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2025.06.03

Branding, Marketing

企業が周年記念事業を成功させるポイント!おすすめの施策ややり方を解説

企業が10周年・50周年といった節目を迎える際、多くの担当者が悩むのが「周年記念をどのように進めればいいのか」という点です。

周年記念は単なるお祝い事ではなく、企業の価値や歴史、理念を再確認し、社内外に発信する貴重な機会でもあります。

しかし、「何から手をつければよいのか」「どのような施策が効果的なのか」「どの部署を巻き込むべきか」など、企画段階で考えなければならないことは少なくありません。

また、周年記念は「数年に一度」や「数十年に一度」と頻度が低く、社内にナレッジが蓄積されにくいため、ゼロから着手するケースも多いでしょう。

本記事では、そもそも「周年とは何か」という基本から、周年記念事業を行う目的や進め方、そして成果につなげるための施策例まで、わかりやすく解説します。

目次【本記事の内容】

執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)


福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経済法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を担当し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。

◉企業の周年とは?

周年とは、企業が創業や設立のタイミングを記念して、10周年や50周年といった節目でお祝いやイベントを実施することです。

企業の創業50周年記念といった事業立ち上げからの節目を祝うこともあれば、ブランドの立ち上げ10周年などを祝うケースもあります。

会社のほか、店舗や病院施設、福祉施設、学校など、業種・業態に関わらず、節目を祝うイベントとして催されます。

このような節目のタイミングで、周年を祝う社内外の関係者を招くイベントや記念品の制作などを行うのが通例です。

◉企業が周年記念を行う目的

企業が周年記念を行う主な目的として、次の6つを挙げることができます。

企業のブランド力の向上社内外のステークホルダーとの関係強化企業の理念や歴史、ビジョンの再整理・再発信企業のブランド再構築のきっかけ社員のモチベーション向上と組織力の強化採用・広報活動の強化

以下では、それぞれの目的について詳しく見ていきましょう。

▶︎周年記念を行う目的については、関連記事【周年事業の目的と意義ーー社史・周年史制作のもたらすもの】もあわせて参考にしてください。

◉-1、企業のブランド力の向上

周年記念は、企業が長年にわたり顧客や社会から信頼を積み重ねてきた「確かな実績」を象徴するものです。

特に10年、20年、50年といった節目は、企業の継続性や安定性を社会に示す絶好のタイミングであり、ブランド価値を再定義・強化する重要な機会となります。

このような節目に合わせて、企業理念を込めたメッセージの発信や記念キャンペーンの実施、メディアへの露出を積極的に行うことで、取引先や顧客、さらには求職者に対して「信頼できる企業である」というイメージをより強く訴求することが可能です。

◉-2、社内外のステークホルダーとの関係強化

周年記念は、日ごろから支えてくれている顧客や取引先、株主、地域社会、そして社員に対し、感謝の気持ちを改めて伝える機会です。

たとえば、周年イベントの開催や記念品の贈呈、特別キャンペーンの実施などは、感謝の意を伝えると同時に、相互のつながりを強化する有効な手段となります。

◉-3、企業の理念や歴史、ビジョンの再整理・再発信

周年記念は、これまでの歩みを振り返るだけでなく、企業の原点や存在意義を改めて見つめ直す機会でもあります。

この節目を活かして、「なぜ自社が存在するのか」「どこへ向かっていくのか」という企業理念やビジョンを再整理して、社内外に向けて力強く発信することが可能です。

◉-4、企業のブランド再構築のきっかけ

周年記念は、企業がブランドを再構築する絶好のタイミングといえます。

たとえば、ブランドロゴの刷新やコーポレートメッセージの見直し、Webサイトのリニューアルなど、通常であれば社内外の調整に時間を要する大きな施策も、「○○周年を機に」という明確な理由があれば、受け入れられやすくなります。

節目となる周年をきっかけにすれば、大胆な変革も違和感なく自然に進めることができ、新たなブランドイメージを浸透させたり、企業の次なるステージを切り開くきっかけになったりするでしょう。

