日本の経済成長を常に支えてきた、建設業界。
しかし近年、深刻な人材不足が業界全体の課題となり、ほとんどの会社は先行きが見えずに悩んでいるのが実態です。
そんななか、建設業界でも戦略的な活動による自社ブランディングに成功し、経営課題を解決する事例が増えてきています。
建設会社のブランディングについて、その必要性と適した手法を解説します。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
建設業界に広がるブランド構築の意識
従来、建築会社であれ土木会社であれ、日本の建設業界に自社の「ブランド」という意識はあまり浸透していませんでした。
しかし、そういった業界の体質が、近年になって変わってきているのです。
背景にある深刻な若者不足
建設会社の意識が変わった背景にあるのは、業界を襲う恒常的な若者不足です。
建設業界に新しく入ってくる新規学卒者はバブル期のピークから激減しており、2000年に約4万7000人いたのが2009年には2万9000人にまで減少しました。
東日本大震災の復興需要やオリンピック関連工事の需要によって近年やや回復してきてはいますが、それでも横ばいを続ける程度にとどまっているのが現状です。
参考:建設業ハンドブック2020
https://www.nikkenren.com/publication/pdf/handbook_2020.pdf
若者から魅力を感じてもらえない!
そんな状況から、建設業界におけるほとんどの企業は、社員が高齢者ばかり。
何年も若者を採用できておらず、そもそも募集広告を出したところで応募がほとんどない、という悩みを多くの会社が抱えています。
そんな状況を打破するため、特に後継者が事業を継いだ直後の会社や、新しく立ち上げられた会社を中心に、ブランディング戦略によって人材を集めようとする機運が高まっているのです。
建設業のブランディングとは?
では、近年注目される建設業のブランディングとは、具体的にどのような手法なのでしょう。
従業員10人、おじさんだらけの設備工事会社
ここからは、実際の成功事例を通してブランディングの手法を紹介します。
M社は東京近郊に所在する設備工事会社。主に電気関係の設備工事を請け負う会社です。
創業家の3代目であるA社長が経営者を引き継いだ際、社員は10人で男性ばかり、平均年齢は50歳をゆうに超えていました。
このままではあと10年もすれば社員と一緒に会社も老衰状態になり、ものづくりの技術がついえてしまう……そう危惧したA社長は、自社ブランディングの施策によって会社を若返らせることを決意したのです。
ベンチャー企業のようなWEBサイトを制作
A社長が踏み切ったのは、WEBサイトの全面改修です。
それまでのWEBサイトは、1ページで簡単に会社の概要を紹介する公式ホームページがあったのみ。公開してから一度も更新されておらず、WEBサイト経由の問い合わせは皆無でした。そもそも、想定する閲覧対象すら決めずになんとなく制作したページだったのです。
A社長はベンチャー企業を中心とした実績を持つデザイン会社とタッグを組み、旧サイトをスタイリッシュなデザインで豊富なコンテンツを保有したコーポレートサイトに刷新しました。
具体的な企画は、代表自身の言葉による事業理念紹介、採用案内ムービー、業務内容が伝わる自社コラム、社員とプロジェクトの紹介など……とにかく情報を豊富にして、あらゆるテーマで自社と事業について広報する役割を自社サイトに持たせました。
女性が活躍する設備工事会社に
サイト改修の効果は、てきめんでした。
まず、採用募集の広告に対する反響率が劇的に上がり、若手人材や女性が次々に面接に訪れたのです。
以前ではあり得なかった、広告経由でないWEBサイト閲覧からの応募者も現れました。
さらに特筆すべきは、応募者が面接に訪れた時点でM社を魅力的に感じている状態であった点です。
「事業理念を読んで、工事会社の仕事に大きな社会的価値を感じた」「映像を見て、品質へのこだわりに共感した」「仕事に取り組む社員さんの姿勢に憧れた」など、応募者の語る志望動機は軒並み具体的で、ほぼすべての人がWEBサイトを見て志望度が高まった状態で面接にやってきました。
このようにM社のイメージや方向性に共感してくれている人材は入社後のミスマッチも少なく、育成もスムーズに。M社はどんどん拡大し、サイト改修から5年で「おじさんばかりの10人」から「女性と若手が活躍する40人」へと大躍進を遂げたのです。
効果は採用強化だけではなかった
WEBサイト改修というM社のブランディング施策の効果は、採用のみにとどまりませんでした。
まず、WEBサイトからの問い合わせを起点にした仕事の受注が、毎月一定数入ってくるようになったのです。
建設業界は、創業者のウデの良さが口コミによって広まり、地域の顧客を獲得できるようになることが重要。経営が安定してからは既存顧客からの相談や顧客紹介で売上を保つのが当たり前の世界です。
そんな常識なので大半の建設会社はWEBによるマーケティングに力を入れておらず、サイトの充実したM社はWEB問い合わせの需要を総取りできました。
インナーブランディングの威力
くわえて、サイトによるコンテンツ発信の価値は、お客様だけでなく社内にも波及しました。
A社長いわく、「サイト改修以降は会社としての考え方を社員みんなが理解してくれるようになり、明らかに仕事の動きが変わった」のだといいます。
実際、社員のモチベーションアップによって工事現場の利益率は以前よりも改善しているそうです。
M社は、ブランディング戦略によって会社の構造を丸ごと変えるほどのインパクトを達成したといえるでしょう。
▶企業のブランディングについてより詳しく知りたい方は、関連記事【企業ブランディングとは?企業の成長における重要性や手法を徹底解説】もあわせて参考にしてください。
まとめ
多くの建設会社が挑戦しているブランディングについて、一つの例を通じて解説しました。
今回の事例はWEBサイトを使った採用ブランディング施策でしたが、会社によって課題はさまざまですし、施策もパンフレットや出版といった紙媒体による発信から、セミナーやイベントといったリアルコミュニケーションまで数多く存在します。
建設業には将来性がないと諦めず、未来に向かって行動を起こしてみましょう。
▼企業ブランディングのためのブックマーケティングのご案内はこちら
書籍の出版を通して、集客や販促、採用、権威性の向上、ブランディングなど、自社が抱える課題を解決することを「出版ブランディング」といいます。
デジタルマーケティングなどである程度売上も安定して上がるようになり、「既にある程度やっているが、これ以上何をやったら良いのか?」と、伸び悩みや頭打ちを感じている企業を次なるステージに進めるのにおすすめの施策です。
今回は、そんな「出版ブランディング」について、やり方やメリット・デメリット、かかる費用感や成功事例などを詳しく解説します。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
出版ブランディングとは?
「出版ブランディング」とは、書籍を出版し、その書籍を利用して企業や商品・サービスの知名度向上や信頼性向上などを行うことです。
具体的には、制作した書籍を出版して書店流通させ、マーケティング・ブランディング施策を行います。
近年、インターネットやデジタル技術の発達により必要な情報を容易に見つけることができるようになりましたが、根拠や発信者、ソースなどが不明確なため、本当に信頼できる情報なのかどうかがあいまいなケースも増えています。
一方で、書籍はアナログな媒体でありながら、著者や出版社が明記されているため、インターネット上のものよりも信頼できる情報です。
情報ソースとして社会的にも信頼性が高い媒体で情報発信を行うことで、「出版できるほどの企業なんだ」という、一般的なマーケティング施策では実現できない、企業のさらなる知名度や信頼性の向上につながるのです。
そのため、すでにWebサイトやブログ、SNSなどのデジタル技術をブランディングに活用して一定の成果をあげている企業が、次のステージに進む手段としても「出版ブランディング」は有効です。
企業出版(カスタム出版)とは何が違うの?
企業が書籍を出版する方法として「企業出版」及び「カスタム出版」が知られています。
「企業出版」及び「カスタム出版」は、企業が出版費用をすべて負担して企業の認知度や信頼性を向上するために書籍を出版し、書店へ流通させてプロモーションを行うものです。
出版ブランディングは、「企業出版」及び「カスタム出版」という方法を活用することで企業ブランディングを行うことを指す言葉であり、言い換えただけで大きな違いはありません。
一方で、「企業出版」及び「カスタム出版」や、出版ブランディングの一つとして、出版による成果にこだわり、マーケティング設計から作り込むブックマーケティングのようなサービスもあります。
具体的には、一般的な出版社のプロモーション施策だけではなく、SNSの活用やクラウドファンディングの実施、Web広告や記事の寄稿など、あらゆるマーケティング施策を活用することで1冊でも多くターゲットに届けていくのがブックマーケティングです。
「企業出版」及び「カスタム出版」よりも多くのマーケティング施策を活用するため、ターゲットに本を届けやすくなるのが特徴です。
出版ブランディングを検討しているのであれば、「企業出版」や「カスタム出版」だけではなく、ブックマーケティングも一つの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。
出版ブランディングを行うメリット
「出版ブランディング」を行うことによって、次のようなメリットを享受することができます。
- ・社会的信頼性
- ・権威性の向上
- ・業界内における認知度の向上
- ・人材採用の強化
- ・社員の定着率の向上
- ・新たな見込み顧客の獲得
- ・顧客教育の強化
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具体的にどのようなメリットなのかをくわしく見ていきましょう。
社会的信頼性・権威性の向上
企業の代表者や企業自体が書籍を出版すると、商品・サービス、代表者個人の社会的信頼性の向上につながります。
デジタルの広告宣伝手段が主流となっている現代においても、書籍の「社会的信頼性」は高いです。
また、書籍を出版するとその道の専門家と見られるようになりますので「権威性」も向上します。
テレビや雑誌などのメディアの注目が集まれば、番組からのオファーも考えられますので、さらなる信頼性の向上やブランディングにつながります。
▶︎企業の権威性を上げる方法については、関連記事【企業や経営者の権威性を高めるには?SEOやマーケティングへの活用法】もあわせて参考にしてください。
業界内における認知度の向上
企業の代表者が書籍を出版すると、その企業や事業の認知度向上につながります。
出版ブランディングとは、企業が顧客や取引先、業界、株主、地域社会、従業員などのステークホルダーに対して、認知度や、共有してもらいたい自社のイメージを高める目的で行われます。
社会的信頼性の高い書籍を出版しているということによって、業界内における認知度や地位が向上して一目置かれる存在になるのです。
▶認知度向上の方法についてより詳しく知りたい方は、関連記事【経営者必読!認知度向上の方法と効果的なマーケティングの選択肢】もあわせて参考にしてください。
人材採用の強化
企業が成長するためには、優秀な人材が欠かせません。
「出版ブランディング」によって、企業の知名度が上がり、その魅力が周知されると、より自社に合った優秀な人材が応募してくることが期待できます。
人は安定した収入が得られることはもちろん、社会的な存在意義が高く、社会貢献につながるような仕事に就きたいと考えているため、人材採用という点からも企業のブランディングは重要なのです。
実際に株式会社学情が2025年3月卒業(修了)予定の大学生・大学院生を対象に行なったアンケート結果によれば、学生の半数以上の57.1%の学生が「企業のSDGsに関する取り組みを仕事選びで重視する・どちらかと言えば重視する」を選択しています。
「働きたい仕事である」というのはもちろんのこと、こういった企業の理念や創業者の思い、カルチャーなどの面も重視される傾向になってきているのです。
そのため、今後企業がより優秀な人材を採用するためには、企業が掲げる理念や想いもしっかりと伝えていく必要があります。
書籍は、そういった企業の商品やサービスの魅力以外の側面や背景などを伝えるのに適した媒体なので、出版ブランディングを行うことにより、将来的な人材採用の強化につながることが期待できます。
社員の定着率の向上
「出版ブランディング」は、顧客や社外の関係先に働きかけることが目的です。
しかし、書籍の中に企業理念や経営者の考えなどを含めることによって従業員に対するインナーブランディングに活用することもできます。
社員に企業理念を浸透させたり、社員のロイヤリティを向上させたりすることも可能です。
インナーブランディングによって企業理念や行動指針などの理解が深まると、従業員のモチベーションやパフォーマンスの向上が期待できます。
結果として、定着率アップや優秀な人材の確保につながります。
新たな見込み顧客獲得
書店には「何か面白い本はないかな」と訪れる人も多く、タイトルを見たり立ち読みをしたりして、興味関心のある本を購入します。
つまり、いろいろな悩みや課題をかかえた潜在顧客に購入してもらえる可能性があるということです。
通常の営業やマーケティング施策では接することのできない決裁者や富裕層などの潜在顧客へアプローチできることも、書籍の出版のメリットとなります。
実際に、企業の決裁者や富裕層などをターゲットにしている企業で、営業やWebマーケティングを実施しても良い成果が出なかったところ、出版ブランディングを活用して問い合わせを獲得した事例もあります。
しかし、出版したからといって必ず書店に配本され、書棚に並べられるとは限らないので注意しましょう。
書棚に並べられることなく返品になる本も山ほどあるのです。
しっかりと本を書棚に並べてもらうためには、出版実績が豊富な出版社や、営業力が高い出版社などを選んで本を出すことが重要です。
顧客教育の強化
「書籍を出版した」ということだけで、その企業の社会的信頼性や権威性が向上するので、顧客との間の信頼関係の構築に大きく貢献します。
また、書籍を読むことによって、その企業の商品やサービス、企業理念、成り立ちなどについて理解してもらうことができます。
特に高額商品やBtoB商品の場合は、「なぜその商品やサービスが必要なのか?」や「商品やサービスを利用することによってどのようなメリットがあるのか」などを顧客に理解してもらわなければ成約に至りません。
一般的に顧客教育に数ヶ月以上の期間がかかりリードタイムが長くなります。
しかし、書籍を読んでもらうことによって「顧客教育」が終わってしまう場合もありますので、商談の期間や成約までのリードタイムが短縮できます。
出版ブランディングのデメリット
「出版ブランディング」を行うことによるデメリットは、主に費用がかかることのみです。
出版費用を含めて費用がかかる
「出版ブランディング」の費用は「商業出版」とは違って、出版費用だけではなく、書店流通費用や、ターゲットに届けるためのプロモーションやマーケティング施策の費用などがかかるため、合わせて数百万円程度になります。
しかしながら、「出版ブランディング」は企業としての知名度向上や新たな顧客獲得にもつながるため、これらの費用をすぐにペイできるケースが多いというのも事実です。
出版ブランディングの費用感
「出版ブランディング」の費用は、書籍の仕様や発行部数、プロモーションなどをどうするかによって変わってきます。
書籍の仕様は、一般のビジネス書であれば130mm×188mmサイズ(四六判)、200ページ程度のものが多いので目安にすると良いでしょう。
この仕様のビジネス書の文字数は7万文字~10万文字程度になりますが、文字数によってライターの人件費が増減します。
また、発行部数によって印刷費用や流通費用も増減します。
プロモーション費用は、メディアへのリリース、書店営業、Web広告・新聞広告、出版記念イベントなどをどうするかによって決まります。
これらのことを考慮すると、「出版ブランディング」の費用相場は450~1000万円程度と言えるでしょう。
出版ブランディングの流れ
「出版ブランディング」の一般的な流れは次の通りです。
| 書籍の企画 | まず最初にやるべきことは、出版目的とターゲット、アプローチ方法(プロモーション)をきちんと決めておくことです。何のために出版して、誰に読んでもらって、何を伝えるのか、そしてどうすればターゲットに確実に届けることができるかを想定しておかなければなりません。書籍の企画にかかる期間は、約1ヶ月~2ヶ月です。 |
| 原稿執筆 | 書籍の企画に従って原稿を執筆します。自身で執筆しても良いですが、多くの場合はライターにインタビューをしてもらってライターが執筆します。写真・図表・イラストなどが必要であれば、これらを準備します。その後編集者からアドバイスを受けて必要に応じて修正します。原稿執筆などにかかる期間は、約1ヶ月~4ヶ月です。 |
| デザイン | 完成した原稿に対して、表紙や誌面のデザインやレイアウトを行います。書籍の内容やターゲットに合わせたデザインになるようにします。デザインにかかる期間は、約2週間~1ヶ月です。 |
| 校正・校閲 | デザインが終わると最終段階の校正や校閲を行います。紙やPDFに出力して、誤字脱字・表記ゆれはないか、イメージ通りのデザインになっているか、写真・図表・イラストは適切かなどをチェックして校正と修正を繰り返します。同時に校閲を行って事実関係に誤りがないことを確認します。校正・校閲にかかる期間は、約2週間~1ヶ月です。 |
| 印刷・製本 | 印刷会社に書籍データを送付して印刷・製本を行います。インクのノリ具合や写真の色味を確認するために、印刷会社から色校正が提示されますので、問題がなければ印刷・製本して書籍が完成します。。印刷・製本にかかる期間は、約1ヶ月です。 |
| プロモーション | 企画段階で決定したプロモーションを実施して書籍の販促をして「出版ブランディング」の目的達成を目指します。 |
出版ブランディングの成功事例
実際に出版ブランディングを行って、企業としての知名度向上や新たな顧客獲得に成功した事例をいくつかご紹介します。
出版をきっかけに前年比売上が倍に増加(不動産投資)
ある不動産投資会社の経営者は、従来からSNSやWeb広告などを利用して不動産投資サービスに関する情報発信を行っていましたが、伸び悩みを感じて打開策を検討していました。
そして、医師をターゲットとして「高収入な医師に最も効果的な節税対策は不動産投資である」という内容の書籍による「出版ブランディング」を実施。
企画段階から医師をメインターゲットにしたプロモーションを検討し、出版のタイミングに合わせたSNS投稿やセミナー開催、クラウドファンディングなどを実施しました。
結果として、狙い通り多くの医師に書籍を購入してもらうことができ、書籍を購入した医師に「不動産投資に大きな節税効果があること」を認知してもらうことに成功。
売上を倍増させることにつながりました。
さらに、既存顧客から知り合いの医師への口コミや書籍の配布などによって評判が広がり、新規顧客の獲得にもつながりました。
業界内での認知度が向上!共感を生み、売上も向上(保険代理店)
法人向けの保険代理店の経営者は、新規事業を始めたタイミングをきっかけに、更なる飛躍のために「出版ブランディング」を実施。
著書の中で、保険業界が抱えている問題点について取り上げるとともに、保険業界では当たり前の給与体系である「成果報酬型」を「一律報酬型」に変えることによって業績拡大を実現した自社の事例などを紹介しました。
出版後、多くの保険業界関係者などに読んでもらうことができ、自社の知名度が向上。
同業者内で「あの保険代理店の社長さん」と一目おかれるようになり、ブランディングに成功しました。
保険契約数が飛躍的に伸びたのはもちろん、新規のコンサルティング契約を獲得したり、保険会社などから講演会の講師として招かれたりするようになりました。
出版によりコンスタントに新規来院が継続!遠方や海外からの来院も増加(開業医)
千葉県で耳鼻咽喉科を開業している医師は、自身が研究治療をしているめまいや耳鳴りの専門家としての認知度を上げるために「出版ブランディング」を実施。
めまいや耳鳴りは現代病とも言われて潜在患者は多いものの、積極的な治療が行われていないという実情があるため、「本当は怖い」という警鐘を鳴らす書籍にしました。
自身のクリニックに近い一都三県の書店に集中的に配本したところ、出版後1ヶ月で読者の新規来院が10名以上増えて、その後も読者の新規来院がコンスタントに続くように。
また、全国の書店でも販売しているため、遠方や海外からの来院患者も増えました。
成分を訴求したことで売上が前年比4倍に増加(健康食品)
コラーゲンサプリメントなどの健康食品の開発・販売を行っている会社の代表者は、サプリメントの販促のために書籍を出版。
ただし、書籍のタイトルなどにはサプリメントの販促に関するものは一切なく、書籍の内容も血管を若返らせるコラーゲンについて説明をしたものとしました。
つまり「あらゆる死に至る病気の原因は血管の老朽化であり血管を若返らせることが健康寿命を延ばす近道だ」という内容の書籍を出版したのです。
これは、サプリメントの効果効能や商品名を訴求すると薬事法(現在の薬機法)に抵触する恐れがあるためです。
サプリメントの成分であるコラーゲンの良さを伝えるという方向性の内容にすることで薬事法に抵触することなく、成分の認知度向上に成功しました。
出版後、読者から著者や出版社への問い合わせが殺到。
結果としてコラーゲンサプリメントの成分ブランディングに成功し販売促進につながっています。
▶薬機法についてより詳しく知りたい方は、関連記事【薬機法(旧:薬事法)とは?違反せずに広告・PRする7つのポイントを分かりやすく解説】もあわせて参考にしてください。
【まとめ】出版ブランディングは次のステージに進みたい企業におすすめの施策
本記事では、「出版ブランディング」のやり方やメリット・デメリット、費用感、成功事例などについて詳しく解説しました。
「出版ブランディング」は、すでにWeb広告やSNS・SEOなどの「デジタルコンテンツ」によるマーケティングを行っているにもかかわらず、伸び悩みや頭打ちを感じている企業が、次のステージに進むためにおすすめの施策です。
なぜなら、現在一番うまくいっているマーケティング施策は「デジタルとアナログの組み合わせ」と言われており、書籍はアナログメディアの中でも社会的信頼性や権威性が高いブランディングに最適なものだからです。
従来行ってきた「デジタルコンテンツ」と「アナログメディア」の組み合わせにより、大きなブランディング効果を獲得することができるでしょう。
出版ブランディングをお考えの場合は、まずはお気軽にフォーウェイまでご相談ください。
ご要望や予算感に合わせた最適な提案をさせていただきます。
▼ブックマーケティングのご案内はこちら
Web広告も、SNS運用も、SEOも、PRも、あらゆるマーケティング施策をやっているのにも関わらず商品が売れない、という時はどう対処すれば良いのでしょうか。
「色々手は尽くしているけど商品が売れない、売れ行きがよくない」という場合には、八方塞がりで、次にどんな施策を打っていけば良いのかが分からなくなってしまいがちです。
今回はそんな商品が売れない主な原因や、改善を検討すべき8つのポイントについて解説します。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
手を尽くしても商品が売れない主な原因
