新規見込み顧客を獲得するために検討すべき19の方法!集客に困っているなら即検討!

新規見込み顧客の獲得は企業の生命線と言っても良いほど、重要な課題です。

「顧客獲得がうまくいきすぎて悩む」というよりも「新規見込み顧客の獲得がうまくいかない」という課題を持っている方のほうが多いのではないでしょうか。

立ち上げたばかりで顧客獲得基盤が全くできていない企業はもちろんのこと、事業の拡大や刷新、改善、新規事業の立ち上げのタイミングでも、新規見込み顧客の獲得は課題となってきます。

そこで本記事では、新規見込み顧客の獲得に悩んだら検討すべき19の方法について詳しく解説していきます。

自社の新規見込み顧客の獲得に合いそうなものを実施できないか検討してみてください。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

◉新規見込み顧客を獲得する方法は大きく2つ

新規見込み顧客を獲得するアプローチ方法は、大きく「プル型」と「プッシュ型」に分けることができます。

それぞれどのような施策なのかを、くわしく見ていきましょう。

◉-1、プル型

プル型はWebサイトやSNSなどに商品やサービスの情報を発信して、ターゲットからの問い合わせを待つタイプのアプローチ方法です。

効率的な見込み顧客獲得の仕組みをつくることによって、人が動かなくても多くの顧客にアプローチできるというメリットがある一方で、プッシュ型に比べて売上が上がるまでに時間がかかるというデメリットがあります。

◉-2、プッシュ型

プッシュ型はターゲットに商品やサービスを積極的に提案して新規見込み顧客の獲得につなげるアプローチ方法です。

すぐに売上があがりやすいという即効性が大きなメリットですが、人件費や手間がかかるというデメリットがあります。

人が動かないと継続的な見込み顧客の獲得にはつながりません。

◉プル型の新規見込み顧客獲得手法

プル型の新規見込み顧客獲得の手法には以下のようなものがありますが、かけられる予算にも限りがあります。

・Web広告
・SEO対策(コンテンツマーケティング)
・SNS運用
・メルマガ運用
・インフルエンサーマーケティング
・MEO対策(GoogleMap)
・企業出版(ブックマーケティング)
・プレスリリース
・セミナー開催
・展示会への出展
・新聞折り込み広告
・新聞・雑誌広告
・パンフレット
・異業種交流会への参加

「いずれかの手法をやれば必ず効果が出る」というものではないので、それぞれの手法の特徴や得意・不得意を押さえた上で、優先順位やタイミング、予算配分などを検討して実施する必要があります。

◉-1、Web広告

Web広告は検索時に表示される広告やSNS広告などのインターネット上のメディアに表示される広告です。

年齢や性別など、特定のターゲットに向けて効率良く広告を配信できることや、Web広告の閲覧数やクリック数、成約数などのデータを分析して改善が素早くできるのが特徴。

Web広告と言っても、どこにどのように広告を表示するのかによって次のような種類があり、ターゲットや商材によって使い分けることが成果をあげるポイントです。

・リスティング広告
・ディスプレイ広告
・SNS広告(X、Meta、TikTok、Instagram、LINEなど)
・アフィリエイト広告
・記事広告
・動画広告
・メール広告

Web上での問い合わせや販売が可能な商品全般で活用されている新規見込み顧客獲得手法ですが、Web広告ではほとんど成約しないような商材もあるので、「自社の商品・サービスでWeb広告をして問い合わせや購入につながるか?」をしっかりと確認しましょう。

◉-2、SEO対策(コンテンツマーケティング)

SEO対策(コンテンツマーケティング)は検索をした際に、自社のWebサイトを検索結果の上位に表示させる手法です。

多くの顧客は商品やサービスを購入する前に、色々と検索して情報収集をしたり、比較検討をします。

そのため、ターゲットが検索するようなキーワードで上位に表示されると、自然と自社サイトを訪れるような仕組みが出来上がるのです。

中長期的に安定した問い合わせや顧客リストが獲得できることがメリットですが、即効性のある集客は不得意です。

SEO対策を始めてから成果が出るまでには最低でも6ヶ月~1年以上かかります。

初期投資が必要なため、広告やSNSなどである程度集客ができている企業が、将来的な広告費削減を見込んで、次の新規見込み顧客獲得手段として選ぶのがおすすめです。

▶︎SEO対策については、関連記事【SEO対策とは? 効果的な戦略の組み立て方と対策方法】もあわせて参考にしてください。

◉-2-1、オウンドメディア運用

オウンドメディア運用は、企業が自社で情報発信メディアを所有して運用することで新規見込み顧客を獲得していく手法です。

主に公式Webサイト上のブログやコラム、企業が運営する別メディアなどがオウンドメディアに該当します。

自社の意思によって自由に情報発信やコンテンツの蓄積ができ、SNSやブログサービスのように他の会社のサービスを利用している訳ではないので、第三者に勝手に削除されないという特徴があります。

◉-3、SNS運用

SNS運用は、SNSで情報を発信し、顧客(フォロワー)との間で双方向のコミュニケーションを取りながらマーケティングを行うことです。

よく利用されるSNSには、X(旧Twitter)、Facebook、Instagram、LINE、YouTubeなどがあり、利用するユーザー層や発信方法などが異なります。

そのため、ターゲットの年代や性別などによって適切なSNSを選ぶ必要があります。

SNSは拡散性が高い上、GoogleやYahoo!などの検索エンジンではなくSNSで検索する方も増えているので、うまく運用すれば多くの新規見込み顧客の獲得が期待できます。

得意なことはトレンド性や即時性のある情報発信で、不得意なことは情報の寿命が短く情報の保存性が低いことです。

▶︎SEO対策については、関連記事【SNS運用のやり方をとことん解説|フォロワーを集めてビジネスに繋げる成功法則とは?】もあわせて参考にしてください。

◉-4、メルマガ運用(メールマーケティング)

メルマガ運用(メールマーケティング)は、自社のWebサイトを訪れて会員登録や資料請求をしてくれた顧客に対して、メールで定期的に情報発信を行う手法です。

比較的低コストで運用できるので、中小企業でも取り組みやすいのが特徴です。

定期的なメルマガ配信によって顧客とのつながりを維持したり、役立つ情報などを配信して購入意欲を高めたりすることができます。

BtoB向けの場合は、新規見込み顧客獲得だけではなく顧客教育のために利用するなども有効です。

ただし、こちら側からの一方的な発信になってしまうため、SNSのように双方向のコミュニケーションができないのがデメリットと言えるでしょう。

◉-5、インフルエンサーマーケティング

インフルエンサーマーケティングは、SNS上で大きな影響力をもつインフルエンサーに商品やサービスの良い口コミをしてもらって顧客の認知獲得や購買につなげる手法です。

インフルエンサーとは主にSNS上で世間に対して影響を与えるような情報発信をする人のことです。

たとえば、YouTuberなどのことをインフルエンサーと呼びます。

企業からの直接的な情報発信ではなく、消費者目線のインフルエンサーによる情報発信なので、広告臭がなく顧客からの共感や信頼が得られやすくなります。

ただし、近年のステルスマーケティング規制の強化により、「これは広告である」ということを伝えないと違法になってしまい取締の対象になってしまうので注意しましょう。

得意なのはSNSネイティブ世代の女性向けのコスメ、ファッション、グルメなどで、不得意なのはSNSを利用する機会が少ない世代向けの商材です。

◉-6、MEO対策(GoogleMap)

MEO対策はGoogleマップで地図検索をしたときに、自社店舗の情報を検索結果の上位に表示させるとともに、魅力などをアピールして店舗の集客に結びつける手法です。

地図検索の結果で上位に表示されると認知度が向上して来店数は増加しますが、売上に結び付けるためにはその店舗やサービスの魅力を向上させる必要があります。

得意なのは実店舗がある業種や地域密着型のサービス業などで、具体的には飲食店、小売店、美容院、病院や薬局などの医療機関、など地域のサービス業者などです。

また、緊急対応の必要がある水道修理や害虫駆除、鍵の修理などの見込み顧客獲得にも有効です。

不得意なのは実店舗を持たない業種やBtoBがメインの業種です。

◉-7、企業出版(ブックマーケティング)

企業出版(ブックマーケティング)は書籍をマーケティングに活用する手法です。

書籍を出版して全国の各書店に配本するだけ(企業出版)でも一定の社会的信頼性を高め、認知向上やブランディングに効果があります。

書店に配本するだけではなく、SNS運用やクラウドファンディング、出版記念イベント企画、SEO対策などさまざまなマーケティング施策を駆使して、ターゲットの手元に書籍をより届けていくことで新規見込み顧客獲得につなげる手法がブックマーケティングです。

商品やサービスの紹介だけではなく、その必要性や効果、企業の保有技術や実績、取り組みなどをストーリーとしてまとめて一冊の書籍にして顧客に届けることができるので、顧客教育ができたり、成約までのリードタイムの短縮なども期待できます。

BtoBの高単価商材・サービスや、不動産、住宅、保険など成約までに顧客教育が必要であり、リードタイムが長くなりがちな業種の企業に向く手法です。

実際にコンビニよりも数が多いことから差別化が難しいとされている保険代理店でブックマーケティングを実施したところ、同業種からのコンサル依頼や、講演依頼、大型の法人保険契約が決まったり、新たな新規見込み顧客の獲得につながっています。

すごいことになっています。出版直後から反響があり、時間が経つほどに色んな出来事が起こっていますね。
本来の出版目的であった、同業の保険代理店からのコンサル依頼がまず数件。そして驚いたのは、保険会社から講演の依頼が来たり同業支援の話が回ってきたりと、「保険会社にとって頼れる代理店」というありがたいイメージを持ってもらえるようになったことです。
保険代理店はコンビニより数が多いうえ、扱う商品で差別化ができません。保険会社側から一目置いてもらえる代理店になることの価値はとても大きいんです。
引用元:【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店

▶︎ブックマーケティングついては、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。

◉-8、プレスリリース

プレスリリースは企業が、TV、ラジオ、新聞、雑誌、Webメディアなど報道機関に向けて行う公式な情報発信です。

プレスリリースの目的はメディアに取り上げられて記事にされたり、番組などで特集してもらうことで、内容は新商品や新サービスの発表や業績報告・業務提携・キャンペーンの案内などが主です。

従来はメディアに対してFAXや郵送で送っていましたが、近年ではWebメディアなどを中心にメール送信を希望するメディアが増えています。

時代性や流行に合った商品・サービスなどはメディアに取り上げられやすい傾向があるため、どのような切り口でプレスリリースを打つのかがポイントとなります。

◉-9、セミナー開催

自社の商品やサービスに関連するテーマで受講者を集めて、新規見込み顧客を獲得する手法です。

商品やサービスの紹介というテーマでは受講者は集まらないので、自社の商品やサービスに関連する悩みの解決方法のセミナーを開催することがポイントです。

テーマに興味を持つ新規見込み顧客と直接会うことができ、セミナー後に無料の個別相談会などを開いて商談にもつなげることができます。

得意なことはテーマに興味のある新規見込み顧客を集客できることですが、リアルな場で行うセミナーの場合はアクセスできる比較的狭い範囲の顧客に限られますので、大きな集客効果を得ることは不得意です。

一方でZoomをはじめとしたオンライン会議システムなどを活用して行うWebセミナーの場合は、場所を選ばずに参加できるため大きな集客効果を得ることが得意ですが、リアル開催のセミナーのように臨場感がないため、成約率が低くなる傾向があります。

◉-10、展示会への出展

展示会は、特定のテーマや業種に関する企業が出展して、新規見込み顧客と名刺交換をしたり直接情報交換をしたりする場で、最近ではオンライン展示会も開催されています。

展示会中に商談ができたり、展示会終了後に名刺をリスト化して優先順位をつけてアプローチすることができます。

特定のテーマや課題解決に関心のある新規見込み顧客を短期間に獲得できるのがメリットです。

◉-11、新聞折り込み広告

新聞折り込み広告は、その名の通り、新聞に折り込んで新聞の定期購読者に配布されるマス広告です。

主に一枚の紙の片面や両面に印刷されたチラシで、記載できる情報量は限られていますが、配布日やエリアを細かく指定して配布することができます。

得意なのは配布エリア内にある店舗や、地域性のある商品・サービスの広告やキャンペーン・イベント情報の告知などです。

◉-12、新聞・雑誌広告

新聞・雑誌広告は新聞や雑誌の広告枠に印刷されたマス広告です。

新聞広告は新聞の購読者に見てもらいやすく、雑誌広告はターゲットが良く購読する雑誌を選べば、特定のターゲットに効率よく情報を届けることができます。

新聞広告が得意とするのは新聞の読者層に響くような商品・サービスの広告で、不得意なのは若年層などをターゲットとした商品・サービスの広告や、ニッチなターゲット向けの広告です。

一方、雑誌広告が得意とするのはその雑誌を購読している特定のターゲットにアプローチすることです。

雑誌は新聞と違い、制作から発行までにある程度時間がかかるため、即時性を必要とする広告には不向きと言えるでしょう。

◉-13、パンフレット

パンフレットは複数枚の紙を折り曲げて重ねて冊子にした印刷物です。

会社案内や製品・サービスの詳細な紹介など伝えたい情報量が多い用途に利用されます。

実体のある紙の冊子なので信頼性が高く、紙質などによって高級感を与えることができたり、デジタルが苦手な高齢世代にも情報を届けることができるなどの特徴があります。

最近ではパンフレットをPDF化してWebサイトやSNSなどで顧客に配布するケースもあります。

主に老人ホームや介護施設、大学や学習塾など比較検討が必要な高額商品・サービス、相見積もりなどが当たり前の建設業や製造業などの新規見込み顧客獲得に向いている媒体です。

▶︎パンフレットついては、関連記事【出版社クオリティのパンフレット制作】もあわせて参考にしてください。

◉-14、異業種交流会への参加

異業種交流会は名前の通り異なる業種の人が集まって親睦を深めたり情報交換をしたりする会議・勉強会・パーティーなどの会合です。

主な目的は人脈形成と情報交換で、他業種の人から違う考え方や気づきを得ることができたり、新商品の共同開発につながったりするケースもあります。

得意なことは異なる業種の人との情報交換や人脈作りです。

まずは参加者との信頼関係を築く必要があるため、すぐに自身のビジネスや新規見込み顧客獲得にはつながりにくい傾向があります。

◉プッシュ型の新規見込み顧客獲得手法

プッシュ型の新規見込み顧客獲得の手法には以下のようなものがあります。

・テレアポ
・フォーム営業(フォームアプローチ)
・SNS営業
・DM(ダイレクトメール)
・メール送付

プル型と同様に、その手法をやれば必ず効果が出るというわけではなく、それぞれの手法の特徴や得意・不得意を押さえた上で、対象となる商品・サービス、タイミングなどを検討して実施する必要があります。

◉-1、テレアポ

テレアポは電話をリストに対してかけ、ターゲットの企業や個人などとアポイントメント(会う約束)を取る手法で、多くの企業で行われています。

うまくアポが取れればその後営業マンが商談を行い短期間で成約につながる可能性があるため、新規見込み顧客獲得や売上につながりやすいのがメリットです。

▶︎テレアポついては、関連記事【テレアポは時代遅れ! マーケティング活況時代の非対面営業戦略】もあわせて参考にしてください。

◉-2、フォーム営業(フォームアプローチ)

フォーム営業とは顧客企業のHPの問い合わせフォームからアプローチをする手法です。

一般的に総合窓口からメッセージを送り、顧客企業内で担当部署に振り分けられてレスポンスが返ってくることによってアプローチが成立します。

送信した内容はほぼ確実に確認されるはずですが、その後レスポンスが返ってくるかどうかは不確実です。

基本的に無視されると思っていた方が良いでしょう。

得意なのは認知拡大やアプローチ増加によって販売数が増えるような商材で、不得意なのは顧客からの信用が第一であるような商材、長年の付き合いが重視される商材などです。

これは、フォーム営業は顧客から悪い印象を持たれるケースがあるためです。

◉-3、SNS営業

SNS営業はソーシャルセリングとも言われる手法で、SNSを介して1対1でアプローチして信頼関係を深めていくのが特徴です。

BtoCだけでなくBtoBにも対応でき導入コストもランニングコストも特にかかりません。

得意なことはターゲットにダイレクトにアプローチできること、リモートワークにも対応できることなどです。

効果が得られるまでに時間がかかりますので即効性を狙う営業は不得意です。

◉-4、DM(ダイレクトメール)

DM(ダイレクトメール)は企業が広告を目的として、ターゲットに郵送や電子メールで情報発信する手法です。

郵送の場合は形のあるパンフレットなどが顧客に届くので、認知されやすくレスポンスも良いという特徴がありますが、コストや手間がかかるというデメリットもあります。

不動産や車などの高単価商品、冠婚葬祭業、高級ホテル・旅館など、DMが送付されてくることに対して顧客が特別感を感じるような業種、商品・サービスに有効な手法です。

一方でDMを送付するコストに見合わないような薄利多売のビジネスモデルや、低単価の商品などには不向きなので注意しましょう。

◉-5、メール送付

メール送付はメルマガとは異なり、既存顧客や顧客一人ひとりにメールを送信してコミュニケーションを行う手法です。

メールの内容は商品やサービスの購入に対するお礼や関連する商品の紹介、キャンペーン情報などで、既存顧客へのアプローチを最も得意としますが、ターゲティングされた見込み顧客のメールアドレスリストや属性情報があれば新規見込み顧客獲得にも利用できます。

不得意なのはメールを見る暇がないような業態の顧客へのアプローチです。

注意点としては、開封されなかったり迷惑メールと判断されてサーバー側でブロックされたりすることがありますので開封率が高いとは言えないことです。

◉ただやるだけではダメ!新規見込み顧客を1人でも多く獲得するために重要なポイント

ひと昔前までは前述のプル型の施策やプッシュ型の施策をやるだけで成果を出すことができました。

しかし現在では顧客の目が肥えてきたため、さまざまな工夫をしていかないと成果が出せないのが実情です。

成果を出していくためには主に次のようなポイントを押さえた上で今回ご紹介した新規見込み顧客獲得方法を実施していきましょう。

◉-1、プル型とプッシュ型の連携・情報共有

プル型は人が動かなくても集客できる仕組みが強みで、プッシュ型は即効性が強みです。

最大の成果を出すためには、どちらかをやれば良いという訳ではなく、プル型とプッシュ型をうまく連携させて情報を共有していくことが重要です。

◉-2、デジタル施策とアナログ施策の連携

情報発信する際にデジタルとアナログをうまく組み合わせることによって効果を上げることができます。

企業におけるデジタル・アナログ組み合わせ施策の実施状況について、日経BPコンサルティングが2018年2月に実施した「デジタル・アナログ領域のマーケティング施策実態調査(第4回)」結果によれば、次表のように年々増加傾向にあることが分かります。

調査年月デジタル・アナログ組み合わせ施策を実施している企業の割合
2016年3月29.1%
2017年3月31.5%
2018年3月35.5%

また、デジタル・アナログ組み合わせ施策の効果については、リコーが行った「実証実験」の結果によって、次表のような結果が得られています。

検証ケースeメール開封率Webサイト遷移率
eメールのみを送付した場合13.8%1.5%
eメール送付後に紙のDMを送付した場合75.8%(5.5倍)4.4%(3.4倍)

eメールのみを送付した場合の開封率が13.8%、Webサイト遷移率が1.5%だったのに対して、eメール送付後に紙のDMを送付した場合は、開封率が5.5倍の75.8%に、Webサイト遷移率が3.4倍の4.4%に、と大幅に向上しています。

つまりデジタルとアナログをうまく組み合わせる方が、より大きな成果につながりやすいということです。

実際にデジタルとアナログの施策をうまく連携させ成果をあげている事例をいくつかご紹介します。

◉-2-1、成功事例1:デジタルマーケティング施策と書籍により売上倍増

不動産投資サービス業の会社経営者は医師をターゲットとして「高収入な医師に最も効果的な節税対策は不動産投資である」という書籍を出版。

書籍の企画段階からSNSなどのデジタルマーケティング施策の検討を行い、出版タイミングに合わせて実施しました。

デジタルとアナログの良さを活かしたマーケティング施策を行ったことで、狙い通りに多くの医師に書籍を購入してもらい不動産投資の節税効果を理解してもらうことに成功。

結果として、書籍を購入した医師から成約を獲得して売上を倍増させることや、既存顧客からの口コミで評判が広がり、新規見込み顧客の獲得にもつながっています。

◉-2-2、成功事例2:デジタル施策とアナログ施策の連携で大口契約獲得

保険代理店の会社経営者は保険業界の実態と保険業界に定着している「成果報酬型」の給与体系を「一律報酬型」に変えることによって業績向上ができるという内容の書籍を出版。

従来からSNSでの情報発信などを行っていましたが、1つ上のステージに上がることを目指して書籍を出版したところ、デジタルとアナログをうまく活用したマーケティング施策により、大口の企業案件の契約獲得につながりました。

また、社内人材の定着や講演活動への招へいの増加、商談もある程度ホットな状態から進められるなどさまざまな良い影響が出ています。

◉【まとめ】新規見込み顧客の獲得は戦略的に!

