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2024.09.19

Branding, Marketing

自費出版とは?メリットやデメリット、費用相場、成功事例などを解説

書籍を出版する方法は、大きく自費出版、商業出版、企業出版の3つに分けることができます。

本記事では、3つの出版方法の中で、自費出版とはどういうものなのか、そしてメリットやデメリット、費用相場、成功事例などについて詳しく解説します。

目次【本記事の内容】

執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)


福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経済法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を担当し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。

■自費出版とは?

自費出版とは、主に個人が自分の経験や考えを伝えたり、自分史をまとめたり、趣味の集大成としたりするために原稿を書き、それを出版社に依頼して書籍化する出版方法です。

出版費用は全て著者負担となりますが、売上や発行部数などにとらわれずに一冊の本としてまとめることができるのが特徴であり、魅力と言えます。

収益を得るためではなく書籍化すること自体が目的の出版方法です。

また、個人ではなく企業経営者などが原稿を書いて自費出版するというケースもありますが、この場合も名刺代わりに配るためなどであり、書籍化することに重点が置かれます。

自費出版、商業出版、企業出版それぞれの特徴について、以下の表に分かりやすくまとめました。

出版方法特徴
自費出版主に個人が、自分の経験や考えを伝えたり自分史をまとめたり趣味の集大成とするために、自分で書籍の内容やデザイン、発行部数などを決めて出版する方法。書籍の出版費用は著者が全額負担し、初版発行部数は100部~500部程度。
商業出版出版社がヒット作をつくって利益を上げるために、書籍の企画や内容などを決めて出版する方法で、積極的にプロモーションを行う。書籍の出版費用は出版社が全額負担するのが一般的で、初版発行部数3,000部~10,000部程度。
企業出版企業や企業経営者がブランディングや信頼性向上、集客などの経営上の課題を解決するために書籍を出版する方法。書籍の出版費用は企業が全額負担し、初版発行部数は1,000部~10,000部程度。

商業出版との違い

商業出版とは、出版社と著者が協力して書籍を出版する方法です。

出版社が書籍の企画をして著者を選定し、書籍がたくさん売れるような内容にして積極的にプロモーションを行うのが特徴です。

実際に世の中で実際にベストセラーとなった書籍のほとんどは商業出版によって出版されたものです。

ヒット作を作って出版社が利益を上げることが商業出版の目的なので、出版費用は出版社の全額負担になります。

また、出版社の企画に協力した著者には、販売・印刷部数に応じて決められた割合で印税が入ります。このように、著者に報酬が支払われることも商業出版の大きな特徴の1つであり、自費出版や企業出版との違いです。

一方で、商業出版の場合は、著者の伝えたいことよりも出版社側の意向が優先されるので、著者の言いたいことが書けなかったり、修正されたりすることがあります。

自費出版のように、著者が伝えたいことを自由に書けるわけではないという点も商業出版の大きな特徴であり、違いの1つと言えるでしょう。

▶商業出版については、関連記事【商業出版とは?企業がブランディングを考えたときの出版の選択肢】もあわせて参考にしてください。

企業出版との違い

企業出版とは、企業や企業経営者が自社のブランディングや信頼性向上、集客などの経営上の課題を解決するための手段として使われる、出版方法です。

出版費用は企業や企業経営者である著者が全額負担するので、この点では自費出版と同じです。そのため、自費出版とよく混同されがちですが、次のように出版する目的が大きく異なります。

  • ・企業出版の目的:【課題解決】企業のブランディングやマーケティングの課題解決
  • ・自費出版の目的:【出版】自分の書きたい内容を本として出す
  • ・商業出版の目的:【利益】売れる本を作り、売上をあげる

企業出版は課題解決が目的であるため、その費用の中には、出版社が行う企画、編集、デザイン、校正、書店への流通、プロモーションなどの費用が含まれています。

そのため、自費出版よりも費用は高額です。

■自費出版の費用相場はどれぐらい?

