出版プロデューサーとは何者?役割や注意点、経営者に有効な出版方法を解説

企業経営者が書籍を出版する際には、出版社や編集者などのプロの手を借りることが必要です。

もしくは、出版社には属していない「出版プロデューサー」という職業の方にサポートしてもらうことも考えられます。

本記事では、「出版プロデューサー」の役割や選ぶ際の注意点などについて詳しく解説します。

目次【本記事の内容】

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

出版プロデューサーとは何者か

「出版プロデューサー」という職業はあまり知られていませんが、映画業界やTV業界、音楽業界などで「プロデューサー」といえば、「作品を制作する人」や「作品の制作責任者」を指します。

「出版プロデューサー」も同じように、「出版物を制作する人」や「出版物の制作責任者」のことをいいます。

ただしここで気をつけなければならないのは、「出版プロデューサー」と紛らわしい名前の「出版コンサルタント」や「出版エージェント」などがいるということです。

名前が似ているというだけでその役割は違っているので、書籍を出版したいと考えている方は、それぞれの違いをよく分かったうえで、のちのちトラブルにならないように「出版プロデューサー」を選ばなければなりません。

以下では、「出版プロデューサー」について説明した後に「出版コンサルタント」や「出版エージェント」についても説明し、役割の違いを明確にします。

出版プロデューサーとは

「出版プロデューサー」とは、一言でいえば「本の出版に責任を持つ人」です。

具体的には、著者の発掘から出版企画書の作成、出版社への企画の提案、出版後の販促などまで、書籍の作成や出版に関わるすべてのプロセスにおいて著者をサポートします。

「出版プロデューサー」は出版社には所属しておらず、個人または法人に所属して活動しています。

多くのジャンルの出版に関わった幅広い経験や、多くの出版社や編集者とのネットワークをもっているため、適切な出版企画書の作成をして、最もふさわしい出版社にコンタクトして、著者と出版社との橋渡しをします。

以下では、より具体的に「出版プロデューサー」の役割について見ていきましょう。

「出版プロデューサー」の1つ目の役割は、著者を発掘することです。

「出版プロデューサー」は、世の中に価値を提供できる、かつ売れる見込みのある本をプロデュースする仕事ですので、企業経営者や普通のサラリーマン、主婦の中から「他人に届ける価値」を持った著者を探し出します。

その人たちの中に潜んでいる「他人に届ける価値」を適切に引き出せる出版プロデューサーが、腕の良い「出版プロデューサー」ということになります。

「出版プロデューサー」の2つ目の役割は、出版企画書の作成、またはアドバイスを行うことです。

多くの著者は出版に関しては素人なので、ほとんどの場合「出版プロデューサー」が出版企画書を作成した方が短期間で質の良いものが出来上がります。

出版企画書を作成するにあたっては、著者からヒアリングして著者が持っている「他人に届ける価値」や「他の人にはない著者だけの強み」を引き出していきます。

高いヒアリング能力を持つ「出版プロデューサー」が、多くのベストセラーを出すことができるのです。

「出版プロデューサー」の3つ目の役割は、出版社へ企画を売り込んで採用してもらうことです。

日本には、大手・中堅・小規模の出版社や専門出版社、その他の組織の出版局などを合わせると約4,500社の出版社があります。

ここでは「出版プロデューサー」の出版社や編集者とのネットワークが問われます。

著者の専門分野に近い出版社とネットワークを持っていなければ、企画書の売り込みはできませんし採用してもらうこともできません。

「出版プロデューサー」の4つ目の役割は、書籍のプロモーションです。

出版企画書が出版社に採用されると、必要な制作プロセスを経て書籍が完成しますが、出版不況とも言われる現代では、販促やプロモーションを行わなければ簡単に本は売れません。

実際の販促活動は出版社が主導して行うので、「出版プロデューサー」は出版社に最適な販促活動をするように働きかけることになります。

出版コンサルタントとは

「出版コンサルタント」とは、出版企画書へのアドバイスを主な業務とする人のことです。

コンサルタント(Consultant)は、もともと「一緒に座って議論する」という意味を持ったラテン語を語源とする言葉です。

基本的に「コンサルタント」の仕事はアドバイスだけですので、出版に関わる実務は行いません。

そのため、「出版コンサルタント」は、どうすれば採用される出版企画書を書けるのかというアドバイスをして相談料をもらうだけで、「出版プロデューサー」のように出版企画書を作成したり、企画を出版社に持ち込んだりという仕事までは行いません。

「出版コンサルタント」に依頼する場合は、出版に関しては素人である著者が、自分自身で出版企画書を作らなければなりません。

さらに、でき上がった出版企画書を出版社に持ち込むのも著者がやらなければなりませんので、出版社や編集者とのネットワークがない素人には、出版社を探すことさえ難しいことになります。

ただし、良心的な「出版コンサルタント」の場合は、著者が作成した出版企画書を添削してくれたり、企画が採用される可能性の高い出版社を紹介してくれたりします。

出版エージェントとは

「出版エージェント」とは、著者の代理人として出版社や編集者と様々な交渉をする人のことです。

エージェント(Agent)とは「代理人」のことを指す英語で、本人から委任された代理権限の範囲内で、本人に代わって取引や契約などを行います。

特に海外では「出版エージェント」は出版に欠かせない存在です。

たとえばアメリカでは、著者が出版社に出版企画書を持ち込むケースはほとんどなく、すべて「出版エージェント」を介して行われます。

「出版エージェント」は著者の代理人として、著者が有利になるように交渉や契約をすることが役割ですので、出版コンサルティングなどを行うことはありません。

出版プロデューサーに依頼するメリットとは

企業経営者が書籍を出版する際に「出版プロデューサー」に依頼することによって得られるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

代表的なメリットは、次の4つです。

専門知識やノウハウをもとにアドバイスをしてくれる

企業経営者としては、どうせ書籍を出版するのなら「売れる本」を作って、「自社のPRやブランディング」に寄与できるものにしたいと思うはずです。

しかしながら、年間約7万タイトルもの書籍が出版されているわけなので、無名の企業経営者がヒット作を作るのは容易なことではありません。

その点、「出版プロデューサー」に依頼すれば、近年のヒット作のトレンドを把握した出版のプロからアドバイスを受けることができます。

書籍のテーマに応じた専門知識やノウハウを駆使して、構成やタイトル、デザインなどあらゆるプロセスにおいて「売れる本」を目指してブラッシュアップしてくれます。

企業経営者が持っている、独自の経験やノウハウ、伝えたい思いを引き出して言語化して「売れる本」に仕上げるサポートをしてくれるのが「出版プロデューサー」です。

プロジェクト進行のサポートにより時間と労力を短縮できる

企業経営者が出版をするためには、出版企画書を作成して出版社に持ち込み採用されなければなりません。

運良く企画が通ったとしても、原稿の執筆はもちろんですが、編集や校正、デザインなどの多くのプロセスで多くの作業をしなければなりません。

そして最大の問題点は、一般の企業経営者は出版そのものに精通していないということで、慣れない作業に大変な時間と労力がかかってしまいます。

しかし、「出版プロデューサー」に依頼すれば、ほとんどの作業をサポートしてくれるので、時間と労力を短縮できることになります。

販売戦略やマーケティング支援も受けられる

「出版プロデューサー」は、出版企画書の作成から出版社への提案、そして実際の出版までをサポートしてくれますが、さらに出版後の販促まで関わってくれます。

個人の「出版プロデューサー」の場合は、販促活動のアドバイスにとどまる可能性がありますが、たとえば株式会社フォーウェイのような自社グループに出版社を持つ「出版プロデューサー」であれば販売戦略やマーケティング支援までトータルでサポートすることが可能です。

商業出版により費用対効果の高い出版が可能となる

「出版プロデューサー」は、企業経営者の商業出版をサポートするのが仕事です。

商業出版は出版社がベストセラー目的で利益を上げるために行うものなので、出版費用は出版社が負担します。

そのため商業出版で本を出すことができれば、費用をかけることなく「自社のPRやブランディング」ができるので、費用対効果の高い出版が可能になります。

商業出版と自費出版の違い

出版方法を費用負担や書店に並ぶかどうかという観点から商業出版と自費出版に分けることができます。

以下では、それぞれの違いについて解説します。

商業出版とは

商業出版とは、出版社が利益を出すことを目的とする出版方法で、出版社が全額費用負担をします。

より多くの書籍が売れて出版社が利益を上げることができるように、積極的にプロモーションを行うのが特徴です。

実際に、ベストセラーとなっている書籍のほとんどは商業出版によるものです。

しかしながら、商業出版の場合は、著者が伝えたいことよりも出版社の意向が優先されるので、著者が言いたいことが書けなかったり、出版社によって修正されたりすることがあります。

企業経営者が書きたいことがすべて書けるわけではないということが、商業出版における唯一のデメリットということができるでしょう。

自費出版とは

自費出版とは個人出版ともいうように、筆者が個人的に書籍を出版することを目的とした出版方法で、出版費用は全額著者の負担です。

自費出版のメリットは、出版社が企画に介入しないため本の内容の自由度が高いことで、著者は自由に書籍の内容を決めることができます。

基本的に自費出版は書店で販売されることはありませんが、出版社の販路を利用して書店で販売することも可能です。

つまり、企業経営者が本を出す場合、自費出版で制作して書店に流通させるような方法も考えられるということです。

出版プロデューサーを選ぶ際に注意すべきポイント

ここでは「出版プロデューサー」を選ぶ際に注意すべき4つのポイントについて説明します。

なお、著者から費用ばかりを巻き上げる悪質な詐欺まがいの「出版プロデューサー」や「出版コンサルタント」も存在するので、くれぐれもそのような人を選ばないように十分注意しましょう。

経験とスキルを持つプロデューサーを選ぶ

「出版プロデューサー」に限ったことではありませんが、多くの経験を積んで確かなスキルを持った人を選ぶ必要があります。

具体的には、出版点数や代表作、著者、得意ジャンルなどの実績を確認します。

書籍には多くの分野があるので、出版したい本のテーマの分野に関する知識や知見が豊富で、その分野の出版社からの出版実績があることもきちんと確認するようにしましょう。

出版経路を明確に持つプロデューサーを選ぶ

「出版プロデューサー」には個人または法人所属の人がいますが、いずれの場合も確実に書籍の流通まで行える人を選ぶようにしましょう。

個人の「出版プロデューサー」の場合は、どこの出版社とコネクションがあるのか、複数の出版社の中から選ぶことができるのかなども重要です。

法人所属の「出版プロデューサー」の場合は、そのグループ内に出版社がある場合があるので、その点についても確認することをおすすめします。

編集者の所属やコネクションを確認する

法人所属の「出版プロデューサー」の場合、その法人の中に編集者がいるのかどうか、そしてその編集者の実績も確認しましょう。

個人の「出版プロデューサー」の場合は、どのような実績を持つ編集者とコネクションがあるのかを確認する必要があります。

契約内容や、職務範囲、報酬体系を明確にする

「出版プロデューサー」に依頼する場合は、きちんとした契約を結ぶことになります。

契約前に確認しなければならないのは、職務範囲、報酬体系、支払条件、印税の条件(印税率や、印刷部数と販売部数のどちらで印税が支払われるのか、など)などです。

ほとんどの出版社は持ち込みの企画や原稿を求めていない

ここまで、「出版プロデューサー」に依頼して商業出版する前提での説明をしてきましたが、一つ重要なことをお伝えしておく必要があります。

それは、出版社は「持ち込み企画の商業出版を歓迎していない」ということです。

現実に大半の出版社は原則として持ち込み企画や原稿を求めていません。

商業出版とは、出版社自身が本の企画、著者の選択・指名をして、本という商品を売って利益を稼ぐものだからです。

このように、そもそも商業出版の門戸は狭くハードルが高いということは認識しておく必要があります。

企業がPRやブランディングで検討する他の出版方法

では、企業が「自社のPRやブランディング」を目的として書籍を出版したい場合には、他にどのような選択肢があるのでしょうか。

企業出版(ブックマーケティング)という手段

企業が「自社のPRやブランディング」を目的として書籍を出版する場合におすすめしたいのは、企業出版(ブックマーケティング)という方法です。

企業が書籍を出す目的は「自社のPRやブランディング」です。

言い換えれば、いかに自社の存在を正しく認知してもらい、自社のファンになってもらえる人を増やすか、が企業が書籍を出す本来の目的です。

企業出版の場合は、出版社のプロモーションによって「いかに企業の顧客ターゲット層に書籍を届けるか」ということが目的になるので、企業の目的と合致します。

企業出版(ブックマーケティング)では、具体的に目的達成のための手段として書籍を活用し、SNSマーケティングやSEOコンテンツマーケティング、クラウドファンディングなどと組み合わせて、最終目的である「自社のPRやブランディング」を達成するためのマーケティング戦略を立てていくのです。

まとめ

本記事では、企業経営者が書籍を出版する際に依頼する「出版プロデューサー」の役割や選ぶ際に注意すべきポイントなどについて詳しく解説しました。

しかし、商業出版の門戸は狭くハードルが高いという現実があるので、「出版プロデューサー」に依頼したとしても、実際に書籍を出版するのは難しいことです。

書籍を利用して「自社のPRやブランディング」を実現したいという企業経営者の方には、企業出版(ブックマーケティング)をおすすめします。

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企業経営者であれば、自社のブランディング戦略の一環としてビジネス書の出版を選択肢に入れている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ビジネス書の出版は、その企業にさまざまな効果をもたらしてくれます。

本記事では、ビジネス書の出版方法やメリット・デメリット、具体的な成功事例などについてくわしく解説します。

目次【本記事の内容】

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

ビジネス書の出版についての基本知識

最初に、ビジネス書を出版するに際して知っておくべき基本知識について説明します。

ビジネス書とは

ビジネス書とは、ビジネスに役立つ知識やノウハウ、経営・経済・自己啓発などをテーマにして書かれた書籍のことをいいます。

たとえば、経営に関するビジネス書には、経営の考え方やノウハウ、事例などが、マーケティングに関するビジネス書であれば、マーケティング理論や手法、事例などが紹介されています。

ビジネス書を購入する読者の多くは企業経営者や会社員などです。

自分自身のビジネスや仕事に活かせる知識やノウハウ、気付きなどを得ることを目的として購入されます。

また、ビジネスで成功した人の考え方や価値観、生き方、人生などを知ることによって、自分自身のスキルや教養の向上に役立てたいという目的で購入されることもあります。

ビジネス書のジャンルやテーマ

ビジネス書はいろいろなジャンルに分けることができ、大別すると「経営」「経済」「ビジネススキル」「自己啓発」などに分けられます。

さらに次のように業種やテーマによってより細かいジャンルに分かれています。

  • ・会社経営
  • ・経営学
  • ・マーケティング
  • ・組織
  • ・リーダーシップ
  • ・ビジネススキル
  • ・自己啓発
  • ・投資全般
  • ・不動産投資
  • ・株式投資
  • ・資産形成、資産運用
  • ・金融・保険
  • ・経済
  • ・相続対策
  • ・節税対策
  • ・人事・労務管理
  • ・起業・開業
  • ・営業

ビジネス書の出版方法について

ビジネス書の出版を視野に入れている方にとって、どのような出版方法があるのかは気になるところでしょう。

一般的な出版方法には「商業出版」「自費出版」「企業出版」の3つがありますが、ビジネス書の出版方法としては、向き不向きがあります。

以下では、それぞれについて詳しく説明します。

商業出版/出版社主導で認知度を上げる出版方法

「商業出版」は、出版社が主導して認知度が上がる出版方法で、出版社が利益を出すために行う出版方法です。

出版費用はすべて出版社が負担するので、書籍の企画なども出版社が行います。

また、その企画の書籍の著者を誰にするかを決めるのも出版社です。

つまり、著者が「商業出版したい」と思ってできるような出版方法ではないので、ハードルが高いと言えます。

著者に知名度があったり、SNSのフォロワー数が多かったり、ネット上でバズったコンテンツなどを持っていない限り現実的ではないと言えるでしょう。

自費出版/名刺代わりの書籍を制作する出版方法

「自費出版」は、企業経営者などが名刺代わりに顧客や取引先などに配るための書籍を制作する出版方法で、出版費用はすべて著者(企業経営者など)が負担します。

もともと書籍の形にすることが目的の出版方法なのですが、せっかくコストをかけるので、ただの名刺代わりにするだけではなく、長期的に見て投資対効果のある経営施策として検討すべきでしょう。

たとえば、書店に流通させて自社のブランディングや信頼性の向上、新たなビジネスチャンスの獲得のために活用できるようにした方が良いと考えられます。

企業出版/企業課題を解決する企業主導の出版方法

「企業出版」は、企業が抱えている経営課題を解決するための出版方法で、出版費用は全額企業負担です。

解決できる経営課題としては、「自社の商品やサービスの認知度を高めたい」「従業員に企業理念を浸透させたい」「採用活動のミスマッチを減らしたい」などです。

書籍には「信頼性が高い」「ストーリー性がある」「長期的に活用できる」という特徴があるので、企業が顧客や従業員に伝えたいメッセージをしっかりと形にすることができます。

費用負担については「自費出版」と同じく著者が負担しますが、「企業出版」では出版社の販路を利用して全国の書店などで販売することが可能です。

このように、「企業出版」は、企業が書きたいテーマのビジネス書を出版することができ、かつ読者からの反響なども期待できるプロモーションを前提とした出版方法です。

ビジネス書出版のメリット

ここでは、ビジネス書を出版することによってどのようなメリットが得られるのかについて説明します。

代表的なメリットは次の3つです。

メリット①:ブランディングの確立による信頼性の向上

書籍などの紙メディアに対する信頼性は非常に高いものがあるので、本を出版することによってブランディングが確立して信頼性や知名度が向上するという効果が期待できます。

本を出版するとその道の専門家と見られるようになるので、競合他社との差別化にも有効な施策となります。

営業マンが顧客を訪問したときに「本を出版した会社の方ですね」と言われて営業活動がやりやすくなったという実例もあるように、必ずしも大ヒット作にはならなくても興味を持って読んでくれている方がいるのもビジネス書出版のメリットです。

近年ではホームページやブログで、自社の商品やサービスの魅力や優位性をアピールする手法が注目されていますが、デジタルメディアよりはアナログな紙メディアの方が高い信頼性が得られます。

同じ消費をするのなら、信頼性の高い会社の商品やサービスを利用したいという消費者心理に応えることができるのもビジネス書出版のメリットということができます。

メリット②:受注確度の高い顧客を集客できる

ビジネス書は自分のお金を出して購入するものなので、購入した読者は自社の商品やサービスに興味や関心を持っている質の高い潜在顧客だと判断することができます。

また、ホームページやブログの記事、テレビCM、ネット広告と違って、顧客に伝えることができる情報量が圧倒的に多いため、書籍をじっくりと読んでもらうことによってさらに受注確度の高い顧客に変わっていくことが期待できます。

実際に多くの経営者がビジネス書を出版しているのは、受注確度の高い顧客を集客できるから、と言っても過言ではないでしょう。

メリット③:ビジネスの知見や経験を体系化できる

個人事業でない限り一つの企業には複数名が在籍していて、それぞれの人が事業経営のための役割を担っているはずです。

つまり、多くの知見や経験、ノウハウが各個人にバラバラに蓄積されていることになります。

ビジネス書を出版することをきっかけとして、社内の人材が分散して保有している知見や経験、ノウハウを集約して体系化して共有することが可能となります。

ビジネス書出版のデメリット

一方、ビジネス書を出版することによるデメリットもあり、代表的なものは次の2つです。

デメリット①:一定のコストがかかる

ビジネス書の出版方法でも説明したように、多くのビジネス書は「企業出版」によって出版されています。

つまり、経営課題を解決するための手段と考えられるので、ある程度のコストがかかるのは仕方がないのですが、ビジネス書の出版には少なくとも数百万円程度の費用がかかります。

実際に出版する際には投資対効果の検討も行うことになりますが、一定のコストがかかるという点はデメリットと言えるでしょう。

デメリット②:数値分析がしづらい

前項のメリットの中で紙メディアである書籍の信頼性が高いことを挙げましたが、逆に書籍という特性から数値分析がしづらいというデメリットがあります。

この点、ウェブ広告の場合は表示回数やクリック数などが容易に収集できるので、数値分析によって広告効果を把握することができます。

ビジネス書出版に関する市場動向とトレンド

ビジネス書の出版を検討中の方にとって、その市場動向やトレンドについては気になるところでしょう。

以下では、これらについて説明します。

書籍の刊行点数とビジネス書の市場動向

総務省による2022年の日本統計年鑑によれば、1年間に刊行される書籍は約7万点です。

この統計にはビジネス書という分類がないため正確な数値は分かりませんが、ビジネス書は「社会科学」「工学工業」「産業」「語学」のいずれかに分類されているので、この4つの分類の合計2万点に含まれると考えられます。

このことから、年間約1万点のビジネス書が刊行されているものと推測されます。

1年間に刊行される約7万点の書籍のうち約1万点がビジネス書であるということを考えると、ビジネス書の市場は非常に堅調であるということができるでしょう。

2024年度版:トレンドのビジネス書を紹介

ここでは、2024年にトレンドとなっているビジネス書11冊を一挙に紹介します。

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経営中毒 社長はつらい、だから楽しい
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「裏切り」「資金枯渇」「孤独」これらが組織を強くする、全企業人必読の「経営指南書」です。