本記事では新規見込み顧客を獲得するアプローチ方法が「プル型」と「プッシュ型」に分けられることを説明し、具体的に「プル型」の14の手法と「プッシュ型」の5つの手法を紹介しました。

顧客の目が肥えてしまい、ひと昔前よりも新規見込み顧客獲得の難易度は上がっています。

そんな中、新規見込み顧客を1人でも多く獲得していくためには、「プル型とプッシュ型の連携」や「デジタル施策とアナログ施策の連携」が特に重要です。

フォーウェイは、アナログ施策の「企業出版(ブックマーケティング)」や「パンフレット」などとデジタル施策の「SNS」「SEO対策」「Web広告」などを連携した新規見込み顧客獲得のサポートを得意としています。

「今現在行っている方法ではなかなかうまく顧客獲得につながらない…」「色々と試行錯誤してやっているが、どのような方法を活用すれば良いのかが分からない…」など、新規見込み顧客の獲得に戦略的に取り組みたいと思っている方は、フォーウェイまでご相談ください。

ブックマーケティング

建設・建築業の会社で「なかなか契約や発注につながらない」と悩んでいる方もいらっしゃると思います。

デジタルマーケティング施策や営業手法などももちろん見直すべきことではありますが、その前にまず再検討しておきたいのが会社案内パンフレットです。

なぜなら、会社案内のパンフレットは、発注元企業における会社選びの際に「この会社に安心して任せられるかどうか」を判断する重要なツールの1つとなっているからです。

会社案内のパンフレットは、単なる会社案内資料ではありません。

今回は、契約や発注につながる建設・建築業の会社案内パンフレットを作るためには、どのような工夫をすべきなのか、活用方法などとともに解説いたします。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
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慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

◉建設・建築業で会社案内のパンフレットが必要な理由

建設・建築業の会社は、主に施主などの発注元企業から工事を受注する必要があり、その前段階として見積依頼に対して見積書を提出しなければなりません。

建設・建築業界には相見積もりを取る慣習があるので、相見積もりの依頼先に選定されて見積書を提出し、比較検討のうえ発注先に選定されなければ受注することはできません。

発注元企業では、相見積もりが揃ったら価格だけではなく工期やその会社の施工実績、信頼性などを総合的に比較検討して発注先を決めます。

このときに、会社案内パンフレットを並べて比較検討することもあるので、建設・建築業界では会社案内パンフレットは非常に重要なものとなっているのです。

建設・建築業で会社案内パンフレットが必要な理由をまとめると、以下のようになります。

・主な顧客が企業であるため
・顧客との信頼関係の構築が重要なため
・安心・信用して工事を発注してもらうため
・事業内容を明確に伝える必要があるため
・常に採用活動が必要な業種であるため

それぞれについて、くわしく見ていきましょう。

◉-1、主な顧客が企業であるため

発注元企業は、新しい発注先を探す際、多くの建設・建築業を営む会社の中から見積依頼先や発注先を選定します。

発注元企業が見積依頼先や発注先を選ぶ際には、紙媒体の会社案内パンフレットを並べて内容確認したり比較検討したりすることが多く、建設・建築業にとって会社案内パンフレットは仕事を取る上で重要なのです。

◉-2、顧客との信頼関係の構築が重要なため

一般的に、紙媒体のパンフレットの方がネット上の情報よりも信頼性が高いとされます。

これは紙媒体の情報の方が制作の手間や費用がかかっているからであり、発注元企業から「会社案内パンフレットを作っているしっかりとした会社だ」という印象を持ってもらえて、信頼関係構築のきっかけになります。

また、営業活動の際などに発注元企業のキーマンに会社案内パンフレットを手渡しして内容を説明し、信頼関係構築のきっかけとすることも可能です。

◉-3、安心・信用して工事を発注してもらうため

現代ではインターネットやスマホが広く普及していますが、紙媒体の会社案内パンフレットの方が、ネット上の情報よりも一覧性が良いことも理由の一つです。

建設・建築業の発注元企業は「工事を安心して任せられる会社」に発注したいと考えているので、パッと見てその会社の事業内容や工事実績などが分かることは重要です。

紙媒体の会社案内パンフレットがあれば、安心・信用して工事を発注してもらいやすくなります。

◉-4、事業内容を明確に伝える必要があるため

一口に建設・建築業といっても、実際には次表のように2種類の一式工事と27種類の専門工事に分かれており、建設業法で許可を受けた工事のみを施工することができます。

種類事業内容(施工できる工事内容)
土木一式工事道路・トンネル・橋梁・ダム・護岸などの工事
建築一式工事戸建住宅・マンション・店舗・ビル・公共施設などの建築
27種類の専門工事大工、左官、とび・土工、石、屋根、電気、管、タイル・れんが・ブロック、鋼構造物、鉄筋、ほ装、しゅんせつ、板金、ガラス、塗装、防水、内装仕上、機械器具設置、熱絶縁、電気通信、造園、さく井、建具、水道施設、消防施設、清掃施設、解体の各工事

そのため、会社案内パンフレットでは、自社は建設業法のどの許可を受けていて、どの工事を施工できるのかを明確にしておく必要があります。

また、実際の営業活動では、工事現場の事務所で工事監督の方と接することがありますが、相手も多忙なのでiPadの動画で説明するなどというようなことはできず、会社案内パンフレットで説明するのが精いっぱいという実情もあります。

◉-5、常に採用活動が必要な業種であるため

建設・建築業では、急に人手が必要になって採用活動をしなければならなくなることがよくあります。

このような急な採用時にもすぐに配布できる資料として、会社案内パンフレットは非常に便利です。

採用活動で会社案内パンフレットを使うことを考えて、「社員が元気に働いている様子が分かる写真」や「社員インタビューの内容」などを入れておくことも大切です。

▶建設業のブランディングについてより詳しく知りたい方は、関連記事【建設業にブランディングは必要なのか? その効果と適した手法を解説】もあわせて参考にしてください。

◉発注や採用につながる!建設・建築業の会社案内のパンフレットを作るコツ

建設・建築業では、会社案内パンフレットが発注の決め手になることが多いということを意識して作る必要があります。

単なる会社説明資料という観点ではなく、「どうしたら発注元企業に発注したいと思ってもらえるか」「どういう項目を入れたら工事を安心して任せられる会社と思ってもらえるか」を意識して会社案内パンフレットを制作することが大切です。

発注や採用につながる会社案内パンフレットを作るためのコツは次の通りです。

・顧客が建設・建築業者の比較検討
・発注のために必要な項目を分かりやすく入れる
・問い合わせにつながる導線を分かりやすく入れる
・お客様の声など第三者目線を入れる
・自社の施工実績を入れる
・デジタルマーケティング施策への活用も見据えて制作する
・コンテンツマーケティングができるパンフレット制作会社に依頼する
・採用活動に使う会社案内パンフレットは別で作る

それぞれについて、くわしく見ていきましょう。

◉-1、顧客が建設・建築業者の比較検討・発注のために必要な項目を分かりやすく入れる

顧客(発注元企業)が発注先を決めるときに「どのような項目をみて発注先を決めているのか」から逆算して、その項目を分かりやすく入れておく必要があります。

自社で実施できる具体的な工事内容や工事実績、主な取引先など、判断基準になりそうな項目を入れておくようにしましょう。

特に規模の大きな工事実績や、いわゆるスーパーゼネコンなどから安定して工事を受注できているということが記載されていると、「安心して工事を任せられる会社」だと判断してもらえる可能性が高くなります。

◉-2、問い合わせにつながる導線を分かりやすく入れる

会社案内パンフレットには、電話番号やメールアドレスを分かりやすく明記しておくことはもちろんですが、自社のHPに飛べるようなQRコードを入れておくことも大切です。

会社案内パンフレットを見て発注元企業が電話したりメールしたりすることも考えられますし、Webサイトを確認するようなこともあるので、問い合わせにつながるような導線を分かりやすく入れておくようにしましょう。

◉-3、お客様の声など第三者目線を入れる

自社目線の一方的な会社案内パンフレットになっていると、信頼性が低くなってしまうので、自社以外の第三者目線を入れることが重要です。

たとえば、発注元へのインタビュー内容などの第三者の情報を入れることによって、施工実績などの説得力や信頼感を向上させることができます。

◉-4、自社の施工実績を入れる

自社の施工実績を明記しておくことは非常に重要です。

過去にどのような規模のどのような工事を施工した実績があるのかが分かると、発注元企業が発注先を選定する際の大きな根拠となります。

発注元企業にも「この会社は以前同じような工事を施工したことがあるようだから安心してお願いできそう」と思ってもらいやすくなるでしょう。

施工実績を記載する際に注意すべきことは、できる限り具体的に書くことです。

自社でどのような範囲で何の工事を担当したのかなどが分かるように書くことが重要です。

◉-5、デジタルマーケティング施策への活用も見据えて制作する

会社案内パンフレットは紙媒体のアナログマーケティング施策で、発注元企業が発注先を決める際の重要な参考資料となります。

しかし、せっかく制作するのですから、デジタルマーケティング施策への活用も見据えて制作しましょう。

たとえば、会社案内パンフレットはWebマーケティングやインサイドセールスなどに積極的に活用することが可能です。

会社案内パンフレットを、工事の発注元となる可能性のある企業に送るだけではなく、デジタルマーケティングに活用することを考えた構成や内容にすることが重要です

◉-6、コンテンツマーケティングができるパンフレット制作会社に依頼する

どうせパンフレットを制作するのであれば、パンフレット制作だけをやっている会社よりも、パンフレット・書籍・記事などのコンテンツをマーケティングに有効活用するサポートをしてくれる会社に依頼することをおすすめします。

契約や発注の増加などを狙うのであれば、コンテンツマーケティングができるプロに依頼した方が良いでしょう。

◉-7、採用活動に使う会社案内パンフレットは別で作る

採用活動に使う会社案内パンフレットは、営業活動に使う会社案内パンフレットと別に作ることが理想的です。

しかし、予算的なこともあるので、両方を兼ねたパンフレットにすることもできます。

または、採用活動に使う「社員が元気に働いている様子が分かる写真」や「社員インタビューの内容」などだけを別のリーフレットとして制作し、採用活動の際は会社案内パンフレットと採用リーフレットを渡すようにする方法も考えられます。

これについては、会社によって考え方も違うと思われるので、ケースバイケースでの検討が必要です。

◉ただ作るだけではダメ!積極的にターゲットに配布してこそ成果につながる!

会社案内パンフレットをただ作るだけでは効果を発揮することはできません。

せっかく手間や費用をかけて作るのですから、1件でも多くの受注や契約につながるような活用をしなければ、かかった制作費用をペイすることはできません。

会社案内パンフレットの活用方法としては、次のようなものが考えられます。

・PDF化してWeb上でも配布する
・ターゲットリスト先に配布する
・フォーム営業などに活用する
・会社案内のパンフレットの一部をHPやSNSなどで活用する
・デジタルマーケティングに活用する

それぞれについてくわしく見ていきましょう。

◉-1、PDF化してWeb上でも配布する

会社案内パンフレットは紙媒体のアナログマーケティングのツールですが、PDF化することによってデジタルマーケティングのツールとして活用することができます。

たとえば、PDF化した会社案内パンフレットを自社の公式Web上でも配布するようなことが考えられます。

◉-2、ターゲットリスト先に配布する

先述したように、建設・建築業界では発注元企業が発注先を決める際に、会社案内パンフレットを並べて比較検討することが多いという実情があるため、発注元となる可能性のある企業に予め会社案内パンフレットを配布しておくなどが有効です。

既存の取引先やパートナー企業はもちろんのこと、今後工事の発注元となる可能性があるターゲットの企業には、各種のリストなどをもとに配布しておきましょう。

会社案内パンフレットを送付しておくことによって認知を獲得して、今後見積依頼を受けたり発注してもらえたりする可能性が出てきます。

◉-3、フォーム営業などに活用する

フォーム営業とは企業HPの問い合わせフォームからメッセージを送ってアプローチする営業手法で、相手企業の担当部署や担当者と面識がない場合に利用されます。

建設・建築業界では、電話やFAXが主要な連絡手段となっていると言われているので、必ずしも成果に直結するかどうかはわかりませんが、送信したメッセージが相手企業内で担当部署に振り分けられてレスポンスが返ってくる可能性もあります。

レスポンスが返ってきたらすぐに返信をするとともに、アポを取って会社案内パンフレットを持参して訪問するようにしましょう。

◉-4、会社案内パンフレットの一部をHPやSNSなどで活用する

会社案内パンフレットに掲載された内容の著作権は自社にあるので、その一部をキャプチャしてHPやSNSなどで活用することができます。

これによって、会社案内パンフレットを直接受け取っていないターゲットに自社の情報を届けることができ、認知の獲得などにつながります。

◉-5、デジタルマーケティングに活用する

マーケティング効果を高めるためには、「接触時間×接触頻度」を最大化することが必要で、「接触時間」が長いのはパンフレットなどのアナログですが、「接触頻度」を上げるのはデジタルが効果的です。

建設・建築業界でも、アナログとデジタルをうまく連携させることによってマーケティング効果を高めることができるはずです。

アナログとデジタルを組み合わせることによって、より多くのターゲットに配布することが可能になります。

◉【まとめ】成果につながる会社案内パンフレットを制作しよう!

本記事では、建設・建築業で会社案内パンフレットが必要な理由、発注や採用につながる会社案内パンフレットを作るコツ、成果につながる活用方法などについて解説しました。

デジタルによるWeb広告やSNSなどが主流となっている現代ですが、アナログなツールの一つであるパンフレットには、ターゲットに手渡しができて、見てもらえて、読んでもらえるという大きな特徴があります。

これまでに取引の実績はないものの、発注元となる可能性のある企業に会社案内パンフレットを配布しておくことによって、見積もり依頼を受けたり発注してもらえる可能性が高くなります。

それなりの費用をかけて制作するパンフレットなのですから、成果につながる会社案内パンフレットを作りましょう。

会社案内パンフレットの制作や活用をお考えの方は、フォーウェイまでご相談ください。

パンフレット

老人ホームや介護施設の入居者の集客に、紙媒体のパンフレットを使っている運営会社は多いと思います。

そんな中で、「パンフレットを作っているけれど、なかなか集客や入居に結びつかない」という悩みを持つ広告・広報・営業担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、集客や入居につながりやすい老人ホームや介護施設のパンフレットを制作するためにはどうすれば良いか、そのコツを活用方法と合わせて解説いたします。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 29d5ead1ee41a6d25524876e7bd315d5-scaled.jpg
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

◉老人ホーム・介護施設の集客にパンフレットが有効な理由

老人ホームや介護施設の入居者の集客に紙媒体のパンフレットが有効な理由は、主に次の3点です。

・紙媒体の方が親族などと一緒に比較検討しやすいため
・入居するための費用が高額なため
・資料請求や見学をしてから決める人が多いため

それぞれの理由について、くわしく見ていきましょう。

◉-1、紙媒体の方が親族などと一緒に比較検討しやすいため

老人ホームや介護施設を選ぶ際には、入居候補者が家族や親族と一緒に比較検討しながら選ぶことが多いと考えられます。

その際に、スマホやPCにデジタル表示された情報を見比べるよりは、紙媒体のパンフレットを並べて見比べた方が断然見やすいはずです。

これは、老眼などで目が見えにくくなった高齢者だからというわけではなく、複数のページに渡る情報を見比べるには、パンフレットの方が便利だからです。

このような理由から、デジタル技術全盛とはいっても、紙媒体のパンフレットが必要とされます。

◉-2、入居するための費用が高額なため

老人ホームや介護施設の入居費用が高額であることや、自分の親が入居して生活を任せることになるという責任感から、子どもが一緒にパンフレットを見て検討するケースが多いのが実情です。

その際に、紙媒体のパンフレットがあると、しっかりとした施設だという安心感や堅実さが伝わります。

必要な情報を伝えるだけであれば、Webサイトなどに掲載された情報だけで十分ですが、老人ホームや介護施設という特性上、パンフレットから安心感や清潔感、堅実さが伝われば選ばれる可能性が高くなります。

◉-3、資料請求や見学をしてから決める人が多いため

老人ホームや介護施設を選ぶ際には、次のようなチャネルから資料請求や見学依頼が行われるのが一般的です。

・紹介会社(仲介会社など)
・病院、居宅介護支援事業所、包括支援センター(行政の相談窓口)
・自社広告(ポータルサイト掲載、広告出稿、自社HP、チラシなど)
・その他(入居者の口コミ)

紹介会社や病院、居宅介護支援事業所、包括支援センターなどの場合、候補となる複数の老人ホームや介護施設のパンフレットを渡して選んでもらいます。

選んだいくつかの施設に連絡して見学日程を調整して決めるというのが一般的です。

また、自社広告やその他の場合でも、直接資料請求や見学依頼を行ってから入居する施設を決めます。

このように、老人ホームや介護施設の場合、パンフレットを見たり、見学をしたりすることが決め手の1つとなります。

そのため、老人ホームや介護施設の集客にはパンフレットが有効と言えるのです。

◉老人ホーム・介護施設の集客につながるパンフレット制作のポイント

老人ホームや介護施設のパンフレットを制作する際は、施設側が発信したい情報をまとめるのではなく、入居候補者が比較検討する項目や知りたい情報などから逆算して考えて、パンフレットの構成や盛り込む情報を整理していくことが必要です。

具体的には、以下のポイントに注意しながら制作していくと良いでしょう。

・老人ホーム・介護施設選びで重視するポイントを掲載
・お客様の声など利用者側の意見を掲載する
・情報を詰め込みすぎないように注意する
・施設見学申し込みや電話などの導線を分かりやすく入れる
・デジタルマーケティングでの活用を見据えて作る
・コンテンツマーケティングのできる制作会社に依頼する

それぞれ、順にくわしく見ていきましょう。

◉-1、老人ホーム・介護施設選びで重視するポイントを掲載

2023年に「LIFULL介護」が実施した「介護施設入居に関する実態調査 2023年度」によれば、「施設を検討する際に金額と立地以外で重視したもの」として、上位にあがっていたのは次の項目でした。

順位重視したポイント
1入居者、スタッフの雰囲気
2医療サービス体制
3空室状況
4提供しているサービス内容
5スタッフの質
6室内の清潔さ
7面会方法や、家族へのサポート
8安全対策と緊急時の対応
9食事の内容・質
10終身入居が可能か
11口コミ・評判
12施設種別
13居室の景観・日当たり
14提供レクリエーションの種類

老人ホームや介護施設のパンフレットの中で、これらの項目が説明されていれば、施設選びの際の重要な情報になるはずです。

特に「月額の利用料」「立地・周辺の環境」は必須情報だと言えますが、むしろそれ以外で重視したものとしてトップにあがっていた「入居者、スタッフの雰囲気」については必ず入れておくべき情報と言えます。

「月額の利用料」は、老人ホームや介護施設のグレードだけではなく、付帯サービスの種類などによっても変わってきますので、ケース分けするなどして分かりやすく記載するようにしましょう。

「立地・周辺の環境」については、老人ホームや介護施設へのアクセス方法、公共交通機関の最寄り駅、近隣の主要な施設などの説明を入れるなどが適切です。

人によって、街中の利便性の良いところを好む人もいれば、交通は多少不便でも自然に恵まれたところを好む人もいますので、周辺環境も重要な情報です。

「入居者、スタッフの雰囲気」については、和やかで和気あいあいとした雰囲気が伝わるような写真を所々に入れたり、入居者の声のように第三者の視点を入れるなどで「安心して預けられて、本人が楽しく過ごせそうな雰囲気」を伝えられるように工夫しましょう。

また、このアンケート結果での順位は低かったのですが、「スタッフの質」「食事の質・内容」も重視すべきポイントです。

「スタッフの質」については、見学時などに直接会って話をしたり、介護の様子などを実際に見たりしないと判断はできませんが、パンフレットの中には「スタッフの声」や「スタッフインタビュー」などの形で入れるのがおすすめです。

「食事の質・内容」についても、見学時などに試食したりしないと実際のところは分かりませんが、パンフレットには厨房や食堂・実際のメニューの写真などを入れて紹介するなど工夫しましょう。

◉-1-1、頻繁に更新する項目は別紙で紹介する(コスト削減)

パンフレットは紙でできた印刷物なので、一度出来てしまうとWebのように簡単に修正することができません。

頻繁に更新する可能性のある項目は、パンフレットからは省いてWebで公開したり、別紙に印刷したものをパンフレットに挟んだりする方法がおすすめです。

一部の項目の情報更新のためにパンフレット全体を印刷し直すようなことになると、無駄なコストが発生してしまいます。

そうならないように構成を考えるなど、先を見据えて情報を整理していくことが大切です。

◉-2、お客様の声など利用者側の意見を掲載する

老人ホームや介護施設側の目線だけではなく、第三者目線の意見や情報を掲載した方が、選ぶ側から見て分かりやすいパンフレットになります。

手間がかかりますが、たとえば、お客様の声や入居者の親族アンケート、利用者アンケートなどを載せることを検討してみましょう。

◉-3、情報を詰め込みすぎないように注意する

せっかくパンフレットを作るのだからと考えると、どうしても情報を詰め込みたくなってしまいがちです。

しかし、詰め込みすぎたパンフレットは読みにくいため敬遠されやすくなります。

老人ホームや介護施設の入居候補者や家族が比較検討する上で重要な項目だけに絞り込んで、それらをいかにパッと見て分かりやすく伝えられるかを考えることが重要です。

また、文章だけが並んだパンフレットは読む気が起きなくなってしまいますので、写真や図表を配置して読む気にさせる工夫も必要です。

◉-4、施設見学申し込みや電話などの導線を分かりやすく入れる

老人ホームや介護施設への入居をパンフレットだけ見て決めることはほとんどなく、パンフレットを見て問い合わせをしたり、実際に施設を見学してから入居となるケースが多いです。

そのため、問い合わせの電話番号やメールアドレスを記載して、パンフレットを見た人がすぐに分かるようにしておく必要があります。

また、施設の見学申し込みができることも明記しておきましょう。

可能であればQRコードなどを記載して、専用のカレンダーやフォームで申し込みができるような仕掛けを入れ込んで、次のアクションを起こしやすいようにしておくことが重要です。

◉-5、デジタルマーケティングでの活用を見据えて作る

老人ホームや介護施設の紙媒体のパンフレットを制作する際には、WebサイトでPDF化して配布することも考えて構成や配色、デザインなどを検討する必要があります。

WebサイトだけではなくSNSなどへも投稿してデジタルマーケティングへの活用も考えられます。

入居候補者本人は高齢者なのでデジタルにはあまり縁のない世代と言えますが、その子ども世代や親族はデジタルに慣れ親しんでいることが考えられるので、それらと連携した情報発信も必要です。

アナログとデジタルの組み合わせによって、より多くのターゲットに配布することが可能になります。

▶︎パンフレットのようなアナログマーケティングとデジタルマーケティングをどのように連携させていくのかについては、関連記事【デジタル全盛期だからこそ重要なアナログマーケティング戦略】もあわせて参考にしてください。

◉-6、コンテンツマーケティングのできる制作会社に依頼する

パンフレットを制作して資料請求が来たら送付する、紹介会社や病院などに送って配布してもらうというような従来の活用方法だけではなく、老人ホームや介護施設側から積極的にマーケティング活用することによって、さらなる集客につながります。

パンフレットを制作するのであれば、制作だけではなく、そういったマーケティング施策にも精通しているコンテンツマーケティングの会社に依頼するのがおすすめです。

◉ただ配るだけではダメ!デジタルと連携して有効活用しよう

自社広告など集客は行っていたとしても、老人ホームや介護施設を運営している会社の多くは、集客を紹介会社や、病院・居宅介護施設事業所・包括支援センターなどに頼っていることが多いという実情があります。

自社でもより集客できるように、アナログな紙媒体のパンフレットをデジタルマーケティング手法などと連携してターゲットにしっかりと届けられる工夫をすることが重要です。

アナログとデジタルを組み合わせた有効活用方法としては、次のようなものがあります。

・PDF化してWeb上でもターゲットに配布する
・パンフレットの一部をHPやSNSでコンテンツとして活用する
・紹介が生まれやすい場所をセグメントして配布する
・エリアでセグメンテーションして気軽に配りやすいDMやチラシも併用する

それぞれについて、くわしく見ていきましょう。

◉-1、PDF化してWeb上でもターゲットに配布する

パンフレットは紙媒体だけではなく、PDF化してWeb上でターゲットに配布することも考えましょう。

たとえば、公式HPから資料請求すると、PDF資料としてダウンロードできるようにしておくなどです。

メールアドレスなどを入れると資料が自動でメールで送られてくる、という仕組みにしていると資料配布と同時にリストが手に入るのでおすすめです。

◉-2、パンフレットの一部をHPやSNSでコンテンツとして活用する

パンフレットの一部を公式HPやSNSでコンテンツとして活用することも考えられます。

パンフレットの写真や文章をキャプチャ画像としてWeb記事に使ってSEO対策をしたりSNSに投稿したりして、二次利用によって情報を拡散していくことも重要です。

◉-3、紹介が生まれやすい場所をセグメントして配布する

パンフレットの配布場所や配布方法についてもきちんと検討しておく必要があります。

一口で老人ホームや介護施設と言っても、高級な施設から一般の方が利用できるリーズナブルな施設までいろいろなところがあります。

また、付帯サービスの種類も様々です。

そのため自社の老人ホームや介護施設を紹介してくれる可能性のある紹介会社や病院などの医療施設、場所をきちんとリサーチしてセグメンテーションし、パンフレットを配布してもらうようにする必要があります。

また、ネット上の老人ホーム・介護施設探しのサイトに資料請求が来ることもあるので、入居先を探している人の手に確実に渡るように手配しておきましょう。

◉-4、エリアでセグメンテーションして気軽に配りやすいDMやチラシも併用する

パンフレットは1冊当たりの費用が高めなので、配布の前段階としてDMやチラシを配布するなども検討しましょう。

入居候補者がいるかどうかも分からないところにパンフレットを配ると、かなりの出費になります。

そこで、まずは安価なDMやチラシをポスティングして、資料請求が多い地域や、マンションなどをセグメンテーションしてパンフレットを送付するようにすれば、コストを抑えながら集客効果を効率的に上げることができます。

同じ紙媒体であっても、コストの安いものから活用していくことも検討してみましょう。

◉【まとめ】集客につながるパンフレットを制作しよう!

