記念誌は、会社や団体などの周年記念日やその他の記念すべきイベントなどを祝うために制作される出版物です。
名前の通り、会社などの節目やイベントを記念するためのものですが、きちんと読んでもらえなかったり、終わった後は棚の奥にしまっておかれたりすることが多くあります。
せっかく時間と費用をかけて作るのですから、多くの人に読んでもらえて他の用途にもどんどん活用してもらえるような出版物にしたいものです。
そこで今回は、記念誌を読んでもらうためのコツや出版後の活用アイデアなどについてくわしく解説いたします。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
◉記念誌とは?
記念誌とは、会社や団体・学校・官公庁などが周年記念日や何らかの出来事、イベントを記念して発行される出版物のことです。
たとえば、創立(設立)20周年や50周年などの区切りの良い年に行われる記念行事や会社や社員の受賞、関連施設のオープンなどのイベントを記念して出版されることが多いようです。
内容としては、周年記念日やイベントなどを祝う内容や歴史、実績などが中心となりますが、基本的に構成や内容には決まりがなく、自由です。
◉-1、社史や周年史との違い
記念誌と似た出版物として、社史や周年史があります。
社史は会社の創業からの歴史や活動などを読み物としてまとめた出版物であり、周年史の一つの形です。
主に会社の周年事業の一貫として編纂されるのが一般的ですが、上場その他の会社にとって記念すべき出来事に合わせて作られる場合もあります。
一方で、周年史は会社や各種団体・学校・官公庁などが周年記念日に合わせて発行する出版物です。
創立20年や50年などの周年記念日に合わせて発行されます。
周年史の一般的な内容は、年表に基づいた創立や設立からの沿革と、その間の代表的な出来事などを時系列で記述したものとなっています。
▶周年誌については、関連記事【周年史とは?出版目的や具体的な制作の流れや活用方法について解説】をあわせて参考にしてください。
▶社史については、関連記事【読まれ、活用される社史を作るコツ!作成後の有効活用方法も解説】をあわせて参考にしてください。
◉記念誌を作る主な目的
従来は、会社がこれまで存続できたことへの感謝の気持ちを伝えることを目的として記念誌が制作されていました。
しかし昨今では、自社の企業理念やブランドの価値などを社内に浸透させていくインナーブランディングという目的も強く意識されるようになってきています。
記念誌を作る主な目的としては次のようなものがあります。
・周年記念事業の記念にする ・関係者各位への感謝を伝える ・ブランディング ・自社資料や歴史、実績などの整理をする ・営業・マーケティングツールとして活用する ・認知度の向上 |
目的について、それぞれくわしく見ていきます。
◉-1、周年記念事業の記念にする
一般的な会社では、創立10周年や20周年などの区切りの良い年に周年記念行事を開催してお祝いをし、その周年記念行事の一環として記念誌が出版されることがあります。
記念誌は周年記念行事のときに必ず出版するわけではなく、何らかの節目の年に出版されることが多いようです。
◉-2、関係者各位への感謝を伝える
記念誌には、会社がこれまで存続するためにお世話になった顧客や取引先、株主、パートナー会社、地域社会、従業員・OBなどに対するお礼の意味が込められています。
記念誌の編纂を通じてこれらの方々との関係を改めて認識し、完成した記念誌をお世話になった方々に寄贈して感謝の気持ちを伝えることができます。
関係者各位に感謝を伝え、今後も関係性を深めていくためのコミュニケーションツールと言えるでしょう。
◉-3、ブランディング
記念誌を用いて、通常の会社活動では伝わりにくい会社の歩みや実績・理念などを社内に浸透させることができます。
そのために、過去の記録だけではなく未来への展望なども積極的に掲載する企業が多いようです。
また、社内だけではなく、社外に向けて会社の存在意義や将来性などをアピールすることもできます。
◉-3-1、インナーブランディング
記念誌に記載された会社の歩みや実績・理念などを従業員に読んでもらうことによって、社内に浸透させて一体感を強めることができます。
また、自社の過去の出来事や考え方を知り、自分たちや組織の役割を再確認してモチベーションを高める効果も期待できるでしょう。
その他、人材教育や研修にも活用できるため、人材の育成や業績向上に役立ちます。
◉-3-2、アウターブランディング
記念誌は社外に対するブランディングにも効果があります。
これまでに開発して販売してきた商品やサービスの開発経緯や開発秘話、歴史、企業理念などがまとめて書かれていますので、顧客に自社のことを詳しく知ってもらうことができます。
そのため、記念誌は社外の方々への知名度が向上するなどブランディング活動に活用することが可能です。
自社の社会への貢献や役割をまとめることによって、対外的なイメージアップにつながります。
◉-4、自社資料や歴史、実績などの整理をする
会社活動を長く続けていると多くの資料が発生しますが、存続年数が長くなり会社規模が大きくなると散在したり、行方不明になったりすることがあります。
記念誌の制作をきっかけとして、社内に散在している資料を集めて自社の歴史や実績などを整理することができます。
過去の経営方針や事業成果、課題、その課題をどのようにして乗り越えたかなどをストーリーとして残し、これらを整理することで、経営に活かすことも可能です。
また、過去の資料の中には業界や地域社会にとって重要なものが含まれている可能性がありますので、業界団体や地域の図書館に寄贈した方が良いケースも考えられます。
◉-5、営業・マーケティングツールとして活用する
近年ではブランディングだけではなく、記念誌そのものを営業やマーケティングツールとして活用するために作る会社も多くなっています。
そもそも、記念誌は会社の過去から現在がすべて丁寧にまとめられた出版物なので、会社紹介のためのツールとして活用しない手はありません。
営業やマーケティングツールとして活用する場合は、事前に営業やマーケティングの部署にヒアリングを行いましょう。
◉-6、認知度の向上
記念誌には会社の歴史や経営理念、将来像などがまとめられているので、その会社の認知度を向上させるために適したツールと言えます。
また、出版物であるため社会的な信用性が高く、認知度の向上を目的の1つとして作る会社もあります。
◉記念誌を読んでもらうためのコツ
従来の記念誌は記念事業のために作ることがほとんどでしたが、近年ではブランディングで会社をより認知してもらって、実際の営業・マーケティング活動に活用することを視野に入れて作る会社が増えてきています。
そのためには、次のような視点で記念誌を作り込んでいくことが重要です。
・社員を巻き込んだ参加型のコンテンツ制作 ・会社のこれまでの成長を数値・図式化してわかりやすく掲載 ・会社の将来像を掲載 ・目を惹くデザイン・装丁 |
それぞれのコツについて、くわしく見ていきましょう。
◉-1、社員を巻き込んだ参加型のコンテンツ制作
社員を記念誌のコンテンツの中に巻き込むと、当事者感が増してより親近感を持って読んでくれるようになります。
具体的には次のようなコンテンツ作成を検討してみましょう。
◉-1-1、社員インタビュー
社員にインタビューを行って、それを記事化したコンテンツです。
記念誌などのインタビューというと社長や経営陣などへのインタビューが多いのですが、各年代別の男女それぞれにインタビューを行うのがポイントです。
なぜなら、社員インタビューに参加した方はもちろん、同じ部署の方などに当事者意識が芽生えやすく、読んでもらうきっかけになるからです。
または、現役社員だけではなく引退したOBなどへのインタビューを行ってみるのも面白いのではないでしょうか。
◉-1-2、社員座談会
社員の座談会を行って、それを記事にするのもおすすめです。
社長や経営陣を囲んでの座談会がよくあるパターンですが、社員が気になるテーマや会社の将来など、社員が主体的に語るようなテーマを設定するのがコツです。
社員にとっては、社長や経営陣よりも、他の社員の方が自分を投影しやすく、親近感を持ってもらいやすくなります。
◉-1-3、全社員アンケート
全社員に対するアンケートを行うと、全員がその結果に興味を持って読んでくるようになります。
テーマとしては、普段はちょっと聞きにくいけど気になるようなコトなどがおすすめです。
もちろんオーソドックスなテーマでも良いのですが、ちょっと変わったクスッと笑えるようなものが幅広い年齢層の従業員の興味を引くことにつながります
◉-1-4、全社員のお祝いメッセージ
全社員から寄せ書き形式で手書きのメッセージをもらって掲載するのも有効です。
手書きであることがポイントで、一体感の醸成や会社に対する意識を高めることにつながります。
◉-1-5、全社員の集合写真
全社員の集合写真を掲載するのもおすすめです。
会社の規模や拠点の数などによって、全社員一緒の集合写真が難しい場合は、部門別や拠点別の写真を撮って掲載しても良いでしょう。
◉-2、会社のこれまでの成長を数値・図式化してわかりやすく掲載
普段はあまり触れることがないような会社の内部事情が分かる数値を、ポップな形で分かりやすく掲載することで、より会社のことが理解できるようになります。
たとえば、社員数の推移、平均給与の推移、会社の売上推移など、パッと見て分かりやすい数値や図式を掲載すると、営業やマーケティング、採用などの活動に活用できたりします。
◉-3、会社の将来像を掲載
会社の過去の実績ばかり書かれていても、経営層だけの内輪ネタのように受け取られることがあります。
将来に向けてどのようなビジョンを持っているのか、経営者はどのような想いを持って進んでいこうとしているのか、社会に対してどのような貢献をしていくのか、などをしっかりと掲載することが、従業員の士気を高めたり、対外的な印象を良くしたりすることにつながります。
たとえば、会社が今後目指している未来予想図をイラストなどに表して、将来像を示すなど、文章だけではなく、視覚的に訴えかけるようなコンテンツがおすすめです。
◉-4、目を惹くデザイン・装丁
記念誌をパッと見たときに、「何これ、面白い!」と思われるようなデザインや装丁にすると手に取ってもらいやすくなります。
近年は「文章を読む」よりは「見て理解できる」ようにすることがコツと言えるでしょう。
デザインや装丁をビジュアルなものにするだけで話題になりやすくなります。
しかしながら、あまりにも会社のイメージとほど遠いものになると逆効果になる可能性もあるので、デザインや装丁が会社を象徴するようなものになるように工夫しましょう。
◉作るだけではダメ!記念誌の積極的活用方法
記念誌を出版した当初は記念事業などの一環として読まれますが、だんだん読まれなくなり活用されなくなり、本棚の奥底に眠ってしまいがちになってしまいます。
せっかく手間や費用をかけて作る出版物であり、会社のことを理解できる貴重なコンテンツなのですから、積極的に活用しなければ損ということになります。
具体的な積極的活用方法としては次のようなことがあり、これらを見据えたコンテンツを制作することが重要です。
・営業ツールとしての活用 ・マーケティングツールとしての活用 ・記念誌でまとめた情報をWebやSNSで二次活用 ・情報発信ツールとしての活用 |
それぞれについて、くわしく見ていきましょう。
◉-1、営業ツールとしての活用
記念誌は営業ツールとして活用できます。
なぜなら、記念誌では創業以降に開発・販売した商品やサービスなどが整理され、分かりやすく紹介されているからです。
また、自社のモノづくりに対する理念を、自社が属するエリアの文化や伝統などと一緒に紹介して、どのように世の中の役に立ってきたのかなどを記載すれば、優れた営業ツールとすることができます。
たとえば、飛騨地方のある家具メーカーでは、そのエリアのモノづくりの理念とその背景にあるエリアの文化や風土を紹介する記念誌を作成。
その記念誌が話題となってTV番組で紹介され、自社商品の売り上げが急増したという事例があります。
◉-2、マーケティングツールとしての活用
記念誌はマーケティングツールとして活用することも可能です。
ある総合商社では、記念誌を漫画化して出版して話題となりました。
創業期のエピソードなどを漫画化して出版するほか、創業地の図書館に寄贈したり、一連の活動がマスコミに取り上げられて、知名度や好感度のアップにつながっています。
◉-3、記念誌でまとめた情報をWebやSNSで二次活用
記念誌に掲載された情報をWebサイトに記事として投稿したり、SNSなどで投稿したりして二次活用することが可能です。
オリジナル性の高いコンテンツを投稿できるため、WebサイトにとってはSEO対策にもなり、SNSなどはフォロワーの獲得にもつながります。
◉-4、情報発信ツールとしての活用
記念誌には、過去の実績から将来展望まで書かれているので、読めば会社のことをしっかりと理解することができます。
つまり、記念誌は会社の認知度向上を図るための情報発信ツールとしても最適だということです。
たとえば、書店に流通させたり、見込み顧客に送付したりすることで会社のさらなる認知度向上につながります。
▶会社の認知度向上については、関連記事【経営者必読!認知度向上の方法と効果的なマーケティングの選択肢】をあわせて参考にしてください。
◉【まとめ】社内の継続的な利益につながる記念誌を作り、活用しよう!
本記事では、記念誌を作る目的や読んでもらうためのコツ、出版後の活用アイデアなどについてくわしく解説しました。
記念誌を作るのであれば、ただ記念事業の一環としてだけではなく、ブランディングやマーケティング、営業、採用などの会社活動に有益な影響を与えるような活用を見据えて作ることをおすすめします。
フォーウェイでは、コンテンツを作るだけではなく、マーケティングなどを掛け合わせて活用していくコンテンツマーケティングを追求しています。
会社のさまざまな部署で活用できる記念誌の制作をお考えてあれば、お気軽にご相談ください。
「本の出版には興味があるが、何か自分自身や、経営する会社、行っている事業にとってメリットがあるのか?」と、本を出版する効果について疑問を持っている経営者は多いと思います。
結論から言えば、本の出版は、経営者に多くのメリットをもたらします。
しかし「うまく活用すれば」という条件付きです。
ただ本を出版しただけでは、自己満足で終わってしまいます。
この記事では、本の出版を経営者自身のブランディングや、経営する会社や行っている事業の発展につなげていくための、戦略的書籍出版の方法について解説していきます。
経営者で本の出版に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
◉経営者が本を出版するメリットとは?
