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2024.09.25
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読まれる自伝・自叙伝の書き方!構成や執筆のプロセス、出版方法まで徹底解説
自伝を書きたいという理由や動機は人それぞれでしょう。
たとえば、「自分が生きた証を残したい」「自分の知識や経験を後世に伝えたい」「自分が創業した会社の技術を多くの人に知ってほしい」などいろいろな理由や動機が考えられます。
しかし、自伝を書きたい人すべてが文章を書くのが得意というわけではありません。
本記事では、自伝を書きたいと思っている人のために、構成や執筆の仕方、出版方法までをわかりやすく解説します。
目次【本記事の内容】
- 1.自伝を書く意義とは
- 2.自伝の書き方や目的別タイプ
- 2-1.書き方①:ストーリー型
- 2-2.書き方②:年表型
- 2-3.目的別①:ビジネスタイプ
- 2-4.目的別②:啓蒙タイプ
- 2-5.目的別③:伝世タイプ
- 3.自伝はターゲット設定が重要
- 4.自伝の書き方の基本プロセス
- 4-1.まずは自分の人生を振り返ろう
- 4-2.構成の作成(目次とタイトル、サブタイトルの決定)
- 4-3.執筆方法の検討
- 5.自伝を自身で執筆する場合の注意点
- 5-1.目標設定を明確にする
- 5-2.書くことを習慣づける
- 6.自伝を出版する方法
- 6-1.自伝を出版するメリットとデメリット
- 6-2.出版方法(自費出版、企業出版、商業出版)
- 7.自伝を読者に届けるための工夫
- 7-1.読者に興味を持たせる表現方法
- 7-2.読者に届ける戦略的なプロモーションの方法
- 8.まとめ
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター) 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
自伝を書く意義とは
自伝とは、自分の人生や半生における経験や考え方などを自分で記述した本のことです。
自伝のことを、自叙伝や自分史ということもあります。
有名な自伝としては、フランスのジャン=ジャック・ルソーの「告白」、アメリカのベンジャミン・フランクリンの「自伝」、ドイツのヨハン・ヴォルフガンク・ゲーテの「詩と真実」、福沢諭吉の「福翁自伝」などがあります。
最も古い自伝はローマのアウグスティヌスの「告白録」といわれていますが、これは「神への告白」という性格を持っているものでした。
しかし、近年では、親族や子孫・後生の人に「自分の生きた証」や「自分の知識や経験」を残したり、「自分の存在や生き方」「自分の考えの正当さ」を書き残したりするものに変わってきています。
自伝を書く意義は人によって異なっていますが、代表的なものは次のようなものでしょう。
- ・自分が生きた証を親族や子孫に残す
- ・自分の知識や経験を後世の人に残す
- ・これまでの人生を振り返って今後の人生の糧とする
- ・自分が興した会社の技術を役立ててもらう
- ・ある物事や事故・事件の真実を伝える
- ・特定の人に感謝の気持ちを伝える
自伝の書き方や目的別タイプ
自伝は、その「書き方」と「目的別」によっていくつかのタイプに分けることが可能です。
「書き方」は「ストーリー型」と「年表型」の2つに分けることができ、「目的別」は「ビジネスタイプ」「啓蒙タイプ」「伝世タイプ」の3つに分けられます。
以下では、それぞれについて詳しく解説していきます。
書き方①:ストーリー型
「ストーリー型」は、名前の通りストーリー(物語)を重視した自伝の書き方です。
読者を引き付けるストーリー(物語)にするためには「起承転結」を考慮した構成を考えることが不可欠となります。
時系列にこだわらずに現在と過去を行き来するような内容になっても構いませんが、ストーリー(物語)性を持たせるためには、ストーリーテリングの執筆技法が必要になります。
たとえば、企業経営者の方が自伝を書くのであれば、ストーリーテリングを含めた、ストーリーブランディングという手法で、自身の考えを伝えていくのが有効です。
▶︎ストーリーブランディングについては、関連記事「ストーリーブランディングとは?企業の物語を伝えてファンを作る方法」をあわせて参考にしてください。