自費出版の費用は、出版する書籍の形式(単行本、文庫、写真集など)や判型、出版部数、紙質、含まれるサービスなどによって変わってきます。費用相場には幅があり、約100万円〜1,000万円程度です。

他の出版方法の費用相場と比べると次のようになります。

出版方法費用相場
自費出版100万円~1,000万円程度(一般的なのは251万円〜600万円程度)
商業出版0円(出版費用は出版社が負担するため)
企業出版400万円~1000万円程度

自費出版する際にかかる費用の項目としては次のようなものがあります。

  • ・企画費
  • ・執筆費
  • ・編集費
  • ・写真・イラスト費
  • ・デザイン費
  • ・校正・校閲費
  • ・印刷・製本費
  • ・プロモーション費

執筆費は、クオリティの高い書籍にするためにライターに執筆を依頼する場合に発生する費用です。

また、写真・イラスト費は、写真集などを自費出版する際の写真撮影や書籍の中にイラストを入れたりする場合に必要となります。

プロモーション費は、出版社の営業力を使って広告宣伝を行う場合に発生する費用です。

たとえば、写真やイラストを自分で用意したり、自分で執筆したり、プロモーションなどを自分で行うなどをすれば、費用はその分安くなる可能性があります。

自費出版の費用対効果

自費出版する際の費用対効果に関して、ポイントとなるのは出版目的と書籍のクオリティです。

とにかく書籍にして出版することが目的なのであれば、そもそも効果を期待する必要がありません。

しかし、セルフブランディングという目的がある場合は、その目的を達成するためにどの程度の書籍のクオリティにするのが最適なのかを考えなければなりません。

また、販売数をある程度伸ばして印税収入を得たいという目的があるのであれば、クオリティを上げるのに加えて、出版社の販路などを利用してプロモーションを行うことも必要となり、相応の費用がかかります。

このように、自費出版の場合の費用対効果は、その出版目的に応じて変わってきます。

【参考】企業出版の費用対効果

企業出版は、自費出版と同様に著者が出版費用を全額負担する出版方法ですが、自費出版との違いは明確な出版目的があることです。

企業の宣伝・PRや問い合わせによる成約率の向上などの目的があるのであれば、ターゲットの設定とそのターゲットに書籍を購入してもらうためのプロモーションが必要となります。

そういった目的を見据えて書籍の企画や出版を行うため、企業出版に成功すると出版費用などを上回る大きな利益が期待できます。

実際に企業出版によって経営課題を解決した2つの事例を紹介します。

企業出版事例①:読者からの反響により出版から2ヶ月で6億円の売上達成

これは、ある不動産投資会社の企業出版事例です。

出版前は、Web広告による新規顧客の集客はほとんどなく、紹介のみに頼っていたそうです。

また、見込み顧客との信頼関係の構築などにかなりの時間が必要で、成約までのリードタイムが長いことが課題となっていました。

そこで、年収は多いものの税金も多いという悩みを抱える医師をターゲットとして「節税対策に不動産投資が効果的」という内容の書籍を発売。

出版社の販路を利用して、主に一都三県や大阪府、福岡県を中心に書店への流通・配本を実施しました。

出版後、多くの読者である医師から問い合わせがあり、出版から2ヶ月で6億円の売上を実現しています。

問い合わせのほとんどは不動産投資に関心のある読者からの反響が中心で、成約までのリードタイムが短縮でき、営業効率の向上にもつながっています。

企業出版事例②:出版記念のイベントを開催し企業の認知度が向上

これは、わさびの製造・販売会社の企業出版事例です。

出版前は、自社で製造・販売しているわさびの魅力に関する顧客へのアピール不足が課題で、同業他社との差別化も不十分だという認識がありました。

そこで、料理に関心のある30代~40代の女性をターゲットとして、わさびの効能や歴史、レシピを収録した書籍を出版。

また、出版後に本社がある名古屋の書店で、書籍へのレシピを提供してくれた料理研究家とのコラボレーションで出版記念のトークイベントを実施したところ、当日はイベント会場が満員御礼となり書籍を50冊以上売り上げるなど大盛況となりました。

その後、出版をきっかけに平均聴取者数20万人の全国放送のラジオ番組から2週連続の出演依頼があるなど、書籍を出版したことにより、企業の認知度向上や売上向上につながりました。

■自費出版のメリット

メリット

自費出版のメリットとしては次のようなものがあります。

自分の企画や内容、デザインで本が出版できる

自費出版の最大のメリットは、自分の思い通りの本を作ることができることです。

自分自身で企画をして、本の内容もデザインも自由に決めることができます。

一方、商業出版の場合は、企画を出版社が行うため、著者が書きたいことを書くことはできません。企業出版も、マーケティングやブランディングが目的であるが故の制約があり、自分の自由に本を作ることは難しいと言えるでしょう。

しかし、自費出版であれば、著名人ではない一般人であっても、自分の人生をまとめた自分史を出版したり、趣味の句集や詩集を出版したりして、個人的な活動を知ってもらうために書籍を出版することができてしまいます。商業出版や企業出版などに比べて制約が少なく、自由に自分の本を出版できるのが自費出版の魅力なのです。

なんでもアリではない。薬機法や景品表示法などには注意!

