ビジネス書出版で成功したい経営者必読!信頼性を高め読者を集客する方法とは

企業経営者であれば、自社のブランディング戦略の一環としてビジネス書の出版を選択肢に入れている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ビジネス書の出版は、その企業にさまざまな効果をもたらしてくれます。

本記事では、ビジネス書の出版方法やメリット・デメリット、具体的な成功事例などについてくわしく解説します。

目次【本記事の内容】

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

ビジネス書の出版についての基本知識

最初に、ビジネス書を出版するに際して知っておくべき基本知識について説明します。

ビジネス書とは

ビジネス書とは、ビジネスに役立つ知識やノウハウ、経営・経済・自己啓発などをテーマにして書かれた書籍のことをいいます。

たとえば、経営に関するビジネス書には、経営の考え方やノウハウ、事例などが、マーケティングに関するビジネス書であれば、マーケティング理論や手法、事例などが紹介されています。

ビジネス書を購入する読者の多くは企業経営者や会社員などです。

自分自身のビジネスや仕事に活かせる知識やノウハウ、気付きなどを得ることを目的として購入されます。

また、ビジネスで成功した人の考え方や価値観、生き方、人生などを知ることによって、自分自身のスキルや教養の向上に役立てたいという目的で購入されることもあります。

ビジネス書のジャンルやテーマ

ビジネス書はいろいろなジャンルに分けることができ、大別すると「経営」「経済」「ビジネススキル」「自己啓発」などに分けられます。

さらに次のように業種やテーマによってより細かいジャンルに分かれています。

  • ・会社経営
  • ・経営学
  • ・マーケティング
  • ・組織
  • ・リーダーシップ
  • ・ビジネススキル
  • ・自己啓発
  • ・投資全般
  • ・不動産投資
  • ・株式投資
  • ・資産形成、資産運用
  • ・金融・保険
  • ・経済
  • ・相続対策
  • ・節税対策
  • ・人事・労務管理
  • ・起業・開業
  • ・営業

ビジネス書の出版方法について

ビジネス書の出版を視野に入れている方にとって、どのような出版方法があるのかは気になるところでしょう。

一般的な出版方法には「商業出版」「自費出版」「企業出版」の3つがありますが、ビジネス書の出版方法としては、向き不向きがあります。

以下では、それぞれについて詳しく説明します。

商業出版/出版社主導で認知度を上げる出版方法

「商業出版」は、出版社が主導して認知度が上がる出版方法で、出版社が利益を出すために行う出版方法です。

出版費用はすべて出版社が負担するので、書籍の企画なども出版社が行います。

また、その企画の書籍の著者を誰にするかを決めるのも出版社です。

つまり、著者が「商業出版したい」と思ってできるような出版方法ではないので、ハードルが高いと言えます。

著者に知名度があったり、SNSのフォロワー数が多かったり、ネット上でバズったコンテンツなどを持っていない限り現実的ではないと言えるでしょう。

自費出版/名刺代わりの書籍を制作する出版方法

「自費出版」は、企業経営者などが名刺代わりに顧客や取引先などに配るための書籍を制作する出版方法で、出版費用はすべて著者(企業経営者など)が負担します。

もともと書籍の形にすることが目的の出版方法なのですが、せっかくコストをかけるので、ただの名刺代わりにするだけではなく、長期的に見て投資対効果のある経営施策として検討すべきでしょう。

たとえば、書店に流通させて自社のブランディングや信頼性の向上、新たなビジネスチャンスの獲得のために活用できるようにした方が良いと考えられます。

企業出版/企業課題を解決する企業主導の出版方法

「企業出版」は、企業が抱えている経営課題を解決するための出版方法で、出版費用は全額企業負担です。

解決できる経営課題としては、「自社の商品やサービスの認知度を高めたい」「従業員に企業理念を浸透させたい」「採用活動のミスマッチを減らしたい」などです。

書籍には「信頼性が高い」「ストーリー性がある」「長期的に活用できる」という特徴があるので、企業が顧客や従業員に伝えたいメッセージをしっかりと形にすることができます。

費用負担については「自費出版」と同じく著者が負担しますが、「企業出版」では出版社の販路を利用して全国の書店などで販売することが可能です。

このように、「企業出版」は、企業が書きたいテーマのビジネス書を出版することができ、かつ読者からの反響なども期待できるプロモーションを前提とした出版方法です。

ビジネス書出版のメリット

ここでは、ビジネス書を出版することによってどのようなメリットが得られるのかについて説明します。

代表的なメリットは次の3つです。

メリット①:ブランディングの確立による信頼性の向上

書籍などの紙メディアに対する信頼性は非常に高いものがあるので、本を出版することによってブランディングが確立して信頼性や知名度が向上するという効果が期待できます。

本を出版するとその道の専門家と見られるようになるので、競合他社との差別化にも有効な施策となります。

営業マンが顧客を訪問したときに「本を出版した会社の方ですね」と言われて営業活動がやりやすくなったという実例もあるように、必ずしも大ヒット作にはならなくても興味を持って読んでくれている方がいるのもビジネス書出版のメリットです。

近年ではホームページやブログで、自社の商品やサービスの魅力や優位性をアピールする手法が注目されていますが、デジタルメディアよりはアナログな紙メディアの方が高い信頼性が得られます。

同じ消費をするのなら、信頼性の高い会社の商品やサービスを利用したいという消費者心理に応えることができるのもビジネス書出版のメリットということができます。

メリット②:受注確度の高い顧客を集客できる

ビジネス書は自分のお金を出して購入するものなので、購入した読者は自社の商品やサービスに興味や関心を持っている質の高い潜在顧客だと判断することができます。

また、ホームページやブログの記事、テレビCM、ネット広告と違って、顧客に伝えることができる情報量が圧倒的に多いため、書籍をじっくりと読んでもらうことによってさらに受注確度の高い顧客に変わっていくことが期待できます。

実際に多くの経営者がビジネス書を出版しているのは、受注確度の高い顧客を集客できるから、と言っても過言ではないでしょう。

メリット③:ビジネスの知見や経験を体系化できる

個人事業でない限り一つの企業には複数名が在籍していて、それぞれの人が事業経営のための役割を担っているはずです。

つまり、多くの知見や経験、ノウハウが各個人にバラバラに蓄積されていることになります。

ビジネス書を出版することをきっかけとして、社内の人材が分散して保有している知見や経験、ノウハウを集約して体系化して共有することが可能となります。

ビジネス書出版のデメリット

一方、ビジネス書を出版することによるデメリットもあり、代表的なものは次の2つです。

デメリット①:一定のコストがかかる

ビジネス書の出版方法でも説明したように、多くのビジネス書は「企業出版」によって出版されています。

つまり、経営課題を解決するための手段と考えられるので、ある程度のコストがかかるのは仕方がないのですが、ビジネス書の出版には少なくとも数百万円程度の費用がかかります。

実際に出版する際には投資対効果の検討も行うことになりますが、一定のコストがかかるという点はデメリットと言えるでしょう。

デメリット②:数値分析がしづらい

前項のメリットの中で紙メディアである書籍の信頼性が高いことを挙げましたが、逆に書籍という特性から数値分析がしづらいというデメリットがあります。

この点、ウェブ広告の場合は表示回数やクリック数などが容易に収集できるので、数値分析によって広告効果を把握することができます。

ビジネス書出版に関する市場動向とトレンド

ビジネス書の出版を検討中の方にとって、その市場動向やトレンドについては気になるところでしょう。

以下では、これらについて説明します。

書籍の刊行点数とビジネス書の市場動向

総務省による2022年の日本統計年鑑によれば、1年間に刊行される書籍は約7万点です。

この統計にはビジネス書という分類がないため正確な数値は分かりませんが、ビジネス書は「社会科学」「工学工業」「産業」「語学」のいずれかに分類されているので、この4つの分類の合計2万点に含まれると考えられます。

このことから、年間約1万点のビジネス書が刊行されているものと推測されます。

1年間に刊行される約7万点の書籍のうち約1万点がビジネス書であるということを考えると、ビジネス書の市場は非常に堅調であるということができるでしょう。

2024年度版:トレンドのビジネス書を紹介

ここでは、2024年にトレンドとなっているビジネス書11冊を一挙に紹介します。

営業の科学 セールスにはびこるムダな努力・根拠なき指導を一掃する
営業1万人・お客様1万人、合計1万人の調査による膨大な検証分析をもとに12年間・営業4万人を指導してきた著者が、「お客様の本音がわからない」という悩みで直面する各プロセスの「壁」を乗り越えるノウハウを一冊に凝縮しました。
「成果を出す営業のメカニズム」をデータとロジックで裏づけした渾身の一冊です。

The Intelligent Sales AIを活用した最速・最良でクリエイティブな営業プロセス
どんな業種、どんな相手先、どんなプロダクトにも適用できる「究極の営業手法」の全てを本書で大公開しています。
「企業分析」「リストアップ」「ターゲティング」「提案資料作成」「商談の相談役」など営業活動の全てを生成AIがサポートしてくれることによって劇的な業務効率化が可能になります。

経営中毒 社長はつらい、だから楽しい
大企業からベンチャーまで1000社以上の企業変革を支援してきたエッグフォワード代表徳谷智史氏が、組織マネジメントで起こるトラブル・苦難を赤裸々に告白した一冊です。
「裏切り」「資金枯渇」「孤独」これらが組織を強くする、全企業人必読の「経営指南書」です。

ビジネス会食 完全攻略マニュアル すべての食事会を成功に導く最強の実務メソッド
発売わずか1ヶ月で2.1万部を突破しました。
大手広告代理店出身、非体育会系、アルコールに弱い著者が最大28回/月の会食経験から編み出した会食・食事会を成功に導ける必勝メソッド、体系的ノウハウを全網羅しました。

ユニクロ
圧倒的な筆力で描き出す、迫真のノンフィクションの決定版です。
閑古鳥の鳴く商店街でくすぶっていた青年柳井正氏が「ユニクロ」を創業して一流経営者にのし上がるまでの知られざる暗黒時代、製造小売業への挑戦、東京進出、フリースブームの到来、集まる仲間たち、古参社員との別れ、苦戦する海外展開、ブラック企業批判、情報製造小売業への進化、柳井正とその夢に惹かれた同志たちの長き戦いをリアルに描き出した一冊です。

「やりたいこと」も「やるべきこと」も全部できる! 続ける思考
「これならできる」「続けることへの苦手意識がなくなる」「もはや継続が趣味になる」と反響続々。
三日坊主のための等身大の習慣本がついに完成しました。
継続の方法だけではなく「苦手意識のなくし方」「楽しみ方」「自分を変える力」も知ることができます。
「習慣の本」なのに、なぜかクスッと笑えて泣ける画期的な一冊、その読書体験をぜひお楽しみください。

「起業参謀」の戦略書 スタートアップを成功に導く「5つの眼」と23のフレームワーク
ベストセラー「起業の科学」「起業大全」の著者田所雅之氏の最新刊です。
発売5日で大重版3刷決定、Amazon3部門ベストセラー第1位を達成した話題の書です。
「起業参謀こそが日本のブレークスルーのカギを握る」と早稲田大学ビジネススクール教授入山章栄氏も推薦しています。
今の日本に不足しているのは起業家の右腕となり支える人材「起業参謀」だ。
「起業参謀」を養成する「スタートアップアドバイザーアカデミー」の講座内容を1冊に凝縮しました。

戦略ごっこ―マーケティング以前の問題
300以上の海外論文や実証研究に基づく「エビデンスベーストマーケティング」の決定版です。
「根拠のある事業成長」を目指すビジネスパーソン必読のファクト&エビデンスが凝縮された一冊です。

勘違いが人を動かす 教養としての行動経済学入門
わずか1ヶ月強で5万部を突破した話題の新刊です。
Amazon経済学分野で売れ筋ランキング1位、総合6位を獲得しました。
「人間の非合理性が実社会でどう利用されているかよくわかる」と東京大学大学院経済学研究科教阿部誠氏も絶賛しています。
あなたの日常に潜む「選択と行動」の科学について、興味深い事例と豊富な研究から学ぶ行動経済学の入門書です。

87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え  資産18億円を築いた「投資術」
発売即12万部突破し爆発的に売れている話題の書籍書です。
Amazonベストセラー第1位を達成。
シゲルさん投資歴68年を洗いざらいこの一冊に凝縮しました。
昭和・平成・令和の相場を見続けて、バブル崩壊、リーマンショックも乗り越えたカリスマ個人投資家の投資術を徹底「初」公開しました。

わが投資術 市場は誰に微笑むか
話題沸騰により連続重版を達成し、たちまち15万部を突破したベストセラーです。
個人資産800億円超。長者番付1位となった伝説のサラリーマン投資家清原達郎氏が、咽頭がんで声帯を失って引退を決めた今、自身の人生で得た株式投資のノウハウを明かす一冊です。

ビジネス書を出版するための具体的な流れ

以下では、ビジネス書を出版するための具体的な流れ(プロセス)について解説します。

プロセス①:書籍のテーマやターゲット読者を明確化

ビジネス書を書くに際して重要なのは、書籍のテーマとターゲット読者を決めることです。

まず、書籍のテーマについては、ビジネス書を出版する目的がブランディングや知名度・信頼性の向上にあるわけですから、自社の強みが読者に訴求できるものである必要があります。

SWOT分析などの手法を用いて自社が保有する技術やノウハウの掘り起こしを行い、自社の強みを把握した上で、テーマを決めるようにしましょう。

ここで、すでに多くの人が出版したことのあるテーマを選択すると、読者にとっては新鮮味がないために埋もれてしまう可能性もあるため、斬新さや独自性のあるテーマを発掘することが大切です。

ターゲットについては、テーマが決まれば自ずと決まってくるという考え方もできるのですが、このときに「多くの人に読んでほしい」と考えてターゲット設定を曖昧にすることだけは避けるべきです。

ターゲットが曖昧なままだと、執筆内容にブレが生じたり、適切なプロモーションが打てなくなるなどの問題を生じる可能性があります。

プロセス②:企画の作成と目次づくり

ビジネス書を出版するためには、ビジネス書を手掛けている出版社に企画書を持ち込んで受けてもらわなければなりません。

企画書の作り方には決まりはありませんが、書籍のタイトル案、ターゲット層、自分や自社のプロフィールなどは必須となります。

ここでもターゲット層は重要項目で、この本をたとえば1500円程度払ってでも購入してくれる読者はどんな人なのかを明確に示せなければなりません。

目次については、企画書を作成する段階で目次案が出来上がっていれば望ましいですが、出版社が決まったあとに、編集者と相談して決めていくことも可能です。

プロセス③:原稿執筆(自分で執筆orライターが執筆)

出版社が決まって、テーマやターゲット、目次が決まると、原稿を執筆することになります。

原稿は、著者自身が執筆する場合とライターが執筆する場合に分かれます。ただ、ビジネス書の出版目的は、経営課題の解決であって経営者の自己満足ではないことを考えると、ライターに依頼して読者にとって読みやすいビジネス書を目指した方が良いでしょう。

ライターに依頼する場合は、ライターの選定やライターによる著者や関係者へのインタビューを行います。

また、ライターが執筆した原稿を著者がチェックして加筆修正することもあります。

プロセス④:原稿のチェックや編集

原稿の執筆が終わると、使用する写真や図表、イラストなどの素材と一緒に編集者に提出するのが通常の流れです。

編集者は、読者に文章の意図がきちんと伝わるように、適切な言葉遣いを選んだり、情報を取捨選択したりします。

また、表現の重複や表記のゆれがないかなどのチェックも行い、必要な場合は修正します。

プロセス⑤:組版とカバーデザイン

原稿が完成すると、文字組みやデザインなどの組版をして誌面レイアウトを決めます。

組版と並行して表紙やカバーデザインなどを決めていくのが一般的です。

デザイナーからの提案によって、原稿の加筆や減筆、写真やイラストの見直しなどが発生することもあります。

プロセス⑥:再校や最終校正

組版とカバーデザインが終わった初校を紙に印刷したりPDFに出力して校正を行います。

校正は編集作業の中でも重要度の高いプロセスで、その目的は訂正すべき箇所がないかを探し出すことです。

誤字脱字がないか、表記ゆれがないか、イメージ通りのデザインになっているか、写真や図表、イラストは適切かなどについてチェックして修正します。

必要に応じて、校正(再校)と修正を繰り返し、問題がなければ校了です。

なお、記載内容の事実関係に誤りがないかをチェックする校閲も必要に応じて行っていきます。

プロセス⑦:印刷・製本

校了すると、出版社から印刷会社に書籍の印刷データが送られます(入稿)。

印刷会社から実際の書籍に近い紙やインクで印刷した色校正が提示されるので、インクのノリ具合や図表や写真の色味を確認して、必要な場合は調整を依頼。

色校正が終わると、契約部数の書籍が印刷・製本されて納品されます。

ビジネス書では並製本が多いので、最後にソフトカバーと帯をつければ、書籍の完成です。

プロセス⑧:書店営業や各種プロモーションの準備

書籍が完成すると、出版社から書店に対して新刊の案内をします。

やり方としては、書店に出向いてビジネス書の担当者に売り込んだり、FAXで新刊案内と注文書を送付したりが一般的です。

プロモーションとして出版記念イベントなどを開催する場合は、相手先の書店と準備を行います。

SNSでの出版案内やウェブ広告の出稿などもこの時期に行います。

プロセス⑨:取次と配本調整、部決

書店からの注文部数がまとまったら、出版社としての希望部数を決めて各取次店に書籍を見本として持参して仕入れを依頼します。

各取次店ではその書籍を総合的に見て、仕入れ部数や書店へ配本する部数を決定します。

プロセス⑩:新刊配本、書籍発売

発売日の数日前に各取次店が決定した仕入れ部数に合わせて、各社の倉庫に書籍を搬入。

その後、書籍は各取次店から書店に配本され、発売日に書店の書棚に並べられます。

書店では、売れ行きの良い書籍はフェア台に配置したり平台に平積みしたりして、目立つ場所に陳列されます。

売上が好調な場合は、初版に加えて重版されることもありますし、追加でプロモーションが行われることもあります。

成功したビジネス書の事例紹介

ビジネス書の出版によってブランディングや集客に成功して飛躍的な業績アップを果たした事例は数多くありますが、ここでは3件の成功事例を紹介します。

事例①:新規事業の集客と本業集客の両立に成功したビジネス書出版の経営者

保険代理店の経営者が、保険業界に対する持論と実例を公開するためにビジネス書を出版しました。

書籍の中では、保険業界で当たり前に行われている「成果報酬型」の給与体系を「一律報酬型」に変えることを提唱しました。

つまり、限られた一部のスーパー営業マンに頼った経営から、アベレージヒッターを育てて全員で支えていく経営に変えることによって業績拡大ができることを紹介したのです。

伝達できる情報量が膨大な書籍というメディアを使って持論を展開したことにより、多くの業界関係者からの共感が得られ、自社のブランディングにも成功しました。

同時に、新規事業であるコンサルティングの新規契約の獲得と本業の保険代理店の保険契約数が伸長するという大きな効果が得られたそうです。

出版後のインタビューでも、次のように語っていらっしゃいます。

保険の商談に従業員と同行するときも、お客様に事前に本を読んでおいてもらうと、ご面談するときにちゃんと「あったまっている」んですよね(笑)