本記事では、集客や入居につながる老人ホームや介護施設のパンフレットを制作するためのコツや活用方法について、くわしく解説しました。

パンフレットは入居施設を決める上で、入居希望者が必ず見る重要な媒体です。

入居者が安心して両親や祖父母、親族などを預けられるような安心感や、比較検討に必要な情報を分かりやすく掲載し、選ぶ決め手となるようなパンフレット制作を心がけましょう。

また、せっかくパンフレットを制作するのですから、デジタルマーケティング施策などとも連携し、自社でも集客がしっかりできるような活用方法を検討することが重要です。

もし、集客につながるパンフレット制作をご希望であれば、デジタルマーケティング施策とアナログマーケティング施策、どちらにも精通するフォーウェイまでご相談ください。

パンフレット

健康食品や化粧品、サプリメントなどの広告・PRに携わっている広告担当者や広報担当者にとって、薬機法(旧:薬事法)に関する知識は欠かせません。

薬機法(旧:薬事法)に違反する広告・PRを行ってしまうと、場合によっては罰金や逮捕などの厳罰が課せられることもあります。

そこで本記事では、まず薬機法(旧:薬事法)とは何かについて説明し、その後に薬機法(旧:薬事法)に違反せずに広告・PRするための7つのポイントについて分かりやすく解説していきます。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

■薬機法(旧:薬事法)とはどんな法律?

薬機法(旧:薬事法)とは、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの品質と有効性、安全性を確保するために、製造から販売、販売後の安全対策までを規制する法律です。

この法律は従来「薬事法」と呼ばれていましたが、2014年(平成26年)に改正が行われて、名称が「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に変更されたため、これを略して「医療品医療機器等法」や「薬機法」と呼ばれています。

薬機法(旧:薬事法)の規制対象となるジャンル

薬機法(旧:薬事法)の規制対象となっているのは、主に以下のようなジャンルの商品・サービスです。

  • ・医薬品
  • ・医薬部外品
  • ・化粧品(コスメ)
  • ・医療機器
  • ・再生医療等製品

薬機法(旧:薬事法)の規制対象となる広告の3要件

1998年(平成10年)9月29日、厚生労働省は「医薬監第148号厚生省医薬安全局監視指導課長通知」において、「薬機法(旧:薬事法)の規制対象となる広告」とは、次の3つの要件をすべて満たすものであるということを示しました。

  • ・顧客を誘引する意図が明確である
  • ・特定医薬品等の商品名が明らかにされている
  • ・一般人が認知できる状態である

以下では、この3つの要件について詳しく見ていきましょう。

顧客を誘引する意図が明確であること

1つ目の要件は「顧客の購入意欲を昂進(こうしん)させる意図が明確であること」と言い換えることが可能です。

つまり、「商品を販売したい」という目的が明確にわかることが要件だということです。

この意味から、アフィリエイトリンクやインフルエンサーによるPR投稿などは、この要件を満たしているため、「広告」とみなされます。

逆に、学会などでの論文において「ある健康食品の効果」について発表したような場合は、「商品を販売したい」という目的で行われたものではないので、この要件を満たさず、「広告」とはみなされません。

特定医薬品等の商品名が明らかにされていること

2つ目の要件は、販売者(事業者や企業など)から消費者に対して行うアプローチを総合的にみて「広告」に該当するかどうかが判断されます。

たとえば、販売者(事業者や企業など)が消費者に「ある商品に含まれる成分の効果効能について説明されたチラシ」を送付した場合、このチラシは効果効能だけを説明しているので「広告」とはみなされません。

しかし、その数日後に「商品のチラシ」や「商品の購入案内」などを送付すると、総合的に判断して「広告」とみなされてしまうのです。

また、ホームページなどで「ある商品に含まれる成分の効果効能を説明するページ」と「商品の購入申し込みページ」が分かれている場合であっても」、「ある商品に含まれる成分の効果効能を説明するページ」から「商品の購入申し込みページ」へのリンクが貼られている場合には、「広告」とみなされてしまいます。

このように、単独のチラシやページだけでは「広告」に該当しない場合であっても、総合的に見て「広告」とみなされるということです。

一般人が認知できる状態であること

3つ目の要件は、「広告の3要件」の中で最も広く解釈されて運用されているものです。

そのため、この要件にはホームページ(HP)、LP、広告、SNS投稿、などほとんどすべての情報発信が該当します。

たとえば、2014年(平成26年)5月22日の厚生労働省の通知において、IDやパスワードを入力しないと入れないサイトであっても「一般人が認知できる状態」に該当するとされています。

■薬機法(旧:薬事法)における広告・PR担当者が知っておくべき主な禁止事項

健康食品や化粧品、サプリメントなどの広告・広報担当者の頭を悩ませる薬機法(旧:薬事法)。

もちろん、専門家によるチェックや修正は重要ですが、担当者もある程度「これはダメ」「これはOK」と言った薬機法(旧:薬事法)の禁止事項などを事例とともに知っておいた方が良いと言えます。

そうすることで担当者である程度チェック・修正することができますし、薬機法(旧:薬事法)のチェックにかかる費用の削減や、ダブルチェックにもつながります。

薬機法(旧:薬事法)に該当するような商品・サービスの広告・広報担当者は、次に挙げるような「薬機法(旧:薬事法)における主な禁止事項」をぜひ知っておきましょう。

虚偽・誇大広告の禁止(過度な褒めや効果効能など)

薬機法(旧:薬事法)では、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの名称や製造方法、効能・効果、性能に関して、虚偽広告や誇大広告をすることが禁止されています。

具体的には、「過度な褒め」や「過度な効能・効果」などを謳った広告がダメということです。

実際に「ズタボロだった肝臓が半年で復活」という肝臓疾患の予防に関する誇大広告を行ったとして摘発された事例や、解毒成分であるグルタチオンを含む錠剤 (医療用医薬品)に「美白や日焼け予防などの効果がある」と宣伝して摘発された事例などがあります。

このように、「〜するだけで痩せる」「〜することで血圧が下がる」など自社の商品やサービスを使うことによって何らかの健康効果が得られる」といった表現をする場合には十分注意しましょう。

未承認の医薬品の広告の禁止

薬機法(旧:薬事法)では、未承認の医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの名称や製造方法、効能・効果、性能に関して広告することが禁止されています。

たとえば、「米国食品薬品局が認可した画期的な飲む育毛剤」と広告した事例がありますが、たとえ米国食品薬品局で承認されていた医薬品であっても、日本で承認されていないものの広告をすることはできません。

実際に厚生労働大臣の承認を受けていない医薬品である「スーパープラセンタ」を、肌の若返りなどを謳って宣伝・販売したとして摘発された事例もあります。

そもそも取り扱う医薬品がきちんと厚生労働大臣の承認を受けているものなのかを確認することも重要です。特に他社の商品を取り扱う会社の広報・広告担当者は注意しましょう。

他社商品の誹謗広告の禁止

薬機法(旧:薬事法)では、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの名称や製造方法、効能・効果、性能に関して、他社商品の誹謗広告をすることが禁止されています。

たとえば、「〇〇社の製品よりも良く効きます」や「他社製品より安全です」などの表現が該当します。

「他社製品より安全です」のように、他社や他社製品を明示せずに漠然と比較する場合でも、間接的に他社を批判しているとみなされて薬機法に抵触するおそれがあるので注意が必要です。

そのため、製品同士で比較広告を行う場合は、自社製品の範囲で行う必要があります。また、対象商品の名称を明示しなければなりません。

医療関係者等の推せんの禁止

薬機法(旧:薬事法)では、「医療関係者等」による推せんが禁止されています。

ここでいう「医薬関係者等」とは、医療や美容に関する国家資格や同等の資格を持っている専門家のことを言い、医師や歯科医師、美容師、理容師、鍼灸師、教授などが該当します。

これは、医師や美容師による推せんには影響力があり「効能・効果や安全性の保証」とみなすことができると考えられるからです。

たとえば、医薬品などの広告で、医師が「〇〇に効きます」というような表現をしている場合は「効能・効果を保証している」と誤解されるおそれがあるため禁止されています。

また、化粧品の広告で「美容師がおすすめします」というような推せん行為もNGです。

ただし、医師や美容師が監修した商品の広告において、「共同開発した事実」を記載することは問題ないとされています。

化粧品の効能・効果の範囲を超えた表記の禁止

薬機法(旧:薬事法)では、化粧品の広告においては効能・効果以外の表記が禁止されています。

たとえば、基礎化粧品の広告で「脂肪分解を昂進(こうしん)してセルライトの除去や皮膚の老化防止をする作用があります」と表現したところ、肌の機能そのものに関わる表現は化粧品の効能効果の範囲を超えているとして摘発を受けた事例があります。

化粧品の効能・効果の範囲については、厚生労働省が平成23年7月に発表した「化粧品の効能の範囲の改正について」で明確に56項目が指定されています。

たとえば、以下が化粧品の効能の範囲として許されている表現例です。

(1)頭皮、毛髪を清浄にする。
(2)香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。
(3)頭皮、毛髪をすこやかに保つ。
(4)毛髪にはり、こしを与える。
(5)頭皮、毛髪にうるおいを与える。
(6)頭皮、毛髪のうるおいを保つ。
(7)毛髪をしなやかにする。
(8)クシどおりをよくする。
(9)毛髪のつやを保つ。
(10)毛髪につやを与える。

引用元:厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」

また、「化粧品であれば上記どのような表現を使っても良い」という事ではなく、あくまでその化粧品に該当するもののみ使用可能となっているので、注意しましょう。

■薬機法(旧:薬事法)に違反すると重い罰則を受ける可能性があるので注意

薬機法(旧:薬事法)に違反した場合は、業務停止や課徴金納付などの重い罰則を受ける可能性があるので注意が必要です。

以下では、具体的な罰則の内容などについて説明します。

「措置命令」や「中止命令」が下される

薬機法(旧:薬事法)に違反した事業者や企業に対しては、厚生労働大臣や都道府県知事から違反行為の中止や排除、再発防止策の実施を命じる「措置命令」や「中止命令」が下されることがあります。

なお、未承認の医薬品や医療機器の販売をした場合は、刑事罰の対象となる可能性もありますので、十分な注意が必要です。

売上に対する課徴金が課せられる

薬機法(旧:薬事法)に違反して虚偽や誇大広告を行った事業者や企業に対しては、厚生労働大臣から課徴金が課せられます。

この「課徴金制度」は2021年(令和3年)8月1日から施行されたもので、違反を行っていた期間における対象商品の「売り上げ金額×4.5%」を課徴金として納付しなければなりません。

社会的信用を失い契約打ち切りなど連鎖的に事業失墜に向かってしまう

薬機法(旧:薬事法)に違反して措置命令や中止命令が下されたり、売上に対する課徴金が課せられたりすると、その企業の社会的信用は低下します。

企業イメージがダウンして商品の販売中止・回収になったり、消費者はもちろんのこと株主や取引先からの信用も失って株式の下落や取引先との取引停止になることもありえます。

また、未承認の医薬品や医療機器の広告・販売をした場合は「未承認医薬品の広告禁止」に該当するため、より重い刑事罰の対象となりますので十分な注意が必要です。

最悪の場合、その企業の経営者などが逮捕されるケースも。

このように、1つの広告の違反行為によって大きな損失を被る可能性があることを知っておきましょう。

■実際の薬機法(旧:薬事法)の広告・PR違反事例

薬機法(旧:薬事法)は範囲や解釈が広いため、広告・広報担当者が一から全てを学ぶのには無理があります。

そこでおすすめしたいのが、「違反事例をたくさん学ぶ」ということです。

法律の文面や表現のOK・NG事例を覚えるよりも、実際に薬機法(旧:薬事法)違反をした事例が頭に入っているだけで、「これはOKかNGか?」の判断ができるようになってくるので、効率的です。

では、実際に発生した薬機法(旧:薬事法)の広告・PRの違反事例をいくつか見ていきましょう。

免疫機能を正常化

2023年(令和5年)9月27日、ペットフードの研究開発・製造・販売を行っている企業が、承認を受けずにホームページで「免疫機能を正常化」と広告したことにより、その企業の代表取締役が薬機法(旧:薬事法)の「承認前の広告の禁止等」に違反した疑いで逮捕されました。

ペットフードであっても薬機法(旧:薬事法)違反で摘発される可能性があるというもので、新潟県内では初の事例、全国でも2件目の事例となりました。

このように、「初の摘発事例」などは要チェックです。

今までは見過ごされていたものがある時期から摘発対象になる場合もあるので、十分注意しましょう。

アトピー治る

この違反事例は、2013年(平成25年)2月に、自ら作製した液体を「アトピー治る」と謳って医薬品として無許可で販売した製造業者が、当時の薬事法違反の疑いで逮捕されたものです。

この容疑者は、2009年(平成21年)ごろから食酢や緑茶の成分を混ぜた「クリン8」という液体を、インターネットで全国の約2400人に1本100ML入りを4900円で販売していました。

「クリン8」の購入者から「薬機法(旧:薬事法)違反になるのではないか」という相談が警察にあり、山形県警が捜査して逮捕に至ったようです。

未承認の医薬品を販売したことはもちろんのこと、広告・広報担当者として注目したいのは「アトピー治る」と未承認の医薬品を宣伝したということです。

がん予防

2020年(令和2年)10月に、「がんに効く」という広告をして医薬品として未承認のサプリメントなどを販売した容疑で医師らが逮捕されました。

この医師が経営するサプリメント製造販売会社のホームページで、4種類のサプリメントやお茶について「乳がん予防」「インフルエンザ予防」「便秘解消」などのように医薬品としての効果があるように広告・販売していました。

この事例では、代表者の医師だけではなくサプリメント製造販売会社の従業員2名も逮捕されています。

未承認の医薬品を販売したのはもちろんのこと、注目すべきはその製造や宣伝に関わった人も巻き込んで逮捕されているということです。

このように、薬機法(旧:薬事法)違反は、 周辺のさまざまな関係者を巻き込んでしまう可能性があることを知っておきましょう。

■薬機法(旧:薬事法)に違反せずに広告・PRするためのポイント

広告・広報担当者が薬機法(旧:薬事法)に違反せずに、健康食品や化粧品、サプリメントなどの広告・PRを行うためにはどのようなことに注意すれば良いのでしょうか。

具体的には以下の5つのポイントを押さえておくことで、薬機法(旧:薬事法)違反を防ぐことができます。

自社商品・サービスが薬機法(旧:薬事法)に該当するかをチェックする

まず最初にすべきことは、自社の商品やサービスが薬機法(旧:薬事法)に該当するかどうかをチェックすることです。

薬機法(旧:薬事法)の対象となるジャンルは、医薬品や医薬部外品、化粧品(コスメ)、医療機器、再生医療等製品などですので、自社の商品やサービスがこのジャンルに該当するかどうかで判断することができます。

業界のガイドラインを良く読む

次に、薬機法(旧:薬事法)に関するガイドラインをよく読み込んで理解することが必要です。

基本となるガイドラインとしては、以下の2つです。

また、広告に関する基準としては、以下のようなガイドラインがあります。

・厚生労働省「医薬品等適正広告基準

また、これらを元にして、以下のように各業界で個別のガイドラインが作成されているのでそちらを参考にするのもおすすめです。

これらのガイドラインを理解しておくことによって、広告を作成する際に意識して違反表現を避けることができるようになります。

また、次のように地方自治体のHPなどでも分かりやすいガイドラインが作られていたりするので、そちらも見ておきましょう。

また、これらのガイドラインを参考に、自社の商品やサービスに関する独自のガイドラインを作成しておくことも有効です。

他社の違反事例から学ぶ

他社の違反事例から学ぶことも重要なポイントです。

たとえば、2020年(令和2年)、健康食品輸入会社が「抗ウイルス効果がある」とお茶の広告を自社サイトで行い、医薬品として未承認の健康食品を販売したとして代表ら2人が逮捕されました。

この事例のように、特に健康食品については、医薬品と同等の効能・効果があるという広告をすると「未承認の医薬品」とみなされて薬機法(旧:薬事法)に抵触する場合があります。

これらの他社事例を参考にして、「OK表現」「NG表現」などを自社のガイドラインとしてまとめておくことも有効です。

専門家への確認 / リーガルチェック

薬機法(旧:薬事法)の専門家にリーガルチェックを依頼して確認してもらう方法もあります。

薬機法(旧:薬事法)の知識を持った専門家が行いますので、間違いや見落としが起こる可能性は非常に少ないのですが相応の費用が発生します。

Webページの更新頻度が高いような場合は、費用対効果について検討する必要があるでしょう。

薬機法チェックツールを使用

薬機法(旧:薬事法)チェックツールを使用する方法もあります。

薬機法(旧:薬事法)チェックツールとは、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、健康食品などの広告表現が薬機法(旧:薬事法)などの法律に抵触していないかどうかをチェックしてくれるツールのことです。

広告表現に問題がないかどうかを確認するだけではなく、代替表現の提案をしてくれるものもあります。

料金体系はツールごとに異なっており無料で利用できるものもありますが、文字数の制限などがある場合がありますので、用途に応じて検討が必要です。

主に以下のようなツールがあります。

薬事法広告表現チェックツール:無料のチェックツールで、30文字までの広告表現のチェックが可能です。主に健康食品や化粧品に対応しています。薬機法(旧:薬事法)に抵触する表現の場合は結果欄に抵触している箇所とその理由が表示されます。

TRUSQUETTA(トラスクエタ):従来KONOHAという名称で利用されていたツールで有料です。主に化粧品(コスメ)や健康食品に関する広告表現が薬機法(旧:薬事法)や景品表示法に抵触していないかどうかをチェックし、代替表現を提案してくれる機能もあります。

Cosme Design:化粧品(コスメ)の広告チェック、成分表示名称チェックなどを行うツールです。有料ツールですが、2日間だけ全機能を制限なしで利用できるお試し制度があります。

書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディングの活用

広告宣伝というと、テレビCMやWeb広告、SEO記事、SNS投稿などのように、パッと見てすぐわかるような方法を考えますが、「書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディング」という方法も有効です。

これは、商品やサービスの効果・効能を伝えるのではなく、それに含まれる成分などについて詳しく訴求することにより、その成分の入った商品・サービスのニーズを喚起するという方法です。

▶ブックマーケティングについては、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。

実際に書籍を使い成分ブランディングに成功して問い合わせが殺到した事例が数多くあります。

ただし、書籍だからといって一般広告よりも薬機法(旧:薬事法)の規制が緩いということではありません。

一般広告と同じように薬機法(旧:薬事法)のリーガルチェックが必要になりますし、薬機法(旧:薬事法)に違反すると、その罰則は著者だけではなく、出版社にも及ぶことがあります。

ブックマーケティング

バイブル商法にならないように出版社選択は慎重に

「書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディング」を行う際に注意しなければならないのは「バイブル商法」にならないようにすることです。