「全く同じ内容が書いてあるネットの記事と本、どちらが情報として信用できるか?」と聞かれたら、多くの人が本と答えると思います。
ネットやSNSで自分の欲しい情報がいつでも手に入る時代ですが、今でも本は信用性の高い媒体として多くの人に認知されているのです。
そのため、経営者が本の出版をうまく活用すれば、次のような7つのメリットを得ることができます。
◉-1、メリット①:経営者自身のブランディング・認知度向上につながる
これまで会社を経営してきた経験や、培った専門性、想いなどを本にすることで経営者自身のブランディングや認知度向上につながります。
なぜなら、多くの人が「一握りの専門家しか本を出版できない」というイメージを持っているためです。
たとえば、ある経営者がサイバーセキュリティに関する本を書いて出版したとしましょう。
それを読んだ多くの人が、「サイバーセキュリティの業界ですごい人なんだ」と思うはずです。
このように、本の出版をうまく活用することで、世の中に自分自身の専門性や、人となりを認知してもらえるようになります。
後にご紹介しますが、ある保険代理店の経営者は、「自身の保険代理店の経営論」に関する本を出版し、多くの業界関係者からの理解と共感を獲得。
講演依頼がくるなど、業界内での認知度向上やブランディングにつながっています。
このように、本の出版をうまく活用すれば、経営者自身のブランディングや認知度向上につなげることができるのです。
▶︎認知度向上については、関連記事【経営者必読!認知度向上の方法と効果的なマーケティングの選択肢】もあわせて参考にしてください。
◉-2、メリット②:会社や事業のブランディング・認知度向上につながる
本に自身が経営する会社のことや、事業について書くことで、ブランディングや認知度の向上につながります。
後にご紹介しますが、実際に、ある建設業専門のコンサルティング会社の経営者は、本の出版により認知度が向上し、仕事の依頼や商圏の拡大につながっています。
「見込み顧客である層に本を届けることができれば」という条件付きではありますが、「こんな会社だったんだ」「こういう事業をやっているんだ」「こういう強みがあるんだ」と認知度向上につながり、問い合わせや仕事の依頼につながる可能性だってあるのです。
▶︎企業ブランディングについては、関連記事【企業ブランディングとは?企業の成長における重要性や手法を徹底解説】もあわせて参考にしてください。
◉-3、メリット③:経営者・企業の社会的信頼性の向上につながる
いまだに本は社会的信用性の高い媒体として多くの人に認知されています。
ネットやSNSでの情報収集が主流となった現代であっても、「本を出した」と言ったら、「本を出版できるすごい人なんだ」と思ってくれる人は多いはずです。
また、本の出版をきっかけに、テレビや雑誌などのメディアに注目が集まれば、番組出演やインタビューなどへのオファーにつながる可能性もあります。
本を出版しているというだけで、地域や業界内で一目置かれる存在になれるかもしれません。
このように、経営者が本の社会的信頼性の高さをうまく活用することができれば、自分自身や経営する企業、行っている事業の社会的信頼性を高めることができるのです。
◉-4、メリット④:競合他社との差別化ができる
ネットやSNSのように、パッと見た印象や、判断されるキャッチーさが求められる媒体とは違い、本はじっくり読まれる媒体です。
ネットやSNSとは違い、本を手に取ってくれた読者に、しっかりと経営者の事業にかける想いや、商品やサービスなどが作られた背景などを伝えることができてしまうのです。
つまり、浅く広く多くの人に認知されやすいネットやSNSとは違い、本は狭い範囲で深い共感を得られやすいのです。
後ほどご紹介しますが、実際にある保険代理店の経営者は、本に自分の想いや考え方を入れ込み、同業他社からの深い共感を得ることに成功しています。
本という媒体の性質を正しく理解し、うまく活用することができれば、同業他社との差別化につなげることができるのです。
▶︎差別化戦略については、関連記事【差別化戦略の成功の秘訣−メリットやデメリット、成功事例とは!?】もあわせて参考にしてください。
◉-5、メリット⑤:潜在顧客へのアプローチができる
書店を訪れるのは、あらかじめ購入したい本を決めている人ばかりではなく、「こんな感じの本がないかなぁ」という漠然としたイメージを持っている人や、「なにか面白い本がないかなぁ」と全くイメージを持たずに訪れる人もいます。
タイトルを見て回ったり、立ち読みしたりしながら本を選ぶ人もいるでしょう。
このように、書店は潜在的なニーズを持った人が多く集まる場所でもあります。
該当するジャンルの書棚に陳列されることで、そのジャンルの悩みや課題を抱えた潜在顧客に出版した本を購入してもらえる可能性があるのです。
このように、一般的な営業やマーケティング手法では接することができない潜在顧客へのアプローチができることも、本の出版の大きなメリットの1つと言えるでしょう。
◉-6、メリット⑥:成約までの期間の短縮ができる
本に入れることができる情報量は多く、一般的なビジネス書(200ページ程度)であれば、7万字〜10万字という膨大な情報を入れ込むことができます。
そのため、本の中には、次のような経営者に関わるあらゆる情報を入れることが可能です。
【ブックマーケティング著者のご紹介】・自社の紹介
・自社商品やサービスの紹介
・経営者自身の考えや想い
・創業のきっかけや、これまでの経緯
・商品やサービス開発の背景
・自社の強みやノウハウ
単に会社や商品・サービスの内容だけではなく、その背景にある考えや想いなどもまとめて伝えることができてしまうのです。
このように、本ならではの強みを活用すれば、顧客との信頼関係構築がしやすくなるだけではなく、自社の事業の理解も得られやすくなります。
たとえば、本を読んでいない人と商談を行う場合と、本を読んで問い合わせをしてくれた方と商談を行う場合であれば、後者の方が成約につながりやすく、リードタイムも短くなる可能性が高いと言えます。
なぜなら、すでに本を読んで自社や商品、サービスについてある程度理解してくれている可能性が高いからです。
中には自社や商品、サービスのファンになり、成約前提で問い合わせをしてきている方もいらっしゃるかもしれません。
このように、本をうまく活用すれば、これまで顧客との信頼関係の構築にかかっていた期間や、成約前に顧客教育が必要だった期間が不要となり、成約までのリードタイムを短縮することができるのです。
◉-7、メリット⑦:経営者や企業にとっての棚卸し(強みの再構築)につながる
本を作る前には、出版する目的や、本にどのような内容を盛り込みたいか、を企画していきます。
経営者へのヒアリングや、打ち合わせを入念に実施した上で企画を作っていくため、そのプロセスの中で経営者自身が「これが自社の強みだ」と改めて気づくことも多いのです。
たとえば、弊社のクライアントさまの中にも、出版のプロセスの中で自身や自社の強みを再認識し、「セミナーで自分の言葉で語れるようになった」「自分自身の自信につながった」という経営者が実際にいらっしゃいます。
本をきっかけに講演に呼ばれて話しても、自信を持って語れる。以前から考えてはいたけど言語化されていなかった概念が、出版によってスルスルと言葉になって出てくるようになった。その言葉が聴衆に刺さっているのも感じます。
引用元:【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店
◉経営者が出版する目的を明確に!選ぶべき最適な出版方法が異なる
ここまで、経営者が本を出版することで得られるメリットをお伝えしてきましたが、ただ本を出版しただけでは、これらを得ることは難しいと言えます。
出版する目的をはじめ、「誰に、どのような情報を、どうやって届けていくのか」など、出版後も見据えた戦略があってはじめてメリットを享受できるようになります。
そのための第一歩が出版方法の選択です。
出版「商業出版」「自費出版」「企業出版」という3種類がありますが、その中から最適な出版方法をまずは決めていく必要があります。
◉-1、自費出版:書籍化が目的
自費出版は、次のように書籍化が目的の場合に選択される出版方法です。
・自分史を後世に残したい
・名刺代わりに配る本を作りたい
・趣味の集大成を書籍にしたい
著者が書きたい内容を書けるというのがメリットですが、出版のためにかかる費用は全て著者負担になります。
また、自費出版の場合は、出版後の書店配本やプロモーション費用も著者負担になることがほとんどです。
よって、「出版しても流通しにくい」というのがデメリットです。
本を出した後に、経営者自身が出版パーティーを開いたり、名刺代わりに積極的に配ったり、送付したりすれば、前述した出版のメリットのうち、いくつかは享受できる可能性はありますが、基本的には何か成果を求めて選択するような出版方法ではありません。
「書きたいことがあるので、どうしてもそれを本にしたい」という方におすすめの出版方法です。
▶︎自費出版については、関連記事【自費出版とは?メリットやデメリット、費用相場、成功事例などを解説】もあわせて参考にしてください。
◉-2、企業出版:企業の集客・ブランディングなどの課題解決が目的
企業出版は、企業が、集客やブランディングなど、経営課題を解決するという目的で選択される出版方法です。
次のような、さまざまな経営課題を解決したい場合におすすめの出版方法と言えます。
・自社やサービス、商品の認知度をあげたい
・競合他社と差別化を図りたい
・自社のブランディングを強化したい
・自社やサービス、商品の社会的信用性をあげたい
・社内ブランディング(インナーブランディング)を強化したい
・成約までにかかるリードタイムを短縮したい
・上場に向けて、会社の認知度や社会的信用性をあげたい
・WebやSNSで集客しているがうまくいかない、それ以外の集客方法を探している
・富裕層や決裁権者などに効率的にアプローチしたい
出版費用はすべて企業側の負担となる点や、本の内容の最終決定権が企業側にあるという点は自費出版と同じです。
しかし、企業の課題解決が目的であるため、「目的達成のためにどのような本を出版すれば良いのか」という企画提案が出版社側からあるのが、大きな違いと言えるでしょう。
また、自費出版とは違い、出版後のプロモーションや配本も行われることが前提です。
出版社の流通網を活用し、商圏内の書店に的確に配本できることも自費出版にはない、企業出版ならではの特徴と言えるでしょう。
「本がどれぐらい売れたのか」というよりも、「いかに見込み顧客に1冊でも多く届けられるか」ということが重要なので、出版後のプロモーションをどうするかも見据えて本の企画を行っていく必要があります。
出版社によっては、SNSや、SEO、Web広告、クラウドファンディングなど、あらゆるマーケティング施策を活用していくことを見据えて本の企画を考えていくこともあります。
マーケティング施策の一環として本の出版を活用することから、ブックマーケティングとも呼ばれることもある出版方法です。
◉-3、商業出版:出版社の売上向上が目的
商業出版は、出版社がヒット作を作り、売上や利益を向上させることが目的の出版方法です。
売れる本を作るために、出版社が自ら本の内容の企画や著者の選定を行い、配本やプロモーションを大々的に行っていくので、ベストセラーが生まれやすいというのが商業出版の特徴です。
実際にベストセラーの本のほとんどが商業出版によって生まれています。
出版社主導の出版方法なため、企業や経営者個人の一存で商業出版ができるわけではありません。
著者自身や出版コーディネーターが企画を出版社に持ち込んで出版されるケースもありますが、全体のごく一部です。
また、出版社が決めた方向性に沿って本を作るため、著者が伝えたいことを自由に書ける訳ではありません。
出版社都合で内容が変更されることもよくあります。
あくまで出版社の企画に沿って著者がアサインされる、という形になるため、著者には印税という名の報酬が発生します。
▶︎商業出版については、関連記事【商業出版とは?企業がブランディングを考えたときの出版の選択肢】もあわせて参考にしてください。
◉単なる自己満足な出版で終わらせないためには?
「商業出版からなぜベストセラーが多くでるのか」というと、出版社が「売れる本を作る」という明確な目的を持って、トレンドや読者の興味関心をリサーチしたり、配本やプロモーションなども見据えて戦略的に本の企画を行うためです。
商業出版のようにベストセラーが目的では無かったとしても、何か本を出版することで成果を得たい場合は、「いかに戦略的に本を企画し出版するか」が自己満足な出版で終わらせないコツです。
具体的には次のようなポイントを押さえましょう。
◉-1、本を出版する目的を明確にし、有効な出版方法を選択する
まずは「何のために本を出版するのか?」という目的を明確にしましょう。
「社会的信用性をあげるために本を出したい」「何か自分の生きた証を残したい」「自分の考えや想いを形にしたい」という目的であれば、自費出版がおすすめです。
このような目的の場合は、「自分が好きなことを書ける」ということが重要です。
一方で、本を出版することで、自社の認知度・知名度向上や、競合他社との差別化、ブランディング、集客アップ、新規顧客獲得などを期待するのであれば、企業出版がおすすめです。
この場合は、「自分が好きなことを書く」というよりも、「いかにターゲットに1冊でも多く届けるか」が重要であり、配本やプロモーション、マーケティング戦略が必要になってきます。
企画の段階から、こういったことを含め、コンセプトや戦略を練っていくことが何より重要です。
◉-2、出版後のプロモーション戦略と書籍活用も見据えた企画を立案する
自己満足で終わらないためには、「これを書きたい」ということよりも、「自社の強みが何なのかを再認識し、その強みを誰にどうやって伝えるのか」の方が重要です。
そのためには、本の企画の段階から、ターゲット決めや、出版後のプロモーション方法や本の活用方法をある程度決めておく必要があります。
むしろ、それを見据えた本の内容にしていくことが重要なのです。
たとえば、本の出版後にSNSで情報を拡散していく予定であれば、小出しにできるような見出し構成にしたり、SNSと連動する要素を盛り込んでいくなどができるはずです。
また、本の出版後にセミナーや講演会を積極的に行っていく場合には、そこに思わず足を運びたくなるような内容を盛り込むことができます。
このように、先を見据えた戦略的なプロモーションやマーケティングを踏まえて、本の内容を決めていくことが、ただの自己満足で終わらせないコツの1つです。
◉-3、出版後の書籍の流通経路をあらかじめ考え、出版社と相談しておく
出版後の流通経路も重要です。
商圏以外の地域に配本しても意味がありません。
そのため「どの地域の書店に配本していくのか」などを出版社と相談しておきましょう。
「商圏拡大のためにこの地域に配本していきたい」「この地域で競合他社との差別化を図りたい」という明確な目的があるのであれば、流通経路もそれに応じて変えていくべきです。
◉-4、出版後に書籍を活用したプロモーションを実施する
「本を出版したけど、何も反響がなかった」という声をよく聞きますが、その原因は明確です。
本を出版した後に、何もしなかったから、反響がなかったのです。
すでに知名度が高い経営者、企業であっても、書店配本はもちろんのこと、SNSで定期的に書籍の内容の一部を投稿したり、出版記念セミナーを開催したり、営業ツールとして積極的に配ったり、見込み顧客に送付したり、出版後にあらゆるプロモーションを行わなければ、反響を得ることは難しいと言えます。
実際に、ベストセラーになっている本の多くは、内容が良いだけではなく、出版社がお金をかけて積極的にプロモーションをしているから売れているのです。
そのため、出版後にも積極的にプロモーションを実施していきましょう。
◉-5、電子版のみはNG!紙の書籍を出版する
「デジタルの時代だから」と、電子書籍のみで出版を検討している方も多いと思いますが、注意してください。
なぜなら、誰でも無料で電子書籍を出せるというハードルの低さから、競合が多く、見つけてもらうことが難しいためです。
ある程度知名度がある会社だったとしても、簡単に埋もれてしまいますので、プロモーションやマーケティングをしっかりと行っていかないと、電子書籍のみで企業の課題を解決するのは難しいと言えるでしょう。
あくまで紙媒体の補助的な役割で電子書籍を活用するのがおすすめです。
◉-5-1、Kindle出版やプリントオンデマンドには注意
出版費用を抑えるための方法として、Kindleなどの電子書籍やプリントオンデマンドがありますが、利用は慎重に検討しましょう。
なぜなら、電子書籍は紙媒体に比べて社会的信用性が低いからです。
誰でも無料で出せるのが電子書籍の強みであり、弱点でもあるのです。
安易に安いから、といって手を出すのはおすすめしません。
◉経営者の出版成功事例
本の出版をうまく活用すると、実際にどのような成果が期待できるのか。
実際に経営者が本の出版をうまく活用した事例をいくつかご紹介します。
◉-1、事例1:保険代理店の経営者の場合
ある保険代理店の経営者は「保険業界の給与体系を変えることによって業績拡大ができる」という持論を世に問うために書籍を出版。
書籍の中で、保険業界では当たり前の「成果報酬型」を「一律報酬型」に変えることを提唱し、「一部のスーパー営業マンに頼った経営から、全員がアベレージヒッターになる経営に変えていこう」と訴えかけました。
保険業界の当たり前とは反対の持論を展開した形でしたが、予想以上に多くの業界関係者から理解と共感が得られたのです。
結果として、ブランディングに成功。
本の出版によって保険の契約獲得数も増え、新規コンサルティング契約の獲得や講演会の依頼などにもつながっています。
なんというか、当社の見られ方が確実に変わりましたね。同業者の集まりに出ても「あのイナバプランニングカンパニーさん」という反応で最初から一目置かれている。保険の商談に従業員と同行するときも、お客様に事前に本を読んでおいてもらうと、ご面談するときにちゃんと「あったまっている」んですよね(笑)
引用元:【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店
◉-2、事例2:不動産会社の経営者の場合
高収入な医師をターゲットに不動産投資サービスを提供していた、ある不動産会社の経営者は、SNSやWeb広告を運用しても成果が得られない現状や、成約までのリードタイムの長さを改善したいと考えていました。
不動産投資サービスは、高額で、パッと判断して購入に踏み切れる商品ではありません。
「見込み顧客といかに信頼関係を築けるか」や、「いかに必要性や有効性を理解してもらうか」が重要です。
そのため、パッと見て一瞬で「買う・買わない」や、「興味ある・ない」を判断されるSNSやWeb広告とは相性が悪かったのです。
そこで「高収入な医師に最も効果的な節税対策は不動産投資である」というテーマで本を出版。
ターゲットである医師に的確に本を届けるためのプロモーション戦略を企画段階から練っていたことが功を奏して、多くの医師に本を読んでもらうことに成功しました。
実際に、本を読んだ医師に、不動産投資に大きな節税効果があることが認知されて問い合わせが増加。
さらには既存顧客や、本を読んだ医師からの口コミなどによって評判が広がり、新規顧客の獲得につながっています。
◉-3、事例3:建設業専門コンサルティング会社の経営者
この経営者は、自社で行う事業があまり世間に認知されていないことを課題に感じていました。
そこで、知名度向上や商圏の拡大のために本の出版に踏み切りました。
ターゲットである建設業者の決裁権者に確実にアプローチするために、書籍のタイトルに「建設業のための」という文言を入れたり、その後のプロモーション戦略も見据えて本の内容を企画。
出版後、ターゲットとしていた建設業者の決裁権者に読んでもらうことができ、出版翌日から電話が鳴り止まないほどの反響を得ています。
結果として、10件近くの新規顧問契約獲得につながり、首都圏中心に配本したことにより、商圏の拡大にも成功しました。
建設業専門のコンサルティング会社としての地位を確立し、ブランディングにも成功。
業界からの認知度向上にもつながっています。
◉【まとめ】目的を持って戦略的に本を作ろう!
経営者が本を出版するなら、自身の自己満足で終わらせるのではなく、経営者自身にとっても、経営する企業や行っている事業にとっても良い影響が期待できる「企業出版」がおすすめです。
もちろん、「自己満足でも自分の書きたいことがかければ良い」ということであれば自費出版で良い思いますが、せっかくお金をかけて本を出版する訳ですから、目的を明確にして、戦略的に本を作った方がメリットが大きいと言えます。
もし、経営者自身や経営する企業の目的に合わせた、戦略的な出版をお考えであれば、フォーウェイまでご相談ください。
配本やプロモーション戦略はもちろんのこと、SNSやWeb広告、SEO、クラウドファンディング、セミナーなど、あらゆるマーケティング施策を駆使した戦略的書籍出版をご提案いたします。
製造業は、競合他社が多く、差別化が難しいうえに、価格競争に巻き込まれてしまいやすい業種の1つ。
そんな製造業を営む企業にとって、自社のコトや、自社の商品・サービスの内容や強みを的確に伝えることができる会社案内パンフレットは重要なツールの1つです。
会社案内パンフレットの作り込みにより、自社の企業価値を高め、認知度を向上させ、売上や利益につなげていく1つのきっかけを作ることができます。
今回は、そんな製造業の会社案内パンフレットをより魅力的、かつ売上向上や利益向上につなげるためのポイントや、有効な活用方法などをご紹介いたします。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
◉製造業にとって会社案内は売上に直結するツール!