書籍に盛り込んだ当社の経営方針や理念に、強く興味を持ってもらえている。

引用元:【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店

法人保険の営業は、人材戦略や財務状況など、相手の経営に踏み込んだ提案をしなければ大型の保険契約を決めることができないそうですが、書籍のおかげで商談の時から踏み込んだ話ができる理想的な商談の機会が増えたと言います。

このように、書籍を上手く活用すれば、お客様との良い商談を増やすきっかけにもつながるのです。

お客様との信頼関係などが重要な職種には良いツールと言えるでしょう。

事例②:メインターゲットの集客に成功し売上を倍増させたビジネス書出版の経営者

不動産投資サービス事業を行っている不動産会社の経営者は、従来から高収入でありながらも支払う税金が多い医師をメインターゲットとして、SNSやウェブ広告などを利用した情報発信を行っていました。

しかし期待する効果が得られていなかったことから、「医師に最も効果的な節税対策は不動産投資である」という内容のビジネス書を出版しました。

ビジネス書の企画段階からメインターゲットである医師を対象としたマーケティング戦略やプロモーション戦略を立てていたことで、多くの医師に書籍を購入してもらうことができました。

出版後は、書籍を購入した医師に「不動産投資に大きな節税効果があること」を認知してもらうことができ、売上を倍増させることができました。

また、既存の顧客が知り合いの医師にビジネス書を配ってくれたり口コミで広げてくれたりして、新たな顧客の獲得にもつながっています。

事例③:SNSとの相乗効果で圧倒的なブランディングに成功したビジネス書出版の経営者

資金調達支援のコンサルタント業を営む経営者は「創業者が夢を実現するためには適切な融資が必要」との思いからビジネス書の出版を決意しました。

日本では起業した会社の約6割が1年以内に廃業しているという現実があるので、これをなんとか改善したいと考えたのです。

自身の会社も創業後の3年間で8200万円の融資を受けて事業を軌道に乗せることができたという経験があるため、中小企業であっても高額の融資を受けることができるという秘訣を公開しました。

ビジネス書の出版に合わせてSNSやウェブでのコンテンツ発信も行い、これらの相乗効果によって顧客からの信頼を獲得してブランディングに成功しました。

具体的には、問い合わせ件数が3~4倍に増えて受注件数も増加し、結果的に融資支援実績が日本一になりました。

ビジネス書を出版する出版社一例

ビジネス書を出版している出版社は数多く存在しますが、実際にどこに依頼すべきかはそれぞれの出版社の特徴を知ったうえで検討した方が良いでしょう。

以下では、代表的な出版社の特徴などについて解説します。

幻冬舎メディアコンサルティング

「幻冬舎メディアコンサルティング」は、2005年に設立された企業出版に特化した出版社です。

名前の通り幻冬舎のグループ会社であるため、幻冬舎の流通網を活用した全国約4,200書店への流通、プロモーション、出版記念セミナーの開催などが行えるという強みがあります。

プロモーションに力を入れているので、メニューが豊富で、実書店では書棚の効果的な展開により狙いのターゲット層に訴求したり、新聞やSNS、Amazonバナーなどを利用した広告も行っています。

企業の事業戦略に合わせた配本も行っているので、頼りになる出版社といえるでしょう。

日経BP社

「日経BP社」は、日本経済新聞社の子会社で雑誌と書籍の出版を行っている会社です。

「日経ビジネス」をはじめとしたビジネス関連の雑誌が多いという特徴があるため、ビジネス書についても強みがあり、多くのベストセラーを出しています。

ビジネス分野に精通した編集者が書籍の企画からデザインなどの出版全般に関わる提案をしてくれるのが特徴です。

ダイヤモンド社

「ダイヤモンド社」は、ビジネスや経済に関する書籍や雑誌を出版している、1913年に創業した老舗の出版社です。

100年以上にわたってビジネス書を発刊してきたという大きな実績があるので、信頼性が高くプロモーション力も高いという特徴があります。

また、「週刊ダイヤモンド」などの著名な雑誌を刊行しているため、ビジネス書についても一定の固定客が獲得できることが強みです。

東洋経済新報社

「東洋経済新報社」は、ビジネスや経済に関する書籍の発行を専門とする出版社で、1895年に創立された歴史のある出版社です。

「週刊東洋経済」や「会社四季報」などが有名で、業界知識が豊富な編集者から効果的なサポートを受けることができます。

また、社内史や広報誌などの社内向けの書籍も手掛けているため、社内ブランディングにも活用することができます。

「東洋経済オンライン」などの自社メディアを利用したプロモーション力も魅力です。

プレジデント社

「プレジデント社」は、経営層や富裕層に向けたビジネス書や雑誌を主力とする出版社で、1963年に創立されました。

日本で初めての海外提携紙「プレジデント」を創刊したことでも有名です。

これまでに約100社以上の企業をサポートしてきたという実績があります。

インターネットと実際のイベントを組み合わせたメディア展開によって、企業やビジネスを広く周知させることができます。

クロスメディア・パブリッシング

「クロスメディア・パブリッシング」は、クロスメディアグループでビジネス書を専門とする出版社として2005年に設立されました。

現在では、ビジネス書だけではなく自己啓発書、実用書まで幅広い書籍を刊行しています。

パノラボ

「パノラボ」は、株式会社フォーウェイ(弊社)のグループ出版社で、2021年11月に設立されました。

他の競合他社と異なり企業出版を専門としているため、ブランディングやマーケティングなどの目的を達成するためのビジネス書の出版の全プロセスを一気通貫でサポートしています。

また、グループ会社の株式会社フォーウェイ(弊社)が手掛けているSNS運用やウェブサイト制作などを活用して、ゴールから逆算した動画制作やSNS運用、クラウドファンディングなどを組み合わせたプロモーションの提案ができる点も大きな強みです。

ほか、前述した大手出版社とは異なり、コストメリットの高いブックマーケティングを提案していることもメリットとして打ち出しています。

まとめ

本記事では、ビジネス書の出版を検討中の企業経営者に向けて、ビジネス書の出版方法やメリット・デメリット、具体的な成功事例などについてくわしく解説しました。

ビジネス書の出版は、ブランディングや知名度・信頼性の向上のための経営戦略の一つとしてとらえることができ、企業経営に非常に大きな効果を及ぼします。

本文中でも紹介したように、ビジネス書の出版は多くの出版社が行っていますが、ビジネス書の出版に強く、ビジネス書の出版目的である自社のブランディングや知名度・信頼性の向上を達成するためのノウハウやプロモーション力を持った出版社を選ぶことが重要です。

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近年、SNS等の発展で情報収集が容易になりました。

そのため、顧客側は問い合わせ段階で購買意思が固まっているのが大半と言われており、プル型営業の重要性が高まっています。

本記事ではプル型営業とプッシュ型営業の違いや効果的なプル型営業手法を解説します。

目次【本記事の内容】

プル型営業とプッシュ型営業の違いとは

営業には大きく分けて、プル型営業とプッシュ型営業の2種類があります。

簡単に言えば、「待ちの営業(プル型営業)」なのか、「攻めの営業(プッシュ型営業)」なのか、という違いがあります。

実際にプル型営業とプッシュ型営業の具体的な違いや、それぞれの特徴を見ていきましょう。

プル型営業とプッシュ型営業の違いについて

プル型営業は、事前に仕組みをつくり顧客からの問い合わせを待つ営業スタイル、プッシュ型営業は、自分から積極的に顧客にアプローチする営業スタイルです。

プル型営業とプッシュ型営業それぞれの違いについては、以下のように比較してみると分かりやすいです。

特徴 営業タイミング 営業範囲 成約までの期間 営業に使う主な媒体 主な手法
プル型営業 事前に仕掛けづくりをして顧客からのアプローチを待つ営業 顧客が決めるため、自社では決められない 多数の顧客にアプローチできる プッシュ型営業に比べて成約までの期間は長い ・SNS

・オウンドメディア

・メルマガ

・オンラインセミナー(ウェビナー)

・SNS経由の問い合わせ

・Webサイトでの問い合わせ

・リスティング広告

プッシュ型営業 積極的に顧客にアプローチする営業 自社が決める 一度に1人(1社)の顧客にしかアプローチできない プル型営業に比べて成約までの期間は短い ・電話

・DM

・メール

・訪問

・電話営業(テレアポ)

・ダイレクトメール営業

・メール営業

・訪問営業

・キャッチセールス

プル型営業の特徴

プル型営業とは、事前に仕掛けを作っておき顧客からの問い合わせや資料請求などのアプローチを待つ営業スタイルです。

プル型営業は、インターネットやスマホの普及に伴って増加してきた営業手法です。インバウンド営業とも言われます。

かつてはプッシュ型営業(アウトバウンド営業)が主流でしたが、現在はプル型営業に取り組む企業が増えてきています。

プル型営業に取り組む企業が増えている背景には、多くの顧客が購入前にインターネットを利用して商品の情報収集や比較検討をするようになったという、行動傾向の変化があります。

インターネットで調べれば、あらゆる製品やサービスの情報が得られる時代。「自分で調べて自分で選ぶ」という選択肢が取りやすくなった現代だからこそ、時代に合った営業手法として、プル型営業は注目されているのです。

SNSやオウンドメディアでの情報発信、SEO対策、メルマガでの情報発信、オンラインセミナー(ウェビナー)の開催などが代表的なプル型営業の手法です。このように手法を用いてアプローチした見込み顧客に対して、商品やサービスをPRし、成約を獲得していきます。

プル型営業は仕組みを作ったり、顧客からの問い合わせを待つという手法なので、成果が出るまでに中長期的な取り組みが必要になりますが、1人の営業マンが多くの見込み顧客に継続的にアプローチし続けられる、といった効率の高さが特徴です。

プッシュ型営業の特徴

プッシュ型営業は、企業から顧客に積極的にアプローチする営業スタイルです。

たとえば、代表的な手法として電話営業(テレアポ)、ダイレクトメール営業、メール営業、訪問営業などがあります。

プッシュ型営業の場合、一度の営業でアプローチできる顧客は少人数です。プル型営業と違い、1人の営業マンができるアプローチ数には限界があるため、事前に顧客分析を行い、購入する可能性が高いターゲット層を選定しておく必要があります。

プル型営業ほど効率的ではありませんが、プッシュ型営業は、積極的に顧客にアプローチするため、成約するまでの期間が短く、早めに成果が出やすいというのが特徴です。

なぜいまプル型営業が必要なのか

インターネットが急速に普及した現代では、ほとんどの顧客が事前に商品やサービスについて調べており、問い合わせや来店の段階で購入するものを決めていると言われています。

このことは、Googleが2011年に提唱したZMOT(Zero Moment Of Truth)という概念にも示されています。

Whether we’re shopping for corn flakes, concert tickets or a honeymoon in Paris, the Internet has changed how we decide what to buy. At Google, we call this online decision-making moment the Zero Moment of Truth, or simply, ZMOT. The ZMOT refers to the moment in the buying process when the consumer researches a product prior to purchase.

インターネットの登場により、コーンフレークを買う時も、コンサートチケットを買う時も、パリへの新婚旅行も、私たちが何を買うのかを意思決定する方法が変わりました。Googleでは、このオンライン上の意思決定の瞬間を「Zero Moment of Truth」、または単に「ZMOT」と呼んでいます。ZMOTとは、購買プロセスにおいて、消費者が購入前に商品をリサーチする瞬間を指します。

引用元:Think with Google「Zero Moment of Truth(ZMOT)

かつては、直接店頭に行ってどの商品を買うかを決めるという顧客行動が主流だったので、企業は商品のポップやパッケージの改良に重要を置いていました。

しかし、インターネットが普及し、顧客行動が変化したため、企業のマーケティング手法も変化せざるを得なくなり、プル型営業のような「顧客側が選ぶ営業」が必要となったのです。

プル型営業のメリットとは

プル型営業のメリットをひと言で表すと「成約率の高い営業が効率よく少人数でできること」です。

一度に少人数の顧客にしかアプローチできないプッシュ型営業とは違い、プル型営業は一度に多くの人にアプローチすることができます。

仕組みを作るまでにある程度の時間と労力、お金がかかりますが、一度仕組みができてしまうと顧客側から自動的にアプローチしてもらえるような状態が出来上がります。

このように、プッシュ型営業よりも効率の良く、少人数で営業活動ができるのが、プル型営業のメリットと言えるでしょう。

そんな効率性の高さを含め、プル型営業に取り組むことで企業は次のような5つのメリットを享受することができます。

アポ獲得率や営業成約率が向上する

プル型営業のメリットとして、アポ獲得率や成約率の高さが挙げられます。

なぜなら、顧客がある程度興味を持ったうえで専用フォームや電話などで問い合わせをしてくれるからです。

サイトや記事、メルマガなどで、ある程度自社の商品やサービスの内容を理解し、興味を持った人だけが問い合わせをしてくれるので、アポイント獲得や成約につながりやすくなります。

また、企業としては、問い合わせを受けた時点で、事前に顧客が抱えている悩みなどを把握することができます。それを元に商談の際に適切な解決策を提示したり、顧客に合わせた提案をする準備ができるのもプル型営業ならではのメリットと言えるでしょう。

たとえば、あなたが「是が非でも今日は焼肉を食べたい」と思っていたときに、友人から「この寿司屋めちゃくちゃ上手いからおすすめだよ」と言われても行こうとは思わないでしょう。

一方で、美味しそうな焼肉屋さんを食べログで見つけたり、友人に「そういえば今日焼肉行きたいって言ってたよね?めっちゃ上手い焼肉屋みつけたから行こうよ!」と言われたりすると、「行こうかな」と思ってしまうと思います。

このように、プル型営業は、ある程度自社商品やサービスに興味を持った状態で問い合わせをくれたることによる見込み度合いの高さや、問い合わせ内容に応じて相手に合った提案をすることができるという点から、アポ獲得率や営業成約率は自ずと高くなります。

営業効率が格段に上がる(営業工数の削減につながる)

営業効率が格段に上がり営業工数の削減につながることもメリットの1つでしょう。

プル型営業は、仕組みを作るまでが大変ですが、一度出来上がってしまえば、1人の営業マンが、多くの顧客に無理なく情報を発信し続けることができます。また、興味を持った見込み度合いの高い顧客が自動的に集まってくる状態になるので、少ない人員で回すことが可能です。

たとえば、化粧品を購入したい顧客が、Googleなどの検索エンジンで「化粧品 おすすめ」で検索したとしましょう。検索上位に自社の商品が掲載されると、購買意欲の高い顧客に自社サイトや記事、商品・サービスページを見てもらうことができます。

同じような検索をする購買意欲の高い顧客が多数存在する可能性があるので、プッシュ型営業で個別にアプローチを行い、購買意欲を高めて成約を得るのに比べると営業効率が格段に上がります。

結果として、営業活動全体の効率を高めて営業工数を削減することができるのです。

信頼関係が構築しやすい

プル型営業のメリットとして、顧客との信頼関係が構築しやすいことも挙げられます。

なぜなら、プル型営業では、顧客が自分の都合でアプローチをしてくるからです。

プッシュ型営業の場合、企業の都合によって営業活動(売り込み)を行うため、顧客によっては迷惑と感じたり印象を悪くしたりします。

一方でプル型営業の場合は、顧客自身は営業を受けているという感覚を持つことはなく、むしろ必要な情報がタイムリーに得られたことに好印象を抱きやすくなります。

たとえば、自分が興味のある美顔器について問い合わせをした結果、営業マンが詳しく丁寧に教えてくれることに対して、好印象を抱く人は多いでしょう。

一方で、営業マンがいきなり家に来て、一方的に全く興味のない商品に関して、「おすすめです」と詳しく丁寧に教えられたとしたらどうでしょうか。おそらく、好印象を抱くどころか迷惑に感じる方も多いのではないでしょうか。

このように、プル型営業は、結果を急がず、顧客が主体的にアプローチしてくるように上手く誘導していく手法のため、顧客と良好な関係を構築しやすいのです。

見込み顧客のニーズが把握しやすい

見込み顧客のニーズが把握しやすいというメリットもあります。

なぜなら、問い合わせの際に、見込み顧客の悩みやニーズなどを把握することができるためです。

たとえば、ダイエットに関心のある顧客の場合、問い合わせフォームに「食べ物でダイエットしたいのか、それとも軽い運動でダイエットしたいのか、比較的ハードなトレーニングでも良いのか」などの質問項目を設けておけば、その回答によって顧客のニーズが把握できます。

顧客のニーズが具体的に把握できれば、それに応える最適な提案を先回りして準備することが可能となります。結果的に、提案した際に「今の私にぴったりな商品・サービスだ」と思ってもらいやすくなるのです。

長期的な費用対効果が高い/コンテンツが資産になる

資産性の高さや、長期的な費用対効果が高いこともプル型営業のメリットの1つでしょう。

プル型営業の場合は、SNS、メルマガ、オウンドメディアなどでの継続的な情報発信や、そこから成約させるための導線設計、成約しやすいLP(ランディングページづくり)、など営業の仕組みを作るのに手間がかかり、ある程度の初期投資が必要となります。

しかし、一度作った仕組みは長期間にわたって自社で活用できる営業資産となる上、顧客の反応やデータ分析を元にして最適化していくことができるので、長期的な運用により、費用対効果が徐々に高くなっていきます。

このように、プル型営業で作った営業の仕組みは、一過性のものではありません。継続的に効果が続きます。結果として、継続的な顧客獲得や売上向上につながるため、費用対効果が高くなるのです。

プル型営業のデメリットとは

プル型営業のデメリットを簡単に言えば、成果がでるまで時間がかかることや、短期で安定した成果が出にくいことなどです。

具体的には以下の3つがプル型営業のデメリットです。

仕組みを作るまで時間がかかる

プル型営業では、顧客が興味を持ち、問い合わせをしてしまうような仕掛けを作ったり、そこから自動的に顧客教育を施すようなコンテンツを作成したり、多くの見込み顧客に商品・サービスページを見てもらうためにSNSやオウンドメディアなどで情報発信したり、仕組みの構築が必要不可欠です。

たとえば、プル型営業の代表的な手法であるSEO対策の場合、次のような事前準備が必要です。

  • ・見込み顧客が検索するキーワードの調査・選定
  • ・コンテンツ制作
  • ・コンテンツ改善
  • ・お問い合わせフォームなど、導線作成
  • ・LP(ランディングページ)の作成

また、これらの準備が整ったとしても、Googleで検索上位になり、成果を出すには最低でも6ヶ月程度かかります。このように、プル型営業は成果が出るまでには仕組み作りや、サイト育成など、少なくとも数ヶ月以上はかかると言われています。

