「本の出版には興味があるが、何か自分自身や、経営する会社、行っている事業にとってメリットがあるのか?」と、本を出版する効果について疑問を持っている経営者は多いと思います。
結論から言えば、本の出版は、経営者に多くのメリットをもたらします。
しかし「うまく活用すれば」という条件付きです。
ただ本を出版しただけでは、自己満足で終わってしまいます。
この記事では、本の出版を経営者自身のブランディングや、経営する会社や行っている事業の発展につなげていくための、戦略的書籍出版の方法について解説していきます。
経営者で本の出版に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次【本記事の内容】
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慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。
経営者が本を出版するメリットとは?
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「全く同じ内容が書いてあるネットの記事と本、どちらが情報として信用できるか?」と聞かれたら、多くの人が本と答えると思います。
ネットやSNSで自分の欲しい情報がいつでも手に入る時代ですが、今でも本は信用性の高い媒体として多くの人に認知されているのです。
そのため、経営者が本の出版をうまく活用すれば、次のような7つのメリットを得ることができます。
メリット①:経営者自身のブランディング・認知度向上につながる
これまで会社を経営してきた経験や、培った専門性、想いなどを本にすることで経営者自身のブランディングや認知度向上につながります。
なぜなら、多くの人が「一握りの専門家しか本を出版できない」というイメージを持っているためです。
たとえば、ある経営者がサイバーセキュリティに関する本を書いて出版したとしましょう。
それを読んだ多くの人が、「サイバーセキュリティの業界ですごい人なんだ」と思うはずです。
このように、本の出版をうまく活用することで、世の中に自分自身の専門性や、人となりを認知してもらえるようになります。
後にご紹介しますが、ある保険代理店の経営者は、「自身の保険代理店の経営論」に関する本を出版し、多くの業界関係者からの理解と共感を獲得。
講演依頼がくるなど、業界内での認知度向上やブランディングにつながっています。
このように、本の出版をうまく活用すれば、経営者自身のブランディングや認知度向上につなげることができるのです。
▶︎認知度向上については、関連記事【経営者必読!認知度向上の方法と効果的なマーケティングの選択肢】もあわせて参考にしてください。
メリット②:会社や事業のブランディング・認知度向上につながる
本に自身が経営する会社のことや、事業について書くことで、ブランディングや認知度の向上につながります。
後にご紹介しますが、実際に、ある建設業専門のコンサルティング会社の経営者は、本の出版により認知度が向上し、仕事の依頼や商圏の拡大につながっています。
「見込み顧客である層に本を届けることができれば」という条件付きではありますが、「こんな会社だったんだ」「こういう事業をやっているんだ」「こういう強みがあるんだ」と認知度向上につながり、問い合わせや仕事の依頼につながる可能性だってあるのです。
▶︎企業ブランディングについては、関連記事【企業ブランディングとは?企業の成長における重要性や手法を徹底解説】もあわせて参考にしてください。
メリット③:経営者・企業の社会的信頼性の向上につながる
いまだに本は社会的信用性の高い媒体として多くの人に認知されています。
ネットやSNSでの情報収集が主流となった現代であっても、「本を出した」と言ったら、「本を出版できるすごい人なんだ」と思ってくれる人は多いはずです。
また、本の出版をきっかけに、テレビや雑誌などのメディアに注目が集まれば、番組出演やインタビューなどへのオファーにつながる可能性もあります。
本を出版しているというだけで、地域や業界内で一目置かれる存在になれるかもしれません。
このように、経営者が本の社会的信頼性の高さをうまく活用することができれば、自分自身や経営する企業、行っている事業の社会的信頼性を高めることができるのです。
メリット④:競合他社との差別化ができる
ネットやSNSのように、パッと見た印象や、判断されるキャッチーさが求められる媒体とは違い、本はじっくり読まれる媒体です。
ネットやSNSとは違い、本を手に取ってくれた読者に、しっかりと経営者の事業にかける想いや、商品やサービスなどが作られた背景などを伝えることができてしまうのです。
つまり、浅く広く多くの人に認知されやすいネットやSNSとは違い、本は狭い範囲で深い共感を得られやすいのです。
後ほどご紹介しますが、実際にある保険代理店の経営者は、本に自分の想いや考え方を入れ込み、同業他社からの深い共感を得ることに成功しています。
本という媒体の性質を正しく理解し、うまく活用することができれば、同業他社との差別化につなげることができるのです。
▶︎差別化戦略については、関連記事【差別化戦略の成功の秘訣−メリットやデメリット、成功事例とは!?】もあわせて参考にしてください。
メリット⑤:潜在顧客へのアプローチができる
書店を訪れるのは、あらかじめ購入したい本を決めている人ばかりではなく、「こんな感じの本がないかなぁ」という漠然としたイメージを持っている人や、「なにか面白い本がないかなぁ」と全くイメージを持たずに訪れる人もいます。
タイトルを見て回ったり、立ち読みしたりしながら本を選ぶ人もいるでしょう。
このように、書店は潜在的なニーズを持った人が多く集まる場所でもあります。
該当するジャンルの書棚に陳列されることで、そのジャンルの悩みや課題を抱えた潜在顧客に出版した本を購入してもらえる可能性があるのです。
このように、一般的な営業やマーケティング手法では接することができない潜在顧客へのアプローチができることも、本の出版の大きなメリットの1つと言えるでしょう。
メリット⑥:成約までの期間の短縮ができる
本に入れることができる情報量は多く、一般的なビジネス書(200ページ程度)であれば、7万字〜10万字という膨大な情報を入れ込むことができます。
そのため、本の中には、次のような経営者に関わるあらゆる情報を入れることが可能です。
【ブックマーケティング著者のご紹介】・自社の紹介
・自社商品やサービスの紹介
・経営者自身の考えや想い
・創業のきっかけや、これまでの経緯
・商品やサービス開発の背景
・自社の強みやノウハウ
単に会社や商品・サービスの内容だけではなく、その背景にある考えや想いなどもまとめて伝えることができてしまうのです。
このように、本ならではの強みを活用すれば、顧客との信頼関係構築がしやすくなるだけではなく、自社の事業の理解も得られやすくなります。
たとえば、本を読んでいない人と商談を行う場合と、本を読んで問い合わせをしてくれた方と商談を行う場合であれば、後者の方が成約につながりやすく、リードタイムも短くなる可能性が高いと言えます。
なぜなら、すでに本を読んで自社や商品、サービスについてある程度理解してくれている可能性が高いからです。
中には自社や商品、サービスのファンになり、成約前提で問い合わせをしてきている方もいらっしゃるかもしれません。
このように、本をうまく活用すれば、これまで顧客との信頼関係の構築にかかっていた期間や、成約前に顧客教育が必要だった期間が不要となり、成約までのリードタイムを短縮することができるのです。
メリット⑦:経営者や企業にとっての棚卸し(強みの再構築)につながる
本を作る前には、出版する目的や、本にどのような内容を盛り込みたいか、を企画していきます。
経営者へのヒアリングや、打ち合わせを入念に実施した上で企画を作っていくため、そのプロセスの中で経営者自身が「これが自社の強みだ」と改めて気づくことも多いのです。
たとえば、弊社のクライアントさまの中にも、出版のプロセスの中で自身や自社の強みを再認識し、「セミナーで自分の言葉で語れるようになった」「自分自身の自信につながった」という経営者が実際にいらっしゃいます。
本をきっかけに講演に呼ばれて話しても、自信を持って語れる。以前から考えてはいたけど言語化されていなかった概念が、出版によってスルスルと言葉になって出てくるようになった。その言葉が聴衆に刺さっているのも感じます。
引用元:【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店
経営者が出版する目的を明確に!選ぶべき最適な出版方法が異なる
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ここまで、経営者が本を出版することで得られるメリットをお伝えしてきましたが、ただ本を出版しただけでは、これらを得ることは難しいと言えます。
出版する目的をはじめ、「誰に、どのような情報を、どうやって届けていくのか」など、出版後も見据えた戦略があってはじめてメリットを享受できるようになります。
そのための第一歩が出版方法の選択です。
出版「商業出版」「自費出版」「企業出版」という3種類がありますが、その中から最適な出版方法をまずは決めていく必要があります。
自費出版:書籍化が目的
自費出版は、次のように書籍化が目的の場合に選択される出版方法です。
・自分史を後世に残したい
・名刺代わりに配る本を作りたい
・趣味の集大成を書籍にしたい
著者が書きたい内容を書けるというのがメリットですが、出版のためにかかる費用は全て著者負担になります。
また、自費出版の場合は、出版後の書店配本やプロモーション費用も著者負担になることがほとんどです。
よって、「出版しても流通しにくい」というのがデメリットです。
本を出した後に、経営者自身が出版パーティーを開いたり、名刺代わりに積極的に配ったり、送付したりすれば、前述した出版のメリットのうち、いくつかは享受できる可能性はありますが、基本的には何か成果を求めて選択するような出版方法ではありません。
「書きたいことがあるので、どうしてもそれを本にしたい」という方におすすめの出版方法です。
▶︎自費出版については、関連記事【自費出版とは?メリットやデメリット、費用相場、成功事例などを解説】もあわせて参考にしてください。
企業出版:企業の集客・ブランディングなどの課題解決が目的
企業出版は、企業が、集客やブランディングなど、経営課題を解決するという目的で選択される出版方法です。
次のような、さまざまな経営課題を解決したい場合におすすめの出版方法と言えます。
・自社やサービス、商品の認知度をあげたい
・競合他社と差別化を図りたい
・自社のブランディングを強化したい
・自社やサービス、商品の社会的信用性をあげたい
・社内ブランディング(インナーブランディング)を強化したい
・成約までにかかるリードタイムを短縮したい
・上場に向けて、会社の認知度や社会的信用性をあげたい
・WebやSNSで集客しているがうまくいかない、それ以外の集客方法を探している
・富裕層や決裁権者などに効率的にアプローチしたい
出版費用はすべて企業側の負担となる点や、本の内容の最終決定権が企業側にあるという点は自費出版と同じです。
しかし、企業の課題解決が目的であるため、「目的達成のためにどのような本を出版すれば良いのか」という企画提案が出版社側からあるのが、大きな違いと言えるでしょう。
また、自費出版とは違い、出版後のプロモーションや配本も行われることが前提です。
出版社の流通網を活用し、商圏内の書店に的確に配本できることも自費出版にはない、企業出版ならではの特徴と言えるでしょう。
「本がどれぐらい売れたのか」というよりも、「いかに見込み顧客に1冊でも多く届けられるか」ということが重要なので、出版後のプロモーションをどうするかも見据えて本の企画を行っていく必要があります。
出版社によっては、SNSや、SEO、Web広告、クラウドファンディングなど、あらゆるマーケティング施策を活用していくことを見据えて本の企画を考えていくこともあります。
マーケティング施策の一環として本の出版を活用することから、ブックマーケティングとも呼ばれることもある出版方法です。
商業出版:出版社の売上向上が目的
商業出版は、出版社がヒット作を作り、売上や利益を向上させることが目的の出版方法です。
売れる本を作るために、出版社が自ら本の内容の企画や著者の選定を行い、配本やプロモーションを大々的に行っていくので、ベストセラーが生まれやすいというのが商業出版の特徴です。
実際にベストセラーの本のほとんどが商業出版によって生まれています。
出版社主導の出版方法なため、企業や経営者個人の一存で商業出版ができるわけではありません。
著者自身や出版コーディネーターが企画を出版社に持ち込んで出版されるケースもありますが、全体のごく一部です。
また、出版社が決めた方向性に沿って本を作るため、著者が伝えたいことを自由に書ける訳ではありません。
出版社都合で内容が変更されることもよくあります。
あくまで出版社の企画に沿って著者がアサインされる、という形になるため、著者には印税という名の報酬が発生します。
▶︎商業出版については、関連記事【商業出版とは?企業がブランディングを考えたときの出版の選択肢】もあわせて参考にしてください。
単なる自己満足な出版で終わらせないためには?
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「商業出版からなぜベストセラーが多くでるのか」というと、出版社が「売れる本を作る」という明確な目的を持って、トレンドや読者の興味関心をリサーチしたり、配本やプロモーションなども見据えて戦略的に本の企画を行うためです。
商業出版のようにベストセラーが目的では無かったとしても、何か本を出版することで成果を得たい場合は、「いかに戦略的に本を企画し出版するか」が自己満足な出版で終わらせないコツです。
具体的には次のようなポイントを押さえましょう。
本を出版する目的を明確にし、有効な出版方法を選択する
まずは「何のために本を出版するのか?」という目的を明確にしましょう。
「社会的信用性をあげるために本を出したい」「何か自分の生きた証を残したい」「自分の考えや想いを形にしたい」という目的であれば、自費出版がおすすめです。
このような目的の場合は、「自分が好きなことを書ける」ということが重要です。
一方で、本を出版することで、自社の認知度・知名度向上や、競合他社との差別化、ブランディング、集客アップ、新規顧客獲得などを期待するのであれば、企業出版がおすすめです。
この場合は、「自分が好きなことを書く」というよりも、「いかにターゲットに1冊でも多く届けるか」が重要であり、配本やプロモーション、マーケティング戦略が必要になってきます。
企画の段階から、こういったことを含め、コンセプトや戦略を練っていくことが何より重要です。
出版後のプロモーション戦略と書籍活用も見据えた企画を立案する
自己満足で終わらないためには、「これを書きたい」ということよりも、「自社の強みが何なのかを再認識し、その強みを誰にどうやって伝えるのか」の方が重要です。
そのためには、本の企画の段階から、ターゲット決めや、出版後のプロモーション方法や本の活用方法をある程度決めておく必要があります。
むしろ、それを見据えた本の内容にしていくことが重要なのです。
たとえば、本の出版後にSNSで情報を拡散していく予定であれば、小出しにできるような見出し構成にしたり、SNSと連動する要素を盛り込んでいくなどができるはずです。
また、本の出版後にセミナーや講演会を積極的に行っていく場合には、そこに思わず足を運びたくなるような内容を盛り込むことができます。
このように、先を見据えた戦略的なプロモーションやマーケティングを踏まえて、本の内容を決めていくことが、ただの自己満足で終わらせないコツの1つです。
出版後の書籍の流通経路をあらかじめ考え、出版社と相談しておく
出版後の流通経路も重要です。
商圏以外の地域に配本しても意味がありません。
そのため「どの地域の書店に配本していくのか」などを出版社と相談しておきましょう。
「商圏拡大のためにこの地域に配本していきたい」「この地域で競合他社との差別化を図りたい」という明確な目的があるのであれば、流通経路もそれに応じて変えていくべきです。
出版後に書籍を活用したプロモーションを実施する
「本を出版したけど、何も反響がなかった」という声をよく聞きますが、その原因は明確です。
本を出版した後に、何もしなかったから、反響がなかったのです。
すでに知名度が高い経営者、企業であっても、書店配本はもちろんのこと、SNSで定期的に書籍の内容の一部を投稿したり、出版記念セミナーを開催したり、営業ツールとして積極的に配ったり、見込み顧客に送付したり、出版後にあらゆるプロモーションを行わなければ、反響を得ることは難しいと言えます。
実際に、ベストセラーになっている本の多くは、内容が良いだけではなく、出版社がお金をかけて積極的にプロモーションをしているから売れているのです。
そのため、出版後にも積極的にプロモーションを実施していきましょう。
電子版のみはNG!紙の書籍を出版する
「デジタルの時代だから」と、電子書籍のみで出版を検討している方も多いと思いますが、注意してください。
なぜなら、誰でも無料で電子書籍を出せるというハードルの低さから、競合が多く、見つけてもらうことが難しいためです。
ある程度知名度がある会社だったとしても、簡単に埋もれてしまいますので、プロモーションやマーケティングをしっかりと行っていかないと、電子書籍のみで企業の課題を解決するのは難しいと言えるでしょう。
あくまで紙媒体の補助的な役割で電子書籍を活用するのがおすすめです。
Kindle出版やプリントオンデマンドには注意
出版費用を抑えるための方法として、Kindleなどの電子書籍やプリントオンデマンドがありますが、利用は慎重に検討しましょう。
なぜなら、電子書籍は紙媒体に比べて社会的信用性が低いからです。
誰でも無料で出せるのが電子書籍の強みであり、弱点でもあるのです。
安易に安いから、といって手を出すのはおすすめしません。
経営者の出版成功事例
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本の出版をうまく活用すると、実際にどのような成果が期待できるのか。
実際に経営者が本の出版をうまく活用した事例をいくつかご紹介します。
事例1:保険代理店の経営者の場合
ある保険代理店の経営者は「保険業界の給与体系を変えることによって業績拡大ができる」という持論を世に問うために書籍を出版。
書籍の中で、保険業界では当たり前の「成果報酬型」を「一律報酬型」に変えることを提唱し、「一部のスーパー営業マンに頼った経営から、全員がアベレージヒッターになる経営に変えていこう」と訴えかけました。
保険業界の当たり前とは反対の持論を展開した形でしたが、予想以上に多くの業界関係者から理解と共感が得られたのです。
結果として、ブランディングに成功。
本の出版によって保険の契約獲得数も増え、新規コンサルティング契約の獲得や講演会の依頼などにもつながっています。
なんというか、当社の見られ方が確実に変わりましたね。同業者の集まりに出ても「あのイナバプランニングカンパニーさん」という反応で最初から一目置かれている。保険の商談に従業員と同行するときも、お客様に事前に本を読んでおいてもらうと、ご面談するときにちゃんと「あったまっている」んですよね(笑)
引用元:【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店
事例2:不動産会社の経営者の場合
高収入な医師をターゲットに不動産投資サービスを提供していた、ある不動産会社の経営者は、SNSやWeb広告を運用しても成果が得られない現状や、成約までのリードタイムの長さを改善したいと考えていました。
不動産投資サービスは、高額で、パッと判断して購入に踏み切れる商品ではありません。
「見込み顧客といかに信頼関係を築けるか」や、「いかに必要性や有効性を理解してもらうか」が重要です。
そのため、パッと見て一瞬で「買う・買わない」や、「興味ある・ない」を判断されるSNSやWeb広告とは相性が悪かったのです。
そこで「高収入な医師に最も効果的な節税対策は不動産投資である」というテーマで本を出版。
ターゲットである医師に的確に本を届けるためのプロモーション戦略を企画段階から練っていたことが功を奏して、多くの医師に本を読んでもらうことに成功しました。
実際に、本を読んだ医師に、不動産投資に大きな節税効果があることが認知されて問い合わせが増加。
さらには既存顧客や、本を読んだ医師からの口コミなどによって評判が広がり、新規顧客の獲得につながっています。
事例3:建設業専門コンサルティング会社の経営者
この経営者は、自社で行う事業があまり世間に認知されていないことを課題に感じていました。
そこで、知名度向上や商圏の拡大のために本の出版に踏み切りました。
ターゲットである建設業者の決裁権者に確実にアプローチするために、書籍のタイトルに「建設業のための」という文言を入れたり、その後のプロモーション戦略も見据えて本の内容を企画。
出版後、ターゲットとしていた建設業者の決裁権者に読んでもらうことができ、出版翌日から電話が鳴り止まないほどの反響を得ています。
結果として、10件近くの新規顧問契約獲得につながり、首都圏中心に配本したことにより、商圏の拡大にも成功しました。
建設業専門のコンサルティング会社としての地位を確立し、ブランディングにも成功。
業界からの認知度向上にもつながっています。
【まとめ】目的を持って戦略的に本を作ろう!
経営者が本を出版するなら、自身の自己満足で終わらせるのではなく、経営者自身にとっても、経営する企業や行っている事業にとっても良い影響が期待できる「企業出版」がおすすめです。
もちろん、「自己満足でも自分の書きたいことがかければ良い」ということであれば自費出版で良い思いますが、せっかくお金をかけて本を出版する訳ですから、目的を明確にして、戦略的に本を作った方がメリットが大きいと言えます。
もし、経営者自身や経営する企業の目的に合わせた、戦略的な出版をお考えであれば、フォーウェイまでご相談ください。
配本やプロモーション戦略はもちろんのこと、SNSやWeb広告、SEO、クラウドファンディング、セミナーなど、あらゆるマーケティング施策を駆使した戦略的書籍出版をご提案いたします。
▼パノラボのブックマーケティングのご案内はこちら
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マーケティング手法の一つである「出版マーケティング」は書籍を利用して、長期的に集客や認知度向上を図る仕組みです。
本記事では、「出版マーケティング」に取り組むためはどういうやり方があるのか、その費用感はどの程度か、および成功事例にはどのようなものがあるのかなどについてくわしく解説します。
目次【本記事の内容】
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福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経営法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を歴任し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。
そもそも出版マーケティングとは?