あらゆるマーケティング施策を行っているのに商品が売れない、あるいは売れ行きがよくないという場合、次のような原因が考えられます。
- ・ターゲット設定を間違っている
- ・商品スペックをアピールしてしまっている
- ・ターゲットにアプローチできていない
- ・商品の強みを明確にできていない
- ・商品に信頼性がない
- ・大手の売り方を真似している
- ・ブルーオーシャンを狙いすぎている
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あなたの商品がいずれかの原因に該当していないかをチェックしてみましょう。
ターゲット設定を間違っている
商品を売りたいターゲット設定を間違っていると売れません。
たとえば、ターゲットが絞りきれていない、広く設定しすぎている、そもそもターゲットにニーズがないなどです。
売上や利益のことを考えると、ターゲットを絞ることは勇気がいりますが、「男性がターゲット」として販売するよりも、「40代で年収600万円以上の独身男性がターゲット」とした方が訴求が明確になります。
年代や年収額、家族構成などによって生活スタイルや思考、抱えがちな悩み、解決方法などは大きく変わるので、どんなに良い商品であったとしても、その商品を必要としている人に適切にアプローチすることができなければ売れることはありません。
商品スペックをアピールしてしまっている
商品スペックばかりをアピールしてしまう、というのも企業が陥りがちな落とし穴です。
今現在、商品の性能・成分などのスペックや、価格の安さばかりをアピールしてしまっているようなことはないでしょうか?
この場合、顧客も商品をスペックでしか判断できなくなるので、他の商品とのスペック競争に巻き込まれてしまいやすくなります。
たとえば、価格の安さをメインに訴求している場合は、同じようなスペックで価格が低い商品が出たら簡単に切り替えられてしまうでしょう。
また、「とある成分が50%入っている」ということをメインで訴求している場合でも、同じような価格で60%の商品が出たら、同様に切り替えられてしまうことが予想できます。
このように、他の商品とのスペック競争に勝っているうちは良いですが、スペックの高い他社商品が出てきてしまうと次第に売れなくなってしまうのです。
商品スペックは見た目にも分かりやすい訴求になるため、初動の売上を出すには良い方法ですが、時間の経過とともに競合他社とのいたちごっこになりやすいデメリットがあるので注意しましょう。
もし資金力のある大手が参入してきた瞬間に、資金力のない中小企業は商品スペック競争に勝てなくなり、ますます売れなくなってしまいます。
ターゲットにアプローチできていない
マーケティング施策や利用する媒体の種類によって、アプローチできるターゲット層が変わってきます。
狙いのターゲット層が見ることもないし利用することもないような媒体に、いくら広告を打っても、情報発信をしても、そもそも顧客がその広告や情報を目にすることはないため商品が売れることもありません。
たとえば、狙いのターゲット層が高齢者の場合、いくらInstagramで情報発信しても高齢者がInstagramを見るはずもないということです。
このように、ターゲットにアプローチできる媒体やマーケティング手法を間違えている場合はいくらやっても売れません。
商品の強みを明確にできていない
その商品ならではの強みを明確に訴求できていない場合は、顧客にその魅力が伝わらないため売れません。
たとえば、商品の説明が分かりにくい、文章を読んでもよく理解できないなど、そもそも商品の強みを自社でうまく言語化できていない可能性があります。
たとえば、「若々しさを取り戻したい」というニーズを持った顧客に「年相応」と訴求しても刺さりません。
ターゲットにしっかりとアプローチできているはずなのに、商品が売れない場合は、自社が訴求している商品の強みと、ターゲットのニーズのズレが原因となることが多いです。
このような場合、いくらマーケティング施策を打っても売れません。
商品に信頼性がない
商品の見た目や評判などが怪しげだったり、安っぽかったりして信頼性がないことも売れない原因の1つです。
これは商品だけではなく、商品の製造元や販売元、店舗などにも当てはまります。
消費者は潜在的に「失敗したくない」「騙されたくない」と強く思っているものです。
安心できるもの、信頼できるものを購入したいと考えているので、商品などの信頼性が低い場合は、たとえ価格が高くても失敗しない安心できる競合他社の商品を選ぶ傾向があります。
また、高単価な商品の場合は、購入にあたってのリスクが大きくなるので、特に「どこが販売しているか」という販売元の信頼性が重要になります。
大手の売り方を真似している
中小企業と大企業ではマーケティング手法は異なります。
そのため、中小企業が大手をベンチマークして真似をしてしまうと、大抵が途中で資金不足
になり失敗してしまいます。
なぜなら、大企業は資金が潤沢にあるという前提で、マーケティングを行っているからです。
一方で中小企業は限られた予算の中で優先度をつけ、効率的に行わなければなりません。
ある程度の期間売れなくても、マーケティング費用を出し続けられるような資金力がなければ大手のやり方を真似することはできません。
ベンチマークとして大手企業を挙げている中小企業の場合、こういった失敗をしやすくなるので十分に注意しましょう。
ブルーオーシャンを狙いすぎている
「ブルーオーシャン」とは、マーケティング用語で「まったく新しい領域に事業や商品を展開していくこと」を指します。
つまり、「ブルーオーシャンを狙う」とは、これまでに存在しなかったような商品を発売して、他社とも競合することなく売るということです。
しかし「ブルーオーシャンで競合がいないこと」と、「売れること」は、イコールではありません。
ブルーオーシャンということは、顧客のニーズもそれほどない可能性がある、ということです。
ブルーオーシャンに商品を販売していくためには、まずこの顧客ニーズから作っていく必要があるので、そのための期間と潤沢な資金が必要となってしまいます。
たとえば、iPhoneなどが良い事例です。
最初は「本当に必要なのか?」など、顧客ニーズが全くなかったところから数年かけてニーズを地道に作りあげていったからこそ、今のような根強いiPhoneファンを獲得できているのです。
競合がいないということは魅力的ですが、資金力がないのに安易に「ブルーオーシャン」を狙っても、結局顧客に認知してもらうことができずに売れないということになってしまうので十分注意しましょう。
手を尽くしても商品が売れない時に検討すべき8つのポイント
いろいろと手を尽くしても売れない時には、次の8つのポイントに注意してマーケティング施策を再検討するのがおすすめです。
- ・ターゲット設定を見直す
- ・ターゲットにアプローチできるマーケティング施策を選ぶ
- ・商品の強みを改めて考える
- ・商品スペックではなく、商品を使った先の未来像を訴求する
- ・社会的信頼性・権威性を高める
- ・商品を売るのではなく、ファンを作る
- ・マーケットインで販売戦略を考え直す
- ・アナログなマーケティング施策を検討してみる
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具体的にどのような点を再検討すべきかをくわしく見ていきましょう。
ターゲット設定を見直す
まず、その商品を売りたいターゲットが誰なのかについて設定を見直します。
ターゲットはできるだけ詳しく具体的に設定するようにすると、どのようなマーケティング施策が有効なのかが分かりやすくなります。
ターゲットの設定項目としては次のようなものがあります。
- ・社会的属性:年齢、性別、居住地、職業、家族構成
- ・心理的属性:価値観、ライフスタイル、性格、嗜好
- ・レベル:初級者、中級者、上級者
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想定したターゲットにそもそも商品を買いたいニーズがない場合も多いので、ターゲットと想定される人を集めて座談会やヒアリング、アンケート調査を実施したりしながらターゲットのニーズを深掘りしていくことから始めてみましょう。
ターゲットにアプローチできるマーケティング施策を選ぶ
狙いのターゲットが明確になったら、そのターゲット層に的確にアプローチできるマーケティング施策や媒体を選びます。
たとえば、富裕層や決裁権者のような広告やSNSでアプローチしにくい層を狙うのであれば、自発的に調べる傾向があるので、SEOや書籍などが有効となります。
高齢者にアプローチするのであればチラシやパンフレットなどのアナログな媒体を選びましょう。
20代〜30代の若年層であれば、XやInstagram。10代にはTikTokなどが有効です。
30から40代のターゲットにアプローチするのであればSNSの中でも特に詳細なセグメントで広告出稿ができるFacebook広告やGoogle広告がおすすめです。
このように、ターゲットがよく見る媒体などをリサーチした上で、ある程度の仮説をたててからマーケティング施策を実行していくことが重要です。
商品の強みを改めて考える
ターゲットが明確になり、アプローチ方法や媒体が決まったら、次は商品の強みを改めて考えてみましょう。
強みを顧客に訴求する場合には、言語データやイメージで表現する必要があるので、言葉にして洗い出すことが大切です。
言葉であらわすことによって、曖昧さや漠然さがなくなり強みがより明確になります。
このときに、ターゲットやアプローチ方法などを一旦頭の中から取り去って、純粋に「商品の強み」を考えることも重要です。
なぜなら、洗い出された強みを必要とするターゲットが間違っているということもあり得るからです。
訴求する商品の強みと、ターゲットのニーズのズレは商品が売れない原因に直結していくので、もし、洗い出された強みとターゲットが異なる場合は、先述のターゲット設定のステップからやり直しましょう。
商品スペックではなく、商品を使った先の未来像を訴求する
前述の通り、商品スペックをメインに訴求してしまうと、競合他社とのスペック競争に陥ってしまい、売れない原因になってしまいます。
最初は良くても、競合他社や大手が参入してくるとともに売れなくなっていきます。
商品スペックよりも、その商品を使うことによって、「どのような人」の「どのような課題や悩み」を「どのようにして解決する」ことができるのかの価値を説明し、顧客が自分でその商品を使ったときの未来像が想像できるようにすることが大切です。
また、イメージ画像や動画などを活用して未来像がビジュアルで分かりやすく顧客に届くように工夫することも大切です。
社会的信頼性・権威性を高める
「社会的信頼性」や「権威性」を高めることによって商品を売れやすくすることができます。
「社会的信頼性」も「権威性」もほぼ同じような意味を表す言葉で「社会的にどの程度信頼されているのか、どの程度承認されているのか」ということです。
顧客の多くは商品を買う際に「失敗すること」をできるだけ避けたいと考えます。
そのため、商品の「社会的信頼性」や「権威性」が高ければ、それだけで顧客からの信頼を受けやすくなり商品が売れやすくなるのです。
これは商品そのものだけではなく、その商品の製造元や販売元の「社会的信頼性」や「権威性」が高い場合も、商品が売れやすくなります。
大手企業などが良い例です。
社名などで「きっと大手が出しているのだから失敗はしないはずだ」と思い買ってもらいやすくなります。
このように、商品が売れない時には自社の社会的信頼性や権威性が現状どんなものなのかを調べ、それを向上させていく施策などを検討してみましょう。
商品を売るのではなく、ファンを作る
商品が売れない状態に陥っているときには、どうしても「目の前の商品を売れるようにしなければ」という考えに囚われてしまいがちです。
しかし、少し発想を変えて「商品や企業のファンをつくるにはどうすれば良いのか」と視点を変えることが遠回りに見えて一番の近道である場合もあります。
商品や会社のファンになってもらえれば、安易に他社の競合商品に乗り換えたりすることがなく、リピートで購入してくれる可能性が高くなります。
結果的に中長期的な売り上げの安定化につながります。
マーケットインで販売戦略を考え直す
ものが溢れた現代では、プロダクトアウトではなくマーケットイン。
つまり、顧客のニーズに応じた商品の企画開発をすることが重要です。
もちろん、プロダクトアウトの販売戦略には、企業本位の商品の企画開発という以外に、顧客の潜在ニーズを掘り起こすという意味もあるので、必ずうまくいかない訳ではありません。
しかし、商品が売れないということは、顧客のニーズに応える商品ではないという仮説が立てられます。
マーケティング施策などをしっかりと行っているのに売れないのであれば、プロダクトアウト的なマーケティングになっていないかを検証して、改めてマーケットインで販売戦略を練り直すなどを検討してみましょう。
アナログなマーケティング施策を検討してみる
現代では、インターネットを活用したWeb広告やSNSなどのデジタルなマーケティング施策が主流となっています。
しかし、デジタル全盛期だからこそ、アナログのマーケティングが際立つということも考えられます。
つまり、顧客が購買に至るまでの「認知」「興味・関心」「比較・検討」「商談」のプロセスの全てにおいて、顧客はデジタルだけに接しているわけではないのです。
実際に、現在マーケティング施策としてうまくいっているのは「デジタルとアナログの組み合わせ」です。
実際に2016年に一般社団法人日本ダイレクトメール協会が行なった「DMメディア実態調査2016」によれば、「DMだけ」「メールだけ」「DMとメールの両方」の3パターンで無作為に抽出したターゲットに送付したところ、「DMとメールの両方」の場合が最も反応率が高くなったという実験結果が出ています。
また、高齢者などのようにアナログマーケティング施策でしかアプローチできない層もいるためデジタルの時代だからこそ、次のようなアナログマーケティング施策を組み合わせることができないかを検討してみることが重要です。
次のようなアナログマーケティング施策を活用することで、思わぬ突破口が開けるかもしれません。
それぞれどのような方法を具体的に活用すべきかを見ていきましょう。
◉-8-1、書籍
マーケティング施策に書籍を活用するという方法です。
企業出版(ブックマーケティング)と呼ばれる手法です。
具体的には、自社の事業や商品・サービス、企業の成り立ち、企業理念、保有技術などについてまとめた書籍を出版してマーケティング活動に活用します。
書籍は社会的信頼性が高く、盛り込める情報が他のメディアに比べて圧倒的に多いため、読者をファン化させて自社サービスの購買意欲を向上させることが可能です。
顧客との面談や商談の前に、自社で出版した書籍を販売促進ツールとして手渡すことによって、顧客からの信頼を得やすくなり、成約につながる可能性も高くなります。
また、書店に配本して販売するので、書店の来店客の目に留まって購入した顧客から問い合わせが来るなど、新規顧客の獲得にもつながります。
◉-8-2、チラシ
商品のおすすめポイントなどを簡単にまとめたチラシもマーケティング施策に利用できます。
チラシは、顧客にキャンペーンなどのお得情報を告知したり、来店を促して商品の販促につなげたり、商品の認知度を上げるために、ポスティングなどの方法で特定のエリア内に配布します。
メールやSNSなどのデジタルマーケティングでは埋もれてしまいがちなキャンペーン情報やお得情報ですが、ポストに入っていたチラシを見て来店し購入する顧客は比較的多いものです。
チラシを作成する際は、「5W1Hを明記する」「内容をターゲットに合わせる」「会社や営業担当者の自己紹介を入れる」「ターゲットの興味を惹くビジュアルにする」などに配慮しましょう。
◉-8-3、パンフレット
商品案内などのパンフレットをマーケティング施策に利用する方法もあります。
パンフレットは商品を単に羅列するだけでなく、商品の特徴やメリット、ベネフィットなどを分かりやすく説明して、商品の良さがきちんと顧客に伝わるものにしなければなりません。
顧客の興味や関心を喚起して購買意欲を高めてくれるようなものにしましょう。
◉-8-4、手紙
手紙、それも手書きの手紙はアナログな手法の最たるものですが、マーケティング施策としては非常に有効です。
手紙は、電子メールやDMとは違って、受け取った顧客に深い印象を残すことができ、顧客が手紙の書き手に対して信頼感を抱きやすいという特徴があります。
また、手紙は宛名の人にダイレクトに届けられるため、決裁者に直接アプローチし、関係性を構築していきたい場合などにも有効です。
営業マンが訪問する場合の人的コストの発生、テレアポなどで取り次いでもらえない、相手の時間を拘束するなどのデメリットもありません。
◉-8-5、DM
紙のDMを送付するというマーケティング手法もあります。
日本ダイレクトメール協会が2021年に実施した「DMメディア実態調査2021」によれば、DMの開封率は約79.5%にものぼり、電子メールよりも5倍以上開封されやすいという結果が出ています。(電子メールの開封率は約14%)
多くの電子メールを受信する人の場合、他のメールに埋もれてしまって開封されないことが多々あるのに対して、郵便ポストを毎日確認する人は多いため、それが高い開封率につながっていると考えられます。
メールよりもコストはかかってしまうため、DMを送るターゲットをより明確にすることが重要と言えます。
【まとめ】手を尽くしても商品が売れない時は一度立ち止まることが大切
本記事では、「色々手は尽くしているけど商品が売れない、売れ行きがよくない」という場合の主な原因や、このようなときに検討すべき8つのポイントについて解説しました。
基本的な対応としては、一度立ち止まって、今回の8つのポイントについて、どうすべきかを検討してみましょう。
特にデジタル系のマーケティング施策しか行っていない方は、アナログなマーケティング施策を検討してみるのがおすすめです。
デジタル全盛期の時代だからこそ、アナログが際立つ時代です。
書籍やチラシ、DMなどの手法を一度検討してみてはいかがでしょうか。
フォーウェイではデジタル時代の集客に最適な書籍、パンフレット、チラシなどのアナログ集客の方法について、最適なご提案をさせていただいております。
ぜひ、デジタル集客に伸び悩みや頭打ちを感じている企業さまがいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。
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コンサルティングサービスや、保険、不動産、投資、など高単価商品や、BtoB向け商品やサービスを販売していくためには、顧客との信頼関係構築が何より重要と言われます。
なぜなら、金額も高いため、買う側も「信頼できる相手から買いたい」と考える傾向があるからです。
しかし、顧客との関係性を作るためには、ある程度の時間と手間が必要になります。
また、高単価であるが故にその商品やサービスの特徴、価値を伝えるのにも時間や手間が必要です。
結果として成約までのリードタイムが長くなってしまうことが往々にしてあります。
そんなリードタイムを短くできる施策の1つが顧客教育です。
今回は、成約までのリードタイムの短縮におすすめな顧客教育方法や成功事例について解説します。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
高単価やBtoBはリードタイムが長くなりがち
高単価やBtoB向けの商品・サービスになればなるほど、顧客の「失敗したくない」という気持ちが強くなるため、信頼関係のある法人や個人から購入したくなるものです。
たとえば、不動産などの高額商品を販売する場合は、買い手側にとっては数千万円という買い物になるため、まずは小さな案件に対応したり、他の悩みや相談に応えたりしながら徐々に顧客の信頼を獲得していくことが重要になります。
また、「なぜその法人や個人の商品・サービスが必要なのか?」ということをはっきりと理解していないことも多いため、これらのことを理解してもらうにもある程度の時間が必要です。
顧客との間に信頼関係を構築して、商品の必要性などを理解してもらうためには数ヶ月以上かかるのが一般的なので、高単価やBtoB向けの商品・サービスはどうしてもリードタイムが長くなってしまうのです。
リードタイムを短くしてくれるのが顧客教育
長くなりがちなリードタイムを短縮する施策として「顧客教育」があります。
顧客に対して「自身がどういう法人、個人なのか?」「なぜその法人や個人の商品が必要なのか?」ということを、商談をする前に理解してもらうことができれば、成約までのリードタイムを短くすることが可能です。
たとえば、セミナーを開いて不動産投資用物件を販売する場合で考えてみましょう。
不動産投資について全く知識がない状態で初めて参加された方よりも、既に一定の知識を持ち会社との接点が過去に多い人の方が成約しやすいと言えます。
特に、高単価やBtoB向けの商品・サービスを販売している法人や個人は「顧客教育」をうまく活用してリードタイムの短縮を図るべきです。
成約までのリードタイムを短くする!おすすめの顧客教育手法
「顧客教育」にはさまざまな方法があります。
その中でも、特に成約までのリードタイムを短くするのに有効な「顧客教育」をご紹介します。
セミナーや講座の開催
自社が販売している商品やサービスのターゲットが、興味を抱くような内容のセミナーや講座を開催して、その中で自社の商品やサービスの必要性を理解してもらう手法です。
たとえば、「成年後見支援」を主要なビジネスにしている場合は、「終活セミナー」などを開催することが考えられます。
また、セミナーや講座であれば、最初から講師というポジションでターゲットと接することができるので、参加者から信頼を得やすいというメリットがあります。
書籍の出版(企業出版)
自社が販売している商品やサービスに関する書籍を出版して、書店に配本し他のマーケティング施策と組み合わせてターゲットの手元に届ける手法です。
書籍は社会的信用性が高いという特徴があるので、書籍を出版したことによって読者に「本を出版できるぐらい社会的信用性、専門性、権威性が高い」というイメージを持ってもらうことができます。
また、一般のビジネス書は7万文字~10万文字という情報量があるため、商品やサービスに関することだけではなく、開発にかける思いや独自技術、創業ストーリー、企業理念、プロフィールなどもまとめて伝えることが可能です。
さらに、SNSや広告とは違い、読者がお金を払って購入するため、読んでもらいやすいのが特徴です。
そのため、ターゲットの手元に届けることができれば、書籍の内容をしっかりと理解してもらえるというメリットを享受することができます。
実際に、出版後すぐに問い合わせがあり大型案件の成約が得られたり、商談で成約しやすくなった、という事例も豊富にあります。
単に書籍を出版するだけでは「顧客教育」にはなりませんが、企業出版によりターゲットに届けることができて、書籍の内容をしっかりと読んでもらえれば、リードタイムを短くする有効な手段となるのです。
マーケティングファネルの構築
さまざまな方法で取得した見込み顧客のメールアドレスに、メルマガやステップメールで情報を発信する手法です。
たとえば、メルマガやステップメールで無料セミナーの開催を告知して集客し、セミナーの中で「顧客教育」をして「なぜその商品が必要なのか?」を理解してもらった上で無料の個別相談を募集します。
そして、個別相談に参加してくれた見込み顧客に対して、商品やサービスのオファーをかけるというように、見込み顧客の状況に応じて最適な「顧客教育」を施していくのがマーケティングファネルの構築です。