そのため「成果を一刻も早く出したい」という企業や、「このような仕組みが出来上がるまで資金が続かない」という企業には向かない営業手法です。

安定した成果を得るのが難しい

安定した成果を得るのが難しいこともプル型営業のデメリットの1つです。

なぜなら、問い合わせのタイミングを決めるのはあくまで顧客自身だからです。

つまり、SNSやオウンドメディア、メルマガなどで情報やコンテンツを発信して、LPやフォームなどの導線を整えたあとは、顧客からの問い合わせを待つしかありません。

見込み顧客が問い合わせをしやすいような誘導はできても、最後に問い合わせするかどうかを決めるのは顧客自身です。これを企業側がコントロールすることは難しいと言えます。

このように、プル型営業の場合、問い合わせ数をコントロールすることが難しいため、予想以上の問い合わせの対応に追われたり、問い合わせが少なすぎて成果が表れないことなども十分に考えられます。

柔軟な提案に繋げづらい

柔軟な提案に繋げづらいこともデメリットの1つでしょう。

なぜなら、顧客が購入意欲を持って問い合わせをしてくるケースが多いためです。

顧客によっては、どの商品をどのように利用したいかまで決めている場合もあります。そのため、プッシュ型営業のように、ヒアリングや関係性構築から始める場合と比べて、自社からの柔軟な提案をしづらくなります。

たとえば、顧客が「部屋の空気をきれいにしたい」と考えて、空気清浄機の購入を決めて問い合わせをしてきた場合、「空気をきれいにするだけではなく、水もきれいにしましょう。こちらも今安くなっていてお得ですよ」とウォーターサーバーの契約を提案しても、断られる可能性が高いと言えます。

このように、問い合わせをした時点で、顧客のニーズは決まっているので、その意思決定を変えることは難しいと言えるでしょう。

プル型営業の効果的な方法

プル型営業のメリットは「成約率の高い営業が効率よくできること」です。

そのため、営業の仕組みができたら「いかにその仕組みに見込み度の高い顧客を多く引き込めるか」に注力するのが成果を出す効果的な方法と言えます。

具体的には以下のような6つの方法を用いて見込み度合いの高い顧客を引き込んでいきましょう。

SEO対策を図り自然流入を増やす

顧客の多くは、商品・サービスを購入する際にGoogleやYahoo!などの検索エンジンを利用して調べます。

そのため、もし顧客の検索結果の上の方に自社サイトなどが表示されていれば、顧客が検索した際に目につきやすくなり、プル型営業の仕組みに自然と流入するようになります。

この検索結果に自社サイトが上位に表示される状態を意図的に作り出すのが、SEO対策です。

顧客が検索するキーワードは数多く存在しますが、見込み度合いの高い顧客が検索するであろうキーワードで上位表示ができれば、安定的な問い合わせ獲得にもつながります。

メルマガでの情報発信・情報提供

自社のWebサイトを訪問して無料会員登録や、資料請求をしてくれた顧客などに対して、メルマガを発行し、継続的な情報発信を行うことも有効です。

無料会員登録や資料請求の申込フォームで、記入を必須にしておけば、見込み顧客のメールアドレスを入手することができます。

このメールアドレスに対して、顧客の購買意欲を高めるような内容のメルマガを定期的に配信すれば、継続的にプル型営業の仕組みに見込み顧客を引き込むことが可能です。

「お問い合わせしてもらったが成約しなかった人」なども、こういった情報発信を継続して行い続けることで、後に成約につながるケースも多々あります。

セミナー(ウェビナー)の実施

セミナー(ウェビナー)の実施をすることも有効です。

しかし、「商品・サービスの説明」という名目でセミナーを開いても人は集まりません。そのため、自社の商品・サービスに興味を持つ可能性の高い顧客が持つ悩みの解決方法を教えるセミナーを企画します。

たとえば、美顔器を販売する場合には、「40代女性向け、顔のたるみ解消セミナー」を企画するなどです。こうすることで、「顔のたるみに悩む人」「顔のハリに悩む人」など美顔器への関心や購入意欲が高いであろう多くの見込み顧客を引き込むことができます。

何かしらの悩みがあり、「その解決策がわかるかもしれない」とセミナーに参加した見込み顧客に、解決策の一つとして自社の商品・サービスを提案していくのです。

各種SNSで情報発信して認知拡大

SEO対策などと同様に、自社のSNSでの情報発信も、より多くの見込み顧客を獲得する上で有効な手段です。

よく利用される主要SNSは、X(旧Twitter)、Facebook、Instagram、Youtube、TikTokなどです。

近年は検索エンジンではなく、SNSで検索する顧客も増えています。SNSは、拡散性の高い媒体なので、運用に成功すれば、多くの見込み顧客の流入が期待できます。

リファラルマーケティングの活用

リファラルマーケティングとは、既存の顧客が新規の顧客を紹介することによって商品やサービスを広めるマーケティング戦略のことです。

簡単に言えば、取引先や知人、友人からの紹介を活用して、商圏を広げていくのがリファラルマーケティングです。

また、ネットでの口コミやレビューを投稿し、商品やサービスを広めていくこともリファラルマーケティングにあたります。

リファラルマーケティングは、すでにある人間関係の中から紹介が生まれるため、成約率が高いのが特徴です。

商品やサービスのティーアップがされている状態で紹介されるため、信頼関係ができた状態、または紹介者の信用を借りた状態で営業ができます。

自社や自分のいないところで商品・サービスの魅力が人づてで伝わっていく状態が作れるので、多くの見込み度合いの高い顧客を集めることにつながります。

ブックマーケティングで確度の高い見込み客を集客

ブックマーケティングもプル型営業において、見込み度の高い顧客を多く集めるのに有効な手法です。

プル型営業は、待ちの営業なので、「問い合わせをしてみたい」「興味がある」と顧客が思う状態をいかに作り出すのかがポイントです。

そのためには、商品・サービスの説明だけではなく「その商品やサービスがいまの自分に必要な理由」など、顧客がその商品・サービスに興味を持つように、顧客を教育していかなければなりません。

しかし、今は見込み顧客に文章を読んでもらうことが難しい時代です。

特に、見込み顧客との関係値構築が長期で必要なビジネスの場合、「Web上で発信してもなかなか商品・サービスの良さが伝わらない」などの悩みを抱えている方も多いと思います。

そんな方におすすめなのが、ブックマーケティングです。

書籍をただ出版するのではなく、いかに見込み度合いの高い顧客の手元に届けるのかまでを見据えてあらゆる施策を行っていくのがブックマーケティングです。

書籍は、読者がタイトルや内容に興味を持ち、お金を出して買っているため、基本的に長い文章が読まれます。

書籍が信頼性の高い媒体であることもあり、一冊読んでもらうだけで顧客教育がある程度できてしまうというのが、強みと言えるでしょう。

ある程度顧客教育ができた状態で問い合わせがくるため、必然的に成約率は高くなります。

このように、ブックマーケティングを活用することでも、見込み度合いの高い顧客を集めることが可能です。

プル型営業施策とブックマーケティングの相乗効果

プル型営業とブックマーケティングは相性がよく、それぞれの施策を組み合わせることにより、営業の仕組みが強化され、成約率が向上します。

具体的にプル型営業施策とブックマーケティングでどのような相乗効果を生み出せるのか、を具体的に紹介します。

ウェブマーケティング×ブックマーケティング

書籍のコンテンツは、たとえライターが書いたものであっても、著者や企業側の二次利用が可能です。

書籍の一部をコラムや記事として自社HPやオウンドメディアに掲載すれば、結果的に自社HPのGoogleからの評価を高めることができ、SEO対策の強化につながります。

また、書籍を出版したということでプレスリリースを打ったり、書籍の著者として大手メディアに寄稿したりすることにより、被リンク対策や情報の拡散にもつながります。

さらには、書籍を出版すると書籍のタイトルや著者の名前で検索する人が増えるので、おのずと自社のWebサイトへの流入も増加していくでしょう。

このように、紙媒体とWeb媒体で、さまざまな相乗効果が期待できるのが特徴です。

セミナー(ウェビナー)×ブックマーケティング

出版をきっかけに、セミナーを開催することで、書籍の内容に関心のある見込み顧客を集めることが可能です。

たとえば、出版記念セミナーや、書籍の内容に関連したセミナーなどです。

書籍の制作期間はおおよそ6ヶ月~8ヶ月なので、企画の段階でセミナー実施することを想定しておけば、書籍の告知と合わせてセミナー集客をすることができます。

また、出版実績のない講師よりも、ある講師の方が信頼性が高く、成約率が高くなりやすいのが特徴です。セミナー後の問い合わせ増加なども見込めます。

このように、セミナー(ウェビナー)とブックマーケティングもさまざまな相乗効果が期待できます。

SNS発信×ブックマーケティング

書籍を出版すると、おのずとWeb上に発信される情報が増えるため、SNSでの発信がしやすくなります。

たとえば、Amazonに書籍ページができたり、出版社が書籍の新刊リリースを出したり、書籍のコンテンツを二次利用してSNSの投稿ネタにしたり、SNSで書籍のプレゼントキャンペーンを行う、などです。

それに伴いコメントやリポストで拡散される数も自然と増えていきます。

結果的に、書籍の販売数が増えるという好循環が生まれ、読者からの反響の増加にもつながります。

このように、SNS発信とブックマーケティングにも、さまざまな相乗効果が期待できるのです。

リファラルマーケティング×ブックマーケティング

書籍を出版すると、既存の顧客が、著者や自社のことを紹介しやすくなります。

たとえば、書籍を出版していない著者を紹介する場合は、一体どんな人なのか、専門性や実績などを丁寧に説明していかなければなりません。

一方で、書籍の場合は、書籍の存在が著者や企業の「信頼性」や「専門性」を暗に伝えてくれるため、紹介されやすく、結果的に紹介が増えていくという相乗効果が期待できます。

プル型営業とブックマーケティングの成功事例

プル型営業の施策とブックマーケティングの施策をそれぞれ組み合わせることで、具体的にどのような相乗効果が生まれるのか、実際の事例をご紹介します。

不動産投資会社の出版書籍を医師が紹介して営業効率化に成功

この不動産会社の経営者は、高収入で支払う税金が多い医師に向けた不動産投資サービスの情報を記事やSNS、Web広告などを通じて発信し続けていましたが、なかなか魅力が伝わらず、悩んでいました。

そこで、高収入で購買意欲が高い一方で税金が多いことに悩む医師に対して、「最も効果的な節税対策が不動産投資である」ということを伝える書籍を出版。

ただ出版するだけではなく、あらかじめ、その後のマーケティング施策や展開なども見据えて企画していたことから、ターゲットである多くの医師に書籍を届けることができました。

その結果、書籍を購入した多くの医師に不動産投資に大きな節税効果があることを認知してもらうことができて多くの成約を獲得しました。

そればかりか、既存の顧客が知り合いの医師に書籍を配ってくれて、そのことから新規の問い合わせにも繋がったそうです。

ブックマーケティングによって書籍を出版して顧客からの問い合わせを待つという、まさにプル型営業を実践して、営業効率や成約率を高めることに成功した事例と言えるでしょう。

まとめ

本記事では、プル型営業とプッシュ型営業のそれぞれの特徴や違い、プル型営業の具体的な手法や効果などについて紹介しました。

プル型営業手法はいくつもありますが、その中でもWebにはない特徴や強みを持ったブックマーケティングに今注目が集まっています。

「文章が読まれない時代に、いかにターゲットに多くの情報を読み込んでもらえるのか?」はどの企業も抱えている課題の1つでしょう。

そんな時代だからこそ、書籍という「読まれる媒体」の活用に突破口があるのです。

プル型営業の施策はWeb上での施策がほとんどなため、ブックマーケティングのような紙媒体の施策とは相性が良く、組み合わせることによってさまざまな相乗効果が生まれます。結果として、営業の仕組みが強化されて成約率が向上するなどの効果が見込めます。

もし、「プル型営業施策をやっているが、なかなか成果につながらない」という方は、プル型営業施策と合わせてブックマーケティングの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)

福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経営法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を歴任し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。

「書籍をマーケティング戦略で活用」と聞くとどのようなメリットを思い浮かべるでしょうか。

出版の方法はさまざまですが、企業が取り組む場合はその具体的な活用法を知っておきたいところ。

この記事では、書籍マーケティングの手法やメリットについて詳しく解説します。

目次【本記事の内容】

書籍マーケティングとは

書籍マーケティングとは、書籍を自社の信頼性・認知度向上や企業ブランディングに役立てるマーケティング手法です。

出版社が持つ販路を利用できるため、効率的にターゲットの元に届けることができます。

独自の技術や実績などの企業の強み、開発秘話などをストーリーとしてまとめて一冊の書籍という形で出版すれば、書籍そのものの信頼性と出版社の全国的な販路を活かして効果的なマーケティングを行うことが可能です。

書籍マーケティングの具体的な手法

書籍マーケティングにはいくつかの手法が存在します。

それぞれに特徴やメリット・デメリットがあるため、自社にとってどの手法が合っているか比較することが大切です。

書籍マーケティングの具体的な手法は以下の3つです。

商業出版/すでに影響力のあるインフルエンサー向け

商業出版はすでに影響力を有しているインフルエンサーや著名人が著者となる場合に向いた手法です。

出版にかかる費用をすべて出版社が負担して、出版社が利益を出すことを目的としています。

つまり、出版社は「売れる」という確信が持てるものしか採用できません。

実際に、ヒット作やベストセラーになる書籍の多くがこの方法で出版されています。

商業出版では、無名の人物が企画を持ち込んだ場合、よほど内容が良いものでなければ採用されることはありません。

また、万が一採用されたとしても書籍の内容を制限されることがほとんどです。

一方で、すでに影響力のあるインフルエンサーであれば、「インフルエンサーのファンに買ってもらえるだろう」「このファンの数ならこれぐらいの利益が期待できる」と目処を立てることができます。

そのため、出版に踏み切りやすくなるのです。

商業出版は出版社の負担で書籍を出せる魅力的な出版方法ですが、書籍の内容の自由度が低いことがデメリットにもなり得ますし、そもそも採用されるのは至難の技であると言えるでしょう。

自費出版/出版した事実を残したい経営者向け

自費出版は出版にかかる費用を著者自身が負担する出版方法です。

出版社からの制限を受けず、経営者が読者(顧客)に伝えたいことを自由に書くことができます。

著名人ではなくても自伝や個人的なノウハウ、物語を書籍という形で出版することができるため、出版した事実を残したい経営者向けの出版方法です。

自費出版の書籍の一つに、山田悠介『リアル鬼ごっこ』があります。

『リアル鬼ごっこ』は著者のデビュー作ですが、この作品がヒットし、今やメディアから注目されるホラー小説作家となりました。

上記のようにヒットする書籍もありますが、簡単なことではありません。

ヒットさせるのが難しい理由として、「発行部数が少ないこと」「プロモーションを自分で行う必要があること」が挙げられます。

自由な内容で書籍を出版できるという点では魅力的ですが、費用負担が重く、利益も出しにくいという点がネックとなる出版方法です。

企業出版/マーケティングとして書籍活用したい経営者向け

企業出版は、「商品・サービスの認知度向上」「他社との差別化」「企業ブランディング」など、企業が抱える課題の解消を目的とする出版方法です。

出版に関わるすべての費用を企業が負担します。

企業出版の最大の魅力は、企業が伝えたいメッセージを書籍という形で発信することができる点です。

たとえば、企業理念や、これまでの歩み、商品開発ストーリーなどを書籍という形で発信すれば、それを読んだ読者の心を動かし、ファン化させることができます。

書籍は信頼性の高い媒体という共通認識があるため、「書籍を出版している」という事実があるだけでも顧客にとって安心できる要素になります。

また、WebやSNSなどの媒体よりもメディアへの露出を増やしたり、宣伝広告費の削減に繋げたりすることも可能です。

このように企業の課題を解決し、事業成長に繋げたい企業にとって最適な方法と言えます。

書籍マーケティングのメリットとは

書籍マーケティングは費用や時間のかかる手法です。

しかし、それでも取り組む企業は数多くあります。

なぜなら、以下の6つのメリットを享受できるからです。

メリット①:信頼感の醸成ができる

書籍マーケティングによって、顕在層をファン化して商品やサービスの購入を働きかけることができるようになります。

なぜなら、「書籍を出版している」ということによって信頼感を醸成することができるからです。

もし、ファン化した顧客の商品やサービスの購入頻度が低かったとしても、中長期的には売上に貢献してくれると考えられます。

メリット②:情報量が多い/情報が集約できる

書籍マーケティングを行うことによって、自社の商品やサービスのPRだけではなく、企業理念や経営者の考えを顧客に伝えることができます。

なぜなら、書籍は他の媒体(テレビCM・新聞広告・雑誌広告・Web広告・チラシなど)と比べて織り込める情報量が圧倒的に多いからです。

たとえば、A4のチラシの文字数は1,000文字〜2,000文字程度ですが、200ページ程度の書籍の場合の文字数は約7万〜10万文字になります。

また、商品やサービスの情報だけではなく企業理念や経営者の考えなども含めた顧客に伝えたい種々の情報を1冊に集約することができることもメリットとなります。

情報を集約化する過程で、経営者の思考を整理したり、編集者の外部の視点から新たな気づきが得られたりすることも期待できます。

メリット③:メディア露出が増えPR効果が高まる

書籍の内容の専門性や話題性が高い場合は、多くのメディアに注目されて、露出の機会が増えることになります。

なぜなら、書籍は信頼性の高い媒体と認識されているため、メディアはその信頼性の高い情報を採用したり引用したりしようとするからです。

たとえば、良質な睡眠を得る方法が書かれたWebやブログの内容よりは、書籍に書かれている方法の方が信頼性が高いと判断されて、メディアが書籍の内容を紹介しようとします。

その結果、メディア露出が増え、PR効果を高めることができるのです。

メリット④:コンテンツが資産となり長期活用が可能に

書籍マーケティングによるコンテンツは資産として残りつづけます。その理由は、書籍は長期にわたって流通し、書籍に書かれたコンテンツも様々な用途に二次利用することができるからです。

たとえば、自社の商品の開発ストーリーを書籍にまとめて出版した場合は、営業ツールやセミナー資料として配布することが可能です。

さらに、書籍からWebサイトやブログなどのオウンドメディアに転用された場合も長い間ネット上に残り続ける資産となります。

その内容の専門性が高く信頼性のある内容であればあるほど、書籍としても二次利用されたコンテンツとしても価値の高い資産として残り続けます。

メリット⑤:ターゲティングやエリアマーケティングに最適

書籍を購入してまで情報を集めようとする人は、その商品・サービスに対する関心が高いと言えます。

そういったユーザーをターゲティングすれば、ピンポイントでユーザーの心に刺さる書籍をつくることが可能です。

また、書籍マーケティングでは、特定のエリアの書店だけに重点的に配本して、そのエリア内の顧客の認知度を高めるといったこともできます。

このように、書籍マーケティングはターゲティングやエリアマーケティングがしやすいため、テレビCMなどのマス広告よりも効果的にマーケティングを行うことができるのです。

メリット⑥:インナーブランディングも強化できる

書籍の中に企業理念や経営者の考えなども含めておけば、その書籍を社内研修などで配布したり、Webで公開したり、従業員に対するインナーブランディングに活用することもできます。