◉-5、社員のモチベーション向上と組織力の強化

周年記念は、社員一人ひとりの貢献を称える場としても活用できます。

これまでの歩みや成果を共有することで、「自分たちがこの企業の成長に携わってきた」という誇りや実感が生まれます。

記念式典での表彰や記念動画の上映などを行えば、感謝の気持ちを具体的に伝えられるでしょう。

また、部門を超えて協力する記念プロジェクトの推進は、社員同士の一体感を高めるとともに、組織力の底上げにもなります。

◉-6、採用・広報活動の強化

周年記念は、企業の魅力を内外に伝える広報・採用活動の強化にもつながります。

周年を機に企業理念や社風、ビジョンなどを再定義し、社史や小冊子、特設サイト、映像コンテンツ、SNSなどで発信することで、求職者に対して企業の価値観や文化をより明確に伝えることが可能になります。

また、周年をテーマとした特集や取材など、メディア露出の機会も増えやすく、企業認知の向上やブランドイメージの強化にも効果的です。
特に中小企業や成長中の企業にとっては、外部への認知度を高めるチャンスとなるでしょう。

◉企業の周年記念の方法

企業の周年記念の具体的な方法として、次の7つがあります。

・周年記念のイベント開催
・社外向けキャンペーン・プロモーション
・ノベルティ配布・プレゼント企画
・周年限定商品の販売
・コラボレーション施策
・感謝を込めたメッセージの発信
・オリジナルコンテンツの企画と制作

