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2024.06.03
Branding, Marketing
出版プロデューサーとは何者?役割や注意点、経営者に有効な出版方法を解説
企業経営者が書籍を出版する際には、出版社や編集者などのプロの手を借りることが必要です。
もしくは、出版社には属していない「出版プロデューサー」という職業の方にサポートしてもらうことも考えられます。
本記事では、「出版プロデューサー」の役割や選ぶ際の注意点などについて詳しく解説します。
目次【本記事の内容】
- 1.出版プロデューサーとは何者か
- 1-1.出版プロデューサーとは
- 1-2.出版コンサルタントとは
- 1-3.出版エージェントとは
- 2.出版プロデューサーに依頼するメリットとは
- 2-1.専門知識やノウハウをもとにアドバイスをしてくれる
- 2-2.プロジェクト進行のサポートにより時間と労力を短縮できる
- 2-3.販売戦略やマーケティング支援も受けられる
- 2-4.商業出版により費用対効果の高い出版が可能となる
- 3.商業出版と自費出版の違い
- 3-1.商業出版とは
- 3-2.自費出版とは
- 4.出版プロデューサーを選ぶ際に注意すべきポイント
- 4-1.経験とスキルを持つプロデューサーを選ぶ
- 4-2.出版経路を明確に持つプロデューサーを選ぶ
- 4-3.編集者の所属やコネクションを確認する
- 4-4.契約内容や、職務範囲、報酬体系を明確にする
- 5.ほとんどの出版社は持ち込みの企画や原稿を求めていない
- 6.企業がPRやブランディングで検討する他の出版方法
- 6-1.企業出版(ブックマーケティング)という手段
- 7.まとめ
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。
Tweet出版プロデューサーとは何者か
「出版プロデューサー」という職業はあまり知られていませんが、映画業界やTV業界、音楽業界などで「プロデューサー」といえば、「作品を制作する人」や「作品の制作責任者」を指します。
「出版プロデューサー」も同じように、「出版物を制作する人」や「出版物の制作責任者」のことをいいます。
ただしここで気をつけなければならないのは、「出版プロデューサー」と紛らわしい名前の「出版コンサルタント」や「出版エージェント」などがいるということです。
名前が似ているというだけでその役割は違っているので、書籍を出版したいと考えている方は、それぞれの違いをよく分かったうえで、のちのちトラブルにならないように「出版プロデューサー」を選ばなければなりません。
以下では、「出版プロデューサー」について説明した後に「出版コンサルタント」や「出版エージェント」についても説明し、役割の違いを明確にします。
出版プロデューサーとは
「出版プロデューサー」とは、一言でいえば「本の出版に責任を持つ人」です。
具体的には、著者の発掘から出版企画書の作成、出版社への企画の提案、出版後の販促などまで、書籍の作成や出版に関わるすべてのプロセスにおいて著者をサポートします。
「出版プロデューサー」は出版社には所属しておらず、個人または法人に所属して活動しています。
多くのジャンルの出版に関わった幅広い経験や、多くの出版社や編集者とのネットワークをもっているため、適切な出版企画書の作成をして、最もふさわしい出版社にコンタクトして、著者と出版社との橋渡しをします。
以下では、より具体的に「出版プロデューサー」の役割について見ていきましょう。
「出版プロデューサー」の1つ目の役割は、著者を発掘することです。
「出版プロデューサー」は、世の中に価値を提供できる、かつ売れる見込みのある本をプロデュースする仕事ですので、企業経営者や普通のサラリーマン、主婦の中から「他人に届ける価値」を持った著者を探し出します。
その人たちの中に潜んでいる「他人に届ける価値」を適切に引き出せる出版プロデューサーが、腕の良い「出版プロデューサー」ということになります。
「出版プロデューサー」の2つ目の役割は、出版企画書の作成、またはアドバイスを行うことです。
多くの著者は出版に関しては素人なので、ほとんどの場合「出版プロデューサー」が出版企画書を作成した方が短期間で質の良いものが出来上がります。
出版企画書を作成するにあたっては、著者からヒアリングして著者が持っている「他人に届ける価値」や「他の人にはない著者だけの強み」を引き出していきます。
高いヒアリング能力を持つ「出版プロデューサー」が、多くのベストセラーを出すことができるのです。
「出版プロデューサー」の3つ目の役割は、出版社へ企画を売り込んで採用してもらうことです。
日本には、大手・中堅・小規模の出版社や専門出版社、その他の組織の出版局などを合わせると約4,500社の出版社があります。
ここでは「出版プロデューサー」の出版社や編集者とのネットワークが問われます。
著者の専門分野に近い出版社とネットワークを持っていなければ、企画書の売り込みはできませんし採用してもらうこともできません。
「出版プロデューサー」の4つ目の役割は、書籍のプロモーションです。
出版企画書が出版社に採用されると、必要な制作プロセスを経て書籍が完成しますが、出版不況とも言われる現代では、販促やプロモーションを行わなければ簡単に本は売れません。