「バイブル商法」とは、健康食品や化粧品、サプリメントなどの効果効能を書籍で宣伝すると同時に、その商品を販売するような商法のことをいいます。

出版業界では過去に出版社の社長がこの「バイブル商法」で逮捕されるという事件が発生しています。

これは2011年(平成23年)に発生したもので、書籍で「健康食品がガンに効く」と宣伝して健康食品の販売を幇助した容疑で逮捕されたものです。

どんなに広告担当者が薬機法(旧:薬事法)に気をつけていても、出版社に薬機法(旧:薬事法)の知識やノウハウがなければこのような事件に発展してしまいかねません。

「バイブル商法」にならないように、出版社選びは慎重に行いましょう。

■書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディングの具体的な活用事例

ここでは、「書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディング」を活用して問い合わせの増加や販促につながったという具体的な事例を2件紹介します。

事例①:コラーゲンという成分について説明し結果的にサプリメントの販売促進につながった事例

「あらゆる死に至る病気の原因は血管が老朽化することであり、その血管を若返らせることが健康寿命を延ばす近道だ」という内容の書籍があります。

著者は、コラーゲンサプリメントの開発・販売会社の代表者であり、医師でもありました。

書籍のタイトルやカバーなどには、サプリメントの販促につながるような話は一切入っておらず、内容も血管を若返らせるコラーゲンについて説明をする内容となっています。

しかし、本の出版後、書籍を読んだ読者から「この本で説明されているコラーゲンはどうやったら摂取できるのか」という問い合わせが出版社や著者に殺到し、結果的にコラーゲンサプリメントの販売促進につながっています。

書籍の中でコラーゲンについて説明することで、読者の中に「この本で説明されているコラーゲンを取りたい」というニーズが生まれたのです。

書籍は広告などと違い、長文をしっかりと読んでもらえる媒体です。

書籍の中でしっかりとコラーゲンに関する魅力を伝え、読者教育ができたからこそ、このようなニーズが読者の中に生まれたのだと言えます。

事例②:サラダ油の危険性を訴求し、結果的に米油ブームにつながった事例

この書籍の著者は米油の製造・販売している企業に勤務している研究開発者で、出版の目的は米油のBtoB販売の促進でした。

書籍の内容は「一般家庭で当たり前に使っているサラダ油を摂りすぎると、がんや脳卒中、心臓病の原因になりうるという」というものです。

特に商品の訴求などをしている訳ではありませんでしたが、出版後に大きな反響があり、結果的に米油ブームにつながりました。

その後は、出版目的のBtoBでの米油の卸先の開拓だけでなく、一般消費者の反響が大きかったためBtoCでの訴求にも成功しています。

このように、商品やビジネスの話を出さずとも、成分について詳しく語ることで、商品の販売促進やビジネスの活性化につながることを証明した事例と言えるでしょう。

■まとめ

健康食品や化粧品、サプリメントなどの広告担当者や広報担当者は、薬機法(旧:薬事法)に違反しないように、広告・PRについて自社で入念にチェックをしたり、社外の専門家にリーガルチェックを依頼したり、薬機法(旧:薬事法)チェックツールを使用したりといろいろなことを行っていることと思います。

しかし、同時に「広告やPR、SEO記事、SNS投稿など以外の方法で、自社商品やサービスの良さを効果的に伝える方法はないのか?」ということを検討していくことも重要です。

そこでおすすめしたいのが、この記事でご紹介した「書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディング」です。

広告やPR、SEO記事、SNS投稿などのように商品やサービスの効果・効能をダイレクトに伝えるのではなく、商品に含まれる成分について訴求することで、ユーザーに「成分を取りたい」と言うニーズを喚起させるという、薬機法(旧:薬事法)規制が厳しい時代には有効なマーケティング手段の1つです。

「薬機法(旧:薬事法)の規制によりうまくマーケティングができていない」と感じている方はぜひ一度書籍による成分ブランディングを検討されてみてはいかがでしょうか。

※書籍であっても薬機法(旧:薬事法)の規制を受けますので、薬機法(旧:薬事法)に関する知識やノウハウを有する弊社のような出版社を選ぶようにしてください。

ブックマーケティング
 

 投資信託や保険、不動産など、富裕層をターゲットにしたビジネスは多く存在します。一方、資産1億円超の富裕層は日本の2%ほどでアプローチが困難です。

本記事では、富裕層マーケティングの基本と富裕層の信頼を勝ち取るための効果的な手法を解説します。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

■富裕層とは

富裕層とは、「経済力を持つ個人や世帯」のことを指す言葉であり、具体的な基準がある訳ではありません。

一般的な富裕層の定義や基準は曖昧ですが、野村総合研究所が2023年3月に発表したニュースリリース「日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計」によれば、富裕層は「純金融資産の保有額が1億円以上の世帯」と定義されています。

純金融資産としては、現金、株式、国債、投資信託、金融派生商品、保険準備金・年金準備金などがあり、不動産や機械設備などは含めません。

また、同リリースによれば、富裕層は、その純金融資産の保有額の違いによって、さらに「超富裕層」「富裕層」「準富裕層」に分けられています。

超富裕層(純金融資産が5億円以上)

「純金融資産の保有額が5億円以上の世帯」は、超富裕層と定義されています。

超富裕層は、2021年時点で世帯数9万世帯となっており、全世帯のうちの約0.16%です。

純金融資産総額は105兆円となっています。

超富裕層が興味を持つ商品やサービスとしては、高額な投資商品、資産運用サービス、プライベートバンキングなどがあり、海外旅行、教育、高級車などにも関心を持つ傾向があります。

出典:野村総合研究所の「日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計

富裕層(純金融資産が1億円以上5億円未満)

野村総合研究所の「日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計」によれば、「純金融資産の保有額が1億円以上5億円未満の世帯」は、富裕層と呼ばれています。

富裕層は、2021年時点で世帯数140万世帯となっており、全世帯のうちの約2.6%です。

純金融資産総額は259兆円となっています。

富裕層は、資産運用や教育関連の商品・サービスに強い関心があるほか、高級住宅や高級車などを好む傾向があります。

出典:野村総合研究所の「日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計

準富裕層(純金融資産が5,000万円以上1億円未満)

「純金融資産の保有額が5,000万円以上1億円未満の世帯」は、準富裕層と呼ばれています。

準富裕層は、2021年時点で世帯数325万世帯となっており、全世帯のうちの約6%です。

純金融資産総額は258兆円です。

準富裕層は、日常生活に役立つ商品やサービス、高級ブランド、高級リゾートなどの商品やサービスなどに興味を持つ傾向があります。

■富裕層の特徴

富裕層といっても、さまざまなタイプの人がいます。

タイプによって好む商品・サービスが異なるため、それぞれの特徴を知っておくことが重要です。

富裕層には大きく分けて次の3つのタイプがあります。

遺産相続型の富裕層

「遺産相続型の富裕層」は、富裕層の親から遺産を引き継いだ人々のことです。

受け継いだ資産を減らさないことを重視する保守的な人が多く、消費に対しては消極的な傾向があるタイプです。

オーナー社長型の富裕層

「オーナー社長型の富裕層」は、自分自身の実力で会社の経営者となったり、大企業の経営に参画するなど、一代で富裕層まで上り詰めた人々のことです。

たとえば、開業医や弁護士・税理士などの士業、中小企業のオーナー、IT分野などを中心としたベンチャー企業の経営者や実業家などがこのタイプです。

人生をより豊かにすることに前向きで、購買意欲が非常に高く、高級自動車、高級時計、靴、服などのステータスのある商品にお金を使う傾向が高いという特徴があります。

また、投資商品や資産運用にも積極的な人が多いという特徴もあります。

有名人型の富裕層

「有名人型の富裕層」は、自分の才能によって資産を得た人々のことです。

具体的には、スポーツ選手や芸能人、外資系金融などの年収が高い職業についた人などです。多額の退職金を得た人もこのタイプの富裕層になります。

自分自身の見た目に対する消費に積極的な点が特徴で、ファッションやブランド品、自動車などにお金を使う傾向があります。

また、引退したスポーツ選手が実業家や投資家として活躍するケースもあり、消費以外に資産運用にも積極的な人が多いのが特徴です。

■富裕層マーケティングとは

富裕層マーケティングとは、富裕層をターゲットとした一連のマーケティング活動のことです。

富裕層は多くの資産を持ち、お金に余裕があるため、高額な商品を購入することができます。また、さまざまな商品やサービスを求めているという特徴があります。

このような富裕層の多様な特徴や行動パターンに沿った商品やサービスを開発し、宣伝・販売するまでの一連の活動が富裕層マーケティングです。

たとえば、富裕層マーケティングを行っている商品・サービスの代表的な事例としては、次のようなものがあります。

  • ・高級自動車メーカー(レクサス、ポルシェなど)
  • ・会員権(リゾートトラストなど)
  • ・プラチナ・ブラックカード(アメックスなど)
  • ・プライベートバンク
  • ・節税対策用の金融商品・コモディティ
  • ・私募ファンド

■富裕層マーケティングで押さえたいポイント

成功すると大きな利益が期待できる富裕層マーケティングですが、うまくいかないことの方が多いと言われています。

それは次のような理由からです。

  • ・一般的な広告手法やPR活動では富裕層に届けることが難しいこと
  • ・富裕層は信頼できる人や企業から商品やサービスを購入すること
  • ・富裕層は多くの情報収集手段を持ち、さまざまな視点から良いものを選ぶ術を持っていること

このように、富裕層をターゲットにマーケティングを行う場合、従来のマーケティングとは押さえるべきポイントが異なります。

富裕層をターゲットに商品やサービスを販売していく場合には、最低限以下の2つのポイントを押さえておく必要があります。

ポイント①:富裕層のなかでターゲットをより絞る

富裕層といってもさまざまなタイプの人がいます。そのため、ターゲットを「富裕層」とざっくり決めるのではなく、どういうタイプの富裕層がターゲットなのかを絞り込んでいく必要があります。

たとえば、消費に消極的で保守的な傾向の強い「遺産相続型の富裕層」に、ハイリスクハイリターンの投資を持ちかけたとしても、興味を持ってもらえる可能性は少ないでしょう。

むしろ、資産を安定的に運用できるサービスを提案した方が興味を持ってもらえる可能性は高くなるはずです。

このように、富裕層のタイプによってニーズが大きく異なるため、どのタイプの富裕層をターゲットにするのかを絞り込むかが重要です。

ポイント②:富裕層の信頼を得る方法を知る

富裕層は、信頼できる人や企業から商品やサービスを購入するという傾向があります。

たとえば、信頼している友人や知人から情報収集を行うことが多いのです。

なぜなら、多額の資産を持っていることから営業ターゲットにされることが多く、外部からのアプローチに対して慎重になっているからです。

そのため、一般的な営業手法などを使って富裕層相手に売り込みを行うなどの行動は、大きく信頼を失ってしまう可能性が高くなるので注意が必要です。

まずは「商品やサービスを売る・営業する」を目標にするのではなく「富裕層にとって信頼される」ことを目指していかなければ、富裕層マーケティングには成功しません。

商品やサービスの良さを知ってもらうことよりも、信頼される存在になることの方が富裕層マーケティングでは重要です。

■富裕層マーケティングにおけるターゲットの行動

富裕層をターゲットにマーケティングを行う場合には、タイプだけではなく、特有の行動パターンなどもある程度傾向として頭に入れておく必要があります。

全ての富裕層が当てはまるとは限りませんが、次のような行動傾向がある、ということは知っておきましょう。

富裕層は自ら調べ行動する

富裕層は、欲しい商品やサービスの情報収集段階から自分で調べて行動する傾向があります。

なぜなら、富裕層は自分が納得できるものにお金を使いたいと考える人が多いからです。

たとえば、ネット上の口コミやレビューだけではなく、友人や知人などの人脈を使って情報収集を行います。

富裕層にはこのような傾向があるため、必要以上の営業活動を行うことは逆効果となり、それ以上話を聞いてもらえなくなることがあります。

富裕層と良好な関係を構築するには、受け身の姿勢で富裕層からのアプローチを待ち、要望があったことにだけ確実に対応するというコミュニケーションの取り方が何より重要です。

富裕層同士は信頼関係で繋がっている

富裕層は、友人や知人など、横のつながりを大切にする傾向にあります。

富裕層同士で情報交換をして紹介しあうことも多く、独自のネットワークを作っている場合もあります。

もし、富裕層の人からの信頼を得ることができれば、他の富裕層の人に商品やサービスを紹介してもらえて購入してもらえる可能性があるということです。

富裕層は信頼する人にしか依頼しない

前述の通り、富裕層は自分で調べた上で、最終的には信頼できる友人や知人、専門家などに任せるケースが多いです。または、最終的な決定は自分で行い、商品やサービスの活用を人に任せてしまう富裕層もいます。

つまり、富裕層からの信頼を獲得することができれば、色々なことを任せてもらえる可能性があるということです。

しかし、富裕層は保有資産が多いため過去に他人から利用されてきた苦い経験を持つ人も多く、外部からのアプローチには強い警戒心を抱く人も多いのが実情です。

そのため、短期的に信頼関係を構築しようと思わないことです。長期的な関係の構築を地道に続けていきましょう。

■富裕層マーケティングの効果的な手法

富裕層へのアプローチを効果的に行う代表的な手法としては、次のようなものがあります。

  • ・ 富裕層にターゲティングしたウェブ広告
  • ・ 富裕層向けサービスとのコラボレーション
  • ・ 富裕層向けのメディア運営/コンテンツマーケティング
  • ・ 富裕層に特化したDMや紙媒体での訴求
  • ・ 富裕層にターゲティングしたブックマーケティングの活用

それぞれの特徴や向いている理由などについて具体的に見ていきましょう。

富裕層ターゲティングのウェブ広告

ウェブ広告は細かい属性のターゲティングができるので、富裕層に効果的にアプローチすることができます。

たとえば、Google広告の場合は、年収でターゲットを絞ることが可能です。

また、商品やサービスを紹介する広告(動画やアイコン画像)などを富裕層が利用するメディアやアプリなどに配信して、そこからLPなどへ誘導する、などの方法もあります。

富裕層向けサービスとのコラボレーション

すでに富裕層向けに提供されている商品やサービスとのコラボレーションは有効な手法です。

この手法により、たとえ認知度の低い商品であっても、既存の富裕層向けの商品やサービスとコラボレーションすることによって富裕層の注目を集めることができます。

たとえば、2014年設立の新興のプレミアムオーディオブランドMaster & Dynamicは、老舗高級自動車メーカーのランボルギーニとコラボレーションして、富裕層向けの高級ヘッドホンとイヤホンをPRしました。

また、居住用マンションの新興デベロッパーであるFIDO INCは、高級自動車メーカー『Porsche(ポルシェ)』や、高級ワイン&スピリッツブランド『Hennessy(ヘネシー)』とコラボレーションした物件の販売を行っています。

このように、すでに富裕層向けに販売されている商品やサービスとうまくコラボレーションしていくというのは、富裕層マーケティング手法として効果的と言えます。

もちろんMaster & Dynamicや、FIDO INCのようにすべての新興メーカーがこのようなマーケティング戦略が打てる訳ではないので注意しましょう。

富裕層向けのメディア運営/コンテンツマーケティング

富裕層向けには、一般的な広告ではなく、オウンドメディア運営やSNS運用など、コンテンツマーケティングが有効です。

なぜなら、自分で調べる人が富裕層には多いからです。

そのため、富裕層のニーズに合うようなメディアを作って、導線を考えながら継続的にコンテンツを発信していくというプル型営業の方が成果が出やすいと言えるでしょう。

ただし、オウンドメディアの場合は作ってから効果が出るまでに6ヶ月~1年ほどかかります。即効性のある効果は期待できないので注意しましょう。

即効性を求めるのであれば、自分自身でメディアを作り運営するのではなく、すでにある富裕層向けのメディアに広告を出すなどの方法もあります。

たとえば、「T JAPAN」などが富裕層メディアとしては有名です。

こういったメディアに広告を掲載して、富裕層から信頼が得られれば、紹介や口コミによって他の富裕層にリーチすることも可能となります。

富裕層に特化したDMや紙媒体での訴求

富裕層には、DMや雑誌・フリーペーパーなどの紙媒体も有効です。

富裕層が多く居住しているエリアにチラシを配布したり、富裕層が購読者となっている雑誌に広告を入れたりする方法です。

たとえば、企業オーナー向けの雑誌や医師向けの業界紙に広告を出せば、これらの富裕層にアプローチすることが可能となります。

紙媒体で重要なのが、特別な人間しか見ることができないという特別感の演出や、それに気づいてもらうための工夫が必要だということです。

なぜなら、富裕層は安いからという理由で購入することはなく、特別な商品であるという希少性や、あなただけという限定性、などに納得して購入する傾向があるためです。

富裕層にターゲティングしたブックマーケティングの活用

前述した通り、富裕層には紙媒体でのアプローチが有効です。紙媒体の中で特におすすめなのがブックマーケティングです。

基本的に、富裕層であっても書籍は買いますし、読みます。

他の媒体と違い、富裕層とそれ以外の層で大きな差がなく、読まれる媒体は書籍だけです。

また、富裕層は自分で調べて行動し、信頼する人からしか商品やサービスを購入しないという特徴があるので、これらを同時に達成する手段として書籍出版によるブランディングが効果的です。

書籍は信頼性の高い媒体として認知されており、自分でお金を払って購入した書籍の内容に共感できれば、著者や出版社に問い合わせをして商品やサービスの購入に至るというケースが考えられます。

ブックマーケティングを富裕層マーケティングに活用する上でもっとも重要なのは、明確に富裕層にターゲティングすることです。

書籍を企画する際は、まず最初に富裕層をターゲットとして設定して、富裕層に刺さるような内容やタイトル、著者にすることが重要になってきます。

ブックマーケティング

■富裕層ブックマーケティングの成功事例

実際に富裕層マーケティングにブックマーケティングを活用して成功した事例を2つご紹介します。

医師に特化した不動産投資のブックマーケティング

医師は「オーナー社長型の富裕層」に類型されるので、購買意欲が高く、投資商品や資産運用にも積極的な人が多い傾向があります。

一方で、医師の悩みとして多忙であることと税金が高額であるという共通点があります。

このことに着目した不動産投資コンサルタントが、最も効果的な節税対策が不動産投資であることを紹介する書籍を出版。もちろん、富裕層であり高額な税金に悩みながらも投資リテラシーを持っていない人が多い医師を、明確にメインターゲットとして設定した書籍となっています。

この書籍は、第1章「困ってませんか? 医師のお金のリアル」で医師の共感を得たうえで、第2章「医師に不動産投資が適している10の理由」で納得させて、第3章「どんな物件を購入すべきか?」で、不動産投資に引き込むという章立てで構成されています。

出版後には、多くの医師に大きな節税効果のある投資方法として不動産投資があることを認知してもらうことができ、多くの受注の獲得に成功しました。

また、書籍からの問い合わせがほぼ100%不動産投資案件の成約につながるという圧倒的な受注率をあげることができています。

ブックマーケティングを行うことによって、的確にターゲットである医師に書籍を届けることができ、内容に共感して納得してもらえたことが、この結果につながったものと言えるでしょう。

超富裕層向けのアンティークコイン投資のブックマーケティング

アンティークコイン投資により1年で3000万円を稼いだという実績を持つ著者が、経営者や医師などの超富裕層にその手法を書籍を通じて紹介したものです。

もともと不動産投資やFXなどによって3年間で1億円以上の資産を築いたという経験があるということも支持された理由の1つです。くわえて、超富裕層に購入してもらえるようにカバー装丁に高級感を持たせたり、タイトルを工夫したりすることも、狙い通りに富裕層に手にとってもらえるきっかけとなりました。

その結果、超富裕層の囲い込みに成功して、100名以上の無料資料のダウンロードがあり数千万円の売上につながっています。

また、書籍の出版記念セミナーでは、1件当たり数百万円の成約を複数名から得たり、読者からの反響で数億円の売上に貢献するなどの効果もあり、狙った以上の成果を上げることができました。

■まとめ

本記事では、富裕層の定義と種類、富裕層マーケティングの基本、富裕層の信頼を勝ち取るための効果的な手法などについて詳しく解説しました。

今回ご紹介した中でも特に、ブックマーケティングは、富裕層の行動パターンである「自分で調べて行動する」と「信頼する人からしか商品やサービスを購入しない」の2つを両立できる有効な手法です。

富裕層マーケティングを具体的に考えている方は、ぜひブックマーケティングを1つの手法として検討してみてはいかがでしょうか。

ブックマーケティング
 

企業SNSを運用したいが、やり方がわからないーーこのように考えるマーケティングや広報の担当者は多いことでしょう。

以前は「個人の遊び」という印象が強かったSNSですが、時代はすっかり変わりました。SNSはビジネスにおけるコミュニケーションの重要な一部分である、という認識が多くの企業に浸透してきたのです。

しかし、企業SNSのアカウントが乱立するなかで、ビジネスにおけるメリットをきちんと獲得できているケースはごく一部と言わざるを得ません。

そこで本記事では、企業SNSの運用を考える方向けに、SNSによってビジネスメリットを実現する「運用のやり方」を解説します。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

■企業のSNS運用とは?