以下で、詳しく見ていきましょう。

◉-1、周年記念のイベント開催

周年記念の方法として代表的なものはイベントの開催です。

従業員やその家族、取引先など、感謝の意を表明した自社に関係する多くの人たちを招くパーティーが節目で開催されます。

このような周年記念の式典やパーティーは、普段過ごしている会社とは異なる空間で実施することが多いです。

たとえば、ホテルなどの豪華な空間を貸し切って開催するなどが考えられます。

自社の周年記念式典およびパーティーの模様を動画に撮影して、後日DVDとして配布したり、広報の一環でプレスリリースを配信したりする方法も良いでしょう。

◉-2、社外向けキャンペーン・プロモーション

周年記念を機に、顧客への感謝を込めた社外向けキャンペーンやプロモーションを実施するのも効果的です。

たとえば「創業○周年記念感謝キャンペーン」として、SNSを活用したフォロー&リポスト企画や、記念品が当たるプレゼント企画を展開するといった方法が挙げられます。

また、特別割引や限定クーポンなどの特典を用意すれば、顧客の購買意欲を喚起し、売上促進にもつなげられます。

周年という明確なテーマがあることで、キャンペーンにストーリー性を持たせやすく、企業のブランドイメージの向上にもつながるでしょう。

◉-2-1、販促イベントの開催

周年記念を盛り上げる施策として、リアルイベントを活用した販促プロモーションも効果的です。

具体的には、以下のような企画が考えられます。

・スタンプラリー・抽選会・スクラッチカードといった参加型の企画
・キッチンカーや地域密着型の出店イベント
・お笑い芸人やパフォーマーを招いたステージ演出

来場者が楽しめる体験を企画することで、企業への親近感や好印象を高めることができます。

◉-2-2、周年キャンペーン

周年をきっかけにした、ユーザーに向けたキャンペーンや特典の提供も一つの手段です。

周年記念限定の割引クーポンを発行して、ユーザーにはSNSなどで拡散してもらえる効果が期待できます。

「周年」というキーワードを皮切りに話題性を醸成することで、多くのユーザーと新規でつながるきっかけとなり得ます。

◉-3、ノベルティ配布・プレゼント企画

周年記念を盛り上げる施策として、来店者や参加者への特典としてノベルティを配布するのも有効な方法です。

配布するノベルティは、Tシャツやマグカップ、ボールペンなど、日常的に使える実用性の高いアイテムがおすすめです。

企業ロゴや周年ロゴを入れたオリジナルデザインにすることで、記念品としての価値も高まり、ブランド認知の拡大にもつながります。

◉-4、周年限定商品の販売

周年記念で限定商品を制作して販売するのもよくある方法の一つです。

商品販売を主たる事業とする会社であれば、限定商品をWEBサイトや広告などで打ち出し、消費者にインパクトを与えることができるでしょう。

また、購入者特典としてノベルティをセットにするなど、付加価値を加える施策もおすすめです。

さらに、レストランといった飲食事業であれば、周年記念の限定メニューを提供するのも一案です。

普段は提供されない特別メニューだからこそ、特にリピーターに来店を促すきっかけとなるでしょう

◉-5、コラボレーション施策

周年記念を機に、地元企業や人気ブランドと連携し、コラボレーション商品を企画・販売する方法もあります。

また、インフルエンサーやクリエイターとタイアップした周年記念企画もおすすめです。

限定性や話題性のあるコラボレーション施策は、ファン層の拡大や新たな顧客層へのリーチにつながり、ブランド価値も高められるでしょう。

◉-6、感謝を込めたメッセージの発信

周年記念は、さまざまな人たちに感謝の気持ちを表明する貴重な機会です。

そこで、日ごろの感謝をメッセージカードなどに込めて、社員や取引先の人たちに贈ってみましょう。

周年ならではの貴重なギフトや記念品を用意するのもおすすめです。

◉-7、オリジナルコンテンツの企画と制作

周年記念の施策として、企業独自のストーリーや価値観を伝える「オリジナルコンテンツ」の制作も効果的です。

企業の歴史や理念、社員の声などを活かした多様な表現手段を通じて、社内外へのメッセージ発信とブランディングを強化することができます。

◉-7-1、記念動画

周年の節目に、自社の歩みやビジョンをストーリーとして表現した記念動画を制作する企業もあります。

たとえば、ドキュメンタリーやブランドムービーといった形式で、経営者・社員へのインタビューや現場の風景を織り交ぜることで、リアリティと共感性の高いコンテンツになります。

◉-7-2、周年誌・記念誌・社史

周年の節目をまとめた冊子やデジタルブックも、企業の歩みや価値を可視化する有力な手段です。

たとえば、「年表+エピソード+社員の声」といった構成でストーリー性を持たせることで、読み物としての魅力が高まり、社員の参画意欲も引き出せます。

冊子形式とデジタルブックの併用が一般的で、書店流通は行わないのが基本です。

特にBtoB企業においては、取引先や学生を対象とした採用活動における訴求力が高いことが特徴です。

▶︎周年誌の詳細については、関連記事【周年史とは?出版目的や具体的な制作の流れや活用方法について解説】もあわせて参考にしてください。

▶︎記念誌の詳細については、関連記事【記念誌とは?読んでもらうためのコツや活用アイデアを解説】もあわせて参考にしてください。

▶︎社史の詳細については、関連記事【読まれ、活用される社史を作るコツ!作成後の有効活用方法も解説】もあわせて参考にしてください。

◉-7-3、周年ロゴ・スローガン

ロゴやスローガン、キャッチコピーで周年の世界観を表現する方法もあります。

作成したロゴやスローガンは、名刺・封筒・Webサイト・SNSアイコンなどに展開することで、企業メッセージに一貫性が生まれ、社内外への浸透力が高まります。

◉-7-4、周年記念特設Webサイト・Webページ

周年の世界観を表現する専用のWebサイトや特設ページを制作することで、情報発信を強化できます。

コンテンツとしては、以下のような情報を掲載するのが一般的です。

・企業の歴史タイムライン
・周年のコンセプト
・紹介社員インタビュー
・記念ムービー
・イベント情報

イベント終了後もブランドページとして残すことで、持続的なプロモーション資産として機能します。

◉-7-5、書籍出版(企業出版)

周年記念の機会に「書籍出版」を行うことは、企業にとって価値の高い施策といえます。

ブランド資産や企業理念を整理し、社会的信頼性を伴ったメッセージとして可視化できる点が魅力です。

周年記念誌とは異なり、一般書籍として流通させることで、社内外への発信力や信頼性の向上が期待できます。

▶︎企業出版のやり方については、関連記事【企業出版(ブックマーケティング)のメリットとは? 企業が考えるべき出版による効果】もあわせて参考にしてください。

◉企業の周年記念の効果を高めるうえで重要なポイント

周年記念でよくある失敗が、次の4つです。

・準備不足でグダグダのイベントになってしまう
・見た目だけのイベントで終わってしまう
・費用対効果が合わない
・社内の共感が得られなくて終わる

しかし、このような失敗をすることなく、周年記念を一つのきっかけとして、その後の会社の業績に良い影響を与えることは十分可能です。

具体的には、次のポイントを意識して計画する必要があります。

・1年〜2年前から資料収集をすすめる
・目的を明確にする
・多くの社員を巻き込む
・一貫性のあるコンセプトとメッセージ
・社外への積極的な発信
・周年記念を資産として残す工夫
・振り返りと効果測定