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「出版マーケティング」とは、書籍を出版してマーケティングに活用する手法のことです。
企業が自社の事業や商品、サービスなどに関する書籍を出版し、集客や認知度向上に役立てることを目的としています。
現代では、インターネット上で必要な情報を容易に見つけることができる一方で、根拠や情報ソース、発信者が不明確なものも多く、本当に信頼できる情報を探し出すことが難しいのが実情です。
一方、書籍には出版社と著者が明記されていますので「インターネット上の情報よりも信頼できる」と考えられやすい傾向があります。
そのため、企業の強みや独自技術・実績、取り組みなどをストーリーとしてまとめて一冊の書籍として出版すれば、書籍の信頼性や出版社の全国的な販路を活かした効果的なマーケティングが可能となります。
また、SNSやWebサイト、ブログ、クラウドファンディングなど、他のWebマーケティング手法と組み合わせることもできるので、より高い効果を狙うことができます。
企業出版、自費出版、商業出版との違い
一般的に、書籍を出版する方法として企業出版、自費出版、商業出版という3つの出版方法があります。
企業出版は、企業が出版費用をすべて負担して、企業の認知度や信頼性を向上するために書籍を出版し書店へ流通させてプロモーションを行うものです。
「いかにターゲット顧客に書籍を届けるか」が目的になってきますので、そもそも書籍がたくさん売れなくても問題ありません。
もちろん、売れるにこしたことはありませんが、読者の中に1人でも、内容に共感し、企業や商品・サービスへの親近感を持ち商品やサービスの購入に至ってくれれば企業出版は成功と言えます。
次に、自費出版は、個人が出版費用をすべて負担して書籍を出版するもので、書店へ流通させることもありますが、基本的には積極的なプロモーションは行いません。
個人の趣味の集大成としたり、企業経営者が名刺代わりに配るために、書籍化することが目的の出版方法です。
商業出版は、出版社が出版費用をすべて負担して書籍を出版するもので、ヒット作を作って販売数を伸ばし、出版社が利益を上げるための出版方法です。
出版社が力を入れて宣伝やマーケティングを行うため、世の中にあるベストセラーの本のほとんどはこの方法によって出版されています。
これらの3つの出版方法の中で「出版マーケティング」に最も近いと考えることができるのは企業出版です。
企業出版の場合の商品やサービスの利用は副次的な結果ですが、結果的にはマーケティング効果があったと考えられるからです。
他のマーケティング手法との違い
代表的なマーケティング手法としては、下表のようなものがあります。
マスマーケティング |
テレビ広告、ラジオ広告、新聞広告、雑誌広告、屋外広告 |
ダイレクトマーケティング |
テレアポ、ダイレクトメール、メール、SNS、インターネット広告、レコメンドエンジン |
インバウンドマーケティング |
SEO、動画 |
これらのマーケティング手法に共通しているのは、施策を実施している間は高い効果が期待できますが、施策をやめた途端に効果が激減することです。
これに対して、「出版マーケティング」では書籍を利用しますので、マーケティング効果が長期的に継続します。
出版マーケティングはこんな人におすすめ
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書籍は、他のマーケティング手法と違い長い文章を読んでもらえるという点が大きなメリットです。
そのため、他のマーケティング手法とは違った訴求が可能になります。
WebやSNSの場合は「読まない」を前提にパッと見ていかに見込み顧客に伝わるかが重要になります。
一方で、書籍の場合には、そういった心配なくあらゆる情報を見込み顧客に読んでもらうことが可能です。つまり、一冊で信頼関係の構築や顧客教育がすべてできてしまうということです。
こういったメリットを考慮すると、出版マーケティングは特に、次のような企業や経営者におすすめです。
- ・成約までに信頼関係構築が必要で、成約までの期間が長い
- ・ビジネスモデルが複雑で、成約するためにある程度の顧客教育が必要である
- ・事業も安定してきたので、企業の次なる成長への打ち手に困っている
- ・WebやSNSではなかなか自社のサービスが伝わらないと感じている
- ・競合他社との差別化が難しい
- ・企業としての認知度向上、ブランディングを効果的に行いたい
- ・富裕層や経営者などへのアプローチが可能
出版マーケティングの成功事例
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「出版マーケティング」の成功事例は数多くありますが、ここではその中から3件を紹介します。
成功事例1:医師向けの不動産投資
この不動産会社の経営者は、高収入な医師をターゲットとして、従来からSNSやウェブ広告などを使って不動産投資サービスに関する情報発信を行っていましたが、見込み顧客が獲得できずに悩んでいました。
そこで「高収入な医師に最も効果的な節税対策は不動産投資である」という内容の書籍を出版して、自身の考えや想いを伝える出版マーケティングを行うことを決心。
書籍の企画段階から医師をターゲットとしたマーケティング戦略を練っていたため、狙い通り多くの医師に書籍を購入してもらうことに成功しました。
具体的には、出版のタイミングに合わせたSNS投稿やセミナー開催、クラウドファンディングなどをうまく組み合わせてプロモーションを行ったのです。
この「出版マーケティング」によって、書籍を購入した医師に「不動産投資に大きな節税効果があること」を認知してもらうことができ、売上を倍増させることができました。
さらに、既存顧客から知り合いの医師への口コミや書籍を配布することなどによって評判が広がり、新規顧客を獲得することにもつながっています。
成功事例2:保険代理店経営
この保険代理店の経営者は、保険業界の給与体系を変えることによって業績拡大ができるはずだという持論を持っていました。
そして、その持論を世に問うために「出版マーケティング」を利用して書籍を出版。
その書籍の中で、保険業界では当たり前となっていた「成果報酬型」を「一律報酬型」に変えることを提唱しました。
これは、一部のスーパー営業マンに頼り切った経営から、アベレージヒッターを育てて全員で支えていく経営に変えていって業績拡大ができるという内容でした。
書籍という情報量の多い媒体を使ったため、多くの業界関係者から理解と共感が得られて、自社のブランディングにも成功。
書籍の出版をきっかけに保険代理店の契約数も飛躍的に伸びたのはもちろんですが、他の保険代理店からコンサルティングの新規契約を獲得することにも成功しています。
成功事例3:工場コンサルティング
このコンサルティング会社は、従来から製造業を対象に工場向けのコンサルティングサービスを提供していました。
コンサルティング費用が高単価で、営業をしても説明に時間がかかることなどから受注率が低いことが悩みのタネでした。
そこで、「出版マーケティング」により書籍を出版。
「ファクトリーオートメーションによって製造業の人材不足を解決し、経営効率化と利益の最大化ができる」というメッセージを伝えました。
書籍出版後の1ヶ月で10件以上の引き合いがあり、今までリーチできていなかった分野の企業からの問い合わせも増えて売上向上につながっています。
このような顕著な成果が得られた要因として、書籍のターゲットを生産部門の決裁者とし、「ターゲットに向けた明確なキャッチコピーを採用したこと」「書籍を購入して読んでもらうことによって説明に要する時間を大幅に省略できたこと」などが挙げられます。
【ココが違う】出版マーケティングならではの活用メリット
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成功事例からもわかるように「出版マーケティング」では書籍を利用しているため、他のマーケティング施策にはないさまざまなメリットが享受できます。
代表的なものは、次の7つです。
他のマーケティング施策に比べて多くの情報量を伝えることができる
書籍の情報量が、他のマーケティング施策(テレビCM・新聞広告・雑誌広告・Web広告・チラシなど)に比べて圧倒的に多いという特徴があります。
たとえば、A4サイズのチラシに記載できる文字数は1,000文字~2,000文字程度に過ぎませんが、書籍は一般的に200ページ程度で、その文字数は約7万文字~10万文字です。
この膨大な情報量を利用して、企業の商品やサービスの特徴はもちろんのこと、企業理念や経営者の考え方までを一冊に集約して伝えることができます。
このように、多くの情報をまとめて伝えることができるマーケティング施策は他にはありません。
顧客との信頼関係構築や顧客教育が1冊でできる
「書籍を出版している」という事実だけで、その企業の信頼性は格段に高くなるので、顧客との信頼関係の構築に大きく寄与します。
また、取り扱っている事業のビジネスモデルが分かりづらい場合などでも、書籍を読んでもらうことによって顧客教育ができます。
このように、顧客との信頼関係構築や顧客教育が1冊でできるため、商談効率や成約までの期間が短縮できます。
長期的な運用・活用ができる
「出版マーケティング」によって出版された書籍は長期間にわたって流通し、購入された場合もそう簡単に捨てられることはありません。
また、Webサイトやブログ、SNSなどに掲載されたコンテンツも長いことインターネット上に残り続けてマーケティング効果を発揮します。
そのコンテンツの専門性や信頼性が高ければ、価値の高い資産としてマーケティング効果を最大化できるでしょう。
書籍は、テレビCMやWeb広告などのような短期的なマーケティング施策ではありませんので、長期的な企業活動に運用・活用することが可能です。
潜在顧客へのアプローチができる
「出版マーケティング」によって出版された書籍は配本されて書店の書棚に並べられます。
書店を利用する顧客は「なにか面白そうな本はないかな」と興味のあるジャンルの書棚を眺めて、そこで書籍のタイトルにひかれると手にとって気に入れば購入します。
つまり、書店に並べられることによって潜在顧客へのアプローチができるということです。
本を読んで自社の商品やサービスに信頼感を持つ顧客が出てくる可能性もあります。
他施策への二次利用でマーケティング効果を最大化できる
出版した書籍を他のマーケティング施策に二次利用することができます。
たとえば、既存顧客に無料でDM発送したり、営業ツールとして活用したり、展示会やセミナーで配布するなどです。
また、書籍の著作権は著者企業に帰属しますので、そのコンテンツをWebサイトやブログ、SNSなどに二次利用することができます。
これらの他のマーケティング施策への二次利用によって、マーケティング効果を最大化することができます。
・書籍をDM発送
・営業ツールとして活用
・出版セミナーを開催
・SEO対策(権威性、信頼性、オリジナル性)
・各種SNSの情報発信での二次活用 |
WebやSNSでは狙えない顧客にアプローチできる
現代の広告宣伝は、インターネットを介したWebサイトやSNSによる情報発信が主流となっていますが、特に高齢者などはWebサイトやSNSとは縁遠いためなかなかアプローチすることができません。
しかし、書籍であればこのような顧客にもアプローチすることが可能となります。
実際に、インターネット中心に会員登録数を増加させていた投資助言業の企業が、なかなかアプローチできていない高齢者層への訴求に書籍を活用して集客に成功した事例もあります。
企業のブランディングや認知度向上ができる
書籍を出版することによって、その書籍を自社のブランディングや認知度向上、顧客の購買意欲向上などに役立て、売上の向上や利益改善などの経営課題の解決につなげることができます。
そのためには「出版マーケティング」のゴールは書籍の販売ではなく、書籍をきっかけにした企業の成長にあることをきちんと認識しておくことが大切です。
出版マーケティングの費用感
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「出版マーケティング」にかかる費用は、書籍の仕様や発行部数、制作費用、プロモーション費用などの要素によって変わってきますが、一般的には450万円~1,000万円程度です。
書籍の仕様としては四六判(横130mm×縦188mmの単行本サイズ)で200ページ程度の書籍が多く、印刷費用には書店に流通する流通部数だけでなく、著者に納品する部数も通常は含まれます。
制作費用はライターや編集者、デザイナーの依頼費や人件費、プロモーション費用はメディアへのリリースや書店営業、Web広告・新聞広告への出稿、出版記念イベントの開催などの費用です。
出版マーケティング施策に取り組むには?流れや必要な期間
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ここでは、「出版マーケティング」施策に取り組むために必要なプロセスの流れや必要な期間などについて解説します。
書籍の企画 |
企画段階では、出版の目的とターゲット、アプローチ方法をきちんと決めておく必要があります。つまり、何のために書籍を出版して、誰に読んでもらって、何を伝えるのかということを決め、さらにそのターゲットに確実に届けるためのプロモーションまでを想定しておく必要があるということです。書籍の企画に必要な期間は、約2週間~1ヶ月です。 |
原稿執筆 |
書籍の企画が決まると、それに従って原稿を執筆し写真・図表・イラストなどを準備します。その後出版社の編集者からアドバイスをもらい必要に応じて修正をします。
原稿執筆や写真・図表・イラストなどの準備に必要な期間は、約2週間~4ヶ月です。 |
デザイン |
原稿が完成すると、表紙や誌面のデザインやレイアウトを行います。
デザインに必要な期間は、約2週間~1ヶ月です。 |
校正・校閲 |
デザインが終わると紙やPDFに出力して校正を行います。誤字脱字・表記ゆれはないか、デザインはイメージ通りか、写真・図表・イラストは適切かなどについて校正と修正を行います。同時に校閲によって事実関係に誤りがないことを確認します。
校正・校閲に必要な期間は、約2週間~1ヶ月です。 |
印刷・製本 |
校正が終わると、出版社から印刷会社に書籍のデータが送られて、印刷会社から色校正が提示されます。インクのノリ具合や写真の色味を確認して問題がなければ書籍が印刷・製本されます。
印刷・製本に必要な期間は、約1ヶ月です。 |
プロモーション |
書籍が完成すると企画段階で決定したプロモーションを実施して書籍を販促し、「出版マーケティング」の目的達成を目指します。 |
出版マーケティングを成功させる3つのポイント
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「出版マーケティング」を成功させるためには次の3つのポイントがあります。
戦略的に流通・配本を行える出版社を選ぶ
「出版マーケティング」において、出版社選びは非常に重要です。
出版する書籍のジャンルに強い出版社であることはもちろんですが、戦略的な流通や配本が行える出版社でなければなりません。
一般的には、全国規模の流通網がある出版社が良いと考えられますが、書籍のテーマや企業の事業展開によっては、ある特定のエリアだけに配本したいケースやある特定のターゲットに届くように配本したいというケースなどがあるからです。
なお、全国の書店に流通網がある大手出版社の場合は、部数を多めに刷って大量に流通させることによりコストが上がってしまう可能性があります。結果的に大多数が返品されてしまうため、効果的にターゲットに届けたいなど目的がある場合は注意が必要です。
出版後のプロモーションを見据えた書籍の企画戦略を立てる
「出版マーケティング」で書籍を出版する際は、企画段階で出版の目的とゴールを設定し、さらに出版後のプロモーションも含めた戦略を立てることが必要です。
出版の目的とゴールが明確になっていないと、ターゲット読者が曖昧なままに書籍の制作とプロモーションを行うことになり、最悪の場合成果が得られないことになりかねないからです。
「書籍を使って解決したい課題は何なのか」「最終的なゴールは何なのか」「そのためにどのようなプロモーションを行うべきなのか」について最初にしっかりと考えておく必要があります。
出版後にあらゆるプロモーション施策を実施する
書籍を出版した後には、あらゆるプロモーション施策を実施する必要があります。
主なプロモーション施策は次のとおりです。
- ・SNS施策
- ・クラウドファンディング
- ・セミナー、講演活動
- ・Web広告
- ・SEO施策
- ・書店プロモーション
以下、順にこれらの施策について紹介します。
SNS施策
現代ではインターネット環境が整っており、すでに多くの企業がマーケティングツールとしてSNS(X、Instagram、TikTok、YouTubeなど)を利用しています。
出版マーケティングとSNSを組み合わせることによってマーケティング効果を最大化することが可能です。
SNSには大きな拡散力がありますので、テレビCMやWeb広告よりも大きな効果を得ることができます。
書籍の制作には6ヶ月~8ヶ月程度かかりますので、制作期間中に一貫したSNSアカウントを立ち上げて事前告知を行ってフォロワーの興味を喚起し、フォロワーがファン化した頃に出版するという状態が作れれば理想的です。
vまたは、ストーリーテリングの手法を取り入れて、SNS上でストーリーを紡ぎ、その続きを書籍につなげるような方法も考えられます。
▶ストーリーテリングについては、関連記事【ストーリーブランディングとは?企業の物語を伝えてファンを作る方法】もあわせて参考にしてください。
クラウドファンディング
書籍の企画を決定した後に、クラウドファンディングを実施して書籍の事前告知をして企業の認知度向上を図ることができます。
クラウドファンディングを実施することによって、出版費用や広告宣伝費用を調達することができるだけではなく、書籍に関する情報発信の機会が増えることになります。
クラウドファンディングの支援ページは書籍の出版後も残りますので、自社の取り組みを長い期間残すことが可能です。
セミナー、講演活動
書籍の制作期間中に書籍の内容に関するセミナーや講演会などを開催することができます。
さらに、出版後には出版記念セミナーを開催して、セミナーの最後に直接書籍を販売したり配布したりするのも一つの方法です。
出版記念セミナーを開催して集客することによって、より広い潜在顧客に書籍を届けることができます。
Web広告
書籍の発売に合わせてWeb広告を使ったプロモーションを行ったり、書籍専用のLPを作ったり、書籍のコンテンツを抜き出してコンテンツマーケティングを行うことなどが考えられます。
LPを利用する場合は、訪問者リストを作成して分析し今後のマーケティングに利用することが可能です。
SEO施策
書籍の著作権は契約主体である企業に帰属しますので、コンテンツを自社のWebサイトやブログなどに自由に掲載することができます。
近年のSEO対策で重要なことは、コンテンツのオリジナリティーですので、書籍のようなオリジナルコンテンツは自社サイトに高いSEO効果をもたらします。
また、オリジナルで専門性の高いコンテンツは、他社サイトやブログからの引用も多く見込めるため、被リンク獲得にもつながり、自社サイトのドメインパワーを高めることができます。
結果として、高いSEO効果を得ることにつながるのです。
書店プロモーション
書店プロモーションには次のような施策があります。以下の順に説明していきます。
- ・出版社の流通力がカギ! 戦略的な配本
- ・実績として打ち出せる! ランキング買取
- ・露出力を高めるには買取プロモーションを活用!
- ・書棚以外でも認知促進が図れる! 有力なポスター展開
- ・書籍や自社告知のための新聞広告
- ・ブックカバーやしおりの配布
- ・店頭看板やデジタルサイネージ
- ・イベントスペースを活用した講演会の実施
出版社の流通力がカギ! 戦略的な配本
全国への流通網が整った実績のある大手出版社から出版することによって戦略的に配本することが可能です。
たとえば、ダイヤモンド社、日経BP、幻冬舎メディアコンサルティング、クロスメディア・パブリッシングがあり、いずれも出版費用は高額ですが流通力が高く大きなメリットが得られます。
フォーウェイでは、雑誌やWebメディアへの発信を積極的に行っている主婦の友社や小学館などの出版社と提携しているほか、戦略的な配本を得意とするグループ出版社パノラボでの一気通貫での出版も行っています。
これらの出版社の流通力を活用すれば、2,000部程度あれば、全国の大型書店~中堅書店には十分に配本することができ露出力を高めることができます。
また、パノラボでは、自社の商圏に近い書店に重点配本するなどの自社のビジネスメリットを想定した戦略的なエリアマーケティングを行うことも可能です。
実績として打ち出せる! ランキング買取
一度に100冊~500冊などを買取するという約束をして、書店での週間ランキングで1位を獲得するようにする方法があります。
週間ランキングで1位を獲得すれば、自社のホームページなどに掲載することによりブランディング効果を高めることができます。
また、書籍の販売促進のための新聞広告を実施する際にも、このランキング情報を掲載すると「この本は売れている」という説得力を持たせることも可能です。
露出力を高めるには買取プロモーションを活用!
書籍を一定数買取するという約束をして、一定期間大型展開を実施してもらう方法もあります。
ランキング買取との違いは、一括で数100冊も買取するのではなく、たとえば50冊の展開を依頼して、1ヶ月後に売れ残った書籍を買取るというものです。
近年、出版業界では返品率の高さが問題視されているので、書店にとっては売れ残った書籍を全て買取るという条件は、返品の必要がなく売上も担保されるためうれしい提案なのです。
通常の配本ではなかなか読者に手に取ってもらえない可能性もあるため、売れ残った書籍の買取を条件に1ヶ月間で展開をしてもらうと販売促進にもつながり、企業の認知度も向上します。
なお、買取りした書籍はセミナーでのプレゼントや、営業活動で顧客に配布したりできるので、長期的に書籍を活用する点で有効なプロモーションとなります。
書棚以外でも認知促進が図れる! 有力なポスター展開
書店に一定のプロモーション費を支払って、書籍の近くや店頭・店内の目立つ場所にポスターの展開をしてもらうこともできます。
ポスター制作については出版社と調整する必要がありますが、書籍の認知度を上げるのに効果的です。
買取プロモーションと異なるのは、書籍を買取りする必要がないことです。
自社で書籍を必要としない場合は、ポスター展開ができるプロモーションは有力な手段と言えるでしょう。
書籍や自社告知のための新聞広告
書籍の出版に合わせて、書籍や自社の告知をするために新聞広告を出稿する方法があります。
たとえば、全国の書店への配本と同時に新聞広告を使ってプロモーションを行うこともできます。
特にビジネス書は日経新聞の広告掲載と相性がよく、現代でも書籍の販売促進には最も有効な手段の一つです。
ブックカバーやしおりの配布
書店でプロモーションをする際に、書籍の内容と連動したブックカバーやしおりを準備しておき、店内に設置したり書店員に配布してもらうことができます。
書店に来店する顧客の多くは、好奇心が旺盛で知識欲などのリテラシーが高い人たちなので、出版した書籍に興味を持って手に取ったり購入したりしてくれる可能性があります。
店頭看板やデジタルサイネージ
大型書店などであれば、店頭看板や懸垂幕などで広告してもらい、来店客ばかりでなく通行人にアピールする方法もあります。
また、近年ではデジタルサイネージに注目が集まっており、店内に設置された液晶モニターに映像や音声を配信して書籍の広告をすることも可能です。
イベントスペースを活用した講演会の実施
都市圏の大型書店の場合、イベントスペースを有していることが多いので、企業の告知スペースとしても活用できます。
書籍出版する場合は、書籍のテーマに合わせてセミナーを開催することも考えられます。
書店でのセミナーは、自社開催のセミナーとは異なった客層を集客することができますので、潜在顧客へのアプローチとしても有効です。
Amazonの販売促進広告
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Amazonなどのネット書店の場合は、タイトルや著者名が分かっていないと書籍にたどり着かないことがあります。
リアル書店であれば、興味や関心のあるジャンルの書棚を眺めているうちに、意外な1冊に巡り合う可能性がありますが、ネット書店ではそのようなことはありません。
この対策としてAmazonのスポンサー広告や書籍販促を目的としたGoogleディスプレイ広告、SNS広告などの利用があります。
ターゲットが明確であれば、そのターゲットが検索しそうなキーワードをスポンサー広告等に設定することによって、書籍の販売促進につなげることができます。
【まとめ】出版マーケティングは長期的な集客、認知度向上の仕組み作り
「出版マーケティング」を利用すれば、書籍を出版するだけではなく、その書籍をブランディングに活用して自社の信頼性の向上などに役立ていくことができます。
つまり、「出版マーケティング」とは長期的な集客、認知度向上のための仕組み作りだということができるでしょう。
「出版マーケティング」にトライしてみようとお考えなら、ぜひフォーウェイまでご相談ください。
▼パノラボのブックマーケティングのご案内はこちら
![](https://forway.co.jp/wp-content/uploads/2023/05/unnamed-2-1024x584.png)
企業経営者が書籍を出版する際には、出版社や編集者などのプロの手を借りることが必要です。
もしくは、出版社には属していない「出版プロデューサー」という職業の方にサポートしてもらうことも考えられます。
本記事では、「出版プロデューサー」の役割や選ぶ際の注意点などについて詳しく解説します。
目次【本記事の内容】
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慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。
出版プロデューサーとは何者か
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「出版プロデューサー」という職業はあまり知られていませんが、映画業界やTV業界、音楽業界などで「プロデューサー」といえば、「作品を制作する人」や「作品の制作責任者」を指します。
「出版プロデューサー」も同じように、「出版物を制作する人」や「出版物の制作責任者」のことをいいます。
ただしここで気をつけなければならないのは、「出版プロデューサー」と紛らわしい名前の「出版コンサルタント」や「出版エージェント」などがいるということです。
名前が似ているというだけでその役割は違っているので、書籍を出版したいと考えている方は、それぞれの違いをよく分かったうえで、のちのちトラブルにならないように「出版プロデューサー」を選ばなければなりません。
以下では、「出版プロデューサー」について説明した後に「出版コンサルタント」や「出版エージェント」についても説明し、役割の違いを明確にします。
出版プロデューサーとは
「出版プロデューサー」とは、一言でいえば「本の出版に責任を持つ人」です。
具体的には、著者の発掘から出版企画書の作成、出版社への企画の提案、出版後の販促などまで、書籍の作成や出版に関わるすべてのプロセスにおいて著者をサポートします。
「出版プロデューサー」は出版社には所属しておらず、個人または法人に所属して活動しています。
多くのジャンルの出版に関わった幅広い経験や、多くの出版社や編集者とのネットワークをもっているため、適切な出版企画書の作成をして、最もふさわしい出版社にコンタクトして、著者と出版社との橋渡しをします。
以下では、より具体的に「出版プロデューサー」の役割について見ていきましょう。
「出版プロデューサー」の1つ目の役割は、著者を発掘することです。
「出版プロデューサー」は、世の中に価値を提供できる、かつ売れる見込みのある本をプロデュースする仕事ですので、企業経営者や普通のサラリーマン、主婦の中から「他人に届ける価値」を持った著者を探し出します。
その人たちの中に潜んでいる「他人に届ける価値」を適切に引き出せる出版プロデューサーが、腕の良い「出版プロデューサー」ということになります。
「出版プロデューサー」の2つ目の役割は、出版企画書の作成、またはアドバイスを行うことです。
多くの著者は出版に関しては素人なので、ほとんどの場合「出版プロデューサー」が出版企画書を作成した方が短期間で質の良いものが出来上がります。
出版企画書を作成するにあたっては、著者からヒアリングして著者が持っている「他人に届ける価値」や「他の人にはない著者だけの強み」を引き出していきます。
高いヒアリング能力を持つ「出版プロデューサー」が、多くのベストセラーを出すことができるのです。
「出版プロデューサー」の3つ目の役割は、出版社へ企画を売り込んで採用してもらうことです。
日本には、大手・中堅・小規模の出版社や専門出版社、その他の組織の出版局などを合わせると約4,500社の出版社があります。
ここでは「出版プロデューサー」の出版社や編集者とのネットワークが問われます。
著者の専門分野に近い出版社とネットワークを持っていなければ、企画書の売り込みはできませんし採用してもらうこともできません。
「出版プロデューサー」の4つ目の役割は、書籍のプロモーションです。
出版企画書が出版社に採用されると、必要な制作プロセスを経て書籍が完成しますが、出版不況とも言われる現代では、販促やプロモーションを行わなければ簡単に本は売れません。
実際の販促活動は出版社が主導して行うので、「出版プロデューサー」は出版社に最適な販促活動をするように働きかけることになります。
出版コンサルタントとは
「出版コンサルタント」とは、出版企画書へのアドバイスを主な業務とする人のことです。
コンサルタント(Consultant)は、もともと「一緒に座って議論する」という意味を持ったラテン語を語源とする言葉です。
基本的に「コンサルタント」の仕事はアドバイスだけですので、出版に関わる実務は行いません。
そのため、「出版コンサルタント」は、どうすれば採用される出版企画書を書けるのかというアドバイスをして相談料をもらうだけで、「出版プロデューサー」のように出版企画書を作成したり、企画を出版社に持ち込んだりという仕事までは行いません。
「出版コンサルタント」に依頼する場合は、出版に関しては素人である著者が、自分自身で出版企画書を作らなければなりません。
さらに、でき上がった出版企画書を出版社に持ち込むのも著者がやらなければなりませんので、出版社や編集者とのネットワークがない素人には、出版社を探すことさえ難しいことになります。
ただし、良心的な「出版コンサルタント」の場合は、著者が作成した出版企画書を添削してくれたり、企画が採用される可能性の高い出版社を紹介してくれたりします。
出版エージェントとは
「出版エージェント」とは、著者の代理人として出版社や編集者と様々な交渉をする人のことです。
エージェント(Agent)とは「代理人」のことを指す英語で、本人から委任された代理権限の範囲内で、本人に代わって取引や契約などを行います。
特に海外では「出版エージェント」は出版に欠かせない存在です。
たとえばアメリカでは、著者が出版社に出版企画書を持ち込むケースはほとんどなく、すべて「出版エージェント」を介して行われます。
「出版エージェント」は著者の代理人として、著者が有利になるように交渉や契約をすることが役割ですので、出版コンサルティングなどを行うことはありません。
出版プロデューサーに依頼するメリットとは
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企業経営者が書籍を出版する際に「出版プロデューサー」に依頼することによって得られるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
代表的なメリットは、次の4つです。
専門知識やノウハウをもとにアドバイスをしてくれる
企業経営者としては、どうせ書籍を出版するのなら「売れる本」を作って、「自社のPRやブランディング」に寄与できるものにしたいと思うはずです。
しかしながら、年間約7万タイトルもの書籍が出版されているわけなので、無名の企業経営者がヒット作を作るのは容易なことではありません。
その点、「出版プロデューサー」に依頼すれば、近年のヒット作のトレンドを把握した出版のプロからアドバイスを受けることができます。
書籍のテーマに応じた専門知識やノウハウを駆使して、構成やタイトル、デザインなどあらゆるプロセスにおいて「売れる本」を目指してブラッシュアップしてくれます。
企業経営者が持っている、独自の経験やノウハウ、伝えたい思いを引き出して言語化して「売れる本」に仕上げるサポートをしてくれるのが「出版プロデューサー」です。
プロジェクト進行のサポートにより時間と労力を短縮できる
企業経営者が出版をするためには、出版企画書を作成して出版社に持ち込み採用されなければなりません。
運良く企画が通ったとしても、原稿の執筆はもちろんですが、編集や校正、デザインなどの多くのプロセスで多くの作業をしなければなりません。
そして最大の問題点は、一般の企業経営者は出版そのものに精通していないということで、慣れない作業に大変な時間と労力がかかってしまいます。
しかし、「出版プロデューサー」に依頼すれば、ほとんどの作業をサポートしてくれるので、時間と労力を短縮できることになります。
販売戦略やマーケティング支援も受けられる
「出版プロデューサー」は、出版企画書の作成から出版社への提案、そして実際の出版までをサポートしてくれますが、さらに出版後の販促まで関わってくれます。
個人の「出版プロデューサー」の場合は、販促活動のアドバイスにとどまる可能性がありますが、たとえば株式会社フォーウェイのような自社グループに出版社を持つ「出版プロデューサー」であれば販売戦略やマーケティング支援までトータルでサポートすることが可能です。
商業出版により費用対効果の高い出版が可能となる
「出版プロデューサー」は、企業経営者の商業出版をサポートするのが仕事です。
商業出版は出版社がベストセラー目的で利益を上げるために行うものなので、出版費用は出版社が負担します。
そのため商業出版で本を出すことができれば、費用をかけることなく「自社のPRやブランディング」ができるので、費用対効果の高い出版が可能になります。
商業出版と自費出版の違い
