。

見積もり

書籍の企画が決定すると、出版社が見積もりを行います。

見積もりに際しては、金額を大きく左右する条件などについて双方でよく確認しておく必要があります。

また、この段階で見積もり以外にどのような費用が発生する可能性があるのか、についても事前に聞いて把握しておくことが重要です。

出版業界には専門用語も多く、業界ならではの常識も多いので、結果的に自分で想定していた金額よりも大幅に高くなってしまった、などのトラブルもよくあります。十分に注意しましょう。

申込・契約

出版社から提示された見積金額や条件に納得できた場合は、出版の申し込み・契約となります。

費用の支払いについては、「全額前払い」「着手金+校了時に残金」など出版社によって異なるので、契約前によく確認しておきましょう。

また、自費出版の場合の著作権は著者に帰属しますが、この点も事前に確認が必要です。

原稿・デザイン作成

契約が終わると、著者は原稿作成と写真やイラストなどの準備をします。

原稿や写真・イラストなどの素材が揃ったら、出版社の編集者からアドバイスをもらい必要に応じて修正をします。

原稿や写真・イラストなどの素材の準備に必要な期間は約2週間~6か月です。

原稿が完成後、デザイナーが表紙や紙面のデザインやレイアウトを行います。

デザイナーからの提案によって、原稿の加筆や減筆、写真やイラストの見直しなどが発生することがあるので、デザインやレイアウトに必要な期間は、2週間~1か月です。

校正・校閲

デザインが終わった初校を紙やPDFに出力して、校正を行います。

イメージ通りのデザインになっているか、誤字脱字や表記ゆれはないか、写真やイラストの見え方は適切か、などについて校正と修正を繰り返します。

また、校閲を行い事実関係に誤りがないことなどを確認(ファクトチェック)していくので、校正・校閲に必要な期間は、2週間~1ヶ月程度です。

印刷・製本・納品

校正が終わると、出版社から印刷会社に書籍のデータが送られますが、これを入稿といいます。

印刷会社から実際の本に近い紙やインクを使って印刷した色校正が提示されるので、インクのノリ具合や写真の色味を確認して、必要に応じて調整を依頼します。

色校正が終わったら、契約部数の書籍が印刷・製本されて納品、と言う流れです。

印刷・製本に必要な期間は、約1ヶ月です。

自費出版の成功事例

ここでは自費出版の成功事例について紹介します。

しかし、前述の通り、そもそも自費出版が書籍を出版することが目的だったり、名刺代わりに知人に配りたいという目的、セルフブランディングに活用したいという目的、ベストセラーで印税収入を得たいという目的まで千差万別ですので、何をもって「成功」というかは人それぞれです。

1つ目の成功事例は、自費出版をきっかけに新聞や週刊誌などに取り上げられて話題となり、テレビ番組などへの出演オファーが殺到したというケースです。

その書籍はビジネス書だったので、書籍の売上部数の大幅アップにはなりませんでしたが、その後も講演依頼や執筆物の依頼が増えて、専門家としての認知度も向上しました。

2つ目の成功事例は、自費出版をきっかけとしてラジオ番組を担当することになったものです。

たまたまその書籍を読んだラジオ番組の関係者が、番組制作の担当者に話をして、トントン拍子に1つのラジオ番組を担当することになりました。

大きなビジネスチャンスにつながったというような成功事例ではありませんが、著者としては自身の専門性を認めてもらえて、より多くの人に自分の意見や考えを伝える場をえることができ、セルフブランディングにつながりました。

自費出版は出版目的を持つが大切

自費出版はただ出すだけではなく、「何のために出すのか?」という出版目的をしっかりと持って行うことが重要な出版方法です。

出版目的が明確であれば、100万円程度の安い自費出版サービスでも最高の満足度を得られる場合もあります。

しかし、一方で高額な自費出版サービスを使ったからと言って自分にとって最高の満足度が得られるとは限りません。

「あれだけ、高額な費用を使って、できたのがこれか・・・」と後悔してしまうケースもあります。

そのため、もし今みなさんが自費出版を考えているのであれば、自分自身に「何を目的に出版するのか?」を問いかけて、明文化してみてください。

とにかく書籍化するのが目的であれば、安価なサービスでも問題はないでしょう。

しかし、他の目的であれば、今一度出版社の人と本当に自分に適した出版方法は何なのかを相談してみましょう。

自費出版は出版目的を持つが大切

本記事では、自費出版とはなにか、メリット・デメリット、費用相場、成功事例などについて解説しました。

自費出版は、著者が自由に本の内容を決めることができるので、名刺代わりに配ったりセルフブランディングをしたりするのには最適な方法です。

しかし、著者自身の事業やビジネスの宣伝・PRやブランディング目的の場合にはあまり効果が期待できません。

なぜならば、出版社によるプロモーションなどがないため、多くの顧客に購入してもらうことができないからです。

自分自身が行っている事業やビジネスをより拡大していくための宣伝・PRやブランディング、マーケティングが目的ならば、企業出版や企業出版を活用して問い合わせにつなげるブックマーケティングという手法を検討してみてください。

▶ブックマーケティングについては、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。

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執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)

福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経営法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を歴任し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。

コンサルティングサービスは、顧客側からすると費用対効果が分かりづらい代表的なビジネスの1つです。

そのため、どんな素晴らしいサービスを提供しているコンサルタントであっても、実績や知名度がない状態では、依頼してもらえるまでのハードルが高く、なかなか成約に至らないのが現実です。

もっと言えば、実績や知名度がなければ、見込み顧客の集客も難しいのが実情です。

このように、コンサルタントで集客に関する悩みを抱えている方は、意外と多いのではないでしょうか。

本記事では、集客できないと悩むコンサルタントが、見込み顧客との信頼性を獲得し、効率的かつ効果的に集客できる手段を詳しく解説します。

目次【本記事の内容】

コンサルタントの集客が難しい理由

コンサルタントの集客が難しい最大の理由は、サービス内容などの分かりにくさにあります。

そういった分かりにくさを払拭することができずに、次のような理由で集客に苦戦しているコンサルタントが多いようです。

自分の強みをうまく発信できていない

少しでも多くの仕事が欲しいコンサルタントは「どんなことでも相談に乗ります」というアピールをしがちです。

これは、特に独立したばかりのコンサルタントに多く見られる傾向です。

これは「顧客からのどんな依頼にも応えて多くの受注を獲得したい」と考えてのことですが、そのことがかえってコンサルタント本人の狙いとは逆に集客を難しくする一因になっています。

実際に依頼する顧客側の視点で考えると、何が専門なのかが分からず、「依頼しても的確なアドバイスが得られないかもしれない」と思って依頼しにくいのです。

たとえば、自社のIT情報システムに課題があることが分かっているときには、「何でもサポートできます」というコンサルタントよりは「IT分野ならお任せください」というコンサルタントを選ぶのではないでしょうか。

もっと言えば、「IT情報システムの見直しや再構築ならお任せください」とより具体的にアピールしているコンサルタントの方が「この人にお願いしたい」と思ってもらいやすくなります。

主なコンサルタントの専門領域としては、経営、業務改善、IT、マーケティング、財務、人事、事業再生などがあります。

自分がどの分野に強く、かつ顧客にどのようなメリットをもたらすことができるのかを明確に発信していくことが重要です。

見込み顧客に向けての信頼性の欠如

コンサルタントが見込み客に自身のサービスをアピールしたとしても、簡単には信頼してもらえません。

なぜなら、コンサルタントは肩書きだけで信頼されるような職種ではないためです。

コンサルタントには、弁護士や税理士などのように公的な資格などがありません。

極端に言えば、コンサルタントと名乗れば誰でもなれてしまう職種であり、肩書きだけでは信用されにくい職種です。

そんな中で、見込み顧客の信頼を獲得するためには、自身のこれまでの経歴や、コンサルティング実績、それに代わるエビデンスを明確に示していく必要があります。

それがコンサルタントの集客を難しくしている要因の1つです。

知名度やブランド力の不足

コンサルタントの知名度やブランド力が不足している場合も集客が難しくなります。

なぜなら、知名度やブランド力が不足していると、どんなに高品質なサービスを提供していたとしても、顧客側の依頼候補先として上がりにくいためです。

たとえば、「SEOコンサルタント」とネットで検索した際に、せいぜい担当者が見るのは検索結果の2〜3ページ目程度です。

もし8ページに表示されていたとしても、見てもらえないでしょう。

このように、知名度やブランド力が不足していると、どんなに良いサービスを提供している優秀なコンサルタントでも、顧客側の候補先としても上がりにくくなります。

どうしても知名度やブランド力の強いコンサルタントに依頼が集中してしまい、それらが不足しているコンサルタントに依頼が来にくい、というのも集客が難しいと言われる要因の1つと言えるでしょう。

集客につながるマーケティング手法が打てていない

コンサルタントが効果的なマーケティング手法を実施していない場合も、集客は難しくなります。

なぜなら、コンサルティング業を営んでいる競合他社は数多くいるからです。

競合が多いため、マーケティングをすることなく集客ができるような業種ではありません(もちろん、例外もあります)。

たとえば、コンサルタントには、外部からの視点で経営課題を把握し、論理的に分析し、目標を達成するための解決策を示す能力が求められますが、コンサルティング契約を結ぶ時点ではその能力を持っているかどうかは分かりません。

ホームページやコラム、SNSなどでの発信情報、セミナーでの講義内容などから、信頼に足るコンサルタントであることが確信できなければ、相談をしてもらうことはもちろん成約に至ることはありえません。

そのため、コンサルタントにとって、マーケティングは集客を行う上で必要不可欠なものであることを認識しておく必要があります。

コンサルはまずクライアントを知ることから

集客につながるマーケティング施策を検討するためには、見込み顧客がどうやってコンサルタントを探すのかを、まず知ることからです。

なぜなら、顧客企業のコンサルタント選定がどのように行われているのかを知らずに、マーケティング施策を考えることはできないからです。

一般的にコンサルタントは、次のような過程を踏んで選定されます(あくまで一般例です。例外もあります)。

  • 1.社内に経営課題が見つかり、外部の視点を入れた解決の必要性が生じる
  • 2.その経営課題に対応できるコンサルタントを探す
  • 3.対応可能な複数のコンサルタントの実力や課題解決能力を知る
  • 4.対応可能な複数のコンサルタントを比較して依頼先を決める

このコンサルタントの選定過程からわかることは、まず最初の「コンサルタント探し」の段階で「自分の存在に気づいてもらうこと」、すなわち「認知してもらうこと」の重要性です。

また、そもそも見込み顧客はなぜコンサルタントに社内の課題解決を依頼しようとするのかについても知る必要がありますが、それは次の3つに集約することができます。

  • ・第三者視点からの客観的な評価や分析
  • ・課題解決のスピードアップ
  • ・課題解決能力や知識、ノウハウの習得

このように、見込み顧客がどのような時にコンサルタントへの依頼を検討し、どのようなプロセスで選ぶのかは、最低限知っておくべきことと言えるでしょう。

コンサルが集客施策を実行するときの心構え

ここからは、コンサルタントが集客施策を実行する際に、心がけておきたい3つのポイントについて解説していきます。

相談しやすい受け皿を作る

コンサルタントは、そもそも見込み顧客側にとってサービス内容や専門性、経歴や実績などが分かりづらい職種です。

見込み顧客にとって相談ハードルが高くなりやすい職種とも言えます。

そのため、見込み顧客が相談しやすい仕組みを作り、相談ハードルを下げることを心がけていく必要があります。

たとえば「集客コンサルタント」であれば、「企業の広報担当者向けのSNS集客セミナー」「企業の広報担当者向けのブログ集客セミナー」など、ターゲットを絞り込んだ具体的な無料セミナーを企画するなどです。

そういったセミナーに集まった方々に、無料相談などのサービスを提供し、お悩みを聞いた上で解決策を提案していきます。

このように、「集客のことならなんでも相談ください」というスタンスではなく、「自分が顧客側だったら」という視点で、顧客が相談しやすい仕組みを構築していく必要があります。

人脈(ネットワーク)を作る

コンサルタントは、見ず知らずの第三者からの依頼ではなく、知人からの紹介など人とのネットワークを介した相談や仕事の依頼が最も多いと言われています。

そのため、まずは自分の人脈をフルに活用して集客を図ることが大切です。

顧客側からすれば、全く知らない人よりも、信頼できる友人や知人に紹介してもらった人の方が、相談しやすいものです。

また、「友人や知人が紹介してくれるコンサルタントだから」と信頼も得やすくなります。

コンサルタントとして集客に困っている方は、Web広告やSNSなどに目が向いてしまいがちですが、人脈を活用した方が早く確実に成約につながりやすくなります。まずは「人脈を活用して集客ができないか」を考えてみましょう。

過去に勤めていた会社の同僚や、その際に知り合った知人など既存のネットワークを大切にしていくことはもちろん、異業種交流会や勉強会、各種セミナーなどに顔を出すことで人脈を広げることができます。

また、このような場で自分の強みや得意分野について紹介して、認知度を上げるようにしましょう。

フォローアップを忘れない

コンサルタントの中には、実績を上げるために新規顧客の獲得にばかり熱心な方がいます。

しかし、既存の顧客のフォローアップも忘れずに行う必要があります。

なぜなら、リピーターになってくれたり、長期契約や顧問契約に発展したりして売り上げの安定化につながる可能性があるからです。

さらに、既存の顧客が知人を紹介してくれて新規顧客の獲得につながることもあります。

フォローアップにはいろいろな方法がありますが、たとえば定期的にメルマガやDMを発信して、有益な情報を届けるという方法が考えられます。

このように、既存の顧客一人ひとりにしっかりと応えてきめ細かに対応することが、経営の安定化や新規顧客獲得につながるということを忘れてはいけません。

コンサルタントに適した集客手段とは

集客する手段としては、多くの選択肢がありますが、職種によって向き不向きがあります。

ここからは、コンサルタントに適した集客手段をいくつかご紹介いたします。

ホームページ制作とコンテンツマーケティングを実践

コンサルタントの集客手段としてホームページの制作は必要不可欠です。

なぜなら、「依頼する前にまずはホームページを見る」という顧客が多いからです。

いくら良いサービスを提供していたとしても、「誰が提供するのか?」は誰でも気になるものです。特にコンサルタントのような、自身のビジネスにとって重要な助言をもらう存在であればなおさらです。

また、HPがあれば、コンテンツマーケティングを行うことが可能です。

コンテンツマーケティングにおいては、開設したホームページに自分の専門領域や実績を掲載し、加えて顧客にとって有益な情報をコラムなどの形で発信していきます。

これによって、自分の強みやノウハウなどが言語化されて顧客に伝わりますし、SEO対策を行うことによって、検索エンジンで検索結果の上位に表示されることも可能となります。

つまり、問い合わせや相談の機会が増加して、それに伴う成約率アップの可能性が高まるということです。

チラシやパンフレット、名刺のコンテンツ化

紙媒体のチラシやパンフレット、名刺をコンテンツ化して集客を図る方法もあります。

インターネットやSNSの時代だからこそ紙媒体のチラシやパンフレット、名刺を見込み客などに配布することは集客に効果的です。

チラシやパンフレット、名刺に経営理念、経歴、専門分野、コンサル実績などのブランディングを意識したコンテンツを掲載するなど工夫すれば、顧客から興味を持ってもらえる可能性があります。

また、自分自身が力を入れて発信している媒体(SNSやブログ、自社サイトなど)のQRコードを掲載するのも有効です。

SNSで自己PRと情報発信

SNSによる情報発信もコンサルタントの集客手段として有効です。

SNSで発信した情報は「いいね」や「シェア」「リポスト」などによって拡散されます。思わぬ人や企業に伝わって、認知や集客につながる可能性があります。

SNSで発信される情報の種類は千差万別なので、多くの情報の中に埋もれてしまわないように、独自性を持たせた専門分野の豆知識やTIPSなどを定期的に投稿することがコツです。

SNSの投稿は比較的気軽に行えることがメリットですが、ホームページのコンテンツと同様に手間がかかるという点や、集客できるまでには時間がかかる点には注意しましょう。

セミナーを開催

自分の得意分野や専門分野をテーマとするセミナーを開催することも有効です。

なぜなら、セミナーにはテーマに関心のある顧客が有益な情報を求めて参加しているためです。

また、そういった受講者と直接話をする機会を持つことができるのもメリットです。

受講者の中には、テーマに関心があるだけではなく、他にも具体的な課題を抱えた方がいる可能性もあり、コンサル契約に発展することも十分に考えられます。

自分の得意分野や専門分野に関するセミナーということもあり、自ずと自信にあふれた講義ができるので、ブランディングという点からも効果的です。

書籍を出版

自分の専門分野に関する書籍を出版し、全国の書店に流通させることも集客に有効な手段の1つです。

「書籍が持つ信頼性の高さ」は他のメディア以上です。そのため、書籍は自身のブランディングという点でも非常に効果があります。

また、書籍の情報量はホームページのコラムやチラシ、パンフレット、SNS投稿などよりも多いため、自分が顧客に伝えたいことを余すことなく掲載することができます。

ちなみに、一般的な書籍のページ数は200ページ程度で、文字数は7万~10万文字程度です。

紙媒体のA4判のチラシの文字数は1,000文字〜2,000文字程度ですから、書籍では比較にならないほどの情報を伝えることができることがわかります。

しかし、出版するだけではダメです。出版しても、ターゲットとなる見込み顧客に読んでもらえなければ意味がありません。そこで重要になってくるのが、ブックマーケティングです。

ブックマーケティングの重要性

コンサルタントが書籍を出版したとしても、単に自分が配るだけの名刺代わりの書籍で終わってしまっていては意味がありません。

書籍をマーケティングの一部として活用し、コンサルタント自身の強みなどを伝え、問い合わせなどの集客につながるような取り組みをしていく必要があります。

そこで重要になってくるのがブックマーケティングです。

ブックマーケティングは、書籍を単に出版社の販路だけではなく、あらゆる情報発信の手段を活用し、ターゲットとなる見込み顧客に届けて問い合わせなど、集客面で貢献させるマーケティング施策です。

ブックマーケティングを実施する際の重要事項について、以下で具体的に説明します。

事業ターゲットの理解と的確なアプローチ

ブックマーケティングを行う際には、書籍の企画段階からターゲットの明確化とアプローチ方法を決めておく必要があります。

つまり、出版する書籍を誰に読んでもらって、何を伝えるのかということを決めておき、さらにそのターゲットに確実に届けるためのプロモーションまでを想定しておくことが大切です。

効果的なコンテンツ戦略の立案と事例の紹介

書籍のターゲットと伝えたいことが決まったら、次は具体的なコンテンツを練り上げていく段階です。

編集者とともにターゲットの課題に寄り添うコンテンツを作り上げていきます。コンテンツの中に、自然な形で自分自身の実績もできるだけ事例として掲載していくことを心がけましょう。

書店でプロモーションを実践

書籍が完成すると、具体的なプロモーション計画を立てます。

ブックマーケティングの場合は、あくまで書籍はマーケティングのためのツールですから、確実にターゲットの目にとまる書店の書棚に並べて、書籍テーマに関心のある方やニーズのある方に購入してもらうようにしなければなりません。

ブックマーケティングのゴールは書籍を売ることではなく、書籍を読んだ見込み客の集客をはじめとして、ビジネスメリットを達成するための手段であることにあります。

書籍コンテンツを二次利用してSNSやWEBサイトを強化

ブックマーケティングで出版した書籍コンテンツは、著作権が著者にあるため、二次利用できます。

たとえば、書籍の一部をホームページのコラムやブログに掲載してSEO対策に活用したり、SNSで発信したりすることも可能です。

このように、書籍コンテンツをあらゆる媒体に活用し、マーケティング効果を最大化することができます。

営業ツールや紹介ツールとして書籍を活用

ブックマーケティングで出版した書籍を、営業ツールとして配布したりすることができます。

また、自分で配布する以外にも、見込み顧客や知人に配布しておくことで、思わぬ集客や相談につながる可能性があります。

書籍テーマでセミナーを開催

ブックマーケティングで出版した書籍のテーマでセミナーを開催することもできます。

書籍は全国規模で流通しますので、興味や関心のある見込み顧客や書籍の内容に共感した潜在顧客などが全国から参加してくれる可能性があります。

さらに、セミナー後に名刺交換会や懇談会を設けることによって、集客や具体的案件の相談などにつながる可能性があります。

▶️ブックマーケティングの詳細については、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。

コンサルタントのブックマーケティング成功事例

コンサルタントのような、顧客から依頼してもらえるまでのハードルが高く、顧客との信頼関係の構築が重要なビジネスを行っている方にとって、ブックマーケティングは相性の良いマーケティング手法です。

実際に、コンサルタントがブックマーケティングを行って集客に成功した事例を2件ご紹介します。

事例①:ターゲット特化してその道の専門家としてブランディング

建設業専門のコンサルタントの事例です。

この方は、自身の商圏での開拓はある程度行ってきていましたが、次のステージにすすむために、知名度の向上と商圏の拡大を狙って書籍を出版しました。

書籍のタイトルに「建設業のための」という文言を入れたことによって、狙い通りのターゲットにダイレクトにアプローチすることができ、さらには書籍の配本を首都圏中心に行うことによって「商圏の拡大」にもつながりました。出版の翌日から問い合わせが殺到し、複数件の顧問契約獲得につながっています。

このように、ターゲットに特化した専門家であることを世間に認知させ、ブランディングを行っていくために、ブックマーケティングは有効な手段と言えます。

通常、本は販売部数を増やすために、「できるだけ多くの人に読んでもらいたい」という意図でタイトル付けをするものです。今回の書籍であれば、「建設業のための」と入れることによって、ターゲットが一気に狭まってしまうため、販売できる可能性のある部数が減ってしまいます。

しかし、書籍を通じでどのようなブランディングを行っていきたいのか、の目的を企画段階で明確にしていたからこそ、書籍のタイトルに「建設業のための」という、ターゲットを狭めながらも狙った読者層からの集客をイメージした文言を入れる決断ができたのです。

このように、通常の出版とは違う考え方で、マーケティングのツールの1つとして企画し、出版していくのがブックマーケティングです。

事例②:得意分野をコンテンツ化してその分野のNo.1へ

日本では起業した会社の約6割が1年以内に廃業しているという現実がありますが、資金調達支援のコンサルタントである著者は「適切な融資の下、創業者が夢を実現できるように」という思いから書籍を出版しました。

書籍の中では、自らが立ち上げた会社が創業後3年間に8200万円の融資を受けて事業を軌道に乗せることができた実績を元に、中小企業でも高額の融資が受けられるという秘訣を公開。

自社が得意とするWebやSNSのコンテンツ化によって、問い合わせ件数が3~4倍に増加して受注件数が伸び、その結果、融資支援実績が日本一になりました。

このように、自身の強みや想いをしっかりとターゲットに届けることができるのもブックマーケティングならではのメリットです。

Web広告やSNSなどでいくら長文で伝えようとしたとしても、「パッと見てわかる」ことが重視されるネット媒体では、伝えられる情報量に限界があります。

しかし、書籍は違います。しっかりと長文が読まれる媒体です。特に内容がターゲットに刺さるものであれば、ネット媒体の比にならないほどの情報量を伝えることができます。

また、書籍を読んでもらえることによって著者や提供するコンサルティングサービスへの理解も深まり、顧客教育にもつながります。

結果として、読者は著者のファンになり、仕事の依頼をすること前提で問い合わせいただけるようなホットな信頼関係を作ることができるのです。

まとめ

本記事では、コンサルタントの集客が難しい理由やコンサルタントに適した集客手段について解説しました。

コンサルタントの集客手段にはいろいろありますが、成功事例でも紹介したようにブックマーケティングを利用した集客は相性抜群です。

コンサルティングの依頼をしてもらうためには顧客からの信頼を勝ち取ることが不可欠ですが、「書籍を出版したという事実」だけで社会的な信頼性は飛躍的に高まります。

また、ターゲットを明確にした書籍内容やタイトルなどによって、効果的なマーケティングが可能です。結果として相談件数や成約件数の増加が期待できるでしょう。

集客に課題をお持ちのコンサルタントの方は、ぜひブックマーケティングの活用を検討してみてください。

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執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

健康食品や化粧品、サプリメントなどの広告・PRに携わっている広告担当者や広報担当者にとって、薬機法(旧:薬事法)に関する知識は欠かせません。

薬機法(旧:薬事法)に違反する広告・PRを行ってしまうと、場合によっては罰金や逮捕などの厳罰が課せられることもあります。

そこで本記事では、まず薬機法(旧:薬事法)とは何かについて説明し、その後に薬機法(旧:薬事法)に違反せずに広告・PRするための7つのポイントについて分かりやすく解説していきます。

目次【本記事の内容】

薬機法(旧:薬事法)とはどんな法律?