製造業は、原材料を加工したり部品を組み立てたりして商品を製造する業種のことで、生産形態によって「見込み生産型」と「受注生産型」に分けることができます。
「見込み生産型」は、自動車や家電品、食料品、日用品などのようにあらかじめ大量生産をして商品を作りあげておき、商品在庫を持って顧客に提供する生産形態です。
これに対して「受注生産型」は、受注後に顧客の要望に合わせた商品を製造する生産形態で、多くの場合、顧客ごと注文ごとに仕様が異なる商品を製造して顧客に納品します。
「受注生産型」の製造業の場合、顧客は過去に入手した会社案内パンフレットを見て発注先候補を選ぶことが多くあります。
会社案内パンフレットがなければ、自社の存在や商品・サービスをアピールする機会の損失につながってしまうのです。
また、「受注生産型」の製造業の場合は、顧客から「ちゃんと取引ができる会社」であることや「ちゃんとした実績のある会社」であることなどの信頼性を勝ち取ることも重要です。
Web上で情報提供するだけではなく、しっかりと紙媒体の会社案内パンフレットを作って顧客に配布することで信頼感の獲得にもつながります。
このように、会社案内パンフレットは製造業の売上や利益の向上に直結する重要なツールと言えるのです。
◉製造業が会社案内を作り込むメリット
製造業が会社案内パンフレットを作り込むことによるメリットは、主に次の4つです。
・企業の認知度が上がる(ブランディング) ・相見積もりの際に選ばれやすくなる ・優秀な人材を採用しやすくなる ・営業・マーケティング活動の効率化につながる |
各メリットについて、くわしく見ていきましょう。
◉-1、企業の認知度が上がる(ブランディング)
会社案内パンフレットを作り込み、新規顧客開拓などに活用することによって、自社や自社の商品・サービスの認知度を上げることができます。
たとえば、会社案内パンフレットを作り、顧客となる企業に送付すれば、紙媒体であるが故に誰かが目にするはずです。
会社案内パンフレットは、チラシやDMなどとは違い「必要な時もあるかもしれないから一応取っておこう」と、すぐに捨てられる可能性が低く、タイミングがよければ担当者に中身を見てもらえる可能性もあります。
中身がしっかりと作り込まれていれば、発注元企業の担当者の印象にも残りやすく、場合によっては相談などの機会につながる可能性もあります。
このように、小さな認知の積み重ねが、企業の認知度向上につながっていくのです。
◉-2、相見積もりの際に選ばれやすくなる
大企業が発注先を選定する際には社内ルールで「相見積もりをしなければならない」ことになっていることが多く、相見積もりの候補先を探すときに過去にもらった会社案内パンフレットを見返すことがよくあります。
しっかりと作り込まれた会社案内パンフレットであれば、担当者の目に止まりやすくなり、相見積もりの候補先として選ばれやすくなります。
また、将来の発注先候補になり得る企業の会社案内パンフレットはそう簡単に捨てられることはありません。
保管されて必要なタイミングで見返されて、新たな仕事の相談につながる可能性もあるのです。
◉-3、優秀な人材を採用しやすくなる
会社案内パンフレットは、人材採用においても効果を発揮するツールです。
製造業の場合、提供している技術や、作っている商品が専門的すぎて、「どれぐらい凄いのか」が分かりにくい傾向があります。
いくら日本でトップクラスの技術を誇る企業であっても、その凄さが伝わらないと、求職者の候補先にも入ることができません。
そんな時、会社案内パンフレットに技術力の高さや将来性、販売する商品・サービスがどのように世の中で役に立っているのか、などが分かりやすく記載されていたり、社内の様子や働いている人の顔が見えたりするとどうでしょう。
求職者も「どういう会社で、どれだけ凄い技術力を持っているのか」を理解でき、「この会社なら自分の力を発揮できそうだ」と、興味を持ってもらいやすくなるはずです。
また、求職者がどの会社に応募しようかと検討する際に、紙媒体のパンフレットであれば複数の会社を並べて比較することができます。
そういった意味でも、紙媒体の会社案内パンフレットは優秀な人材の採用のために重要なツールと言えるのです。
◉-4、営業・マーケティング活動の効率化につながる
会社案内パンフレットを活用することで「自社や自社の商品・サービスを伝える」という業務の大幅な効率化が可能になります。
たとえば、営業担当が初めて会う顧客に製品やサービスの強みを口頭で伝えようとしても、相手がピンと来なかったり理解が深まりにくいことがあるでしょう。
これでは、相手に自社を理解してもらうために時間ばかりが取られて、不効率です。
そこで会社案内パンフレットの登場です。
わかりやすい図や実績、独自の取り組みがまとまっていれば、顧客も視覚的に「なるほど、こういう会社か」と理解しやすく、会話がスムーズに進むはずです。
結果として、商談の効率化や売上アップにもつながる可能性も高くなります。
同様に、マーケティング活動でも、自社の紹介を「会社案内パンフレットを見てもらう」ということで効率化できるはずです。
◉ただ作るだけではダメ!製造業の会社案内に盛り込むべき7つのコト
会社案内パンフレットをただ作るだけでは、前述したようなメリットを享受することはできません。
「とりあえずあればいい」というのであれば、一般的な会社案内パンフレットに盛り込まれているような内容を記載しておけば良いでしょう。
しかし、もし「成果を出したい」と考えるのであれば、次のような内容を工夫して盛り込むことをおすすめします。
・製造実績 ・明確な商品・サービス内容 ・顧客視点(顧客の声、顧客からの質問への回答など) ・営業やマーケティング、人事の視点 ・会社案内パンフレットを見た人への行動喚起・導線の設置 ・自社のブランドコンセプトに則った一貫性のあるデザイン・コピー ・どんな人が作っているか?製造設備や体制など |
具体的にどのようなことを盛り込むべきか、くわしく見ていきましょう。
◉-1、製造実績
製造業の会社案内パンフレットにおいて、製造実績の記載は重要です。
サービスや商品を購入する側の立場になってみれば、「失敗したくない」というのが本音であり、「過去に同じような依頼をたくさん受けている経験豊富な企業にお願いしたい」と思っています。
会社案内パンフレットを見る段階では、発注元の担当者は「依頼して本当にこちらが依頼したものを作ってくれるのかどうか」が不安なのです。
こういった不安を取り除いてあげるためにも、これまでに「どのような商品をどれくらいの数量生産した実績があるのか」を明確に記載しましょう。
複数の生産拠点がある場合は、それぞれの拠点ごとに製造実績などを明記するのがおすすめです。
◉-2、明確な商品・サービス内容
商品・サービスの内容を明確に記載することも重要です。
特に「受注生産型」の製造業の場合は「どんなものでも作れます」というアバウトな内容ではなく、より具体的に製造可能な商品・サービスの内容を記載することがポイントです。
会社案内パンフレットを見て「この会社で対応可能なのかどうなのか」が不明瞭だと、発注はもちろん、問い合わせをすることにも不安を感じてしまいます。
製造している商品・サービスが明確に示すことができるのであれば、それを記載するようにしましょう。
また、「受注生産型」で顧客の要望によって「なんでも作れる」ということであれば、「これまでにどのような商品を、どのような仕様や精度で作ってきたのか」などを具体的に記載するのがおすすめです。
◉-3、顧客視点(顧客の声、顧客からの質問への回答など)
自社の視点だけではなく顧客から見てどのような企業なのか、商品・サービスなのかを記載することも重要です。
たとえば、顧客の声や顧客からの質問への回答などを掲載すると、顧客側から見てどのような企業なのかが分かります。
また、より顧客の要望に寄り添おうとしている企業姿勢を伝えることにもつながります。
また、「こういう会社とも取引がある企業」だという信頼感を持ってもらうことにもつながるため、顧客企業名が掲載可能であれば、相手側に許可を取り、積極的に掲載しましょう。
◉-4、営業やマーケティング、人事の視点
会社案内パンフレットは社内のあらゆる部署で活用されるツールなので、他部署での活用を見据えて制作しましょう。
会社案内パンフレットは自社の商品やサービスを紹介するツールですから、営業やマーケティング、採用などの現場で主に使われます。
活用を見据えて、「営業やマーケティング、人事などの視点」も積極的に入れ込むのがおすすめです。
具体的には、営業においてどのような項目があると利用しやすいのか、マーケティングのどのあたりで活用できそうか、人事としてどのようなことが書いてあると良い人材に響そうか、などをヒアリングしてニーズに合った内容を入れ込んでいきましょう。
◉-5、会社案内を見た人への行動喚起・導線の設置
配布した会社案内パンフレットが「読んで終わり」にならないようにする工夫も大切です。
興味を持ってくれた顧客が次のアクションを起こしやすいように、顧客に次の行動を喚起するような仕掛けを埋め込むようにしましょう。
・QRコードの設置によるLINE公式への導線 ・QRコードの設置によるHPへの導線 ・特典クーポンやオファーチケットなどの付与 |
◉-6、自社のブランドコンセプトに則った一貫性のあるデザイン・コピー
会社案内パンフレットのような紙媒体のパンフレットの場合、パッと見のデザインやコピーのインパクトによって、内容を見るか見ないかが変わります。
そのためには、自社のブランドコンセプトに則った一貫性のあるデザインやコピーを考えることが重要です。
特に表紙です。
表紙でいかに「ちょっと見てみようかな」と興味を惹かせるような、自社を印象づけるようなデザイン、コピーを検討しましょう。
◉-7、どんな人が作っているか?製造設備や体制など
発注元は、新しい企業に発注する際、次のようにさまざまな不安を持っているはずです。
・この数量の発注に耐えられるだけの生産体制があるのか ・この仕様を満足できる生産機械があるのか ・どんな人が作っているのか |
自分たちが「安心して依頼できる先である」ということを伝えるためにも、どのような現場で製造しているのか、どのような人たちがどんな生産体制で、どんな製造設備や機械を使って製造しているのかを盛り込みましょう。
顧客は「より詳しく知りたい」と思って会社案内パンフレットを見ますので、製造現場のことをリアルに伝える内容にした方が信頼感や安心感につながります。
◉パンフレットを作って配るだけではダメ!積極的に活用しよう!
会社案内パンフレットをせっかく作るのであれば、戦略もないままでただ単に配布するよりは、成果を出すために積極的に活用すべきです。
会社案内パンフレットの活用方法としては次のようなものがあります。
・他の営業・マーケティング媒体・手法との連携 ・既存顧客や代理店への送付 ・効果測定と分析により、精度をあげる ・会社案内パンフレットのコンテンツをWebサイトやSNSで小出しにする |
それぞれについてくわしく見ていきましょう。
◉-1、他の営業・マーケティング媒体・手法との連携
会社案内パンフレットは紙媒体ですが、他のさまざまな媒体や営業・マーケティング手法と連携することによって、相乗効果を生むような活用ができます。
具体的には次のような連携が可能です。
◉-1-1、Webサイト×会社案内
Webサイトは顧客に会社の情報を伝えるネット上の「顔」であり「窓口」です。
しかし、情報量が多いため、顧客にとって必要なポイントが埋もれがちです。
そこで、Webサイト上で会社案内パンフレットを閲覧できるようにしたり、お問合せフォームを送信すると自動返信でPDFの会社案内パンフレットが送られてくるような仕掛けを入れておきましょう。
顧客が必要な時に必要な情報をパッと閲覧できるようになる上、お問い合わせフォームで、会社名や担当部署・担当者名などを入力必須としておくことによって顧客リストという資産の獲得にもつながります。
◉-1-2、お問い合わせフォーム営業×会社案内
ターゲット企業のWebサイトからフォーム営業をする際に、会社案内パンフレットのPDFデータのURLを記載しておきます。
文章で会社紹介をする必要がなくなるため、フォーム営業で送る文章が短く、シンプルになりますし、受け取った相手も「どんな会社なのか?」を、必要があればPDFでパッと確認することができます。
会社紹介を省くことにより、本題を伝えやすくなり、端的に要件を伝えられますし、受け取った相手側も理解しやすくなるのです。
◉-1-3、書籍(ブックマーケティング)×会社案内
書籍を出版して流通させることで、自社や商品・サービスの認知度向上や購買意欲向上などに役立てるマーケティング手法をブックマーケティングと言います。
ブックマーケティングの一環として、会社案内パンフレットを送ったターゲット企業の中で反応のあった企業などに、書籍をお送りしてみましょう。
読まれるかどうかは別として、少なからず会社案内パンフレットで興味を持ってくれている訳なので、書籍を送付することによって「すごい会社なんだ」というイメージを持ってもらいやすくなります。
また、書籍を読んでもらうことができれば、自社への理解が深まり、ファンになってくれる方や深い共感や親近感を持ってもらえる可能性もあります。
会社案内パンフレットで反応を見て、反応があったところに、書籍でさらなる興味付けをしていくという流れで活用してみましょう。
株式会社フォーウェイでは、書籍をマーケティング施策に活用するブックマーケティングを行っており、パンフレットやWebサイト、SNSなどと連携して成果につながるサービスを提供しています。
▶ブックマーケティングについては、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。
◉-2、既存顧客や代理店への送付
会社案内パンフレットを既存顧客や代理店へ送付することも有効です。
既存顧客や代理店に会社案内パンフレットを送付しても意味がないと思われがちですが、「会社案内パンフレットをリニューアルしました」などといって積極的に送付すると、新規顧客を紹介してもらえたり、代理店での営業活動に利用してもらえる可能性が高くなります。
また既存顧客であっても、その会社が一体全体どのようなサービスを提供しているのかを細かく知っている訳ではありません。
「こんなサービスもやってるんだったら、これも相談できるかも」と追加発注につながる可能性もあるのです。
◉-3、効果測定と分析により、精度をあげる
紙媒体の会社案内パンフレットなどの効果測定は難しいと言われていますが、何らかの効果測定と分析を行って費用対効果を把握してPDCAを回しながら精度を上げていくことは重要です。
たとえば、会社案内パンフレットに記載するWebサイトのQRコードにパラメーターを付与することによって「会社案内パンフレット経由のアクセス」であることが判別できます。
これにより、会社案内パンフレットの効果を分析することが可能です。
また、会社案内パンフレットの配布エリアやマーケティング施策ごとに、URLに付与するパラメーターを変えておけば、エリアごとや施策ごとのアクセス数を計測することができるようになります。
「この施策、このエリアからの流入が多い・少ない」ということが把握できるようになるので、次の施策を実施する際や会社案内パンフレットを配布する際に「このエリアには集中的に配布しよう」など集中と選択を行うことができ、施策の精度が上がります。
◉-4、会社案内のコンテンツを小出しにする
会社案内パンフレットのコンテンツを、自社のWebサイト記事やSNS投稿などに引用して利用することも有効な活用方法の1つです。
Webサイト記事やSNS投稿にコンテンツを引用することによってWebサイト訪問者が増加したり、オリジナル性の高いコンテンツ発信という観点でSEO対策にもつながります。
◉【まとめ】パンフレットを作り込み認知度向上、売上向上につなげよう!
本記事では、製造業の会社案内パンフレットを作り込むメリットや盛り込むべき7つの内容、積極的活用法などについてくわしく解説しました。
せっかく費用をかけて会社案内パンフレットを作るのですから、ただ作るだけではなく売上向上や利益向上などの成果につながるようなものにしましょう。
効果を見据えた製造業の会社案内パンフレットを制作するのなら、パンフレットや書籍などの紙媒体から、WebやSNSなどのデジタル媒体までのコンテンツをさまざまなマーケティング施策に活用することができる株式会社フォーウェイにお任せください。
多くの中小企業が「他社との差別化」を考えていると思いますが、「どのようにして差別化すべきなのかがわからない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
実際に士業や保険代理店、不動産会社、金融業など、競合他社と商品やサービスの差別化が難しい業種があるのも実情です。
そんな状況の突破口となり得るのが、ブランドマーケティングです。
ブランドマーケティングに成功すると、競合他社から一目置かれる存在になったり、価格競争からの脱却、売上や利益率の向上が期待できます。
本記事では、そんなブランドマーケティングについて中小企業の成功事例を踏まえた上で、くわしく解説いたします。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
◉ブランドマーケティングとは?
ブランドマーケティングとは、自社の商品・サービスの価値を認めてもらうためにブランドを作り、顧客をファン化させるための活動のことです。
顧客体験やブランドストーリーによって、顧客との関係を深めることを目的としています。
顧客のファン化が進んでブランドマーケティングに成功すれば、ブランドの知名度が上がり、「〇〇と言えば〇〇」というようにブランドが認知されるようになります。
◉-1、ブランディングやマーケティングとは何が違う?
ブランドマーケティングと似た用語として「ブランディング」と「マーケティング」があります。
まず、ブランディングとは、自社の商品・サービスそのものの価値やイメージを高めようとする活動のことで、顧客の頭の中に自社の商品・サービスへの良いイメージを作ってもらうことを目的としています。
顧客の中に良いイメージが浸透すると、他社よりも多少価格が高かったとしても、自社の商品・サービスが選ばれるようになるというのが主なメリットです。
一方で、マーケティングとは、自社の商品・サービスを効率的に売るために行う活動全般のことです。
商品・サービスを売るための市場調査や商品企画、価格設定、流通・販売チャネルの構築、広告宣伝、顧客の声のフィードバックなどの活動すべてがマーケティングに含まれます。
◉企業がブランドマーケティングを実施するメリット
企業がブランドマーケティングを実施する主なメリットは次の5つです。
・企業や商品・サービスの認知度が向上する ・価格競争に巻き込まれなくなる ・長期的な広告費用の削減が期待できる ・人材採用がしやすくなる ・資金調達がしやすくなる |
それぞれのメリットについて、くわしく見ていきましょう。
◉-1、企業や商品・サービスの認知度が向上する
ブランドマーケティングを行うことによって、企業や商品・サービスの認知度を向上させることができます。
ブランドマーケティングでは、ブランドコンセプトを具現化する商品・サービスの設計を行い、統一したロゴやデザインによってブランドの確立を図ります。
このような一貫した顧客体験を通じて顧客がファン化して、企業や商品・サービスの認知度向上につながるのです。
▶認知度向上については、関連記事【経営者必読!認知度向上の方法と効果的なマーケティングの選択肢】をあわせて参考にしてください。
◉-2、価格競争に巻き込まれなくなる
ブランドマーケティングが成功すると、自社の商品・サービスへの信頼感が高まります。
機能がほぼ同等であれば価格が多少高くても自社の商品・サービスを購入してもらえるようになり、価格競争から脱却できるようになるのです。
例えば、星野リゾートは日本の文化や自然を体感できるような滞在を提供する旅館・ホテルというブランディングに成功し、高価格帯での集客に成功しています。
このように、ブランディングに成功すると、競合他社との価格競争に巻き込まれないだけではなく、より高い価格でも購入してもらえるようになることから、利益率も高くなります。
◉-3、長期的な広告費用の削減が期待できる
ブランドマーケティングによって企業の認知度が向上すると、広告宣伝をしなくても商品・サービスに対する問い合わせが増えたり売れたりするようになります。
また、既存顧客からの口コミなどによって新規顧客の獲得ができるようになるので、従来のような広告宣伝を行って売上を喚起する必要がなくなります。
さらに、知名度が上がって「〇〇と言えば〇〇」というようにブランドが認知されるようになれば、必要以上の広告宣伝をしなくても、自社の商品・サービスが安定的に売れる効果が期待できるのです。
◉-4、人材採用がしやすくなる
企業が成長していくためには企業活動に必要な人材を採用しなければなりません。
ブランドマーケティングによって認知度が向上すると、企業の取り組みや商品・サービスに共感した求職者が、この企業で働きたいと思って応募してくるようになります。
また、求職サイトなどを利用しなくても、優秀な人材が獲得できるようになるため、人材採用コストも削減できるようになります。
◉-5、資金調達がしやすくなる
ブランドマーケティングに成功すると、自社の商品・サービスのファンが増えて投資家からも注目されるようになり資金調達がしやすくなります。
投資家が企業への投資判断をするときには、環境・社会・ガバナンスへの取り組みを基準にしていると言われているため、ブランド確立によってその貢献が認知されやすく、理解してもらいやすくなるためです。
資金調達がしやすくなると、より優位な企業経営が行えるようになります。
◉ブランドマーケティングを行う手順
ブランドマーケティングは具体的に次のような手順で行います。
◉-1、①市場ニーズの調査