一連のファネルごとの施策を通して「顧客教育」を行う仕組みを作ることで、高単価やBtoB向け商品が成約しやすくなります。
SEO
SEOは、顧客自身が興味のあることを調べたり、悩みを解決したりするために行う「インターネット検索」を利用するものです。
顧客自らが検索をして上位に表示される記事にアクセスするため読んでもらいやすく、その中で「顧客教育」をすることが可能です。
アクセスしたサイトの記事に有益な情報が書いてあればあるほど、その記事を書いた法人や個人のファンになっていく傾向があるため、確度の高い問い合わせが来やすくなります。
このようなことから、広告経由で成約した顧客よりもSEO経由で成約した顧客の方が質が高いという傾向があります。
Youtube配信
Youtube配信もSEOと同様に顧客が自発的に閲覧するものなので、見てもらいやすく、その中で「顧客教育」をすることが可能です。
有益な情報を分かりやすく動画にして配信すればするほど、その法人や個人のファンになり、確度の高い問い合わせが来やすくなるというのが特徴です。
Youtubeでの動画の場合は、SEOと違って顔を出して発信することができるため、動画の出演者に対する信頼感や興味が湧きやすく、ファン化しやすいという傾向があります。
また、顧客が自ら調べてたどり着くという特徴から、問い合わせの質が高いのが特徴です。
クラウドファンディング
クラウドファンディングは想いに共感する人を集めることができるという大きな特徴があります。
まず法人や個人のファンになってもらって、資金集めをしながら、支援者(顧客)との信頼関係を構築していくことが可能です。
クラウドファンディングの説明文などで、想いや取り扱っている商品・サービスなどを紹介をすることができ、これが「顧客教育」になります。
クラウドファンディングによって、すぐに商品・サービスが売れる訳ではありませんが、支援者という形でファンを獲得することが可能です。
たとえば、前述のような書籍を出版するためのクラウドファンディングを行い、出版した書籍をリターンとしてお渡しするようにすれば、読んでもらえて問い合わせにつながる可能性が高まります。
また、クラウドファンディングの場合は、共感した支援者が情報の拡散を行ってくれることがあるというのも特徴の一つです。
顧客教育用のパンフレット送付
自社の取り扱っている商品やサービス、法人、個人などについてまとめたパンフレットを作っておき、それを様々な手段で獲得した顧客に送ることによって「顧客教育」をすることができます。
パンフレットは書籍よりも手軽に安く作れますし、しっかりと読んでもらうことができれば成約までのリードタイムを短縮することができます。
リードタイムを短くするために押さえておくべき顧客教育のポイント
成約までのリードタイムを短くするための「顧客教育」の手法を紹介しましたが、いずれにも共通する押さえておくべきポイントがあります。
どのようなポイントがあるのか、くわしく見ていきましょう。
ターゲットを明確にする
ターゲットを明確にして、ピンポイントで「顧客教育」をしなければ、成約リードタイムの短縮どころか、成約も難しくなります。
なぜなら、商品やサービスを求めていないターゲットにいくら「顧客教育」をしても成約につながることはないからです。
また、ターゲットの範囲を広くすると「顧客教育」の対象者が増えますので一見多くの成約が得られるのではないかと考えがちですが、「顧客教育」の確度がぼやけてしまうため成約につながりにくくなります。
ターゲットに届きやすい施策を検討する
ターゲットによって有効な「顧客教育」は異なります。
ターゲットにアプローチできない施策をいくら頑張ったとしても成約につながることはありませんので、「ターゲットにアプローチできる施策は何か?」を慎重に検討する必要があります。
たとえば、高齢者をターゲットにするのであれば、SNSやWeb広告よりはパンフレットやチラシなどが有効です。
逆に、20代の若者をターゲットにするのであれば、断然SNSが良いでしょう。
また、企業の決裁権者をターゲットにするのであれば、書籍やパンフレット、SEOなどがおすすめです。
このように、どの施策が自社のターゲットにアプローチしやすいかを検討することが重要といえます。
ファンになってくれること、信頼感を生むことを目標にする
「顧客教育」は、あくまでも「役に立つ情報をいかに届けて信頼を獲得するか?」が目的なので、商品やサービスの「売り込み色」を出さないように注意しましょう。
「意図的に誘導する」などの「売りたいという気持ち」はすぐに顧客に気づかれてしまい、敬遠されたり、信頼を失うことになりかねません。
あくまでも、ファンになってくれること、信頼感を生むことを目標にしましょう。
商品情報だけではなく、背景や想いなども盛り込む
「顧客教育」の内容は、単なる商品やサービスの説明だけではいけません。
「なぜ、その商品やサービスを開発したのか?」などの背景や想いなどを盛り込んで、顧客からの共感を得やすくする必要があるからです。
背景や想いなどを盛り込むことによって「売り込み色」を消す効果も期待できます。
顧客教育によりリードタイムが短縮した成功事例!
実際に「顧客教育」を行ってリードタイムを短縮した事例を3件ご紹介します。
医師向け不動産投資の書籍を販売し10億円以上の売上に!(不動産投資)
この不動産投資会社は、自社の認知度や信頼性が低いために、ターゲットである医師の集客がうまくいかないことや成約までのリードタイムが長いことに悩んでいました。
これらの課題を解決するために、不動産投資が節税対策に有効なことなどを訴求する書籍を、医師をメインターゲットとして出版。
出版後1ヶ月で読者から大型案件を受注して3億円の売上を実現することができたそうです。
さらに、メインターゲットである医師(読者)から次々に問い合わせがあり少なくとも10億円以上の売上につながりました。
また、出版前の大きな課題だったリードタイムの長さも解消されて、ほとんどが初回の面談で決断してもらえるようになったそうです。
不動産投資のように、顧客にその必要性や重要性を認識させることが重要な商品・サービスには、「いかに顧客教育をするか」がリードタイムの短縮に関わってくるため、情報量が多い書籍は顧客教育に有効な手段と言えるでしょう。
場がホットな状態から商談ができるように!(保険代理店)
この保険代理店は、本業のリードタイムの長さの解消と新規事業であるコンサル事業の集客方法について模索していました。
これらの課題解決を狙って書籍を出版し、「成果報酬型」が当たり前の業界で「一律報酬型」の給与体系を導入した新規性をキャッチコピーとして書籍を出版。
業界の慣習に反した給与体系にもかかわらず売上高が右肩上がりで、社員の定着率も高いということに大きな反響があり、出版記念セミナーでは60名を集客し、複数件のコンサル契約を獲得することができたのだそうです。
その後も書籍が飛ぶように売れ、⼤⼿保険会社などの講演会に講師として招かれるようになりました。
また、実際の保険営業の現場でも、事前に書籍を読んでもらっているので「顧客教育」が終わった状態から商談に入れて、まさに場がホットな状態から商談ができるようになったそうです。
出版の狙いだったリードタイムの短縮も達成することができています。
保険営業のように顧客との関係値を構築する上でも書籍は有効な手段と言えるでしょう。
リードタイムの長い注文住宅が16件成約!(注文住宅)
この注文住宅の建築会社は、競合が多いうえポータルサイトへの広告費用が高額なため、質の高い顧客を効率よく集客することを狙って書籍を出版。
注文住宅の入門書という企画内容で、「良い見積もりと悪い見積もりの違い」「現場見学でのチェックポイント」「営業マンの選び方」など住宅会社選びのポイントを解説する内容としました。
自社の商圏に近い書店に重点配本したところ、その書店で購入した読者から問い合わせが殺到して、注文住宅16件の成約を実現。
出版の狙いだった集客効果はもちろんのこと、顧客は問い合わせ時点で書籍の内容を熟読して「顧客教育」ができた状態だったため、いずれもリードタイムの大幅な短縮ができました。
【まとめ】高単価・BtoB向け商品販売には顧客教育の活用がおすすめ!
本記事では、成約までのリードタイムの短縮におすすめな「顧客教育」の方法や成功事例について解説しました。
高単価やBtoB向け商品などを販売する際には、顧客との間に信頼関係を構築したり商品の必要性などを理解してもらう必要があり、そのためリードタイムが長くなります。
これを解消してリードタイムを短縮するには「顧客教育」が有効で、その中でも特に書籍の活用がおすすめです。
書籍は信用性が高い媒体ですので、読者に「本を出版するほどの社会的信用性や専門性が高い」というイメージを持ってもらうことができます。
また、書籍が伝えることができる情報量は膨大なため、商品やサービスの説明だけではなく、開発にかける想いや独自技術、創業ストーリー、企業理念、プロフィールなどもまとめて伝えることができます。
しかも、読者がお金を払って購入するため「必ず読んでもらえる」という特徴があることから、書籍の活用が「顧客教育」に最適なのです。
リードタイムの長さに悩んでいる場合は、ぜひ書籍の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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「成約率をいかに高めていくか」は企業として利益をあげていく上で重要な課題の1つです。
「成約率を高める」というのは、「いかに少ないリソースで、多くの営業成果を獲得するか、を追求する」ということなので、単に商談での成約率が向上した、というだけでは課題を解決することはできません。
顧客情報の管理や、見込み顧客へのアプローチや顧客教育など、「営業に必要なあらゆる作業をいかに効率的に行うか」という観点と、「1回の商談での成約率をいかに高められるか」という2つの観点で改良をしていく必要があります。
そんな時に活用したいのが営業ツールです。
この記事では、成約率を高めるために必要不可欠な4種類のツールと、その選び方、活用方法などを詳しく解説します。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
営業効率や成約率を高めるために活用すべきツールは主に4種類
営業ツールには「どの営業プロセスを効率化したいのか」によって次の4種類のツールが存在します。
それぞれどのようなツールなのかを詳しく見ていきましょう。
顧客関係管理ツール(CRM)
「CRM」は、Customer Relationship Managementの略称で、「顧客関係管理」「顧客情報管理」「顧客関係構築」「顧客管理」などと訳される概念です。
「CRM」で顧客情報を分析することにより、顧客のニーズに応じた適切なアプローチを行い「顧客をリピーターやファンに育成」することができます。
「CRM」で、年齢・性別・住所・職業・年収・取引き商談履歴・クレーム状況などの情報を一元的に管理して分析し、ある条件に適合する顧客を抽出したり、市場の購買動向などを把握したりして営業活動に活かすことができるのが特徴です。
「CRM」を導入することによって、これまで営業担当者の経験や勘に頼っていた営業活動を可視化して共有することができます。
一般的に「顧客関係管理ツール(CRM)」には次のような機能がついています。
・顧客情報管理機能・分析機能
・メール配信機能
・問い合わせ対応機能
・プロモーション支援機能
■CRMの選び方
「CRM」を選ぶ際に考慮すべきポイントは次の4つです。
| CRMを選ぶポイント | ポイントの概要 |
| 目的に合った機能を有しているか | 自社の業務内容や導入目的に合った機能を有しているかどうかを確認する必要があります。ツールによっては無料トライアルなどが利用できる場合がありますので、事前に機能や使い勝手を確認することができます。 |
| 初期コストやランニングコストが適切か | 「CRM」を選定する際は、初期コストだけではなくランニングコストが適切かを確認する必要があります。 |
| サポート体制がしっかりしているか | 何らかのトラブルが発生したときに素早く対応してもらえるかどうかも大きなポイントです。サポート体制がしっかりとしたベンダーを選ぶようにしましょう。一般的に、国内企業の方が素早い対応が期待できるでしょう。 |
| 機能の拡張性や連携性があるか | 営業ツールは「CRM」だけではなく、次項で説明する「SFA」や「MA」などもあります。機能の拡張性や他のツールとの連携性が考慮されたツールを選ぶと、将来の機能拡張や他のシステムとの連携が楽に行えます。 |
また、代表的な「CRM」の特徴は次表の通りです。
| 名称 | 特徴 |
| Knowledge Suite(ナレッジスイート) | 名刺を使った顧客情報管理ができることが特徴。営業支援、顧客管理、グループウェア、働き方改革、テレワーク支援、コミュニケーションなどの機能を提供しています。 |
| Microsoft Dynamics 365(マイクロソフト) | 業務量が膨大で多種多様な業務内容がある大企業向け。多機能で高い拡張性を持っており、マイクロソフトが提供しているという信頼性が特徴です。提供機能は、カスタマーサービス、フィールドサービス、リモートアシスト、マーケティングサポートなど。 |
| e セールスマネージャー(ソフトブレーン) | 簡単入力が特徴で中小企業におすすめ。一度データや情報を入力すれば、多くの業務を自動化できます。提供機能は、ダッシュボード、タイムライン、スケジュール、顧客情報、人脈情報、商談リスト、予算情報、実績情報、グループウェアなど。 |
営業支援ツール(SFA)
「SFA(Sales Force Automation)」は、営業活動を効率化して支援するシステムやツールのことを言います。
「SFA」は、各営業担当者の営業日報や商談スケジュールを集中管理することができ、営業活動を可視化して共有化することができるのが特徴です。
営業担当者は外出先から携帯端末やスマートフォンなどを使って営業日報を作成したり、顧客情報を確認したりすることができ、上司は各営業担当者の営業活動の進捗状況を把握することができます。
「SFA」は営業活動における属人化を解消して、営業活動や営業報告業務を効率的に行うために有効なツールと言えるでしょう。
一般的に「営業支援ツール(SFA)」には次のような機能がついています。
・TODO管理機能
・スケジュール管理機能
・日報作成・管理機能
・案件管理機能
・商談管理機能
■SFAの選び方
「SFA」を選ぶ際に考慮すべき重要なポイントは、「CRM」と同様に次の4つです。
・目的に合った機能を有しているか
・初期コストやランニングコストが適切か
・サポート体制がしっかりしているか
・機能の拡張性や連携性があるか
代表的な「SFA」の特徴は次表の通りです。
| 名称 | 特徴 |
| Sales Force Assistant(NIコンサルティング) | 低コストながら営業戦略や営業行動などを可視化する機能が揃っていることが特徴。無料トライアルが可能です。 |
| Oracle Sales Cloud(米Oracle) | 一般的な機能のほか顧客のスコアリング機能や人員配置などの機能が充実。顧客の属性や購買動機などのさまざまなデータを取得できるBtoCなどの業態の企業向け。 |
| JUST.SFA(ジャストシステム) | ノーコードで自社向けのSFAにカスタマイズできることが特徴。パッケージ型で対応できない特異な営業スタイルの企業向けで、自社でカスタマイズができれば自由自在に運用することが可能となります。 |
マーケティング・オートメーション(MA)
「MA(Marketing Automation)」は、マーケティング活動を自動化・効率化するための方法論やその技術のことです。
具体的にはリードナーチャリングという営業プロセスに使われます。
顧客の育成状況に合わせたOne to Oneコミュニケーション活動を自動化するツールです。
「MA」を導入すると、見込み顧客一人ひとりの興味や関心に合わせたコミュニケーションが可能となり、見込み顧客との良好な関係を築くことが可能になります。
一般的に「マーケティング・オートメーション(MA)」には、次のような機能がついています。
・見込み顧客の管理機能
・スコアリング機能
・キャンペーン管理機能
・メール配信機能
・申し込みフォームの作成機能
■MAの選び方
「MA」を選ぶ際に考慮すべき重要なポイントは、「CRM」と同様に次の4つです。
・目的に合った機能を有しているか
・初期コストやランニングコストが適切か
・サポート体制がしっかりしているか
・機能の拡張性や連携性があるか
代表的な「MA」の特徴は次表の通りです。
| 名称 | 特徴 |
| Marketo Engage(アドビ) | 世界39か国の5000社以上に導入されているマーケティングプラットフォーム。Webサイトトラッキング、スマートキャンペーン、イベントプログラム、ナーチャリングプログラムなどの機能が利用できます。 |
| SATORI(SATORI) | Webサイトの集客に注力したツールで、匿名顧客に対応できることが特徴。主に中小企業や小規模事業などの1500社以上に導入されています。提供機能は、実名・匿名顧客の一元管理、問い合わせフォーム作成、リターゲティング広告配信、定期的なメルマガ配信、ステップメール自動配信などです。 |
| HubSpot(HubSpot Japan) | インバウンドマーケティングに強いことが特徴。複数のツールを組み合わせて効果を高めることができるマーケティングプラットフォームです。ホームページ作成、ブログ作成、メール配信、各種フォーム作成などの機能が提供されます。 |
営業促進ツール
営業促進ツールとは、顧客とのコミュニケーション、特に対面での面談や商談などの際に効果を発揮し、商談時の成約率を高める効果があります。
具体的には、名刺やチラシ、営業資料、会社案内・パンフレット、書籍などです。
■営業促進ツールの選び方
営業促進ツールは、顧客ごとに相手に合わせてセレクトすることが大切です。
たとえば、初回の商談の際には「いかに印象付けることができるか」や「信頼感を持ってもらえるか」が重要となります。
自社で作成した会社案内パンフレットや、出版した書籍などを持参すると、相手が会社に戻った後にじっくりと目を通して、自社に対する理解を深めてくれる効果が期待できます。
▶営業成約率を上げる方法については、関連記事【高単価商品やサービスの営業成約率を上げる方法】もあわせて参考にしてください。
商談で使う営業促進ツールは成約率を高める上で特に重要!
「CRM」や「SFA」「MA」などの営業ツールを導入して、顧客管理や顧客へのアプローチがうまくいったとしても、肝心の商談で成約できなければ意味がありません。
「CRM」や「SFA」「MA」は、営業活動における属人化を解消したり効率化したりする営業支援ツールに過ぎませんので、実際に商談になったときには成約率を高めるための営業促進ツールが重要となるのです。
代表的な営業促進ツールとしては、名刺、チラシ、営業資料、会社案内・パンフレット、書籍があります。
それぞれどのようなツールで、どのように活用できるのか、をくわしく見ていきましょう。
名刺
名刺はビジネスシーンにおいて重要な役割を持つ営業ツールです。
初対面のビジネス上の相手と、それぞれの所属や氏名などの基本情報を紹介し合うという意味合いがあり、あいさつや自己紹介の際に一般的に交換されています。
一方で、名刺には相手との会話のきっかけとして活用できる重要な役割もあります。
たとえば、名刺の裏面に出身地や趣味、特技などを記載しておいて、それをきっかけとして話がはずみ商談前のアイスブレークとすることもできます。
その他にも、自分の顔写真や似顔絵を入れたり、取扱商品を記載したり、会社のWebサイトのQRコードを入れたりなど、工夫次第でいろいろな活用が可能です。
チラシ
チラシは顧客に商品のおすすめポイントなどを簡単に説明して理解してもらうために最適な営業ツールです。
チラシはポスティングしたり、商談時に直接手渡しをするなどして配布します。
チラシを配布する主な目的は、「顧客に来店を促して商品やサービスを購入してもらうこと」「会社や商品の認知度を上げること」「キャンペーンなどのお得情報を告知すること」です。
また、チラシを作成する際に注意すべきポイントとしては、「5W1Hを明記する」「ターゲットに合わせて作成する」「会社や営業担当者の自己紹介を入れる」「画像などを入れてビジュアルにする」などが挙げられます。
営業資料
営業資料も営業活動に欠かせないツールの一つで、商談や面談の際に自社製品やサービスを効果的にアピールすることができます。
営業資料を作成する際は、顧客担当者に説明するためだけではなく、顧客担当者が決裁者に説明する際にも使用されることを考慮して、誰が見ても分かりやすい内容にすることが大切です。
また、プロジェクターでの説明資料は大きな文字で見やすく作成した方が良いですが、配布資料の場合は後日じっくりと読み返してもらうことも想定して、十分な情報量を盛り込んだ資料とした方が良いでしょう。
会社案内・パンフレット
会社案内やパンフレットも強力な営業ツールです。
会社案内やパンフレットには、自社の基本情報や事業内容・業績などのほか、取り扱っている商品やサービスが記載されています。
営業成約率を高めるポイントは、単に情報を羅列するだけではなく、商品やサービスの特徴、メリット、ベネフィットを分かりやすく説明し、自社の優位性が顧客に伝わるものにすることです。
これによって、顧客の興味を喚起し購買意欲を高めて成約につなげることができます。
会社案内やパンフレットがあれば、経験豊富な営業担当者はもちろんのこと経験が浅い営業担当者でも一定レベル以上のプレゼンテーションを行うことが可能となります。
書籍
書籍を営業販促活動に活用するという方法もあります。
具体的には、顧客との面談や商談の際に、自社の事業や商品・サービスなどについてまとめた自社出版の書籍を手渡して購買意欲の向上を図る、というものです。
チラシや営業資料などに比べて、書籍には圧倒的に多くの情報量を盛り込めるので、商品やサービスの紹介だけではなく、企業の成り立ちや企業理念、保有技術などを顧客に伝えることができます。
また、書籍は社会的信頼性が高いことも特徴です。
自社で出版した書籍を販売促進ツールとして利用することによって、顧客からの信頼を得て成約につながる可能性が高まります。
実際に書籍を販売促進ツールとして活用して成約率の向上に成功した事例について見ていきましょう。
▶書籍を販売促進ツールとして活用する方法については、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。
■保険代理店での書籍活用事例
ある保険代理店の経営者は従来から、一部のスーパー営業マンに頼った経営ではなく、アベレージヒッターを育てて全員で支えていく経営によって業績が拡大できるという考えを持っていました。
この考えを世に問うために書籍を出版したところ、これをきっかけとして保険契約数が飛躍的に伸び、書籍を読んだという決裁者から問い合わせがあり、新規契約を獲得することにも成功しました。
書籍を手にとって読んでもらったおかげで、すでに相手側が自分自身のことや自社のことをあらかた理解した状態で商談を始めることができ、成約率も向上。
書籍という信頼性のある媒体を使ったために、多くの業界関係者からの理解と共感が得られて、業績拡大につながった事例です。
■不動産会社での書籍活用事例
ある不動産会社の経営者は、高収入で高額納税者である医師に不動産投資サービスを勧誘するために、従来からSNSやウェブ広告などを使った情報発信を行っていました。