書き方②:年表型
「年表型」は、自分の人生を振り返りながら、出生から現在までの出来事を順に書いていく書き方です。
自分の身に起こったことなどを時系列に沿って書いていくので、「ストーリー型」のように「起承転結」を考慮した構成にする必要はありません。
著者にとってはこの点が大きなメリットですが、読者にはやや退屈で単調なものとなりがちです。
「年表型」の目次の例としては、次のようなものが考えられます。
- 1.生い立ち
- 2.幼少期
- 3.小学校
- 4.・・・
しかし、これではあまりに当たり前で平凡なので、特徴のあるサブタイトルを付けることによって変化を持たせることができます。
たとえば、次のようなサブタイトルを入れれば、「年表型」であっても読者に興味を抱かせることができます。
- 1.生い立ち:波乱万丈の人生の幕開け
- 2.幼少期:今と違って寡黙な子供時代
- 3.小学校:親の仕事の都合で10回以上も転校
- 4.・・・:○○○○○○○○
こういった年表型の書き方が推奨されるのは、企業の周年記念のタイミングでの記念出版などです。
もし、記念出版をお考えであれば、年表型の構成を検討してみましょう。
▶︎周年については、関連記事「【周年担当者必読】周年記念の意味と手段、具体的な事例とは」をあわせて参考にしてください。
目的別①:ビジネスタイプ
「ビジネスタイプ」は、自分が経営している会社のことをより多くの人に知ってもらいたいというブランディングや知名度向上などを主な目的とした自伝です。
会社のことは前面には出さずに、自分や自分が経営している会社が保有している技術やノウハウについて記述して、それに興味を持った人が問い合わせをしてくることによってブランディングや知名度向上に寄与させることも可能です。
「書籍を出版している」という事実だけでも信頼性や知名度の向上に結びつきますし、テレビや新聞などのメディアで話題になれば、新規顧客の獲得や売上高の向上につながることも期待できます。
基本的に、自分のビジネスについて執筆するのですが、自伝なので、自分の生い立ちやなぜそのビジネスを始めようと思ったのかなどについても触れることになります。
一般的には、「ビジネスタイプ」の自伝を書くのはかなり難易度が高いといわれているので、プロの編集者の力を借りて「読者にとって魅力的な本」となるように注意する必要があるでしょう。
また、ブランディングや知名度向上を狙うためには、プロモーションや出版社の流通を上手に使うことも大切です。
目的別②:啓蒙タイプ
「啓蒙タイプ」は、自分の身に起きた病気や事故、事件などの経験を読者に知らせるために書く自伝です。
何らかの啓蒙のために出版するので、読者から共感を得られるような構成や内容にすることが大切です。
より多くの読者に自分の経験を知ってもらって、共感や勇気を与えることができるようにしたいものです。
たとえば、闘病経験を自伝にする場合であれば、読者に何を伝えたいのかで構成や内容が変わってきます。
伝えたいことが「誰でもかかる可能性がある病気なので毎年健康診断を受けましょう」なのか、「病気になってもこうやれば症状が改善します」なのかでは、書き方が変わってくるからです。
なお、病気や事故、事件などが特殊な場合は、あまり関心を持たれない可能性があることに注意が必要です。
目的別③:伝世タイプ
「伝世タイプ」は家族や親族などに向けて作る自伝で、自分が生きた証を子孫に残すことを目的とした自伝です。
「伝世タイプ」の書き方は自由なので、一般的な自伝の書き方にこだわる必要はありません。
むしろ、自分の個性を前面に押し出したような構成や内容にすることによって、親近感を抱いてもらえるようになると思われます。
自伝はターゲット設定が重要
自伝に限ったことではありませんが、「誰に読んで欲しいのか」「誰に伝えたいのか」というターゲット設定が重要です。
ターゲットが定まれば、その後の自伝の構成や執筆、出版後のプロモーションまで一貫性を持って取り組むことができるようになります。
特に「ビジネスタイプ」の自伝の場合は、ブランディングやビジネスチャンスの獲得を目的として出版するので、ターゲットの心に刺さるタイトルや構成、目次にすることも重要になります。
また、内容によっては市場調査を行う必要性も出てくるので、何となくターゲットを選定しただけでは、自伝がブランディングや知名度向上につながることにはなりません。