薬機法(旧:薬事法)とは、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの品質と有効性、安全性を確保するために、製造から販売、販売後の安全対策までを規制する法律です。

この法律は従来「薬事法」と呼ばれていましたが、2014年(平成26年)に改正が行われて、名称が「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に変更されたため、これを略して「医療品医療機器等法」や「薬機法」と呼ばれています。

薬機法(旧:薬事法)の規制対象となるジャンル

薬機法(旧:薬事法)の規制対象となっているのは、主に以下のようなジャンルの商品・サービスです。

  • ・医薬品
  • ・医薬部外品
  • ・化粧品(コスメ)
  • ・医療機器
  • ・再生医療等製品

薬機法(旧:薬事法)の規制対象となる広告の3要件

1998年(平成10年)9月29日、厚生労働省は「医薬監第148号厚生省医薬安全局監視指導課長通知」において、「薬機法(旧:薬事法)の規制対象となる広告」とは、次の3つの要件をすべて満たすものであるということを示しました。

  • ・顧客を誘引する意図が明確である
  • ・特定医薬品等の商品名が明らかにされている
  • ・一般人が認知できる状態である

以下では、この3つの要件について詳しく見ていきましょう。

顧客を誘引する意図が明確であること

1つ目の要件は「顧客の購入意欲を昂進(こうしん)させる意図が明確であること」と言い換えることが可能です。

つまり、「商品を販売したい」という目的が明確にわかることが要件だということです。

この意味から、アフィリエイトリンクやインフルエンサーによるPR投稿などは、この要件を満たしているため、「広告」とみなされます。

逆に、学会などでの論文において「ある健康食品の効果」について発表したような場合は、「商品を販売したい」という目的で行われたものではないので、この要件を満たさず、「広告」とはみなされません。

特定医薬品等の商品名が明らかにされていること

2つ目の要件は、販売者(事業者や企業など)から消費者に対して行うアプローチを総合的にみて「広告」に該当するかどうかが判断されます。

たとえば、販売者(事業者や企業など)が消費者に「ある商品に含まれる成分の効果効能について説明されたチラシ」を送付した場合、このチラシは効果効能だけを説明しているので「広告」とはみなされません。

しかし、その数日後に「商品のチラシ」や「商品の購入案内」などを送付すると、総合的に判断して「広告」とみなされてしまうのです。

また、ホームページなどで「ある商品に含まれる成分の効果効能を説明するページ」と「商品の購入申し込みページ」が分かれている場合であっても」、「ある商品に含まれる成分の効果効能を説明するページ」から「商品の購入申し込みページ」へのリンクが貼られている場合には、「広告」とみなされてしまいます。

このように、単独のチラシやページだけでは「広告」に該当しない場合であっても、総合的に見て「広告」とみなされるということです。

一般人が認知できる状態であること

3つ目の要件は、「広告の3要件」の中で最も広く解釈されて運用されているものです。

そのため、この要件にはホームページ(HP)、LP、広告、SNS投稿、などほとんどすべての情報発信が該当します。

たとえば、2014年(平成26年)5月22日の厚生労働省の通知において、IDやパスワードを入力しないと入れないサイトであっても「一般人が認知できる状態」に該当するとされています。

薬機法(旧:薬事法)における広告・PR担当者が知っておくべき主な禁止事項

健康食品や化粧品、サプリメントなどの広告・広報担当者の頭を悩ませる薬機法(旧:薬事法)。

もちろん、専門家によるチェックや修正は重要ですが、担当者もある程度「これはダメ」「これはOK」と言った薬機法(旧:薬事法)の禁止事項などを事例とともに知っておいた方が良いと言えます。

そうすることで担当者である程度チェック・修正することができますし、薬機法(旧:薬事法)のチェックにかかる費用の削減や、ダブルチェックにもつながります。

薬機法(旧:薬事法)に該当するような商品・サービスの広告・広報担当者は、次に挙げるような「薬機法(旧:薬事法)における主な禁止事項」をぜひ知っておきましょう。

虚偽・誇大広告の禁止(過度な褒めや効果効能など)

薬機法(旧:薬事法)では、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの名称や製造方法、効能・効果、性能に関して、虚偽広告や誇大広告をすることが禁止されています。

具体的には、「過度な褒め」や「過度な効能・効果」などを謳った広告がダメということです。

実際に「ズタボロだった肝臓が半年で復活」という肝臓疾患の予防に関する誇大広告を行ったとして摘発された事例や、解毒成分であるグルタチオンを含む錠剤 (医療用医薬品)に「美白や日焼け予防などの効果がある」と宣伝して摘発された事例などがあります。

このように、「〜するだけで痩せる」「〜することで血圧が下がる」など自社の商品やサービスを使うことによって何らかの健康効果が得られる」といった表現をする場合には十分注意しましょう。

未承認の医薬品の広告の禁止

薬機法(旧:薬事法)では、未承認の医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの名称や製造方法、効能・効果、性能に関して広告することが禁止されています。

たとえば、「米国食品薬品局が認可した画期的な飲む育毛剤」と広告した事例がありますが、たとえ米国食品薬品局で承認されていた医薬品であっても、日本で承認されていないものの広告をすることはできません。

実際に厚生労働大臣の承認を受けていない医薬品である「スーパープラセンタ」を、肌の若返りなどを謳って宣伝・販売したとして摘発された事例もあります。

そもそも取り扱う医薬品がきちんと厚生労働大臣の承認を受けているものなのかを確認することも重要です。特に他社の商品を取り扱う会社の広報・広告担当者は注意しましょう。

他社商品の誹謗広告の禁止

薬機法(旧:薬事法)では、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの名称や製造方法、効能・効果、性能に関して、他社商品の誹謗広告をすることが禁止されています。

たとえば、「〇〇社の製品よりも良く効きます」や「他社製品より安全です」などの表現が該当します。

「他社製品より安全です」のように、他社や他社製品を明示せずに漠然と比較する場合でも、間接的に他社を批判しているとみなされて薬機法に抵触するおそれがあるので注意が必要です。

そのため、製品同士で比較広告を行う場合は、自社製品の範囲で行う必要があります。また、対象商品の名称を明示しなければなりません。

医療関係者等の推せんの禁止

薬機法(旧:薬事法)では、「医療関係者等」による推せんが禁止されています。

ここでいう「医薬関係者等」とは、医療や美容に関する国家資格や同等の資格を持っている専門家のことを言い、医師や歯科医師、美容師、理容師、鍼灸師、教授などが該当します。

これは、医師や美容師による推せんには影響力があり「効能・効果や安全性の保証」とみなすことができると考えられるからです。

たとえば、医薬品などの広告で、医師が「〇〇に効きます」というような表現をしている場合は「効能・効果を保証している」と誤解されるおそれがあるため禁止されています。

また、化粧品の広告で「美容師がおすすめします」というような推せん行為もNGです。

ただし、医師や美容師が監修した商品の広告において、「共同開発した事実」を記載することは問題ないとされています。

化粧品の効能・効果の範囲を超えた表記の禁止

薬機法(旧:薬事法)では、化粧品の広告においては効能・効果以外の表記が禁止されています。

たとえば、基礎化粧品の広告で「脂肪分解を昂進(こうしん)してセルライトの除去や皮膚の老化防止をする作用があります」と表現したところ、肌の機能そのものに関わる表現は化粧品の効能効果の範囲を超えているとして摘発を受けた事例があります。

化粧品の効能・効果の範囲については、厚生労働省が平成23年7月に発表した「化粧品の効能の範囲の改正について」で明確に56項目が指定されています。

たとえば、以下が化粧品の効能の範囲として許されている表現例です。

(1)頭皮、毛髪を清浄にする。
(2)香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。
(3)頭皮、毛髪をすこやかに保つ。
(4)毛髪にはり、こしを与える。
(5)頭皮、毛髪にうるおいを与える。
(6)頭皮、毛髪のうるおいを保つ。
(7)毛髪をしなやかにする。
(8)クシどおりをよくする。
(9)毛髪のつやを保つ。
(10)毛髪につやを与える。

引用元:厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」

また、「化粧品であれば上記どのような表現を使っても良い」という事ではなく、あくまでその化粧品に該当するもののみ使用可能となっているので、注意しましょう。

薬機法(旧:薬事法)に違反すると重い罰則を受ける可能性があるので注意

薬機法(旧:薬事法)に違反した場合は、業務停止や課徴金納付などの重い罰則を受ける可能性があるので注意が必要です。

以下では、具体的な罰則の内容などについて説明します。

「措置命令」や「中止命令」が下される

薬機法(旧:薬事法)に違反した事業者や企業に対しては、厚生労働大臣や都道府県知事から違反行為の中止や排除、再発防止策の実施を命じる「措置命令」や「中止命令」が下されることがあります。

なお、未承認の医薬品や医療機器の販売をした場合は、刑事罰の対象となる可能性もありますので、十分な注意が必要です。

売上に対する課徴金が課せられる

薬機法(旧:薬事法)に違反して虚偽や誇大広告を行った事業者や企業に対しては、厚生労働大臣から課徴金が課せられます。

この「課徴金制度」は2021年(令和3年)8月1日から施行されたもので、違反を行っていた期間における対象商品の「売り上げ金額×4.5%」を課徴金として納付しなければなりません。

社会的信用を失い契約打ち切りなど連鎖的に事業失墜に向かってしまう

薬機法(旧:薬事法)に違反して措置命令や中止命令が下されたり、売上に対する課徴金が課せられたりすると、その企業の社会的信用は低下します。

企業イメージがダウンして商品の販売中止・回収になったり、消費者はもちろんのこと株主や取引先からの信用も失って株式の下落や取引先との取引停止になることもありえます。

また、未承認の医薬品や医療機器の広告・販売をした場合は「未承認医薬品の広告禁止」に該当するため、より重い刑事罰の対象となりますので十分な注意が必要です。

最悪の場合、その企業の経営者などが逮捕されるケースも。

このように、1つの広告の違反行為によって大きな損失を被る可能性があることを知っておきましょう。

実際の薬機法(旧:薬事法)の広告・PR違反事例

薬機法(旧:薬事法)は範囲や解釈が広いため、広告・広報担当者が一から全てを学ぶのには無理があります。

そこでおすすめしたいのが、「違反事例をたくさん学ぶ」ということです。

法律の文面や表現のOK・NG事例を覚えるよりも、実際に薬機法(旧:薬事法)違反をした事例が頭に入っているだけで、「これはOKかNGか?」の判断ができるようになってくるので、効率的です。

では、実際に発生した薬機法(旧:薬事法)の広告・PRの違反事例をいくつか見ていきましょう。

免疫機能を正常化

2023年(令和5年)9月27日、ペットフードの研究開発・製造・販売を行っている企業が、承認を受けずにホームページで「免疫機能を正常化」と広告したことにより、その企業の代表取締役が薬機法(旧:薬事法)の「承認前の広告の禁止等」に違反した疑いで逮捕されました。

ペットフードであっても薬機法(旧:薬事法)違反で摘発される可能性があるというもので、新潟県内では初の事例、全国でも2件目の事例となりました。

このように、「初の摘発事例」などは要チェックです。

今までは見過ごされていたものがある時期から摘発対象になる場合もあるので、十分注意しましょう。

アトピー治る

この違反事例は、2013年(平成25年)2月に、自ら作製した液体を「アトピー治る」と謳って医薬品として無許可で販売した製造業者が、当時の薬事法違反の疑いで逮捕されたものです。

この容疑者は、2009年(平成21年)ごろから食酢や緑茶の成分を混ぜた「クリン8」という液体を、インターネットで全国の約2400人に1本100ML入りを4900円で販売していました。

「クリン8」の購入者から「薬機法(旧:薬事法)違反になるのではないか」という相談が警察にあり、山形県警が捜査して逮捕に至ったようです。

未承認の医薬品を販売したことはもちろんのこと、広告・広報担当者として注目したいのは「アトピー治る」と未承認の医薬品を宣伝したということです。

がん予防

2020年(令和2年)10月に、「がんに効く」という広告をして医薬品として未承認のサプリメントなどを販売した容疑で医師らが逮捕されました。

この医師が経営するサプリメント製造販売会社のホームページで、4種類のサプリメントやお茶について「乳がん予防」「インフルエンザ予防」「便秘解消」などのように医薬品としての効果があるように広告・販売していました。

この事例では、代表者の医師だけではなくサプリメント製造販売会社の従業員2名も逮捕されています。

未承認の医薬品を販売したのはもちろんのこと、注目すべきはその製造や宣伝に関わった人も巻き込んで逮捕されているということです。

このように、薬機法(旧:薬事法)違反は、 周辺のさまざまな関係者を巻き込んでしまう可能性があることを知っておきましょう。

薬機法(旧:薬事法)に違反せずに広告・PRするためのポイント

広告・広報担当者が薬機法(旧:薬事法)に違反せずに、健康食品や化粧品、サプリメントなどの広告・PRを行うためにはどのようなことに注意すれば良いのでしょうか。

具体的には以下の5つのポイントを押さえておくことで、薬機法(旧:薬事法)違反を防ぐことができます。

自社商品・サービスが薬機法(旧:薬事法)に該当するかをチェックする

まず最初にすべきことは、自社の商品やサービスが薬機法(旧:薬事法)に該当するかどうかをチェックすることです。

薬機法(旧:薬事法)の対象となるジャンルは、医薬品や医薬部外品、化粧品(コスメ)、医療機器、再生医療等製品などですので、自社の商品やサービスがこのジャンルに該当するかどうかで判断することができます。

業界のガイドラインを良く読む

次に、薬機法(旧:薬事法)に関するガイドラインをよく読み込んで理解することが必要です。

基本となるガイドラインとしては、以下の2つです。

また、広告に関する基準としては、以下のようなガイドラインがあります。

・厚生労働省「医薬品等適正広告基準

また、これらを元にして、以下のように各業界で個別のガイドラインが作成されているのでそちらを参考にするのもおすすめです。

これらのガイドラインを理解しておくことによって、広告を作成する際に意識して違反表現を避けることができるようになります。

また、次のように地方自治体のHPなどでも分かりやすいガイドラインが作られていたりするので、そちらも見ておきましょう。

また、これらのガイドラインを参考に、自社の商品やサービスに関する独自のガイドラインを作成しておくことも有効です。

他社の違反事例から学ぶ

他社の違反事例から学ぶことも重要なポイントです。

たとえば、2020年(令和2年)、健康食品輸入会社が「抗ウイルス効果がある」とお茶の広告を自社サイトで行い、医薬品として未承認の健康食品を販売したとして代表ら2人が逮捕されました。

この事例のように、特に健康食品については、医薬品と同等の効能・効果があるという広告をすると「未承認の医薬品」とみなされて薬機法(旧:薬事法)に抵触する場合があります。

これらの他社事例を参考にして、「OK表現」「NG表現」などを自社のガイドラインとしてまとめておくことも有効です。

専門家への確認 / リーガルチェック

薬機法(旧:薬事法)の専門家にリーガルチェックを依頼して確認してもらう方法もあります。

薬機法(旧:薬事法)の知識を持った専門家が行いますので、間違いや見落としが起こる可能性は非常に少ないのですが相応の費用が発生します。

Webページの更新頻度が高いような場合は、費用対効果について検討する必要があるでしょう。

薬機法チェックツールを使用

薬機法(旧:薬事法)チェックツールを使用する方法もあります。

薬機法(旧:薬事法)チェックツールとは、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、健康食品などの広告表現が薬機法(旧:薬事法)などの法律に抵触していないかどうかをチェックしてくれるツールのことです。

広告表現に問題がないかどうかを確認するだけではなく、代替表現の提案をしてくれるものもあります。

料金体系はツールごとに異なっており無料で利用できるものもありますが、文字数の制限などがある場合がありますので、用途に応じて検討が必要です。

主に以下のようなツールがあります。

薬事法広告表現チェックツール:無料のチェックツールで、30文字までの広告表現のチェックが可能です。主に健康食品や化粧品に対応しています。薬機法(旧:薬事法)に抵触する表現の場合は結果欄に抵触している箇所とその理由が表示されます。

TRUSQUETTA(トラスクエタ):従来KONOHAという名称で利用されていたツールで有料です。主に化粧品(コスメ)や健康食品に関する広告表現が薬機法(旧:薬事法)や景品表示法に抵触していないかどうかをチェックし、代替表現を提案してくれる機能もあります。

Cosme Design:化粧品(コスメ)の広告チェック、成分表示名称チェックなどを行うツールです。有料ツールですが、2日間だけ全機能を制限なしで利用できるお試し制度があります。

書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディングの活用

広告宣伝というと、テレビCMやWeb広告、SEO記事、SNS投稿などのように、パッと見てすぐわかるような方法を考えますが、「書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディング」という方法も有効です。

これは、商品やサービスの効果・効能を伝えるのではなく、それに含まれる成分などについて詳しく訴求することにより、その成分の入った商品・サービスのニーズを喚起するという方法です。

▶ブックマーケティングについては、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。

実際に書籍を使い成分ブランディングに成功して問い合わせが殺到した事例が数多くあります。

ただし、書籍だからといって一般広告よりも薬機法(旧:薬事法)の規制が緩いということではありません。

一般広告と同じように薬機法(旧:薬事法)のリーガルチェックが必要になりますし、薬機法(旧:薬事法)に違反すると、その罰則は著者だけではなく、出版社にも及ぶことがあります。

バイブル商法にならないように出版社選択は慎重に

「書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディング」を行う際に注意しなければならないのは「バイブル商法」にならないようにすることです。

「バイブル商法」とは、健康食品や化粧品、サプリメントなどの効果効能を書籍で宣伝すると同時に、その商品を販売するような商法のことをいいます。

出版業界では過去に出版社の社長がこの「バイブル商法」で逮捕されるという事件が発生しています。

これは2011年(平成23年)に発生したもので、書籍で「健康食品がガンに効く」と宣伝して健康食品の販売を幇助した容疑で逮捕されたものです。

どんなに広告担当者が薬機法(旧:薬事法)に気をつけていても、出版社に薬機法(旧:薬事法)の知識やノウハウがなければこのような事件に発展してしまいかねません。

「バイブル商法」にならないように、出版社選びは慎重に行いましょう。

書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディングの具体的な活用事例

ここでは、「書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディング」を活用して問い合わせの増加や販促につながったという具体的な事例を2件紹介します。

事例①:コラーゲンという成分について説明し結果的にサプリメントの販売促進につながった事例

「あらゆる死に至る病気の原因は血管が老朽化することであり、その血管を若返らせることが健康寿命を延ばす近道だ」という内容の書籍があります。

著者は、コラーゲンサプリメントの開発・販売会社の代表者であり、医師でもありました。

書籍のタイトルやカバーなどには、サプリメントの販促につながるような話は一切入っておらず、内容も血管を若返らせるコラーゲンについて説明をする内容となっています。

しかし、本の出版後、書籍を読んだ読者から「この本で説明されているコラーゲンはどうやったら摂取できるのか」という問い合わせが出版社や著者に殺到し、結果的にコラーゲンサプリメントの販売促進につながっています。