企業の周年記念の効果を高めるうえで重要な7つのポイントを見ていきましょう。

◉-1、1年〜2年前から資料収集をすすめる

周年記念に向けて記念誌や社史を制作する場合、大量の資料や記録の収集が必要となります。

過去の社内報や写真、社外の掲載記事、沿革データなど、情報は多岐にわたるため、プロジェクトが本格始動する前段階から、計画的に資料収集や整理を進めておくことが重要です。

早い段階で準備を始めておけば、制作スケジュールに余裕が生まれ、直前になって情報が不足するというトラブルを未然に防ぐことができます。

◉-2、目的を明確にする

周年記念の効果を高めるには、まず「なぜやるのか」「何を達成したいのか」という目的を明確に定めることが不可欠です。

ただ記念日を祝うという目的だけでは、単発のイベントで終わってしまい、その後に続く効果は得られません。

たとえば、「社員のモチベーション向上」「社外へのブランド価値発信」など、具体的な目的を設定することが重要です。

◉-3、多くの社員を巻き込む

周年記念を経営層主導の「自己満足イベント」で終わらせないためには、社員一人ひとりを当事者として巻き込むことが大切です。

具体的な取り組み例としては、以下のような施策が挙げられます。

・周年ロゴの社内コンテスト
・記念ムービーや記念誌への社員の声・写真の掲載
・若手社員を中心とした実行委員会の結成

実際にある大手企業では、周年記念の一環として小説仕立ての書籍を制作し、その企画・執筆を若手社員中心のプロジェクトチームが担当しました

営業やSE、総務などの部署から有志メンバーが参加し、完成した書籍が実際に書店に並んだことで、参加社員のモチベーションや帰属意識が大きく高まったといいます。

このように、自らが関わった成果が形として残る経験は、社内での評価向上やプロジェクトの継続的展開にもつながりやすく、企業全体に良い影響をもたらします。

▶︎書籍出版のやり方については、関連記事【本を出版するには?現役書籍編集者が本の出し方を分かりやすく解説】もあわせて参考にしてください。

◉-4、一貫性のあるコンセプトとメッセージ

周年記念の取り組みでは、企業の「らしさ」を体現した統一感のあるコンセプト設計が不可欠です。

ロゴやスローガン、Webサイト、パンフレット、イベント演出など、すべての要素に一貫したメッセージを通すことで、社内外に強い印象を残すことができます。

また、デザインやコピー、表現のトンマナ(トーン&マナー)を統一することで、ブランドの世界観を効果的に伝えることが可能です。

◉-5、社外への積極的な発信

周年記念は、社外に自社の魅力や存在感をアピールするチャンスです。

次のような複合的なPR手段を使って、計画的な情報発信を行っていきましょう。

・プレスリリース配信+記者向けイベント
・SNS(X、Instagram、YouTube)での周年企画・動画展開
・採用サイトや企業紹介資料への周年要素組み込み
・周辺記念書籍の出版
・周年記念Webサイトの作成

こうした施策を複合的に展開し、メディア掲載の機会を増やすことが重要です。

▶︎PRのやり方については、関連記事【企業が広報に使える媒体とは?種類や費用対効果の高い選び方を解説!】もあわせて参考にしてください。

◉-6、周年記念を資産として残す工夫

周年記念で制作したムービーや社史、写真、社員の声などは、継続的なコンテンツとして再活用できます。

たとえば、以下のような活用方法があります。

・採用資料や営業資料への再利用
・SNS投稿やオウンドメディアへの二次展開
・Webサイト内のストーリーページとしての常設掲載

周年記念のコンテンツを「1日限り」で終わらせず、長期的に活用することで、ブランド強化にもつながります。

◉-7、振り返りと効果測定

周年記念を終えた後こそ、次への改善に向けた振り返りが欠かせません。

効果測定の方法として、以下があります。

・アンケート・ヒアリングによる社内評価
・SNSでの反応、WebサイトのPV数、取引先からの反響などの外部評価
・成果をまとめたレポート化・社内共有

実施して終わりにするのではなく、成果の可視化と評価を通じて、次の周年企画や他のマーケティング施策へと活かしていきましょう。

◉企業の周年記念の計画・実施の手順

ここでは、企業の周年記念事業を計画・実施する手順について解説します。

一般的には、次の7つのステップで行います。

・ステップ1:【1年前】周年のゴール設定と目標の明確化
・ステップ2:【10ヶ月〜8ヶ月前】周年記念プロジェクト体制の構築
・ステップ3:【10ヶ月〜8ヶ月前】広報・宣伝戦略と大枠のスケジュールの決定
・ステップ4:【8ヶ月〜5ヶ月前】具体施策の企画・外注選定
・ステップ5:【5ヶ月〜2ヶ月前】制作と準備
・ステップ6:【1ヶ月〜当日】周年記念の実施
・ステップ7:【終了後】広報・宣伝戦略と大枠のスケジュールの決定