▶知名度向上については、関連記事【経営者必読!認知度向上の方法と効果的なマーケティングの選択肢】をあわせて参考にしてください。
自伝の書き方の基本プロセス
自伝を書く際には、基本的なプロセスがあります。以下で説明します。
まずは自分の人生を振り返ろう
自伝の書き方に「ストーリー型」と「年表型」があることを紹介しましたが、どちらで書くにしても、年表を作って自分の人生を振り返って言語化することが必須であり、最も重要な作業です。
まずは、すぐに思い出せるものから書き出していきますが、すぐに思い出せるということは自分にとって印象に残る出来事だったということなので、自伝の中でも重要なエピソードとなる可能性があります。
自分の身の回りで起こったことはもちろん、世の中でどんなことがあったのかなども記載しておき、「いつ」「何が」「どのようにして」起こったのかを明確にしておきましょう。
ただし、この作業はかなり労力が必要なので、出版社の編集者やライターに依頼すれば、自分の年表の整理をしてもらうことができます。
執筆だけでも大変な作業になるので、出版社の力も有効活用した方が良いでしょう。
構成の作成(目次とタイトル、サブタイトルの決定)
一般の人が本を購入する際には、タイトルだけではなく目次を見る人も多いはずです。
目次を見ることによって「何がどのように書かれているのか」を知ることができます。
特に「ビジネスタイプ」の自伝の場合は、誰かに購入してもらうことを意識しなければなりませんので、本の構成や目次を決定する作業も重要です。
書店で本を手に取った人に興味を持ってもらえるような各章のタイトルやサブタイトルを考えましょう。
また、実際に執筆する際にも構成や目次がきちんと出来上がっていれば、それに沿って文章を書くことができます。
この段階でも、出版社の編集者やライターに依頼すれば、読者を惹きつけるタイトルの付け方や構成・目次などについての有益な提案をしてもらうことができます。
執筆方法の検討
ここでいう執筆方法とは、自分で書くのか、取材をしてもらってライターに書いてもらうのかということです。
自伝なので、自分で書くのが当然という考え方もありますが、文章を書き慣れていない人にとっては、一冊の本を執筆するのは思いの外大変な作業です。
もちろん、普段から文章を書き慣れている人や自分で書くことにこだわる人は、自分のペースで少しずつ執筆していけばいいと思います。
しかし、文章を書き慣れていない人や「ビジネスタイプ」の自伝で自分の経営する会社のブランディングを目的とする方などは、プロのライターに取材して書いてもらうという執筆方法も検討してみましょう。
実際に出版されているビジネス書のほとんどはライターが執筆したものですし、読者が読みやすい本を目指すのであればプロのライターに任せるのも一案だと思われます。
自伝を自身で執筆する場合の注意点
ここでは自伝を自分で書くことにこだわる人の場合の注意点について説明します。
目標設定を明確にする
まず挙げておきたいのは、目標設定を明確にするということです。
たとえば、「いつまでに年表を完成させるのか」「いつまでに構成や目次を決定するのか」「いつまでに何文字の原稿を書いて、いつまでに完成させるのか」などです。
「時間が取れたときに少しずつ書いていこう」などという考えで取り掛かると、いつまでたっても完成できないということになってしまいます。
計画倒れにならないためにも、きちんと具体的な目標設定をするようにしましょう。
書くことを習慣づける
次に、文章を書くことを習慣づけることも大切です。
自分で会社を経営している方であれば、何ごとも習慣化することの大切さが分かっていることでしょう。
自伝の原稿を書くことが日常生活の中に組み込まれると、毎日「原稿を書き進めることができた」という達成感が得られるようになるので、自ずと原稿を完成させることに近づいていきます。
自伝を出版する方法
原稿が出来上がると、次は自伝を出版する方法を考えなければなりません。
以下では、自伝を出版するメリットやデメリット、3つの出版方法について具体的に説明します。
自伝を出版するメリットとデメリット
自伝を出版するメリットとしては、主に次のことが挙げられます。
- ・自分が生きていた証を残せること
- ・自分の人生を振り返って見つめ直すきっかけとなること
- ・読者に何らかの影響を与えることができること
- ・自分の会社や保有する技術などを世の中に知ってもらえること