書籍の中でコラーゲンについて説明することで、読者の中に「この本で説明されているコラーゲンを取りたい」というニーズが生まれたのです。

書籍は広告などと違い、長文をしっかりと読んでもらえる媒体です。

書籍の中でしっかりとコラーゲンに関する魅力を伝え、読者教育ができたからこそ、このようなニーズが読者の中に生まれたのだと言えます。

事例②:サラダ油の危険性を訴求し、結果的に米油ブームにつながった事例

この書籍の著者は米油の製造・販売している企業に勤務している研究開発者で、出版の目的は米油のBtoB販売の促進でした。

書籍の内容は「一般家庭で当たり前に使っているサラダ油を摂りすぎると、がんや脳卒中、心臓病の原因になりうるという」というものです。

特に商品の訴求などをしている訳ではありませんでしたが、出版後に大きな反響があり、結果的に米油ブームにつながりました。

その後は、出版目的のBtoBでの米油の卸先の開拓だけでなく、一般消費者の反響が大きかったためBtoCでの訴求にも成功しています。

このように、商品やビジネスの話を出さずとも、成分について詳しく語ることで、商品の販売促進やビジネスの活性化につながることを証明した事例と言えるでしょう。

まとめ

健康食品や化粧品、サプリメントなどの広告担当者や広報担当者は、薬機法(旧:薬事法)に違反しないように、広告・PRについて自社で入念にチェックをしたり、社外の専門家にリーガルチェックを依頼したり、薬機法(旧:薬事法)チェックツールを使用したりといろいろなことを行っていることと思います。

しかし、同時に「広告やPR、SEO記事、SNS投稿など以外の方法で、自社商品やサービスの良さを効果的に伝える方法はないのか?」ということを検討していくことも重要です。

そこでおすすめしたいのが、この記事でご紹介した「書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディング」です。

広告やPR、SEO記事、SNS投稿などのように商品やサービスの効果・効能をダイレクトに伝えるのではなく、商品に含まれる成分について訴求することで、ユーザーに「成分を取りたい」と言うニーズを喚起させるという、薬機法(旧:薬事法)規制が厳しい時代には有効なマーケティング手段の1つです。

「薬機法(旧:薬事法)の規制によりうまくマーケティングができていない」と感じている方はぜひ一度書籍による成分ブランディングを検討されてみてはいかがでしょうか。

※書籍であっても薬機法(旧:薬事法)の規制を受けますので、薬機法(旧:薬事法)に関する知識やノウハウを有する弊社のような出版社を選ぶようにしてください。

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執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

特定のニーズに対して販売戦略を組み立てるニッチビジネス。

市場が小さいからこそ市場の開拓が難しいと感じる企業は多いでしょう。

今回の記事では、ニッチビジネスの基本的な情報や成功例をもとに、どのような方法でマーケティング戦略を組み立てると良いかを解説します。

目次【本記事の内容】

ニッチビジネスとは

ニッチビジネスとは、市場の隙間にある一部の限られた特定のニーズに対して、商品やサービスを展開するビジネスのことです。

ニッチやニッチビジネスの意味について、以下で詳しく見ていきましょう。

ニッチとは

「ニッチ(英:niche)」とは、英語で「隙間」を意味する単語です。

経済やマーケティングなどの分野では、「市場のニーズが小規模ながらも専門性の高い事業領域」のことを指します。

ニッチビジネスの意味

ニッチビジネスは、大手企業があまり手を出さない特定の小規模市場や、独特な顧客ニーズに特化したビジネスモデルのことを指します。

たとえば、『セイコーマート』というコンビニは「北海道に特化している」という点で、全国展開するセブンイレブンやファミリーマートに比べて、ニッチビジネスに該当します。

また、トースターで有名な『バルミューダ』なども、「家電業界の中でもひときわ高級価格の商品を販売している」という点でニッチビジネスです。

ニッチビジネスのメリットとデメリット

ニッチビジネスの主なメリットは、「競合他社が少ないこと」です。

一方、主なデメリットは、「市場が小規模なため、マーケティングが難しいこと」です。

それぞれ、具体的に見ていきましょう。

メリット:競合が少ない!

「競合他社が少ないこと」は、ニッチビジネスの最大のメリットと言っても過言ではありません。

なぜニッチビジネスに競合他社が少ないのかというと、資本力や技術力のある大手企業がカバーしきれない、またビジネス対象としづらい特定の領域をターゲットにしているためです。

実は、大手企業はある一定の規模がなければ、ビジネスにしにくいという弱点があります。そういった大手企業で満たされない強いニーズの穴をうまく狙ったのが、ニッチビジネスになります。

大手ではビジネスにならなくても、中小企業では十分ビジネスとして成り立つ場合が多いです。

また、ニッチビジネスは市場規模は小さいですが、競合が少ないため、顧客の囲い込みやシェアを独占することなども可能です。

たとえば、半導体関連装置などの開発・製造・販売サービスを行う「レーザーテック株式会社」は、従業員数が数百名程度の中小企業でありながら、マスク欠陥検査装置でシェア100%を実現しています。

このように、ニッチビジネスは競合他社がそもそも少ないか、いないので、価格競争に巻き込まれるリスクも低く、商品やサービス自体の質を高めて、ニーズを拡大したり、それをきっかけに大きなビジネスに発展させたりすることもできるのです。

デメリット:市場が小さくマーケティングが難しい!

ニッチビジネスのデメリットは「市場が小さく、マーケティングが難しいこと」です。

ニッチビジネスでは、市場規模の大きなビジネスとは違い、大々的に広告を打っても、その商品・サービスが売れないことがあります。なぜなら、市場規模が小さいが故に、市場規模の大きなビジネスよりも細かいターゲティングをしていく必要があるからです。

たとえば、メンズアパレルブランド『RetroPics.(レトロピクス)』は、メンズの小さいサイズの服に特化しているため、ターゲットは一般的なメンズアパレルブランドと違い「身長160cm前後の男性」です。

既存のWeb広告プラットフォームでは、そういった細かいターゲティングをすることが難しいため、広告を出すキーワードなどを考えたり、それ以外の方法でターゲットへのリーチ方法を模索していく必要があります。

このように、ターゲットが細かすぎてターゲットへの効率的なリーチが難しい、という課題が出てきます。これが、ニッチビジネスのデメリットだと言えるでしょう。

ニッチビジネスの成功例

ここからは、実際にニッチビジネスで成功した具体的な事例を5件紹介します。

成功例1:楽天ブックスネットワーク

楽天ブックスネットワークは、楽天グループ傘下の出版取次会社であり、「ホワイエ」という本の少部数卸売サービスを展開しています。

今までは、取次会社が出版社から新刊書籍を受け取り、各書店に必要な冊数を配送するというやり方が一般的でした。そして、「書店は配本冊数の指定はできないが、一定期間が過ぎても売れなかった本は返品できる」という委託販売(返品条件付き売買)制度が日本の出版市場を支えています。

しかし、この制度下では、「小さくてもいいから書店を開いて、自分の好きな本を売りたい」「カフェでお店の雰囲気に合った本を並べたい」「雑貨などと一緒に本も売りたい」などといったニーズを満たすことが難しく、そういったニーズが無視されてきていたのです。

そこで楽天は、保証金不要で、最低1冊からでも本を卸売できる「ホワイエ」を事業化し、こうしたニッチなニーズに応えています。

それにより、以前は本を扱うノウハウを持たなかったカフェや雑貨店、衣料品店、美容室やホテルなどが小規模で書籍の販売ができるようになりました。また、楽天ブックスネットワークは、じわじわと取引先を開拓していき、売上を拡大。楽天グループの新たな売上の柱の1つとして成長しています。

ニッチビジネスだったものが、徐々に拡大し、企業を支える柱となった典型的な成功事例と言えるでしょう。

成功例2:星野リゾート

星野リゾートは、競合他社の多い業界でありながら、根強いファンを獲得しており、旅館業界の中で独自の地位を確立しています。なぜなら、ニッチな層に向けて他にはないサービスを展開しているからです。

たとえば、『星野リゾート トマム』は、かつて1980年代のバブル経済期にスキー客で賑わっていたリゾート施設『アルファリゾート・トマム』を星野リゾートが再建したものです。

施設内のファームで乳牛やヤギ、ヒツジを飼育し、獲れたての新鮮な牛乳やチーズを販売していたり、トマム特有の雲海の鑑賞施設「雲海テラス」を営業したり、さまざまな工夫が凝らされています。

また、『星のや富士』では、日本初のグランピングリゾートとして、狩猟体験ツアーを実施するなど、「大人の楽しみ」にも対応するなど、他ではできないような体験や、独自のサービスを展開しています。

さらに、それぞれの宿泊客に対して、特定のスタッフがチェックインからチェックアウトまでのあいだ一貫してすべての業務を担う「マルチタスクオペレーション」を導入し、より顧客に寄り添ったサービスを展開しています。

顧客満足度を高めることにより、リピーター獲得に成功しているのです。

このように、企業の独自性や強みを明確にし、ターゲットを絞ることや、他にはないサービスや質の高いサービスを提供することにより、ニッチビジネスを成功させています。

成功例3:解決本舗

株式会社解決本舗は、名古屋市に本社を置く化粧品受託製造販売会社です。

解決本舗は、OEM(自社ではないブランド製品の製造)を、10本から受注するニッチビジネスを展開しています。通常は3,000本程度から受注している会社がほとんどなため、このような小ロットでの受注に対応している会社は、解決本舗以外にほぼありません。

また、解決本舗は、他店との差別化を図るため、オリジナルの化粧品を求めるエステサロンや美容室を顧客とし、継続的に取引することで、事業を発展させています。

1点ものから対応する試作品専門の製造業者などもそうですが、大手ではやらない小さいロット数でのニッチビジネスに成功した典型的な成功事例と言えるでしょう。

成功例4:バルミューダ

日本で家電と言えば、パナソニックや東芝、日立、など大手企業の名前が数多く挙がると思います。

日本の家電市場は大手が競争し合うほどの飽和状態だった中、そこに切り込んだのが、バルミューダです。

バルミューダは、2015年に「BALMUDA The Toaster」という2万円以上もするトースターを生み出したことで話題となり、世の中に知られるようになりました。

「え?トースターに2万円?」という声もあがるほど、大多数のニーズからは外れたニッチな値段設定でしたが、他にはないシンプルで洗練された「デザイン性」と、プロもうならせる上質なトーストが出来上がるという「機能性」で、ユーザーの心をつかみ、20万台を超えるヒット商品となりました。

それまでの「家電は実用的でなるべく安く」という常識を覆したと言えます。

その後トースターだけではなく、扇風機、電子ケトル、炊飯器、などさまざまな高級家電をリリースし成功しています。

大手がやらないような高価格帯を狙ったニッチビジネスの典型的な成功例と言えるでしょう。

成功例5:小泉成器

小泉成器は、家電メーカーと家電卸売の二刀流で事業を展開している会社です。

小泉成器の家電は「一芸家電」と呼ばれ、ニッチなニーズにとことん応える製品が多いのが特徴。

たとえば、大風量のドライヤー、小型のコードレスボトルミキサー、充電式でコンパクトなコードレスヘアアイロン、6個のゆで卵が手軽に作れるエッグスチーマープラスなどです。

「あったらいいな」というニッチなニーズを常に掘り起こして、「ちょっと便利な生活スタイル」を提案しています。

一方、タニタやティファールなど国内外160社以上の卸もやっていて、消費者のニーズに合わせたチョイスで的確な販促につなげています。

このように、「消費者が本当に欲しがる商品をいかに発掘するか」を強みにして、ニッチなニーズに応えることで、成功を収めているのです。

ニッチビジネスのマーケティングのポイント

ニッチビジネスの成功事例などを分析してみると、ある共通するポイントが見えてきます。

ニッチビジネスのマーケティングを行う場合には、具体的に以下のようなポイントを最低限押さえた上で、戦略立て、施策実施を行っていくことが大切です。

ポイント1: 確実なニーズの有無を見極める

ニッチビジネスを成功させる最も重要なポイントは、確実なニーズの見極めです。

消費者の間でまだ顕在化していない普遍的なニーズをいかに掘り起こすか、ニーズをどれだけ深く理解し、そのニーズを的確に満たせるか、が重要になります。

たとえば、バルミューダの例でいえば、「とにかく美味しいパンが食べたい」「キッチンをおしゃれにしたい」という普遍的なニーズが成功のポイントでした。

消費者に確実なニーズがあることがわかれば、それは事業を展開していく足掛かりになります。

ポイント2: リピーターが獲得できるかを吟味する

その商品やサービスが、一度の購入だけで終わらず、リピーターを獲得できるかどうかも重要です。

少人数でもコアなユーザーから高評価を得られれば、購入を継続してもらえる可能性が高くなります。

人生でそう何度も買わないものであっても、「この商品ならこの会社」のようなイメージがあれば、ニーズが出た時に選ばれやすくなります。

たとえば、「高級トースターと言えば?」と街中で聞いた時に「バルミューダ」と答える方は多いと思います。

このように、ニッチビジネスの場合はいかに少人数のコアなファンを作りリピートしてもらえるか、また、コアなファンが口コミなどで思わず人に紹介したくなるような付加価値や成功体験をいかに獲得してもらえるかどうか、が成功のポイントになります。

ポイント3: 付加価値のある商品・サービスを提供する

ユーザーは、ニッチな商品やサービスだからこそ、他にはない付加価値を求めています。

特に、品質の高さやデザイン性、独自性、アフターサービスの質の高さなどは、既存の商品やサービスと差別化するうえで大きなポイントとなるでしょう。

つまり、既存の商品やサービスと差別化する付加価値をつけることは、ニッチビジネスを成功させるうえで重要なポイントと言えます。

たとえば、星野リゾートは、ただ宿泊して美味しいご飯を食べるという、一般的な宿泊サービスにはない、他のリゾート施設ではできないような、さまざまな体験を付加価値として提供しています。

ニッチビジネスを展開していく際には、「自社の独自性や強みを活かして、魅力的な付加価値をつけられないか?」を検討しましょう。

ポイント4: 流行に流されない

時代の流れに乗って、今流行っているものを看板商品・サービスとしたニッチビジネスを立ち上げようとしても、失敗の可能性が高くなります。

なぜなら、流行に乗った商品・サービスというのは、一時的には爆発的な売上を見せたとしても、流行が終焉した後もそれが売れ続けるかどうかが分からないためです。

また、流行りの商品やサービスを取り扱う競合他社も多いため、ニッチビジネスにも関わらず差別化を考えていく必要がでてきます。実際に、ニッチビジネスの成功事例を見てみると、どこも流行に流されず、独自路線でサービスを展開しています。

このように、ニッチビジネスを行う上で流行は避けるべきポイントと言えるでしょう。逆に、成功させるポイントは、ロングセラーの定番商品や既存のサービスの中にあるニーズの「隙間」を見つけることです。

誰もが必要とするものの中から、これまでとは違う「こんな商品・サービスが欲しかった」と思われる種を小さくても良いので見つけることが大切です。

ポイント5: 競合会社をリサーチ

ニッチビジネスといっても、多かれ少なかれ競合他社は存在します。

今参入している企業はもちろんのこと、これから参入予定の企業についても事前にリサーチしておくことが重要です。

また、大企業の参入可能性などもリサーチすべきです。

具体的には、競合他社と比べて、自社がどれくらい優位に立てるのか、自社の強みをどう活かせるのか、それぞれの企業の強み、自社との類似性の有無なども確認しておきましょう。

ポイント6: その道の専門家を目指す

ニッチビジネスを行うには、自社そのものが「ニッチな存在である」方がうまくいきます。

なぜなら、ニッチな商品やサービスを求める人は、その人自身も専門的な知識を持っていたり、質の高い商品を求めていたりするためです。

たとえば、本記事で紹介した解決本舗は、「小ロットのOEMの専門家」です。

3,000本以上のロットからしか受けていないOEM会社に、「毎月30本から40本に発注数をあげたらどれぐらい原価が下がりますか?」という質問をするよりも、解決本舗に相談した方が、小ロットOEMに関する対応実績などをベースに、精度の高い回答が期待できます。

このように、ニッチな顧客のニーズに応えるには、その会社自体も専門的な知識や高い技術を持つ必要があります。

特定の分野についてより深い知識や技術を身につけ、その情報を顧客に提供することで、顧客のニーズをつかむことができるのです。

ニッチビジネスに適したブックマーケティングの活用

ニッチビジネスを成功させる上ではマーケティングが重要ですが、市場が小さいが故に既存のマーケティング施策ではターゲットに精度よくリーチできない可能性があります。

数あるマーケティング施策の中で、ニッチビジネスに適したマーケティング施策としておすすめなのが書籍を活用したブックマーケティングです。

ブックマーケティングとは

ブックマーケティングとは、企業が、自社の事業や商品・サービスなどについて書いた書籍を出版し、それを自社のマーケティングに活用していく手法のことです。

今はネットで検索すればすぐに欲しい情報が取れる時代ですが、ネット上にあふれる情報は、根拠が明確でなかったり、情報ソースが不明瞭だったり、発信者の信頼性がわかりにくかったりするため、「この情報は本当に信頼していいのか?」と思ってしまった経験があるという方は多いと思います。

一方で、書籍の場合は、出版社と著者が明記されていることや、紙媒体として現物があるという点から、「ネット上の情報よりも信頼できる」と考える人が多い傾向があります。

こういった書籍そのものの信頼性を活かし、自社の事業や商品・サービスについての情報をターゲットに書籍として届けていくことで、商品・サービスの販促につなげていくのがブックマーケティングです。

一般的な書籍は企画を立ててから書籍を作り始めますが、ブックマーケティングの場合は、書籍の企画前から「ターゲットにどの様な情報を届けるか?」というマーケティング戦略から組み立て、それに合わせて書籍の内容を作り始めます。

ただ書籍出版をして、書籍販売プロモーションをするだけではなく、SNSマーケティングやSEOコンテンツマーケティング、クラウドファンディングなど、あらゆるマーケティング施策を組み合わせて、戦略を作っていくのが特徴です。

そのため、一般的な自費出版、商業出版とは、目的や書籍の作り方が全く異なります。

また、ブックマーケティングはあくまでマーケティング施策の1つであるため、数万部のように大量に書籍を販売する必要もないのです。

少ない部数であっても、確実なニーズを持つ顧客をつかむことができれば、その後の大きな事業リターンにつながります。

たとえば、不動産投資サービスを提供する会社の経営者のブックマーケティングの場合、1件の成約でブックマーケティングの費用を大きく上回るリターンを得られています。

このように、部数を大量に流通させることよりも、「いかに確度の高い見込み顧客に精度よく届けられるか?」がブックマーケティングで重要なポイントです。

▶️ブックマーケティングの詳細については、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。

ニッチビジネスとブックマーケティングの成功例①

不動産投資は競合の多い市場です。大手企業も多く参入している業界です。

そんな中、ある不動産会社の経営者は、高収入で購買意欲が高い医師というニッチな層に向けた不動産投資サービスを開始。SNSやWeb広告で発信していましたが、見込み顧客獲得に繋がらず、悩んでいたそうです。

そこで、ターゲットである医師に対して、「最も効果的な節税対策が不動産投資である」という自身の考えや想いを伝えるべくブックマーケティング施策として書籍を出版しました。

あらかじめその後のマーケティング戦略や展開なども見据えて書籍の内容を企画したことや、SNSやセミナー、クラウドファンディングなどを上手く組み合わせてプロモーションをしたことから、ターゲットである多くの医師の手元に届けることができたのです。

そして、書籍を読んだ医師から問い合わせがあり、多くの成約を獲得しています。

不動産投資という競合の多い市場で、医師というニッチな層に的を絞って、信頼性の高いブックマーケティングをしたからこその成功と言えるでしょう。

ニッチビジネスとブックマーケティングの成功例②

あるコンサルティング会社は、製造業の工場向けのコンサルティングサービスを提供していましたが、営業をしても高単価であることや、説明に時間がかかることから受注率の低さに悩んでいました。

そこで、ブックマーケティングを実施。社会問題となっている製造業の人材不足を解決する方法の1つとして、「ファクトリーオートメーションによる経営効率化、利益の最大化ができる」というメッセージを伝える書籍を、生産部門の決裁者をターゲットとして企画、出版しました。

書籍を出版したところ、販売から1ヶ月で10件以上の引き合いがありました。今までリーチできていなかった分野の企業からの問い合わせも増え、売上にもつながった成功事例です。

「製造業の生産部門の決裁者」という非常にニッチなターゲットに、「あなた向けの本ですよ」とわかるような明確なキャッチコピーを出したことや、説明にかかる時間を、書籍を読んでもらうことで一気に省略できたことが、発売1ヶ月で成約につながった成功した大きな要因と言えるでしょう。

まとめ

本記事では、ニッチビジネスのマーケティングについて、基本的な部分から解説してきました。

ニッチビジネスのマーケティングは市場規模が少ないが故に難しいことが課題となっていますが、それを解決する1つの手法としてブックマーケティングが、今注目されています。

ニッチビジネスは、ターゲットが限定されているため、いかにコアなファンを多く作れるかが重要です。

そのためには、会社の理念や特徴、独自の技術などを書籍としてまとめて伝えることができるブックマーケティングという手法が適しています。

特に高単価商品・サービス、購入までに長い説明が必要な商材、顧客との信頼関係構築が必要な商材などは、それらが信頼性のある書籍という媒体で一括してできてしまうので、特に相性が良いと言えます。

ニッチビジネスを始めようと思っているが、なかなか良いマーケティング施策がない、という方や、マーケティングをやっているが実際に上手くいっていないという方は、これを機にブックマーケティングの活用も検討してみてはいかがでしょうか。

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執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)

福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経営法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を歴任し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。

不動産業界は、消費者の広告慣れや競争が激化したことで、マーケティングの難易度が年々上がっています。

思うように集客ができない場合は、手法から見直しを図る必要があるでしょう。

本記事では、不動産業界のマーケティング事情から主要なマーケティング施策を網羅的に解説します。

目次【本記事の内容】

不動産業界のマーケティングにおける基礎知識

不動産業界は購入金額が大きく、他の業界の取り扱う商品・サービスとは顧客の購入プロセスなどが異なります。

思ったより集客できない現状を改善する前に、まずは不動産業界におけるマーケティングの基礎的な知識を押さえておきましょう。

マーケティングの重要性とは

不動産業界には他の商品やサービスと違って購入・契約までの検討期間(リードタイム)が長いという特徴があります。

たとえば、「Web上でお得な不動産があったから即購入」ということはほとんどありません。Web上で見て、不動産会社に問い合わせて、内覧をして、検討してから購入、という長期のリードタイムを経て契約や購入に至るのが一般的です。