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出版方法を費用負担や書店に並ぶかどうかという観点から商業出版と自費出版に分けることができます。
以下では、それぞれの違いについて解説します。
商業出版とは
商業出版とは、出版社が利益を出すことを目的とする出版方法で、出版社が全額費用負担をします。
より多くの書籍が売れて出版社が利益を上げることができるように、積極的にプロモーションを行うのが特徴です。
実際に、ベストセラーとなっている書籍のほとんどは商業出版によるものです。
しかしながら、商業出版の場合は、著者が伝えたいことよりも出版社の意向が優先されるので、著者が言いたいことが書けなかったり、出版社によって修正されたりすることがあります。
企業経営者が書きたいことがすべて書けるわけではないということが、商業出版における唯一のデメリットということができるでしょう。
自費出版とは
自費出版とは個人出版ともいうように、筆者が個人的に書籍を出版することを目的とした出版方法で、出版費用は全額著者の負担です。
自費出版のメリットは、出版社が企画に介入しないため本の内容の自由度が高いことで、著者は自由に書籍の内容を決めることができます。
基本的に自費出版は書店で販売されることはありませんが、出版社の販路を利用して書店で販売することも可能です。
つまり、企業経営者が本を出す場合、自費出版で制作して書店に流通させるような方法も考えられるということです。
出版プロデューサーを選ぶ際に注意すべきポイント
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ここでは「出版プロデューサー」を選ぶ際に注意すべき4つのポイントについて説明します。
なお、著者から費用ばかりを巻き上げる悪質な詐欺まがいの「出版プロデューサー」や「出版コンサルタント」も存在するので、くれぐれもそのような人を選ばないように十分注意しましょう。
経験とスキルを持つプロデューサーを選ぶ
「出版プロデューサー」に限ったことではありませんが、多くの経験を積んで確かなスキルを持った人を選ぶ必要があります。
具体的には、出版点数や代表作、著者、得意ジャンルなどの実績を確認します。
書籍には多くの分野があるので、出版したい本のテーマの分野に関する知識や知見が豊富で、その分野の出版社からの出版実績があることもきちんと確認するようにしましょう。
出版経路を明確に持つプロデューサーを選ぶ
「出版プロデューサー」には個人または法人所属の人がいますが、いずれの場合も確実に書籍の流通まで行える人を選ぶようにしましょう。
個人の「出版プロデューサー」の場合は、どこの出版社とコネクションがあるのか、複数の出版社の中から選ぶことができるのかなども重要です。
法人所属の「出版プロデューサー」の場合は、そのグループ内に出版社がある場合があるので、その点についても確認することをおすすめします。
編集者の所属やコネクションを確認する
法人所属の「出版プロデューサー」の場合、その法人の中に編集者がいるのかどうか、そしてその編集者の実績も確認しましょう。
個人の「出版プロデューサー」の場合は、どのような実績を持つ編集者とコネクションがあるのかを確認する必要があります。
契約内容や、職務範囲、報酬体系を明確にする
「出版プロデューサー」に依頼する場合は、きちんとした契約を結ぶことになります。
契約前に確認しなければならないのは、職務範囲、報酬体系、支払条件、印税の条件(印税率や、印刷部数と販売部数のどちらで印税が支払われるのか、など)などです。
ほとんどの出版社は持ち込みの企画や原稿を求めていない
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ここまで、「出版プロデューサー」に依頼して商業出版する前提での説明をしてきましたが、一つ重要なことをお伝えしておく必要があります。
それは、出版社は「持ち込み企画の商業出版を歓迎していない」ということです。
現実に大半の出版社は原則として持ち込み企画や原稿を求めていません。
商業出版とは、出版社自身が本の企画、著者の選択・指名をして、本という商品を売って利益を稼ぐものだからです。
このように、そもそも商業出版の門戸は狭くハードルが高いということは認識しておく必要があります。
企業がPRやブランディングで検討する他の出版方法
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では、企業が「自社のPRやブランディング」を目的として書籍を出版したい場合には、他にどのような選択肢があるのでしょうか。
企業出版(ブックマーケティング)という手段
企業が「自社のPRやブランディング」を目的として書籍を出版する場合におすすめしたいのは、企業出版(ブックマーケティング)という方法です。
企業が書籍を出す目的は「自社のPRやブランディング」です。
言い換えれば、いかに自社の存在を正しく認知してもらい、自社のファンになってもらえる人を増やすか、が企業が書籍を出す本来の目的です。
企業出版の場合は、出版社のプロモーションによって「いかに企業の顧客ターゲット層に書籍を届けるか」ということが目的になるので、企業の目的と合致します。
企業出版(ブックマーケティング)では、具体的に目的達成のための手段として書籍を活用し、SNSマーケティングやSEOコンテンツマーケティング、クラウドファンディングなどと組み合わせて、最終目的である「自社のPRやブランディング」を達成するためのマーケティング戦略を立てていくのです。
まとめ
本記事では、企業経営者が書籍を出版する際に依頼する「出版プロデューサー」の役割や選ぶ際に注意すべきポイントなどについて詳しく解説しました。
しかし、商業出版の門戸は狭くハードルが高いという現実があるので、「出版プロデューサー」に依頼したとしても、実際に書籍を出版するのは難しいことです。
書籍を利用して「自社のPRやブランディング」を実現したいという企業経営者の方には、企業出版(ブックマーケティング)をおすすめします。
▼パノラボのブックマーケティングのご案内はこちら
![](https://forway.co.jp/wp-content/uploads/2023/05/unnamed-2-1024x584.png)
企業経営者であれば、自社のブランディング戦略の一環としてビジネス書の出版を選択肢に入れている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ビジネス書の出版は、その企業にさまざまな効果をもたらしてくれます。
本記事では、ビジネス書の出版方法やメリット・デメリット、具体的な成功事例などについてくわしく解説します。
目次【本記事の内容】
![](https://forway.co.jp/wp-content/uploads/2024/05/29d5ead1ee41a6d25524876e7bd315d5-scaled.jpg)
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。
ビジネス書の出版についての基本知識
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最初に、ビジネス書を出版するに際して知っておくべき基本知識について説明します。
ビジネス書とは
ビジネス書とは、ビジネスに役立つ知識やノウハウ、経営・経済・自己啓発などをテーマにして書かれた書籍のことをいいます。
たとえば、経営に関するビジネス書には、経営の考え方やノウハウ、事例などが、マーケティングに関するビジネス書であれば、マーケティング理論や手法、事例などが紹介されています。
ビジネス書を購入する読者の多くは企業経営者や会社員などです。
自分自身のビジネスや仕事に活かせる知識やノウハウ、気付きなどを得ることを目的として購入されます。
また、ビジネスで成功した人の考え方や価値観、生き方、人生などを知ることによって、自分自身のスキルや教養の向上に役立てたいという目的で購入されることもあります。
ビジネス書のジャンルやテーマ
ビジネス書はいろいろなジャンルに分けることができ、大別すると「経営」「経済」「ビジネススキル」「自己啓発」などに分けられます。
さらに次のように業種やテーマによってより細かいジャンルに分かれています。
- ・会社経営
- ・経営学
- ・マーケティング
- ・組織
- ・リーダーシップ
- ・ビジネススキル
- ・自己啓発
- ・投資全般
- ・不動産投資
- ・株式投資
- ・資産形成、資産運用
- ・金融・保険
- ・経済
- ・相続対策
- ・節税対策
- ・人事・労務管理
- ・起業・開業
- ・営業
ビジネス書の出版方法について
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ビジネス書の出版を視野に入れている方にとって、どのような出版方法があるのかは気になるところでしょう。
一般的な出版方法には「商業出版」「自費出版」「企業出版」の3つがありますが、ビジネス書の出版方法としては、向き不向きがあります。
以下では、それぞれについて詳しく説明します。
商業出版/出版社主導で認知度を上げる出版方法
「商業出版」は、出版社が主導して認知度が上がる出版方法で、出版社が利益を出すために行う出版方法です。
出版費用はすべて出版社が負担するので、書籍の企画なども出版社が行います。
また、その企画の書籍の著者を誰にするかを決めるのも出版社です。
つまり、著者が「商業出版したい」と思ってできるような出版方法ではないので、ハードルが高いと言えます。
著者に知名度があったり、SNSのフォロワー数が多かったり、ネット上でバズったコンテンツなどを持っていない限り現実的ではないと言えるでしょう。
自費出版/名刺代わりの書籍を制作する出版方法
「自費出版」は、企業経営者などが名刺代わりに顧客や取引先などに配るための書籍を制作する出版方法で、出版費用はすべて著者(企業経営者など)が負担します。
もともと書籍の形にすることが目的の出版方法なのですが、せっかくコストをかけるので、ただの名刺代わりにするだけではなく、長期的に見て投資対効果のある経営施策として検討すべきでしょう。
たとえば、書店に流通させて自社のブランディングや信頼性の向上、新たなビジネスチャンスの獲得のために活用できるようにした方が良いと考えられます。
企業出版/企業課題を解決する企業主導の出版方法
「企業出版」は、企業が抱えている経営課題を解決するための出版方法で、出版費用は全額企業負担です。
解決できる経営課題としては、「自社の商品やサービスの認知度を高めたい」「従業員に企業理念を浸透させたい」「採用活動のミスマッチを減らしたい」などです。
書籍には「信頼性が高い」「ストーリー性がある」「長期的に活用できる」という特徴があるので、企業が顧客や従業員に伝えたいメッセージをしっかりと形にすることができます。
費用負担については「自費出版」と同じく著者が負担しますが、「企業出版」では出版社の販路を利用して全国の書店などで販売することが可能です。
このように、「企業出版」は、企業が書きたいテーマのビジネス書を出版することができ、かつ読者からの反響なども期待できるプロモーションを前提とした出版方法です。
ビジネス書出版のメリット
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ここでは、ビジネス書を出版することによってどのようなメリットが得られるのかについて説明します。
代表的なメリットは次の3つです。
メリット①:ブランディングの確立による信頼性の向上
書籍などの紙メディアに対する信頼性は非常に高いものがあるので、本を出版することによってブランディングが確立して信頼性や知名度が向上するという効果が期待できます。
本を出版するとその道の専門家と見られるようになるので、競合他社との差別化にも有効な施策となります。
営業マンが顧客を訪問したときに「本を出版した会社の方ですね」と言われて営業活動がやりやすくなったという実例もあるように、必ずしも大ヒット作にはならなくても興味を持って読んでくれている方がいるのもビジネス書出版のメリットです。
近年ではホームページやブログで、自社の商品やサービスの魅力や優位性をアピールする手法が注目されていますが、デジタルメディアよりはアナログな紙メディアの方が高い信頼性が得られます。
同じ消費をするのなら、信頼性の高い会社の商品やサービスを利用したいという消費者心理に応えることができるのもビジネス書出版のメリットということができます。
メリット②:受注確度の高い顧客を集客できる
ビジネス書は自分のお金を出して購入するものなので、購入した読者は自社の商品やサービスに興味や関心を持っている質の高い潜在顧客だと判断することができます。
また、ホームページやブログの記事、テレビCM、ネット広告と違って、顧客に伝えることができる情報量が圧倒的に多いため、書籍をじっくりと読んでもらうことによってさらに受注確度の高い顧客に変わっていくことが期待できます。
実際に多くの経営者がビジネス書を出版しているのは、受注確度の高い顧客を集客できるから、と言っても過言ではないでしょう。
メリット③:ビジネスの知見や経験を体系化できる
個人事業でない限り一つの企業には複数名が在籍していて、それぞれの人が事業経営のための役割を担っているはずです。
つまり、多くの知見や経験、ノウハウが各個人にバラバラに蓄積されていることになります。
ビジネス書を出版することをきっかけとして、社内の人材が分散して保有している知見や経験、ノウハウを集約して体系化して共有することが可能となります。
ビジネス書出版のデメリット
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一方、ビジネス書を出版することによるデメリットもあり、代表的なものは次の2つです。
デメリット①:一定のコストがかかる
ビジネス書の出版方法でも説明したように、多くのビジネス書は「企業出版」によって出版されています。
つまり、経営課題を解決するための手段と考えられるので、ある程度のコストがかかるのは仕方がないのですが、ビジネス書の出版には少なくとも数百万円程度の費用がかかります。
実際に出版する際には投資対効果の検討も行うことになりますが、一定のコストがかかるという点はデメリットと言えるでしょう。
デメリット②:数値分析がしづらい
前項のメリットの中で紙メディアである書籍の信頼性が高いことを挙げましたが、逆に書籍という特性から数値分析がしづらいというデメリットがあります。
この点、ウェブ広告の場合は表示回数やクリック数などが容易に収集できるので、数値分析によって広告効果を把握することができます。
ビジネス書出版に関する市場動向とトレンド
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ビジネス書の出版を検討中の方にとって、その市場動向やトレンドについては気になるところでしょう。
以下では、これらについて説明します。
書籍の刊行点数とビジネス書の市場動向
総務省による2022年の日本統計年鑑によれば、1年間に刊行される書籍は約7万点です。
この統計にはビジネス書という分類がないため正確な数値は分かりませんが、ビジネス書は「社会科学」「工学工業」「産業」「語学」のいずれかに分類されているので、この4つの分類の合計2万点に含まれると考えられます。
このことから、年間約1万点のビジネス書が刊行されているものと推測されます。
1年間に刊行される約7万点の書籍のうち約1万点がビジネス書であるということを考えると、ビジネス書の市場は非常に堅調であるということができるでしょう。
2024年度版:トレンドのビジネス書を紹介
ここでは、2024年にトレンドとなっているビジネス書11冊を一挙に紹介します。
◆営業の科学 セールスにはびこるムダな努力・根拠なき指導を一掃する
営業1万人・お客様1万人、合計1万人の調査による膨大な検証分析をもとに12年間・営業4万人を指導してきた著者が、「お客様の本音がわからない」という悩みで直面する各プロセスの「壁」を乗り越えるノウハウを一冊に凝縮しました。
「成果を出す営業のメカニズム」をデータとロジックで裏づけした渾身の一冊です。
◆The Intelligent Sales AIを活用した最速・最良でクリエイティブな営業プロセス
どんな業種、どんな相手先、どんなプロダクトにも適用できる「究極の営業手法」の全てを本書で大公開しています。
「企業分析」「リストアップ」「ターゲティング」「提案資料作成」「商談の相談役」など営業活動の全てを生成AIがサポートしてくれることによって劇的な業務効率化が可能になります。
◆経営中毒 社長はつらい、だから楽しい
大企業からベンチャーまで1000社以上の企業変革を支援してきたエッグフォワード代表徳谷智史氏が、組織マネジメントで起こるトラブル・苦難を赤裸々に告白した一冊です。
「裏切り」「資金枯渇」「孤独」これらが組織を強くする、全企業人必読の「経営指南書」です。
◆ビジネス会食 完全攻略マニュアル すべての食事会を成功に導く最強の実務メソッド
発売わずか1ヶ月で2.1万部を突破しました。
大手広告代理店出身、非体育会系、アルコールに弱い著者が最大28回/月の会食経験から編み出した会食・食事会を成功に導ける必勝メソッド、体系的ノウハウを全網羅しました。
◆ユニクロ
圧倒的な筆力で描き出す、迫真のノンフィクションの決定版です。
閑古鳥の鳴く商店街でくすぶっていた青年柳井正氏が「ユニクロ」を創業して一流経営者にのし上がるまでの知られざる暗黒時代、製造小売業への挑戦、東京進出、フリースブームの到来、集まる仲間たち、古参社員との別れ、苦戦する海外展開、ブラック企業批判、情報製造小売業への進化、柳井正とその夢に惹かれた同志たちの長き戦いをリアルに描き出した一冊です。
◆「やりたいこと」も「やるべきこと」も全部できる! 続ける思考
「これならできる」「続けることへの苦手意識がなくなる」「もはや継続が趣味になる」と反響続々。
三日坊主のための等身大の習慣本がついに完成しました。
継続の方法だけではなく「苦手意識のなくし方」「楽しみ方」「自分を変える力」も知ることができます。
「習慣の本」なのに、なぜかクスッと笑えて泣ける画期的な一冊、その読書体験をぜひお楽しみください。
◆「起業参謀」の戦略書 スタートアップを成功に導く「5つの眼」と23のフレームワーク
ベストセラー「起業の科学」「起業大全」の著者田所雅之氏の最新刊です。
発売5日で大重版3刷決定、Amazon3部門ベストセラー第1位を達成した話題の書です。
「起業参謀こそが日本のブレークスルーのカギを握る」と早稲田大学ビジネススクール教授入山章栄氏も推薦しています。
今の日本に不足しているのは起業家の右腕となり支える人材「起業参謀」だ。
「起業参謀」を養成する「スタートアップアドバイザーアカデミー」の講座内容を1冊に凝縮しました。
◆戦略ごっこ―マーケティング以前の問題
300以上の海外論文や実証研究に基づく「エビデンスベーストマーケティング」の決定版です。
「根拠のある事業成長」を目指すビジネスパーソン必読のファクト&エビデンスが凝縮された一冊です。
◆勘違いが人を動かす 教養としての行動経済学入門
わずか1ヶ月強で5万部を突破した話題の新刊です。
Amazon経済学分野で売れ筋ランキング1位、総合6位を獲得しました。
「人間の非合理性が実社会でどう利用されているかよくわかる」と東京大学大学院経済学研究科教阿部誠氏も絶賛しています。
あなたの日常に潜む「選択と行動」の科学について、興味深い事例と豊富な研究から学ぶ行動経済学の入門書です。
◆87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え 資産18億円を築いた「投資術」
発売即12万部突破し爆発的に売れている話題の書籍書です。
Amazonベストセラー第1位を達成。
シゲルさん投資歴68年を洗いざらいこの一冊に凝縮しました。
昭和・平成・令和の相場を見続けて、バブル崩壊、リーマンショックも乗り越えたカリスマ個人投資家の投資術を徹底「初」公開しました。
◆わが投資術 市場は誰に微笑むか
話題沸騰により連続重版を達成し、たちまち15万部を突破したベストセラーです。
個人資産800億円超。長者番付1位となった伝説のサラリーマン投資家清原達郎氏が、咽頭がんで声帯を失って引退を決めた今、自身の人生で得た株式投資のノウハウを明かす一冊です。
ビジネス書を出版するための具体的な流れ
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以下では、ビジネス書を出版するための具体的な流れ(プロセス)について解説します。
プロセス①:書籍のテーマやターゲット読者を明確化
ビジネス書を書くに際して重要なのは、書籍のテーマとターゲット読者を決めることです。
まず、書籍のテーマについては、ビジネス書を出版する目的がブランディングや知名度・信頼性の向上にあるわけですから、自社の強みが読者に訴求できるものである必要があります。
SWOT分析などの手法を用いて自社が保有する技術やノウハウの掘り起こしを行い、自社の強みを把握した上で、テーマを決めるようにしましょう。
ここで、すでに多くの人が出版したことのあるテーマを選択すると、読者にとっては新鮮味がないために埋もれてしまう可能性もあるため、斬新さや独自性のあるテーマを発掘することが大切です。
ターゲットについては、テーマが決まれば自ずと決まってくるという考え方もできるのですが、このときに「多くの人に読んでほしい」と考えてターゲット設定を曖昧にすることだけは避けるべきです。
ターゲットが曖昧なままだと、執筆内容にブレが生じたり、適切なプロモーションが打てなくなるなどの問題を生じる可能性があります。
プロセス②:企画の作成と目次づくり
ビジネス書を出版するためには、ビジネス書を手掛けている出版社に企画書を持ち込んで受けてもらわなければなりません。
企画書の作り方には決まりはありませんが、書籍のタイトル案、ターゲット層、自分や自社のプロフィールなどは必須となります。
ここでもターゲット層は重要項目で、この本をたとえば1500円程度払ってでも購入してくれる読者はどんな人なのかを明確に示せなければなりません。
目次については、企画書を作成する段階で目次案が出来上がっていれば望ましいですが、出版社が決まったあとに、編集者と相談して決めていくことも可能です。
プロセス③:原稿執筆(自分で執筆orライターが執筆)
出版社が決まって、テーマやターゲット、目次が決まると、原稿を執筆することになります。
原稿は、著者自身が執筆する場合とライターが執筆する場合に分かれます。ただ、ビジネス書の出版目的は、経営課題の解決であって経営者の自己満足ではないことを考えると、ライターに依頼して読者にとって読みやすいビジネス書を目指した方が良いでしょう。
ライターに依頼する場合は、ライターの選定やライターによる著者や関係者へのインタビューを行います。
また、ライターが執筆した原稿を著者がチェックして加筆修正することもあります。
プロセス④:原稿のチェックや編集
原稿の執筆が終わると、使用する写真や図表、イラストなどの素材と一緒に編集者に提出するのが通常の流れです。
編集者は、読者に文章の意図がきちんと伝わるように、適切な言葉遣いを選んだり、情報を取捨選択したりします。
また、表現の重複や表記のゆれがないかなどのチェックも行い、必要な場合は修正します。
プロセス⑤:組版とカバーデザイン
原稿が完成すると、文字組みやデザインなどの組版をして誌面レイアウトを決めます。
組版と並行して表紙やカバーデザインなどを決めていくのが一般的です。
デザイナーからの提案によって、原稿の加筆や減筆、写真やイラストの見直しなどが発生することもあります。
プロセス⑥:再校や最終校正
組版とカバーデザインが終わった初校を紙に印刷したりPDFに出力して校正を行います。
校正は編集作業の中でも重要度の高いプロセスで、その目的は訂正すべき箇所がないかを探し出すことです。
誤字脱字がないか、表記ゆれがないか、イメージ通りのデザインになっているか、写真や図表、イラストは適切かなどについてチェックして修正します。
必要に応じて、校正(再校)と修正を繰り返し、問題がなければ校了です。
なお、記載内容の事実関係に誤りがないかをチェックする校閲も必要に応じて行っていきます。
プロセス⑦:印刷・製本
校了すると、出版社から印刷会社に書籍の印刷データが送られます(入稿)。
印刷会社から実際の書籍に近い紙やインクで印刷した色校正が提示されるので、インクのノリ具合や図表や写真の色味を確認して、必要な場合は調整を依頼。
色校正が終わると、契約部数の書籍が印刷・製本されて納品されます。
ビジネス書では並製本が多いので、最後にソフトカバーと帯をつければ、書籍の完成です。
プロセス⑧:書店営業や各種プロモーションの準備
書籍が完成すると、出版社から書店に対して新刊の案内をします。
やり方としては、書店に出向いてビジネス書の担当者に売り込んだり、FAXで新刊案内と注文書を送付したりが一般的です。
プロモーションとして出版記念イベントなどを開催する場合は、相手先の書店と準備を行います。
SNSでの出版案内やウェブ広告の出稿などもこの時期に行います。
プロセス⑨:取次と配本調整、部決
書店からの注文部数がまとまったら、出版社としての希望部数を決めて各取次店に書籍を見本として持参して仕入れを依頼します。
各取次店ではその書籍を総合的に見て、仕入れ部数や書店へ配本する部数を決定します。
プロセス⑩:新刊配本、書籍発売
発売日の数日前に各取次店が決定した仕入れ部数に合わせて、各社の倉庫に書籍を搬入。
その後、書籍は各取次店から書店に配本され、発売日に書店の書棚に並べられます。
書店では、売れ行きの良い書籍はフェア台に配置したり平台に平積みしたりして、目立つ場所に陳列されます。
売上が好調な場合は、初版に加えて重版されることもありますし、追加でプロモーションが行われることもあります。
成功したビジネス書の事例紹介
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ビジネス書の出版によってブランディングや集客に成功して飛躍的な業績アップを果たした事例は数多くありますが、ここでは3件の成功事例を紹介します。
事例①:新規事業の集客と本業集客の両立に成功したビジネス書出版の経営者
保険代理店の経営者が、保険業界に対する持論と実例を公開するためにビジネス書を出版しました。
書籍の中では、保険業界で当たり前に行われている「成果報酬型」の給与体系を「一律報酬型」に変えることを提唱しました。
つまり、限られた一部のスーパー営業マンに頼った経営から、アベレージヒッターを育てて全員で支えていく経営に変えることによって業績拡大ができることを紹介したのです。
伝達できる情報量が膨大な書籍というメディアを使って持論を展開したことにより、多くの業界関係者からの共感が得られ、自社のブランディングにも成功しました。
同時に、新規事業であるコンサルティングの新規契約の獲得と本業の保険代理店の保険契約数が伸長するという大きな効果が得られたそうです。
出版後のインタビューでも、次のように語っていらっしゃいます。
保険の商談に従業員と同行するときも、お客様に事前に本を読んでおいてもらうと、ご面談するときにちゃんと「あったまっている」んですよね(笑)
書籍に盛り込んだ当社の経営方針や理念に、強く興味を持ってもらえている。
引用元:【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店
法人保険の営業は、人材戦略や財務状況など、相手の経営に踏み込んだ提案をしなければ大型の保険契約を決めることができないそうですが、書籍のおかげで商談の時から踏み込んだ話ができる理想的な商談の機会が増えたと言います。
このように、書籍を上手く活用すれば、お客様との良い商談を増やすきっかけにもつながるのです。
お客様との信頼関係などが重要な職種には良いツールと言えるでしょう。
事例②:メインターゲットの集客に成功し売上を倍増させたビジネス書出版の経営者
不動産投資サービス事業を行っている不動産会社の経営者は、従来から高収入でありながらも支払う税金が多い医師をメインターゲットとして、SNSやウェブ広告などを利用した情報発信を行っていました。
しかし期待する効果が得られていなかったことから、「医師に最も効果的な節税対策は不動産投資である」という内容のビジネス書を出版しました。
ビジネス書の企画段階からメインターゲットである医師を対象としたマーケティング戦略やプロモーション戦略を立てていたことで、多くの医師に書籍を購入してもらうことができました。
出版後は、書籍を購入した医師に「不動産投資に大きな節税効果があること」を認知してもらうことができ、売上を倍増させることができました。
また、既存の顧客が知り合いの医師にビジネス書を配ってくれたり口コミで広げてくれたりして、新たな顧客の獲得にもつながっています。
事例③:SNSとの相乗効果で圧倒的なブランディングに成功したビジネス書出版の経営者
資金調達支援のコンサルタント業を営む経営者は「創業者が夢を実現するためには適切な融資が必要」との思いからビジネス書の出版を決意しました。
日本では起業した会社の約6割が1年以内に廃業しているという現実があるので、これをなんとか改善したいと考えたのです。
自身の会社も創業後の3年間で8200万円の融資を受けて事業を軌道に乗せることができたという経験があるため、中小企業であっても高額の融資を受けることができるという秘訣を公開しました。
ビジネス書の出版に合わせてSNSやウェブでのコンテンツ発信も行い、これらの相乗効果によって顧客からの信頼を獲得してブランディングに成功しました。
具体的には、問い合わせ件数が3~4倍に増えて受注件数も増加し、結果的に融資支援実績が日本一になりました。
ビジネス書を出版する出版社一例
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ビジネス書を出版している出版社は数多く存在しますが、実際にどこに依頼すべきかはそれぞれの出版社の特徴を知ったうえで検討した方が良いでしょう。
以下では、代表的な出版社の特徴などについて解説します。
幻冬舎メディアコンサルティング
「幻冬舎メディアコンサルティング」は、2005年に設立された企業出版に特化した出版社です。
名前の通り幻冬舎のグループ会社であるため、幻冬舎の流通網を活用した全国約4,200書店への流通、プロモーション、出版記念セミナーの開催などが行えるという強みがあります。
プロモーションに力を入れているので、メニューが豊富で、実書店では書棚の効果的な展開により狙いのターゲット層に訴求したり、新聞やSNS、Amazonバナーなどを利用した広告も行っています。
企業の事業戦略に合わせた配本も行っているので、頼りになる出版社といえるでしょう。
日経BP社
「日経BP社」は、日本経済新聞社の子会社で雑誌と書籍の出版を行っている会社です。
「日経ビジネス」をはじめとしたビジネス関連の雑誌が多いという特徴があるため、ビジネス書についても強みがあり、多くのベストセラーを出しています。
ビジネス分野に精通した編集者が書籍の企画からデザインなどの出版全般に関わる提案をしてくれるのが特徴です。
ダイヤモンド社
「ダイヤモンド社」は、ビジネスや経済に関する書籍や雑誌を出版している、1913年に創業した老舗の出版社です。
100年以上にわたってビジネス書を発刊してきたという大きな実績があるので、信頼性が高くプロモーション力も高いという特徴があります。
また、「週刊ダイヤモンド」などの著名な雑誌を刊行しているため、ビジネス書についても一定の固定客が獲得できることが強みです。
東洋経済新報社
「東洋経済新報社」は、ビジネスや経済に関する書籍の発行を専門とする出版社で、1895年に創立された歴史のある出版社です。
「週刊東洋経済」や「会社四季報」などが有名で、業界知識が豊富な編集者から効果的なサポートを受けることができます。
また、社内史や広報誌などの社内向けの書籍も手掛けているため、社内ブランディングにも活用することができます。
「東洋経済オンライン」などの自社メディアを利用したプロモーション力も魅力です。
プレジデント社
「プレジデント社」は、経営層や富裕層に向けたビジネス書や雑誌を主力とする出版社で、1963年に創立されました。
日本で初めての海外提携紙「プレジデント」を創刊したことでも有名です。
これまでに約100社以上の企業をサポートしてきたという実績があります。
インターネットと実際のイベントを組み合わせたメディア展開によって、企業やビジネスを広く周知させることができます。
クロスメディア・パブリッシング
「クロスメディア・パブリッシング」は、クロスメディアグループでビジネス書を専門とする出版社として2005年に設立されました。
現在では、ビジネス書だけではなく自己啓発書、実用書まで幅広い書籍を刊行しています。
パノラボ
「パノラボ」は、株式会社フォーウェイ(弊社)のグループ出版社で、2021年11月に設立されました。
他の競合他社と異なり企業出版を専門としているため、ブランディングやマーケティングなどの目的を達成するためのビジネス書の出版の全プロセスを一気通貫でサポートしています。
また、グループ会社の株式会社フォーウェイ(弊社)が手掛けているSNS運用やウェブサイト制作などを活用して、ゴールから逆算した動画制作やSNS運用、クラウドファンディングなどを組み合わせたプロモーションの提案ができる点も大きな強みです。
ほか、前述した大手出版社とは異なり、コストメリットの高いブックマーケティングを提案していることもメリットとして打ち出しています。
まとめ
本記事では、ビジネス書の出版を検討中の企業経営者に向けて、ビジネス書の出版方法やメリット・デメリット、具体的な成功事例などについてくわしく解説しました。
ビジネス書の出版は、ブランディングや知名度・信頼性の向上のための経営戦略の一つとしてとらえることができ、企業経営に非常に大きな効果を及ぼします。
本文中でも紹介したように、ビジネス書の出版は多くの出版社が行っていますが、ビジネス書の出版に強く、ビジネス書の出版目的である自社のブランディングや知名度・信頼性の向上を達成するためのノウハウやプロモーション力を持った出版社を選ぶことが重要です。
▼パノラボのブックマーケティングのご案内はこちら
![](https://forway.co.jp/wp-content/uploads/2023/05/unnamed-2-1024x584.png)
書籍を出版する方法は、大きく自費出版、商業出版、企業出版の3つに分けることができます。
本記事では、3つの出版方法の中で、自費出版とはどういうものなのか、そしてメリットやデメリット、費用相場、成功事例などについて詳しく解説します。
目次【本記事の内容】
自費出版とは?