たとえば、株式会社アカツキでは、「アカツキハート」という会社で掲げる哲学を社内に浸透させるために、ブランドブックを作成。

ブランドブックの作成により、本社から離れた福岡や台湾にある拠点にも哲学が浸透し、本社との熱量に差がない状況を作り出すことに成功しています。

このように、書籍マーケティングによって企業理念などを著すことで社員のロイヤリティを向上させ、インナーブランディングを強化することが可能です。

書籍マーケティング成功のポイント

書籍マーケティングを成功させるためには、ゴールまでの道筋を立てることが最も重要です。

企画から書籍がターゲットに届くまでの道筋が定まっていないと、目的を達成することはできません。

書籍マーケティングを成功に導くためには、失敗事例を知ることも必要です。

▶️失敗事例については、関連記事【企業出版の教科書|メリットから費用、成功のポイントまでまとめて解説】もあわせて参考にしてください。

失敗事例から学ぶ成功のポイントについて、詳しく見ていきましょう。

目的とターゲットの設定

書籍マーケティングの最初の段階で決めなければならないことは、目的とターゲットの設定です。

「何のために書籍を作るのか」「情報の受け手であるターゲットは誰なのか」が決まらなければマーケティングの成功はあり得ません。

目的地が定まっていないのに出発したら、道に迷ってどの目的地にも辿り着けないのと同じです。

逆に言えば、目的とターゲットがきちんと設定できれば効果的な書籍マーケティングを実現できるということです。

そのため、書籍マーケティングを利用して目的を達成するためには、最初に目的とターゲットを設定する必要があるのです。

プロモーション戦略の立案と実行

書籍マーケティングは、顧客が達成したいゴールから逆算して流通戦略や広告販売戦略を考えます。

書籍を出版したとしても黙っているだけでは書店に置いてもらうことはできません。

書棚に置かれるためには、新刊を必ず書店に並べることを約束する特約店契約や書店との関係性が大切です。

書店販売のための流通戦略以外にも、様々な施策を組み合わせて流通させていく方法もあります。

書店販売以外の流通戦略とは、出版記念イベントや、書籍の内容に関係する著名人やインフルエンサーとのコラボレーションなどです。

書籍に合ったプロモーション方法を立案し、確実に実行することは書籍マーケティングの成功のポイントと言えます。

書籍を出すことで満足しない長期的視野での活用戦略

書籍マーケティングは、書籍を出版することを目的とするものではありません。

なぜなら、書籍の出版は手段であり、商品・サービスの認知度向上や顧客の購買意欲向上などを図り、売上や利益の向上を図ることがゴールだからです。

書籍を出版することが目的になってしまっては、「名刺代わり」で終わってしまいます。そうならないためにも、出版した後に書籍をどのように活用するのかというイメージを立てておくことが大切です。

たとえば、書籍の企画決定後にクラウドファンディングを立ち上げて資金集めを図りつつ、書籍の事前告知をして認知拡大を図ったり、書籍の発売に合わせてSNS上でストーリーを紡いで続きを書籍に引き継いだりすることも活用方法として考えられます。

近年メジャーになっているLINEマーケティングを書籍に活用するのも効果的です。

書籍にLINEの友だち登録のQRコードを設置しておけば、ユーザーとの接点を作ることができます。

LINEで定期的に商品・サービス情報やクーポンなどを配信することで、コストをかけずに販促活動を行うことができます。

書籍マーケティングの出版社の選び方

書籍マーケティングにおいては、いかに自分が著したい内容に寄り添って提案・プロモーションをしてくれる出版社を選ぶかが大切です。

出版社を選ぶ上で見極めるポイントは次の3点です。

出版プランナーの提案と質疑応答

書籍の企画を考える段階では、「読者に何を伝えたいのか」「自社の強みはどういうところにあるのか」を整理して、どのような書籍を書くことができるかを出版社のプランナーと検討します。

このときには、プランナーの提案内容と質疑応答の態度などに注意しましょう。

たとえば、経営者の視点に立って提案をしてくれるような場合は問題ありませんが、質問に対して真摯に答えてくれず、はぐらかされてしまうような場合は要注意と考えるべきでしょう。

プランナーは出版社における営業の役割を担うため、プランナーの対応は出版社を見極める際の大きなポイントとなります。

出版社および編集者の実績

出版社の実績ということになると大手の出版社が優位になってしまいますが、実は編集者の実績も重要なポイントです。

なぜなら、「編集者がどのようなジャンルの書籍を得意としているのか」「これまでにどのような成功事例があるのか」によって、書籍マーケティングの成否が変わってくるからです。

たとえば、「編集実績が業界内でトップクラス」「編集した書籍が軒並み成功している」などの実績を持つ編集者がいれば、安心して任せることができるでしょう。

出版社のネームバリューだけにとらわれず、必ず編集者の実績も確認することが大切です。

書籍のプロモーション方法の確認

出版社がどのようなプロモーションを行ってくれるのかを具体的に確認することも、自分の書籍にとって良い出版社を選ぶ上で重要です。

書籍のプロモーション方法の確認を行うべき理由は、打ち合わせの時に決めたプロモーション方法が行われないことがあるからです。

実際に、提案時は「書店に並びますよ」などと調子がいいことばかり言っていたのに、実際に出版してみるとほとんど並んでない、一般の書棚ではなく自費出版専門の書棚に並んでいたというのはよくある事例です。

このようなことにならないためにも、依頼したプランやオプションの範囲内で、具体的にどのようなプロモーションを行ってくれるのか確認しましょう。

▶️書籍マーケティングの具体的なプロモーション方法については、関連記事【出版マーケティングの効果的なプロモーションとは? 広告手段も解説】もあわせて参考にしてください。

まとめ

この記事では、書籍マーケティングの具体的な手法やメリット、書籍マーケティングを成功させるためのポイント、出版社の選び方などについて詳しく解説しました。

書籍マーケティングを活用することによって、その書籍を企業のブランディングや認知度向上、顧客の購買意欲向上などに役立て、売上向上・利益改善などの経営課題の解決につなげることができます。

広告やSNS、SEO、オンライン施策など、様々なマーケティング手法を試しているにも関わらず、なかなか効果が出ない、目的を達成できない場合は、書籍マーケティングを取り入れてみてはいかがでしょうか。

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執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)

福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経営法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を歴任し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。

競合他社との差別化は、企業の成長戦略を考える上で欠かせないポイントです。

ただし、差別化戦略は各種広告施策とは異なり、売上や利益向上など、分かりやすい成果として表れにくく、差別化に成功しているかどうかの判断が難しいでしょう。

本記事では、差別化の重要性や、他社と差別化するため具体的な戦略の考え方を解説し、成功のポイントや成功事例を紹介します。

目次【本記事の内容】

差別化戦略とは

そもそも「差別化戦略」とは、アメリカの経営学者マイケル・ポーターが提唱した3つの競争戦略(コストリーダーシップ戦略、差別化戦略、集中戦略)の中の1つです。

▶️参考記事【競争戦略とは? ポーターの基本戦略と国内企業の実践事例を振り返る】https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00081/021700329/

差別化戦略の定義と目的

差別化戦略とは、競合他社がマネすることができない自社の製品・サービスの価格以外の特徴や付加価値をアピールすることにより、自社の競争優位性を築き上げる戦略のことです。

業界内でのポジションの確立と、市場におけるブランド力の向上、自社製品やサービスの価格が高くても売れるようにすることを主な目的としています。

差別化戦略の重要性

競争が激化する市場において、企業が成功するためには差別化戦略が必要不可欠です。

インターネットやSNSが浸透した現在の社会では、顧客には多くの製品やサービスの選択肢があります。ひと昔前と違い、良い製品・サービスを作ったから売れる、という時代ではありません。顧客のニーズに合致した自社にしか出せない魅力をアピールし、認知してもらわないと製品やサービスを利用してもらえない時代です。

一方で、競合他社との違いを明確にして、自社製品やサービスが優位であることを顧客に認知させることができれば、価格競争にならず、ニーズのある顧客に選ばれる存在になります。そのための戦略が差別化戦略です。

今後、SNSなどと同様にメタバースが浸透していけば、今以上に多くの製品やサービスの選択肢が増えてくることが予想されます。そのため、企業の生き残りや成長にとって、差別化戦略はますます重要になってくるでしょう。

差別化戦略のメリット

企業が差別化戦略を行うメリットとして、次の4つが挙げられます。

①価格競争から離脱できる

これは、企業が差別化を行う最大のメリットと言えるでしょう。

製品やサービスの基本機能は同じであっても、自社にしかできない何らかの特徴や付加価値をアピールでき、それが顧客から認められれば価格競争に巻き込まれることはありません。

たとえば、ファミリーレストランチェーンのロイヤルホストは、ホテルで出されるような高級メニューに特化しています。結果として、「いつもよりもちょっと優雅に、でも気軽に食事を楽しみたい」という消費者のニーズと合致し、価格競争に巻き込まれることなく、「高級ファミレス」という業界内で確かなポジションを確立しています。

このように、差別化を行うことで、競合他社との価格競争から脱却し、高価格でも選ばれる確かなポジションを確立することができます。

②利益率が向上する

自社の製品・サービスが他社にない特徴や付加価値を持っていることが消費者に認知されると、価格が高めであっても購入されます。

たとえば、今治タオルは、タオル生産の歴史や製造工程のこだわりなど、製品の背景にあるストーリーを訴求し差別化戦略に成功しました。

▶️参考記事【衰退一途の今治タオルが息を吹き返した“大事件”】
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1705/15/news040.html

結果として、100円均一や、ニトリ、IKEAなど、格安で高機能なタオルが出回る中、高級タオルとしての地位を確立。1枚数千円のタオルが売れ続けています。

このように、差別化戦略に成功すると、高価格であっても製品やサービスが売れます。それに伴い利益率の向上にもつながるのです。

③新規参入企業を抑制できる

差別化戦略によって業界内や市場で確かなポジションを獲得することができれば、新規で参入する競合他社の動きを抑制することができます。

なぜなら、消費者が認める優位性があり、ブランド力を持った製品やサービスに対抗することは簡単ではなく、膨大なコストや労力が必要となるからです。

たとえば、前述した今治タオルに対抗して、新しい高級タオルブランドを立ち上げることはできても、高級タオルと言えば今治タオル、と言う消費者の認識を覆すのは簡単ではありません。

これから新規で参入しようと検討している企業にとっては大きな障壁となるため、新規参入しようという決断がしにくくなります。

④自社の特徴や強みを明確化できる

自社の製品やサービスの特徴 、強みをはっきりさせられるのも差別化戦略のメリットの1つです。

差別化戦略に成功している企業の多くは「〜と言えば⚫︎⚫️」というように、自社の地位をひと言で言い表すことができます。

たとえば、「高級タオルと言えば今治タオル」、「高級ファミレスと言えばロイヤルホスト」などです。

他社にマネのできない特徴や強みは、営業活動や広告宣伝活動にも活用することができ、それによって強固なブランドイメージを構築することにつながります。

差別化戦略のデメリット

差別化戦略を行うことのデメリットとしては、次の3つが挙げられます。

①顧客離れのリスクがある

市場調査や顧客のニーズ調査が不十分なまま差別化を行うと、「ただ値上がりしただけなのでは」と顧客が離れてしまうリスクがあります。

たとえば、今治タオルを製造・販売するメーカーであるハートウェルが販売し話題となったのが『あえてカタいタオル』です。

タオルはやわらかい質感や肌触りの良さが重視される傾向がありますが、消費者調査の結果、硬い質感のタオルの需要があることが分かり、商品を開発したとのこと。

ここで重要なのが、硬い質感のタオルの需要がユーザーにあることを調査した上で商品開発を行った、という点です。ニーズがあると分かって商品を販売したからこそ、高い価格でもユーザーに選ばれているのです。

このように、差別化戦略には、「会社都合の値上がり」だと認識されないための説得力が必要になります。

差別化によって上昇した価格に納得できなければ顧客は自社より安い競合他社に流れるため、市場シェアの縮小に繋がりかねません。

そのため、まずは市場調査を行い、ユーザーのニーズを調査した上で、自社にしか出せない差別化を考えていくことが重要です。

②多大な費用や労力がかかる

差別化戦略を行うためには、市場調査や差別化のための技術開発などに多くの労力や費用が必要となります。市場調査や差別化にかかる労力や費用に見合う利益が得られなければ、差別化戦略が成功したとはいえません。

特に自社の特徴や強み、市場、競合他社、顧客ニーズ分析などが必要になるため、リサーチに膨大な時間と労力がかかります。また、確立したオリジナルの価値を顧客に伝える必要もあるため、広告宣伝やブランディングが必須となり、さらに多くの時間と労力を要します。

消費者がブランド価値を理解して認知するまでには時間がかかるのが前提です。差別化戦略には継続的な取り組みや、それに伴う労力と費用が必要になると考えておきましょう。

③競合他社に模倣される可能性がある

差別化戦略がうまくいき、自社製品やサービスの認知度が向上したとしても、競合他社に模倣されて類似の製品やサービスを安い価格で販売され、顧客を奪われる可能性があります。

模倣され顧客が奪われると、差別化戦略のために投資したコストを回収できなくなったり、競合他社にシェアを奪われてしまったりする可能性も十分に考えられます。

このようなケースも起こりうることだ、と認識した上で、事前に対策などを考えておく、商標権を申請しておく、などの対応も重要です。

差別化手法の一例

差別化戦略においては、何を対象に差別化を行うかが重要です。具体的には、以下のような手法を組み合わせることで、競合他社と差をつけることが可能になります。

  • ・製品やサービス
  • ・価格
  • ・ブランドイメージ
  • ・顧客体験

これら4つを対象にした差別化手法について詳しく見ていきましょう。

製品・サービスの品質向上

製品やサービスの品質向上による差別化は、最も一般的な差別化手法です。

具体的には、消費者が他社との違いを明確に感じることができる特徴や付加価値を製品やサービスに持たせる、ことで差別化を行っていきます。

たとえば、「1リットル30kmの燃費性能の車が一般的な中で、1リットル50kmの燃費性能を持つ車を開発する」などです。

一般的な差別化手法ではありますが、品質や新技術などで差別化する場合は、大きなコストがかかるので、商品やサービスを生み出すまでのストーリーや自社のこだわり、ユーザーのニーズ調査結果などをヒントにどの部分を差別化していくのかを検討してみると良いでしょう。

価格戦略の工夫

他社と比較して優位となる価格設定を行い、顧客から選ばれるようにする差別化手法です。必ずしも低価格にすることとは限りません。

代表的な価格による差別化戦略としては、「低価格戦略」「高価格戦略」「中間価格戦略」などがあります。

  • ・低価格戦略:最も一般的。他社よりも低い価格を設定する戦略
  • ・高価格戦略:製品やサービスに高い品質や付加価値を付加して高い価格を設定するもの
  • ・中間価格戦略:コストと価値とのバランスを考慮して価格を設定する戦略

いずれの価格戦略においても、価格に対する消費者の受け止め方や競合他社の価格設定などを正確に分析することが必要です。

価格戦略の工夫をする際には、競合他社などを価格帯ごとに分類したり、ユーザー調査結果などの分析から初めてみると良いでしょう。

ブランドイメージの構築

ブランドイメージの構築による差別化は、ブランドのイメージや価値を高めて競合他社との差別化を図る戦略で「ブランディング」と呼ばれることもあります。

ブランドによる差別化には、ロゴのデザインやカラー、ブランドストーリー、パッケージデザイン、宣伝広告などがあります。

重要なのは、これらすべてに一貫性を持たせることです。

商品自体を高級路線で差別化し、ブランドストーリーも立派なものを作ったのにも関わらず、パッケージがチープだったり、ロゴやデザインが古臭かったりしては、その商品が高級であるという説得力がなくなってしまいます。

結果として差別化戦略の効果が十分に発揮できません。

「商品だけ」「ロゴだけ」ではなく、商品を中心として、顧客が触れるすべてのものを1つの方向性に沿って作り上げていくことがブランドイメージの構築にとって何より重要です。

顧客体験の充実

顧客体験とは、顧客が製品やサービスに興味を持った段階から購入・使用・アフターサポートに至るまでの一連の経験のことです。

一連の購買プロセスの中のすべての接点で、いかに顧客に優れた体験を提供できるのかを考えていくことで、他社との差別化が図れます。

たとえば、高級デパート伊勢丹で買い物をした際に、スーパーの袋や100円均一で買えるような紙袋に商品を入れられたらどうでしょうか。

おそらく、「せっかく高級なものを買ったのに…」と少しがっかりした気持ちになると思います。

このように、製品やサービスの特徴や付加価値だけではなく、あらゆる顧客との接点で優れた顧客体験を提供することが差別化戦略において重要になります。

差別化戦略成功のポイント

差別化戦略を行う前の段階で、手間や時間をかけて、確かな戦略を確立させることが重要となります。

差別化戦略を成功させるための主なポイントは、次の4つです。

①ターゲットを明確にする

全ての顧客を対象にするのではなくターゲット層を明確にすることによって、ターゲット層のニーズに合わせた差別化戦略を行うことができます。

たとえば、ある不動産会社は、競合他社や大手企業との差別化に悩んでいました。しかし、高額所得者であり、高額納税者でもある医師をターゲットに設定し、不動産投資サービスを展開することで、他社との差別化に成功しています。

「不動産投資サービス」よりも「医師向けの不動産投資サービス」の方が、医師への訴求力が強く働き、結果として売上につなげることができた差別化戦略の好事例と言えるでしょう。

このようにターゲットを明確にしているからこそ、商品やサービスの方向性が決めやすくなります。

②消費者のニーズを分析して把握する

差別化戦略を成功させるためには、消費者のニーズを徹底的に分析して正確に把握することが何より重要です。

なぜなら、消費者がどのような製品やサービスを求めているのかを正確に把握できなければ、いくら差別化をしたとしても受け入れてもらえないからです。

たとえば、スポーツカーメーカーが差別化戦略として、ファミリー向けのスポーツカーを開発したとしましょう。さらには、ファミリー向けということもありスポーツカーの中では燃費性能がNO1、車室も家族4人がゆったり乗れるNO1の広さ、というものだったとします。

性能だけ見れば差別化ができているように見えますが、そもそも大半のファミリー層は、選択肢としてスポーツカーを選びません。この場合、いくら差別化ができているとは言え、消費者から受け入れてもらえないことが容易に想定できます。

このように、いくら差別化を図ったとしても、それがユーザーのニーズに合致していないものだったとしたら、いくら性能が良かったとしても受け入れてもらえません。

そうならないためにも、まずは差別化戦略を図る前に、消費者がその製品やサービスに関して重視しているポイントや欲している付加価値が何かを知る必要があります。

③競合他社を徹底的に分析する

競合他社を徹底的に分析することによって、自社の製品やサービスの取るべきポジションが見えてくる可能性もあります。

代表的な競合分析手法として「3C分析」や「4P分析」があります。

3C分析はCompany(自社)・Competitor(競合他社)・Customer(顧客)の3つの要素に注目して分析する手法、4P分析はProduct(製品)・Price(価格)・Place(流通チャネル)・Promotion(販促)の4つの要素に注目する手法です。