しかし、思うように見込み顧客が獲得できないため、「高収入な医師に最適な節税対策は不動産投資である」という内容の書籍を出版。
その結果、その書籍を読んだ決裁者からの問い合わせが増えて、見込み顧客との信頼関係の構築や節税対策としての不動産投資の有効性を理解してもらうことができました。
元々、商品が高単価だったために、顧客にその必要性や重要性を理解してもらうために多くの時間を費やす必要があったそうです。
しかし、書籍があることで、顧客教育や信頼関係構築がある程度できた段階で商談を始めることができ、成約率が向上したのはもちろん、口コミによって評判が広がって新規の顧客を獲得することができました。
■建設業専門コンサルティング会社での書籍活用事例
建設業専門のコンサルティング会社の経営者は、自社の事業が世間に認知されていないことから、これを改善するために書籍を出版しました。
書籍のタイトルに「建設業のための」という文言を入れて、ターゲットに届くような工夫をしたところ、書籍を読んだ建設業の決裁者から問い合わせがあり、10件近くの新規顧問契約を獲得。
書籍の出版によって、建設業専門のコンサルティング会社としての地位が確立し、業界内での認知度も向上しました。
このように、事業の認知度がそこまで高くない業種でも、書籍を事前に読んでもらうことができれば、ある程度理解した上で問い合わせや商談が行えるようになり、成約率向上につながります。
【まとめ】4つのツールをフル活用して成約率の向上を実現しよう!
本記事では、成約率を高めるために必要な4種類の営業ツールについて解説しました。
どのツールも、営業成約率を高めるためには有効なツールです。
CRMとSFAで営業プロセスの効率化や営業精度の向上を、MAツールで最適なタイミングでオファーを、そして営業促進ツールで成約しやすい商談の実現を、といった具合に組み合わせて有効活用していきましょう。
4つ一気に活用することが難しければ、営業促進ツールからの活用がおすすめです。
特に、近年改めて注目を集めている「書籍」「会社案内・パンフレット」を営業促進ツールとして活用する方法は、顧客との信頼関係構築や顧客教育が必要になる高単価商品やBtoB商品などの成約率向上に特に有効です。
これらの商品を取り扱っているのであれば、ぜひ営業促進ツールとして書籍や会社案内・パンフレットを取り入れることを検討してみてはいかがでしょうか。
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「営業の成約率を上げる」という課題や目標は、どの企業も共通して持っているものです。
なぜなら、営業成約率が高ければ高いほど、少ない人件費で多くの成約を獲得できるためです。
しかし、なかなか営業の成約率が上がらずに、どうすれば良いか悩んでいる営業担当者や経営者も少なくないのではないでしょうか。
特に、商品やサービスが高単価になればなるほど、成約率を上げることが難しくなります。
そこで、この記事では、営業成約率を上げる方法について、基礎的な考え方から詳しく解説していきます。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
営業成約率とは?計算方法は?
営業成約率とは、営業活動において実際に成約した割合を示す指標です。
具体的には、「商談を行った案件数」に対する「実際に成約できた案件数」の割合のことで、次の式で算出されます。
| 営業成約率(%)=「実際に成約できた案件数」/「商談を行った案件数」×100 |
たとえば、今月10件の商談を行い、そのうち3件成約できた場合は、営業成約率は30%です。
営業成約率の数字から、自社の営業部門の効率を知ることができます。
もし、営業成約率が低下傾向にあることが分かれば、営業部門に何らかの問題があることが想定され、何らかの改善アクションを起こす必要があるということです。
販売単価が高い商品・サービスほど、営業成約率が低い理由
一般的に、営業成約率の平均値は30%~50%程度と言われています。
ただし、業界、商品やサービスの種類、営業方法などによって営業の難易度が変わるので、当然ながら営業成約率も変わってきます。
営業成約率が30%〜50%に満たない業種もたくさんあるので、この数値を下回っているから改善が必要ということではありません。
たとえば、HubSpotを提供するGetAcceptが2023年11月28日に発表した「20 sales closing statistics you need to know in 2024」によると、業界別の営業成約率の平均値は次のような結果となっています。
- ・工業:27%
- ・電子機器:23%
- ・ソフトウェア:22%
- ・金融:19%
また、商品の販売単価が高い住宅業界の営業成約率の平均値は10%前後であり一般的な平均値を下回っています。
つまり、販売単価が高い商品やサービスほど営業成約率が下がっていく傾向があるのです。
高単価商品・サービスの営業成約率が低いのは、主に次のような理由からです。
高単価である理由や付加価値に納得してもらう必要があるため
商品やサービスが高単価であればあるほど、顧客にとっては失敗した時のリスクが大きくなります。
たとえば、1,000円程度の商品やサービスであれば、失敗しても損害額は小さいので「試しに買ってみよう」という気になりますが、100万円を超えるような商品やサービスの場合は損害額が大きくなりますので「もし失敗したらどうしよう」と考えて慎重に判断するようになります。
つまり、商品やサービスが高単価であればあるほど、高単価である理由や、その商品やサービスの付加価値について十分理解して納得してもらえないと購入に踏み切ってもらえないので、必然的に営業成約率も低くなります。
顧客との深い信頼関係構築が必要なため
たとえば、突然訪ねてきた営業マンから100万円の商品をすすめられたら買おうと思うでしょうか。
たとえ今の自分に必要な商品・サービスであったとしても、その営業マンとの関係性がないため、断ってしまう人が大多数でしょう。
一方で、数年以上の付き合いがあり、大きな信頼を寄せている営業マンから100万円の商品をすすめられた場合はどうでしょうか。
「話を聞いてみて考える」という対応に変わる人も出てくるでしょう。
このように、その商品やサービスがどんなに良いものであったとしても、人は高単価でリスクの高い商品やサービスを購入する際には、営業マンとの信頼関係を大切にする傾向があるのです。
つまり、高単価商品やサービスを販売するためには、顧客との信頼関係を構築する必要があるということになります。
見込み顧客との信頼関係は1日や2日でできるようなものではありません。
何度も通って挨拶をしたり、ちょっとしたお困りごとを手助けしたり、小さな信頼を積み重ねてようやく醸成するものです。
そのため、高単価の商品は成約までのリードタイムが長くなりやすく、その分営業成約率も低くなりやすいのです。
必要性に気づいてもらうために顧客教育が必要なため
高単価商品やサービスの場合、「なぜそれが自分にとって必要なのか」を顧客に理解してもらう必要があります。
なぜなら、高単価商品やサービスの多くは、その顧客にとって生きていくために最低限必要なものではないことが多いからです。
たとえば、高単価商品やサービスであるマイホームや車、不動産投資、積立保険、各種講座などは、別に今購入しなくても十分生きていけるものです。
よく「人は予防のためにはお金を使わない」と言われますが、高単価商品やサービスの多くは「今の生活をより豊かなものにするもの」や「将来起きうることを予防するもの」であることが多いため、必要性をしっかりと説いていく顧客教育が必要となるのです。
顧客教育についても、信頼関係の構築と同様にある程度時間がかかります。
結果として、営業成約率も低くなってしまうのです。
成約までのリードタイムが長い傾向があるため
高単価商品やサービスは、前述した通り、顧客との間に信頼関係を構築することが重要だったり、顧客教育によって必要性や価値に納得してもらう必要があったりするため、成約までの期間が長くなる傾向があります。
成約までの期間が長くなると、その間に他の業者に注文を取られてしまったり、急に顧客の気が変わってしまって失注してしまったりすることがあります。
このように、高単価商品やサービスはリードタイムが長い傾向があるため、成約率が低くなりやすいのです。
高単価商品やサービスを成約させるには仕組み構築が必要不可欠
高単価商品やサービスを成約してもらうためには、顧客との間に信頼関係を構築したり、価値に納得してもらったり、成約までの期間に気が変わらないようにするような工夫が必要になります。
そのためにも、初めてのアポイントから成約に至るまでの営業の仕組みを綿密に構築しておきましょう。
たとえば、「『無料登録で有料級のノウハウゲット!』『無料登録でポイントがもらえる!』などが書かれたサイトに登録したら、毎日のようにメルマガが送られてくるようになった」という経験をされたことはありませんか。
おそらく、何度か送られてくるメルマガにはノウハウやお役立ち情報と一緒に無料セミナーなどの告知が入っていたりするはずです。
無料セミナーに参加すると、終盤で無料の個別相談をすすめられる、という具合に、徐々に対応レベルが引き上げられていくような仕組みになっているはずです。
そして、無料の個別相談に参加すると大抵は商品やサービスの営業を受けることになります。
この流れも高単価商品やサービスの成約率を上げるために綿密に組み上げられた、営業の仕組みの一種なのです。
ただ顧客と商談をして商品やサービスをすすめるだけではなく、こういった営業の仕組みを作り上げて、丁寧に顧客を教育し、引き上げていかないと、なかなか高単価商品やサービスの営業成約率は上がっていきません。
高単価商品やサービスの成約率を上げる方法
前述した営業の仕組み構築はあくまで一例です。
高単価商品やサービスの営業成約率を上げるためには、販売する商品やサービスの種類によってさまざまな工夫が必要になってきます。
ここからは、高単価商品やサービスの営業成約率を上げる方法を、いくつかご紹介します。
フロントエンド商品を作り、高単価商品やサービス購入までの導線を作り込む
「フロントエンド商品」とは集客のために単価を安く設定した商品のことです。
一方で、顧客に最終的にすすめたい高単価の本命商品のことを「バックエンド商品」と言います。
3,000円程度のセミナーに参加したら、終盤で高額の講座のオファーがあった、なんて経験をされた方は多いのではないでしょうか。
この場合、3,000円程度のセミナーがフロントエンド商品で、高額の講座がバックエンド商品になります。
高単価商品やサービスのフロントエンド商品としては、サンプル提供、無料お試し、無料セミナー、無料相談などが一般的です。
フロントエンド商品を考える上で重要なのが、「バックエンド商品」の必要性や重要性をいかに伝えられるものであるか、という観点です。
たとえば、バックエンド商品が「投資用不動産の購入」であれば、不動産投資の必要性や重要性を伝えられるようなセミナーなどが適切です。
「今からでも遅くない!資産構築セミナー」や「初心者でも大丈夫!不動産投資セミナー」といった具合です。
費用は必ずしも無料にする必要はありません。
商品やサービスのターゲットが手を出しやすい価格帯にすることが大切であり、それが無料なのであれば無料に、無料セミナーなどが怪しまれそうな場合は3,000円などに設定していきます。
このように、顧客に「フロントエンド商品」を提供してから高単価商品やサービスを購入してもらうまでのシナリオやロードマップを丁寧に作り込むことによって、営業成約率の向上が期待できます。
顧客の相場感をコントロールする
高単価商品やサービスの営業成約率を上げる方法として、顧客の相場感をコントロールする方法があります。
たとえば、前述した「フロントエンド商品」として無料セミナーを開催した場合であれば、セミナーの中で「このサービスだと一般的には60万円~70万円程度で提供されています」と説明します。
顧客側に「このサービスは一般的には60万円〜70万円程度なんだ」と相場感をインプットしてしまうテクニックです。
その後、無料相談に引き上げた際に、「60万円~70万円」よりも少し安い価格を提示すると、顧客は「相場よりも安い」と感じて、スムーズに購入してもらえるようになります。
このように、顧客の相場感をコントロールする、という方法もちょっとしたテクニックではありますが、高単価商品・サービスの営業成約率の向上に有効な方法です。
ただ、相場を事前に伝えるだけではなく、以下のような2つの方法を意識するとより効果的にコントロールすることが可能です。
①比較対象を工夫する
相場感のコントロール手法の一つに「比較対象を工夫する」方法があります。
たとえば、税理士がクライアントに「税理士の顧問契約」というサービスを営業した場合、クライアントの頭の中に「税理士の顧問契約の相場感」がセットされてしまいます。
顧問税理士の相場感は月額1万円〜5万円程度ですから、その後はその相場感で契約金額を判断されてしまう訳です。
しかし、サービス名を「顧問契約」から「社外財務責任者(社外CFO)として雇う権利」という表現に変えると、顧客は後者の相場感で考えるようになります。
すると、「社外財務責任者(社外CFO)を1人雇うとしたら数十万円程度かな?」と、顧問契約とは別の相場感で顧客は金額を判断するようになるのです。
結果として税理士の相場感よりも高い金額で契約を取ることが可能です。
このように、商品やサービスの価格は、何と比較するかによって顧客の相場感が変わってしまうので、「比較対象を工夫する」ことが重要になります。
②アンカリングする
相場観をコントロールするもう1つの手法として「アンカリング」も覚えておきましょう。
「アンカリング」とは、ユーザーとの接点において、自分の商品やサービスがどの程度の価格なのかを、それとなくお客様の脳内にインプットしておく方法です。
たとえば、無料セミナーや面談などの際に、「このサービスは一般的に100万円以上しますよ」などと説明しておくことによって、顧客に無意識に価格をイメージさせます。
その上で、自身の商品やサービスの価格を提示するわけですが、この時点で顧客は100万円程度の価格に対する抵抗感が比較的少ない状態になっているため、結果的に営業成約率が高くなります。
小さな信頼を積み上げ、まずは人を信頼してもらう
最初に高単価ではなく低単価な商品を購入してもらうことにより、顧客と段階を踏んで信頼関係を作っていく方法です。
前述の「フロントエンド商品」のように、無料や低単価なもので信頼してもらい、後にアップセルで高単価商品を販売した方が営業成約率が高くなりやすい傾向があります。
たとえば、ある自動車メーカー正規ディーラーのトップセールスマンが飛び込み営業でまずやることは、「話を聞く」ことだそうです。
色々と話を聞いているうちに、出てくる地域のお困りごとを解決していくことで顧客との信頼関係を構築していきます。
その結果として、「あなたがそんなにすすめるなら」と高額な車を買ってくれる人が増えていったのだそうです。
このように、高単価商品・サービスの場合はコツコツと顧客との信頼関係を構築していくことが営業成約率の向上に直結していきます。
セミナーや講座を実施し、顧客教育を行う
高単価商品やサービスの多くは、生活するのに必要不可欠ではないものが多いため、その必要性や価値、将来性などについてしっかり顧客教育する必要があります。
たとえば、高単価商品やサービスを購入する可能性の高い見込み顧客が興味を持ちそうなテーマでセミナーを開催する、などです。
セミナーなどで顧客教育を行い、その後無料の個別相談などに勧誘することによって営業成約率を高くすることができます。
書籍を活用し、事前に信頼関係構築や顧客教育を行ってから商談を実施する
書店には、さまざまな悩みを持った人が本に解決策を求めて集まってきます。
そして、自分の悩みの解決につながると思われるジャンルの書棚を見て、めぼしい本を手に取って購入します。
このときに、販売したい高単価商品やサービスに関する本を手に取ってもらい、興味や関心を抱かせることができれば購入してしっかりと読んでもらえるはずです。
その結果、著者やその企業、商品・サービスに対する信頼感が醸成されて顧客教育を一気に行うことが可能となります。
つまり、書籍を出版し、本を見込み顧客にしっかりと届けることができれば、高単価商品やサービスの成約率向上につながりやすくなるということです。
後述しますが、実際に書籍を出版して活用することにより、顧客との間の信頼関係の構築に成功し、高単価商品やサービスの販売につなげている企業も多くあります。
「デジタルの時代に書籍なんて」と思うかもしれませんが、デジタルではなかなか販売ができないハードルの高い高単価商品・サービスだからこそ、こういったアナログな施策が有効だったりするのです。
▶書籍を企業の営業活動に活用する具体的な方法については、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。
企業が書籍を出版する方法
企業が書籍を出版できる方法は次の3つです。
| 出版方法 | 特徴 |
| 商業出版 | ・出版社が自社の利益をあげるために企画し出版する方法・著者選定や内容の企画は出版社が行うため、企業側が出したい書籍内容にはできない・出版プロモーション費用は出版社が負担・著者には印税収入がある |
| 自費出版 | ・出版費用は著者持ちだが、出したい内容の書籍を誰でも出版することができる・出版後の流通やプロモーション費用はすべて著者負担 |
| 企業出版(ブックマーケティング) | ・企業がブランディングやマーケティングなど、自社の課題解決のために出版する・出版費用やプロモーション費用がかかるがブランディングやマーケティングへの活用を見据えた書籍内容の企画を行う・書店流通やプロモーションのサポートもしっかりと行なってもらえるため、ターゲットに書籍が届きやすい |
商業出版は企業の一存で出版できる訳ではないため、自費出版か企業出版のどちらかで出版を検討することになります。
▶商業出版については、関連記事【商業出版とは?企業がブランディングを考えたときの出版の選択肢】もあわせて参考にしてください。
自費出版は自社の書きたい内容がかけるのがメリットですが、どうしても出版して終わりになりやすく、流通やプロモーションなどが課題です。
「出版したはいいが、全く出版効果を感じられなかった」という事例の多くはこの自費出版によるものです。
▶自費出版については、関連記事【自費出版とは?メリットやデメリット、費用相場、成功事例などを解説】もあわせて参考にしてください。
一方で、企業出版(ブックマーケティング)の場合は、出版後のマーケティングやブランディングへの活用方法も見据えた戦略・企画を立てていくため、出版して終わりではありません。
出版後にターゲットに書籍を届けることを目的としているので、費用はかかりますが、書店流通やプロモーションなどが実施でき、問い合わせの獲得や売上向上など、企業の抱える課題解決につながります。
高単価商品やサービスの成約率向上には書籍の活用がおすすめ!
高単価商品やサービスの成約率を上げる方法として、今注目されているのが書籍の活用です。
「なぜ書籍なのか?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、書籍には他のメディアとは比較にならないほどの情報量をまとめて読者に伝えることができるという優れた特徴があります。
Web広告やSNSなどのように「読まれない」ことが当たり前のメディアでは、商品やサービスの必要性を伝えにくいため、なかなか成約がでにくいのが実情です。
その点、書籍であれば、ネットのように不特定多数の方にアプローチできなくとも、ターゲットとなる人の手に渡りさえすれば、深く読んで理解してもらうことができます。
書籍を読むことによって、高単価商品やサービスを購入することによってどのようなメリットが得られるのか、どのようなベネフィットが享受できるのかなどについてくわしく知ることができるのです。
デジタルでは成約しにくい商品・サービスだからこそ、書籍のような「読まれる媒体」が有効だと言えるのです。
しかし、実際に書籍を出した人の中には「本を出したけど、営業成約率の向上につながらなかった」という方もいらっしゃるでしょう。
これは、ただ本を出すだけで終わってしまっているからです。
たとえば、創業経営者などが名刺代わりに配るために自費出版した本などがこれに当たります。
書籍の出版を営業成約率の向上につなげるためには、出版後の流通経路やマーケティングへの活用方法などについて企画段階から綿密に計画し、商品やサービスを購入してもらいたい見込み顧客に、実際に本を手にとって読んでもらうことが重要となります。
営業成約率の向上をしたいのであれば、マーケティングの一環として書籍を活用すべきです。
実際に書籍を活用したブックマーケティングにより、高単価商品やサービスの成約率向上につなげたという事例がいくつもあります。
【1】保険代理店の事例
法人保険を取り扱っている保険代理店の経営者は、「一部のスーパー営業マンに頼った経営から、平均的な成約を取れる営業マンを増やすことによって業績向上が目指せる。そのためには保険業界に定着している『成果報酬型』の給与体系を『一律報酬型』に変える必要があるという持論を持っていました。
そして、保険業界の実態と、この考えをまとめた書籍を出版したところ、顧客や同業者からの見られ方が大きく変わったことを実感し、大型契約などの高単価商品の成約率の向上につながったのだそうです。
書籍を出版したことによって自社の信頼性が高まり、商談の際も顧客企業の経営にまで踏み込んだ相談を受けることが増えて、それに応えることによって大口契約につながったのです。
また、社内でも、社員に対する経営者の接し方が、外的な圧力で働きかけるマネジメントから、従業員の内的な動きを促すマネジメントに変化し、人材の定着率も向上したと言います。
【2】不動産会社の事例
高収入な医師をターゲットとして、不動産投資サービスを行っている不動産会社の経営者は、顧客獲得のためにSNSやWebを活用した情報発信を行っていましたが、大きな手ごたえが得られていませんでした。
そこで、「医師の節税対策には不動産投資が一番効果的だ」という内容の書籍を出版。
ターゲットである医師に確実に届けるために、企画段階から出版社の販路やプロモーションなどについても入念に計画を立てていたため、出版後に書籍を読んだ医師からの問い合わせや商談が急増しました。
取り扱っている商材は高単価の不動産なのですが、「節税対策に効果がある」ということ認知されて成約率も飛躍的に向上したと言います。
【まとめ】書籍を活用し、高単価商品やサービスの成約率を上げよう!
本記事では、高単価商品やサービスの営業成約率を上げるための方法について紹介しました。
紹介した方法を活用し、高単価商品やサービスの営業成約率を地道にあげていきましょう。
また、書籍を活用する方法も、デジタルではなかなか成約しにくい高単価商品・サービスの成約率向上に効果的です。
「Web広告やSNSをやっているのに、なかなか成約率があがらない」という方などは、ぜひ書籍を活用したブックマーケティングを検討してみてはいかがでしょうか。
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企業経営者が書籍を出版する際には、出版社や編集者などのプロの手を借りることが必要です。
もしくは、出版社には属していない「出版プロデューサー」という職業の方にサポートしてもらうことも考えられます。
本記事では、「出版プロデューサー」の役割や選ぶ際の注意点などについて詳しく解説します。
目次【本記事の内容】

