コンテンツマーケティングの失敗を招くNG行動6

企業のマーケティング戦略の一環として、一般的な手段になったコンテンツマーケティング。広告費が高騰しているなか、自社サイトで有益な情報を蓄積することによって、サイト自体の価値を高められます。

しかし、コンテンツマーケティングは失敗例も多いのが実態。コンテンツマーケティングを行なう企業がやってしまいがちな、失敗を引き寄せるNG行動について紹介していきます。

目次【本記事の内容】

執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)


福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経済法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を担当し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。

◉成功すれば無限の価値を生み出すコンテンツマーケティングだが……

コンテンツマーケティングとはWEB戦略の一つで、顧客にとって有益な情報を継続的に提供し続け、企業と顧客の接点をつくることでマーケティングを行なう手法です。

広告によるマーケティングは単発で効果がなくなってしまう一方で、安定して顧客からの問い合わせや購買を生むコンテンツマーケティングができれば、広告に頼らない経営基盤ができます。実際、コンテンツマーケティングに成功した企業には、コンテンツからの集客が激増し、広告費を大きくカットできた事例も数多く存在するのです。

しかし、コンテンツマーケティングはまだまだ発展途上の手法であり、失敗するケースも頻繁です。

コンテンツマーケティングに失敗する企業は、何が間違っているのでしょうか。

実は、失敗を引き寄せるNG行動は次のように、ある程度共通しています。

◉-1、失敗パターン①:実施の目的を明確にしていない

コンテンツマーケティングで失敗する代表的なパターンとして、コンテンツマーケティングを実施する目的やゴールが不明確なまま実行してしまうことがあります。マーケティングチームの目指す方向が次第にあいまいになり、ただ記事を更新することだけが目的になって形骸化してしまうのは、よくある失敗例です。

まず、コンテンツマーケティングの目的設定として、コンバージョン(CV)をどこに設定するのかが最重要です。CVの例としては、「購入」「来店、来場などの予約」「問い合わせ獲得」「PVの増加による認知度向上」など。CVがなんであるのかを明確化しないと、コンテンツのテーマもブレてしまい、的を外した情報発信を続けてしまう結果になります。

ほか、コンテンツマーケティングを実施するにあたっては、次のような要素を必ず明確にしておきましょう。

・どのような成果をどの程度求めるのか
・予算はいくら投入するのか
・目的達成までの期限をいつにするのか

コンテンツマーケティングは、成果がすぐに現れる簡単な施策ではありません。だからこそ、目的を明確にし、いつまでに仕組みを構築し成果を出すかを考える必要があるのです。

◉-2、失敗パターン②:ターゲット設定があいまいで誰も見にこない

ターゲットを明確にするのは、マーケティングの基本です。

WEBでのコンテンツマーケティングでは、ターゲットが検索エンジンでどのようなキーワードを検索してサイトを訪れるのかを戦略的に見通し、狙ったキーワードに合わせたコンテンツを制作しなければいけません。

よくある失敗は、コンテンツマーケティングの開始時にターゲットを広く設定し過ぎてしまうケース。記事のテーマが多岐にわたりすぎると、サイト全体として誰に向けた内容なのかがわかりづらくなり、ユーザーから避けられてしまいます。

一方で、ターゲットを狭く設定しすぎるのにも注意が必要です。ターゲットを絞り込めば、短期間で少しの集客はできるかもしれませんが、スケールが小さすぎれば売り上げにはあまり寄与しないでしょう。

ターゲット設定の一つの方法は、理想の顧客像である「ペルソナ」を設計すること。ペルソナでは、仮の氏名や年齢、経歴、ライフスタイル、よく触れているメディアなどをすべて設定し、一人の人物像を詳細に浮かび上がらせます。そこまで設定すれば、ペルソナが検索エンジンでどのような情報を欲しているかを予測でき、それに合わせたコンテンツを制作できるのです。

