手を尽くしても商品が売れない時に改善を検討すべき8つのポイント

Web広告も、SNS運用も、SEOも、PRも、あらゆるマーケティング施策をやっているのにも関わらず商品が売れない、という時はどう対処すれば良いのでしょうか。

「色々手は尽くしているけど商品が売れない、売れ行きがよくない」という場合には、八方塞がりで、次にどんな施策を打っていけば良いのかが分からなくなってしまいがちです。

今回はそんな商品が売れない主な原因や、改善を検討すべき8つのポイントについて解説します。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
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慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

手を尽くしても商品が売れない主な原因

あらゆるマーケティング施策を行っているのに商品が売れない、あるいは売れ行きがよくないという場合、次のような原因が考えられます。

  • ・ターゲット設定を間違っている
  • ・商品スペックをアピールしてしまっている
  • ・ターゲットにアプローチできていない
  • ・商品の強みを明確にできていない
  • ・商品に信頼性がない
  • ・大手の売り方を真似している
  • ・ブルーオーシャンを狙いすぎている

あなたの商品がいずれかの原因に該当していないかをチェックしてみましょう。

ターゲット設定を間違っている

商品を売りたいターゲット設定を間違っていると売れません。

たとえば、ターゲットが絞りきれていない、広く設定しすぎている、そもそもターゲットにニーズがないなどです。

売上や利益のことを考えると、ターゲットを絞ることは勇気がいりますが、「男性がターゲット」として販売するよりも、「40代で年収600万円以上の独身男性がターゲット」とした方が訴求が明確になります。

年代や年収額、家族構成などによって生活スタイルや思考、抱えがちな悩み、解決方法などは大きく変わるので、どんなに良い商品であったとしても、その商品を必要としている人に適切にアプローチすることができなければ売れることはありません。

商品スペックをアピールしてしまっている

商品スペックばかりをアピールしてしまう、というのも企業が陥りがちな落とし穴です。

今現在、商品の性能・成分などのスペックや、価格の安さばかりをアピールしてしまっているようなことはないでしょうか?

この場合、顧客も商品をスペックでしか判断できなくなるので、他の商品とのスペック競争に巻き込まれてしまいやすくなります。

たとえば、価格の安さをメインに訴求している場合は、同じようなスペックで価格が低い商品が出たら簡単に切り替えられてしまうでしょう。

また、「とある成分が50%入っている」ということをメインで訴求している場合でも、同じような価格で60%の商品が出たら、同様に切り替えられてしまうことが予想できます。

このように、他の商品とのスペック競争に勝っているうちは良いですが、スペックの高い他社商品が出てきてしまうと次第に売れなくなってしまうのです。

商品スペックは見た目にも分かりやすい訴求になるため、初動の売上を出すには良い方法ですが、時間の経過とともに競合他社とのいたちごっこになりやすいデメリットがあるので注意しましょう。

もし資金力のある大手が参入してきた瞬間に、資金力のない中小企業は商品スペック競争に勝てなくなり、ますます売れなくなってしまいます。

ターゲットにアプローチできていない

マーケティング施策や利用する媒体の種類によって、アプローチできるターゲット層が変わってきます。

狙いのターゲット層が見ることもないし利用することもないような媒体に、いくら広告を打っても、情報発信をしても、そもそも顧客がその広告や情報を目にすることはないため商品が売れることもありません。

たとえば、狙いのターゲット層が高齢者の場合、いくらInstagramで情報発信しても高齢者がInstagramを見るはずもないということです。

このように、ターゲットにアプローチできる媒体やマーケティング手法を間違えている場合はいくらやっても売れません。

商品の強みを明確にできていない

その商品ならではの強みを明確に訴求できていない場合は、顧客にその魅力が伝わらないため売れません。

たとえば、商品の説明が分かりにくい、文章を読んでもよく理解できないなど、そもそも商品の強みを自社でうまく言語化できていない可能性があります。

たとえば、「若々しさを取り戻したい」というニーズを持った顧客に「年相応」と訴求しても刺さりません。

ターゲットにしっかりとアプローチできているはずなのに、商品が売れない場合は、自社が訴求している商品の強みと、ターゲットのニーズのズレが原因となることが多いです。

このような場合、いくらマーケティング施策を打っても売れません。

商品に信頼性がない

商品の見た目や評判などが怪しげだったり、安っぽかったりして信頼性がないことも売れない原因の1つです。

これは商品だけではなく、商品の製造元や販売元、店舗などにも当てはまります。

消費者は潜在的に「失敗したくない」「騙されたくない」と強く思っているものです。

安心できるもの、信頼できるものを購入したいと考えているので、商品などの信頼性が低い場合は、たとえ価格が高くても失敗しない安心できる競合他社の商品を選ぶ傾向があります。

また、高単価な商品の場合は、購入にあたってのリスクが大きくなるので、特に「どこが販売しているか」という販売元の信頼性が重要になります。

大手の売り方を真似している

中小企業と大企業ではマーケティング手法は異なります。

そのため、中小企業が大手をベンチマークして真似をしてしまうと、大抵が途中で資金不足

になり失敗してしまいます。

なぜなら、大企業は資金が潤沢にあるという前提で、マーケティングを行っているからです。

一方で中小企業は限られた予算の中で優先度をつけ、効率的に行わなければなりません。

ある程度の期間売れなくても、マーケティング費用を出し続けられるような資金力がなければ大手のやり方を真似することはできません。

ベンチマークとして大手企業を挙げている中小企業の場合、こういった失敗をしやすくなるので十分に注意しましょう。

ブルーオーシャンを狙いすぎている

「ブルーオーシャン」とは、マーケティング用語で「まったく新しい領域に事業や商品を展開していくこと」を指します。

つまり、「ブルーオーシャンを狙う」とは、これまでに存在しなかったような商品を発売して、他社とも競合することなく売るということです。

しかし「ブルーオーシャンで競合がいないこと」と、「売れること」は、イコールではありません。

ブルーオーシャンということは、顧客のニーズもそれほどない可能性がある、ということです。

ブルーオーシャンに商品を販売していくためには、まずこの顧客ニーズから作っていく必要があるので、そのための期間と潤沢な資金が必要となってしまいます。

たとえば、iPhoneなどが良い事例です。

最初は「本当に必要なのか?」など、顧客ニーズが全くなかったところから数年かけてニーズを地道に作りあげていったからこそ、今のような根強いiPhoneファンを獲得できているのです。

競合がいないということは魅力的ですが、資金力がないのに安易に「ブルーオーシャン」を狙っても、結局顧客に認知してもらうことができずに売れないということになってしまうので十分注意しましょう。

手を尽くしても商品が売れない時に検討すべき8つのポイント

いろいろと手を尽くしても売れない時には、次の8つのポイントに注意してマーケティング施策を再検討するのがおすすめです。

  • ・ターゲット設定を見直す
  • ・ターゲットにアプローチできるマーケティング施策を選ぶ
  • ・商品の強みを改めて考える
  • ・商品スペックではなく、商品を使った先の未来像を訴求する
  • ・社会的信頼性・権威性を高める
  • ・商品を売るのではなく、ファンを作る
  • ・マーケットインで販売戦略を考え直す
  • ・アナログなマーケティング施策を検討してみる

具体的にどのような点を再検討すべきかをくわしく見ていきましょう。

ターゲット設定を見直す

まず、その商品を売りたいターゲットが誰なのかについて設定を見直します。

ターゲットはできるだけ詳しく具体的に設定するようにすると、どのようなマーケティング施策が有効なのかが分かりやすくなります。

ターゲットの設定項目としては次のようなものがあります。

  • ・社会的属性:年齢、性別、居住地、職業、家族構成
  • ・心理的属性:価値観、ライフスタイル、性格、嗜好
  • ・レベル:初級者、中級者、上級者

想定したターゲットにそもそも商品を買いたいニーズがない場合も多いので、ターゲットと想定される人を集めて座談会やヒアリング、アンケート調査を実施したりしながらターゲットのニーズを深掘りしていくことから始めてみましょう。

ターゲットにアプローチできるマーケティング施策を選ぶ

狙いのターゲットが明確になったら、そのターゲット層に的確にアプローチできるマーケティング施策や媒体を選びます。

たとえば、富裕層や決裁権者のような広告やSNSでアプローチしにくい層を狙うのであれば、自発的に調べる傾向があるので、SEOや書籍などが有効となります。

高齢者にアプローチするのであればチラシやパンフレットなどのアナログな媒体を選びましょう。

20代〜30代の若年層であれば、XやInstagram。10代にはTikTokなどが有効です。

30から40代のターゲットにアプローチするのであればSNSの中でも特に詳細なセグメントで広告出稿ができるFacebook広告やGoogle広告がおすすめです。

このように、ターゲットがよく見る媒体などをリサーチした上で、ある程度の仮説をたててからマーケティング施策を実行していくことが重要です。

商品の強みを改めて考える

ターゲットが明確になり、アプローチ方法や媒体が決まったら、次は商品の強みを改めて考えてみましょう。

強みを顧客に訴求する場合には、言語データやイメージで表現する必要があるので、言葉にして洗い出すことが大切です。

言葉であらわすことによって、曖昧さや漠然さがなくなり強みがより明確になります。

このときに、ターゲットやアプローチ方法などを一旦頭の中から取り去って、純粋に「商品の強み」を考えることも重要です。

なぜなら、洗い出された強みを必要とするターゲットが間違っているということもあり得るからです。

訴求する商品の強みと、ターゲットのニーズのズレは商品が売れない原因に直結していくので、もし、洗い出された強みとターゲットが異なる場合は、先述のターゲット設定のステップからやり直しましょう。

商品スペックではなく、商品を使った先の未来像を訴求する

前述の通り、商品スペックをメインに訴求してしまうと、競合他社とのスペック競争に陥ってしまい、売れない原因になってしまいます。

最初は良くても、競合他社や大手が参入してくるとともに売れなくなっていきます。

商品スペックよりも、その商品を使うことによって、「どのような人」の「どのような課題や悩み」を「どのようにして解決する」ことができるのかの価値を説明し、顧客が自分でその商品を使ったときの未来像が想像できるようにすることが大切です。

また、イメージ画像や動画などを活用して未来像がビジュアルで分かりやすく顧客に届くように工夫することも大切です。

社会的信頼性・権威性を高める

「社会的信頼性」や「権威性」を高めることによって商品を売れやすくすることができます。

「社会的信頼性」も「権威性」もほぼ同じような意味を表す言葉で「社会的にどの程度信頼されているのか、どの程度承認されているのか」ということです。

顧客の多くは商品を買う際に「失敗すること」をできるだけ避けたいと考えます。

そのため、商品の「社会的信頼性」や「権威性」が高ければ、それだけで顧客からの信頼を受けやすくなり商品が売れやすくなるのです。

これは商品そのものだけではなく、その商品の製造元や販売元の「社会的信頼性」や「権威性」が高い場合も、商品が売れやすくなります。

大手企業などが良い例です。

社名などで「きっと大手が出しているのだから失敗はしないはずだ」と思い買ってもらいやすくなります。

このように、商品が売れない時には自社の社会的信頼性や権威性が現状どんなものなのかを調べ、それを向上させていく施策などを検討してみましょう。

商品を売るのではなく、ファンを作る

商品が売れない状態に陥っているときには、どうしても「目の前の商品を売れるようにしなければ」という考えに囚われてしまいがちです。

しかし、少し発想を変えて「商品や企業のファンをつくるにはどうすれば良いのか」と視点を変えることが遠回りに見えて一番の近道である場合もあります。

商品や会社のファンになってもらえれば、安易に他社の競合商品に乗り換えたりすることがなく、リピートで購入してくれる可能性が高くなります。

結果的に中長期的な売り上げの安定化につながります。

マーケットインで販売戦略を考え直す

ものが溢れた現代では、プロダクトアウトではなくマーケットイン。

つまり、顧客のニーズに応じた商品の企画開発をすることが重要です。

もちろん、プロダクトアウトの販売戦略には、企業本位の商品の企画開発という以外に、顧客の潜在ニーズを掘り起こすという意味もあるので、必ずうまくいかない訳ではありません。

しかし、商品が売れないということは、顧客のニーズに応える商品ではないという仮説が立てられます。

マーケティング施策などをしっかりと行っているのに売れないのであれば、プロダクトアウト的なマーケティングになっていないかを検証して、改めてマーケットインで販売戦略を練り直すなどを検討してみましょう。

アナログなマーケティング施策を検討してみる

現代では、インターネットを活用したWeb広告やSNSなどのデジタルなマーケティング施策が主流となっています。

しかし、デジタル全盛期だからこそ、アナログのマーケティングが際立つということも考えられます。

つまり、顧客が購買に至るまでの「認知」「興味・関心」「比較・検討」「商談」のプロセスの全てにおいて、顧客はデジタルだけに接しているわけではないのです。

実際に、現在マーケティング施策としてうまくいっているのは「デジタルとアナログの組み合わせ」です。

実際に2016年に一般社団法人日本ダイレクトメール協会が行なった「DMメディア実態調査2016」によれば、「DMだけ」「メールだけ」「DMとメールの両方」の3パターンで無作為に抽出したターゲットに送付したところ、「DMとメールの両方」の場合が最も反応率が高くなったという実験結果が出ています。

また、高齢者などのようにアナログマーケティング施策でしかアプローチできない層もいるためデジタルの時代だからこそ、次のようなアナログマーケティング施策を組み合わせることができないかを検討してみることが重要です。

次のようなアナログマーケティング施策を活用することで、思わぬ突破口が開けるかもしれません。

  • ・書籍
  • ・チラシ
  • ・パンフレット
  • ・手紙
  • ・DM

それぞれどのような方法を具体的に活用すべきかを見ていきましょう。

◉-8-1、書籍

マーケティング施策に書籍を活用するという方法です。

企業出版(ブックマーケティング)と呼ばれる手法です。

具体的には、自社の事業や商品・サービス、企業の成り立ち、企業理念、保有技術などについてまとめた書籍を出版してマーケティング活動に活用します。

書籍は社会的信頼性が高く、盛り込める情報が他のメディアに比べて圧倒的に多いため、読者をファン化させて自社サービスの購買意欲を向上させることが可能です。

顧客との面談や商談の前に、自社で出版した書籍を販売促進ツールとして手渡すことによって、顧客からの信頼を得やすくなり、成約につながる可能性も高くなります。

また、書店に配本して販売するので、書店の来店客の目に留まって購入した顧客から問い合わせが来るなど、新規顧客の獲得にもつながります。

◉-8-2、チラシ

商品のおすすめポイントなどを簡単にまとめたチラシもマーケティング施策に利用できます。

チラシは、顧客にキャンペーンなどのお得情報を告知したり、来店を促して商品の販促につなげたり、商品の認知度を上げるために、ポスティングなどの方法で特定のエリア内に配布します。

メールやSNSなどのデジタルマーケティングでは埋もれてしまいがちなキャンペーン情報やお得情報ですが、ポストに入っていたチラシを見て来店し購入する顧客は比較的多いものです。

チラシを作成する際は、「5W1Hを明記する」「内容をターゲットに合わせる」「会社や営業担当者の自己紹介を入れる」「ターゲットの興味を惹くビジュアルにする」などに配慮しましょう。

◉-8-3、パンフレット

商品案内などのパンフレットをマーケティング施策に利用する方法もあります。

パンフレットは商品を単に羅列するだけでなく、商品の特徴やメリット、ベネフィットなどを分かりやすく説明して、商品の良さがきちんと顧客に伝わるものにしなければなりません。

顧客の興味や関心を喚起して購買意欲を高めてくれるようなものにしましょう。

◉-8-4、手紙

手紙、それも手書きの手紙はアナログな手法の最たるものですが、マーケティング施策としては非常に有効です。

手紙は、電子メールやDMとは違って、受け取った顧客に深い印象を残すことができ、顧客が手紙の書き手に対して信頼感を抱きやすいという特徴があります。

また、手紙は宛名の人にダイレクトに届けられるため、決裁者に直接アプローチし、関係性を構築していきたい場合などにも有効です。

営業マンが訪問する場合の人的コストの発生、テレアポなどで取り次いでもらえない、相手の時間を拘束するなどのデメリットもありません。

◉-8-5、DM

紙のDMを送付するというマーケティング手法もあります。

日本ダイレクトメール協会が2021年に実施した「DMメディア実態調査2021」によれば、DMの開封率は約79.5%にものぼり、電子メールよりも5倍以上開封されやすいという結果が出ています。(電子メールの開封率は約14%)

多くの電子メールを受信する人の場合、他のメールに埋もれてしまって開封されないことが多々あるのに対して、郵便ポストを毎日確認する人は多いため、それが高い開封率につながっていると考えられます。

メールよりもコストはかかってしまうため、DMを送るターゲットをより明確にすることが重要と言えます。

【まとめ】手を尽くしても商品が売れない時は一度立ち止まることが大切

本記事では、「色々手は尽くしているけど商品が売れない、売れ行きがよくない」という場合の主な原因や、このようなときに検討すべき8つのポイントについて解説しました。

基本的な対応としては、一度立ち止まって、今回の8つのポイントについて、どうすべきかを検討してみましょう。

特にデジタル系のマーケティング施策しか行っていない方は、アナログなマーケティング施策を検討してみるのがおすすめです。

デジタル全盛期の時代だからこそ、アナログが際立つ時代です。

書籍やチラシ、DMなどの手法を一度検討してみてはいかがでしょうか。

フォーウェイではデジタル時代の集客に最適な書籍、パンフレット、チラシなどのアナログ集客の方法について、最適なご提案をさせていただいております。

ぜひ、デジタル集客に伸び悩みや頭打ちを感じている企業さまがいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。

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ブックマーケティング

コンサルティングサービスや、保険、不動産、投資、など高単価商品や、BtoB向け商品やサービスを販売していくためには、顧客との信頼関係構築が何より重要と言われます。

なぜなら、金額も高いため、買う側も「信頼できる相手から買いたい」と考える傾向があるからです。

しかし、顧客との関係性を作るためには、ある程度の時間と手間が必要になります。

また、高単価であるが故にその商品やサービスの特徴、価値を伝えるのにも時間や手間が必要です。

結果として成約までのリードタイムが長くなってしまうことが往々にしてあります。

そんなリードタイムを短くできる施策の1つが顧客教育です。

今回は、成約までのリードタイムの短縮におすすめな顧客教育方法や成功事例について解説します。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 29d5ead1ee41a6d25524876e7bd315d5-scaled.jpg
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

高単価やBtoBはリードタイムが長くなりがち

高単価やBtoB向けの商品・サービスになればなるほど、顧客の「失敗したくない」という気持ちが強くなるため、信頼関係のある法人や個人から購入したくなるものです。

たとえば、不動産などの高額商品を販売する場合は、買い手側にとっては数千万円という買い物になるため、まずは小さな案件に対応したり、他の悩みや相談に応えたりしながら徐々に顧客の信頼を獲得していくことが重要になります。

また、「なぜその法人や個人の商品・サービスが必要なのか?」ということをはっきりと理解していないことも多いため、これらのことを理解してもらうにもある程度の時間が必要です。

顧客との間に信頼関係を構築して、商品の必要性などを理解してもらうためには数ヶ月以上かかるのが一般的なので、高単価やBtoB向けの商品・サービスはどうしてもリードタイムが長くなってしまうのです。

リードタイムを短くしてくれるのが顧客教育

長くなりがちなリードタイムを短縮する施策として「顧客教育」があります。

顧客に対して「自身がどういう法人、個人なのか?」「なぜその法人や個人の商品が必要なのか?」ということを、商談をする前に理解してもらうことができれば、成約までのリードタイムを短くすることが可能です。

たとえば、セミナーを開いて不動産投資用物件を販売する場合で考えてみましょう。

不動産投資について全く知識がない状態で初めて参加された方よりも、既に一定の知識を持ち会社との接点が過去に多い人の方が成約しやすいと言えます。

特に、高単価やBtoB向けの商品・サービスを販売している法人や個人は「顧客教育」をうまく活用してリードタイムの短縮を図るべきです。

成約までのリードタイムを短くする!おすすめの顧客教育手法

「顧客教育」にはさまざまな方法があります。

その中でも、特に成約までのリードタイムを短くするのに有効な「顧客教育」をご紹介します。

セミナーや講座の開催

自社が販売している商品やサービスのターゲットが、興味を抱くような内容のセミナーや講座を開催して、その中で自社の商品やサービスの必要性を理解してもらう手法です。

たとえば、「成年後見支援」を主要なビジネスにしている場合は、「終活セミナー」などを開催することが考えられます。

また、セミナーや講座であれば、最初から講師というポジションでターゲットと接することができるので、参加者から信頼を得やすいというメリットがあります。

書籍の出版(企業出版)

自社が販売している商品やサービスに関する書籍を出版して、書店に配本し他のマーケティング施策と組み合わせてターゲットの手元に届ける手法です。

書籍は社会的信用性が高いという特徴があるので、書籍を出版したことによって読者に「本を出版できるぐらい社会的信用性、専門性、権威性が高い」というイメージを持ってもらうことができます。

また、一般のビジネス書は7万文字~10万文字という情報量があるため、商品やサービスに関することだけではなく、開発にかける思いや独自技術、創業ストーリー、企業理念、プロフィールなどもまとめて伝えることが可能です。

さらに、SNSや広告とは違い、読者がお金を払って購入するため、読んでもらいやすいのが特徴です。

そのため、ターゲットの手元に届けることができれば、書籍の内容をしっかりと理解してもらえるというメリットを享受することができます。

実際に、出版後すぐに問い合わせがあり大型案件の成約が得られたり、商談で成約しやすくなった、という事例も豊富にあります。

単に書籍を出版するだけでは「顧客教育」にはなりませんが、企業出版によりターゲットに届けることができて、書籍の内容をしっかりと読んでもらえれば、リードタイムを短くする有効な手段となるのです。