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大手広告代理店出身、非体育会系、アルコールに弱い著者が最大28回/月の会食経験から編み出した会食・食事会を成功に導ける必勝メソッド、体系的ノウハウを全網羅しました。

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ビジネス書を出版するための具体的な流れ

以下では、ビジネス書を出版するための具体的な流れ(プロセス)について解説します。

プロセス①:書籍のテーマやターゲット読者を明確化

ビジネス書を書くに際して重要なのは、書籍のテーマとターゲット読者を決めることです。

まず、書籍のテーマについては、ビジネス書を出版する目的がブランディングや知名度・信頼性の向上にあるわけですから、自社の強みが読者に訴求できるものである必要があります。

SWOT分析などの手法を用いて自社が保有する技術やノウハウの掘り起こしを行い、自社の強みを把握した上で、テーマを決めるようにしましょう。

ここで、すでに多くの人が出版したことのあるテーマを選択すると、読者にとっては新鮮味がないために埋もれてしまう可能性もあるため、斬新さや独自性のあるテーマを発掘することが大切です。

ターゲットについては、テーマが決まれば自ずと決まってくるという考え方もできるのですが、このときに「多くの人に読んでほしい」と考えてターゲット設定を曖昧にすることだけは避けるべきです。

ターゲットが曖昧なままだと、執筆内容にブレが生じたり、適切なプロモーションが打てなくなるなどの問題を生じる可能性があります。

プロセス②:企画の作成と目次づくり

ビジネス書を出版するためには、ビジネス書を手掛けている出版社に企画書を持ち込んで受けてもらわなければなりません。

企画書の作り方には決まりはありませんが、書籍のタイトル案、ターゲット層、自分や自社のプロフィールなどは必須となります。

ここでもターゲット層は重要項目で、この本をたとえば1500円程度払ってでも購入してくれる読者はどんな人なのかを明確に示せなければなりません。

目次については、企画書を作成する段階で目次案が出来上がっていれば望ましいですが、出版社が決まったあとに、編集者と相談して決めていくことも可能です。

プロセス③:原稿執筆(自分で執筆orライターが執筆)

出版社が決まって、テーマやターゲット、目次が決まると、原稿を執筆することになります。

原稿は、著者自身が執筆する場合とライターが執筆する場合に分かれます。ただ、ビジネス書の出版目的は、経営課題の解決であって経営者の自己満足ではないことを考えると、ライターに依頼して読者にとって読みやすいビジネス書を目指した方が良いでしょう。

ライターに依頼する場合は、ライターの選定やライターによる著者や関係者へのインタビューを行います。

また、ライターが執筆した原稿を著者がチェックして加筆修正することもあります。

プロセス④:原稿のチェックや編集

原稿の執筆が終わると、使用する写真や図表、イラストなどの素材と一緒に編集者に提出するのが通常の流れです。

編集者は、読者に文章の意図がきちんと伝わるように、適切な言葉遣いを選んだり、情報を取捨選択したりします。

また、表現の重複や表記のゆれがないかなどのチェックも行い、必要な場合は修正します。

プロセス⑤:組版とカバーデザイン

原稿が完成すると、文字組みやデザインなどの組版をして誌面レイアウトを決めます。

組版と並行して表紙やカバーデザインなどを決めていくのが一般的です。

デザイナーからの提案によって、原稿の加筆や減筆、写真やイラストの見直しなどが発生することもあります。

プロセス⑥:再校や最終校正

組版とカバーデザインが終わった初校を紙に印刷したりPDFに出力して校正を行います。

校正は編集作業の中でも重要度の高いプロセスで、その目的は訂正すべき箇所がないかを探し出すことです。

誤字脱字がないか、表記ゆれがないか、イメージ通りのデザインになっているか、写真や図表、イラストは適切かなどについてチェックして修正します。

必要に応じて、校正(再校)と修正を繰り返し、問題がなければ校了です。

なお、記載内容の事実関係に誤りがないかをチェックする校閲も必要に応じて行っていきます。

プロセス⑦:印刷・製本

校了すると、出版社から印刷会社に書籍の印刷データが送られます(入稿)。

印刷会社から実際の書籍に近い紙やインクで印刷した色校正が提示されるので、インクのノリ具合や図表や写真の色味を確認して、必要な場合は調整を依頼。

色校正が終わると、契約部数の書籍が印刷・製本されて納品されます。

ビジネス書では並製本が多いので、最後にソフトカバーと帯をつければ、書籍の完成です。

プロセス⑧:書店営業や各種プロモーションの準備

書籍が完成すると、出版社から書店に対して新刊の案内をします。

やり方としては、書店に出向いてビジネス書の担当者に売り込んだり、FAXで新刊案内と注文書を送付したりが一般的です。

プロモーションとして出版記念イベントなどを開催する場合は、相手先の書店と準備を行います。

SNSでの出版案内やウェブ広告の出稿などもこの時期に行います。

プロセス⑨:取次と配本調整、部決

書店からの注文部数がまとまったら、出版社としての希望部数を決めて各取次店に書籍を見本として持参して仕入れを依頼します。

各取次店ではその書籍を総合的に見て、仕入れ部数や書店へ配本する部数を決定します。

プロセス⑩:新刊配本、書籍発売

発売日の数日前に各取次店が決定した仕入れ部数に合わせて、各社の倉庫に書籍を搬入。

その後、書籍は各取次店から書店に配本され、発売日に書店の書棚に並べられます。

書店では、売れ行きの良い書籍はフェア台に配置したり平台に平積みしたりして、目立つ場所に陳列されます。

売上が好調な場合は、初版に加えて重版されることもありますし、追加でプロモーションが行われることもあります。

成功したビジネス書の事例紹介

ビジネス書の出版によってブランディングや集客に成功して飛躍的な業績アップを果たした事例は数多くありますが、ここでは3件の成功事例を紹介します。

事例①:新規事業の集客と本業集客の両立に成功したビジネス書出版の経営者

保険代理店の経営者が、保険業界に対する持論と実例を公開するためにビジネス書を出版しました。

書籍の中では、保険業界で当たり前に行われている「成果報酬型」の給与体系を「一律報酬型」に変えることを提唱しました。

つまり、限られた一部のスーパー営業マンに頼った経営から、アベレージヒッターを育てて全員で支えていく経営に変えることによって業績拡大ができることを紹介したのです。

伝達できる情報量が膨大な書籍というメディアを使って持論を展開したことにより、多くの業界関係者からの共感が得られ、自社のブランディングにも成功しました。

同時に、新規事業であるコンサルティングの新規契約の獲得と本業の保険代理店の保険契約数が伸長するという大きな効果が得られたそうです。

出版後のインタビューでも、次のように語っていらっしゃいます。

保険の商談に従業員と同行するときも、お客様に事前に本を読んでおいてもらうと、ご面談するときにちゃんと「あったまっている」んですよね(笑)

書籍に盛り込んだ当社の経営方針や理念に、強く興味を持ってもらえている。

引用元:【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店

法人保険の営業は、人材戦略や財務状況など、相手の経営に踏み込んだ提案をしなければ大型の保険契約を決めることができないそうですが、書籍のおかげで商談の時から踏み込んだ話ができる理想的な商談の機会が増えたと言います。

このように、書籍を上手く活用すれば、お客様との良い商談を増やすきっかけにもつながるのです。

お客様との信頼関係などが重要な職種には良いツールと言えるでしょう。

事例②:メインターゲットの集客に成功し売上を倍増させたビジネス書出版の経営者

不動産投資サービス事業を行っている不動産会社の経営者は、従来から高収入でありながらも支払う税金が多い医師をメインターゲットとして、SNSやウェブ広告などを利用した情報発信を行っていました。

しかし期待する効果が得られていなかったことから、「医師に最も効果的な節税対策は不動産投資である」という内容のビジネス書を出版しました。

ビジネス書の企画段階からメインターゲットである医師を対象としたマーケティング戦略やプロモーション戦略を立てていたことで、多くの医師に書籍を購入してもらうことができました。

出版後は、書籍を購入した医師に「不動産投資に大きな節税効果があること」を認知してもらうことができ、売上を倍増させることができました。

また、既存の顧客が知り合いの医師にビジネス書を配ってくれたり口コミで広げてくれたりして、新たな顧客の獲得にもつながっています。

事例③:SNSとの相乗効果で圧倒的なブランディングに成功したビジネス書出版の経営者

資金調達支援のコンサルタント業を営む経営者は「創業者が夢を実現するためには適切な融資が必要」との思いからビジネス書の出版を決意しました。

日本では起業した会社の約6割が1年以内に廃業しているという現実があるので、これをなんとか改善したいと考えたのです。

自身の会社も創業後の3年間で8200万円の融資を受けて事業を軌道に乗せることができたという経験があるため、中小企業であっても高額の融資を受けることができるという秘訣を公開しました。

ビジネス書の出版に合わせてSNSやウェブでのコンテンツ発信も行い、これらの相乗効果によって顧客からの信頼を獲得してブランディングに成功しました。

具体的には、問い合わせ件数が3~4倍に増えて受注件数も増加し、結果的に融資支援実績が日本一になりました。

ビジネス書を出版する出版社一例

ビジネス書を出版している出版社は数多く存在しますが、実際にどこに依頼すべきかはそれぞれの出版社の特徴を知ったうえで検討した方が良いでしょう。

以下では、代表的な出版社の特徴などについて解説します。

幻冬舎メディアコンサルティング

「幻冬舎メディアコンサルティング」は、2005年に設立された企業出版に特化した出版社です。

名前の通り幻冬舎のグループ会社であるため、幻冬舎の流通網を活用した全国約4,200書店への流通、プロモーション、出版記念セミナーの開催などが行えるという強みがあります。

プロモーションに力を入れているので、メニューが豊富で、実書店では書棚の効果的な展開により狙いのターゲット層に訴求したり、新聞やSNS、Amazonバナーなどを利用した広告も行っています。

企業の事業戦略に合わせた配本も行っているので、頼りになる出版社といえるでしょう。

日経BP社

「日経BP社」は、日本経済新聞社の子会社で雑誌と書籍の出版を行っている会社です。

「日経ビジネス」をはじめとしたビジネス関連の雑誌が多いという特徴があるため、ビジネス書についても強みがあり、多くのベストセラーを出しています。

ビジネス分野に精通した編集者が書籍の企画からデザインなどの出版全般に関わる提案をしてくれるのが特徴です。

ダイヤモンド社

「ダイヤモンド社」は、ビジネスや経済に関する書籍や雑誌を出版している、1913年に創業した老舗の出版社です。

100年以上にわたってビジネス書を発刊してきたという大きな実績があるので、信頼性が高くプロモーション力も高いという特徴があります。

また、「週刊ダイヤモンド」などの著名な雑誌を刊行しているため、ビジネス書についても一定の固定客が獲得できることが強みです。

東洋経済新報社

「東洋経済新報社」は、ビジネスや経済に関する書籍の発行を専門とする出版社で、1895年に創立された歴史のある出版社です。

「週刊東洋経済」や「会社四季報」などが有名で、業界知識が豊富な編集者から効果的なサポートを受けることができます。

また、社内史や広報誌などの社内向けの書籍も手掛けているため、社内ブランディングにも活用することができます。

「東洋経済オンライン」などの自社メディアを利用したプロモーション力も魅力です。

プレジデント社

「プレジデント社」は、経営層や富裕層に向けたビジネス書や雑誌を主力とする出版社で、1963年に創立されました。

日本で初めての海外提携紙「プレジデント」を創刊したことでも有名です。

これまでに約100社以上の企業をサポートしてきたという実績があります。

インターネットと実際のイベントを組み合わせたメディア展開によって、企業やビジネスを広く周知させることができます。

クロスメディア・パブリッシング

「クロスメディア・パブリッシング」は、クロスメディアグループでビジネス書を専門とする出版社として2005年に設立されました。

現在では、ビジネス書だけではなく自己啓発書、実用書まで幅広い書籍を刊行しています。

パノラボ

「パノラボ」は、株式会社フォーウェイ(弊社)のグループ出版社で、2021年11月に設立されました。

他の競合他社と異なり企業出版を専門としているため、ブランディングやマーケティングなどの目的を達成するためのビジネス書の出版の全プロセスを一気通貫でサポートしています。

また、グループ会社の株式会社フォーウェイ(弊社)が手掛けているSNS運用やウェブサイト制作などを活用して、ゴールから逆算した動画制作やSNS運用、クラウドファンディングなどを組み合わせたプロモーションの提案ができる点も大きな強みです。

ほか、前述した大手出版社とは異なり、コストメリットの高いブックマーケティングを提案していることもメリットとして打ち出しています。

まとめ

本記事では、ビジネス書の出版を検討中の企業経営者に向けて、ビジネス書の出版方法やメリット・デメリット、具体的な成功事例などについてくわしく解説しました。

ビジネス書の出版は、ブランディングや知名度・信頼性の向上のための経営戦略の一つとしてとらえることができ、企業経営に非常に大きな効果を及ぼします。

本文中でも紹介したように、ビジネス書の出版は多くの出版社が行っていますが、ビジネス書の出版に強く、ビジネス書の出版目的である自社のブランディングや知名度・信頼性の向上を達成するためのノウハウやプロモーション力を持った出版社を選ぶことが重要です。

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コンサルティングサービスは、顧客側からすると費用対効果が分かりづらい代表的なビジネスの1つです。

そのため、どんな素晴らしいサービスを提供しているコンサルタントであっても、実績や知名度がない状態では、依頼してもらえるまでのハードルが高く、なかなか成約に至らないのが現実です。

もっと言えば、実績や知名度がなければ、見込み顧客の集客も難しいのが実情です。

このように、コンサルタントで集客に関する悩みを抱えている方は、意外と多いのではないでしょうか。

本記事では、集客できないと悩むコンサルタントが、見込み顧客との信頼性を獲得し、効率的かつ効果的に集客できる手段を詳しく解説します。

目次【本記事の内容】

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

コンサルタントの集客が難しい理由

コンサルタントの集客が難しい最大の理由は、サービス内容などの分かりにくさにあります。

そういった分かりにくさを払拭することができずに、次のような理由で集客に苦戦しているコンサルタントが多いようです。

自分の強みをうまく発信できていない

少しでも多くの仕事が欲しいコンサルタントは「どんなことでも相談に乗ります」というアピールをしがちです。

これは、特に独立したばかりのコンサルタントに多く見られる傾向です。

これは「顧客からのどんな依頼にも応えて多くの受注を獲得したい」と考えてのことですが、そのことがかえってコンサルタント本人の狙いとは逆に集客を難しくする一因になっています。

実際に依頼する顧客側の視点で考えると、何が専門なのかが分からず、「依頼しても的確なアドバイスが得られないかもしれない」と思って依頼しにくいのです。

たとえば、自社のIT情報システムに課題があることが分かっているときには、「何でもサポートできます」というコンサルタントよりは「IT分野ならお任せください」というコンサルタントを選ぶのではないでしょうか。

もっと言えば、「IT情報システムの見直しや再構築ならお任せください」とより具体的にアピールしているコンサルタントの方が「この人にお願いしたい」と思ってもらいやすくなります。

主なコンサルタントの専門領域としては、経営、業務改善、IT、マーケティング、財務、人事、事業再生などがあります。

自分がどの分野に強く、かつ顧客にどのようなメリットをもたらすことができるのかを明確に発信していくことが重要です。

見込み顧客に向けての信頼性の欠如

コンサルタントが見込み客に自身のサービスをアピールしたとしても、簡単には信頼してもらえません。

なぜなら、コンサルタントは肩書きだけで信頼されるような職種ではないためです。

コンサルタントには、弁護士や税理士などのように公的な資格などがありません。

極端に言えば、コンサルタントと名乗れば誰でもなれてしまう職種であり、肩書きだけでは信用されにくい職種です。

そんな中で、見込み顧客の信頼を獲得するためには、自身のこれまでの経歴や、コンサルティング実績、それに代わるエビデンスを明確に示していく必要があります。

それがコンサルタントの集客を難しくしている要因の1つです。

知名度やブランド力の不足

コンサルタントの知名度やブランド力が不足している場合も集客が難しくなります。

なぜなら、知名度やブランド力が不足していると、どんなに高品質なサービスを提供していたとしても、顧客側の依頼候補先として上がりにくいためです。

たとえば、「SEOコンサルタント」とネットで検索した際に、せいぜい担当者が見るのは検索結果の2〜3ページ目程度です。

もし8ページに表示されていたとしても、見てもらえないでしょう。

このように、知名度やブランド力が不足していると、どんなに良いサービスを提供している優秀なコンサルタントでも、顧客側の候補先としても上がりにくくなります。

どうしても知名度やブランド力の強いコンサルタントに依頼が集中してしまい、それらが不足しているコンサルタントに依頼が来にくい、というのも集客が難しいと言われる要因の1つと言えるでしょう。

集客につながるマーケティング手法が打てていない

コンサルタントが効果的なマーケティング手法を実施していない場合も、集客は難しくなります。

なぜなら、コンサルティング業を営んでいる競合他社は数多くいるからです。

競合が多いため、マーケティングをすることなく集客ができるような業種ではありません(もちろん、例外もあります)。

たとえば、コンサルタントには、外部からの視点で経営課題を把握し、論理的に分析し、目標を達成するための解決策を示す能力が求められますが、コンサルティング契約を結ぶ時点ではその能力を持っているかどうかは分かりません。

ホームページやコラム、SNSなどでの発信情報、セミナーでの講義内容などから、信頼に足るコンサルタントであることが確信できなければ、相談をしてもらうことはもちろん成約に至ることはありえません。

そのため、コンサルタントにとって、マーケティングは集客を行う上で必要不可欠なものであることを認識しておく必要があります。

コンサルはまずクライアントを知ることから

集客につながるマーケティング施策を検討するためには、見込み顧客がどうやってコンサルタントを探すのかを、まず知ることからです。

なぜなら、顧客企業のコンサルタント選定がどのように行われているのかを知らずに、マーケティング施策を考えることはできないからです。

一般的にコンサルタントは、次のような過程を踏んで選定されます(あくまで一般例です。例外もあります)。

  • 1.社内に経営課題が見つかり、外部の視点を入れた解決の必要性が生じる
  • 2.その経営課題に対応できるコンサルタントを探す
  • 3.対応可能な複数のコンサルタントの実力や課題解決能力を知る
  • 4.対応可能な複数のコンサルタントを比較して依頼先を決める

このコンサルタントの選定過程からわかることは、まず最初の「コンサルタント探し」の段階で「自分の存在に気づいてもらうこと」、すなわち「認知してもらうこと」の重要性です。

また、そもそも見込み顧客はなぜコンサルタントに社内の課題解決を依頼しようとするのかについても知る必要がありますが、それは次の3つに集約することができます。

  • ・第三者視点からの客観的な評価や分析
  • ・課題解決のスピードアップ
  • ・課題解決能力や知識、ノウハウの習得

このように、見込み顧客がどのような時にコンサルタントへの依頼を検討し、どのようなプロセスで選ぶのかは、最低限知っておくべきことと言えるでしょう。

コンサルが集客施策を実行するときの心構え

ここからは、コンサルタントが集客施策を実行する際に、心がけておきたい3つのポイントについて解説していきます。

相談しやすい受け皿を作る

コンサルタントは、そもそも見込み顧客側にとってサービス内容や専門性、経歴や実績などが分かりづらい職種です。

見込み顧客にとって相談ハードルが高くなりやすい職種とも言えます。

そのため、見込み顧客が相談しやすい仕組みを作り、相談ハードルを下げることを心がけていく必要があります。

たとえば「集客コンサルタント」であれば、「企業の広報担当者向けのSNS集客セミナー」「企業の広報担当者向けのブログ集客セミナー」など、ターゲットを絞り込んだ具体的な無料セミナーを企画するなどです。

そういったセミナーに集まった方々に、無料相談などのサービスを提供し、お悩みを聞いた上で解決策を提案していきます。

このように、「集客のことならなんでも相談ください」というスタンスではなく、「自分が顧客側だったら」という視点で、顧客が相談しやすい仕組みを構築していく必要があります。

人脈(ネットワーク)を作る

コンサルタントは、見ず知らずの第三者からの依頼ではなく、知人からの紹介など人とのネットワークを介した相談や仕事の依頼が最も多いと言われています。

そのため、まずは自分の人脈をフルに活用して集客を図ることが大切です。

顧客側からすれば、全く知らない人よりも、信頼できる友人や知人に紹介してもらった人の方が、相談しやすいものです。

また、「友人や知人が紹介してくれるコンサルタントだから」と信頼も得やすくなります。

コンサルタントとして集客に困っている方は、Web広告やSNSなどに目が向いてしまいがちですが、人脈を活用した方が早く確実に成約につながりやすくなります。まずは「人脈を活用して集客ができないか」を考えてみましょう。

過去に勤めていた会社の同僚や、その際に知り合った知人など既存のネットワークを大切にしていくことはもちろん、異業種交流会や勉強会、各種セミナーなどに顔を出すことで人脈を広げることができます。