このような競合分析手法の分析によって自社よりも競合他社が優れている点や競合他社の戦略などが見えてくるため、分析結果をもとに自社の戦略を検討することができます。

たとえば、競合他社が低価格戦略を取っていることが分かった場合は、自社では高品質や高付加価値をアピールすれば差別化を図りやすくなるでしょう。

④自社の強みを見つける

自社にしか出せない強みは何なのか、を考えることも差別化の方向性を見出すのに有効です。

簡単なのが、競合他社と自社を比較することです。

競合他社分析だけではなく、自社と比べてどうか、も調べてみましょう。

代表的な手法としてStrength(強み)・Weakness(弱み)・Opportunity(機会)・Threat(脅威)の4つの要素に注目して分析を行う「SWOT分析」があります。

これによって強みと機会を生かして弱みと脅威に対処する戦略立案ができます。

また、顧客へのヒアリングや自社の中で顧客と直接接している社員へのヒアリングも重要です。顧客や消費者の生の声や隠れた要望の中から、自社の強みが見つかる可能性もあります。

差別化戦略のためのブックマーケティング手法

差別化戦略の手法の1つとしてブックマーケティングも有効です。

なぜなら、書籍を使えば、自社の強みやこだわりなどをターゲット層に的確に伝えることができるからです。

人が文章を読まないと言われる時代ですが、それは無料で読める媒体に限ってのことです。お金を出して書籍を買って、読むまで積読しておくことはあっても、全く読まない、という人は少ないと思います。

書籍という信頼性が高く、読まれやすい媒体で、自社製品やサービスへのこだわりや、特徴、付加価値、企業理念や代表の考え方などを紹介することで、自社のことを知ってほしいターゲット層に効果的に認知してもらうことができます。

書籍は手に取ってもらえさえすれば、企業側にとっては長文を読んでもらえ、読者を拘束できるのがメリットです。そのため、見込み顧客の教育や、関係性の構築に多大なコストや長い時間をかけることなく、書籍1冊だけで製品やサービスが売れるきっかけを作ることができます。「Web広告やSNSを試してみたけれど、顧客の教育や関係性の構築が難しい」と感じる企業などに適した方法と言えるでしょう。

また、書籍を出版していることによる信頼性の向上や、書籍を買ってくれた質の高い顧客からの問い合わせの獲得が期待できます。

「書籍を出しても手に取ってくれなかったら意味がないのでは?」と不安に思う方もいらっしゃると思いますが、もちろんただ書籍を出すだけでは名刺程度の効果しかありません。

ただ書籍を出すだけではなく、次のように、あらゆる手を尽くして、ターゲット顧客に書籍のコンテンツを読んでもらえるようにするのがブックマーケティングです。

  • ・書店営業
  • ・クラウドファンディング
  • ・Youtube運用(配信)
  • ・SNS運用
  • ・PR
  • ・メディア露出
  • ・フォローセミナーの開催
  • ・クロスセル、アップセル

▶️ブックマーケティングのメリットや効果については、関連記事【ブックマーケティング(企業出版)のメリットとは? 企業が考えるべき出版による効果】もあわせて参考にしてください。

ブックマーケティングを取り入れた成功企業事例

ブックマーケティングは、特に消費者側に差別化をしていることが分かりづらい業種やビジネスモデルを持っている企業や、ひと言では言い表せないような特徴や優位性を持っている企業などに効果的です。

実際にブックマーケティングを取り入れて、競合ひしめく中で差別化戦略に成功した企業の事例を2つ紹介します。

出版によりエリアでのブランド確立を実現した保険代理店の事例

1つ目は埼玉県の保険代理店の事例です。

出版した書籍の中で保険業界の現状と問題点を解説。これからの保険代理店経営に必要な考え方やシステムについて述べています。

保険業界では成果に応じて給与が決まる「成果報酬型」が当たりまえですが、結果として少数のスーパー営業マンに頼る経営になってしまいがちです。

この保険代理店の経営者は、少数のスーパー営業マンに頼る経営に疑問を持ち「一律報酬型」に変えることによって、アベレージヒッターを育てて業績拡大ができることを紹介。

出版の結果、各種セミナーに講師として招かれたり、新たなコンサル契約を獲得したり、紹介者が増えて保険契約数が伸びるという効果が得られ、エリア内でのブランドを確立することができました。

このように、「なぜ一律報酬型が重要なのか?」「少数のスーパー営業マンよりもなぜ、アベレージヒッターが重要なのか?」は、とてもひと言では言い表せません。

そこを書籍にまとめ、保険代理店を経営するターゲット層にブックマーケティングで的確に届けられたことが、この結果を作り出したと言えます。

差別化成功で圧巻の受注率を実現した不動産会社の事例

2つ目は東京都の不動産会社の事例です。

この経営者は、高収入でありながらも多忙で投資リテラシーを持っていない人が多い医師をメインターゲットとして不動産投資や節税についてまとめた書籍を出版しました。

高所得者である医師の悩みとして高額な税金があげられますが、最も効果的な節税対策として不動産投資があることを紹介しています。

出版した結果、大きな節税効果のある投資方法として不動産投資を認知してもらうことができ、多くの医師からの受注を獲得しました。

また、書籍からの問い合わせがほぼ100%不動産投資案件の成約につながる、という圧倒的な受注率を叩き出しています。

この経営者は、医師に特化するという差別化戦略を実施していますが、そもそも忙しい医師に不動産投資の節税メリットなどを商談や広告だけで伝えるのは、限界があります。

一方で書籍は医師に限らず多くの知識欲求層が読みます。ひと言では語れない、理解してもらえないようなものだからこそ、ブックマーケティングで的確にターゲットとなる医師に書籍を届けることができ、しっかりと読んでもらえたことが、この結果を作り出したと言えます。

まとめ

以上のように、差別化戦略を行うことで、競合他社にはマネできない独自の魅力を作り出し、業界での競争優位性を高めることができます。

簡単に見える差別化戦略ですが、安易に行うとかえって顧客が離れたりしてしまいます。そのため、事前に顧客のニーズを調査し、ニーズと合致した差別化を見出していくことが何より重要です。

また、ターゲットとなる層に的確に届けていくことも差別化戦略の成功にとって重要です。そんな中、差別化戦略の手法の1つとして、ブックマーケティングが注目されています。

書籍をただ出版するだけの自費出版とは違い、書籍をターゲット層に手に取ってもらえるようにあらゆる施策や手法を総合的に用いていくのがブックマーケティングです。

ブックマーケティングにより、自社の特徴や強みなどを特定のターゲット層に効果的にアピールすることができるので、差別化戦略の1つの手法として注目されています。

今現在、差別化戦略や自社のブランディングなどを検討されている方は、1つの方法としてブックマーケティングを検討してみてはいかがでしょうか。

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参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから

執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)

福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経営法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を歴任し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。

出版したいと考えた時に選択肢になるのが自費出版。

ただし、自費出版にはトラブルがつきものです。

本記事では、自費出版を実施する際に注意すべきポイントや企業や個人が心配するトラブル、リスクについて解説しています。

PRやブランディング、自己表現などを目的とした出版社選びの参考になる記事コンテンツです。

目次【本記事の内容】

自費出版におけるトラブルとは

自費出版は、個人でいえば自己を表現するための手段であり、企業にとってはブランディングやPRの手段の意味合いがあります。

しかし、そんな自費出版にはトラブルがつきものです。具体的なトラブルの事例を解説しましょう。

制作中のトラブル

自費出版で注意したいのは制作中に発生するトラブルです。

編集者との相性が合う合わないといった部分はもちろんありますが、校正や校閲でのトラブルも考えられます。

たとえば、事実無根な内容を記載したまま出版してしまったり、人名やプロフィールなどの重大なミスがあったりなどです。

書籍は200ページ前後で、文字数に直すと7万字前後の量があります。全て著者や編集者、校正士ら人の目でしか確認できないため、ミスは出る時には出てしまいます。取り返しのつかないミスに繋がらないように、重要なポイントは何度も確認するようにしましょう。

また、執筆をライターに代行してもらうケースも珍しくありません。企業出版という手段であれば、ライターがインタビューして執筆することは一般的ですが、自費出版の場合は初回の取材からいきなり初対面のライターがやってくるというケースもあるようです。

結果的に自分の意思や意向に反する原稿が上がってくることがあるので、執筆を代行してもらう場合は企画段階からきちんと編集者がサポートしてくれるのかは事前に確認をした方が良いでしょう。

印刷や製本の品質トラブル

自費出版は、執筆した本を印刷して製本するまでがゴールです。

ただし、この印刷工程でトラブルが発生しやすいので気をつけましょう。

たとえば、印刷時のかすれや色むら、落丁などです。インターネットが普及している昨今なので、ウェブコラムなどは修正があればすぐに対応できますが、紙媒体は一度印刷してしまえば取り返しがつきません。

もちろん、失敗した場合に刷り直しをしようとすると、追加の費用が発生します。そのため、ゲラ(誤字脱字チェック用の校正刷り)を試し刷りする段階で、しっかりとチェックすることをおすすめします。

流通や販売のトラブル

自費出版では、流通や販売で著者と出版社の「言った言わない」のトラブルが発生しがちです。

その主な要因が、出版業界ならではの仕組みや慣習の存在。一般的には書籍が完成したら、当然のように書店に並ぶものだと考えている人もいます。

しかし、本を書店に流通して陳列させるのはそう簡単なことではありません。

書籍の流通の仕組みはかなり特殊で、出版社と書店の間には取次という問屋が存在します。その取次が出版社の実績などを踏まえて、配本を組み立てているのが通例です。

一般的に自費出版と呼ばれる手段の場合は、部数が限られていることや版元の営業力がそれほど強くないことが要因で、結果的に書店に全然並んでいないことは珍しくありません。

そのため、書籍を出版することになった出版社には流通システムについて、きちんと確認を行いましょう。具体的には次の項目を確認すると良いでしょう。

  • 配本可能な書店数(目安)
  • 配本可能な書店の規模感
  • 書店でどのように配本されるか
  • どのように書店営業を実行するのか
  • 書店プロモーションの実施可否
  • ちなみに、SNSやメディア露出などで影響力のある著者でない限りは、初めての出版できちんと書店に並ぶのは至難の業です。書店で販売していきたい意欲をお持ちであれば、どの程度のプロモーションを実施するのかは、出版社に事前確認すると良いでしょう。

    販促活動の不備や効果不足

    自費出版でよく聞かれる不満として、「思ったほど販促活動をしてもらえなかった」という声があります。

    出版社にもよりますが、書店に並ぶというメリットをバリューにして提案するところが大半です。しかし、注意してほしいのは最終的に書籍を並べるかどうかの判断をするのは書店員である点です。これはネームバリューのある大手出版社であっても同様です。

    出版の流通におけるトラブルの多くは認識の相違から生まれます。

    書店への販促活動や広告施策、プロモーション活動などを、契約内でどれほど実施してもらえるのかは必ず確認しましょう。

    著作権や権利のトラブル

    自費出版において重要なのは権利関係の確認です。

    大きく3つの権利があり、それぞれ著作権、出版権、所有権です。

    書籍を執筆したのが著者である以上、著作権が著者に帰属するのは当然でしょう。一方で、一般的に聞き馴染みがないのが出版権です。

    出版権とは、著者側が出版社に対して著作物を販売して良いという許可を与えること。著作権が著者にある以上、著作物の二次利用については著者である程度自由に活用できるのですが、書籍の「文庫化」や「映画化」の話が来たら著者だけで判断することができません。

    なぜならば、文庫化や映画化することは書籍の売り上げに直結することだからです。出版社は出版権を保有している以上、そのような話が舞い込んできた時にどのように対処するかを話し合って決める必要があります。

    細かい取り決めは出版社との契約内容で変わってくるので、事前に確認をしておきましょう。

    所有権については、著作物の実物がどちらの手元にあるかで変わってきますが、著者に納品された書籍は著者に、流通・販売する書籍は出版社に所有権があります。

    自費出版を検討する際に注意すべきポイント

    次に、具体的に自費出版を検討する際に、どのような点に注意したらよいかを解説します。

    出版社の信頼性と実績

    書籍を出版する場合、いかに出版社が信頼できるか、実績があるかを確認することは重要です。

    現在、出版社は全部で2907社ある(日販による「出版物販売額の実態」最新版(2021年版)より)と言われており、正確な数字は不明ですが自費出版のサービスを提供している出版社も少なくありません。

    その中で、営業力および流通力がある出版社はごく一部です。そのため、一般的に誰もが知るような出版社で本を出すことが一番安心できるでしょう。

    ただし、大手の出版社は多くの人員を抱えており、制作体制や流通力を担保できる一方で、多額の出版費用がかかってしまいがちです。

    そのほか、自費出版サービスの提供会社には、過去の出版物や編集者の制作実績を確認することをおすすめします。自費出版を検討するうえで、費用は重要なポイントになるでしょうから、いかに信頼と実績でバランスの良い会社を選択するかが大切です。

    契約内容や条件の確認

    自費出版をいざ実行しようとすると、出版契約書を締結することになります。

    出版契約書で確認する事項として重要なのは下記のポイントです。

  • 書籍の仕様(判型、本文カラーもしくはモノクロ、ページ数、写真やイラストの有無)
  • 書籍の納期(出版時期)
  • 書籍の制作部数(流通部数と著者への納品部数の内訳)
  • 自費出版の著者負担費用および支払い回数と時期
  • どこまで予算内で制作してくれるか(どこから追加予算がかかるか)
  • 権利の帰属(著作権、出版権、所有権の記載があるか)
  • 印税の有無
  • 増刷する場合の費用負担はどちらか
  • 追加で著者が買取をしたい場合の割引や費用負担について
  • 確認すべき項目は多いですが、最低限でも上記は確認しましょう。

    なかでも書籍を出版する著者として、印税は気になるところだと考えられます。自費出版の印税はさまざまな形態があります。初版から印税が発生するケースは稀ですが、重版をしたら印税が支払われるケースがあります。

    自費出版と似て非なる手法として企業出版がありますが、企業出版は広告の手段として実施するケースがほとんどですので、印税を目的に出版を検討するものではありません。

    費用や予算の明確化

    自費出版は著者が費用を負担します。

    そのため、書籍を制作するのにいくらかかるのか、著者自身の予算はいくらまでなのかをある程度明確にする必要があるでしょう。

    出版のトラブルの一つでもよくありますが、後になって想定していた予算以上に追加費用がかかってくるケースは悩みの種となります。書店に流通するプロモーションや広告宣伝のための予算も含めていくらでやってくれるのかは、事前に出版社に確認をしておきましょう。

    販売・宣伝活動の充実度

    書籍を出版した以上は「本を売りたい」と思うのは自然なことです。

    そのためには、出版社がいかに書店営業活動や販売活動に懸命になってくれるかが重要でしょう。

    書籍は発売したら簡単に売れるというものではありません。読者がその本を知るきっかけを作る必要があるからです。

    事前の書店営業活動にどれだけ熱心に動いてくれるか、広報および広告宣伝をどれだけやってくれるか、書籍を売るためのプラン計画は必要不可欠です。

    本を売るためのプロモーションの方法など、さまざまなアイデアを提案してくれる出版社と組むことがポイントです。

    自費出版成功のための具体的な対策

    自費出版をどこから成功と呼べるのかの基準は、著者自身の中にしかありません。

    書籍を出版することがゴールなのか、それとも届けたいターゲットに届けることがゴールなのか、より多くの人々に届けてベストセラーを目指すのかなどです。

    著者の期待値と理想を、出版社ができる役務内容といかに近づけられるかを確認しましょう。

    プロの編集者への依頼

    自費出版の成功には、腕のある編集者に担当してもらうのが一番の近道です。

    書籍の制作には編集者やライター、校正者、デザイナーなど多くの人員が関わります。この人員をまとめ上げ、ディレクションするのが編集者の仕事です。

    著者の最大の理解者になる必要があるため、お互いに知り合う場を作ることが大切でしょう。

    また、編集者にはジャンルによって得意や不得意があります。これまでの編集・制作実績でどのようなものがあるかを事前に確認するのをおすすめします。

    実績のある編集者であれば、ライターやデザイナーといったクリエイターも多くの繋がりがあります。著者の出版したい内容に応じて、最適な制作布陣を作り上げられるかも成功の鍵となるでしょう。

    マーケティングプランの検討

    執筆した書籍を届けたいターゲットが明確であるほど、具体的なマーケティングプランが必要です。

    どのように販売するかという流通・販売戦略も重要ですが、一番大切なのは企画段階からのペルソナの設計。作り上げた企画が世の中にどれだけ求められているのか、どのようなターゲットにニーズがあるのか、そもそもどのようなターゲットに届けたいのかなどです。

    だからこそ、前述したとおり、腕と実績のある編集者に担当して提案をもらうことがとても重要といえます。

    費用対効果の高い販促活動

    書籍の販売促進のためのプロモーションはさまざまです。

    自費出版をする目的に立ち返って、その目的を達成するにはどのようなプロモーションが効果的かを検討しましょう。

    書籍の販促活動で効果的なのは、新聞広告です。新聞の購読者数や広告費は年々減少をしていますが、ビジネス書やシニア向けの書籍の場合はいまだに新聞広告で売り伸ばしが図りやすいです(新聞広告データアーカイブ「新聞広告月間動向」より)。

    ほか、店頭で目立たせて手に取ってもらうためには、書店でのプロモーションも検討の余地はあるでしょう。

    ▼書籍出版の効果的なプロモーションについては「出版マーケティングの効果的なプロモーションとは? 広告手段も解説」でも紹介していますので、合わせてお読みください。

    自費出版と他の出版方法の比較

    書籍出版の方法は、自費出版のほかにもさまざまです。企業出版や商業出版、近年では電子書籍のみやオンデマンド出版という方法もあります。

    自費出版のメリットとデメリット

    自費出版は、著者自身が費用負担することで書きたいテーマで本を作ることができます。

    では、自費出版のメリットとデメリットを紹介しましょう。

    <メリット>

  • 企画には著者の意思が自由に反映できる
  • 著者の希望や予算に応じて、発行部数が調整しやすい
  • 名刺や営業ツールとして活用できる
  • 「本を出版した」というステータスになる
  • <デメリット>

  • 制作費から印刷費、倉庫保管費など出版にかかるコストは全て著者負担
  • 市場にほとんど流通しないため、名刺代わりのツール以外のブランディング効果は薄い
  • 印税をはじめとした金銭的なメリットは期待しづらい
  • このように、自費出版は自由度が高い一方で、自己満足で終わる可能性が高く、あくまで「本を作った」という実績が欲しい人のための手法といえます。

    企業出版のメリットとデメリット

    企業出版は、企業や法人、または個人が自身のブランディングやPRのために本を作ります。では、企業出版のメリットとデメリットを紹介しましょう。

    <メリット>

  • 自社ブランディング効果にくわえ、集客や採用など、さまざまな経営課題の解決につながる
  • 出版社の流通網を活用し、全国の書店やAmazonなどのインターネット書店で販売される
  • 自社のアピールしたいサービスや商品を意識した企画を作ることができる
  • <デメリット>