企業にとってSNS運用は、ビジネスの成長に欠かせないものとなっています。

企業のSNS運用は、一言でいえば「ビジネス目的」である点が最大のポイント。個人のアカウントに比べてよりプロフェッショナルで戦略的な運用のやり方が求められます。

個人のSNS運用との違い

個人のSNS運用は、主に自己表現や交流が目的です。もちろんSNSを通じたマネタイズに成功しているインフルエンサーなどの個人はいますが、そうした人たちはビジネス目的の運用という意味で、個人の趣味的なアカウントとは違う種類の運用だと言えるでしょう。

企業のSNS運用は、商品やサービスのプロモーションやブランドイメージの向上など、ビジネス上の目的があります。そのため、やり方としても投稿内容や投稿頻度、ターゲット層など戦略的な視点が求められます。

また、ユーザーに悪印象を与えないようにする気配りも、個人アカウントに比べてより重要になるのです。

SNSマーケティングとの違い

SNSマーケティングは、SNSを活用してマーケティング活動を行うことです。

具体的には、下記のようなやり方があります。

・インフルエンサーマーケティング

・SNS広告運用

・ソーシャルリスニング

・SNSキャンペーン施策の実施

総じて言えることとして、費用を投じたタイミングにだけ効果を発揮し、商品購入や問い合わせなど直接的なリターンを目指すのがSNS運用以外のSNSマーケティングです。広告施策としての色が強い取り組み、とも言い換えられます。

一方でSNS運用はSNSマーケティングのくくりにはありますが、下記のような特徴があります。

・オーガニック投稿として自由度の高い発信が可能

・ユーザーとのコミュニケーションによりファン化を促進できる

・運用をやめたり頻度を鈍らせたりしてもアカウントや過去の投稿は残る

・一度フォローしてもらったユーザーをアカウントの資産として持ち続けられる

・長期にわたる施策の継続がやりやすい

これらの特徴により、長期的なブランディングを目指したりマーケティングの基盤を作ったりといった目的を達成するために適しているのが、SNS運用です。

■SNS運用が重要になっている理由

SNS運用がビジネスにおいて重要になっているトレンドは、データからもわかります。

「ソーシャルメディアマーケティング市場、2023年ついに1兆円を突破の予測【サイバー・バズ/デジタルインファクト調べ】」(https://webtan.impress.co.jp/n/2022/11/11/43642)によると、ソーシャルメディアマーケティングの市場規模は2020年の5,971億円から2022年には9,317億円へと大幅増加。

2027年には1兆8,868億円にまで市場が拡大すると推計されています。

SNS運用はやり方を工夫すれば大きなリターンを得られる一方で、フォロワーを伸ばすためにはどうしても一定の時間が必要です。SNSの市場が伸びていくなかで、早く始めた企業ほど成功に近づくのは間違いありません。

■SNS運用によって得られるメリット

ここで、企業のSNS運用によって得られるメリットを改めて整理しましょう。

大きくいうと、以下のとおりです。

・商品やサービスのプロモーションができる

・自社ターゲット層に直接訴求できる

・顧客とのコミュニケーションを深めることができる

・企業のブランドイメージを向上させることができる

・リアルタイムな情報の発信が可能になる

いずれにも共通するのが、SNS運用によるメリットの発揮とは運用のやり方にかかっている、ということです。

SNSアカウントがあるだけで売上につながるような理想的状況を作るには、狙ったターゲット層のフォロワーをたくさん抱えた「強い」アカウントを作る労力を惜しまないのが、成功事例に共通した特徴です。

■各SNSの特徴と運用のコツ

一言にSNSといっても、種類は様々です。母体となる会社もそれぞれ違います。

SNSの種類によって、やり方や発信すべき内容は異なります。

主要なSNSの特徴について、運用のコツも含めて紹介しましょう。

Instagram

Instagramは、写真や動画を投稿するSNSです。ビジネスにおいては、商品の宣伝やイメージアップに活用されることが多く、特に若い世代に人気があります。

ただ、40代以上の層も利用率は低いものの、実数でいうと若年層に匹敵しており、実は全年齢に向けたアプローチにも使えるSNSがInstagramです。

Instagramの運用のポイントは簡単に以下の通りです。

・ハッシュタグや発見タブによって投稿を検索されやすくする。

・投稿のビジュアルについて方向性を定め、ユーザーに価値を感じてもらえる投稿を一定頻度で続ける。

・ストーリーズ機能を使い、日常的な情報を発信することでフォロワーとのコミュニケーションを深める。

・インスタライブを使い、フォロワーとの関係性をより強化する。

勘違いされがちですが、「発信者のビジュアルが優れていて顔出しできる」「商品の綺麗な宣伝写真がたくさんある」などの要素はInstagram運用で必須ではありません。

「商品のターゲット層が興味を持つノウハウを発信する」「日常風景の投稿でユーザーと距離感を縮める」など企画の方向性によって、あらゆるビジネスでInstagramの強みを発揮できます。

X(旧Twitter)

X(旧Twitter)は、140文字以内(X Premium加入者はそれ以上も可能)の短い文章を投稿することができるSNSです。

主にリアルタイム情報の収集や発信に使われ、特にニュースやトレンドに関する情報が多く取り扱われています。

Xの運用のポイントは以下の通りです。

・アカウントのテーマに沿った自分なりの「情報提供」と「持論」を発信してフォロワーを増やす。

・他のアカウントとコミュニケーションを増やし、タイムライン上の表示優先度を高める。

・他のアカウントをフォローし、フォロー返しを獲得することでフォロワーを増やす。

Xは実名顔出しで運用するアカウントが多く、アカウント同士のコミュニケーションが非常に重視されるカルチャーのSNSです。

企業アカウントとして活用する場合でも、事務的な発信だけでなく「中の人」の人柄が感じられるアカウントが好まれます。

リツイート機能でツイートが大きく拡散される仕様により、投稿が大きくバズる可能性のあるSNSでもあります。

Facebook

Facebookは、世界で最も利用者数の多いSNSの一つです。友達や家族とのコミュニケーションが中心ですが、ビジネスにも活用されることが多く、商品の販売やブランドの発信などに使われます。

Facebookの運用のポイントは以下の通りです。

・定期的にコンテンツを投稿することで、フォロワーの獲得やエンゲージメントの向上を目指す。

・Facebookページを作成し、“いいね”を獲得することで拡散力を高める。

・Facebookグループを作成し、ファンコミュニティを形成することで、ファンとの交流を深める。

Facebookは一定年齢以上の人のビジネス活用においては根強い人気のあるSNSです。

ただ、友達に追加する人数に5000人という制限があるため、つながりをたくさん増やして大きく拡散しようとする運用方針には向きません。

関係性のある相手から自社への認知を維持したり、仕事の相談をもらいやすくしたりする運用がFacebook活用のコツです。

LinkedIn

LinkedInは、ビジネス関係者が集まるSNSです。求人情報やビジネスマッチングなどに使われることが多く、ビジネスユースに特化したSNSであると言えます。

LinkedInの運用のコツは以下のとおりです。

・原則実名登録なので、反感を招くような投稿は避ける。

・他のアカウントと交流し、コミュニティなどにも積極的に参加する。

・ターゲットに対して積極的にDMを送る。

いわゆる営業のためのDMや採用DMは他のSNSだと嫌がられる場合がありますが、LinkedInはビジネスSNSである側面から、他アカウントへの直接アプローチは比較的、受け入れられているのが特徴です。

ただし、大量のスパム送信はLinkedIn側から制限をかけられる危険があります。

丁寧に絞り込んだターゲットアカウントに対し、一通一通、心を込めてDMを送ることが成果の秘訣です。

SNS運用を始める前に決めること5

続いてはSNS運用の実践編です。

SNS運用は、やり方を決めずにとりあえず始めてみても成功率は低いです。

ビジネスにつなげるためには、事前準備がカギを握ります。

事前準備として考えるべき項目は、以下のとおりです。

決めること①運用の目的

SNSを始める前に、まずは運用の目的を明確にすることが必要です。

例えば、ブランド認知度の向上、製品やサービスの販売促進、情報発信や顧客対応など、目的は様々です。

目的に応じて、運用するSNSの種類やコンテンツ、投稿頻度、投稿内容、ターゲット層などが異なるため、運用の目的をはっきりと決めてから取り組むことが重要です。

気をつけたいのが、「運用目的は売上に決まっているでしょ」と単純に決めてしまうこと。SNS運用は短期的な売上効果だけでなく、ブランディング効果やファンユーザーの獲得など様々な尺度での効果を視野に入れる必要があります。

長期的にアカウントを育てる施策だけに、短期の集客では広告施策より数値が劣る場合が多く、運用目的を売上だけと定めてしまうとスムーズな運用が進まない危険性が高いのです。

短期で何を目的にするのか、中期〜長期で何を目指すのか……など、細かく設計するのが成功するコツです。

▼SNS運用の目的設定については、過去コラム『SNS運用で大切な「目的設定」とは?運用効果を最大化する秘訣を徹底解説』で解説しているので、こちらもご参照ください。

決めること②運用体制

SNS運用では、運用担当者やチームの体制を整えることも大切です。

運用にあたっては、誰が投稿するのか、どのようなスケジュールで投稿するのか、コメントやメッセージの返信は誰が担当するのか、といったことを明確にしておく必要があります。

また、社内で運用する場合は、社員の研修やマニュアル作成なども必要かもしれません。

会社としてSNS運用に取り組むときの体制で重要なのは、組織として担当者をフォローアップして運用を管理する仕組みをつくることです。

社内の担当者はほとんどの場合、SNSのプロではありません。「いい感じにやっておいてくれ」と丸投げして放置していると、運用の目的が達成できないどころか投稿やアクション自体が止まってしまうケースも珍しくありません。

自社の貴重なリソースを使って、徒労に終わらないように気をつけましょう。

決めること③アカウントの方向性

SNSアカウントの方向性についても、事前に決めておくことが重要です。

たとえば、ファッションブランドのアカウントであれば、コーディネートの紹介や新作アイテムの情報を発信することが求められます。

一方で、医療機関のアカウントであれば、健康情報や病気の予防・治療についての情報提供がいいかもしれません。アカウントの方向性を明確にしておくことで、フォロワーの期待に応えることができ、効果的な運用が可能になります。

例えばSNS運用の代行を請け負うプロであれば、クライアントへのヒアリングをもとにペルソナシートやアカウント構成シートといった資料を作成します。

ターゲット層や運用目的に合わせてデザインのトンマナから投稿文体まで細かく設定し、ブレない運用を実現するのです。

決めること④ターゲット層

SNSを利用するユーザーは、それぞれ年齢層や性別、興味関心、ライフスタイルなどが異なります。運用するアカウントのターゲット層を明確にし、その層に合った投稿やコンテンツを提供することが必要です。

また、ターゲット層に応じて、運用するSNSや投稿する時間帯、投稿内容、コンテンツの種類なども変わってきます。

このターゲット設定は、「30代以上の女性」など大まかすぎるくくりではあまり意味がありません。

よくマーケティングで使われる「ペルソナ(代表的なターゲット像の架空のプロフィール)」を設定するのも効果的でしょう。

誰か一人に深く刺さるコンテンツは他の人にも刺さる、というのがSNS運用の原則です。

決めること⑤具体的なタスクとスケジュール

SNSの運用においては、具体的なタスクとスケジュールを決めておくことが大切です。どのようなコンテンツを、どのようなタイミングで発信するのかを明確にすることで、運用がスムーズに行われます。

また、週次や月次での運用の報告や評価を行い、必要に応じて改善を行うことも大切です。

コツとしては、とにかく曖昧さを残さないこと。「ネタがあるときに投稿する」「なるべく他のアカウントに“いいね”する」といったルール設定でなく明確に行動目標を決めましょう。

実際ちゃんとやってみると担当者にかなりの負担がかかりますが、強いアカウントを育てるにはそれなりの努力が必要です。

SNS運用の効果測定と運用改善

続いて、運用開始後のやり方についてです。

「SNS運用の効果はどのように測定して改善したらいいの?」と思われる方も多いかもしれません。

たとえば、計測指標には下記が考えられます。

・フォロワー数

・リーチ数

・エンゲージメント数(「いいね!」やコメント数など)

・コンバージョン数(集客数、商品の売上数など)

計測すべき指標は、運用目的やどのSNSを用いるかによって変わってきます。

たとえば対面アポイントの獲得を目標にする運用なら、DMのうちのアポイント率が指標になるでしょう。改善項目としては普段の投稿の質よりも、アカウントの信頼性を高めるためのフォロワー増やDM文面の改善などの優先順位が高くなります。

おすすめとして、ある程度フォロワーが増えるまではフォロワー数だけをKPIにするのが良いでしょう。

SNS運用による効果の多くは、ある程度フォロワーがいないと発揮されにくいためです。管理をシンプルにすることで運用もスムーズになります。

■SNS運用のよくある失敗例3パターン

続いてSNS運用において、よくある失敗例を3パターン、紹介します。

どれも本当に多いので、失敗の典型例に当てはまらないよう注意して運用しましょう。

失敗例①フォロワー数が増えない

思うようにフォロワーが伸びないのは、SNS運用で最もよくある失敗ケースです。

理由として、たとえば下記が考えられます。

・投稿頻度が低い

多くのSNSは、自アカウントの投稿が他のユーザーのタイムラインに表示されることでフォローが発生します。

したがって、投稿が少なければどんなにアカウントを作り込んでいてもフォロワーが増えるチャンスはほとんどありません。

最低でもInstagramなら週3回、Xなら1日1回は投稿が必要です。

・他アカウントとのコミュニケーション不足

「いいね」や「コメント」など他のアカウントに対して自分からアクションするのも、フォロワーを増やすためには重要です。ここを怠るとフォロワーはほとんど増えません。

ただし、アクションする先のアカウントの選定にもコツがあります。リアクションを返してくれそうなアカウントや信頼度の高いアカウントの共通点を見出し、適切な相手に対してコミュニケーションを取る必要があります。

失敗例②運用が止まってしまう

前述したように、SNS運用がストップしてしまう失敗事例はとても多いです。

その理由のほとんどは、はっきり方針を決めずに担当者に丸投げしたきり管理しない運用体制にあります。

投稿スケジュールの明確な設定と投稿物の確認、定例の確認ミーティングなどは組織内で必ず行いましょう。

また、「売上につながっていないからものすごくクオリティの高い投稿をしなきゃ」など、成果を焦って答えのない課題を設定してしまうのも投稿ストップの原因になります。

SNSは定期的にコンテンツを発信して自アカウントにあった運用のやり方を探っていくプロセスがとても重要です。むやみにクオリティにこだわるよりも継続的な運用を重視しましょう。

失敗例③運用の方向性が迷走する

SNSの運用は、アカウントの方向性を守ることがとても重要です。

失敗例②に近いですが、成果を焦って方向性の切り替えを連発し、コンセプトのよくわからないアカウントになってしまうのもよくある失敗パターンです。

どんな方向性を試してみても、運用初期に一つの投稿でわかりやすい効果が発揮されることはなかなかありません。

まずは運用開始前のコンセプト設計を細かく行い、決めた方向性に則って腰を据えて取り組みましょう。そうすれば長期的な成果に高い確率でつながります。

■SNSの炎上を防ぐ対応策4選

SNS運用において、炎上を気にする方は多いかもしれません。

企業のSNS活用が普及するにあたって、炎上してしまった事例も多く聞かれるようになりました。

そこで以下に、SNSの炎上を防ぐための対応策を紹介します。

炎上防止策①投稿ガイドラインの策定

SNS運用を始める前に、社内でSNSマニュアルを策定しましょう。

このマニュアルには、発信内容のチェックや、危険な発言を行わないようにするためのガイドラインなどが含まれています。

ガイドラインを設定する際には、ぜひSNS慣れした若いスタッフの力を借りてください。普段からSNSに慣れ親しんだ人間であれば、それぞれのSNSにおけるマナーを感覚で理解しています。

若いスタッフにたたき台をつくってもらったうえで、広報やリスク管理担当などプロの目で見てブラッシュアップする進め方がおすすめです。

炎上防止策②対応ガイドラインの共有

もしも炎上騒ぎが起こってしまった場合には、迅速かつ的確な対応が必要です。SNS上でのトラブルの拡散を防ぐために、炎上した場合には速やかに謝罪し、原因究明を行いましょう。

ただし、SNS運用に慣れていない企業が担当者任せにする体制は危険です。機転をきかせたつもりが火に油を注いでしまう可能性もあります。

投稿物だけでなく、炎上懸念がある場合の対応についても社内でガイドラインを設定し、フローを明確にするのがおすすめです。

弁護士やPR会社などの外部専門家にリアルタイムで相談できる体制を構築しておくのも効果的でしょう。

炎上防止策③投稿監視体制の整備

SNS上でのトラブルを未然に防ぐためには、定期的にSNSのコンテンツを監視し、問題のあるコメントや投稿に対して迅速に対応することが必要です。

また、不適切なコメントや投稿があった場合には、速やかに削除し、投稿者に対して注意喚起を行う必要があります。

投稿の監視には、「上司が毎日11時にチェック」「広報が朝礼でチェック」など、担当者ではなく第三者的な目線でチェックを入れる決まりごとを作っておきましょう。

社内リソース的に難しければアルバイト数人でチェックする体制でも、一般的な目線による第三者チェックは入れられます。

炎上防止策④炎上事例の社内共有

SNSの炎上を防ぐのにもっとも大事なのは、抽象的ながら社内のリテラシーです。

関係者の知識を増やし教育をしていくのが、時間はかかりますが炎上を防ぐために最も有効な施策です。

そこで、日々SNS上の炎上情報をウォッチし、社内で定期的に共有、ポイントを話し合う機会を設けましょう。

特に自社と業種や運用目的の近いアカウントが炎上してしまった事例は、貴重な学習材料になります。

■SNS運用で一番大切なポイントとは?

ここまで、SNS運用のノウハウについて述べてきました。

では、SNS運用において最も大事なポイントとは、なんなのでしょうか?

それは、「投稿コンテンツ」です。

他アカウントとのコミュニケーションや、広告・キャンペーンとの併用もビジネスで成果を出すためには有効ですが、これらは要領がわかれば競合他社でも実行可能です。

しかし、自アカウントならではの良質な投稿は、決して差別化のできないコンテンツになります。良質なコンテンツでフォロワーを獲得すれば、ファン顧客という得がたい財産になるでしょう。

濃いファンを直接自社の側から取りにいけるのは、企業のSNS運用がもつ最大の魅力だといえます。

いわば雑誌などのメディア編集者になったつもりで、ユーザーにとって価値のあるコンテンツを定期的に発信するのが、SNS運用の極意です。

■外注の運用パートナーは入れるべきか

SNS運用を外注化するかどうかは、企業の状況や目的によって異なります。

外注するメリットとしては、運用に必要な人材をスピーディに確保できることや、専門的なノウハウを持った運用パートナーを活用できることが挙げられます。

一つの考え方として、「人手が足りない」「アカウントを育てるのにそこまで長い期間をかけられない」という課題がある場合、外注を検討することがおすすめです。

ここまで述べたように、SNS運用をきちんとやると担当者にも組織にも意外に手間がかかります。

社員一人がほとんど張り付きになっている会社も多いです。

そうなると、人件費的にSNS運用会社に頼んだほうが安くつく場合も考えられます。

また、外注先は当然ノウハウを持っているため、プロの運用によって最短経路でアカウントを育ててくれるのは大きなポイントでしょう。特に投稿コンテンツの企画は、一般企業のリソースではなかなか難しい場合も多いです。

ゼロの状態から探り探りでSNS運用をスタートすると、継続できても成果が出るのは数年後といったケースが少なくありません。その時間を短縮して成果を確実にする選択肢として、外注を活用するのはおすすめです。

■SNS運用に関するおすすめ書籍4選

最後に、企業のSNS運用者にとって役に立つおすすめ書籍を4冊、紹介しましょう。

『平均4.2カ月で1万フォロワーを実現する プロ目線のインスタ運用法』石川侑輝 (著)

Version 1.0.0

アカウントの設定方法からフォロワーが増えやすいプロフィールの書き方、投稿内容の考え方などわかりやすくまとまった一冊。2022年7月出版と比較的、新しいのもポイントです。

SNS界隈は非常に変化の激しい業界なので、なるべく新しくて売れている本から情報収集するのがコツです。

『世界一やさしい Twitter集客・運用の教科書 1年生』岳野めぐみ (著)

Twitter(現X)のビジネス活用についての書籍です。

Twitterは日本で浸透した歴史が古く、多くのユーザーを獲得しています。基本的に短文を投稿するのみのシンプルな仕様ですが、ビジネスに繋げるのにはちょっとしたノウハウが必要です。

本書なら、Twitterで集客したい方の入門書としておすすめです。

『LinkedIn(リンクトイン)活用大全 情報発信、起業、転職、人脈…ビジネスで一番使えるSNS』松本 淳 (著)

まだ日本にはほとんどない、LinkedInのビジネス活用についての書籍です。

実際にLinkedInを数多くのビジネスに繋げたLinkedInインフルエンサーによる執筆で、LinkedInの基本知識からアカウント設定の方法まで具体的に述べられています。

これからLinkedInを始める方にはぜひ読んでほしい一冊です。

『【超完全版】YouTube大全 6ヶ月でチャンネル登録者数を10万人にする方法』小山 竜央 (著)

今回のコラムで個別には扱いませんでしたが、YouTubeもコンテンツによって視聴回数やチャンネル登録を増やすという意味では、運用の性質がSNSにとても近いツールです。

こちらの書籍では、実際に10万登録を超えるチャンネルを多数作り出してきたマーケターがYouTube運用を徹底的に解説しています。

特にユーザー受けするコンテンツの考え方は本質的で、YouTubeだけでなく他のSNSやコラム記事などあらゆる媒体にノウハウを転用できます。

■まとめ

以上、ビジネスに繋がるSNS運用について述べました。

ビジネスコミュニケーションにおけるSNSの重要性が高まっている昨今、とにかくやらなきゃ!と考える企業は多いです。

ただし、SNS活用はやり方次第な部分がとても多いです。

それぞれのSNSの特徴を理解し、運用の方針をしっかりと定め、戦略的なSNS運用をスタートさせましょう。

 

少子化の進行によって18歳人口が急速に減少しており、いかに多くの学生を確保するかが大きな課題となっている大学が増えています。

そんな苦境に立たされている大学の情報発信の媒体として、特に重要なのがパンフレットです。

今回は、高校生や進学希望者の興味を惹き、入学者を増やすという成果を達成するための大学パンフレットを作るポイントや効果的な活用方法について詳しく解説いたします。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 29d5ead1ee41a6d25524876e7bd315d5-scaled.jpg
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

◉大学のPR・プロモーションにパンフレットが有効な理由

高校生や大学への進学希望者は、最もスマホやSNSなどに慣れ親しんできたデジタルネイティブな世代です。

しかし、大学のPR・プロモーションには依然として紙媒体のパンフレットが有効です。

一体なぜでしょうか。

2023年2月にマイナビ進学総合研究所が行った「学校案内・パンフレットや学校公式WEBサイト等に関する高校生の意識調査」では、大学が高校生に対して行ったいくつかの広報手段に関して、高校生が志望校を検討する際にどの程度影響したかを調べており、次表のような結果が得られています。