そこを不動産営業マンがいかにフォローしていくかが重要になってくるのですが、個人差もあり、長期のリードタイムをかけたとしても、契約や購入に至らないケースも多くあります。

このように、不動産業はどうしても営業コストが増えてしまいやすい業種なのです。

そのため、安定的な売上・利益をあげる仕組みづくり、つまりマーケティングが重要になってきます。

不動産業界における特殊性とは

不動産業界でマーケティングを成功させるには、この業界ならではの特殊性を押さえる必要があります。

なぜなら、他の業界で成功した手法をそのまま用いただけでは、思ったような成果が出ない可能性があるからです。

次のような不動産業界の特殊性を押さえ、それを加味した上で、マーケティング戦略を組み上げていきましょう。

人口減少による市場の変化

少子高齢化による人口減少で国内の不動産需要が減少してきており、今後30年で約20%の人口が減るという予測もあるほどです。不動産需要は今後さらに減少することが予想されます。

特に地方都市などでは、需要の減少により不動産業界は買い手(借り手)市場となり、「急いで決めなくても物件がなくなることはない」という状況です。

そのため、顧客はじっくりと時間をかけて、より自分に合った物件を探す傾向が強くなっています。

インターネットの普及

インターネットやスマホの普及により、物件探しをネットで行う顧客が増加しました。

従来のような「不動産会社の店舗を訪れて物件を探す」というプロセスよりも、「まずはスマホを使って物件を探し、そこから不動産会社を訪れる」というプロセスに変化してきているのです。

また、近年では不動産会社を訪れることなく、Web上で内覧し契約するというパターンも増加しています。

そのため、このような顧客の購入プロセスに対応した、マーケティング施策に切り替えていく必要があります。

不動産取引の形態の変化

インターネットやスマホ、SNSの普及や、AI、メタバースなどの台頭により、不動産取引の形態も大きく変化しています。

特に近年は、Web上で内覧ができるようになり、「ネット完結」の需要が増加しています。

公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会が発行する会報誌『REAL PARTNER 9月号』が22歳以上60歳以下の男女500人に行ったアンケート調査によれば、不動産取引において「内見から契約までオンラインで完結できる不動産会社を積極的に利用したいと思いますか」という質問に、62.6%の方が「オンライン完結の不動産会社を利用したい」と回答しているほどです。

このような顧客の変化に対応して、不動産会社ではネット上での問い合わせにも対応でき、成約も完結できるような仕組み作りが必要となってきます。

不動産営業に対するマイナスイメージ

不動産会社から突然「投資マンションを購入しませんか?」と連絡がきたり、一度問い合わせをすると、その後ずっと連絡が来る、など不動産営業に対してマイナスイメージを抱いている顧客は少なくありません。

なぜなら、従来の「プッシュ型営業(攻めの営業)」ではなく、「プル型営業(待ちの営業)」に時代のニーズが変化してきているためです。

「一度問い合わせをするといつまでもしつこく営業行為をされるのではないか」と考えて、顧客からコンタクトを敬遠する傾向があり、新規顧客の獲得への障害となるケースも出てきています。

▶️プル型営業については、関連記事【プル型営業とプッシュ型営業の違いとは?知らないと損する効果的な手法】もあわせて参考にしてください。

競合他社との差別化の必要性(競争力の激化)

不動産業界では競合他社との競争が激化しています。

なぜなら、人口減少によって不動産需要が減少しているためです。競合他社同士で、少なくなった顧客を取り合っているのが現状です。

たとえば、不動産売買仲介などでは大手不動産会社が強く、潤沢な広告宣伝費を使って顧客を囲い込んでいるため、資金力のない中小の不動産会社ではなかなか太刀打ちができなかったり、中小の不動産会社同士の競争が激化しています。

このような競争激化は不動産業界のどのジャンルにも起きており、抜け出すための差別化がますます重要になってきています。

ブランディングの重要性(リードタイムの短縮)

不動産業界は、価格も高く、競合他社が多く、リードタイムが長いという課題があります。それを解決するために重要になるのがブランディングです。

ブランディングにより「知らない会社からは買いたくない」という消費者心理を解消し、信頼性を獲得することができれば、価格が高くても、競合他社が多くても関係なく販売ができるようになります。また、リードタイムも短くすることが可能です。

一方で、ブランディングがされていないために知名度がなく信頼性が乏しい場合は、商談が長引いてリードタイムが長くなりがちです。また、リードタイムが長くなればなるほど、顧客の購買確率は下がってきます。

このような点からもブランディングを行ってリードタイムを短縮する必要があるのです。

▶️ブランディングについては、関連記事【マーケティングとブランディングの違いとは?経営戦略における重要性を徹底解説】もあわせて参考にしてください。

不動産業界の主要なマーケティング施策

今後不動産業界で安定した売上・利益をあげていくためには、どのようなマーケティング施策を行っていく必要があるのでしょうか。

ひと言でいえば、既存のマーケティング手法をやりつつも、「他社との差別化」「ターゲットとの信頼関係の構築」をどのように施策として行っていけるかどうかが、今後の不動産業界のマーケティングにおいては重要になってきます。

ここからは、今後、不動産業界で今後行うべき主要なマーケティング施策について説明します。

ポータルサイトの活用

不動産会社のマーケティング施策として、ポータルサイトの活用があります。

これは、大手不動産会社が運営するポータルサイトに物件情報を掲載して集客する方法で、不動産業界のマーケティング手法としては、ごく一般的なものです。

たとえば『SUUMO(スーモ)』や『LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)』『at home(アットホーム)』などがポータルサイトとして有名です。

物件を探している多くの見込み顧客がアクセスするため、ポータルサイトを訪れた見込み顧客を自社のサイトに誘導したり、問い合わせ獲得につなげることができます。ポータルサイトの集客力を借りることができるため、ありがたい存在です。

一方で、掲載される物件数が多いため情報が埋もれてしまう可能性があること、物件情報を掲載するために費用がかかりつづけること、などに注意が必要です。

特に、物件掲載をやめてしまうと一気に売上・利益があがらなくなってしまったり、ポータルサイト側の掲載費用値上げなどで一気に利益率が悪くなってしまうなどのリスクがある点から、依存のしすぎには注意しましょう。

以下では、主要な不動産ポータルサイトの特徴について紹介します。

SUUMO(スーモ)

株式会社リクルート住まいカンパニーが運営する不動産ポータルサイトです。

知名度が高いことが特徴で、「不動産の購入検討者の約70%が『住まい探しといえばSUUMO』」と回答したという統計情報があるほど、ユーザー想起率ナンバー1を誇っています。

特に、売買物件においてはほぼ一強という状態を保っています。

物件情報の掲載料金は掲載物件数に応じた従量制となっており、広告枠の大きさや掲載期間によっても変わってきます。

LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)

株式会社LIFULLが運営する不動産ポータルサイトです。

物件情報の掲載料金は、ユーザーからの問い合わせがあると課金される「問い合わせ課金プラン」と、掲載物件数によって決まる従量制の「掲載課金プラン」の2種類があります。

at home(アットホーム)

アットホーム株式会社が運営する不動産ポータルサイトです。

アットホームの前身企業は1960年代に創業していた歴史のある会社で、加盟店舗数は大手不動産ポータルサイトの中ではナンバー1です。

掲載料金は掲載物件数によって決まる従量制となっています。

ホームページの制作

ポータルサイトに掲載するだけでも売上・利益はあがる見込みがありますが、前述した通り、依存しすぎるのは危険です。そういったポータルサイト依存状況から抜け出す1つの方法が、自社ホームページの制作です。

「作ったからすぐにポータルサイトのように売上・利益につながる」という訳ではありませんが、Web広告などを実施するためには必要になってきます。今後マーケティングを行っていく上では必要不可欠と言えるでしょう。

また、自社ホームページへのアクセス数や問い合わせ数が増えれば、ポータルサイトや広告からの問い合わせよりも低コストで顧客獲得ができます。

自社ホームページへの問い合わせは、広告などと比べると商談に持っていきやすく、成約率なども高いのが魅力と言えるでしょう。

もちろん、作って放置していても意味はなく、作った後に、いかに自社ホームページへ確度の高いアクセスを増やすかどうかが、重要です。

SEOコンテンツマーケティングの実施

単に自社ホームページに会社情報や物件情報などを掲載して放置するだけでは不十分です。

なぜなら、自社ホームページをただ作って公開するだけでは、見込み顧客を集めることができないためです。数多ある競合他社のホームページに埋もれてしまいます。

そうならないためにも、見込み顧客が自社ホームページに自然と集まってくるような状況を作っていくことが大切です。

たとえば、自社の見込み顧客にとって役に立つ専門的な記事やコラム・TIPSなどを掲載すると、有益な情報を求める見込み顧客がホームページを訪れるようになります。

一般的に見込み顧客はGoogleの検索窓に自分の知りたいキーワードを入れて、情報を探します。この時にそのキーワードで自社ホームページの記事やコラム・TIPSなどが上位に表示されていれば、見込み顧客が自然と流入してくる状態を作ることができます。

このように価値のあるコンテンツを掲載して、見込み顧客が検索するであろうキーワードで上位に表示されやすくすることを、SEOコンテンツマーケティングといいます。

価値のあるコンテンツを掲載するだけではなく、流入してきた見込み顧客がホームページを回遊する仕組みの構築や、被リンク対策などもSEOコンテンツマーケティングとして重要です。

ポータルサイトの運営

『SUUMO(スーモ)』のような不動産ポータルサイトを自社で作って運営してしまう、というのも一つの方法です。

ただし、開発費用がかかってしまうため、ある程度のまとまった資金力が必要になります。

また、規模の大きな競合が多いため「他のポータルサイトとの違い」をいかに見出し、打ち出していけるかが成功のポイントになります。

運用型のWeb広告の実施

運用型のWeb広告は、SEOコンテンツマーケティングと同様に、「いかに自社ホームページに集客できるか」という点で重要な施策の1つです。

SEOコンテンツマーケティングは、施策開始から成果が出だすまでに最低でも6ヶ月〜1年程度かかります。一方で、運用型のWeb広告は、広告費用をかけることですぐに成果がでます。このように、即効性が運用型のWeb広告の最大のメリットと言えるでしょう。

また、Web広告では、広告主が配信内容や広告を表示する時間帯、地域などを自由に設定することができ、ターゲティングが容易に行えることが大きな魅力となっています。

たとえば、運用型のWeb広告としては主に次のようなものがあります。

  • ・リスティング広告
  • ・SNS広告
  • ・ディスプレイ広告
  • ・動画広告
  • ・DSP広告
  • ・リターゲティング広告

すべてに広告を出せば良いという訳ではないので、自社に合う媒体を選定することと、広告を出すことにより溜まったデータ(PV数、クリック数、成約率など)を活用し、成約ページを改善したり、文言を修正したり、細かい改善を繰り返していくことが重要です。

SNSの活用(Instagram、X、YouTube、TikTok、LINE)

SNSで不動産の検索をする人も増加しています。そのため、SNSの活用も不動産会社のマーケティングに欠かせない手段の1つです。

たとえば、代表的なSNSとして、Instagram、X(旧Twitter )、Youtube、TikTok、LINEなどがあります。

それぞれのSNSで自社のアカウントを作成して物件情報を発信したり、顧客とコミュニケーションを取ったりすることで、SNSからの見込み顧客の自社ホームページへの流入、問い合わせにつながります。

SNSによる顧客とのコミュニケーションは、不動産会社のマーケティングにおいても今後どんどん活用していくべきでしょう。

それぞれのSNSによって特性の違いはありますが、単に自社の物件情報だけを発信するのではなく、不動産情報を求める見込み顧客が関心を示すような有益な情報も発信するのがポイントです。一方通行の発信になりすぎないように注意しましょう。

アナログ手法の活用(ポスティング、折込チラシ、DM)

地域密着型の不動産会社などでは昔から行われていた方法ですが、ポスティングや折り込みチラシ、DMなどのアナログな手法もマーケティング施策の1つとして重要です。

なぜなら、インターネットやSNSをあまり利用しない年齢層の顧客に対して有効なマーケティング施策だからです。

物件の近郊エリアなどに重点的にポスティングをしたり、折り込みチラシやDMを配布したりすることによって、物件情報を顧客に届けることができます。

また、デジタル時代で顧客との信頼関係を築くことが難しくなった今だからこそ、アナログな手法の方が顧客との、信頼関係を築きやすいことも重要である理由の1つです。

たとえば、「企業のWeb広告やSNS投稿は全く見ないし読まないけれど、ポストにチラシが入っていたらちょっと読んでしまう」という人は意外と多いのではないでしょうか。

情報が溢れすぎて顧客に自社のことを「見てもらえない」「知ってもらえない」「読んでもらえない」ということが当たり前な中、少しでも見て、知って、読んでもらえることは顧客との信頼関係を築いていく上で有利に働きます。

デジタルに比べれば効率は悪いですが、こういったアナログな手法は、デジタルに比べて信頼関係を築くまでの期間を短くできるというメリットがあるので、必要に応じて取り入れていきましょう。

ブックマーケティングを活用するメリット

価格が高く、リードタイムが長い不動産業界では、「いかに顧客との信頼関係を構築していくか」が何より重要です。

マーケティングにより、うまく信頼関係を構築できれば、リードタイムを短くできたり、不動産会社にとっては安定した売上・利益につながります。

実は、あらゆるマーケティング施策の中で、顧客の信頼関係を一気に構築できてしまう手法、購入・契約までのリードタイムを短くする手法としておすすめしたいのがブックマーケティングです。

ただ出版するだけではなく、「書籍」をマーケティング施策の一貫として活用していくのがブックマーケティングです。

ブックマーケティングを不動産業界で活用するメリットをひと言でいうと「信頼性の高い情報をまとめて、狙いのターゲット層に直接届けることができる」ということです。

まずは、書籍は数ある媒体の中でトップクラスに信頼性の高い媒体です。「書籍を出版している」という事実だけで企業の信頼性が格段に高まります。

それだけではなく、書籍には「他の広告媒体よりも情報量が多い」という特徴があるため、著者が伝えたいことをすべてまとめて読者に届けることができるということもメリットです。

書籍は、基本的に長文を読んでもらえますし、同時に「なぜ自分にその商品・サービスが必要なのか?」などの顧客教育もできてしまいます。

顧客との信頼関係の構築や顧客教育が一冊で完結してしまうため、購入・契約までのリードタイムが短くなるなどの効果も期待できるため、不動産のような業種と相性の良いマーケティング手法と言えるでしょう。

ブックマーケティングとは何か

ブックマーケティングとは、書籍をマーケティング施策として活用する手法のことです。

インターネットが発達した現代においても書籍の重要性は高いと考えられます。

なぜなら、欲しい情報はネットですぐに見つけることができますが、ソースや根拠が不明確だったり発信者の信頼性が乏しかったりするなどの問題点があるからです。

これに対して、書籍は出版社や著者が明確になっていることから、一般的にネット上の情報よりは信頼性が高いと考えられています。

このような書籍の信頼性の高さにより、「読んでもらいやすい」という特徴があります。また、書籍を全国各地の書店やネット通販を通して、読んで欲しいターゲットに届けることができます。

結果として効果的なマーケティングにつながるのがブックマーケティングの魅力でもあり強みとも言えるでしょう。

▶️ブックマーケティングの詳細については、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。

効果的なブックマーケティングの実施方法

効果的なブックマーケティングを実施するためには、書籍の企画段階から集客したいターゲット層を明確にしておくことが大切です。

そして、「そのターゲット層に何をどのように訴求して最終的にどうしたいのか」という目的と出版後のプロモーションを含めた戦略をあらかじめ決めておきましょう。

出版後は、集客したいターゲット層の目にとまりやすいように、書店の「不動産」「資産運用」「不動産投資」の書棚に並べて、見込み顧客が自ら書籍を手にして購入するように仕向けます。

また、出版に合わせて記念セミナーを開催したり、クラウドファンディングを実施したり、SNS運用をしたり、あらゆるWebマーケティング施策を組み合わせて、Web上でも見込み顧客自ら書籍を購入してもらえるような仕組みを構築していきます。

成功事例に学ぶ不動産業界のブックマーケティング

ここでは、実際に不動産業界でブックマーケティングを実践して大きな効果を上げた2件の事例を紹介します。

事例1:医師をターゲティングして圧巻の成約率100%を実現

不動産投資サービス事業を展開するある不動産会社の経営者は、従来から高収入で支払う税金が多い医師をターゲットとして、SNSやWeb広告などによる情報発信を行っていました。しかし、期待する効果が得られていませんでした。

そこで、「医師に最も効果的な節税対策は不動産投資である」ということを伝える書籍を出版。

書籍の企画段階から出版後のプロモーションまでを含めた戦略を練っていたため、ターゲットである多くの医師に書籍を購入してもらうことができました。

その結果、書籍を購入した医師に「大きな節税効果のある不動産投資」を認知してもらうことができ、成約率100%という大きな効果を上げることができました。

さらに、既存顧客が知り合いの医師に書籍を配ってくれたり、口コミで広げてくれたことなどにより、副次的に新規顧客の獲得にもつながっています。

事例2:不動産業界のマイナスイメージを逆手に取って集客に成功

しつこい営業行為などから、不動産業界に対してマイナスイメージを持っている消費者は少なくありません。

そこで、ある不動産会社の経営者はこのマイナスイメージを逆手に取って不動産業界の「暴露本」を出版しました。

たとえば、「アパート・マンション経営」を提案する営業マンは、表面では美辞麗句を並べ立ててオーナーの利益を謳いながら、裏では自分たちの売上を優先しているという「嘘で塗り固められた現実」を暴露したのです。

暴露本の発行の目的は、不動産業界ではこういう汚い営業がまかり通っているが「自分たちは違う」という自社の信頼性を獲得することでしたが、狙い通り大きな集客効果を得ることができました。

また、出版前は見込み顧客からの相談は無料で行っていましたが、問い合わせ件数が増えたことから有料相談に切り替えたところ、成約見込みの高い顧客が集客できて営業の効率化にもつながっています。

まとめ

本記事では、結果を出すために行うべき不動産会社のマーケティング施策について詳しく解説してきました。

競合が多く、差別化が難しい業種の一つでもある不動産業界は、「他社との差別化をどうすべきか?」と悩んでいる方は多いと思います。

また、購入・契約までのリードタイムの長さや、Web広告などのマーケティング施策をやってもなかなか顧客が見てくれない、という悩みを抱えている方も多いと思います。

そんな方は、ぜひブックマーケティングの活用をご検討ください。

ブックマーケティングであれば、書籍の出版によって知名度や信頼性を向上させて、狙いの顧客に的を絞ったターゲティングを精度良く行うことができます。

また、顧客との信頼関係構築と顧客教育が一気にできてしまうという点から、購入・契約までのリードタイムの短縮にもつながります。

競争が激化する不動産業界で何か1つ、他と違う一手を打ちたい、という方は、ぜひブックマーケティングを検討してみてください。

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執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

近年、SNS等の発展で情報収集が容易になりました。

そのため、顧客側は問い合わせ段階で購買意思が固まっているのが大半と言われており、プル型営業の重要性が高まっています。

本記事ではプル型営業とプッシュ型営業の違いや効果的なプル型営業手法を解説します。

目次【本記事の内容】

プル型営業とプッシュ型営業の違いとは

営業には大きく分けて、プル型営業とプッシュ型営業の2種類があります。

簡単に言えば、「待ちの営業(プル型営業)」なのか、「攻めの営業(プッシュ型営業)」なのか、という違いがあります。

実際にプル型営業とプッシュ型営業の具体的な違いや、それぞれの特徴を見ていきましょう。

プル型営業とプッシュ型営業の違いについて

プル型営業は、事前に仕組みをつくり顧客からの問い合わせを待つ営業スタイル、プッシュ型営業は、自分から積極的に顧客にアプローチする営業スタイルです。

プル型営業とプッシュ型営業それぞれの違いについては、以下のように比較してみると分かりやすいです。

特徴 営業タイミング 営業範囲 成約までの期間 営業に使う主な媒体 主な手法
プル型営業 事前に仕掛けづくりをして顧客からのアプローチを待つ営業 顧客が決めるため、自社では決められない 多数の顧客にアプローチできる プッシュ型営業に比べて成約までの期間は長い ・SNS

・オウンドメディア

・メルマガ

・オンラインセミナー(ウェビナー)

・SNS経由の問い合わせ

・Webサイトでの問い合わせ

・リスティング広告

プッシュ型営業 積極的に顧客にアプローチする営業 自社が決める 一度に1人(1社)の顧客にしかアプローチできない プル型営業に比べて成約までの期間は短い ・電話

・DM

・メール

・訪問

・電話営業(テレアポ)

・ダイレクトメール営業

・メール営業

・訪問営業

・キャッチセールス

プル型営業の特徴

プル型営業とは、事前に仕掛けを作っておき顧客からの問い合わせや資料請求などのアプローチを待つ営業スタイルです。

プル型営業は、インターネットやスマホの普及に伴って増加してきた営業手法です。インバウンド営業とも言われます。

かつてはプッシュ型営業(アウトバウンド営業)が主流でしたが、現在はプル型営業に取り組む企業が増えてきています。

プル型営業に取り組む企業が増えている背景には、多くの顧客が購入前にインターネットを利用して商品の情報収集や比較検討をするようになったという、行動傾向の変化があります。

インターネットで調べれば、あらゆる製品やサービスの情報が得られる時代。「自分で調べて自分で選ぶ」という選択肢が取りやすくなった現代だからこそ、時代に合った営業手法として、プル型営業は注目されているのです。

SNSやオウンドメディアでの情報発信、SEO対策、メルマガでの情報発信、オンラインセミナー(ウェビナー)の開催などが代表的なプル型営業の手法です。このように手法を用いてアプローチした見込み顧客に対して、商品やサービスをPRし、成約を獲得していきます。

プル型営業は仕組みを作ったり、顧客からの問い合わせを待つという手法なので、成果が出るまでに中長期的な取り組みが必要になりますが、1人の営業マンが多くの見込み顧客に継続的にアプローチし続けられる、といった効率の高さが特徴です。

プッシュ型営業の特徴

プッシュ型営業は、企業から顧客に積極的にアプローチする営業スタイルです。

たとえば、代表的な手法として電話営業(テレアポ)、ダイレクトメール営業、メール営業、訪問営業などがあります。

プッシュ型営業の場合、一度の営業でアプローチできる顧客は少人数です。プル型営業と違い、1人の営業マンができるアプローチ数には限界があるため、事前に顧客分析を行い、購入する可能性が高いターゲット層を選定しておく必要があります。

プル型営業ほど効率的ではありませんが、プッシュ型営業は、積極的に顧客にアプローチするため、成約するまでの期間が短く、早めに成果が出やすいというのが特徴です。

なぜいまプル型営業が必要なのか

インターネットが急速に普及した現代では、ほとんどの顧客が事前に商品やサービスについて調べており、問い合わせや来店の段階で購入するものを決めていると言われています。

このことは、Googleが2011年に提唱したZMOT(Zero Moment Of Truth)という概念にも示されています。

Whether we’re shopping for corn flakes, concert tickets or a honeymoon in Paris, the Internet has changed how we decide what to buy. At Google, we call this online decision-making moment the Zero Moment of Truth, or simply, ZMOT. The ZMOT refers to the moment in the buying process when the consumer researches a product prior to purchase.