![](https://forway.co.jp/wp-content/uploads/2023/10/AdobeStock_296649817-1024x709.jpeg)
自費出版とは、主に個人が自分の経験や考えを伝えたり、自分史をまとめたり、趣味の集大成としたりするために原稿を書き、それを出版社に依頼して書籍化する出版方法です。
出版費用は全て著者負担となりますが、売上や発行部数などにとらわれずに一冊の本としてまとめることができるのが特徴であり、魅力と言えます。
収益を得るためではなく書籍化すること自体が目的の出版方法です。
また、個人ではなく企業経営者などが原稿を書いて自費出版するというケースもありますが、この場合も名刺代わりに配るためなどであり、書籍化することに重点が置かれます。
自費出版、商業出版、企業出版それぞれの特徴について、以下の表に分かりやすくまとめました。
出版方法 |
特徴 |
自費出版 |
主に個人が、自分の経験や考えを伝えたり自分史をまとめたり趣味の集大成とするために、自分で書籍の内容やデザイン、発行部数などを決めて出版する方法。
書籍の出版費用は著者が全額負担し、初版発行部数は100部~500部程度。 |
商業出版 |
出版社がヒット作をつくって利益を上げるために、書籍の企画や内容などを決めて出版する方法で、積極的にプロモーションを行う。
書籍の出版費用は出版社が全額負担するのが一般的で、初版発行部数3,000部~10,000部程度。 |
企業出版 |
企業や企業経営者がブランディングや信頼性向上、集客などの経営上の課題を解決するために書籍を出版する方法。
書籍の出版費用は企業が全額負担し、初版発行部数は1,000部~10,000部程度。 |
商業出版との違い
商業出版とは、出版社と著者が協力して書籍を出版する方法です。
出版社が書籍の企画をして著者を選定し、書籍がたくさん売れるような内容にして積極的にプロモーションを行うのが特徴です。
実際に世の中で実際にベストセラーとなった書籍のほとんどは商業出版によって出版されたものです。
ヒット作を作って出版社が利益を上げることが商業出版の目的なので、出版費用は出版社の全額負担になります。
また、出版社の企画に協力した著者には、販売・印刷部数に応じて決められた割合で印税が入ります。このように、著者に報酬が支払われることも商業出版の大きな特徴の1つであり、自費出版や企業出版との違いです。
一方で、商業出版の場合は、著者の伝えたいことよりも出版社側の意向が優先されるので、著者の言いたいことが書けなかったり、修正されたりすることがあります。
自費出版のように、著者が伝えたいことを自由に書けるわけではないという点も商業出版の大きな特徴であり、違いの1つと言えるでしょう。
▶商業出版については、関連記事【商業出版とは?企業がブランディングを考えたときの出版の選択肢】もあわせて参考にしてください。
企業出版との違い
企業出版とは、企業や企業経営者が自社のブランディングや信頼性向上、集客などの経営上の課題を解決するための手段として使われる、出版方法です。
出版費用は企業や企業経営者である著者が全額負担するので、この点では自費出版と同じです。そのため、自費出版とよく混同されがちですが、次のように出版する目的が大きく異なります。
- ・企業出版の目的:【課題解決】企業のブランディングやマーケティングの課題解決
- ・自費出版の目的:【出版】自分の書きたい内容を本として出す
- ・商業出版の目的:【利益】売れる本を作り、売上をあげる
企業出版は課題解決が目的であるため、その費用の中には、出版社が行う企画、編集、デザイン、校正、書店への流通、プロモーションなどの費用が含まれています。
そのため、自費出版よりも費用は高額です。
自費出版の費用相場はどれぐらい?
自費出版の費用は、出版する書籍の形式(単行本、文庫、写真集など)や判型、出版部数、紙質、含まれるサービスなどによって変わってきます。費用相場には幅があり、約100万円〜1,000万円程度です。
他の出版方法の費用相場と比べると次のようになります。
出版方法 |
費用相場 |
自費出版 |
100万円~1,000万円程度(一般的なのは251万円〜600万円程度) |
商業出版 |
0円(出版費用は出版社が負担するため) |
企業出版 |
400万円~1000万円程度 |
自費出版する際にかかる費用の項目としては次のようなものがあります。
- ・企画費
- ・執筆費
- ・編集費
- ・写真・イラスト費
- ・デザイン費
- ・校正・校閲費
- ・印刷・製本費
- ・プロモーション費
執筆費は、クオリティの高い書籍にするためにライターに執筆を依頼する場合に発生する費用です。
また、写真・イラスト費は、写真集などを自費出版する際の写真撮影や書籍の中にイラストを入れたりする場合に必要となります。
プロモーション費は、出版社の営業力を使って広告宣伝を行う場合に発生する費用です。
たとえば、写真やイラストを自分で用意したり、自分で執筆したり、プロモーションなどを自分で行うなどをすれば、費用はその分安くなる可能性があります。
自費出版の費用対効果
自費出版する際の費用対効果に関して、ポイントとなるのは出版目的と書籍のクオリティです。
とにかく書籍にして出版することが目的なのであれば、そもそも効果を期待する必要がありません。
しかし、セルフブランディングという目的がある場合は、その目的を達成するためにどの程度の書籍のクオリティにするのが最適なのかを考えなければなりません。
また、販売数をある程度伸ばして印税収入を得たいという目的があるのであれば、クオリティを上げるのに加えて、出版社の販路などを利用してプロモーションを行うことも必要となり、相応の費用がかかります。
このように、自費出版の場合の費用対効果は、その出版目的に応じて変わってきます。
【参考】企業出版の費用対効果
企業出版は、自費出版と同様に著者が出版費用を全額負担する出版方法ですが、自費出版との違いは明確な出版目的があることです。
企業の宣伝・PRや問い合わせによる成約率の向上などの目的があるのであれば、ターゲットの設定とそのターゲットに書籍を購入してもらうためのプロモーションが必要となります。
そういった目的を見据えて書籍の企画や出版を行うため、企業出版に成功すると出版費用などを上回る大きな利益が期待できます。
実際に企業出版によって経営課題を解決した2つの事例を紹介します。
企業出版事例①:読者からの反響により出版から2ヶ月で6億円の売上達成
これは、ある不動産投資会社の企業出版事例です。
出版前は、Web広告による新規顧客の集客はほとんどなく、紹介のみに頼っていたそうです。
また、見込み顧客との信頼関係の構築などにかなりの時間が必要で、成約までのリードタイムが長いことが課題となっていました。
そこで、年収は多いものの税金も多いという悩みを抱える医師をターゲットとして「節税対策に不動産投資が効果的」という内容の書籍を発売。
出版社の販路を利用して、主に一都三県や大阪府、福岡県を中心に書店への流通・配本を実施しました。
出版後、多くの読者である医師から問い合わせがあり、出版から2ヶ月で6億円の売上を実現しています。
問い合わせのほとんどは不動産投資に関心のある読者からの反響が中心で、成約までのリードタイムが短縮でき、営業効率の向上にもつながっています。
企業出版事例②:出版記念のイベントを開催し企業の認知度が向上
これは、わさびの製造・販売会社の企業出版事例です。
出版前は、自社で製造・販売しているわさびの魅力に関する顧客へのアピール不足が課題で、同業他社との差別化も不十分だという認識がありました。
そこで、料理に関心のある30代~40代の女性をターゲットとして、わさびの効能や歴史、レシピを収録した書籍を出版。
また、出版後に本社がある名古屋の書店で、書籍へのレシピを提供してくれた料理研究家とのコラボレーションで出版記念のトークイベントを実施したところ、当日はイベント会場が満員御礼となり書籍を50冊以上売り上げるなど大盛況となりました。
その後、出版をきっかけに平均聴取者数20万人の全国放送のラジオ番組から2週連続の出演依頼があるなど、書籍を出版したことにより、企業の認知度向上や売上向上につながりました。
自費出版のメリット
自費出版のメリットとしては次のようなものがあります。
自分の企画や内容、デザインで本が出版できる
自費出版の最大のメリットは、自分の思い通りの本を作ることができることです。
自分自身で企画をして、本の内容もデザインも自由に決めることができます。
一方、商業出版の場合は、企画を出版社が行うため、著者が書きたいことを書くことはできません。企業出版も、マーケティングやブランディングが目的であるが故の制約があり、自分の自由に本を作ることは難しいと言えるでしょう。
しかし、自費出版であれば、著名人ではない一般人であっても、自分の人生をまとめた自分史を出版したり、趣味の句集や詩集を出版したりして、個人的な活動を知ってもらうために書籍を出版することができてしまいます。商業出版や企業出版などに比べて制約が少なく、自由に自分の本を出版できるのが自費出版の魅力なのです。
なんでもアリではない。薬機法や景品表示法などには注意!
ただし、自費出版であってもなんでもアリというわけではありません。
たとえば、本の内容によっては薬機法(旧:薬事法)や景品表示法に抵触する可能性もあります。該当する場合は、出版社や専門家に相談したり、専用のチェックツールなどを利用して法に抵触しないように注意しましょう。
▶薬機法(旧:薬事法)については、関連記事【薬機法(旧:薬事法)とは?違反せずに広告・PRする7つのポイントを分かりやすく解説】もあわせて参考にしてください。
出版実績が自分で作れる
自費出版の場合は、著者の都合によって好きなときに好きな内容の本を出版することができます。
つまり、自分の出版実績は自分で作ることができるのです。
たとえば、あるセミナーを開催したとしましょう。
出版実績のある講師の方が、セミナーの参加者から「信頼できる」と感じてもらいやすくなります。このように、自費出版はセルフブランディングにつながります。
また、名刺代わりに配ることで、相手に「出版したことのある人なんだ」と強く印象づける効果も期待できます。
このように、簡単に自分のビジネス上のブランディングができてしまうのも自費出版ならではのメリットの1つです。
出版後は書籍が著者の著作物になる
書籍の著作権は出版費用の負担者に帰属します。そのため、自費出版の場合は著者の著作物になります。
商業出版の場合には、出版費用を出版社が持つため、いくら著者と言えども無許可で内容を使うことはできませんが、自費出版の場合には、著作権が著者にあるため、書籍の一部を抜粋した冊子を作ったり、Webやブログなどに転載したりすることも自由に行うことができます。
自費出版のデメリット・リスク
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自費出版のデメリットやリスクとしては次のようなものが挙げられます。
出版費用が全額著者負担なため、高額になりやすい
自費出版の場合、出版費用は全額著者負担となります。
出版費用は、自費出版の依頼先によっても異なりますが、大手出版社の自費出版部門はサポートが手厚い一方で費用は高額になりがちです。
出版後のプロモーションなどが行われないことが多い
自費出版の場合、出版後のプロモーションが行われないケースが多いと考えておきましょう。
大手出版社の自費出版部門などに依頼する場合は、プロモーション費用を支払えばオプションとして行ってもらえますが、期待通りのプロモーションを行ってもらえるのかは出版社次第です。
プロモーションを依頼する場合は、事前にどのようなプロモーションを行ってもらえるのかを確認しておくことをおすすめします。
出版後の流通を行ってくれないことが多い
自費出版の場合、出版後の流通も行ってくれないことが多いと考えておきましょう。
プロモーションと同様に、大手出版社の自費出版部門などに依頼する場合は、書店流通費用を支払えばオプションとして行ってもらえますが、商業出版や企業出版のように積極的には行ってもらえないと思っておきましょう。
流通を依頼する場合も、事前に出版社に「流通をどれぐらい行ってもらえるのか?」「流通の方法は何か?」などを確認しておくことをおすすめします。
なぜなら、書店を訪れた方が全く足を運ばないような自費出版専門棚に1冊置いてあるだけで「流通している」と謳う出版社も実際に存在するためです。
自費出版を行う場合には、その点に十分警戒しましょう。
自費出版を行う際の注意点
自費出版は費用さえ捻出できれば、誰でも出版することが可能です。
そういったハードルの低さ故に注意しなければならないことがいくつかあります。
自費出版が最適な方法なのかを慎重に検討する
個人や企業・企業経営者が出版を行う場合に、自費出版が最適な方法なのかを慎重に検討する必要があります。
たとえば、企業経営者が個人的に名刺代わりに書籍を配ったり、個人のセルフブランディングをしたりするのが目的であれば、自費出版がおすすめです。
自費出版の目的は、著者のこれまでの経験や考えを書籍の形にまとめることにあり、自分史や回顧録などのように自身を振り返る手法に向いています。
その他に、個人的に創作してきた小説や俳句、詩などを自分の成果として1冊の書籍にすることもできます。
一方、企業や企業経営者が、自身の事業やビジネスのブランディングや宣伝・PRを目的として出版するのであれば、企業出版がおすすめです。
なぜなら、企業出版のサービスは書店への流通力や営業力を持った出版社が提供していますので、これらを利用して全国の書店で販売されるからです。
企画段階で書籍を購入してくれるターゲットを設定して、ターゲットの目に留まるような書店の書棚に並べることができます。
このように、著者の目的によって自費出版、企業出版どちらが良いかが変わってくるので、今一度慎重に考えてみましょう。
参考までに、自費出版と企業出版の目的別のおすすめの人は次表の通りです。
出版方法 |
こんな目的を持つ人におすすめ |
自費出版 |
名刺代わりに自分の書籍を配りたい企業経営者や個人のセルフブランディングをしたい人など |
企業出版 |
自身の事業やビジネスのブランディングや宣伝・PRをしたい企業や企業経営者など |
信頼できる出版社を選ぶポイント
自費出版ができる出版社はたくさんあります。
そのため、中には思ったようなサポートをしてもらえない出版社や、価格だけ高いような出版社があるのも事実です。
自費出版は費用が高額なので、失敗しないためにも、信頼できる自分に合った出版社を選ぶ必要があります。出版社選びで押さえておくべきポイントとして、まず、ホームページなどで自費出版を行っている出版社かどうかを確認します。
自費出版を取り扱っているのであれば、出版社としての歴史や実績がしっかりしているのか、代表や社員がどのような経歴や実績を持っている人なのかについても確認しましょう。
そのうえで、実際に営業担当者と打ち合わせをして自費出版に必要な費用や期間などについてヒアリングをして見積もりを依頼します。
また、自費出版の場合は、発行部数や紙質の選び方などによって見積金額が変わってきますし、提示された見積金額以外に追加費用が発生する可能性もありますので、この点についてもきちんと確認しておく必要があります。
営業担当者が信頼できるかどうか?
営業担当者と打ち合わせしたり見積もりを依頼したりする際に注意したいのは、その営業担当者が信頼できる人物かどうかということです。
たとえば、見積書の内容を詳細に説明しなかったり契約を急がせたりするような場合は要注意と考えた方が良いでしょう。
「社員は会社の顔」とよく言われますが、自費出版の場合も、営業担当者の対応がよく信頼できる場合は、良い出版社である可能性が高いです。
「営業担当者が信頼できる人なのかどうか?」はしっかりとチェックしておきましょう。
原稿のチェックやアドバイスをしっかりと行ってくれるかどうか?