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。
出版プロデューサーとは何者か

「出版プロデューサー」という職業はあまり知られていませんが、映画業界やTV業界、音楽業界などで「プロデューサー」といえば、「作品を制作する人」や「作品の制作責任者」を指します。
「出版プロデューサー」も同じように、「出版物を制作する人」や「出版物の制作責任者」のことをいいます。
ただしここで気をつけなければならないのは、「出版プロデューサー」と紛らわしい名前の「出版コンサルタント」や「出版エージェント」などがいるということです。
名前が似ているというだけでその役割は違っているので、書籍を出版したいと考えている方は、それぞれの違いをよく分かったうえで、のちのちトラブルにならないように「出版プロデューサー」を選ばなければなりません。
以下では、「出版プロデューサー」について説明した後に「出版コンサルタント」や「出版エージェント」についても説明し、役割の違いを明確にします。
出版プロデューサーとは
「出版プロデューサー」とは、一言でいえば「本の出版に責任を持つ人」です。
具体的には、著者の発掘から出版企画書の作成、出版社への企画の提案、出版後の販促などまで、書籍の作成や出版に関わるすべてのプロセスにおいて著者をサポートします。
「出版プロデューサー」は出版社には所属しておらず、個人または法人に所属して活動しています。
多くのジャンルの出版に関わった幅広い経験や、多くの出版社や編集者とのネットワークをもっているため、適切な出版企画書の作成をして、最もふさわしい出版社にコンタクトして、著者と出版社との橋渡しをします。
以下では、より具体的に「出版プロデューサー」の役割について見ていきましょう。
「出版プロデューサー」の1つ目の役割は、著者を発掘することです。
「出版プロデューサー」は、世の中に価値を提供できる、かつ売れる見込みのある本をプロデュースする仕事ですので、企業経営者や普通のサラリーマン、主婦の中から「他人に届ける価値」を持った著者を探し出します。
その人たちの中に潜んでいる「他人に届ける価値」を適切に引き出せる出版プロデューサーが、腕の良い「出版プロデューサー」ということになります。
「出版プロデューサー」の2つ目の役割は、出版企画書の作成、またはアドバイスを行うことです。
多くの著者は出版に関しては素人なので、ほとんどの場合「出版プロデューサー」が出版企画書を作成した方が短期間で質の良いものが出来上がります。
出版企画書を作成するにあたっては、著者からヒアリングして著者が持っている「他人に届ける価値」や「他の人にはない著者だけの強み」を引き出していきます。
高いヒアリング能力を持つ「出版プロデューサー」が、多くのベストセラーを出すことができるのです。
「出版プロデューサー」の3つ目の役割は、出版社へ企画を売り込んで採用してもらうことです。
日本には、大手・中堅・小規模の出版社や専門出版社、その他の組織の出版局などを合わせると約4,500社の出版社があります。
ここでは「出版プロデューサー」の出版社や編集者とのネットワークが問われます。
著者の専門分野に近い出版社とネットワークを持っていなければ、企画書の売り込みはできませんし採用してもらうこともできません。
「出版プロデューサー」の4つ目の役割は、書籍のプロモーションです。
出版企画書が出版社に採用されると、必要な制作プロセスを経て書籍が完成しますが、出版不況とも言われる現代では、販促やプロモーションを行わなければ簡単に本は売れません。
実際の販促活動は出版社が主導して行うので、「出版プロデューサー」は出版社に最適な販促活動をするように働きかけることになります。
出版コンサルタントとは
「出版コンサルタント」とは、出版企画書へのアドバイスを主な業務とする人のことです。
コンサルタント(Consultant)は、もともと「一緒に座って議論する」という意味を持ったラテン語を語源とする言葉です。
基本的に「コンサルタント」の仕事はアドバイスだけですので、出版に関わる実務は行いません。
そのため、「出版コンサルタント」は、どうすれば採用される出版企画書を書けるのかというアドバイスをして相談料をもらうだけで、「出版プロデューサー」のように出版企画書を作成したり、企画を出版社に持ち込んだりという仕事までは行いません。
「出版コンサルタント」に依頼する場合は、出版に関しては素人である著者が、自分自身で出版企画書を作らなければなりません。
さらに、でき上がった出版企画書を出版社に持ち込むのも著者がやらなければなりませんので、出版社や編集者とのネットワークがない素人には、出版社を探すことさえ難しいことになります。
ただし、良心的な「出版コンサルタント」の場合は、著者が作成した出版企画書を添削してくれたり、企画が採用される可能性の高い出版社を紹介してくれたりします。
出版エージェントとは
「出版エージェント」とは、著者の代理人として出版社や編集者と様々な交渉をする人のことです。
エージェント(Agent)とは「代理人」のことを指す英語で、本人から委任された代理権限の範囲内で、本人に代わって取引や契約などを行います。
特に海外では「出版エージェント」は出版に欠かせない存在です。
たとえばアメリカでは、著者が出版社に出版企画書を持ち込むケースはほとんどなく、すべて「出版エージェント」を介して行われます。
「出版エージェント」は著者の代理人として、著者が有利になるように交渉や契約をすることが役割ですので、出版コンサルティングなどを行うことはありません。
出版プロデューサーに依頼するメリットとは

企業経営者が書籍を出版する際に「出版プロデューサー」に依頼することによって得られるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
代表的なメリットは、次の4つです。
専門知識やノウハウをもとにアドバイスをしてくれる
企業経営者としては、どうせ書籍を出版するのなら「売れる本」を作って、「自社のPRやブランディング」に寄与できるものにしたいと思うはずです。
しかしながら、年間約7万タイトルもの書籍が出版されているわけなので、無名の企業経営者がヒット作を作るのは容易なことではありません。
その点、「出版プロデューサー」に依頼すれば、近年のヒット作のトレンドを把握した出版のプロからアドバイスを受けることができます。
書籍のテーマに応じた専門知識やノウハウを駆使して、構成やタイトル、デザインなどあらゆるプロセスにおいて「売れる本」を目指してブラッシュアップしてくれます。
企業経営者が持っている、独自の経験やノウハウ、伝えたい思いを引き出して言語化して「売れる本」に仕上げるサポートをしてくれるのが「出版プロデューサー」です。
プロジェクト進行のサポートにより時間と労力を短縮できる
企業経営者が出版をするためには、出版企画書を作成して出版社に持ち込み採用されなければなりません。
運良く企画が通ったとしても、原稿の執筆はもちろんですが、編集や校正、デザインなどの多くのプロセスで多くの作業をしなければなりません。
そして最大の問題点は、一般の企業経営者は出版そのものに精通していないということで、慣れない作業に大変な時間と労力がかかってしまいます。
しかし、「出版プロデューサー」に依頼すれば、ほとんどの作業をサポートしてくれるので、時間と労力を短縮できることになります。
販売戦略やマーケティング支援も受けられる
「出版プロデューサー」は、出版企画書の作成から出版社への提案、そして実際の出版までをサポートしてくれますが、さらに出版後の販促まで関わってくれます。
個人の「出版プロデューサー」の場合は、販促活動のアドバイスにとどまる可能性がありますが、たとえば株式会社フォーウェイのような自社グループに出版社を持つ「出版プロデューサー」であれば販売戦略やマーケティング支援までトータルでサポートすることが可能です。
商業出版により費用対効果の高い出版が可能となる
「出版プロデューサー」は、企業経営者の商業出版をサポートするのが仕事です。
商業出版は出版社がベストセラー目的で利益を上げるために行うものなので、出版費用は出版社が負担します。
そのため商業出版で本を出すことができれば、費用をかけることなく「自社のPRやブランディング」ができるので、費用対効果の高い出版が可能になります。
商業出版と自費出版の違い

出版方法を費用負担や書店に並ぶかどうかという観点から商業出版と自費出版に分けることができます。
以下では、それぞれの違いについて解説します。
商業出版とは
商業出版とは、出版社が利益を出すことを目的とする出版方法で、出版社が全額費用負担をします。
より多くの書籍が売れて出版社が利益を上げることができるように、積極的にプロモーションを行うのが特徴です。
実際に、ベストセラーとなっている書籍のほとんどは商業出版によるものです。
しかしながら、商業出版の場合は、著者が伝えたいことよりも出版社の意向が優先されるので、著者が言いたいことが書けなかったり、出版社によって修正されたりすることがあります。
企業経営者が書きたいことがすべて書けるわけではないということが、商業出版における唯一のデメリットということができるでしょう。
自費出版とは
自費出版とは個人出版ともいうように、筆者が個人的に書籍を出版することを目的とした出版方法で、出版費用は全額著者の負担です。
自費出版のメリットは、出版社が企画に介入しないため本の内容の自由度が高いことで、著者は自由に書籍の内容を決めることができます。
基本的に自費出版は書店で販売されることはありませんが、出版社の販路を利用して書店で販売することも可能です。
つまり、企業経営者が本を出す場合、自費出版で制作して書店に流通させるような方法も考えられるということです。
出版プロデューサーを選ぶ際に注意すべきポイント

ここでは「出版プロデューサー」を選ぶ際に注意すべき4つのポイントについて説明します。
なお、著者から費用ばかりを巻き上げる悪質な詐欺まがいの「出版プロデューサー」や「出版コンサルタント」も存在するので、くれぐれもそのような人を選ばないように十分注意しましょう。
経験とスキルを持つプロデューサーを選ぶ
「出版プロデューサー」に限ったことではありませんが、多くの経験を積んで確かなスキルを持った人を選ぶ必要があります。
具体的には、出版点数や代表作、著者、得意ジャンルなどの実績を確認します。
書籍には多くの分野があるので、出版したい本のテーマの分野に関する知識や知見が豊富で、その分野の出版社からの出版実績があることもきちんと確認するようにしましょう。
出版経路を明確に持つプロデューサーを選ぶ
「出版プロデューサー」には個人または法人所属の人がいますが、いずれの場合も確実に書籍の流通まで行える人を選ぶようにしましょう。
個人の「出版プロデューサー」の場合は、どこの出版社とコネクションがあるのか、複数の出版社の中から選ぶことができるのかなども重要です。
法人所属の「出版プロデューサー」の場合は、そのグループ内に出版社がある場合があるので、その点についても確認することをおすすめします。
編集者の所属やコネクションを確認する
法人所属の「出版プロデューサー」の場合、その法人の中に編集者がいるのかどうか、そしてその編集者の実績も確認しましょう。
個人の「出版プロデューサー」の場合は、どのような実績を持つ編集者とコネクションがあるのかを確認する必要があります。
契約内容や、職務範囲、報酬体系を明確にする
「出版プロデューサー」に依頼する場合は、きちんとした契約を結ぶことになります。
契約前に確認しなければならないのは、職務範囲、報酬体系、支払条件、印税の条件(印税率や、印刷部数と販売部数のどちらで印税が支払われるのか、など)などです。
ほとんどの出版社は持ち込みの企画や原稿を求めていない

ここまで、「出版プロデューサー」に依頼して商業出版する前提での説明をしてきましたが、一つ重要なことをお伝えしておく必要があります。
それは、出版社は「持ち込み企画の商業出版を歓迎していない」ということです。
現実に大半の出版社は原則として持ち込み企画や原稿を求めていません。
商業出版とは、出版社自身が本の企画、著者の選択・指名をして、本という商品を売って利益を稼ぐものだからです。
このように、そもそも商業出版の門戸は狭くハードルが高いということは認識しておく必要があります。
企業がPRやブランディングで検討する他の出版方法