また、このような場で自分の強みや得意分野について紹介して、認知度を上げるようにしましょう。

フォローアップを忘れない

コンサルタントの中には、実績を上げるために新規顧客の獲得にばかり熱心な方がいます。

しかし、既存の顧客のフォローアップも忘れずに行う必要があります。

なぜなら、リピーターになってくれたり、長期契約や顧問契約に発展したりして売り上げの安定化につながる可能性があるからです。

さらに、既存の顧客が知人を紹介してくれて新規顧客の獲得につながることもあります。

フォローアップにはいろいろな方法がありますが、たとえば定期的にメルマガやDMを発信して、有益な情報を届けるという方法が考えられます。

このように、既存の顧客一人ひとりにしっかりと応えてきめ細かに対応することが、経営の安定化や新規顧客獲得につながるということを忘れてはいけません。

コンサルタントに適した集客手段とは

集客する手段としては、多くの選択肢がありますが、職種によって向き不向きがあります。

ここからは、コンサルタントに適した集客手段をいくつかご紹介いたします。

ホームページ制作とコンテンツマーケティングを実践

コンサルタントの集客手段としてホームページの制作は必要不可欠です。

なぜなら、「依頼する前にまずはホームページを見る」という顧客が多いからです。

いくら良いサービスを提供していたとしても、「誰が提供するのか?」は誰でも気になるものです。特にコンサルタントのような、自身のビジネスにとって重要な助言をもらう存在であればなおさらです。

また、HPがあれば、コンテンツマーケティングを行うことが可能です。

コンテンツマーケティングにおいては、開設したホームページに自分の専門領域や実績を掲載し、加えて顧客にとって有益な情報をコラムなどの形で発信していきます。

これによって、自分の強みやノウハウなどが言語化されて顧客に伝わりますし、SEO対策を行うことによって、検索エンジンで検索結果の上位に表示されることも可能となります。

つまり、問い合わせや相談の機会が増加して、それに伴う成約率アップの可能性が高まるということです。

チラシやパンフレット、名刺のコンテンツ化

紙媒体のチラシやパンフレット、名刺をコンテンツ化して集客を図る方法もあります。

インターネットやSNSの時代だからこそ紙媒体のチラシやパンフレット、名刺を見込み客などに配布することは集客に効果的です。

チラシやパンフレット、名刺に経営理念、経歴、専門分野、コンサル実績などのブランディングを意識したコンテンツを掲載するなど工夫すれば、顧客から興味を持ってもらえる可能性があります。

また、自分自身が力を入れて発信している媒体(SNSやブログ、自社サイトなど)のQRコードを掲載するのも有効です。

SNSで自己PRと情報発信

SNSによる情報発信もコンサルタントの集客手段として有効です。

SNSで発信した情報は「いいね」や「シェア」「リポスト」などによって拡散されます。思わぬ人や企業に伝わって、認知や集客につながる可能性があります。

SNSで発信される情報の種類は千差万別なので、多くの情報の中に埋もれてしまわないように、独自性を持たせた専門分野の豆知識やTIPSなどを定期的に投稿することがコツです。

SNSの投稿は比較的気軽に行えることがメリットですが、ホームページのコンテンツと同様に手間がかかるという点や、集客できるまでには時間がかかる点には注意しましょう。

セミナーを開催

自分の得意分野や専門分野をテーマとするセミナーを開催することも有効です。

なぜなら、セミナーにはテーマに関心のある顧客が有益な情報を求めて参加しているためです。

また、そういった受講者と直接話をする機会を持つことができるのもメリットです。

受講者の中には、テーマに関心があるだけではなく、他にも具体的な課題を抱えた方がいる可能性もあり、コンサル契約に発展することも十分に考えられます。

自分の得意分野や専門分野に関するセミナーということもあり、自ずと自信にあふれた講義ができるので、ブランディングという点からも効果的です。

書籍を出版

自分の専門分野に関する書籍を出版し、全国の書店に流通させることも集客に有効な手段の1つです。

「書籍が持つ信頼性の高さ」は他のメディア以上です。そのため、書籍は自身のブランディングという点でも非常に効果があります。

また、書籍の情報量はホームページのコラムやチラシ、パンフレット、SNS投稿などよりも多いため、自分が顧客に伝えたいことを余すことなく掲載することができます。

ちなみに、一般的な書籍のページ数は200ページ程度で、文字数は7万~10万文字程度です。

紙媒体のA4判のチラシの文字数は1,000文字〜2,000文字程度ですから、書籍では比較にならないほどの情報を伝えることができることがわかります。

しかし、出版するだけではダメです。出版しても、ターゲットとなる見込み顧客に読んでもらえなければ意味がありません。そこで重要になってくるのが、ブックマーケティングです。

ブックマーケティングの重要性

コンサルタントが書籍を出版したとしても、単に自分が配るだけの名刺代わりの書籍で終わってしまっていては意味がありません。

書籍をマーケティングの一部として活用し、コンサルタント自身の強みなどを伝え、問い合わせなどの集客につながるような取り組みをしていく必要があります。

そこで重要になってくるのがブックマーケティングです。

ブックマーケティングは、書籍を単に出版社の販路だけではなく、あらゆる情報発信の手段を活用し、ターゲットとなる見込み顧客に届けて問い合わせなど、集客面で貢献させるマーケティング施策です。

ブックマーケティングを実施する際の重要事項について、以下で具体的に説明します。

事業ターゲットの理解と的確なアプローチ

ブックマーケティングを行う際には、書籍の企画段階からターゲットの明確化とアプローチ方法を決めておく必要があります。

つまり、出版する書籍を誰に読んでもらって、何を伝えるのかということを決めておき、さらにそのターゲットに確実に届けるためのプロモーションまでを想定しておくことが大切です。

効果的なコンテンツ戦略の立案と事例の紹介

書籍のターゲットと伝えたいことが決まったら、次は具体的なコンテンツを練り上げていく段階です。

編集者とともにターゲットの課題に寄り添うコンテンツを作り上げていきます。コンテンツの中に、自然な形で自分自身の実績もできるだけ事例として掲載していくことを心がけましょう。

書店でプロモーションを実践

書籍が完成すると、具体的なプロモーション計画を立てます。

ブックマーケティングの場合は、あくまで書籍はマーケティングのためのツールですから、確実にターゲットの目にとまる書店の書棚に並べて、書籍テーマに関心のある方やニーズのある方に購入してもらうようにしなければなりません。

ブックマーケティングのゴールは書籍を売ることではなく、書籍を読んだ見込み客の集客をはじめとして、ビジネスメリットを達成するための手段であることにあります。

書籍コンテンツを二次利用してSNSやWEBサイトを強化

ブックマーケティングで出版した書籍コンテンツは、著作権が著者にあるため、二次利用できます。

たとえば、書籍の一部をホームページのコラムやブログに掲載してSEO対策に活用したり、SNSで発信したりすることも可能です。

このように、書籍コンテンツをあらゆる媒体に活用し、マーケティング効果を最大化することができます。

営業ツールや紹介ツールとして書籍を活用

ブックマーケティングで出版した書籍を、営業ツールとして配布したりすることができます。

また、自分で配布する以外にも、見込み顧客や知人に配布しておくことで、思わぬ集客や相談につながる可能性があります。

書籍テーマでセミナーを開催

ブックマーケティングで出版した書籍のテーマでセミナーを開催することもできます。

書籍は全国規模で流通しますので、興味や関心のある見込み顧客や書籍の内容に共感した潜在顧客などが全国から参加してくれる可能性があります。

さらに、セミナー後に名刺交換会や懇談会を設けることによって、集客や具体的案件の相談などにつながる可能性があります。

▶️ブックマーケティングの詳細については、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。

コンサルタントのブックマーケティング成功事例

コンサルタントのような、顧客から依頼してもらえるまでのハードルが高く、顧客との信頼関係の構築が重要なビジネスを行っている方にとって、ブックマーケティングは相性の良いマーケティング手法です。

実際に、コンサルタントがブックマーケティングを行って集客に成功した事例を2件ご紹介します。

事例①:ターゲット特化してその道の専門家としてブランディング

建設業専門のコンサルタントの事例です。

この方は、自身の商圏での開拓はある程度行ってきていましたが、次のステージにすすむために、知名度の向上と商圏の拡大を狙って書籍を出版しました。

書籍のタイトルに「建設業のための」という文言を入れたことによって、狙い通りのターゲットにダイレクトにアプローチすることができ、さらには書籍の配本を首都圏中心に行うことによって「商圏の拡大」にもつながりました。出版の翌日から問い合わせが殺到し、複数件の顧問契約獲得につながっています。

このように、ターゲットに特化した専門家であることを世間に認知させ、ブランディングを行っていくために、ブックマーケティングは有効な手段と言えます。

通常、本は販売部数を増やすために、「できるだけ多くの人に読んでもらいたい」という意図でタイトル付けをするものです。今回の書籍であれば、「建設業のための」と入れることによって、ターゲットが一気に狭まってしまうため、販売できる可能性のある部数が減ってしまいます。

しかし、書籍を通じでどのようなブランディングを行っていきたいのか、の目的を企画段階で明確にしていたからこそ、書籍のタイトルに「建設業のための」という、ターゲットを狭めながらも狙った読者層からの集客をイメージした文言を入れる決断ができたのです。

このように、通常の出版とは違う考え方で、マーケティングのツールの1つとして企画し、出版していくのがブックマーケティングです。

事例②:得意分野をコンテンツ化してその分野のNo.1へ

日本では起業した会社の約6割が1年以内に廃業しているという現実がありますが、資金調達支援のコンサルタントである著者は「適切な融資の下、創業者が夢を実現できるように」という思いから書籍を出版しました。

書籍の中では、自らが立ち上げた会社が創業後3年間に8200万円の融資を受けて事業を軌道に乗せることができた実績を元に、中小企業でも高額の融資が受けられるという秘訣を公開。

自社が得意とするWebやSNSのコンテンツ化によって、問い合わせ件数が3~4倍に増加して受注件数が伸び、その結果、融資支援実績が日本一になりました。

このように、自身の強みや想いをしっかりとターゲットに届けることができるのもブックマーケティングならではのメリットです。

Web広告やSNSなどでいくら長文で伝えようとしたとしても、「パッと見てわかる」ことが重視されるネット媒体では、伝えられる情報量に限界があります。

しかし、書籍は違います。しっかりと長文が読まれる媒体です。特に内容がターゲットに刺さるものであれば、ネット媒体の比にならないほどの情報量を伝えることができます。

また、書籍を読んでもらえることによって著者や提供するコンサルティングサービスへの理解も深まり、顧客教育にもつながります。

結果として、読者は著者のファンになり、仕事の依頼をすること前提で問い合わせいただけるようなホットな信頼関係を作ることができるのです。

まとめ

本記事では、コンサルタントの集客が難しい理由やコンサルタントに適した集客手段について解説しました。

コンサルタントの集客手段にはいろいろありますが、成功事例でも紹介したようにブックマーケティングを利用した集客は相性抜群です。

コンサルティングの依頼をしてもらうためには顧客からの信頼を勝ち取ることが不可欠ですが、「書籍を出版したという事実」だけで社会的な信頼性は飛躍的に高まります。

また、ターゲットを明確にした書籍内容やタイトルなどによって、効果的なマーケティングが可能です。結果として相談件数や成約件数の増加が期待できるでしょう。

集客に課題をお持ちのコンサルタントの方は、ぜひブックマーケティングの活用を検討してみてください。

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近年、SNS等の発展で情報収集が容易になりました。

そのため、顧客側は問い合わせ段階で購買意思が固まっているのが大半と言われており、プル型営業の重要性が高まっています。

本記事ではプル型営業とプッシュ型営業の違いや効果的なプル型営業手法を解説します。

目次【本記事の内容】

プル型営業とプッシュ型営業の違いとは

営業には大きく分けて、プル型営業とプッシュ型営業の2種類があります。

簡単に言えば、「待ちの営業(プル型営業)」なのか、「攻めの営業(プッシュ型営業)」なのか、という違いがあります。

実際にプル型営業とプッシュ型営業の具体的な違いや、それぞれの特徴を見ていきましょう。

プル型営業とプッシュ型営業の違いについて

プル型営業は、事前に仕組みをつくり顧客からの問い合わせを待つ営業スタイル、プッシュ型営業は、自分から積極的に顧客にアプローチする営業スタイルです。

プル型営業とプッシュ型営業それぞれの違いについては、以下のように比較してみると分かりやすいです。

特徴 営業タイミング 営業範囲 成約までの期間 営業に使う主な媒体 主な手法
プル型営業 事前に仕掛けづくりをして顧客からのアプローチを待つ営業 顧客が決めるため、自社では決められない 多数の顧客にアプローチできる プッシュ型営業に比べて成約までの期間は長い ・SNS

・オウンドメディア

・メルマガ

・オンラインセミナー(ウェビナー)

・SNS経由の問い合わせ

・Webサイトでの問い合わせ

・リスティング広告

プッシュ型営業 積極的に顧客にアプローチする営業 自社が決める 一度に1人(1社)の顧客にしかアプローチできない プル型営業に比べて成約までの期間は短い ・電話

・DM

・メール

・訪問

・電話営業(テレアポ)

・ダイレクトメール営業

・メール営業

・訪問営業

・キャッチセールス

プル型営業の特徴

プル型営業とは、事前に仕掛けを作っておき顧客からの問い合わせや資料請求などのアプローチを待つ営業スタイルです。

プル型営業は、インターネットやスマホの普及に伴って増加してきた営業手法です。インバウンド営業とも言われます。

かつてはプッシュ型営業(アウトバウンド営業)が主流でしたが、現在はプル型営業に取り組む企業が増えてきています。

プル型営業に取り組む企業が増えている背景には、多くの顧客が購入前にインターネットを利用して商品の情報収集や比較検討をするようになったという、行動傾向の変化があります。

インターネットで調べれば、あらゆる製品やサービスの情報が得られる時代。「自分で調べて自分で選ぶ」という選択肢が取りやすくなった現代だからこそ、時代に合った営業手法として、プル型営業は注目されているのです。

SNSやオウンドメディアでの情報発信、SEO対策、メルマガでの情報発信、オンラインセミナー(ウェビナー)の開催などが代表的なプル型営業の手法です。このように手法を用いてアプローチした見込み顧客に対して、商品やサービスをPRし、成約を獲得していきます。

プル型営業は仕組みを作ったり、顧客からの問い合わせを待つという手法なので、成果が出るまでに中長期的な取り組みが必要になりますが、1人の営業マンが多くの見込み顧客に継続的にアプローチし続けられる、といった効率の高さが特徴です。

プッシュ型営業の特徴

プッシュ型営業は、企業から顧客に積極的にアプローチする営業スタイルです。

たとえば、代表的な手法として電話営業(テレアポ)、ダイレクトメール営業、メール営業、訪問営業などがあります。

プッシュ型営業の場合、一度の営業でアプローチできる顧客は少人数です。プル型営業と違い、1人の営業マンができるアプローチ数には限界があるため、事前に顧客分析を行い、購入する可能性が高いターゲット層を選定しておく必要があります。

プル型営業ほど効率的ではありませんが、プッシュ型営業は、積極的に顧客にアプローチするため、成約するまでの期間が短く、早めに成果が出やすいというのが特徴です。

なぜいまプル型営業が必要なのか

インターネットが急速に普及した現代では、ほとんどの顧客が事前に商品やサービスについて調べており、問い合わせや来店の段階で購入するものを決めていると言われています。

このことは、Googleが2011年に提唱したZMOT(Zero Moment Of Truth)という概念にも示されています。

Whether we’re shopping for corn flakes, concert tickets or a honeymoon in Paris, the Internet has changed how we decide what to buy. At Google, we call this online decision-making moment the Zero Moment of Truth, or simply, ZMOT. The ZMOT refers to the moment in the buying process when the consumer researches a product prior to purchase.

インターネットの登場により、コーンフレークを買う時も、コンサートチケットを買う時も、パリへの新婚旅行も、私たちが何を買うのかを意思決定する方法が変わりました。Googleでは、このオンライン上の意思決定の瞬間を「Zero Moment of Truth」、または単に「ZMOT」と呼んでいます。ZMOTとは、購買プロセスにおいて、消費者が購入前に商品をリサーチする瞬間を指します。

引用元:Think with Google「Zero Moment of Truth(ZMOT)

かつては、直接店頭に行ってどの商品を買うかを決めるという顧客行動が主流だったので、企業は商品のポップやパッケージの改良に重要を置いていました。

しかし、インターネットが普及し、顧客行動が変化したため、企業のマーケティング手法も変化せざるを得なくなり、プル型営業のような「顧客側が選ぶ営業」が必要となったのです。

プル型営業のメリットとは

プル型営業のメリットをひと言で表すと「成約率の高い営業が効率よく少人数でできること」です。

一度に少人数の顧客にしかアプローチできないプッシュ型営業とは違い、プル型営業は一度に多くの人にアプローチすることができます。

仕組みを作るまでにある程度の時間と労力、お金がかかりますが、一度仕組みができてしまうと顧客側から自動的にアプローチしてもらえるような状態が出来上がります。

このように、プッシュ型営業よりも効率の良く、少人数で営業活動ができるのが、プル型営業のメリットと言えるでしょう。

そんな効率性の高さを含め、プル型営業に取り組むことで企業は次のような5つのメリットを享受することができます。

アポ獲得率や営業成約率が向上する

プル型営業のメリットとして、アポ獲得率や成約率の高さが挙げられます。

なぜなら、顧客がある程度興味を持ったうえで専用フォームや電話などで問い合わせをしてくれるからです。

サイトや記事、メルマガなどで、ある程度自社の商品やサービスの内容を理解し、興味を持った人だけが問い合わせをしてくれるので、アポイント獲得や成約につながりやすくなります。

また、企業としては、問い合わせを受けた時点で、事前に顧客が抱えている悩みなどを把握することができます。それを元に商談の際に適切な解決策を提示したり、顧客に合わせた提案をする準備ができるのもプル型営業ならではのメリットと言えるでしょう。

たとえば、あなたが「是が非でも今日は焼肉を食べたい」と思っていたときに、友人から「この寿司屋めちゃくちゃ上手いからおすすめだよ」と言われても行こうとは思わないでしょう。

一方で、美味しそうな焼肉屋さんを食べログで見つけたり、友人に「そういえば今日焼肉行きたいって言ってたよね?めっちゃ上手い焼肉屋みつけたから行こうよ!」と言われたりすると、「行こうかな」と思ってしまうと思います。

このように、プル型営業は、ある程度自社商品やサービスに興味を持った状態で問い合わせをくれたることによる見込み度合いの高さや、問い合わせ内容に応じて相手に合った提案をすることができるという点から、アポ獲得率や営業成約率は自ずと高くなります。

営業効率が格段に上がる(営業工数の削減につながる)

営業効率が格段に上がり営業工数の削減につながることもメリットの1つでしょう。

プル型営業は、仕組みを作るまでが大変ですが、一度出来上がってしまえば、1人の営業マンが、多くの顧客に無理なく情報を発信し続けることができます。また、興味を持った見込み度合いの高い顧客が自動的に集まってくる状態になるので、少ない人員で回すことが可能です。

たとえば、化粧品を購入したい顧客が、Googleなどの検索エンジンで「化粧品 おすすめ」で検索したとしましょう。検索上位に自社の商品が掲載されると、購買意欲の高い顧客に自社サイトや記事、商品・サービスページを見てもらうことができます。

同じような検索をする購買意欲の高い顧客が多数存在する可能性があるので、プッシュ型営業で個別にアプローチを行い、購買意欲を高めて成約を得るのに比べると営業効率が格段に上がります。

結果として、営業活動全体の効率を高めて営業工数を削減することができるのです。

信頼関係が構築しやすい

プル型営業のメリットとして、顧客との信頼関係が構築しやすいことも挙げられます。

なぜなら、プル型営業では、顧客が自分の都合でアプローチをしてくるからです。

プッシュ型営業の場合、企業の都合によって営業活動(売り込み)を行うため、顧客によっては迷惑と感じたり印象を悪くしたりします。

一方でプル型営業の場合は、顧客自身は営業を受けているという感覚を持つことはなく、むしろ必要な情報がタイムリーに得られたことに好印象を抱きやすくなります。

たとえば、自分が興味のある美顔器について問い合わせをした結果、営業マンが詳しく丁寧に教えてくれることに対して、好印象を抱く人は多いでしょう。

一方で、営業マンがいきなり家に来て、一方的に全く興味のない商品に関して、「おすすめです」と詳しく丁寧に教えられたとしたらどうでしょうか。おそらく、好印象を抱くどころか迷惑に感じる方も多いのではないでしょうか。

このように、プル型営業は、結果を急がず、顧客が主体的にアプローチしてくるように上手く誘導していく手法のため、顧客と良好な関係を構築しやすいのです。

見込み顧客のニーズが把握しやすい

見込み顧客のニーズが把握しやすいというメリットもあります。

なぜなら、問い合わせの際に、見込み顧客の悩みやニーズなどを把握することができるためです。

たとえば、ダイエットに関心のある顧客の場合、問い合わせフォームに「食べ物でダイエットしたいのか、それとも軽い運動でダイエットしたいのか、比較的ハードなトレーニングでも良いのか」などの質問項目を設けておけば、その回答によって顧客のニーズが把握できます。