広報手段「強く影響した」と「少し影響した」の合計割合「全く影響しなかった」と「あまり影響しなかった」の合計割合
学校案内・パンフレット82.8%8.3%
学校公式WEBサイト79.6%9.5%
入試要項・募集要項76.6%8.8%
オープンキャンパス(リアル形式)60.5%21.8%
学校のSNS36.3%37.3%
オープンキャンパス(オンライン形式)31.0%38.1%

影響度が最も高かったのは「学校案内・パンフレット」の82.8%、2番目が「学校公式WEBサイト」の79.6%に対して、最も低かったのは「オープンキャンパス(オンライン形式)」の31.0%、次は「学校のSNS」の36.3%という結果でした。

紙媒体の「学校案内・パンフレット」が最も影響度が高く、デジタル技術を活用した「オープンキャンパス(オンライン形式)」や「学校のSNS」の影響度が低いという予想外の結果が得られています。

「学校案内・パンフレット」の影響度が最も高かった理由として挙げられているのが「読みやすさ、比べやすさ」です。

つまり、複数の志望校同士を比較する際には、紙媒体の「学校案内・パンフレット」を並べて見ながら比較検討するということが考えられます。

また、「学校全体の特色・取り組み」や「興味のあった学部・学科」の情報は、「学校公式WEBサイト」よりも「学校案内・パンフレット」の方が参考になったという意見が多いなど、紙媒体の方が大学生活のイメージが伝わりやすいことが分かります。

このように、スマホやPCを使い慣れた世代の高校生であっても、大学選びの際にはデジタル媒体よりも紙媒体のパンフレットを重視する傾向があるということは注目すべきことだと言えるでしょう。

◉進学希望者の興味を惹く大学パンフレットを作るポイント

前述の調査から、高校生は大学選びの際にはパンフレットを重視することが分かりましたが、高校生や進学希望者の興味を惹く大学パンフレットを作るためにはどのようなことに注意すべきなのでしょうか。

具体的には、次の7つのポイントを押さえてパンフレット制作を検討しましょう。

・学部や学科など自校の特色を明確にする
・就職に有利など、将来性をアピールする
・キャンパスライフがリアルに想像できるような写真を多く使う
・説明を詰め込みすぎない
・WebサイトやSNSへの導線をしっかりと入れ込む
・入学したくなる表紙のデザインにする
・制作後の配布やマーケティングも見据えた内容にする

以下では、それぞれについて詳しく解説していきます。

◉-1、学部や学科など自校の特色を明確にする

リクルート進学総研が、2009年と2022年に行った「学校選択重視項目ランキング」によれば、高校生や進学希望者が進学先を決定するために重視する項目について次表のような項目が上位に挙がっています。

<変わらない重視項目>高校生や進学希望者が時代変化にかかわらず重視する項目学びたい学部・学科がある
校風や雰囲気が良い
自分の興味や可能性が広げられる
自宅から通える
キャンパスがきれいである

この「変わらない重視項目」からは、「学びたい学部や学科がある」や「自分の興味や可能性が広げられる」という当然の項目が見られるほか、「校風や雰囲気が良い」「自宅から通える」「キャンパスがきれいである」という環境に関する項目があがっているのが分かります。

また、2009年と2022年を比較して伸び率が高かったのは、次表のような項目です。

<変化した重視項目>高校生や進学希望者が進路環境変化に伴い、より重視するようになった項目教育内容のレベルが高いこと
学生の学力が高いこと
教育方針・カリキュラムが魅力的
入試方法が自分に合っている
規模が大きい

この「変化した重視項目」からは、「教育レベルの高さ」や「学力の高さ」など学びの内容を重視する傾向が増えていることが分かります。

これらの調査結果から、パンフレットの中で、学部や学科の特徴、校風や雰囲気、教育レベルの高さなど「うちの大学ならでは」の独自性のある特色をしっかりと打ち出していくことが重要だということが分かります。

多くの大学の中に埋もれないためにも、自校の特色を明確にしてパンフレットに積極的に記載していきましょう。

◉-2、就職に有利など、将来性をアピールする

前述した、リクルート進学総研の「学校選択重視項目ランキング」によれば、2009年も2022年も、文系の3位、理系の2位にランキングされた項目は「就職に有利である」でした。

つまり、多くの高校生や進学希望者が「就職」や「将来」を見据えて大学を選んでいると考えられます。

この調査結果から、「卒業後の進路がスムーズに決まるのか」「良いところに就職ができるのか」「就職に関するサポートはあるのか」など、将来の安心感を醸成する内容を、しっかりとパンフレットに記載しておくことが重要だと言えるでしょう。

◉-3、キャンパスライフがリアルに想像できるような写真を多く使う

前述した、リクルート進学総研の「学校選択重視項目ランキング」によれば、高校生が進学先を決定するために重視する項目として、「校風や雰囲気が良い」が挙げられており、文系では「キャンパスがきれいである」、理系では「学習設備や環境が整っている」などが上位に挙がっています。

これは、「良い雰囲気や環境のきれいなキャンパスの大学に進学したい」ということを表していると考えられるため、パンフレットでもこの点をアピールしていきましょう。

具体的には入学後のキャンパスライフが想像できるようなキャンパス、教室、学食、その他の設備などの写真を効果的に掲載するなどが有効です。

◉-4、説明を詰め込みすぎない

大学パンフレットだけに限ったことではありませんが、パンフレットには説明を詰め込み過ぎないようにすることが大切です。

特に、高校生や進学希望者などの若い世代はそれほど文章を読まない世代です。

写真やイラストなどを分かりやすく配置して、キャッチーな項目を厳選して入れ込むことが重要です。

文章だけが並んだパンフレットだと、せっかく手に取ってくれたとしても読まれなくなってしまうので、その点には注意しましょう。

大学側が伝えたい情報というよりは、学生側が欲しい情報を分かりやすく入れるようにすることが大切です。

必要に応じてプロを入れて「本当にこの情報は学生に必要なのか?」などの情報精査を客観的に行なっていくのがおすすめです。

◉-5、WebサイトやSNSへの導線をしっかりと入れ込む

前述した、マイナビ進学総合研究所「学校案内・パンフレットや学校公式WEBサイト等に関する高校生の意識調査」によれば、「Webサイトを見てから資料請求をする」パターンと「パンフレットを見てからWebサイトを見る」というパターンがあることが分かっています。

具体的には「学校案内・パンフレット」を見てから公式Webサイトを見に行ったのは53.1%、逆に公式Webサイトを見てから「学校案内・パンフレット」を見たのは48.1%となっています。

つまり、わずかな差ではありますが、「パンフレットを見てからWebサイトを見る」パターンの方が多くなっているのです。

このことから、パンフレットを見た学生がWebサイトにスムーズに移動できるようにWebサイトのQRコードやURLをしっかりと記載しておくなど導線をしっかりと入れ込んでおくことが重要であると言えます。

また、質問が気軽にできるようにLINE公式などのSNSアカウントの情報などを掲載して、それを見た高校生や進学希望者が気軽に次のアクションに起こせるような仕組みを入れ込むことも重要です。

◉-6、入学したくなる表紙のデザインにする

高校生や進学希望者がパンフレットを手に取ったときに真っ先に目に入ってくるのが表紙です。

表紙のデザインはパンフレットの顔ともいえる部分で、大学らしさを一番伝える部分なので、高校生や進学希望者に「この学校に入学したい」という気持ちを起こさせるようにする必要があります。

大学のイメージや雰囲気、PRしたいことなどがうまく伝わるようなデザインにしましょう。

大学によってイメージカラーを持っている場合は、その色をベースにパンフレット全体のデザインや構成などを考えます。

また、大学の魅力がうまく伝わるようなキャッチコピーを入れたり、大学の特徴が分かるような写真やイラストを入れたりすることも効果的です。

◉-7、制作後の配布やマーケティングも見据えた内容にする

「パンフレットを作ってみたものの、期待した成果や反響が得られない」という悩みの主な原因は「ただ単にパンフレットを作ってしまった」ということがほとんどです。

そうならないためにも、パンフレット制作後に、「どこで」「どれぐらいの量を」「どうやって配布するのか」などの活用方法を事前に見据えて制作することが重要です。

パンフレットを「確実に高校生や進学希望者に届けて」「入学したいという気にさせるにはどうすれば良いのか」というマーケティング視点を入れて、パンフレットに掲載する情報の整理や設計を行いましょう。

◉より成果につなげる大学パンフレットの活用方法

「入学者を増やす」という成果につなげるためには、ただパンフレットを作って今までのように配っているだけでは不十分です。

次のようなポイントを押さえた上で、いかにターゲットである学生にパンフレットを届けるか、活用方法を積極的に検討し、実践していきましょう。

・デジタルマーケティングと連携してターゲットに効果的に配布する
・PDF化してWeb上でも配布する
・配布場所、タイミングはしっかりと検討する

それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

◉-1、デジタルマーケティングと連携してターゲットに効果的に配布する

WebサイトやSNSなどのデジタルマーケティングを活用し、うまく資料請求につなげることも可能です。

たとえば、SNSで大学のリアルな情報を発信して資料請求につなげたり、LINE公式などを立ち上げて若者の質問などに対応しつつ資料請求につなげたり、さまざまな連携が考えられます。

また、紙媒体のパンフレットの一部を活用してSEO記事を投稿し、検索流入を増やして資料請求につなげていくなども可能です。

特に、高校生や進学希望者はデジタルネイティブ世代なので、デジタルと連携した情報発信は必要不可欠です。

デジタルマーケティングとの組み合わせによって、より多くのターゲットに配布できないかを検討してみましょう。

◉-2、PDF化してWeb上でも配布する

パンフレットは紙媒体だけではなく、PDF化して配布することも検討しましょう。

たとえば、公式Webから資料請求したら、PDF資料としてダウンロードできるようにしておく、などです。

◉-3、配布場所、タイミングはしっかりと検討する

パンフレットの配布場所や配布方法、タイミングはしっかりと検討しておく必要があります。

たとえば、対象となる高校3年生が在学している高校に、進路希望が決まる数ヶ月前のタイミングに配布しておく、などです。

その際に、過去の入学実績の多い高校には多めのパンフレットを送付することなども検討する必要があります。

また、高校以外にも、大学入試予備校や図書館、自習室、スポーツクラブ、などターゲットとなる学生が集う場所への配布も有効です。

各施設の責任者に事前相談して置いてもらうようにしましょう。

また、大学入試ポータルサイトに資料請求をするケースもあります。

進学希望者の手に確実に渡るようにポータルサイト運営者側と連携したり、パンフレットを素早く送付できるように手配しておきましょう。

◉【まとめ】成果につなげるパンフレット制作はプロに依頼しよう!

本記事では、高校生や進学希望者の興味を惹いて入学者を増やすという成果を達成するための大学パンフレットを作るポイントや効果的な活用方法について詳しく解説しました。

今回ご紹介したマイナビ進学総合研究所やリクルート進学総研の調査結果などのように、公表されている統計・調査結果などを見るなど、とにかくターゲットがどのような情報をどのように得て、どのように見ているのかなどを想像してパンフレットは制作していく必要があります。

また、ただいい感じに作るのではなく、配布先や活用方法などマーケティングも見据えた上で作らないと成果になかなかつながりません。

もし「今現在のパンフレットでの成果に満足していない」「成果を出せるようなパンフレット制作をしたい」とお考えの方は、ぜひフォーウェイまでご相談ください。

フォーウェイでは、書籍やパンフレットなど、ユーザー目線でのコンテンツ制作はもちろんのこと、それをどのように活用すればターゲットに効果的に訴求ができるのか、というコンテンツマーケティングを主業務として行なっております。

まずは、お気軽にお悩みをお聞かせください。

パンフレット

病院もこれからの時代はいかに多くの人に認知してもらって、多くの病院の中から選んでもらえるように、積極的な情報発信を行っていく必要があります。

そのための手段の1つがパンフレットです。

パンフレットを作るにはそれなりのお金や手間がかかるのですから、しっかりとした認知や信頼の獲得、人材の確保などの成果につながるものにすべきです。

今回は、このような成果にこだわった病院パンフレット作りのポイントや効果的な活用方法について詳しく解説いたします。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
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慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

◉病院のプロモーションにパンフレットが有効な理由

病院のプロモーションにパンフレットが有効な理由は、主に次の2点です。

・パンフレットには紙媒体ならではの安心感
・信頼感がある
・パンフレットを見るのはネットに不慣れな高齢者が多い

各理由について詳しく見ていきましょう。

◉-1、パンフレットには紙媒体ならではの安心感・信頼感がある

病院のプロモーションは、一般的な企業の商品やサービスのプロモーションとは異なります。

なぜなら、病院にとっては「ここなら自分の体を預けられる」と感じられる安心感や、「ここなら質の高い治療が受けられる」という信頼感を持ってもらえることが重要だからです。

紙媒体のパンフレットは、物理的に手に取って読むことができるため、HPやSNSなどのデジタル情報と比べて安心感や信頼感を与えることができます。

近年、一般的にはデジタル技術によるプロモーションが優先される傾向がありますが、病院のプロモーションにおいては紙媒体のパンフレットも有効なのです。

◉-2、パンフレットを見るのはネットに不慣れな高齢者が多い

厚生労働省が公表している「平成19年国民生活基礎調査の概況」に示されているように、病院を利用する方の多くは高齢者です。

この調査によれば、病院全体では人口千人当たりの通院者率は333.6ですが、これを年齢階級別に分けると、「15~24歳」の通院者率が119.4で最も低く、年齢階級が高くなるに従って高くなり「75~84歳」の通院者率は692.4となっています。

つまり、病院に通院する方の多くは高齢者で、ネットに不慣れな方が多いため、紙媒体のパンフレットの方が向いているということが言えるのです。

紙媒体の病院パンフレットを制作して、このような高齢者のターゲットにアプローチすれば、高いプロモーション効果が得られると考えられます。

◉病院パンフレットは主に3種類

病院パンフレットは、制作する目的によって大きく次の3つに分けることができます。

・診療案内パンフレット
・病院案内パンフレット
・採用パンフレット

制作するパンフレットが、この中のどれに該当するかで掲載すべき内容や構成が変わってきます。

◉-1、診療案内パンフレット

どのような診療を行っているのかを紹介するパンフレットで、病院パンフレットの中では最も一般的なものです。

病院が掲げている診療方針や、治療を行っている診療科目の種類、診療時間、担当医師、導入している医療機器などについて、主に患者さまやそのご家族向けに紹介する内容になっています。

診療案内パンフレットを制作する際に心に留めておかなければならないのは、患者さまやご家族が必要しているのは、「最新の医療機器」ではなく「安心できる治療」だということです。

そのため、導入医療機器を羅列するだけではなく、「その医療機器を使ってどのような治療が行えるのか」ということを主に説明した方が良いでしょう。

その他にも、患者さまやご家族が知りたいと思うことはしっかり盛り込みましょう。

たとえば、病院の所在地やアクセス、駐車場の有無、入院設備のある病院の場合はその内容についても紹介した方が良いでしょう。

※後述しますが、院内のみで配る「診療案内パンフレット」の場合は医療広告ガイドライン上は「医療広告」に該当しないため、規制の対象外になります。

◉-2、病院案内パンフレット

病院の沿革や理念、治療方針などを総合的に紹介するパンフレットです。

病院案内パンフレットは、病院のブランディングを目的としたパンフレットと言うこともできるので、「その病院らしさ」や「こだわりポイント」などが見る人に伝わるように工夫しましょう。

パンフレットを手にとる患者さまやご家族、医療関係者に安心感を与えて、病院の魅力をよりアピールするブランディングツールになります。

病院案内パンフレットは、患者さまやご家族のほかに、就活生などの就職希望者も見るものなので、前述の診療案内パンフレットに含まれる診療方針や診療科目などの情報が掲載されることもあります。

◉-3、採用パンフレット

病院で働く看護師や保健師、薬剤師などの医療スタッフや職員の採用を目的としたパンフレットです。

採用パンフレットは、就活生や就職希望者に対して、「その病院で働く魅力」を伝えるものなので、基本的な情報や募集要項はもちろん、運営理念や治療方針、教育プログラム、キャリアパス、労働環境などを紹介する内容にしましょう。

また、それぞれの現場の写真を掲載したり、先輩スタッフのインタビューを載せたり、看護師や保健師、薬剤師などが実際の現場で働くイメージが分かるように工夫することが大切です。

就職後のミスマッチを減らすためにも、できる限り詳しい情報を掲載した方が良いため、患者さま向けのパンフレットとは違い、必要に応じて専門用語などを使って説明することも検討しましょう。

※後述しますが、医療機関の人材採用目的で配る「採用パンフレット」の場合は医療広告ガイドライン上は「医療広告」に該当しないため、規制の対象外になります。

◉-3-1、採用目的の広告が病院のプロモーションにもなる場合がある

採用目的のパンフレットではありますが、病院の存在を外向けに知ってもらうという副次的な病院の広告効果も見込めます。

たとえば、地元紙に折り込みのスタッフ広告を出した結果、来院数が増えたという事例も実際にあります。

もちろんあくまで「採用」が目的なのですが、こういった副次的な効果もあるということを知って起きましょう。

◉信頼獲得につながる病院パンフレットを作るポイント

病院パンフレットは、公益性の高さから一般の企業のように「集客」や「成果」という観点が薄くなってしまいがちですが、病院も一種のビジネスです。

お金を出す以上、「多くの患者さまに選ばれる」「採用候補者が多く集まる」など、成果につながるようなパンフレットを制作していきましょう。

信頼感や安心感を伝え、多くの人に選ばれるなどの成果をつなげるためには、各種の情報を綺麗にパンフレットに掲載するだけでは不十分です。

次に挙げるポイントを押さえて明確な戦略と目的を持って作る必要があります。

・厚生労働省の「医療広告ガイドライン」を遵守する
・「いつ」「誰に」「何を目的に」配るパンフレットなのかを明確にする
・安心感・信頼感を得られるデザインにする
・情報を詰め込みすぎないようにする
・WebサイトやSNSヘの導線を入れ込む
・作成後の配布やマーケティング活用も見据えた上で制作する

それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

◉-1、厚生労働省の「医療広告ガイドライン」を遵守する

病院内でのみ配布されるパンフレット、職員の採用に関するパンフレット以外は基本的に「医療広告」に該当するため、医療広告ガイドラインの遵守が必要不可欠です。

6 通常、医療に関する広告とは見なされないものの具体例
(1) 学術論文、学術発表等
(2) 新聞や雑誌等での記事
(3) 患者等が自ら掲載する体験談、手記等
(4) 院内掲示、院内で配布するパンフレット等
(5) 医療機関の職員募集に関する広告

引用元:厚生労働省「医療広告ガイドライン」

医療広告ガイドラインでは、主に次のような広告表現を禁止しています。

パンフレットに病院のWebサイトなどに、QRコードや気軽にお問い合わせができるような導線をつけること自体は問題ありませんが、「ご来院ください」「お問い合わせください」のように誘う文句などを入れるとガイドラインに違反する可能性があります。

「誘引性(患者の受診等を誘引する意図がある)」のある表現などには十分配慮して制作を行いましょう。

まずはきちんと国のルールに則って制作をすることが信頼獲得の大前提となります。

◉-2、「いつ」「誰に」「何を目的に」配るパンフレットなのかを明確にする

病院パンフレットに限ったことではありませんが、「いつ」「誰に」「何を目的に」配るパンフレットなのかを明確にする必要があります。

病院パンフレットには、前述のように主に「診療案内パンフレット」「病院案内パンフレット」「採用パンフレット」の3種類があります。

まず最初にどのパンフレットを作るのかをはっきりさせましょう。

なぜなら、どの種類のパンフレットを制作するのかによって「いつ」「誰に」「何を目的に」が変わってくるからです。

◉-3、安心感・信頼感を得られるデザインにする

病院パンフレットは、安心感や信頼感が得られるようなデザインにすることが基本です。

この点が企業のパンフレットと大きく異なる点です。

患者さま向けのパンフレットであれば、ターゲットは子供から高齢者まで幅広い年代の方が対象になるので、誰にでも分かりやすく親しみのあるイメージになるようにします。

パンフレットで使用するフォントは、高齢者でも読みやすいように大きめのものを選択しましょう。

同様に、写真や図表なども分かりやすさを基本に考えましょう。

また、病院内の清潔感のある写真を掲載したり、優しいイメージの色遣いになるように意識することも大切です。

病院と言っても、地域密着のクリニックから皮膚科・眼科・耳鼻咽喉科などのような専門病院、複数の診療科目を扱う総合病院、先端医療を取り扱う大学病院など様々な医療機関があります。

いずれも安心感や信頼感を与えるようなデザインにすることが重要ですが、それぞれの病院の特徴を表すような独自性のあるデザインを考慮することも必要です。

なお、デザインや色遣いに関して注意すべき点は、清潔感を出すために「クリーン」なイメージを持たせようとして、結果的に「クール」な冷たいイメージになってしまっている例があるということです。

無駄なものを省きすぎたり、寒色系の色合いを多く使った「クール」なパンフレットは、冷たいイメージを与えかねません。

温かみを感じさせるような「ハートフル」な暖色系の色使いが、病院パンフレットには相応しいと考えられます。

◉-4、情報を詰め込みすぎないようにする

病院目線でパンフレットを作ると「これも入れておいた方が良い」などと情報を詰め込み過ぎたり、専門用語を使ってしまったり、一般の患者さまやそのご家族には意味が分かりにくいものになってしまいがちです。

病院は子どもから高齢者まで幅広い年代の方が利用する場所ですから、「難しい漢字を利用しない」「漢字にフリガナを付ける」「読みやすい大きさの文字を使う」など利用者目線のパンフレットになるようにすることが大切です。

「診療案内パンフレット」や「病院案内パンフレット」のような患者さまやそのご家族向けのパンフレットにはターゲットが必要としている情報を厳選して掲載するようにしましょう。