順を追って詳しく見ていきましょう。

◉-1、ステップ1:【1年前】周年のゴール設定と目標の明確化

周年記念のイベントをするにせよ、出版をするにせよ、ゴールの設定は最重要といえます。

周年事業を実施することで、「何を目指すのか」「どう見せたいのか」「どんなことを伝えたいのか」「何を作り出したいのか」といった目的をまず設定しましょう。

さらに、ターゲットの設定も重要です。

社員やその家族がメインのターゲットなのか、もしくは社外の取引先や潜在顧客、採用応募者がターゲットとなりうるのかなど、会社の予算を使って施策を実施する以上は、一つの経営戦略として施策実施後にどのようになっているのかの理想を思い描くと良いでしょう。

◉-2、ステップ2:【10ヶ月〜8ヶ月前】周年記念プロジェクト体制の構築

周年記念事業を成功させるために重要なポイントになるのが「どのようなプロジェクト体制を築くか」です。

準備段階を整えることが、プロジェクト全体の成功を左右するといっても過言ではありません。

まずは、各部門からメンバーを選出し、社内横断型の実行委員会を編成します。

役割ごとにチームを分けるのが一般的で、たとえば以下のような体制が想定されます。

・イベント企画チーム
・制作・クリエイティブチーム
・広報・PRチーム
・予算・進行管理チーム

それぞれが明確な役割を持つことで、作業の抜け漏れを防ぎ、スムーズな進行を可能にします。

特に周年記念事業は、会社全体を巻き込んで進める「共創型」のプロジェクトとして設計することが重要です。

◉-3、ステップ3:【10ヶ月〜8ヶ月前】広報・宣伝戦略と大枠のスケジュールの決定

周年イベントを実施するには、広報や宣伝活動の戦略立案をしなければなりません。

周年事業をやる以上は知ってもらって、メディアにも取り上げられる、またとない機会だからです。

周年記念式典といったイベント実施の時期を確定させ、その期日に向けてプレスリリースや広告宣伝の準備を行いましょう。

イベントの規模にもよりますが、具体的な企画やアイデアを具現化するまでに半年程度は要すると考えられます。

そのため、広報や宣伝のスケジュールは全体で共有しながら丁寧に進めることをおすすめします。

◉-4、ステップ4:【8ヶ月〜5ヶ月前】具体施策の企画・外注選定

この段階では、周年記念の目的やゴールに基づき、「どのような施策を行うか」の具体的な中身を設計します。

たとえば、以下のような施策の組み合わせが考えられます。

・社内向け:記念式典、社員表彰、記念動画、記念誌
・社外向け:特設Webサイト、書籍出版、顧客向けキャンペーン、展示イベント
・ブランド強化:ロゴリニューアル、タグライン刷新、記念グッズ制作