顧客のニーズが具体的に把握できれば、それに応える最適な提案を先回りして準備することが可能となります。結果的に、提案した際に「今の私にぴったりな商品・サービスだ」と思ってもらいやすくなるのです。

長期的な費用対効果が高い/コンテンツが資産になる

資産性の高さや、長期的な費用対効果が高いこともプル型営業のメリットの1つでしょう。

プル型営業の場合は、SNS、メルマガ、オウンドメディアなどでの継続的な情報発信や、そこから成約させるための導線設計、成約しやすいLP(ランディングページづくり)、など営業の仕組みを作るのに手間がかかり、ある程度の初期投資が必要となります。

しかし、一度作った仕組みは長期間にわたって自社で活用できる営業資産となる上、顧客の反応やデータ分析を元にして最適化していくことができるので、長期的な運用により、費用対効果が徐々に高くなっていきます。

このように、プル型営業で作った営業の仕組みは、一過性のものではありません。継続的に効果が続きます。結果として、継続的な顧客獲得や売上向上につながるため、費用対効果が高くなるのです。

プル型営業のデメリットとは

プル型営業のデメリットを簡単に言えば、成果がでるまで時間がかかることや、短期で安定した成果が出にくいことなどです。

具体的には以下の3つがプル型営業のデメリットです。

仕組みを作るまで時間がかかる

プル型営業では、顧客が興味を持ち、問い合わせをしてしまうような仕掛けを作ったり、そこから自動的に顧客教育を施すようなコンテンツを作成したり、多くの見込み顧客に商品・サービスページを見てもらうためにSNSやオウンドメディアなどで情報発信したり、仕組みの構築が必要不可欠です。

たとえば、プル型営業の代表的な手法であるSEO対策の場合、次のような事前準備が必要です。

  • ・見込み顧客が検索するキーワードの調査・選定
  • ・コンテンツ制作
  • ・コンテンツ改善
  • ・お問い合わせフォームなど、導線作成
  • ・LP(ランディングページ)の作成

また、これらの準備が整ったとしても、Googleで検索上位になり、成果を出すには最低でも6ヶ月程度かかります。このように、プル型営業は成果が出るまでには仕組み作りや、サイト育成など、少なくとも数ヶ月以上はかかると言われています。

そのため「成果を一刻も早く出したい」という企業や、「このような仕組みが出来上がるまで資金が続かない」という企業には向かない営業手法です。

安定した成果を得るのが難しい

安定した成果を得るのが難しいこともプル型営業のデメリットの1つです。

なぜなら、問い合わせのタイミングを決めるのはあくまで顧客自身だからです。

つまり、SNSやオウンドメディア、メルマガなどで情報やコンテンツを発信して、LPやフォームなどの導線を整えたあとは、顧客からの問い合わせを待つしかありません。

見込み顧客が問い合わせをしやすいような誘導はできても、最後に問い合わせするかどうかを決めるのは顧客自身です。これを企業側がコントロールすることは難しいと言えます。

このように、プル型営業の場合、問い合わせ数をコントロールすることが難しいため、予想以上の問い合わせの対応に追われたり、問い合わせが少なすぎて成果が表れないことなども十分に考えられます。

柔軟な提案に繋げづらい

柔軟な提案に繋げづらいこともデメリットの1つでしょう。

なぜなら、顧客が購入意欲を持って問い合わせをしてくるケースが多いためです。

顧客によっては、どの商品をどのように利用したいかまで決めている場合もあります。そのため、プッシュ型営業のように、ヒアリングや関係性構築から始める場合と比べて、自社からの柔軟な提案をしづらくなります。

たとえば、顧客が「部屋の空気をきれいにしたい」と考えて、空気清浄機の購入を決めて問い合わせをしてきた場合、「空気をきれいにするだけではなく、水もきれいにしましょう。こちらも今安くなっていてお得ですよ」とウォーターサーバーの契約を提案しても、断られる可能性が高いと言えます。

このように、問い合わせをした時点で、顧客のニーズは決まっているので、その意思決定を変えることは難しいと言えるでしょう。

プル型営業の効果的な方法

プル型営業のメリットは「成約率の高い営業が効率よくできること」です。

そのため、営業の仕組みができたら「いかにその仕組みに見込み度の高い顧客を多く引き込めるか」に注力するのが成果を出す効果的な方法と言えます。

具体的には以下のような6つの方法を用いて見込み度合いの高い顧客を引き込んでいきましょう。

SEO対策を図り自然流入を増やす

顧客の多くは、商品・サービスを購入する際にGoogleやYahoo!などの検索エンジンを利用して調べます。

そのため、もし顧客の検索結果の上の方に自社サイトなどが表示されていれば、顧客が検索した際に目につきやすくなり、プル型営業の仕組みに自然と流入するようになります。

この検索結果に自社サイトが上位に表示される状態を意図的に作り出すのが、SEO対策です。

顧客が検索するキーワードは数多く存在しますが、見込み度合いの高い顧客が検索するであろうキーワードで上位表示ができれば、安定的な問い合わせ獲得にもつながります。

メルマガでの情報発信・情報提供

自社のWebサイトを訪問して無料会員登録や、資料請求をしてくれた顧客などに対して、メルマガを発行し、継続的な情報発信を行うことも有効です。

無料会員登録や資料請求の申込フォームで、記入を必須にしておけば、見込み顧客のメールアドレスを入手することができます。

このメールアドレスに対して、顧客の購買意欲を高めるような内容のメルマガを定期的に配信すれば、継続的にプル型営業の仕組みに見込み顧客を引き込むことが可能です。

「お問い合わせしてもらったが成約しなかった人」なども、こういった情報発信を継続して行い続けることで、後に成約につながるケースも多々あります。

セミナー(ウェビナー)の実施

セミナー(ウェビナー)の実施をすることも有効です。

しかし、「商品・サービスの説明」という名目でセミナーを開いても人は集まりません。そのため、自社の商品・サービスに興味を持つ可能性の高い顧客が持つ悩みの解決方法を教えるセミナーを企画します。

たとえば、美顔器を販売する場合には、「40代女性向け、顔のたるみ解消セミナー」を企画するなどです。こうすることで、「顔のたるみに悩む人」「顔のハリに悩む人」など美顔器への関心や購入意欲が高いであろう多くの見込み顧客を引き込むことができます。

何かしらの悩みがあり、「その解決策がわかるかもしれない」とセミナーに参加した見込み顧客に、解決策の一つとして自社の商品・サービスを提案していくのです。

各種SNSで情報発信して認知拡大

SEO対策などと同様に、自社のSNSでの情報発信も、より多くの見込み顧客を獲得する上で有効な手段です。

よく利用される主要SNSは、X(旧Twitter)、Facebook、Instagram、Youtube、TikTokなどです。

近年は検索エンジンではなく、SNSで検索する顧客も増えています。SNSは、拡散性の高い媒体なので、運用に成功すれば、多くの見込み顧客の流入が期待できます。

リファラルマーケティングの活用

リファラルマーケティングとは、既存の顧客が新規の顧客を紹介することによって商品やサービスを広めるマーケティング戦略のことです。

簡単に言えば、取引先や知人、友人からの紹介を活用して、商圏を広げていくのがリファラルマーケティングです。

また、ネットでの口コミやレビューを投稿し、商品やサービスを広めていくこともリファラルマーケティングにあたります。

リファラルマーケティングは、すでにある人間関係の中から紹介が生まれるため、成約率が高いのが特徴です。

商品やサービスのティーアップがされている状態で紹介されるため、信頼関係ができた状態、または紹介者の信用を借りた状態で営業ができます。

自社や自分のいないところで商品・サービスの魅力が人づてで伝わっていく状態が作れるので、多くの見込み度合いの高い顧客を集めることにつながります。

ブックマーケティングで確度の高い見込み客を集客

ブックマーケティングもプル型営業において、見込み度の高い顧客を多く集めるのに有効な手法です。

プル型営業は、待ちの営業なので、「問い合わせをしてみたい」「興味がある」と顧客が思う状態をいかに作り出すのかがポイントです。

そのためには、商品・サービスの説明だけではなく「その商品やサービスがいまの自分に必要な理由」など、顧客がその商品・サービスに興味を持つように、顧客を教育していかなければなりません。

しかし、今は見込み顧客に文章を読んでもらうことが難しい時代です。

特に、見込み顧客との関係値構築が長期で必要なビジネスの場合、「Web上で発信してもなかなか商品・サービスの良さが伝わらない」などの悩みを抱えている方も多いと思います。

そんな方におすすめなのが、ブックマーケティングです。

書籍をただ出版するのではなく、いかに見込み度合いの高い顧客の手元に届けるのかまでを見据えてあらゆる施策を行っていくのがブックマーケティングです。

書籍は、読者がタイトルや内容に興味を持ち、お金を出して買っているため、基本的に長い文章が読まれます。

書籍が信頼性の高い媒体であることもあり、一冊読んでもらうだけで顧客教育がある程度できてしまうというのが、強みと言えるでしょう。

ある程度顧客教育ができた状態で問い合わせがくるため、必然的に成約率は高くなります。

このように、ブックマーケティングを活用することでも、見込み度合いの高い顧客を集めることが可能です。

プル型営業施策とブックマーケティングの相乗効果

プル型営業とブックマーケティングは相性がよく、それぞれの施策を組み合わせることにより、営業の仕組みが強化され、成約率が向上します。

具体的にプル型営業施策とブックマーケティングでどのような相乗効果を生み出せるのか、を具体的に紹介します。

ウェブマーケティング×ブックマーケティング

書籍のコンテンツは、たとえライターが書いたものであっても、著者や企業側の二次利用が可能です。

書籍の一部をコラムや記事として自社HPやオウンドメディアに掲載すれば、結果的に自社HPのGoogleからの評価を高めることができ、SEO対策の強化につながります。

また、書籍を出版したということでプレスリリースを打ったり、書籍の著者として大手メディアに寄稿したりすることにより、被リンク対策や情報の拡散にもつながります。

さらには、書籍を出版すると書籍のタイトルや著者の名前で検索する人が増えるので、おのずと自社のWebサイトへの流入も増加していくでしょう。

このように、紙媒体とWeb媒体で、さまざまな相乗効果が期待できるのが特徴です。

セミナー(ウェビナー)×ブックマーケティング

出版をきっかけに、セミナーを開催することで、書籍の内容に関心のある見込み顧客を集めることが可能です。

たとえば、出版記念セミナーや、書籍の内容に関連したセミナーなどです。

書籍の制作期間はおおよそ6ヶ月~8ヶ月なので、企画の段階でセミナー実施することを想定しておけば、書籍の告知と合わせてセミナー集客をすることができます。

また、出版実績のない講師よりも、ある講師の方が信頼性が高く、成約率が高くなりやすいのが特徴です。セミナー後の問い合わせ増加なども見込めます。

このように、セミナー(ウェビナー)とブックマーケティングもさまざまな相乗効果が期待できます。

SNS発信×ブックマーケティング

書籍を出版すると、おのずとWeb上に発信される情報が増えるため、SNSでの発信がしやすくなります。

たとえば、Amazonに書籍ページができたり、出版社が書籍の新刊リリースを出したり、書籍のコンテンツを二次利用してSNSの投稿ネタにしたり、SNSで書籍のプレゼントキャンペーンを行う、などです。

それに伴いコメントやリポストで拡散される数も自然と増えていきます。

結果的に、書籍の販売数が増えるという好循環が生まれ、読者からの反響の増加にもつながります。

このように、SNS発信とブックマーケティングにも、さまざまな相乗効果が期待できるのです。

リファラルマーケティング×ブックマーケティング

書籍を出版すると、既存の顧客が、著者や自社のことを紹介しやすくなります。

たとえば、書籍を出版していない著者を紹介する場合は、一体どんな人なのか、専門性や実績などを丁寧に説明していかなければなりません。

一方で、書籍の場合は、書籍の存在が著者や企業の「信頼性」や「専門性」を暗に伝えてくれるため、紹介されやすく、結果的に紹介が増えていくという相乗効果が期待できます。

プル型営業とブックマーケティングの成功事例

プル型営業の施策とブックマーケティングの施策をそれぞれ組み合わせることで、具体的にどのような相乗効果が生まれるのか、実際の事例をご紹介します。

不動産投資会社の出版書籍を医師が紹介して営業効率化に成功

この不動産会社の経営者は、高収入で支払う税金が多い医師に向けた不動産投資サービスの情報を記事やSNS、Web広告などを通じて発信し続けていましたが、なかなか魅力が伝わらず、悩んでいました。

そこで、高収入で購買意欲が高い一方で税金が多いことに悩む医師に対して、「最も効果的な節税対策が不動産投資である」ということを伝える書籍を出版。

ただ出版するだけではなく、あらかじめ、その後のマーケティング施策や展開なども見据えて企画していたことから、ターゲットである多くの医師に書籍を届けることができました。

その結果、書籍を購入した多くの医師に不動産投資に大きな節税効果があることを認知してもらうことができて多くの成約を獲得しました。

そればかりか、既存の顧客が知り合いの医師に書籍を配ってくれて、そのことから新規の問い合わせにも繋がったそうです。

ブックマーケティングによって書籍を出版して顧客からの問い合わせを待つという、まさにプル型営業を実践して、営業効率や成約率を高めることに成功した事例と言えるでしょう。

まとめ

本記事では、プル型営業とプッシュ型営業のそれぞれの特徴や違い、プル型営業の具体的な手法や効果などについて紹介しました。

プル型営業手法はいくつもありますが、その中でもWebにはない特徴や強みを持ったブックマーケティングに今注目が集まっています。

「文章が読まれない時代に、いかにターゲットに多くの情報を読み込んでもらえるのか?」はどの企業も抱えている課題の1つでしょう。

そんな時代だからこそ、書籍という「読まれる媒体」の活用に突破口があるのです。

プル型営業の施策はWeb上での施策がほとんどなため、ブックマーケティングのような紙媒体の施策とは相性が良く、組み合わせることによってさまざまな相乗効果が生まれます。結果として、営業の仕組みが強化されて成約率が向上するなどの効果が見込めます。

もし、「プル型営業施策をやっているが、なかなか成果につながらない」という方は、プル型営業施策と合わせてブックマーケティングの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)

福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経営法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を歴任し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。

企業戦略においてマーケティングとブランディングが重要なのは周知の事実でしょう。

一方、その違いを明確に答えられる人は少ないかもしれません。

本記事では、マーケティングとブランディングの違いを紹介し、それらが経営戦略上どのように影響を及ぼすかを解説します。

目次【本記事の内容】

マーケティングとブランディングとは

「マーケティング」と「ブランディング」は企業が商品やサービスを販売し、存続し続けていく上で必要不可欠な活動です。

まずは、マーケティングやブランディングについて、それぞれがどのような活動を指すのかを正しく把握しておきましょう。

マーケティングとは何か

マーケティングとは、自社の商品やサービスを効率的に売るために行う活動全般のことを指し、「市場をつくる」という意味があります。

たとえば、市場調査や商品企画、価格設定、流通・販売チャネルの構築、広告宣伝、顧客の声のフィードバックなどの活動が含まれます。

商品やサービスを売るためのあらゆる活動がマーケティング活動に該当すると考えてください。

ブランディングとは何か

ブランディングとは、自社や自社の商品・サービスそのものの価値やイメージを高めようとする活動のことで、顧客の頭の中に自社やサービスへの良いイメージを作ってもらうことを目的としています。

たとえば、ブランディングに成功している代表的な企業がiPhoneなどで有名なアップル社でしょう。

アップル社と聞けば、「こだわり抜かれたデザインや革新的な商品を出す会社」「創業者のスティーブジョブズの妥協なきものづくりの精神が根付いた会社」といったイメージを持つ人が多いと思います。

このようにアップル社に対する良いイメージが消費者に浸透しているため、たとえアップル社の出した商品が、他社よりも性能が劣っていたとしても、多少価格が高かったとしても、「アップル社の商品が欲しい」と選ばれるようになります。

このように、自社や自社の商品・サービスに良いイメージを持ってもらうための活動全般がブランディングです。

▶️企業ブランディングについては、関連記事【企業ブランディングとは?企業の成長における重要性や手法を徹底解説】もあわせて参考にしてください。

リブランディングとは何か

リブランディングとは、今までに作り上げてきたブランドを再構築すること、およびその戦略のことです。

時代の変化や、消費者の価値観の変化、競合他社の成長などにより、古くなってしまったブランド価値を刷新するために行います。

具体的なリブランディングの方法としては、ターゲットの見直しや、ロゴ変更、パッケージデザインの刷新、コーポレートサイトの刷新などがあります。

たとえば、リブランディングに成功した代表的な企業がユニクロを運営するファーストリテイリング社です。

ユニクロはかつて2000年代後半に、「ユニクロとばれると恥ずかしい(ユニバレ)」という言葉が浸透するほど、安かろう悪かろうなイメージが定着していました。

しかし、メイドインジャパンを強調するロゴマークの刷新や、それと連動した世界各地の店舗デザインや商品企画、プロモーション戦略の刷新を実施。

見事に今現在のような「高品質の商品を低価格で提供するジャパンブランド」としてのリブランディングに成功しています。

時代の移り変わりが激しい時代だからこそ、時代に沿ったニーズに柔軟に適応していくために、ブランディングと共に重要視されているのがリブランディングです。

PRとは何か

PRとは、「Public Relations(パブリック・リレーションズ)」の略語で、直訳すると「公衆との望ましい関係づくり」という意味です。

PRは宣伝や広報よりも広い概念で、自社の情報を広く社会に周知する活動全般を指します。

たとえば、「プレスリリース」「オウンドメディア」「社内報」「メディア対応」などが主なPR活動です。

よくマーケティングと混同されることもありますが、そもそもPRとマーケティングは目的が違います。

PRは企業価値の向上や認知度の拡大、マーケティングは商品・サービスの販売促進を目的としています。迷ったら「どんな目的で行うのか?」で見分けましょう。

また、PRはブランディングで形成されたイメージを元に実施されるのが一般的です。

そのため、ブランディングの延長線上にPRがあると考えてください。ブランディングで良いイメージを構築し、PRでさらにそれを広く社会に周知していくというのが一般的な流れです。

マーケティングとブランディングの違い

マーケティングとブランディングの違いは主に次の5つです。

  • ・その1:目標
  • ・その2:意義・方針
  • ・その3:ニーズ・焦点
  • ・その4:手段・方法
  • ・その5:施策の期間

それぞれについて具体的にどのような違いがあるのかを見ていきましょう。

違いその1:目標

ブランディングとマーケティングはよく混同されますが、そもそも目標とするものが全く違います。

まず、ブランディングは、消費者に自社や自社の商品・サービスに対する良好なイメージを持ってもらうことが目標です。

一方で、マーケティングは、自社の商品やサービスの価値を効果的に訴求することが目標です。

そのため、商品・サービスをとにかく売りたいのであればマーケティング施策を、価格競争などから脱していきたいのであればブランディング施策を選択する必要があります。

「自社の商品を販売したいからブランディング施策を実施する」のは大きな間違いです。

目標とするものが何かによって取るべき最適な施策が異なるので注意しましょう。

違いその2:意義・方針

ブランディングとマーケティングには、意義や方針の違いもあります。

ブランディングは、自社の商品やサービスが「どうあるべきか」という社会的存在意義や向かうべき方向性を大きな枠組みで考え続けることです。

時代により消費者の価値観が変わると、自社の商品やサービスに対するイメージも変化することが考えられます。ブランディングは一度考えたら終わりではなく、時代に沿って、継続的に「どうあるべきか」を考え続けることが大切です。

一方で、マーケティングは、自社の商品やサービスを売るために「どうすべきか」を考える具体的な活動方針です。

たとえば、テレビCMなどのマス広告、Web広告、SNSの利用などのプロモーション活動などがこれにあたりますが、商品やサービスが変われば活動方針も施策もガラリと変わります。

このように、大きな枠組みの中で存在意義や方向性を考え続けるのがブランディング、その土台の上で「自社の商品やサービスをどう売っていくのか」という具体的な活動方針を考えるのがマーケティングです。

違いその3:ニーズ・焦点

ブランディングとマーケティングには、ニーズや焦点の当て方に違いがあります。

ブランディングは、自社の強みをターゲットの消費者に訴求して、「このブランドを選べば間違いない」というイメージを持ってもらうことに焦点を当てます。

つまり、焦点は自社です。

一方で、マーケティングは「消費者のニーズは何か」に焦点を当てます。

このように、「自社の強み」と「消費者のニーズ」どちらに焦点を当てるのかが、マーケティングとブランディングの大きな違いです。

また、消費者のニーズが顕在化している場合は、それに応える具体的な商品やサービスを訴求するようなマーケティングを実施します。

一方で、消費者のニーズが潜在的にある場合は、ニーズを深掘りし、自社の商品やサービスで解決できるようなイメージを持ってもらうようにブランディング施策を実施していきます。

つまり、顕在化した消費者のニーズにはマーケティングを、潜在的なニーズにはブランディングを、というように使い分けていく必要があるのです。

違いその4:手段・方法

ブランディングとマーケティングには、手段や方法にも違いがあります。

ブランディングを行う際には、消費者の心理形成につながるような手段や方法を採用します。

なぜなら、消費者の心の中に良好なイメージを作ってもらう必要があるからです。

たとえば、消費者に対してのブランディングの場合、印象に残りやすいブランド名やロゴの設定、キャラクターの作成やコーポレートメッセージの作成、サイトの刷新などが主なブランディング施策の方法です。