インターネットの登場により、コーンフレークを買う時も、コンサートチケットを買う時も、パリへの新婚旅行も、私たちが何を買うのかを意思決定する方法が変わりました。Googleでは、このオンライン上の意思決定の瞬間を「Zero Moment of Truth」、または単に「ZMOT」と呼んでいます。ZMOTとは、購買プロセスにおいて、消費者が購入前に商品をリサーチする瞬間を指します。

引用元:Think with Google「Zero Moment of Truth(ZMOT)

かつては、直接店頭に行ってどの商品を買うかを決めるという顧客行動が主流だったので、企業は商品のポップやパッケージの改良に重要を置いていました。

しかし、インターネットが普及し、顧客行動が変化したため、企業のマーケティング手法も変化せざるを得なくなり、プル型営業のような「顧客側が選ぶ営業」が必要となったのです。

プル型営業のメリットとは

プル型営業のメリットをひと言で表すと「成約率の高い営業が効率よく少人数でできること」です。

一度に少人数の顧客にしかアプローチできないプッシュ型営業とは違い、プル型営業は一度に多くの人にアプローチすることができます。

仕組みを作るまでにある程度の時間と労力、お金がかかりますが、一度仕組みができてしまうと顧客側から自動的にアプローチしてもらえるような状態が出来上がります。

このように、プッシュ型営業よりも効率の良く、少人数で営業活動ができるのが、プル型営業のメリットと言えるでしょう。

そんな効率性の高さを含め、プル型営業に取り組むことで企業は次のような5つのメリットを享受することができます。

アポ獲得率や営業成約率が向上する

プル型営業のメリットとして、アポ獲得率や成約率の高さが挙げられます。

なぜなら、顧客がある程度興味を持ったうえで専用フォームや電話などで問い合わせをしてくれるからです。

サイトや記事、メルマガなどで、ある程度自社の商品やサービスの内容を理解し、興味を持った人だけが問い合わせをしてくれるので、アポイント獲得や成約につながりやすくなります。

また、企業としては、問い合わせを受けた時点で、事前に顧客が抱えている悩みなどを把握することができます。それを元に商談の際に適切な解決策を提示したり、顧客に合わせた提案をする準備ができるのもプル型営業ならではのメリットと言えるでしょう。

たとえば、あなたが「是が非でも今日は焼肉を食べたい」と思っていたときに、友人から「この寿司屋めちゃくちゃ上手いからおすすめだよ」と言われても行こうとは思わないでしょう。

一方で、美味しそうな焼肉屋さんを食べログで見つけたり、友人に「そういえば今日焼肉行きたいって言ってたよね?めっちゃ上手い焼肉屋みつけたから行こうよ!」と言われたりすると、「行こうかな」と思ってしまうと思います。

このように、プル型営業は、ある程度自社商品やサービスに興味を持った状態で問い合わせをくれたることによる見込み度合いの高さや、問い合わせ内容に応じて相手に合った提案をすることができるという点から、アポ獲得率や営業成約率は自ずと高くなります。

営業効率が格段に上がる(営業工数の削減につながる)

営業効率が格段に上がり営業工数の削減につながることもメリットの1つでしょう。

プル型営業は、仕組みを作るまでが大変ですが、一度出来上がってしまえば、1人の営業マンが、多くの顧客に無理なく情報を発信し続けることができます。また、興味を持った見込み度合いの高い顧客が自動的に集まってくる状態になるので、少ない人員で回すことが可能です。

たとえば、化粧品を購入したい顧客が、Googleなどの検索エンジンで「化粧品 おすすめ」で検索したとしましょう。検索上位に自社の商品が掲載されると、購買意欲の高い顧客に自社サイトや記事、商品・サービスページを見てもらうことができます。

同じような検索をする購買意欲の高い顧客が多数存在する可能性があるので、プッシュ型営業で個別にアプローチを行い、購買意欲を高めて成約を得るのに比べると営業効率が格段に上がります。

結果として、営業活動全体の効率を高めて営業工数を削減することができるのです。

信頼関係が構築しやすい

プル型営業のメリットとして、顧客との信頼関係が構築しやすいことも挙げられます。

なぜなら、プル型営業では、顧客が自分の都合でアプローチをしてくるからです。

プッシュ型営業の場合、企業の都合によって営業活動(売り込み)を行うため、顧客によっては迷惑と感じたり印象を悪くしたりします。

一方でプル型営業の場合は、顧客自身は営業を受けているという感覚を持つことはなく、むしろ必要な情報がタイムリーに得られたことに好印象を抱きやすくなります。

たとえば、自分が興味のある美顔器について問い合わせをした結果、営業マンが詳しく丁寧に教えてくれることに対して、好印象を抱く人は多いでしょう。

一方で、営業マンがいきなり家に来て、一方的に全く興味のない商品に関して、「おすすめです」と詳しく丁寧に教えられたとしたらどうでしょうか。おそらく、好印象を抱くどころか迷惑に感じる方も多いのではないでしょうか。

このように、プル型営業は、結果を急がず、顧客が主体的にアプローチしてくるように上手く誘導していく手法のため、顧客と良好な関係を構築しやすいのです。

見込み顧客のニーズが把握しやすい

見込み顧客のニーズが把握しやすいというメリットもあります。

なぜなら、問い合わせの際に、見込み顧客の悩みやニーズなどを把握することができるためです。

たとえば、ダイエットに関心のある顧客の場合、問い合わせフォームに「食べ物でダイエットしたいのか、それとも軽い運動でダイエットしたいのか、比較的ハードなトレーニングでも良いのか」などの質問項目を設けておけば、その回答によって顧客のニーズが把握できます。

顧客のニーズが具体的に把握できれば、それに応える最適な提案を先回りして準備することが可能となります。結果的に、提案した際に「今の私にぴったりな商品・サービスだ」と思ってもらいやすくなるのです。

長期的な費用対効果が高い/コンテンツが資産になる

資産性の高さや、長期的な費用対効果が高いこともプル型営業のメリットの1つでしょう。

プル型営業の場合は、SNS、メルマガ、オウンドメディアなどでの継続的な情報発信や、そこから成約させるための導線設計、成約しやすいLP(ランディングページづくり)、など営業の仕組みを作るのに手間がかかり、ある程度の初期投資が必要となります。

しかし、一度作った仕組みは長期間にわたって自社で活用できる営業資産となる上、顧客の反応やデータ分析を元にして最適化していくことができるので、長期的な運用により、費用対効果が徐々に高くなっていきます。

このように、プル型営業で作った営業の仕組みは、一過性のものではありません。継続的に効果が続きます。結果として、継続的な顧客獲得や売上向上につながるため、費用対効果が高くなるのです。

プル型営業のデメリットとは

プル型営業のデメリットを簡単に言えば、成果がでるまで時間がかかることや、短期で安定した成果が出にくいことなどです。

具体的には以下の3つがプル型営業のデメリットです。

仕組みを作るまで時間がかかる

プル型営業では、顧客が興味を持ち、問い合わせをしてしまうような仕掛けを作ったり、そこから自動的に顧客教育を施すようなコンテンツを作成したり、多くの見込み顧客に商品・サービスページを見てもらうためにSNSやオウンドメディアなどで情報発信したり、仕組みの構築が必要不可欠です。

たとえば、プル型営業の代表的な手法であるSEO対策の場合、次のような事前準備が必要です。

  • ・見込み顧客が検索するキーワードの調査・選定
  • ・コンテンツ制作
  • ・コンテンツ改善
  • ・お問い合わせフォームなど、導線作成
  • ・LP(ランディングページ)の作成

また、これらの準備が整ったとしても、Googleで検索上位になり、成果を出すには最低でも6ヶ月程度かかります。このように、プル型営業は成果が出るまでには仕組み作りや、サイト育成など、少なくとも数ヶ月以上はかかると言われています。

そのため「成果を一刻も早く出したい」という企業や、「このような仕組みが出来上がるまで資金が続かない」という企業には向かない営業手法です。

安定した成果を得るのが難しい

安定した成果を得るのが難しいこともプル型営業のデメリットの1つです。

なぜなら、問い合わせのタイミングを決めるのはあくまで顧客自身だからです。

つまり、SNSやオウンドメディア、メルマガなどで情報やコンテンツを発信して、LPやフォームなどの導線を整えたあとは、顧客からの問い合わせを待つしかありません。

見込み顧客が問い合わせをしやすいような誘導はできても、最後に問い合わせするかどうかを決めるのは顧客自身です。これを企業側がコントロールすることは難しいと言えます。

このように、プル型営業の場合、問い合わせ数をコントロールすることが難しいため、予想以上の問い合わせの対応に追われたり、問い合わせが少なすぎて成果が表れないことなども十分に考えられます。

柔軟な提案に繋げづらい

柔軟な提案に繋げづらいこともデメリットの1つでしょう。

なぜなら、顧客が購入意欲を持って問い合わせをしてくるケースが多いためです。

顧客によっては、どの商品をどのように利用したいかまで決めている場合もあります。そのため、プッシュ型営業のように、ヒアリングや関係性構築から始める場合と比べて、自社からの柔軟な提案をしづらくなります。

たとえば、顧客が「部屋の空気をきれいにしたい」と考えて、空気清浄機の購入を決めて問い合わせをしてきた場合、「空気をきれいにするだけではなく、水もきれいにしましょう。こちらも今安くなっていてお得ですよ」とウォーターサーバーの契約を提案しても、断られる可能性が高いと言えます。

このように、問い合わせをした時点で、顧客のニーズは決まっているので、その意思決定を変えることは難しいと言えるでしょう。

プル型営業の効果的な方法

プル型営業のメリットは「成約率の高い営業が効率よくできること」です。

そのため、営業の仕組みができたら「いかにその仕組みに見込み度の高い顧客を多く引き込めるか」に注力するのが成果を出す効果的な方法と言えます。

具体的には以下のような6つの方法を用いて見込み度合いの高い顧客を引き込んでいきましょう。

SEO対策を図り自然流入を増やす

顧客の多くは、商品・サービスを購入する際にGoogleやYahoo!などの検索エンジンを利用して調べます。

そのため、もし顧客の検索結果の上の方に自社サイトなどが表示されていれば、顧客が検索した際に目につきやすくなり、プル型営業の仕組みに自然と流入するようになります。

この検索結果に自社サイトが上位に表示される状態を意図的に作り出すのが、SEO対策です。

顧客が検索するキーワードは数多く存在しますが、見込み度合いの高い顧客が検索するであろうキーワードで上位表示ができれば、安定的な問い合わせ獲得にもつながります。

メルマガでの情報発信・情報提供

自社のWebサイトを訪問して無料会員登録や、資料請求をしてくれた顧客などに対して、メルマガを発行し、継続的な情報発信を行うことも有効です。

無料会員登録や資料請求の申込フォームで、記入を必須にしておけば、見込み顧客のメールアドレスを入手することができます。

このメールアドレスに対して、顧客の購買意欲を高めるような内容のメルマガを定期的に配信すれば、継続的にプル型営業の仕組みに見込み顧客を引き込むことが可能です。

「お問い合わせしてもらったが成約しなかった人」なども、こういった情報発信を継続して行い続けることで、後に成約につながるケースも多々あります。

セミナー(ウェビナー)の実施

セミナー(ウェビナー)の実施をすることも有効です。

しかし、「商品・サービスの説明」という名目でセミナーを開いても人は集まりません。そのため、自社の商品・サービスに興味を持つ可能性の高い顧客が持つ悩みの解決方法を教えるセミナーを企画します。

たとえば、美顔器を販売する場合には、「40代女性向け、顔のたるみ解消セミナー」を企画するなどです。こうすることで、「顔のたるみに悩む人」「顔のハリに悩む人」など美顔器への関心や購入意欲が高いであろう多くの見込み顧客を引き込むことができます。

何かしらの悩みがあり、「その解決策がわかるかもしれない」とセミナーに参加した見込み顧客に、解決策の一つとして自社の商品・サービスを提案していくのです。

各種SNSで情報発信して認知拡大

SEO対策などと同様に、自社のSNSでの情報発信も、より多くの見込み顧客を獲得する上で有効な手段です。

よく利用される主要SNSは、X(旧Twitter)、Facebook、Instagram、Youtube、TikTokなどです。

近年は検索エンジンではなく、SNSで検索する顧客も増えています。SNSは、拡散性の高い媒体なので、運用に成功すれば、多くの見込み顧客の流入が期待できます。

リファラルマーケティングの活用

リファラルマーケティングとは、既存の顧客が新規の顧客を紹介することによって商品やサービスを広めるマーケティング戦略のことです。

簡単に言えば、取引先や知人、友人からの紹介を活用して、商圏を広げていくのがリファラルマーケティングです。

また、ネットでの口コミやレビューを投稿し、商品やサービスを広めていくこともリファラルマーケティングにあたります。

リファラルマーケティングは、すでにある人間関係の中から紹介が生まれるため、成約率が高いのが特徴です。

商品やサービスのティーアップがされている状態で紹介されるため、信頼関係ができた状態、または紹介者の信用を借りた状態で営業ができます。

自社や自分のいないところで商品・サービスの魅力が人づてで伝わっていく状態が作れるので、多くの見込み度合いの高い顧客を集めることにつながります。

ブックマーケティングで確度の高い見込み客を集客

ブックマーケティングもプル型営業において、見込み度の高い顧客を多く集めるのに有効な手法です。

プル型営業は、待ちの営業なので、「問い合わせをしてみたい」「興味がある」と顧客が思う状態をいかに作り出すのかがポイントです。

そのためには、商品・サービスの説明だけではなく「その商品やサービスがいまの自分に必要な理由」など、顧客がその商品・サービスに興味を持つように、顧客を教育していかなければなりません。

しかし、今は見込み顧客に文章を読んでもらうことが難しい時代です。

特に、見込み顧客との関係値構築が長期で必要なビジネスの場合、「Web上で発信してもなかなか商品・サービスの良さが伝わらない」などの悩みを抱えている方も多いと思います。

そんな方におすすめなのが、ブックマーケティングです。

書籍をただ出版するのではなく、いかに見込み度合いの高い顧客の手元に届けるのかまでを見据えてあらゆる施策を行っていくのがブックマーケティングです。

書籍は、読者がタイトルや内容に興味を持ち、お金を出して買っているため、基本的に長い文章が読まれます。

書籍が信頼性の高い媒体であることもあり、一冊読んでもらうだけで顧客教育がある程度できてしまうというのが、強みと言えるでしょう。

ある程度顧客教育ができた状態で問い合わせがくるため、必然的に成約率は高くなります。

このように、ブックマーケティングを活用することでも、見込み度合いの高い顧客を集めることが可能です。

プル型営業施策とブックマーケティングの相乗効果

プル型営業とブックマーケティングは相性がよく、それぞれの施策を組み合わせることにより、営業の仕組みが強化され、成約率が向上します。

具体的にプル型営業施策とブックマーケティングでどのような相乗効果を生み出せるのか、を具体的に紹介します。

ウェブマーケティング×ブックマーケティング

書籍のコンテンツは、たとえライターが書いたものであっても、著者や企業側の二次利用が可能です。

書籍の一部をコラムや記事として自社HPやオウンドメディアに掲載すれば、結果的に自社HPのGoogleからの評価を高めることができ、SEO対策の強化につながります。

また、書籍を出版したということでプレスリリースを打ったり、書籍の著者として大手メディアに寄稿したりすることにより、被リンク対策や情報の拡散にもつながります。

さらには、書籍を出版すると書籍のタイトルや著者の名前で検索する人が増えるので、おのずと自社のWebサイトへの流入も増加していくでしょう。

このように、紙媒体とWeb媒体で、さまざまな相乗効果が期待できるのが特徴です。

セミナー(ウェビナー)×ブックマーケティング

出版をきっかけに、セミナーを開催することで、書籍の内容に関心のある見込み顧客を集めることが可能です。

たとえば、出版記念セミナーや、書籍の内容に関連したセミナーなどです。

書籍の制作期間はおおよそ6ヶ月~8ヶ月なので、企画の段階でセミナー実施することを想定しておけば、書籍の告知と合わせてセミナー集客をすることができます。

また、出版実績のない講師よりも、ある講師の方が信頼性が高く、成約率が高くなりやすいのが特徴です。セミナー後の問い合わせ増加なども見込めます。

このように、セミナー(ウェビナー)とブックマーケティングもさまざまな相乗効果が期待できます。

SNS発信×ブックマーケティング

書籍を出版すると、おのずとWeb上に発信される情報が増えるため、SNSでの発信がしやすくなります。

たとえば、Amazonに書籍ページができたり、出版社が書籍の新刊リリースを出したり、書籍のコンテンツを二次利用してSNSの投稿ネタにしたり、SNSで書籍のプレゼントキャンペーンを行う、などです。

それに伴いコメントやリポストで拡散される数も自然と増えていきます。

結果的に、書籍の販売数が増えるという好循環が生まれ、読者からの反響の増加にもつながります。

このように、SNS発信とブックマーケティングにも、さまざまな相乗効果が期待できるのです。

リファラルマーケティング×ブックマーケティング

書籍を出版すると、既存の顧客が、著者や自社のことを紹介しやすくなります。

たとえば、書籍を出版していない著者を紹介する場合は、一体どんな人なのか、専門性や実績などを丁寧に説明していかなければなりません。

一方で、書籍の場合は、書籍の存在が著者や企業の「信頼性」や「専門性」を暗に伝えてくれるため、紹介されやすく、結果的に紹介が増えていくという相乗効果が期待できます。

プル型営業とブックマーケティングの成功事例

プル型営業の施策とブックマーケティングの施策をそれぞれ組み合わせることで、具体的にどのような相乗効果が生まれるのか、実際の事例をご紹介します。

不動産投資会社の出版書籍を医師が紹介して営業効率化に成功

この不動産会社の経営者は、高収入で支払う税金が多い医師に向けた不動産投資サービスの情報を記事やSNS、Web広告などを通じて発信し続けていましたが、なかなか魅力が伝わらず、悩んでいました。

そこで、高収入で購買意欲が高い一方で税金が多いことに悩む医師に対して、「最も効果的な節税対策が不動産投資である」ということを伝える書籍を出版。

ただ出版するだけではなく、あらかじめ、その後のマーケティング施策や展開なども見据えて企画していたことから、ターゲットである多くの医師に書籍を届けることができました。

その結果、書籍を購入した多くの医師に不動産投資に大きな節税効果があることを認知してもらうことができて多くの成約を獲得しました。

そればかりか、既存の顧客が知り合いの医師に書籍を配ってくれて、そのことから新規の問い合わせにも繋がったそうです。

ブックマーケティングによって書籍を出版して顧客からの問い合わせを待つという、まさにプル型営業を実践して、営業効率や成約率を高めることに成功した事例と言えるでしょう。

まとめ

本記事では、プル型営業とプッシュ型営業のそれぞれの特徴や違い、プル型営業の具体的な手法や効果などについて紹介しました。

プル型営業手法はいくつもありますが、その中でもWebにはない特徴や強みを持ったブックマーケティングに今注目が集まっています。

「文章が読まれない時代に、いかにターゲットに多くの情報を読み込んでもらえるのか?」はどの企業も抱えている課題の1つでしょう。

そんな時代だからこそ、書籍という「読まれる媒体」の活用に突破口があるのです。

プル型営業の施策はWeb上での施策がほとんどなため、ブックマーケティングのような紙媒体の施策とは相性が良く、組み合わせることによってさまざまな相乗効果が生まれます。結果として、営業の仕組みが強化されて成約率が向上するなどの効果が見込めます。

もし、「プル型営業施策をやっているが、なかなか成果につながらない」という方は、プル型営業施策と合わせてブックマーケティングの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)

福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経営法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を歴任し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。

投資信託や保険、不動産など、富裕層をターゲットにしたビジネスは多く存在します。一方、資産1億円超の富裕層は日本の2%ほどでアプローチが困難です。

本記事では、富裕層マーケティングの基本と富裕層の信頼を勝ち取るための効果的な手法を解説します。

目次【本記事の内容】

富裕層とは

富裕層とは、「経済力を持つ個人や世帯」のことを指す言葉であり、具体的な基準がある訳ではありません。

一般的な富裕層の定義や基準は曖昧ですが、野村総合研究所が2023年3月に発表したニュースリリース「日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計」によれば、富裕層は「純金融資産の保有額が1億円以上の世帯」と定義されています。