見積もりを依頼する際に、営業担当者や編集者と打ち合わせをすることになりますが、その際に企画内容や原稿などのチェックやアドバイスをしっかりと行ってくれるかどうかもチェックポイントの1つです。
営業担当者には売上ノルマが課せられている場合があり、自分のノルマを稼ぐために契約させるようなケースもあります。
また、営業担当者や編集者が適切な原稿チェックやアドバイスをするだけの経験がないというケースも考えられます。
印税や儲けを目的にしない
世の中には、自費出版からスタートしてベストセラーになった書籍が実際にあります。
たとえば、夏目漱石の「こころ」、島田洋七の「佐賀のがばいばあちゃん」、山田悠介の「リアル鬼ごっこ」などが有名ですが、これは非常に稀な事例です。
よく、自費出版の営業などの際に語られるこういった事例を真に受けないようにしましょう。
基本的に、自費出版の場合は印税で儲けるというようなことを目的とするべきではありません。
内容は自分でよくチェックする
自費出版の場合も出版社で編集や校正をやってくれますが、その分だけ費用が発生するので注意しましょう。
基本的な誤字脱字や表記ゆれのチェック・修正などの校正作業は出版社に依頼する必要がありますが、最小限の費用で収まるように自分でよくチェックする必要があります。
適切な発行部数を選択する
自費出版の費用は全額著者が負担しますので、発行部数も著者が自由に決めることができます。
発行部数が増えると1冊あたりの単価は安くなりますが、出版費用は高くなります。
自費出版の書籍が余ってしまっても困りますので、適切な発行部数を選択するようにしましょう。
自費出版の流れ・出版までにかかる期間
以上、自費出版の費用や特徴、さらには出版社の選び方まで詳しく解説しました。
自費出版でも企業出版でも、自分のニーズを満たしてくれる出版社なのかどうかはとても重要です。
費用が安いに越したことはありませんが、「安かろう悪かろう」に当たらないためには契約前に出版社の営業担当者と綿密にやり取りをし、懸念を払拭しておくことです。
見積もり
書籍の企画が決定すると、出版社が見積もりを行います。
見積もりに際しては、金額を大きく左右する条件などについて双方でよく確認しておく必要があります。
また、この段階で見積もり以外にどのような費用が発生する可能性があるのか、についても事前に聞いて把握しておくことが重要です。
出版業界には専門用語も多く、業界ならではの常識も多いので、結果的に自分で想定していた金額よりも大幅に高くなってしまった、などのトラブルもよくあります。十分に注意しましょう。
申込・契約
出版社から提示された見積金額や条件に納得できた場合は、出版の申し込み・契約となります。
費用の支払いについては、「全額前払い」「着手金+校了時に残金」など出版社によって異なるので、契約前によく確認しておきましょう。
また、自費出版の場合の著作権は著者に帰属しますが、この点も事前に確認が必要です。
原稿・デザイン作成
契約が終わると、著者は原稿作成と写真やイラストなどの準備をします。
原稿や写真・イラストなどの素材が揃ったら、出版社の編集者からアドバイスをもらい必要に応じて修正をします。
原稿や写真・イラストなどの素材の準備に必要な期間は約2週間~6か月です。
原稿が完成後、デザイナーが表紙や紙面のデザインやレイアウトを行います。
デザイナーからの提案によって、原稿の加筆や減筆、写真やイラストの見直しなどが発生することがあるので、デザインやレイアウトに必要な期間は、2週間~1か月です。
校正・校閲
デザインが終わった初校を紙やPDFに出力して、校正を行います。
イメージ通りのデザインになっているか、誤字脱字や表記ゆれはないか、写真やイラストの見え方は適切か、などについて校正と修正を繰り返します。
また、校閲を行い事実関係に誤りがないことなどを確認(ファクトチェック)していくので、校正・校閲に必要な期間は、2週間~1ヶ月程度です。
印刷・製本・納品
校正が終わると、出版社から印刷会社に書籍のデータが送られますが、これを入稿といいます。
印刷会社から実際の本に近い紙やインクを使って印刷した色校正が提示されるので、インクのノリ具合や写真の色味を確認して、必要に応じて調整を依頼します。
色校正が終わったら、契約部数の書籍が印刷・製本されて納品、と言う流れです。
印刷・製本に必要な期間は、約1ヶ月です。
自費出版の成功事例
ここでは自費出版の成功事例について紹介します。
しかし、前述の通り、そもそも自費出版が書籍を出版することが目的だったり、名刺代わりに知人に配りたいという目的、セルフブランディングに活用したいという目的、ベストセラーで印税収入を得たいという目的まで千差万別ですので、何をもって「成功」というかは人それぞれです。
1つ目の成功事例は、自費出版をきっかけに新聞や週刊誌などに取り上げられて話題となり、テレビ番組などへの出演オファーが殺到したというケースです。
その書籍はビジネス書だったので、書籍の売上部数の大幅アップにはなりませんでしたが、その後も講演依頼や執筆物の依頼が増えて、専門家としての認知度も向上しました。
2つ目の成功事例は、自費出版をきっかけとしてラジオ番組を担当することになったものです。
たまたまその書籍を読んだラジオ番組の関係者が、番組制作の担当者に話をして、トントン拍子に1つのラジオ番組を担当することになりました。
大きなビジネスチャンスにつながったというような成功事例ではありませんが、著者としては自身の専門性を認めてもらえて、より多くの人に自分の意見や考えを伝える場をえることができ、セルフブランディングにつながりました。
自費出版は出版目的を持つが大切
自費出版はただ出すだけではなく、「何のために出すのか?」という出版目的をしっかりと持って行うことが重要な出版方法です。
出版目的が明確であれば、100万円程度の安い自費出版サービスでも最高の満足度を得られる場合もあります。
しかし、一方で高額な自費出版サービスを使ったからと言って自分にとって最高の満足度が得られるとは限りません。
「あれだけ、高額な費用を使って、できたのがこれか・・・」と後悔してしまうケースもあります。
そのため、もし今みなさんが自費出版を考えているのであれば、自分自身に「何を目的に出版するのか?」を問いかけて、明文化してみてください。
とにかく書籍化するのが目的であれば、安価なサービスでも問題はないでしょう。
しかし、他の目的であれば、今一度出版社の人と本当に自分に適した出版方法は何なのかを相談してみましょう。
自費出版は出版目的を持つが大切
本記事では、自費出版とはなにか、メリット・デメリット、費用相場、成功事例などについて解説しました。
自費出版は、著者が自由に本の内容を決めることができるので、名刺代わりに配ったりセルフブランディングをしたりするのには最適な方法です。
しかし、著者自身の事業やビジネスの宣伝・PRやブランディング目的の場合にはあまり効果が期待できません。
なぜならば、出版社によるプロモーションなどがないため、多くの顧客に購入してもらうことができないからです。
自分自身が行っている事業やビジネスをより拡大していくための宣伝・PRやブランディング、マーケティングが目的ならば、企業出版や企業出版を活用して問い合わせにつなげるブックマーケティングという手法を検討してみてください。
▶ブックマーケティングについては、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。
▼パノラボのブックマーケティングのご案内はこちら
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執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)
![](https://forway.co.jp/wp-content/uploads/2023/09/b30000f40c422401cfb76f1786f1c8e6-e1695952471307-300x242.jpg)
福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経営法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を歴任し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。
コンサルティングサービスは、顧客側からすると費用対効果が分かりづらい代表的なビジネスの1つです。
そのため、どんな素晴らしいサービスを提供しているコンサルタントであっても、実績や知名度がない状態では、依頼してもらえるまでのハードルが高く、なかなか成約に至らないのが現実です。
もっと言えば、実績や知名度がなければ、見込み顧客の集客も難しいのが実情です。
このように、コンサルタントで集客に関する悩みを抱えている方は、意外と多いのではないでしょうか。
本記事では、集客できないと悩むコンサルタントが、見込み顧客との信頼性を獲得し、効率的かつ効果的に集客できる手段を詳しく解説します。
目次【本記事の内容】
![](https://forway.co.jp/wp-content/uploads/2024/05/29d5ead1ee41a6d25524876e7bd315d5-scaled.jpg)
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。
コンサルタントの集客が難しい理由
![](https://forway.co.jp/wp-content/uploads/2024/05/AdobeStock_506770133-1-1024x683.jpeg)
コンサルタントの集客が難しい最大の理由は、サービス内容などの分かりにくさにあります。
そういった分かりにくさを払拭することができずに、次のような理由で集客に苦戦しているコンサルタントが多いようです。
自分の強みをうまく発信できていない
少しでも多くの仕事が欲しいコンサルタントは「どんなことでも相談に乗ります」というアピールをしがちです。
これは、特に独立したばかりのコンサルタントに多く見られる傾向です。
これは「顧客からのどんな依頼にも応えて多くの受注を獲得したい」と考えてのことですが、そのことがかえってコンサルタント本人の狙いとは逆に集客を難しくする一因になっています。
実際に依頼する顧客側の視点で考えると、何が専門なのかが分からず、「依頼しても的確なアドバイスが得られないかもしれない」と思って依頼しにくいのです。
たとえば、自社のIT情報システムに課題があることが分かっているときには、「何でもサポートできます」というコンサルタントよりは「IT分野ならお任せください」というコンサルタントを選ぶのではないでしょうか。
もっと言えば、「IT情報システムの見直しや再構築ならお任せください」とより具体的にアピールしているコンサルタントの方が「この人にお願いしたい」と思ってもらいやすくなります。
主なコンサルタントの専門領域としては、経営、業務改善、IT、マーケティング、財務、人事、事業再生などがあります。
自分がどの分野に強く、かつ顧客にどのようなメリットをもたらすことができるのかを明確に発信していくことが重要です。
見込み顧客に向けての信頼性の欠如
コンサルタントが見込み客に自身のサービスをアピールしたとしても、簡単には信頼してもらえません。
なぜなら、コンサルタントは肩書きだけで信頼されるような職種ではないためです。
コンサルタントには、弁護士や税理士などのように公的な資格などがありません。
極端に言えば、コンサルタントと名乗れば誰でもなれてしまう職種であり、肩書きだけでは信用されにくい職種です。
そんな中で、見込み顧客の信頼を獲得するためには、自身のこれまでの経歴や、コンサルティング実績、それに代わるエビデンスを明確に示していく必要があります。
それがコンサルタントの集客を難しくしている要因の1つです。
知名度やブランド力の不足
コンサルタントの知名度やブランド力が不足している場合も集客が難しくなります。
なぜなら、知名度やブランド力が不足していると、どんなに高品質なサービスを提供していたとしても、顧客側の依頼候補先として上がりにくいためです。
たとえば、「SEOコンサルタント」とネットで検索した際に、せいぜい担当者が見るのは検索結果の2〜3ページ目程度です。
もし8ページに表示されていたとしても、見てもらえないでしょう。
このように、知名度やブランド力が不足していると、どんなに良いサービスを提供している優秀なコンサルタントでも、顧客側の候補先としても上がりにくくなります。
どうしても知名度やブランド力の強いコンサルタントに依頼が集中してしまい、それらが不足しているコンサルタントに依頼が来にくい、というのも集客が難しいと言われる要因の1つと言えるでしょう。
集客につながるマーケティング手法が打てていない
コンサルタントが効果的なマーケティング手法を実施していない場合も、集客は難しくなります。
なぜなら、コンサルティング業を営んでいる競合他社は数多くいるからです。
競合が多いため、マーケティングをすることなく集客ができるような業種ではありません(もちろん、例外もあります)。
たとえば、コンサルタントには、外部からの視点で経営課題を把握し、論理的に分析し、目標を達成するための解決策を示す能力が求められますが、コンサルティング契約を結ぶ時点ではその能力を持っているかどうかは分かりません。
ホームページやコラム、SNSなどでの発信情報、セミナーでの講義内容などから、信頼に足るコンサルタントであることが確信できなければ、相談をしてもらうことはもちろん成約に至ることはありえません。
そのため、コンサルタントにとって、マーケティングは集客を行う上で必要不可欠なものであることを認識しておく必要があります。
コンサルはまずクライアントを知ることから
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集客につながるマーケティング施策を検討するためには、見込み顧客がどうやってコンサルタントを探すのかを、まず知ることからです。
なぜなら、顧客企業のコンサルタント選定がどのように行われているのかを知らずに、マーケティング施策を考えることはできないからです。
一般的にコンサルタントは、次のような過程を踏んで選定されます(あくまで一般例です。例外もあります)。
- 1.社内に経営課題が見つかり、外部の視点を入れた解決の必要性が生じる
- 2.その経営課題に対応できるコンサルタントを探す
- 3.対応可能な複数のコンサルタントの実力や課題解決能力を知る
- 4.対応可能な複数のコンサルタントを比較して依頼先を決める
このコンサルタントの選定過程からわかることは、まず最初の「コンサルタント探し」の段階で「自分の存在に気づいてもらうこと」、すなわち「認知してもらうこと」の重要性です。
また、そもそも見込み顧客はなぜコンサルタントに社内の課題解決を依頼しようとするのかについても知る必要がありますが、それは次の3つに集約することができます。
- ・第三者視点からの客観的な評価や分析
- ・課題解決のスピードアップ
- ・課題解決能力や知識、ノウハウの習得
このように、見込み顧客がどのような時にコンサルタントへの依頼を検討し、どのようなプロセスで選ぶのかは、最低限知っておくべきことと言えるでしょう。
コンサルが集客施策を実行するときの心構え
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ここからは、コンサルタントが集客施策を実行する際に、心がけておきたい3つのポイントについて解説していきます。
相談しやすい受け皿を作る
コンサルタントは、そもそも見込み顧客側にとってサービス内容や専門性、経歴や実績などが分かりづらい職種です。
見込み顧客にとって相談ハードルが高くなりやすい職種とも言えます。
そのため、見込み顧客が相談しやすい仕組みを作り、相談ハードルを下げることを心がけていく必要があります。
たとえば「集客コンサルタント」であれば、「企業の広報担当者向けのSNS集客セミナー」「企業の広報担当者向けのブログ集客セミナー」など、ターゲットを絞り込んだ具体的な無料セミナーを企画するなどです。
そういったセミナーに集まった方々に、無料相談などのサービスを提供し、お悩みを聞いた上で解決策を提案していきます。
このように、「集客のことならなんでも相談ください」というスタンスではなく、「自分が顧客側だったら」という視点で、顧客が相談しやすい仕組みを構築していく必要があります。
人脈(ネットワーク)を作る
コンサルタントは、見ず知らずの第三者からの依頼ではなく、知人からの紹介など人とのネットワークを介した相談や仕事の依頼が最も多いと言われています。
そのため、まずは自分の人脈をフルに活用して集客を図ることが大切です。
顧客側からすれば、全く知らない人よりも、信頼できる友人や知人に紹介してもらった人の方が、相談しやすいものです。
また、「友人や知人が紹介してくれるコンサルタントだから」と信頼も得やすくなります。
コンサルタントとして集客に困っている方は、Web広告やSNSなどに目が向いてしまいがちですが、人脈を活用した方が早く確実に成約につながりやすくなります。まずは「人脈を活用して集客ができないか」を考えてみましょう。
過去に勤めていた会社の同僚や、その際に知り合った知人など既存のネットワークを大切にしていくことはもちろん、異業種交流会や勉強会、各種セミナーなどに顔を出すことで人脈を広げることができます。
また、このような場で自分の強みや得意分野について紹介して、認知度を上げるようにしましょう。
フォローアップを忘れない
コンサルタントの中には、実績を上げるために新規顧客の獲得にばかり熱心な方がいます。
しかし、既存の顧客のフォローアップも忘れずに行う必要があります。
なぜなら、リピーターになってくれたり、長期契約や顧問契約に発展したりして売り上げの安定化につながる可能性があるからです。
さらに、既存の顧客が知人を紹介してくれて新規顧客の獲得につながることもあります。
フォローアップにはいろいろな方法がありますが、たとえば定期的にメルマガやDMを発信して、有益な情報を届けるという方法が考えられます。
このように、既存の顧客一人ひとりにしっかりと応えてきめ細かに対応することが、経営の安定化や新規顧客獲得につながるということを忘れてはいけません。
コンサルタントに適した集客手段とは
![](https://forway.co.jp/wp-content/uploads/2024/05/AdobeStock_280767032_page-0001-1024x562.jpg)
集客する手段としては、多くの選択肢がありますが、職種によって向き不向きがあります。
ここからは、コンサルタントに適した集客手段をいくつかご紹介いたします。
ホームページ制作とコンテンツマーケティングを実践
コンサルタントの集客手段としてホームページの制作は必要不可欠です。
なぜなら、「依頼する前にまずはホームページを見る」という顧客が多いからです。
いくら良いサービスを提供していたとしても、「誰が提供するのか?」は誰でも気になるものです。特にコンサルタントのような、自身のビジネスにとって重要な助言をもらう存在であればなおさらです。
また、HPがあれば、コンテンツマーケティングを行うことが可能です。
コンテンツマーケティングにおいては、開設したホームページに自分の専門領域や実績を掲載し、加えて顧客にとって有益な情報をコラムなどの形で発信していきます。
これによって、自分の強みやノウハウなどが言語化されて顧客に伝わりますし、SEO対策を行うことによって、検索エンジンで検索結果の上位に表示されることも可能となります。
つまり、問い合わせや相談の機会が増加して、それに伴う成約率アップの可能性が高まるということです。
チラシやパンフレット、名刺のコンテンツ化
紙媒体のチラシやパンフレット、名刺をコンテンツ化して集客を図る方法もあります。
インターネットやSNSの時代だからこそ紙媒体のチラシやパンフレット、名刺を見込み客などに配布することは集客に効果的です。
チラシやパンフレット、名刺に経営理念、経歴、専門分野、コンサル実績などのブランディングを意識したコンテンツを掲載するなど工夫すれば、顧客から興味を持ってもらえる可能性があります。
また、自分自身が力を入れて発信している媒体(SNSやブログ、自社サイトなど)のQRコードを掲載するのも有効です。
SNSで自己PRと情報発信
SNSによる情報発信もコンサルタントの集客手段として有効です。
SNSで発信した情報は「いいね」や「シェア」「リポスト」などによって拡散されます。思わぬ人や企業に伝わって、認知や集客につながる可能性があります。
SNSで発信される情報の種類は千差万別なので、多くの情報の中に埋もれてしまわないように、独自性を持たせた専門分野の豆知識やTIPSなどを定期的に投稿することがコツです。
SNSの投稿は比較的気軽に行えることがメリットですが、ホームページのコンテンツと同様に手間がかかるという点や、集客できるまでには時間がかかる点には注意しましょう。
セミナーを開催
自分の得意分野や専門分野をテーマとするセミナーを開催することも有効です。
なぜなら、セミナーにはテーマに関心のある顧客が有益な情報を求めて参加しているためです。
また、そういった受講者と直接話をする機会を持つことができるのもメリットです。
受講者の中には、テーマに関心があるだけではなく、他にも具体的な課題を抱えた方がいる可能性もあり、コンサル契約に発展することも十分に考えられます。
自分の得意分野や専門分野に関するセミナーということもあり、自ずと自信にあふれた講義ができるので、ブランディングという点からも効果的です。
書籍を出版
自分の専門分野に関する書籍を出版し、全国の書店に流通させることも集客に有効な手段の1つです。
「書籍が持つ信頼性の高さ」は他のメディア以上です。そのため、書籍は自身のブランディングという点でも非常に効果があります。
また、書籍の情報量はホームページのコラムやチラシ、パンフレット、SNS投稿などよりも多いため、自分が顧客に伝えたいことを余すことなく掲載することができます。
ちなみに、一般的な書籍のページ数は200ページ程度で、文字数は7万~10万文字程度です。
紙媒体のA4判のチラシの文字数は1,000文字〜2,000文字程度ですから、書籍では比較にならないほどの情報を伝えることができることがわかります。
しかし、出版するだけではダメです。出版しても、ターゲットとなる見込み顧客に読んでもらえなければ意味がありません。そこで重要になってくるのが、ブックマーケティングです。
ブックマーケティングの重要性
![](https://forway.co.jp/wp-content/uploads/2024/05/AdobeStock_265665131_page-0001-1024x683.jpg)
コンサルタントが書籍を出版したとしても、単に自分が配るだけの名刺代わりの書籍で終わってしまっていては意味がありません。
書籍をマーケティングの一部として活用し、コンサルタント自身の強みなどを伝え、問い合わせなどの集客につながるような取り組みをしていく必要があります。
そこで重要になってくるのがブックマーケティングです。
ブックマーケティングは、書籍を単に出版社の販路だけではなく、あらゆる情報発信の手段を活用し、ターゲットとなる見込み顧客に届けて問い合わせなど、集客面で貢献させるマーケティング施策です。
ブックマーケティングを実施する際の重要事項について、以下で具体的に説明します。
事業ターゲットの理解と的確なアプローチ
ブックマーケティングを行う際には、書籍の企画段階からターゲットの明確化とアプローチ方法を決めておく必要があります。
つまり、出版する書籍を誰に読んでもらって、何を伝えるのかということを決めておき、さらにそのターゲットに確実に届けるためのプロモーションまでを想定しておくことが大切です。
効果的なコンテンツ戦略の立案と事例の紹介
書籍のターゲットと伝えたいことが決まったら、次は具体的なコンテンツを練り上げていく段階です。
編集者とともにターゲットの課題に寄り添うコンテンツを作り上げていきます。コンテンツの中に、自然な形で自分自身の実績もできるだけ事例として掲載していくことを心がけましょう。
書店でプロモーションを実践
書籍が完成すると、具体的なプロモーション計画を立てます。
ブックマーケティングの場合は、あくまで書籍はマーケティングのためのツールですから、確実にターゲットの目にとまる書店の書棚に並べて、書籍テーマに関心のある方やニーズのある方に購入してもらうようにしなければなりません。
ブックマーケティングのゴールは書籍を売ることではなく、書籍を読んだ見込み客の集客をはじめとして、ビジネスメリットを達成するための手段であることにあります。
書籍コンテンツを二次利用してSNSやWEBサイトを強化
ブックマーケティングで出版した書籍コンテンツは、著作権が著者にあるため、二次利用できます。
たとえば、書籍の一部をホームページのコラムやブログに掲載してSEO対策に活用したり、SNSで発信したりすることも可能です。
このように、書籍コンテンツをあらゆる媒体に活用し、マーケティング効果を最大化することができます。
営業ツールや紹介ツールとして書籍を活用
ブックマーケティングで出版した書籍を、営業ツールとして配布したりすることができます。
また、自分で配布する以外にも、見込み顧客や知人に配布しておくことで、思わぬ集客や相談につながる可能性があります。
書籍テーマでセミナーを開催
ブックマーケティングで出版した書籍のテーマでセミナーを開催することもできます。
書籍は全国規模で流通しますので、興味や関心のある見込み顧客や書籍の内容に共感した潜在顧客などが全国から参加してくれる可能性があります。
さらに、セミナー後に名刺交換会や懇談会を設けることによって、集客や具体的案件の相談などにつながる可能性があります。
▶️ブックマーケティングの詳細については、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。
コンサルタントのブックマーケティング成功事例
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コンサルタントのような、顧客から依頼してもらえるまでのハードルが高く、顧客との信頼関係の構築が重要なビジネスを行っている方にとって、ブックマーケティングは相性の良いマーケティング手法です。
実際に、コンサルタントがブックマーケティングを行って集客に成功した事例を2件ご紹介します。
事例①:ターゲット特化してその道の専門家としてブランディング
建設業専門のコンサルタントの事例です。
この方は、自身の商圏での開拓はある程度行ってきていましたが、次のステージにすすむために、知名度の向上と商圏の拡大を狙って書籍を出版しました。
書籍のタイトルに「建設業のための」という文言を入れたことによって、狙い通りのターゲットにダイレクトにアプローチすることができ、さらには書籍の配本を首都圏中心に行うことによって「商圏の拡大」にもつながりました。出版の翌日から問い合わせが殺到し、複数件の顧問契約獲得につながっています。
このように、ターゲットに特化した専門家であることを世間に認知させ、ブランディングを行っていくために、ブックマーケティングは有効な手段と言えます。
通常、本は販売部数を増やすために、「できるだけ多くの人に読んでもらいたい」という意図でタイトル付けをするものです。今回の書籍であれば、「建設業のための」と入れることによって、ターゲットが一気に狭まってしまうため、販売できる可能性のある部数が減ってしまいます。
しかし、書籍を通じでどのようなブランディングを行っていきたいのか、の目的を企画段階で明確にしていたからこそ、書籍のタイトルに「建設業のための」という、ターゲットを狭めながらも狙った読者層からの集客をイメージした文言を入れる決断ができたのです。
このように、通常の出版とは違う考え方で、マーケティングのツールの1つとして企画し、出版していくのがブックマーケティングです。
事例②:得意分野をコンテンツ化してその分野のNo.1へ
日本では起業した会社の約6割が1年以内に廃業しているという現実がありますが、資金調達支援のコンサルタントである著者は「適切な融資の下、創業者が夢を実現できるように」という思いから書籍を出版しました。
書籍の中では、自らが立ち上げた会社が創業後3年間に8200万円の融資を受けて事業を軌道に乗せることができた実績を元に、中小企業でも高額の融資が受けられるという秘訣を公開。
自社が得意とするWebやSNSのコンテンツ化によって、問い合わせ件数が3~4倍に増加して受注件数が伸び、その結果、融資支援実績が日本一になりました。
このように、自身の強みや想いをしっかりとターゲットに届けることができるのもブックマーケティングならではのメリットです。
Web広告やSNSなどでいくら長文で伝えようとしたとしても、「パッと見てわかる」ことが重視されるネット媒体では、伝えられる情報量に限界があります。
しかし、書籍は違います。しっかりと長文が読まれる媒体です。特に内容がターゲットに刺さるものであれば、ネット媒体の比にならないほどの情報量を伝えることができます。
また、書籍を読んでもらえることによって著者や提供するコンサルティングサービスへの理解も深まり、顧客教育にもつながります。
結果として、読者は著者のファンになり、仕事の依頼をすること前提で問い合わせいただけるようなホットな信頼関係を作ることができるのです。
まとめ
本記事では、コンサルタントの集客が難しい理由やコンサルタントに適した集客手段について解説しました。
コンサルタントの集客手段にはいろいろありますが、成功事例でも紹介したようにブックマーケティングを利用した集客は相性抜群です。
コンサルティングの依頼をしてもらうためには顧客からの信頼を勝ち取ることが不可欠ですが、「書籍を出版したという事実」だけで社会的な信頼性は飛躍的に高まります。
また、ターゲットを明確にした書籍内容やタイトルなどによって、効果的なマーケティングが可能です。結果として相談件数や成約件数の増加が期待できるでしょう。
集客に課題をお持ちのコンサルタントの方は、ぜひブックマーケティングの活用を検討してみてください。
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健康食品や化粧品、サプリメントなどの広告・PRに携わっている広告担当者や広報担当者にとって、薬機法(旧:薬事法)に関する知識は欠かせません。
薬機法(旧:薬事法)に違反する広告・PRを行ってしまうと、場合によっては罰金や逮捕などの厳罰が課せられることもあります。
そこで本記事では、まず薬機法(旧:薬事法)とは何かについて説明し、その後に薬機法(旧:薬事法)に違反せずに広告・PRするための7つのポイントについて分かりやすく解説していきます。
目次【本記事の内容】
薬機法(旧:薬事法)とはどんな法律?