また、社内に対するブランディングの場合、従業員向けのブランドブックの作成、独自の人事認定制度の創設などの方法があります。

一方、マーケティングでは、商品やサービスに対する消費者の理解や購買意欲向上につながるような手段や方法を採用します。

たとえば、各種広告やオウンドメディアのコンテンツ、SNSでの情報発信、メールマガジンなどを利用して消費者への広告宣伝を行う、などです。

このように、手段や方法も異なるので、混同してしまわないように注意しましょう。

違いその5:施策の期間

ブランディングとマーケティングでは、施策に取り組む期間の長さが違います。

マーケティングと違い、ブランディングは長期的な取り組みが必要です。

なぜなら、ブランディングの目標であるブランドイメージを形成するには長い期間を必要とするからです。

一方で、マーケティングが目標とする顧客の購買行動は比較的短い期間で成果が表れます。

たとえば、ロゴを刷新したところで、すぐにその効果は感じられませんが、Web広告に出すページを修正した場合には、その効果はすぐに現れます。

このように、ブランディングとマーケティングはそもそも取り組む期間の長さが違うということを認識しておきましょう。

アウターブランディングとインナーブランディング

ブランディングには、大きく分けてアウターブランディングとインナーブランディングの2種類があります。

アウターブランディングとは、社外に対するブランディングのことです。

アウターブランディングの対象には、消費者や取引先をはじめとするステークホルダーのほか、新卒や中途採用の就職希望者なども含まれます。

消費者に自社やサービスに対して良いイメージを持ってもらうのが目的であり、一般的に多くの人が「ブランディング」と認識しているのが、このアウターブランディングです。

また、法人を対象としたビジネスをしている企業が行うBtoBブランディング、一般消費者を対象とする企業が行うBtoCブランディング、自分自身をブランド化して価値を高めるセルフブランディングなどのように、アウターブランディングの中でも細かく種類が分かれています。

一方で、インナーブランディングとは社内向けのブランディングで、その対象には従業員のほか経営層・マネジメント層も含まれます。

たとえば、インナーブランディングとは自社の企業理念やブランド価値、行動指針を従業員に浸透させて共有できるようにする取り組みのことです。

インナーブランディングによって企業理念や行動指針などの理解が深まると、従業員のモチベーションやパフォーマンスが向上し、定着率アップや優秀な人材の確保につながります。

このように企業体質の改善を図り、市場における競争力を企業の内側から高めていくことがインナーブランディングの目的です。

ブランディングを行う企業メリット

企業がブランディングを行うメリットは、顧客を自社やサービスのファンにできることです。

ファンが増えることにより、具体的に次の3つのようなメリットを得ることができます。

ファン化の促進とリピーター獲得につながる

企業がブランディングに成功すると、ファンになってくれた人が商品やサービスを何度もリピートして購入してくれるようになります。

たとえば、アップル社の新商品販売日に、アップルストアに行列ができている光景をテレビなどで見たことがあるという方が多いのではないでしょうか。このように、企業がファン化に成功すると、消費者が頼んでもいないのに、一生懸命に購入してくれるようになります。

リピート購入とは、広告費用をかけずに購入してもらえるようになる、ということです。つまり、リピート購入が増えれば増えるほど、企業がかける1人あたりの広告費用は減っていきます。

このように、ブランディングにより顧客のファン化が促進し、リピーターが増えると、企業の利益向上が見込めるということです。

同業他社との差別化の実現による競争力の強化

ブランディングにより自社や自社の商品・サービスへ信頼感が高まると、ブランド力だけで商品を購入してもらえるようになります。そのため、同業他社との差別化が実現でき、競争力が強化できます。

なぜなら、機能がほぼ同等の商品であれば、価格が多少高めであっても自社の商品やサービスを選んでくれるようになるからです。

たとえば、素材も製法もほぼ同じ商品やサービスがあったとしても、ブランディングを実現することで価格の高い自社商品・サービスを購入してもらえるようになります。

このように、ブランディングに成功することにより、市場における価格や性能の競争に巻き込まれずに、価値を提供することができるということです。

▶️差別化戦略については、関連記事【差別化戦略の成功の秘訣ーメリットやデメリット、成功事例とは!?】もあわせて参考にしてください。

ブランド認知度および注目度の向上

ブランディングにより、ブランドの認知度や注目度が高まります。

なぜなら、ブランディングという活動自体が、自社や自社の商品・サービスに良いイメージを持ってもらうための施策だからです。

ブランディングを行ったから必ずブランド認知度や注目度が上がるという訳ではありません。

しかし、自社や自社の商品・サービスの強みや価値を見出し、それを上手く訴求できれば、ブランドの認知度および注目度の向上につながります。

たとえば、ユニクロは商品や店舗で使うロゴの刷新だけではなく、ユニクロの強みである「安くて良い品質のメイドインジャパン」を有名スポーツ選手をアンバサダーにするなど、戦略的に訴求したことによって世界的な認知度向上に成功しました。

また、今ではよく知られる鍋のメーカー、バーミキュラは日本の老舗中小企業「愛知ドビー株式会社」のブランドです。海外のメーカーだと思っていた人も多いのではないでしょうか。

バーミキュラの鍋は、「ホーロー加工された鋳物の鍋なのに、無水調理できるほどの機密性の高さ」という革新的な技術と、技術者の努力に裏付けされた説得力のあるブランドメッセージにより、世界的な認知度向上に成功しました。

このように、ブランディングに成功すると、企業活動自体が注目され、宣伝・販促活動が効果的に行えるようになります。

また、投資家からも注目されるようになり、資金調達も有利に行えるようになるなど、付加的なメリットにもつながります。

ブランディングを行うユーザーメリット

ブランディングは企業側のメリットばかりが語られますが、実は企業がブランディングを行うメリットはユーザーにもあります。

具体的には、次の2つのメリットをユーザー側は受けることができるのです。

商品・サービスを選択しやすくなる

企業がブランディングを行うことによって、ユーザーは、商品やサービスを選択しやすくなります。

なぜなら、知っているブランドの商品であれば、購入時に迷わなくても済むからです。

たとえば、企業が全くブランディングを行わなかったらどうなるでしょうか。毎回性能や材質、品質などを見て自分自身で見極めていかなければなりません。

自分が欲しいと思っていたものとは違う商品を購入してしまうことも多くなるでしょうし、商品そのものを探す時間が多くかかってしまいます。

このように、企業がブランディングを行うことによって、私たちは自分の欲しいものを短時間で選ぶことができているのです。

安心感が得られリスク回避になる

ブランディングは、購入するユーザー側の安心感にも繋がります。

なぜなら、信頼感のあるブランドを選べば、「商品やサービスを購入した後に後悔するのではないか」という不安を感じなくても済むからです。

たとえば、いつも購入しているブランドの食品があると安心して購入することができますが、はじめて購入するブランドの食品はどうでしょうか。きっと「美味しいのだろうか?」「ちゃんとした品質をしているのだろうか?」など色々な不安が出てくるはずです。

また、ブランドが確立している商品を選ぶことによってリスクの回避にもつながります。

なぜなら、新しい商品を購入する場合は、購入したものが期待した機能を果たすのか、支払った価格に見合うのか、などのリスクを消費者側が負わなければならないからです。

このように、企業がきちんと自社の強みを訴求してブランディングしてくれているおかげで、私たちは安心してリスクの少ない買い物ができているのです。

マーケティングとブランディングの相関関係と経営における重要性

マーケティングとブランディングはこれまで説明してきた通り全く違う施策ですが、相関関係にあります。

なぜなら、ブランディングは土台であり、その土台の上でマーケティングを行うことでより大きな影響力のあるプロモーションが行えるからです。

ブランディングによって認知度や信頼性が高くなると市場での競争力が強化されます。このような状態でマーケティング活動を行うと、より自社の優位性を高めた上で商品やサービスを販売することが可能です。

企業活動においてブランディングとマーケティングは車の両輪のようなものであり、経営の安定化を図るための重要な活動だということができます。

マーケティングとブランディングを同時に実現させる方法

ブランディングは自社や自社の商品・サービスのイメージを高めようとする活動で、マーケティングは商品やサービスを売るための活動です。いずれも企業活動を行うためには重要な活動です。

この2つの活動を同時に実現できる効率の良い方法が「ブックマーケティング」です。

なぜなら、書籍であれば1冊で、商品やサービスの特徴だけではなく、自社の強みや取り組みなどを含めたあらゆる情報を伝えることができるからです。

また、書籍は信頼性の高い媒体なので、オウンドメディアなどのWeb媒体に比べて、ターゲットである消費者に良いイメージを作ってもらうのに最適な媒体ということができます。

このように、信頼性の高い媒体で商品やサービスについてのマーケティング要素、自社の強みや取り組みなどを含めたブランディング要素の両方を一気に伝えられるという点で、書籍は効率的な媒体と言えるでしょう。

しかし、商業出版や企業出版をはじめとしてただ書籍を出版すれば良いという訳ではなく、それをしっかりとターゲットの手元に届け、読んでもらわなければ意味がありません。

そこで、出版するだけではなく、ターゲットに読んでもらうまでを戦略的に行っていくのが、ブックマーケティングです。

さらに、ブックマーケティングでは、どのようなターゲットに、どのような書籍を届けたいかの戦略設計を行います。

たとえば、ブランディングやマーケティングをこれまで全く意識的に行ってこなかった会社であってもブックマーケティングという施策を通して、自社の強みを見出し(ブランディング)、それを書籍としてまとめて見込み顧客に届ける(マーケティング)の両方を実施することになります。

今後マーケティングやブランディングを強化していきたい、という会社だけではなく、今までどちらも意識的にやってこなかった、という会社が行うファーストステップとしてもブックマーケティングはおすすめです。

▶️ブックマーケティングの施策内容や効果については、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。

まとめ

この記事では、マーケティングとブランディングの違いや、ブランディングを行うことによる企業とユーザー双方のメリット、経営戦略におけるマーケティングとブランディングの重要性などについて詳しく解説しました。

前述しましたが、マーケティングとブランディングは企業という車の前進を支える両輪です。どちらも企業の存続には必要不可欠なものです。

ぜひ、この記事でマーケティングとブランディングについて正しく理解し、両方を上手く取り入れてみてください。

どのようにマーケティングやブランディングの施策を始めたら良いかわからないという方や、どちらもやっているけれどもなかなか成果がでない、という方は、それら2つの施策を同時に実行できる「ブックマーケティング」という施策を検討してみてはいかがでしょうか。

フォーウェイではブックマーケティングによる、企業のブランディングやマーケティングをサポートしております。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

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執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

「書籍をマーケティング戦略で活用」と聞くとどのようなメリットを思い浮かべるでしょうか。

出版の方法はさまざまですが、企業が取り組む場合はその具体的な活用法を知っておきたいところ。

この記事では、書籍マーケティングの手法やメリットについて詳しく解説します。

目次【本記事の内容】

書籍マーケティングとは

書籍マーケティングとは、書籍を自社の信頼性・認知度向上や企業ブランディングに役立てるマーケティング手法です。

出版社が持つ販路を利用できるため、効率的にターゲットの元に届けることができます。

独自の技術や実績などの企業の強み、開発秘話などをストーリーとしてまとめて一冊の書籍という形で出版すれば、書籍そのものの信頼性と出版社の全国的な販路を活かして効果的なマーケティングを行うことが可能です。

書籍マーケティングの具体的な手法

書籍マーケティングにはいくつかの手法が存在します。

それぞれに特徴やメリット・デメリットがあるため、自社にとってどの手法が合っているか比較することが大切です。

書籍マーケティングの具体的な手法は以下の3つです。

商業出版/すでに影響力のあるインフルエンサー向け

商業出版はすでに影響力を有しているインフルエンサーや著名人が著者となる場合に向いた手法です。

出版にかかる費用をすべて出版社が負担して、出版社が利益を出すことを目的としています。

つまり、出版社は「売れる」という確信が持てるものしか採用できません。

実際に、ヒット作やベストセラーになる書籍の多くがこの方法で出版されています。

商業出版では、無名の人物が企画を持ち込んだ場合、よほど内容が良いものでなければ採用されることはありません。

また、万が一採用されたとしても書籍の内容を制限されることがほとんどです。

一方で、すでに影響力のあるインフルエンサーであれば、「インフルエンサーのファンに買ってもらえるだろう」「このファンの数ならこれぐらいの利益が期待できる」と目処を立てることができます。

そのため、出版に踏み切りやすくなるのです。

商業出版は出版社の負担で書籍を出せる魅力的な出版方法ですが、書籍の内容の自由度が低いことがデメリットにもなり得ますし、そもそも採用されるのは至難の技であると言えるでしょう。

自費出版/出版した事実を残したい経営者向け

自費出版は出版にかかる費用を著者自身が負担する出版方法です。

出版社からの制限を受けず、経営者が読者(顧客)に伝えたいことを自由に書くことができます。

著名人ではなくても自伝や個人的なノウハウ、物語を書籍という形で出版することができるため、出版した事実を残したい経営者向けの出版方法です。

自費出版の書籍の一つに、山田悠介『リアル鬼ごっこ』があります。

『リアル鬼ごっこ』は著者のデビュー作ですが、この作品がヒットし、今やメディアから注目されるホラー小説作家となりました。

上記のようにヒットする書籍もありますが、簡単なことではありません。

ヒットさせるのが難しい理由として、「発行部数が少ないこと」「プロモーションを自分で行う必要があること」が挙げられます。

自由な内容で書籍を出版できるという点では魅力的ですが、費用負担が重く、利益も出しにくいという点がネックとなる出版方法です。

企業出版/マーケティングとして書籍活用したい経営者向け

企業出版は、「商品・サービスの認知度向上」「他社との差別化」「企業ブランディング」など、企業が抱える課題の解消を目的とする出版方法です。

出版に関わるすべての費用を企業が負担します。

企業出版の最大の魅力は、企業が伝えたいメッセージを書籍という形で発信することができる点です。

たとえば、企業理念や、これまでの歩み、商品開発ストーリーなどを書籍という形で発信すれば、それを読んだ読者の心を動かし、ファン化させることができます。

書籍は信頼性の高い媒体という共通認識があるため、「書籍を出版している」という事実があるだけでも顧客にとって安心できる要素になります。

また、WebやSNSなどの媒体よりもメディアへの露出を増やしたり、宣伝広告費の削減に繋げたりすることも可能です。

このように企業の課題を解決し、事業成長に繋げたい企業にとって最適な方法と言えます。

書籍マーケティングのメリットとは

書籍マーケティングは費用や時間のかかる手法です。

しかし、それでも取り組む企業は数多くあります。

なぜなら、以下の6つのメリットを享受できるからです。

メリット①:信頼感の醸成ができる

書籍マーケティングによって、顕在層をファン化して商品やサービスの購入を働きかけることができるようになります。

なぜなら、「書籍を出版している」ということによって信頼感を醸成することができるからです。

もし、ファン化した顧客の商品やサービスの購入頻度が低かったとしても、中長期的には売上に貢献してくれると考えられます。

メリット②:情報量が多い/情報が集約できる

書籍マーケティングを行うことによって、自社の商品やサービスのPRだけではなく、企業理念や経営者の考えを顧客に伝えることができます。

なぜなら、書籍は他の媒体(テレビCM・新聞広告・雑誌広告・Web広告・チラシなど)と比べて織り込める情報量が圧倒的に多いからです。

たとえば、A4のチラシの文字数は1,000文字〜2,000文字程度ですが、200ページ程度の書籍の場合の文字数は約7万〜10万文字になります。

また、商品やサービスの情報だけではなく企業理念や経営者の考えなども含めた顧客に伝えたい種々の情報を1冊に集約することができることもメリットとなります。

情報を集約化する過程で、経営者の思考を整理したり、編集者の外部の視点から新たな気づきが得られたりすることも期待できます。

メリット③:メディア露出が増えPR効果が高まる

書籍の内容の専門性や話題性が高い場合は、多くのメディアに注目されて、露出の機会が増えることになります。

なぜなら、書籍は信頼性の高い媒体と認識されているため、メディアはその信頼性の高い情報を採用したり引用したりしようとするからです。

たとえば、良質な睡眠を得る方法が書かれたWebやブログの内容よりは、書籍に書かれている方法の方が信頼性が高いと判断されて、メディアが書籍の内容を紹介しようとします。

その結果、メディア露出が増え、PR効果を高めることができるのです。

メリット④:コンテンツが資産となり長期活用が可能に

書籍マーケティングによるコンテンツは資産として残りつづけます。その理由は、書籍は長期にわたって流通し、書籍に書かれたコンテンツも様々な用途に二次利用することができるからです。

たとえば、自社の商品の開発ストーリーを書籍にまとめて出版した場合は、営業ツールやセミナー資料として配布することが可能です。

さらに、書籍からWebサイトやブログなどのオウンドメディアに転用された場合も長い間ネット上に残り続ける資産となります。

その内容の専門性が高く信頼性のある内容であればあるほど、書籍としても二次利用されたコンテンツとしても価値の高い資産として残り続けます。

メリット⑤:ターゲティングやエリアマーケティングに最適

書籍を購入してまで情報を集めようとする人は、その商品・サービスに対する関心が高いと言えます。

そういったユーザーをターゲティングすれば、ピンポイントでユーザーの心に刺さる書籍をつくることが可能です。

また、書籍マーケティングでは、特定のエリアの書店だけに重点的に配本して、そのエリア内の顧客の認知度を高めるといったこともできます。

このように、書籍マーケティングはターゲティングやエリアマーケティングがしやすいため、テレビCMなどのマス広告よりも効果的にマーケティングを行うことができるのです。

メリット⑥:インナーブランディングも強化できる

書籍の中に企業理念や経営者の考えなども含めておけば、その書籍を社内研修などで配布したり、Webで公開したり、従業員に対するインナーブランディングに活用することもできます。

たとえば、株式会社アカツキでは、「アカツキハート」という会社で掲げる哲学を社内に浸透させるために、ブランドブックを作成。

ブランドブックの作成により、本社から離れた福岡や台湾にある拠点にも哲学が浸透し、本社との熱量に差がない状況を作り出すことに成功しています。

このように、書籍マーケティングによって企業理念などを著すことで社員のロイヤリティを向上させ、インナーブランディングを強化することが可能です。

書籍マーケティング成功のポイント

書籍マーケティングを成功させるためには、ゴールまでの道筋を立てることが最も重要です。

企画から書籍がターゲットに届くまでの道筋が定まっていないと、目的を達成することはできません。

書籍マーケティングを成功に導くためには、失敗事例を知ることも必要です。

▶️失敗事例については、関連記事【企業出版の教科書|メリットから費用、成功のポイントまでまとめて解説】もあわせて参考にしてください。

失敗事例から学ぶ成功のポイントについて、詳しく見ていきましょう。

目的とターゲットの設定

書籍マーケティングの最初の段階で決めなければならないことは、目的とターゲットの設定です。

「何のために書籍を作るのか」「情報の受け手であるターゲットは誰なのか」が決まらなければマーケティングの成功はあり得ません。

目的地が定まっていないのに出発したら、道に迷ってどの目的地にも辿り着けないのと同じです。

逆に言えば、目的とターゲットがきちんと設定できれば効果的な書籍マーケティングを実現できるということです。

そのため、書籍マーケティングを利用して目的を達成するためには、最初に目的とターゲットを設定する必要があるのです。

プロモーション戦略の立案と実行

書籍マーケティングは、顧客が達成したいゴールから逆算して流通戦略や広告販売戦略を考えます。

書籍を出版したとしても黙っているだけでは書店に置いてもらうことはできません。

書棚に置かれるためには、新刊を必ず書店に並べることを約束する特約店契約や書店との関係性が大切です。

書店販売のための流通戦略以外にも、様々な施策を組み合わせて流通させていく方法もあります。

書店販売以外の流通戦略とは、出版記念イベントや、書籍の内容に関係する著名人やインフルエンサーとのコラボレーションなどです。

書籍に合ったプロモーション方法を立案し、確実に実行することは書籍マーケティングの成功のポイントと言えます。

書籍を出すことで満足しない長期的視野での活用戦略

書籍マーケティングは、書籍を出版することを目的とするものではありません。

なぜなら、書籍の出版は手段であり、商品・サービスの認知度向上や顧客の購買意欲向上などを図り、売上や利益の向上を図ることがゴールだからです。

書籍を出版することが目的になってしまっては、「名刺代わり」で終わってしまいます。そうならないためにも、出版した後に書籍をどのように活用するのかというイメージを立てておくことが大切です。

たとえば、書籍の企画決定後にクラウドファンディングを立ち上げて資金集めを図りつつ、書籍の事前告知をして認知拡大を図ったり、書籍の発売に合わせてSNS上でストーリーを紡いで続きを書籍に引き継いだりすることも活用方法として考えられます。