  • 自費出版と比較すると、負担する費用が高額
  • 出版社によっては編集経験の乏しい新人が担当になることがある
  • 大部数で流通した場合に多くが返品になり無駄なコストがかかることがある
  • このように、企業出版は一定の広告コストを負担する必要がありますが、ブランディング効果が期待できます。明確な目的やテーマがある法人は、企業出版は一つの選択肢となりえるでしょう。

    ▼企業出版については、「企業出版のメリットとは? 企業が考えるべき出版による効果」でも詳しく解説しているので、合わせてお読みください。

    商業出版のメリットとデメリット

    商業出版は、出版社が企画を作り、制作費も出版社が負担します。

    では、商業出版のメリットとデメリットを紹介しましょう。

    <メリット>

  • 著者の費用負担がない
  • 販売部数を伸ばすことが目的のため、プロモーションも全て出版社負担
  • 「商業出版をした」実績はブランディング効果絶大
  • 売れれば印税が支払われるため、副収入が期待できる
  • <デメリット>

  • 企画は出版社主導のため、著者がやりたいテーマで出版できるとは限らない
  • 売れなかった場合に再び商業出版の声がかかることはほぼない

    このように、商業出版はブランディング効果やメリットが大きい出版方法です。ただし、声がかかるかは著者の認知度や専門性といった要因が必要なので、声がかかるハードルはかなり高いでしょう。

    電子書籍のメリットとデメリット

    電子書籍は紙で印刷せずに、電子データとしてオンラインストアのみで販売する出版方法です。電子書籍のメリットとデメリットを紹介しましょう。

    <メリット>

  • 印刷不要のため、その分安く出版できる
  • 在庫リスクがないため、その後のコストの心配もない
  • 取り寄せの必要がないので、読者は購入後すぐに読むことができる
  • <デメリット>

  • 書店には並ばないため、新規の読者に見つけてもらいづらい
  • 人に配布するなど二次的な活用ができない
  • 実物が手元に残らないため、「本を出した」というブランディング効果も薄い
  • このように電子書籍は、圧倒的にコストを抑えて出版することができます。ただし、実物がない分、人に渡しづらいのは難点です。紙の書籍出版にくわえて、電子書籍の購読者にも広く読んでもらうためのオプションのような立ち位置と考えた方が良いでしょう。

    オンデマンド出版のメリットとデメリット

    オンデマンド出版は、オンデマンド印刷という技法を活用して、読者から注文が入ってから印刷して販売する出版方法です。オンデマンド出版のメリットとデメリットを紹介しましょう。

    <メリット>

  • 1部単位から少部数で印刷ができるため、費用負担も少ない
  • 在庫リスクがないため、その後のコストの心配もない
  • 版を作らずに印刷するため、都度の修正にも対応しやすい
  • 品切絶版になりづらい
  • <デメリット>

  • 大量印刷には向かない
  • オフセット印刷と比較して品質は低い
  • このように、オンデマンド出版は安価に少部数から作れるのが魅力です。ただし、たくさん売りたい、大量に配布したいといったニーズがある場合は余分にコストがかかるうえ、印刷の品質が低いため、出版社で流通する書籍と比べると箔もつきづらいでしょう。

    企業出版という選択肢

    ここまで企業出版という出版手法が何度か登場しました。この企業出版という選択肢について見ていきましょう。

    自費出版と企業出版は何が違う?

    自費出版と企業出版は、著者が費用を負担する出版という意味では同義です。

    最も大きな違いは、出版する「目的」です。

    自費出版は、自己表現のための出版で、書籍を流通して販売することは二の次です。

    一方、企業出版は、経営者もしくは法人がブランディングやPRなどの目的を持っていることが多いです。広告を打つときに「商品の販売促進のため」などの目的を持つことと同じです。

    とくに企業出版は、高額商材を販売している業種・業態の会社や一言で説明が難しいようなサービス・商材を販売しているような会社には向いています。

    書籍はほかの広告宣伝手段と比較して、圧倒的にボリュームが多いからです。書籍が営業マンの代わりとなって、自社の説明ツールの役割を果たし、商談が進めやすくなると喜びの声も少なくありません。

    ▼経営者や企業が検討する出版については、「本を出版したい! 経営者が取り組むべき書籍出版とは」でも解説しているので、合わせてお読みください。

    企業出版に向く業種・業態

    企業出版に向く業種や業態は、次のような方々です。

  • 税理士
  • 弁護士
  • 司法書士
  • 開業医(医療クリニックの院長、医師)
  • 整体師
  • 経営コンサルティング
  • 不動産投資会社
  • 注文住宅の建築会社
  • 健康食品の製造・販売会社
  • 予備校(医学部受験予備校など)
  • また、上記にくわえて、一般の広告で効果が感じられなかったり、情報発信の手段に悩んでいたりする人にはおすすめの手段です。

    企業出版は目的以外にも、ターゲットが明確であればあるほど効果が期待しやすいため、前述の業種・業態のほか、地域に特化したエリアマーケティングに取り組む事業者とも相性は良いでしょう。

    ▼エリアマーケティングについては、「出版によるエリアマーケティングのススメーー地域で勝つための営業戦略」でも解説しているので、合わせてお読みください。

    まとめ

    以上、自費出版のトラブル事例や各種出版の方法ごとの特徴を解説しました。

    トラブルについては「自費出版商法」や「自費出版詐欺」のように、著者に夢を与えて騙すような出版社や出版コンサルタントも存在します。

    今回の記事で解説したようなポイントを踏まえて、まずは自分のニーズを満たしてくれる出版方法なのか、きちんと納得した上で出版に踏み切ることをおすすめします。

    少しでも疑念があるようであれば、出版社の担当者と細かく確認を取り合って、お互いに信頼できる関係性を築いたうえで契約をしましょう。

    ▼パノラボ出版のご案内はこちら

    https://forway.co.jp/panolabo/lp/

    参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから

    執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

    慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

    パンフレットは、企業にとって顧客に行動を起こしてもらう上で重要なツールです。

    用途としては、企業のサービスや商品のメリットを訴求した営業ツール、新卒や中途採用のための会社案内などさまざまです。

    本コラムでは、ビジネスやイベントのプロモーションにおいて効果的なパンフレットの作り方を紹介します。

    そもそものパンフレット作成の重要性だけでなく、構成の準備、コンテンツの制作、デザインのポイント、印刷と配布の手順、業者選定の仕方まで、包括的なガイドになることを目指しました。

    目次【本記事の内容】

    執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

    慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

    ◉パンフレット作成の目的とは?

    パンフレットは、ビジネスやイベントのプロモーションにおいて重要な役割を果たします。

    たとえば、営業ツールとして活用したパンフレットを見込み顧客に配布することで、自社サービスを導入するきっかけになるなどです。

    企業および法人がパンフレットを制作する目的は、配布したツールを通じて、自社のサービスや商品についてより多くの人に知ってもらうこと。

    さらに、パンフレットを配布することで、自社の理念を訴求できるため、ブランディングイメージを構築することにもつながります。

    一般的な営業資料と異なるのは、一度配布すれば捨てられづらい点です。A4用紙で出力してホッチキスで綴じた営業資料の場合は、必要ないと認識されればすぐに捨てられてしまいます。

    その点、パンフレットはすぐに必要ない場合でも、長期的に手元に保管をしておいて、いざ必要になった時に見込み顧客から自社のことを思い出してもらって問い合わせにつながるようなケースもあるのです。

    ◉パンフレット作成の準備の仕方

    パンフレット作成に取りかかる前には、いくつかの準備が必要です。

    準備が必要なのは、「目的の設定」「ターゲットの設定」「構成・掲載コンテンツの確定」「デザイン・サイズの決定」です。

    一つひとつ詳細を解説します。

    ◉-1、準備その1:目的の設定

    パンフレットの作り方において、まず決めなければならないのは「目的の設定」です。

    目的といってもさまざまあります。「自社商品やサービスの紹介をしたい」「新規出店の店舗の告知をしたい」「開催イベントの告知をしたい」「会社の理念や概要を理解してもらいたい」などです。

    パンフレットを配布した見込み顧客に、その後どのような行動変容を促すかが重要なのです。

    目的さえ明確になれば、軸がぶれずに伝えたいターゲットに、伝えるべき要素を発信することができるでしょう。

    ◉-2、準備その2:ターゲットの設定

    パンフレットの目的が決まったら、次は伝えたい「ターゲットの設定」を考えましょう。

    たとえば、大学受験の予備校が集客目的で配布用のパンフレットを制作する場合、誰に受け取ってもらうべきかを想定することが大切です。

    大学受験予備校の場合は、入塾するのはもちろん高校2〜3年生の学生本人ですが、入塾の意思決定をするのはその保護者です。実際に入塾してもらった後のイメージを学生に向けて伝えることはとても大事ですが、保護者にとって魅力的な予備校だと思ってもらえなければ入塾にはつなげることができません。

    その他の事例でも、ターゲットの深掘りは重要な要素となります。

    女性向けの化粧品を扱っているような会社であれば、女性受けのするデザインにするなどの工夫が必要ですが、さらに狙うべき年齢層によってもデザインのテイストは大きく変わります。

    あくまで自社が集客したいターゲット、もしくは今後集客していきたい新規顧客層をイメージすることが重要でしょう。

    ◉-3、準備その3:構成・掲載コンテンツの確定

    パンフレットの目的とターゲットが明確になったら、次に決めるのは掲載コンテンツです。

    目的が集客であれば、ターゲット顧客が商品を購入したい、サービスを導入したいという魅力が伝わる構成になっているかを想定しながらコンテンツを作りましょう。

    企業の会社案内を制作する場合は、たとえば次のような構成が考えられます。

    ・代表のあいさつやメッセージ

    ・企業理念

    ・業務やサービスのご紹介

    ・役員や社員の紹介

    ・自社の代表事例の紹介

    ・社員インタビュー

    ・沿革

    ・会社概要

    会社案内の場合は、配布先が多岐に渡ります。取引先や新規の営業先、新卒や中途の応募者、投資家などのステークホルダーなどです。

    このようなコンテンツは、通常業務で扱う文章のボリュームとは大きく異なります。会社案内のコンテンツを考えるリソースが割ける場合は別ですが、そうでなければ制作会社などに外注することも視野に入れることをおすすめします。

    ◉-4、準備その4:デザイン・サイズの決定

    パンフレットの掲載コンテンツが固まったら、実際に印刷工程の仕上がりを想定します。

    会社案内をはじめとしたパンフレットを制作するにあたり、デザインにはこだわりたいところ。一方で、多くの企業が陥りやすい落とし穴は、最初にデザインの方向性を考えることです。

    デザインにばかりこだわっていると、大事な中身が伴わないパンフレットができてしまいます。

    そのため、先に構成やコンテンツを考えてから、その後にデザインに着手をすることが大切だといえます。

    デザインは、会社案内の場合は企業カラーやコンセプトに合わせて、取引先や顧客に渡すことを想定して信頼感や安心感が演出できるようにすると良いでしょう。

    サイズについては、パンフレットの場合はA4サイズが一般的です。携帯しやすいハンドブックサイズのものなど、目的に合わせたサイズを設定することもあります。

    ちなみに、ページ数は4の倍数で設定することをおすすめします。パンフレットの場合は、ボリュームにもよりますが、手渡し用では12ページや16ページで構成されることが多いです。

    4の倍数でない場合は、印刷代が高くなってしまう可能性があるので注意しましょう。

    書籍のように厚みのあるタイプと異なり、パンフレットの場合は中綴じと呼ばれるホッチキス綴じ製本がおすすめです。一方、書籍で主に使われる綴じ方は無線綴じといいます。

    ◉パンフレットの依頼先の選び方

    ここまでに紹介したように、パンフレット制作には様々な工程とコンテンツを作るリソースが必要になります。

    そこで、自社で制作がリソース的に厳しいようであれば、プロの制作会社に依頼を検討しましょう。

    依頼先の選定基準は次のとおりです。参考にしてみてください。

    ◉-1、選定ポイント①:制作実績が豊富

    パンフレット制作の依頼先として、とくにポイントとなるのは制作実績でしょう。

    同業界の制作事例があるか、同じような目的で制作したパンフレットがあるか、などが選定基準となります。

    ただし、ただパンフレットの制作実績が豊富であるかだけでなく、企業のパンフレット制作において重要なのは企業のコンテンツ制作にどれだけ多く携わってきたかです。

    パンフレット制作を請け負う業者としては、デザイン制作会社、印刷会社、編集プロダクション、広告代理店などが考えられます。

    デザイン制作会社の場合は、デザイン性を重視する場合に選択肢となりますが、費用が高額になるケースが考えられます。

    印刷会社は、入稿されたデータを印刷することが本分です。なかにはデザイン制作から印刷・納品までを一括で対応してくれるところもあります。自社で印刷が対応できる分、ほかの業者よりは安いですが、デザイン性やコンテンツの制作力に長けているわけではありません。

    編集プロダクションは、出版社からの依頼で編集や企画を請け負っているケースが多いです。パンフレットを専門に扱っていたり、実績が豊富だったりする会社はあるでしょう。出版社とのつながりがある分、腕のあるデザイナーやカメラマンがアサインできる可能性も高いです。

    広告代理店は、企業の広告企画を行っているため、マーケティング的な視点も持ち合わせながらパンフレット制作の対応ができるでしょう。一方で、デザインから文章コンテンツの執筆、印刷など、すべて外注することになるので費用は高額になります。

    ◉-2、選定ポイント②:自社のニーズと得意領域がマッチしている

    パンフレット制作は印刷して出来上がってしまったら、もうやり直しがききません。

    紙媒体の制作物を外部に発注する際によくある失敗が、「思っていたものと違った」という嘆きの声です。

    一般的な紙媒体の制作会社は、一定のクオリティでパンフレットを仕上げることはできるでしょう。

    しかし、パンフレットの作り方において重要な要素は、依頼先のビジネスモデルを理解しているかどうかです。

    そのため、「税理士との仕事が多い」「不動産業との仕事が多い」「医療関係の仕事が多い」など、専門領域に応じた業務依頼実績が豊富にあるかどうかは選定のポイントとなります。

    きちんと自社のビジネスモデルの理解があり、伝えたいことを読み手に伝わるコンテンツに昇華させられるかが、パンフレット制作成功のカギとなるでしょう。

    ◉-3、選定ポイント③:営業担当者と見積もりの内容

    どんなにパンフレットの作り方において、質にこだわったとしても定性的なもので、正直なところ完成するまで満足できるものができるかわかりません。

    そこで、選定するうえで重要視してほしいのは、依頼候補先の営業担当者の対応と見積もり内容。費用は安いに越したことはありませんが、費用と品質のバランスはとらなければなりません。

    まずは、営業担当者と面談をしてみて、自社が作りたいパンフレットの要件をしっかりと伝えましょう。

    顧客優先で動く担当者であれば、きちんと要望を汲み取ってそれを見積書に反映してくれるはずです。とくに要求しなくても、数パターンの見積もりを提示してくれる業者は優秀と言えるでしょう。

    パンフレットに限らず、紙の制作物は何度か作り直すこともあり得ます。依頼先の担当者が信頼できるかどうかは今後も長期的に付き合っていくうえで重要な要素となるでしょう。

    ◉パンフレットの配布方法

    パンフレットの作り方の次は、完成した現物をどのように配布するかが重要です。具体的には下記の方法が考えられます。

    ◉-1、選定ポイント③:営業先への手渡し

    自社の営業マンが営業訪問をする際に、取引先や見込み顧客に直接手渡しする方法があります。

    サービスや商品の訴求のほか、自社理解を促進させられる効果が見込め、パンフレットの配布をきっかけに話を膨らませるなど、お互いの信頼関係構築にも大きく寄与します。

    ◉-2、配布方法②:ダイレクトメール(DM)

    既存の取引先や自社の保有するリストにある見込み顧客に向けて、パンフレットをダイレクトメールで送付する方法があります。

    ダイレクトメールの送付数から反応率を計算することで、効果測定もしやすいのはメリットの一つ。

    郵送するにはコストがかかるため、送付先に追客施策としてテレアポをしたり、営業マンが訪問したりすることで効果も高められるでしょう。

    ◉-3、配布方法③:ポスティング

    ポスティングは、一定のエリア内の家庭や企業などのポストに直接投函する方法です。

    地域密着で運営している店舗型ビジネスであれば、ポスティングは大きな効果を発揮するでしょう。パンフレットに限らず、チラシもポスティングで配布することがありますが、すぐに捨てられる可能性があります。

    視認率が高い施策ではあるので、捨てられづらいパンフレットを配布するのは一定の効果が期待できます。

    ◉-4、配布方法④:街頭や施設内配布

    街頭配布や施設内配布は、チラシの配布方法としてはよく使われます。

    特定のエリアでの集客を目的とするのであれば、パンフレット配布も一定の効果は発揮されるでしょう。

    施設内配布は、学校やショッピングモールなどで、ターゲットに合わせて配布することができるので、集客には寄与しやすい方法といえます。

    ただし、パンフレットとチラシどちらでも、手荷物になってしまう分、受け取ってもらいづらいデメリットも考えられます。

    ◉-5、配布方法⑤:イベント開催先での配布

    自社でイベントを開催したり、展示会などの出展イベントにブースを出したりする企業の場合は、開催先でのパンフレット配布が効果的です。

    イベント開催自体にコストがかかるのがデメリットではありますが、イベントや展示会は目的やテーマに則ったお客さんが足を運ぶため、相性の良い見込み客を集客できる可能性が高いです。

    そのような人たちに、自社のサービスや商品の強みを訴求するにはパンフレットの配布がおすすめです。

    自社の周年イベントや学生向けの採用説明会などで、パンフレット配布する手段も考えられるでしょう。

    そのほか、オフラインのマーケティングについて、下記のコラムで解説しています。合わせてご覧ください。

    参考:広告手法を徹底比較! デジタルからDMまでマーケティングのメリデメを解説

    ◉【まとめ】パンフレット制作は顧客目線を持つことが重要

    自社が満足いくパンフレットを制作するにあたり、パンフレットを渡す相手である顧客目線は欠かせません。

    それは制作を外注する場合も同様です。依頼先が自社の要望をきちんと汲み取ってくれているのか、自社のビジネスモデルを理解しているのかは、担当者との面談でしっかりと見極めましょう。

    本コラムがパンフレット制作の参考になれば、これ以上に嬉しいことはありません。

    パンフレット

    YouTubeの視聴者数は年々増加しており、そのプラットフォームを活用するために企業公式チャンネルを立ち上げる企業が急増しています。

    しかし、チャンネル運用を始めても1年後にはやめてしまう企業が大半です。

    今回の記事では、企業がYouTubeチャンネルを開設するメリットや開設方法、そして運用方法のコツを解説します。

    目次【本記事の内容】

    執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

    慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

    ◉YouTubeと企業のチャンネル開設

    YouTubeは、世界最大の動画共有プラットフォームで、日本国内の月間利用者数は7500万人以上にものぼります(Think with Googleより)。

    テレビでYouTubeを視聴する層は月間2000万人以上と言われており、テレビ同然かそれ以上の生活に根差したコンテンツです。

    このような流れを受けて、YouTubeチャンネルを開設し運用する企業が増えています。

    ◉企業がYouTubeチャンネルを運用する意義とは

    YouTubeはほかのSNSとは異なり、動画主体の配信サービスのため、視覚的に企業の商品やサービスの魅力を伝えやすい特徴があります。

    InstagramやFacebook、Twitter、TikTokでも動画の投稿は可能ですが、数分以上にわたる長尺の動画配信となると離脱しやすいデメリットがあります。