マーケティングファネルの構築

さまざまな方法で取得した見込み顧客のメールアドレスに、メルマガやステップメールで情報を発信する手法です。

たとえば、メルマガやステップメールで無料セミナーの開催を告知して集客し、セミナーの中で「顧客教育」をして「なぜその商品が必要なのか?」を理解してもらった上で無料の個別相談を募集します。

そして、個別相談に参加してくれた見込み顧客に対して、商品やサービスのオファーをかけるというように、見込み顧客の状況に応じて最適な「顧客教育」を施していくのがマーケティングファネルの構築です。

一連のファネルごとの施策を通して「顧客教育」を行う仕組みを作ることで、高単価やBtoB向け商品が成約しやすくなります。

SEO

SEOは、顧客自身が興味のあることを調べたり、悩みを解決したりするために行う「インターネット検索」を利用するものです。

顧客自らが検索をして上位に表示される記事にアクセスするため読んでもらいやすく、その中で「顧客教育」をすることが可能です。

アクセスしたサイトの記事に有益な情報が書いてあればあるほど、その記事を書いた法人や個人のファンになっていく傾向があるため、確度の高い問い合わせが来やすくなります。

このようなことから、広告経由で成約した顧客よりもSEO経由で成約した顧客の方が質が高いという傾向があります。

Youtube配信

Youtube配信もSEOと同様に顧客が自発的に閲覧するものなので、見てもらいやすく、その中で「顧客教育」をすることが可能です。

有益な情報を分かりやすく動画にして配信すればするほど、その法人や個人のファンになり、確度の高い問い合わせが来やすくなるというのが特徴です。

Youtubeでの動画の場合は、SEOと違って顔を出して発信することができるため、動画の出演者に対する信頼感や興味が湧きやすく、ファン化しやすいという傾向があります。

また、顧客が自ら調べてたどり着くという特徴から、問い合わせの質が高いのが特徴です。

クラウドファンディング

クラウドファンディングは想いに共感する人を集めることができるという大きな特徴があります。

まず法人や個人のファンになってもらって、資金集めをしながら、支援者(顧客)との信頼関係を構築していくことが可能です。

クラウドファンディングの説明文などで、想いや取り扱っている商品・サービスなどを紹介をすることができ、これが「顧客教育」になります。

クラウドファンディングによって、すぐに商品・サービスが売れる訳ではありませんが、支援者という形でファンを獲得することが可能です。

たとえば、前述のような書籍を出版するためのクラウドファンディングを行い、出版した書籍をリターンとしてお渡しするようにすれば、読んでもらえて問い合わせにつながる可能性が高まります。

また、クラウドファンディングの場合は、共感した支援者が情報の拡散を行ってくれることがあるというのも特徴の一つです。

顧客教育用のパンフレット送付

自社の取り扱っている商品やサービス、法人、個人などについてまとめたパンフレットを作っておき、それを様々な手段で獲得した顧客に送ることによって「顧客教育」をすることができます。

パンフレットは書籍よりも手軽に安く作れますし、しっかりと読んでもらうことができれば成約までのリードタイムを短縮することができます。

リードタイムを短くするために押さえておくべき顧客教育のポイント

成約までのリードタイムを短くするための「顧客教育」の手法を紹介しましたが、いずれにも共通する押さえておくべきポイントがあります。

どのようなポイントがあるのか、くわしく見ていきましょう。

ターゲットを明確にする

ターゲットを明確にして、ピンポイントで「顧客教育」をしなければ、成約リードタイムの短縮どころか、成約も難しくなります。

なぜなら、商品やサービスを求めていないターゲットにいくら「顧客教育」をしても成約につながることはないからです。

また、ターゲットの範囲を広くすると「顧客教育」の対象者が増えますので一見多くの成約が得られるのではないかと考えがちですが、「顧客教育」の確度がぼやけてしまうため成約につながりにくくなります。

ターゲットに届きやすい施策を検討する

ターゲットによって有効な「顧客教育」は異なります。

ターゲットにアプローチできない施策をいくら頑張ったとしても成約につながることはありませんので、「ターゲットにアプローチできる施策は何か?」を慎重に検討する必要があります。

たとえば、高齢者をターゲットにするのであれば、SNSやWeb広告よりはパンフレットやチラシなどが有効です。

逆に、20代の若者をターゲットにするのであれば、断然SNSが良いでしょう。

また、企業の決裁権者をターゲットにするのであれば、書籍やパンフレット、SEOなどがおすすめです。

このように、どの施策が自社のターゲットにアプローチしやすいかを検討することが重要といえます。

ファンになってくれること、信頼感を生むことを目標にする

「顧客教育」は、あくまでも「役に立つ情報をいかに届けて信頼を獲得するか?」が目的なので、商品やサービスの「売り込み色」を出さないように注意しましょう。

「意図的に誘導する」などの「売りたいという気持ち」はすぐに顧客に気づかれてしまい、敬遠されたり、信頼を失うことになりかねません。

あくまでも、ファンになってくれること、信頼感を生むことを目標にしましょう。

商品情報だけではなく、背景や想いなども盛り込む

「顧客教育」の内容は、単なる商品やサービスの説明だけではいけません。

「なぜ、その商品やサービスを開発したのか?」などの背景や想いなどを盛り込んで、顧客からの共感を得やすくする必要があるからです。

背景や想いなどを盛り込むことによって「売り込み色」を消す効果も期待できます。

顧客教育によりリードタイムが短縮した成功事例!

実際に「顧客教育」を行ってリードタイムを短縮した事例を3件ご紹介します。

医師向け不動産投資の書籍を販売し10億円以上の売上に!(不動産投資)

この不動産投資会社は、自社の認知度や信頼性が低いために、ターゲットである医師の集客がうまくいかないことや成約までのリードタイムが長いことに悩んでいました。

これらの課題を解決するために、不動産投資が節税対策に有効なことなどを訴求する書籍を、医師をメインターゲットとして出版。

出版後1ヶ月で読者から大型案件を受注して3億円の売上を実現することができたそうです。

さらに、メインターゲットである医師(読者)から次々に問い合わせがあり少なくとも10億円以上の売上につながりました。

また、出版前の大きな課題だったリードタイムの長さも解消されて、ほとんどが初回の面談で決断してもらえるようになったそうです。

不動産投資のように、顧客にその必要性や重要性を認識させることが重要な商品・サービスには、「いかに顧客教育をするか」がリードタイムの短縮に関わってくるため、情報量が多い書籍は顧客教育に有効な手段と言えるでしょう。

場がホットな状態から商談ができるように!(保険代理店)

この保険代理店は、本業のリードタイムの長さの解消と新規事業であるコンサル事業の集客方法について模索していました。

これらの課題解決を狙って書籍を出版し、「成果報酬型」が当たり前の業界で「一律報酬型」の給与体系を導入した新規性をキャッチコピーとして書籍を出版。

業界の慣習に反した給与体系にもかかわらず売上高が右肩上がりで、社員の定着率も高いということに大きな反響があり、出版記念セミナーでは60名を集客し、複数件のコンサル契約を獲得することができたのだそうです。

その後も書籍が飛ぶように売れ、⼤⼿保険会社などの講演会に講師として招かれるようになりました。

また、実際の保険営業の現場でも、事前に書籍を読んでもらっているので「顧客教育」が終わった状態から商談に入れて、まさに場がホットな状態から商談ができるようになったそうです。

出版の狙いだったリードタイムの短縮も達成することができています。

当社で扱うような法人保険の営業は、商談が経営者同士の良い議論になるのか、出入り業者のような見られ方をするのかで結果がまったく違うんです。本来、人材戦略や財務状況など経営の中身を腹を割って話してもらって、相手の経営に踏み込んだ提案をしないと大型の保険契約は決まりませんから。本を出して、そういう理想的な商談をすごく増やせました。
引用元:【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店

保険営業のように顧客との関係値を構築する上でも書籍は有効な手段と言えるでしょう。

リードタイムの長い注文住宅が16件成約!(注文住宅)

この注文住宅の建築会社は、競合が多いうえポータルサイトへの広告費用が高額なため、質の高い顧客を効率よく集客することを狙って書籍を出版。

注文住宅の入門書という企画内容で、「良い見積もりと悪い見積もりの違い」「現場見学でのチェックポイント」「営業マンの選び方」など住宅会社選びのポイントを解説する内容としました。

自社の商圏に近い書店に重点配本したところ、その書店で購入した読者から問い合わせが殺到して、注文住宅16件の成約を実現。

出版の狙いだった集客効果はもちろんのこと、顧客は問い合わせ時点で書籍の内容を熟読して「顧客教育」ができた状態だったため、いずれもリードタイムの大幅な短縮ができました。

【まとめ】高単価・BtoB向け商品販売には顧客教育の活用がおすすめ!

本記事では、成約までのリードタイムの短縮におすすめな「顧客教育」の方法や成功事例について解説しました。

高単価やBtoB向け商品などを販売する際には、顧客との間に信頼関係を構築したり商品の必要性などを理解してもらう必要があり、そのためリードタイムが長くなります。

これを解消してリードタイムを短縮するには「顧客教育」が有効で、その中でも特に書籍の活用がおすすめです。

書籍は信用性が高い媒体ですので、読者に「本を出版するほどの社会的信用性や専門性が高い」というイメージを持ってもらうことができます。

また、書籍が伝えることができる情報量は膨大なため、商品やサービスの説明だけではなく、開発にかける想いや独自技術、創業ストーリー、企業理念、プロフィールなどもまとめて伝えることができます。

しかも、読者がお金を払って購入するため「必ず読んでもらえる」という特徴があることから、書籍の活用が「顧客教育」に最適なのです。

リードタイムの長さに悩んでいる場合は、ぜひ書籍の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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ブックマーケティング

「権威性」とは、「社会全体からどの程度認められた存在なのか?」を表す評価指標です。

たとえば、「その業界や分野の第一人者であり、世界的な権威者」という人の話の方が、そうでない人の話に比べると、信頼感を持って聞いてもらえるということがあるはずです。

実際に、人は権威のある人の話に耳を傾けやすく、信用しやすいという傾向があります。

そのため、マーケティングで成果を出していく上では「いかに権威性を高めるか」は重要なポイントとなっています。

また、2014年からGoogleが検索結果の表示順位を決めるための要素の一つとして「権威性」を導入したことから、SEO対策を行う上でも重要性が増しました。

この記事では、企業や経営者が「権威性」を高める方法などについて詳しく解説いたします。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 29d5ead1ee41a6d25524876e7bd315d5-scaled.jpg
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

権威性とは?

「権威性」とは、「社会的にどの程度承認を受けているのか」を表す評価指標です。

「権威」という言葉からは「権力」や「他人を服従させること」などを連想しがちですが、マーケティング分野やSEO対策において「権威性がある」とは、「社会的に承認を受けている」という意味になります。

たとえば、人や組織などが「社会的に承認を受けている」具体例としては、次のようなものがあります。

  • ・正式(オフィシャル)である
  • ・公的機関である
  • ・公的資格を有している
  • ・その分野の第一人者である

SEO対策においては、Googleが検索アルゴリズムに「権威性」を導入したことから、必要不可欠な要素となりました。

また、マーケティング分野においても「権威性」は重要な要素の一つで、たとえばLP(ランディングページ)制作の際には、「権威性」の表現を用いることが推奨されています。

権威性があるメリット

「権威性」があるメリットとして、顧客からの信頼を得やすくなるということがあります。

具体的なメリットとしては次のようなことが挙げられます。

  • ・サイトや記事などがGoogleから評価されやすくなる(SEO)
  • ・顧客からの信頼を得やすくなる(成約率向上)
  • ・ファンができる

それぞれくわしく見ていきましょう。

◉-1、サイトや記事などがGoogleから評価されやすくなる(SEO)

Googleは、2014年から検索品質ガイドラインに「E-E-A-T」という評価基準を導入しました。

これは、Exprerience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の頭文字を表しており、この中に「Authoritativeness:権威性」が含まれています。

つまり、Googleによって「権威性」が高いと評価されると検索結果の表示順位が上位になるということです。

これによって、顧客(検索した人)が自社サイトを閲覧する可能性が高くなり、売上や成約率の向上などにつながることが期待できるのです。

たとえば、SEOの傾向として、大手企業が運営するサイトの方が、個人や中小企業のサイトよりも検索結果の表示順位が上位になる傾向があります。

これは、個人や中小企業のサイトよりも大手企業が運営するサイトの方が「権威性」が高いと判断されるからです。

このGoogleの評価基準では、コンテンツやその作者だけではなく、Webサイト全体が評価対象となりますので、「権威性」を高めるためには、記事単位のコンテンツだけではなくWebサイト全般についても配慮しなければなりません。

◉-2、顧客からの信頼を得やすくなる(成約率向上)

経営者や営業担当者に「権威性」があると、顧客と話をする際に自然と説得力のある話し方になります。

商談の場などで説得力のある話し方をするためには、商品やサービスについての専門的な知識はもちろん、関連する質問などがあっても何でも答えられるという自信が必要です。

たとえば、経験豊富なベテラン営業担当者と新入社員の営業担当者とでは「権威性」には大きな差が出てくるでしょう。

また、同年代の営業担当者であっても、商品やサービスに関連する資格を持っている人とそうでない人では、話の説得力が変わってきます。

実際に、対面で話をする際には、自信がある話し方とそうでない話し方は、顧客にはすぐに違いが分かってしまいます。

「権威性」があると顧客から無条件に信頼してもらいやすくなり、結果として売上や成約率の向上につながります。

◉-3、ファンができる

「権威性」が高いと、SNSなどで発信したメッセージを受け取ってもらいやすくなり、メッセージの内容についても信頼して受け入れてもらいやすくなります。

たとえば、特に何の権威性のない人が「日本経済は今後こういった傾向になっていく」と発言するのと、有名大学の経済学部の教授が同じ発言をするのでは、後者の方が説得力を感じると思います。

このように、権威性があるかないかで発言についての説得力が変わってくるのです。

そのため、メッセージに対して好意的な返信をしたり、好意的なメッセージを付けて拡散をしたりしてくれるなど反響が大きく、ファンを獲得しやすくなるというメリットが生まれます。

企業や経営者の権威性を高めるための方法

「権威性」があると自社や自身に大きなメリットがもたらされます。

では、企業や経営者が自社や自身の「権威性」を高めるにはどうすれば良いのでしょうか?

具体的には次のような方法が有効です。

  • ・公的な資格を取得する
  • ・書籍を出版する
  • ・受賞する
  • ・メディア露出を増やす
  • ・権威性を高めるSEO対策の実施・講演を行う
  • ・実績の数を増やす
  • ・上場する

それぞれどのような方法なのか、具体的に見ていきましょう。

◉-1、公的な資格を取得する

弁護士や公認会計士、税理士、一級建築士などの国家資格や社会的に認知度が高い資格を取得することによって「権威性」を高めることが可能です。

難関資格であればあるほど、資格の等級が高ければ高いほど「権威性」は高まります。

たとえば、「簿記資格」よりは「公認会計士」や「税理士」の方が「権威性」は高くなりますし、「二級建築士」よりは「一級建築士」の方が圧倒的に「権威性」が高くなります。

なお、資格を必要としないコピーライターやデザイナー、フォトグラファーなどの職業を表す言葉も、その道の専門家というイメージを与えますので「権威性」を高めるための一定の効果があると言えるでしょう。

◉-1-1、民間資格ではダメ?

民間資格の場合、社会的に認知されていないことが多いため、あまり「権威性」は高くありません。

どちらかというと、「ないよりは良い」というレベルでしょう。

しかしながら、民間資格であっても「英検1級」のように認知度が高いものは存在します。

また、「薬機法管理者」などのように、民間であっても「こういった専門家なのかな」と分かりやすい資格もありますので、ないよりはあった方が「権威性」は高くなります。

◉-2、書籍を出版する

一般的に、その道の専門家であったり、知名度が高くないと書籍を出版できないイメージがあります。

デジタル時代の今でも書籍の社会的信頼性は高いため、書籍を出版することで「権威性」を高める効果が期待できます。

◉-2-1、書籍を出版するだけでは不十分!

書籍を出版するだけであれば、それほど難しくはありません。

費用はかかりますが、自費出版を活用すれば、自分の書籍を比較的簡単に出すことができるのです。

書籍を出版することで、確かに「権威性」は高まりますが、それだけでは不十分です。

なぜならば、前述のように「権威性」を高めるためには「より社会的に承認を受けている状態」でなければならないからです。

そのため、「自費出版」した場合は、書店でも販売したり、見込み客に配るなどの方法によって、世の中に「出版した事実」を広める努力が必要となります。

◉-3、受賞する

何か賞を受賞することによって「権威性」を高めることもできます。

賞といってもいろいろなものがありますので、自社の商品やサービスに応じて選ぶ必要があります。

たとえば、「グッドデザイン賞」は、日本のデザイン分野では最も認知度の高い賞です。

また、製品、建築、ソフトウェア、システム、サービスなど形の有る無しに関わらず対象となりますので応募しやすいと考えられます。

食品関係であれば「モンドセレクション」がありますし、販売系であれば通販サイトの「ショップ・オブ・ザ・イヤー」などがあります。

自社のHPや商品パンフレットなどにこれらの受賞実績を表示すると、取り扱っている商品やサービス、サイトを「すごい」と感じさせることができます。

その他にも探せば応募できる賞はたくさんありますので、自社に合ったものを探して応募してみましょう。

◉-4、メディア露出を増やす

「権威性」は「社会的にどれぐらい認められているのか」を表す指標なので、自身や企業自体がいかにメディアに露出して認知されるかが重要です。

そのためにも、書籍だけではなく、世の中の多くの人が「すごい」と思ってもらえるようなメディアに露出していく必要があります。

メディアにも多くの種類があります。

そのため、自社の取扱商品やサービスに応じて適切なメディアを選ばなければなりません。

たとえば、一般消費者向けの商品やサービスであれば、テレビや新聞、雑誌、SNSなどが考えられますし、BtoB商品やサービスであれば、新聞や業界紙、事業に関連するポータルサイト、SNSなどが考えられます。

また、できるだけ信用度の高い有名なメディアに取り上げられることが「権威性」を高めるためには重要です。

具体的には以下のような方法でメディア露出を増やしていけないかを検討してみましょう。

  • ・積極的にプレスリリースを打つ
  • ・大手メディアに記事を寄稿する
  • ・積極的にSNSで情報発信する
  • ・テレビやラジオに出演する
  • ・テレビCMを打つ

具体的にどのような方法なのかをくわしく見ていきましょう。

◉-4-1、積極的にプレスリリースを打つ

プレスリリースの最大の目的は、各方々のメディアに取り上げられて記事にされることです。

つまり、積極的にプレスリリースをすると、メディアの目に留まる機会が増え、取り上げられる可能性が高くなり「権威性」も高くなるというわけです。

メディアに取り上げられやすくするためには、トレンドになっている話題を絡めたり、開発秘話などのストーリー性のある話題を盛り込んだり、顧客にどのようなメリットがあるのかを分かりやすく盛り込んだりすることなどが必要です。

また、新商品発売のプレスリリースの場合は、旧商品とどこが違うのか、他社製品とどこが違うのかなどが分かりやすく記載しておくと、メディアで記事を作成する際の手間がかからないため取り上げられる機会が増えます。

◉-4-2、大手メディアに記事を寄稿する

大手メディアに記事を寄稿することによって、記事になり「権威性」が向上します。

まったく縁のないメディアにいきなり寄稿しても相手にされないことが多いと思われますので、たとえばこれまでにプレスリリースを取り上げてくれたメディアなど、何らかのつながりのあったところに寄稿依頼などを送ってみてはいかがでしょうか。

また、ジャンル違いのメディアに掲載しても意味がないので、商品やサービスに合ったジャンルのメディアを選定して依頼することが大切です。

◉-4-3、積極的にSNSで情報発信する

SNSで情報発信することによって、メディアの目に留まって取り上げられる可能性が増えて、「権威性」の向上につながります。

SNSは個人が閲覧するだけではなく、多くのメディアが何か記事になるネタがないかを探しています。

最近ニュースなどで「このニュースに関してSNSでは〜」という風にSNSの反響などをそのまま活用している放送局も多くなってきています。

前述のようにメディアといってもいろいろな種類があり、そのメディアのターゲットに注目されるようなネタを探しているわけですから、一般消費者向けの商品やサービスでなくても、積極的に情報発信をしていくべきです。

◉-4-4、テレビやラジオに出演する

テレビ番組やラジオ番組に出演してメディア露出を増やすことも「権威性」を高める方法の1つです。

テレビ番組やラジオ番組に出演するためには、テレビ局やラジオ局にふさわしい番組がなくてはなりませんが、ワイドショーなどの番組であれば最近話題の商品やサービスを紹介することがありますのでチャンスはあります。

自社の商品やサービスが、近年話題の省エネや環境問題、節約などに貢献するものであるなど、話題性のあるものであれば出演の機会が期待できます。

◉-4-5、テレビCMを打つ

自社の商品やサービスが一般消費者向けである場合は、テレビCMを打ってメディア露出を上げ「権威性」を高めることができます。

テレビCMを出稿するとそれなりに費用はかかりますが、CMが流れている期間中は確実にその効果が表れて売り上げに寄与することができます。

ただし、テレビCMが流れなくなったあとまで効果が継続するかどうかは、どのような商品やサービスなのかやテレビCMの出来などによって変わってくると考えられます。

◉-5、権威性を高めるSEO対策の実施

SEO対策により、検索結果で上位表示されることも「権威性」を高める方法の1つです。

具体的には次のような方法があります。

  • ・良質な被リンクの獲得
  • ・他メディアの記事を監修

◉-5-1、良質な被リンクの獲得

すでに「権威性」があると認められている良質なWebサイトから被リンクを獲得することによって「権威性」を高めることができます。

「権威性」のある良質なWebサイトとは、公的機関や業界で上位に位置する企業のWebサイトなどです。

権威性の高いサイトからの被リンクを獲得しているということは、それだけ信頼できる記事を出しているということと判断され、「権威性がある」とGoogleから評価されやすくなるのです。

具体的に被リンクを獲得するためには、継続的なプレスリリースを行ったり相互リンクの提案をしたりします。

◉-5-2、他メディアの記事を監修

他のメディアの記事を監修することによって「その道の専門家」と見られるようになります。

たとえば、税金のことを解説する記事に「監修者」として名前が載っていたら、その人が税金についての専門家であることが分かります。

このように、他メディアの記事を監修すると、自分自身の「権威性」を高めることができるのです。

ただし、この場合は自分自身が何らかの資格を持っていたり、専門知識があるなど、その記事のメディアから認められることが前提となります。

あるいは、自社の商品やサービス、保有技術などが他社にないような独自なものであるような場合も記事の監修をすることが可能です。

◉-6、講演を行う

講演は、その道の第一人者としてテーマに沿った話をする場なので「権威性」を高めるのに有効です。

たとえば、知名度の高いセミナーやイベントで講演すると、権威のある人と認識されて、別のセミナーの講師としてオファーを受けることも考えられます。

ちなみに、前述したように書籍を出版すると、その道の第一人者と認識されやすくなるため、講演の依頼が増加することがあります。

次の「【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店」でご紹介している保険代理店の代表は、書籍を出版した結果、多くの講演依頼が来たそうです。

◉-7、実績の数を増やす

実績の数を増やすことも「権威性」を高めるのに有効な方法です。

たとえば、HPに多くの実績が掲載されている企業と実績が掲載されていない企業では、実績が掲載されている方に「権威性」を感じるようになります。

実績の具体的例としては、売上高や売上数、顧客数、営業年数などがあります。

また、「顧客満足度No.1」や「リピート率98%」などのように計測可能な高い数値を表示すると多くの人が利用しているというイメージを抱かせることができ「権威性」を高めることにつながります。

◉-8、上場する

株式を上場すると会社の情報が公になるため、社会的認知度が一気に高まり「権威性」も高くなります。

一般的に「上場している会社=一流企業」というイメージがあるため「権威性」が高くなるのです。

◉書籍の出版が権威性を高めるにはやりやすくておすすめ!