実際の販促活動は出版社が主導して行うので、「出版プロデューサー」は出版社に最適な販促活動をするように働きかけることになります。
出版コンサルタントとは
「出版コンサルタント」とは、出版企画書へのアドバイスを主な業務とする人のことです。
コンサルタント(Consultant)は、もともと「一緒に座って議論する」という意味を持ったラテン語を語源とする言葉です。
基本的に「コンサルタント」の仕事はアドバイスだけですので、出版に関わる実務は行いません。
そのため、「出版コンサルタント」は、どうすれば採用される出版企画書を書けるのかというアドバイスをして相談料をもらうだけで、「出版プロデューサー」のように出版企画書を作成したり、企画を出版社に持ち込んだりという仕事までは行いません。
「出版コンサルタント」に依頼する場合は、出版に関しては素人である著者が、自分自身で出版企画書を作らなければなりません。
さらに、でき上がった出版企画書を出版社に持ち込むのも著者がやらなければなりませんので、出版社や編集者とのネットワークがない素人には、出版社を探すことさえ難しいことになります。
ただし、良心的な「出版コンサルタント」の場合は、著者が作成した出版企画書を添削してくれたり、企画が採用される可能性の高い出版社を紹介してくれたりします。
出版エージェントとは
「出版エージェント」とは、著者の代理人として出版社や編集者と様々な交渉をする人のことです。
エージェント(Agent)とは「代理人」のことを指す英語で、本人から委任された代理権限の範囲内で、本人に代わって取引や契約などを行います。
特に海外では「出版エージェント」は出版に欠かせない存在です。
たとえばアメリカでは、著者が出版社に出版企画書を持ち込むケースはほとんどなく、すべて「出版エージェント」を介して行われます。
「出版エージェント」は著者の代理人として、著者が有利になるように交渉や契約をすることが役割ですので、出版コンサルティングなどを行うことはありません。
出版プロデューサーに依頼するメリットとは
企業経営者が書籍を出版する際に「出版プロデューサー」に依頼することによって得られるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
代表的なメリットは、次の4つです。
専門知識やノウハウをもとにアドバイスをしてくれる
企業経営者としては、どうせ書籍を出版するのなら「売れる本」を作って、「自社のPRやブランディング」に寄与できるものにしたいと思うはずです。
しかしながら、年間約7万タイトルもの書籍が出版されているわけなので、無名の企業経営者がヒット作を作るのは容易なことではありません。
その点、「出版プロデューサー」に依頼すれば、近年のヒット作のトレンドを把握した出版のプロからアドバイスを受けることができます。
書籍のテーマに応じた専門知識やノウハウを駆使して、構成やタイトル、デザインなどあらゆるプロセスにおいて「売れる本」を目指してブラッシュアップしてくれます。
企業経営者が持っている、独自の経験やノウハウ、伝えたい思いを引き出して言語化して「売れる本」に仕上げるサポートをしてくれるのが「出版プロデューサー」です。
プロジェクト進行のサポートにより時間と労力を短縮できる
企業経営者が出版をするためには、出版企画書を作成して出版社に持ち込み採用されなければなりません。
運良く企画が通ったとしても、原稿の執筆はもちろんですが、編集や校正、デザインなどの多くのプロセスで多くの作業をしなければなりません。
そして最大の問題点は、一般の企業経営者は出版そのものに精通していないということで、慣れない作業に大変な時間と労力がかかってしまいます。
しかし、「出版プロデューサー」に依頼すれば、ほとんどの作業をサポートしてくれるので、時間と労力を短縮できることになります。
販売戦略やマーケティング支援も受けられる
「出版プロデューサー」は、出版企画書の作成から出版社への提案、そして実際の出版までをサポートしてくれますが、さらに出版後の販促まで関わってくれます。
個人の「出版プロデューサー」の場合は、販促活動のアドバイスにとどまる可能性がありますが、たとえば株式会社フォーウェイのような自社グループに出版社を持つ「出版プロデューサー」であれば販売戦略やマーケティング支援までトータルでサポートすることが可能です。
商業出版により費用対効果の高い出版が可能となる
「出版プロデューサー」は、企業経営者の商業出版をサポートするのが仕事です。
商業出版は出版社がベストセラー目的で利益を上げるために行うものなので、出版費用は出版社が負担します。
そのため商業出版で本を出すことができれば、費用をかけることなく「自社のPRやブランディング」ができるので、費用対効果の高い出版が可能になります。
商業出版と自費出版の違い
出版方法を費用負担や書店に並ぶかどうかという観点から商業出版と自費出版に分けることができます。
以下では、それぞれの違いについて解説します。
商業出版とは
商業出版とは、出版社が利益を出すことを目的とする出版方法で、出版社が全額費用負担をします。
より多くの書籍が売れて出版社が利益を上げることができるように、積極的にプロモーションを行うのが特徴です。