ただし、自費出版であってもなんでもアリというわけではありません。

たとえば、本の内容によっては薬機法(旧:薬事法)や景品表示法に抵触する可能性もあります。該当する場合は、出版社や専門家に相談したり、専用のチェックツールなどを利用して法に抵触しないように注意しましょう。

▶薬機法(旧:薬事法)については、関連記事【薬機法(旧:薬事法)とは?違反せずに広告・PRする7つのポイントを分かりやすく解説】もあわせて参考にしてください。

出版実績が自分で作れる

自費出版の場合は、著者の都合によって好きなときに好きな内容の本を出版することができます。

つまり、自分の出版実績は自分で作ることができるのです。

たとえば、あるセミナーを開催したとしましょう。

出版実績のある講師の方が、セミナーの参加者から「信頼できる」と感じてもらいやすくなります。このように、自費出版はセルフブランディングにつながります。

また、名刺代わりに配ることで、相手に「出版したことのある人なんだ」と強く印象づける効果も期待できます。

このように、簡単に自分のビジネス上のブランディングができてしまうのも自費出版ならではのメリットの1つです。

出版後は書籍が著者の著作物になる

書籍の著作権は出版費用の負担者に帰属します。そのため、自費出版の場合は著者の著作物になります。

商業出版の場合には、出版費用を出版社が持つため、いくら著者と言えども無許可で内容を使うことはできませんが、自費出版の場合には、著作権が著者にあるため、書籍の一部を抜粋した冊子を作ったり、Webやブログなどに転載したりすることも自由に行うことができます。

■自費出版のデメリット・リスク

自費出版のデメリットやリスクとしては次のようなものが挙げられます。

出版費用が全額著者負担なため、高額になりやすい

自費出版の場合、出版費用は全額著者負担となります。

出版費用は、自費出版の依頼先によっても異なりますが、大手出版社の自費出版部門はサポートが手厚い一方で費用は高額になりがちです。

出版後のプロモーションなどが行われないことが多い

自費出版の場合、出版後のプロモーションが行われないケースが多いと考えておきましょう。

大手出版社の自費出版部門などに依頼する場合は、プロモーション費用を支払えばオプションとして行ってもらえますが、期待通りのプロモーションを行ってもらえるのかは出版社次第です。

プロモーションを依頼する場合は、事前にどのようなプロモーションを行ってもらえるのかを確認しておくことをおすすめします。

出版後の流通を行ってくれないことが多い

自費出版の場合、出版後の流通も行ってくれないことが多いと考えておきましょう。

プロモーションと同様に、大手出版社の自費出版部門などに依頼する場合は、書店流通費用を支払えばオプションとして行ってもらえますが、商業出版や企業出版のように積極的には行ってもらえないと思っておきましょう。

流通を依頼する場合も、事前に出版社に「流通をどれぐらい行ってもらえるのか?」「流通の方法は何か?」などを確認しておくことをおすすめします。

なぜなら、書店を訪れた方が全く足を運ばないような自費出版専門棚に1冊置いてあるだけで「流通している」と謳う出版社も実際に存在するためです。

自費出版を行う場合には、その点に十分警戒しましょう。

■自費出版を行う際の注意点

自費出版は費用さえ捻出できれば、誰でも出版することが可能です。

そういったハードルの低さ故に注意しなければならないことがいくつかあります。

自費出版が最適な方法なのかを慎重に検討する

個人や企業・企業経営者が出版を行う場合に、自費出版が最適な方法なのかを慎重に検討する必要があります。

たとえば、企業経営者が個人的に名刺代わりに書籍を配ったり、個人のセルフブランディングをしたりするのが目的であれば、自費出版がおすすめです。

自費出版の目的は、著者のこれまでの経験や考えを書籍の形にまとめることにあり、自分史や回顧録などのように自身を振り返る手法に向いています。

その他に、個人的に創作してきた小説や俳句、詩などを自分の成果として1冊の書籍にすることもできます。

一方、企業や企業経営者が、自身の事業やビジネスのブランディングや宣伝・PRを目的として出版するのであれば、企業出版がおすすめです。

なぜなら、企業出版のサービスは書店への流通力や営業力を持った出版社が提供していますので、これらを利用して全国の書店で販売されるからです。

企画段階で書籍を購入してくれるターゲットを設定して、ターゲットの目に留まるような書店の書棚に並べることができます。

このように、著者の目的によって自費出版、企業出版どちらが良いかが変わってくるので、今一度慎重に考えてみましょう。

参考までに、自費出版と企業出版の目的別のおすすめの人は次表の通りです。

出版方法こんな目的を持つ人におすすめ
自費出版名刺代わりに自分の書籍を配りたい企業経営者や個人のセルフブランディングをしたい人など
企業出版自身の事業やビジネスのブランディングや宣伝・PRをしたい企業や企業経営者など