- ・ベストセラーになる可能性があること
また、デメリットとして次のようなことがあります。
- ・出版費用が自己負担になってしまうこと
- ・自分の人生が公になってしまい誹謗中傷などを受けるリスクがあること
出版方法(自費出版、企業出版、商業出版)
出版方法としては「自費出版」「商業出版」「企業出版」の3つがあるので、自伝の場合もこの3つの中から選ぶことになります。
「自費出版」は、自伝を本という形にして残したい人が最も利用する一般的な方法です。
出版費用が全額著者負担となる点がデメリットと言えますが、その分著作権を自分で持ったり、自分の書きたいことを書籍にかけるのがメリットです。
発行部数などによって費用は変わってきますが、原稿を直接印刷会社に持ち込んで印刷してもらってコストを削減することも可能です。
「企業出版」も著者(会社や会社の経営者)が出版費用を全額負担する出版方法ですが、出版社による企画や編集・書店への流通・プロモーションなどの費用が含まれます。
そのため、「企業出版」を利用すれば書店に流通させたり出版社によるプロモーションを行ったりすることができるので、「ビジネスタイプ」の自伝の場合、会社や著者である経営者のブランディングや知名度向上につなげることが期待できます。
「商業出版」は出版社がベストセラーを狙って著者と協力して出版する方法で、出版費用は全額出版社の負担です。
著名人やタレントなどの自伝の場合は「商業出版」もありえますが、ほぼ無名の一般人の自伝が「商業出版」されることはありません。
自伝を読者に届けるための工夫
「ビジネスタイプ」や「啓蒙タイプ」の自伝の場合は、本を出版しただけでは目的を達成することができません。
ブランディングや知名度向上、啓蒙活動を達成するためには、その自伝を読者に届けるための工夫が必要になります。
つまり出版社の流通チャネルを利用して書店に配本して、読者に手にとってもらって購入してもらう必要があるということです。
ここでは、そのための工夫をいくつか紹介します。
読者に興味を持たせる表現方法
出版社の流通チャネルを利用して書店に配本され書棚に並んだとしても、読者が購入してくれるとは限りません。
まず、読者の目を引き興味を持って手に取ってもらうためには、タイトルを工夫する必要があります。
たとえば、「借金1億円を背負いながらも会社をV字回復させた」というようなタイトルがついていれば、読者は「そんな状態からどうやってV字回復させたのか?」と、もっと知りたくなって、本を手に取ることでしょう。
そして実際に購入してもらうためには、さらに企画段階における本の構成や目次の組み立て方にも工夫をする必要があります。
読者に届ける戦略的なプロモーションの方法
自伝を書いて出版したというだけでは、読者に手に取ってもらうことは難しいと言えます。
なぜなら、毎年多くの書籍が出版されているためです。
総務省が2022年に発行した「日本統計年鑑」によれば、年鑑約7万冊(月間約6千冊)もの本が出版されています。
そのため、会社や経営者のことを全く知らない読者に書店などで手に取ってもらうためには、プロモーションなどを工夫する必要があります。
自伝を読者に届けるための工夫として、次のようなことが考えられます。
- ・書店営業をして書店員さんにその自伝のことを認知してもらう
- ・書店でのプロモーションを行う
- ・Amazonなどのウェブ広告を活用して多くの人に知ってもらう
- ・新聞広告などによって認知してもらう
ただ自伝を出版しただけでは本を売ることは難しいので、売る手段を持っている出版社に依頼することが賢明だと思われます。
まとめ
本記事では、自伝の構成の作り方や執筆の仕方、出版方法などについて解説しました。
自伝は、その目的によって「ビジネスタイプ」「啓蒙タイプ」「伝世タイプ」に分けることができます。
この中で「ビジネスタイプ」は、経営者が自分の経営する会社のブランディングや知名度向上などを目的として出版する自伝で、出版社の流通チャネルを利用した書店への配本やプロモーションなどを行います。
実際に書店に配本されて書棚に並びますが、実際に読者に手に取ってもらい購入してもらうためには工夫が必要です。
ただ単に本を出せば売れて知名度が上がるというようなことはほぼありませんので、「ビジネスタイプ」自伝の場合は、売れるためのサポートをしてくれて、売るための手段を持っている出版社を選ぶ必要があります。