市場ニーズは常に移り変わっていくものですから、まずは顧客ヒアリングやアンケート・ネット調査・SNS調査などを行って、自社の商品・サービスに対する市場ニーズを正確に把握することが重要です。
これによって、消費者がその商品・サービスについて重視しているポイントや欲している付加価値が何かを知ることができます。
◉-2、②商品・サービスのペルソナを設定
市場ニーズの調査が終わったら、自社の商品・サービスに興味を持ちファンになってくれるのはどのような人物・企業なのかを想定してペルソナ(架空の顧客像)を設定します。
ペルソナを設定すると、顧客目線での検討が可能になりますし、関係者全員で共有する顧客像を統一することができます。
商品やサービスのラインナップが多くある場合には、それぞれでペルソナを設定しましょう。
◉-3、③カスタマージャーニーの設定
ペルソナの設定が終わったら、その人物がどのようなタイミングで自社の商品やサービスの情報を得てファンになり購入に至るのかというカスタマージャーニーを設定します。
カスタマージャーニーは行動だけでなく思考や感情も含めて考えるもので、顧客が購買プロセスの中のどこにいるのか分かり、どのような情報やコンテンツなどを提供すべきなのかが分かります。
◉-4、④ブランドコンセプトの設計
カスタマージャーニーの設定が終わったら、ファンになってもらうためのブランドコンセプトを設計します。
ブランドコンセプトとは、ブランドの価値を言葉で表したもので、ブランドが選ばれる理由となるものです。
ペルソナの生活の中で、自社の商品・サービスがどのような利益や利便性を提供できるのかを考えて言語化していきます。
同様に、自社の商品・サービスの社会全体に対する使命や存在価値も考えましょう。
◉-5、⑤商品・サービスの設計
ブランドコンセプトの設計が完了したら、それを具現化する商品・サービスの設計を行います。
ブランドコンセプトを商品・サービスに反映させて、一貫した顧客体験が提供できるようにするのがポイントです。
ブランドコンセプトに合った商品を提供することによって、顧客の信頼性が向上し、自社の商品・サービスをリピートしてくれるようになります。
◉-6、⑥顧客コミュニケーションの設計
商品・サービスの設計が終わったら、顧客コミュニケーションの設計を行います。
具体的には、どのようなチャネルでどのような流れで顧客コミュニケーションを行っていくのかを設計するもので、いつ・だれに・どのように情報を提供するのかを検討します。
◉-7、⑦具体的なクリエイティブ制作
顧客コミュニケーションを行う上で必要な広告バナーやイメージ画像などのクリエイティブを制作していきます。
設定したペルソナが、どのようなクリエイティブに目を向けるのかなどを考えて、制作の優先順位を決めることも必要です。
◉-8、⑧ブランドマーケティング施策の実施
クリエイティブの制作が終わったら、ブランドマーケティング施策を実施していきます。
制作したクリエイティブを使って設計した顧客コミュニケーションの流れに沿って広告宣伝を行い、口コミを書いてもらったりリピートしてもらったりしてブランドの認知拡大を目指していくフェーズです。
広告宣伝媒体はターゲットに応じて選定する必要があり、たとえば10代~20代がターゲットならばTikTokやInstagramなどのSNSを活用する必要があります。
◉ブランドマーケティングを実施する手法
ブランドマーケティングは、次のようなさまざまなデジタル手法やアナログ手法を用いて実施することができます。
・Web広告(SNS広告含む) ・SNS運用 ・ブランドサイト・メディアの制作・運用 ・書籍(企業出版) ・パンフレット・リーフレット ・マス広告 ・看板広告・デジタルサイネージ広告 ・タクシー広告 |
以下で、それぞれについてくわしく見ていきましょう。
◉-1、Web広告(SNS広告含む)
Web広告とは、大手のポータルサイトなどの広告枠を購入してWebサイトやアプリなどにデジタル広告を表示することで広告費が発生します。
業者に依頼せずに自社で広告運用することもできますが、広告オークションの入札方法やターゲット設定、アクセス解析の方法など、最低限の基礎知識が必要となります。
効率的な広告運用のためには、継続的に広告を出して改善を繰り返すことが必要です。
◉-2、SNS運用
SNSの自社アカウントを取得して情報発信をしたり、SNS内に広告を出したりすることができます。
代表的なSNSには、X(旧Twitter)やInstagram、Facebook、TikTokなどがあり、その種類によって主な利用者の属性が異なりますので、自社の商品・サービスに応じて適切なSNSを選択することが重要です。
SNSは情報の拡散スピードが速いため、自社の商品・サービスのブランド認知度の向上が期待できます。
◉-3、ブランドサイト・メディアの制作・運用
自社でブランドサイト・メディアを制作・運用してブランド価値を高めるような情報発信を行います。
ブランドサイト・メディアのデザインや配色などを統一して、効果的な訴求ができるようにするのがポイントです。
ブランドサイトではSEO対策を行って検索上位を狙ったり、アクセスを解析して継続的に改善を行いましょう。
◉-4、書籍(企業出版)
競合他社との差別化が難しく、Web広告やSNS広告などのデジタル手法を行っても効果が得られなかったという場合には、アナログ手法の紙媒体を活用したブランドマーケティングを検討してみることをおすすめします。
具体的には、書籍をブランドマーケティングに活用する企業出版(ブックマーケティング)という手法があります。
企業出版(ブックマーケティング)を活用したブランドマーケティングは、高単価やBtoBの商品・サービスで、差別化が難しい士業や保険関係の業種などにおすすめの手法です。
▶ブックマーケティングについては、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。
◉-5、パンフレット・リーフレット
パンフレットやリーフレットなどの紙媒体も書籍と同様にブランドマーケティングに効果的なアナログ手法です。
パンフレットやリーフレットをブランドマーケティングに利用する際は、ただ作るのではなく、積極的な活用を見据えて作ること、そして実際に活用することが重要となります。
◉-6、マス広告
テレビCM、新聞広告、雑誌広告、ラジオ広告などのマス広告もブランドマーケティングに活用することができます。
マス広告は不特定の幅広い人にアピールすることができるため認知拡大が見込めるのが特徴。
また、信頼性が高いため、ブランドイメージの向上にも有効ですが、ターゲットを細かく設定できないことと、費用が高いこと、数値による効果測定が難しいというデメリットがあります。
◉-7、看板広告・デジタルサイネージ広告
看板広告やデジタルサイネージ広告もブランドマーケティングに活用することができます。
看板広告は従来から街角などで見かける広告です。
一方、デジタルサイネージ広告は、デジタルサイネージと呼ばれるディスプレイに表示する広告で、現在では駅構内・商業施設などのさまざまな場所に設置されています。
デジタルサイネージ広告は画像だけでなく動画を使用して多くの情報を伝えることができるのが特徴です。
通勤や通学、プライベートな外出の際にターゲットに見てもらえるチャンスが多い媒体なので、ブランドマーケティングには非常に有効です。
◉-8、タクシー広告
タクシー広告もブランドマーケティングに活用することができます。
タクシー広告は、タクシーの後部座席に設置してあるディスプレイに表示される広告で、静止画像だけではなく動画を活用しているためより多くの情報を伝えることができます。
◉ブランドマーケティングを成功させるポイントは「連携」
ブランドマーケティングで成功している企業とそうでない企業の違いは、面で捉えているかどうかです。
具体的には、様々な手法を俯瞰して面で捉えて実行している企業は成功していますが、「デジタル広告だけ」「SNS運用だけ」というように1つの手法だけにこだわって視点が狭くなっていると、なかなか成功にはつながりません。
成功につなげるために重要なのは、さまざまな手法を連携して面でブランドマーケティングを実施していくということです。
◉-1、デジタルな手法とアナログな手法の連携
実は今広告などで成果をあげているのはデジタル手法とアナログ手法の連携です。
株式会社リコーが行った「実証実験」によれば、メルマガを使ってWebサイトに顧客を誘導していた時のメルマガ開封率は13.8%、Webサイト遷移率にいたってはわずか1.5%に過ぎないという状態だったところ、メルマガ送付後に紙のDMを送った場合の、メルマガ開封率が5.5倍の75.8%に、Webサイト遷移率が3.4倍の4.4%に大幅に向上したとのこと。
つまり、デジタル手法とアナログ手法をうまく連携することによって大きな相乗効果が得られることが確認できたのです。
このように、デジタル手法とアナログ手法の連携は、ブランドマーケティングで成果を上げるためには非常に重要です。
◉-2、プル型とプッシュ型の連携
ブランドマーケティングの手法にはプル型のものとプッシュ型のものがあり、主なものを挙げると次表のようになります。
| プル型 | ・Webサイト ・SNS運用 ・各種広告(マス広告、看板広告、タクシー広告など) ・展示会への出典 |
| プッシュ型 | ・訪問営業 ・電話営業(テレアポなど) ・DM |
ブランドマーケティングで成功するためには「プル型だけ」「プッシュ型だけ」ではなく両方を連携した仕組みを作っていくことが非常に重要です。
◉ブランドマーケティングの成功事例
ここでは、実際にブランドマーケティングを行って成功した事例をいくつか紹介します。
◉-1、不動産投資会社
不動産投資会社の経営者は、高収入なために高額な納税をしている医師をターゲットとして「医師に最も効果的な節税対策は不動産投資である」という書籍を出版。
書籍の出版前からSNSやクラウドファンディングなどを利用してプロモーションを行い、顧客の興味を喚起してファン化を促進しました。
出版直後すぐに成果が表れ、書籍を読んだ多くの医師からの問い合わせが殺到。
問い合わせをしてきた医師らは、書籍を読んで「最も効果的な節税対策が不動産投資である」ことを十分理解してくれていたため、ほぼ100%が成約につながるという圧倒的な成果をあげることができました。
競合が多くて商品・サービスの差別化が難しい業種にこそブランドマーケティングが有効だということが分かる事例です。
◉-2、保険代理店
保険代理店の経営者は、新規事業である保険代理店のコンサル契約の獲得のためにはブランドマーケティングが必要との考えから書籍を出版。
従来からSNSなどを利用した情報発信を行っていましたが、1つ上のステージに上るための手法として書籍出版を選択したのです。
書籍の中では、保険業界では当たり前となっている「成果報酬型」という給与体系を自社でも採用している「一律報酬型」に変更すべきだという持論も展開して注目度を上げることを目指しました。
出版後は業界内での地位も向上して、保険会社からも一目置かれる立場になり、ブランド確立を実感されています。
◉-3、金属製品製造・販売会社
1951年に大阪府八尾市で開業した藤田金属は、家庭用金属製品を製造販売している町工場です。
価格競争から脱却し職人の技術を守るために行ったのがブランドマーケティングで「フライパン物語」という自社ブランドを立ち上げました。
持ち手の部分が数百通りにカスタマイズできるという強みが顧客のニーズに刺さり、ブランドが確立し売上も大幅に伸長。
当初の顧客はほとんどが一般生活者でしたが、近年では法人をメインにした販売戦略へと切り替えて更なる成功をおさめています。
「フライパン物語」は、フライパンを自分好みにカスタマイズできるという工夫によってブランド価値を高めたブランドマーケティングの成功事例です。
◉【まとめ】競合との差別化が難しい業種・商品・サービスにブランドマーケティングは有効
本記事では、企業がブランドマーケティングを実施するメリット・手順・手法などについて事例をあげてくわしく解説しました。
ブランドマーケティングは、士業・保険代理店・不動産会社・金融業などの競合他社との差別化が難しい業種・商品・サービスにおいて有効な施策です。
また、ブランドマーケティングを成功させるためには、デジタル手法とアナログ手法、プル型手法とプッシュ型手法などを組み合わせた広告宣伝を行うことが重要です。
フォーウェイは、デジタルとアナログ手法、プル型とプッシュ型手法の連携を得意とするコンテンツマーケティング会社です。
ブランドマーケティングや書籍を活用したブックマーケティングに取り組みたいとお考えなら、ぜひフォーウェイまでご相談ください。
広告の手法は、いうまでもなく非常に多岐にわたります。特にオンライン領域の広告手法の種類が激増した昨今、経営者や広告担当者にとっては、それぞれの手法をどのように選択するのかは悩ましいところでしょう。
そこで今回はデジタルの新しい手法から古くからあるオフラインの手法まで、それぞれのメリットとデメリットを解説します。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
◉オンラインの広告手法
まずは、近年盛んなオンラインの広告手法について解説します。
オンライン広告とはインターネット上で展開される広告のことで、特にWEBサイトのアクセス増やECの販促のために活用されるケースが多いです。
◉-1、オンライン広告のメリット・デメリット
オンライン広告のメリットは、少額でも比較的手軽に始められて、数字による効果測定がしやすい点でしょう。ターゲティングといって、特定のターゲットに絞って広告を出稿し、効率的に自社商品・サービスの認知を広げられる点も強みです。
一方でオンライン広告を実施するデメリットは、一部の制作を除いて継続的に広告を運用しなければ効果が発揮できないため、自社で行なうには工数がかかりすぎること。人員を確保するか、ウェブマーケティング会社に依頼することが必要になります。
◉-2、オンライン広告の種類7
オンライン広告の種類は、主に以下の7種類が挙げられます。
・大手ポータルサイトやウェブメディアの「純広告(ディスプレイ広告)」
「純広告」は、Yahoo!JAPANなどの大手ポータルサイトやウェブメディアの広告枠を購入し、テキストリンク・バナーなどの広告を表示させる手法です。新聞や雑誌の広告に近いといえます。
「純広告」は、オンライン広告の中でも比較的高額なことと、広告をクリックしたユーザーだけにリーチできることが特徴です。ある程度予算をかけ、媒体のユーザー数を生かしてマーケティングしたい場合は有効でしょう。
・ポータルサイトやウェブメディア、YouTuber等との「タイアップ広告」
純広告と違い、そのサイトが公開するコンテンツとして自社を取り扱ってもらうのが、「タイアップ広告」です。WEBメディアで「AD」や「PR記事」などと表記された記事がそれに当たります。YouTuberなどのインフルエンサーにお金を支払って、自社を扱う動画を配信してもらうのもタイアップ広告です。
単純に広告を出すだけの純広告と違い、コンテンツとして自社を取り扱ってもらうことでユーザーへの訴求力をより高められる可能性があるのが、タイアップ広告のメリットです。
・YouTubeなどでの「動画広告」
「動画広告」は動画を制作し、YouTubeなどの広告枠でCMとして配信する広告手法です。
テキストコンテンツよりも短時間でユーザーに情報を届けることができ、視覚的に見せることで記憶に残りやすいメリットがありますが、一度制作したら修正が難しい点とコストが比較的高い点がデメリットです。
・SNSやキュレーションサイトのフィードに表示される「ネイティブ広告」
「ネイティブ広告」は、キュレーションサイトに並んだ記事リストに自社のPRを差し込む手法です。サイトの記事コンテンツの延長線上でユーザーの目に入るため、比較的クリックしてもらいやすいのがメリットです。
デメリットとしては、ニーズのある層に見てもらえば大きな効果を得られる一方で、求めていないユーザーには悪印象になってしまう危険があることでしょう。
・Facebook、X(旧Twitter)、Instagramなどの「SNS広告」
「SNS広告」は、その名のとおりユーザーが閲覧するSNSのフィードに広告を表示させる手法です。
媒体の特性を理解していれば的確なターゲティングが可能なのが、SNS広告の最大のメリット。SNSごとのユーザー属性やユーザーの行動履歴から、狙ったターゲットにピンポイントにアプローチすることができます。
・検索エンジンでの検索結果に表示される「リスティング広告」
「リスティング広告」は、ユーザーが検索エンジンで検索した結果の表示画面で、上位に自サイトを表示させる手法です。ターゲットや目的がはっきりしていればユーザーにリーチするのが容易で、広告予算も細かく設定できるためハンドリングしやすいです。
ただ、リスティング広告自体の認知度が上がってきており、検索ボリュームの大きなキーワードでは多額の費用をかけないと上位表示が勝ち取れなくなっている現状は認識しておきましょう。
・自社サイト訪問者に別サイトでも広告表示できる「リターゲティング広告」
「リターゲティング広告」は、一度自サイトに訪問してくれたユーザーを記憶し、他のサイトにアクセスした際に自サイトの広告が表示されるようにする手法です。何度も表示されることにより、商品やサービスの購入へ強く誘引することができます。ただし、あまりにも表示が頻繁であれば、しつこいと判断されマイナスイメージにもつながりかねません。
◉オフラインの広告手法
オフライン広告とは、新聞や雑誌、電車広告などのリアル媒体を利用した広告の総称です。
◉-1、オフライン広告のメリットとデメリット
オフライン広告のメリットは、新聞や雑誌、多くの乗客が行き来する電車広告などを用いることで露出が保証される点と、エリアマーケティングのやりやすさにあります。たとえば商圏が一部の電車沿線を中心としていれば、電車広告を活用するのは一つの有効な選択肢となりえます。
デメリットは、基本的に新聞社や雑誌社、広告会社を通す必要があるため、費用が高額になりやすい点です。自社の購買層にはなり得ない人の目にも一定数触れることになるので、費用対効果が見合わない可能性もあります。
オフライン広告の種類は、主に以下の4種類が挙げられます。
・「テレビCM」「新聞」「雑誌」「ラジオ」の4大マス広告
いわゆる4大マスへの広告は、媒体や地域によってリーチできる数や料金は変わりますが、認知度を大きく向上させるのには打ってつけの施策です。ただ、基本的に費用はかなり高額です。
4大マスの派生系として、自社の書籍を戦略的に出版する手法も広告施策の一つとして、ここ数年で活用されるようになりました。
マス広告の難点としては、数値による効果測定が非常に難しいことです。
・電車やバスの車内広告や屋外広告、デジタルサイネージ
「交通広告」や「屋外広告」、「デジタルサイネージ」などは通勤や通学、プライベートの外出も含め、ターゲットに見てもらえるチャンスが非常に多い媒体です。期間ごとの固定料金とされているのが一般的で、広告枠が埋まっている場合は掲載が難しい可能性もあります。
これらの広告手法は、中長期にわたり継続的に掲出することが必要で、短期間の掲載の場合はほとんど記憶にも残らず終わってしまう可能性があります。
・注目が集まっているタクシー広告
近年で利用ニーズが増えているのが、タクシーの後部座席に設置されている「動画広告」です。タクシーを利用する人は比較的、金銭面で余裕のある人が多く、乗車中に長時間、そのようなターゲットと接触することができるのが利点です。
動画のほか、車内ステッカーやリーフレット、広告つきのティッシュなど、タクシーにはさまざまな広告手段がありますが、タクシー利用者のニーズを捉え間違えるとほとんど効果が出ないこともあります。
・DM(ダイレクトメール)を中心とした紙広告、ポスティング
「紙広告」、いわゆるチラシによる施策で代表的なのは、DMやポスティングでしょう。あらゆる広告手段のなかでも安価に実施することができ、資金力に関係なく取り組みやすい手法です。
ただし、DMの場合は顧客のリストを用意する必要があり、顧客に送っても無視されやすい傾向があるため、すぐに大きな結果にはつながりません。DMの送付後に電話営業でフォローするなどの工夫が必要でしょう。
ポスティングは地区ごとに不特定多数に配布できることがメリットである一方、クレームにつながったりする危険もあるため注意が必要です。
◉【まとめ】自社のビジネスモデルや目的によって適した広告は変わる
数多ある広告施策は予算だけで選ぶのではなく、事業の目指す方向性や顧客ターゲットに合わせて戦略的に実行しなければいけません。
いちがいに大きな広告施策を実行すれば売上が伸びるのかいうとそうではなく、広告からの問い合わせに対応する自社のマンパワーも考えなければ、せっかくの広告出稿が無駄になる可能性もあります。
広告によって得たい効果を明確にしたうえで、自社に合った手法を選びましょう。
参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから
BtoC企業かBtoB企業かを問わず、商品・サービスが良くても売れるとは限らない今、注目されているのがファンマーケティングです。
ファンマーケティングに成功すると商品やサービスを継続的に使ってくれるファンを獲得することができます。
ファンが愛を持って商品・サービスをSNSやWeb上で広めてくれたり、自主的に自社の情報を拡散してくれたりするため、結果として商品・サービスの認知度や売上向上につながります。
しかし「本当にうまくいくのかが懐疑的」「実際にやってみたは良いが、うまくいかなかった」など、ファンマーケティングの効果について不安を持っている人も多いのではないでしょうか。
本記事では、さまざまな企業の成功事例から、ファンマーケティングを成功させるためのポイントや有効な手法などをくわしく解説します。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
◉ファンマーケティングとは?
