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2025.08.01

Branding

ブランディングとは?目的やメリット、種類を成功事例とともに解説!

競合がひしめく現代の市場において、「選ばれる企業・商品」になるには「ブランド力」が不可欠です。

価格や機能だけでは差別化が難しいため、顧客からの信頼や共感を得るための「ブランディング」がますます注目されています。

しかし一口にブランディングといっても、「そもそも何を指すのか?」「マーケティングと何が違うのか?」といった疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。

ブランディングの重要性は理解していても、具体的に何から始めればよいのか分からないという声も少なくありません。

本記事では、ブランディングの基本的な意味や手法、そして出版を活用した成功事例などを詳しく解説します。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

ブランディングとは

ブランディングとは、自社独自のブランドを構築し、その価値を社会に認知・浸透させることで信頼や共感を得て、他社との差別化や企業価値の向上を図るマーケティング戦略の一つです。

ここでいう「ブランド」とは、単にロゴや名称を指すのではなく、他社とは明確に区別できる「企業や商品・サービスの個性」そのものを指します。

ブランドというとファッションや高級品などの世界を思い浮かべてしまうかもしれませんが、ブランディングは中小企業や地域密着の小規模事業者であっても、決して無関係なものではありません。

たとえば、「一人ひとりのお客様にきめ細やかな対応ができる」という点が自社の強みであれば、それもブランディングのポイントになるからです。

自社の商品やサービスをお客様に選んでもらうためには、選ばれる仕組みを作る必要があります。

つまり、ブランディングは意図的にブランドを設計し、市場に根付かせていくための一連の取り組み全般を意味します。

ブランディングの目的

市場に同様の商品やサービスがあふれるなかで、「この会社」や「この商品・サービス」を選ぶ理由を明確にするのがブランディングの目的です。

単に機能や価格だけの価値で判断するものではなく、感情や価値観によるつながりを重視します。

たとえば、「環境負荷への取り組みに熱心な企業」には、環境問題に対する意識の高い方が興味を寄せる可能性が高いといえるのではないでしょうか。

ブランディングによって企業や商品・サービスへのイメージが確立され、他社との差別化ができていれば、物や情報があふれるなかで記憶に残りやすくなります。

良いと思った顧客がSNSや口コミを通じて拡散する可能性が高く、「○○といえばこの商品」のように認知度の向上に役立つでしょう。

ブランディングで企業や商品・サービスに対する信頼性が高まれば、ブランドに愛着を持つロイヤルカスタマーやリピーターを獲得でき、長期的な売上や利益の向上にもつながります。

ブランディングとマーケティングの違い

ブランディングもマーケティングも企業が行う取り組みという点では共通していますが、その目的や手法が異なります。

マーケティングは自社の商品やサービスを販売することが目的です。

そのために顧客のニーズを知るために市場調査を行ったり、商品・サービスを理解してもらえるような宣伝広告や販売促進の活動を行ったりします。

一方で、ブランディングは、自社や自社の商品・サービスに対するイメージを構築することが目的です。

顧客からの好感や信頼を得ることを目的とし、他社とは異なる独自のイメージを思い浮かべてもらい、選ばれるような活動を行います。
▶︎マーケティングとブランディングの違いの詳細については、関連記事【マーケティングとブランディングの違いとは?経営戦略における重要性を徹底解説】もあわせて参考にしてください。

現代のブランドを構成する要素

ビジネスでいわれるブランドとは、たとえば高級革製品のエルメスやグッチといったブランドが皆さんにも馴染み深いでしょう。

こうしたハイブランドのみならず、自動車のトヨタや家電のパナソニックなどもブランドです。

現代のブランドを構成する要素には、たとえば次のようなものがあります。

・企業や製品のロゴ
・名称や商標
・広告などに用いられるキャッチフレーズ
・WEBサイトやその他制作物のデザインとコンテンツ
・CSRなど企業の理念を体現した取り組み
・経営者や社員による社会への発信

企業と社会とが接点を持つすべての施策による総合的なイメージから、ブランドが形作られるのです。

そして、ブランドを意図して確立するために行なう取り組みを総称して、「ブランディング」と呼びます。

ブランディングには4つの分類がある

「○○ブランディング」と呼ばれる手法や考え方は多数存在しますが、実はその多くは4つの視点で分類できます。

・何をブランディングするのか?
・誰に向けたブランディングか?
・どの市場を意識したブランディングか?
・どんな手法でブランディングするか?