一方で、「採用パンフレット」の場合は、対象者が医療関係者ということもあり、ある程度の専門性を訴求するような内容になります。

患者さまやそのご家族向けとは違い、専門的な情報は入れつつも、やはり情報は詰め込み過ぎないように心がけましょう。

いずれの場合も、第三者のプロの目線を入れて情報を整理して制作した方が、「患者さまやそのご家族にこの情報は必要だろうか?」という病院以外の視点で情報を精査できるという点でおすすめです。

◉-4-1、Webサイトなどへの導線を入れ込む

前述のように、パンフレットに掲載する情報は厳選して最小限にすべきですが、パンフレットで説明しきれなかった詳細な内容については、Webサイトなどで見てもらうようにするのがおすすめです。

具体的には、パンフレットにWebサイトのQRコードやURLなどを入れておくと、患者さまがスムーズにWebサイトで詳細な情報を見ることができます。

また、気軽に問い合わせや質問などができるLINE公式アカウントなどのURLをパンフレットに明記しておくなど、パンフレットを見た人が自らの意志で次の行動を起こしやすい導線を入れておくことも大切です。

ただし、医療広告ガイドラインにより「誘引性」のある表現などは規制されているので、「お問い合わせください」や「お気軽にご相談ください」など患者さまを誘い込むような文言は使わない方が無難です。

QRコードやURLを掲載して、患者さまが自らの意志で詳細な情報を取りにいく導線の設置は問題ないと考えられるため、掲載しておきましょう。

このように、Webサイトなどへの導線を入れ込んでおかないと「見て終わり」のパンフレットになってしまいます。

◉-5、作成後の配布やマーケティング活用も見据えた上で制作する

「パンフレットを作ってはみたものの、いま一つ成果や反響が感じられない」という方の多くは、「パンフレットを作る」ということを目的に作ってしまっている傾向があります。

制作後に「どこで」「誰に」「どれぐらいの量を」「どうやって配布するのか」などの活用方法をしっかりと見据えた上で制作していかないと、成果につながりにくくなってしまいます。

パンフレットの制作に取り掛かる前に、しっかりとターゲットに届けるにはどうすれば良いのか、というマーケティング視点も入れた活用方法を検討しておきましょう。

▶薬機法と広告・PRについてより詳しく知りたい方は、関連記事【薬機法(旧:薬事法)とは?違反せずに広告・PRする7つのポイントを分かりやすく解説】もあわせて参考にしてください。

◉病院のパンフレットを効果的に活用する方法

パンフレットは、ただ作るだけでは成果につながりません。

次のようにパンフレットをいかにターゲットの手元に届けて、見てもらうかという行動をしていかないと成果にはつながりません。

・PDF化してネット上でも見れるようにする
・配布するタイミングや場所を検討する
・デジタルマーケティングと組み合わせてターゲットに配布する

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

◉-1、PDF化してネット上でも見れるようにする

パンフレットは紙媒体の冊子ですが、Webサイトで閲覧したりダウンロードしたりできるようにPDF化してデジタルデータとしても利用できるようにしておきましょう。

スマホやPCで、症状や診療科目、地域などをキーワードにして検索をして病院を探す方も増えています。

「診療案内パンフレット」や「病院案内パンフレット」をPDF化して公式Webサイトに置いておくと、検索結果から病院の公式サイトを訪れた方が引き続き閲覧するなど、患者さまやご家族の目に触れるチャンスを増やすことができます。

◉-2、配布するタイミングや場所を検討する

パンフレットは、病院のロビーなどの机の上などにただ単に置いておくだけでは不十分です。

病院内であれば、受付カウンターや会計カウンターなどの患者さまが立ち止まる場所のよく見えるところに並べたり、看護師や医師のオペレーションの中にパンフレットの配布を組み込んだりするなど、配布タイミングや場所を十分に検討しましょう。

また、病院外でターゲットが多く訪れる施設をリサーチして、その場所に置いてもらったりすることも有効です。

たとえば、小児科などであれば、保育園や幼稚園、子どもを持つ親が集まるような施設に置けないかを検討したり、という様に、制作したパンフレットを1枚残らずターゲットの手元に届けるためにはどうすれば良いのかを事前によく検討して、配布する場所やタイミングを決めることが重要です。

◉-3、デジタルマーケティングと組み合わせてターゲットに配布する

WebサイトやSNS上に、パンフレットの内容の一部を切り取って投稿したり、WebサイトからPDFデータを容易にダウンロードや閲覧できるようにしたり、デジタルマーケティングと組み合わせる方法が有効です。

また、LINE公式アカウントのQRコードをパンフレットに入れて患者さまが気軽に相談や質問ができるようにするといった活用方法も有効と言えます。

実際に、コロナ禍の発熱外来で患者さまが増えたタイミングでLINE公式アカウントで医院からの情報発信を実施し、患者が再診に訪れる仕組みを作った事例もあります。

パンフレットの内容をWebサイトやWeb広告に二次活用するなども考えられるでしょう。

このように、デジタルマーケティングとの組み合わせによって、より多くのターゲットにパンフレットの内容を届けることができます。

◉【まとめ】活用方法や成果も見据えたパンフレット制作はプロに依頼しよう!

本記事では、信頼獲得と成果につながる病院パンフレット作りのポイントや効果的な活用方法について詳しく解説しました。

パンフレットを病院スタッフだけで制作しようとすると、患者さまやそのご家族にとっては分かりにくいものになってしまいがちです。

なぜなら、どうしても医療用語や専門用語が多くなったり、情報を詰め込み過ぎたり、病院側の伝えたいことを詰め込んだ一方的なパンフレットになってしまいがちだからです。

また、マーケティング視点などを入れての情報設計なども難しいと言えるでしょう。

成果を出すパンフレットを目指すのであれば、ターゲットに応じた利用者目線での制作はもちろんのこと、制作後の配布やマーケティング活用なども見据えて制作することが何より大切です。

フォーウェイでは、書籍やパンフレット制作だけにとどまらず、コンテンツをいかにターゲットに届け、成果につなげるかをサポートしております。

「採用候補者を増やしたい」「来院いただける患者さまの数を増やしたい」など、成果のでる病院パンフレット制作をお考えであれば、フォーウェイまでご相談ください。

パンフレット

世の中は情報に溢れ、企業が情報発信しても全く見られなかったり、読まれなかったり、反応がほとんどなかったりが当たり前の時代。

・HPを作って情報発信を行ってみたけれど、閲覧者がほとんどいない…
・SNSで情報発信をしているが反応がいまいち…
・色々な媒体で情報発信を行っているのに、成果につながらない…

そんな情報発信に関する悩みを抱え、どの情報発信ツールをどのように使えば良いのかが分からなくなっている経営者や広報・マーケティング担当者も多いのではないでしょうか。

この記事では、情報過多の時代にしっかりとターゲットに自社の情報を届けるために知っておくべき企業の情報発信に有効なツールや、それぞれの効果的な活用方法などを詳しく解説いたします。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 29d5ead1ee41a6d25524876e7bd315d5-scaled.jpg
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

◉企業の情報発信に有効なツール一覧

企業が情報発信するために有効なツールとしては、以下のようなものがあります。

◉-1、HP(ホームページ)

HPは企業が情報発信を行うための軸となる情報発信ツールの1つです。

HPでは、主にミッションやビジョン、行動指針といった経営方針や、会社の沿革、行っている事業や商品・サービスの紹介、所在地や代表者名のような会社概要など、企業の基本情報を発信します。

HPに掲載する内容を定期的に更新したり、ブログ機能をつけてお知らせをしたり、「スタッフブログ」や「コラム」で記事という形で情報発信をしたり、比較的自由に情報発信を行うことができるというのが特徴です。

また、HPは銀行口座の開設や融資の審査などの際にHPの情報が求められたり、企業の信頼性を図る一つの指標ともなっており、企業の情報発信の基幹となる必須ツールとも言えるでしょう。

しかし、HP上で発信した情報をターゲットに見てもらえるまでにはタイムラグが発生するため、時間の経過とともに変わるトレンド性や即効性の高い情報の発信には不向きです。

恒久性のある情報をきちんと保存していく情報発信媒体として活用するのが効果的と言えます。

なお、HPをただ単に作っただけでは見てもらえません。

URLをSNSなどでシェアしたり、SEO対策をして検索結果で上位表示させたり、ブログ投稿で入り口を増やしたりするなど、HP上で情報発信を行っていることを周知していく施策を合わせて行う必要があります。

◉-2、SNS

SNSは気軽に情報を発信してフォロワーとの間でコミュニケーションを取ることができるツールです。

リアルタイムで膨大な情報が流れており、拡散性が高い反面、情報の寿命が短いという特徴があります。

また、SNSといっても多くの種類があります。

それぞれ、情報発信の方法やユーザー層、特性が異なるので、企業が発信したい情報や、ターゲットに合わせてSNSを使い分けていくことが大切です。

SNS名国内月間アクティブユーザー数主なユーザー層情報発信の方法特性
LINE9,600万人(2023年9月時点)全世代(中でも50代が多め)・LINEメッセージ自社サービスと連携してメルマガや1to1施策で活用できるSNS
YouTube7,120万人(2023年5月時点)全世代・ショート動画・動画世界最大の動画SNS。インフルエンサーマーケティングに活用される
X(旧Twitter)6,658万人(2024年1月時点)20代〜30代が過半数・140文字以内の投稿・長文の投稿・画像 / 動画リアルタイム性のある情報が投稿され、情報拡散しやすい、一方で炎上しやすいSNS
Instagram6,600万人(2023年12月時点)20代〜30代で半数を占める・画像・リール動画・ストーリー雑誌感覚で食や美容、メイク、ファッションなどビジュアルの情報発信と相性が良いSNS
Facebook2,600万人(2019年3月時点。それ依頼発表なし)30代〜50代が多い・文章 / 画像 / 動画による投稿実名登録がマストなため、安心感があり、ビジネスシーンでの活用が多いSNS
TikTok2,800万人(2024年2月時点)10代〜20代で半数を占める・ショート動画エンタメ系の投稿と相性が良く、企業の採用などによく使われるSNS

▶︎SNS運用については、関連記事【SNS運用のやり方をとことん解説|フォロワーを集めてビジネスに繋げる成功法則とは?】もあわせて参考にしてください。

◉-2-1、X(旧Twitter)

X(旧Twitter)は140文字の短文でコミュニケーションをするSNSです。

国内の月間アクティブユーザーは約6,658万人(2023年5月時点)で、若年層のユーザーが多い傾向にあります。

X上では、リアルタイム性の高い情報が日々飛び交っており、情報拡散がしやすいのが特徴。

興味を引く投稿はリポストなどによって拡散されて爆発的な集客を得ることもできます。

フォロワーからの反応も早いため、たとえば、次のようなトレンド性や即効性の高い情報の発信に向いています。

・新商品やサービスのティーザー(「あと数日で販売開始」など)
・期間限定のキャンペーン告知
・システム障害などの緊急情報
・時事性の高い情報

こういった特徴から東北大震災など災害の際の現地情報収集元として活用されたり、選挙活動など政治などにも活用されています。

一方で、投稿した情報がすぐに古くなってしまうため、あまり変化のない情報発信には向いていません。

むしろ、HPやWebメディアで発信した恒久的な情報を広く拡散するためにXを活用したりします。

◉-2-2、Instagram

Instagramは画像や動画の投稿がメインのSNSです。

国内の月間アクティブユーザーは約6,600万人(2023年12月時点)で、メインユーザーは20代~40代です。

総務省の「令和5年 情報通信に関する現状報告の概要」によれば、特に20代の利用者が最も多く、約78.6%の人が利用。

次いで10代(約72.3%)、30代(約57.1%)と利用者が多くなっています。

また、性別で言えば女性ユーザーの利用が約59%と多くなっています。

2017年に「インスタ映え」という言葉が流行語大賞を受賞したように、食や美容、メイク、衣類、アクセサリー・雑貨などの見た目のビジュアルが重要な情報発信と相性が良いのが特徴です。

近年、ビジネスアカウントの登場や、ストーリーズ、リール動画などさまざまな機能が追加された上、投稿から商品ページに直接遷移するショップ機能がついたため、自社で販売する商品やサービスの情報発信やブランディングなどに活用する企業も増えてきています。

一方で、ビジュアルで訴求が難しい情報との相性が悪いため、文章での情報発信や訴求には向いていません。

◉-2-3、Facebook

FacebookはMeta社が運営する全世界の利用者数が30億人を超える世界最大のSNSで、他のSNSとは違い、実名利用が必須なので炎上しにくく、ビジネスユーザーの利用が多いのが特徴。

国内の月間アクティブユーザーは約2,600万人(2019年3月時点、それ以降発表なし)で、30代~50代のユーザーが多い傾向があります。

実名登録が必須という制度上、企業の代表や営業マンなどが情報を投稿したり、DMで営業メールを送ったり、人主体での発信がメインになってしまうため、企業主体の発信には利用されない傾向があります。

企業による情報発信の場合、プラットフォーム内に年齢や性別、居住地、趣味・嗜好、行動傾向など膨大なデータが蓄積されており、精度の高いターゲティングができるということから、広告などが主に活用されます。

◉-2-4、TikTok

TikTokは中国発のショート動画SNSです。

15〜60 秒の短尺動画の投稿がメインです。

国内の月間アクティブユーザーは約2,800万人(2024年2月時点)で、総務省の「令和5年 情報通信に関する現状報告の概要」によれば、10代の利用率が約62.4%、20代の利用率が46.5%と多いことから、若年層向けの情報発信におすすめのSNSです。

X(旧Twitter)と同様にトレンド性の高い情報との相性がよく、拡散性も高いのが特徴。

1つの動画が一気に数千、数万、数十万回再生されるなど、話題になると一気に情報が拡散していきます。

若年層のユーザーが多いことや、エンタメ性のある投稿が多いことから、企業の採用活動などに活用されることが多くなっています。

◉-2-5、YouTube

YouTubeは世界最大の動画共有サイトで、国内のアクティブユーザーは約7,120万人(2023年5月時点)です。

ショート動画と長尺の動画が投稿でき、自社の商品やサービスに関連する有益な情報を分かりやすく紹介したり、YouTuberなどとコラボしたインフルエンサーマーケティングなどに活用されます。

Google社が運営しているため、Googleの動画検索などに表示ができ、SEO効果が期待できるのも特徴です。

YouTube内でも検索需要があり、動画の概要欄などを最適化してYouTubeの検索結果で上位表示を目指すことでより閲覧されるように工夫することも可能です。

▶︎Youtube動画については、関連記事【YouTube動画の作り方をカンタン解説!初心者でも再生回数を稼ぐテクニック】もあわせて参考にしてください。

◉-2-6、note

noteは文章や写真・イラスト・音楽・映像などの作品を配信できるブログ形式のサイトで、月間アクティブユーザー(ブラウザ数)は約5,145万人(2023年11月現在)です。

クリエイターやビジネスパーソンなどにブログとして、自社のノウハウや商品・サービスの開発背景などの情報発信に利用されています。

最大の特徴は、記事コンテンツの有料販売ができる点です。

情報発信自体を収益化することができます。

◉-2-7、LINE

LINEはLINEヤフー株式会社が運営するメッセージ型のSNSです。

国内の月間アクティブユーザー数は約9,700万人で、SNSというよりはメッセージアプリという印象が強いかもしれません。

企業アカウントを作成することで、友だち登録してくれたユーザーに向けてメッセージやクーポン・キャンペーン情報を送ることができたり、メルマガのような感覚で情報発信ができるのが特徴。

LINEから直接HPやECサイト、予約ページに遷移させたり、さまざまな機能が備わっていたり、個別にメッセージを送れたり、メルマガシステムなどに比べて気軽にユーザーと密にやりとりできる情報発信ツールとして多くの企業に活用されています。

◉-3、メルマガ

メルマガは登録した顧客やステークホルダーに、自社の製品やサービス、イベント、キャンペーンなどの情報を定期的に発信するツールです。

近年ではMA(マーケティング・オートメーション)ツールと連携して顧客の行動やステータスなどによってメールを出し分けたり、OnetoOne施策に欠かせないものとなっています。

また、見込み客獲得や顧客教育や、引き上げ(アップセル)になくてはならないツールと言えるでしょう。

送られたメールは新しく届くメールにどんどん流されていくため、新商品・サービスの販売、セミナー開催などの告知情報など、即効性やトレンド性の高い情報発信に適しています。

◉-4、オウンドメディア

オウンドメディアは企業が所有する情報発信メディアの総称です。

たとえば、自社のHPで更新しているコラムや、HPのサブドメインや別ドメインで運営するジャンルの情報発信に特化したWebメディアなどがオウンドメディアに該当します。

アメブロやはてなブログなどのブログサービス、noteなどのSNSなどと比べて、自社の意思によって自由に情報発信やコンテンツの保存ができ、第三者に削除されないという特徴があります。

一方で、記事を更新したからと言ってすぐに見られることはありません。

あるキーワードでの検索順位が上がったり、更新した記事をメルマガやSNSなどで告知することで見てもらえるようになってきます。

そのため、即効性やトレンド性の高い情報発信には向いていません。

知っておくと便利なお役立ち情報や知識、悩みの解決方法など長期間変わらないような情報発信に適しています。

▶︎SEO対策については、関連記事【SEO対策とは? 効果的な戦略の組み立て方と対策方法】もあわせて参考にしてください。

◉-5、ブログ

ブログはもともと個人の意見や情報を公開するプラットフォームでしたが、現在では企業の情報発信や集客ツールとしての利用が多くなっています。

「アメブロ」「はてなブログ」などのブログサービスを利用したり、自社HP内にブログ機能を設置して情報発信を行うのが一般的なやり方です。

自社HPに設置したブログを更新した場合は、オウンドメディアと同様にすぐに見られることはありませんが、ブログサービスを利用した場合には、「新規更新欄」などに掲載されるためSNSのnoteと同様に比較的早く見てもらうことができます。

そのため自社スタッフの日記など、リアルタイムの情報発信であればブログサービスの方が適しています。

検索経由でしっかりと発信したい情報などであれば自社HPに設置したブログを利用する方が良いと言えるでしょう。

◉-6、プレスリリース(PR)

プレスリリースは企業からメディアに向けた公式な情報発信手段です。

新商品や新サービスの発表や業績報告・業務提携・キャンペーンの案内などをメディアに対して行い、Webメディアや雑誌、新聞、TVなどで取り上げてもらうことが目的です。

ターゲット層が多く閲覧している各メディアに取り上げられることで認知獲得につながる可能性があります。

メディア側は常に新しい情報の種を探しているので、時代性やトレンド、今までになかったような切り口での情報発信を心がけることで、取り上げられやすくなります。

◉-7、Googleビジネスプロフィール

GoogleビジネスプロフィールはGoogleマップ上でビジネス情報を発信できる無料のサービスです。

たとえばGoogleマップ上で「駅名 居酒屋」と検索すると、多くの居酒屋の情報が出てきます。

表示できる情報は所在地・営業時間・電話番号・最新情報などがあり、最新情報を活用すると新商品・キャンペーン情報をタイムリーに発信することが可能です。

Googleマップ上に表示される情報であるため、店舗のあるビジネスとの相性が良いのが特徴。

店舗系ビジネスではぜひ活用しておくべき情報発信ツールと言えるでしょう。

◉-8、DM

DMは企業がターゲット層に郵送や電子メールを送付するという情報発信方法です。

具体的にはターゲット層の企業のリスト1つひとつにDMを郵送したり、企業のメールアドレスに直接広告メールを送付したりします。

郵送DMはコストはかかるものの、実体のあるものが届きますので比較的レスポンス率が高く、顧客の認知や関心を高めることが可能です。

利用できるクーポンなど次のアクションにつなげやすいオファーをつけておくのがポイントです。

メールについては基本的に無視されますが、郵送DMほど手間をかけずに多くのリスト向けに送付できるというメリットがあります。

郵送DMは確度の高いターゲット層向けや、高単価商品・サービスの場合、メールについてはBtoB向けの商品・サービスの場合、などうまく使い分けをしていくことが重要です。

◉-9、チラシ

チラシは1枚の紙の両面または片面に情報を印刷したものです。

商品やイベントなどの案内・告知を目的として大量に配布するために利用されます。

代表的な配布方法は、新聞折込チラシ・ポスティング・街頭ビラ配りなどです。

実態のあるものがターゲットに届くため、WebやSNSなどに比べて見てもらいやすいのがメリットと言えます。

地域密着型のビジネス(水道修理、士業、マッサージ店、美容院、不動産など)におすすめの情報発信方法です。

しかし制作に手間とコストがかかるので、ターゲット層の多いエリアをしっかりとセグメントをした上で配布していくのがポイントです。

◉-10、パンフレット

パンフレットは複数枚の紙を折り曲げて重ねて冊子にした印刷物です。

会社案内や製品・サービスの詳細な紹介など、情報量の多い用途に利用されます。

WebやSNS、また1枚もののチラシやDMとは違い、何度も作り直したりすることは難しいため、中長期で変わらないような情報の発信に向いています。

一方で、「パンフレットをきちんと作れるようなしっかりとしたところなんだ」という紙媒体ならではの信頼性のアピールにもつながるのが特徴です。

また、パンフレットはWebやSNSとは違い、机に並べて比較検討しやすいということもあり、大学や学習塾、老人ホーム・介護施設、建設会社など、商品やサービス、取引先選びの際に比較検討をするような業界の情報発信ツールとしてもおすすめです。

▶︎パンフレットのマーケティング活用については、関連記事【商品やサービスが売れるパンフレットを作るポイントと有効活用方法】もあわせて参考にしてください。

◉-10-1、パンフレットによる企業の情報発信成功事例

ある投資スクールでは、投資に興味があるものの何から取りかかれば良いのか分からないという人に向けて「入校を後押しする」パンフレットを制作。

パンフレットの中で、投資スクールのサービス内容や講師陣、受講料などの説明のほかに、実際に投資スクールを受講して利益を得た人のインタビューを掲載したり、メディア実績を掲載したりして、信頼性が得られるような工夫を行いました。

その結果、パンフレットを読んで「自分でもできるかもしれない」という気持ちになった多くの方から問い合わせが増え新規入校者の増加につながっています。

◉-11、名刺

名刺は名前や会社名・所属・住所などのプロフィールを記載した情報発信ツールです。

ビジネス上の初対面の相手に自分のプロフィール情報を伝えるのに適していますが、話のきっかけづくりや、後で見返した時に相手が興味を持つような工夫をするのがおすすめです。