ファンマーケティングとは、企業や商品・サービスを熱烈に支持するファンを増やして、売り上げを向上させていくマーケティング戦略のことです。
近年、ファンマーケティングが注目されていますが、その背景にはインターネットの発達などによる情報量の増大や顧客の購買プロセスの変化、少子高齢化による購買層の減少などがあります。
それにより、従来の広告などによる新規顧客の獲得が難しくなってきており、既存顧客や見込み顧客に対するアプローチを見直さざるを得ない状況になっているのです。
マーケティング分野において、ファンとはロイヤリティ(Loyalty:愛着)の高い顧客のことを言い、ロイヤルカスタマーと言います。
企業や商品・サービスのファンが増えることで、次のようなメリットが期待できます。
・中長期的な売上の向上 ・SNSでの情報拡散による認知度拡大や新規顧客獲得 ・商品・サービスの共同開発や改善 |
ロイヤリティの高い顧客は、商品・サービスを継続的に利用してくれるため将来にわたって安定した売上を見込むことができるだけではなく、ファンが自主的にSNSなどに投稿してくれて情報が拡散してくれる場合も多く、認知度拡大や新規顧客の獲得が期待できます。
さらに、商品・サービスの共同開発や改善などに積極的に参加してくれるのもファンの特徴で、実際にファンと共同開発したヒット商品もあるほどです。
◉成功事例に共通するファンマーケティングの7つのポイント
世の中でファンマーケティングに成功している企業はいくつも存在しますが、ファンマーケティングの成功事例には、次の7つの共通点があります。
・自社にとってのファンの定義を明確にする ・KPIを売上や利益にしない ・セールスやプロモーションなど一方的な情報発信をしすぎない ・ファン同士の交流ができるような場所、施策を用意する ・UGCを促進する ・短期的な成功を求めると失敗する ・BtoCとBtoBのファンマーケティングの違いを理解する |
それぞれ、くわしく見ていきましょう。
◉-1、自社にとってのファンの定義を明確にする
ひと口にファンやロイヤルカスタマーと言っても、その定義は企業や商品・サービスによって異なります。
自社の顧客の中でファンというべき人がどの程度いるのかをはっきりするためには、その位置付けや定義を明確にする必要があります。
ファンを定義する際には、売上貢献度が高いという定量的な側面だけではなく、感情や感覚などの定性的な側面(顧客ロイヤルティ)も考慮することが必要です。
売上貢献度は購入金額・頻度などの購買データから求められますが、顧客ロイヤルティはNPS(ネットプロモータースコア)という指標を使って求めるのが一般的です。
NPSはアップルやグーグル、スターバックスなどが導入しています。
NPSとは「推奨者の正味比率」のことです。
測定するには「この会社(商品・サービス)を友人や知人に勧めたいか」という質問に対して0~10点の11段階で回答してもらって数値化する必要があります。
定量データと定性データにより、顧客ロイヤルティの高い顧客(ファン)を特定することができるのがこのNPSのメリットです。
◉-1-1、無印良品の事例 | ファンの定義を明確
無印良品は「無印良品ネットコミュニティ」という掲示板のようなサイトを開設して、匿名ユーザーの意見を取り入れて商品開発や販売促進の取り組みをかつて実施。
しかし、意見を出したユーザーが実際に商品を購入することは少なく売上へも貢献できていないという課題がありました。
そこで、「無印良品ネットコミュニティ」を会員制の「ファンサイト」に更新し、ファンの属性を正確に把握できるように改良。
ファンと一緒に商品開発のアイデアを練り、開発過程や経緯を全て公開するようにしました。
これらの施策により、ファンとの間で「共創意識」が高まり、新商品の発売直後から一気に売り上げの向上につなげることができたのです。
◉-2、KPIを売上や利益にしない
ファンマーケティングは、ファンを育成することによって中長期的な売上向上につなげようとするマーケティング施策です。
そのため、KPI(重要成果指標)を売上や利益に設定すると正しくファンマーケティングの効果を測定することが難しくなります。
実際にファンマーケティングに失敗する企業の多くは、「売上や利益を出さなければならない」と思いすぎてしまい、施策に「売りたい」という主張が滲み出てしまっていることがほとんどです。
ファンマーケティングの場合、「売り込み色」が滲むことで結果としてファンが離れていく傾向があるので、結果として売上や利益につながりません。
このような失敗をしないようにするためにも、ファンマーケティングのKPIとしては、次のようなものを設定してみましょう。
| KPI | 概要 |
| リピート率 | ファンが商品・サービスを再度購入してくれた割合。 |
| LTV(Life Time Value:顧客生涯価値) | ファン1人が自社にもたらしてくれる利益の総額。 |
| フォロワー数・いいね数 | ファンのSNS上でのブランドへの関心の高さを示す。 |
| コメント数・シェア数 | ファンのコンテンツへの反応を示す。 |
| NPS(Net Promoter Score:顧客満足度指数) | ファンの満足度とロイヤルティを示す。 |
| CSAT(Customer Satisfaction Score) | 購買やサポートに関する顧客満足度を示す。 |
| コンテンツの閲覧数・再生回数 | コンテンツへの関心の高さを示す。 |
| コンテンツの共有率 | コンテンツの共有の程度を示す。 |
◉-2-1、マイネオ事例 | KPIを売上以外に設定
マイネオは携帯電話サービスを提供するMVNOの1つで、自社で通信設備を持たずに大手キャリアの通信ネットワークを借りて事業を行っています。
マイネオのファンマーケティング施策ではKPIとして下記を設定して、熱心なファンの獲得に成功しています。
・イベント実施時のアクション率 ・NPS(顧客満足度指数) ・解約率 |
マイネオの事例のように、ファンマーケティングの目的はファンの獲得・ロイヤルカスタマーの醸成です。
売上や利益を意識しないまでも、「ロイヤルカスタマーを増やすことによって、二次的に売上や利益がついてくる」という考え方をすることが重要です。
◉-3、セールスやプロモーションなど一方的な情報発信をしすぎない
ファンマーケティングでは、「セールスやプロモーションなどの一方的な情報発信をしすぎないこと」「ファンとの交流を最優先すること」が重要です。
ファンマーケティングに費用をかけすぎると、すぐに費用対効果を考えてしまい、「もっと自社の商品・サービスの情報を発信しなくては」とセールスやプロモーションの投稿が多くなってしまいがちです。
そうすると、ファンは敏感にこれを察知してファンコミュニティから離れていき、ファンマーケティングが失敗してしまうことになります。
◉-3-1、不動産投資会社の事例 | ユーザーへの価値提供を書籍で実施
ファンを獲得する施策として書籍出版を行って成功した事例があります。
医師は高収入ですが同時に高額納税者でもあり、これが医師にとっては大きな悩みとなっていました。
不動産投資会社の経営者が、この悩みを解決する有効な選択肢の一つとして不動産投資を推奨する内容の書籍を出版したところ、発売直後から医師からの問い合わせが急増し数億円以上の成約につながりました。
これは、不動産投資物件を売ることを前面に出さずに、医師の悩みの解決策の1つとして不動産投資を打ち出したことでファンを獲得することができたのです。
自社の商品・サービスの直接的なセールスではなく、顧客の悩みの解決などの価値提供を行うことによってファンを獲得することができた事例です。
◉-4、ファン同士の交流ができるような場所、施策を用意する
ファンマーケティングを成功させるためには、ファン同士やファンと企業が交流できるような接点を作ることが重要なポイントとなります。
接点を作る方法の一つとして「ユーザーコミュニティ」があります。
たとえば、会員制のサイトなどを運営して、その中で会員同士が自由に発信できるような機会を設けると、商品・サービスに関するレビューを投稿したり新商品のアイデアについて意見を交わしたりすることができます。
また、ユーザーコミュニティ以外にも、次のようにさまざまなファン同士の交流ができる場所・施策があります。
| ファン同士の交流ができる場所・施策 | 概要 |
| オンラインコミュニティサイト | ファン同士やファンと企業の接点となる交流の場のことで、時間や場所にとらわれずに参加できるようにインターネット上に設けられます。オンラインのコミュニティサイトが活性化するとファンの帰属意識が強まり、商品・サービスへの愛着も深まります。 |
| ファン感謝祭などイベント | 定期または不定期に開催されるオフラインのコミュニケーションの場です。ファン感謝祭やファンミーティングなどの形で開催されるイベントでファンの熱量を高めることができます。その他に会社見学ツアーや新商品発表会などのイベントが開催されることもあります。 |
| コンテスト・賞 | ファンコミュニティサイトなどで何らかのコンテストやチャレンジを開催してファン同士の競争や協力を促し創造性を刺激するものです。きちんと審査を行って上位者は賞を受賞できるようにします。 |
| クラウドファンディング | 資金調達のためだけではなくファンからの意見を集めるためにクラウドファンディングを行います。商品・サービスに対する自社の思いを伝えてファンからのフィードバックを得ることができます。ファンと企業の一体感の醸成ができます。市場に出す前の商品を販売してファンからの意見をもらうというテストマーケティングの目的でも行われます。 |
| 各種SNS | 複数のSNSで専用のアカウントを取得して商品・サービスに関する情報だけではなく、コンセプトや思い、裏話などを交えて情報発信します。SNSを利用したキャンペーンはファンによって拡散されて新規顧客の開拓につながります。キャンペーンへの応募の際に専用のハッシュタグを付けて投稿する方法が一般的で、ハッシュタグを通じてユーザー同士の交流も生まれます。 |
自社で上記のような場所の用意、施策ができないかを検討してみましょう。
◉-4-1、川崎ブレイブサンダースの事例 | SNSの積極的な活用
Bリーグに所属するプロバスケットチーム「川崎ブレイブサンダース」は6つのSNSを積極的に活用してファンづくりを行いました。
目標はアリーナの最大収容人数5,000人を目指すことで、2019年~2020年のホームゲームを毎試合ほぼ満員にすることに成功。
試合のライブ配信(オンライン施策)では限界があったため、試合以外の「練習前の一コマ配信」「選手との直接対話ができるオンラインサロン」などのオフライン施策を組み合わせたことが功を奏した事例です。
◉-4-2、ヤッホーブルーイングの事例 | ファンベースの取り組み
クラフトビールメーカーのヤッホーブルーイングでは、この「ファンベース」という考え方を取り入れて、オウンドメディアやSNSでの積極的な交流、ビールファンが一堂に会するリアルイベント「超宴」の開催などの施策を行って熱量の高いファンに支持されるようになりました。
「ファンベース」とは顧客に対する新しい概念で、顧客を自社に利益をもたらす存在としてではなく、企業を支えるファンとしてとらえて顧客を大切にしていこうという考え方です。
「ファンベース」は顧客を囲い込んで利益を出そうという発想ではなく、お互いに共感や愛着・信頼を構築して良い土台作りをすることが重点となっています。
◉-4-3、チロルチョコの事例 | オンラインファンミーティングの開催
チロルチョコを販売する「チロルチョコ株式会社」もファンマーケティングを行って成功している企業の1つです。
事前にSNSを使ってミーティングへの参加を呼びかけ、「オンラインファンミーティング」では発売前のフレーバーの試食ができたり、限定グッズがもらえるクイズ大会を開催したりして、ファンと企業が一緒に楽しんで交流する場を設けてファンの心をつかみました。
◉-4-4、株式会社MAPPAの事例 | クラウドファンディングの活用
アニメーション制作会社の株式会社MAPPAは、プロデュース会社の株式会社ジェンコと映画監督の片渕監督と、『この世界の片隅に』の劇場版アニメ化を目的にクラウドファンディングを立ち上げました。
プロジェクトページに、制作者の想いや制作過程のシナリオ・絵コンテなどの情報を掲載してファンの共感や信頼を獲得。
資金提供したファンには「制作支援メンバーミーティングの参加権利」などのリターンがあり、制作支援メンバーミーティングでは、マスコミよりも早いタイミングで作品の進捗状況が公表されて作品に対する愛着を高めました。
クラウドファンディングでは約3,900万円の資金を調達してファンとの共創を実現しています。
◉-4-5、雪見だいふくの事例 | ネタ切れキャンペーン
ロッテが販売しているアイスの雪見だいふくは、2019年に「雪見だいくふう」というキャンペーンを行って雪見だいふくに工夫を加えた新しい食べ方を募集。
これまで50種類以上のフレーバーを発売してきましたが、まさに「ネタ切れ」だったためファンからのアイデアを募ったのですが、他社商品とのコラボも生まれ成功をおさめました。
その後、2020年以降の商品リニューアルや新たなコラボにもつながっています。
◉-4-6、ママリの事例 | 商品開発の実施や、賞の設置
ママリは、妊活・妊娠・出産・子育ての疑問や悩みを解決するアプリやWebでのQ&Aサービスを行っています。
「ママの一歩を支える」をミッションとして、妊活中の女性やプレママ・ママが集まるプラットフォームを提供しファンの意見を集めて商品開発などに活用。
商品開発例としては「ママ向けリュック」があり、定期的に「本当に使ってよかったグッズ」についてのアンケートを行って「ママリ口コミ大賞」を実施しています。
またクラウドファンディングを実施して、育休をとるパパ向け雑誌の制作も行っています。
◉-5、UGCを促進する
UGC(User Generated Content)とは「ユーザー生成コンテンツ」のことで、企業ではなく顧客によって発信されるコンテンツのことです。
UGCの例としては、SNSでの投稿、ブログやウェブサイトでのコメント、オンラインストアでのレビューや評価などがあり、ユーザーによって発信されたコンテンツが、商品・サービスの宣伝となるのが特徴です。
たとえば、比較的高額な商品やサービスの場合、実際に購入する前に他のユーザーの評価を見て、購入検討の参考にしたい人が多いという傾向があります。
UGCはユーザーによる評価コンテンツですから、企業によるコンテンツよりも信頼性が高いと考えられていますので、企業としてはUGCの促進を望んでいます。
◉-5-1、テスラ・モーターズの事例 | UGCの促進
自動車業界ではUGCが強力なマーケティングツールとなっており、テスラ・モーターズでもUGCを積極的に活用している企業の1つです。
テスラ・モーターズは、ユーザーが自発的に投稿する動画や写真を公式サイトや公式SNSでシェアしています。
その中でも特に、顧客が公開しているドライブ体験が、他の潜在顧客に対して強力な説得力を持つコンテンツとなっています。
◉-6、短期的な成功を求めると失敗する
ファンマーケティングは、ファンとの交流を深めることにより二次的な成果として対価が生まれる長期的なマーケティング手法です。
ですから、P/L(損益計算書)的な短期的なものの見方ではなく、B/S(貸借対照表)的な長期的なものの見方をして実施していくことが前提となります。
短期的な成功を求めるのであれば、そもそもファンマーケティングを選択すべきではありません。
もっと短期で成果を収めることができる広告などを選択すべきです。
◉-7、BtoCとBtoBのファンマーケティングの違いを理解する
BtoBでもファンマーケティングは有効ですが、BtoCと同じようなやり方で行うと失敗します。
なぜなら、BtoCの顧客が一般消費者であるのに対して、BtoBの場合は事業者だからです。
ファンの対象が違うため、当然ファンの作り方も異なります。
BtoBのファンマーケティングのファン作りの方法としては次のようなものが一般的です。
| BtoB のファンマーケティングの手法 | 概要 |
| ユーザーコミュニティ | 企業のファン同士が交流する場としてユーザーコミュニティやファンコミュニティを提供します。商品・サービスのユーザーや企業の熱心な支持者が集まり商品に対する意見交換が行われます。顧客は肯定的な他社ユーザーの声を聞く機会が得られるためさらに商品・サービスへの帰属意識を高めていくことになります。 |
| 書籍(ブックマーケティング) | 書籍は社会的信用度が高い媒体であるため、書籍を出版してその中で自身の考えや理念を打ち出して共感を得ることによってファンを獲得することが可能です。ターゲットを明確にして、そのターゲットに購入してもらい読んでもらうことが重要ですので、SNSやクラウドファンディングなどを用いたプロモーションを行うことも有効です。 |
| 勉強会・セミナー・講演会 | BtoBのファンマーケティングの手法として勉強会やセミナー・講演会の開催があります。商品・サービスの紹介というよりは、開発ストーリーや開発秘話、これらが必要とされる背景、活用することによるメリットなど、この場でしか聞けないような内容をテーマにすることが効果的です。 |
◉-7-1、AWSの事例 | BtoBのユーザーコミュニティ
AWS(Amazon Web Services)とは、Amazonが提供しているクラウド型のプラットフォームで、BtoBのユーザーコミュニティによるファンマーケティングを行っています。
実際にAWSを利用している人が、ユーザーコミュニティの外にいる潜在顧客に対してその魅力を伝えて新規顧客を増やすという方法で成功しました。
さらに、ファンになった顧客のLTV(顧客生涯価値)を向上させることにも成功しています。
◉-7-2、保険代理店の事例 | 書籍の出版
法人向け保険を取り扱っている保険代理店の経営者は、保険業界に定着している「成果報酬型」の給与体系を「一律報酬型」に変えることによって、一部のスーパー営業マンに頼った経営から全社員総当たりの経営に変わり業績が向上するということを、保険業界の実態とともに書籍にまとめて出版。
その結果、同業他社からの多くの共感を得てファンを獲得することができ、ビジネス面でも新規コンサル契約の獲得や大口契約の成約、講演会の依頼などが増えました。
書籍の出版によって信頼性が向上し、担当者や経営者などから共感を得てファンの獲得に成功した事例です。
◉書籍出版も知る人ぞ知るファンマーケティングに適した手法の1つ
意外に思われるかもしれませんが、書籍の出版もファンマーケティングに有効な手法の1つです。
さらに、書籍を出版するだけではなく、SNSやクラウドファンディング、セミナーなどのあらゆるマーケティング手法を活用して、ターゲットの手元に確実に書籍を届ける「ブックマーケティング」はより効果的です。
書籍は社会的信用性が高い媒体ですので、BtoCだけではなく信頼性が重視されるBtoBのファンマーケティングにも有効なのが最大の強みと言えます。
実際に、保険代理店や不動産投資など一般的に難しいと言われるような業界でのファン獲得に成功しています。
◉【まとめ】ブックマーケティングを活用したファンマーケティングはフォーウェイに!
本記事では、ファンマーケティングの成功事例に共通するポイントや有効な手法などについてくわしく解説しました。
ファンマーケティングはBtoCにもBtoBにも利用できる施策ですが、このどちらにも有効な手法としてブックマーケティングがあります。
ブックマーケティングは書籍を出版して、SNSやクラウドファンディング、セミナーなどと組み合わせたマーケティング施策を行い、書籍を確実にターゲットに届けて読んでもらってファン化を促すという手法です。
書籍は伝えることができる情報量が多いため、単に商品・サービスの紹介だけでなく、自社の創業からの歴史、企業理念、開発裏話、強みなどをストーリーとして伝えることができ、読者をファン化させることができるのです。
ブックマーケティングを活用したファンマーケティングを検討してみたい、という方はフォーウェイまでご相談ください。
会社の周年記念日などに合わせて制作されるのが周年史です。
周年史は会社の節目を祝うための出版物ですから、周年記念日が終わった後は「会社の棚の奥にしまわれてしまう」ことが少なくありません。
せっかくお金をかけて作るのですから、周年記念日を祝うためだけに使うのではなく、その後もさまざまな形で会社の認知度向上や利益向上に役立つような出版物にした方が良いと言えます。
今回は、周年記念日だけに止まらずに活用できる周年史制作のポイントや、有効な活用方法についてくわしく解説いたします。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
◉周年史とは?