「権威性」を高める方法の中で、一番やりやすく、かつ効果的なのが書籍の出版です。

実際に書籍の出版によって「権威性」が高まり、成約につながった事例を紹介します。

◉-1、保険代理店の事例

埼玉県で保険代理店を営む経営者は自身が出版した書籍の中で、保険業界の現状と問題点について解説し、今後の保険代理店経営に必要な考え方やシステムについて持論を展開しました。

それは保険業界の給与体系に関するもので、成果に応じて給与が決まる「成果報酬型」が当たり前ですが、これを「一律報酬型」に変えることで業績拡大ができるという内容でした。

つまり、限られた少数のスーパー営業マンに頼るのではなく、すべての社員による経営で業績拡大ができるということを書籍の中で紹介したのです。

書籍を出版したことにより業界関係者に読んでもらうことができ、多くのセミナーや講演会に講師として招かれるようになりました。

特に保険会社から講演の依頼が来たり、同業者を支援してほしいという依頼が来たり、保険会社側から一目置かれる代理店になったということの意義は非常に大きいと感じているそうです。

また、本を読んだ人から新規のコンサル契約を獲得したり、口コミでの紹介が増えて保険契約数が伸びるという大きな経営効果も得られて、出版前には考えられなかったような状態になっているそうです。

本来の出版目的であった、同業の保険代理店からのコンサル依頼がまず数件。そして驚いたのは、保険会社から講演の依頼が来たり同業支援の話が回ってきたりと、「保険会社にとって頼れる代理店」というありがたいイメージを持ってもらえるようになったことです。
引用元:【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店

【まとめ】権威性を高めることで、企業や事業、経営者に良い影響を出そう

本記事では、「権威性」についてのメリットや、高めるための具体的な方法などについて解説しました。

また、企業や経営者が「権威性」を高めるために最も効果的な方法として書籍の出版があり、実際に「権威性」の向上に成功した事例を紹介しました。

デジタル技術全盛の時代にあって、どうして紙メディアの書籍なのかという疑問もあるかと思います。

それは、書籍は伝達できる情報量が非常に多く、単なる商品やサービスの紹介だけではなく、開発秘話などのストーリーをまとめて顧客に届けることができるという大きな特徴があるからです。

書籍を出版しているという「権威性」に加えて、顧客をファン化することができるコンテンツを確実に伝達することができます。

書籍の出版によって「権威性」を高めて、企業や事業の経営に良い影響を与えることができるでしょう。

商品やサービスの課題として「権威性のなさ」を感じている企業さまは、ぜひ書籍の出版を検討してみてはいかがでしょうか。

フォーウェイまでお気軽にご相談ください。

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ブックマーケティング

「成約率をいかに高めていくか」は企業として利益をあげていく上で重要な課題の1つです。

「成約率を高める」というのは、「いかに少ないリソースで、多くの営業成果を獲得するか、を追求する」ということなので、単に商談での成約率が向上した、というだけでは課題を解決することはできません。

顧客情報の管理や、見込み顧客へのアプローチや顧客教育など、「営業に必要なあらゆる作業をいかに効率的に行うか」という観点と、「1回の商談での成約率をいかに高められるか」という2つの観点で改良をしていく必要があります。

そんな時に活用したいのが営業ツールです。

この記事では、成約率を高めるために必要不可欠な4種類のツールと、その選び方、活用方法などを詳しく解説します。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 29d5ead1ee41a6d25524876e7bd315d5-scaled.jpg
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

営業効率や成約率を高めるために活用すべきツールは主に4種類

営業ツールには「どの営業プロセスを効率化したいのか」によって次の4種類のツールが存在します。

それぞれどのようなツールなのかを詳しく見ていきましょう。

顧客関係管理ツール(CRM)

「CRM」は、Customer Relationship Managementの略称で、「顧客関係管理」「顧客情報管理」「顧客関係構築」「顧客管理」などと訳される概念です。

「CRM」で顧客情報を分析することにより、顧客のニーズに応じた適切なアプローチを行い「顧客をリピーターやファンに育成」することができます。

「CRM」で、年齢・性別・住所・職業・年収・取引き商談履歴・クレーム状況などの情報を一元的に管理して分析し、ある条件に適合する顧客を抽出したり、市場の購買動向などを把握したりして営業活動に活かすことができるのが特徴です。

「CRM」を導入することによって、これまで営業担当者の経験や勘に頼っていた営業活動を可視化して共有することができます。

一般的に「顧客関係管理ツール(CRM)」には次のような機能がついています。

・顧客情報管理機能・分析機能

・メール配信機能

・問い合わせ対応機能

・プロモーション支援機能

CRMの選び方

「CRM」を選ぶ際に考慮すべきポイントは次の4つです。

CRMを選ぶポイントポイントの概要
目的に合った機能を有しているか自社の業務内容や導入目的に合った機能を有しているかどうかを確認する必要があります。ツールによっては無料トライアルなどが利用できる場合がありますので、事前に機能や使い勝手を確認することができます。
初期コストやランニングコストが適切か「CRM」を選定する際は、初期コストだけではなくランニングコストが適切かを確認する必要があります。
サポート体制がしっかりしているか何らかのトラブルが発生したときに素早く対応してもらえるかどうかも大きなポイントです。サポート体制がしっかりとしたベンダーを選ぶようにしましょう。一般的に、国内企業の方が素早い対応が期待できるでしょう。
機能の拡張性や連携性があるか営業ツールは「CRM」だけではなく、次項で説明する「SFA」や「MA」などもあります。機能の拡張性や他のツールとの連携性が考慮されたツールを選ぶと、将来の機能拡張や他のシステムとの連携が楽に行えます。

また、代表的な「CRM」の特徴は次表の通りです。

名称特徴
Knowledge Suite(ナレッジスイート)名刺を使った顧客情報管理ができることが特徴。営業支援、顧客管理、グループウェア、働き方改革、テレワーク支援、コミュニケーションなどの機能を提供しています。
Microsoft Dynamics 365(マイクロソフト)業務量が膨大で多種多様な業務内容がある大企業向け。多機能で高い拡張性を持っており、マイクロソフトが提供しているという信頼性が特徴です。提供機能は、カスタマーサービス、フィールドサービス、リモートアシスト、マーケティングサポートなど。
e セールスマネージャー(ソフトブレーン)簡単入力が特徴で中小企業におすすめ。一度データや情報を入力すれば、多くの業務を自動化できます。提供機能は、ダッシュボード、タイムライン、スケジュール、顧客情報、人脈情報、商談リスト、予算情報、実績情報、グループウェアなど。

営業支援ツール(SFA)

「SFA(Sales Force Automation)」は、営業活動を効率化して支援するシステムやツールのことを言います。

「SFA」は、各営業担当者の営業日報や商談スケジュールを集中管理することができ、営業活動を可視化して共有化することができるのが特徴です。

営業担当者は外出先から携帯端末やスマートフォンなどを使って営業日報を作成したり、顧客情報を確認したりすることができ、上司は各営業担当者の営業活動の進捗状況を把握することができます。

「SFA」は営業活動における属人化を解消して、営業活動や営業報告業務を効率的に行うために有効なツールと言えるでしょう。

一般的に「営業支援ツール(SFA)」には次のような機能がついています。

・TODO管理機能

・スケジュール管理機能

・日報作成・管理機能

・案件管理機能

・商談管理機能

■SFAの選び方

「SFA」を選ぶ際に考慮すべき重要なポイントは、「CRM」と同様に次の4つです。

・目的に合った機能を有しているか

・初期コストやランニングコストが適切か

・サポート体制がしっかりしているか

・機能の拡張性や連携性があるか

代表的な「SFA」の特徴は次表の通りです。

名称特徴
Sales Force Assistant(NIコンサルティング)低コストながら営業戦略や営業行動などを可視化する機能が揃っていることが特徴。無料トライアルが可能です。
Oracle Sales Cloud(米Oracle)一般的な機能のほか顧客のスコアリング機能や人員配置などの機能が充実。顧客の属性や購買動機などのさまざまなデータを取得できるBtoCなどの業態の企業向け。
JUST.SFA(ジャストシステム)ノーコードで自社向けのSFAにカスタマイズできることが特徴。パッケージ型で対応できない特異な営業スタイルの企業向けで、自社でカスタマイズができれば自由自在に運用することが可能となります。

マーケティング・オートメーション(MA)

「MA(Marketing Automation)」は、マーケティング活動を自動化・効率化するための方法論やその技術のことです。

具体的にはリードナーチャリングという営業プロセスに使われます。

顧客の育成状況に合わせたOne to Oneコミュニケーション活動を自動化するツールです。

「MA」を導入すると、見込み顧客一人ひとりの興味や関心に合わせたコミュニケーションが可能となり、見込み顧客との良好な関係を築くことが可能になります。

一般的に「マーケティング・オートメーション(MA)」には、次のような機能がついています。

・見込み顧客の管理機能

・スコアリング機能

・キャンペーン管理機能

・メール配信機能

・申し込みフォームの作成機能

■MAの選び方

「MA」を選ぶ際に考慮すべき重要なポイントは、「CRM」と同様に次の4つです。

・目的に合った機能を有しているか

・初期コストやランニングコストが適切か

・サポート体制がしっかりしているか

・機能の拡張性や連携性があるか

代表的な「MA」の特徴は次表の通りです。

名称特徴
Marketo Engage(アドビ)世界39か国の5000社以上に導入されているマーケティングプラットフォーム。Webサイトトラッキング、スマートキャンペーン、イベントプログラム、ナーチャリングプログラムなどの機能が利用できます。
SATORI(SATORI)Webサイトの集客に注力したツールで、匿名顧客に対応できることが特徴。主に中小企業や小規模事業などの1500社以上に導入されています。提供機能は、実名・匿名顧客の一元管理、問い合わせフォーム作成、リターゲティング広告配信、定期的なメルマガ配信、ステップメール自動配信などです。
HubSpot(HubSpot Japan)インバウンドマーケティングに強いことが特徴。複数のツールを組み合わせて効果を高めることができるマーケティングプラットフォームです。ホームページ作成、ブログ作成、メール配信、各種フォーム作成などの機能が提供されます。

営業促進ツール

営業促進ツールとは、顧客とのコミュニケーション、特に対面での面談や商談などの際に効果を発揮し、商談時の成約率を高める効果があります。

具体的には、名刺やチラシ、営業資料、会社案内・パンフレット、書籍などです。

■営業促進ツールの選び方

営業促進ツールは、顧客ごとに相手に合わせてセレクトすることが大切です。

たとえば、初回の商談の際には「いかに印象付けることができるか」や「信頼感を持ってもらえるか」が重要となります。

自社で作成した会社案内パンフレットや、出版した書籍などを持参すると、相手が会社に戻った後にじっくりと目を通して、自社に対する理解を深めてくれる効果が期待できます。

▶営業成約率を上げる方法については、関連記事【高単価商品やサービスの営業成約率を上げる方法】もあわせて参考にしてください。

商談で使う営業促進ツールは成約率を高める上で特に重要!

「CRM」や「SFA」「MA」などの営業ツールを導入して、顧客管理や顧客へのアプローチがうまくいったとしても、肝心の商談で成約できなければ意味がありません。

「CRM」や「SFA」「MA」は、営業活動における属人化を解消したり効率化したりする営業支援ツールに過ぎませんので、実際に商談になったときには成約率を高めるための営業促進ツールが重要となるのです。

代表的な営業促進ツールとしては、名刺、チラシ、営業資料、会社案内・パンフレット、書籍があります。

それぞれどのようなツールで、どのように活用できるのか、をくわしく見ていきましょう。

名刺

名刺はビジネスシーンにおいて重要な役割を持つ営業ツールです。

初対面のビジネス上の相手と、それぞれの所属や氏名などの基本情報を紹介し合うという意味合いがあり、あいさつや自己紹介の際に一般的に交換されています。

一方で、名刺には相手との会話のきっかけとして活用できる重要な役割もあります。

たとえば、名刺の裏面に出身地や趣味、特技などを記載しておいて、それをきっかけとして話がはずみ商談前のアイスブレークとすることもできます。

その他にも、自分の顔写真や似顔絵を入れたり、取扱商品を記載したり、会社のWebサイトのQRコードを入れたりなど、工夫次第でいろいろな活用が可能です。

チラシ

チラシは顧客に商品のおすすめポイントなどを簡単に説明して理解してもらうために最適な営業ツールです。

チラシはポスティングしたり、商談時に直接手渡しをするなどして配布します。

チラシを配布する主な目的は、「顧客に来店を促して商品やサービスを購入してもらうこと」「会社や商品の認知度を上げること」「キャンペーンなどのお得情報を告知すること」です。

また、チラシを作成する際に注意すべきポイントとしては、「5W1Hを明記する」「ターゲットに合わせて作成する」「会社や営業担当者の自己紹介を入れる」「画像などを入れてビジュアルにする」などが挙げられます。

営業資料

営業資料も営業活動に欠かせないツールの一つで、商談や面談の際に自社製品やサービスを効果的にアピールすることができます。

営業資料を作成する際は、顧客担当者に説明するためだけではなく、顧客担当者が決裁者に説明する際にも使用されることを考慮して、誰が見ても分かりやすい内容にすることが大切です。

また、プロジェクターでの説明資料は大きな文字で見やすく作成した方が良いですが、配布資料の場合は後日じっくりと読み返してもらうことも想定して、十分な情報量を盛り込んだ資料とした方が良いでしょう。

会社案内・パンフレット

会社案内やパンフレットも強力な営業ツールです。

会社案内やパンフレットには、自社の基本情報や事業内容・業績などのほか、取り扱っている商品やサービスが記載されています。

営業成約率を高めるポイントは、単に情報を羅列するだけではなく、商品やサービスの特徴、メリット、ベネフィットを分かりやすく説明し、自社の優位性が顧客に伝わるものにすることです。

これによって、顧客の興味を喚起し購買意欲を高めて成約につなげることができます。

会社案内やパンフレットがあれば、経験豊富な営業担当者はもちろんのこと経験が浅い営業担当者でも一定レベル以上のプレゼンテーションを行うことが可能となります。

書籍

書籍を営業販促活動に活用するという方法もあります。

具体的には、顧客との面談や商談の際に、自社の事業や商品・サービスなどについてまとめた自社出版の書籍を手渡して購買意欲の向上を図る、というものです。

チラシや営業資料などに比べて、書籍には圧倒的に多くの情報量を盛り込めるので、商品やサービスの紹介だけではなく、企業の成り立ちや企業理念、保有技術などを顧客に伝えることができます。

また、書籍は社会的信頼性が高いことも特徴です。

自社で出版した書籍を販売促進ツールとして利用することによって、顧客からの信頼を得て成約につながる可能性が高まります。

実際に書籍を販売促進ツールとして活用して成約率の向上に成功した事例について見ていきましょう。

▶書籍を販売促進ツールとして活用する方法については、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。

■保険代理店での書籍活用事例

ある保険代理店の経営者は従来から、一部のスーパー営業マンに頼った経営ではなく、アベレージヒッターを育てて全員で支えていく経営によって業績が拡大できるという考えを持っていました。

この考えを世に問うために書籍を出版したところ、これをきっかけとして保険契約数が飛躍的に伸び、書籍を読んだという決裁者から問い合わせがあり、新規契約を獲得することにも成功しました。

書籍を手にとって読んでもらったおかげで、すでに相手側が自分自身のことや自社のことをあらかた理解した状態で商談を始めることができ、成約率も向上。

当社の見られ方が確実に変わりましたね。同業者の集まりに出ても「あのイナバプランニングカンパニーさん」という反応で最初から一目置かれている。保険の商談に従業員と同行するときも、お客様に事前に本を読んでおいてもらうと、ご面談するときにちゃんと「あったまっている」んですよね(笑)
引用元:【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店

書籍という信頼性のある媒体を使ったために、多くの業界関係者からの理解と共感が得られて、業績拡大につながった事例です。

■不動産会社での書籍活用事例

ある不動産会社の経営者は、高収入で高額納税者である医師に不動産投資サービスを勧誘するために、従来からSNSやウェブ広告などを使った情報発信を行っていました。

しかし、思うように見込み顧客が獲得できないため、「高収入な医師に最適な節税対策は不動産投資である」という内容の書籍を出版。

その結果、その書籍を読んだ決裁者からの問い合わせが増えて、見込み顧客との信頼関係の構築や節税対策としての不動産投資の有効性を理解してもらうことができました。

元々、商品が高単価だったために、顧客にその必要性や重要性を理解してもらうために多くの時間を費やす必要があったそうです。

しかし、書籍があることで、顧客教育や信頼関係構築がある程度できた段階で商談を始めることができ、成約率が向上したのはもちろん、口コミによって評判が広がって新規の顧客を獲得することができました。

■建設業専門コンサルティング会社での書籍活用事例

建設業専門のコンサルティング会社の経営者は、自社の事業が世間に認知されていないことから、これを改善するために書籍を出版しました。

書籍のタイトルに「建設業のための」という文言を入れて、ターゲットに届くような工夫をしたところ、書籍を読んだ建設業の決裁者から問い合わせがあり、10件近くの新規顧問契約を獲得。

書籍の出版によって、建設業専門のコンサルティング会社としての地位が確立し、業界内での認知度も向上しました。

このように、事業の認知度がそこまで高くない業種でも、書籍を事前に読んでもらうことができれば、ある程度理解した上で問い合わせや商談が行えるようになり、成約率向上につながります。

【まとめ】4つのツールをフル活用して成約率の向上を実現しよう!

本記事では、成約率を高めるために必要な4種類の営業ツールについて解説しました。

どのツールも、営業成約率を高めるためには有効なツールです。

CRMとSFAで営業プロセスの効率化や営業精度の向上を、MAツールで最適なタイミングでオファーを、そして営業促進ツールで成約しやすい商談の実現を、といった具合に組み合わせて有効活用していきましょう。

4つ一気に活用することが難しければ、営業促進ツールからの活用がおすすめです。

特に、近年改めて注目を集めている「書籍」「会社案内・パンフレット」を営業促進ツールとして活用する方法は、顧客との信頼関係構築や顧客教育が必要になる高単価商品やBtoB商品などの成約率向上に特に有効です。

これらの商品を取り扱っているのであれば、ぜひ営業促進ツールとして書籍や会社案内・パンフレットを取り入れることを検討してみてはいかがでしょうか。

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ブックマーケティング

「営業の成約率を上げる」という課題や目標は、どの企業も共通して持っているものです。

なぜなら、営業成約率が高ければ高いほど、少ない人件費で多くの成約を獲得できるためです。

しかし、なかなか営業の成約率が上がらずに、どうすれば良いか悩んでいる営業担当者や経営者も少なくないのではないでしょうか。

特に、商品やサービスが高単価になればなるほど、成約率を上げることが難しくなります。

そこで、この記事では、営業成約率を上げる方法について、基礎的な考え方から詳しく解説していきます。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

営業成約率とは?計算方法は?