では、企業が「自社のPRやブランディング」を目的として書籍を出版したい場合には、他にどのような選択肢があるのでしょうか。
企業出版(ブックマーケティング)という手段
企業が「自社のPRやブランディング」を目的として書籍を出版する場合におすすめしたいのは、企業出版(ブックマーケティング)という方法です。
企業が書籍を出す目的は「自社のPRやブランディング」です。
言い換えれば、いかに自社の存在を正しく認知してもらい、自社のファンになってもらえる人を増やすか、が企業が書籍を出す本来の目的です。
企業出版の場合は、出版社のプロモーションによって「いかに企業の顧客ターゲット層に書籍を届けるか」ということが目的になるので、企業の目的と合致します。
企業出版(ブックマーケティング)では、具体的に目的達成のための手段として書籍を活用し、SNSマーケティングやSEOコンテンツマーケティング、クラウドファンディングなどと組み合わせて、最終目的である「自社のPRやブランディング」を達成するためのマーケティング戦略を立てていくのです。
まとめ
本記事では、企業経営者が書籍を出版する際に依頼する「出版プロデューサー」の役割や選ぶ際に注意すべきポイントなどについて詳しく解説しました。
しかし、商業出版の門戸は狭くハードルが高いという現実があるので、「出版プロデューサー」に依頼したとしても、実際に書籍を出版するのは難しいことです。
書籍を利用して「自社のPRやブランディング」を実現したいという企業経営者の方には、企業出版(ブックマーケティング)をおすすめします。
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企業経営者であれば、自社のブランディング戦略の一環としてビジネス書の出版を選択肢に入れている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ビジネス書の出版は、その企業にさまざまな効果をもたらしてくれます。
本記事では、ビジネス書の出版方法やメリット・デメリット、具体的な成功事例などについてくわしく解説します。
目次【本記事の内容】

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。
ビジネス書の出版についての基本知識

最初に、ビジネス書を出版するに際して知っておくべき基本知識について説明します。
ビジネス書とは
ビジネス書とは、ビジネスに役立つ知識やノウハウ、経営・経済・自己啓発などをテーマにして書かれた書籍のことをいいます。
たとえば、経営に関するビジネス書には、経営の考え方やノウハウ、事例などが、マーケティングに関するビジネス書であれば、マーケティング理論や手法、事例などが紹介されています。
ビジネス書を購入する読者の多くは企業経営者や会社員などです。
自分自身のビジネスや仕事に活かせる知識やノウハウ、気付きなどを得ることを目的として購入されます。
また、ビジネスで成功した人の考え方や価値観、生き方、人生などを知ることによって、自分自身のスキルや教養の向上に役立てたいという目的で購入されることもあります。
ビジネス書のジャンルやテーマ
ビジネス書はいろいろなジャンルに分けることができ、大別すると「経営」「経済」「ビジネススキル」「自己啓発」などに分けられます。
さらに次のように業種やテーマによってより細かいジャンルに分かれています。
- ・会社経営
- ・経営学
- ・マーケティング
- ・組織
- ・リーダーシップ
- ・ビジネススキル
- ・自己啓発
- ・投資全般
- ・不動産投資
- ・株式投資
- ・資産形成、資産運用
- ・金融・保険
- ・経済
- ・相続対策
- ・節税対策
- ・人事・労務管理
- ・起業・開業
- ・営業
ビジネス書の出版方法について

ビジネス書の出版を視野に入れている方にとって、どのような出版方法があるのかは気になるところでしょう。
一般的な出版方法には「商業出版」「自費出版」「企業出版」の3つがありますが、ビジネス書の出版方法としては、向き不向きがあります。
以下では、それぞれについて詳しく説明します。
商業出版/出版社主導で認知度を上げる出版方法
「商業出版」は、出版社が主導して認知度が上がる出版方法で、出版社が利益を出すために行う出版方法です。
出版費用はすべて出版社が負担するので、書籍の企画なども出版社が行います。
また、その企画の書籍の著者を誰にするかを決めるのも出版社です。
つまり、著者が「商業出版したい」と思ってできるような出版方法ではないので、ハードルが高いと言えます。
著者に知名度があったり、SNSのフォロワー数が多かったり、ネット上でバズったコンテンツなどを持っていない限り現実的ではないと言えるでしょう。
自費出版/名刺代わりの書籍を制作する出版方法
「自費出版」は、企業経営者などが名刺代わりに顧客や取引先などに配るための書籍を制作する出版方法で、出版費用はすべて著者(企業経営者など)が負担します。
もともと書籍の形にすることが目的の出版方法なのですが、せっかくコストをかけるので、ただの名刺代わりにするだけではなく、長期的に見て投資対効果のある経営施策として検討すべきでしょう。
たとえば、書店に流通させて自社のブランディングや信頼性の向上、新たなビジネスチャンスの獲得のために活用できるようにした方が良いと考えられます。
企業出版/企業課題を解決する企業主導の出版方法
「企業出版」は、企業が抱えている経営課題を解決するための出版方法で、出版費用は全額企業負担です。
解決できる経営課題としては、「自社の商品やサービスの認知度を高めたい」「従業員に企業理念を浸透させたい」「採用活動のミスマッチを減らしたい」などです。
書籍には「信頼性が高い」「ストーリー性がある」「長期的に活用できる」という特徴があるので、企業が顧客や従業員に伝えたいメッセージをしっかりと形にすることができます。
費用負担については「自費出版」と同じく著者が負担しますが、「企業出版」では出版社の販路を利用して全国の書店などで販売することが可能です。
このように、「企業出版」は、企業が書きたいテーマのビジネス書を出版することができ、かつ読者からの反響なども期待できるプロモーションを前提とした出版方法です。
ビジネス書出版のメリット

ここでは、ビジネス書を出版することによってどのようなメリットが得られるのかについて説明します。
代表的なメリットは次の3つです。
メリット①:ブランディングの確立による信頼性の向上
書籍などの紙メディアに対する信頼性は非常に高いものがあるので、本を出版することによってブランディングが確立して信頼性や知名度が向上するという効果が期待できます。
本を出版するとその道の専門家と見られるようになるので、競合他社との差別化にも有効な施策となります。
営業マンが顧客を訪問したときに「本を出版した会社の方ですね」と言われて営業活動がやりやすくなったという実例もあるように、必ずしも大ヒット作にはならなくても興味を持って読んでくれている方がいるのもビジネス書出版のメリットです。
近年ではホームページやブログで、自社の商品やサービスの魅力や優位性をアピールする手法が注目されていますが、デジタルメディアよりはアナログな紙メディアの方が高い信頼性が得られます。
同じ消費をするのなら、信頼性の高い会社の商品やサービスを利用したいという消費者心理に応えることができるのもビジネス書出版のメリットということができます。
メリット②:受注確度の高い顧客を集客できる
ビジネス書は自分のお金を出して購入するものなので、購入した読者は自社の商品やサービスに興味や関心を持っている質の高い潜在顧客だと判断することができます。
また、ホームページやブログの記事、テレビCM、ネット広告と違って、顧客に伝えることができる情報量が圧倒的に多いため、書籍をじっくりと読んでもらうことによってさらに受注確度の高い顧客に変わっていくことが期待できます。
実際に多くの経営者がビジネス書を出版しているのは、受注確度の高い顧客を集客できるから、と言っても過言ではないでしょう。
メリット③:ビジネスの知見や経験を体系化できる
個人事業でない限り一つの企業には複数名が在籍していて、それぞれの人が事業経営のための役割を担っているはずです。
つまり、多くの知見や経験、ノウハウが各個人にバラバラに蓄積されていることになります。
ビジネス書を出版することをきっかけとして、社内の人材が分散して保有している知見や経験、ノウハウを集約して体系化して共有することが可能となります。
ビジネス書出版のデメリット

一方、ビジネス書を出版することによるデメリットもあり、代表的なものは次の2つです。
デメリット①:一定のコストがかかる
ビジネス書の出版方法でも説明したように、多くのビジネス書は「企業出版」によって出版されています。
つまり、経営課題を解決するための手段と考えられるので、ある程度のコストがかかるのは仕方がないのですが、ビジネス書の出版には少なくとも数百万円程度の費用がかかります。
実際に出版する際には投資対効果の検討も行うことになりますが、一定のコストがかかるという点はデメリットと言えるでしょう。
デメリット②:数値分析がしづらい
前項のメリットの中で紙メディアである書籍の信頼性が高いことを挙げましたが、逆に書籍という特性から数値分析がしづらいというデメリットがあります。
この点、ウェブ広告の場合は表示回数やクリック数などが容易に収集できるので、数値分析によって広告効果を把握することができます。
ビジネス書出版に関する市場動向とトレンド

ビジネス書の出版を検討中の方にとって、その市場動向やトレンドについては気になるところでしょう。
以下では、これらについて説明します。
書籍の刊行点数とビジネス書の市場動向
総務省による2022年の日本統計年鑑によれば、1年間に刊行される書籍は約7万点です。
この統計にはビジネス書という分類がないため正確な数値は分かりませんが、ビジネス書は「社会科学」「工学工業」「産業」「語学」のいずれかに分類されているので、この4つの分類の合計2万点に含まれると考えられます。
このことから、年間約1万点のビジネス書が刊行されているものと推測されます。
1年間に刊行される約7万点の書籍のうち約1万点がビジネス書であるということを考えると、ビジネス書の市場は非常に堅調であるということができるでしょう。
2024年度版:トレンドのビジネス書を紹介
ここでは、2024年にトレンドとなっているビジネス書11冊を一挙に紹介します。
◆営業の科学 セールスにはびこるムダな努力・根拠なき指導を一掃する
営業1万人・お客様1万人、合計1万人の調査による膨大な検証分析をもとに12年間・営業4万人を指導してきた著者が、「お客様の本音がわからない」という悩みで直面する各プロセスの「壁」を乗り越えるノウハウを一冊に凝縮しました。
「成果を出す営業のメカニズム」をデータとロジックで裏づけした渾身の一冊です。
◆The Intelligent Sales AIを活用した最速・最良でクリエイティブな営業プロセス
どんな業種、どんな相手先、どんなプロダクトにも適用できる「究極の営業手法」の全てを本書で大公開しています。
「企業分析」「リストアップ」「ターゲティング」「提案資料作成」「商談の相談役」など営業活動の全てを生成AIがサポートしてくれることによって劇的な業務効率化が可能になります。
◆経営中毒 社長はつらい、だから楽しい
大企業からベンチャーまで1000社以上の企業変革を支援してきたエッグフォワード代表徳谷智史氏が、組織マネジメントで起こるトラブル・苦難を赤裸々に告白した一冊です。
「裏切り」「資金枯渇」「孤独」これらが組織を強くする、全企業人必読の「経営指南書」です。
◆ビジネス会食 完全攻略マニュアル すべての食事会を成功に導く最強の実務メソッド
発売わずか1ヶ月で2.1万部を突破しました。
大手広告代理店出身、非体育会系、アルコールに弱い著者が最大28回/月の会食経験から編み出した会食・食事会を成功に導ける必勝メソッド、体系的ノウハウを全網羅しました。
◆ユニクロ
圧倒的な筆力で描き出す、迫真のノンフィクションの決定版です。
閑古鳥の鳴く商店街でくすぶっていた青年柳井正氏が「ユニクロ」を創業して一流経営者にのし上がるまでの知られざる暗黒時代、製造小売業への挑戦、東京進出、フリースブームの到来、集まる仲間たち、古参社員との別れ、苦戦する海外展開、ブラック企業批判、情報製造小売業への進化、柳井正とその夢に惹かれた同志たちの長き戦いをリアルに描き出した一冊です。
◆「やりたいこと」も「やるべきこと」も全部できる! 続ける思考
「これならできる」「続けることへの苦手意識がなくなる」「もはや継続が趣味になる」と反響続々。
三日坊主のための等身大の習慣本がついに完成しました。
継続の方法だけではなく「苦手意識のなくし方」「楽しみ方」「自分を変える力」も知ることができます。
「習慣の本」なのに、なぜかクスッと笑えて泣ける画期的な一冊、その読書体験をぜひお楽しみください。
◆「起業参謀」の戦略書 スタートアップを成功に導く「5つの眼」と23のフレームワーク
ベストセラー「起業の科学」「起業大全」の著者田所雅之氏の最新刊です。
発売5日で大重版3刷決定、Amazon3部門ベストセラー第1位を達成した話題の書です。
「起業参謀こそが日本のブレークスルーのカギを握る」と早稲田大学ビジネススクール教授入山章栄氏も推薦しています。
今の日本に不足しているのは起業家の右腕となり支える人材「起業参謀」だ。
「起業参謀」を養成する「スタートアップアドバイザーアカデミー」の講座内容を1冊に凝縮しました。
◆戦略ごっこ―マーケティング以前の問題
300以上の海外論文や実証研究に基づく「エビデンスベーストマーケティング」の決定版です。
「根拠のある事業成長」を目指すビジネスパーソン必読のファクト&エビデンスが凝縮された一冊です。
◆勘違いが人を動かす 教養としての行動経済学入門
わずか1ヶ月強で5万部を突破した話題の新刊です。
Amazon経済学分野で売れ筋ランキング1位、総合6位を獲得しました。
「人間の非合理性が実社会でどう利用されているかよくわかる」と東京大学大学院経済学研究科教阿部誠氏も絶賛しています。
あなたの日常に潜む「選択と行動」の科学について、興味深い事例と豊富な研究から学ぶ行動経済学の入門書です。
◆87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え 資産18億円を築いた「投資術」
発売即12万部突破し爆発的に売れている話題の書籍書です。
Amazonベストセラー第1位を達成。
シゲルさん投資歴68年を洗いざらいこの一冊に凝縮しました。
昭和・平成・令和の相場を見続けて、バブル崩壊、リーマンショックも乗り越えたカリスマ個人投資家の投資術を徹底「初」公開しました。
◆わが投資術 市場は誰に微笑むか
話題沸騰により連続重版を達成し、たちまち15万部を突破したベストセラーです。
個人資産800億円超。長者番付1位となった伝説のサラリーマン投資家清原達郎氏が、咽頭がんで声帯を失って引退を決めた今、自身の人生で得た株式投資のノウハウを明かす一冊です。
ビジネス書を出版するための具体的な流れ

以下では、ビジネス書を出版するための具体的な流れ(プロセス)について解説します。
プロセス①:書籍のテーマやターゲット読者を明確化
ビジネス書を書くに際して重要なのは、書籍のテーマとターゲット読者を決めることです。
まず、書籍のテーマについては、ビジネス書を出版する目的がブランディングや知名度・信頼性の向上にあるわけですから、自社の強みが読者に訴求できるものである必要があります。
SWOT分析などの手法を用いて自社が保有する技術やノウハウの掘り起こしを行い、自社の強みを把握した上で、テーマを決めるようにしましょう。
ここで、すでに多くの人が出版したことのあるテーマを選択すると、読者にとっては新鮮味がないために埋もれてしまう可能性もあるため、斬新さや独自性のあるテーマを発掘することが大切です。
ターゲットについては、テーマが決まれば自ずと決まってくるという考え方もできるのですが、このときに「多くの人に読んでほしい」と考えてターゲット設定を曖昧にすることだけは避けるべきです。
ターゲットが曖昧なままだと、執筆内容にブレが生じたり、適切なプロモーションが打てなくなるなどの問題を生じる可能性があります。
プロセス②:企画の作成と目次づくり
ビジネス書を出版するためには、ビジネス書を手掛けている出版社に企画書を持ち込んで受けてもらわなければなりません。
企画書の作り方には決まりはありませんが、書籍のタイトル案、ターゲット層、自分や自社のプロフィールなどは必須となります。
ここでもターゲット層は重要項目で、この本をたとえば1500円程度払ってでも購入してくれる読者はどんな人なのかを明確に示せなければなりません。
目次については、企画書を作成する段階で目次案が出来上がっていれば望ましいですが、出版社が決まったあとに、編集者と相談して決めていくことも可能です。
プロセス③:原稿執筆(自分で執筆orライターが執筆)
出版社が決まって、テーマやターゲット、目次が決まると、原稿を執筆することになります。
原稿は、著者自身が執筆する場合とライターが執筆する場合に分かれます。ただ、ビジネス書の出版目的は、経営課題の解決であって経営者の自己満足ではないことを考えると、ライターに依頼して読者にとって読みやすいビジネス書を目指した方が良いでしょう。
ライターに依頼する場合は、ライターの選定やライターによる著者や関係者へのインタビューを行います。
また、ライターが執筆した原稿を著者がチェックして加筆修正することもあります。
プロセス④:原稿のチェックや編集
原稿の執筆が終わると、使用する写真や図表、イラストなどの素材と一緒に編集者に提出するのが通常の流れです。
編集者は、読者に文章の意図がきちんと伝わるように、適切な言葉遣いを選んだり、情報を取捨選択したりします。
また、表現の重複や表記のゆれがないかなどのチェックも行い、必要な場合は修正します。
プロセス⑤:組版とカバーデザイン
原稿が完成すると、文字組みやデザインなどの組版をして誌面レイアウトを決めます。
組版と並行して表紙やカバーデザインなどを決めていくのが一般的です。
デザイナーからの提案によって、原稿の加筆や減筆、写真やイラストの見直しなどが発生することもあります。
プロセス⑥:再校や最終校正
組版とカバーデザインが終わった初校を紙に印刷したりPDFに出力して校正を行います。
校正は編集作業の中でも重要度の高いプロセスで、その目的は訂正すべき箇所がないかを探し出すことです。
誤字脱字がないか、表記ゆれがないか、イメージ通りのデザインになっているか、写真や図表、イラストは適切かなどについてチェックして修正します。
必要に応じて、校正(再校)と修正を繰り返し、問題がなければ校了です。
なお、記載内容の事実関係に誤りがないかをチェックする校閲も必要に応じて行っていきます。
プロセス⑦:印刷・製本
校了すると、出版社から印刷会社に書籍の印刷データが送られます(入稿)。
印刷会社から実際の書籍に近い紙やインクで印刷した色校正が提示されるので、インクのノリ具合や図表や写真の色味を確認して、必要な場合は調整を依頼。
色校正が終わると、契約部数の書籍が印刷・製本されて納品されます。
ビジネス書では並製本が多いので、最後にソフトカバーと帯をつければ、書籍の完成です。
プロセス⑧:書店営業や各種プロモーションの準備
書籍が完成すると、出版社から書店に対して新刊の案内をします。
やり方としては、書店に出向いてビジネス書の担当者に売り込んだり、FAXで新刊案内と注文書を送付したりが一般的です。
プロモーションとして出版記念イベントなどを開催する場合は、相手先の書店と準備を行います。
SNSでの出版案内やウェブ広告の出稿などもこの時期に行います。
プロセス⑨:取次と配本調整、部決
書店からの注文部数がまとまったら、出版社としての希望部数を決めて各取次店に書籍を見本として持参して仕入れを依頼します。
各取次店ではその書籍を総合的に見て、仕入れ部数や書店へ配本する部数を決定します。
プロセス⑩:新刊配本、書籍発売
発売日の数日前に各取次店が決定した仕入れ部数に合わせて、各社の倉庫に書籍を搬入。
その後、書籍は各取次店から書店に配本され、発売日に書店の書棚に並べられます。
書店では、売れ行きの良い書籍はフェア台に配置したり平台に平積みしたりして、目立つ場所に陳列されます。
売上が好調な場合は、初版に加えて重版されることもありますし、追加でプロモーションが行われることもあります。
成功したビジネス書の事例紹介