周年史とは、会社や各種団体・学校・官公庁などが周年記念日に合わせて発行する出版物のことです。
創立20年や50年などの周年記念日のタイミングに合わせて発行されます。
周年史の内容としては、年表に基づいた創立や設立からの沿革と、その間の代表的な出来事やイベントを時系列で記述したもの、などが一般的です。
◉-1、社史や記念誌との違い
周年史と似た出版物として、社史や記念誌があります。
周年史、社史、記念誌の違いは次表の通りです。
| 周年史 | 社史 | 記念誌 |
| 特徴 | 会社や団体・学校・官公庁などが周年に発行する出版物。 | 会社が自社の歴史をまとめた出版物で、周年史に含まれる。 | 会社や団体・学校・官公庁などが何らかの出来事やイベントを記念して発行する出版物。 |
| 目的 | 会社や団体・学校・官公庁などの歴史を記録として残す。 | 会社の歴史を記録として残す。 | 会社や団体・学校・官公庁などが何らかの出来事やイベントを記念として祝う。 |
| 出版のタイミング | 創立・設立20周年や50周年などのような区切りの良い年に発行される。 | 創立・設立20周年や50周年などの区切りの良い年に限らず、株式上場や社名変更、経営トップの交代などのタイミングに発行されることもある。 | 創立・設立20周年や50周年などの区切りの良い年に行われる記念行事、会社や社員の受賞、関連施設のオープンなどの出来事やイベントを記念して発行される。 |
| 構成・内容 | 会社や団体・学校・官公庁などの創立や設立から現在までの沿革を時系列で記述する。 | 会社の創立から現在までの沿革を時系列で記述する。会社組織になる前の年代までを網羅したものから、前回発行した社史以降のみをまとめたものなど多くの種類がある。 | 記念する出来事やイベントを祝う内容が中心となる。歴史的な記述が必須ではないため、構成や内容は自由。 |
◉周年史を作るメリット
周年史を制作するメリットを一言で表すと「ブランディングの向上」です。
周年史の中には、通常の企業活動では伝えにくい「会社の歩みや実績、信条、理念」などが書かれているため、社外に向けて会社の存在意義や将来性などをまとめてアピールすることができます。
また、社外だけではなく社内向けのインナーブランディングにも効果的です。
さらに、会社の名刺代わりの1冊として、新規顧客開拓や人材採用などにも活用できることもメリットの1つと言えるでしょう。
◉-1、社内外へ感謝の気持ちを形として伝えることができる
周年史を発行することによって、自社が創立から現在まで存続し続けることができたことについての感謝の気持ちを、社外の顧客や取引先、株主などに「形のあるもの」として伝えることができます。
また、社員に対しても日々伝えることが少ない感謝の気持ちを改めて伝えることができ、モチベーションアップや社員間の連帯感の強化につながることが期待できます。
◉-2、会社の今までを社内外に伝えることができる
周年史は、会社が創立してから現在に至るまでの出来事などを年表形式で記述したものです。
周年史を発行することによって、自社が創立してから現在に至るまでの歴史やこれまで大切にしてきた信条や理念などを社内外に伝えることができます。
◉-3、将来の方向性を明確にし、社内外に伝えることができる
周年史は創立から現在までの出来事を年表形式で記述することが基本ですが、過去のことだけではなく将来の方向性を明確にして伝えることもできます。
自社の成り立ちや実績を明らかにすることによって、存在価値や社会的意義などを再認識することができ、将来どのような方向に進むべきなのかも示すことも可能です。
◉-4、社員の士気を高めることができる
社員が周年史を読むことによって、会社の今までの歴史や信条などに触れることができます。
そして、これをきっかけとして「自分たちが今後の会社の歴史を作っていくんだ」というように、社員の士気を高めることにつながります。
「会社の社会的な存在意義=自分達がこの会社で働くことの社会的意義」ということを再認識して、社員の仕事に対するモチベーションが高まるなどの効果が見込めるのも、周年史発行のメリットと言えるでしょう。
◉-5、顧客や取引先とのコミュニケーションのきっかけになる
顧客や取引先を訪問したり面談したりする際に、周年史を見ながら自社の歴史や実績などを話題としてコミュニケーションを図ることが可能です。
周年史を制作する会社であれば周年記念イベントなども開催するはずですから、そのイベントに顧客や取引先を招待することもできます。
こういったちょっとしたきっかけから信頼関係は築かれていくため、直接的ではなくとも、間接的に新しい仕事やプロジェクトに発展したりすることも十分に考えられます。
◉-6、企業理念や風土を社内外に浸透させるきっかけになる
自社の社員も、顧客や取引先も、通常の業務や取引を行っている中では企業理念や風土などについて詳しく知ることは難しいものです。
もちろん、ブランディングに関連する部署に所属している社員は業務の一環としてよく見聞きするかもしれませんが、多くの社員はそうではありません。
しかし、周年史ではこれらのことを1冊の出版物にまとめることができるので、理念や風土をしっかりと社員や顧客や取引先、パートナー会社などに伝えることができます。
◉-7、会社のイメージアップ
周年史を発行すると「きちんと周年史を出す会社」「歴史を大切にしている会社」「きちんとお金をかけて周年記念日を祝える会社」というプラスのイメージを持ってもらうことができます。
◉ただ作るだけでは終わらない!活用しやすい周年史を作るポイント
周年史には「会社の歴史を紹介する出版物」というイメージがありますが、歴史を時系列で書くだけではなかなか読み進めてもらえない上に、その後の活用が難しくなります。
「周年記念パーティーの開催前後は話題となったが、気づけば棚の奥に眠ってしまっている」なんてことも珍しくありません。
せっかく作る出版物なのですから、ただ周年記念日を祝うだけで終わらせるのはもったいないと言えます。
周年記念日が終わってからも、営業やマーケティング、ブランディングなどの活動に活用したり社内を活性化したりできるようなものにした方がより良いはずです。
そのためには、以下のようなポイントを考慮して周年史を制作していくことが重要です。
◉-1、幅広い読者に興味を持って読んでもらえる企画を盛り込む
周年史に会社の歴史が時系列でまとめられていたとしても、なかなか読みたいと思ってもらえないのが実情です。
せっかく手間と費用をかけて制作するのですから、棚の奥にしまいこまれてしまうのではなく「読まれる1冊」「活用される1冊」にしなければなりません。
そのためには、「読ませる企画」を盛り込むことが重要です。
たとえば、次のような企画を盛り込むなどを検討しましょう。
・トップと社員の座談会の実施 ・社員のインタビューページ ・全社員へのアンケート結果の掲載 ・懐かしい写真の掲載 ・全社員のメッセージや集合写真の掲載 ・その他会社ならではの企画 |
◉-2、会社の将来の展望などを盛り込む
周年史は「会社の歴史や実績を記述する」という性格の出版物なので、どうしても過去のことばかり盛り込んでしまいがちです。
しかし出版後の活用を考えると、将来的なビジョンなども盛り込んだ方が活用の幅が広がります。
過去のことばかり書いてあると「あ~そうだったな」で終わりになってしまいますが、会社の将来的なビジョンや事業戦略が書かれていると、全社員が会社の方向性を再認識することにもつながります。
また、講演依頼が来ることも見込めたり、さらなる認知度拡大につながることが期待できます。
◉-3、会社の強みや事業内容を整理して入れ込む
周年史を、営業活動やマーケティング活動に活用していくことを考えると、会社の強みや事業内容がわかるような内容を盛り込んだ方が良いでしょう。
そうすることで、マーケティング担当者や営業マンなどが、自社の強みや事業内容を見込み顧客や取引先に使用する際に、周年史を有効に活用しやすくなります。
また、意外と自社の強みや事業内容を正しく把握している社員は多くありません。
社内的にも自社の強みや事業内容を改めて再認識するきっかけにもつながります。
◉-4、周年史の活用方法をあらかじめ検討しておく
周年史は社内でプロジェクトチームを結成して制作するのが一般的ですが、制作前の企画段階でやるべきことは「実際にどのような活用方法をするのか」「どんな場面で活用するか」を決めることです。
制作し終わってから活用方法を考えるのではなく、「営業現場で新規顧客獲得のツールとして活用する」「広告としても活用する」「人材採用ツールとして活用する」など、具体的な活用方法を企画の段階から検討しておくことが重要です。
◉-5、書店流通なども見据えた内容にする
周年史は書籍の出版なので、全国の書店に流通させることも可能です。
基本的に周年史は、その企業のことを既に知っている方向けのコンテンツになりやすい傾向があります。
そうではなく、初めて見た人の目を惹く、または企業のことを知らない人が読んでもタメになるような内容にすることで、企業の認知度向上や新規顧客獲得につながりやすくなります。
このように書店流通を見据えることで、既に知っている方にとっても、より面白く分かりやすい内容にする意識が芽生えるため、結果として誰が見ても「面白く読みやすい」書籍を作ることにつながるのです。
◉周年史の主な活用方法
周年史はただ周年記念のためにただ出版して終わりではなく、会社のブランディングや認知度向上、新規顧客開拓などに役立つように活用していくことが重要です。
主な活用方法としては、次のようなことが挙げられます。
・ブランディング ・新規顧客獲得 ・認知度向上 ・人材採用 |
実際にどのような活用をしていけば良いのか、それぞれくわしく見ていきましょう。
◉-1、ブランディング
周年史の制作は周年事業の一環として行われることが多いため、周年記念イベントとの相乗効果や関連するPR施策によって、世間に会社の存在意義や将来性などを効果的に社内外にアピールするきっかけにつながります。
たとえば、周年記念という理由で取引先や顧客企業に感謝の手紙とともに周年史をプレゼントすれば、もらった相手も悪い気はしないはずです。
周年史の制作や周年事業の開催などとの相乗効果によって、知名度や信頼性の向上につなげることができます。
また、社外だけではなく社内向けのインナーブランディングにも活用すべきです。
◉-2、新規顧客獲得
周年史を新規顧客獲得のための営業ツールとして活用することも考えられます。
たとえば、新規顧客への営業の際は通常、会社案内パンフレットで会社概要を説明しますが、周年史などを使って自社の創立からの歴史や実績なども必要に応じて分かりやすく説明することができます。
また、お土産で手渡したりすることも有効です。
顧客側は、周年史を発行できるほど信頼性が高く、また長年競争を勝ち残ってきた優れた会社だという印象を受けることでしょう。
◉-3、認知度向上
周年史は自社や商品・サービスの認知度向上にも大きく寄与する媒体です。
周年史を活用したブランディング施策を実施したり、見込み顧客リストに送付したり、紹介してくれそうな会社に配ったりすることによって、制作によって「企業理念や思い」「保有する独自技術」「商品やサービス」などを広く見込み顧客にアピールすることができ認知度向上につながります。
◉-4、人材採用
周年史を人材採用活動に活用することも有効です。
周年史には会社の成り立ちから現在、今後の展望などが書かれているので、求職者に自社の魅力をアピールすることができます。
たとえば、採用サイトに周年史からの抜粋記事を掲載したり、リクルート活動の際に配布したりするなど、自社の知名度向上を図ることができます。
◉周年史はいつから作り始めるべき?
周年史の制作期間は、会社規模や創立後の年数などによって異なりますが、1年~1年半ほどかかるのが一般的です。
なぜなら、周年史に収める資料や写真などを集める必要があるためです。
規模が大きな会社や歴史のある会社になると、それなりに時間がかかってしまいます。
そのため、周年史を作り始めるタイミングとしては、規模の大きな会社や創立後の年数の長い会社の場合は1年半前、その他の会社の場合でも1年前には活動を始めた方が良いでしょう。
◉周年史制作の流れ
周年史制作は一般的に次のような流れで行います。
会社によって周年史作成のプロセスは異なるので、あくまでも一般的な企業での例です。
◉-1、周年史プロジェクトチームの立ち上げ
周年史の制作はプロジェクトチームを立ち上げて行うのが一般的です。
会社規模が小さい場合には通常業務と兼務することもありますが、一般的には周年史の制作に専任する形でプロジェクトチームが結成されます。
なぜなら、周年史の制作は周年記念事業の一環として行われるものであり、周年記念イベントを実施したり、資料や情報を収集したり、さまざまな部署との連携が必要になってくるためです。
プロジェクトチームのメンバーは、社内の幅広い部署から集められ、プロジェクトリーダーには決定権のある役職者や、会社規模によっては役員が就任することもあります。
プロジェクトチームに役員が入らない場合でも担当役員が決められて、社内の各部門からの資料集めやヒアリングなどがスムーズに進められるような体制が整えられます。
また、周年史は1冊の書籍なので、書籍の編集や出版などの専門知識が必要となる制作作業については、周年史の制作を行っている出版社に依頼して行うのが一般的です。
そのため、プロジェクトチームの立ち上げと同時に、依頼する出版社の選定や決定を行う必要があり、次のステップ以降の具体的な作業はその出版社のサポートを受けながら進めることになります。
◉-2、企画・構成案の作成
周年史制作の基本方針(周年史の目的、想定される読者・ターゲット、納期・スケジュールなど)をプロジェクトチームのメンバー全員で策定します。
その後、決まった方針に沿って企画・構成案を作成していく流れです。
この時重要なのが、周年史にどのような内容を盛り込むのかというコンセプトを作り、プロジェクトメンバー全員で共有することです。
前述している通り、周年史には会社の過去の実績などとともに、将来の方向性を明確に社内外に伝えるという役割があるので、周年史が発行される時点での会社の方針や経営計画などと整合が取れた内容になっていなければなりません。
周年史の企画・構成案が固まると、判型やページ数などの書籍仕様や制作費用などが決まってきます。
◉-3、資料などの収集・会社年表作成
周年史の企画・構成案に基づいて、必要な資料を収集して整理し、基礎資料として会社年表を作成します。
会社年表には、コンセプトに基づいて代表的な出来事やイベントを記入していきます。
この会社年表を作成することによって、収集すべき資料や写真に漏れがないかを確認することができます。
会社で以前に何らかの周年史などを制作したことがあるという場合もあるため、その場合は過去の周年史などを参照して間違いがないかを確認しましょう。
また、古い出来事やイベントについては日時があいまいなこともあるので、当時を知る人に確認したり古い資料を確認したりすることも必要となります。
◉-4、取材・写真撮影
周年史の記事を執筆するために必要な取材や写真撮影を行います。
取材対象や撮影対象の選定は社内のプロジェクトメンバーで行うのが一般的ですが、実際の取材や写真撮影は周年史の制作を依頼する出版社のライターやカメラマンなどプロに依頼した方が良いでしょう。
また、昔の出来事で撮影対象(建物や設備、製品など)の現物がないという場合もあるので、その場合は当時の写真が残っていないかどうかを当時を知っている関係者に聞いてみるとスムーズです。
人物の写真で当時の写真が必要な場合は、ご本人またはご家族に確認して提供してもらうケースも出てくるかもしれません。
◉-5、原稿執筆
周年史の原稿執筆は、取材に引き続きプロのライターに依頼した方が無難です。
これは、周年史は単なる資料ではなく書籍ですから「読ませる周年史」にする必要があるためです。
同じ事実を書くにしても、素人の文章とプロの文章では全く違ってきます。
なお、原稿執筆にはそれなりの期間が必要となりますので、適宜打ち合わせなどを行って執筆内容のチェックを行い、必要に応じて修正依頼なども行いましょう。
◉-6、デザイン
原稿が完成すると、出版社のライターやデザイナーと一緒に、書籍の装丁、表紙デザイン、字詰めや行数・フォントの選定、写真のレイアウトなどのページデザインを決めていきます。
このステップは書籍制作に関する専門知識が必要になるので、出版社のライターやデザイナーに案を出してもらって、それに対してコメントをして自社の要望に合わせていくというやり方が望ましいでしょう。
◉-7、校正・校閲
デザインが終わると校正と校閲を行います。
紙やPDFに出力して、誤字や脱字の有無、表記にゆれがないか、イメージ通りのデザインになっているか、写真は適切かなどをチェックすることを校正と言い、最初の校正を初校と言います。
また、同時に記載されている内容の事実関係に誤りがないことを確認する校閲を行います。
出版物は、印刷してしまうと修正ができませんので、複数のプロジェクトメンバーの目で入念にチェックする必要があります。
◉-8、最終確認・校了
校正や校閲で指摘した内容が適切に修正されていることが確認出来たら校了となります。
もし、修正されていない箇所や新たに誤りが見つかった場合は、修正をして再チェックをしましょう。
このように再度校正を行うことを再校と言います。
校正や校閲の最終確認が終わると校了です。
◉-9、印刷・製本
校了すると、出版社から印刷会社に書籍の印刷データが入稿されます。
印刷会社から実際の書籍に近い紙やインクで印刷した色校正が提示されるので、インクのノリ具合や図表や写真の色味などを確認し、必要に応じて調整を依頼。
色校正が終わると、印刷所で印刷し、製本所で製本して納品されます。
◉【まとめ】周年史制作ならフォーウェイにお任せ
今回は、周年史を制作する上で知っておくべきポイントや制作の流れ、活用方法などについてくわしく解説しました。
周年史制作は、会社のこれまで現在の立ち位置を再認識して今後を考える良い機会となります。
また、せっかく手間や費用をかけて制作するのですから、周年記念以外にも会社の発展に寄与できるような周年史にすべきです。
ただ作るだけではない、会社の将来的な発展を見据えた周年史の制作をお考えであれば、ぜひフォーウェイまでご相談ください。
営業活動において成果を上げるために重要なのがリードタイムの長さです。
営業におけるリードタイムとは、営業活動を開始してから購入・成約するまでの期間を指します。
数百円〜数万円など単価が低めのBtoC商品・サービスは、購入・成約までのリードタイムが短い傾向がありますが、数十万円以上の高単価商品・サービスや法人向けのBtoB商品・サービスの場合はリードタイムが長くなる傾向があります。
こういった高単価、BtoB商品・サービスのリードタイムは数日〜数ヶ月かかることもあるため、単価が低めのBtoC商品・サービスに比べて「リードタイムの短縮」が営業で成果を上げるうえで特に重要になってきます。
今回は、そんな高単価・BtoB営業におけるリードタイムの短縮方法について詳しく解説いたします。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
◉高単価・BtoB営業のリードタイムが長くなる主な理由
もちろん、営業マン個人のスキルの問題もありますが、低単価商品やBtoC営業に比べて高単価商品・サービスやBtoB営業のリードタイムが長くなってしまいやすいのには理由があります。
◉-1、高単価商品・サービスの営業の場合
高単価商品・サービスの場合は出費が大きくなるため、顧客としては失敗したときのリスクが大きくなることを懸念して購入に慎重になる傾向があります。
たとえば、ご自身がマイホームの購入を営業マンにすすめられて検討しているシーンを想像してみてください。
数千万円の買い物になるわけですから、よほどのお金持ちではない限り、ご自身の今後の収入と支出を予想して検討してみたり、他の物件との比較をしてみたりするのではないでしょうか。
このように、高単価商品・サービスの場合は、消費者側のリスクが大きいことから、購入の決断をするまでにはそれなりの期間が必要になり、リードタイムが長くなってしまう傾向があります。
◉-2、BtoB営業の場合
BtoB営業の場合は、顧客企業の社内で発注先を選定するために比較検討を行ったり、最適な発注先であることの理由付けの資料を作成したり、稟議を行ったりすることに時間がかかります。
そのため、必然的に個人の顧客よりも営業リードタイムが長くなってしまうのです。
大きな会社になればなるほど、相見積もりや比較検討の期間が長くなったり、社内稟議を通すなどの社内手続きに時間がかかったりする場合もあり、見積もりまでに1〜2ヶ月かかることも少なくありません。
たとえば、極端な例をあげると銀行など金融機関の場合には見積もりに至る前に、新規取引先として問題ないかのチェックや承認などに半年以上かかることもあるのです。