営業成約率とは、営業活動において実際に成約した割合を示す指標です。

具体的には、「商談を行った案件数」に対する「実際に成約できた案件数」の割合のことで、次の式で算出されます。

営業成約率(%)=「実際に成約できた案件数」/「商談を行った案件数」×100

たとえば、今月10件の商談を行い、そのうち3件成約できた場合は、営業成約率は30%です。

営業成約率の数字から、自社の営業部門の効率を知ることができます。

もし、営業成約率が低下傾向にあることが分かれば、営業部門に何らかの問題があることが想定され、何らかの改善アクションを起こす必要があるということです。

販売単価が高い商品・サービスほど、営業成約率が低い理由

一般的に、営業成約率の平均値は30%~50%程度と言われています。

ただし、業界、商品やサービスの種類、営業方法などによって営業の難易度が変わるので、当然ながら営業成約率も変わってきます。

営業成約率が30%〜50%に満たない業種もたくさんあるので、この数値を下回っているから改善が必要ということではありません。

たとえば、HubSpotを提供するGetAcceptが2023年11月28日に発表した「20 sales closing statistics you need to know in 2024」によると、業界別の営業成約率の平均値は次のような結果となっています。

  • ・工業:27%

  • ・電子機器:23%
  • ・ソフトウェア:22%
  • ・金融:19%

また、商品の販売単価が高い住宅業界の営業成約率の平均値は10%前後であり一般的な平均値を下回っています。

つまり、販売単価が高い商品やサービスほど営業成約率が下がっていく傾向があるのです。

高単価商品・サービスの営業成約率が低いのは、主に次のような理由からです。

高単価である理由や付加価値に納得してもらう必要があるため

商品やサービスが高単価であればあるほど、顧客にとっては失敗した時のリスクが大きくなります。

たとえば、1,000円程度の商品やサービスであれば、失敗しても損害額は小さいので「試しに買ってみよう」という気になりますが、100万円を超えるような商品やサービスの場合は損害額が大きくなりますので「もし失敗したらどうしよう」と考えて慎重に判断するようになります。

つまり、商品やサービスが高単価であればあるほど、高単価である理由や、その商品やサービスの付加価値について十分理解して納得してもらえないと購入に踏み切ってもらえないので、必然的に営業成約率も低くなります。

顧客との深い信頼関係構築が必要なため

たとえば、突然訪ねてきた営業マンから100万円の商品をすすめられたら買おうと思うでしょうか。

たとえ今の自分に必要な商品・サービスであったとしても、その営業マンとの関係性がないため、断ってしまう人が大多数でしょう。

一方で、数年以上の付き合いがあり、大きな信頼を寄せている営業マンから100万円の商品をすすめられた場合はどうでしょうか。

「話を聞いてみて考える」という対応に変わる人も出てくるでしょう。

このように、その商品やサービスがどんなに良いものであったとしても、人は高単価でリスクの高い商品やサービスを購入する際には、営業マンとの信頼関係を大切にする傾向があるのです。

つまり、高単価商品やサービスを販売するためには、顧客との信頼関係を構築する必要があるということになります。

見込み顧客との信頼関係は1日や2日でできるようなものではありません。

何度も通って挨拶をしたり、ちょっとしたお困りごとを手助けしたり、小さな信頼を積み重ねてようやく醸成するものです。

そのため、高単価の商品は成約までのリードタイムが長くなりやすく、その分営業成約率も低くなりやすいのです。

必要性に気づいてもらうために顧客教育が必要なため

高単価商品やサービスの場合、「なぜそれが自分にとって必要なのか」を顧客に理解してもらう必要があります。

なぜなら、高単価商品やサービスの多くは、その顧客にとって生きていくために最低限必要なものではないことが多いからです。

たとえば、高単価商品やサービスであるマイホームや車、不動産投資、積立保険、各種講座などは、別に今購入しなくても十分生きていけるものです。

よく「人は予防のためにはお金を使わない」と言われますが、高単価商品やサービスの多くは「今の生活をより豊かなものにするもの」や「将来起きうることを予防するもの」であることが多いため、必要性をしっかりと説いていく顧客教育が必要となるのです。

顧客教育についても、信頼関係の構築と同様にある程度時間がかかります。

結果として、営業成約率も低くなってしまうのです。

成約までのリードタイムが長い傾向があるため

高単価商品やサービスは、前述した通り、顧客との間に信頼関係を構築することが重要だったり、顧客教育によって必要性や価値に納得してもらう必要があったりするため、成約までの期間が長くなる傾向があります。

成約までの期間が長くなると、その間に他の業者に注文を取られてしまったり、急に顧客の気が変わってしまって失注してしまったりすることがあります。

このように、高単価商品やサービスはリードタイムが長い傾向があるため、成約率が低くなりやすいのです。

高単価商品やサービスを成約させるには仕組み構築が必要不可欠

高単価商品やサービスを成約してもらうためには、顧客との間に信頼関係を構築したり、価値に納得してもらったり、成約までの期間に気が変わらないようにするような工夫が必要になります。

そのためにも、初めてのアポイントから成約に至るまでの営業の仕組みを綿密に構築しておきましょう。

たとえば、「『無料登録で有料級のノウハウゲット!』『無料登録でポイントがもらえる!』などが書かれたサイトに登録したら、毎日のようにメルマガが送られてくるようになった」という経験をされたことはありませんか。

おそらく、何度か送られてくるメルマガにはノウハウやお役立ち情報と一緒に無料セミナーなどの告知が入っていたりするはずです。

無料セミナーに参加すると、終盤で無料の個別相談をすすめられる、という具合に、徐々に対応レベルが引き上げられていくような仕組みになっているはずです。

そして、無料の個別相談に参加すると大抵は商品やサービスの営業を受けることになります。

この流れも高単価商品やサービスの成約率を上げるために綿密に組み上げられた、営業の仕組みの一種なのです。

ただ顧客と商談をして商品やサービスをすすめるだけではなく、こういった営業の仕組みを作り上げて、丁寧に顧客を教育し、引き上げていかないと、なかなか高単価商品やサービスの営業成約率は上がっていきません。

高単価商品やサービスの成約率を上げる方法

前述した営業の仕組み構築はあくまで一例です。

高単価商品やサービスの営業成約率を上げるためには、販売する商品やサービスの種類によってさまざまな工夫が必要になってきます。

ここからは、高単価商品やサービスの営業成約率を上げる方法を、いくつかご紹介します。

フロントエンド商品を作り、高単価商品やサービス購入までの導線を作り込む

「フロントエンド商品」とは集客のために単価を安く設定した商品のことです。

一方で、顧客に最終的にすすめたい高単価の本命商品のことを「バックエンド商品」と言います。

3,000円程度のセミナーに参加したら、終盤で高額の講座のオファーがあった、なんて経験をされた方は多いのではないでしょうか。

この場合、3,000円程度のセミナーがフロントエンド商品で、高額の講座がバックエンド商品になります。

高単価商品やサービスのフロントエンド商品としては、サンプル提供、無料お試し、無料セミナー、無料相談などが一般的です。

フロントエンド商品を考える上で重要なのが、「バックエンド商品」の必要性や重要性をいかに伝えられるものであるか、という観点です。

たとえば、バックエンド商品が「投資用不動産の購入」であれば、不動産投資の必要性や重要性を伝えられるようなセミナーなどが適切です。

「今からでも遅くない!資産構築セミナー」や「初心者でも大丈夫!不動産投資セミナー」といった具合です。

費用は必ずしも無料にする必要はありません。

商品やサービスのターゲットが手を出しやすい価格帯にすることが大切であり、それが無料なのであれば無料に、無料セミナーなどが怪しまれそうな場合は3,000円などに設定していきます。

このように、顧客に「フロントエンド商品」を提供してから高単価商品やサービスを購入してもらうまでのシナリオやロードマップを丁寧に作り込むことによって、営業成約率の向上が期待できます。

顧客の相場感をコントロールする

高単価商品やサービスの営業成約率を上げる方法として、顧客の相場感をコントロールする方法があります。

たとえば、前述した「フロントエンド商品」として無料セミナーを開催した場合であれば、セミナーの中で「このサービスだと一般的には60万円~70万円程度で提供されています」と説明します。

顧客側に「このサービスは一般的には60万円〜70万円程度なんだ」と相場感をインプットしてしまうテクニックです。

その後、無料相談に引き上げた際に、「60万円~70万円」よりも少し安い価格を提示すると、顧客は「相場よりも安い」と感じて、スムーズに購入してもらえるようになります。

このように、顧客の相場感をコントロールする、という方法もちょっとしたテクニックではありますが、高単価商品・サービスの営業成約率の向上に有効な方法です。

ただ、相場を事前に伝えるだけではなく、以下のような2つの方法を意識するとより効果的にコントロールすることが可能です。

比較対象を工夫する

相場感のコントロール手法の一つに「比較対象を工夫する」方法があります。

たとえば、税理士がクライアントに「税理士の顧問契約」というサービスを営業した場合、クライアントの頭の中に「税理士の顧問契約の相場感」がセットされてしまいます。

顧問税理士の相場感は月額1万円〜5万円程度ですから、その後はその相場感で契約金額を判断されてしまう訳です。

しかし、サービス名を「顧問契約」から「社外財務責任者(社外CFO)として雇う権利」という表現に変えると、顧客は後者の相場感で考えるようになります。

すると、「社外財務責任者(社外CFO)を1人雇うとしたら数十万円程度かな?」と、顧問契約とは別の相場感で顧客は金額を判断するようになるのです。

結果として税理士の相場感よりも高い金額で契約を取ることが可能です。

このように、商品やサービスの価格は、何と比較するかによって顧客の相場感が変わってしまうので、「比較対象を工夫する」ことが重要になります。

アンカリングする

相場観をコントロールするもう1つの手法として「アンカリング」も覚えておきましょう。

「アンカリング」とは、ユーザーとの接点において、自分の商品やサービスがどの程度の価格なのかを、それとなくお客様の脳内にインプットしておく方法です。

たとえば、無料セミナーや面談などの際に、「このサービスは一般的に100万円以上しますよ」などと説明しておくことによって、顧客に無意識に価格をイメージさせます。

その上で、自身の商品やサービスの価格を提示するわけですが、この時点で顧客は100万円程度の価格に対する抵抗感が比較的少ない状態になっているため、結果的に営業成約率が高くなります。

小さな信頼を積み上げ、まずは人を信頼してもらう

最初に高単価ではなく低単価な商品を購入してもらうことにより、顧客と段階を踏んで信頼関係を作っていく方法です。

前述の「フロントエンド商品」のように、無料や低単価なもので信頼してもらい、後にアップセルで高単価商品を販売した方が営業成約率が高くなりやすい傾向があります。

たとえば、ある自動車メーカー正規ディーラーのトップセールスマンが飛び込み営業でまずやることは、「話を聞く」ことだそうです。

色々と話を聞いているうちに、出てくる地域のお困りごとを解決していくことで顧客との信頼関係を構築していきます。

その結果として、「あなたがそんなにすすめるなら」と高額な車を買ってくれる人が増えていったのだそうです。

このように、高単価商品・サービスの場合はコツコツと顧客との信頼関係を構築していくことが営業成約率の向上に直結していきます。

セミナーや講座を実施し、顧客教育を行う

高単価商品やサービスの多くは、生活するのに必要不可欠ではないものが多いため、その必要性や価値、将来性などについてしっかり顧客教育する必要があります。

たとえば、高単価商品やサービスを購入する可能性の高い見込み顧客が興味を持ちそうなテーマでセミナーを開催する、などです。

セミナーなどで顧客教育を行い、その後無料の個別相談などに勧誘することによって営業成約率を高くすることができます。

書籍を活用し、事前に信頼関係構築や顧客教育を行ってから商談を実施する

書店には、さまざまな悩みを持った人が本に解決策を求めて集まってきます。

そして、自分の悩みの解決につながると思われるジャンルの書棚を見て、めぼしい本を手に取って購入します。

このときに、販売したい高単価商品やサービスに関する本を手に取ってもらい、興味や関心を抱かせることができれば購入してしっかりと読んでもらえるはずです。

その結果、著者やその企業、商品・サービスに対する信頼感が醸成されて顧客教育を一気に行うことが可能となります。

つまり、書籍を出版し、本を見込み顧客にしっかりと届けることができれば、高単価商品やサービスの成約率向上につながりやすくなるということです。

後述しますが、実際に書籍を出版して活用することにより、顧客との間の信頼関係の構築に成功し、高単価商品やサービスの販売につなげている企業も多くあります。

「デジタルの時代に書籍なんて」と思うかもしれませんが、デジタルではなかなか販売ができないハードルの高い高単価商品・サービスだからこそ、こういったアナログな施策が有効だったりするのです。

▶書籍を企業の営業活動に活用する具体的な方法については、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。

企業が書籍を出版する方法

企業が書籍を出版できる方法は次の3つです。

出版方法特徴
商業出版・出版社が自社の利益をあげるために企画し出版する方法・著者選定や内容の企画は出版社が行うため、企業側が出したい書籍内容にはできない・出版プロモーション費用は出版社が負担・著者には印税収入がある
自費出版・出版費用は著者持ちだが、出したい内容の書籍を誰でも出版することができる・出版後の流通やプロモーション費用はすべて著者負担
企業出版(ブックマーケティング)・企業がブランディングやマーケティングなど、自社の課題解決のために出版する・出版費用やプロモーション費用がかかるがブランディングやマーケティングへの活用を見据えた書籍内容の企画を行う・書店流通やプロモーションのサポートもしっかりと行なってもらえるため、ターゲットに書籍が届きやすい

商業出版は企業の一存で出版できる訳ではないため、自費出版か企業出版のどちらかで出版を検討することになります。

▶商業出版については、関連記事【商業出版とは?企業がブランディングを考えたときの出版の選択肢】もあわせて参考にしてください。

自費出版は自社の書きたい内容がかけるのがメリットですが、どうしても出版して終わりになりやすく、流通やプロモーションなどが課題です。

「出版したはいいが、全く出版効果を感じられなかった」という事例の多くはこの自費出版によるものです。

▶自費出版については、関連記事【自費出版とは?メリットやデメリット、費用相場、成功事例などを解説】もあわせて参考にしてください。

一方で、企業出版(ブックマーケティング)の場合は、出版後のマーケティングやブランディングへの活用方法も見据えた戦略・企画を立てていくため、出版して終わりではありません。

出版後にターゲットに書籍を届けることを目的としているので、費用はかかりますが、書店流通やプロモーションなどが実施でき、問い合わせの獲得や売上向上など、企業の抱える課題解決につながります。

高単価商品やサービスの成約率向上には書籍の活用がおすすめ!

高単価商品やサービスの成約率を上げる方法として、今注目されているのが書籍の活用です。

「なぜ書籍なのか?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、書籍には他のメディアとは比較にならないほどの情報量をまとめて読者に伝えることができるという優れた特徴があります。

Web広告やSNSなどのように「読まれない」ことが当たり前のメディアでは、商品やサービスの必要性を伝えにくいため、なかなか成約がでにくいのが実情です。

その点、書籍であれば、ネットのように不特定多数の方にアプローチできなくとも、ターゲットとなる人の手に渡りさえすれば、深く読んで理解してもらうことができます。

書籍を読むことによって、高単価商品やサービスを購入することによってどのようなメリットが得られるのか、どのようなベネフィットが享受できるのかなどについてくわしく知ることができるのです。

デジタルでは成約しにくい商品・サービスだからこそ、書籍のような「読まれる媒体」が有効だと言えるのです。

しかし、実際に書籍を出した人の中には「本を出したけど、営業成約率の向上につながらなかった」という方もいらっしゃるでしょう。

これは、ただ本を出すだけで終わってしまっているからです。

たとえば、創業経営者などが名刺代わりに配るために自費出版した本などがこれに当たります。

書籍の出版を営業成約率の向上につなげるためには、出版後の流通経路やマーケティングへの活用方法などについて企画段階から綿密に計画し、商品やサービスを購入してもらいたい見込み顧客に、実際に本を手にとって読んでもらうことが重要となります。

営業成約率の向上をしたいのであれば、マーケティングの一環として書籍を活用すべきです。

実際に書籍を活用したブックマーケティングにより、高単価商品やサービスの成約率向上につなげたという事例がいくつもあります。

【1】保険代理店の事例

法人保険を取り扱っている保険代理店の経営者は、「一部のスーパー営業マンに頼った経営から、平均的な成約を取れる営業マンを増やすことによって業績向上が目指せる。そのためには保険業界に定着している『成果報酬型』の給与体系を『一律報酬型』に変える必要があるという持論を持っていました。

そして、保険業界の実態と、この考えをまとめた書籍を出版したところ、顧客や同業者からの見られ方が大きく変わったことを実感し、大型契約などの高単価商品の成約率の向上につながったのだそうです。

書籍を出版したことによって自社の信頼性が高まり、商談の際も顧客企業の経営にまで踏み込んだ相談を受けることが増えて、それに応えることによって大口契約につながったのです。

なんというか、当社の見られ方が確実に変わりましたね。同業者の集まりに出ても「あのイナバプランニングカンパニーさん」という反応で最初から一目置かれている。保険の商談に従業員と同行するときも、お客様に事前に本を読んでおいてもらうと、ご面談するときにちゃんと「あったまっている」んですよね(笑)
引用元:【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店

また、社内でも、社員に対する経営者の接し方が、外的な圧力で働きかけるマネジメントから、従業員の内的な動きを促すマネジメントに変化し、人材の定着率も向上したと言います。

【2】不動産会社の事例

高収入な医師をターゲットとして、不動産投資サービスを行っている不動産会社の経営者は、顧客獲得のためにSNSやWebを活用した情報発信を行っていましたが、大きな手ごたえが得られていませんでした。

そこで、「医師の節税対策には不動産投資が一番効果的だ」という内容の書籍を出版。

ターゲットである医師に確実に届けるために、企画段階から出版社の販路やプロモーションなどについても入念に計画を立てていたため、出版後に書籍を読んだ医師からの問い合わせや商談が急増しました。

取り扱っている商材は高単価の不動産なのですが、「節税対策に効果がある」ということ認知されて成約率も飛躍的に向上したと言います。

【まとめ】書籍を活用し、高単価商品やサービスの成約率を上げよう!

本記事では、高単価商品やサービスの営業成約率を上げるための方法について紹介しました。

紹介した方法を活用し、高単価商品やサービスの営業成約率を地道にあげていきましょう。

また、書籍を活用する方法も、デジタルではなかなか成約しにくい高単価商品・サービスの成約率向上に効果的です。

「Web広告やSNSをやっているのに、なかなか成約率があがらない」という方などは、ぜひ書籍を活用したブックマーケティングを検討してみてはいかがでしょうか。

▼ブックマーケティングのご案内はこちら

ブックマーケティング

「本の出版には興味があるが、何か自分自身や、経営する会社、行っている事業にとってメリットがあるのか?」と、本を出版する効果について疑問を持っている経営者は多いと思います。

結論から言えば、本の出版は、経営者に多くのメリットをもたらします。

しかし「うまく活用すれば」という条件付きです。

ただ本を出版しただけでは、自己満足で終わってしまいます。

この記事では、本の出版を経営者自身のブランディングや、経営する会社や行っている事業の発展につなげていくための、戦略的書籍出版の方法について解説していきます。

経営者で本の出版に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次【本記事の内容】

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

経営者が本を出版するメリットとは?