信頼できる出版社を選ぶポイント

自費出版ができる出版社はたくさんあります。

そのため、中には思ったようなサポートをしてもらえない出版社や、価格だけ高いような出版社があるのも事実です。

自費出版は費用が高額なので、失敗しないためにも、信頼できる自分に合った出版社を選ぶ必要があります。出版社選びで押さえておくべきポイントとして、まず、ホームページなどで自費出版を行っている出版社かどうかを確認します。

自費出版を取り扱っているのであれば、出版社としての歴史や実績がしっかりしているのか、代表や社員がどのような経歴や実績を持っている人なのかについても確認しましょう。

そのうえで、実際に営業担当者と打ち合わせをして自費出版に必要な費用や期間などについてヒアリングをして見積もりを依頼します。

また、自費出版の場合は、発行部数や紙質の選び方などによって見積金額が変わってきますし、提示された見積金額以外に追加費用が発生する可能性もありますので、この点についてもきちんと確認しておく必要があります。

営業担当者が信頼できるかどうか?

営業担当者と打ち合わせしたり見積もりを依頼したりする際に注意したいのは、その営業担当者が信頼できる人物かどうかということです。

たとえば、見積書の内容を詳細に説明しなかったり契約を急がせたりするような場合は要注意と考えた方が良いでしょう。

「社員は会社の顔」とよく言われますが、自費出版の場合も、営業担当者の対応がよく信頼できる場合は、良い出版社である可能性が高いです。

「営業担当者が信頼できる人なのかどうか?」はしっかりとチェックしておきましょう。

原稿のチェックやアドバイスをしっかりと行ってくれるかどうか?

見積もりを依頼する際に、営業担当者や編集者と打ち合わせをすることになりますが、その際に企画内容や原稿などのチェックやアドバイスをしっかりと行ってくれるかどうかもチェックポイントの1つです。

営業担当者には売上ノルマが課せられている場合があり、自分のノルマを稼ぐために契約させるようなケースもあります。

また、営業担当者や編集者が適切な原稿チェックやアドバイスをするだけの経験がないというケースも考えられます。

印税や儲けを目的にしない

世の中には、自費出版からスタートしてベストセラーになった書籍が実際にあります。

たとえば、夏目漱石の「こころ」、島田洋七の「佐賀のがばいばあちゃん」、山田悠介の「リアル鬼ごっこ」などが有名ですが、これは非常に稀な事例です。

よく、自費出版の営業などの際に語られるこういった事例を真に受けないようにしましょう。

基本的に、自費出版の場合は印税で儲けるというようなことを目的とするべきではありません。

内容は自分でよくチェックする

自費出版の場合も出版社で編集や校正をやってくれますが、その分だけ費用が発生するので注意しましょう。

基本的な誤字脱字や表記ゆれのチェック・修正などの校正作業は出版社に依頼する必要がありますが、最小限の費用で収まるように自分でよくチェックする必要があります。

適切な発行部数を選択する

自費出版の費用は全額著者が負担しますので、発行部数も著者が自由に決めることができます。

発行部数が増えると1冊あたりの単価は安くなりますが、出版費用は高くなります。

自費出版の書籍が余ってしまっても困りますので、適切な発行部数を選択するようにしましょう。

ブックマーケティング

■自費出版の流れ・出版までにかかる期間

以上、自費出版の費用や特徴、さらには出版社の選び方まで詳しく解説しました。

自費出版でも企業出版でも、自分のニーズを満たしてくれる出版社なのかどうかはとても重要です。

費用が安いに越したことはありませんが、「安かろう悪かろう」に当たらないためには契約前に出版社の営業担当者と綿密にやり取りをし、懸念を払拭しておくことです。

見積もり

書籍の企画が決定すると、出版社が見積もりを行います。

見積もりに際しては、金額を大きく左右する条件などについて双方でよく確認しておく必要があります。

また、この段階で見積もり以外にどのような費用が発生する可能性があるのか、についても事前に聞いて把握しておくことが重要です。

出版業界には専門用語も多く、業界ならではの常識も多いので、結果的に自分で想定していた金額よりも大幅に高くなってしまった、などのトラブルもよくあります。十分に注意しましょう。