近年メジャーになっているLINEマーケティングを書籍に活用するのも効果的です。

書籍にLINEの友だち登録のQRコードを設置しておけば、ユーザーとの接点を作ることができます。

LINEで定期的に商品・サービス情報やクーポンなどを配信することで、コストをかけずに販促活動を行うことができます。

書籍マーケティングの出版社の選び方

書籍マーケティングにおいては、いかに自分が著したい内容に寄り添って提案・プロモーションをしてくれる出版社を選ぶかが大切です。

出版社を選ぶ上で見極めるポイントは次の3点です。

出版プランナーの提案と質疑応答

書籍の企画を考える段階では、「読者に何を伝えたいのか」「自社の強みはどういうところにあるのか」を整理して、どのような書籍を書くことができるかを出版社のプランナーと検討します。

このときには、プランナーの提案内容と質疑応答の態度などに注意しましょう。

たとえば、経営者の視点に立って提案をしてくれるような場合は問題ありませんが、質問に対して真摯に答えてくれず、はぐらかされてしまうような場合は要注意と考えるべきでしょう。

プランナーは出版社における営業の役割を担うため、プランナーの対応は出版社を見極める際の大きなポイントとなります。

出版社および編集者の実績

出版社の実績ということになると大手の出版社が優位になってしまいますが、実は編集者の実績も重要なポイントです。

なぜなら、「編集者がどのようなジャンルの書籍を得意としているのか」「これまでにどのような成功事例があるのか」によって、書籍マーケティングの成否が変わってくるからです。

たとえば、「編集実績が業界内でトップクラス」「編集した書籍が軒並み成功している」などの実績を持つ編集者がいれば、安心して任せることができるでしょう。

出版社のネームバリューだけにとらわれず、必ず編集者の実績も確認することが大切です。

書籍のプロモーション方法の確認

出版社がどのようなプロモーションを行ってくれるのかを具体的に確認することも、自分の書籍にとって良い出版社を選ぶ上で重要です。

書籍のプロモーション方法の確認を行うべき理由は、打ち合わせの時に決めたプロモーション方法が行われないことがあるからです。

実際に、提案時は「書店に並びますよ」などと調子がいいことばかり言っていたのに、実際に出版してみるとほとんど並んでない、一般の書棚ではなく自費出版専門の書棚に並んでいたというのはよくある事例です。

このようなことにならないためにも、依頼したプランやオプションの範囲内で、具体的にどのようなプロモーションを行ってくれるのか確認しましょう。

▶️書籍マーケティングの具体的なプロモーション方法については、関連記事【出版マーケティングの効果的なプロモーションとは? 広告手段も解説】もあわせて参考にしてください。

まとめ

この記事では、書籍マーケティングの具体的な手法やメリット、書籍マーケティングを成功させるためのポイント、出版社の選び方などについて詳しく解説しました。

書籍マーケティングを活用することによって、その書籍を企業のブランディングや認知度向上、顧客の購買意欲向上などに役立て、売上向上・利益改善などの経営課題の解決につなげることができます。

広告やSNS、SEO、オンライン施策など、様々なマーケティング手法を試しているにも関わらず、なかなか効果が出ない、目的を達成できない場合は、書籍マーケティングを取り入れてみてはいかがでしょうか。

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執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)

福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経営法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を歴任し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。

競合他社との差別化は、企業の成長戦略を考える上で欠かせないポイントです。

ただし、差別化戦略は各種広告施策とは異なり、売上や利益向上など、分かりやすい成果として表れにくく、差別化に成功しているかどうかの判断が難しいでしょう。

本記事では、差別化の重要性や、他社と差別化するため具体的な戦略の考え方を解説し、成功のポイントや成功事例を紹介します。

目次【本記事の内容】

差別化戦略とは

そもそも「差別化戦略」とは、アメリカの経営学者マイケル・ポーターが提唱した3つの競争戦略(コストリーダーシップ戦略、差別化戦略、集中戦略)の中の1つです。

▶️参考記事【競争戦略とは? ポーターの基本戦略と国内企業の実践事例を振り返る】https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00081/021700329/

差別化戦略の定義と目的

差別化戦略とは、競合他社がマネすることができない自社の製品・サービスの価格以外の特徴や付加価値をアピールすることにより、自社の競争優位性を築き上げる戦略のことです。

業界内でのポジションの確立と、市場におけるブランド力の向上、自社製品やサービスの価格が高くても売れるようにすることを主な目的としています。

差別化戦略の重要性

競争が激化する市場において、企業が成功するためには差別化戦略が必要不可欠です。

インターネットやSNSが浸透した現在の社会では、顧客には多くの製品やサービスの選択肢があります。ひと昔前と違い、良い製品・サービスを作ったから売れる、という時代ではありません。顧客のニーズに合致した自社にしか出せない魅力をアピールし、認知してもらわないと製品やサービスを利用してもらえない時代です。

一方で、競合他社との違いを明確にして、自社製品やサービスが優位であることを顧客に認知させることができれば、価格競争にならず、ニーズのある顧客に選ばれる存在になります。そのための戦略が差別化戦略です。

今後、SNSなどと同様にメタバースが浸透していけば、今以上に多くの製品やサービスの選択肢が増えてくることが予想されます。そのため、企業の生き残りや成長にとって、差別化戦略はますます重要になってくるでしょう。

差別化戦略のメリット

企業が差別化戦略を行うメリットとして、次の4つが挙げられます。

①価格競争から離脱できる

これは、企業が差別化を行う最大のメリットと言えるでしょう。

製品やサービスの基本機能は同じであっても、自社にしかできない何らかの特徴や付加価値をアピールでき、それが顧客から認められれば価格競争に巻き込まれることはありません。

たとえば、ファミリーレストランチェーンのロイヤルホストは、ホテルで出されるような高級メニューに特化しています。結果として、「いつもよりもちょっと優雅に、でも気軽に食事を楽しみたい」という消費者のニーズと合致し、価格競争に巻き込まれることなく、「高級ファミレス」という業界内で確かなポジションを確立しています。

このように、差別化を行うことで、競合他社との価格競争から脱却し、高価格でも選ばれる確かなポジションを確立することができます。

②利益率が向上する

自社の製品・サービスが他社にない特徴や付加価値を持っていることが消費者に認知されると、価格が高めであっても購入されます。

たとえば、今治タオルは、タオル生産の歴史や製造工程のこだわりなど、製品の背景にあるストーリーを訴求し差別化戦略に成功しました。

▶️参考記事【衰退一途の今治タオルが息を吹き返した“大事件”】
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1705/15/news040.html

結果として、100円均一や、ニトリ、IKEAなど、格安で高機能なタオルが出回る中、高級タオルとしての地位を確立。1枚数千円のタオルが売れ続けています。

このように、差別化戦略に成功すると、高価格であっても製品やサービスが売れます。それに伴い利益率の向上にもつながるのです。

③新規参入企業を抑制できる

差別化戦略によって業界内や市場で確かなポジションを獲得することができれば、新規で参入する競合他社の動きを抑制することができます。

なぜなら、消費者が認める優位性があり、ブランド力を持った製品やサービスに対抗することは簡単ではなく、膨大なコストや労力が必要となるからです。

たとえば、前述した今治タオルに対抗して、新しい高級タオルブランドを立ち上げることはできても、高級タオルと言えば今治タオル、と言う消費者の認識を覆すのは簡単ではありません。

これから新規で参入しようと検討している企業にとっては大きな障壁となるため、新規参入しようという決断がしにくくなります。

④自社の特徴や強みを明確化できる

自社の製品やサービスの特徴 、強みをはっきりさせられるのも差別化戦略のメリットの1つです。

差別化戦略に成功している企業の多くは「〜と言えば⚫︎⚫️」というように、自社の地位をひと言で言い表すことができます。

たとえば、「高級タオルと言えば今治タオル」、「高級ファミレスと言えばロイヤルホスト」などです。

他社にマネのできない特徴や強みは、営業活動や広告宣伝活動にも活用することができ、それによって強固なブランドイメージを構築することにつながります。

差別化戦略のデメリット

差別化戦略を行うことのデメリットとしては、次の3つが挙げられます。

①顧客離れのリスクがある

市場調査や顧客のニーズ調査が不十分なまま差別化を行うと、「ただ値上がりしただけなのでは」と顧客が離れてしまうリスクがあります。

たとえば、今治タオルを製造・販売するメーカーであるハートウェルが販売し話題となったのが『あえてカタいタオル』です。

タオルはやわらかい質感や肌触りの良さが重視される傾向がありますが、消費者調査の結果、硬い質感のタオルの需要があることが分かり、商品を開発したとのこと。

ここで重要なのが、硬い質感のタオルの需要がユーザーにあることを調査した上で商品開発を行った、という点です。ニーズがあると分かって商品を販売したからこそ、高い価格でもユーザーに選ばれているのです。

このように、差別化戦略には、「会社都合の値上がり」だと認識されないための説得力が必要になります。

差別化によって上昇した価格に納得できなければ顧客は自社より安い競合他社に流れるため、市場シェアの縮小に繋がりかねません。

そのため、まずは市場調査を行い、ユーザーのニーズを調査した上で、自社にしか出せない差別化を考えていくことが重要です。

②多大な費用や労力がかかる

差別化戦略を行うためには、市場調査や差別化のための技術開発などに多くの労力や費用が必要となります。市場調査や差別化にかかる労力や費用に見合う利益が得られなければ、差別化戦略が成功したとはいえません。

特に自社の特徴や強み、市場、競合他社、顧客ニーズ分析などが必要になるため、リサーチに膨大な時間と労力がかかります。また、確立したオリジナルの価値を顧客に伝える必要もあるため、広告宣伝やブランディングが必須となり、さらに多くの時間と労力を要します。

消費者がブランド価値を理解して認知するまでには時間がかかるのが前提です。差別化戦略には継続的な取り組みや、それに伴う労力と費用が必要になると考えておきましょう。

③競合他社に模倣される可能性がある

差別化戦略がうまくいき、自社製品やサービスの認知度が向上したとしても、競合他社に模倣されて類似の製品やサービスを安い価格で販売され、顧客を奪われる可能性があります。

模倣され顧客が奪われると、差別化戦略のために投資したコストを回収できなくなったり、競合他社にシェアを奪われてしまったりする可能性も十分に考えられます。

このようなケースも起こりうることだ、と認識した上で、事前に対策などを考えておく、商標権を申請しておく、などの対応も重要です。

差別化手法の一例

差別化戦略においては、何を対象に差別化を行うかが重要です。具体的には、以下のような手法を組み合わせることで、競合他社と差をつけることが可能になります。

  • ・製品やサービス
  • ・価格
  • ・ブランドイメージ
  • ・顧客体験

これら4つを対象にした差別化手法について詳しく見ていきましょう。

製品・サービスの品質向上

製品やサービスの品質向上による差別化は、最も一般的な差別化手法です。

具体的には、消費者が他社との違いを明確に感じることができる特徴や付加価値を製品やサービスに持たせる、ことで差別化を行っていきます。

たとえば、「1リットル30kmの燃費性能の車が一般的な中で、1リットル50kmの燃費性能を持つ車を開発する」などです。

一般的な差別化手法ではありますが、品質や新技術などで差別化する場合は、大きなコストがかかるので、商品やサービスを生み出すまでのストーリーや自社のこだわり、ユーザーのニーズ調査結果などをヒントにどの部分を差別化していくのかを検討してみると良いでしょう。

価格戦略の工夫

他社と比較して優位となる価格設定を行い、顧客から選ばれるようにする差別化手法です。必ずしも低価格にすることとは限りません。

代表的な価格による差別化戦略としては、「低価格戦略」「高価格戦略」「中間価格戦略」などがあります。

  • ・低価格戦略:最も一般的。他社よりも低い価格を設定する戦略
  • ・高価格戦略:製品やサービスに高い品質や付加価値を付加して高い価格を設定するもの
  • ・中間価格戦略:コストと価値とのバランスを考慮して価格を設定する戦略

いずれの価格戦略においても、価格に対する消費者の受け止め方や競合他社の価格設定などを正確に分析することが必要です。

価格戦略の工夫をする際には、競合他社などを価格帯ごとに分類したり、ユーザー調査結果などの分析から初めてみると良いでしょう。

ブランドイメージの構築

ブランドイメージの構築による差別化は、ブランドのイメージや価値を高めて競合他社との差別化を図る戦略で「ブランディング」と呼ばれることもあります。

ブランドによる差別化には、ロゴのデザインやカラー、ブランドストーリー、パッケージデザイン、宣伝広告などがあります。

重要なのは、これらすべてに一貫性を持たせることです。

商品自体を高級路線で差別化し、ブランドストーリーも立派なものを作ったのにも関わらず、パッケージがチープだったり、ロゴやデザインが古臭かったりしては、その商品が高級であるという説得力がなくなってしまいます。

結果として差別化戦略の効果が十分に発揮できません。

「商品だけ」「ロゴだけ」ではなく、商品を中心として、顧客が触れるすべてのものを1つの方向性に沿って作り上げていくことがブランドイメージの構築にとって何より重要です。

顧客体験の充実

顧客体験とは、顧客が製品やサービスに興味を持った段階から購入・使用・アフターサポートに至るまでの一連の経験のことです。

一連の購買プロセスの中のすべての接点で、いかに顧客に優れた体験を提供できるのかを考えていくことで、他社との差別化が図れます。

たとえば、高級デパート伊勢丹で買い物をした際に、スーパーの袋や100円均一で買えるような紙袋に商品を入れられたらどうでしょうか。

おそらく、「せっかく高級なものを買ったのに…」と少しがっかりした気持ちになると思います。

このように、製品やサービスの特徴や付加価値だけではなく、あらゆる顧客との接点で優れた顧客体験を提供することが差別化戦略において重要になります。

差別化戦略成功のポイント

差別化戦略を行う前の段階で、手間や時間をかけて、確かな戦略を確立させることが重要となります。

差別化戦略を成功させるための主なポイントは、次の4つです。

①ターゲットを明確にする

全ての顧客を対象にするのではなくターゲット層を明確にすることによって、ターゲット層のニーズに合わせた差別化戦略を行うことができます。

たとえば、ある不動産会社は、競合他社や大手企業との差別化に悩んでいました。しかし、高額所得者であり、高額納税者でもある医師をターゲットに設定し、不動産投資サービスを展開することで、他社との差別化に成功しています。

「不動産投資サービス」よりも「医師向けの不動産投資サービス」の方が、医師への訴求力が強く働き、結果として売上につなげることができた差別化戦略の好事例と言えるでしょう。

このようにターゲットを明確にしているからこそ、商品やサービスの方向性が決めやすくなります。

②消費者のニーズを分析して把握する

差別化戦略を成功させるためには、消費者のニーズを徹底的に分析して正確に把握することが何より重要です。

なぜなら、消費者がどのような製品やサービスを求めているのかを正確に把握できなければ、いくら差別化をしたとしても受け入れてもらえないからです。

たとえば、スポーツカーメーカーが差別化戦略として、ファミリー向けのスポーツカーを開発したとしましょう。さらには、ファミリー向けということもありスポーツカーの中では燃費性能がNO1、車室も家族4人がゆったり乗れるNO1の広さ、というものだったとします。

性能だけ見れば差別化ができているように見えますが、そもそも大半のファミリー層は、選択肢としてスポーツカーを選びません。この場合、いくら差別化ができているとは言え、消費者から受け入れてもらえないことが容易に想定できます。

このように、いくら差別化を図ったとしても、それがユーザーのニーズに合致していないものだったとしたら、いくら性能が良かったとしても受け入れてもらえません。

そうならないためにも、まずは差別化戦略を図る前に、消費者がその製品やサービスに関して重視しているポイントや欲している付加価値が何かを知る必要があります。

③競合他社を徹底的に分析する

競合他社を徹底的に分析することによって、自社の製品やサービスの取るべきポジションが見えてくる可能性もあります。

代表的な競合分析手法として「3C分析」や「4P分析」があります。

3C分析はCompany(自社)・Competitor(競合他社)・Customer(顧客)の3つの要素に注目して分析する手法、4P分析はProduct(製品)・Price(価格)・Place(流通チャネル)・Promotion(販促)の4つの要素に注目する手法です。

このような競合分析手法の分析によって自社よりも競合他社が優れている点や競合他社の戦略などが見えてくるため、分析結果をもとに自社の戦略を検討することができます。

たとえば、競合他社が低価格戦略を取っていることが分かった場合は、自社では高品質や高付加価値をアピールすれば差別化を図りやすくなるでしょう。

④自社の強みを見つける

自社にしか出せない強みは何なのか、を考えることも差別化の方向性を見出すのに有効です。

簡単なのが、競合他社と自社を比較することです。

競合他社分析だけではなく、自社と比べてどうか、も調べてみましょう。

代表的な手法としてStrength(強み)・Weakness(弱み)・Opportunity(機会)・Threat(脅威)の4つの要素に注目して分析を行う「SWOT分析」があります。

これによって強みと機会を生かして弱みと脅威に対処する戦略立案ができます。

また、顧客へのヒアリングや自社の中で顧客と直接接している社員へのヒアリングも重要です。顧客や消費者の生の声や隠れた要望の中から、自社の強みが見つかる可能性もあります。

差別化戦略のためのブックマーケティング手法

差別化戦略の手法の1つとしてブックマーケティングも有効です。

なぜなら、書籍を使えば、自社の強みやこだわりなどをターゲット層に的確に伝えることができるからです。

人が文章を読まないと言われる時代ですが、それは無料で読める媒体に限ってのことです。お金を出して書籍を買って、読むまで積読しておくことはあっても、全く読まない、という人は少ないと思います。

書籍という信頼性が高く、読まれやすい媒体で、自社製品やサービスへのこだわりや、特徴、付加価値、企業理念や代表の考え方などを紹介することで、自社のことを知ってほしいターゲット層に効果的に認知してもらうことができます。

書籍は手に取ってもらえさえすれば、企業側にとっては長文を読んでもらえ、読者を拘束できるのがメリットです。そのため、見込み顧客の教育や、関係性の構築に多大なコストや長い時間をかけることなく、書籍1冊だけで製品やサービスが売れるきっかけを作ることができます。「Web広告やSNSを試してみたけれど、顧客の教育や関係性の構築が難しい」と感じる企業などに適した方法と言えるでしょう。

また、書籍を出版していることによる信頼性の向上や、書籍を買ってくれた質の高い顧客からの問い合わせの獲得が期待できます。

「書籍を出しても手に取ってくれなかったら意味がないのでは?」と不安に思う方もいらっしゃると思いますが、もちろんただ書籍を出すだけでは名刺程度の効果しかありません。

ただ書籍を出すだけではなく、次のように、あらゆる手を尽くして、ターゲット顧客に書籍のコンテンツを読んでもらえるようにするのがブックマーケティングです。

  • ・書店営業
  • ・クラウドファンディング
  • ・Youtube運用(配信)
  • ・SNS運用
  • ・PR
  • ・メディア露出
  • ・フォローセミナーの開催
  • ・クロスセル、アップセル

▶️ブックマーケティングのメリットや効果については、関連記事【ブックマーケティング(企業出版)のメリットとは? 企業が考えるべき出版による効果】もあわせて参考にしてください。

ブックマーケティングを取り入れた成功企業事例

ブックマーケティングは、特に消費者側に差別化をしていることが分かりづらい業種やビジネスモデルを持っている企業や、ひと言では言い表せないような特徴や優位性を持っている企業などに効果的です。

実際にブックマーケティングを取り入れて、競合ひしめく中で差別化戦略に成功した企業の事例を2つ紹介します。

出版によりエリアでのブランド確立を実現した保険代理店の事例

1つ目は埼玉県の保険代理店の事例です。

出版した書籍の中で保険業界の現状と問題点を解説。これからの保険代理店経営に必要な考え方やシステムについて述べています。

保険業界では成果に応じて給与が決まる「成果報酬型」が当たりまえですが、結果として少数のスーパー営業マンに頼る経営になってしまいがちです。

この保険代理店の経営者は、少数のスーパー営業マンに頼る経営に疑問を持ち「一律報酬型」に変えることによって、アベレージヒッターを育てて業績拡大ができることを紹介。

出版の結果、各種セミナーに講師として招かれたり、新たなコンサル契約を獲得したり、紹介者が増えて保険契約数が伸びるという効果が得られ、エリア内でのブランドを確立することができました。

このように、「なぜ一律報酬型が重要なのか?」「少数のスーパー営業マンよりもなぜ、アベレージヒッターが重要なのか?」は、とてもひと言では言い表せません。

そこを書籍にまとめ、保険代理店を経営するターゲット層にブックマーケティングで的確に届けられたことが、この結果を作り出したと言えます。

差別化成功で圧巻の受注率を実現した不動産会社の事例

2つ目は東京都の不動産会社の事例です。

この経営者は、高収入でありながらも多忙で投資リテラシーを持っていない人が多い医師をメインターゲットとして不動産投資や節税についてまとめた書籍を出版しました。

高所得者である医師の悩みとして高額な税金があげられますが、最も効果的な節税対策として不動産投資があることを紹介しています。

出版した結果、大きな節税効果のある投資方法として不動産投資を認知してもらうことができ、多くの医師からの受注を獲得しました。

また、書籍からの問い合わせがほぼ100%不動産投資案件の成約につながる、という圧倒的な受注率を叩き出しています。

この経営者は、医師に特化するという差別化戦略を実施していますが、そもそも忙しい医師に不動産投資の節税メリットなどを商談や広告だけで伝えるのは、限界があります。

一方で書籍は医師に限らず多くの知識欲求層が読みます。ひと言では語れない、理解してもらえないようなものだからこそ、ブックマーケティングで的確にターゲットとなる医師に書籍を届けることができ、しっかりと読んでもらえたことが、この結果を作り出したと言えます。