「全く同じ内容が書いてあるネットの記事と本、どちらが情報として信用できるか?」と聞かれたら、多くの人が本と答えると思います。

ネットやSNSで自分の欲しい情報がいつでも手に入る時代ですが、今でも本は信用性の高い媒体として多くの人に認知されているのです。

そのため、経営者が本の出版をうまく活用すれば、次のような7つのメリットを得ることができます。

メリット①:経営者自身のブランディング・認知度向上につながる

これまで会社を経営してきた経験や、培った専門性、想いなどを本にすることで経営者自身のブランディングや認知度向上につながります。

なぜなら、多くの人が「一握りの専門家しか本を出版できない」というイメージを持っているためです。

たとえば、ある経営者がサイバーセキュリティに関する本を書いて出版したとしましょう。

それを読んだ多くの人が、「サイバーセキュリティの業界ですごい人なんだ」と思うはずです。

このように、本の出版をうまく活用することで、世の中に自分自身の専門性や、人となりを認知してもらえるようになります。

後にご紹介しますが、ある保険代理店の経営者は、「自身の保険代理店の経営論」に関する本を出版し、多くの業界関係者からの理解と共感を獲得。

講演依頼がくるなど、業界内での認知度向上やブランディングにつながっています。

このように、本の出版をうまく活用すれば、経営者自身のブランディングや認知度向上につなげることができるのです。

▶︎認知度向上については、関連記事【経営者必読!認知度向上の方法と効果的なマーケティングの選択肢】もあわせて参考にしてください。

メリット②:会社や事業のブランディング・認知度向上につながる

本に自身が経営する会社のことや、事業について書くことで、ブランディングや認知度の向上につながります。

後にご紹介しますが、実際に、ある建設業専門のコンサルティング会社の経営者は、本の出版により認知度が向上し、仕事の依頼や商圏の拡大につながっています。

「見込み顧客である層に本を届けることができれば」という条件付きではありますが、「こんな会社だったんだ」「こういう事業をやっているんだ」「こういう強みがあるんだ」と認知度向上につながり、問い合わせや仕事の依頼につながる可能性だってあるのです。

▶︎企業ブランディングについては、関連記事【企業ブランディングとは?企業の成長における重要性や手法を徹底解説】もあわせて参考にしてください。

メリット③:経営者・企業の社会的信頼性の向上につながる

いまだに本は社会的信用性の高い媒体として多くの人に認知されています。

ネットやSNSでの情報収集が主流となった現代であっても、「本を出した」と言ったら、「本を出版できるすごい人なんだ」と思ってくれる人は多いはずです。

また、本の出版をきっかけに、テレビや雑誌などのメディアに注目が集まれば、番組出演やインタビューなどへのオファーにつながる可能性もあります。

本を出版しているというだけで、地域や業界内で一目置かれる存在になれるかもしれません。

このように、経営者が本の社会的信頼性の高さをうまく活用することができれば、自分自身や経営する企業、行っている事業の社会的信頼性を高めることができるのです。

メリット④:競合他社との差別化ができる

ネットやSNSのように、パッと見た印象や、判断されるキャッチーさが求められる媒体とは違い、本はじっくり読まれる媒体です。

ネットやSNSとは違い、本を手に取ってくれた読者に、しっかりと経営者の事業にかける想いや、商品やサービスなどが作られた背景などを伝えることができてしまうのです。

つまり、浅く広く多くの人に認知されやすいネットやSNSとは違い、本は狭い範囲で深い共感を得られやすいのです。

後ほどご紹介しますが、実際にある保険代理店の経営者は、本に自分の想いや考え方を入れ込み、同業他社からの深い共感を得ることに成功しています。

本という媒体の性質を正しく理解し、うまく活用することができれば、同業他社との差別化につなげることができるのです。

▶︎差別化戦略については、関連記事【差別化戦略の成功の秘訣−メリットやデメリット、成功事例とは!?】もあわせて参考にしてください。

メリット⑤:潜在顧客へのアプローチができる

書店を訪れるのは、あらかじめ購入したい本を決めている人ばかりではなく、「こんな感じの本がないかなぁ」という漠然としたイメージを持っている人や、「なにか面白い本がないかなぁ」と全くイメージを持たずに訪れる人もいます。

タイトルを見て回ったり、立ち読みしたりしながら本を選ぶ人もいるでしょう。

このように、書店は潜在的なニーズを持った人が多く集まる場所でもあります。

該当するジャンルの書棚に陳列されることで、そのジャンルの悩みや課題を抱えた潜在顧客に出版した本を購入してもらえる可能性があるのです。

このように、一般的な営業やマーケティング手法では接することができない潜在顧客へのアプローチができることも、本の出版の大きなメリットの1つと言えるでしょう。

メリット⑥:成約までの期間の短縮ができる

本に入れることができる情報量は多く、一般的なビジネス書(200ページ程度)であれば、7万字〜10万字という膨大な情報を入れ込むことができます。

そのため、本の中には、次のような経営者に関わるあらゆる情報を入れることが可能です。

【ブックマーケティング著者のご紹介】・自社の紹介
・自社商品やサービスの紹介
・経営者自身の考えや想い
・創業のきっかけや、これまでの経緯
・商品やサービス開発の背景
・自社の強みやノウハウ

単に会社や商品・サービスの内容だけではなく、その背景にある考えや想いなどもまとめて伝えることができてしまうのです。

このように、本ならではの強みを活用すれば、顧客との信頼関係構築がしやすくなるだけではなく、自社の事業の理解も得られやすくなります。

たとえば、本を読んでいない人と商談を行う場合と、本を読んで問い合わせをしてくれた方と商談を行う場合であれば、後者の方が成約につながりやすく、リードタイムも短くなる可能性が高いと言えます。

なぜなら、すでに本を読んで自社や商品、サービスについてある程度理解してくれている可能性が高いからです。

中には自社や商品、サービスのファンになり、成約前提で問い合わせをしてきている方もいらっしゃるかもしれません。

このように、本をうまく活用すれば、これまで顧客との信頼関係の構築にかかっていた期間や、成約前に顧客教育が必要だった期間が不要となり、成約までのリードタイムを短縮することができるのです。

メリット⑦:経営者や企業にとっての棚卸し(強みの再構築)につながる

本を作る前には、出版する目的や、本にどのような内容を盛り込みたいか、を企画していきます。

経営者へのヒアリングや、打ち合わせを入念に実施した上で企画を作っていくため、そのプロセスの中で経営者自身が「これが自社の強みだ」と改めて気づくことも多いのです。

たとえば、弊社のクライアントさまの中にも、出版のプロセスの中で自身や自社の強みを再認識し、「セミナーで自分の言葉で語れるようになった」「自分自身の自信につながった」という経営者が実際にいらっしゃいます。

本をきっかけに講演に呼ばれて話しても、自信を持って語れる。以前から考えてはいたけど言語化されていなかった概念が、出版によってスルスルと言葉になって出てくるようになった。その言葉が聴衆に刺さっているのも感じます。

引用元:【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店

経営者が出版する目的を明確に!選ぶべき最適な出版方法が異なる

ここまで、経営者が本を出版することで得られるメリットをお伝えしてきましたが、ただ本を出版しただけでは、これらを得ることは難しいと言えます。

出版する目的をはじめ、「誰に、どのような情報を、どうやって届けていくのか」など、出版後も見据えた戦略があってはじめてメリットを享受できるようになります。

そのための第一歩が出版方法の選択です。

出版「商業出版」「自費出版」「企業出版」という3種類がありますが、その中から最適な出版方法をまずは決めていく必要があります。

自費出版:書籍化が目的

自費出版は、次のように書籍化が目的の場合に選択される出版方法です。

・自分史を後世に残したい
・名刺代わりに配る本を作りたい
・趣味の集大成を書籍にしたい

著者が書きたい内容を書けるというのがメリットですが、出版のためにかかる費用は全て著者負担になります。

また、自費出版の場合は、出版後の書店配本やプロモーション費用も著者負担になることがほとんどです。

よって、「出版しても流通しにくい」というのがデメリットです。

本を出した後に、経営者自身が出版パーティーを開いたり、名刺代わりに積極的に配ったり、送付したりすれば、前述した出版のメリットのうち、いくつかは享受できる可能性はありますが、基本的には何か成果を求めて選択するような出版方法ではありません。

「書きたいことがあるので、どうしてもそれを本にしたい」という方におすすめの出版方法です。

▶︎自費出版については、関連記事【自費出版とは?メリットやデメリット、費用相場、成功事例などを解説】もあわせて参考にしてください。

企業出版:企業の集客・ブランディングなどの課題解決が目的

企業出版は、企業が、集客やブランディングなど、経営課題を解決するという目的で選択される出版方法です。

次のような、さまざまな経営課題を解決したい場合におすすめの出版方法と言えます。

・自社やサービス、商品の認知度をあげたい
・競合他社と差別化を図りたい
・自社のブランディングを強化したい
・自社やサービス、商品の社会的信用性をあげたい
・社内ブランディング(インナーブランディング)を強化したい
・成約までにかかるリードタイムを短縮したい
・上場に向けて、会社の認知度や社会的信用性をあげたい
・WebやSNSで集客しているがうまくいかない、それ以外の集客方法を探している
・富裕層や決裁権者などに効率的にアプローチしたい

出版費用はすべて企業側の負担となる点や、本の内容の最終決定権が企業側にあるという点は自費出版と同じです。

しかし、企業の課題解決が目的であるため、「目的達成のためにどのような本を出版すれば良いのか」という企画提案が出版社側からあるのが、大きな違いと言えるでしょう。

また、自費出版とは違い、出版後のプロモーションや配本も行われることが前提です。

出版社の流通網を活用し、商圏内の書店に的確に配本できることも自費出版にはない、企業出版ならではの特徴と言えるでしょう。

「本がどれぐらい売れたのか」というよりも、「いかに見込み顧客に1冊でも多く届けられるか」ということが重要なので、出版後のプロモーションをどうするかも見据えて本の企画を行っていく必要があります。

出版社によっては、SNSや、SEO、Web広告、クラウドファンディングなど、あらゆるマーケティング施策を活用していくことを見据えて本の企画を考えていくこともあります。

マーケティング施策の一環として本の出版を活用することから、ブックマーケティングとも呼ばれることもある出版方法です。

商業出版:出版社の売上向上が目的

商業出版は、出版社がヒット作を作り、売上や利益を向上させることが目的の出版方法です。

売れる本を作るために、出版社が自ら本の内容の企画や著者の選定を行い、配本やプロモーションを大々的に行っていくので、ベストセラーが生まれやすいというのが商業出版の特徴です。

実際にベストセラーの本のほとんどが商業出版によって生まれています。

出版社主導の出版方法なため、企業や経営者個人の一存で商業出版ができるわけではありません。

著者自身や出版コーディネーターが企画を出版社に持ち込んで出版されるケースもありますが、全体のごく一部です。

また、出版社が決めた方向性に沿って本を作るため、著者が伝えたいことを自由に書ける訳ではありません。

出版社都合で内容が変更されることもよくあります。

あくまで出版社の企画に沿って著者がアサインされる、という形になるため、著者には印税という名の報酬が発生します。

▶︎商業出版については、関連記事【商業出版とは?企業がブランディングを考えたときの出版の選択肢】もあわせて参考にしてください。

単なる自己満足な出版で終わらせないためには?

「商業出版からなぜベストセラーが多くでるのか」というと、出版社が「売れる本を作る」という明確な目的を持って、トレンドや読者の興味関心をリサーチしたり、配本やプロモーションなども見据えて戦略的に本の企画を行うためです。

商業出版のようにベストセラーが目的では無かったとしても、何か本を出版することで成果を得たい場合は、「いかに戦略的に本を企画し出版するか」が自己満足な出版で終わらせないコツです。

具体的には次のようなポイントを押さえましょう。

本を出版する目的を明確にし、有効な出版方法を選択する

まずは「何のために本を出版するのか?」という目的を明確にしましょう。

「社会的信用性をあげるために本を出したい」「何か自分の生きた証を残したい」「自分の考えや想いを形にしたい」という目的であれば、自費出版がおすすめです。

このような目的の場合は、「自分が好きなことを書ける」ということが重要です。

一方で、本を出版することで、自社の認知度・知名度向上や、競合他社との差別化、ブランディング、集客アップ、新規顧客獲得などを期待するのであれば、企業出版がおすすめです。

この場合は、「自分が好きなことを書く」というよりも、「いかにターゲットに1冊でも多く届けるか」が重要であり、配本やプロモーション、マーケティング戦略が必要になってきます。

企画の段階から、こういったことを含め、コンセプトや戦略を練っていくことが何より重要です。

出版後のプロモーション戦略と書籍活用も見据えた企画を立案する

自己満足で終わらないためには、「これを書きたい」ということよりも、「自社の強みが何なのかを再認識し、その強みを誰にどうやって伝えるのか」の方が重要です。

そのためには、本の企画の段階から、ターゲット決めや、出版後のプロモーション方法や本の活用方法をある程度決めておく必要があります。

むしろ、それを見据えた本の内容にしていくことが重要なのです。

たとえば、本の出版後にSNSで情報を拡散していく予定であれば、小出しにできるような見出し構成にしたり、SNSと連動する要素を盛り込んでいくなどができるはずです。

また、本の出版後にセミナーや講演会を積極的に行っていく場合には、そこに思わず足を運びたくなるような内容を盛り込むことができます。

このように、先を見据えた戦略的なプロモーションやマーケティングを踏まえて、本の内容を決めていくことが、ただの自己満足で終わらせないコツの1つです。

出版後の書籍の流通経路をあらかじめ考え、出版社と相談しておく

出版後の流通経路も重要です。

商圏以外の地域に配本しても意味がありません。

そのため「どの地域の書店に配本していくのか」などを出版社と相談しておきましょう。

「商圏拡大のためにこの地域に配本していきたい」「この地域で競合他社との差別化を図りたい」という明確な目的があるのであれば、流通経路もそれに応じて変えていくべきです。

出版後に書籍を活用したプロモーションを実施する

「本を出版したけど、何も反響がなかった」という声をよく聞きますが、その原因は明確です。

本を出版した後に、何もしなかったから、反響がなかったのです。

すでに知名度が高い経営者、企業であっても、書店配本はもちろんのこと、SNSで定期的に書籍の内容の一部を投稿したり、出版記念セミナーを開催したり、営業ツールとして積極的に配ったり、見込み顧客に送付したり、出版後にあらゆるプロモーションを行わなければ、反響を得ることは難しいと言えます。

実際に、ベストセラーになっている本の多くは、内容が良いだけではなく、出版社がお金をかけて積極的にプロモーションをしているから売れているのです。

そのため、出版後にも積極的にプロモーションを実施していきましょう。

電子版のみはNG!紙の書籍を出版する

「デジタルの時代だから」と、電子書籍のみで出版を検討している方も多いと思いますが、注意してください。

なぜなら、誰でも無料で電子書籍を出せるというハードルの低さから、競合が多く、見つけてもらうことが難しいためです。

ある程度知名度がある会社だったとしても、簡単に埋もれてしまいますので、プロモーションやマーケティングをしっかりと行っていかないと、電子書籍のみで企業の課題を解決するのは難しいと言えるでしょう。

あくまで紙媒体の補助的な役割で電子書籍を活用するのがおすすめです。

Kindle出版やプリントオンデマンドには注意

出版費用を抑えるための方法として、Kindleなどの電子書籍やプリントオンデマンドがありますが、利用は慎重に検討しましょう。

なぜなら、電子書籍は紙媒体に比べて社会的信用性が低いからです。

誰でも無料で出せるのが電子書籍の強みであり、弱点でもあるのです。

安易に安いから、といって手を出すのはおすすめしません。

経営者の出版成功事例

本の出版をうまく活用すると、実際にどのような成果が期待できるのか。

実際に経営者が本の出版をうまく活用した事例をいくつかご紹介します。

事例1:保険代理店の経営者の場合

ある保険代理店の経営者は「保険業界の給与体系を変えることによって業績拡大ができる」という持論を世に問うために書籍を出版。

書籍の中で、保険業界では当たり前の「成果報酬型」を「一律報酬型」に変えることを提唱し、「一部のスーパー営業マンに頼った経営から、全員がアベレージヒッターになる経営に変えていこう」と訴えかけました。

保険業界の当たり前とは反対の持論を展開した形でしたが、予想以上に多くの業界関係者から理解と共感が得られたのです。

結果として、ブランディングに成功。

本の出版によって保険の契約獲得数も増え、新規コンサルティング契約の獲得や講演会の依頼などにもつながっています。

なんというか、当社の見られ方が確実に変わりましたね。同業者の集まりに出ても「あのイナバプランニングカンパニーさん」という反応で最初から一目置かれている。保険の商談に従業員と同行するときも、お客様に事前に本を読んでおいてもらうと、ご面談するときにちゃんと「あったまっている」んですよね(笑)

引用元:【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店

事例2:不動産会社の経営者の場合

高収入な医師をターゲットに不動産投資サービスを提供していた、ある不動産会社の経営者は、SNSやWeb広告を運用しても成果が得られない現状や、成約までのリードタイムの長さを改善したいと考えていました。

不動産投資サービスは、高額で、パッと判断して購入に踏み切れる商品ではありません。

「見込み顧客といかに信頼関係を築けるか」や、「いかに必要性や有効性を理解してもらうか」が重要です。

そのため、パッと見て一瞬で「買う・買わない」や、「興味ある・ない」を判断されるSNSやWeb広告とは相性が悪かったのです。

そこで「高収入な医師に最も効果的な節税対策は不動産投資である」というテーマで本を出版。

ターゲットである医師に的確に本を届けるためのプロモーション戦略を企画段階から練っていたことが功を奏して、多くの医師に本を読んでもらうことに成功しました。

実際に、本を読んだ医師に、不動産投資に大きな節税効果があることが認知されて問い合わせが増加。

さらには既存顧客や、本を読んだ医師からの口コミなどによって評判が広がり、新規顧客の獲得につながっています。

事例3:建設業専門コンサルティング会社の経営者

この経営者は、自社で行う事業があまり世間に認知されていないことを課題に感じていました。

そこで、知名度向上や商圏の拡大のために本の出版に踏み切りました。

ターゲットである建設業者の決裁権者に確実にアプローチするために、書籍のタイトルに「建設業のための」という文言を入れたり、その後のプロモーション戦略も見据えて本の内容を企画。

出版後、ターゲットとしていた建設業者の決裁権者に読んでもらうことができ、出版翌日から電話が鳴り止まないほどの反響を得ています。

結果として、10件近くの新規顧問契約獲得につながり、首都圏中心に配本したことにより、商圏の拡大にも成功しました。

建設業専門のコンサルティング会社としての地位を確立し、ブランディングにも成功。

業界からの認知度向上にもつながっています。

【まとめ】目的を持って戦略的に本を作ろう!

経営者が本を出版するなら、自身の自己満足で終わらせるのではなく、経営者自身にとっても、経営する企業や行っている事業にとっても良い影響が期待できる「企業出版」がおすすめです。

もちろん、「自己満足でも自分の書きたいことがかければ良い」ということであれば自費出版で良い思いますが、せっかくお金をかけて本を出版する訳ですから、目的を明確にして、戦略的に本を作った方がメリットが大きいと言えます。

もし、経営者自身や経営する企業の目的に合わせた、戦略的な出版をお考えであれば、フォーウェイまでご相談ください。

配本やプロモーション戦略はもちろんのこと、SNSやWeb広告、SEO、クラウドファンディング、セミナーなど、あらゆるマーケティング施策を駆使した戦略的書籍出版をご提案いたします。

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企業経営者が書籍を出版する際には、出版社や編集者などのプロの手を借りることが必要です。

もしくは、出版社には属していない「出版プロデューサー」という職業の方にサポートしてもらうことも考えられます。

本記事では、「出版プロデューサー」の役割や選ぶ際の注意点などについて詳しく解説します。

目次【本記事の内容】

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

出版プロデューサーとは何者か

「出版プロデューサー」という職業はあまり知られていませんが、映画業界やTV業界、音楽業界などで「プロデューサー」といえば、「作品を制作する人」や「作品の制作責任者」を指します。

「出版プロデューサー」も同じように、「出版物を制作する人」や「出版物の制作責任者」のことをいいます。

ただしここで気をつけなければならないのは、「出版プロデューサー」と紛らわしい名前の「出版コンサルタント」や「出版エージェント」などがいるということです。

名前が似ているというだけでその役割は違っているので、書籍を出版したいと考えている方は、それぞれの違いをよく分かったうえで、のちのちトラブルにならないように「出版プロデューサー」を選ばなければなりません。

以下では、「出版プロデューサー」について説明した後に「出版コンサルタント」や「出版エージェント」についても説明し、役割の違いを明確にします。

出版プロデューサーとは

「出版プロデューサー」とは、一言でいえば「本の出版に責任を持つ人」です。

具体的には、著者の発掘から出版企画書の作成、出版社への企画の提案、出版後の販促などまで、書籍の作成や出版に関わるすべてのプロセスにおいて著者をサポートします。

「出版プロデューサー」は出版社には所属しておらず、個人または法人に所属して活動しています。

多くのジャンルの出版に関わった幅広い経験や、多くの出版社や編集者とのネットワークをもっているため、適切な出版企画書の作成をして、最もふさわしい出版社にコンタクトして、著者と出版社との橋渡しをします。

以下では、より具体的に「出版プロデューサー」の役割について見ていきましょう。

「出版プロデューサー」の1つ目の役割は、著者を発掘することです。

「出版プロデューサー」は、世の中に価値を提供できる、かつ売れる見込みのある本をプロデュースする仕事ですので、企業経営者や普通のサラリーマン、主婦の中から「他人に届ける価値」を持った著者を探し出します。

その人たちの中に潜んでいる「他人に届ける価値」を適切に引き出せる出版プロデューサーが、腕の良い「出版プロデューサー」ということになります。

「出版プロデューサー」の2つ目の役割は、出版企画書の作成、またはアドバイスを行うことです。

多くの著者は出版に関しては素人なので、ほとんどの場合「出版プロデューサー」が出版企画書を作成した方が短期間で質の良いものが出来上がります。

出版企画書を作成するにあたっては、著者からヒアリングして著者が持っている「他人に届ける価値」や「他の人にはない著者だけの強み」を引き出していきます。

高いヒアリング能力を持つ「出版プロデューサー」が、多くのベストセラーを出すことができるのです。

「出版プロデューサー」の3つ目の役割は、出版社へ企画を売り込んで採用してもらうことです。

日本には、大手・中堅・小規模の出版社や専門出版社、その他の組織の出版局などを合わせると約4,500社の出版社があります。

ここでは「出版プロデューサー」の出版社や編集者とのネットワークが問われます。

著者の専門分野に近い出版社とネットワークを持っていなければ、企画書の売り込みはできませんし採用してもらうこともできません。

「出版プロデューサー」の4つ目の役割は、書籍のプロモーションです。

出版企画書が出版社に採用されると、必要な制作プロセスを経て書籍が完成しますが、出版不況とも言われる現代では、販促やプロモーションを行わなければ簡単に本は売れません。

実際の販促活動は出版社が主導して行うので、「出版プロデューサー」は出版社に最適な販促活動をするように働きかけることになります。

出版コンサルタントとは

「出版コンサルタント」とは、出版企画書へのアドバイスを主な業務とする人のことです。

コンサルタント(Consultant)は、もともと「一緒に座って議論する」という意味を持ったラテン語を語源とする言葉です。

基本的に「コンサルタント」の仕事はアドバイスだけですので、出版に関わる実務は行いません。

そのため、「出版コンサルタント」は、どうすれば採用される出版企画書を書けるのかというアドバイスをして相談料をもらうだけで、「出版プロデューサー」のように出版企画書を作成したり、企画を出版社に持ち込んだりという仕事までは行いません。

「出版コンサルタント」に依頼する場合は、出版に関しては素人である著者が、自分自身で出版企画書を作らなければなりません。

さらに、でき上がった出版企画書を出版社に持ち込むのも著者がやらなければなりませんので、出版社や編集者とのネットワークがない素人には、出版社を探すことさえ難しいことになります。

ただし、良心的な「出版コンサルタント」の場合は、著者が作成した出版企画書を添削してくれたり、企画が採用される可能性の高い出版社を紹介してくれたりします。

出版エージェントとは

「出版エージェント」とは、著者の代理人として出版社や編集者と様々な交渉をする人のことです。

エージェント(Agent)とは「代理人」のことを指す英語で、本人から委任された代理権限の範囲内で、本人に代わって取引や契約などを行います。

特に海外では「出版エージェント」は出版に欠かせない存在です。

たとえばアメリカでは、著者が出版社に出版企画書を持ち込むケースはほとんどなく、すべて「出版エージェント」を介して行われます。

「出版エージェント」は著者の代理人として、著者が有利になるように交渉や契約をすることが役割ですので、出版コンサルティングなどを行うことはありません。

出版プロデューサーに依頼するメリットとは

企業経営者が書籍を出版する際に「出版プロデューサー」に依頼することによって得られるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