以下で4つの視点からのブランディングを紹介します。

何をブランディングするのか?

何をブランディングしたいのかで、発信すべき内容や他社と差別化するポイントも変わってきます。

具体的には、以下の3つです。

・企業ブランディング
・商品・サービスブランディング
・採用ブランディング

企業そのもののブランディングをしたい場合と、商品・サービスに焦点を当てたブランディング、自社に応募してくれる求職者に対するブランディングの3つに分けて解説します。

企業ブランディング

企業ブランディングは「コーポレートブランディング」とも呼ばれ、企業そのものの価値やイメージを社会に認知してもらうことを目的としたブランディングです。

経営理念やビジョン、企業文化や社会的なスタンスなどを社会に対し、一貫した形で発信することでその企業らしさを打ち出します。

▶︎企業ブランディングについては、関連記事【企業ブランディングとは?効果や具体的な8つの手法を徹底解説】もあわせて参考にしてください。

商品・サービスブランディング

商品・サービスブランディングは、名前の通り、自社の商品やサービスの価値・魅力を高めるためのブランディングです。

品質・価格・独自性・ストーリー性など、競合他社と差別化できる要素を打ち出し、自社が「選ばれる理由」を確立します。

たとえば、「高品質ながらリーズナブルな価格」「専門知識の豊富なスタッフによる丁寧な対応」などです。

▶︎商品・サービスブランディングについては、関連記事【商品ブランディングとは?効果や手順、具体的な手法を解説】もあわせて参考にしてください。

採用ブランディング

採用ブランディングはお客様ではなく、求職者に対して自社の魅力や理念を訴求します。

自社に対して共感を持って応募してもらうためのブランディングであり、人手不足の時代において、良い人材に「この会社で働きたい」と選ばれる企業になることが目的です。

企業ブランディングで訴求する理念やビジョンとブレがないよう、連動している必要があります。

▶︎採用ブランディングについては、関連記事【採用ブランディングとは?選ばれる企業になるための進め方とは」もあわせて参考にしてください。

誰に向けたブランディングか?

誰に向けたブランディングかでも違いがあり、大きく分けて2種類があります。

・インナーブランディング
・アウターブランディング

内向きのインナーブランディングと外向きのアウターブランディングという、異なる視点のブランディングについて、さらに詳しく掘り下げます。

インナーブランディング

インナーブランディングとは、企業の理念やビジョン、価値観を社内に浸透させるためのブランディング施策です。

従業員が企業の方針に共感し、「自分もその価値を体現する存在である」という意識を持って働けるようになることで、結束力やエンゲージメントの向上につながります。

また、採用後のミスマッチを防ぎ、定着率を高めたい企業にとっても欠かせない取り組みです。

▶︎インナーブランディングについては、関連記事【インナーブランディングとは?組織としての連携を強化し企業価値を高めるための手法を解説】もあわせて参考にしてください。

アウターブランディング

アウターブランディングは、顧客や取引先はもちろん、求職者なども含めた社外に対して企業や商品・サービスの魅力を発信する活動です。

紙の広告やテレビCMからWebサイトやSNSまで、さまざまな媒体を通じてブランドイメージを定着させ、「この会社やこの商品・サービスなら信頼できる」と思ってもらうことを目的とします。

どの市場を意識したブランディングか?