必要に応じて外部パートナー(制作会社・PR会社・デザイナー・ライターなど)を選定してアサインします。

◉-5、ステップ5:【5ヶ月〜2ヶ月前】制作と準備

企画内容と外注先が決まったら、いよいよ実施に向けた制作フェーズに入ります。

記念映像やパンフレット、Webサイト、記念品など、制作物の進行管理に加えて、イベント運営に必要な備品や会場手配、登壇者との調整も行います。

制作はスケジュール通りに進まないこともあるため、修正対応や納期の遅れに備えて、余裕をもった工程管理が不可欠です。

トラブルが発生した際にも慌てず対応できるよう、事前の段取りを丁寧に進めておきましょう。

なお、周年記念に合わせて書籍出版を検討している場合は、他の制作物と比べて取材・執筆・編集などに時間がかかるのが一般的です。

そのため、1年前後の制作期間を見込んでおくとよいでしょう。

特に書籍は早い段階で企画を立ち上げ、全体スケジュールの初期段階から計画に組み込んでおくことが大切です。

◉-6、ステップ6:【1ヶ月〜当日】周年記念の実施

本番当日に向けて各施策の最終チェックを行い、運営チームで緊密に連携しながらリハーサルと確認作業を行います。

特にイベント当日は、「誰が・いつ・どこで・何をするのか」を明確にした詳細な運営マニュアルを準備しておくと安心です。

また、式典や展示の様子、参加者の表情などを写真や動画で記録しておくと、後日のレポート作成やSNS・メディアでの情報発信に活用できます。

◉-7、ステップ7:【終了後】振り返りと今後の情報発信計画の策定

周年記念の実施が無事終了した後も、それで終わりではありません。

施策の成果や社内外の反響を振り返り、今後の企業活動へとつなげる姿勢が大切です。

具体的には、以下のような対応を行います。

・社内向け:実施報告書の共有、アンケートによるフィードバック収集
・社外向け:公式レポートやSNSでの発信、メディア掲載記事の拡散

また、周年を機に自社の理念やビジョンを再整理した場合は、それをどのように情報発信していくのかという広報・宣伝戦略やスケジュールを決定します。
これらによって、周年記念事業が一過性ではなく、企業文化として根付くようになります。

◉近年は周年記念の書籍を出版する企業も多い!

近年では、その後のPRに長く活用できるという点や、通常の書籍と同様に書店流通することによる認知度向上の効果が期待できることから、企業出版を活用して書籍を出版する会社が増えてきています。

周年記念を機に書籍出版を行うことによる効果としては主に次の5つが考えられます。

・顧客ロイヤルティ向上に良い影響がある
・競合他社との差別化につながる
・出版を通じた認知度の向上につながる
・求職者にとって良いイメージがつく
・周年記念イベント後も営業・マーケティング・広報に活用しやすい

それぞれ詳しく見ていきましょう。

◉-1、顧客ロイヤルティ向上に良い影響がある

周年記念の施策で重要な要素として考えられるのは、これまでの愛顧の気持ちをイベントやキャンペーンで表すことでしょう。

日ごろの感謝を示すイベントやキャンペーンを実施することで、顧客のロイヤリティ向上が期待できます。

たとえば、宝酒造の人気いも焼酎ブランド「一刻者」の20周年キャンペーンとして実施されたのが、「マストバイキャンペーン」です。

「頑固にこだわって20年」というキャッチフレーズを打ち出し、商品の購入者のうち抽選で500名に「一刻者」オリジナル陶器をプレゼントしました。

信頼の強固なロングセラー商品のファンに対して、オリジナル陶器をプレゼントすることでブランドのより一層のファン化が進んだ事例といえます。

◉-2、競合他社との差別化につながる

周年事業は、その貴重な機会をきっかけに競合他社との差別化を図る手段としても効果的です。

周年を記念した特別な企業ロゴを作れば、他社とは異なる印象をユーザーに印象付けることができます。

前述したキャンペーンやイベントなども差別化にはもってこいの方法ですが、ほか自社ならではの趣向を凝らしたノベルティを作成して配布するなどもおすすめの方法です。

このように競合他社では真似できない特別な手段を用いることで、現代ではSNSでユーザーが拡散してくれるPR効果も期待できるのです。

▶︎競合他社との差別化の詳細については、関連記事【差別化戦略の成功の秘訣ーメリットやデメリット、成功事例とは!?】もあわせて参考にしてください。

◉-3、出版を通じた認知度の向上につながる

周年史は、社内向けに配布するインナーツールと、社内外どちらにも訴求が可能になる流通書籍のタイプがあります。

この流通書籍として周年史を制作すると、一般の書店へ流通・配本されるため、一般読者への認知促進の効果が期待できます。

詳細は後ほどの事例紹介で解説しますが、会社の歴史を紐解く周年史を作ろうとして、結果的に自社製品にスポットを当てた出版をしたことで、全国各地の企業から「商品を仕入れたい」という声が殺到しました。

それだけでなく、出版をきっかけにテレビのディレクターの目にとまり、全国放送のバラエティ番組に著者の出演が決定。全国の視聴者に向けて自社製品のPRをすることができました。

▶︎認知度を上げる方法の詳細については、関連記事【経営者必読!認知度向上の方法と効果的なマーケティングの選択肢】もあわせて参考にしてください。

◉-4、求職者やその親にとって良いイメージがつく

一般市場に流通した書籍を出版している企業という箔がつくことで、求職者にとっては親御さんへの説得材料になります。

たとえば、競合他社に大手がひしめく業界で、書籍を手に取ったことをきっかけに親御さんから子どもに対して、「この企業を受けなさい」と中堅の企業を推薦した事例もあるほどです。