純金融資産としては、現金、株式、国債、投資信託、金融派生商品、保険準備金・年金準備金などがあり、不動産や機械設備などは含めません。

また、同リリースによれば、富裕層は、その純金融資産の保有額の違いによって、さらに「超富裕層」「富裕層」「準富裕層」に分けられています。

超富裕層(純金融資産が5億円以上)

「純金融資産の保有額が5億円以上の世帯」は、超富裕層と定義されています。

超富裕層は、2021年時点で世帯数9万世帯となっており、全世帯のうちの約0.16%です。

純金融資産総額は105兆円となっています。

超富裕層が興味を持つ商品やサービスとしては、高額な投資商品、資産運用サービス、プライベートバンキングなどがあり、海外旅行、教育、高級車などにも関心を持つ傾向があります。

出典:野村総合研究所の「日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計

富裕層(純金融資産が1億円以上5億円未満)

野村総合研究所の「日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計」によれば、「純金融資産の保有額が1億円以上5億円未満の世帯」は、富裕層と呼ばれています。

富裕層は、2021年時点で世帯数140万世帯となっており、全世帯のうちの約2.6%です。

純金融資産総額は259兆円となっています。

富裕層は、資産運用や教育関連の商品・サービスに強い関心があるほか、高級住宅や高級車などを好む傾向があります。

出典:野村総合研究所の「日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計

準富裕層(純金融資産が5,000万円以上1億円未満)

「純金融資産の保有額が5,000万円以上1億円未満の世帯」は、準富裕層と呼ばれています。

準富裕層は、2021年時点で世帯数325万世帯となっており、全世帯のうちの約6%です。

純金融資産総額は258兆円です。

準富裕層は、日常生活に役立つ商品やサービス、高級ブランド、高級リゾートなどの商品やサービスなどに興味を持つ傾向があります。

富裕層の特徴

富裕層といっても、さまざまなタイプの人がいます。

タイプによって好む商品・サービスが異なるため、それぞれの特徴を知っておくことが重要です。

富裕層には大きく分けて次の3つのタイプがあります。

遺産相続型の富裕層

「遺産相続型の富裕層」は、富裕層の親から遺産を引き継いだ人々のことです。

受け継いだ資産を減らさないことを重視する保守的な人が多く、消費に対しては消極的な傾向があるタイプです。

オーナー社長型の富裕層

「オーナー社長型の富裕層」は、自分自身の実力で会社の経営者となったり、大企業の経営に参画するなど、一代で富裕層まで上り詰めた人々のことです。

たとえば、開業医や弁護士・税理士などの士業、中小企業のオーナー、IT分野などを中心としたベンチャー企業の経営者や実業家などがこのタイプです。

人生をより豊かにすることに前向きで、購買意欲が非常に高く、高級自動車、高級時計、靴、服などのステータスのある商品にお金を使う傾向が高いという特徴があります。

また、投資商品や資産運用にも積極的な人が多いという特徴もあります。

有名人型の富裕層

「有名人型の富裕層」は、自分の才能によって資産を得た人々のことです。

具体的には、スポーツ選手や芸能人、外資系金融などの年収が高い職業についた人などです。多額の退職金を得た人もこのタイプの富裕層になります。

自分自身の見た目に対する消費に積極的な点が特徴で、ファッションやブランド品、自動車などにお金を使う傾向があります。

また、引退したスポーツ選手が実業家や投資家として活躍するケースもあり、消費以外に資産運用にも積極的な人が多いのが特徴です。

富裕層マーケティングとは

富裕層マーケティングとは、富裕層をターゲットとした一連のマーケティング活動のことです。

富裕層は多くの資産を持ち、お金に余裕があるため、高額な商品を購入することができます。また、さまざまな商品やサービスを求めているという特徴があります。

このような富裕層の多様な特徴や行動パターンに沿った商品やサービスを開発し、宣伝・販売するまでの一連の活動が富裕層マーケティングです。

たとえば、富裕層マーケティングを行っている商品・サービスの代表的な事例としては、次のようなものがあります。

  • ・高級自動車メーカー(レクサス、ポルシェなど)
  • ・会員権(リゾートトラストなど)
  • ・プラチナ・ブラックカード(アメックスなど)
  • ・プライベートバンク
  • ・節税対策用の金融商品・コモディティ
  • ・私募ファンド

富裕層マーケティングで押さえたいポイント

成功すると大きな利益が期待できる富裕層マーケティングですが、うまくいかないことの方が多いと言われています。

それは次のような理由からです。

  • ・一般的な広告手法やPR活動では富裕層に届けることが難しいこと
  • ・富裕層は信頼できる人や企業から商品やサービスを購入すること
  • ・富裕層は多くの情報収集手段を持ち、さまざまな視点から良いものを選ぶ術を持っていること

このように、富裕層をターゲットにマーケティングを行う場合、従来のマーケティングとは押さえるべきポイントが異なります。

富裕層をターゲットに商品やサービスを販売していく場合には、最低限以下の2つのポイントを押さえておく必要があります。

ポイント①:富裕層のなかでターゲットをより絞る

富裕層といってもさまざまなタイプの人がいます。そのため、ターゲットを「富裕層」とざっくり決めるのではなく、どういうタイプの富裕層がターゲットなのかを絞り込んでいく必要があります。

たとえば、消費に消極的で保守的な傾向の強い「遺産相続型の富裕層」に、ハイリスクハイリターンの投資を持ちかけたとしても、興味を持ってもらえる可能性は少ないでしょう。

むしろ、資産を安定的に運用できるサービスを提案した方が興味を持ってもらえる可能性は高くなるはずです。

このように、富裕層のタイプによってニーズが大きく異なるため、どのタイプの富裕層をターゲットにするのかを絞り込むかが重要です。

ポイント②:富裕層の信頼を得る方法を知る

富裕層は、信頼できる人や企業から商品やサービスを購入するという傾向があります。

たとえば、信頼している友人や知人から情報収集を行うことが多いのです。

なぜなら、多額の資産を持っていることから営業ターゲットにされることが多く、外部からのアプローチに対して慎重になっているからです。

そのため、一般的な営業手法などを使って富裕層相手に売り込みを行うなどの行動は、大きく信頼を失ってしまう可能性が高くなるので注意が必要です。

まずは「商品やサービスを売る・営業する」を目標にするのではなく「富裕層にとって信頼される」ことを目指していかなければ、富裕層マーケティングには成功しません。

商品やサービスの良さを知ってもらうことよりも、信頼される存在になることの方が富裕層マーケティングでは重要です。

富裕層マーケティングにおけるターゲットの行動

富裕層をターゲットにマーケティングを行う場合には、タイプだけではなく、特有の行動パターンなどもある程度傾向として頭に入れておく必要があります。

全ての富裕層が当てはまるとは限りませんが、次のような行動傾向がある、ということは知っておきましょう。

富裕層は自ら調べ行動する

富裕層は、欲しい商品やサービスの情報収集段階から自分で調べて行動する傾向があります。

なぜなら、富裕層は自分が納得できるものにお金を使いたいと考える人が多いからです。

たとえば、ネット上の口コミやレビューだけではなく、友人や知人などの人脈を使って情報収集を行います。

富裕層にはこのような傾向があるため、必要以上の営業活動を行うことは逆効果となり、それ以上話を聞いてもらえなくなることがあります。

富裕層と良好な関係を構築するには、受け身の姿勢で富裕層からのアプローチを待ち、要望があったことにだけ確実に対応するというコミュニケーションの取り方が何より重要です。

富裕層同士は信頼関係で繋がっている

富裕層は、友人や知人など、横のつながりを大切にする傾向にあります。

富裕層同士で情報交換をして紹介しあうことも多く、独自のネットワークを作っている場合もあります。

もし、富裕層の人からの信頼を得ることができれば、他の富裕層の人に商品やサービスを紹介してもらえて購入してもらえる可能性があるということです。

富裕層は信頼する人にしか依頼しない

前述の通り、富裕層は自分で調べた上で、最終的には信頼できる友人や知人、専門家などに任せるケースが多いです。または、最終的な決定は自分で行い、商品やサービスの活用を人に任せてしまう富裕層もいます。

つまり、富裕層からの信頼を獲得することができれば、色々なことを任せてもらえる可能性があるということです。

しかし、富裕層は保有資産が多いため過去に他人から利用されてきた苦い経験を持つ人も多く、外部からのアプローチには強い警戒心を抱く人も多いのが実情です。

そのため、短期的に信頼関係を構築しようと思わないことです。長期的な関係の構築を地道に続けていきましょう。

富裕層マーケティングの効果的な手法

富裕層へのアプローチを効果的に行う代表的な手法としては、次のようなものがあります。

  • ・ 富裕層にターゲティングしたウェブ広告
  • ・ 富裕層向けサービスとのコラボレーション
  • ・ 富裕層向けのメディア運営/コンテンツマーケティング
  • ・ 富裕層に特化したDMや紙媒体での訴求
  • ・ 富裕層にターゲティングしたブックマーケティングの活用

それぞれの特徴や向いている理由などについて具体的に見ていきましょう。

富裕層ターゲティングのウェブ広告

ウェブ広告は細かい属性のターゲティングができるので、富裕層に効果的にアプローチすることができます。

たとえば、Google広告の場合は、年収でターゲットを絞ることが可能です。

また、商品やサービスを紹介する広告(動画やアイコン画像)などを富裕層が利用するメディアやアプリなどに配信して、そこからLPなどへ誘導する、などの方法もあります。

富裕層向けサービスとのコラボレーション

すでに富裕層向けに提供されている商品やサービスとのコラボレーションは有効な手法です。

この手法により、たとえ認知度の低い商品であっても、既存の富裕層向けの商品やサービスとコラボレーションすることによって富裕層の注目を集めることができます。

たとえば、2014年設立の新興のプレミアムオーディオブランドMaster & Dynamicは、老舗高級自動車メーカーのランボルギーニとコラボレーションして、富裕層向けの高級ヘッドホンとイヤホンをPRしました。

また、居住用マンションの新興デベロッパーであるFIDO INCは、高級自動車メーカー『Porsche(ポルシェ)』や、高級ワイン&スピリッツブランド『Hennessy(ヘネシー)』とコラボレーションした物件の販売を行っています。

このように、すでに富裕層向けに販売されている商品やサービスとうまくコラボレーションしていくというのは、富裕層マーケティング手法として効果的と言えます。

もちろんMaster & Dynamicや、FIDO INCのようにすべての新興メーカーがこのようなマーケティング戦略が打てる訳ではないので注意しましょう。

富裕層向けのメディア運営/コンテンツマーケティング

富裕層向けには、一般的な広告ではなく、オウンドメディア運営やSNS運用など、コンテンツマーケティングが有効です。

なぜなら、自分で調べる人が富裕層には多いからです。

そのため、富裕層のニーズに合うようなメディアを作って、導線を考えながら継続的にコンテンツを発信していくというプル型営業の方が成果が出やすいと言えるでしょう。

ただし、オウンドメディアの場合は作ってから効果が出るまでに6ヶ月~1年ほどかかります。即効性のある効果は期待できないので注意しましょう。

即効性を求めるのであれば、自分自身でメディアを作り運営するのではなく、すでにある富裕層向けのメディアに広告を出すなどの方法もあります。

たとえば、「T JAPAN」などが富裕層メディアとしては有名です。

こういったメディアに広告を掲載して、富裕層から信頼が得られれば、紹介や口コミによって他の富裕層にリーチすることも可能となります。

富裕層に特化したDMや紙媒体での訴求

富裕層には、DMや雑誌・フリーペーパーなどの紙媒体も有効です。

富裕層が多く居住しているエリアにチラシを配布したり、富裕層が購読者となっている雑誌に広告を入れたりする方法です。

たとえば、企業オーナー向けの雑誌や医師向けの業界紙に広告を出せば、これらの富裕層にアプローチすることが可能となります。

紙媒体で重要なのが、特別な人間しか見ることができないという特別感の演出や、それに気づいてもらうための工夫が必要だということです。

なぜなら、富裕層は安いからという理由で購入することはなく、特別な商品であるという希少性や、あなただけという限定性、などに納得して購入する傾向があるためです。

富裕層にターゲティングしたブックマーケティングの活用

前述した通り、富裕層には紙媒体でのアプローチが有効です。紙媒体の中で特におすすめなのがブックマーケティングです。

基本的に、富裕層であっても書籍は買いますし、読みます。

他の媒体と違い、富裕層とそれ以外の層で大きな差がなく、読まれる媒体は書籍だけです。

また、富裕層は自分で調べて行動し、信頼する人からしか商品やサービスを購入しないという特徴があるので、これらを同時に達成する手段として書籍出版によるブランディングが効果的です。

書籍は信頼性の高い媒体として認知されており、自分でお金を払って購入した書籍の内容に共感できれば、著者や出版社に問い合わせをして商品やサービスの購入に至るというケースが考えられます。

ブックマーケティングを富裕層マーケティングに活用する上でもっとも重要なのは、明確に富裕層にターゲティングすることです。

書籍を企画する際は、まず最初に富裕層をターゲットとして設定して、富裕層に刺さるような内容やタイトル、著者にすることが重要になってきます。

富裕層ブックマーケティングの成功事例

実際に富裕層マーケティングにブックマーケティングを活用して成功した事例を2つご紹介します。

医師に特化した不動産投資のブックマーケティング

医師は「オーナー社長型の富裕層」に類型されるので、購買意欲が高く、投資商品や資産運用にも積極的な人が多い傾向があります。

一方で、医師の悩みとして多忙であることと税金が高額であるという共通点があります。

このことに着目した不動産投資コンサルタントが、最も効果的な節税対策が不動産投資であることを紹介する書籍を出版。もちろん、富裕層であり高額な税金に悩みながらも投資リテラシーを持っていない人が多い医師を、明確にメインターゲットとして設定した書籍となっています。

この書籍は、第1章「困ってませんか? 医師のお金のリアル」で医師の共感を得たうえで、第2章「医師に不動産投資が適している10の理由」で納得させて、第3章「どんな物件を購入すべきか?」で、不動産投資に引き込むという章立てで構成されています。

出版後には、多くの医師に大きな節税効果のある投資方法として不動産投資があることを認知してもらうことができ、多くの受注の獲得に成功しました。

また、書籍からの問い合わせがほぼ100%不動産投資案件の成約につながるという圧倒的な受注率をあげることができています。

ブックマーケティングを行うことによって、的確にターゲットである医師に書籍を届けることができ、内容に共感して納得してもらえたことが、この結果につながったものと言えるでしょう。

 

超富裕層向けのアンティークコイン投資のブックマーケティング

アンティークコイン投資により1年で3000万円を稼いだという実績を持つ著者が、経営者や医師などの超富裕層にその手法を書籍を通じて紹介したものです。

もともと不動産投資やFXなどによって3年間で1億円以上の資産を築いたという経験があるということも支持された理由の1つです。くわえて、超富裕層に購入してもらえるようにカバー装丁に高級感を持たせたり、タイトルを工夫したりすることも、狙い通りに富裕層に手にとってもらえるきっかけとなりました。

その結果、超富裕層の囲い込みに成功して、100名以上の無料資料のダウンロードがあり数千万円の売上につながっています。

また、書籍の出版記念セミナーでは、1件当たり数百万円の成約を複数名から得たり、読者からの反響で数億円の売上に貢献するなどの効果もあり、狙った以上の成果を上げることができました。

まとめ

本記事では、富裕層の定義と種類、富裕層マーケティングの基本、富裕層の信頼を勝ち取るための効果的な手法などについて詳しく解説しました。

今回ご紹介した中でも特に、ブックマーケティングは、富裕層の行動パターンである「自分で調べて行動する」と「信頼する人からしか商品やサービスを購入しない」の2つを両立できる有効な手法です。

富裕層マーケティングを具体的に考えている方は、ぜひブックマーケティングを1つの手法として検討してみてはいかがでしょうか。

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執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

経営者として将来的に出版したい思いがある人は少なくないでしょう。

中でも出版社から声がかかる商業出版に夢を見ている人もいるかもしれません。

今回の記事では、そんな商業出版の基本情報のほか、複数ある出版の方法や企業が取り組む上で重要視したいポイントを解説します。

目次【本記事の内容】

商業出版とは

商業出版とは、出版社が費用を負担して書籍を出版する方法を指します。

商業出版の定義と特徴

商業出版は、出版社が利益を出すことを目的とするため、より多くの書籍が売れるような内容の企画やプロモーションを行うのが特徴です。

実際に、ベストセラーとして有名な書籍のほとんどは商業出版です。

具体的には、今でも売れ続けている岸見一郎・古賀史健著の『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』や、岩崎夏海著の『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーのマネジメントを読んだら』などが、商業出版の代表的な事例として挙げられます。

しかし、商業出版の場合、著者の伝えたいことよりも出版社側の意向が優先されます。そのため、いくら著者に言いたいことがあったとしても、書けなかったり、出版社によって修正されてしまうことが多々あります。

著者が書きたいことが100%書ける方法ではないのも商業出版ならではの特徴と言えるでしょう。

出版することのメリット

書籍を出版すること自体のメリットとしては、「信頼性向上」「著者のブランディング」「メディアへの露出」などが挙げられます。

現代ではインターネット上のWebやブログなどで情報を発信することもできますが、書籍として発信した情報の方が格段に信頼性が高くなります。

たとえば、ダイエット時に推奨される食事に関する情報を得たいと思った時に、個人が運営しているブログの情報よりも、専門家が出版している本の方が信頼できると感じる方は多いのではないでしょうか。

信頼度が高い情報は様々なメディアへの露出にもつながります。

実際に、商業出版をしたことで雑誌への掲載やゴールデンタイムのテレビ番組への出演につながった例があります。

出版やメディア露出により「その道の専門家である」と認識されることで、著者自身をブランディングすることが可能です。

さらに、副次的なメリットとして、出版社から発刊するとISBNコードが付与されることが挙げられます。

国会図書館にも収蔵されるため、ほぼ永久的に保存されて後世に残すことが可能です。

このように、出版することは著者自身のイメージ向上やブランディングで高い効果を期待できる手段と言えます。

商業出版のメリット

「出版すること」のメリットとして、信頼性向上、著者のブランディング、メディアへの露出などが挙げられますが、もう少し的を絞って「商業出版」のメリットに焦点を当てると、次の2つが挙げられます。

著者の費用負担がない(出版社負担)

出版社の費用負担がない場合、著者が出版費用を負担することになります。

自費で出版する場合の費用は100万〜500万円ほどかかるため、著者の費用負担がないことは、著者にとって大きなメリットです。

印税の支払いがある

商業出版の場合、書籍の販売数や印刷数に応じて、著者に印税が支払われます。つまり、収入が得られるということです。

自費出版や企業出版などは、そもそも印税を目的とした出版方法ではありませんが、「重版して総流通部数が10,001部を超えたら定価の5%をお支払い」のように、契約によっては印税が支払われることもあります。

このように、印税が支払われるのは商業出版する最大のメリットと言っても過言ではありません。

印税は印刷した部数に応じて支払われる「刷り部数印税」が主流で、相場は書籍価格の5〜10%です。たとえば、1,300円の書籍が初版で3,000部印刷されたとすれば、印税は10%の場合で39万円となります。

100万部を超えるミリオンセラーともなれば、1億円以上の印税が発生することもあります。

出版社主導での販売活動

出版した書籍が売れなければ出版社が損をすることになるため、出版社は売るためのプロモーションを積極的に行います。

商業出版は出版社が利益を出す目的で行うため、ベストセラーやヒット作になるようにプロモーションにも力を入れるのです。

実際に、書店での販促では、出版社の主導でPOPの設置やブックDM、広告やウェビナーなどのネット施策などが行われます。

著者自身で販促をせず、プロである出版社に任せることができるため、効率よく本を売ることが可能です。

商業出版のデメリット

一方、商業出版のデメリットとしては、次の2つが挙げられます。

企画の自由度が低い

自費出版や企業出版の場合は、著者が書きたい企画を自由に立てることができますが、商業出版は企画を出版社側が立てるのが一般的です。出版社側が立てた企画に合った著者に「出版などどうですか?」と持っていくという流れで出版に至るのが商業出版です。

そのため、基本的には著者が書きたいことではなく、出版社の企画に沿って書きます。

つまり、商業出版はたとえ著者が書きたいと思っていた企画であっても、出版社の企画内容に沿わなければ修正されてしまうということです。著者が書きたい内容を書けない出版方法とも言えます。これが商業出版の最大のデメリットと言えるでしょう。

商業出版自体のハードルが高い

商業出版自体のハードルが高いということもデメリットとして挙げることができます。

なぜなら、よほど有名で話題性のある企業の経営者でない限り著者に選定されることは難しく、著者自身が持ち込んだ企画が商業出版に採用されるケースはまれだからです。

また、そもそも企画書の持ち込みを受け付けている出版社が少ないという現実があり、インターネットで公表している出版社は、専門分野の出版社を除くと数社程度しかありません。

運よく企画書の打ち合わせまで持ち込めた場合でも、最終的に自費出版に誘導されてしまったり、さらに運よく商業出版できたとしてもほとんど売れないという状態に陥ったりすることも考えられます。

商業出版の現実と出版業界の実情

著者の費用負担がなく販売活動も出版社が行ってくれる魅力的な商業出版ですが、その現実と出版業界の実情についても知っておく必要があります。

商業出版の現実と出版業界の実情について詳しく解説していきます。

出版業界は斜陽産業?