代表的なメリットは、次の4つです。

専門知識やノウハウをもとにアドバイスをしてくれる

企業経営者としては、どうせ書籍を出版するのなら「売れる本」を作って、「自社のPRやブランディング」に寄与できるものにしたいと思うはずです。

しかしながら、年間約7万タイトルもの書籍が出版されているわけなので、無名の企業経営者がヒット作を作るのは容易なことではありません。

その点、「出版プロデューサー」に依頼すれば、近年のヒット作のトレンドを把握した出版のプロからアドバイスを受けることができます。

書籍のテーマに応じた専門知識やノウハウを駆使して、構成やタイトル、デザインなどあらゆるプロセスにおいて「売れる本」を目指してブラッシュアップしてくれます。

企業経営者が持っている、独自の経験やノウハウ、伝えたい思いを引き出して言語化して「売れる本」に仕上げるサポートをしてくれるのが「出版プロデューサー」です。

プロジェクト進行のサポートにより時間と労力を短縮できる

企業経営者が出版をするためには、出版企画書を作成して出版社に持ち込み採用されなければなりません。

運良く企画が通ったとしても、原稿の執筆はもちろんですが、編集や校正、デザインなどの多くのプロセスで多くの作業をしなければなりません。

そして最大の問題点は、一般の企業経営者は出版そのものに精通していないということで、慣れない作業に大変な時間と労力がかかってしまいます。

しかし、「出版プロデューサー」に依頼すれば、ほとんどの作業をサポートしてくれるので、時間と労力を短縮できることになります。

販売戦略やマーケティング支援も受けられる

「出版プロデューサー」は、出版企画書の作成から出版社への提案、そして実際の出版までをサポートしてくれますが、さらに出版後の販促まで関わってくれます。

個人の「出版プロデューサー」の場合は、販促活動のアドバイスにとどまる可能性がありますが、たとえば株式会社フォーウェイのような自社グループに出版社を持つ「出版プロデューサー」であれば販売戦略やマーケティング支援までトータルでサポートすることが可能です。

商業出版により費用対効果の高い出版が可能となる

「出版プロデューサー」は、企業経営者の商業出版をサポートするのが仕事です。

商業出版は出版社がベストセラー目的で利益を上げるために行うものなので、出版費用は出版社が負担します。

そのため商業出版で本を出すことができれば、費用をかけることなく「自社のPRやブランディング」ができるので、費用対効果の高い出版が可能になります。

商業出版と自費出版の違い

出版方法を費用負担や書店に並ぶかどうかという観点から商業出版と自費出版に分けることができます。

以下では、それぞれの違いについて解説します。

商業出版とは

商業出版とは、出版社が利益を出すことを目的とする出版方法で、出版社が全額費用負担をします。

より多くの書籍が売れて出版社が利益を上げることができるように、積極的にプロモーションを行うのが特徴です。

実際に、ベストセラーとなっている書籍のほとんどは商業出版によるものです。

しかしながら、商業出版の場合は、著者が伝えたいことよりも出版社の意向が優先されるので、著者が言いたいことが書けなかったり、出版社によって修正されたりすることがあります。

企業経営者が書きたいことがすべて書けるわけではないということが、商業出版における唯一のデメリットということができるでしょう。

自費出版とは

自費出版とは個人出版ともいうように、筆者が個人的に書籍を出版することを目的とした出版方法で、出版費用は全額著者の負担です。

自費出版のメリットは、出版社が企画に介入しないため本の内容の自由度が高いことで、著者は自由に書籍の内容を決めることができます。

基本的に自費出版は書店で販売されることはありませんが、出版社の販路を利用して書店で販売することも可能です。

つまり、企業経営者が本を出す場合、自費出版で制作して書店に流通させるような方法も考えられるということです。

出版プロデューサーを選ぶ際に注意すべきポイント

ここでは「出版プロデューサー」を選ぶ際に注意すべき4つのポイントについて説明します。

なお、著者から費用ばかりを巻き上げる悪質な詐欺まがいの「出版プロデューサー」や「出版コンサルタント」も存在するので、くれぐれもそのような人を選ばないように十分注意しましょう。

経験とスキルを持つプロデューサーを選ぶ

「出版プロデューサー」に限ったことではありませんが、多くの経験を積んで確かなスキルを持った人を選ぶ必要があります。

具体的には、出版点数や代表作、著者、得意ジャンルなどの実績を確認します。

書籍には多くの分野があるので、出版したい本のテーマの分野に関する知識や知見が豊富で、その分野の出版社からの出版実績があることもきちんと確認するようにしましょう。

出版経路を明確に持つプロデューサーを選ぶ

「出版プロデューサー」には個人または法人所属の人がいますが、いずれの場合も確実に書籍の流通まで行える人を選ぶようにしましょう。

個人の「出版プロデューサー」の場合は、どこの出版社とコネクションがあるのか、複数の出版社の中から選ぶことができるのかなども重要です。

法人所属の「出版プロデューサー」の場合は、そのグループ内に出版社がある場合があるので、その点についても確認することをおすすめします。

編集者の所属やコネクションを確認する

法人所属の「出版プロデューサー」の場合、その法人の中に編集者がいるのかどうか、そしてその編集者の実績も確認しましょう。

個人の「出版プロデューサー」の場合は、どのような実績を持つ編集者とコネクションがあるのかを確認する必要があります。

契約内容や、職務範囲、報酬体系を明確にする

「出版プロデューサー」に依頼する場合は、きちんとした契約を結ぶことになります。

契約前に確認しなければならないのは、職務範囲、報酬体系、支払条件、印税の条件(印税率や、印刷部数と販売部数のどちらで印税が支払われるのか、など)などです。

ほとんどの出版社は持ち込みの企画や原稿を求めていない

ここまで、「出版プロデューサー」に依頼して商業出版する前提での説明をしてきましたが、一つ重要なことをお伝えしておく必要があります。

それは、出版社は「持ち込み企画の商業出版を歓迎していない」ということです。

現実に大半の出版社は原則として持ち込み企画や原稿を求めていません。

商業出版とは、出版社自身が本の企画、著者の選択・指名をして、本という商品を売って利益を稼ぐものだからです。

このように、そもそも商業出版の門戸は狭くハードルが高いということは認識しておく必要があります。

企業がPRやブランディングで検討する他の出版方法

では、企業が「自社のPRやブランディング」を目的として書籍を出版したい場合には、他にどのような選択肢があるのでしょうか。

企業出版(ブックマーケティング)という手段

企業が「自社のPRやブランディング」を目的として書籍を出版する場合におすすめしたいのは、企業出版(ブックマーケティング)という方法です。

企業が書籍を出す目的は「自社のPRやブランディング」です。

言い換えれば、いかに自社の存在を正しく認知してもらい、自社のファンになってもらえる人を増やすか、が企業が書籍を出す本来の目的です。

企業出版の場合は、出版社のプロモーションによって「いかに企業の顧客ターゲット層に書籍を届けるか」ということが目的になるので、企業の目的と合致します。

企業出版(ブックマーケティング)では、具体的に目的達成のための手段として書籍を活用し、SNSマーケティングやSEOコンテンツマーケティング、クラウドファンディングなどと組み合わせて、最終目的である「自社のPRやブランディング」を達成するためのマーケティング戦略を立てていくのです。

まとめ

本記事では、企業経営者が書籍を出版する際に依頼する「出版プロデューサー」の役割や選ぶ際に注意すべきポイントなどについて詳しく解説しました。

しかし、商業出版の門戸は狭くハードルが高いという現実があるので、「出版プロデューサー」に依頼したとしても、実際に書籍を出版するのは難しいことです。

書籍を利用して「自社のPRやブランディング」を実現したいという企業経営者の方には、企業出版(ブックマーケティング)をおすすめします。

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企業経営者であれば、自社のブランディング戦略の一環としてビジネス書の出版を選択肢に入れている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ビジネス書の出版は、その企業にさまざまな効果をもたらしてくれます。

本記事では、ビジネス書の出版方法やメリット・デメリット、具体的な成功事例などについてくわしく解説します。

目次【本記事の内容】

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

ビジネス書の出版についての基本知識

最初に、ビジネス書を出版するに際して知っておくべき基本知識について説明します。

ビジネス書とは

ビジネス書とは、ビジネスに役立つ知識やノウハウ、経営・経済・自己啓発などをテーマにして書かれた書籍のことをいいます。

たとえば、経営に関するビジネス書には、経営の考え方やノウハウ、事例などが、マーケティングに関するビジネス書であれば、マーケティング理論や手法、事例などが紹介されています。

ビジネス書を購入する読者の多くは企業経営者や会社員などです。

自分自身のビジネスや仕事に活かせる知識やノウハウ、気付きなどを得ることを目的として購入されます。

また、ビジネスで成功した人の考え方や価値観、生き方、人生などを知ることによって、自分自身のスキルや教養の向上に役立てたいという目的で購入されることもあります。

ビジネス書のジャンルやテーマ

ビジネス書はいろいろなジャンルに分けることができ、大別すると「経営」「経済」「ビジネススキル」「自己啓発」などに分けられます。

さらに次のように業種やテーマによってより細かいジャンルに分かれています。

  • ・会社経営
  • ・経営学
  • ・マーケティング
  • ・組織
  • ・リーダーシップ
  • ・ビジネススキル
  • ・自己啓発
  • ・投資全般
  • ・不動産投資
  • ・株式投資
  • ・資産形成、資産運用
  • ・金融・保険
  • ・経済
  • ・相続対策
  • ・節税対策
  • ・人事・労務管理
  • ・起業・開業
  • ・営業

ビジネス書の出版方法について

ビジネス書の出版を視野に入れている方にとって、どのような出版方法があるのかは気になるところでしょう。

一般的な出版方法には「商業出版」「自費出版」「企業出版」の3つがありますが、ビジネス書の出版方法としては、向き不向きがあります。

以下では、それぞれについて詳しく説明します。

商業出版/出版社主導で認知度を上げる出版方法

「商業出版」は、出版社が主導して認知度が上がる出版方法で、出版社が利益を出すために行う出版方法です。

出版費用はすべて出版社が負担するので、書籍の企画なども出版社が行います。

また、その企画の書籍の著者を誰にするかを決めるのも出版社です。

つまり、著者が「商業出版したい」と思ってできるような出版方法ではないので、ハードルが高いと言えます。

著者に知名度があったり、SNSのフォロワー数が多かったり、ネット上でバズったコンテンツなどを持っていない限り現実的ではないと言えるでしょう。

自費出版/名刺代わりの書籍を制作する出版方法

「自費出版」は、企業経営者などが名刺代わりに顧客や取引先などに配るための書籍を制作する出版方法で、出版費用はすべて著者(企業経営者など)が負担します。

もともと書籍の形にすることが目的の出版方法なのですが、せっかくコストをかけるので、ただの名刺代わりにするだけではなく、長期的に見て投資対効果のある経営施策として検討すべきでしょう。

たとえば、書店に流通させて自社のブランディングや信頼性の向上、新たなビジネスチャンスの獲得のために活用できるようにした方が良いと考えられます。

企業出版/企業課題を解決する企業主導の出版方法

「企業出版」は、企業が抱えている経営課題を解決するための出版方法で、出版費用は全額企業負担です。

解決できる経営課題としては、「自社の商品やサービスの認知度を高めたい」「従業員に企業理念を浸透させたい」「採用活動のミスマッチを減らしたい」などです。

書籍には「信頼性が高い」「ストーリー性がある」「長期的に活用できる」という特徴があるので、企業が顧客や従業員に伝えたいメッセージをしっかりと形にすることができます。

費用負担については「自費出版」と同じく著者が負担しますが、「企業出版」では出版社の販路を利用して全国の書店などで販売することが可能です。

このように、「企業出版」は、企業が書きたいテーマのビジネス書を出版することができ、かつ読者からの反響なども期待できるプロモーションを前提とした出版方法です。

ビジネス書出版のメリット

ここでは、ビジネス書を出版することによってどのようなメリットが得られるのかについて説明します。

代表的なメリットは次の3つです。

メリット①:ブランディングの確立による信頼性の向上

書籍などの紙メディアに対する信頼性は非常に高いものがあるので、本を出版することによってブランディングが確立して信頼性や知名度が向上するという効果が期待できます。

本を出版するとその道の専門家と見られるようになるので、競合他社との差別化にも有効な施策となります。

営業マンが顧客を訪問したときに「本を出版した会社の方ですね」と言われて営業活動がやりやすくなったという実例もあるように、必ずしも大ヒット作にはならなくても興味を持って読んでくれている方がいるのもビジネス書出版のメリットです。

近年ではホームページやブログで、自社の商品やサービスの魅力や優位性をアピールする手法が注目されていますが、デジタルメディアよりはアナログな紙メディアの方が高い信頼性が得られます。

同じ消費をするのなら、信頼性の高い会社の商品やサービスを利用したいという消費者心理に応えることができるのもビジネス書出版のメリットということができます。

メリット②:受注確度の高い顧客を集客できる

ビジネス書は自分のお金を出して購入するものなので、購入した読者は自社の商品やサービスに興味や関心を持っている質の高い潜在顧客だと判断することができます。

また、ホームページやブログの記事、テレビCM、ネット広告と違って、顧客に伝えることができる情報量が圧倒的に多いため、書籍をじっくりと読んでもらうことによってさらに受注確度の高い顧客に変わっていくことが期待できます。

実際に多くの経営者がビジネス書を出版しているのは、受注確度の高い顧客を集客できるから、と言っても過言ではないでしょう。

メリット③:ビジネスの知見や経験を体系化できる

個人事業でない限り一つの企業には複数名が在籍していて、それぞれの人が事業経営のための役割を担っているはずです。

つまり、多くの知見や経験、ノウハウが各個人にバラバラに蓄積されていることになります。

ビジネス書を出版することをきっかけとして、社内の人材が分散して保有している知見や経験、ノウハウを集約して体系化して共有することが可能となります。

ビジネス書出版のデメリット

一方、ビジネス書を出版することによるデメリットもあり、代表的なものは次の2つです。

デメリット①:一定のコストがかかる

ビジネス書の出版方法でも説明したように、多くのビジネス書は「企業出版」によって出版されています。

つまり、経営課題を解決するための手段と考えられるので、ある程度のコストがかかるのは仕方がないのですが、ビジネス書の出版には少なくとも数百万円程度の費用がかかります。

実際に出版する際には投資対効果の検討も行うことになりますが、一定のコストがかかるという点はデメリットと言えるでしょう。

デメリット②:数値分析がしづらい

前項のメリットの中で紙メディアである書籍の信頼性が高いことを挙げましたが、逆に書籍という特性から数値分析がしづらいというデメリットがあります。

この点、ウェブ広告の場合は表示回数やクリック数などが容易に収集できるので、数値分析によって広告効果を把握することができます。

ビジネス書出版に関する市場動向とトレンド

ビジネス書の出版を検討中の方にとって、その市場動向やトレンドについては気になるところでしょう。

以下では、これらについて説明します。

書籍の刊行点数とビジネス書の市場動向

総務省による2022年の日本統計年鑑によれば、1年間に刊行される書籍は約7万点です。

この統計にはビジネス書という分類がないため正確な数値は分かりませんが、ビジネス書は「社会科学」「工学工業」「産業」「語学」のいずれかに分類されているので、この4つの分類の合計2万点に含まれると考えられます。

このことから、年間約1万点のビジネス書が刊行されているものと推測されます。

1年間に刊行される約7万点の書籍のうち約1万点がビジネス書であるということを考えると、ビジネス書の市場は非常に堅調であるということができるでしょう。

2024年度版:トレンドのビジネス書を紹介

ここでは、2024年にトレンドとなっているビジネス書11冊を一挙に紹介します。

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ビジネス書を出版するための具体的な流れ

以下では、ビジネス書を出版するための具体的な流れ(プロセス)について解説します。

プロセス①:書籍のテーマやターゲット読者を明確化

ビジネス書を書くに際して重要なのは、書籍のテーマとターゲット読者を決めることです。

まず、書籍のテーマについては、ビジネス書を出版する目的がブランディングや知名度・信頼性の向上にあるわけですから、自社の強みが読者に訴求できるものである必要があります。

SWOT分析などの手法を用いて自社が保有する技術やノウハウの掘り起こしを行い、自社の強みを把握した上で、テーマを決めるようにしましょう。

ここで、すでに多くの人が出版したことのあるテーマを選択すると、読者にとっては新鮮味がないために埋もれてしまう可能性もあるため、斬新さや独自性のあるテーマを発掘することが大切です。

ターゲットについては、テーマが決まれば自ずと決まってくるという考え方もできるのですが、このときに「多くの人に読んでほしい」と考えてターゲット設定を曖昧にすることだけは避けるべきです。

ターゲットが曖昧なままだと、執筆内容にブレが生じたり、適切なプロモーションが打てなくなるなどの問題を生じる可能性があります。

プロセス②:企画の作成と目次づくり

ビジネス書を出版するためには、ビジネス書を手掛けている出版社に企画書を持ち込んで受けてもらわなければなりません。

企画書の作り方には決まりはありませんが、書籍のタイトル案、ターゲット層、自分や自社のプロフィールなどは必須となります。

ここでもターゲット層は重要項目で、この本をたとえば1500円程度払ってでも購入してくれる読者はどんな人なのかを明確に示せなければなりません。

目次については、企画書を作成する段階で目次案が出来上がっていれば望ましいですが、出版社が決まったあとに、編集者と相談して決めていくことも可能です。

プロセス③:原稿執筆(自分で執筆orライターが執筆)

出版社が決まって、テーマやターゲット、目次が決まると、原稿を執筆することになります。

原稿は、著者自身が執筆する場合とライターが執筆する場合に分かれます。ただ、ビジネス書の出版目的は、経営課題の解決であって経営者の自己満足ではないことを考えると、ライターに依頼して読者にとって読みやすいビジネス書を目指した方が良いでしょう。

ライターに依頼する場合は、ライターの選定やライターによる著者や関係者へのインタビューを行います。

また、ライターが執筆した原稿を著者がチェックして加筆修正することもあります。

プロセス④:原稿のチェックや編集

原稿の執筆が終わると、使用する写真や図表、イラストなどの素材と一緒に編集者に提出するのが通常の流れです。

編集者は、読者に文章の意図がきちんと伝わるように、適切な言葉遣いを選んだり、情報を取捨選択したりします。

また、表現の重複や表記のゆれがないかなどのチェックも行い、必要な場合は修正します。

プロセス⑤:組版とカバーデザイン

原稿が完成すると、文字組みやデザインなどの組版をして誌面レイアウトを決めます。

組版と並行して表紙やカバーデザインなどを決めていくのが一般的です。

デザイナーからの提案によって、原稿の加筆や減筆、写真やイラストの見直しなどが発生することもあります。

プロセス⑥:再校や最終校正

組版とカバーデザインが終わった初校を紙に印刷したりPDFに出力して校正を行います。

校正は編集作業の中でも重要度の高いプロセスで、その目的は訂正すべき箇所がないかを探し出すことです。

誤字脱字がないか、表記ゆれがないか、イメージ通りのデザインになっているか、写真や図表、イラストは適切かなどについてチェックして修正します。

必要に応じて、校正(再校)と修正を繰り返し、問題がなければ校了です。

なお、記載内容の事実関係に誤りがないかをチェックする校閲も必要に応じて行っていきます。

プロセス⑦:印刷・製本

校了すると、出版社から印刷会社に書籍の印刷データが送られます(入稿)。

印刷会社から実際の書籍に近い紙やインクで印刷した色校正が提示されるので、インクのノリ具合や図表や写真の色味を確認して、必要な場合は調整を依頼。

色校正が終わると、契約部数の書籍が印刷・製本されて納品されます。

ビジネス書では並製本が多いので、最後にソフトカバーと帯をつければ、書籍の完成です。

プロセス⑧:書店営業や各種プロモーションの準備

書籍が完成すると、出版社から書店に対して新刊の案内をします。

やり方としては、書店に出向いてビジネス書の担当者に売り込んだり、FAXで新刊案内と注文書を送付したりが一般的です。

プロモーションとして出版記念イベントなどを開催する場合は、相手先の書店と準備を行います。

SNSでの出版案内やウェブ広告の出稿などもこの時期に行います。

プロセス⑨:取次と配本調整、部決

書店からの注文部数がまとまったら、出版社としての希望部数を決めて各取次店に書籍を見本として持参して仕入れを依頼します。

各取次店ではその書籍を総合的に見て、仕入れ部数や書店へ配本する部数を決定します。

プロセス⑩:新刊配本、書籍発売

発売日の数日前に各取次店が決定した仕入れ部数に合わせて、各社の倉庫に書籍を搬入。

その後、書籍は各取次店から書店に配本され、発売日に書店の書棚に並べられます。

書店では、売れ行きの良い書籍はフェア台に配置したり平台に平積みしたりして、目立つ場所に陳列されます。

売上が好調な場合は、初版に加えて重版されることもありますし、追加でプロモーションが行われることもあります。

成功したビジネス書の事例紹介

ビジネス書の出版によってブランディングや集客に成功して飛躍的な業績アップを果たした事例は数多くありますが、ここでは3件の成功事例を紹介します。

事例①:新規事業の集客と本業集客の両立に成功したビジネス書出版の経営者

保険代理店の経営者が、保険業界に対する持論と実例を公開するためにビジネス書を出版しました。

書籍の中では、保険業界で当たり前に行われている「成果報酬型」の給与体系を「一律報酬型」に変えることを提唱しました。

つまり、限られた一部のスーパー営業マンに頼った経営から、アベレージヒッターを育てて全員で支えていく経営に変えることによって業績拡大ができることを紹介したのです。

伝達できる情報量が膨大な書籍というメディアを使って持論を展開したことにより、多くの業界関係者からの共感が得られ、自社のブランディングにも成功しました。

同時に、新規事業であるコンサルティングの新規契約の獲得と本業の保険代理店の保険契約数が伸長するという大きな効果が得られたそうです。

出版後のインタビューでも、次のように語っていらっしゃいます。

保険の商談に従業員と同行するときも、お客様に事前に本を読んでおいてもらうと、ご面談するときにちゃんと「あったまっている」んですよね(笑)