    長尺コンテンツの視聴が当たり前のYouTubeであれば、商品やサービスの使い方、メリットなど短時間では伝えきれない情報を、効果的に伝えることができるのです。

    動画の特性上、視聴者の時間を長く拘束することができるのも魅力です。企画の工夫次第では、ながら見需要にも応えられるため、チャンネル再生をし続けてもらうことも期待できます。

    ほかの情報発信施策と比較して、ユーザーとの接点が長く取れるので、チャンネルおよび企業へのファン化が見込めるのです。

    ▼各種SNSについては「SNS運用で大切な「目的設定」とは?運用効果を最大化する秘訣を徹底解説」でも詳細に紹介しているので参照ください。

    ◉-1、YouTubeはSEOでも優位に立てる

    SEOとは「Search Engine Optimization」の頭文字をとった略語で、検索エンジン最適化のことです。

    動画コンテンツは検索ユーザーにとって有益な情報だと、Googleのクローラーに判断される傾向が高く、Google検索では検索結果の上位になりやすくなっています。

    記事型のコラムコンテンツのほか、動画も戦略的にコンテンツを充実させることで、競合他社よりもSEOの検索性で優位に立てる可能性が高まるのです。

    ▼SEO対策については「SEO対策とは? 効果的な戦略の組み立て方と対策方法」でも解説しているので、こちらも合わせてお読みください。

    ◉企業がYouTubeチャンネルを開設する前の準備

    企業が公式チャンネルとしてYouTubeを利用する場合、商品販促や集客、会社のブランディングなどの目的があるはずです。

    マーケティングの手段としてYouTubeチャンネルを利用するならば、事前にYouTubeチャンネル運用のための準備をしておきましょう。

    ◉-1、準備その1:アイコン画像とバナー画像を用意する

    YouTubeチャンネルの顔となる画像を用意しましょう。

    アイコン画像は配信動画やコメントの横に表示されます。画像サイズは98×98ピクセルの正方形もしくは4MB以下の円形の画像で、800×800ピクセルを推奨されています(YouTubeヘルプを参照)。

    バナー画像はYouTubeチャンネルの上部に表示される横長の画像です。

    アスペクト比は16:9、2048×1152ピクセル以上の6MB以上の画像を推奨されています。

    画像は社員の集合写真などを安易に選択すると、ユーザーに訴えかける力が弱くなってしまいます。企業の公式チャンネルとしてはブランドイメージに繋がる部分なので、チャンネルのコンセプトを魅力的に伝える広告バナーのようなデザインを作成することをおすすめします。

    ◉-2、準備その2:チャンネル名の決定

    企業公式チャンネルの名前は、企業のブランドイメージを確立するうえで重要です。

    企業名やブランド名が入るなど、ユーザーがわかりやすいことが前提です。

    YouTubeチャンネルの登録者数が増えると、チャンネル名で認識されることも多いため、キャッチーで呼びやすく覚えやすいものが良いでしょう。

    ただし、カテゴリを狭めすぎたチャンネル名にしてしまうと、企画で様々な方向性を試しづらくなり自分たちの首を絞めることになりえます。そのため、ジャンルのイメージはわかるように設定し、大まかにくくるぐらいが良いでしょう。

    ◉-3、準備その3:チャンネルの説明欄の入力

    YouTubeチャンネルの説明をまとめましょう。

    チャンネルの[概要]セクションや検索結果に表示されるため、チャンネルの詳細がわかりやすい文章にすることです。企業の商品やサービス、発信するコンテンツの内容など、企業としてユーザーに知ってほしい内容は過不足なく記載しましょう。

    ほか、企業のホームページや特設ページ、ECサイトといった商品購入ページのURLを導線として貼り付けることが可能です。YouTubeチャンネルの視聴をきっかけに関心を持ったユーザーが問い合わせしやすいように、問い合わせ先としてメールアドレスを記載するのも一つの手段です。

    ◉YouTubeチャンネル開設から動画投稿までのステップ

    さて、YouTubeチャンネルを開設するにはいくつかのステップを踏まなければなりません。その手順を紹介しましょう。

    ◉-1、ステップ1:Googleアカウントを作成する

    まず、YouTubeにログインするためにGoogleアカウントを用意しましょう。

    Googleアカウントを作成し、YouTubeにログインできるようになれば、動画にコメントや高評価・低評価をつけることができるようになります。

    ◉-2、ステップ2:YouTubeアカウントの種類を選択する

    用意したGoogleアカウントでYouTubeにログインしたら、次はYouTubeチャンネルの種類を選びましょう。

    YouTubeチャンネルの種類には、個人用の「デフォルトアカウント」とチャンネル専用の「ブランドアカウント」の2種類があります。

    デフォルトアカウントは最初にGoogleアカウントを作成した時に作成されるアカウントで、YouTubeチャンネル用にはブランドアカウントを選択しましょう。

    デフォルトアカウントでYouTubeチャンネルを開設してしまうと、個人名およびGoogleアカウントの名前がチャンネル名となってしまいます。

    チャンネル作成の際に注意したいのは、ブランドアカウントを作成するにはパソコンやスマートフォンのブラウザを利用することです。スマホのYouTubeアプリからはブランドアカウントは作成できないので注意しましょう。

    ◉-3、ステップ3:YouTubeチャンネルを作成する

    ブランドアカウントを選択したら、YouTubeチャンネルの作成ができます。

    「チャンネルを作成」をクリックして、「名前」と「画像」の入力画面が立ち上がるので、ここに準備しておいた「チャンネル名」と「アイコン画像」を設定して、「チャンネルを作成」をクリックします。

    チャンネル作成が完了したら、「チャンネルのカスタマイズ」>「ブランディング」「基本情報」から事前準備した情報を入力しましょう。

    ◉-4、ステップ4:動画をアップロードする

    メニューリストの「コンテンツ」をクリックし、右上の「アップロード」を選択して動画をアップロードします。

    必須項目の「タイトル」と「視聴者情報」のチェックのほか、任意項目の動画の説明やサムネイルの設定も視聴されるには重要な項目です。

    アップロード時には「視聴者」情報の設定として、子ども向けか子ども向けではないかを選択する必要があります。子ども向けコンテンツを選択した場合、広告や通知の機能が利用できませんが、ほかの子ども向けコンテンツと一緒におすすめされる可能性が高くなります。

    最後に、「公開」「限定公開」「非公開」の公開設定をします。

    企業の公式チャンネルとして運営する場合、基本的には「公開」設定になると思いますが、「イベント参加者限定!」といったコンテンツの場合は、運用目的やコンテンツの内容に合わせて限定公開などの設定をしましょう。

    ◉YouTubeチャンネルの運用方法について

    いざ、YouTubeチャンネルを開設しても、継続的に動画コンテンツを更新しなければ意味がありません。

    YouTubeチャンネルの運用を成功させるには、いくつかの条件を満たす必要があります。

    ◉-1、条件1:専属の担当者をつける

    企業のYouTubeチャンネル運用において、とくに重要なのは専属の担当者を置くことです。

    登録者数10万人以上のYouTubeチャンネル数は7700以上あり、年々増え続けています(Think with Googleより)。ユーザーのYouTube視聴者数や視聴率は増加傾向にあるなかで、チャンネル数も増加しているため、片手間でなんとなく運用していてもうまくいくはずがありません。

    YouTubeチャンネルを運用すると決めたならば、プロの運用代行業者に依頼することも選択肢に入れつつ、本気で取り組むことです。

    YouTube運用代行支援のサービスはこちら

    ◉-2、条件2:毎月数本を継続的に投稿する

    YouTubeチャンネルを立ち上げた時の主なKPIは「再生回数」と「チャンネル登録者数」です。

    なかでも最初に重視すべきは「再生回数」です。YouTubeのアルゴリズム上、多くの人に視聴されたという事実を作り上げないことには認知されることはありません。

    そのため、再生回数を増やすべく毎月のように継続的に、動画を更新し続ける必要があるのです。とくに誰もが視聴できるYouTubeという特性上、たまたまバズって視聴回数が数千〜数万回となることもありますが、基本的には再生回数1000回未満でもコツコツとやり続ける継続性が大事です。

    もう一つのKPIであるチャンネル登録者数を増やすためにも、まずは再生回数を伸ばしながら継続的な動画コンテンツの更新を心がけましょう。

    条件3:視聴者が望むテーマを分析して投稿する

    YouTubeに限らず、広告含め情報が量産されている現代において、ひとりよがりなコンテンツを投稿し続けても効果はありません。

    流行りの音楽に乗せて踊っていたり、自社の商品の良い部分だけをアピールしたりすることなどです。

    YouTube視聴者は自分の趣味や目的に合わせて、有益な情報を求めています。

    たとえば、悩みを解決する情報提供型のコンテンツなど、視聴者のためになる情報を提供しなければ興味を持ったチャンネル登録者は増えないでしょう。

    さらに、運営側はそんな中から再生回数が伸びた動画があれば、その要因を分析して同じテーマの動画を量産するなどの工夫が必要です。

    有益な情報を提供し続けるYouTubeチャンネルというブランディングが確立できれば、信頼感も上がり、会社への関心も高まってくるはずです。

    ◉【まとめ】YouTubeは集中と継続が大事

    以上、企業のYouTubeチャンネル運用のメリットや開設方法、運用方法について紹介しました。

    企業ブランディングの一環として、YouTubeチャンネルは視覚的に残りやすく、チャンネル登録者数が増えれば認知も向上するなどメリットも多いでしょう。

    長期的な目線で運用を設計し、専任の担当者が集中して動画制作と運用を続けられる環境を作ることが重要といえます。

    世界的に利用者数の多いYouTubeだからこそ、チャンネル運用には本気で取り組みましょう。

    SNS運用では、フォロワーが多い有名な企業公式アカウントなど、成功事例が目を惹きます。

    しかし実態は、「フォロワーが増えない」「ビジネス的な効果が出ない」「リソースが足りない」などの理由で、大半の企業で運用がうまくいっていません。

    今回の記事では、企業がSNS運用を行うにあたっての目的やメリットなどを整理し、効果的な運用方法について解説します。

    目次【本記事の内容】

    執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

    慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

    ◉企業のSNS運用の目的とは

    SNS運用とは、企業が情報発信や商品・サービスの宣伝のために各種SNSアカウントを運用することです。

    ここでいうSNSとは、Twitter、Instagram、Facebook、LINEなどのソーシャルネットワーキングサービスを指し、YouTubeやTikTokといった動画系ソーシャルメディアも含みます。

    さて、SNS運用を考えたとき、企業は一般的にどのような目的で実施を検討するのでしょうか。

    主に次のような理由が多いです。

    ・企業ブランディング
    ・自社商品やサービスの告知
    ・イベントの告知・周知
    ・口コミ効果によるファン獲得および集客や販売促進
    ・競合他社との差別化

    目的に沿った運用を継続的に続けることで、ファンからの継続的な商品購入やサービスの利用が期待でき、シェアやリツイートによる拡散効果で、大きな宣伝広告費を使うことなく情報拡散が可能になります。

    ◉SNSの種類とそれぞれの特徴

    次に企業が運用するSNSの種類を、それぞれの特徴と合わせて紹介します。

    ◉-1、X(旧Twitter)は情報拡散力に優れる

    X(旧Twitter)は国内の利用者が約4500万人。20代〜30代の利用者が多いですが、近年は40代以上の利用者も増加しており、幅広い年齢層が利用しているSNSです(Twitter公式アカウントのツイートより)。

    企業とユーザー同士が「いいね」や「リツイート(RT)」、「リプライ(リプ)」を行うことで、フォロー外のユーザーにも見てもらえる情報拡散性の高さが魅力です。

    Xは基本的には140文字以内のテキストを投稿する(ツイートする)機能が主な使い方になります。

    企業の告知としては、フォロー&リツイートキャンペーンがよく使われており、かなりの拡散力が見込めるうえ、自社の宣伝や商品販促にも効果を発揮する手段です。

    <X(旧Twitter)の特徴>
    ・情報拡散力が高い
    ・リアルタイムでのコミュニケーションがとりやすい
    ・短文での情報発信やコミュニケーションに向く

    ◉-2、Instagramはビジュアルでの訴求に向く

    Instagramは国内の利用者が約3300万人。10代〜20代のユーザーが半数近くを占めています。コロナ禍に30代や40代のユーザーが増えていることもあり、幅広い年代への訴求に向いているSNSといえます(Meta社Newsroomより)。

    Instagramは写真や動画などのビジュアルを重視した発信が特徴。ビジュアルメインの視覚的コンテンツの発信になるため、投稿内容には見せ方の工夫が必要です。

    健康商品の販売や飲食店などビジュアルで訴求できるアイテムを持つ事業はInstagram運用に向いています。日々の投稿の世界観を統一することで、自社ブランディングに繋がりやすいのもメリットです。

    機能としては、24時間限定で配信するストーリーやショップ機能などがあります。

    拡散力はTwitterに劣りますが、ハッシュタグ(#)や発見タブの活用により、フォロー外のユーザーにも認知してもらうことは可能です。

    <Instagramの特徴>
    ・フィードとストーリーの使い分けで情報発信ができる
    ・ハッシュタグや発見タブから共通の趣味のユーザーの流入が見込める
    ・ビジュアルでの訴求がメイン

    ◉-3、Facebookは顧客との関係性構築向き

    Facebookは国内の利用者が約2,600万人。30代以上の利用者が多く、ビジネスシーンでの利用が多いのが特徴です。全世界で最もユーザーが多いのがこのFacebookです(CNET Japanによるフェイスブック ジャパン代表社独占インタビューより)。

    登録上の特徴としては、実名登録制をとっているため、ほかのSNSと比較してプロフィールが精緻に確認できます。

    ただし、Facebook広告の活用以外では情報拡散性は低く、すでに繋がりのあるユーザーとの関係性構築で活用するのがおすすめです。

    <Facebookの特徴>
    ・世界的にユーザー数の多いSNS
    ・実名性が高く、ターゲティングに向いている
    ・ビジネスシーンでの利用が多い

    ◉-4、LINEは日本でインフラ化したSNS

    LINEは国内の利用者が9400万人を突破しており、日本で最も普及しているSNSです。家族や友人との連絡手段として一般化しており、スマートフォンを持っている人はほとんどが利用していると言ってよいでしょう(LINE For Business公式サイトより)。

    LINEの友達機能を利用した企業公式アカウントからの有益な情報発信などで、ユーザーと双方向のコミュニケーションがとりやすいのも特徴です。

    一日あたりでのLINEアプリの使用時間が長く、友だちとして繋がっているユーザーに告知が最も届きやすいSNSともいえます。飲食店やヘアサロンなど、地域密着型でサービス展開している企業に向いています。

    <LINEの特徴>
    ・日本で最も利用者数が多く、ほぼインフラ化している
    ・プッシュ通知機能を使った情報発信ができる
    ・基本的にはクローズドなメッセージのやり取りのため、友だちとして繋がる必要がある

    ◉-5、YouTubeはテレビ同然に利用される

    YouTubeは日本国内の月間利用者数が7000万人以上といわれており、テレビ代わりの動画視聴SNSとして世界的に普及しています。Google調査情報によると、テレビ画面でYouTubeを視聴する人は1500万人以上といわれています(Think with Googleより)。

    企業や商品、サービスの魅力を視覚的に伝えやすく、BtoB企業、BtoC企業どちらでも活用しやすいのが特徴です。

    YouTube公式チャンネルを運用する企業も増えており、業界知識を発信したり、製品の使い方の手順を解説したり、導入事例を紹介したりするなど、映像としてユーザーに情報が伝えやすいのはメリットでしょう。

    ただし、動画という性質上、企画や撮影など必要な準備も多く、継続的に発信するには専用のスタッフを揃えるか、外部に依頼するなどしないと運営が難しいです。

    <YouTubeの特徴>
    ・テレビ代わりに視聴する動画メディアとして世界的に普及
    ・チャンネル登録してもらうことでファン化が期待できる
    ・若年層からシルバー層まで全年齢をカバーできる

    ◉-6、TikTokは若年層への視覚的アプローチにおすすめ

    TikTokは国内のユーザー数が1700万人以上で、若年層を中心として年々利用者数が増加しています。ユーザーは10代〜20代が中心です(App Annieより)。

    YouTubeがテレビ代わりの動画メディアである一方で、TikTokは気軽に空き時間で視聴できる動画系SNSとして短尺の動画が配信されるのが特徴。

    フォロワー数が少ない状態でも一定の再生数が確保されるため、拡散性はとても高いといえます。

    これまでは10代の学生が趣味で動画をアップするのが一般的でしたが、若年層への訴求のためにTikTokを活用する企業も増えています。

    <TikTokの特徴>
    ・TwitterやInstagramと同じように気軽にチェックする利用者が多い
    ・利用ユーザーは10代〜20代が中心
    ・視聴回数が一定数担保される

    ◉SNS運用のメリットとは

    続いて、企業がSNS運用をすることのメリットを確認していきましょう。

    ◉-1、メリットその1:認知拡大とユーザーへの刷り込みが同時に実現可能

    SNSごとの特徴は前述の通りですが、シェアやリツイート機能など情報拡散が期待できます。

    企業がSNS運用を継続的に行うことで、広告と比較して安価に情報発信ができ、フォロワーとコミュニケーションを取り合うことで情報が無限に拡散する効果も期待できるのです。

    そもそも自社が知られていないという場合、SNSごとの特徴を踏まえた発信をすることで情報拡散され、潜在層へのアプローチが可能になります。

    ◉-2、メリットその2:企業ブランディングに繋がる

    SNS運用を継続的に行うことで、企業や商品、サービスに対するブランディング効果が期待できます。

    まだ顧客化していない潜在層に対しては、まだ商品やサービスを利用したことがなくても、統一感のある投稿を継続して見せることで¥ブランドイメージを演出可能です。

    それによって企業のブランド価値が上がり、メジャーな企業だと認識してもらうことが期待できます。

    ◉-3、メリットその3:フォロワーのロイヤリティ向上に寄与

    企業が継続的に有益な情報コンテンツを発信し続けることで、ユーザーには信頼感や親近感を抱いてもらうことができます。

    このようにロイヤリティが向上すると、自社ブランドや商品に対するファン化が促進でき、他社との競合優位性が圧倒的に上がります。

    ファンとなったフォロワーは口コミとして自身のSNSでも情報拡散をしてくれるので、信頼できるユーザーを通した情報発信と集客効果が期待できるのです。

    ファン化が促進できれば、リピーターにもなり得るうえ、ユーザーが必要とした時に一番に思い出してもらうことができ、価格競争に陥り図らくなるメリットが大きいです。

    SNSでの発信を続けることで、採用面でも効果を発揮します。近年は、就活生が事前に企業のSNSをチェックするようにもなっており、リクルーティングのためにSNSを運用するのもおすすめです。