▶︎採用ブランディングのやり方については、関連記事【採用ブランディングとは?選ばれる企業になるための進め方とは】もあわせて参考にしてください。

◉-5、周年記念イベント後も営業・マーケティング・広報に活用しやすい

書籍は、周年記念イベントが終了した後も多方面で活用できます。

配布しやすく、自社の魅力や実績を効果的に伝えられるため、営業やマーケティング、広報活動をする際に役立つでしょう。

具体的には、営業提案時の資料として同封したり、リード獲得施策として配布したりすることで、信頼感を高めることができます。

また、書籍の内容をSNSと連動させて情報発信したり、一部を広報素材としてメディアに提供したりすることも可能です。

◉周年記念出版の成功事例

周年記念で書籍を出版して成功した事例は多々ありますが、ここでは次の3つの事例を紹介します。

・事例1:100周年記念出版をきっかけに商品が爆売れした老舗家具メーカー
・事例2:70周年記念出版が販路拡大に大きく貢献した食品製造会社
・事例3:30周年記念出版が中途採用に大きな効果を発揮した生命保険会社

以下で、詳しく見ていきましょう。

◉-1、事例1:100周年記念出版をきっかけに商品が爆売れした老舗家具メーカー

ある老舗家具メーカーでは、創業100周年を機に記念書籍を出版しました。

著者は当時の経営トップで、廃業寸前の赤字企業をV字回復させた改革の手法を解説する内容となっています。

この書籍が人気テレビ番組の制作スタッフの目にとまり、後に番組出演のオファーへとつながりました。

番組放送後は企業サイトへのアクセスが集中し、サーバーが一時ダウンするほどの反響を呼びました。

結果として、出演からわずか1ヶ月間で前年の売上を超えるという大きな成果が得られたといいます。

なお、この書籍は100周年の前年に出版されたもので、周年事業全体も大きな盛り上がりを見せました。

◉-2、事例2:70周年記念出版が販路拡大に大きく貢献した食品製造会社

愛知県の食品製造会社は、創業70周年をきっかけに書籍を出版しました。

当初は社史の制作を検討していましたが、自社製品の有用性を訴求する書籍を出版することに方針転換しました。

一般的に使用されているサラダ油の過剰摂取に警鐘を鳴らし、その解決策としてこめ油の有用性を説いたのです。

この書籍が反響を呼び、全国から新規取引の問い合わせを獲得することができました。

また、TV番組への出演も決定し、メディアへのPRにも効果がありました。

◉-3、事例3:30周年記念出版が中途採用に大きな効果を発揮した生命保険会社

ある大手生命保険会社では、創業30周年の節目に、自社の理念や事業の意義を広く社会に伝える目的で記念書籍を出版しました。

同社は外資系保険会社との合弁によって日本市場に参入し、ライフプランニングという考え方をより多くの人々に理解してもらう必要性を感じていました。

その一環として、当時教育分野で高い実績を持ち、東京や大阪などの公教育改革にも関わっていた著名人に執筆を依頼。

教育と人生設計の視点を交えた内容により、幅広い層に共感を呼ぶ書籍が完成しました。

書店プロモーションは東京都、大阪府、愛知県などの大都市圏を中心に展開され、結果として7万部を超えるヒットを記録しました。

また、この書籍は社内にも好影響をもたらし、若手社員やマネージャー層への理念浸透に貢献

さらに、中途採用の新入社員の多くが書籍を通じて企業への理解を深めており、ライフプランナーという職業に対する共感や憧れを育むきっかけにもなりました。

◉【まとめ】周年記念を「将来へ向けての再スタート」にしよう!

この記事では、企業が周年記念を迎えるにあたっての目的や意義、実施までの流れ、そして出版を活用した成功事例について紹介してきました。

周年記念は、企業のこれまでの歩みを振り返ると同時に、これからのビジョンを発信する機会です。

その想いや価値観を社内外に届ける手段として、注目されているのが「書籍出版(企業出版)」です。

フォーウェイが提供する「ブックマーケティングサービス」では、企業の歴史や価値観、創業者の想い、未来への展望などをプロの編集者が丁寧にヒアリングし、一冊の書籍として形にします。

書籍は、周年記念の場を一過性のイベントで終わらせず、その後の営業・採用・ブランディング活動にまで活かせる「資産」として活用できます。

周年記念にあたって書籍の出版にご興味をお持ちの方は、ぜひ一度フォーウェイまでご相談ください。

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