現代は、ひと昔前に比べると本が売れにくい時代です。

インターネットを使えば無料で簡単に情報が手に入ってしまう現代社会。ひと昔前に比べると紙の書籍が売れにくい時代と言われています。

実際に出版業界の市場規模は年々縮小していますが、その主な原因は雑誌の販売数の減少であり、ビジネス書や実用書などは昔とそれほど変わらずに売れ続けています。

公益社団法人 全国出版協会・出版科学研究所の『2023年版 出版指標 年報』に掲載されている「出版物の推定販売金額」によれば、1996年時点での雑誌の推定販売金額が15,633億円なのに対して、2022年時点では4,795億円にまで減少しています。

一方で、書籍に関しては、1996 年時点での推定販売金額が10,931億円なのに対して、2022年時点では6,497億円となっています。

雑誌ほど減少していないというのが現実です。また、書籍についても趣味の多様化により小説などのエンタメ系書籍が販売部数を落としてしまったのが大きな要因です。

実際に、雑誌や小説などの売上が落ち込み、書店の数が減少していたり、市場規模は大きく下がっていたりしますが、ビジネス書や実用書などは今現在も堅調に売れ続けています。

著者の知名度頼りの販売

商業出版では出版社が著者を選定しますが、その選定基準としてはSNSのフォロワー数やメディア露出が多いなどの著者の知名度が頼りになっているという現実もあります。

実際に、芸能人やSNSでフォロワー数の多い専門家やインフルエンサーなどが著者として選ばれることが多いです。

出版社が販促を行うとはいえ、無名の経営者が書いた本を売るのは難しいものがあります。

そのため、どうしても著者の知名度に頼ってしまう面があるのです。

商業出版だから「売れる」は盲信

もし運よく出版社から商業出版で出版できたとしても必ず売れるとは限らないということも覚えておく必要があります。

実際に、著者が著名人やタレントであっても、販売数が数千部や数百部程度になってしまうこともあります。

ましてや、無名の人物が書いた本が売れる確率は低いです。

「商業出版だから売れる」という考えは捨てましょう。

商業出版プロデューサーの罠(出版コンサル)

商業出版プロデューサーとは、著者を発掘し、企画を立案し、出版社に企画を持ち込み、その企画を出版に導く人のことで、出版コンサルタントと呼ばれることもあります。

無名の経営者が商業出版を目指す場合には、商業出版プロデューサーにコンサルティングを依頼することがあります。

なぜなら、経営者は企業経営のプロではあるものの、出版のプロではないからです。

出版プロデューサーの費用は、実績やサービス内容によって異なりますが、200万~300万円もの高額の費用がかかる場合があります。

これだけの高額費用がかかっても商業出版が実現できれば良いのですが、出版社への企画の売り込みだけで終わってしまうという詐欺まがいのケースもあるようです。

もちろん、これは悪い出版プロデューサーに引っかかってしまった場合であって、全ての出版プロデューサーが悪いというわけではありません。

「商業出版プロデューサーがついているから必ず売れる」ことはないと理解したうえで依頼しましょう。

商業出版以外の出版の選択肢

商業出版以外の選択肢には自費出版(個人出版)、共同出版、電子書籍での出版、企業出版の4つがあります。

それぞれの特徴を表にまとめました。

 

 

商業出版 自費出版
(個人出版)
共同出版 電子書籍での出版 企業出版
出版目的 ヒットする本をつくる 個人的な表現欲求を満たす ・出版社の販路を活用し、より多くの人々に書籍を届ける
・費用を抑えて書籍を出版する
・費用をかけずに書籍を出版する
・国内外の人々に書籍を届ける
・認知度を向上させる
・企業ブランディングを行う
・信頼性を向上させる
費用負担 出版社 著者 出版社・著者 著者 企業
書籍企画 出版社 著者 出版社 著者 出版社
自由度
プロモーション 出版社 著者 出版社 著者 出版社
初版発行部数 3,000部〜10,000部 100部〜500部 100〜1,000部 1,000〜1万部

それぞれの特徴を詳しく解説します。

自費出版(個人出版)

自費出版(個人出版)とは、書籍の出版にかかる費用を著者自身が負担する出版方法です。

自費出版は、出版社の販路を利用して書店で販売するものと書店での販売はしない私家版に分けることができます。

自費出版のメリットは、本の内容の自由度が高いことです。

出版社は書籍の企画に介入せず、著者自身が企画をするため、内容を自由に決めることができます。

たとえば、著名人ではなくても「自分のこれまでの人生を一冊の本にまとめたい」「築いてきたノウハウを読者に共有したい」など、個人的な活動を周囲に知ってもらう本を出版することが可能です。

実際に、島田洋七『佐賀のがばいばあちゃん』は著者の自伝を著した自費出版の書籍ですが、全世界で累計800万部を売り上げたベストセラーとなりました。

自費出版は本の内容の自由度が高いことがメリットとなる一方で、出版に関わる費用をすべて負担する必要があること、発行部数が少ないことがデメリットとして挙げられます。

費用がかかったとしても大きな利益を出すことができればいいのですが、そもそも書籍の発行部数が100部程度〜と少ないため、大きな利益を出すことは簡単ではありません。

このように、自費出版は書籍の内容にこだわりがある人には適した出版方法ですが、費用の面でデメリットが大きい出版方法です。

共同出版

共同出版とは、書籍の出版にかかる費用を著者と出版社が事前に決めた割合で負担する出版方法です。

共同出版では、費用負担に加え初版発行部数の一部を買い取るやり方もあります。

自費出版では費用さえ負担できれば誰でも出版できる方法ですが、共同出版は出版社が企画内容によって採用の可否を決めるため、誰でも出版できるわけではありません。

たとえば、出版社が「この内容では売れない」と判断した場合は、出版費用を出してもらうことはできないということです。

ほとんどの場合、出版社が損失を被ることはないため、企画は通りやすいものの、自費出版よりも自由度は低くなります。

たとえば、自伝や個人的なノウハウは採用されないことが多いでしょう。

また、自費出版との違いとして、出版社の販路を使って全国の書店やインターネット書店で販売できることが挙げられます。

このように、共同出版は費用負担、自由度、販売される場所の3点において商業出版と自費出版(個人出版)の中間に位置している出版方法と言えます。

電子書籍での出版

出版方法には、紙媒体で出版する方法の他にも、電子書籍で出版する方法があります。

電子書籍として出版する方法のメリットは主に以下の3つです。

  • ・出版までのハードルが低い
  • ・在庫を抱える可能性がない
  • ・国内外に発信できる

また、印税率も紙の書籍より高いため、同じ冊数だけ売ることができれば、紙の書籍よりも儲かることになります。

しかし、電子書籍は紙媒体よりも売るのが難しいとされているだけでなく、紙の書籍よりも通常では定価が安いため、利益も少なくなってしまうのが現状です。

よほど影響力のある著名人でない限り、大きな利益を出すのは難しくなっています。

実際に、電子書籍を出版してもほとんど読まれずに終わってしまったという書籍は数多くあります。

電子書籍の市場は年々拡大しているとはいえ、現状ではまだまだ認知度が低く、利用率が限られているため、うまくプロモーションできなければ利益を出せずに終わってしまうのです。

そこで重要となるのが企業出版をはじめとする紙媒体の書籍です。

紙媒体の書籍は、電子書籍よりも社会的信頼性が高いため、出版における効果を高めることができます。

このように、電子書籍はメリットの大きい出版方法である反面、デメリットも大きい出版方法です。

社会的信頼度の面で紙媒体の出版方法に大きく劣ることから、企業が事業の発展を目指して行う場合には適していません。

企業出版

企業出版とは、企業が「商品・サービスの認知度を向上したい」「他社と差別化したい」「企業のファンを作りたい」などの企業が抱える課題を解消することを目的として行うものです。

書籍の出版にかかる費用は企業が負担して出版します。

内容は自由に企画できるため、企業が伝えたいメッセージをしっかりと書籍に込めることができます。

自費出版(個人出版)との大きな違いは、「誰が出版するのか」「誰がプロモーションを行うか」という点です。

自費出版は著者が出版し、著者自身でプロモーションを行う必要がありますが、企業出版の場合は出版社に依頼することができます。

企業主導でセミナーやWebでのプロモーションを組み合わせれば、よりピンポイントでターゲットに訴求することが可能です。

このように、企業が抱える課題を解決したい場合には、企業出版が最も適した出版方法と言えます。

ブックマーケティングという選択肢

これまでに、出版の選択肢として「商業出版」「自費出版(個人出版)」「共同出版」「電子書籍出版」「企業出版」という5つの出版方法を紹介しましたが、実は「ブックマーケティング」という選択肢もあります。

新しい選択肢となるブックマーケティングについて詳しく解説します。

ブックマーケティングとは

ブックマーケティングとは、書籍を活用してマーケティングに活用する手法です。

自社の創業ストーリーや商品開発ストーリーなどをまとめ、企業や商品・サービスの認知度向上や購買意欲向上などに役立てることが主な目的です。

ブックマーケティングの特徴は、あくまでもマーケティングの一環として書籍を活用する点です。

明確なターゲットを定め、どのように顧客ターゲットに届けるかをマーケティング戦略の知見で組み立てるため、書籍販売プロモーションに限らず、様々なマーケティング戦略をとることができるのです。

引用元:ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方(https://forway.co.jp/post_column/bookmarketing/ )

商業出版や共同出版、企業出版の場合は、書店プロモーションや新聞広告などのプロモーション方法によってマーケティング効果を得る方法です。

一方で、ブックマーケティングは、マーケティングの一環として書籍を活用します。

書店プロモーションや新聞広告などに加え、SNSマーケティングやSEOコンテンツマーケティング、クラウドファンディングなどを組み合わせて戦略を練るため、通常の出版社ではマネできないやり方で効果を最大化させることが可能です。

ビジネス目標達成のための出版戦略

企業戦略として書籍を出版する場合は、最初に「出版の目的とターゲットを設定する」ことが重要です。

なぜなら、出版の目的とターゲットが明確になっていないと、対象となる読者がはっきりせず、書籍の内容も販売戦略も不明確になってしまうからです。

出版の目的やゴールを設定するためには、現在企業が抱えている課題を把握することから始めましょう。

「書籍を使って解決したい課題は何なのか」について最初にしっかりと考えておくことで、その後の道筋を明確にすることが可能です。

出版で叶えられる企業の課題には、「商品やサービスの認知度向上」「集客や売上の向上」「企業理念や経営方針の浸透」「優秀な人材の育成・採用」などが挙げられます。

最初に目的やターゲットを明確に設定できるとプロモーションの方法も明確になり、できあがった書籍の活用方法も具体的にイメージすることができるようになります。

課題を洗い出しても、目的やターゲットを設定しなければどのように戦略を立てればよいかわからず、道に迷ってしまいます。

最短距離かつ効果の高い方法で目的を達成しターゲットに訴求できるよう、出版戦略を練ることが重要です。

出版を戦略的に活用するためのポイント

出版を戦略的に活用するためのポイントは、「書籍に合ったプロモーション施策を行うこと」です。

書籍販売プロモーションには、以下のように様々な施策がありますが、とにかくすべてやればいいというわけではありません。

  • ・書店の広告プロモーション
  • ・書店ポスター
  • ・新聞広告
  • ・ランキング買取
  • ・Amazon施策(ランキング1位、広告)

その理由は、書籍によって効果のあるプロモーション方法が異なるからです。

たとえば、ビジネス書であれば、ウェビナーやAmazon施策、書店ポップやポスター、広告の設置など、王道のプロモーション方法が効果的です。

一方で、ビジネス書とは対極にある絵本では、ワークショップの開催やオンライン読み聞かせ会などで、どのような話なのかある程度知ってもらうことが大切になります。

このように、出版を戦略的に活用するには、より効果のある方法でターゲットに訴求することが重要なのです。

出版による競合優位性の構築

インターネットやSNSが発達した現代では、いかに差別化を図り競合優位性を確保するかが重要です。

なぜなら、顧客はインターネットを介して多くの製品やサービスを容易に知ることができるため、良い製品やサービスを作ったからといって必ず売れるという時代ではなくなったからです。

自社にしかない魅力をアピールしたり、多くの顧客に認知してもらったりする手段として出版を利用する一つの方法が「ブックマーケティング」ということになります。

出版を通じた顧客との関係性構築

出版を通じて、顧客の信頼を獲得して顕在層をファン化させるなどの関係性構築を図ることができます。

なぜなら、「書籍を出版している企業」だということによって信頼性が高まり、書籍を通じて自社の取り組みや商品・サービスなどを顧客に伝えることができるからです。

これによって、ファン化した顧客に商品やサービスの購入を働きかけることができるなど良好な関係性の構築につながります。

まとめ

この記事では、出版方法の一つとして商業出版について解説しました。

商業出版は出版社が出版に関するすべての費用を負担し、企画からプロモーションまでを行う出版方法です。

書籍を出版することで「信頼性向上」「著者のブランディング」「メディアへの露出」など様々なメリットを享受できるため、企業にとってはプラスになることが多いのが魅力です。

商業出版は著者にとって夢のある出版方法である反面、書籍内容が制限されたり持ち込み企画が通りにくかったりと、内容にこだわりのある人にとってはデメリットの大きい出版方法と言えます。

著名人でない場合、「この内容であれば売れる」と思われない限り、採用されることはありません。

また、運良く商業出版で書籍を出せたとしても、確実に売れる保証はありません。

その点、ブックマーケティングであれば、様々なマーケティング施策を組み合わせて戦略を練るため、より多くのターゲットの元へ届けることが可能です。

書籍の出版によって企業や事業を成長させたいと考えている方は、ブックマーケティングも視野に入れて検討してみてはいかがでしょうか。

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執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

企業戦略においてマーケティングとブランディングが重要なのは周知の事実でしょう。

一方、その違いを明確に答えられる人は少ないかもしれません。

本記事では、マーケティングとブランディングの違いを紹介し、それらが経営戦略上どのように影響を及ぼすかを解説します。

目次【本記事の内容】

マーケティングとブランディングとは

「マーケティング」と「ブランディング」は企業が商品やサービスを販売し、存続し続けていく上で必要不可欠な活動です。

まずは、マーケティングやブランディングについて、それぞれがどのような活動を指すのかを正しく把握しておきましょう。

マーケティングとは何か

マーケティングとは、自社の商品やサービスを効率的に売るために行う活動全般のことを指し、「市場をつくる」という意味があります。

たとえば、市場調査や商品企画、価格設定、流通・販売チャネルの構築、広告宣伝、顧客の声のフィードバックなどの活動が含まれます。

商品やサービスを売るためのあらゆる活動がマーケティング活動に該当すると考えてください。

ブランディングとは何か

ブランディングとは、自社や自社の商品・サービスそのものの価値やイメージを高めようとする活動のことで、顧客の頭の中に自社やサービスへの良いイメージを作ってもらうことを目的としています。

たとえば、ブランディングに成功している代表的な企業がiPhoneなどで有名なアップル社でしょう。

アップル社と聞けば、「こだわり抜かれたデザインや革新的な商品を出す会社」「創業者のスティーブジョブズの妥協なきものづくりの精神が根付いた会社」といったイメージを持つ人が多いと思います。

このようにアップル社に対する良いイメージが消費者に浸透しているため、たとえアップル社の出した商品が、他社よりも性能が劣っていたとしても、多少価格が高かったとしても、「アップル社の商品が欲しい」と選ばれるようになります。

このように、自社や自社の商品・サービスに良いイメージを持ってもらうための活動全般がブランディングです。

▶️企業ブランディングについては、関連記事【企業ブランディングとは?企業の成長における重要性や手法を徹底解説】もあわせて参考にしてください。

リブランディングとは何か

リブランディングとは、今までに作り上げてきたブランドを再構築すること、およびその戦略のことです。

時代の変化や、消費者の価値観の変化、競合他社の成長などにより、古くなってしまったブランド価値を刷新するために行います。

具体的なリブランディングの方法としては、ターゲットの見直しや、ロゴ変更、パッケージデザインの刷新、コーポレートサイトの刷新などがあります。

たとえば、リブランディングに成功した代表的な企業がユニクロを運営するファーストリテイリング社です。

ユニクロはかつて2000年代後半に、「ユニクロとばれると恥ずかしい(ユニバレ)」という言葉が浸透するほど、安かろう悪かろうなイメージが定着していました。

しかし、メイドインジャパンを強調するロゴマークの刷新や、それと連動した世界各地の店舗デザインや商品企画、プロモーション戦略の刷新を実施。

見事に今現在のような「高品質の商品を低価格で提供するジャパンブランド」としてのリブランディングに成功しています。

時代の移り変わりが激しい時代だからこそ、時代に沿ったニーズに柔軟に適応していくために、ブランディングと共に重要視されているのがリブランディングです。

PRとは何か

PRとは、「Public Relations(パブリック・リレーションズ)」の略語で、直訳すると「公衆との望ましい関係づくり」という意味です。

PRは宣伝や広報よりも広い概念で、自社の情報を広く社会に周知する活動全般を指します。

たとえば、「プレスリリース」「オウンドメディア」「社内報」「メディア対応」などが主なPR活動です。

よくマーケティングと混同されることもありますが、そもそもPRとマーケティングは目的が違います。

PRは企業価値の向上や認知度の拡大、マーケティングは商品・サービスの販売促進を目的としています。迷ったら「どんな目的で行うのか?」で見分けましょう。

また、PRはブランディングで形成されたイメージを元に実施されるのが一般的です。

そのため、ブランディングの延長線上にPRがあると考えてください。ブランディングで良いイメージを構築し、PRでさらにそれを広く社会に周知していくというのが一般的な流れです。

マーケティングとブランディングの違い

マーケティングとブランディングの違いは主に次の5つです。

  • ・その1:目標
  • ・その2:意義・方針
  • ・その3:ニーズ・焦点
  • ・その4:手段・方法
  • ・その5:施策の期間

それぞれについて具体的にどのような違いがあるのかを見ていきましょう。

違いその1:目標

ブランディングとマーケティングはよく混同されますが、そもそも目標とするものが全く違います。

まず、ブランディングは、消費者に自社や自社の商品・サービスに対する良好なイメージを持ってもらうことが目標です。

一方で、マーケティングは、自社の商品やサービスの価値を効果的に訴求することが目標です。

そのため、商品・サービスをとにかく売りたいのであればマーケティング施策を、価格競争などから脱していきたいのであればブランディング施策を選択する必要があります。

「自社の商品を販売したいからブランディング施策を実施する」のは大きな間違いです。

目標とするものが何かによって取るべき最適な施策が異なるので注意しましょう。

違いその2:意義・方針

ブランディングとマーケティングには、意義や方針の違いもあります。

ブランディングは、自社の商品やサービスが「どうあるべきか」という社会的存在意義や向かうべき方向性を大きな枠組みで考え続けることです。

時代により消費者の価値観が変わると、自社の商品やサービスに対するイメージも変化することが考えられます。ブランディングは一度考えたら終わりではなく、時代に沿って、継続的に「どうあるべきか」を考え続けることが大切です。

一方で、マーケティングは、自社の商品やサービスを売るために「どうすべきか」を考える具体的な活動方針です。

たとえば、テレビCMなどのマス広告、Web広告、SNSの利用などのプロモーション活動などがこれにあたりますが、商品やサービスが変われば活動方針も施策もガラリと変わります。

このように、大きな枠組みの中で存在意義や方向性を考え続けるのがブランディング、その土台の上で「自社の商品やサービスをどう売っていくのか」という具体的な活動方針を考えるのがマーケティングです。

違いその3:ニーズ・焦点

ブランディングとマーケティングには、ニーズや焦点の当て方に違いがあります。

ブランディングは、自社の強みをターゲットの消費者に訴求して、「このブランドを選べば間違いない」というイメージを持ってもらうことに焦点を当てます。

つまり、焦点は自社です。

一方で、マーケティングは「消費者のニーズは何か」に焦点を当てます。

このように、「自社の強み」と「消費者のニーズ」どちらに焦点を当てるのかが、マーケティングとブランディングの大きな違いです。

また、消費者のニーズが顕在化している場合は、それに応える具体的な商品やサービスを訴求するようなマーケティングを実施します。

一方で、消費者のニーズが潜在的にある場合は、ニーズを深掘りし、自社の商品やサービスで解決できるようなイメージを持ってもらうようにブランディング施策を実施していきます。

つまり、顕在化した消費者のニーズにはマーケティングを、潜在的なニーズにはブランディングを、というように使い分けていく必要があるのです。

違いその4:手段・方法

ブランディングとマーケティングには、手段や方法にも違いがあります。

ブランディングを行う際には、消費者の心理形成につながるような手段や方法を採用します。

なぜなら、消費者の心の中に良好なイメージを作ってもらう必要があるからです。

たとえば、消費者に対してのブランディングの場合、印象に残りやすいブランド名やロゴの設定、キャラクターの作成やコーポレートメッセージの作成、サイトの刷新などが主なブランディング施策の方法です。

また、社内に対するブランディングの場合、従業員向けのブランドブックの作成、独自の人事認定制度の創設などの方法があります。

一方、マーケティングでは、商品やサービスに対する消費者の理解や購買意欲向上につながるような手段や方法を採用します。

たとえば、各種広告やオウンドメディアのコンテンツ、SNSでの情報発信、メールマガジンなどを利用して消費者への広告宣伝を行う、などです。

このように、手段や方法も異なるので、混同してしまわないように注意しましょう。

違いその5:施策の期間

ブランディングとマーケティングでは、施策に取り組む期間の長さが違います。

マーケティングと違い、ブランディングは長期的な取り組みが必要です。

なぜなら、ブランディングの目標であるブランドイメージを形成するには長い期間を必要とするからです。

一方で、マーケティングが目標とする顧客の購買行動は比較的短い期間で成果が表れます。

たとえば、ロゴを刷新したところで、すぐにその効果は感じられませんが、Web広告に出すページを修正した場合には、その効果はすぐに現れます。

このように、ブランディングとマーケティングはそもそも取り組む期間の長さが違うということを認識しておきましょう。

アウターブランディングとインナーブランディング

ブランディングには、大きく分けてアウターブランディングとインナーブランディングの2種類があります。

アウターブランディングとは、社外に対するブランディングのことです。

アウターブランディングの対象には、消費者や取引先をはじめとするステークホルダーのほか、新卒や中途採用の就職希望者なども含まれます。

消費者に自社やサービスに対して良いイメージを持ってもらうのが目的であり、一般的に多くの人が「ブランディング」と認識しているのが、このアウターブランディングです。

また、法人を対象としたビジネスをしている企業が行うBtoBブランディング、一般消費者を対象とする企業が行うBtoCブランディング、自分自身をブランド化して価値を高めるセルフブランディングなどのように、アウターブランディングの中でも細かく種類が分かれています。