書籍に盛り込んだ当社の経営方針や理念に、強く興味を持ってもらえている。

引用元:【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店

法人保険の営業は、人材戦略や財務状況など、相手の経営に踏み込んだ提案をしなければ大型の保険契約を決めることができないそうですが、書籍のおかげで商談の時から踏み込んだ話ができる理想的な商談の機会が増えたと言います。

このように、書籍を上手く活用すれば、お客様との良い商談を増やすきっかけにもつながるのです。

お客様との信頼関係などが重要な職種には良いツールと言えるでしょう。

事例②:メインターゲットの集客に成功し売上を倍増させたビジネス書出版の経営者

不動産投資サービス事業を行っている不動産会社の経営者は、従来から高収入でありながらも支払う税金が多い医師をメインターゲットとして、SNSやウェブ広告などを利用した情報発信を行っていました。

しかし期待する効果が得られていなかったことから、「医師に最も効果的な節税対策は不動産投資である」という内容のビジネス書を出版しました。

ビジネス書の企画段階からメインターゲットである医師を対象としたマーケティング戦略やプロモーション戦略を立てていたことで、多くの医師に書籍を購入してもらうことができました。

出版後は、書籍を購入した医師に「不動産投資に大きな節税効果があること」を認知してもらうことができ、売上を倍増させることができました。

また、既存の顧客が知り合いの医師にビジネス書を配ってくれたり口コミで広げてくれたりして、新たな顧客の獲得にもつながっています。

事例③:SNSとの相乗効果で圧倒的なブランディングに成功したビジネス書出版の経営者

資金調達支援のコンサルタント業を営む経営者は「創業者が夢を実現するためには適切な融資が必要」との思いからビジネス書の出版を決意しました。

日本では起業した会社の約6割が1年以内に廃業しているという現実があるので、これをなんとか改善したいと考えたのです。

自身の会社も創業後の3年間で8200万円の融資を受けて事業を軌道に乗せることができたという経験があるため、中小企業であっても高額の融資を受けることができるという秘訣を公開しました。

ビジネス書の出版に合わせてSNSやウェブでのコンテンツ発信も行い、これらの相乗効果によって顧客からの信頼を獲得してブランディングに成功しました。

具体的には、問い合わせ件数が3~4倍に増えて受注件数も増加し、結果的に融資支援実績が日本一になりました。

ビジネス書を出版する出版社一例

ビジネス書を出版している出版社は数多く存在しますが、実際にどこに依頼すべきかはそれぞれの出版社の特徴を知ったうえで検討した方が良いでしょう。

以下では、代表的な出版社の特徴などについて解説します。

幻冬舎メディアコンサルティング

「幻冬舎メディアコンサルティング」は、2005年に設立された企業出版に特化した出版社です。

名前の通り幻冬舎のグループ会社であるため、幻冬舎の流通網を活用した全国約4,200書店への流通、プロモーション、出版記念セミナーの開催などが行えるという強みがあります。

プロモーションに力を入れているので、メニューが豊富で、実書店では書棚の効果的な展開により狙いのターゲット層に訴求したり、新聞やSNS、Amazonバナーなどを利用した広告も行っています。

企業の事業戦略に合わせた配本も行っているので、頼りになる出版社といえるでしょう。

日経BP社

「日経BP社」は、日本経済新聞社の子会社で雑誌と書籍の出版を行っている会社です。

「日経ビジネス」をはじめとしたビジネス関連の雑誌が多いという特徴があるため、ビジネス書についても強みがあり、多くのベストセラーを出しています。

ビジネス分野に精通した編集者が書籍の企画からデザインなどの出版全般に関わる提案をしてくれるのが特徴です。

ダイヤモンド社

「ダイヤモンド社」は、ビジネスや経済に関する書籍や雑誌を出版している、1913年に創業した老舗の出版社です。

100年以上にわたってビジネス書を発刊してきたという大きな実績があるので、信頼性が高くプロモーション力も高いという特徴があります。

また、「週刊ダイヤモンド」などの著名な雑誌を刊行しているため、ビジネス書についても一定の固定客が獲得できることが強みです。

東洋経済新報社

「東洋経済新報社」は、ビジネスや経済に関する書籍の発行を専門とする出版社で、1895年に創立された歴史のある出版社です。

「週刊東洋経済」や「会社四季報」などが有名で、業界知識が豊富な編集者から効果的なサポートを受けることができます。

また、社内史や広報誌などの社内向けの書籍も手掛けているため、社内ブランディングにも活用することができます。

「東洋経済オンライン」などの自社メディアを利用したプロモーション力も魅力です。

プレジデント社

「プレジデント社」は、経営層や富裕層に向けたビジネス書や雑誌を主力とする出版社で、1963年に創立されました。

日本で初めての海外提携紙「プレジデント」を創刊したことでも有名です。

これまでに約100社以上の企業をサポートしてきたという実績があります。

インターネットと実際のイベントを組み合わせたメディア展開によって、企業やビジネスを広く周知させることができます。

クロスメディア・パブリッシング

「クロスメディア・パブリッシング」は、クロスメディアグループでビジネス書を専門とする出版社として2005年に設立されました。

現在では、ビジネス書だけではなく自己啓発書、実用書まで幅広い書籍を刊行しています。

パノラボ

「パノラボ」は、株式会社フォーウェイ(弊社)のグループ出版社で、2021年11月に設立されました。

他の競合他社と異なり企業出版を専門としているため、ブランディングやマーケティングなどの目的を達成するためのビジネス書の出版の全プロセスを一気通貫でサポートしています。

また、グループ会社の株式会社フォーウェイ(弊社)が手掛けているSNS運用やウェブサイト制作などを活用して、ゴールから逆算した動画制作やSNS運用、クラウドファンディングなどを組み合わせたプロモーションの提案ができる点も大きな強みです。

ほか、前述した大手出版社とは異なり、コストメリットの高いブックマーケティングを提案していることもメリットとして打ち出しています。

まとめ

本記事では、ビジネス書の出版を検討中の企業経営者に向けて、ビジネス書の出版方法やメリット・デメリット、具体的な成功事例などについてくわしく解説しました。

ビジネス書の出版は、ブランディングや知名度・信頼性の向上のための経営戦略の一つとしてとらえることができ、企業経営に非常に大きな効果を及ぼします。

本文中でも紹介したように、ビジネス書の出版は多くの出版社が行っていますが、ビジネス書の出版に強く、ビジネス書の出版目的である自社のブランディングや知名度・信頼性の向上を達成するためのノウハウやプロモーション力を持った出版社を選ぶことが重要です。

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コンサルティングサービスは、顧客側からすると費用対効果が分かりづらい代表的なビジネスの1つです。

そのため、どんな素晴らしいサービスを提供しているコンサルタントであっても、実績や知名度がない状態では、依頼してもらえるまでのハードルが高く、なかなか成約に至らないのが現実です。

もっと言えば、実績や知名度がなければ、見込み顧客の集客も難しいのが実情です。

このように、コンサルタントで集客に関する悩みを抱えている方は、意外と多いのではないでしょうか。

本記事では、集客できないと悩むコンサルタントが、見込み顧客との信頼性を獲得し、効率的かつ効果的に集客できる手段を詳しく解説します。

目次【本記事の内容】

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

コンサルタントの集客が難しい理由

コンサルタントの集客が難しい最大の理由は、サービス内容などの分かりにくさにあります。

そういった分かりにくさを払拭することができずに、次のような理由で集客に苦戦しているコンサルタントが多いようです。

自分の強みをうまく発信できていない

少しでも多くの仕事が欲しいコンサルタントは「どんなことでも相談に乗ります」というアピールをしがちです。

これは、特に独立したばかりのコンサルタントに多く見られる傾向です。

これは「顧客からのどんな依頼にも応えて多くの受注を獲得したい」と考えてのことですが、そのことがかえってコンサルタント本人の狙いとは逆に集客を難しくする一因になっています。

実際に依頼する顧客側の視点で考えると、何が専門なのかが分からず、「依頼しても的確なアドバイスが得られないかもしれない」と思って依頼しにくいのです。

たとえば、自社のIT情報システムに課題があることが分かっているときには、「何でもサポートできます」というコンサルタントよりは「IT分野ならお任せください」というコンサルタントを選ぶのではないでしょうか。

もっと言えば、「IT情報システムの見直しや再構築ならお任せください」とより具体的にアピールしているコンサルタントの方が「この人にお願いしたい」と思ってもらいやすくなります。

主なコンサルタントの専門領域としては、経営、業務改善、IT、マーケティング、財務、人事、事業再生などがあります。

自分がどの分野に強く、かつ顧客にどのようなメリットをもたらすことができるのかを明確に発信していくことが重要です。

見込み顧客に向けての信頼性の欠如

コンサルタントが見込み客に自身のサービスをアピールしたとしても、簡単には信頼してもらえません。

なぜなら、コンサルタントは肩書きだけで信頼されるような職種ではないためです。

コンサルタントには、弁護士や税理士などのように公的な資格などがありません。

極端に言えば、コンサルタントと名乗れば誰でもなれてしまう職種であり、肩書きだけでは信用されにくい職種です。

そんな中で、見込み顧客の信頼を獲得するためには、自身のこれまでの経歴や、コンサルティング実績、それに代わるエビデンスを明確に示していく必要があります。

それがコンサルタントの集客を難しくしている要因の1つです。

知名度やブランド力の不足

コンサルタントの知名度やブランド力が不足している場合も集客が難しくなります。

なぜなら、知名度やブランド力が不足していると、どんなに高品質なサービスを提供していたとしても、顧客側の依頼候補先として上がりにくいためです。

たとえば、「SEOコンサルタント」とネットで検索した際に、せいぜい担当者が見るのは検索結果の2〜3ページ目程度です。

もし8ページに表示されていたとしても、見てもらえないでしょう。

このように、知名度やブランド力が不足していると、どんなに良いサービスを提供している優秀なコンサルタントでも、顧客側の候補先としても上がりにくくなります。

どうしても知名度やブランド力の強いコンサルタントに依頼が集中してしまい、それらが不足しているコンサルタントに依頼が来にくい、というのも集客が難しいと言われる要因の1つと言えるでしょう。

集客につながるマーケティング手法が打てていない

コンサルタントが効果的なマーケティング手法を実施していない場合も、集客は難しくなります。

なぜなら、コンサルティング業を営んでいる競合他社は数多くいるからです。

競合が多いため、マーケティングをすることなく集客ができるような業種ではありません(もちろん、例外もあります)。

たとえば、コンサルタントには、外部からの視点で経営課題を把握し、論理的に分析し、目標を達成するための解決策を示す能力が求められますが、コンサルティング契約を結ぶ時点ではその能力を持っているかどうかは分かりません。

ホームページやコラム、SNSなどでの発信情報、セミナーでの講義内容などから、信頼に足るコンサルタントであることが確信できなければ、相談をしてもらうことはもちろん成約に至ることはありえません。

そのため、コンサルタントにとって、マーケティングは集客を行う上で必要不可欠なものであることを認識しておく必要があります。

コンサルはまずクライアントを知ることから

集客につながるマーケティング施策を検討するためには、見込み顧客がどうやってコンサルタントを探すのかを、まず知ることからです。

なぜなら、顧客企業のコンサルタント選定がどのように行われているのかを知らずに、マーケティング施策を考えることはできないからです。

一般的にコンサルタントは、次のような過程を踏んで選定されます(あくまで一般例です。例外もあります)。

  • 1.社内に経営課題が見つかり、外部の視点を入れた解決の必要性が生じる
  • 2.その経営課題に対応できるコンサルタントを探す
  • 3.対応可能な複数のコンサルタントの実力や課題解決能力を知る
  • 4.対応可能な複数のコンサルタントを比較して依頼先を決める

このコンサルタントの選定過程からわかることは、まず最初の「コンサルタント探し」の段階で「自分の存在に気づいてもらうこと」、すなわち「認知してもらうこと」の重要性です。

また、そもそも見込み顧客はなぜコンサルタントに社内の課題解決を依頼しようとするのかについても知る必要がありますが、それは次の3つに集約することができます。

  • ・第三者視点からの客観的な評価や分析
  • ・課題解決のスピードアップ
  • ・課題解決能力や知識、ノウハウの習得

このように、見込み顧客がどのような時にコンサルタントへの依頼を検討し、どのようなプロセスで選ぶのかは、最低限知っておくべきことと言えるでしょう。

コンサルが集客施策を実行するときの心構え

ここからは、コンサルタントが集客施策を実行する際に、心がけておきたい3つのポイントについて解説していきます。

相談しやすい受け皿を作る

コンサルタントは、そもそも見込み顧客側にとってサービス内容や専門性、経歴や実績などが分かりづらい職種です。

見込み顧客にとって相談ハードルが高くなりやすい職種とも言えます。

そのため、見込み顧客が相談しやすい仕組みを作り、相談ハードルを下げることを心がけていく必要があります。

たとえば「集客コンサルタント」であれば、「企業の広報担当者向けのSNS集客セミナー」「企業の広報担当者向けのブログ集客セミナー」など、ターゲットを絞り込んだ具体的な無料セミナーを企画するなどです。

そういったセミナーに集まった方々に、無料相談などのサービスを提供し、お悩みを聞いた上で解決策を提案していきます。

このように、「集客のことならなんでも相談ください」というスタンスではなく、「自分が顧客側だったら」という視点で、顧客が相談しやすい仕組みを構築していく必要があります。

人脈(ネットワーク)を作る

コンサルタントは、見ず知らずの第三者からの依頼ではなく、知人からの紹介など人とのネットワークを介した相談や仕事の依頼が最も多いと言われています。

そのため、まずは自分の人脈をフルに活用して集客を図ることが大切です。

顧客側からすれば、全く知らない人よりも、信頼できる友人や知人に紹介してもらった人の方が、相談しやすいものです。

また、「友人や知人が紹介してくれるコンサルタントだから」と信頼も得やすくなります。

コンサルタントとして集客に困っている方は、Web広告やSNSなどに目が向いてしまいがちですが、人脈を活用した方が早く確実に成約につながりやすくなります。まずは「人脈を活用して集客ができないか」を考えてみましょう。

過去に勤めていた会社の同僚や、その際に知り合った知人など既存のネットワークを大切にしていくことはもちろん、異業種交流会や勉強会、各種セミナーなどに顔を出すことで人脈を広げることができます。

また、このような場で自分の強みや得意分野について紹介して、認知度を上げるようにしましょう。

フォローアップを忘れない

コンサルタントの中には、実績を上げるために新規顧客の獲得にばかり熱心な方がいます。

しかし、既存の顧客のフォローアップも忘れずに行う必要があります。

なぜなら、リピーターになってくれたり、長期契約や顧問契約に発展したりして売り上げの安定化につながる可能性があるからです。

さらに、既存の顧客が知人を紹介してくれて新規顧客の獲得につながることもあります。

フォローアップにはいろいろな方法がありますが、たとえば定期的にメルマガやDMを発信して、有益な情報を届けるという方法が考えられます。

このように、既存の顧客一人ひとりにしっかりと応えてきめ細かに対応することが、経営の安定化や新規顧客獲得につながるということを忘れてはいけません。

コンサルタントに適した集客手段とは

集客する手段としては、多くの選択肢がありますが、職種によって向き不向きがあります。

ここからは、コンサルタントに適した集客手段をいくつかご紹介いたします。

ホームページ制作とコンテンツマーケティングを実践

コンサルタントの集客手段としてホームページの制作は必要不可欠です。

なぜなら、「依頼する前にまずはホームページを見る」という顧客が多いからです。

いくら良いサービスを提供していたとしても、「誰が提供するのか?」は誰でも気になるものです。特にコンサルタントのような、自身のビジネスにとって重要な助言をもらう存在であればなおさらです。

また、HPがあれば、コンテンツマーケティングを行うことが可能です。

コンテンツマーケティングにおいては、開設したホームページに自分の専門領域や実績を掲載し、加えて顧客にとって有益な情報をコラムなどの形で発信していきます。

これによって、自分の強みやノウハウなどが言語化されて顧客に伝わりますし、SEO対策を行うことによって、検索エンジンで検索結果の上位に表示されることも可能となります。

つまり、問い合わせや相談の機会が増加して、それに伴う成約率アップの可能性が高まるということです。

チラシやパンフレット、名刺のコンテンツ化

紙媒体のチラシやパンフレット、名刺をコンテンツ化して集客を図る方法もあります。

インターネットやSNSの時代だからこそ紙媒体のチラシやパンフレット、名刺を見込み客などに配布することは集客に効果的です。

チラシやパンフレット、名刺に経営理念、経歴、専門分野、コンサル実績などのブランディングを意識したコンテンツを掲載するなど工夫すれば、顧客から興味を持ってもらえる可能性があります。

また、自分自身が力を入れて発信している媒体(SNSやブログ、自社サイトなど)のQRコードを掲載するのも有効です。

SNSで自己PRと情報発信

SNSによる情報発信もコンサルタントの集客手段として有効です。

SNSで発信した情報は「いいね」や「シェア」「リポスト」などによって拡散されます。思わぬ人や企業に伝わって、認知や集客につながる可能性があります。

SNSで発信される情報の種類は千差万別なので、多くの情報の中に埋もれてしまわないように、独自性を持たせた専門分野の豆知識やTIPSなどを定期的に投稿することがコツです。

SNSの投稿は比較的気軽に行えることがメリットですが、ホームページのコンテンツと同様に手間がかかるという点や、集客できるまでには時間がかかる点には注意しましょう。

セミナーを開催

自分の得意分野や専門分野をテーマとするセミナーを開催することも有効です。

なぜなら、セミナーにはテーマに関心のある顧客が有益な情報を求めて参加しているためです。

また、そういった受講者と直接話をする機会を持つことができるのもメリットです。

受講者の中には、テーマに関心があるだけではなく、他にも具体的な課題を抱えた方がいる可能性もあり、コンサル契約に発展することも十分に考えられます。

自分の得意分野や専門分野に関するセミナーということもあり、自ずと自信にあふれた講義ができるので、ブランディングという点からも効果的です。

書籍を出版

自分の専門分野に関する書籍を出版し、全国の書店に流通させることも集客に有効な手段の1つです。

「書籍が持つ信頼性の高さ」は他のメディア以上です。そのため、書籍は自身のブランディングという点でも非常に効果があります。

また、書籍の情報量はホームページのコラムやチラシ、パンフレット、SNS投稿などよりも多いため、自分が顧客に伝えたいことを余すことなく掲載することができます。

ちなみに、一般的な書籍のページ数は200ページ程度で、文字数は7万~10万文字程度です。

紙媒体のA4判のチラシの文字数は1,000文字〜2,000文字程度ですから、書籍では比較にならないほどの情報を伝えることができることがわかります。

しかし、出版するだけではダメです。出版しても、ターゲットとなる見込み顧客に読んでもらえなければ意味がありません。そこで重要になってくるのが、ブックマーケティングです。

ブックマーケティングの重要性

コンサルタントが書籍を出版したとしても、単に自分が配るだけの名刺代わりの書籍で終わってしまっていては意味がありません。

書籍をマーケティングの一部として活用し、コンサルタント自身の強みなどを伝え、問い合わせなどの集客につながるような取り組みをしていく必要があります。

そこで重要になってくるのがブックマーケティングです。

ブックマーケティングは、書籍を単に出版社の販路だけではなく、あらゆる情報発信の手段を活用し、ターゲットとなる見込み顧客に届けて問い合わせなど、集客面で貢献させるマーケティング施策です。

ブックマーケティングを実施する際の重要事項について、以下で具体的に説明します。

事業ターゲットの理解と的確なアプローチ

ブックマーケティングを行う際には、書籍の企画段階からターゲットの明確化とアプローチ方法を決めておく必要があります。

つまり、出版する書籍を誰に読んでもらって、何を伝えるのかということを決めておき、さらにそのターゲットに確実に届けるためのプロモーションまでを想定しておくことが大切です。

効果的なコンテンツ戦略の立案と事例の紹介

書籍のターゲットと伝えたいことが決まったら、次は具体的なコンテンツを練り上げていく段階です。

編集者とともにターゲットの課題に寄り添うコンテンツを作り上げていきます。コンテンツの中に、自然な形で自分自身の実績もできるだけ事例として掲載していくことを心がけましょう。

書店でプロモーションを実践

書籍が完成すると、具体的なプロモーション計画を立てます。

ブックマーケティングの場合は、あくまで書籍はマーケティングのためのツールですから、確実にターゲットの目にとまる書店の書棚に並べて、書籍テーマに関心のある方やニーズのある方に購入してもらうようにしなければなりません。

ブックマーケティングのゴールは書籍を売ることではなく、書籍を読んだ見込み客の集客をはじめとして、ビジネスメリットを達成するための手段であることにあります。

書籍コンテンツを二次利用してSNSやWEBサイトを強化

ブックマーケティングで出版した書籍コンテンツは、著作権が著者にあるため、二次利用できます。

たとえば、書籍の一部をホームページのコラムやブログに掲載してSEO対策に活用したり、SNSで発信したりすることも可能です。

このように、書籍コンテンツをあらゆる媒体に活用し、マーケティング効果を最大化することができます。

営業ツールや紹介ツールとして書籍を活用

ブックマーケティングで出版した書籍を、営業ツールとして配布したりすることができます。

また、自分で配布する以外にも、見込み顧客や知人に配布しておくことで、思わぬ集客や相談につながる可能性があります。

書籍テーマでセミナーを開催

ブックマーケティングで出版した書籍のテーマでセミナーを開催することもできます。

書籍は全国規模で流通しますので、興味や関心のある見込み顧客や書籍の内容に共感した潜在顧客などが全国から参加してくれる可能性があります。

さらに、セミナー後に名刺交換会や懇談会を設けることによって、集客や具体的案件の相談などにつながる可能性があります。

▶️ブックマーケティングの詳細については、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。

コンサルタントのブックマーケティング成功事例

コンサルタントのような、顧客から依頼してもらえるまでのハードルが高く、顧客との信頼関係の構築が重要なビジネスを行っている方にとって、ブックマーケティングは相性の良いマーケティング手法です。