このように、BtoB営業の場合は、手続きやプロセスなどの関係でリードタイムが長くなってしまう傾向があります。
◉高単価・BtoBはいかに営業のリードタイムを短縮するかが重要
営業リードタイムが長くなると、その分だけ営業マンが気にかけたり、フォローをしたりする手間が増えます。
つまり、リードタイムが長ければ長いほど営業コストがかかり続けてしまうということです。
また、同時にリードタイムが長くなるにつれて、顧客の成約率も徐々に下がっていってしまいます。
商品・サービスの販売価格は変わりませんから、リードタイムが長くなり、コストと成約率が下がってしまうと、単純に利益が下がってしまうことになります。
そのため、高単価・BtoB営業の場合、いかに営業のリードタイムを短縮するかが利益向上に直結する訳なのです。
◉高単価・BtoB営業におけるリードタイム短縮に効果的な方法
高単価・BtoB営業において営業リードタイムを短縮するためには、主に次の3つの方法があります。
・顧客接点の増加 ・営業の業務効率化 ・問い合わせの質の向上 |
それぞれ、どのような方法なのか見ていきましょう。
◉-1、顧客接点の増加
顧客との接点が増えれば増えるほど、顧客は営業マンに好感を持つようになり、信頼関係が生まれやすくなります。
たとえば、最初はただの迷惑だと思っていた営業マンの話も、何度も何度も熱心に訪ねて来られる内に、「1度だけなら話だけでも聞いてあげようかな」という気になると思います。
また、何度も営業する中で「ちょうどそういう相談をできる業者を探していた」という顧客側のタイミングに合致し、「じゃあ…」ということもあるかもしれません。
具体的には次のような施策を行って、顧客から嫌がられない程度に定期的に接点を持つようにしていくことが大切です。
◉-1-1、リードナーチャリング施策の強化
リードナーチャリングとは、見込み顧客(リード)の購買意欲を高めて、商談や成約につなげるためのマーケティング活動のことです。
リードナーチャリングの具体的な施策としては、主に次のような方法があります。
・メールの配信 ・セミナーの開催 ・パンフレット、リーフレットなど資料送付 ・SNSの活用 ・コンテンツ制作(Web、書籍など) |
すべて「顧客が興味を抱くようなテーマで」というのがポイントです。
また、商品やサービスを直接売り込むのではなく、その必要性を理解してもらうような内容にしましょう。
セミナーであれば、講師という立場で顧客と接することになりますので信頼が得られやすくなるというメリットもあります。
また、商品やサービスの導入メリットなどについてまとめたパンフレットを顧客に送付することによって「顧客教育」をして購買意欲を高めてもらう方法なども有効です。
この場合、顧客に「自分のためのパンフレット」だと思ってもらうことが大切で、商品やサービスの「売り込み色」を出さないようにすることがポイントとなります。
◉-1-2、小さな悩みの解決
高単価な商品やサービスの場合、リスクが大きいため、顧客は「できるだけ信頼できる企業や営業マンから購入したい」と考えています。
そのため、最初は「購入してもらう」のではなく「この人なら信用できる」と思ってもらえるような関係値を作ることが大切です。
まずは、ちょっとした相談ごとや悩みごとの相談に乗ったり解決してあげたりすることによって、顧客接点を増やし、信頼感を持ってもらえるように努めましょう。
◉-2、問い合わせの質の向上
顧客からの問い合わせの質が高いということは、それだけ顧客が商品やサービスのことを理解してくれているということなので、購入見込み度合いが高く、リードタイムも短くなる可能性が高くなります。
このような質の高い問い合わせを増やすためにも、見込み顧客を教育する仕組みを作ったり、販促ツールを活用したりしながら、見込み度合いの高い顧客を増やしていくことが重要です。
◉-2-1、インサイドセールスの導入
インサイドセールスとは、営業マンが客先を直接訪問するフィールドセールスと違って、メールや電話などを使って顧客とコミュニケーションをする内勤の営業活動のことです。
インサイドセールスの仕組みを導入すると、より多くの見込み顧客にアプローチできるようになります。
また、メールなどによって定期的に顧客接点を持ったり、顧客をしっかりと教育することができるため、最終的な営業マンとの商談に向けての成約見込み度合いを高めることができます。
◉-2-2、書籍(ブックマーケティング)の活用
書籍は社会的信用性が高い、という特徴があります。
書籍を出版することによって読者に「この人は本を出すほど社会的信用性、専門性、権威性が高い人だ」というイメージを持ってもらうことができるのです。
出版するだけではなく、書籍を見込み顧客の手元にしっかりと届けることができれば、顧客の認知度やブランディング、商品知識を高めることにつながり、問い合わせの質を高めることができます。
たとえば、実際に保険代理店が書籍を出版して、次のように商談の確度を上げることができたという事例があります。
ただ書籍を出版しただけではなく、マーケティング戦略の一環として書籍を活用することで上記のような成果を出すことにつながっています。
このように、マーケティング戦略の一環として書籍を活用することをブックマーケティングもしくは企業出版と呼びます。
▶︎ブックマーケティングついては、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。
◉-2-3、パンフレット・リーフレット・小冊子の活用
商品やサービスの説明や導入メリット・事例などを記載したパンフレット・リーフレット・小冊子を制作して見込み顧客に配布して、顧客教育や認知度拡大を行い問い合わせの質を上げることができます。
パンフレット・リーフレット・小冊子は、書籍よりも安価で手軽に作ることができるので、顧客の見込み度合いのレベルや目的に応じて複数の種類を作って使い分けることも可能なのがメリットと言えるでしょう。
◉-3、営業の業務効率化
リードタイムの短縮には直結しませんが、営業の業務効率化をすることによって、顧客へのアプローチのスピードや質が向上します。
結果として間接的にリードタイムの短縮につながるのです。
◉-3-1、MA、SFA、CRMなどツールの導入
見込み顧客の中には、見込み度合いの高い層から低い層までいろいろなレベルの顧客がいます。
また、顧客それぞれで悩んでいることや探している解決策も異なるはずです。
従来は、それぞれの営業マンがこれらの顧客情報を管理して見込み度合いを上げるようなアプローチをしてきましたが、現在ではSFAツールやCRMツールなどを導入することによって、顧客情報の一括管理、共有化ができるようになっています。
SFAツールやCRMツールなどを導入すると、顧客情報がリアルタイムで更新され、すべての関連部署で同じ情報を共有することができます。
そうすることで、顧客の見込み度合いや悩みなどを見誤ることなく、適切なアプローチを適切なタイミングで行うことができるようになるのです。
また、MAツールを導入すると、見込み度合いの低い顧客を自動的に見込み度合いの高い顧客に引き上げることができ、営業マンは見込み度合いの高い顧客に対して集中的に商談を行うことができます。
特に高単価やBtoB営業の場合は、「鉄は熱いうちに打て」が重要。
いかに顧客のニーズに沿った提案を、最適なタイミングで行うのかが成約に直結するので、ツールを活用してこれらのタイミングを見誤らないようにすることが大切です。
こういったツールをうまく活用することで営業業務が効率化されて、リードタイムの短縮につながるので、未導入の場合はぜひ検討してみると良いでしょう。
◉-3-2、営業スキルの共有・標準化
営業部署にはエース級の営業マンがいて、その営業マンの実績によって売上目標が達成できているというような状況が良くあります。
しかし、もしその営業マンが転職したり、退職したりすると、その営業部署の売上は一気に落ちてしまうことになります。
このような一部のエース級の人材に頼った営業活動から脱却して、エース級でなくてもしっかりと一定の成果があげられるように営業スキルを共有し標準化する必要があります。
きちんと営業マニュアルやトークスクリプトなどを作成して、営業スキルを共有し標準化しておくことも、間接的に営業リードタイムの短縮につながっていくのです。
◉-3-3、セールスイネーブルメントの仕組みを導入
セールスイネーブルメント(Sales Enablement)とは、営業の組織強化や組織改善をするための取り組みのことです。
一般的には、営業担当者の教育や営業ツールの導入、営業プロセスの見直し改善などの施策を行い、営業力を強化して、営業部署に所属する者が全員成果を上げることができるようになることを目指します。
結果として、営業業務が効率化されて営業リードタイムの短縮につながります。
◉高単価・BtoB営業のリードタイム短縮には書籍(ブックマーケティング)が有効!
高単価・BtoB営業のリードタイムの長さは企業にとっては死活問題です。
リードタイムをいかにして短縮するかを考えたときに、有効な方法の1つが書籍の出版です。
書籍には社会的信用度が高い情報媒体だという大きな特徴があり、Web広告ではなかなかアプローチできない富裕層や企業の経営層・幹部社員などにアプローチすることができるというメリットがあります。
特に富裕層や企業の経営層・幹部社員などは勉強熱心な人が多いため、「Webの広告や記事、SNSは見ないが、本は読む」という方も少なくありません。
また、書籍はWeb広告などとは違って「手元に残る媒体」「読まれる媒体」なので、出版して終わりということにはなりません。
ブックマーケティングでは、出版するだけではなく、マーケティング施策を組み合わせ、設定したターゲットの手元にしっかり届くような施策を見据えて本の企画段階から戦略を練っていくため、認知度の向上だけではなく、事前の「顧客教育」にも有効です。
ブックマーケティングによって、顧客からの問い合わせの質を向上させ、成約までの営業リードタイムを短縮することが可能になります。
実際にブックマーケティングを活用して、BtoB・高単価商品・サービスの問い合わせの質を向上した事例をいくつかご紹介します。
◉-1、営業リードタイム短縮事例1:保険代理店の法人営業
法人保険を取り扱っているある保険代理店の経営者は、保険業界に定着している「成果報酬型」の給与体系を「一律報酬型」に変えることによって、一部のスーパー営業マンに頼った経営から全社員総当たりの経営に変わって業績が向上するということを、保険業界の実態とともに書籍にまとめて出版しました。
その書籍がターゲットである法人顧客に届くような施策を実施したところ、事前に書籍を読んで理解してもらえているため順調に商談が進んで、営業リードタイムが短くなるというケースが増えたということです。
また、書籍の出版によって自社に対する信頼が高まり、経営にまで踏み込んだ相談を受けることが増えたり、大口契約が成約できたりすることが増えました。
◉-2、営業リードタイム短縮事例2:不動産投資会社の営業
不動産投資サービスを行っている不動産会社の経営者は、高収入な医師をターゲットとして「医師の節税対策には不動産投資が一番効果的だ」という内容の書籍を出版しました。
ターゲットである医師に確実に届けるために、企画段階から出版社の販路やプロモーションなどについても入念に計画を立てていたため、出版後に書籍を読んだ医師からの問い合わせや商談が急増。
従来は「不動産投資とは何か」や「不動産投資が節税対策になる」ことから説明しなければなりませんでしたが、問い合わせの時点で顧客は書籍を読んで内容を理解してくれており、また著者である不動産投資会社もある程度信用もしてくれているため、営業リードタイムが圧倒的に短くなったということです。
高単価の不動産にもかかわらず、営業リードタイムの短縮と成約率の向上を実現することができています。
◉-3、営業リードタイム短縮事例3:建設業専門コンサルタントの営業
建設業を専門にコンサルティングを行っている経営者は、知名度の向上を狙って書籍を出版。
書籍のタイトルに「建設業のための」という文言を入れてターゲットを明確にしたため、出版翌日から多くの問い合わせがあり、9件の顧問契約を成約することができました。
問い合わせの時点ですでに顧客は書籍を読んでくれているため、それほど詳しい説明をする必要もなく成約につながり、営業リードタイムの短縮を実現することができました。
また、建設業のコンサルティング会社としてのブランディングも確立できて、同業者からの知名度の向上したとのこと。
◉【まとめ】営業リードタイムの改善にブックマーケティングを検討中の方はフォーウェイまで!
本記事では、高単価商品・サービスやBtoB営業のリードタイムが長くなる理由やリードタイム短縮に効果的な方法などについて解説しました。
高単価・BtoB商品・サービスの企業にとって、「営業リードタイムをいかに短縮するか」は利益に直結する命題中の命題です。
ぜひ今回の記事を参考に、営業リードタイムの短縮のために、できることを実行してみてください。
数ある施策の中でも書籍を活用したブックマーケティングは、社会的信頼性が高い媒体ですので知名度の向上やブランディングに有効である上に、商品やサービスの特徴や必要性、導入メリットなどを記載できます。
商談の前に読んでもらうことによって「顧客教育」ができて、営業リードタイムが短縮できるという効果も得られやすくなります。
高単価・BtoB営業におけるリードタイム短縮を図りたいとお考えの方は、ぜひフォーウェイまでご相談ください。
商品やサービスの販売に欠かせないのが営業パンフレットです。
「営業パンフレットを作ったのは良いものの、営業マンがうまく活用してくれない…」「営業パンフレットを配布してもなかなか成果につながらない…」という課題を抱えている企業さまは多いと思います。
「営業パンフレットが活用できていない」や「営業パンフレットの効果が出ない」ことの原因は、営業マンの営業活動との相乗効果を考慮して営業パンフレットが作られていないことにあります。
営業パンフレットだけで成約までもっていこうというスタンスで作られており、商談の際に営業マンが「どのように使うのか」や「どのように活用するのか」を見据えて作られていないことがほとんどだからです。
ですから、営業マンが商談で行うトークの流れと営業パンフレットの内容の乖離が発生してしまい、うまく商談で活用できなくなってしまうのです。
せっかくお金をかけて営業パンフレットを作っても、これでは意味がありません。
営業パンフレットは、営業マンが活用することを前提として制作をしなければ、効果を最大化することはできません。
本記事では、そんな営業パンフレットの効果を最大化するための方法についてくわしく解説いたします。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
◉売上貢献につながる営業パンフレットの特徴
売上貢献につながる営業パンフレットを制作するためには「営業シーンで活用することを考慮したパンフレット」「営業マンが活用することによって相乗効果が出せるパンフレット」にしなければなりません。
売上に貢献できる営業パンフレットの主な特徴を挙げると、次の通りです。
・ターゲットが明確になっている ・ターゲットに刺さる明確なキャッチ・デザインになっている ・顧客が得られる価値が分かりやすく記載されている ・営業のトークスクリプト・訴求内容を反映している ・営業活動における使い方・配布方法を見据えて作っている ・顧客が次の行動につなげやすいオファー・導線が入っている |
それぞれ、くわしく見ていきましょう。
◉-1、ターゲットが明確になっている
営業パンフレットは、ターゲットの設定が明確になっているかが特に重要です。
なぜなら、ターゲットを誰に設定するかによって営業パンフレットに掲載すべきコンテンツの内容やデザインが変わってくるからです。
営業パンフレットを作る際には、どうしても「誰にでも渡せるような営業パンフレットを作りたい」とか「どんな場面でも使えるような営業パンフレットにしたい」と考えてしまいがちです。
しかし、ターゲット設定を広く浅くしてしまうと、何を伝えたいのかがぼやけてしまい、結果的に誰の印象にも残らない「読んで終わりのパンフレット」や「読んでももらえないパンフレット」になりかねません。
また、ターゲット像をより明確にするために「ペルソナ」を設定することも有効です。
「ペルソナ」を設定すると、性別・年代などの属性や行動パターンなども明確になるので、営業パンフレットの構成や内容・デザイン・配布方法・活用方法などを具体的に決定するのに役立ちます。
◉-2、ターゲットに刺さる明確なキャッチ・デザインになっている
ターゲット設定が明確になったら、そのターゲットが営業パンフレットをパッと見たときに「自分のための商品・サービスだ」と思ってもらえるようなキャッチコピーを採用したりデザインにすることが必要です。
たとえば、ターゲットが「建設会社のマネジメント層」であれば、目立つところに「建設会社のマネジメントに必須!」というキャッチコピーを入れて、「あなたのための商品・サービスですよ」ということを明確に伝える必要があります。
また、明らかに「建設会社のマネジメント層」だということが分かるような年齢・服装の人物写真を使ったりすることも、ターゲットの目を引くために有効な方法です。
◉-3、顧客が得られる価値が分かりやすく記載されている
営業パンフレットには「その商品やサービスが他よりも優れている」ということだけを記載するのではなく、「その商品やサービスを使ったらこんな風になる」「その商品やサービスを使ったらこんなに便利になる」というような未来像が分かりやすく提示されていることが重要です。
つまり、その商品やサービスを利用することによって、顧客がどのような価値を得ることができるのかが分かりやすく記載されている必要があるのです。
たとえば、会計ソフトであれば「こんな機能がついている」ということばかり書くのではなく、会計ソフトを導入することによって「会計作業にかかる時間が短縮できる」「チェック作業が楽になる」「結果的に経費の削減につながる」という未来像を示してあげるように工夫します。
◉-4、営業のトークスクリプト・訴求内容を反映している
企業によって異なると思われますが、営業マンは会社や部署が決めたトークスクリプトや訴求内容に沿って営業活動を行っていることが多いものです。
そのため、営業パンフレットを制作する際には、営業マンが普段「どのようなトークスクリプトを使っているのか」「どのような訴求内容で営業を行っているのか」をヒアリングして、パンフレットに落とし込んでいくことが重要です。
それをしないと、営業マンが強く訴求したい内容が営業パンフレットに入っていなかったり、営業マンが商談の際に話していることと営業パンフレットに記載されている情報が乖離したり、営業マンにとっては非常に使いにくいものになってしまいます。
◉-5、営業活動における使い方・配布方法を見据えて作っている
実際の営業活動において、営業マンが「どのようなタイミングでパンフレットを活用するのか」「どんなタイミングでパンフレットを渡すのか」などを見据えて営業パンフレットを制作する必要があります。
具体的には営業部署へのヒアリングを行い、営業活動における使い方や配布方法を見据えてパンフレット制作を行うことが重要です。
◉-6、顧客が次の行動につなげやすいオファー・導線が入っている
営業パンフレットは紙媒体なので、捨てられない限り顧客の手元に残ります。
顧客がふと営業パンフレットを見返した時に「見て終わり」にならないように、「ちょっとWebサイトを見てみよう」「LINE公式アカウントに登録してみよう」「資料請求をしてみよう」「問い合わせをしてみよう」というような具体的な行動につなげやすい導線を入れておくことが大切です。
たとえば、WebサイトやLINE公式に飛べるQRコードやURLを記載したり、何らかの特典が得られるオファーなどを付けたりしておくことが重要です。
◉営業活動に相乗効果を出すためのパンフレット活用方法
しっかりとパンフレットを活用して成果をあげることが営業成果の最大化につながります。
営業活動との組み合わせで相乗効果を出すためのパンフレット活用方法としては、次のようなものがあります。
・営業パンフレットありきのトークスクリプトの制作 ・見込み顧客リストへの送付 ・PDF化して、見込み顧客リストへ営業メールの送信 ・代理店や提携先など紹介してくれそうな取引先への送付 ・ブックマーケティングの活用 ・「パンフレットを見た人限定」のオファーなどを商談で活用する ・オンライン営業やマーケティングチームとの連携 ・セミナーなどで配布する ・ターゲットが集まる場所に置かせてもらう |
それぞれについてくわしく見ていきましょう。
◉-1、営業パンフレットありきのトークスクリプトの制作
すでにトークスクリプトがある場合は、それに合わせて営業パンフレット制作を検討しましょう。