一方で、インナーブランディングとは社内向けのブランディングで、その対象には従業員のほか経営層・マネジメント層も含まれます。

たとえば、インナーブランディングとは自社の企業理念やブランド価値、行動指針を従業員に浸透させて共有できるようにする取り組みのことです。

インナーブランディングによって企業理念や行動指針などの理解が深まると、従業員のモチベーションやパフォーマンスが向上し、定着率アップや優秀な人材の確保につながります。

このように企業体質の改善を図り、市場における競争力を企業の内側から高めていくことがインナーブランディングの目的です。

ブランディングを行う企業メリット

企業がブランディングを行うメリットは、顧客を自社やサービスのファンにできることです。

ファンが増えることにより、具体的に次の3つのようなメリットを得ることができます。

ファン化の促進とリピーター獲得につながる

企業がブランディングに成功すると、ファンになってくれた人が商品やサービスを何度もリピートして購入してくれるようになります。

たとえば、アップル社の新商品販売日に、アップルストアに行列ができている光景をテレビなどで見たことがあるという方が多いのではないでしょうか。このように、企業がファン化に成功すると、消費者が頼んでもいないのに、一生懸命に購入してくれるようになります。

リピート購入とは、広告費用をかけずに購入してもらえるようになる、ということです。つまり、リピート購入が増えれば増えるほど、企業がかける1人あたりの広告費用は減っていきます。

このように、ブランディングにより顧客のファン化が促進し、リピーターが増えると、企業の利益向上が見込めるということです。

同業他社との差別化の実現による競争力の強化

ブランディングにより自社や自社の商品・サービスへ信頼感が高まると、ブランド力だけで商品を購入してもらえるようになります。そのため、同業他社との差別化が実現でき、競争力が強化できます。

なぜなら、機能がほぼ同等の商品であれば、価格が多少高めであっても自社の商品やサービスを選んでくれるようになるからです。

たとえば、素材も製法もほぼ同じ商品やサービスがあったとしても、ブランディングを実現することで価格の高い自社商品・サービスを購入してもらえるようになります。

このように、ブランディングに成功することにより、市場における価格や性能の競争に巻き込まれずに、価値を提供することができるということです。

▶️差別化戦略については、関連記事【差別化戦略の成功の秘訣ーメリットやデメリット、成功事例とは!?】もあわせて参考にしてください。

ブランド認知度および注目度の向上

ブランディングにより、ブランドの認知度や注目度が高まります。

なぜなら、ブランディングという活動自体が、自社や自社の商品・サービスに良いイメージを持ってもらうための施策だからです。

ブランディングを行ったから必ずブランド認知度や注目度が上がるという訳ではありません。

しかし、自社や自社の商品・サービスの強みや価値を見出し、それを上手く訴求できれば、ブランドの認知度および注目度の向上につながります。

たとえば、ユニクロは商品や店舗で使うロゴの刷新だけではなく、ユニクロの強みである「安くて良い品質のメイドインジャパン」を有名スポーツ選手をアンバサダーにするなど、戦略的に訴求したことによって世界的な認知度向上に成功しました。

また、今ではよく知られる鍋のメーカー、バーミキュラは日本の老舗中小企業「愛知ドビー株式会社」のブランドです。海外のメーカーだと思っていた人も多いのではないでしょうか。

バーミキュラの鍋は、「ホーロー加工された鋳物の鍋なのに、無水調理できるほどの機密性の高さ」という革新的な技術と、技術者の努力に裏付けされた説得力のあるブランドメッセージにより、世界的な認知度向上に成功しました。

このように、ブランディングに成功すると、企業活動自体が注目され、宣伝・販促活動が効果的に行えるようになります。

また、投資家からも注目されるようになり、資金調達も有利に行えるようになるなど、付加的なメリットにもつながります。

ブランディングを行うユーザーメリット

ブランディングは企業側のメリットばかりが語られますが、実は企業がブランディングを行うメリットはユーザーにもあります。

具体的には、次の2つのメリットをユーザー側は受けることができるのです。

商品・サービスを選択しやすくなる

企業がブランディングを行うことによって、ユーザーは、商品やサービスを選択しやすくなります。

なぜなら、知っているブランドの商品であれば、購入時に迷わなくても済むからです。

たとえば、企業が全くブランディングを行わなかったらどうなるでしょうか。毎回性能や材質、品質などを見て自分自身で見極めていかなければなりません。

自分が欲しいと思っていたものとは違う商品を購入してしまうことも多くなるでしょうし、商品そのものを探す時間が多くかかってしまいます。

このように、企業がブランディングを行うことによって、私たちは自分の欲しいものを短時間で選ぶことができているのです。

安心感が得られリスク回避になる

ブランディングは、購入するユーザー側の安心感にも繋がります。

なぜなら、信頼感のあるブランドを選べば、「商品やサービスを購入した後に後悔するのではないか」という不安を感じなくても済むからです。

たとえば、いつも購入しているブランドの食品があると安心して購入することができますが、はじめて購入するブランドの食品はどうでしょうか。きっと「美味しいのだろうか?」「ちゃんとした品質をしているのだろうか?」など色々な不安が出てくるはずです。

また、ブランドが確立している商品を選ぶことによってリスクの回避にもつながります。

なぜなら、新しい商品を購入する場合は、購入したものが期待した機能を果たすのか、支払った価格に見合うのか、などのリスクを消費者側が負わなければならないからです。

このように、企業がきちんと自社の強みを訴求してブランディングしてくれているおかげで、私たちは安心してリスクの少ない買い物ができているのです。

マーケティングとブランディングの相関関係と経営における重要性

マーケティングとブランディングはこれまで説明してきた通り全く違う施策ですが、相関関係にあります。

なぜなら、ブランディングは土台であり、その土台の上でマーケティングを行うことでより大きな影響力のあるプロモーションが行えるからです。

ブランディングによって認知度や信頼性が高くなると市場での競争力が強化されます。このような状態でマーケティング活動を行うと、より自社の優位性を高めた上で商品やサービスを販売することが可能です。

企業活動においてブランディングとマーケティングは車の両輪のようなものであり、経営の安定化を図るための重要な活動だということができます。

マーケティングとブランディングを同時に実現させる方法

ブランディングは自社や自社の商品・サービスのイメージを高めようとする活動で、マーケティングは商品やサービスを売るための活動です。いずれも企業活動を行うためには重要な活動です。

この2つの活動を同時に実現できる効率の良い方法が「ブックマーケティング」です。

なぜなら、書籍であれば1冊で、商品やサービスの特徴だけではなく、自社の強みや取り組みなどを含めたあらゆる情報を伝えることができるからです。

また、書籍は信頼性の高い媒体なので、オウンドメディアなどのWeb媒体に比べて、ターゲットである消費者に良いイメージを作ってもらうのに最適な媒体ということができます。

このように、信頼性の高い媒体で商品やサービスについてのマーケティング要素、自社の強みや取り組みなどを含めたブランディング要素の両方を一気に伝えられるという点で、書籍は効率的な媒体と言えるでしょう。

しかし、商業出版や企業出版をはじめとしてただ書籍を出版すれば良いという訳ではなく、それをしっかりとターゲットの手元に届け、読んでもらわなければ意味がありません。

そこで、出版するだけではなく、ターゲットに読んでもらうまでを戦略的に行っていくのが、ブックマーケティングです。

さらに、ブックマーケティングでは、どのようなターゲットに、どのような書籍を届けたいかの戦略設計を行います。

たとえば、ブランディングやマーケティングをこれまで全く意識的に行ってこなかった会社であってもブックマーケティングという施策を通して、自社の強みを見出し(ブランディング)、それを書籍としてまとめて見込み顧客に届ける(マーケティング)の両方を実施することになります。

今後マーケティングやブランディングを強化していきたい、という会社だけではなく、今までどちらも意識的にやってこなかった、という会社が行うファーストステップとしてもブックマーケティングはおすすめです。

▶️ブックマーケティングの施策内容や効果については、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。

まとめ

この記事では、マーケティングとブランディングの違いや、ブランディングを行うことによる企業とユーザー双方のメリット、経営戦略におけるマーケティングとブランディングの重要性などについて詳しく解説しました。

前述しましたが、マーケティングとブランディングは企業という車の前進を支える両輪です。どちらも企業の存続には必要不可欠なものです。

ぜひ、この記事でマーケティングとブランディングについて正しく理解し、両方を上手く取り入れてみてください。

どのようにマーケティングやブランディングの施策を始めたら良いかわからないという方や、どちらもやっているけれどもなかなか成果がでない、という方は、それら2つの施策を同時に実行できる「ブックマーケティング」という施策を検討してみてはいかがでしょうか。

フォーウェイではブックマーケティングによる、企業のブランディングやマーケティングをサポートしております。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

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執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

「書籍をマーケティング戦略で活用」と聞くとどのようなメリットを思い浮かべるでしょうか。

出版の方法はさまざまですが、企業が取り組む場合はその具体的な活用法を知っておきたいところ。

この記事では、書籍マーケティングの手法やメリットについて詳しく解説します。

目次【本記事の内容】

書籍マーケティングとは

書籍マーケティングとは、書籍を自社の信頼性・認知度向上や企業ブランディングに役立てるマーケティング手法です。

出版社が持つ販路を利用できるため、効率的にターゲットの元に届けることができます。

独自の技術や実績などの企業の強み、開発秘話などをストーリーとしてまとめて一冊の書籍という形で出版すれば、書籍そのものの信頼性と出版社の全国的な販路を活かして効果的なマーケティングを行うことが可能です。

書籍マーケティングの具体的な手法

書籍マーケティングにはいくつかの手法が存在します。

それぞれに特徴やメリット・デメリットがあるため、自社にとってどの手法が合っているか比較することが大切です。

書籍マーケティングの具体的な手法は以下の3つです。

商業出版/すでに影響力のあるインフルエンサー向け

商業出版はすでに影響力を有しているインフルエンサーや著名人が著者となる場合に向いた手法です。

出版にかかる費用をすべて出版社が負担して、出版社が利益を出すことを目的としています。

つまり、出版社は「売れる」という確信が持てるものしか採用できません。

実際に、ヒット作やベストセラーになる書籍の多くがこの方法で出版されています。

商業出版では、無名の人物が企画を持ち込んだ場合、よほど内容が良いものでなければ採用されることはありません。

また、万が一採用されたとしても書籍の内容を制限されることがほとんどです。

一方で、すでに影響力のあるインフルエンサーであれば、「インフルエンサーのファンに買ってもらえるだろう」「このファンの数ならこれぐらいの利益が期待できる」と目処を立てることができます。

そのため、出版に踏み切りやすくなるのです。

商業出版は出版社の負担で書籍を出せる魅力的な出版方法ですが、書籍の内容の自由度が低いことがデメリットにもなり得ますし、そもそも採用されるのは至難の技であると言えるでしょう。

自費出版/出版した事実を残したい経営者向け

自費出版は出版にかかる費用を著者自身が負担する出版方法です。

出版社からの制限を受けず、経営者が読者(顧客)に伝えたいことを自由に書くことができます。

著名人ではなくても自伝や個人的なノウハウ、物語を書籍という形で出版することができるため、出版した事実を残したい経営者向けの出版方法です。

自費出版の書籍の一つに、山田悠介『リアル鬼ごっこ』があります。

『リアル鬼ごっこ』は著者のデビュー作ですが、この作品がヒットし、今やメディアから注目されるホラー小説作家となりました。

上記のようにヒットする書籍もありますが、簡単なことではありません。

ヒットさせるのが難しい理由として、「発行部数が少ないこと」「プロモーションを自分で行う必要があること」が挙げられます。

自由な内容で書籍を出版できるという点では魅力的ですが、費用負担が重く、利益も出しにくいという点がネックとなる出版方法です。

企業出版/マーケティングとして書籍活用したい経営者向け

企業出版は、「商品・サービスの認知度向上」「他社との差別化」「企業ブランディング」など、企業が抱える課題の解消を目的とする出版方法です。

出版に関わるすべての費用を企業が負担します。

企業出版の最大の魅力は、企業が伝えたいメッセージを書籍という形で発信することができる点です。

たとえば、企業理念や、これまでの歩み、商品開発ストーリーなどを書籍という形で発信すれば、それを読んだ読者の心を動かし、ファン化させることができます。

書籍は信頼性の高い媒体という共通認識があるため、「書籍を出版している」という事実があるだけでも顧客にとって安心できる要素になります。

また、WebやSNSなどの媒体よりもメディアへの露出を増やしたり、宣伝広告費の削減に繋げたりすることも可能です。

このように企業の課題を解決し、事業成長に繋げたい企業にとって最適な方法と言えます。

書籍マーケティングのメリットとは

書籍マーケティングは費用や時間のかかる手法です。

しかし、それでも取り組む企業は数多くあります。

なぜなら、以下の6つのメリットを享受できるからです。

メリット①:信頼感の醸成ができる

書籍マーケティングによって、顕在層をファン化して商品やサービスの購入を働きかけることができるようになります。

なぜなら、「書籍を出版している」ということによって信頼感を醸成することができるからです。

もし、ファン化した顧客の商品やサービスの購入頻度が低かったとしても、中長期的には売上に貢献してくれると考えられます。

メリット②:情報量が多い/情報が集約できる

書籍マーケティングを行うことによって、自社の商品やサービスのPRだけではなく、企業理念や経営者の考えを顧客に伝えることができます。

なぜなら、書籍は他の媒体(テレビCM・新聞広告・雑誌広告・Web広告・チラシなど)と比べて織り込める情報量が圧倒的に多いからです。

たとえば、A4のチラシの文字数は1,000文字〜2,000文字程度ですが、200ページ程度の書籍の場合の文字数は約7万〜10万文字になります。

また、商品やサービスの情報だけではなく企業理念や経営者の考えなども含めた顧客に伝えたい種々の情報を1冊に集約することができることもメリットとなります。

情報を集約化する過程で、経営者の思考を整理したり、編集者の外部の視点から新たな気づきが得られたりすることも期待できます。

メリット③:メディア露出が増えPR効果が高まる

書籍の内容の専門性や話題性が高い場合は、多くのメディアに注目されて、露出の機会が増えることになります。

なぜなら、書籍は信頼性の高い媒体と認識されているため、メディアはその信頼性の高い情報を採用したり引用したりしようとするからです。

たとえば、良質な睡眠を得る方法が書かれたWebやブログの内容よりは、書籍に書かれている方法の方が信頼性が高いと判断されて、メディアが書籍の内容を紹介しようとします。

その結果、メディア露出が増え、PR効果を高めることができるのです。

メリット④:コンテンツが資産となり長期活用が可能に

書籍マーケティングによるコンテンツは資産として残りつづけます。その理由は、書籍は長期にわたって流通し、書籍に書かれたコンテンツも様々な用途に二次利用することができるからです。

たとえば、自社の商品の開発ストーリーを書籍にまとめて出版した場合は、営業ツールやセミナー資料として配布することが可能です。

さらに、書籍からWebサイトやブログなどのオウンドメディアに転用された場合も長い間ネット上に残り続ける資産となります。

その内容の専門性が高く信頼性のある内容であればあるほど、書籍としても二次利用されたコンテンツとしても価値の高い資産として残り続けます。

メリット⑤:ターゲティングやエリアマーケティングに最適

書籍を購入してまで情報を集めようとする人は、その商品・サービスに対する関心が高いと言えます。

そういったユーザーをターゲティングすれば、ピンポイントでユーザーの心に刺さる書籍をつくることが可能です。

また、書籍マーケティングでは、特定のエリアの書店だけに重点的に配本して、そのエリア内の顧客の認知度を高めるといったこともできます。

このように、書籍マーケティングはターゲティングやエリアマーケティングがしやすいため、テレビCMなどのマス広告よりも効果的にマーケティングを行うことができるのです。

メリット⑥:インナーブランディングも強化できる

書籍の中に企業理念や経営者の考えなども含めておけば、その書籍を社内研修などで配布したり、Webで公開したり、従業員に対するインナーブランディングに活用することもできます。

たとえば、株式会社アカツキでは、「アカツキハート」という会社で掲げる哲学を社内に浸透させるために、ブランドブックを作成。

ブランドブックの作成により、本社から離れた福岡や台湾にある拠点にも哲学が浸透し、本社との熱量に差がない状況を作り出すことに成功しています。

このように、書籍マーケティングによって企業理念などを著すことで社員のロイヤリティを向上させ、インナーブランディングを強化することが可能です。

書籍マーケティング成功のポイント

書籍マーケティングを成功させるためには、ゴールまでの道筋を立てることが最も重要です。

企画から書籍がターゲットに届くまでの道筋が定まっていないと、目的を達成することはできません。

書籍マーケティングを成功に導くためには、失敗事例を知ることも必要です。

▶️失敗事例については、関連記事【企業出版の教科書|メリットから費用、成功のポイントまでまとめて解説】もあわせて参考にしてください。

失敗事例から学ぶ成功のポイントについて、詳しく見ていきましょう。

目的とターゲットの設定

書籍マーケティングの最初の段階で決めなければならないことは、目的とターゲットの設定です。

「何のために書籍を作るのか」「情報の受け手であるターゲットは誰なのか」が決まらなければマーケティングの成功はあり得ません。

目的地が定まっていないのに出発したら、道に迷ってどの目的地にも辿り着けないのと同じです。

逆に言えば、目的とターゲットがきちんと設定できれば効果的な書籍マーケティングを実現できるということです。

そのため、書籍マーケティングを利用して目的を達成するためには、最初に目的とターゲットを設定する必要があるのです。

プロモーション戦略の立案と実行

書籍マーケティングは、顧客が達成したいゴールから逆算して流通戦略や広告販売戦略を考えます。

書籍を出版したとしても黙っているだけでは書店に置いてもらうことはできません。

書棚に置かれるためには、新刊を必ず書店に並べることを約束する特約店契約や書店との関係性が大切です。

書店販売のための流通戦略以外にも、様々な施策を組み合わせて流通させていく方法もあります。

書店販売以外の流通戦略とは、出版記念イベントや、書籍の内容に関係する著名人やインフルエンサーとのコラボレーションなどです。

書籍に合ったプロモーション方法を立案し、確実に実行することは書籍マーケティングの成功のポイントと言えます。

書籍を出すことで満足しない長期的視野での活用戦略

書籍マーケティングは、書籍を出版することを目的とするものではありません。

なぜなら、書籍の出版は手段であり、商品・サービスの認知度向上や顧客の購買意欲向上などを図り、売上や利益の向上を図ることがゴールだからです。

書籍を出版することが目的になってしまっては、「名刺代わり」で終わってしまいます。そうならないためにも、出版した後に書籍をどのように活用するのかというイメージを立てておくことが大切です。

たとえば、書籍の企画決定後にクラウドファンディングを立ち上げて資金集めを図りつつ、書籍の事前告知をして認知拡大を図ったり、書籍の発売に合わせてSNS上でストーリーを紡いで続きを書籍に引き継いだりすることも活用方法として考えられます。

近年メジャーになっているLINEマーケティングを書籍に活用するのも効果的です。

書籍にLINEの友だち登録のQRコードを設置しておけば、ユーザーとの接点を作ることができます。

LINEで定期的に商品・サービス情報やクーポンなどを配信することで、コストをかけずに販促活動を行うことができます。

書籍マーケティングの出版社の選び方

書籍マーケティングにおいては、いかに自分が著したい内容に寄り添って提案・プロモーションをしてくれる出版社を選ぶかが大切です。

出版社を選ぶ上で見極めるポイントは次の3点です。

出版プランナーの提案と質疑応答

書籍の企画を考える段階では、「読者に何を伝えたいのか」「自社の強みはどういうところにあるのか」を整理して、どのような書籍を書くことができるかを出版社のプランナーと検討します。

このときには、プランナーの提案内容と質疑応答の態度などに注意しましょう。

たとえば、経営者の視点に立って提案をしてくれるような場合は問題ありませんが、質問に対して真摯に答えてくれず、はぐらかされてしまうような場合は要注意と考えるべきでしょう。

プランナーは出版社における営業の役割を担うため、プランナーの対応は出版社を見極める際の大きなポイントとなります。

出版社および編集者の実績

出版社の実績ということになると大手の出版社が優位になってしまいますが、実は編集者の実績も重要なポイントです。

なぜなら、「編集者がどのようなジャンルの書籍を得意としているのか」「これまでにどのような成功事例があるのか」によって、書籍マーケティングの成否が変わってくるからです。

たとえば、「編集実績が業界内でトップクラス」「編集した書籍が軒並み成功している」などの実績を持つ編集者がいれば、安心して任せることができるでしょう。

出版社のネームバリューだけにとらわれず、必ず編集者の実績も確認することが大切です。

書籍のプロモーション方法の確認

出版社がどのようなプロモーションを行ってくれるのかを具体的に確認することも、自分の書籍にとって良い出版社を選ぶ上で重要です。

書籍のプロモーション方法の確認を行うべき理由は、打ち合わせの時に決めたプロモーション方法が行われないことがあるからです。

実際に、提案時は「書店に並びますよ」などと調子がいいことばかり言っていたのに、実際に出版してみるとほとんど並んでない、一般の書棚ではなく自費出版専門の書棚に並んでいたというのはよくある事例です。

このようなことにならないためにも、依頼したプランやオプションの範囲内で、具体的にどのようなプロモーションを行ってくれるのか確認しましょう。

▶️書籍マーケティングの具体的なプロモーション方法については、関連記事【出版マーケティングの効果的なプロモーションとは? 広告手段も解説】もあわせて参考にしてください。

まとめ

この記事では、書籍マーケティングの具体的な手法やメリット、書籍マーケティングを成功させるためのポイント、出版社の選び方などについて詳しく解説しました。

書籍マーケティングを活用することによって、その書籍を企業のブランディングや認知度向上、顧客の購買意欲向上などに役立て、売上向上・利益改善などの経営課題の解決につなげることができます。

広告やSNS、SEO、オンライン施策など、様々なマーケティング手法を試しているにも関わらず、なかなか効果が出ない、目的を達成できない場合は、書籍マーケティングを取り入れてみてはいかがでしょうか。

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執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)

福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経営法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を歴任し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。