◉-3、失敗パターン③:読者を無視した情報発信を続けている

暗中模索でコンテンツマーケティングを進めるとやってしまいがちなのが、読者無視の情報発信です。自社商品のアピールがやたらに強調されたり、ユーザーが読みにくい専門用語満載の文章になっていたりして、ユーザーからすると違和感の強いコンテンツを配信してしまう企業が多くあります。

こういったケースは特に、メディアでのライティングや広告制作など、受け手の目線を考えた客観的なコンテンツ作りの経験がないスタッフ陣でコンテンツマーケティングに取り組む場合で起こりやすいです。

コンテンツマーケティングで肝心なのは、あくまでも「読者にとって有益なコンテンツ」を提供し続けること。発信者と読者との関係性構築を無視し、自分本意なアピールに終始していては問い合わせに結びつきません。

とにかくコンテンツマーケティングでは宣伝くささを取っ払う必要があり、それには高い制作技術が求められます。

◉-4、失敗パターン④:運用体制が整っておらずPDCAが回せていない

コンテンツマーケティングは、実施して即座に爆発的な問い合わせが取れる手法ではありません。大事なのは辛抱強く、何度もPDCAのサイクルをまわし、継続的なコンテンツ供給と効果測定で改善を続けることです。

コンテンツマーケティングのPDCAサイクルをまわすには、良質なコンテンツを提供し続ける人員とSEOマーケティングの知識を十分に備えた人員をチームに迎え入れる必要があります。PDCAを疎かにすると、多くの場合でコンテンツ制作は滞り、結果的に効果の出ない間違ったコンテンツマーケティングに終わってしまうのです。

PDCAをまわすためには、以下の5つの指標で定期的な効果測定を行ないましょう。

指標①コンテンツにユーザーが流入しているか
指標②ユーザーがコンテンツを読了しているか
指標③もっと読みたいと共感を得られているか
指標④シェアなど拡散されているか
指標⑤どのコンテンツで成果(CV)があったか

ほか、直帰率が高い(そのページを見てすぐサイトから離脱されてしまいやすい)コンテンツがどれなのかがわかれば、そのコンテンツはリライトなどによって修正を図る対策が取れます。

指標③の共感については、「次のページへ」「関連記事を閲覧する」のクリックなど、ユーザーの「もっと読みたい」という欲求を煽れているのかどうかを確認するポイントです。

◉-5、失敗パターン⑤:先を見通さず初期に予算をつぎ込みすぎる

コンテンツマーケティングは良質なコンテンツを提供し続け、顧客をファン化させることが目標の一つです。そのうえで、問い合わせや購入などのCVにつなげていきます。

ただ、コンテンツマーケティングに意気込んだ結果、初期投資に予算をかけすぎないように注意しなければなりません。

コンテンツマーケティングには、自社のコーポレートサイトで行なうほか、別途オウンドメディアを立ち上げて運用する手法があります。特にオウンドメディアを制作する場合に、目測を見誤ってサイトの制作費用をかけ過ぎたり、成果を急いで初期から多額の広告運用をしてしまったりして、結果的に安定したコンテンツ制作を行なうための予算が足りなくなるパターンが多いのです。

コンテンツマーケティングは中長期的な施策であることを念頭に置き、ランニングコストも見越して予算の組み立てを行なってください。

◉-6、失敗パターン⑥:社内理解が追いつかず頓挫してしまう

多くの企業でコンテンツマーケティングを長期継続できない背景には、実施企業の社内の理解不足が挙げられます。

特にマーケティングの担当者などが主導でコンテンツマーケティングを実施するケースでは、上司などの決裁者からはすぐに結果を出すよう求められがちです。成果が出ないことを理由に施策自体が1〜2ヶ月で打ち切りになるパターンは、しばしば見られます。

短期的な集客効果においては、コンテンツマーケティングよりも広告施策のほうが成果につながりやすい場合は多々あります。コンテンツマーケティングは中長期的な施策であるという社内の共通認識を持つため、その目的や効果測定について担当者が社内で細かくすり合わせる必要があるのです。