どの市場に向けてブランディングを行うのかによっても、訴求の方法や踏まえておくべきポイントが異なります。

主な市場として、3つあります。

・BtoCブランディング
・BtoBブランディング
・地域ブランディング

それぞれのブランディングの特徴と重要なポイントは、以下の通りです。

BtoCブランディング

BtoCブランディングは、個人の消費者を対象としたブランディングです。

BtoCブランディングでは、感情に訴えるメッセージやビジュアル訴求が重視されます。

商品に愛着を持ってもらったり、サービスを信頼してもらったりなど、ブランドへの共感を得る必要があります。

また、消費者が普段から直接手にする食品や化粧品、アパレル、サービスなどを対象としていることが多いため、ライフスタイルへの親和性があることもポイントです。

BtoBブランディング

BtoBブランディングは、法人向けのブランディングです。

BtoCブランディングのように感情を煽るようなメッセージやビジュアルに頼るのではなく、実績や専門性、信頼を訴求します。

一般の消費者は商品やサービスを気に入れば、すぐにでもアクションを起こす可能性がありますが、企業の場合、その場で決定することは稀です。

意思決定までの過程が多く、複数人によって選定されるため、論理に基づいた説明や安心感のある情報提供が重要です。

BtoBブランディングの具体例としては、コンサルティングやITサービス、製造業などがあります。

地域ブランディング

地域ブランディングは特定の地域に根ざした文化や資源の価値を明確にして発信することで、地域全体のブランド価値を高める活動です。

たとえば、地域産の製品をブランド化する、自然景観や食文化、温泉などの観光資源をもとに観光客を呼び込むなどの活動があります。

また、移住促進といった取り組みも、地方創生の一環として注目されています。

どんな手法でブランディングするか?

ブランディングの手法による分類も4つあります。

・デザインブランディング
・SNSブランディング
・ストーリーブランディング
・出版ブランディング

それぞれの特徴や有効なケースを紹介します。

デザインブランディング

デザインブランディングは、視覚的要素を一貫させてブランドイメージを確立する手法です。

ただし、見た目が美しければいいというわけではありません。

たとえば、企業を象徴するカラーで統一すると、イメージと合致しやすいでしょう。

カラー以外でもロゴやフォント、パッケージやWebサイトに至るまで、ブランドに関わるものをイメージに合わせて統一する必要があります。

視覚に訴えかけるデザインブランディングは直感的な印象づけに強く、短時間でブランドを認識してもらうのに有効です。

SNSブランディング

SNSブランディングはSNSを活用してブランドの世界観を発信し、親近感を育てる手法です。

InstagramやX(旧Twitter)、Facebook、Tik Tokなど、複数のツールから顧客層に合うものを選び、発信します。

ユーザーが日常的に利用しているツールを活用し、双方向でやり取りできるのがメリットです。

ユーザーの反応を確認できるほか、意見や感想を受け取ったうえでコミュニケーションが取れるため、エンゲージメントの高いブランド構築に効果的です。

ストーリーブランディング

ストーリーブランディングは、ブランドの成り立ちや商品開発の背景、創業者の想いなどを物語として発信し、ユーザーの共感を得るブランディングの手法です。

「なぜこのブランドなのか」を言語化してストーリー仕立てにすることで、記憶にも残りやすくなり、ブランドそのもののファンになってくれる可能性も高まります。

▶︎ストーリーブランディングについては、関連記事【ストーリーブランディングとは?企業の物語を伝えてファンを作る方法】もあわせて参考にしてください。

出版ブランディング

出版ブランディングは、書籍や電子書籍、ホワイトペーパーなどを活用し、自社の思想や専門性、信頼性を発信することでブランドの権威づけを行う手法です。

インターネットを検索すれば多くの情報を得られるものの、根拠が不明な情報もあふれています。

その点、「書籍を出版した」という実績は、信用獲得につながりやすいのがメリットです。

▶︎出版ブランディングについては、関連記事【出版ブランディングとは?次なるステージに進みたい企業におすすめの施策】もあわせて参考にしてください。

ブランディングによって得られるメリット

ブランディングによって得られるメリットは、主に5つです。

・価格競争から脱却できる
・顧客ロイヤルティが向上し、売上とリピート率のアップにつながる
・広告宣伝にかかるコストを抑えられる
・社員のモチベーションアップにつながる
・優秀な人材を集めやすくなる

5つのメリットについて、それぞれ詳しく解説します。

価格競争から脱却できる

「ブランド力がある」というと、「高級なイメージがあって価格が高くても買ってもらえる」という意味と同義で考えている人が多いかもしれません。

こうした認識はブランドの一部を捉えていますが、本来のブランドはもう少し広い概念を含みます。

たとえば、アウトドアファッションブランドのパタゴニアは、「リサイクル素材100%使用のアイテム開発」「持続的な農業研究への参画」など、環境意識の高いサステナブルな企業としての取り組みを積極的に発信しています。

このブランディングが功を奏し、環境意識の高い先進的な人々から、他のブランドではなく絶対にパタゴニアを選ぶ、というファン層を多く獲得しているのです。

シューズメーカーのドクターマーチンは、その独特な丸みを帯びた靴のフォルムがイギリスのロックカルチャー文化の体現としてブランド化され、ブリティッシュロックのファン層から積極的に選ばれています。

ほかに有名どころだと、コーヒーチェーンのスターバックスは、元CEOのハワード・シュルツ氏による「サードプレイス(家でも職場でもない素敵な第三の場所)」というコンセプトに基づいたブランディングの成果で、外で落ち着いてコーヒーを飲みたいユーザーが真っ先に思い浮かべる場所として自社を位置づけることに成功しました。

これらのブランディング成功企業は、必ずしも競合に比べて価格がとても高いわけではありません。

重要なポイントは、ブランディングによって自社の位置付けや考え方をユーザーと明確に共有し、競合と比較されずに指名で選ばれる商品・サービスにできた点です。

ブランディングに成功すれば、競合との値下げ競争から解き放たれ、適正な利益を確保しながらブランドをより強化する取り組みに経営資源を割くことができています。

顧客ロイヤルティが向上し、売上とリピート率のアップにつながる

ブランディングが成功すると、自社そのものや提供する商品・サービスに対して、安心感や信頼感を持ってもらえます。

愛着が湧き、ファンとして育ってくれると、「また次も商品を購入しよう」「サービスを利用しよう」という感情を起こさせるため、結果的に売上やリピート率のアップにつながります。

広告宣伝にかかるコストを抑えられる

ブランディングによって既存の顧客がファン化してくれると、顧客自身がSNSや口コミで情報を拡散してくれる可能性が高まります。

SNSなどで拡散されれば、それまで自社や自社の商品・サービスに興味がなかった新しいターゲット層にも情報が届き、アプローチしやすくなるのもメリットです。

結果的に広告宣伝にかかるコストを抑えつつ、事業の拡大も狙うことができます。

社員のモチベーションアップにつながる

ブランドイメージが確立して自社が提供する商品やサービスに自信が持てるようになると、社員にも自社に対する誇りが生まれます。

企業が掲げる理念や価値観に共感し、やりがいを持って働けるようになることで業務に対するモチベーションも上がり、生産性の向上にもつながります。

優秀な人材を集めやすくなる

ブランディングによって企業の価値や信頼度が向上すると、既存の社員の共感を得られるだけではなく、求職者にとっても魅力のある企業として認識されます。

「この企業で働きたい」という応募者が集まりやすくなると、従来ほど採用に注力する必要がなくなり、コストの削減にもつながります。

ブランディングを成功させる4ステップ

では、実際にビジネスの現場でブランディング、あるいはリブランディングを成功させる方法を解説します。

今回は、個人事業主や小さな企業でもブランディングを実行できるように、ごくごくシンプルなステップにまとめました。

・ブランディングのステップ①自社ブランドの現状測定
・ブランディングのステップ②ブランドコンセプトとターゲットの決定
・ブランディングのステップ③個別施策の精査と実行
・ブランディングのステップ④効果の検証と改善(PDCAを回す)