実際に、ベストセラーとなっている書籍のほとんどは商業出版によるものです。
しかしながら、商業出版の場合は、著者が伝えたいことよりも出版社の意向が優先されるので、著者が言いたいことが書けなかったり、出版社によって修正されたりすることがあります。
企業経営者が書きたいことがすべて書けるわけではないということが、商業出版における唯一のデメリットということができるでしょう。
自費出版とは
自費出版とは個人出版ともいうように、筆者が個人的に書籍を出版することを目的とした出版方法で、出版費用は全額著者の負担です。
自費出版のメリットは、出版社が企画に介入しないため本の内容の自由度が高いことで、著者は自由に書籍の内容を決めることができます。
基本的に自費出版は書店で販売されることはありませんが、出版社の販路を利用して書店で販売することも可能です。
つまり、企業経営者が本を出す場合、自費出版で制作して書店に流通させるような方法も考えられるということです。
出版プロデューサーを選ぶ際に注意すべきポイント
ここでは「出版プロデューサー」を選ぶ際に注意すべき4つのポイントについて説明します。
なお、著者から費用ばかりを巻き上げる悪質な詐欺まがいの「出版プロデューサー」や「出版コンサルタント」も存在するので、くれぐれもそのような人を選ばないように十分注意しましょう。
経験とスキルを持つプロデューサーを選ぶ
「出版プロデューサー」に限ったことではありませんが、多くの経験を積んで確かなスキルを持った人を選ぶ必要があります。
具体的には、出版点数や代表作、著者、得意ジャンルなどの実績を確認します。
書籍には多くの分野があるので、出版したい本のテーマの分野に関する知識や知見が豊富で、その分野の出版社からの出版実績があることもきちんと確認するようにしましょう。
出版経路を明確に持つプロデューサーを選ぶ
「出版プロデューサー」には個人または法人所属の人がいますが、いずれの場合も確実に書籍の流通まで行える人を選ぶようにしましょう。
個人の「出版プロデューサー」の場合は、どこの出版社とコネクションがあるのか、複数の出版社の中から選ぶことができるのかなども重要です。
法人所属の「出版プロデューサー」の場合は、そのグループ内に出版社がある場合があるので、その点についても確認することをおすすめします。
編集者の所属やコネクションを確認する
法人所属の「出版プロデューサー」の場合、その法人の中に編集者がいるのかどうか、そしてその編集者の実績も確認しましょう。
個人の「出版プロデューサー」の場合は、どのような実績を持つ編集者とコネクションがあるのかを確認する必要があります。
契約内容や、職務範囲、報酬体系を明確にする
「出版プロデューサー」に依頼する場合は、きちんとした契約を結ぶことになります。
契約前に確認しなければならないのは、職務範囲、報酬体系、支払条件、印税の条件(印税率や、印刷部数と販売部数のどちらで印税が支払われるのか、など)などです。
ほとんどの出版社は持ち込みの企画や原稿を求めていない
ここまで、「出版プロデューサー」に依頼して商業出版する前提での説明をしてきましたが、一つ重要なことをお伝えしておく必要があります。
それは、出版社は「持ち込み企画の商業出版を歓迎していない」ということです。
現実に大半の出版社は原則として持ち込み企画や原稿を求めていません。
商業出版とは、出版社自身が本の企画、著者の選択・指名をして、本という商品を売って利益を稼ぐものだからです。
このように、そもそも商業出版の門戸は狭くハードルが高いということは認識しておく必要があります。
企業がPRやブランディングで検討する他の出版方法
では、企業が「自社のPRやブランディング」を目的として書籍を出版したい場合には、他にどのような選択肢があるのでしょうか。
企業出版(ブックマーケティング)という手段
企業が「自社のPRやブランディング」を目的として書籍を出版する場合におすすめしたいのは、企業出版(ブックマーケティング)という方法です。
企業が書籍を出す目的は「自社のPRやブランディング」です。
言い換えれば、いかに自社の存在を正しく認知してもらい、自社のファンになってもらえる人を増やすか、が企業が書籍を出す本来の目的です。
企業出版の場合は、出版社のプロモーションによって「いかに企業の顧客ターゲット層に書籍を届けるか」ということが目的になるので、企業の目的と合致します。
企業出版(ブックマーケティング)では、具体的に目的達成のための手段として書籍を活用し、SNSマーケティングやSEOコンテンツマーケティング、クラウドファンディングなどと組み合わせて、最終目的である「自社のPRやブランディング」を達成するためのマーケティング戦略を立てていくのです。
まとめ
本記事では、企業経営者が書籍を出版する際に依頼する「出版プロデューサー」の役割や選ぶ際に注意すべきポイントなどについて詳しく解説しました。
しかし、商業出版の門戸は狭くハードルが高いという現実があるので、「出版プロデューサー」に依頼したとしても、実際に書籍を出版するのは難しいことです。
書籍を利用して「自社のPRやブランディング」を実現したいという企業経営者の方には、企業出版(ブックマーケティング)をおすすめします。
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