掲載できる情報は少ないですが、うまく興味を惹くことができれば新規顧客の獲得にもつながる可能性があります。

◉-12、書籍

書籍は自社や自社の商品・サービスのことをより詳しく知ってもらいたい場合に有効な情報発信ツールです。

書籍の最大の特徴は社会的信頼性が高いことで、出版をきっかけに各種メディアに取り上げられたり、著者がセミナー講師に招かれたりすることもあります。

また、WebやSNSとは違い「読まれる媒体である」ということが大きな特徴です。

一般的な書籍の場合、7万字~10万字もの情報を盛り込むことができます。

そのため、商品やサービスの情報だけでなく企業の歴史・創業者の想い・理念・開発秘話などをストーリー性を持ってまとめて伝えることが可能です。

ただし、出版しただけで読まれる訳ではないですし、注目される訳でもないので、その点には注意しましょう。

出版後の書店配本はもちろんのこと、SNSやクラウドファンディング、SEOなどあらゆるデジタルマーケティングを駆使して、ターゲットの手元に届けることができてはじめて効果を発揮します。

信頼性の高さから、不動産投資や保険、コンサル、住宅など、契約までのリードタイムが長い業界、富裕層向けビジネス、広告規制が厳しい健康食品やサプリなどの情報発信に向きます。

また、競合が多すぎて差別化が難しいような業界や、あらゆるWebマーケティングなどをやり尽くした後のさらなる会社の発展、認知度拡大のための情報発信ツールとしても有効です。

▶︎ブックマーケティングについては、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。

◉-12-1、書籍による企業の情報発信成功事例

ある保険代理店の経営者は、保険業界の実態と保険業界に定着している「成果報酬型」の給与体系を「一律報酬型」に変えることによって業績向上が目指せるという持論を世に問うために書籍を出版。

その結果顧客や同業者からの見られ方が大きく変わって、大型契約などの成約に成功したり、講演会の講師に招かれたりするようになりました。

書籍の出版によって自社の信頼性が高まって、商談の際に顧客企業の経営にまで踏み込んだ相談を受けるケースも出てきています。

本来の出版目的であった、同業の保険代理店からのコンサル依頼がまず数件。そして驚いたのは、保険会社から講演の依頼が来たり同業支援の話が回ってきたりと、「保険会社にとって頼れる代理店」というありがたいイメージを持ってもらえるようになったことです。保険代理店はコンビニより数が多いうえ、扱う商品で差別化ができません。保険会社側から一目置いてもらえる代理店になることの価値はとても大きいんです。
引用元:【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店

◉-13、ニュースレター

ニュースレターは、主に企業のファンづくりのためのコミュニケーションツールとして定期的にメールや郵送で配信されるものです。

ターゲットは顧客だけではなく、株主や従業員・メディア関係者などのさまざまなステークホルダーです。

DMが広告宣伝を主目的としているのに対して、ニュースレターは企業に対して親しみを持ってもらうことに重きを置いていることが特徴です。

そのため、商品やサービスの情報というよりはむしろ関連するお役立ち情報や、企業の社長、社員、スタッフなどのインタビュー、などの情報発信に向いています。

Web上のブログなどと比べて読まれやすく、印象に残りやすいのがメリットと言えるでしょう。

◉-14、Web広告

Web広告はインターネット上のメディアに掲載される広告の総称で、検索時に表示される広告やSNSで表示される広告などです。

Web広告と言っても広告の出し方や出す媒体によって、次のように多くの種類があります。

・リスティング広告
・ディスプレイ広告
・アフィリエイト広告
・記事広告
・動画広告
・メール広告
・SNS広告

そのため、年齢や性別などの属性によってターゲティングをして、特定のターゲットに向けて効率的に広告を配信することができるという特徴があります。

また、Web広告の閲覧数やクリック数などを集計してほぼリアルタイムに広告効果を分析でき、分析結果を見ながら訴求内容やターゲットの変更が行えるのも特徴の1つです。

コラムのような読み物系ではなく、商品やサービスの宣伝に向く情報発信ツールです。

◉-15、TVCM

テレビ番組の途中や番組の間に放送されるCMを活用する方法です。

企業が自社の商品やサービスの宣伝をするために、テレビ局のCM枠を購入して広告を配信します。

TVCMは年代や性別を問わず幅広い視聴者へ効率的に情報発信を行えるマス広告の一つで、即効性があり商品やサービスの認知や購買意欲を促進するというメリットがあります。

大きく認知を広げていきたい時におすすめの情報発信方法と言えるでしょう。

地方ローカル局や、TverなどのネットTVなど比較的安価で活用できるTVCMも増えてきていますが、キー局などは数千万円〜数億円など多額の費用がかかるので、なかなか情報発信方法としてはハードルが高い方法と言えます。

また、番組を見ている視聴者層や、曜日、時間帯などのターゲットは可能ですが、Web広告のように細かなターゲティングができず、広告効果の測定が難しいというデメリットもあります。

◉-16、デジタルサイネージ

デジタルサイネージは駅や店舗・施設・オフィスなどに、ディスプレイやプロジェクターを設置して情報を発信するシステムです。

従来ポスターや看板で情報発信していたものが、デジタルサイネージに置き換わってきています。

最初にデジタルサイネージが使われたのは駅構内でしたが、最近では各種店舗や病院・宿泊施設・銀行・学校などあらゆるところに設置されています。

◉情報過多の中、企業が情報発信ツールを効果的に活用するポイント

これまでに紹介してきたように多くの情報発信ツールがありますが、これらを何の意図もなく使っているだけでは効果的な情報発信はできません。

次の3つのポイントを押さえた上で、明確な意図と戦略をもって情報発信ツールを使い分けることが企業の情報発信のコツです。

◉-1、情報発信の目的を明確にする

情報発信をする際は「誰に何を伝えて」「どうしたいのか」という目的を明確にする必要があります。

なぜなら目的に応じた最適な情報発信ツールを選定しなければならないからです。

たとえば数日限定キャンペーンの応募者を増やす目的で、即効性やトレンド性の薄いHPを選択しても期待する効果は得られないでしょう。

情報発信の目的が「集客や問い合わせ数や売上数の向上」なのか、「認知度を拡大していきたい」のか、「世の中に周知したい」のかなどを明確にすることが大切です。

◉-2、情報発信ツールの得意・不得意を把握する

情報発信ツールには得意・不得意があるので、これをきちんと把握しておく必要があります。

たとえばX(旧Twitter)は拡散性が大きいため話題性やトレンド性のある情報発信は得意ですが、しっかりと文章を読みこんでもらいたい長文の情報発信は不得意です。

Instagramは画像や動画で視覚的に訴求するような情報発信は得意ですが、文章での情報発信は不得意です。

このように、「自社の発信したい情報をうまく訴求できる媒体は何か?」をしっかりと考えた上で情報発信ツールを選定していく必要があります。

◉-3、デジタルとアナログをうまく組み合わせる

企業の情報発信では、デジタルとアナログをうまく組み合わせることが効果的です。

たとえば、リコーが行なった「DM実証実験結果」によれば、顧客をWebサイトに誘導する手段としてeメール(メルマガ)を使っていましたが、開封率は13.8%、Webサイト遷移率は1.5%と低い成果しか出ていなかったそうです。

そこでeメール送付後に紙のDMを送る検証実験を行ったところ、Eeメールの開封率が5.5倍の75.8%に、Webサイト遷移率が3.4倍の4.4%に大幅に向上。

つまりデジタルだけでは弱かった訴求が、アナログの強みをうまく組み合わせることによって大きな相乗効果が得られることが確認できたのです。

このように、デジタルの時代だからデジタルだけを活用するのではなく、アナログの特性も活かしていくことでより効果的な情報発信が可能になります。

◉-3-1、デジタルとアナログをうまく組み合わせた成功事例

ある不動産投資会社の経営者は、医師をターゲットとして「高収入な医師に最も効果的な節税対策は不動産投資である」という書籍を出版。

企画段階からSNSやクラウドファンディングなどのデジタルのプロモーションを検討し、出版タイミングに合わせて実施しました。

その結果、狙い通りに多くの医師に書籍を購入してもらうことができ、書籍を購入した医師から成約を獲得して売上を倍増させることに成功。

また、既存顧客からの口コミなどによって評判が広がり、新規顧客の獲得にもつながっています。

書籍というアナログな情報発信ツールとSNSやクラウドファンディングなど、デジタルな情報発信ツールを組み合わせ成果につながった好例と言えます。

◉【まとめ】情報発信ツールを効果的に活用しよう!

本記事では企業の情報発信に有効なツールの特徴や企業が効果的に活用するためのポイントについて解説しました。

情報発信ツールには多くの種類がありますので、目的を明確にしたうえで適切なツールを選ぶことが大切です。

また、デジタル全盛の現代だからこそ、デジタルとアナログをうまく組み合わせることが効果的です。

デジタルマーケティングと書籍やパンフレット、チラシなどアナログマーケティングとの組み合わせをお考えなら、まずはフォーウェイにご相談ください。

お悩みや課題に合わせて最適なご提案をさせていただきます。


ブックマーケティング
パンフレット

費用をかけてパンフレットを作ったは良いものの、「商品やサービスの売上が上がらず効果が実感できていない」という方は多いのではないでしょうか。

パンフレットの中で、ただ単に商品やサービスだけの紹介をしても、売上向上にはつながりにくいのが実情です。

パンフレットを活用して商品やサービスの売上を上げていくためには、マーケティングや営業活動へ活用していくことをしっかりと見据えた企画や制作・活用が重要になります。

この記事では、どんなパンフレットを作れば商品やサービスが売れるのか、企画や制作のコツや有効活用方法について詳しく解説いたします。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 29d5ead1ee41a6d25524876e7bd315d5-scaled.jpg
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

◉パンフレットは商品やサービスを知ってもらう効果的な営業ツール

パンフレットを、ただ単に商品やサービスを紹介するだけのツールにしておくのは大きな広告機会の損失です。

なぜなら、パンフレットはWeb広告やSNSなどとは違って、ターゲットに直接手渡すことができ、見て、読んでもらえる媒体だからです。

効果的な営業・マーケティングツールになり得る媒体なのです。

せっかく費用をかけて作るのであれば、自社の商品やサービスの売上向上につながるように、また営業やマーケティングの販売促進ツールとしても活用できるように企画して制作するべきです。

◉成果の出るパンフレットを作る7つのポイント

パンフレットで商品やサービスの売上向上などの成果を出すためには、次の7つのポイントを意識して制作することが大切です。

・パンフレットの配布先や活用方法を見据えて作る
・訴求したい商品・サービスのコンセプトを作り込む
・分かりやすくキャッチーな訴求
・第三者評価を入れる
・アンケート結果など客観的な視点を入れる
・視覚的に訴えかけるコンテンツ
・マーケティング視点で作る

それぞれどのようなポイントなのか、具体的に見ていきましょう。

◉-1、パンフレットの配布先や活用方法を見据えて作る

パンフレットは「商品やサービスを紹介するもの」という視点で作られることが多く、配布先や活用方法までを明確に見据えて作られることはあまりありません。

そのため、商品やサービスの一方的な情報発信になってしまいやすいのです。

商品やサービスの売上向上を目指すためには、まずはパンフレットを「どんなターゲットに」「どのようにして配布するのか」をしっかりと明文化して社内で共有しておくことが大切です。

◉-2、訴求したい商品・サービスのコンセプトを作り込む

一冊のパンフレットに掲載できる情報量には限りがあるため、「どんなターゲットに」「どの商品やサービスの強み」を訴求し、「ターゲットが商品やサービスを使用することによってどう変わるのか」を端的に伝える必要があります。

そのためには、「ターゲット」「商品・サービスの強み」「商品やサービスを手にした後の未来像」を明文化しておかなければなりません。

◉-2-1、ターゲット

まず、パンフレットを「どんなターゲット」に配布するのかを明確にしましょう。

ターゲットが明確になれば、それに応じてパンフレットに掲載する「内容」や「デザイン」が決まってきます。

たとえば、ターゲットが若年層である場合は、親近感の湧く色調やデザインにする必要がありますし、高齢層である場合は、文字を大きくして読みやすくするなどの配慮が必要となります。

◉-2-2、商品やサービスの強み

パンフレットに掲載すべき主要な内容は、売上につなげたい「商品やサービスの強み」です。

そこで、改めて自社の「商品やサービスの強みとは何か」を整理して明確にする必要があります。

強みを把握するためには、3C分析やSWOT分析などのフレームワークを用いるのが一般的です。

同業他社と差別化できるような自社の「商品やサービスの強み」が何なのかを明確にして、目的に沿ったアピールができるような形でパンフレットに掲載していきます。

◉-2-3、商品やサービスを手にした後の未来像

ターゲットが、商品やサービスを手にして使用した後どのようなメリットを享受できるのか、どのような変化があるのかを明確にしましょう。

たとえば、家庭用WiFiルーターという機器がありますが、従来家庭内でWiFiが使えなかった時には、パソコンやテレビ、ゲーム機などをすべて有線でインターネットに接続なければならず、LANケーブルがごちゃごちゃする上にLANケーブルが届く範囲でしか使えませんでした。

しかし、家庭用WiFiルーターを使用すると、ケーブルレスで接続できたり、スマホなどのデータ通信料を節約できたりするようになるので、利便性が大きく向上することが分かり普及につながりました。

このように、商品やサービスを使用する前後でどのような変化が得られるのかがパンフレットに明確に示されていれば、それにメリットを感じると購入に踏み切ってくれます。

◉-3、分かりやすくキャッチーな訴求

パンフレットは、Web広告やSNSなどと比べると、実際に手に取って、見て、読んでもらえる紙媒体ですが、パッと見て、サッと読んで頭に入ってくるようなものでないとなかなか読み進めてもらえません。

理解に時間がかかるような専門用語のキャッチコピーや文章ではなく、ターゲットが普段から使っている言葉や言い回しなどをうまく活用したキャッチーで印象に残るものでなければなりません。

最初の数秒でサッと頭に入り、理解ができるようなキャッチーな訴求を心がけましょう。

◉-4、第三者評価を入れる

パンフレットは、企業による商品やサービスの一方的な情報発信にならないように気を付ける必要があります。

たとえば、ターゲット層へのインタビュー内容や利用者の事例などは第三者的な評価や情報として受け取られます。

第三者評価を入れることで客観性を加えることができるのです。

◉-5、アンケート結果など客観的な視点を入れる

パンフレットには、アンケート結果などの客観的な視点を取り入れることも大切です。

たとえば、自社で行ったアンケート結果、政府や自治体などの公的機関の統計情報などを盛り込むと、ターゲットに「客観的に見てパンフレットに記載されていることは正しい」という認識が生まれます。

これは、日本人は「他の人はどう思うのか?」「多くの人がどういう判断をしたのか?」など他人の判断に重きを置く傾向があるからです。

◉-6、視覚的に訴えかけるコンテンツ

パンフレットには、視覚的に訴えかけるコンテンツを入れて読む気にさせることが大切です。

文章だけだと、読む気にならないという人が増えてしまいます。

読む気にさせるためには、商品やサービスを解説する図表や画像、ターゲットがピンとくるような写真などを掲載して、視覚的に訴求するようなパンフレットにする必要があります。

◉-7、マーケティング視点で作る

パンフレットを自分や社内で作ろうとすると、知らず知らずのうちに自身や自社の主観が入ってしまいます。

「パンフレットという冊子があれば良い」というのであればそれでも構いませんが、「パンフレットで何らかの効果を出したい」と考えているのであれば、マーケティングのプロの視点で作ることをおすすめします。

◉パンフレットをただ作るだけではダメ!有効に活用しよう!

パンフレットを作ってただ闇雲に配るだけでは、売上向上などの効果は期待できません。

パンフレットの企画段階で見据えた営業やマーケティング施策などによって、しっかりとターゲットの手元に的確に届けて初めて売上向上につながるのです。

具体的には次の6つの活用方法によって、パンフレットをターゲットの手元にしっかりと届けるようにしましょう。

・PDF化してWeb上でも配布
・パンフレットの内容の一部をWebマーケティングや営業に活用
・営業ツールとしての活用
・取引先や提携先、パートナーなどに郵送
・MAと連携してリスト取得に活用
・ターゲットリストに順次送付

具体的にどのような方法なのかを詳しく解説していきます。

◉-1、PDF化してWeb上でも配布

紙媒体で作るだけではなく、作った紙媒体をPDF化してWeb上で配布していくこともできます。

問い合わせフォーム営業などであれば、対象企業にパンフレットのURLを送付したりすることも可能です。

現物の配布だけではなく、Web上での配布もしっかりと行うことが重要です。

◉-2、パンフレットの内容の一部をWebマーケティングに活用

パンフレットの内容の一部をWeb上のコンテンツとして掲載して、Webマーケティングに有効活用していく方法もあります。

たとえば、パンフレットの内容を一部抜粋してSNSに投稿したり、一部をスクリーンショットしてSEO記事などに活用したりすることが考えられます。

◉-3、営業ツールとしての活用

パンフレットを営業ツールの一つとして営業マンに活用してもらうこともできます。

営業マンにとっては、説明がしやすくなったり、商談後もお客様の手元に自社の商品やサービスの情報がある状態を作ることができるというメリットがあります。

パンフレットに「無料相談チケット」「割引チケット」などのオファーを付けておくと、後日顧客から何らかのアクションも期待できるのでおすすめです。

◉-4、取引先や提携先、パートナーなどに送付

パンフレットは、ただ自社で活用するだけではなく、取引先や提携先、パートナーなどにも積極的に送付しましょう。

取引先や提携先、パートナーなどが「知り合いにこんな会社ありますよ。よかったらおつなぎしましょうか」というように活用してくれて、紹介につながることがあります。

既存の取引先や提携先、パートナーなどの中で紹介が見込めるようなところに送付しておくと良いでしょう。

◉-5、MAと連携してリスト取得に活用

マーケティング活動を自動化するツールであるMA(マーケティングオートメーション)と連携して、新規の顧客リスト取得や顧客育成(ナーチャリング)などを実施していくような仕組みを構築することもできます。

たとえば、顧客がメールアドレスを登録すると、自動的にパンフレットのダウンロードURLが送られるような仕組みを作ることも可能です。

◉-6、ターゲットリストに順次送付

見込み度合いの高いターゲットリストに直接パンフレットを送付するのも有効な活用方法の1つです。

パンフレットを送付するためのコストがかかりますが、ターゲットリストの見込み度合いが高ければ高いほど、問い合わせや商談、成約につながる可能性が高くなります。

送付する際には手書きの手紙を付けたり、何らかのオファーを付けるとより効果的です。

◉パンフレットで成果が出た事例

ここでは、パンフレットを制作することによって何らかの成果が得られた事例をいくつかご紹介します。

◉-1、事例1:新規顧客の獲得につながっている

高収入の医師をターゲットとして不動産投資サービスを行っている不動産会社では、すでにブックマーケティングにより書籍を出版して成約率向上などの大きな効果を上げていました。

しかし、書籍は読んでいないものの不動産投資サービスには関心があるという検討段階の見込み顧客に提供するようなツールがないため、興味を喚起して問い合わせや成約につなげるためのツールとしてパンフレットを制作。

パンフレットは既に出版している書籍のダイジェスト版として、「実際にどれぐらい節税できるのか」「なぜ不動産投資で節税できるのか」「投資物件を見極めるポイントは何か」などがパッと見て分かるようにビジュアル面での工夫を施しました。

また、実際に投資用不動産を購入した顧客のインタビュー内容を掲載して信頼性を上げる工夫も実施。

パンフレットの配布方法は、自社のHPからのダウンロードという形を取っていますが、HP来訪者のほとんどがダウンロードしてくれることが分かっており、さらにその中から問い合わせなどのアクションを起こしてくれる顧客も多く、新規顧客の獲得に貢献につながっています。

◉-2、事例2:有能な人材採用につながった

東京都で建築設計会社を営む企業では、採用希望者の獲得が期待できる専門学校などに求人票と一緒に配布することを想定して、採用パンフレットを制作。

「他社と比べて目を引くようなインパクトのあるデザイン」「建築設計事務所ということがすぐに分かるデザイン」「学生向けに親しみやすい明るいデザイン」にしたいという要望を元にパンフレットの構成、デザイン、内容を作り混んでいきました。

結果として、若い有能な人材の採用につながったということです。

◉-3、事例3:新規入校者の増加につながった

投資スクールを運営している会社では、入校者の増加を図るためのツールとしてパンフレットを制作しました。

ターゲットは、投資に興味がありながらもノウハウや知識を得るために何をしたら良いかわからないという人です。

ターゲットがパンフレットを読むことによって「入校を決意してくれる」ようなパンフレットにすることを目的に構成や内容を作り込みました。

安心感や信頼感を持ってもらえるように、投資スクールを受講して利益を得た方のインタビュー内容を掲載したり、メディアで取り上げられた実績を掲載したりした上、投資スクールのサービス内容や講師陣、受講料などについても詳しく紹介。

受講料割引キャンペーンを実施中であるというオファーも掲載しました。

完成したパンフレットを配布したところ、パンフレットを読んで「自分にもできるかもしれない」という気持ちになった多くの方からの問い合わせが増え、新規入校者の増加という目に見える効果が得られました。

◉【まとめ】どうせなら商品・サービスが売れるパンフレットを作ろう!

本記事では、成果の出るパンフレットを作るポイントを実際の制作事例とともに詳しく解説しました。

デジタルによるWeb広告やSNSなどが主流となっている現代ですが、アナログなツールの一つであるパンフレットには、ターゲットに手渡しができて、直接読んでもらえるという強みがあります。

さらに、商品やサービスの強み、それを使うことによるターゲットの変化やメリットなどが適切に記載されていれば、パンフレットを読んだターゲットから売上につながるアクションが来ることも期待できます。

せっかく費用をかけて制作するパンフレットだからこそ、商品やサービスが売れるようなパンフレットを作りましょう。

成果の出るパンフレットの制作をお考えであれば、コンテンツマーケティングの専門家であるフォーウェイまでご相談ください。

パンフレット