実際に、コンサルタントがブックマーケティングを行って集客に成功した事例を2件ご紹介します。

事例①:ターゲット特化してその道の専門家としてブランディング

建設業専門のコンサルタントの事例です。

この方は、自身の商圏での開拓はある程度行ってきていましたが、次のステージにすすむために、知名度の向上と商圏の拡大を狙って書籍を出版しました。

書籍のタイトルに「建設業のための」という文言を入れたことによって、狙い通りのターゲットにダイレクトにアプローチすることができ、さらには書籍の配本を首都圏中心に行うことによって「商圏の拡大」にもつながりました。出版の翌日から問い合わせが殺到し、複数件の顧問契約獲得につながっています。

このように、ターゲットに特化した専門家であることを世間に認知させ、ブランディングを行っていくために、ブックマーケティングは有効な手段と言えます。

通常、本は販売部数を増やすために、「できるだけ多くの人に読んでもらいたい」という意図でタイトル付けをするものです。今回の書籍であれば、「建設業のための」と入れることによって、ターゲットが一気に狭まってしまうため、販売できる可能性のある部数が減ってしまいます。

しかし、書籍を通じでどのようなブランディングを行っていきたいのか、の目的を企画段階で明確にしていたからこそ、書籍のタイトルに「建設業のための」という、ターゲットを狭めながらも狙った読者層からの集客をイメージした文言を入れる決断ができたのです。

このように、通常の出版とは違う考え方で、マーケティングのツールの1つとして企画し、出版していくのがブックマーケティングです。

事例②:得意分野をコンテンツ化してその分野のNo.1へ

日本では起業した会社の約6割が1年以内に廃業しているという現実がありますが、資金調達支援のコンサルタントである著者は「適切な融資の下、創業者が夢を実現できるように」という思いから書籍を出版しました。

書籍の中では、自らが立ち上げた会社が創業後3年間に8200万円の融資を受けて事業を軌道に乗せることができた実績を元に、中小企業でも高額の融資が受けられるという秘訣を公開。

自社が得意とするWebやSNSのコンテンツ化によって、問い合わせ件数が3~4倍に増加して受注件数が伸び、その結果、融資支援実績が日本一になりました。

このように、自身の強みや想いをしっかりとターゲットに届けることができるのもブックマーケティングならではのメリットです。

Web広告やSNSなどでいくら長文で伝えようとしたとしても、「パッと見てわかる」ことが重視されるネット媒体では、伝えられる情報量に限界があります。

しかし、書籍は違います。しっかりと長文が読まれる媒体です。特に内容がターゲットに刺さるものであれば、ネット媒体の比にならないほどの情報量を伝えることができます。

また、書籍を読んでもらえることによって著者や提供するコンサルティングサービスへの理解も深まり、顧客教育にもつながります。

結果として、読者は著者のファンになり、仕事の依頼をすること前提で問い合わせいただけるようなホットな信頼関係を作ることができるのです。

まとめ

本記事では、コンサルタントの集客が難しい理由やコンサルタントに適した集客手段について解説しました。

コンサルタントの集客手段にはいろいろありますが、成功事例でも紹介したようにブックマーケティングを利用した集客は相性抜群です。

コンサルティングの依頼をしてもらうためには顧客からの信頼を勝ち取ることが不可欠ですが、「書籍を出版したという事実」だけで社会的な信頼性は飛躍的に高まります。

また、ターゲットを明確にした書籍内容やタイトルなどによって、効果的なマーケティングが可能です。結果として相談件数や成約件数の増加が期待できるでしょう。

集客に課題をお持ちのコンサルタントの方は、ぜひブックマーケティングの活用を検討してみてください。

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企業戦略においてマーケティングとブランディングが重要なのは周知の事実でしょう。

一方、その違いを明確に答えられる人は少ないかもしれません。

本記事では、マーケティングとブランディングの違いを紹介し、それらが経営戦略上どのように影響を及ぼすかを解説します。

目次【本記事の内容】

マーケティングとブランディングとは

「マーケティング」と「ブランディング」は企業が商品やサービスを販売し、存続し続けていく上で必要不可欠な活動です。

まずは、マーケティングやブランディングについて、それぞれがどのような活動を指すのかを正しく把握しておきましょう。

マーケティングとは何か

マーケティングとは、自社の商品やサービスを効率的に売るために行う活動全般のことを指し、「市場をつくる」という意味があります。

たとえば、市場調査や商品企画、価格設定、流通・販売チャネルの構築、広告宣伝、顧客の声のフィードバックなどの活動が含まれます。

商品やサービスを売るためのあらゆる活動がマーケティング活動に該当すると考えてください。

ブランディングとは何か

ブランディングとは、自社や自社の商品・サービスそのものの価値やイメージを高めようとする活動のことで、顧客の頭の中に自社やサービスへの良いイメージを作ってもらうことを目的としています。

たとえば、ブランディングに成功している代表的な企業がiPhoneなどで有名なアップル社でしょう。

アップル社と聞けば、「こだわり抜かれたデザインや革新的な商品を出す会社」「創業者のスティーブジョブズの妥協なきものづくりの精神が根付いた会社」といったイメージを持つ人が多いと思います。

このようにアップル社に対する良いイメージが消費者に浸透しているため、たとえアップル社の出した商品が、他社よりも性能が劣っていたとしても、多少価格が高かったとしても、「アップル社の商品が欲しい」と選ばれるようになります。

このように、自社や自社の商品・サービスに良いイメージを持ってもらうための活動全般がブランディングです。

▶️企業ブランディングについては、関連記事【企業ブランディングとは?企業の成長における重要性や手法を徹底解説】もあわせて参考にしてください。

リブランディングとは何か

リブランディングとは、今までに作り上げてきたブランドを再構築すること、およびその戦略のことです。

時代の変化や、消費者の価値観の変化、競合他社の成長などにより、古くなってしまったブランド価値を刷新するために行います。

具体的なリブランディングの方法としては、ターゲットの見直しや、ロゴ変更、パッケージデザインの刷新、コーポレートサイトの刷新などがあります。

たとえば、リブランディングに成功した代表的な企業がユニクロを運営するファーストリテイリング社です。

ユニクロはかつて2000年代後半に、「ユニクロとばれると恥ずかしい(ユニバレ)」という言葉が浸透するほど、安かろう悪かろうなイメージが定着していました。

しかし、メイドインジャパンを強調するロゴマークの刷新や、それと連動した世界各地の店舗デザインや商品企画、プロモーション戦略の刷新を実施。

見事に今現在のような「高品質の商品を低価格で提供するジャパンブランド」としてのリブランディングに成功しています。

時代の移り変わりが激しい時代だからこそ、時代に沿ったニーズに柔軟に適応していくために、ブランディングと共に重要視されているのがリブランディングです。

PRとは何か

PRとは、「Public Relations(パブリック・リレーションズ)」の略語で、直訳すると「公衆との望ましい関係づくり」という意味です。

PRは宣伝や広報よりも広い概念で、自社の情報を広く社会に周知する活動全般を指します。

たとえば、「プレスリリース」「オウンドメディア」「社内報」「メディア対応」などが主なPR活動です。

よくマーケティングと混同されることもありますが、そもそもPRとマーケティングは目的が違います。

PRは企業価値の向上や認知度の拡大、マーケティングは商品・サービスの販売促進を目的としています。迷ったら「どんな目的で行うのか?」で見分けましょう。

また、PRはブランディングで形成されたイメージを元に実施されるのが一般的です。

そのため、ブランディングの延長線上にPRがあると考えてください。ブランディングで良いイメージを構築し、PRでさらにそれを広く社会に周知していくというのが一般的な流れです。

マーケティングとブランディングの違い

マーケティングとブランディングの違いは主に次の5つです。

  • ・その1:目標
  • ・その2:意義・方針
  • ・その3:ニーズ・焦点
  • ・その4:手段・方法
  • ・その5:施策の期間

それぞれについて具体的にどのような違いがあるのかを見ていきましょう。

違いその1:目標

ブランディングとマーケティングはよく混同されますが、そもそも目標とするものが全く違います。

まず、ブランディングは、消費者に自社や自社の商品・サービスに対する良好なイメージを持ってもらうことが目標です。

一方で、マーケティングは、自社の商品やサービスの価値を効果的に訴求することが目標です。

そのため、商品・サービスをとにかく売りたいのであればマーケティング施策を、価格競争などから脱していきたいのであればブランディング施策を選択する必要があります。

「自社の商品を販売したいからブランディング施策を実施する」のは大きな間違いです。

目標とするものが何かによって取るべき最適な施策が異なるので注意しましょう。

違いその2:意義・方針

ブランディングとマーケティングには、意義や方針の違いもあります。

ブランディングは、自社の商品やサービスが「どうあるべきか」という社会的存在意義や向かうべき方向性を大きな枠組みで考え続けることです。

時代により消費者の価値観が変わると、自社の商品やサービスに対するイメージも変化することが考えられます。ブランディングは一度考えたら終わりではなく、時代に沿って、継続的に「どうあるべきか」を考え続けることが大切です。

一方で、マーケティングは、自社の商品やサービスを売るために「どうすべきか」を考える具体的な活動方針です。

たとえば、テレビCMなどのマス広告、Web広告、SNSの利用などのプロモーション活動などがこれにあたりますが、商品やサービスが変われば活動方針も施策もガラリと変わります。

このように、大きな枠組みの中で存在意義や方向性を考え続けるのがブランディング、その土台の上で「自社の商品やサービスをどう売っていくのか」という具体的な活動方針を考えるのがマーケティングです。

違いその3:ニーズ・焦点

ブランディングとマーケティングには、ニーズや焦点の当て方に違いがあります。

ブランディングは、自社の強みをターゲットの消費者に訴求して、「このブランドを選べば間違いない」というイメージを持ってもらうことに焦点を当てます。

つまり、焦点は自社です。

一方で、マーケティングは「消費者のニーズは何か」に焦点を当てます。

このように、「自社の強み」と「消費者のニーズ」どちらに焦点を当てるのかが、マーケティングとブランディングの大きな違いです。

また、消費者のニーズが顕在化している場合は、それに応える具体的な商品やサービスを訴求するようなマーケティングを実施します。

一方で、消費者のニーズが潜在的にある場合は、ニーズを深掘りし、自社の商品やサービスで解決できるようなイメージを持ってもらうようにブランディング施策を実施していきます。

つまり、顕在化した消費者のニーズにはマーケティングを、潜在的なニーズにはブランディングを、というように使い分けていく必要があるのです。

違いその4:手段・方法

ブランディングとマーケティングには、手段や方法にも違いがあります。

ブランディングを行う際には、消費者の心理形成につながるような手段や方法を採用します。

なぜなら、消費者の心の中に良好なイメージを作ってもらう必要があるからです。

たとえば、消費者に対してのブランディングの場合、印象に残りやすいブランド名やロゴの設定、キャラクターの作成やコーポレートメッセージの作成、サイトの刷新などが主なブランディング施策の方法です。

また、社内に対するブランディングの場合、従業員向けのブランドブックの作成、独自の人事認定制度の創設などの方法があります。

一方、マーケティングでは、商品やサービスに対する消費者の理解や購買意欲向上につながるような手段や方法を採用します。

たとえば、各種広告やオウンドメディアのコンテンツ、SNSでの情報発信、メールマガジンなどを利用して消費者への広告宣伝を行う、などです。

このように、手段や方法も異なるので、混同してしまわないように注意しましょう。

違いその5:施策の期間

ブランディングとマーケティングでは、施策に取り組む期間の長さが違います。

マーケティングと違い、ブランディングは長期的な取り組みが必要です。

なぜなら、ブランディングの目標であるブランドイメージを形成するには長い期間を必要とするからです。

一方で、マーケティングが目標とする顧客の購買行動は比較的短い期間で成果が表れます。

たとえば、ロゴを刷新したところで、すぐにその効果は感じられませんが、Web広告に出すページを修正した場合には、その効果はすぐに現れます。

このように、ブランディングとマーケティングはそもそも取り組む期間の長さが違うということを認識しておきましょう。

アウターブランディングとインナーブランディング

ブランディングには、大きく分けてアウターブランディングとインナーブランディングの2種類があります。

アウターブランディングとは、社外に対するブランディングのことです。

アウターブランディングの対象には、消費者や取引先をはじめとするステークホルダーのほか、新卒や中途採用の就職希望者なども含まれます。

消費者に自社やサービスに対して良いイメージを持ってもらうのが目的であり、一般的に多くの人が「ブランディング」と認識しているのが、このアウターブランディングです。

また、法人を対象としたビジネスをしている企業が行うBtoBブランディング、一般消費者を対象とする企業が行うBtoCブランディング、自分自身をブランド化して価値を高めるセルフブランディングなどのように、アウターブランディングの中でも細かく種類が分かれています。

一方で、インナーブランディングとは社内向けのブランディングで、その対象には従業員のほか経営層・マネジメント層も含まれます。

たとえば、インナーブランディングとは自社の企業理念やブランド価値、行動指針を従業員に浸透させて共有できるようにする取り組みのことです。

インナーブランディングによって企業理念や行動指針などの理解が深まると、従業員のモチベーションやパフォーマンスが向上し、定着率アップや優秀な人材の確保につながります。

このように企業体質の改善を図り、市場における競争力を企業の内側から高めていくことがインナーブランディングの目的です。

ブランディングを行う企業メリット

企業がブランディングを行うメリットは、顧客を自社やサービスのファンにできることです。

ファンが増えることにより、具体的に次の3つのようなメリットを得ることができます。

ファン化の促進とリピーター獲得につながる

企業がブランディングに成功すると、ファンになってくれた人が商品やサービスを何度もリピートして購入してくれるようになります。

たとえば、アップル社の新商品販売日に、アップルストアに行列ができている光景をテレビなどで見たことがあるという方が多いのではないでしょうか。このように、企業がファン化に成功すると、消費者が頼んでもいないのに、一生懸命に購入してくれるようになります。

リピート購入とは、広告費用をかけずに購入してもらえるようになる、ということです。つまり、リピート購入が増えれば増えるほど、企業がかける1人あたりの広告費用は減っていきます。

このように、ブランディングにより顧客のファン化が促進し、リピーターが増えると、企業の利益向上が見込めるということです。

同業他社との差別化の実現による競争力の強化

ブランディングにより自社や自社の商品・サービスへ信頼感が高まると、ブランド力だけで商品を購入してもらえるようになります。そのため、同業他社との差別化が実現でき、競争力が強化できます。

なぜなら、機能がほぼ同等の商品であれば、価格が多少高めであっても自社の商品やサービスを選んでくれるようになるからです。

たとえば、素材も製法もほぼ同じ商品やサービスがあったとしても、ブランディングを実現することで価格の高い自社商品・サービスを購入してもらえるようになります。

このように、ブランディングに成功することにより、市場における価格や性能の競争に巻き込まれずに、価値を提供することができるということです。

▶️差別化戦略については、関連記事【差別化戦略の成功の秘訣ーメリットやデメリット、成功事例とは!?】もあわせて参考にしてください。

ブランド認知度および注目度の向上

ブランディングにより、ブランドの認知度や注目度が高まります。

なぜなら、ブランディングという活動自体が、自社や自社の商品・サービスに良いイメージを持ってもらうための施策だからです。

ブランディングを行ったから必ずブランド認知度や注目度が上がるという訳ではありません。

しかし、自社や自社の商品・サービスの強みや価値を見出し、それを上手く訴求できれば、ブランドの認知度および注目度の向上につながります。

たとえば、ユニクロは商品や店舗で使うロゴの刷新だけではなく、ユニクロの強みである「安くて良い品質のメイドインジャパン」を有名スポーツ選手をアンバサダーにするなど、戦略的に訴求したことによって世界的な認知度向上に成功しました。

また、今ではよく知られる鍋のメーカー、バーミキュラは日本の老舗中小企業「愛知ドビー株式会社」のブランドです。海外のメーカーだと思っていた人も多いのではないでしょうか。

バーミキュラの鍋は、「ホーロー加工された鋳物の鍋なのに、無水調理できるほどの機密性の高さ」という革新的な技術と、技術者の努力に裏付けされた説得力のあるブランドメッセージにより、世界的な認知度向上に成功しました。

このように、ブランディングに成功すると、企業活動自体が注目され、宣伝・販促活動が効果的に行えるようになります。

また、投資家からも注目されるようになり、資金調達も有利に行えるようになるなど、付加的なメリットにもつながります。

ブランディングを行うユーザーメリット

ブランディングは企業側のメリットばかりが語られますが、実は企業がブランディングを行うメリットはユーザーにもあります。

具体的には、次の2つのメリットをユーザー側は受けることができるのです。

商品・サービスを選択しやすくなる

企業がブランディングを行うことによって、ユーザーは、商品やサービスを選択しやすくなります。

なぜなら、知っているブランドの商品であれば、購入時に迷わなくても済むからです。

たとえば、企業が全くブランディングを行わなかったらどうなるでしょうか。毎回性能や材質、品質などを見て自分自身で見極めていかなければなりません。

自分が欲しいと思っていたものとは違う商品を購入してしまうことも多くなるでしょうし、商品そのものを探す時間が多くかかってしまいます。

このように、企業がブランディングを行うことによって、私たちは自分の欲しいものを短時間で選ぶことができているのです。

安心感が得られリスク回避になる

ブランディングは、購入するユーザー側の安心感にも繋がります。

なぜなら、信頼感のあるブランドを選べば、「商品やサービスを購入した後に後悔するのではないか」という不安を感じなくても済むからです。

たとえば、いつも購入しているブランドの食品があると安心して購入することができますが、はじめて購入するブランドの食品はどうでしょうか。きっと「美味しいのだろうか?」「ちゃんとした品質をしているのだろうか?」など色々な不安が出てくるはずです。

また、ブランドが確立している商品を選ぶことによってリスクの回避にもつながります。

なぜなら、新しい商品を購入する場合は、購入したものが期待した機能を果たすのか、支払った価格に見合うのか、などのリスクを消費者側が負わなければならないからです。

このように、企業がきちんと自社の強みを訴求してブランディングしてくれているおかげで、私たちは安心してリスクの少ない買い物ができているのです。

マーケティングとブランディングの相関関係と経営における重要性

マーケティングとブランディングはこれまで説明してきた通り全く違う施策ですが、相関関係にあります。

なぜなら、ブランディングは土台であり、その土台の上でマーケティングを行うことでより大きな影響力のあるプロモーションが行えるからです。

ブランディングによって認知度や信頼性が高くなると市場での競争力が強化されます。このような状態でマーケティング活動を行うと、より自社の優位性を高めた上で商品やサービスを販売することが可能です。

企業活動においてブランディングとマーケティングは車の両輪のようなものであり、経営の安定化を図るための重要な活動だということができます。

マーケティングとブランディングを同時に実現させる方法

ブランディングは自社や自社の商品・サービスのイメージを高めようとする活動で、マーケティングは商品やサービスを売るための活動です。いずれも企業活動を行うためには重要な活動です。

この2つの活動を同時に実現できる効率の良い方法が「ブックマーケティング」です。

なぜなら、書籍であれば1冊で、商品やサービスの特徴だけではなく、自社の強みや取り組みなどを含めたあらゆる情報を伝えることができるからです。

また、書籍は信頼性の高い媒体なので、オウンドメディアなどのWeb媒体に比べて、ターゲットである消費者に良いイメージを作ってもらうのに最適な媒体ということができます。

このように、信頼性の高い媒体で商品やサービスについてのマーケティング要素、自社の強みや取り組みなどを含めたブランディング要素の両方を一気に伝えられるという点で、書籍は効率的な媒体と言えるでしょう。

しかし、商業出版や企業出版をはじめとしてただ書籍を出版すれば良いという訳ではなく、それをしっかりとターゲットの手元に届け、読んでもらわなければ意味がありません。

そこで、出版するだけではなく、ターゲットに読んでもらうまでを戦略的に行っていくのが、ブックマーケティングです。

さらに、ブックマーケティングでは、どのようなターゲットに、どのような書籍を届けたいかの戦略設計を行います。

たとえば、ブランディングやマーケティングをこれまで全く意識的に行ってこなかった会社であってもブックマーケティングという施策を通して、自社の強みを見出し(ブランディング)、それを書籍としてまとめて見込み顧客に届ける(マーケティング)の両方を実施することになります。

今後マーケティングやブランディングを強化していきたい、という会社だけではなく、今までどちらも意識的にやってこなかった、という会社が行うファーストステップとしてもブックマーケティングはおすすめです。

▶️ブックマーケティングの施策内容や効果については、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。

まとめ

この記事では、マーケティングとブランディングの違いや、ブランディングを行うことによる企業とユーザー双方のメリット、経営戦略におけるマーケティングとブランディングの重要性などについて詳しく解説しました。

前述しましたが、マーケティングとブランディングは企業という車の前進を支える両輪です。どちらも企業の存続には必要不可欠なものです。

ぜひ、この記事でマーケティングとブランディングについて正しく理解し、両方を上手く取り入れてみてください。

どのようにマーケティングやブランディングの施策を始めたら良いかわからないという方や、どちらもやっているけれどもなかなか成果がでない、という方は、それら2つの施策を同時に実行できる「ブックマーケティング」という施策を検討してみてはいかがでしょうか。

フォーウェイではブックマーケティングによる、企業のブランディングやマーケティングをサポートしております。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

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執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。