まとめ

以上のように、差別化戦略を行うことで、競合他社にはマネできない独自の魅力を作り出し、業界での競争優位性を高めることができます。

簡単に見える差別化戦略ですが、安易に行うとかえって顧客が離れたりしてしまいます。そのため、事前に顧客のニーズを調査し、ニーズと合致した差別化を見出していくことが何より重要です。

また、ターゲットとなる層に的確に届けていくことも差別化戦略の成功にとって重要です。そんな中、差別化戦略の手法の1つとして、ブックマーケティングが注目されています。

書籍をただ出版するだけの自費出版とは違い、書籍をターゲット層に手に取ってもらえるようにあらゆる施策や手法を総合的に用いていくのがブックマーケティングです。

ブックマーケティングにより、自社の特徴や強みなどを特定のターゲット層に効果的にアピールすることができるので、差別化戦略の1つの手法として注目されています。

今現在、差別化戦略や自社のブランディングなどを検討されている方は、1つの方法としてブックマーケティングを検討してみてはいかがでしょうか。

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参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから

執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)

福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経営法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を歴任し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。

出版したいと考えた時に選択肢になるのが自費出版。

ただし、自費出版にはトラブルがつきものです。

本記事では、自費出版を実施する際に注意すべきポイントや企業や個人が心配するトラブル、リスクについて解説しています。

PRやブランディング、自己表現などを目的とした出版社選びの参考になる記事コンテンツです。

目次【本記事の内容】

自費出版におけるトラブルとは

自費出版は、個人でいえば自己を表現するための手段であり、企業にとってはブランディングやPRの手段の意味合いがあります。

しかし、そんな自費出版にはトラブルがつきものです。具体的なトラブルの事例を解説しましょう。

制作中のトラブル

自費出版で注意したいのは制作中に発生するトラブルです。

編集者との相性が合う合わないといった部分はもちろんありますが、校正や校閲でのトラブルも考えられます。

たとえば、事実無根な内容を記載したまま出版してしまったり、人名やプロフィールなどの重大なミスがあったりなどです。

書籍は200ページ前後で、文字数に直すと7万字前後の量があります。全て著者や編集者、校正士ら人の目でしか確認できないため、ミスは出る時には出てしまいます。取り返しのつかないミスに繋がらないように、重要なポイントは何度も確認するようにしましょう。

また、執筆をライターに代行してもらうケースも珍しくありません。企業出版という手段であれば、ライターがインタビューして執筆することは一般的ですが、自費出版の場合は初回の取材からいきなり初対面のライターがやってくるというケースもあるようです。

結果的に自分の意思や意向に反する原稿が上がってくることがあるので、執筆を代行してもらう場合は企画段階からきちんと編集者がサポートしてくれるのかは事前に確認をした方が良いでしょう。

印刷や製本の品質トラブル

自費出版は、執筆した本を印刷して製本するまでがゴールです。

ただし、この印刷工程でトラブルが発生しやすいので気をつけましょう。

たとえば、印刷時のかすれや色むら、落丁などです。インターネットが普及している昨今なので、ウェブコラムなどは修正があればすぐに対応できますが、紙媒体は一度印刷してしまえば取り返しがつきません。

もちろん、失敗した場合に刷り直しをしようとすると、追加の費用が発生します。そのため、ゲラ(誤字脱字チェック用の校正刷り)を試し刷りする段階で、しっかりとチェックすることをおすすめします。

流通や販売のトラブル

自費出版では、流通や販売で著者と出版社の「言った言わない」のトラブルが発生しがちです。

その主な要因が、出版業界ならではの仕組みや慣習の存在。一般的には書籍が完成したら、当然のように書店に並ぶものだと考えている人もいます。

しかし、本を書店に流通して陳列させるのはそう簡単なことではありません。

書籍の流通の仕組みはかなり特殊で、出版社と書店の間には取次という問屋が存在します。その取次が出版社の実績などを踏まえて、配本を組み立てているのが通例です。

一般的に自費出版と呼ばれる手段の場合は、部数が限られていることや版元の営業力がそれほど強くないことが要因で、結果的に書店に全然並んでいないことは珍しくありません。

そのため、書籍を出版することになった出版社には流通システムについて、きちんと確認を行いましょう。具体的には次の項目を確認すると良いでしょう。

  • 配本可能な書店数(目安)
  • 配本可能な書店の規模感
  • 書店でどのように配本されるか
  • どのように書店営業を実行するのか
  • 書店プロモーションの実施可否
  • ちなみに、SNSやメディア露出などで影響力のある著者でない限りは、初めての出版できちんと書店に並ぶのは至難の業です。書店で販売していきたい意欲をお持ちであれば、どの程度のプロモーションを実施するのかは、出版社に事前確認すると良いでしょう。

    販促活動の不備や効果不足

    自費出版でよく聞かれる不満として、「思ったほど販促活動をしてもらえなかった」という声があります。

    出版社にもよりますが、書店に並ぶというメリットをバリューにして提案するところが大半です。しかし、注意してほしいのは最終的に書籍を並べるかどうかの判断をするのは書店員である点です。これはネームバリューのある大手出版社であっても同様です。

    出版の流通におけるトラブルの多くは認識の相違から生まれます。

    書店への販促活動や広告施策、プロモーション活動などを、契約内でどれほど実施してもらえるのかは必ず確認しましょう。

    著作権や権利のトラブル

    自費出版において重要なのは権利関係の確認です。

    大きく3つの権利があり、それぞれ著作権、出版権、所有権です。

    書籍を執筆したのが著者である以上、著作権が著者に帰属するのは当然でしょう。一方で、一般的に聞き馴染みがないのが出版権です。

    出版権とは、著者側が出版社に対して著作物を販売して良いという許可を与えること。著作権が著者にある以上、著作物の二次利用については著者である程度自由に活用できるのですが、書籍の「文庫化」や「映画化」の話が来たら著者だけで判断することができません。

    なぜならば、文庫化や映画化することは書籍の売り上げに直結することだからです。出版社は出版権を保有している以上、そのような話が舞い込んできた時にどのように対処するかを話し合って決める必要があります。

    細かい取り決めは出版社との契約内容で変わってくるので、事前に確認をしておきましょう。

    所有権については、著作物の実物がどちらの手元にあるかで変わってきますが、著者に納品された書籍は著者に、流通・販売する書籍は出版社に所有権があります。

    自費出版を検討する際に注意すべきポイント

    次に、具体的に自費出版を検討する際に、どのような点に注意したらよいかを解説します。

    出版社の信頼性と実績

    書籍を出版する場合、いかに出版社が信頼できるか、実績があるかを確認することは重要です。

    現在、出版社は全部で2907社ある(日販による「出版物販売額の実態」最新版(2021年版)より)と言われており、正確な数字は不明ですが自費出版のサービスを提供している出版社も少なくありません。

    その中で、営業力および流通力がある出版社はごく一部です。そのため、一般的に誰もが知るような出版社で本を出すことが一番安心できるでしょう。

    ただし、大手の出版社は多くの人員を抱えており、制作体制や流通力を担保できる一方で、多額の出版費用がかかってしまいがちです。

    そのほか、自費出版サービスの提供会社には、過去の出版物や編集者の制作実績を確認することをおすすめします。自費出版を検討するうえで、費用は重要なポイントになるでしょうから、いかに信頼と実績でバランスの良い会社を選択するかが大切です。

    契約内容や条件の確認

    自費出版をいざ実行しようとすると、出版契約書を締結することになります。

    出版契約書で確認する事項として重要なのは下記のポイントです。

  • 書籍の仕様(判型、本文カラーもしくはモノクロ、ページ数、写真やイラストの有無)
  • 書籍の納期(出版時期)
  • 書籍の制作部数(流通部数と著者への納品部数の内訳)
  • 自費出版の著者負担費用および支払い回数と時期
  • どこまで予算内で制作してくれるか(どこから追加予算がかかるか)
  • 権利の帰属(著作権、出版権、所有権の記載があるか)
  • 印税の有無
  • 増刷する場合の費用負担はどちらか
  • 追加で著者が買取をしたい場合の割引や費用負担について
  • 確認すべき項目は多いですが、最低限でも上記は確認しましょう。

    なかでも書籍を出版する著者として、印税は気になるところだと考えられます。自費出版の印税はさまざまな形態があります。初版から印税が発生するケースは稀ですが、重版をしたら印税が支払われるケースがあります。

    自費出版と似て非なる手法として企業出版がありますが、企業出版は広告の手段として実施するケースがほとんどですので、印税を目的に出版を検討するものではありません。

    費用や予算の明確化

    自費出版は著者が費用を負担します。

    そのため、書籍を制作するのにいくらかかるのか、著者自身の予算はいくらまでなのかをある程度明確にする必要があるでしょう。

    出版のトラブルの一つでもよくありますが、後になって想定していた予算以上に追加費用がかかってくるケースは悩みの種となります。書店に流通するプロモーションや広告宣伝のための予算も含めていくらでやってくれるのかは、事前に出版社に確認をしておきましょう。

    販売・宣伝活動の充実度

    書籍を出版した以上は「本を売りたい」と思うのは自然なことです。

    そのためには、出版社がいかに書店営業活動や販売活動に懸命になってくれるかが重要でしょう。

    書籍は発売したら簡単に売れるというものではありません。読者がその本を知るきっかけを作る必要があるからです。

    事前の書店営業活動にどれだけ熱心に動いてくれるか、広報および広告宣伝をどれだけやってくれるか、書籍を売るためのプラン計画は必要不可欠です。

    本を売るためのプロモーションの方法など、さまざまなアイデアを提案してくれる出版社と組むことがポイントです。

    自費出版成功のための具体的な対策

    自費出版をどこから成功と呼べるのかの基準は、著者自身の中にしかありません。

    書籍を出版することがゴールなのか、それとも届けたいターゲットに届けることがゴールなのか、より多くの人々に届けてベストセラーを目指すのかなどです。

    著者の期待値と理想を、出版社ができる役務内容といかに近づけられるかを確認しましょう。

    プロの編集者への依頼

    自費出版の成功には、腕のある編集者に担当してもらうのが一番の近道です。

    書籍の制作には編集者やライター、校正者、デザイナーなど多くの人員が関わります。この人員をまとめ上げ、ディレクションするのが編集者の仕事です。

    著者の最大の理解者になる必要があるため、お互いに知り合う場を作ることが大切でしょう。

    また、編集者にはジャンルによって得意や不得意があります。これまでの編集・制作実績でどのようなものがあるかを事前に確認するのをおすすめします。

    実績のある編集者であれば、ライターやデザイナーといったクリエイターも多くの繋がりがあります。著者の出版したい内容に応じて、最適な制作布陣を作り上げられるかも成功の鍵となるでしょう。

    マーケティングプランの検討

    執筆した書籍を届けたいターゲットが明確であるほど、具体的なマーケティングプランが必要です。

    どのように販売するかという流通・販売戦略も重要ですが、一番大切なのは企画段階からのペルソナの設計。作り上げた企画が世の中にどれだけ求められているのか、どのようなターゲットにニーズがあるのか、そもそもどのようなターゲットに届けたいのかなどです。

    だからこそ、前述したとおり、腕と実績のある編集者に担当して提案をもらうことがとても重要といえます。

    費用対効果の高い販促活動

    書籍の販売促進のためのプロモーションはさまざまです。

    自費出版をする目的に立ち返って、その目的を達成するにはどのようなプロモーションが効果的かを検討しましょう。

    書籍の販促活動で効果的なのは、新聞広告です。新聞の購読者数や広告費は年々減少をしていますが、ビジネス書やシニア向けの書籍の場合はいまだに新聞広告で売り伸ばしが図りやすいです(新聞広告データアーカイブ「新聞広告月間動向」より)。

    ほか、店頭で目立たせて手に取ってもらうためには、書店でのプロモーションも検討の余地はあるでしょう。

    ▼書籍出版の効果的なプロモーションについては「出版マーケティングの効果的なプロモーションとは? 広告手段も解説」でも紹介していますので、合わせてお読みください。

    自費出版と他の出版方法の比較

    書籍出版の方法は、自費出版のほかにもさまざまです。企業出版や商業出版、近年では電子書籍のみやオンデマンド出版という方法もあります。

    自費出版のメリットとデメリット

    自費出版は、著者自身が費用負担することで書きたいテーマで本を作ることができます。

    では、自費出版のメリットとデメリットを紹介しましょう。

    <メリット>

  • 企画には著者の意思が自由に反映できる
  • 著者の希望や予算に応じて、発行部数が調整しやすい
  • 名刺や営業ツールとして活用できる
  • 「本を出版した」というステータスになる
  • <デメリット>

  • 制作費から印刷費、倉庫保管費など出版にかかるコストは全て著者負担
  • 市場にほとんど流通しないため、名刺代わりのツール以外のブランディング効果は薄い
  • 印税をはじめとした金銭的なメリットは期待しづらい
  • このように、自費出版は自由度が高い一方で、自己満足で終わる可能性が高く、あくまで「本を作った」という実績が欲しい人のための手法といえます。

    企業出版のメリットとデメリット

    企業出版は、企業や法人、または個人が自身のブランディングやPRのために本を作ります。では、企業出版のメリットとデメリットを紹介しましょう。

    <メリット>

  • 自社ブランディング効果にくわえ、集客や採用など、さまざまな経営課題の解決につながる
  • 出版社の流通網を活用し、全国の書店やAmazonなどのインターネット書店で販売される
  • 自社のアピールしたいサービスや商品を意識した企画を作ることができる
  • <デメリット>

  • 自費出版と比較すると、負担する費用が高額
  • 出版社によっては編集経験の乏しい新人が担当になることがある
  • 大部数で流通した場合に多くが返品になり無駄なコストがかかることがある
  • このように、企業出版は一定の広告コストを負担する必要がありますが、ブランディング効果が期待できます。明確な目的やテーマがある法人は、企業出版は一つの選択肢となりえるでしょう。

    ▼企業出版については、「企業出版のメリットとは? 企業が考えるべき出版による効果」でも詳しく解説しているので、合わせてお読みください。

    商業出版のメリットとデメリット

    商業出版は、出版社が企画を作り、制作費も出版社が負担します。

    では、商業出版のメリットとデメリットを紹介しましょう。

    <メリット>

  • 著者の費用負担がない
  • 販売部数を伸ばすことが目的のため、プロモーションも全て出版社負担
  • 「商業出版をした」実績はブランディング効果絶大
  • 売れれば印税が支払われるため、副収入が期待できる
  • <デメリット>

  • 企画は出版社主導のため、著者がやりたいテーマで出版できるとは限らない
  • 売れなかった場合に再び商業出版の声がかかることはほぼない

    このように、商業出版はブランディング効果やメリットが大きい出版方法です。ただし、声がかかるかは著者の認知度や専門性といった要因が必要なので、声がかかるハードルはかなり高いでしょう。

    電子書籍のメリットとデメリット

    電子書籍は紙で印刷せずに、電子データとしてオンラインストアのみで販売する出版方法です。電子書籍のメリットとデメリットを紹介しましょう。

    <メリット>

  • 印刷不要のため、その分安く出版できる
  • 在庫リスクがないため、その後のコストの心配もない
  • 取り寄せの必要がないので、読者は購入後すぐに読むことができる
  • <デメリット>

  • 書店には並ばないため、新規の読者に見つけてもらいづらい
  • 人に配布するなど二次的な活用ができない
  • 実物が手元に残らないため、「本を出した」というブランディング効果も薄い
  • このように電子書籍は、圧倒的にコストを抑えて出版することができます。ただし、実物がない分、人に渡しづらいのは難点です。紙の書籍出版にくわえて、電子書籍の購読者にも広く読んでもらうためのオプションのような立ち位置と考えた方が良いでしょう。

    オンデマンド出版のメリットとデメリット

    オンデマンド出版は、オンデマンド印刷という技法を活用して、読者から注文が入ってから印刷して販売する出版方法です。オンデマンド出版のメリットとデメリットを紹介しましょう。

    <メリット>

  • 1部単位から少部数で印刷ができるため、費用負担も少ない
  • 在庫リスクがないため、その後のコストの心配もない
  • 版を作らずに印刷するため、都度の修正にも対応しやすい
  • 品切絶版になりづらい
  • <デメリット>

  • 大量印刷には向かない
  • オフセット印刷と比較して品質は低い
  • このように、オンデマンド出版は安価に少部数から作れるのが魅力です。ただし、たくさん売りたい、大量に配布したいといったニーズがある場合は余分にコストがかかるうえ、印刷の品質が低いため、出版社で流通する書籍と比べると箔もつきづらいでしょう。

    企業出版という選択肢

    ここまで企業出版という出版手法が何度か登場しました。この企業出版という選択肢について見ていきましょう。

    自費出版と企業出版は何が違う?

    自費出版と企業出版は、著者が費用を負担する出版という意味では同義です。

    最も大きな違いは、出版する「目的」です。

    自費出版は、自己表現のための出版で、書籍を流通して販売することは二の次です。

    一方、企業出版は、経営者もしくは法人がブランディングやPRなどの目的を持っていることが多いです。広告を打つときに「商品の販売促進のため」などの目的を持つことと同じです。

    とくに企業出版は、高額商材を販売している業種・業態の会社や一言で説明が難しいようなサービス・商材を販売しているような会社には向いています。

    書籍はほかの広告宣伝手段と比較して、圧倒的にボリュームが多いからです。書籍が営業マンの代わりとなって、自社の説明ツールの役割を果たし、商談が進めやすくなると喜びの声も少なくありません。

    ▼経営者や企業が検討する出版については、「本を出版したい! 経営者が取り組むべき書籍出版とは」でも解説しているので、合わせてお読みください。

    企業出版に向く業種・業態

    企業出版に向く業種や業態は、次のような方々です。

  • 税理士
  • 弁護士
  • 司法書士
  • 開業医(医療クリニックの院長、医師)
  • 整体師
  • 経営コンサルティング
  • 不動産投資会社
  • 注文住宅の建築会社
  • 健康食品の製造・販売会社
  • 予備校(医学部受験予備校など)
  • また、上記にくわえて、一般の広告で効果が感じられなかったり、情報発信の手段に悩んでいたりする人にはおすすめの手段です。

    企業出版は目的以外にも、ターゲットが明確であればあるほど効果が期待しやすいため、前述の業種・業態のほか、地域に特化したエリアマーケティングに取り組む事業者とも相性は良いでしょう。

    ▼エリアマーケティングについては、「出版によるエリアマーケティングのススメーー地域で勝つための営業戦略」でも解説しているので、合わせてお読みください。

    まとめ

    以上、自費出版のトラブル事例や各種出版の方法ごとの特徴を解説しました。

    トラブルについては「自費出版商法」や「自費出版詐欺」のように、著者に夢を与えて騙すような出版社や出版コンサルタントも存在します。

    今回の記事で解説したようなポイントを踏まえて、まずは自分のニーズを満たしてくれる出版方法なのか、きちんと納得した上で出版に踏み切ることをおすすめします。

    少しでも疑念があるようであれば、出版社の担当者と細かく確認を取り合って、お互いに信頼できる関係性を築いたうえで契約をしましょう。

    ▼パノラボ出版のご案内はこちら

    https://forway.co.jp/panolabo/lp/

    参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから

    執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

    慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

    パンフレットは、企業にとって顧客に行動を起こしてもらう上で重要なツールです。

    用途としては、企業のサービスや商品のメリットを訴求した営業ツール、新卒や中途採用のための会社案内などさまざまです。

    本コラムでは、ビジネスやイベントのプロモーションにおいて効果的なパンフレットの作り方を紹介します。

    そもそものパンフレット作成の重要性だけでなく、構成の準備、コンテンツの制作、デザインのポイント、印刷と配布の手順、業者選定の仕方まで、包括的なガイドになることを目指しました。

    目次【本記事の内容】

    パンフレット作成の目的とは?