    このようにロイヤリティ向上を狙ったユーザー獲得では、アクティブフォロワーをいかに増やしていくかが重要。

    アクティブフォロワーとは、“いいね”や“リプライ”などで継続的な交流があったり、それによりファン化していたりするユーザーのことです。広告などで増やしたロイヤリティの低いフォロワーではなく、日々の投稿やコミュニケーションで繋がりを深く持つことが大切です。

    ◉効果的なSNS運用を行うには?注意点を解説

    次に、SNSを運用するうえでの注意点を解説していきます。

    ◉-1、注意点その1:炎上リスク対策を講じる

    SNS運用を検討する際に、よくある心配事が「炎上」です。

    情報拡散性が高く、多くのユーザーが見ることができる分、ユーザーに問題視されると最悪の場合は炎上してしまう恐れがあります。

    炎上しないためには事前にSNS運用のガイドラインを作っておくことです。炎上を100%回避することは難しいため、いかにリスクを回避できるか、問題が発生した時にどのように対処するかを定めておくことは重要です。

    投稿する際には画像や文章をダブルチェックするルールも備えておくとより良いでしょう。

    ◉-2、注意点その2:ユーザーが共感するコンテンツを発信し続ける

    企業がSNS運用をする目的は、自社の認知向上や集客、商品販促などが挙げられます。

    ただ、注意が必要なのは企業都合のひとりよがりな投稿にならないことです。

    いかにユーザーにとって魅力のあるコンテンツを作成するかがポイント。もちろん企業の宣伝投稿をしてはいけないわけではありませんが、ユーザーに有益な情報提供を定期的に行わないと敬遠されるアカウントになってしまいます。

    たとえば、美容に関心あるユーザーに自社商品のドリンクを販売したい場合、商品のPRだけではユーザーが離れてしまいます。そこで、「お肌に良い食べ物」のような情報コンテンツを用意することで、美肌に憧れるユーザーが有益な情報を提供してくれる信頼あるアカウントとして認識してくれるのです。

    コンテンツの質を高める努力は必要ですが、何事もバランスが大事。ユーザーとの“いいね”や“コメント”などの双方向のコミュニケーションも継続的に進めましょう。

    ◉-3、注意点その3:運用の目的に合わせた最適なSNS選択する

    SNSにはそれぞれに特有の特徴があるため、企業の運用目的に合わせて最適なSNSを選択する必要があります。

    目的が曖昧なまま、「とりあえずSNSを始めよう」と企業アカウントだけ作ったところで、運用コストがかかるだけ、もしくは運用が長続きせず放置されてしまうという例が散見されます。

    集客などのコンバージョンを得るためには、複数のSNSを活用して、それぞれの特徴に合った運用を心がけましょう。

    ◉SNS運用代行のすすめ

    いまや企業のSNS運用は必要不可欠です。

    しかし、とくに中小企業の場合は運用に専念できる人員を確保できるほどリソースに余裕があるところばかりではありません。

    そこで、一つ選択肢としておすすめするのがSNS運用代行の利用です。

    「インフルエンサーを活用してフォロワーを増やしましょう!」や「SNS広告の運用を支援します!」という会社はたくさんありますが、日常の運用できちんとフォロワーまで伸ばしてくれる会社は限られています。

    運用代行のノウハウがある会社に依頼すれば、日々の投稿物の作成から定期的な更新を実施することで、自社で発信する以上にクオリティの高いコンテンツを発信してくれる可能性があります。

    とくに、日常業務を行いながら、自社で質の高い投稿やフォロワーへのアクションを継続的に行うことは至難の業です。

    自社従業員のリソースを使って片手間で手探りの運用をするより、ノウハウがあるプロの代行会社に依頼することで結果的に時間的にも人員的にもコスト削減が期待できます。

    もちろん代行を専門に行う会社であれば、運用のノウハウがしっかりとあるので、炎上対策もしっかりと講じてくれるでしょう。毎月の運用ノウハウをチェックしていくことで、自社でも運用のノウハウを蓄積することもできます。

    <<SNS運用代行のサービスはこちらから!>>

    ◉【まとめ】SNSごとの特徴を把握してアクティブフォロワーの獲得を目指そう

    以上のように、SNS運用は継続的な情報発信と、ユーザーとの密なコミュニケーションが大事になってきます。

    ここまでに解説したSNSごとの特徴や運用のメリットを把握したうえで、企業ブランディングのためのSNS運用を心がけましょう。

    自社リソースで運用を継続することが難しい時には、SNS運用の代行会社に相談するのも一つの手段です。

    SEO対策に取り組む経営者や担当者の方にとって、対策キーワードの選択は頭を悩ませるところではないでしょうか?

    「分析ツールのデータからどう論理的にキーワードを導き出せばいいのかわからない」「キーワードを選んでコンテンツを増やしても全然上位表示がされない」「アクセス数は増えたが問い合わせが全然ない」……このような声はよく聞かれます。

    そこで今回の記事では、ビジネスゴールである利益の向上をもたらすため、SEOの対策キーワード選定方法を説明します。

    目次【本記事の内容】

    執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

    慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

    ◉最適な対策キーワードを選ぶ3つの秘訣

    サイトの問い合わせ増を実現するためには、次にあげる3つのポイントを意識してキーワードを選定しましょう。

    ◉-1、秘訣①検索ボリュームだけを見ない!

    SEO対策を始めたばかりの人は、「とりあえず検索ボリュームの多い単語を対策しよう」と考えてしまいがちです。

    ただ、これはSEO対策でつまずく典型例。

    なぜならば、検索数が多く大量の流入が見込めるキーワードは、既に競合となる大手企業のWebサイトに対策され尽くしているからです。

    たとえば、「東京 賃貸」と検索してみてください。検索上位には、スーモやホームズ、エイブルなど大手のサイトがずらりと並ぶはずです。

    こうした大手のサイトはSEO対策に多額のお金をかけており、くわえて多くのページと被リンクを積み重ねているため、新規参入のサイトが対策したところでほぼ勝てません。

    したがって、SEO対策キーワードを考える場合、「ボリュームはあるけど大手には取られていない」というニッチで丁度いいところを見つけ出す必要があるのです。

    ◉-2、秘訣②ユーザーの検索ニーズを想像する!

    他にSEO対策の悩みでよくあるのが、「SEO対策で自社サイト流入が増えたのに問い合わせが全然増えない」というケースです。

    こうした場合、もしかすると、商品の購買意欲の乏しいユーザーが検索するキーワードを対策してしまっているのかもしれません。

    たとえば、不動産を買いたい人をターゲットにしている会社が、「不動産 管理会社」というキーワードを対策したとします。

    仮に対策でgoogleやYahoo!の検索順位が上がったとしても、「不動産 管理会社」を検索するのは管理会社を探す物件オーナーやプロの不動産会社でしょう。おそらく、「不動産 管理会社」と検索したとしても問い合わせの増加は見込めないでしょう。

    しかし、「最寄り駅 不動産屋」という対策キーワードだとどうでしょう。この場合、ユーザーは具体的に不動産屋に相談する意思が固まっています。検索ボリュームがそれほどではないとしても、検索順位が上のほうにあれば集客につながる可能性があります。

    このように、SEO対策の目的と想定するユーザーニーズをしっかり固めたうえで、成果を出すためのストーリーを考えて検索ワードを選ぶ必要があります。

    なお、最寄り駅や電車の沿線と組み合わせたキーワードの対策は、クリニックや店舗系のビジネスで非常に効果的です。フォーウェイでこのようなクライアントのお手伝いをする際は、エリアSEOを重要な施策として位置付けてサポートします。

    ▶エリアSEOについては、関連記事【エリアマーケティングで押さえておきたい3つのコツと効果的な手法】もあわせて参考にしてください。

    ◉-3、秘訣③検索画面の1ページ目になるワードを量産する!

    新規でSEO対策を始める際はまだサイトのドメインパワーが弱いはずで、正直なところ少額の予算で検索順位1位を取ることはなかなか難しいです。

    1位を取れるとしても、検索ボリュームがほとんどないキーワードに限られるでしょう。流入数のないキーワードで1位をとっても、SEO対策の効果はあまり発揮されません。

    そこで、SEO対策序盤戦の基本戦略について、まずはある程度の検索ボリュームがあるキーワードで検索結果の1ページ目に表示される状態を目指しましょう。

    たとえ検索1位でなくても、1ページ目の表示であれば一定割合のサイト流入は見込めるからです。逆に2ページ目以降は、ワンクリック必要になるので極端に検索流入が少なくなります。

    検索画面1ページ目のキーワードが溜まってくる頃にはサイトのコンテンツ量が増えてドメインパワーが向上してくるので、その次の段階として検索1位を目指すのがおすすめです。

    ◉【まとめ】SEO対策は継続が大事

    以上、SEO対策のキモであるキーワードの選び方・見つけ方のコツを解説しました。

    ただ分析ツールを入れただけでは、打ち手が見出しづらいのがSEO対策。目指すべき成果につなげるために戦略的に考え、コンテンツマーケティングを継続するのが成功の秘訣です。

    参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから

    企業が自社サイトのアクセス数を増やすため、SEO対策は一般化してきました。

    ただし、毎月コンテンツ作成のためにリソースを割くのは難しいでしょうし、対策すべき最適なキーワードの選定も簡単ではありません。

    今回の記事では、企業がSEO対策する上で押さえておきたいキーワード選定のポイントを解説します。

    目次【本記事の内容】

    執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

    慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

    ◉SEOキーワードとは

    SEOとは、「検索エンジン最適化」と呼ばれ、Search Engine Optimizationの略称です。GoogleやYahoo!などの検索エンジンにおいて、自社サイトを上位表示させるための施策をSEO対策と呼んでいます。

    SEO対策を実施するうえで重要なのは、どのようなキーワードで上位表示を目指すかを決めることです。

    SEOキーワードを正しく選定しないことには、どんなに良質なコンテンツを作成しても検索上位を獲得することはできません。

    まずはターゲットとしているユーザーがどのようなニーズでインターネット検索しているのかを分析して、キーワード設定しましょう。

    ◉-1、SEOキーワードはユーザーのためだけではない

    SEOキーワードの設定とそれに関連するコンテンツを作成する目的は、ユーザーに自社のサイトやコンテンツを見つけてもらいやすくすることです。

    一方、検索順位を上げるために意識したいのは、Googleの「クローラー」の存在です。GoogleもWebサイトを解析する際に、コンテンツに紐づけられたSEOキーワードを重視しています。

    Googleのクローラーは、ユーザーが求める良質なコンテンツを上位表示させるために、日々世界中のWebサイトを回遊し、評価しているのです。

    ◉SEO対策キーワードの選定方法

    次に具体的なSEO対策キーワードの選定方法について見ていきましょう。

    ユーザーが検索エンジンで情報を調べる場合に、どのような単語やサジェストワードを入力するかを想定し、キーワードを選定するのが重要です。

    ◉-1、方法①:検索ボリュームを把握して選定する

    SEOキーワードの選定方法として、一番わかりやすいのが検索ボリュームから選定する方法です。

    検索ボリュームが少ないと、わざわざそのキーワードを検索してサイトを訪れるユーザーは稀でしょう。

    だからこそ、検索ボリュームが一定数あるキーワードをセレクトすることが大切。月間検索数の目安は1000〜10000程度です。

    Googleのキーワードプランナーの使い方についてはこちらを参照ください(https://support.google.com/google-ads/answer/7337243?hl=ja)。ほかにも、詳細なキーワードを探せる有料ツールなどもあります。

    ◉-2、方法②:SEOキーワードの競合性から選定する

    SEOキーワードの競合性は、ほかの企業がどれだけ広告などで対策しているかを調査していきます。わかりやすいのはリスティング広告です。

    狙いたいキーワードを検索エンジンで検索すると、リスティング広告により上位表示させているサイトへのリンクが1つ〜複数出てきます。

    競合性が高ければ、表示されるサイトリンクが多く検索に引っかかってきます。

    競合性が高すぎれば、その分ほかの企業が対策していることが予想できるため、同じキーワードで検索上位を目指すのはなかなか難易度が高いでしょう。

    ▶リスティング広告をはじめとした広告手法については、関連記事【広告手法を徹底比較! デジタルからDMまでマーケティングのメリデメを解説】もあわせて参考にしてください。

    ◉-3、方法③:上位サイトに検索キーワードが含まれているかをチェックする

    検討中のキーワードで検索したときに、狙っている検索キーワードが上位サイトのタイトルにどれほどの確率で含まれているかを確認するのも、一つの手です。

    注意点として、たとえば「ジーンズ 値段」のようなキーワードの場合は、上位サイトのほとんどに商品ページが表示され、コンテンツページはほぼ表示されません。

    「ジーンズ 値段」のような検索キーワードの場合は、ユーザーも直接的に商品購買を具体的に検討している段階のため、Googleも商品ページを優先して上位に上げるようにしているのです。

    一方、検索上位がコンテンツページメインの場合は、キーワードに関係するSEOコンテンツを作成することで、検索上位を狙える可能性はあります。

    ただし、狙ったキーワードがタイトルに含まれたサイトがたくさんある場合は、すでに対策されている可能性が高く、競合が多いため検索上位を狙うのは難しいともいえます。

    ユーザーがなぜそのキーワードを検索したのかの検索意図を踏まえて、キーワードを検討しなければならないと覚えておきましょう。

    ◉SEO対策キーワード選定の手順

    SEO対策キーワード選定の方法の次に、具体的にどのような手順で進めたらよいかを解説します。

    ◉-1、手順①:上位表示が狙えそうな見込み高いキーワードを集約させる

    ユーザーのニーズや競合他社、自社サービスの強みといった前提条件を把握したうえで、具体的なキーワードを選定していきます。

    上位表示が狙えるような見込みの高いキーワードをいかに集めるかが大事です。

    具体的には次のようなキーワード選定の種類があると理解しておきましょう。

    ・狙うべきビッグワード
    ・ビッグワード×地域軸(サジェストワードに名古屋、横浜など地名を入れる)
    ・ビッグワード×効果軸(サジェストワードにダイエットなどのワードを入れる)
    ・ビッグワード×評価軸(サジェストワードに口コミ、話題などを入れる)
    ・ビッグワード×お金軸(サジェストワードに具体的な金額、安いなどを入れる)

    狙いたいビッグキーワードを選定したら、次にユーザーが検索しそうなサジェストワードをできるだけ多く抽出しましょう。

    ちなみに、キーワードには月間検索ボリュームが5万回以上のビッグワードのほか、1万〜5万回程度のミドルワード、数千〜1万回程度のテールワードに分かれています。数が少ないほど、競合性は低い傾向にあります。

    ◉-2、手順②:検索ボリュームを把握し優先順位づけする

    前述した通り、Googleのキーワードプランナーなどを活用して、検索ボリュームを把握しましょう。

    BtoBビジネスの場合は、そもそもビッグワード自体の検索ボリュームがさほど多くない場合もあります。目安として1000〜10000程度と説明しましたが、BtoBの場合はもう少しボリュームが少なくてもよいでしょう。その分、検索上位が獲得しやすくなります。

    ただし、100未満のほぼ検索されていないスモールワードはユーザー流入見込みも少ないと予想されますので、対策する時間とコストを考えると、無視した方が良いです。毎月更新するコンテンツの数やリソースとのバランスを考えながら選定しましょう。

    ◉-3、手順③:対策すべきキーワードを決定する

    キーワード対策ツールで、次のようなキーワードを見つけましょう。

    ・現状の検索順位が10位以下である(検索結果の圏外もしくは2ページ以降に表示される)
    ・競合サイトが少ない
    ・同義語など関連キーワードの中でも検索ボリュームが多いこと

    これらをエクセルなどのシートにまとめて選定すると便利です。

    対策すべきキーワードが決まったら、h2やh3といったページ構成やコンテンツ内で使う共起語の分析などに移り、具体的なコンテンツ制作に入っていきましょう。

    ▶SEO対策については、関連記事【SEO対策とは? 効果的な戦略の組み立て方と対策方法】もあわせてご参考にしてください。

    ◉効果的なキーワード選定のポイント

    SEO対策のキーワード選定をするにあたり、「ユーザーの意図や目的」「コンテンツのクエリタイプ」「検索結果のクエリタイプ」を理解しましょう。

    ここでいうクエリとは、ユーザーが検索したときに実際に使用した単語や単語の組み合わせのことです。

    ユーザーが商品購入、資料請求、会員登録、ダウンロード等のアクションを行なう取引型の「Doクエリ」、ユーザーが知識や方法、ノウハウなどを収集するために利用する情報収集型の「Knowクエリ」、ユーザーが特定のWebサイトやブランドサイトを探すために利用する案内型の「Goクエリ」があります。

    ユーザーの検索意図を知るほか、検索ボリュームが少なすぎないか、サジェストキーワードをさらに細分化できないかなどを理解したうえで、キーワード選定を行ない、定期的に見直しを図っていくことは重要な措置です。

    ◉キーワード選定ツールについて

    ここまで解説した方法や手順を踏まえて、実際にキーワードツールを活用していきましょう。キーワードを自力で考えたり、書き出したりするのはかなり大変です。

    SEO対策やコンテンツマーケティングは長期戦。業務を効率化することはとても大切です。

    SEO対策のプロの業者が使うようなツールほど綿密なキーワード抽出は難しいですが、次のようなツールでも十分に効率化を図ることは可能です。

    ◆Google AdWordsキーワードプランナー
    Google AdWordsキーワードプランナーは、その名の通りGoogleが提供しているキーワードツールです。無料で利用することができます。
    自社サイトの関連キーワードの抽出のほか、調べたいキーワードの月間検索数を調査することもでき、大変有益です。
    無料で利用は可能ですが、Google広告アカウントへの登録が必要なことは覚えておきましょう。

    ◆ラッコキーワード
    ラッコキーワードは、無料で利用できるキーワードリサーチツールです。
    GoogleやYahoo!JAPANなどの関連ワードを一瞬で収集してくれ、サジェストキーワードが50音順とアルファベット順で一覧表示されます。
    メールアドレスのみの登録でラッコIDが付与され、誰でも簡単に無制限に利用することが可能です。
    ただし、具体的な月間検索数などの数字までは把握ができません。

    ◉【まとめ】キーワード対策は根気が必要! 外部パートナーともうまく付き合おう

    以上のように、SEO対策のためのキーワード選定はポイントと手順を押さえ、ツールを活用すれば適切なキーワードと出合えるでしょう。

    一方、どの企業においても毎月キーワード選定やコンテンツ制作のリソースを確保するのは大変だと思います。さらに結果の伴わないコンテンツはリライトするなど随時改善を図っていく必要があります。

    まずSEO診断をお願いしてみるなど、信頼できそうな業者を探してみるのも一案です。

    参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから