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2025.04.18

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本を出版するには?現役書籍編集者が本の出し方を分かりやすく解説

本を出版したいと考えている経営者や事業者が、まず知っておくべきなのが「どのような方法で本を出版できるのか」です。

実は出版と言っても複数の手段があります。

それぞれ特徴やメリット・デメリット、費用感、制作工程などが異なるため、「本を出版したい」と思ったら、まずは自身にとって最適な出版方法の検討から始めましょう。

今回は、「本を出版したい」と思った際に取れる出版方法の選択肢を含め、本を出版するために検討や準備が必要なことを、現役の書籍編集者が分かりやすく解説します。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
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慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

◉本を出版するには?取れる選択肢は主に2つ

出版社から声をかけられるケース(商業出版)を除いて、経営者や事業者が「本を出版したい」と思ったときに、選ぶことができる出版方法は主に次の2つです。

・自費出版
・企業出版(カスタム出版)

以下で、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

◉-1、自費出版

「自費出版」とは、主に個人が「自分の経験や考えを世の中に伝えたい」「自分史をまとめたい」「趣味の集大成としたい」などのために原稿を書いて本という形にするための出版方法で、出版費用は全額著者の負担となります。

「自費出版」の主なメリットは次の通りです。

・出版社が企画に関与しないため、本の内容やデザインなどを自分の思うとおり自由に作ることができる
・書籍の著作権が出版費用の負担者である著者に帰属する

一方で、「自費出版」の主なデメリットは次の通りです。

・出版費用が全額著者の負担になる
・基本的に書籍が書店で販売されることはなくプロモーションなども行われない

「自費出版」であっても、大手出版社の自費出版部門などに依頼してオプション費用を支払うと、書店流通やプロモーションを行ってもらえる場合があります。

ただし、著者が期待するような書店流通やプロモーションを行ってもらえなかったり、制約条件などが定められていたりするので、「どの程度書店流通やプロモーションを行ってもらえるのか?」を事前に出版社によく確認しておく必要があります。

また、「自費出版」には次の3つのやり方が存在します。

・出版社に依頼する
・印刷会社に製本を依頼する
・電子書籍で出版する

それぞれ仕組みや特徴、仕上がりのクオリティ、費用感などが異なります。

違いなどを見ていきましょう。

▶︎自費出版の詳細については、関連記事【自費出版とは?メリットやデメリット、費用相場、成功事例などを解説】もあわせて参考にしてください。

◉-1-1、出版社に依頼する

自費出版をサービスとして行っている出版社は、総合出版社か自費出版専門出版社のどちらかになります。

自費出版部門を設けている総合出版社では、多くの経験を積んだベテラン編集者が企画から校正まで関わってくれますが、出版費用は総じて高めです。

もちろん、依頼する範囲を選ぶことができますので、原稿執筆などは自分で行って最終的な確認などの最低限のサポートを依頼するようにすれば、費用を抑えることは可能です。

また、必要に応じて、ライターに原稿執筆を依頼したり、書店流通・プロモーションなどを依頼したりすることもできます。

一方、自費出版専門出版社は「自費出版」に特化していますので、著者の細かいニーズに応えてくれて、費用も安めの傾向があります。

自費出版専門出版社は、書店流通やプロモーションについて対応していないことが多く、対応している場合でもあまり大きな効果は期待できませんので注意しましょう。

▶︎自費出版の詳細については、関連記事【自費出版でカモにされずに安全に出版するためには?実際のトラブル事例から学ぶ対策】もあわせて参考にしてください。

◉-1-2、印刷会社に製本を依頼する

印刷会社の中にも「自費出版」を受け付けているところがあります。

印刷会社の本業は印刷ですが、その関連事業として「自費出版」の編集や校正を行っていることがあるのです。

印刷会社に依頼すると、出版社よりも費用が安くなるというメリットはありますが、編集や校正などのサポートは最低限になります。

また、流通やプロモーションを行ってくれる印刷会社もあるようですが、基本的には印刷・製本までと考えておいた方が良いでしょう。

◉-1-3、電子書籍で出版する

とにかく出版費用を抑えたいという場合は「電子出版」の利用が考えられます。

「電子書籍」は、印刷・製本や在庫管理が不要になるため、出版社や印刷会社に依頼するよりももっと安い費用で出版することができます。

ただし、紙の本のように形として残らないことや、電子書籍の読者数が圧倒的に少ないため多くの人に読んでもらえるとは限らないことに注意が必要です。

公共社団法人 全国出版協会が公表している「2022年 出版物売り上げシェア」を見ると、電子書籍のシェアは全体のわずか2.7%です。

出典:出版指標年報 2023年版

「電子書籍の需要が高くなってきている」とは言われていても、まだまだ紙の本に比べると売上シェアでは遠く及びません。

「自分の作品をどんな形でも良いから安く世の中に発信したい」という人には向く自費出版の方法ではありますが、それほど大きな影響力や反響は見込めない、と思っておきましょう。

◉-2、企業出版(カスタム出版)

「企業出版(カスタム出版)」の出版費用は、「自費出版」と同じく著者または企業が全額負担しますが、書店流通やプロモーションを行うことが前提となります。

そのため、企業が経営課題の解決のためにマーケティングやブランディングの一環として本の出版を活用するという場合に向いています。

企業出版(カスタム出版)の主なメリットは次の通りです。

・書籍の著作権が著者(企業)に帰属するため、コンテンツをオウンドメディアなどへ二次利用することができる
・書店流通をコントロールすることにより、ターゲティングやエリアマーケティングをすることができる
・書籍という形の資産が残る

また、企業出版(カスタム出版)の主なデメリットは次の通りです。

・費用が高めで出版までに時間がかかる
・情報のアップデートが難しい

自費出版とどのように違うのか、弊社で行っている企業出版のフローをご紹介します。

弊社の企業出版の詳細フロー

ステップ1:本の企画立案

・本を出版する目的やターゲットとなる読者層を明確にします。
・目的やターゲットに合わせて、本のテーマや内容を決定します。
・企画段階では、書籍の仮タイトルや章立てを作成します。

ステップ2:取材・インタビュー、原稿の執筆

・著者本人や会社関係者へのインタビューを行って執筆に必要な情報を収集します。
・取材内容をもとにライターが原稿を執筆します。

ステップ3:編集、校正

・ライターが執筆した原稿を、著者と編集者でチェックします。
・校正では、誤字や脱字の修正、表現のゆれの調整などを行います。
・すべてのチェックと修正が完了すると校了となります。

ステップ4:カバーデザイン、レイアウトの決定

・書籍のカバーデザインをフォーウェイから提案します。
・本文、写真、図表などのレイアウトを決めます。

ステップ5:プロモーション戦略の策定と実施

・プロモーションの方法などについて打ち合わせを行います。
・プロモーション戦略としてまとめます。
・プロモーション戦略に基づき、書店営業や広告宣伝を実施します。
・SNSやWebサイトなどを活用したプロモーションを行います。

ステップ6:印刷、製本、出版

・校了した原稿データを印刷所に送って、書籍の印刷と製本を行います。
・印刷、製本が完了すると書籍が完成し、書店に配本します。

▶︎自費出版の詳細については、関連記事【企業出版(ブックマーケティング)のメリットとは? 企業が考えるべき出版による効果】もあわせて参考にしてください。

◉「商業出版」は個人・法人が出したいと思って本を出せる方法ではないので注意

「自費出版」と「企業出版(カスタム出版)」という出版方法のほかに「商業出版」という仕組みもあります。

「商業出版」は本を出版する方法の1つですが、基本的には出版社自身が利益をあげるためにベストセラーを狙って本の企画を考え出版するやり方です。

まれに著者自身が出版社へ持ち込んだ企画が書籍化されることもありますが、ほんの一握りにしかすぎず、経営者や事業者が「商業出版をしたい」と考えても実現できるような方法ではありません。

現実問題として、テレビなどのメディア出演が多い著名人やSNSフォロワーが多いインフルエンサーレベルでないと、いきなり持ち込みで「商業出版」を狙っても、まず出版社には相手にされないでしょう。

このように「商業出版」のハードルはみなさんが思っている以上に高いため、個人が本を出版したいと思った時には「自費出版」か「企業出版(カスタム出版)」が主な選択肢となります。

◉本の出版方法は目的で選ぶのがおすすめ!

「自費出版」にするか「企業出版(カスタム出版)」にするかは、本の出版の目的が何かによって選ぶのがおすすめです。

◉-1、自費出版がおすすめな場合

「自分の作品を本という形にしたい」という場合や、経営者などが「名刺代わりに本を配布したい」というような場合には「自費出版」がおすすめです。

なぜなら「自費出版」は、原則として出版以外の書店流通や販促・プロモーションは行わないからです。

「自費出版」であれば、本の出版以外の費用はかかりません。

◉-2、企業出版(カスタム出版)がおすすめな場合

企業が自社のマーケティングやブランディングを目的とする場合には、書店への流通や販促・プロモーションが必要なので、「企業出版(カスタム出版)」がおすすめです。

なぜなら「企業出版(カスタム出版)」の目的は、出版した本を書店に流通させ、プロモーションを行い、顧客に購入して読んでもらうことだからです。

読者が書籍の内容に共感して自社や自社の商品やサービスに興味を持ってくれると、書籍経由でのお問合せ・見積もり・資料請求などの増加や、自社のブランディングにつながる可能性が高まります。

◉本を出版するには何が必要?

本を出版するために必要な知識や準備、検討しておくべきことは、次の通りです。

・本の出版に関する知識
・本を出版する目的
・本の企画
・本の出版にかけられる費用
・本の制作にかかる工数・時間

それぞれ必要なものを具体的に見ていきましょう。

◉-1、本を出版に関する知識

本を出版するためには、出版に関する必要最低限の知識が必要です。

たとえば、自身の目的を達成するためにはどのような出版方法が向いているのか、どういった出版社を選べば良いのか、費用はどれぐらいなのかという知識は最低限もっておいた方が良いでしょう。

また、「自費出版」と「企業出版(カスタム出版)」それぞれの仕組みや費用感の違いも知っておく必要があります。

本の出版に関する知識がなくても出版社に依頼すれば出版自体はできてしまいますが、出版社の中には、少なからず悪徳な業者も存在します。

たとえば、レベルの低い外部編集に制作を丸投げして差額の利益金だけは適正を超える水準で取っていくというのは稀にある事例です。

また、出版社に流通やプロモーションを依頼する場合で言えば、出版後どのような流れで行われるのかわからないのをいいことに、ほとんど流通できないのに「全国の書店に並びます」と売り込むというケースもあります。

悪徳業者でなかったとしても、後々「思っていたような本ができ上がらなかった」など、自分の予想と違った結果になって「話が違う」というトラブルになってしまう可能性もあるのです。

そういった起こりうるトラブルを予防するためにも最低限の本の出版に関する知識は持っておいた方が良いと言えます。

▶︎自費出版の詳細については、関連記事【【トラブル事例を多数紹介】自費出版で失敗しないためのポイント】もあわせて参考にしてください。

◉-2、本を出版する目的

本を出版するためには、出版する目的を明確にしておく必要があります。

「ただ本を出版したい」「本の出版によって自社の知名度を上げたい」「自社の商品やサービスの売上向上につなげたい」など、本を出版する目的によって、選ぶべき出版方法が違ってくるからです。

目的が明確になっていれば、最適な出版方法を選ぶことができますし、本の企画や内容などもその目的達成のために工夫を凝らすことができます。

◉-2-1、本を出版する目的によって出版方法は大体決まる!

「ただ本を出したい」だけであれば「自費出版」でまったく問題ありません。

しかし、「自社のマーケティングやブランディングの一環として本を活用したい」「商品やサービスのマーケティングに活用したい」などの目的があるのであれば、書店に流通させる必要があるので、「企業出版(カスタム出版)」でなければ良い成果が得られない可能性があります。

このように、本を出版する目的によって最適な出版方法が決まってきます。

◉-3、本の企画

もし「こういう内容の本を出したい」という希望があるのであれば、事前にまとめておきましょう。

もちろん「本をこういう目的で出版したい」という目的だけがあって、出版社に依頼した後に出版社のアドバイスを受けながら企画を練り上げていくという方法でも構いません。

特に自費出版の場合は、企画書がまとまっていると、出版社に依頼してから本の制作までがスムーズに進みます。

自費出版の場合、出版社は基本的に著者の出したい企画に干渉せず、制作実務だけをこなすため、企画書があった方が自分の思いを伝えやすくなるのです。

一方で、企業出版の場合はビジネスで成果をもたらすために企画段階から細かくすり合わせ、出版社側が企画書を作って提案するため、著者側が作成する必要はありません。

著者側の企画書が必要かそうでないかという点は、自費出版・企業出版を分ける一つのポイントです。

◉-4、本の出版にかけられる費用

本の出版にどれぐらい費用がかけられるのかの予算感も重要です。

全くお金がかけられないのであれば、印刷会社に製本を依頼する「個人出版」や「電子書籍」などでなければ難しいでしょう。

ある程度お金がかけられるのであれば出版社に依頼するのがおすすめです。

また、自社でマーケティングやブランディングの予算が確保できるのであれば「企業出版(カスタム出版)」という方法も選択肢として選ぶことができます。

このように、かけることができる費用の多少によって、作る本の出版方法やレベルが変わってくるのです。

▶︎自費出版の詳細については、関連記事【自費出版でカモにされずに安全に出版するためには?実際のトラブル事例から学ぶ対策】もあわせて参考にしてください。

◉-5、本の制作にかかる工数・時間

本の制作工程の中で、自分自身がどの程度の工数や時間を割くことができるのかを考えておく必要があります。

「本を出版するにはすべて自分で書かないといけない」と考える方は多いかもしれませんが、すべての出版方法が著者主体というわけではありません。

確かに、自費出版は基本的に主役は著者なので、自分で考えて決めて手を動かす必要があります。

そのため、工数や時間はある程度かける覚悟が必要です。

しかし一方で、企業出版はコンサルティングを受ければ、その内容から成果物を作ってもらえるため、著者にかかる工数や時間はチェックのみとなります。

実際に、フォーウェイでは、多忙な経営者であっても本の出版を実現しています。

そのカギとなるのが、基本的に成果物を弊社で作成し提案する流れや、経営者とコミュニケーションを積み重ねて本を作ることに長けた経験豊富なスタッフです。

「企業出版を活用して本を出版したい」という方はフォーウェイにご相談ください。

【まとめ】本を出版するには、まずは出版目的を明確にするところから始めよう!

今回は、本を出版したいときに選択できる「自費出版」と「企業出版(カスタム出版)」のやり方について詳しく解説しました。

「自費出版」と「企業出版(カスタム出版)」のどちらを選択するかは、出版目的によって変わってきます。

記事の中で説明したように、経営者や事業者が本を出版したいと思ったときに、まず明確にしなければならないのは出版目的です。

「ただ本を出版したい」あるいは「名刺代わりに本を配りたい」のであれば「自費出版」で構いませんが、「本の出版によって自社のマーケティングやブランディングに役立てたい」というのであれば「企業出版(カスタム出版)」を選択すべきです。

株式会社フォーウェイでは「企業出版(カスタム出版)」について、大手出版社で編集経験を積んだスタッフが、本の企画立案から出版後のマーケティングやブランディングまでを一貫してサポートしています。

「本を出したい」という希望をお持ちの経営者や事業者の方は、ぜひ株式会社フォーウェイまでご相談ください。