しかし、トークスクリプトがない場合やトークスクリプトを変えたいと考えているような場合は、営業マンが営業パンフレットを活用することを前提にトークスクリプトや営業の流れを新たに作って共有することが重要です。
これによって、営業パンフレットを効果的に活用できる営業マンが増えていき、営業活動と営業パンフレットとの相乗効果も出やすくなります。
◉-2、見込み顧客リストへの送付
営業パンフレットは、営業マンが「直接面談をするほど見込み度合いは高まっていないものの、何らかのアプローチはしておきたい」という見込み顧客層に対して、自社の商品やサービスを訴求できる便利な営業ツールです。
自社の営業マンがまだ直接アプローチできていないような見込み顧客リストに送付することによって、少しでも認知を拡大していくことが重要です。
◉-3、PDF化して、見込み顧客リストへ営業メールの送信
営業パンフレットは紙媒体ですが、PDF化することによってデジタル媒体として配布することができます。
たとえば、自社のHP上に置いておきWeb検索などでアクセスしてきた顧客に配布するなどの導線も積極的に活用しましょう。
また、「直接紙媒体の営業パンフレットを送付するほどでもないが、何らかのアプローチはしておきたい」というような顧客向けに、PDF付きの営業メールを送信することもできます。
紙媒体の営業パンフレットを郵送するほどの手間とコストをかけずに、PDF化した営業パンフレットを活用していくことができるのがメリットと言えるでしょう。
◉-4、代理店や提携先など紹介してくれそうな取引先への送付
営業パンフレットを使うのは自社の営業部署だけとは限りません。
たとえば、代理店や提携先などの取引先が自社の代わりに、その営業パンフレットを使って商品やサービスを売ってくれる可能性があります。
このように、自社に代わって営業活動を行ってくれる可能性のある代理店や提携先などの取引先にも営業パンフレットを送付しておくことが重要です。
◉-5、ブックマーケティングの活用
営業パンフレット単体ではなく、さまざまなマーケティング施策と連携させていくことが成果を最大化させるポイントです。
たとえば、BtoBや高単価などの商品・サービスの良さはパンフレットの数ページだけで伝わるようなものではありません。
必要性を理解してもらうまでしっかりと教育していかなければ、BtoBや高単価商品・サービスの成約率は上がらないものです。
そんな時にパンフレットと合わせて活用したいのが書籍です。
書籍は「読まれる」媒体です。
また、その社会的信用度の高さも相まって、しっかりとターゲットの手元に届けることができれば、BtoBや高単価商品・サービスのように説明や顧客教育、信頼関係の構築などがそれ一冊でできてしまいます。
たとえばBtoCの顧客や説明があまり必要のない商品・サービスは営業パンフレット、顧客教育が必要な商品・サービスはブックマーケティングと言うように、それぞれの強みを活かして役割分担することで、より営業パンフレットを効率的に活用することができるはずです。
◉-6、「パンフレットを見た人限定」のオファーなどを商談で活用する
営業パンフレットにはWebサイトやLINE公式に飛べるような導線を入れたりオファーを入れておくことが顧客の行動喚起のために重要ですが、実際に行動に移してくれる人の割合は少ないものです。
そのため、商談中に営業マンが「今でしたら、パンフレットを見た人限定でこういったキャンペーンをやっております」など積極的にリマインドしてもらい、しっかりと顧客に行動を促していくことも重要となります。
◉-7、オンライン営業やマーケティングチームとの連携
「営業パンフレットだから営業部だけで使う」という考え方ではなく、他部署と連携して活用範囲を広げていくことによって、より有効に活用することができます。
たとえば、営業パンフレットをPDF化することによって、オンライン営業やマーケティングを行う部署との連携が可能になります。
このように営業パンフレットだから営業が使う、と使用用途を限定せず、マーケティング部署とも連携しての活用を検討していきましょう。
◉-8、セミナーなどで配布する
自社で開催するセミナーを利用して、受講者に営業パンフレットを手渡しすることもできます。
この場合は、販売したい商品やサービスを直接売り込むような内容のセミナーではなく、商品やサービスの必要性を理解してもらうようなテーマ・内容のセミナーにすることがポイントです。
受講者はセミナーのテーマに関心を持って参加しているはずですから、そのテーマに関連する営業パンフレットであれば、ほぼ確実に受け取って読んでもらえます。
営業パンフレットを読んだ受講者が問い合わせや資料請求などのアクションを起こし、商品やサービスの成約につながる可能性もあります。
◉-9、ターゲットが集まる場所に置かせてもらう
営業パンフレットを制作する前に設定したターゲットの属性や行動パターンから、ターゲットが集まりやすい場所が特定できる場合は、その場所に営業パンフレットを置かせてもらう方法も有効です。
営業パンフレットなどが置かれている場所としては、公共交通機関の駅や店舗・書店などがあり、多くの場合は誰でも自由に持っていけるようになっています。
この場合、置かせてもらう場所のオーナーや責任者の了解を得てから置くようにしましょう。
◉売上貢献につながる営業パンフレット制作事例
営業パンフレットを活用して売上貢献につなげたというパンフレットの制作事例を1件ご紹介します。
◉-1、太陽光発電会社
太陽光発電設備を販売している電力会社の子会社が、不動産会社向けに太陽光発電設備を設置したSDGs物件の重要性を知らせるために営業パンフレットを制作。
「大手不動産会社も続々参入!」というキャッチコピーを大きく入れることによって、不動産会社を対象とした営業パンフレットだということがすぐにわかるデザインにしました。
営業パンフレットの中では「災害大国の日本ではSDGs対応が重要であること」「不動産会社にもSDGsの意識が不可欠であること」などを解説。
また、不動産の賃貸物件において、SDGs対応が入居率にどれだけ寄与するかという説得材料を示してターゲットである不動産会社に太陽光発電設備の導入検討を促すような構成にしています。
なお、営業パンフレットの内容や構成については、事前に営業部署の方と打ち合わせを行い、営業マンが実際に活用できるような構成、内容にしています。
営業パンフレット完成後は、営業マンが顧客を訪問する際には必ず持参して内容を説明し、SDGs対応の重要性や有効性を理解していただくことができ、多くの成約につなげることができたということです。
さらに、見込み度合いが低めの顧客にもDMで営業パンフレットを配布するなどの活用をしていただいています。
◉【まとめ】営業パンフレットは営業やマーケティング施策を見据えて作るのがコツ
本記事では、売上貢献につながる営業パンフレットの特徴や、営業活動に相乗効果を出すためのパンフレット活用方法などについて詳しく解説しました。
営業パンフレットは作って配布するだけではなく、営業活動やマーケティング活動の現場で積極的に活用してこそ相乗効果が生まれて売上貢献につながります。
営業パンフレットだけで完結させようとせず、営業マンの営業活動とセットで活用することを見据えて作るのが効果を最大化するコツと言えるでしょう。
営業パンフレットの制作をお考えであれば、コンテンツマーケティングを専門に、営業施策やマーケティング施策を見据えたコンテンツ制作を行っているフォーウェイにおまかせください。
「お金をかけて販促物として商品・サービスパンフレットを作ったは良いものの、なかなか効果が感じられない…」という課題感を持っている企業さまは多いと思います。
このように、商品・サービスパンフレットの効果が感じられない原因は明確です。
それは「パッと見ておしゃれなだけ」「いい感じなだけ」の商品・サービスパンフレットを「作って終わり」になってしまっているからです。
せっかくお金をかけて商品・サービスパンフレットを作るのですから、しっかりと売上が上がる効果的なモノを作りましょう。
本記事では、売れる効果的な商品・サービスパンフレットを作るコツや、効果的な活用方法などについて解説していきます。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
◉売れる商品・サービスパンフレットの特徴
売れる商品・サービスパンフレットには、次の2つの視点がきちんと入っているという特徴があります。
・商品・サービスを購入する顧客の視点 ・商品・サービスパンフレットを使う営業、マーケティング部署の視点 |
商品・サービスパンフレットは販促物として制作するので、どうしても「売る側の視点」で制作されてしまいがちですが、商品やサービスを利用する「顧客側の視点」を入れなければ売り上げにはつながりにくいと言えます。
「顧客側の視点」を入れるためには、たとえばその商品やサービスを利用すると「どのような良い変化があるのか」「どのような効果が得られるのか」「どのようなメリットがあるのか」などを記載すると良いでしょう。
また、商品・サービスパンフレットを制作するのは広報関係の部署が多いですが、実際にパンフレットを使うのは営業やマーケティング関係の部署です。
パンフレットを制作する前に、営業やマーケティング関係の部署から「どのようなとき活用するのか」「どのような顧客に渡すのか」などについてヒアリングをして、使う側の視点をきちんと考慮して制作しましょう。
使う側の視点が入っていないと有効に活用されませんので、当然、売上にはつながりにくくなってしまいます。
◉-1、売れない商品・サービスパンフレットと何が違う?
売れない商品・サービスパンフレットには、商品やサービスを販売している会社側の視点しか入っていないことが多い傾向があります。
簡単に言えば、自分たちが言いたいことしか言っていないパンフレット、になってしまっているのです。
売れる商品・サービスパンフレットにする近道は、「自分たちが発信したい情報」ではなく、「顧客が見たい情報」「営業やマーケティング部署が入れてほしいと思う情報」をしっかりと入れることです。
◉売れる商品・サービスパンフレットの7つの共通点
実際に、売れる商品・サービスパンフレットには次のような共通点があります。
・パンフレットを見てわかる!明確なターゲット ・営業やマーケティング施策での使われ方を意識したコンテンツ ・顧客に寄り添った第三者視点、客観的視点 ・パンフレットと他の広告媒体をつなぐ導線設計 ・読んだ人にとって分かりやすい行動喚起 ・商品・サービスの世界観に合ったデザイン ・ターゲットにとって面白いコンテンツ設計 |
それぞれ、どのような共通点なのかをくわしく見ていきましょう。
◉-1、パンフレットを見てわかる!明確なターゲット
商品・サービスパンフレットなどの販促物を作る際には「ターゲット設定」は必須です。
ターゲットを決めたら、ターゲットがその商品・サービスパンフレットを見たときに「あなたのための専用のものですよ」ということがパッと分かるようなキャッチコピーやデザインを表紙などに採用することが大切です。
たとえば、フォーウェイで不動産会社向けにSDGs物件として太陽光発電の設置の重要性を知らせる目的でパンフレットを制作した事例があります。
この事例では「大手不動産会社も続々参入!」というキャッチコピーをタイトルに入れて、不動産会社が対象だということがすぐにわかるようなデザインにしたため、多くの不動産会社の方に見てもらうことができ大きな販促効果をあげることができました。
◉-2、営業やマーケティング施策での使われ方を意識したコンテンツ
一般的に商品・サービスパンフレットを作るのは広報部署ですが、実際にその商品・サービスパンフレットを活用して売上につなげるのは営業・マーケティング部署です。
商品・サービスパンフレットをどのように使いたいのか、商品・サービスをどういう風に訴求をした方が良いのかなど、営業・マーケティング施策でどのような使われ方をするのかを把握したうえでパンフレットを制作することが大切です。
このように、パンフレットを制作する部署と活用する部署との連携を密にして掲載するコンテンツを検討していきましょう。
◉-3、顧客に寄り添った第三者視点、客観的視点
商品・サービスパンフレットの中で販売会社がいかに「この商品は良いですよ」と言ったとしても、顧客側からは嘘っぽく見えてしまいます。
どうしても、「商品・サービスを売りたいだけなんだろう」と思われてしまうからです。
顧客にこのような受け取り方をさせないためには、「実際の使用者の声」「体験談」「利用者アンケート」「統計情報」などの第三者視点や客観的視点を入れたコンテンツを入れることが重要です。
販売会社の視点だけではなく、第三者視点や客観的視点を取り入れるだけで、顧客の感じ方は大きく変わるものです。
◉-4、パンフレットと他の広告媒体をつなぐ導線設計
商品・サービスパンフレットが狙いのターゲットの手元に届いたとしても「読んで終わり」になりがちです。
そうならないためには、パンフレットを読んだ人が明確に次の行動に移せるような導線を作っておくことが重要です。
たとえば、パンフレットの中にWebページに飛べるQRコードを設置したり、WebページのURLを掲載したり、または何らかの特典のあるオファーチケットを付けたりすることが考えられます。
◉-5、読んだ人にとって分かりやすい行動喚起
前述のように、QRコードを設置したり、URLを掲載したり、オファーチケットを付けたりすることは重要ですが、ただそれだけではターゲットの行動を喚起することはできません。
QRコードの設置やURLの掲載、オファーチケットの添付だけではなく「その行動をしてくれるように促す行動喚起」の仕掛けを入れておくことが重要です。
たとえば、「今LINEで友達登録をすると通常価格よりも○○%オフ特別クーポンがもらえる」「パンフレット限定!このQRコードから飛べる特設ページで特典をゲットしよう!」「公式HPでお得なクーポン配布中!」など、しっかりと導線に促してあげるような仕掛けを作っておくなどです。
◉-6、商品・サービスの世界観に合ったデザイン
パンフレットのデザインは、その商品・サービスの世界観に合ったものでなければなりません。
たとえば、数十万円もするような高級時計のデザインがイラスト中心のポップなものだったとしたら購入する気になるでしょうか。
やはり、高級時計の世界観や価値観に合ったシックで重厚なデザインの方が、購入する側としては興味を惹かれる確率は高くなります。
このように、商品・サービスの世界観に合ったパンフレットのデザインになっていないと、パッと見たときに違和感を感じて、パンフレットすら見てもらえなくなる可能性があります。
パンフレットのデザインと商品・サービスの世界観と合っていることは重要です。
◉-7、ターゲットにとって面白いコンテンツ設計
商品・サービスパンフレットに自社が発信したい情報だけを掲載しても、ターゲットの心には刺さりませんし、読んでももらえない可能性があります。
掲載するコンテンツとしては、「ターゲットにとって面白いこと」「ターゲットの役に立つこと」「ターゲットが読みたいこと」を書くのが売れる商品・サービスパンフレットを作る鉄則です。
◉作るだけではダメ!商品・サービスパンフレットの積極的活用法
販促効果につながらない商品・サービスパンフレットの多くは、「作って終わり」となってしまう場合が多いです。
ひと昔前のように「良い商品・サービスを作れば顧客が買ってくれる」という時代ではなく、商品やサービスで溢れ、顧客が「どれを選ぼうか迷う」という時代であるため、商品・パンフレットを作っただけでは成果は上がりにくいのが実情です。
商品・サービスパンフレットを作った後は、次に挙げるような方法で積極的に活用していくことが今の時代は何より重要です。
・Webサイトの資料請求への活用 ・URL化してフォーム営業に活用 ・既存顧客への送付 ・取引先やパートナーへの送付 ・商品・サービスパンフレットのコンテンツ二次活用 ・何かしらの効果測定を実施 |
それぞれ活用方法について、くわしく見ていきましょう。
◉-1、Webサイトの資料請求への活用
商品・サービスパンフレットは、商品やサービスの全体的な概要、必要とされる背景、利用効果などを記載するものです。
もし、顧客が商品やサービスに興味・関心を持ってもっと詳しい情報が欲しくなった場合には、必要な資料が簡単に請求できるようにしておく必要があります。
たとえば、QRコードなどでWebサイトに誘導して、Webサイトからカタログなどの詳しい資料が請求できるようにする、などです。
◉-2、URL化してフォーム営業に活用
フォーム営業とは面識のない顧客企業のHPの問い合わせフォームからメッセージを送ってアプローチする営業手法のことです。
送信するメッセージの中に、PDF化した商品・サービスパンフレットのURLを記載しておき、顧客企業の担当者に閲覧してもらうなど、Web上でも有効活用することが可能です。
◉-3、既存顧客への送付
商品・サービスパンフレットを既存顧客に送付することも考えられます。
既存顧客は実際にその商品・サービスを利用したことがありますので、その良さについても十分分かっているはずです。
商品・サービスパンフレットが送付されてきたことをきっかけとして、リピート購入したり、ご近所や知人・親せきなどに紹介したり、SNSなどで口コミを発信したりなど、二次的な効果が期待できます。
◉-4、取引先やパートナーへの送付
商品・サービスパンフレットを取引先やパートナーへ送付することも有効です。
取引先やパートナー企業は一見顧客にはならないと考えがちですが、顧客を紹介してもらえる可能性があります。
なぜなら、商品やサービスが売れることによって、仕入れが増えたりして取引先やパートナー企業の収益にも良い影響が出てくるからです。
◉-5、商品・サービスパンフレットのコンテンツ二次活用
商品・サービスパンフレットの著作権は、制作者つまり販売会社にあります。
そのため、紙媒体の商品・サービスパンフレットのコンテンツを他の広告媒体に活用することができます。
たとえば、紙媒体の商品・サービスパンフレットをPDF化して自社のWebサイトに置いて自由に閲覧してもらったり、ダウンロードしてもらったり、一部を切り取ってSNSに投稿したり、SEO記事として活用したり、など様々な二次活用をすることができます。
◉-6、何かしらの効果測定を実施
一般的に、Web広告などに比べて紙媒体の販促ツールの効果測定は難しいと言われています。
しかし、効果測定を行うことによって費用対効果を把握してPDCAを回し、より効果が得られるように変えていくことは重要です。
たとえば、パンフレットに記載したQRコードにパラメーターを付与すれば、パンフレット経由でどれだけの人がアクセスしたのかが計測できます。
また、配るターゲット層ごとにQRコードを変えておけば、ターゲットA層とターゲットB層のどちらに有効なのかを把握することができます。
紙媒体だから効果測定は難しいと諦めず、何かしらの効果測定を実施することが成果の最大化のためには重要です。
◉売れる商品・サービスパンフレットの制作事例
ここでは、実際に弊社で制作を行った商品・サービスパンフレットの制作事例を1件ご紹介します。
◉-1、不動産会社向けの太陽光発電の設置営業
電力会社のグループ会社が不動産会社向けに、SDGs物件として太陽光発電の設置の重要性を知らせる目的でサービスパンフレットを制作しました。
「大手不動産会社も続々参入!」というキャッチコピーをタイトルに入れて、ターゲットが不動産会社であることがすぐに分かるようなデザインにしているのが特徴。
また、パンフレット内では、災害大国である日本で賃貸経営をするためには「災害対策」が必須であり不動産会社にも「SDGs対応」が求められることなどを解説しています。
さらに、不動産の賃貸物件において、太陽光発電の設置が入居率にどれだけ寄与するかなどの説得材料を付与して、ターゲットに導入検討を促すような構成にし、「先着100名に百貨店ギフトカード5000円をプレゼントする」というオファーも付けてターゲットに行動喚起を促す仕掛けも施しています。
◉【まとめ】商品・サービスパンフレットはコンテンツマーケ専門の会社へ依頼しよう!
本記事では、売れる商品・サービスパンフレットの制作のポイントなどについて、くわしく解説しました。
「パッと見てきれいなデザイン」や「いい感じのデザイン」のパンフレットと「売れる・売れない」パンフレットは別ベクトルです。
売れる商品・サービスパンフレットを作るためには企画段階から、営業やマーケティングへの活用を見据えて作る必要があります。
そのため、「コンテンツを活用していかに営業、マーケティングで成果を出すのか」が分かっているコンテンツマーケティング専門の会社に制作を依頼するのがおすすめです。
フォーウェイでは、書籍などで培ったコンテンツ力と、それをいかに活用して集客やブランディングに活かしていくのか、というマーケティング力を兼ね備えたサービスを提供しています。
商品・サービスのパンフレットをただ作るのではなく、どうせなら成果を出せるようなものを作りたい、という方はぜひフォーウェイまでご相談ください。