薬機法(旧:薬事法)とは、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの品質と有効性、安全性を確保するために、製造から販売、販売後の安全対策までを規制する法律です。
この法律は従来「薬事法」と呼ばれていましたが、2014年(平成26年)に改正が行われて、名称が「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に変更されたため、これを略して「医療品医療機器等法」や「薬機法」と呼ばれています。
薬機法(旧:薬事法)の規制対象となるジャンル
薬機法(旧:薬事法)の規制対象となっているのは、主に以下のようなジャンルの商品・サービスです。
- ・医薬品
- ・医薬部外品
- ・化粧品(コスメ)
- ・医療機器
- ・再生医療等製品
薬機法(旧:薬事法)の規制対象となる広告の3要件
1998年(平成10年)9月29日、厚生労働省は「医薬監第148号厚生省医薬安全局監視指導課長通知」において、「薬機法(旧:薬事法)の規制対象となる広告」とは、次の3つの要件をすべて満たすものであるということを示しました。
- ・顧客を誘引する意図が明確である
- ・特定医薬品等の商品名が明らかにされている
- ・一般人が認知できる状態である
以下では、この3つの要件について詳しく見ていきましょう。
顧客を誘引する意図が明確であること
1つ目の要件は「顧客の購入意欲を昂進(こうしん)させる意図が明確であること」と言い換えることが可能です。
つまり、「商品を販売したい」という目的が明確にわかることが要件だということです。
この意味から、アフィリエイトリンクやインフルエンサーによるPR投稿などは、この要件を満たしているため、「広告」とみなされます。
逆に、学会などでの論文において「ある健康食品の効果」について発表したような場合は、「商品を販売したい」という目的で行われたものではないので、この要件を満たさず、「広告」とはみなされません。
特定医薬品等の商品名が明らかにされていること
2つ目の要件は、販売者(事業者や企業など)から消費者に対して行うアプローチを総合的にみて「広告」に該当するかどうかが判断されます。
たとえば、販売者(事業者や企業など)が消費者に「ある商品に含まれる成分の効果効能について説明されたチラシ」を送付した場合、このチラシは効果効能だけを説明しているので「広告」とはみなされません。
しかし、その数日後に「商品のチラシ」や「商品の購入案内」などを送付すると、総合的に判断して「広告」とみなされてしまうのです。
また、ホームページなどで「ある商品に含まれる成分の効果効能を説明するページ」と「商品の購入申し込みページ」が分かれている場合であっても」、「ある商品に含まれる成分の効果効能を説明するページ」から「商品の購入申し込みページ」へのリンクが貼られている場合には、「広告」とみなされてしまいます。
このように、単独のチラシやページだけでは「広告」に該当しない場合であっても、総合的に見て「広告」とみなされるということです。
一般人が認知できる状態であること
3つ目の要件は、「広告の3要件」の中で最も広く解釈されて運用されているものです。
そのため、この要件にはホームページ(HP)、LP、広告、SNS投稿、などほとんどすべての情報発信が該当します。
たとえば、2014年(平成26年)5月22日の厚生労働省の通知において、IDやパスワードを入力しないと入れないサイトであっても「一般人が認知できる状態」に該当するとされています。
薬機法(旧:薬事法)における広告・PR担当者が知っておくべき主な禁止事項
健康食品や化粧品、サプリメントなどの広告・広報担当者の頭を悩ませる薬機法(旧:薬事法)。
もちろん、専門家によるチェックや修正は重要ですが、担当者もある程度「これはダメ」「これはOK」と言った薬機法(旧:薬事法)の禁止事項などを事例とともに知っておいた方が良いと言えます。
そうすることで担当者である程度チェック・修正することができますし、薬機法(旧:薬事法)のチェックにかかる費用の削減や、ダブルチェックにもつながります。
薬機法(旧:薬事法)に該当するような商品・サービスの広告・広報担当者は、次に挙げるような「薬機法(旧:薬事法)における主な禁止事項」をぜひ知っておきましょう。
虚偽・誇大広告の禁止(過度な褒めや効果効能など)
薬機法(旧:薬事法)では、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの名称や製造方法、効能・効果、性能に関して、虚偽広告や誇大広告をすることが禁止されています。
具体的には、「過度な褒め」や「過度な効能・効果」などを謳った広告がダメということです。
実際に「ズタボロだった肝臓が半年で復活」という肝臓疾患の予防に関する誇大広告を行ったとして摘発された事例や、解毒成分であるグルタチオンを含む錠剤 (医療用医薬品)に「美白や日焼け予防などの効果がある」と宣伝して摘発された事例などがあります。
このように、「〜するだけで痩せる」「〜することで血圧が下がる」など自社の商品やサービスを使うことによって何らかの健康効果が得られる」といった表現をする場合には十分注意しましょう。
未承認の医薬品の広告の禁止
薬機法(旧:薬事法)では、未承認の医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの名称や製造方法、効能・効果、性能に関して広告することが禁止されています。
たとえば、「米国食品薬品局が認可した画期的な飲む育毛剤」と広告した事例がありますが、たとえ米国食品薬品局で承認されていた医薬品であっても、日本で承認されていないものの広告をすることはできません。
実際に厚生労働大臣の承認を受けていない医薬品である「スーパープラセンタ」を、肌の若返りなどを謳って宣伝・販売したとして摘発された事例もあります。
そもそも取り扱う医薬品がきちんと厚生労働大臣の承認を受けているものなのかを確認することも重要です。特に他社の商品を取り扱う会社の広報・広告担当者は注意しましょう。
他社商品の誹謗広告の禁止
薬機法(旧:薬事法)では、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの名称や製造方法、効能・効果、性能に関して、他社商品の誹謗広告をすることが禁止されています。
たとえば、「〇〇社の製品よりも良く効きます」や「他社製品より安全です」などの表現が該当します。
「他社製品より安全です」のように、他社や他社製品を明示せずに漠然と比較する場合でも、間接的に他社を批判しているとみなされて薬機法に抵触するおそれがあるので注意が必要です。
そのため、製品同士で比較広告を行う場合は、自社製品の範囲で行う必要があります。また、対象商品の名称を明示しなければなりません。
医療関係者等の推せんの禁止
薬機法(旧:薬事法)では、「医療関係者等」による推せんが禁止されています。
ここでいう「医薬関係者等」とは、医療や美容に関する国家資格や同等の資格を持っている専門家のことを言い、医師や歯科医師、美容師、理容師、鍼灸師、教授などが該当します。
これは、医師や美容師による推せんには影響力があり「効能・効果や安全性の保証」とみなすことができると考えられるからです。
たとえば、医薬品などの広告で、医師が「〇〇に効きます」というような表現をしている場合は「効能・効果を保証している」と誤解されるおそれがあるため禁止されています。
また、化粧品の広告で「美容師がおすすめします」というような推せん行為もNGです。
ただし、医師や美容師が監修した商品の広告において、「共同開発した事実」を記載することは問題ないとされています。
化粧品の効能・効果の範囲を超えた表記の禁止
薬機法(旧:薬事法)では、化粧品の広告においては効能・効果以外の表記が禁止されています。
たとえば、基礎化粧品の広告で「脂肪分解を昂進(こうしん)してセルライトの除去や皮膚の老化防止をする作用があります」と表現したところ、肌の機能そのものに関わる表現は化粧品の効能効果の範囲を超えているとして摘発を受けた事例があります。
化粧品の効能・効果の範囲については、厚生労働省が平成23年7月に発表した「化粧品の効能の範囲の改正について」で明確に56項目が指定されています。
たとえば、以下が化粧品の効能の範囲として許されている表現例です。
(1)頭皮、毛髪を清浄にする。
(2)香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。
(3)頭皮、毛髪をすこやかに保つ。
(4)毛髪にはり、こしを与える。
(5)頭皮、毛髪にうるおいを与える。
(6)頭皮、毛髪のうるおいを保つ。
(7)毛髪をしなやかにする。
(8)クシどおりをよくする。
(9)毛髪のつやを保つ。
(10)毛髪につやを与える。
引用元:厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」
また、「化粧品であれば上記どのような表現を使っても良い」という事ではなく、あくまでその化粧品に該当するもののみ使用可能となっているので、注意しましょう。
薬機法(旧:薬事法)に違反すると重い罰則を受ける可能性があるので注意
薬機法(旧:薬事法)に違反した場合は、業務停止や課徴金納付などの重い罰則を受ける可能性があるので注意が必要です。
以下では、具体的な罰則の内容などについて説明します。
「措置命令」や「中止命令」が下される
薬機法(旧:薬事法)に違反した事業者や企業に対しては、厚生労働大臣や都道府県知事から違反行為の中止や排除、再発防止策の実施を命じる「措置命令」や「中止命令」が下されることがあります。
なお、未承認の医薬品や医療機器の販売をした場合は、刑事罰の対象となる可能性もありますので、十分な注意が必要です。
売上に対する課徴金が課せられる
薬機法(旧:薬事法)に違反して虚偽や誇大広告を行った事業者や企業に対しては、厚生労働大臣から課徴金が課せられます。
この「課徴金制度」は2021年(令和3年)8月1日から施行されたもので、違反を行っていた期間における対象商品の「売り上げ金額×4.5%」を課徴金として納付しなければなりません。
社会的信用を失い契約打ち切りなど連鎖的に事業失墜に向かってしまう
薬機法(旧:薬事法)に違反して措置命令や中止命令が下されたり、売上に対する課徴金が課せられたりすると、その企業の社会的信用は低下します。
企業イメージがダウンして商品の販売中止・回収になったり、消費者はもちろんのこと株主や取引先からの信用も失って株式の下落や取引先との取引停止になることもありえます。
また、未承認の医薬品や医療機器の広告・販売をした場合は「未承認医薬品の広告禁止」に該当するため、より重い刑事罰の対象となりますので十分な注意が必要です。
最悪の場合、その企業の経営者などが逮捕されるケースも。
このように、1つの広告の違反行為によって大きな損失を被る可能性があることを知っておきましょう。
実際の薬機法(旧:薬事法)の広告・PR違反事例
薬機法(旧:薬事法)は範囲や解釈が広いため、広告・広報担当者が一から全てを学ぶのには無理があります。
そこでおすすめしたいのが、「違反事例をたくさん学ぶ」ということです。
法律の文面や表現のOK・NG事例を覚えるよりも、実際に薬機法(旧:薬事法)違反をした事例が頭に入っているだけで、「これはOKかNGか?」の判断ができるようになってくるので、効率的です。
では、実際に発生した薬機法(旧:薬事法)の広告・PRの違反事例をいくつか見ていきましょう。
免疫機能を正常化
2023年(令和5年)9月27日、ペットフードの研究開発・製造・販売を行っている企業が、承認を受けずにホームページで「免疫機能を正常化」と広告したことにより、その企業の代表取締役が薬機法(旧:薬事法)の「承認前の広告の禁止等」に違反した疑いで逮捕されました。
ペットフードであっても薬機法(旧:薬事法)違反で摘発される可能性があるというもので、新潟県内では初の事例、全国でも2件目の事例となりました。
このように、「初の摘発事例」などは要チェックです。
今までは見過ごされていたものがある時期から摘発対象になる場合もあるので、十分注意しましょう。
アトピー治る
この違反事例は、2013年(平成25年)2月に、自ら作製した液体を「アトピー治る」と謳って医薬品として無許可で販売した製造業者が、当時の薬事法違反の疑いで逮捕されたものです。
この容疑者は、2009年(平成21年)ごろから食酢や緑茶の成分を混ぜた「クリン8」という液体を、インターネットで全国の約2400人に1本100ML入りを4900円で販売していました。
「クリン8」の購入者から「薬機法(旧:薬事法)違反になるのではないか」という相談が警察にあり、山形県警が捜査して逮捕に至ったようです。
未承認の医薬品を販売したことはもちろんのこと、広告・広報担当者として注目したいのは「アトピー治る」と未承認の医薬品を宣伝したということです。
がん予防
2020年(令和2年)10月に、「がんに効く」という広告をして医薬品として未承認のサプリメントなどを販売した容疑で医師らが逮捕されました。
この医師が経営するサプリメント製造販売会社のホームページで、4種類のサプリメントやお茶について「乳がん予防」「インフルエンザ予防」「便秘解消」などのように医薬品としての効果があるように広告・販売していました。
この事例では、代表者の医師だけではなくサプリメント製造販売会社の従業員2名も逮捕されています。
未承認の医薬品を販売したのはもちろんのこと、注目すべきはその製造や宣伝に関わった人も巻き込んで逮捕されているということです。
このように、薬機法(旧:薬事法)違反は、 周辺のさまざまな関係者を巻き込んでしまう可能性があることを知っておきましょう。
薬機法(旧:薬事法)に違反せずに広告・PRするためのポイント
広告・広報担当者が薬機法(旧:薬事法)に違反せずに、健康食品や化粧品、サプリメントなどの広告・PRを行うためにはどのようなことに注意すれば良いのでしょうか。
具体的には以下の5つのポイントを押さえておくことで、薬機法(旧:薬事法)違反を防ぐことができます。
自社商品・サービスが薬機法(旧:薬事法)に該当するかをチェックする
まず最初にすべきことは、自社の商品やサービスが薬機法(旧:薬事法)に該当するかどうかをチェックすることです。
薬機法(旧:薬事法)の対象となるジャンルは、医薬品や医薬部外品、化粧品(コスメ)、医療機器、再生医療等製品などですので、自社の商品やサービスがこのジャンルに該当するかどうかで判断することができます。
業界のガイドラインを良く読む
次に、薬機法(旧:薬事法)に関するガイドラインをよく読み込んで理解することが必要です。
基本となるガイドラインとしては、以下の2つです。
また、広告に関する基準としては、以下のようなガイドラインがあります。
・厚生労働省「医薬品等適正広告基準」
また、これらを元にして、以下のように各業界で個別のガイドラインが作成されているのでそちらを参考にするのもおすすめです。
これらのガイドラインを理解しておくことによって、広告を作成する際に意識して違反表現を避けることができるようになります。
また、次のように地方自治体のHPなどでも分かりやすいガイドラインが作られていたりするので、そちらも見ておきましょう。
また、これらのガイドラインを参考に、自社の商品やサービスに関する独自のガイドラインを作成しておくことも有効です。
他社の違反事例から学ぶ
他社の違反事例から学ぶことも重要なポイントです。
たとえば、2020年(令和2年)、健康食品輸入会社が「抗ウイルス効果がある」とお茶の広告を自社サイトで行い、医薬品として未承認の健康食品を販売したとして代表ら2人が逮捕されました。
この事例のように、特に健康食品については、医薬品と同等の効能・効果があるという広告をすると「未承認の医薬品」とみなされて薬機法(旧:薬事法)に抵触する場合があります。
これらの他社事例を参考にして、「OK表現」「NG表現」などを自社のガイドラインとしてまとめておくことも有効です。
専門家への確認 / リーガルチェック
薬機法(旧:薬事法)の専門家にリーガルチェックを依頼して確認してもらう方法もあります。
薬機法(旧:薬事法)の知識を持った専門家が行いますので、間違いや見落としが起こる可能性は非常に少ないのですが相応の費用が発生します。
Webページの更新頻度が高いような場合は、費用対効果について検討する必要があるでしょう。
薬機法チェックツールを使用
薬機法(旧:薬事法)チェックツールを使用する方法もあります。
薬機法(旧:薬事法)チェックツールとは、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、健康食品などの広告表現が薬機法(旧:薬事法)などの法律に抵触していないかどうかをチェックしてくれるツールのことです。
広告表現に問題がないかどうかを確認するだけではなく、代替表現の提案をしてくれるものもあります。
料金体系はツールごとに異なっており無料で利用できるものもありますが、文字数の制限などがある場合がありますので、用途に応じて検討が必要です。
主に以下のようなツールがあります。
薬事法広告表現チェックツール:無料のチェックツールで、30文字までの広告表現のチェックが可能です。主に健康食品や化粧品に対応しています。薬機法(旧:薬事法)に抵触する表現の場合は結果欄に抵触している箇所とその理由が表示されます。
TRUSQUETTA(トラスクエタ):従来KONOHAという名称で利用されていたツールで有料です。主に化粧品(コスメ)や健康食品に関する広告表現が薬機法(旧:薬事法)や景品表示法に抵触していないかどうかをチェックし、代替表現を提案してくれる機能もあります。
Cosme Design:化粧品(コスメ)の広告チェック、成分表示名称チェックなどを行うツールです。有料ツールですが、2日間だけ全機能を制限なしで利用できるお試し制度があります。
書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディングの活用
広告宣伝というと、テレビCMやWeb広告、SEO記事、SNS投稿などのように、パッと見てすぐわかるような方法を考えますが、「書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディング」という方法も有効です。
これは、商品やサービスの効果・効能を伝えるのではなく、それに含まれる成分などについて詳しく訴求することにより、その成分の入った商品・サービスのニーズを喚起するという方法です。
▶ブックマーケティングについては、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。
実際に書籍を使い成分ブランディングに成功して問い合わせが殺到した事例が数多くあります。
ただし、書籍だからといって一般広告よりも薬機法(旧:薬事法)の規制が緩いということではありません。
一般広告と同じように薬機法(旧:薬事法)のリーガルチェックが必要になりますし、薬機法(旧:薬事法)に違反すると、その罰則は著者だけではなく、出版社にも及ぶことがあります。
バイブル商法にならないように出版社選択は慎重に
「書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディング」を行う際に注意しなければならないのは「バイブル商法」にならないようにすることです。
「バイブル商法」とは、健康食品や化粧品、サプリメントなどの効果効能を書籍で宣伝すると同時に、その商品を販売するような商法のことをいいます。
出版業界では過去に出版社の社長がこの「バイブル商法」で逮捕されるという事件が発生しています。
これは2011年(平成23年)に発生したもので、書籍で「健康食品がガンに効く」と宣伝して健康食品の販売を幇助した容疑で逮捕されたものです。
どんなに広告担当者が薬機法(旧:薬事法)に気をつけていても、出版社に薬機法(旧:薬事法)の知識やノウハウがなければこのような事件に発展してしまいかねません。
「バイブル商法」にならないように、出版社選びは慎重に行いましょう。
書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディングの具体的な活用事例
ここでは、「書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディング」を活用して問い合わせの増加や販促につながったという具体的な事例を2件紹介します。
事例①:コラーゲンという成分について説明し結果的にサプリメントの販売促進につながった事例
「あらゆる死に至る病気の原因は血管が老朽化することであり、その血管を若返らせることが健康寿命を延ばす近道だ」という内容の書籍があります。
著者は、コラーゲンサプリメントの開発・販売会社の代表者であり、医師でもありました。
書籍のタイトルやカバーなどには、サプリメントの販促につながるような話は一切入っておらず、内容も血管を若返らせるコラーゲンについて説明をする内容となっています。
しかし、本の出版後、書籍を読んだ読者から「この本で説明されているコラーゲンはどうやったら摂取できるのか」という問い合わせが出版社や著者に殺到し、結果的にコラーゲンサプリメントの販売促進につながっています。
書籍の中でコラーゲンについて説明することで、読者の中に「この本で説明されているコラーゲンを取りたい」というニーズが生まれたのです。
書籍は広告などと違い、長文をしっかりと読んでもらえる媒体です。
書籍の中でしっかりとコラーゲンに関する魅力を伝え、読者教育ができたからこそ、このようなニーズが読者の中に生まれたのだと言えます。
事例②:サラダ油の危険性を訴求し、結果的に米油ブームにつながった事例
この書籍の著者は米油の製造・販売している企業に勤務している研究開発者で、出版の目的は米油のBtoB販売の促進でした。
書籍の内容は「一般家庭で当たり前に使っているサラダ油を摂りすぎると、がんや脳卒中、心臓病の原因になりうるという」というものです。
特に商品の訴求などをしている訳ではありませんでしたが、出版後に大きな反響があり、結果的に米油ブームにつながりました。
その後は、出版目的のBtoBでの米油の卸先の開拓だけでなく、一般消費者の反響が大きかったためBtoCでの訴求にも成功しています。
このように、商品やビジネスの話を出さずとも、成分について詳しく語ることで、商品の販売促進やビジネスの活性化につながることを証明した事例と言えるでしょう。
まとめ
健康食品や化粧品、サプリメントなどの広告担当者や広報担当者は、薬機法(旧:薬事法)に違反しないように、広告・PRについて自社で入念にチェックをしたり、社外の専門家にリーガルチェックを依頼したり、薬機法(旧:薬事法)チェックツールを使用したりといろいろなことを行っていることと思います。
しかし、同時に「広告やPR、SEO記事、SNS投稿など以外の方法で、自社商品やサービスの良さを効果的に伝える方法はないのか?」ということを検討していくことも重要です。
そこでおすすめしたいのが、この記事でご紹介した「書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディング」です。
広告やPR、SEO記事、SNS投稿などのように商品やサービスの効果・効能をダイレクトに伝えるのではなく、商品に含まれる成分について訴求することで、ユーザーに「成分を取りたい」と言うニーズを喚起させるという、薬機法(旧:薬事法)規制が厳しい時代には有効なマーケティング手段の1つです。
「薬機法(旧:薬事法)の規制によりうまくマーケティングができていない」と感じている方はぜひ一度書籍による成分ブランディングを検討されてみてはいかがでしょうか。
※書籍であっても薬機法(旧:薬事法)の規制を受けますので、薬機法(旧:薬事法)に関する知識やノウハウを有する弊社のような出版社を選ぶようにしてください。
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執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
![](https://forway.co.jp/wp-content/uploads/2023/05/952e03978010b08086a76170dbc29f71-300x213.jpg)
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。
特定のニーズに対して販売戦略を組み立てるニッチビジネス。
市場が小さいからこそ市場の開拓が難しいと感じる企業は多いでしょう。
今回の記事では、ニッチビジネスの基本的な情報や成功例をもとに、どのような方法でマーケティング戦略を組み立てると良いかを解説します。
目次【本記事の内容】
![](https://forway.co.jp/wp-content/uploads/2024/05/9f2f3f7ac80cb70a6b9396316e1706d4-scaled.jpg)
福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経営法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を歴任し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。
ニッチビジネスとは
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ニッチビジネスとは、市場の隙間にある一部の限られた特定のニーズに対して、商品やサービスを展開するビジネスのことです。
ニッチやニッチビジネスの意味について、以下で詳しく見ていきましょう。
ニッチとは
「ニッチ(英:niche)」とは、英語で「隙間」を意味する単語です。
経済やマーケティングなどの分野では、「市場のニーズが小規模ながらも専門性の高い事業領域」のことを指します。
ニッチビジネスの意味
ニッチビジネスは、大手企業があまり手を出さない特定の小規模市場や、独特な顧客ニーズに特化したビジネスモデルのことを指します。
たとえば、『セイコーマート』というコンビニは「北海道に特化している」という点で、全国展開するセブンイレブンやファミリーマートに比べて、ニッチビジネスに該当します。
また、トースターで有名な『バルミューダ』なども、「家電業界の中でもひときわ高級価格の商品を販売している」という点でニッチビジネスです。
ニッチビジネスのメリットとデメリット
![](https://forway.co.jp/wp-content/uploads/2024/04/AdobeStock_351593167_page-0001-1024x683.jpg)
ニッチビジネスの主なメリットは、「競合他社が少ないこと」です。
一方、主なデメリットは、「市場が小規模なため、マーケティングが難しいこと」です。
それぞれ、具体的に見ていきましょう。
メリット:競合が少ない!
「競合他社が少ないこと」は、ニッチビジネスの最大のメリットと言っても過言ではありません。
なぜニッチビジネスに競合他社が少ないのかというと、資本力や技術力のある大手企業がカバーしきれない、またビジネス対象としづらい特定の領域をターゲットにしているためです。
実は、大手企業はある一定の規模がなければ、ビジネスにしにくいという弱点があります。そういった大手企業で満たされない強いニーズの穴をうまく狙ったのが、ニッチビジネスになります。
大手ではビジネスにならなくても、中小企業では十分ビジネスとして成り立つ場合が多いです。
また、ニッチビジネスは市場規模は小さいですが、競合が少ないため、顧客の囲い込みやシェアを独占することなども可能です。
たとえば、半導体関連装置などの開発・製造・販売サービスを行う「レーザーテック株式会社」は、従業員数が数百名程度の中小企業でありながら、マスク欠陥検査装置でシェア100%を実現しています。
このように、ニッチビジネスは競合他社がそもそも少ないか、いないので、価格競争に巻き込まれるリスクも低く、商品やサービス自体の質を高めて、ニーズを拡大したり、それをきっかけに大きなビジネスに発展させたりすることもできるのです。
デメリット:市場が小さくマーケティングが難しい!
ニッチビジネスのデメリットは「市場が小さく、マーケティングが難しいこと」です。
ニッチビジネスでは、市場規模の大きなビジネスとは違い、大々的に広告を打っても、その商品・サービスが売れないことがあります。なぜなら、市場規模が小さいが故に、市場規模の大きなビジネスよりも細かいターゲティングをしていく必要があるからです。
たとえば、メンズアパレルブランド『RetroPics.(レトロピクス)』は、メンズの小さいサイズの服に特化しているため、ターゲットは一般的なメンズアパレルブランドと違い「身長160cm前後の男性」です。
既存のWeb広告プラットフォームでは、そういった細かいターゲティングをすることが難しいため、広告を出すキーワードなどを考えたり、それ以外の方法でターゲットへのリーチ方法を模索していく必要があります。
このように、ターゲットが細かすぎてターゲットへの効率的なリーチが難しい、という課題が出てきます。これが、ニッチビジネスのデメリットだと言えるでしょう。
ニッチビジネスの成功例
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ここからは、実際にニッチビジネスで成功した具体的な事例を5件紹介します。
成功例1:楽天ブックスネットワーク
楽天ブックスネットワークは、楽天グループ傘下の出版取次会社であり、「ホワイエ」という本の少部数卸売サービスを展開しています。
今までは、取次会社が出版社から新刊書籍を受け取り、各書店に必要な冊数を配送するというやり方が一般的でした。そして、「書店は配本冊数の指定はできないが、一定期間が過ぎても売れなかった本は返品できる」という委託販売(返品条件付き売買)制度が日本の出版市場を支えています。
しかし、この制度下では、「小さくてもいいから書店を開いて、自分の好きな本を売りたい」「カフェでお店の雰囲気に合った本を並べたい」「雑貨などと一緒に本も売りたい」などといったニーズを満たすことが難しく、そういったニーズが無視されてきていたのです。
そこで楽天は、保証金不要で、最低1冊からでも本を卸売できる「ホワイエ」を事業化し、こうしたニッチなニーズに応えています。
それにより、以前は本を扱うノウハウを持たなかったカフェや雑貨店、衣料品店、美容室やホテルなどが小規模で書籍の販売ができるようになりました。また、楽天ブックスネットワークは、じわじわと取引先を開拓していき、売上を拡大。楽天グループの新たな売上の柱の1つとして成長しています。
ニッチビジネスだったものが、徐々に拡大し、企業を支える柱となった典型的な成功事例と言えるでしょう。
成功例2:星野リゾート
星野リゾートは、競合他社の多い業界でありながら、根強いファンを獲得しており、旅館業界の中で独自の地位を確立しています。なぜなら、ニッチな層に向けて他にはないサービスを展開しているからです。
たとえば、『星野リゾート トマム』は、かつて1980年代のバブル経済期にスキー客で賑わっていたリゾート施設『アルファリゾート・トマム』を星野リゾートが再建したものです。
施設内のファームで乳牛やヤギ、ヒツジを飼育し、獲れたての新鮮な牛乳やチーズを販売していたり、トマム特有の雲海の鑑賞施設「雲海テラス」を営業したり、さまざまな工夫が凝らされています。
また、『星のや富士』では、日本初のグランピングリゾートとして、狩猟体験ツアーを実施するなど、「大人の楽しみ」にも対応するなど、他ではできないような体験や、独自のサービスを展開しています。
さらに、それぞれの宿泊客に対して、特定のスタッフがチェックインからチェックアウトまでのあいだ一貫してすべての業務を担う「マルチタスクオペレーション」を導入し、より顧客に寄り添ったサービスを展開しています。
顧客満足度を高めることにより、リピーター獲得に成功しているのです。
このように、企業の独自性や強みを明確にし、ターゲットを絞ることや、他にはないサービスや質の高いサービスを提供することにより、ニッチビジネスを成功させています。
成功例3:解決本舗
株式会社解決本舗は、名古屋市に本社を置く化粧品受託製造販売会社です。
解決本舗は、OEM(自社ではないブランド製品の製造)を、10本から受注するニッチビジネスを展開しています。通常は3,000本程度から受注している会社がほとんどなため、このような小ロットでの受注に対応している会社は、解決本舗以外にほぼありません。
また、解決本舗は、他店との差別化を図るため、オリジナルの化粧品を求めるエステサロンや美容室を顧客とし、継続的に取引することで、事業を発展させています。
1点ものから対応する試作品専門の製造業者などもそうですが、大手ではやらない小さいロット数でのニッチビジネスに成功した典型的な成功事例と言えるでしょう。
成功例4:バルミューダ
日本で家電と言えば、パナソニックや東芝、日立、など大手企業の名前が数多く挙がると思います。
日本の家電市場は大手が競争し合うほどの飽和状態だった中、そこに切り込んだのが、バルミューダです。
バルミューダは、2015年に「BALMUDA The Toaster」という2万円以上もするトースターを生み出したことで話題となり、世の中に知られるようになりました。
「え?トースターに2万円?」という声もあがるほど、大多数のニーズからは外れたニッチな値段設定でしたが、他にはないシンプルで洗練された「デザイン性」と、プロもうならせる上質なトーストが出来上がるという「機能性」で、ユーザーの心をつかみ、20万台を超えるヒット商品となりました。
それまでの「家電は実用的でなるべく安く」という常識を覆したと言えます。
その後トースターだけではなく、扇風機、電子ケトル、炊飯器、などさまざまな高級家電をリリースし成功しています。
大手がやらないような高価格帯を狙ったニッチビジネスの典型的な成功例と言えるでしょう。
成功例5:小泉成器
小泉成器は、家電メーカーと家電卸売の二刀流で事業を展開している会社です。
小泉成器の家電は「一芸家電」と呼ばれ、ニッチなニーズにとことん応える製品が多いのが特徴。
たとえば、大風量のドライヤー、小型のコードレスボトルミキサー、充電式でコンパクトなコードレスヘアアイロン、6個のゆで卵が手軽に作れるエッグスチーマープラスなどです。
「あったらいいな」というニッチなニーズを常に掘り起こして、「ちょっと便利な生活スタイル」を提案しています。
一方、タニタやティファールなど国内外160社以上の卸もやっていて、消費者のニーズに合わせたチョイスで的確な販促につなげています。
このように、「消費者が本当に欲しがる商品をいかに発掘するか」を強みにして、ニッチなニーズに応えることで、成功を収めているのです。
ニッチビジネスのマーケティングのポイント
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ニッチビジネスの成功事例などを分析してみると、ある共通するポイントが見えてきます。
ニッチビジネスのマーケティングを行う場合には、具体的に以下のようなポイントを最低限押さえた上で、戦略立て、施策実施を行っていくことが大切です。
ポイント1: 確実なニーズの有無を見極める
ニッチビジネスを成功させる最も重要なポイントは、確実なニーズの見極めです。
消費者の間でまだ顕在化していない普遍的なニーズをいかに掘り起こすか、ニーズをどれだけ深く理解し、そのニーズを的確に満たせるか、が重要になります。
たとえば、バルミューダの例でいえば、「とにかく美味しいパンが食べたい」「キッチンをおしゃれにしたい」という普遍的なニーズが成功のポイントでした。
消費者に確実なニーズがあることがわかれば、それは事業を展開していく足掛かりになります。
ポイント2: リピーターが獲得できるかを吟味する
その商品やサービスが、一度の購入だけで終わらず、リピーターを獲得できるかどうかも重要です。
少人数でもコアなユーザーから高評価を得られれば、購入を継続してもらえる可能性が高くなります。
人生でそう何度も買わないものであっても、「この商品ならこの会社」のようなイメージがあれば、ニーズが出た時に選ばれやすくなります。
たとえば、「高級トースターと言えば?」と街中で聞いた時に「バルミューダ」と答える方は多いと思います。
このように、ニッチビジネスの場合はいかに少人数のコアなファンを作りリピートしてもらえるか、また、コアなファンが口コミなどで思わず人に紹介したくなるような付加価値や成功体験をいかに獲得してもらえるかどうか、が成功のポイントになります。
ポイント3: 付加価値のある商品・サービスを提供する
ユーザーは、ニッチな商品やサービスだからこそ、他にはない付加価値を求めています。
特に、品質の高さやデザイン性、独自性、アフターサービスの質の高さなどは、既存の商品やサービスと差別化するうえで大きなポイントとなるでしょう。
つまり、既存の商品やサービスと差別化する付加価値をつけることは、ニッチビジネスを成功させるうえで重要なポイントと言えます。