4つのステップに分けて、詳しく解説します。

ブランディングのステップ①自社ブランドの現状測定

ブランディングに取り組むうえでまず行なうべきは、現状の自社ブランドについて、客観的に把握することです。

それには、ユーザーの声を聞くことが最も有効です。

自社の既存ユーザーにアンケートを取ったりヒアリングをかけたりして、なぜ自社を選んだのか聞いてみてください。

自社の担当者から直接聞くとおべっかを使われてしまう可能性があるので、外部調査機関を使っても良いでしょう。

一方で、「選ばれなかった理由」を知るのはさらに重要です。

営業マンなどから、商談のなかで競合に決まってしまったケースの情報を可能な限り多く集め、社内で徹底的に分析しましょう。

この際、「価格では負けていなかったのに競合に取られてしまった」「競合であると考えていなかった低価格低品質の他社に取られた」といった事例が必ず出てくるはずです。

このような事例こそ、自社のブランド力不足を明らかにするヒント。

ブランドが確立していれば起こり得ないケースだからです。

とことん突っ込んで議論し、自社の現状を謙虚に把握しましょう。

ブランディングのステップ②ブランドコンセプトとターゲットの決定

自社のブランドについて現状を把握したら、次は進むべき方向を定めます。

ステップ①で把握した現状の不足に対して、それを克服できるようなブランドコンセプトを定め、自社のターゲットも同時に明確にします。

実在の例を用いると、次のような内部コンセプトを決定するイメージです。

おしゃれで先進的な人々に対し、クールな製品を通じたスタイリッシュなライフスタイルを提供する(Apple)最も安心できる自動車をお手頃価格で求める人々に対し、運転しやすく安全性能の高い、丈夫なクルマを適正価格で提供する(トヨタ自動車)モノへのこだわりを表現して自分自身をブランディングしたいハイソサエティ層に対し、職人一人ひとりのストーリーが詰まった最高品質の腕時計を提供する(リシャール・ミル)
※それぞれのブランドの内部コンセプトは、当社の独自分析によるものです。

このように、ターゲットを含めた内部コンセプトがはっきりすると、ブランディングの方向性は自然と明確になってきます。

ブランディングのステップ③個別施策の精査と実行

ブランドコンセプトとターゲットが定まったら、自社が現在、ユーザーと持っている接点をすべて再検証します。

たとえば、ハイソサエティ向けに高品質な商品・サービスを提供しているのに、自社サイトがポップなデザインで「安さ・手軽さ」を売りにしているようであれば、ブランドコンセプトとのミスマッチになります。

製品に対する哲学やサービスに対する思いを強みにしたいのに、自社の理念やストーリーを何も公開していないとしたら、ブランディングは成功しません。

このように、あるべき自社のブランドに沿った施策をきちんと取っているか精査し、足りない施策は新たに実行する必要があるのです。

ブランディングプロセスの好事例として、ゼネコンの前田建設工業の取り組みを紹介しましょう。

ゼネコンとはブランディングの難しい業種です。

ある程度の規模であればどこも技術力や得意な工事にはさほど差がなく、結局横並びで「安心」「誠実」といった抽象的なメッセージを発信するブランディング施策になってしまいがちなのです。

前田建設工業についても、特徴や強みの打ち出しに苦労していたことは容易に想像できます。

そこで前田建設工業が行なったのは、特設ページによる「前田建設ファンタジー事業部」というコンセプトの打ち出しです(https://www.maeda.co.jp/fantasy/)。

前田建設ファンタジー営業部は特設サイトにおいて、「マジンガーZ地下格納庫一式工事は予算72億円、工期6年5ヵ月(ただし機械獣の襲撃期間を除く)で引き受けます」など、ファンタジー世界の構造物を実際に大手ゼネコンが請け負ったらどうなるか、という空想を面白コンテンツとして展開。

そのマニアックさと異様なまでの緻密な分析によってサイトが大ヒットし、同テーマで出版した書籍もベストセラーになりました。

2020年には映画も公開されています。

こうした、ブランドの現状を見据えた一連のブランディング施策により、前田建設工業は「遊び心があって挑戦的なゼネコン」としてのブランドを確立することに成功。

会社の知名度を大きくアップさせるとともに、競合と比べられない独自の立ち位置を確立したのです。

このほかにも、テレビCMをはじめとした大規模な広告ブランディングや、自社店舗の全店改装でブランディングを成功させた事例が見られます。

ただ、今回は「予算がそれほど潤沢でなくても実行できる」という観点に重きをおいて解説しました。

ブランディングのステップ④効果の検証と改善(PDCAを回す)

ブランディングは一度行ったら終わりではありません。

トレンドが変化して、ブランディングの内容とは合わなくなってしまうこともあるでしょう。

また、競合他社が増え、市場の状況が変わる場合もあります。

そのため、ブランディングは中長期視点で考え、効果を上げているかどうかを定期的に検証することが重要です。

ブランドがどのくらい認知されているのかを検証する方法には、以下があります。

・Webサイトへのアクセス数や訪問者の行動
・SNSへのリアクション
・メディア掲載数
・口コミやレビューサイトでの評価

自社のブランディングに合う検証方法で効果を見直し、修正点が見つかれば戦略を練り直して改善に努めましょう。

ブランド力を高めるなら出版ブランディングがおすすめ!