ビジネス書の出版によってブランディングや集客に成功して飛躍的な業績アップを果たした事例は数多くありますが、ここでは3件の成功事例を紹介します。
事例①:新規事業の集客と本業集客の両立に成功したビジネス書出版の経営者
保険代理店の経営者が、保険業界に対する持論と実例を公開するためにビジネス書を出版しました。
書籍の中では、保険業界で当たり前に行われている「成果報酬型」の給与体系を「一律報酬型」に変えることを提唱しました。
つまり、限られた一部のスーパー営業マンに頼った経営から、アベレージヒッターを育てて全員で支えていく経営に変えることによって業績拡大ができることを紹介したのです。
伝達できる情報量が膨大な書籍というメディアを使って持論を展開したことにより、多くの業界関係者からの共感が得られ、自社のブランディングにも成功しました。
同時に、新規事業であるコンサルティングの新規契約の獲得と本業の保険代理店の保険契約数が伸長するという大きな効果が得られたそうです。
出版後のインタビューでも、次のように語っていらっしゃいます。
保険の商談に従業員と同行するときも、お客様に事前に本を読んでおいてもらうと、ご面談するときにちゃんと「あったまっている」んですよね(笑)
書籍に盛り込んだ当社の経営方針や理念に、強く興味を持ってもらえている。
引用元:【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店
法人保険の営業は、人材戦略や財務状況など、相手の経営に踏み込んだ提案をしなければ大型の保険契約を決めることができないそうですが、書籍のおかげで商談の時から踏み込んだ話ができる理想的な商談の機会が増えたと言います。
このように、書籍を上手く活用すれば、お客様との良い商談を増やすきっかけにもつながるのです。
お客様との信頼関係などが重要な職種には良いツールと言えるでしょう。
事例②:メインターゲットの集客に成功し売上を倍増させたビジネス書出版の経営者
不動産投資サービス事業を行っている不動産会社の経営者は、従来から高収入でありながらも支払う税金が多い医師をメインターゲットとして、SNSやウェブ広告などを利用した情報発信を行っていました。
しかし期待する効果が得られていなかったことから、「医師に最も効果的な節税対策は不動産投資である」という内容のビジネス書を出版しました。
ビジネス書の企画段階からメインターゲットである医師を対象としたマーケティング戦略やプロモーション戦略を立てていたことで、多くの医師に書籍を購入してもらうことができました。
出版後は、書籍を購入した医師に「不動産投資に大きな節税効果があること」を認知してもらうことができ、売上を倍増させることができました。
また、既存の顧客が知り合いの医師にビジネス書を配ってくれたり口コミで広げてくれたりして、新たな顧客の獲得にもつながっています。
事例③:SNSとの相乗効果で圧倒的なブランディングに成功したビジネス書出版の経営者
資金調達支援のコンサルタント業を営む経営者は「創業者が夢を実現するためには適切な融資が必要」との思いからビジネス書の出版を決意しました。
日本では起業した会社の約6割が1年以内に廃業しているという現実があるので、これをなんとか改善したいと考えたのです。
自身の会社も創業後の3年間で8200万円の融資を受けて事業を軌道に乗せることができたという経験があるため、中小企業であっても高額の融資を受けることができるという秘訣を公開しました。
ビジネス書の出版に合わせてSNSやウェブでのコンテンツ発信も行い、これらの相乗効果によって顧客からの信頼を獲得してブランディングに成功しました。
具体的には、問い合わせ件数が3~4倍に増えて受注件数も増加し、結果的に融資支援実績が日本一になりました。
ビジネス書を出版する出版社一例

ビジネス書を出版している出版社は数多く存在しますが、実際にどこに依頼すべきかはそれぞれの出版社の特徴を知ったうえで検討した方が良いでしょう。
以下では、代表的な出版社の特徴などについて解説します。
幻冬舎メディアコンサルティング
「幻冬舎メディアコンサルティング」は、2005年に設立された企業出版に特化した出版社です。
名前の通り幻冬舎のグループ会社であるため、幻冬舎の流通網を活用した全国約4,200書店への流通、プロモーション、出版記念セミナーの開催などが行えるという強みがあります。
プロモーションに力を入れているので、メニューが豊富で、実書店では書棚の効果的な展開により狙いのターゲット層に訴求したり、新聞やSNS、Amazonバナーなどを利用した広告も行っています。
企業の事業戦略に合わせた配本も行っているので、頼りになる出版社といえるでしょう。
日経BP社
「日経BP社」は、日本経済新聞社の子会社で雑誌と書籍の出版を行っている会社です。
「日経ビジネス」をはじめとしたビジネス関連の雑誌が多いという特徴があるため、ビジネス書についても強みがあり、多くのベストセラーを出しています。
ビジネス分野に精通した編集者が書籍の企画からデザインなどの出版全般に関わる提案をしてくれるのが特徴です。
ダイヤモンド社
「ダイヤモンド社」は、ビジネスや経済に関する書籍や雑誌を出版している、1913年に創業した老舗の出版社です。
100年以上にわたってビジネス書を発刊してきたという大きな実績があるので、信頼性が高くプロモーション力も高いという特徴があります。
また、「週刊ダイヤモンド」などの著名な雑誌を刊行しているため、ビジネス書についても一定の固定客が獲得できることが強みです。
東洋経済新報社
「東洋経済新報社」は、ビジネスや経済に関する書籍の発行を専門とする出版社で、1895年に創立された歴史のある出版社です。
「週刊東洋経済」や「会社四季報」などが有名で、業界知識が豊富な編集者から効果的なサポートを受けることができます。
また、社内史や広報誌などの社内向けの書籍も手掛けているため、社内ブランディングにも活用することができます。
「東洋経済オンライン」などの自社メディアを利用したプロモーション力も魅力です。
プレジデント社
「プレジデント社」は、経営層や富裕層に向けたビジネス書や雑誌を主力とする出版社で、1963年に創立されました。
日本で初めての海外提携紙「プレジデント」を創刊したことでも有名です。
これまでに約100社以上の企業をサポートしてきたという実績があります。
インターネットと実際のイベントを組み合わせたメディア展開によって、企業やビジネスを広く周知させることができます。
クロスメディア・パブリッシング
「クロスメディア・パブリッシング」は、クロスメディアグループでビジネス書を専門とする出版社として2005年に設立されました。
現在では、ビジネス書だけではなく自己啓発書、実用書まで幅広い書籍を刊行しています。
パノラボ
「パノラボ」は、株式会社フォーウェイ(弊社)のグループ出版社で、2021年11月に設立されました。
他の競合他社と異なり企業出版を専門としているため、ブランディングやマーケティングなどの目的を達成するためのビジネス書の出版の全プロセスを一気通貫でサポートしています。
また、グループ会社の株式会社フォーウェイ(弊社)が手掛けているSNS運用やウェブサイト制作などを活用して、ゴールから逆算した動画制作やSNS運用、クラウドファンディングなどを組み合わせたプロモーションの提案ができる点も大きな強みです。
ほか、前述した大手出版社とは異なり、コストメリットの高いブックマーケティングを提案していることもメリットとして打ち出しています。
まとめ
本記事では、ビジネス書の出版を検討中の企業経営者に向けて、ビジネス書の出版方法やメリット・デメリット、具体的な成功事例などについてくわしく解説しました。
ビジネス書の出版は、ブランディングや知名度・信頼性の向上のための経営戦略の一つとしてとらえることができ、企業経営に非常に大きな効果を及ぼします。
本文中でも紹介したように、ビジネス書の出版は多くの出版社が行っていますが、ビジネス書の出版に強く、ビジネス書の出版目的である自社のブランディングや知名度・信頼性の向上を達成するためのノウハウやプロモーション力を持った出版社を選ぶことが重要です。
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「書籍をマーケティング戦略で活用」と聞くとどのようなメリットを思い浮かべるでしょうか。
出版の方法はさまざまですが、企業が取り組む場合はその具体的な活用法を知っておきたいところ。
この記事では、書籍マーケティングの手法やメリットについて詳しく解説します。
目次【本記事の内容】
書籍マーケティングとは

書籍マーケティングとは、書籍を自社の信頼性・認知度向上や企業ブランディングに役立てるマーケティング手法です。
出版社が持つ販路を利用できるため、効率的にターゲットの元に届けることができます。
独自の技術や実績などの企業の強み、開発秘話などをストーリーとしてまとめて一冊の書籍という形で出版すれば、書籍そのものの信頼性と出版社の全国的な販路を活かして効果的なマーケティングを行うことが可能です。
書籍マーケティングの具体的な手法
書籍マーケティングにはいくつかの手法が存在します。
それぞれに特徴やメリット・デメリットがあるため、自社にとってどの手法が合っているか比較することが大切です。
書籍マーケティングの具体的な手法は以下の3つです。
商業出版/すでに影響力のあるインフルエンサー向け
商業出版はすでに影響力を有しているインフルエンサーや著名人が著者となる場合に向いた手法です。
出版にかかる費用をすべて出版社が負担して、出版社が利益を出すことを目的としています。
つまり、出版社は「売れる」という確信が持てるものしか採用できません。
実際に、ヒット作やベストセラーになる書籍の多くがこの方法で出版されています。
商業出版では、無名の人物が企画を持ち込んだ場合、よほど内容が良いものでなければ採用されることはありません。
また、万が一採用されたとしても書籍の内容を制限されることがほとんどです。
一方で、すでに影響力のあるインフルエンサーであれば、「インフルエンサーのファンに買ってもらえるだろう」「このファンの数ならこれぐらいの利益が期待できる」と目処を立てることができます。
そのため、出版に踏み切りやすくなるのです。
商業出版は出版社の負担で書籍を出せる魅力的な出版方法ですが、書籍の内容の自由度が低いことがデメリットにもなり得ますし、そもそも採用されるのは至難の技であると言えるでしょう。
自費出版/出版した事実を残したい経営者向け
自費出版は出版にかかる費用を著者自身が負担する出版方法です。
出版社からの制限を受けず、経営者が読者(顧客)に伝えたいことを自由に書くことができます。
著名人ではなくても自伝や個人的なノウハウ、物語を書籍という形で出版することができるため、出版した事実を残したい経営者向けの出版方法です。
自費出版の書籍の一つに、山田悠介『リアル鬼ごっこ』があります。
『リアル鬼ごっこ』は著者のデビュー作ですが、この作品がヒットし、今やメディアから注目されるホラー小説作家となりました。
上記のようにヒットする書籍もありますが、簡単なことではありません。
ヒットさせるのが難しい理由として、「発行部数が少ないこと」「プロモーションを自分で行う必要があること」が挙げられます。
自由な内容で書籍を出版できるという点では魅力的ですが、費用負担が重く、利益も出しにくいという点がネックとなる出版方法です。
企業出版/マーケティングとして書籍活用したい経営者向け
企業出版は、「商品・サービスの認知度向上」「他社との差別化」「企業ブランディング」など、企業が抱える課題の解消を目的とする出版方法です。
出版に関わるすべての費用を企業が負担します。
企業出版の最大の魅力は、企業が伝えたいメッセージを書籍という形で発信することができる点です。
たとえば、企業理念や、これまでの歩み、商品開発ストーリーなどを書籍という形で発信すれば、それを読んだ読者の心を動かし、ファン化させることができます。
書籍は信頼性の高い媒体という共通認識があるため、「書籍を出版している」という事実があるだけでも顧客にとって安心できる要素になります。
また、WebやSNSなどの媒体よりもメディアへの露出を増やしたり、宣伝広告費の削減に繋げたりすることも可能です。
このように企業の課題を解決し、事業成長に繋げたい企業にとって最適な方法と言えます。
書籍マーケティングのメリットとは

書籍マーケティングは費用や時間のかかる手法です。
しかし、それでも取り組む企業は数多くあります。
なぜなら、以下の6つのメリットを享受できるからです。
メリット①:信頼感の醸成ができる
書籍マーケティングによって、顕在層をファン化して商品やサービスの購入を働きかけることができるようになります。
なぜなら、「書籍を出版している」ということによって信頼感を醸成することができるからです。
もし、ファン化した顧客の商品やサービスの購入頻度が低かったとしても、中長期的には売上に貢献してくれると考えられます。
メリット②:情報量が多い/情報が集約できる
書籍マーケティングを行うことによって、自社の商品やサービスのPRだけではなく、企業理念や経営者の考えを顧客に伝えることができます。
なぜなら、書籍は他の媒体(テレビCM・新聞広告・雑誌広告・Web広告・チラシなど)と比べて織り込める情報量が圧倒的に多いからです。
たとえば、A4のチラシの文字数は1,000文字〜2,000文字程度ですが、200ページ程度の書籍の場合の文字数は約7万〜10万文字になります。
また、商品やサービスの情報だけではなく企業理念や経営者の考えなども含めた顧客に伝えたい種々の情報を1冊に集約することができることもメリットとなります。
情報を集約化する過程で、経営者の思考を整理したり、編集者の外部の視点から新たな気づきが得られたりすることも期待できます。
メリット③:メディア露出が増えPR効果が高まる
書籍の内容の専門性や話題性が高い場合は、多くのメディアに注目されて、露出の機会が増えることになります。
なぜなら、書籍は信頼性の高い媒体と認識されているため、メディアはその信頼性の高い情報を採用したり引用したりしようとするからです。
たとえば、良質な睡眠を得る方法が書かれたWebやブログの内容よりは、書籍に書かれている方法の方が信頼性が高いと判断されて、メディアが書籍の内容を紹介しようとします。
その結果、メディア露出が増え、PR効果を高めることができるのです。
メリット④:コンテンツが資産となり長期活用が可能に
書籍マーケティングによるコンテンツは資産として残りつづけます。その理由は、書籍は長期にわたって流通し、書籍に書かれたコンテンツも様々な用途に二次利用することができるからです。
たとえば、自社の商品の開発ストーリーを書籍にまとめて出版した場合は、営業ツールやセミナー資料として配布することが可能です。
さらに、書籍からWebサイトやブログなどのオウンドメディアに転用された場合も長い間ネット上に残り続ける資産となります。
その内容の専門性が高く信頼性のある内容であればあるほど、書籍としても二次利用されたコンテンツとしても価値の高い資産として残り続けます。
メリット⑤:ターゲティングやエリアマーケティングに最適
書籍を購入してまで情報を集めようとする人は、その商品・サービスに対する関心が高いと言えます。
そういったユーザーをターゲティングすれば、ピンポイントでユーザーの心に刺さる書籍をつくることが可能です。
また、書籍マーケティングでは、特定のエリアの書店だけに重点的に配本して、そのエリア内の顧客の認知度を高めるといったこともできます。
このように、書籍マーケティングはターゲティングやエリアマーケティングがしやすいため、テレビCMなどのマス広告よりも効果的にマーケティングを行うことができるのです。
メリット⑥:インナーブランディングも強化できる
書籍の中に企業理念や経営者の考えなども含めておけば、その書籍を社内研修などで配布したり、Webで公開したり、従業員に対するインナーブランディングに活用することもできます。
たとえば、株式会社アカツキでは、「アカツキハート」という会社で掲げる哲学を社内に浸透させるために、ブランドブックを作成。
ブランドブックの作成により、本社から離れた福岡や台湾にある拠点にも哲学が浸透し、本社との熱量に差がない状況を作り出すことに成功しています。
このように、書籍マーケティングによって企業理念などを著すことで社員のロイヤリティを向上させ、インナーブランディングを強化することが可能です。
書籍マーケティング成功のポイント

書籍マーケティングを成功させるためには、ゴールまでの道筋を立てることが最も重要です。
企画から書籍がターゲットに届くまでの道筋が定まっていないと、目的を達成することはできません。
書籍マーケティングを成功に導くためには、失敗事例を知ることも必要です。
▶️失敗事例については、関連記事【企業出版の教科書|メリットから費用、成功のポイントまでまとめて解説】もあわせて参考にしてください。
失敗事例から学ぶ成功のポイントについて、詳しく見ていきましょう。
目的とターゲットの設定
書籍マーケティングの最初の段階で決めなければならないことは、目的とターゲットの設定です。
「何のために書籍を作るのか」「情報の受け手であるターゲットは誰なのか」が決まらなければマーケティングの成功はあり得ません。
目的地が定まっていないのに出発したら、道に迷ってどの目的地にも辿り着けないのと同じです。
逆に言えば、目的とターゲットがきちんと設定できれば効果的な書籍マーケティングを実現できるということです。
そのため、書籍マーケティングを利用して目的を達成するためには、最初に目的とターゲットを設定する必要があるのです。
プロモーション戦略の立案と実行
書籍マーケティングは、顧客が達成したいゴールから逆算して流通戦略や広告販売戦略を考えます。
書籍を出版したとしても黙っているだけでは書店に置いてもらうことはできません。
書棚に置かれるためには、新刊を必ず書店に並べることを約束する特約店契約や書店との関係性が大切です。
書店販売のための流通戦略以外にも、様々な施策を組み合わせて流通させていく方法もあります。
書店販売以外の流通戦略とは、出版記念イベントや、書籍の内容に関係する著名人やインフルエンサーとのコラボレーションなどです。
書籍に合ったプロモーション方法を立案し、確実に実行することは書籍マーケティングの成功のポイントと言えます。
書籍を出すことで満足しない長期的視野での活用戦略
書籍マーケティングは、書籍を出版することを目的とするものではありません。
なぜなら、書籍の出版は手段であり、商品・サービスの認知度向上や顧客の購買意欲向上などを図り、売上や利益の向上を図ることがゴールだからです。
書籍を出版することが目的になってしまっては、「名刺代わり」で終わってしまいます。そうならないためにも、出版した後に書籍をどのように活用するのかというイメージを立てておくことが大切です。
たとえば、書籍の企画決定後にクラウドファンディングを立ち上げて資金集めを図りつつ、書籍の事前告知をして認知拡大を図ったり、書籍の発売に合わせてSNS上でストーリーを紡いで続きを書籍に引き継いだりすることも活用方法として考えられます。
近年メジャーになっているLINEマーケティングを書籍に活用するのも効果的です。
書籍にLINEの友だち登録のQRコードを設置しておけば、ユーザーとの接点を作ることができます。
LINEで定期的に商品・サービス情報やクーポンなどを配信することで、コストをかけずに販促活動を行うことができます。
書籍マーケティングの出版社の選び方

書籍マーケティングにおいては、いかに自分が著したい内容に寄り添って提案・プロモーションをしてくれる出版社を選ぶかが大切です。
出版社を選ぶ上で見極めるポイントは次の3点です。
出版プランナーの提案と質疑応答
書籍の企画を考える段階では、「読者に何を伝えたいのか」「自社の強みはどういうところにあるのか」を整理して、どのような書籍を書くことができるかを出版社のプランナーと検討します。
このときには、プランナーの提案内容と質疑応答の態度などに注意しましょう。
たとえば、経営者の視点に立って提案をしてくれるような場合は問題ありませんが、質問に対して真摯に答えてくれず、はぐらかされてしまうような場合は要注意と考えるべきでしょう。
プランナーは出版社における営業の役割を担うため、プランナーの対応は出版社を見極める際の大きなポイントとなります。
出版社および編集者の実績
出版社の実績ということになると大手の出版社が優位になってしまいますが、実は編集者の実績も重要なポイントです。
なぜなら、「編集者がどのようなジャンルの書籍を得意としているのか」「これまでにどのような成功事例があるのか」によって、書籍マーケティングの成否が変わってくるからです。
たとえば、「編集実績が業界内でトップクラス」「編集した書籍が軒並み成功している」などの実績を持つ編集者がいれば、安心して任せることができるでしょう。
出版社のネームバリューだけにとらわれず、必ず編集者の実績も確認することが大切です。
書籍のプロモーション方法の確認
出版社がどのようなプロモーションを行ってくれるのかを具体的に確認することも、自分の書籍にとって良い出版社を選ぶ上で重要です。
書籍のプロモーション方法の確認を行うべき理由は、打ち合わせの時に決めたプロモーション方法が行われないことがあるからです。
実際に、提案時は「書店に並びますよ」などと調子がいいことばかり言っていたのに、実際に出版してみるとほとんど並んでない、一般の書棚ではなく自費出版専門の書棚に並んでいたというのはよくある事例です。
このようなことにならないためにも、依頼したプランやオプションの範囲内で、具体的にどのようなプロモーションを行ってくれるのか確認しましょう。
▶️書籍マーケティングの具体的なプロモーション方法については、関連記事【出版マーケティングの効果的なプロモーションとは? 広告手段も解説】もあわせて参考にしてください。
まとめ
この記事では、書籍マーケティングの具体的な手法やメリット、書籍マーケティングを成功させるためのポイント、出版社の選び方などについて詳しく解説しました。
書籍マーケティングを活用することによって、その書籍を企業のブランディングや認知度向上、顧客の購買意欲向上などに役立て、売上向上・利益改善などの経営課題の解決につなげることができます。
広告やSNS、SEO、オンライン施策など、様々なマーケティング手法を試しているにも関わらず、なかなか効果が出ない、目的を達成できない場合は、書籍マーケティングを取り入れてみてはいかがでしょうか。
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執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)