申込・契約

出版社から提示された見積金額や条件に納得できた場合は、出版の申し込み・契約となります。

費用の支払いについては、「全額前払い」「着手金+校了時に残金」など出版社によって異なるので、契約前によく確認しておきましょう。

また、自費出版の場合の著作権は著者に帰属しますが、この点も事前に確認が必要です。

原稿・デザイン作成

契約が終わると、著者は原稿作成と写真やイラストなどの準備をします。

原稿や写真・イラストなどの素材が揃ったら、出版社の編集者からアドバイスをもらい必要に応じて修正をします。

原稿や写真・イラストなどの素材の準備に必要な期間は約2週間~6か月です。

原稿が完成後、デザイナーが表紙や紙面のデザインやレイアウトを行います。

デザイナーからの提案によって、原稿の加筆や減筆、写真やイラストの見直しなどが発生することがあるので、デザインやレイアウトに必要な期間は、2週間~1か月です。

校正・校閲

デザインが終わった初校を紙やPDFに出力して、校正を行います。

イメージ通りのデザインになっているか、誤字脱字や表記ゆれはないか、写真やイラストの見え方は適切か、などについて校正と修正を繰り返します。

また、校閲を行い事実関係に誤りがないことなどを確認(ファクトチェック)していくので、校正・校閲に必要な期間は、2週間~1ヶ月程度です。

印刷・製本・納品

校正が終わると、出版社から印刷会社に書籍のデータが送られますが、これを入稿といいます。

印刷会社から実際の本に近い紙やインクを使って印刷した色校正が提示されるので、インクのノリ具合や写真の色味を確認して、必要に応じて調整を依頼します。

色校正が終わったら、契約部数の書籍が印刷・製本されて納品、と言う流れです。

印刷・製本に必要な期間は、約1ヶ月です。

■自費出版の成功事例

ここでは自費出版の成功事例について紹介します。

しかし、前述の通り、そもそも自費出版が書籍を出版することが目的だったり、名刺代わりに知人に配りたいという目的、セルフブランディングに活用したいという目的、ベストセラーで印税収入を得たいという目的まで千差万別ですので、何をもって「成功」というかは人それぞれです。

1つ目の成功事例は、自費出版をきっかけに新聞や週刊誌などに取り上げられて話題となり、テレビ番組などへの出演オファーが殺到したというケースです。

その書籍はビジネス書だったので、書籍の売上部数の大幅アップにはなりませんでしたが、その後も講演依頼や執筆物の依頼が増えて、専門家としての認知度も向上しました。

2つ目の成功事例は、自費出版をきっかけとしてラジオ番組を担当することになったものです。

たまたまその書籍を読んだラジオ番組の関係者が、番組制作の担当者に話をして、トントン拍子に1つのラジオ番組を担当することになりました。

大きなビジネスチャンスにつながったというような成功事例ではありませんが、著者としては自身の専門性を認めてもらえて、より多くの人に自分の意見や考えを伝える場をえることができ、セルフブランディングにつながりました。

■自費出版は出版目的を持つが大切

自費出版はただ出すだけではなく、「何のために出すのか?」という出版目的をしっかりと持って行うことが重要な出版方法です。

出版目的が明確であれば、100万円程度の安い自費出版サービスでも最高の満足度を得られる場合もあります。

しかし、一方で高額な自費出版サービスを使ったからと言って自分にとって最高の満足度が得られるとは限りません。

「あれだけ、高額な費用を使って、できたのがこれか・・・」と後悔してしまうケースもあります。

そのため、もし今みなさんが自費出版を考えているのであれば、自分自身に「何を目的に出版するのか?」を問いかけて、明文化してみてください。

とにかく書籍化するのが目的であれば、安価なサービスでも問題はないでしょう。

しかし、他の目的であれば、今一度出版社の人と本当に自分に適した出版方法は何なのかを相談してみましょう。

■まとめ

本記事では、自費出版とはなにか、メリット・デメリット、費用相場、成功事例などについて解説しました。

自費出版は、著者が自由に本の内容を決めることができるので、名刺代わりに配ったりセルフブランディングをしたりするのには最適な方法です。

しかし、著者自身の事業やビジネスの宣伝・PRやブランディング目的の場合にはあまり効果が期待できません。

なぜならば、出版社によるプロモーションなどがないため、多くの顧客に購入してもらうことができないからです。

自分自身が行っている事業やビジネスをより拡大していくための宣伝・PRやブランディング、マーケティングが目的ならば、企業出版や企業出版を活用して問い合わせにつなげるブックマーケティングという手法を検討してみてください。

▶ブックマーケティングについては、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。

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