    パンフレットは、ビジネスやイベントのプロモーションにおいて重要な役割を果たします。

    たとえば、営業ツールとして活用したパンフレットを見込み顧客に配布することで、自社サービスを導入するきっかけになるなどです。

    企業および法人がパンフレットを制作する目的は、配布したツールを通じて、自社のサービスや商品についてより多くの人に知ってもらうこと。

    さらに、パンフレットを配布することで、自社の理念を訴求できるため、ブランディングイメージを構築することにもつながります。

    一般的な営業資料と異なるのは、一度配布すれば捨てられづらい点です。A4用紙で出力してホッチキスで綴じた営業資料の場合は、必要ないと認識されればすぐに捨てられてしまいます。

    その点、パンフレットはすぐに必要ない場合でも、長期的に手元に保管をしておいて、いざ必要になった時に見込み顧客から自社のことを思い出してもらって問い合わせにつながるようなケースもあるのです。

    パンフレット作成の準備の仕方

    パンフレット作成に取りかかる前には、いくつかの準備が必要です。

    準備が必要なのは、「目的の設定」「ターゲットの設定」「構成・掲載コンテンツの確定」「デザイン・サイズの決定」です。

    一つひとつ詳細を解説します。

    準備その1:目的の設定

    パンフレットの作り方において、まず決めなければならないのは「目的の設定」です。

    目的といってもさまざまあります。「自社商品やサービスの紹介をしたい」「新規出店の店舗の告知をしたい」「開催イベントの告知をしたい」「会社の理念や概要を理解してもらいたい」などです。

    パンフレットを配布した見込み顧客に、その後どのような行動変容を促すかが重要なのです。

    目的さえ明確になれば、軸がぶれずに伝えたいターゲットに、伝えるべき要素を発信することができるでしょう。

    準備その2:ターゲットの設定

    パンフレットの目的が決まったら、次は伝えたい「ターゲットの設定」を考えましょう。

    たとえば、大学受験の予備校が集客目的で配布用のパンフレットを制作する場合、誰に受け取ってもらうべきかを想定することが大切です。

    大学受験予備校の場合は、入塾するのはもちろん高校2〜3年生の学生本人ですが、入塾の意思決定をするのはその保護者です。実際に入塾してもらった後のイメージを学生に向けて伝えることはとても大事ですが、保護者にとって魅力的な予備校だと思ってもらえなければ入塾にはつなげることができません。

    その他の事例でも、ターゲットの深掘りは重要な要素となります。

    女性向けの化粧品を扱っているような会社であれば、女性受けのするデザインにするなどの工夫が必要ですが、さらに狙うべき年齢層によってもデザインのテイストは大きく変わります。

    あくまで自社が集客したいターゲット、もしくは今後集客していきたい新規顧客層をイメージすることが重要でしょう。

    準備その3:構成・掲載コンテンツの確定

    パンフレットの目的とターゲットが明確になったら、次に決めるのは掲載コンテンツです。

    目的が集客であれば、ターゲット顧客が商品を購入したい、サービスを導入したいという魅力が伝わる構成になっているかを想定しながらコンテンツを作りましょう。

    企業の会社案内を制作する場合は、たとえば次のような構成が考えられます。

    ・代表のあいさつやメッセージ

    ・企業理念

    ・業務やサービスのご紹介

    ・役員や社員の紹介

    ・自社の代表事例の紹介

    ・社員インタビュー

    ・沿革

    ・会社概要

    会社案内の場合は、配布先が多岐に渡ります。取引先や新規の営業先、新卒や中途の応募者、投資家などのステークホルダーなどです。

    このようなコンテンツは、通常業務で扱う文章のボリュームとは大きく異なります。会社案内のコンテンツを考えるリソースが割ける場合は別ですが、そうでなければ制作会社などに外注することも視野に入れることをおすすめします。

    準備その4:デザイン・サイズの決定

    パンフレットの掲載コンテンツが固まったら、実際に印刷工程の仕上がりを想定します。

    会社案内をはじめとしたパンフレットを制作するにあたり、デザインにはこだわりたいところ。一方で、多くの企業が陥りやすい落とし穴は、最初にデザインの方向性を考えることです。

    デザインにばかりこだわっていると、大事な中身が伴わないパンフレットができてしまいます。

    そのため、先に構成やコンテンツを考えてから、その後にデザインに着手をすることが大切だといえます。

    デザインは、会社案内の場合は企業カラーやコンセプトに合わせて、取引先や顧客に渡すことを想定して信頼感や安心感が演出できるようにすると良いでしょう。

    サイズについては、パンフレットの場合はA4サイズが一般的です。携帯しやすいハンドブックサイズのものなど、目的に合わせたサイズを設定することもあります。

    ちなみに、ページ数は4の倍数で設定することをおすすめします。パンフレットの場合は、ボリュームにもよりますが、手渡し用では12ページや16ページで構成されることが多いです。

    4の倍数でない場合は、印刷代が高くなってしまう可能性があるので注意しましょう。

    書籍のように厚みのあるタイプと異なり、パンフレットの場合は中綴じと呼ばれるホッチキス綴じ製本がおすすめです。一方、書籍で主に使われる綴じ方は無線綴じといいます。

    パンフレットの依頼先の選び方

    ここまでに紹介したように、パンフレット制作には様々な工程とコンテンツを作るリソースが必要になります。

    そこで、自社で制作がリソース的に厳しいようであれば、プロの制作会社に依頼を検討しましょう。

    依頼先の選定基準は次のとおりです。参考にしてみてください。

    選定ポイント①:制作実績が豊富

    パンフレット制作の依頼先として、とくにポイントとなるのは制作実績でしょう。

    同業界の制作事例があるか、同じような目的で制作したパンフレットがあるか、などが選定基準となります。

    ただし、ただパンフレットの制作実績が豊富であるかだけでなく、企業のパンフレット制作において重要なのは企業のコンテンツ制作にどれだけ多く携わってきたかです。

    パンフレット制作を請け負う業者としては、デザイン制作会社、印刷会社、編集プロダクション、広告代理店などが考えられます。

    デザイン制作会社の場合は、デザイン性を重視する場合に選択肢となりますが、費用が高額になるケースが考えられます。

    印刷会社は、入稿されたデータを印刷することが本分です。なかにはデザイン制作から印刷・納品までを一括で対応してくれるところもあります。自社で印刷が対応できる分、ほかの業者よりは安いですが、デザイン性やコンテンツの制作力に長けているわけではありません。

    編集プロダクションは、出版社からの依頼で編集や企画を請け負っているケースが多いです。パンフレットを専門に扱っていたり、実績が豊富だったりする会社はあるでしょう。出版社とのつながりがある分、腕のあるデザイナーやカメラマンがアサインできる可能性も高いです。

    広告代理店は、企業の広告企画を行っているため、マーケティング的な視点も持ち合わせながらパンフレット制作の対応ができるでしょう。一方で、デザインから文章コンテンツの執筆、印刷など、すべて外注することになるので費用は高額になります。

    選定ポイント②:自社のニーズと得意領域がマッチしている

    パンフレット制作は印刷して出来上がってしまったら、もうやり直しがききません。

    紙媒体の制作物を外部に発注する際によくある失敗が、「思っていたものと違った」という嘆きの声です。

    一般的な紙媒体の制作会社は、一定のクオリティでパンフレットを仕上げることはできるでしょう。

    しかし、パンフレットの作り方において重要な要素は、依頼先のビジネスモデルを理解しているかどうかです。

    そのため、「税理士との仕事が多い」「不動産業との仕事が多い」「医療関係の仕事が多い」など、専門領域に応じた業務依頼実績が豊富にあるかどうかは選定のポイントとなります。

    きちんと自社のビジネスモデルの理解があり、伝えたいことを読み手に伝わるコンテンツに昇華させられるかが、パンフレット制作成功のカギとなるでしょう。

    選定ポイント③:営業担当者と見積もりの内容

    どんなにパンフレットの作り方において、質にこだわったとしても定性的なもので、正直なところ完成するまで満足できるものができるかわかりません。

    そこで、選定するうえで重要視してほしいのは、依頼候補先の営業担当者の対応と見積もり内容。費用は安いに越したことはありませんが、費用と品質のバランスはとらなければなりません。

    まずは、営業担当者と面談をしてみて、自社が作りたいパンフレットの要件をしっかりと伝えましょう。

    顧客優先で動く担当者であれば、きちんと要望を汲み取ってそれを見積書に反映してくれるはずです。とくに要求しなくても、数パターンの見積もりを提示してくれる業者は優秀と言えるでしょう。

    パンフレットに限らず、紙の制作物は何度か作り直すこともあり得ます。依頼先の担当者が信頼できるかどうかは今後も長期的に付き合っていくうえで重要な要素となるでしょう。

    パンフレットの配布方法

    パンフレットの作り方の次は、完成した現物をどのように配布するかが重要です。具体的には下記の方法が考えられます。

    選定ポイント③:営業先への手渡し

    自社の営業マンが営業訪問をする際に、取引先や見込み顧客に直接手渡しする方法があります。

    サービスや商品の訴求のほか、自社理解を促進させられる効果が見込め、パンフレットの配布をきっかけに話を膨らませるなど、お互いの信頼関係構築にも大きく寄与します。

    配布方法②:ダイレクトメール(DM)

    既存の取引先や自社の保有するリストにある見込み顧客に向けて、パンフレットをダイレクトメールで送付する方法があります。

    ダイレクトメールの送付数から反応率を計算することで、効果測定もしやすいのはメリットの一つ。

    郵送するにはコストがかかるため、送付先に追客施策としてテレアポをしたり、営業マンが訪問したりすることで効果も高められるでしょう。

    配布方法③:ポスティング

    ポスティングは、一定のエリア内の家庭や企業などのポストに直接投函する方法です。

    地域密着で運営している店舗型ビジネスであれば、ポスティングは大きな効果を発揮するでしょう。パンフレットに限らず、チラシもポスティングで配布することがありますが、すぐに捨てられる可能性があります。

    視認率が高い施策ではあるので、捨てられづらいパンフレットを配布するのは一定の効果が期待できます。

    配布方法④:街頭や施設内配布

    街頭配布や施設内配布は、チラシの配布方法としてはよく使われます。

    特定のエリアでの集客を目的とするのであれば、パンフレット配布も一定の効果は発揮されるでしょう。

    施設内配布は、学校やショッピングモールなどで、ターゲットに合わせて配布することができるので、集客には寄与しやすい方法といえます。

    ただし、パンフレットとチラシどちらでも、手荷物になってしまう分、受け取ってもらいづらいデメリットも考えられます。

    配布方法⑤:イベント開催先での配布

    自社でイベントを開催したり、展示会などの出展イベントにブースを出したりする企業の場合は、開催先でのパンフレット配布が効果的です。

    イベント開催自体にコストがかかるのがデメリットではありますが、イベントや展示会は目的やテーマに則ったお客さんが足を運ぶため、相性の良い見込み客を集客できる可能性が高いです。

    そのような人たちに、自社のサービスや商品の強みを訴求するにはパンフレットの配布がおすすめです。

    自社の周年イベントや学生向けの採用説明会などで、パンフレット配布する手段も考えられるでしょう。

    そのほか、オフラインのマーケティングについて、下記のコラムで解説しています。合わせてご覧ください。

    参考:広告手法を徹底比較! デジタルからDMまでマーケティングのメリデメを解説

    まとめ

    自社が満足いくパンフレットを制作するにあたり、パンフレットを渡す相手である顧客目線は欠かせません。

    それは制作を外注する場合も同様です。依頼先が自社の要望をきちんと汲み取ってくれているのか、自社のビジネスモデルを理解しているのかは、担当者との面談でしっかりと見極めましょう。

    本コラムがパンフレット制作の参考になれば、これ以上に嬉しいことはありません。

    参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから

    執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、ディレクター)

    慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

    YouTubeの視聴者数は年々増加しており、そのプラットフォームを活用するために企業公式チャンネルを立ち上げる企業が急増しています。

    しかし、チャンネル運用を始めても1年後にはやめてしまう企業が大半です。

    今回の記事では、企業がYouTubeチャンネルを開設するメリットや開設方法、そして運用方法のコツを解説します。

    目次【本記事の内容】

    YouTubeと企業のチャンネル開設

    YouTubeは、世界最大の動画共有プラットフォームで、日本国内の月間利用者数は7500万人以上にものぼります(Think with Googleより)。

    テレビでYouTubeを視聴する層は月間2000万人以上と言われており、テレビ同然かそれ以上の生活に根差したコンテンツです。

    このような流れを受けて、YouTubeチャンネルを開設し運用する企業が増えています。

    企業がYouTubeチャンネルを運用する意義とは

    YouTubeはほかのSNSとは異なり、動画主体の配信サービスのため、視覚的に企業の商品やサービスの魅力を伝えやすい特徴があります。

    InstagramやFacebook、Twitter、TikTokでも動画の投稿は可能ですが、数分以上にわたる長尺の動画配信となると離脱しやすいデメリットがあります。

    長尺コンテンツの視聴が当たり前のYouTubeであれば、商品やサービスの使い方、メリットなど短時間では伝えきれない情報を、効果的に伝えることができるのです。

    動画の特性上、視聴者の時間を長く拘束することができるのも魅力です。企画の工夫次第では、ながら見需要にも応えられるため、チャンネル再生をし続けてもらうことも期待できます。

    ほかの情報発信施策と比較して、ユーザーとの接点が長く取れるので、チャンネルおよび企業へのファン化が見込めるのです。

    ▼各種SNSについては「SNS運用で大切な「目的設定」とは?運用効果を最大化する秘訣を徹底解説」でも詳細に紹介しているので参照ください。

    ◆YouTubeはSEOでも優位に立てる

    SEOとは「Search Engine Optimization」の頭文字をとった略語で、検索エンジン最適化のことです。

    動画コンテンツは検索ユーザーにとって有益な情報だと、Googleのクローラーに判断される傾向が高く、Google検索では検索結果の上位になりやすくなっています。

    記事型のコラムコンテンツのほか、動画も戦略的にコンテンツを充実させることで、競合他社よりもSEOの検索性で優位に立てる可能性が高まるのです。

    ▼SEO対策については「SEO対策とは? 効果的な戦略の組み立て方と対策方法」でも解説しているので、こちらも合わせてお読みください。

    企業がYouTubeチャンネルを開設する前の準備

    企業が公式チャンネルとしてYouTubeを利用する場合、商品販促や集客、会社のブランディングなどの目的があるはずです。

    マーケティングの手段としてYouTubeチャンネルを利用するならば、事前にYouTubeチャンネル運用のための準備をしておきましょう。

    準備その1:アイコン画像とバナー画像を用意する

    YouTubeチャンネルの顔となる画像を用意しましょう。

    アイコン画像は配信動画やコメントの横に表示されます。画像サイズは98×98ピクセルの正方形もしくは4MB以下の円形の画像で、800×800ピクセルを推奨されています(YouTubeヘルプを参照)。

    バナー画像はYouTubeチャンネルの上部に表示される横長の画像です。

    アスペクト比は16:9、2048×1152ピクセル以上の6MB以上の画像を推奨されています。

    画像は社員の集合写真などを安易に選択すると、ユーザーに訴えかける力が弱くなってしまいます。企業の公式チャンネルとしてはブランドイメージに繋がる部分なので、チャンネルのコンセプトを魅力的に伝える広告バナーのようなデザインを作成することをおすすめします。

    準備その2:チャンネル名の決定

    企業公式チャンネルの名前は、企業のブランドイメージを確立するうえで重要です。

    企業名やブランド名が入るなど、ユーザーがわかりやすいことが前提です。

    YouTubeチャンネルの登録者数が増えると、チャンネル名で認識されることも多いため、キャッチーで呼びやすく覚えやすいものが良いでしょう。

    ただし、カテゴリを狭めすぎたチャンネル名にしてしまうと、企画で様々な方向性を試しづらくなり自分たちの首を絞めることになりえます。そのため、ジャンルのイメージはわかるように設定し、大まかにくくるぐらいが良いでしょう。

    準備その3:チャンネルの説明欄の入力

    YouTubeチャンネルの説明をまとめましょう。

    チャンネルの[概要]セクションや検索結果に表示されるため、チャンネルの詳細がわかりやすい文章にすることです。企業の商品やサービス、発信するコンテンツの内容など、企業としてユーザーに知ってほしい内容は過不足なく記載しましょう。

    ほか、企業のホームページや特設ページ、ECサイトといった商品購入ページのURLを導線として貼り付けることが可能です。YouTubeチャンネルの視聴をきっかけに関心を持ったユーザーが問い合わせしやすいように、問い合わせ先としてメールアドレスを記載するのも一つの手段です。

    YouTubeチャンネル開設から動画投稿までのステップ

    さて、YouTubeチャンネルを開設するにはいくつかのステップを踏まなければなりません。その手順を紹介しましょう。

    ステップ1:Googleアカウントを作成する

    まず、YouTubeにログインするためにGoogleアカウントを用意しましょう。

    Googleアカウントを作成し、YouTubeにログインできるようになれば、動画にコメントや高評価・低評価をつけることができるようになります。

    ステップ2:YouTubeアカウントの種類を選択する

    用意したGoogleアカウントでYouTubeにログインしたら、次はYouTubeチャンネルの種類を選びましょう。

    YouTubeチャンネルの種類には、個人用の「デフォルトアカウント」とチャンネル専用の「ブランドアカウント」の2種類があります。

    デフォルトアカウントは最初にGoogleアカウントを作成した時に作成されるアカウントで、YouTubeチャンネル用にはブランドアカウントを選択しましょう。

    デフォルトアカウントでYouTubeチャンネルを開設してしまうと、個人名およびGoogleアカウントの名前がチャンネル名となってしまいます。

    チャンネル作成の際に注意したいのは、ブランドアカウントを作成するにはパソコンやスマートフォンのブラウザを利用することです。スマホのYouTubeアプリからはブランドアカウントは作成できないので注意しましょう。

    ステップ3:YouTubeチャンネルを作成する

    ブランドアカウントを選択したら、YouTubeチャンネルの作成ができます。

    「チャンネルを作成」をクリックして、「名前」と「画像」の入力画面が立ち上がるので、ここに準備しておいた「チャンネル名」と「アイコン画像」を設定して、「チャンネルを作成」をクリックします。

    チャンネル作成が完了したら、「チャンネルのカスタマイズ」>「ブランディング」「基本情報」から事前準備した情報を入力しましょう。

    ステップ4:動画をアップロードする

    メニューリストの「コンテンツ」をクリックし、右上の「アップロード」を選択して動画をアップロードします。

    必須項目の「タイトル」と「視聴者情報」のチェックのほか、任意項目の動画の説明やサムネイルの設定も視聴されるには重要な項目です。

    アップロード時には「視聴者」情報の設定として、子ども向けか子ども向けではないかを選択する必要があります。子ども向けコンテンツを選択した場合、広告や通知の機能が利用できませんが、ほかの子ども向けコンテンツと一緒におすすめされる可能性が高くなります。

    最後に、「公開」「限定公開」「非公開」の公開設定をします。

    企業の公式チャンネルとして運営する場合、基本的には「公開」設定になると思いますが、「イベント参加者限定!」といったコンテンツの場合は、運用目的やコンテンツの内容に合わせて限定公開などの設定をしましょう。

    YouTubeチャンネルの運用方法について

    いざ、YouTubeチャンネルを開設しても、継続的に動画コンテンツを更新しなければ意味がありません。

    YouTubeチャンネルの運用を成功させるには、いくつかの条件を満たす必要があります。

    条件1:専属の担当者をつける

    企業のYouTubeチャンネル運用において、とくに重要なのは専属の担当者を置くことです。

    登録者数10万人以上のYouTubeチャンネル数は7700以上あり、年々増え続けています(Think with Googleより)。ユーザーのYouTube視聴者数や視聴率は増加傾向にあるなかで、チャンネル数も増加しているため、片手間でなんとなく運用していてもうまくいくはずがありません。

    YouTubeチャンネルを運用すると決めたならば、プロの運用代行業者に依頼することも選択肢に入れつつ、本気で取り組むことです。

    YouTube運用代行支援のサービスはこちら

    条件2:毎月数本を継続的に投稿する

    YouTubeチャンネルを立ち上げた時の主なKPIは「再生回数」と「チャンネル登録者数」です。

    なかでも最初に重視すべきは「再生回数」です。YouTubeのアルゴリズム上、多くの人に視聴されたという事実を作り上げないことには認知されることはありません。

    そのため、再生回数を増やすべく毎月のように継続的に、動画を更新し続ける必要があるのです。とくに誰もが視聴できるYouTubeという特性上、たまたまバズって視聴回数が数千〜数万回となることもありますが、基本的には再生回数1000回未満でもコツコツとやり続ける継続性が大事です。

    もう一つのKPIであるチャンネル登録者数を増やすためにも、まずは再生回数を伸ばしながら継続的な動画コンテンツの更新を心がけましょう。

    条件3:視聴者が望むテーマを分析して投稿する

    YouTubeに限らず、広告含め情報が量産されている現代において、ひとりよがりなコンテンツを投稿し続けても効果はありません。

    流行りの音楽に乗せて踊っていたり、自社の商品の良い部分だけをアピールしたりすることなどです。

    YouTube視聴者は自分の趣味や目的に合わせて、有益な情報を求めています。

    たとえば、悩みを解決する情報提供型のコンテンツなど、視聴者のためになる情報を提供しなければ興味を持ったチャンネル登録者は増えないでしょう。

    さらに、運営側はそんな中から再生回数が伸びた動画があれば、その要因を分析して同じテーマの動画を量産するなどの工夫が必要です。

    有益な情報を提供し続けるYouTubeチャンネルというブランディングが確立できれば、信頼感も上がり、会社への関心も高まってくるはずです。

    YouTubeは集中と継続が大事

    以上、企業のYouTubeチャンネル運用のメリットや開設方法、運用方法について紹介しました。

    企業ブランディングの一環として、YouTubeチャンネルは視覚的に残りやすく、チャンネル登録者数が増えれば認知も向上するなどメリットも多いでしょう。

    長期的な目線で運用を設計し、専任の担当者が集中して動画制作と運用を続けられる環境を作ることが重要といえます。

    世界的に利用者数の多いYouTubeだからこそ、チャンネル運用には本気で取り組みましょう。

    参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから

    執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、ディレクター)

    慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。