企業の専門性や信頼性を伝える手段として、出版ブランディングが効果的です。

現代ではインターネットを駆使すれば、さまざまな情報を入手できます。

しかし、根拠があいまいだったり、出典が明記されていなかったりする情報も多く、必ずしも正確な情報が得られるとは限りません。

一方、信頼できる出版社から書籍を出版し、自社の思想やノウハウを体系的に伝えられれば、ブランドに対する「信頼」や「共感」を獲得しやすいのがメリットです。

出版実績が注目されれば、他社との差別化やメディア露出のきっかけにもつながります。

書籍出版はBtoC・BtoB領域だけではなく、求職者に向けた採用ブランディングやPR強化にも活用できます。

ブランド価値を根本から高めたい企業には、出版ブランディングは効果的な施策です。

▶︎企業出版のやり方については、関連記事【企業出版(ブックマーケティング)のメリットとは? 企業が考えるべき出版による効果】もあわせて参考にしてください。

出版ブランディングの成功事例

実際に出版ブランディングを実施し、成功した事例は以下の3つです。

・出版を通じて著者をリブランディング!建設業コンサルタントの出版成功事例
・医師向けブランディングに成功!不動産投資会社の出版プロモーション事例
・発売前に重版決定!美容・健康食品ブランドの信頼性とリピート率を高めた出版事例

3つの事例をそれぞれ紹介します。

出版を通じて著者をリブランディング!建設業コンサルタントの出版成功事例

建設業専門のコンサルティング会社が、自社の事業を認知してもらうために書籍を出版しました。

同社は2016年にも書籍を出版しており、今回はその後に蓄積されたノウハウや成功事例をより分かりやすく体系化した最新版として再発信することが目的でした。

出版にあたって、ターゲット層に届けられるように「建設業のための」という文言をタイトルに入れ、専門分野を明確にしています。

その結果、発売からわずか1か月で重版が決定し、累計発行部数は5,000部を突破

livedoor NEWSやLINEニュースをはじめ、計17媒体に取り上げられ、反響を呼びました。

出版をきっかけに、コンサルティング契約の問い合わせが10数件増え、顧客層の広がりにもつながっています。

医師向けブランディングに成功!不動産投資会社の出版プロモーション事例

不動産投資サービスを手がけるある不動産会社の経営者は、もともとSNSやWeb広告で情報を発信していたものの、効果は得られていませんでした。

そこで、「医師にとって最も効果的な節税対策は不動産投資である」というメッセージを軸にした書籍を出版

企画段階からターゲット戦略を明確にし、出版後のプロモーションまで一貫して設計した結果、多くの医師に書籍を手に取ってもらうことができました。

その結果、書籍を読んだ医師に不動産投資による具体的な節税効果が伝わり、発売から6か月間で獲得した10件の問い合わせすべてが成約という、驚異の成約率100%を達成しました

さらに既存顧客から情報が拡散され、新規顧客の獲得にもつながっています。

発売前に重版決定!美容・健康食品ブランドの信頼性とリピート率を高めた出版事例

美容・健康食品ブランドは、既存顧客のファン化と企業ブランディング強化を目的に、代表自らの人生観を反映した書籍を出版しました。

出版記念として行った書籍プレゼント企画には、想定の6倍以上の応募が集まり、読者から共感の声が多数届いたことでブランド好感度が上昇。

LTV(顧客生涯価値)も出版前より明確に向上しました。

著名人とも連携したことで発売前から重版が決定し、メディアにも取り上げられています。

さらに、自社メディアやSNSでの出版実績が差別化要素となり、テレビ通販番組への出演や講演依頼も実現し、出版が「信頼の証」として、ビジネスチャンスにつながりました。

【まとめ】出版ブランディングでブランド力を高めよう!

ブランディングは競合他社との差別化を図り、企業の価値を向上させるためにも重要な戦略です。

ブランディングは4つの視点で分類でき、目的に応じてさらに細かい手法があります。

なかでも、出版ブランディングは自社の理念や思想、ノウハウなどを書籍として体系的にまとめて伝えられるため、信頼や共感を獲得しやすいのがメリットです。

フォーウェイでは、出版マーケティングを中心として、企業の成長を支えるサービスを展開しています。

「集客のため」「採用活動のため」など、企業によって異なる具体的な目的を達成できるよう、コンサルティング目線でサポートしています。

出版ブランディングを含め、自社のブランディングにお悩みの方は、フォーウェイまでご相談ください。