◉【まとめ】中長期な視野で戦略的なコンテンツマーケティングを

以上、コンテンツマーケティングでよくある失敗例を紹介しました。

コンテンツマーケティングを成功に導く大きなポイントは、中長期的な視野を持つことと、読者目線を心がけることです。そのうえで、効果測定を行ないながら、長期的に集客などのCVにつながる基盤づくりをしていきましょう。

コンテンツマーケティングは本気でやると手間と人員がかかるので、予算と社内リソースとの兼ね合いを考えて戦略的に内製・外注の割り振りを判断してください。

参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこち参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから

 

小規模なコンサルティングファームや個人のコンサルタントは、「営業力不足で集客できない」という悩みを抱える場合が多くあります。

経営コンサル業はなぜ集客が難しいのかを紐解き、問い合わせを起点に受注につなげる効果的なマーケティング手法を紹介しましょう。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

◉独立経営コンサルタントの第一関門は「集客」

経営コンサルティング業界は、独立・起業する人が多い業界です。大手コンサルティングファームであっても業務の大部分は個人に紐づいており、独立して一人になっても事業を営むことが比較的やりやすいからです。

しかし、いざ独立すると、どんなに実力があっても多くのコンサルタントは集客の壁にぶち当たります。

よくコンサルタントが悩んでいるのは「営業トークが苦手」といった部分です。しかし実は、コンサルタントが集客で苦戦するのは多くの場合、営業トーク力の問題ではなく、共通の原因があります。

コンサルタントが集客に苦戦する真の原因について、解説しましょう。

◉-1、自分の強みをうまく伝えられていない

経営コンサルといっても、ご存知のとおり、業務改善やM&A支援、財務面のサポート、ITコンサルなど、専門分野は多岐にわたります。

しかし、独立したばかりのコンサルタントは、仕事欲しさに「何でも相談に乗ります」のような打ち出しをしがちです。そうすると、見込み顧客からすれば、コンサルといっても何を依頼すれば良いのかがわからなくなり、仕事はもらえません。

それでも相談してくる「とりあえずコンサルに色々相談したい」といった見込み客は結局、いろいろアドバイスを要求するだけで受注には結び付かず、仕事になっても低単価になるケースが大半です。

適正単価の仕事をもらうためには、自分の何が専門領域で、クライアントにどのようなメリットをもたらすのか端的に伝えられなければいけません。

◉-2、ブランド力や実績に欠けている

コンサルティング業とはBtoBビジネスであり、見込み客の社内では普通、同業のいくつかの会社を比較検討して発注先を決定します。

見込み客のそうした発注先選定で大きなファクターになるのが、ブランド力と実績です。先方の社内でも担当者が上司に発注先の選定理由を納得してもらわなければいけないので、いくらあなたが有能でも「面談して優秀だと思ったから」などといった根拠では社内で納得してもらいにくいのです。

結局、上司も知っている有名な会社であるとか、同業に対する具体的なコンサルティング実績がある、といった部分が決め手になります。

かといって、経営者と直接話して即決してもらえるような規模のクライアントでは、そもそもコンサルタントを雇う予算がないパターンが大半でしょう。あくまで、コンサルに予算を出せる会社に効果的に自分をアピールする必要があります。

現状、どんなに自分を売り込んで、担当者の印象が良いと確信できても最終的に契約に至らない、という悩みを抱えているのであれば、それはブランド力と実績という点のみが足りないのかもしれません。

◉経営コンサルの集客問題を解決する方法とは?

では、このように、集客に悩みを抱えるコンサルタントは、どのようにして成功へのシナリオを描けば良いのでしょうか?