福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経営法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を歴任し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。
競合他社との差別化は、企業の成長戦略を考える上で欠かせないポイントです。
ただし、差別化戦略は各種広告施策とは異なり、売上や利益向上など、分かりやすい成果として表れにくく、差別化に成功しているかどうかの判断が難しいでしょう。
本記事では、差別化の重要性や、他社と差別化するため具体的な戦略の考え方を解説し、成功のポイントや成功事例を紹介します。
目次【本記事の内容】
差別化戦略とは

そもそも「差別化戦略」とは、アメリカの経営学者マイケル・ポーターが提唱した3つの競争戦略(コストリーダーシップ戦略、差別化戦略、集中戦略)の中の1つです。
▶️参考記事【競争戦略とは? ポーターの基本戦略と国内企業の実践事例を振り返る】https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00081/021700329/
差別化戦略の定義と目的
差別化戦略とは、競合他社がマネすることができない自社の製品・サービスの価格以外の特徴や付加価値をアピールすることにより、自社の競争優位性を築き上げる戦略のことです。
業界内でのポジションの確立と、市場におけるブランド力の向上、自社製品やサービスの価格が高くても売れるようにすることを主な目的としています。
差別化戦略の重要性
競争が激化する市場において、企業が成功するためには差別化戦略が必要不可欠です。
インターネットやSNSが浸透した現在の社会では、顧客には多くの製品やサービスの選択肢があります。ひと昔前と違い、良い製品・サービスを作ったから売れる、という時代ではありません。顧客のニーズに合致した自社にしか出せない魅力をアピールし、認知してもらわないと製品やサービスを利用してもらえない時代です。
一方で、競合他社との違いを明確にして、自社製品やサービスが優位であることを顧客に認知させることができれば、価格競争にならず、ニーズのある顧客に選ばれる存在になります。そのための戦略が差別化戦略です。
今後、SNSなどと同様にメタバースが浸透していけば、今以上に多くの製品やサービスの選択肢が増えてくることが予想されます。そのため、企業の生き残りや成長にとって、差別化戦略はますます重要になってくるでしょう。
差別化戦略のメリット

企業が差別化戦略を行うメリットとして、次の4つが挙げられます。
①価格競争から離脱できる
これは、企業が差別化を行う最大のメリットと言えるでしょう。
製品やサービスの基本機能は同じであっても、自社にしかできない何らかの特徴や付加価値をアピールでき、それが顧客から認められれば価格競争に巻き込まれることはありません。
たとえば、ファミリーレストランチェーンのロイヤルホストは、ホテルで出されるような高級メニューに特化しています。結果として、「いつもよりもちょっと優雅に、でも気軽に食事を楽しみたい」という消費者のニーズと合致し、価格競争に巻き込まれることなく、「高級ファミレス」という業界内で確かなポジションを確立しています。
このように、差別化を行うことで、競合他社との価格競争から脱却し、高価格でも選ばれる確かなポジションを確立することができます。
②利益率が向上する
自社の製品・サービスが他社にない特徴や付加価値を持っていることが消費者に認知されると、価格が高めであっても購入されます。
たとえば、今治タオルは、タオル生産の歴史や製造工程のこだわりなど、製品の背景にあるストーリーを訴求し差別化戦略に成功しました。
▶️参考記事【衰退一途の今治タオルが息を吹き返した“大事件”】
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1705/15/news040.html
結果として、100円均一や、ニトリ、IKEAなど、格安で高機能なタオルが出回る中、高級タオルとしての地位を確立。1枚数千円のタオルが売れ続けています。
このように、差別化戦略に成功すると、高価格であっても製品やサービスが売れます。それに伴い利益率の向上にもつながるのです。
③新規参入企業を抑制できる
差別化戦略によって業界内や市場で確かなポジションを獲得することができれば、新規で参入する競合他社の動きを抑制することができます。
なぜなら、消費者が認める優位性があり、ブランド力を持った製品やサービスに対抗することは簡単ではなく、膨大なコストや労力が必要となるからです。
たとえば、前述した今治タオルに対抗して、新しい高級タオルブランドを立ち上げることはできても、高級タオルと言えば今治タオル、と言う消費者の認識を覆すのは簡単ではありません。
これから新規で参入しようと検討している企業にとっては大きな障壁となるため、新規参入しようという決断がしにくくなります。
④自社の特徴や強みを明確化できる
自社の製品やサービスの特徴 、強みをはっきりさせられるのも差別化戦略のメリットの1つです。
差別化戦略に成功している企業の多くは「〜と言えば⚫︎⚫️」というように、自社の地位をひと言で言い表すことができます。
たとえば、「高級タオルと言えば今治タオル」、「高級ファミレスと言えばロイヤルホスト」などです。
他社にマネのできない特徴や強みは、営業活動や広告宣伝活動にも活用することができ、それによって強固なブランドイメージを構築することにつながります。
差別化戦略のデメリット

差別化戦略を行うことのデメリットとしては、次の3つが挙げられます。
①顧客離れのリスクがある
市場調査や顧客のニーズ調査が不十分なまま差別化を行うと、「ただ値上がりしただけなのでは」と顧客が離れてしまうリスクがあります。
たとえば、今治タオルを製造・販売するメーカーであるハートウェルが販売し話題となったのが『あえてカタいタオル』です。
タオルはやわらかい質感や肌触りの良さが重視される傾向がありますが、消費者調査の結果、硬い質感のタオルの需要があることが分かり、商品を開発したとのこと。
ここで重要なのが、硬い質感のタオルの需要がユーザーにあることを調査した上で商品開発を行った、という点です。ニーズがあると分かって商品を販売したからこそ、高い価格でもユーザーに選ばれているのです。
このように、差別化戦略には、「会社都合の値上がり」だと認識されないための説得力が必要になります。
差別化によって上昇した価格に納得できなければ顧客は自社より安い競合他社に流れるため、市場シェアの縮小に繋がりかねません。
そのため、まずは市場調査を行い、ユーザーのニーズを調査した上で、自社にしか出せない差別化を考えていくことが重要です。
②多大な費用や労力がかかる
差別化戦略を行うためには、市場調査や差別化のための技術開発などに多くの労力や費用が必要となります。市場調査や差別化にかかる労力や費用に見合う利益が得られなければ、差別化戦略が成功したとはいえません。
特に自社の特徴や強み、市場、競合他社、顧客ニーズ分析などが必要になるため、リサーチに膨大な時間と労力がかかります。また、確立したオリジナルの価値を顧客に伝える必要もあるため、広告宣伝やブランディングが必須となり、さらに多くの時間と労力を要します。
消費者がブランド価値を理解して認知するまでには時間がかかるのが前提です。差別化戦略には継続的な取り組みや、それに伴う労力と費用が必要になると考えておきましょう。
③競合他社に模倣される可能性がある
差別化戦略がうまくいき、自社製品やサービスの認知度が向上したとしても、競合他社に模倣されて類似の製品やサービスを安い価格で販売され、顧客を奪われる可能性があります。
模倣され顧客が奪われると、差別化戦略のために投資したコストを回収できなくなったり、競合他社にシェアを奪われてしまったりする可能性も十分に考えられます。
このようなケースも起こりうることだ、と認識した上で、事前に対策などを考えておく、商標権を申請しておく、などの対応も重要です。
差別化手法の一例
差別化戦略においては、何を対象に差別化を行うかが重要です。具体的には、以下のような手法を組み合わせることで、競合他社と差をつけることが可能になります。
- ・製品やサービス
- ・価格
- ・ブランドイメージ
- ・顧客体験
これら4つを対象にした差別化手法について詳しく見ていきましょう。
製品・サービスの品質向上
製品やサービスの品質向上による差別化は、最も一般的な差別化手法です。
具体的には、消費者が他社との違いを明確に感じることができる特徴や付加価値を製品やサービスに持たせる、ことで差別化を行っていきます。
たとえば、「1リットル30kmの燃費性能の車が一般的な中で、1リットル50kmの燃費性能を持つ車を開発する」などです。
一般的な差別化手法ではありますが、品質や新技術などで差別化する場合は、大きなコストがかかるので、商品やサービスを生み出すまでのストーリーや自社のこだわり、ユーザーのニーズ調査結果などをヒントにどの部分を差別化していくのかを検討してみると良いでしょう。
価格戦略の工夫
他社と比較して優位となる価格設定を行い、顧客から選ばれるようにする差別化手法です。必ずしも低価格にすることとは限りません。
代表的な価格による差別化戦略としては、「低価格戦略」「高価格戦略」「中間価格戦略」などがあります。
- ・低価格戦略:最も一般的。他社よりも低い価格を設定する戦略
- ・高価格戦略:製品やサービスに高い品質や付加価値を付加して高い価格を設定するもの
- ・中間価格戦略:コストと価値とのバランスを考慮して価格を設定する戦略
いずれの価格戦略においても、価格に対する消費者の受け止め方や競合他社の価格設定などを正確に分析することが必要です。
価格戦略の工夫をする際には、競合他社などを価格帯ごとに分類したり、ユーザー調査結果などの分析から初めてみると良いでしょう。
ブランドイメージの構築
ブランドイメージの構築による差別化は、ブランドのイメージや価値を高めて競合他社との差別化を図る戦略で「ブランディング」と呼ばれることもあります。
ブランドによる差別化には、ロゴのデザインやカラー、ブランドストーリー、パッケージデザイン、宣伝広告などがあります。
重要なのは、これらすべてに一貫性を持たせることです。
商品自体を高級路線で差別化し、ブランドストーリーも立派なものを作ったのにも関わらず、パッケージがチープだったり、ロゴやデザインが古臭かったりしては、その商品が高級であるという説得力がなくなってしまいます。
結果として差別化戦略の効果が十分に発揮できません。
「商品だけ」「ロゴだけ」ではなく、商品を中心として、顧客が触れるすべてのものを1つの方向性に沿って作り上げていくことがブランドイメージの構築にとって何より重要です。
顧客体験の充実
顧客体験とは、顧客が製品やサービスに興味を持った段階から購入・使用・アフターサポートに至るまでの一連の経験のことです。
一連の購買プロセスの中のすべての接点で、いかに顧客に優れた体験を提供できるのかを考えていくことで、他社との差別化が図れます。
たとえば、高級デパート伊勢丹で買い物をした際に、スーパーの袋や100円均一で買えるような紙袋に商品を入れられたらどうでしょうか。
おそらく、「せっかく高級なものを買ったのに…」と少しがっかりした気持ちになると思います。
このように、製品やサービスの特徴や付加価値だけではなく、あらゆる顧客との接点で優れた顧客体験を提供することが差別化戦略において重要になります。
差別化戦略成功のポイント

差別化戦略を行う前の段階で、手間や時間をかけて、確かな戦略を確立させることが重要となります。
差別化戦略を成功させるための主なポイントは、次の4つです。
①ターゲットを明確にする
全ての顧客を対象にするのではなくターゲット層を明確にすることによって、ターゲット層のニーズに合わせた差別化戦略を行うことができます。
たとえば、ある不動産会社は、競合他社や大手企業との差別化に悩んでいました。しかし、高額所得者であり、高額納税者でもある医師をターゲットに設定し、不動産投資サービスを展開することで、他社との差別化に成功しています。
「不動産投資サービス」よりも「医師向けの不動産投資サービス」の方が、医師への訴求力が強く働き、結果として売上につなげることができた差別化戦略の好事例と言えるでしょう。
このようにターゲットを明確にしているからこそ、商品やサービスの方向性が決めやすくなります。
②消費者のニーズを分析して把握する
差別化戦略を成功させるためには、消費者のニーズを徹底的に分析して正確に把握することが何より重要です。
なぜなら、消費者がどのような製品やサービスを求めているのかを正確に把握できなければ、いくら差別化をしたとしても受け入れてもらえないからです。
たとえば、スポーツカーメーカーが差別化戦略として、ファミリー向けのスポーツカーを開発したとしましょう。さらには、ファミリー向けということもありスポーツカーの中では燃費性能がNO1、車室も家族4人がゆったり乗れるNO1の広さ、というものだったとします。
性能だけ見れば差別化ができているように見えますが、そもそも大半のファミリー層は、選択肢としてスポーツカーを選びません。この場合、いくら差別化ができているとは言え、消費者から受け入れてもらえないことが容易に想定できます。
このように、いくら差別化を図ったとしても、それがユーザーのニーズに合致していないものだったとしたら、いくら性能が良かったとしても受け入れてもらえません。
そうならないためにも、まずは差別化戦略を図る前に、消費者がその製品やサービスに関して重視しているポイントや欲している付加価値が何かを知る必要があります。
③競合他社を徹底的に分析する
競合他社を徹底的に分析することによって、自社の製品やサービスの取るべきポジションが見えてくる可能性もあります。
代表的な競合分析手法として「3C分析」や「4P分析」があります。
3C分析はCompany(自社)・Competitor(競合他社)・Customer(顧客)の3つの要素に注目して分析する手法、4P分析はProduct(製品)・Price(価格)・Place(流通チャネル)・Promotion(販促)の4つの要素に注目する手法です。
このような競合分析手法の分析によって自社よりも競合他社が優れている点や競合他社の戦略などが見えてくるため、分析結果をもとに自社の戦略を検討することができます。
たとえば、競合他社が低価格戦略を取っていることが分かった場合は、自社では高品質や高付加価値をアピールすれば差別化を図りやすくなるでしょう。
④自社の強みを見つける
自社にしか出せない強みは何なのか、を考えることも差別化の方向性を見出すのに有効です。
簡単なのが、競合他社と自社を比較することです。
競合他社分析だけではなく、自社と比べてどうか、も調べてみましょう。
代表的な手法としてStrength(強み)・Weakness(弱み)・Opportunity(機会)・Threat(脅威)の4つの要素に注目して分析を行う「SWOT分析」があります。
これによって強みと機会を生かして弱みと脅威に対処する戦略立案ができます。
また、顧客へのヒアリングや自社の中で顧客と直接接している社員へのヒアリングも重要です。顧客や消費者の生の声や隠れた要望の中から、自社の強みが見つかる可能性もあります。
差別化戦略のためのブックマーケティング手法

差別化戦略の手法の1つとしてブックマーケティングも有効です。
なぜなら、書籍を使えば、自社の強みやこだわりなどをターゲット層に的確に伝えることができるからです。
人が文章を読まないと言われる時代ですが、それは無料で読める媒体に限ってのことです。お金を出して書籍を買って、読むまで積読しておくことはあっても、全く読まない、という人は少ないと思います。
書籍という信頼性が高く、読まれやすい媒体で、自社製品やサービスへのこだわりや、特徴、付加価値、企業理念や代表の考え方などを紹介することで、自社のことを知ってほしいターゲット層に効果的に認知してもらうことができます。
書籍は手に取ってもらえさえすれば、企業側にとっては長文を読んでもらえ、読者を拘束できるのがメリットです。そのため、見込み顧客の教育や、関係性の構築に多大なコストや長い時間をかけることなく、書籍1冊だけで製品やサービスが売れるきっかけを作ることができます。「Web広告やSNSを試してみたけれど、顧客の教育や関係性の構築が難しい」と感じる企業などに適した方法と言えるでしょう。
また、書籍を出版していることによる信頼性の向上や、書籍を買ってくれた質の高い顧客からの問い合わせの獲得が期待できます。
「書籍を出しても手に取ってくれなかったら意味がないのでは?」と不安に思う方もいらっしゃると思いますが、もちろんただ書籍を出すだけでは名刺程度の効果しかありません。
ただ書籍を出すだけではなく、次のように、あらゆる手を尽くして、ターゲット顧客に書籍のコンテンツを読んでもらえるようにするのがブックマーケティングです。
- ・書店営業
- ・クラウドファンディング
- ・Youtube運用(配信)
- ・SNS運用
- ・PR
- ・メディア露出
- ・フォローセミナーの開催
- ・クロスセル、アップセル
▶️ブックマーケティングのメリットや効果については、関連記事【ブックマーケティング(企業出版)のメリットとは? 企業が考えるべき出版による効果】もあわせて参考にしてください。
ブックマーケティングを取り入れた成功企業事例
ブックマーケティングは、特に消費者側に差別化をしていることが分かりづらい業種やビジネスモデルを持っている企業や、ひと言では言い表せないような特徴や優位性を持っている企業などに効果的です。
実際にブックマーケティングを取り入れて、競合ひしめく中で差別化戦略に成功した企業の事例を2つ紹介します。
出版によりエリアでのブランド確立を実現した保険代理店の事例
1つ目は埼玉県の保険代理店の事例です。
出版した書籍の中で保険業界の現状と問題点を解説。これからの保険代理店経営に必要な考え方やシステムについて述べています。
保険業界では成果に応じて給与が決まる「成果報酬型」が当たりまえですが、結果として少数のスーパー営業マンに頼る経営になってしまいがちです。
この保険代理店の経営者は、少数のスーパー営業マンに頼る経営に疑問を持ち「一律報酬型」に変えることによって、アベレージヒッターを育てて業績拡大ができることを紹介。
出版の結果、各種セミナーに講師として招かれたり、新たなコンサル契約を獲得したり、紹介者が増えて保険契約数が伸びるという効果が得られ、エリア内でのブランドを確立することができました。
このように、「なぜ一律報酬型が重要なのか?」「少数のスーパー営業マンよりもなぜ、アベレージヒッターが重要なのか?」は、とてもひと言では言い表せません。
そこを書籍にまとめ、保険代理店を経営するターゲット層にブックマーケティングで的確に届けられたことが、この結果を作り出したと言えます。
差別化成功で圧巻の受注率を実現した不動産会社の事例
2つ目は東京都の不動産会社の事例です。
この経営者は、高収入でありながらも多忙で投資リテラシーを持っていない人が多い医師をメインターゲットとして不動産投資や節税についてまとめた書籍を出版しました。
高所得者である医師の悩みとして高額な税金があげられますが、最も効果的な節税対策として不動産投資があることを紹介しています。
出版した結果、大きな節税効果のある投資方法として不動産投資を認知してもらうことができ、多くの医師からの受注を獲得しました。
また、書籍からの問い合わせがほぼ100%不動産投資案件の成約につながる、という圧倒的な受注率を叩き出しています。
この経営者は、医師に特化するという差別化戦略を実施していますが、そもそも忙しい医師に不動産投資の節税メリットなどを商談や広告だけで伝えるのは、限界があります。
一方で書籍は医師に限らず多くの知識欲求層が読みます。ひと言では語れない、理解してもらえないようなものだからこそ、ブックマーケティングで的確にターゲットとなる医師に書籍を届けることができ、しっかりと読んでもらえたことが、この結果を作り出したと言えます。
まとめ
以上のように、差別化戦略を行うことで、競合他社にはマネできない独自の魅力を作り出し、業界での競争優位性を高めることができます。
簡単に見える差別化戦略ですが、安易に行うとかえって顧客が離れたりしてしまいます。そのため、事前に顧客のニーズを調査し、ニーズと合致した差別化を見出していくことが何より重要です。
また、ターゲットとなる層に的確に届けていくことも差別化戦略の成功にとって重要です。そんな中、差別化戦略の手法の1つとして、ブックマーケティングが注目されています。
書籍をただ出版するだけの自費出版とは違い、書籍をターゲット層に手に取ってもらえるようにあらゆる施策や手法を総合的に用いていくのがブックマーケティングです。
ブックマーケティングにより、自社の特徴や強みなどを特定のターゲット層に効果的にアピールすることができるので、差別化戦略の1つの手法として注目されています。
今現在、差別化戦略や自社のブランディングなどを検討されている方は、1つの方法としてブックマーケティングを検討してみてはいかがでしょうか。
▼パノラボ出版のご案内はこちら

参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから
執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)

福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経営法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を歴任し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。