たとえば、星野リゾートは、ただ宿泊して美味しいご飯を食べるという、一般的な宿泊サービスにはない、他のリゾート施設ではできないような、さまざまな体験を付加価値として提供しています。
ニッチビジネスを展開していく際には、「自社の独自性や強みを活かして、魅力的な付加価値をつけられないか?」を検討しましょう。
ポイント4: 流行に流されない
時代の流れに乗って、今流行っているものを看板商品・サービスとしたニッチビジネスを立ち上げようとしても、失敗の可能性が高くなります。
なぜなら、流行に乗った商品・サービスというのは、一時的には爆発的な売上を見せたとしても、流行が終焉した後もそれが売れ続けるかどうかが分からないためです。
また、流行りの商品やサービスを取り扱う競合他社も多いため、ニッチビジネスにも関わらず差別化を考えていく必要がでてきます。実際に、ニッチビジネスの成功事例を見てみると、どこも流行に流されず、独自路線でサービスを展開しています。
このように、ニッチビジネスを行う上で流行は避けるべきポイントと言えるでしょう。逆に、成功させるポイントは、ロングセラーの定番商品や既存のサービスの中にあるニーズの「隙間」を見つけることです。
誰もが必要とするものの中から、これまでとは違う「こんな商品・サービスが欲しかった」と思われる種を小さくても良いので見つけることが大切です。
ポイント5: 競合会社をリサーチ
ニッチビジネスといっても、多かれ少なかれ競合他社は存在します。
今参入している企業はもちろんのこと、これから参入予定の企業についても事前にリサーチしておくことが重要です。
また、大企業の参入可能性などもリサーチすべきです。
具体的には、競合他社と比べて、自社がどれくらい優位に立てるのか、自社の強みをどう活かせるのか、それぞれの企業の強み、自社との類似性の有無なども確認しておきましょう。
ポイント6: その道の専門家を目指す
ニッチビジネスを行うには、自社そのものが「ニッチな存在である」方がうまくいきます。
なぜなら、ニッチな商品やサービスを求める人は、その人自身も専門的な知識を持っていたり、質の高い商品を求めていたりするためです。
たとえば、本記事で紹介した解決本舗は、「小ロットのOEMの専門家」です。
3,000本以上のロットからしか受けていないOEM会社に、「毎月30本から40本に発注数をあげたらどれぐらい原価が下がりますか?」という質問をするよりも、解決本舗に相談した方が、小ロットOEMに関する対応実績などをベースに、精度の高い回答が期待できます。
このように、ニッチな顧客のニーズに応えるには、その会社自体も専門的な知識や高い技術を持つ必要があります。
特定の分野についてより深い知識や技術を身につけ、その情報を顧客に提供することで、顧客のニーズをつかむことができるのです。
ニッチビジネスに適したブックマーケティングの活用
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ニッチビジネスを成功させる上ではマーケティングが重要ですが、市場が小さいが故に既存のマーケティング施策ではターゲットに精度よくリーチできない可能性があります。
数あるマーケティング施策の中で、ニッチビジネスに適したマーケティング施策としておすすめなのが書籍を活用したブックマーケティングです。
ブックマーケティングとは
ブックマーケティングとは、企業が、自社の事業や商品・サービスなどについて書いた書籍を出版し、それを自社のマーケティングに活用していく手法のことです。
今はネットで検索すればすぐに欲しい情報が取れる時代ですが、ネット上にあふれる情報は、根拠が明確でなかったり、情報ソースが不明瞭だったり、発信者の信頼性がわかりにくかったりするため、「この情報は本当に信頼していいのか?」と思ってしまった経験があるという方は多いと思います。
一方で、書籍の場合は、出版社と著者が明記されていることや、紙媒体として現物があるという点から、「ネット上の情報よりも信頼できる」と考える人が多い傾向があります。
こういった書籍そのものの信頼性を活かし、自社の事業や商品・サービスについての情報をターゲットに書籍として届けていくことで、商品・サービスの販促につなげていくのがブックマーケティングです。
一般的な書籍は企画を立ててから書籍を作り始めますが、ブックマーケティングの場合は、書籍の企画前から「ターゲットにどの様な情報を届けるか?」というマーケティング戦略から組み立て、それに合わせて書籍の内容を作り始めます。
ただ書籍出版をして、書籍販売プロモーションをするだけではなく、SNSマーケティングやSEOコンテンツマーケティング、クラウドファンディングなど、あらゆるマーケティング施策を組み合わせて、戦略を作っていくのが特徴です。
そのため、一般的な自費出版、商業出版とは、目的や書籍の作り方が全く異なります。
また、ブックマーケティングはあくまでマーケティング施策の1つであるため、数万部のように大量に書籍を販売する必要もないのです。
少ない部数であっても、確実なニーズを持つ顧客をつかむことができれば、その後の大きな事業リターンにつながります。
たとえば、不動産投資サービスを提供する会社の経営者のブックマーケティングの場合、1件の成約でブックマーケティングの費用を大きく上回るリターンを得られています。
このように、部数を大量に流通させることよりも、「いかに確度の高い見込み顧客に精度よく届けられるか?」がブックマーケティングで重要なポイントです。
▶️ブックマーケティングの詳細については、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。
ニッチビジネスとブックマーケティングの成功例①
不動産投資は競合の多い市場です。大手企業も多く参入している業界です。
そんな中、ある不動産会社の経営者は、高収入で購買意欲が高い医師というニッチな層に向けた不動産投資サービスを開始。SNSやWeb広告で発信していましたが、見込み顧客獲得に繋がらず、悩んでいたそうです。
そこで、ターゲットである医師に対して、「最も効果的な節税対策が不動産投資である」という自身の考えや想いを伝えるべくブックマーケティング施策として書籍を出版しました。
あらかじめその後のマーケティング戦略や展開なども見据えて書籍の内容を企画したことや、SNSやセミナー、クラウドファンディングなどを上手く組み合わせてプロモーションをしたことから、ターゲットである多くの医師の手元に届けることができたのです。
そして、書籍を読んだ医師から問い合わせがあり、多くの成約を獲得しています。
不動産投資という競合の多い市場で、医師というニッチな層に的を絞って、信頼性の高いブックマーケティングをしたからこその成功と言えるでしょう。
ニッチビジネスとブックマーケティングの成功例②
あるコンサルティング会社は、製造業の工場向けのコンサルティングサービスを提供していましたが、営業をしても高単価であることや、説明に時間がかかることから受注率の低さに悩んでいました。
そこで、ブックマーケティングを実施。社会問題となっている製造業の人材不足を解決する方法の1つとして、「ファクトリーオートメーションによる経営効率化、利益の最大化ができる」というメッセージを伝える書籍を、生産部門の決裁者をターゲットとして企画、出版しました。
書籍を出版したところ、販売から1ヶ月で10件以上の引き合いがありました。今までリーチできていなかった分野の企業からの問い合わせも増え、売上にもつながった成功事例です。
「製造業の生産部門の決裁者」という非常にニッチなターゲットに、「あなた向けの本ですよ」とわかるような明確なキャッチコピーを出したことや、説明にかかる時間を、書籍を読んでもらうことで一気に省略できたことが、発売1ヶ月で成約につながった成功した大きな要因と言えるでしょう。
まとめ
本記事では、ニッチビジネスのマーケティングについて、基本的な部分から解説してきました。
ニッチビジネスのマーケティングは市場規模が少ないが故に難しいことが課題となっていますが、それを解決する1つの手法としてブックマーケティングが、今注目されています。
ニッチビジネスは、ターゲットが限定されているため、いかにコアなファンを多く作れるかが重要です。
そのためには、会社の理念や特徴、独自の技術などを書籍としてまとめて伝えることができるブックマーケティングという手法が適しています。
特に高単価商品・サービス、購入までに長い説明が必要な商材、顧客との信頼関係構築が必要な商材などは、それらが信頼性のある書籍という媒体で一括してできてしまうので、特に相性が良いと言えます。
ニッチビジネスを始めようと思っているが、なかなか良いマーケティング施策がない、という方や、マーケティングをやっているが実際に上手くいっていないという方は、これを機にブックマーケティングの活用も検討してみてはいかがでしょうか。
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![](https://forway.co.jp/wp-content/uploads/2023/05/unnamed-2-1024x584.png)
不動産業界は、消費者の広告慣れや競争が激化したことで、マーケティングの難易度が年々上がっています。
思うように集客ができない場合は、手法から見直しを図る必要があるでしょう。
本記事では、不動産業界のマーケティング事情から主要なマーケティング施策を網羅的に解説します。
目次【本記事の内容】
不動産業界のマーケティングにおける基礎知識
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不動産業界は購入金額が大きく、他の業界の取り扱う商品・サービスとは顧客の購入プロセスなどが異なります。
思ったより集客できない現状を改善する前に、まずは不動産業界におけるマーケティングの基礎的な知識を押さえておきましょう。
マーケティングの重要性とは
不動産業界には他の商品やサービスと違って購入・契約までの検討期間(リードタイム)が長いという特徴があります。
たとえば、「Web上でお得な不動産があったから即購入」ということはほとんどありません。Web上で見て、不動産会社に問い合わせて、内覧をして、検討してから購入、という長期のリードタイムを経て契約や購入に至るのが一般的です。
そこを不動産営業マンがいかにフォローしていくかが重要になってくるのですが、個人差もあり、長期のリードタイムをかけたとしても、契約や購入に至らないケースも多くあります。
このように、不動産業はどうしても営業コストが増えてしまいやすい業種なのです。
そのため、安定的な売上・利益をあげる仕組みづくり、つまりマーケティングが重要になってきます。
不動産業界における特殊性とは
不動産業界でマーケティングを成功させるには、この業界ならではの特殊性を押さえる必要があります。
なぜなら、他の業界で成功した手法をそのまま用いただけでは、思ったような成果が出ない可能性があるからです。
次のような不動産業界の特殊性を押さえ、それを加味した上で、マーケティング戦略を組み上げていきましょう。
人口減少による市場の変化
少子高齢化による人口減少で国内の不動産需要が減少してきており、今後30年で約20%の人口が減るという予測もあるほどです。不動産需要は今後さらに減少することが予想されます。
特に地方都市などでは、需要の減少により不動産業界は買い手(借り手)市場となり、「急いで決めなくても物件がなくなることはない」という状況です。
そのため、顧客はじっくりと時間をかけて、より自分に合った物件を探す傾向が強くなっています。
インターネットの普及
インターネットやスマホの普及により、物件探しをネットで行う顧客が増加しました。
従来のような「不動産会社の店舗を訪れて物件を探す」というプロセスよりも、「まずはスマホを使って物件を探し、そこから不動産会社を訪れる」というプロセスに変化してきているのです。
また、近年では不動産会社を訪れることなく、Web上で内覧し契約するというパターンも増加しています。
そのため、このような顧客の購入プロセスに対応した、マーケティング施策に切り替えていく必要があります。
不動産取引の形態の変化
インターネットやスマホ、SNSの普及や、AI、メタバースなどの台頭により、不動産取引の形態も大きく変化しています。
特に近年は、Web上で内覧ができるようになり、「ネット完結」の需要が増加しています。
公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会が発行する会報誌『REAL PARTNER 9月号』が22歳以上60歳以下の男女500人に行ったアンケート調査によれば、不動産取引において「内見から契約までオンラインで完結できる不動産会社を積極的に利用したいと思いますか」という質問に、62.6%の方が「オンライン完結の不動産会社を利用したい」と回答しているほどです。
このような顧客の変化に対応して、不動産会社ではネット上での問い合わせにも対応でき、成約も完結できるような仕組み作りが必要となってきます。
不動産営業に対するマイナスイメージ
不動産会社から突然「投資マンションを購入しませんか?」と連絡がきたり、一度問い合わせをすると、その後ずっと連絡が来る、など不動産営業に対してマイナスイメージを抱いている顧客は少なくありません。
なぜなら、従来の「プッシュ型営業(攻めの営業)」ではなく、「プル型営業(待ちの営業)」に時代のニーズが変化してきているためです。
「一度問い合わせをするといつまでもしつこく営業行為をされるのではないか」と考えて、顧客からコンタクトを敬遠する傾向があり、新規顧客の獲得への障害となるケースも出てきています。
▶️プル型営業については、関連記事【プル型営業とプッシュ型営業の違いとは?知らないと損する効果的な手法】もあわせて参考にしてください。
競合他社との差別化の必要性(競争力の激化)
不動産業界では競合他社との競争が激化しています。
なぜなら、人口減少によって不動産需要が減少しているためです。競合他社同士で、少なくなった顧客を取り合っているのが現状です。
たとえば、不動産売買仲介などでは大手不動産会社が強く、潤沢な広告宣伝費を使って顧客を囲い込んでいるため、資金力のない中小の不動産会社ではなかなか太刀打ちができなかったり、中小の不動産会社同士の競争が激化しています。
このような競争激化は不動産業界のどのジャンルにも起きており、抜け出すための差別化がますます重要になってきています。
ブランディングの重要性(リードタイムの短縮)
不動産業界は、価格も高く、競合他社が多く、リードタイムが長いという課題があります。それを解決するために重要になるのがブランディングです。
ブランディングにより「知らない会社からは買いたくない」という消費者心理を解消し、信頼性を獲得することができれば、価格が高くても、競合他社が多くても関係なく販売ができるようになります。また、リードタイムも短くすることが可能です。
一方で、ブランディングがされていないために知名度がなく信頼性が乏しい場合は、商談が長引いてリードタイムが長くなりがちです。また、リードタイムが長くなればなるほど、顧客の購買確率は下がってきます。
このような点からもブランディングを行ってリードタイムを短縮する必要があるのです。
▶️ブランディングについては、関連記事【マーケティングとブランディングの違いとは?経営戦略における重要性を徹底解説】もあわせて参考にしてください。
不動産業界の主要なマーケティング施策
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今後不動産業界で安定した売上・利益をあげていくためには、どのようなマーケティング施策を行っていく必要があるのでしょうか。
ひと言でいえば、既存のマーケティング手法をやりつつも、「他社との差別化」「ターゲットとの信頼関係の構築」をどのように施策として行っていけるかどうかが、今後の不動産業界のマーケティングにおいては重要になってきます。
ここからは、今後、不動産業界で今後行うべき主要なマーケティング施策について説明します。
ポータルサイトの活用
不動産会社のマーケティング施策として、ポータルサイトの活用があります。
これは、大手不動産会社が運営するポータルサイトに物件情報を掲載して集客する方法で、不動産業界のマーケティング手法としては、ごく一般的なものです。
たとえば『SUUMO(スーモ)』や『LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)』『at home(アットホーム)』などがポータルサイトとして有名です。
物件を探している多くの見込み顧客がアクセスするため、ポータルサイトを訪れた見込み顧客を自社のサイトに誘導したり、問い合わせ獲得につなげることができます。ポータルサイトの集客力を借りることができるため、ありがたい存在です。
一方で、掲載される物件数が多いため情報が埋もれてしまう可能性があること、物件情報を掲載するために費用がかかりつづけること、などに注意が必要です。
特に、物件掲載をやめてしまうと一気に売上・利益があがらなくなってしまったり、ポータルサイト側の掲載費用値上げなどで一気に利益率が悪くなってしまうなどのリスクがある点から、依存のしすぎには注意しましょう。
以下では、主要な不動産ポータルサイトの特徴について紹介します。
SUUMO(スーモ)
株式会社リクルート住まいカンパニーが運営する不動産ポータルサイトです。
知名度が高いことが特徴で、「不動産の購入検討者の約70%が『住まい探しといえばSUUMO』」と回答したという統計情報があるほど、ユーザー想起率ナンバー1を誇っています。
特に、売買物件においてはほぼ一強という状態を保っています。
物件情報の掲載料金は掲載物件数に応じた従量制となっており、広告枠の大きさや掲載期間によっても変わってきます。
LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)
株式会社LIFULLが運営する不動産ポータルサイトです。
物件情報の掲載料金は、ユーザーからの問い合わせがあると課金される「問い合わせ課金プラン」と、掲載物件数によって決まる従量制の「掲載課金プラン」の2種類があります。
at home(アットホーム)
アットホーム株式会社が運営する不動産ポータルサイトです。
アットホームの前身企業は1960年代に創業していた歴史のある会社で、加盟店舗数は大手不動産ポータルサイトの中ではナンバー1です。
掲載料金は掲載物件数によって決まる従量制となっています。
ホームページの制作
ポータルサイトに掲載するだけでも売上・利益はあがる見込みがありますが、前述した通り、依存しすぎるのは危険です。そういったポータルサイト依存状況から抜け出す1つの方法が、自社ホームページの制作です。
「作ったからすぐにポータルサイトのように売上・利益につながる」という訳ではありませんが、Web広告などを実施するためには必要になってきます。今後マーケティングを行っていく上では必要不可欠と言えるでしょう。
また、自社ホームページへのアクセス数や問い合わせ数が増えれば、ポータルサイトや広告からの問い合わせよりも低コストで顧客獲得ができます。
自社ホームページへの問い合わせは、広告などと比べると商談に持っていきやすく、成約率なども高いのが魅力と言えるでしょう。
もちろん、作って放置していても意味はなく、作った後に、いかに自社ホームページへ確度の高いアクセスを増やすかどうかが、重要です。
SEOコンテンツマーケティングの実施
単に自社ホームページに会社情報や物件情報などを掲載して放置するだけでは不十分です。
なぜなら、自社ホームページをただ作って公開するだけでは、見込み顧客を集めることができないためです。数多ある競合他社のホームページに埋もれてしまいます。
そうならないためにも、見込み顧客が自社ホームページに自然と集まってくるような状況を作っていくことが大切です。
たとえば、自社の見込み顧客にとって役に立つ専門的な記事やコラム・TIPSなどを掲載すると、有益な情報を求める見込み顧客がホームページを訪れるようになります。
一般的に見込み顧客はGoogleの検索窓に自分の知りたいキーワードを入れて、情報を探します。この時にそのキーワードで自社ホームページの記事やコラム・TIPSなどが上位に表示されていれば、見込み顧客が自然と流入してくる状態を作ることができます。
このように価値のあるコンテンツを掲載して、見込み顧客が検索するであろうキーワードで上位に表示されやすくすることを、SEOコンテンツマーケティングといいます。
価値のあるコンテンツを掲載するだけではなく、流入してきた見込み顧客がホームページを回遊する仕組みの構築や、被リンク対策などもSEOコンテンツマーケティングとして重要です。
ポータルサイトの運営
『SUUMO(スーモ)』のような不動産ポータルサイトを自社で作って運営してしまう、というのも一つの方法です。
ただし、開発費用がかかってしまうため、ある程度のまとまった資金力が必要になります。
また、規模の大きな競合が多いため「他のポータルサイトとの違い」をいかに見出し、打ち出していけるかが成功のポイントになります。
運用型のWeb広告の実施
運用型のWeb広告は、SEOコンテンツマーケティングと同様に、「いかに自社ホームページに集客できるか」という点で重要な施策の1つです。
SEOコンテンツマーケティングは、施策開始から成果が出だすまでに最低でも6ヶ月〜1年程度かかります。一方で、運用型のWeb広告は、広告費用をかけることですぐに成果がでます。このように、即効性が運用型のWeb広告の最大のメリットと言えるでしょう。
また、Web広告では、広告主が配信内容や広告を表示する時間帯、地域などを自由に設定することができ、ターゲティングが容易に行えることが大きな魅力となっています。
たとえば、運用型のWeb広告としては主に次のようなものがあります。
- ・リスティング広告
- ・SNS広告
- ・ディスプレイ広告
- ・動画広告
- ・DSP広告
- ・リターゲティング広告
すべてに広告を出せば良いという訳ではないので、自社に合う媒体を選定することと、広告を出すことにより溜まったデータ(PV数、クリック数、成約率など)を活用し、成約ページを改善したり、文言を修正したり、細かい改善を繰り返していくことが重要です。
SNSの活用(Instagram、X、YouTube、TikTok、LINE)
SNSで不動産の検索をする人も増加しています。そのため、SNSの活用も不動産会社のマーケティングに欠かせない手段の1つです。
たとえば、代表的なSNSとして、Instagram、X(旧Twitter )、Youtube、TikTok、LINEなどがあります。
それぞれのSNSで自社のアカウントを作成して物件情報を発信したり、顧客とコミュニケーションを取ったりすることで、SNSからの見込み顧客の自社ホームページへの流入、問い合わせにつながります。
SNSによる顧客とのコミュニケーションは、不動産会社のマーケティングにおいても今後どんどん活用していくべきでしょう。
それぞれのSNSによって特性の違いはありますが、単に自社の物件情報だけを発信するのではなく、不動産情報を求める見込み顧客が関心を示すような有益な情報も発信するのがポイントです。一方通行の発信になりすぎないように注意しましょう。
アナログ手法の活用(ポスティング、折込チラシ、DM)
地域密着型の不動産会社などでは昔から行われていた方法ですが、ポスティングや折り込みチラシ、DMなどのアナログな手法もマーケティング施策の1つとして重要です。
なぜなら、インターネットやSNSをあまり利用しない年齢層の顧客に対して有効なマーケティング施策だからです。
物件の近郊エリアなどに重点的にポスティングをしたり、折り込みチラシやDMを配布したりすることによって、物件情報を顧客に届けることができます。
また、デジタル時代で顧客との信頼関係を築くことが難しくなった今だからこそ、アナログな手法の方が顧客との、信頼関係を築きやすいことも重要である理由の1つです。
たとえば、「企業のWeb広告やSNS投稿は全く見ないし読まないけれど、ポストにチラシが入っていたらちょっと読んでしまう」という人は意外と多いのではないでしょうか。
情報が溢れすぎて顧客に自社のことを「見てもらえない」「知ってもらえない」「読んでもらえない」ということが当たり前な中、少しでも見て、知って、読んでもらえることは顧客との信頼関係を築いていく上で有利に働きます。
デジタルに比べれば効率は悪いですが、こういったアナログな手法は、デジタルに比べて信頼関係を築くまでの期間を短くできるというメリットがあるので、必要に応じて取り入れていきましょう。
ブックマーケティングを活用するメリット
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価格が高く、リードタイムが長い不動産業界では、「いかに顧客との信頼関係を構築していくか」が何より重要です。
マーケティングにより、うまく信頼関係を構築できれば、リードタイムを短くできたり、不動産会社にとっては安定した売上・利益につながります。
実は、あらゆるマーケティング施策の中で、顧客の信頼関係を一気に構築できてしまう手法、購入・契約までのリードタイムを短くする手法としておすすめしたいのがブックマーケティングです。
ただ出版するだけではなく、「書籍」をマーケティング施策の一貫として活用していくのがブックマーケティングです。
ブックマーケティングを不動産業界で活用するメリットをひと言でいうと「信頼性の高い情報をまとめて、狙いのターゲット層に直接届けることができる」ということです。
まずは、書籍は数ある媒体の中でトップクラスに信頼性の高い媒体です。「書籍を出版している」という事実だけで企業の信頼性が格段に高まります。
それだけではなく、書籍には「他の広告媒体よりも情報量が多い」という特徴があるため、著者が伝えたいことをすべてまとめて読者に届けることができるということもメリットです。
書籍は、基本的に長文を読んでもらえますし、同時に「なぜ自分にその商品・サービスが必要なのか?」などの顧客教育もできてしまいます。
顧客との信頼関係の構築や顧客教育が一冊で完結してしまうため、購入・契約までのリードタイムが短くなるなどの効果も期待できるため、不動産のような業種と相性の良いマーケティング手法と言えるでしょう。
ブックマーケティングとは何か
ブックマーケティングとは、書籍をマーケティング施策として活用する手法のことです。
インターネットが発達した現代においても書籍の重要性は高いと考えられます。
なぜなら、欲しい情報はネットですぐに見つけることができますが、ソースや根拠が不明確だったり発信者の信頼性が乏しかったりするなどの問題点があるからです。
これに対して、書籍は出版社や著者が明確になっていることから、一般的にネット上の情報よりは信頼性が高いと考えられています。
このような書籍の信頼性の高さにより、「読んでもらいやすい」という特徴があります。また、書籍を全国各地の書店やネット通販を通して、読んで欲しいターゲットに届けることができます。
結果として効果的なマーケティングにつながるのがブックマーケティングの魅力でもあり強みとも言えるでしょう。
▶️ブックマーケティングの詳細については、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。
効果的なブックマーケティングの実施方法
効果的なブックマーケティングを実施するためには、書籍の企画段階から集客したいターゲット層を明確にしておくことが大切です。
そして、「そのターゲット層に何をどのように訴求して最終的にどうしたいのか」という目的と出版後のプロモーションを含めた戦略をあらかじめ決めておきましょう。
出版後は、集客したいターゲット層の目にとまりやすいように、書店の「不動産」「資産運用」「不動産投資」の書棚に並べて、見込み顧客が自ら書籍を手にして購入するように仕向けます。
また、出版に合わせて記念セミナーを開催したり、クラウドファンディングを実施したり、SNS運用をしたり、あらゆるWebマーケティング施策を組み合わせて、Web上でも見込み顧客自ら書籍を購入してもらえるような仕組みを構築していきます。
成功事例に学ぶ不動産業界のブックマーケティング
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ここでは、実際に不動産業界でブックマーケティングを実践して大きな効果を上げた2件の事例を紹介します。
事例1:医師をターゲティングして圧巻の成約率100%を実現
不動産投資サービス事業を展開するある不動産会社の経営者は、従来から高収入で支払う税金が多い医師をターゲットとして、SNSやWeb広告などによる情報発信を行っていました。しかし、期待する効果が得られていませんでした。
そこで、「医師に最も効果的な節税対策は不動産投資である」ということを伝える書籍を出版。
書籍の企画段階から出版後のプロモーションまでを含めた戦略を練っていたため、ターゲットである多くの医師に書籍を購入してもらうことができました。
その結果、書籍を購入した医師に「大きな節税効果のある不動産投資」を認知してもらうことができ、成約率100%という大きな効果を上げることができました。
さらに、既存顧客が知り合いの医師に書籍を配ってくれたり、口コミで広げてくれたことなどにより、副次的に新規顧客の獲得にもつながっています。
事例2:不動産業界のマイナスイメージを逆手に取って集客に成功
しつこい営業行為などから、不動産業界に対してマイナスイメージを持っている消費者は少なくありません。
そこで、ある不動産会社の経営者はこのマイナスイメージを逆手に取って不動産業界の「暴露本」を出版しました。
たとえば、「アパート・マンション経営」を提案する営業マンは、表面では美辞麗句を並べ立ててオーナーの利益を謳いながら、裏では自分たちの売上を優先しているという「嘘で塗り固められた現実」を暴露したのです。
暴露本の発行の目的は、不動産業界ではこういう汚い営業がまかり通っているが「自分たちは違う」という自社の信頼性を獲得することでしたが、狙い通り大きな集客効果を得ることができました。
また、出版前は見込み顧客からの相談は無料で行っていましたが、問い合わせ件数が増えたことから有料相談に切り替えたところ、成約見込みの高い顧客が集客できて営業の効率化にもつながっています。
まとめ
本記事では、結果を出すために行うべき不動産会社のマーケティング施策について詳しく解説してきました。
競合が多く、差別化が難しい業種の一つでもある不動産業界は、「他社との差別化をどうすべきか?」と悩んでいる方は多いと思います。
また、購入・契約までのリードタイムの長さや、Web広告などのマーケティング施策をやってもなかなか顧客が見てくれない、という悩みを抱えている方も多いと思います。
そんな方は、ぜひブックマーケティングの活用をご検討ください。
ブックマーケティングであれば、書籍の出版によって知名度や信頼性を向上させて、狙いの顧客に的を絞ったターゲティングを精度良く行うことができます。
また、顧客との信頼関係構築と顧客教育が一気にできてしまうという点から、購入・契約までのリードタイムの短縮にもつながります。
競争が激化する不動産業界で何か1つ、他と違う一手を打ちたい、という方は、ぜひブックマーケティングを検討してみてください。
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執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
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慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。
近年、SNS等の発展で情報収集が容易になりました。
そのため、顧客側は問い合わせ段階で購買意思が固まっているのが大半と言われており、プル型営業の重要性が高まっています。
本記事ではプル型営業とプッシュ型営業の違いや効果的なプル型営業手法を解説します。
目次【本記事の内容】
プル型営業とプッシュ型営業の違いとは
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営業には大きく分けて、プル型営業とプッシュ型営業の2種類があります。
簡単に言えば、「待ちの営業(プル型営業)」なのか、「攻めの営業(プッシュ型営業)」なのか、という違いがあります。
実際にプル型営業とプッシュ型営業の具体的な違いや、それぞれの特徴を見ていきましょう。
プル型営業とプッシュ型営業の違いについて
プル型営業は、事前に仕組みをつくり顧客からの問い合わせを待つ営業スタイル、プッシュ型営業は、自分から積極的に顧客にアプローチする営業スタイルです。
プル型営業とプッシュ型営業それぞれの違いについては、以下のように比較してみると分かりやすいです。
|
特徴 |
営業タイミング |
営業範囲 |
成約までの期間 |
営業に使う主な媒体 |
主な手法 |
プル型営業 |
事前に仕掛けづくりをして顧客からのアプローチを待つ営業 |
顧客が決めるため、自社では決められない |
多数の顧客にアプローチできる |
プッシュ型営業に比べて成約までの期間は長い |
・SNS
・オウンドメディア
・メルマガ
・オンラインセミナー(ウェビナー) |
・SNS経由の問い合わせ
・Webサイトでの問い合わせ
・リスティング広告 |
プッシュ型営業 |
積極的に顧客にアプローチする営業 |
自社が決める |
一度に1人(1社)の顧客にしかアプローチできない |
プル型営業に比べて成約までの期間は短い |
・電話
・DM
・メール
・訪問 |
・電話営業(テレアポ)
・ダイレクトメール営業
・メール営業
・訪問営業
・キャッチセールス |
プル型営業の特徴
プル型営業とは、事前に仕掛けを作っておき顧客からの問い合わせや資料請求などのアプローチを待つ営業スタイルです。
プル型営業は、インターネットやスマホの普及に伴って増加してきた営業手法です。インバウンド営業とも言われます。
かつてはプッシュ型営業(アウトバウンド営業)が主流でしたが、現在はプル型営業に取り組む企業が増えてきています。
プル型営業に取り組む企業が増えている背景には、多くの顧客が購入前にインターネットを利用して商品の情報収集や比較検討をするようになったという、行動傾向の変化があります。
インターネットで調べれば、あらゆる製品やサービスの情報が得られる時代。「自分で調べて自分で選ぶ」という選択肢が取りやすくなった現代だからこそ、時代に合った営業手法として、プル型営業は注目されているのです。
SNSやオウンドメディアでの情報発信、SEO対策、メルマガでの情報発信、オンラインセミナー(ウェビナー)の開催などが代表的なプル型営業の手法です。このように手法を用いてアプローチした見込み顧客に対して、商品やサービスをPRし、成約を獲得していきます。
プル型営業は仕組みを作ったり、顧客からの問い合わせを待つという手法なので、成果が出るまでに中長期的な取り組みが必要になりますが、1人の営業マンが多くの見込み顧客に継続的にアプローチし続けられる、といった効率の高さが特徴です。
プッシュ型営業の特徴
プッシュ型営業は、企業から顧客に積極的にアプローチする営業スタイルです。
たとえば、代表的な手法として電話営業(テレアポ)、ダイレクトメール営業、メール営業、訪問営業などがあります。
プッシュ型営業の場合、一度の営業でアプローチできる顧客は少人数です。プル型営業と違い、1人の営業マンができるアプローチ数には限界があるため、事前に顧客分析を行い、購入する可能性が高いターゲット層を選定しておく必要があります。
プル型営業ほど効率的ではありませんが、プッシュ型営業は、積極的に顧客にアプローチするため、成約するまでの期間が短く、早めに成果が出やすいというのが特徴です。
なぜいまプル型営業が必要なのか
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インターネットが急速に普及した現代では、ほとんどの顧客が事前に商品やサービスについて調べており、問い合わせや来店の段階で購入するものを決めていると言われています。
このことは、Googleが2011年に提唱したZMOT(Zero Moment Of Truth)という概念にも示されています。
Whether we’re shopping for corn flakes, concert tickets or a honeymoon in Paris, the Internet has changed how we decide what to buy. At Google, we call this online decision-making moment the Zero Moment of Truth, or simply, ZMOT. The ZMOT refers to the moment in the buying process when the consumer researches a product prior to purchase.