具体的な方法を解説します。

◉-1、方法①「コンテンツマーケティング」で自社サイトからの問い合わせを獲得

独立コンサルタントが集客に抱える課題を解決する方法の一つが、「コンテンツマーケティング」を行なうことです。具体的には、自社サイトにコラムや動画といったコンテンツをアップし、自分のノウハウや強みを見込み客に発信します。そして、コンテンツを閲覧した人からの問い合わせを狙うのです。

経営コンサルであれば、たとえば「経営者のよくある悩みへの解答」「経営戦略の立て方」「業績が下がった際の改善方法」などがコンテンツテーマとして考えられるでしょう。

WEBサイトによるコンテンツマーケティングの施策は、コンテンツ自体が問い合わせをもらうための広告的役割を果たすだけでなく、自社サイトのGoogleからの評価が高まって検索上位に出てきやすくなる点が大きなメリット。問い合わせのチャンス増加とSEO対策の一石二鳥を狙えるのです。

くわえて、コンテンツを多く発信すればするほど自分の強みが言語化されて見込み顧客に具体的に伝わりますし、コンテンツ豊富な自社サイトは実態よりもかなり大きな会社のサイトに見えるでしょう。

ただ、問題は手間とクオリティです。本業があるなかで継続的にコンテンツを制作し続けるのは困難ですし、実力のあるコンサルタントでも全員が執筆などの発信に秀でているわけではありません。コンテンツの発信が止まってしまったりクオリティの低いコンテンツを量産してしまったりしたら、せっかくのマーケティングも逆効果になってしまいます。

コンテンツの制作は外注して自分はインタビューを受けるだけにするのも一つの手ですが、特に経営などのビジネス系分野は知見のあるクリエイターが非常に限られるので、業者は慎重に選ぶ必要があります。

◉-2、方法②書店への流通を通じて圧倒的なブランド力を生み出す「出版」

出版というと、出版社から声がかかって自分の書籍を出し、印税をもらうという形をイメージしている場合が多いでしょう。コンサルとして独立した人の中には、堀紘一さんや小山昇さんのようなベストセラーコンサルタントになるのが夢、という人もいるかもしれません。

しかし、コンサルタントや士業といった「個」の力が重要になる業界において、多くの会社や人が、こうした従来の出版ではなく、戦略的に費用を投じた出版によるマーケティングを行なっています。

マーケティング目的の出版に対するよくある誤解は、自費出版との混同です。いわゆる自費出版のサービスは印刷だけして書店には並ばない非流通出版やAmazonなどのネットストアのみで販売する電子書籍出版のサービスで、読者の手元に書籍が届いて実際に買ってもらえるケースはほとんどありません。

一方でマーケティング目的の出版(ブックマーケティング/企業出版)については、全国の主要書店に行き渡るだけの十分な流通部数を確保し、書籍のターゲットになる層への売り伸ばし戦略を出版社や出版プロデュース会社が具体的に立てることになります。

出版にかかる費用は書籍を通じて出会った顧客からの受注によってペイする、という考え方で、多くの企業や人が自著の出版によって問い合わせを確保しているのです。

ただ、気をつけたいのは、近年では多くの出版社が法人向け出版のスキームにうまみを感じて参入していること。「法人書籍を流通するメリットをうたっておきながら実際にはほとんど書店に流通されない」「制作コストを切り詰めすぎてクオリティが低い」「書籍制作を受注すれば後はどうでもいいという企業体質で顧客フォローが全くない」など、出版に踏み切った著者からの嘆きの声も多く聞かれます。出版社選びはくれぐれも間違えないようにしましょう。

◉【まとめ】問い合わせの土台を作れば黙っていても契約が取れる

経営コンサルのように個人の信頼性がモノをいう業種では、今回紹介したコンテンツマーケティングや出版マーケティングは最適なマーケティング手法だといえます。

良質なコンテンツで情報発信を続ければコンテンツが積み重なって資産となり、見込み客からの問い合わせは乗算で増えていくでしょう。

そうすれば、手間やストレスのかかる営業活動で汗をかかずとも、本業のコンサルティングだけに集中しながら安定して事業を続けることができます。

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