インターネットの登場により、コーンフレークを買う時も、コンサートチケットを買う時も、パリへの新婚旅行も、私たちが何を買うのかを意思決定する方法が変わりました。Googleでは、このオンライン上の意思決定の瞬間を「Zero Moment of Truth」、または単に「ZMOT」と呼んでいます。ZMOTとは、購買プロセスにおいて、消費者が購入前に商品をリサーチする瞬間を指します。
引用元:Think with Google「Zero Moment of Truth(ZMOT)」
かつては、直接店頭に行ってどの商品を買うかを決めるという顧客行動が主流だったので、企業は商品のポップやパッケージの改良に重要を置いていました。
しかし、インターネットが普及し、顧客行動が変化したため、企業のマーケティング手法も変化せざるを得なくなり、プル型営業のような「顧客側が選ぶ営業」が必要となったのです。
プル型営業のメリットとは
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プル型営業のメリットをひと言で表すと「成約率の高い営業が効率よく少人数でできること」です。
一度に少人数の顧客にしかアプローチできないプッシュ型営業とは違い、プル型営業は一度に多くの人にアプローチすることができます。
仕組みを作るまでにある程度の時間と労力、お金がかかりますが、一度仕組みができてしまうと顧客側から自動的にアプローチしてもらえるような状態が出来上がります。
このように、プッシュ型営業よりも効率の良く、少人数で営業活動ができるのが、プル型営業のメリットと言えるでしょう。
そんな効率性の高さを含め、プル型営業に取り組むことで企業は次のような5つのメリットを享受することができます。
アポ獲得率や営業成約率が向上する
プル型営業のメリットとして、アポ獲得率や成約率の高さが挙げられます。
なぜなら、顧客がある程度興味を持ったうえで専用フォームや電話などで問い合わせをしてくれるからです。
サイトや記事、メルマガなどで、ある程度自社の商品やサービスの内容を理解し、興味を持った人だけが問い合わせをしてくれるので、アポイント獲得や成約につながりやすくなります。
また、企業としては、問い合わせを受けた時点で、事前に顧客が抱えている悩みなどを把握することができます。それを元に商談の際に適切な解決策を提示したり、顧客に合わせた提案をする準備ができるのもプル型営業ならではのメリットと言えるでしょう。
たとえば、あなたが「是が非でも今日は焼肉を食べたい」と思っていたときに、友人から「この寿司屋めちゃくちゃ上手いからおすすめだよ」と言われても行こうとは思わないでしょう。
一方で、美味しそうな焼肉屋さんを食べログで見つけたり、友人に「そういえば今日焼肉行きたいって言ってたよね?めっちゃ上手い焼肉屋みつけたから行こうよ!」と言われたりすると、「行こうかな」と思ってしまうと思います。
このように、プル型営業は、ある程度自社商品やサービスに興味を持った状態で問い合わせをくれたることによる見込み度合いの高さや、問い合わせ内容に応じて相手に合った提案をすることができるという点から、アポ獲得率や営業成約率は自ずと高くなります。
営業効率が格段に上がる(営業工数の削減につながる)
営業効率が格段に上がり営業工数の削減につながることもメリットの1つでしょう。
プル型営業は、仕組みを作るまでが大変ですが、一度出来上がってしまえば、1人の営業マンが、多くの顧客に無理なく情報を発信し続けることができます。また、興味を持った見込み度合いの高い顧客が自動的に集まってくる状態になるので、少ない人員で回すことが可能です。
たとえば、化粧品を購入したい顧客が、Googleなどの検索エンジンで「化粧品 おすすめ」で検索したとしましょう。検索上位に自社の商品が掲載されると、購買意欲の高い顧客に自社サイトや記事、商品・サービスページを見てもらうことができます。
同じような検索をする購買意欲の高い顧客が多数存在する可能性があるので、プッシュ型営業で個別にアプローチを行い、購買意欲を高めて成約を得るのに比べると営業効率が格段に上がります。
結果として、営業活動全体の効率を高めて営業工数を削減することができるのです。
信頼関係が構築しやすい
プル型営業のメリットとして、顧客との信頼関係が構築しやすいことも挙げられます。
なぜなら、プル型営業では、顧客が自分の都合でアプローチをしてくるからです。
プッシュ型営業の場合、企業の都合によって営業活動(売り込み)を行うため、顧客によっては迷惑と感じたり印象を悪くしたりします。
一方でプル型営業の場合は、顧客自身は営業を受けているという感覚を持つことはなく、むしろ必要な情報がタイムリーに得られたことに好印象を抱きやすくなります。
たとえば、自分が興味のある美顔器について問い合わせをした結果、営業マンが詳しく丁寧に教えてくれることに対して、好印象を抱く人は多いでしょう。
一方で、営業マンがいきなり家に来て、一方的に全く興味のない商品に関して、「おすすめです」と詳しく丁寧に教えられたとしたらどうでしょうか。おそらく、好印象を抱くどころか迷惑に感じる方も多いのではないでしょうか。
このように、プル型営業は、結果を急がず、顧客が主体的にアプローチしてくるように上手く誘導していく手法のため、顧客と良好な関係を構築しやすいのです。
見込み顧客のニーズが把握しやすい
見込み顧客のニーズが把握しやすいというメリットもあります。
なぜなら、問い合わせの際に、見込み顧客の悩みやニーズなどを把握することができるためです。
たとえば、ダイエットに関心のある顧客の場合、問い合わせフォームに「食べ物でダイエットしたいのか、それとも軽い運動でダイエットしたいのか、比較的ハードなトレーニングでも良いのか」などの質問項目を設けておけば、その回答によって顧客のニーズが把握できます。
顧客のニーズが具体的に把握できれば、それに応える最適な提案を先回りして準備することが可能となります。結果的に、提案した際に「今の私にぴったりな商品・サービスだ」と思ってもらいやすくなるのです。
長期的な費用対効果が高い/コンテンツが資産になる
資産性の高さや、長期的な費用対効果が高いこともプル型営業のメリットの1つでしょう。
プル型営業の場合は、SNS、メルマガ、オウンドメディアなどでの継続的な情報発信や、そこから成約させるための導線設計、成約しやすいLP(ランディングページづくり)、など営業の仕組みを作るのに手間がかかり、ある程度の初期投資が必要となります。
しかし、一度作った仕組みは長期間にわたって自社で活用できる営業資産となる上、顧客の反応やデータ分析を元にして最適化していくことができるので、長期的な運用により、費用対効果が徐々に高くなっていきます。
このように、プル型営業で作った営業の仕組みは、一過性のものではありません。継続的に効果が続きます。結果として、継続的な顧客獲得や売上向上につながるため、費用対効果が高くなるのです。
プル型営業のデメリットとは
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プル型営業のデメリットを簡単に言えば、成果がでるまで時間がかかることや、短期で安定した成果が出にくいことなどです。
具体的には以下の3つがプル型営業のデメリットです。
仕組みを作るまで時間がかかる
プル型営業では、顧客が興味を持ち、問い合わせをしてしまうような仕掛けを作ったり、そこから自動的に顧客教育を施すようなコンテンツを作成したり、多くの見込み顧客に商品・サービスページを見てもらうためにSNSやオウンドメディアなどで情報発信したり、仕組みの構築が必要不可欠です。
たとえば、プル型営業の代表的な手法であるSEO対策の場合、次のような事前準備が必要です。
- ・見込み顧客が検索するキーワードの調査・選定
- ・コンテンツ制作
- ・コンテンツ改善
- ・お問い合わせフォームなど、導線作成
- ・LP(ランディングページ)の作成
また、これらの準備が整ったとしても、Googleで検索上位になり、成果を出すには最低でも6ヶ月程度かかります。このように、プル型営業は成果が出るまでには仕組み作りや、サイト育成など、少なくとも数ヶ月以上はかかると言われています。
そのため「成果を一刻も早く出したい」という企業や、「このような仕組みが出来上がるまで資金が続かない」という企業には向かない営業手法です。
安定した成果を得るのが難しい
安定した成果を得るのが難しいこともプル型営業のデメリットの1つです。
なぜなら、問い合わせのタイミングを決めるのはあくまで顧客自身だからです。
つまり、SNSやオウンドメディア、メルマガなどで情報やコンテンツを発信して、LPやフォームなどの導線を整えたあとは、顧客からの問い合わせを待つしかありません。
見込み顧客が問い合わせをしやすいような誘導はできても、最後に問い合わせするかどうかを決めるのは顧客自身です。これを企業側がコントロールすることは難しいと言えます。
このように、プル型営業の場合、問い合わせ数をコントロールすることが難しいため、予想以上の問い合わせの対応に追われたり、問い合わせが少なすぎて成果が表れないことなども十分に考えられます。
柔軟な提案に繋げづらい
柔軟な提案に繋げづらいこともデメリットの1つでしょう。
なぜなら、顧客が購入意欲を持って問い合わせをしてくるケースが多いためです。
顧客によっては、どの商品をどのように利用したいかまで決めている場合もあります。そのため、プッシュ型営業のように、ヒアリングや関係性構築から始める場合と比べて、自社からの柔軟な提案をしづらくなります。
たとえば、顧客が「部屋の空気をきれいにしたい」と考えて、空気清浄機の購入を決めて問い合わせをしてきた場合、「空気をきれいにするだけではなく、水もきれいにしましょう。こちらも今安くなっていてお得ですよ」とウォーターサーバーの契約を提案しても、断られる可能性が高いと言えます。
このように、問い合わせをした時点で、顧客のニーズは決まっているので、その意思決定を変えることは難しいと言えるでしょう。
プル型営業の効果的な方法
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プル型営業のメリットは「成約率の高い営業が効率よくできること」です。
そのため、営業の仕組みができたら「いかにその仕組みに見込み度の高い顧客を多く引き込めるか」に注力するのが成果を出す効果的な方法と言えます。
具体的には以下のような6つの方法を用いて見込み度合いの高い顧客を引き込んでいきましょう。
SEO対策を図り自然流入を増やす
顧客の多くは、商品・サービスを購入する際にGoogleやYahoo!などの検索エンジンを利用して調べます。
そのため、もし顧客の検索結果の上の方に自社サイトなどが表示されていれば、顧客が検索した際に目につきやすくなり、プル型営業の仕組みに自然と流入するようになります。
この検索結果に自社サイトが上位に表示される状態を意図的に作り出すのが、SEO対策です。
顧客が検索するキーワードは数多く存在しますが、見込み度合いの高い顧客が検索するであろうキーワードで上位表示ができれば、安定的な問い合わせ獲得にもつながります。
メルマガでの情報発信・情報提供
自社のWebサイトを訪問して無料会員登録や、資料請求をしてくれた顧客などに対して、メルマガを発行し、継続的な情報発信を行うことも有効です。
無料会員登録や資料請求の申込フォームで、記入を必須にしておけば、見込み顧客のメールアドレスを入手することができます。
このメールアドレスに対して、顧客の購買意欲を高めるような内容のメルマガを定期的に配信すれば、継続的にプル型営業の仕組みに見込み顧客を引き込むことが可能です。
「お問い合わせしてもらったが成約しなかった人」なども、こういった情報発信を継続して行い続けることで、後に成約につながるケースも多々あります。
セミナー(ウェビナー)の実施
セミナー(ウェビナー)の実施をすることも有効です。
しかし、「商品・サービスの説明」という名目でセミナーを開いても人は集まりません。そのため、自社の商品・サービスに興味を持つ可能性の高い顧客が持つ悩みの解決方法を教えるセミナーを企画します。
たとえば、美顔器を販売する場合には、「40代女性向け、顔のたるみ解消セミナー」を企画するなどです。こうすることで、「顔のたるみに悩む人」「顔のハリに悩む人」など美顔器への関心や購入意欲が高いであろう多くの見込み顧客を引き込むことができます。
何かしらの悩みがあり、「その解決策がわかるかもしれない」とセミナーに参加した見込み顧客に、解決策の一つとして自社の商品・サービスを提案していくのです。
各種SNSで情報発信して認知拡大
SEO対策などと同様に、自社のSNSでの情報発信も、より多くの見込み顧客を獲得する上で有効な手段です。
よく利用される主要SNSは、X(旧Twitter)、Facebook、Instagram、Youtube、TikTokなどです。
近年は検索エンジンではなく、SNSで検索する顧客も増えています。SNSは、拡散性の高い媒体なので、運用に成功すれば、多くの見込み顧客の流入が期待できます。
リファラルマーケティングの活用
リファラルマーケティングとは、既存の顧客が新規の顧客を紹介することによって商品やサービスを広めるマーケティング戦略のことです。
簡単に言えば、取引先や知人、友人からの紹介を活用して、商圏を広げていくのがリファラルマーケティングです。
また、ネットでの口コミやレビューを投稿し、商品やサービスを広めていくこともリファラルマーケティングにあたります。
リファラルマーケティングは、すでにある人間関係の中から紹介が生まれるため、成約率が高いのが特徴です。
商品やサービスのティーアップがされている状態で紹介されるため、信頼関係ができた状態、または紹介者の信用を借りた状態で営業ができます。
自社や自分のいないところで商品・サービスの魅力が人づてで伝わっていく状態が作れるので、多くの見込み度合いの高い顧客を集めることにつながります。
ブックマーケティングで確度の高い見込み客を集客
ブックマーケティングもプル型営業において、見込み度の高い顧客を多く集めるのに有効な手法です。
プル型営業は、待ちの営業なので、「問い合わせをしてみたい」「興味がある」と顧客が思う状態をいかに作り出すのかがポイントです。
そのためには、商品・サービスの説明だけではなく「その商品やサービスがいまの自分に必要な理由」など、顧客がその商品・サービスに興味を持つように、顧客を教育していかなければなりません。
しかし、今は見込み顧客に文章を読んでもらうことが難しい時代です。
特に、見込み顧客との関係値構築が長期で必要なビジネスの場合、「Web上で発信してもなかなか商品・サービスの良さが伝わらない」などの悩みを抱えている方も多いと思います。
そんな方におすすめなのが、ブックマーケティングです。
書籍をただ出版するのではなく、いかに見込み度合いの高い顧客の手元に届けるのかまでを見据えてあらゆる施策を行っていくのがブックマーケティングです。
書籍は、読者がタイトルや内容に興味を持ち、お金を出して買っているため、基本的に長い文章が読まれます。
書籍が信頼性の高い媒体であることもあり、一冊読んでもらうだけで顧客教育がある程度できてしまうというのが、強みと言えるでしょう。
ある程度顧客教育ができた状態で問い合わせがくるため、必然的に成約率は高くなります。
このように、ブックマーケティングを活用することでも、見込み度合いの高い顧客を集めることが可能です。
プル型営業施策とブックマーケティングの相乗効果
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プル型営業とブックマーケティングは相性がよく、それぞれの施策を組み合わせることにより、営業の仕組みが強化され、成約率が向上します。
具体的にプル型営業施策とブックマーケティングでどのような相乗効果を生み出せるのか、を具体的に紹介します。
ウェブマーケティング×ブックマーケティング
書籍のコンテンツは、たとえライターが書いたものであっても、著者や企業側の二次利用が可能です。
書籍の一部をコラムや記事として自社HPやオウンドメディアに掲載すれば、結果的に自社HPのGoogleからの評価を高めることができ、SEO対策の強化につながります。
また、書籍を出版したということでプレスリリースを打ったり、書籍の著者として大手メディアに寄稿したりすることにより、被リンク対策や情報の拡散にもつながります。
さらには、書籍を出版すると書籍のタイトルや著者の名前で検索する人が増えるので、おのずと自社のWebサイトへの流入も増加していくでしょう。
このように、紙媒体とWeb媒体で、さまざまな相乗効果が期待できるのが特徴です。
セミナー(ウェビナー)×ブックマーケティング
出版をきっかけに、セミナーを開催することで、書籍の内容に関心のある見込み顧客を集めることが可能です。
たとえば、出版記念セミナーや、書籍の内容に関連したセミナーなどです。
書籍の制作期間はおおよそ6ヶ月~8ヶ月なので、企画の段階でセミナー実施することを想定しておけば、書籍の告知と合わせてセミナー集客をすることができます。
また、出版実績のない講師よりも、ある講師の方が信頼性が高く、成約率が高くなりやすいのが特徴です。セミナー後の問い合わせ増加なども見込めます。
このように、セミナー(ウェビナー)とブックマーケティングもさまざまな相乗効果が期待できます。
SNS発信×ブックマーケティング
書籍を出版すると、おのずとWeb上に発信される情報が増えるため、SNSでの発信がしやすくなります。
たとえば、Amazonに書籍ページができたり、出版社が書籍の新刊リリースを出したり、書籍のコンテンツを二次利用してSNSの投稿ネタにしたり、SNSで書籍のプレゼントキャンペーンを行う、などです。
それに伴いコメントやリポストで拡散される数も自然と増えていきます。
結果的に、書籍の販売数が増えるという好循環が生まれ、読者からの反響の増加にもつながります。
このように、SNS発信とブックマーケティングにも、さまざまな相乗効果が期待できるのです。
リファラルマーケティング×ブックマーケティング
書籍を出版すると、既存の顧客が、著者や自社のことを紹介しやすくなります。
たとえば、書籍を出版していない著者を紹介する場合は、一体どんな人なのか、専門性や実績などを丁寧に説明していかなければなりません。
一方で、書籍の場合は、書籍の存在が著者や企業の「信頼性」や「専門性」を暗に伝えてくれるため、紹介されやすく、結果的に紹介が増えていくという相乗効果が期待できます。
プル型営業とブックマーケティングの成功事例
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プル型営業の施策とブックマーケティングの施策をそれぞれ組み合わせることで、具体的にどのような相乗効果が生まれるのか、実際の事例をご紹介します。
不動産投資会社の出版書籍を医師が紹介して営業効率化に成功
この不動産会社の経営者は、高収入で支払う税金が多い医師に向けた不動産投資サービスの情報を記事やSNS、Web広告などを通じて発信し続けていましたが、なかなか魅力が伝わらず、悩んでいました。
そこで、高収入で購買意欲が高い一方で税金が多いことに悩む医師に対して、「最も効果的な節税対策が不動産投資である」ということを伝える書籍を出版。
ただ出版するだけではなく、あらかじめ、その後のマーケティング施策や展開なども見据えて企画していたことから、ターゲットである多くの医師に書籍を届けることができました。
その結果、書籍を購入した多くの医師に不動産投資に大きな節税効果があることを認知してもらうことができて多くの成約を獲得しました。
そればかりか、既存の顧客が知り合いの医師に書籍を配ってくれて、そのことから新規の問い合わせにも繋がったそうです。
ブックマーケティングによって書籍を出版して顧客からの問い合わせを待つという、まさにプル型営業を実践して、営業効率や成約率を高めることに成功した事例と言えるでしょう。
まとめ
本記事では、プル型営業とプッシュ型営業のそれぞれの特徴や違い、プル型営業の具体的な手法や効果などについて紹介しました。
プル型営業手法はいくつもありますが、その中でもWebにはない特徴や強みを持ったブックマーケティングに今注目が集まっています。
「文章が読まれない時代に、いかにターゲットに多くの情報を読み込んでもらえるのか?」はどの企業も抱えている課題の1つでしょう。
そんな時代だからこそ、書籍という「読まれる媒体」の活用に突破口があるのです。
プル型営業の施策はWeb上での施策がほとんどなため、ブックマーケティングのような紙媒体の施策とは相性が良く、組み合わせることによってさまざまな相乗効果が生まれます。結果として、営業の仕組みが強化されて成約率が向上するなどの効果が見込めます。
もし、「プル型営業施策をやっているが、なかなか成果につながらない」という方は、プル型営業施策と合わせてブックマーケティングの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)
![](https://forway.co.jp/wp-content/uploads/2023/09/b30000f40c422401cfb76f1786f1c8e6-e1695952471307-300x242.jpg)
福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経営法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を歴任し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。