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2023.09.14
Branding, Marketing
【トラブル事例を多数紹介】自費出版で失敗しないためのポイント
出版したいと考えた時に選択肢になるのが自費出版。
ただし、自費出版にはトラブルがつきものです。
本記事では、自費出版を実施する際に注意すべきポイントや企業や個人が心配するトラブル、リスクについて解説しています。
PRやブランディング、自己表現などを目的とした出版社選びの参考になる記事コンテンツです。
目次【本記事の内容】
- 1.自費出版におけるトラブルとは
- 1-1.制作中のトラブル
- 1-2.印刷や製本の品質トラブル
- 1-3.流通や販売のトラブル
- 1-4.販促活動の不備や効果不足
- 1-5.著作権や権利のトラブル
- 2.自費出版を検討する際に注意すべきポイント
- 2-1.出版社の信頼性と実績
- 2-2.契約内容や条件の確認
- 2-3.費用や予算の明確化
- 2-4.販売・宣伝活動の充実度
- 3.自費出版成功のための具体的な対策
- 3-1.プロの編集者への依頼
- 3-2.マーケティングプランの検討
- 3-3.費用対効果の高い販促活動
- 4.自費出版と他の出版方法の比較
- 4-1.自費出版のメリットとデメリット
- 4-2.企業出版のメリットとデメリット
- 4-3.商業出版のメリットとデメリット
- 4-4.電子書籍のメリットとデメリット
- 4-5.オンデマンド出版のメリットとデメリットト
- 5.企業出版という選択肢
- 5-1.自費出版と企業出版は何が違う?
- 5-2.企業出版に向く業種・業態
- 6.まとめ
自費出版におけるトラブルとは
自費出版は、個人でいえば自己を表現するための手段であり、企業にとってはブランディングやPRの手段の意味合いがあります。
しかし、そんな自費出版にはトラブルがつきものです。具体的なトラブルの事例を解説しましょう。
制作中のトラブル
自費出版で注意したいのは制作中に発生するトラブルです。
編集者との相性が合う合わないといった部分はもちろんありますが、校正や校閲でのトラブルも考えられます。
たとえば、事実無根な内容を記載したまま出版してしまったり、人名やプロフィールなどの重大なミスがあったりなどです。
書籍は200ページ前後で、文字数に直すと7万字前後の量があります。全て著者や編集者、校正士ら人の目でしか確認できないため、ミスは出る時には出てしまいます。取り返しのつかないミスに繋がらないように、重要なポイントは何度も確認するようにしましょう。
また、執筆をライターに代行してもらうケースも珍しくありません。企業出版という手段であれば、ライターがインタビューして執筆することは一般的ですが、自費出版の場合は初回の取材からいきなり初対面のライターがやってくるというケースもあるようです。
結果的に自分の意思や意向に反する原稿が上がってくることがあるので、執筆を代行してもらう場合は企画段階からきちんと編集者がサポートしてくれるのかは事前に確認をした方が良いでしょう。
印刷や製本の品質トラブル
自費出版は、執筆した本を印刷して製本するまでがゴールです。
ただし、この印刷工程でトラブルが発生しやすいので気をつけましょう。
たとえば、印刷時のかすれや色むら、落丁などです。インターネットが普及している昨今なので、ウェブコラムなどは修正があればすぐに対応できますが、紙媒体は一度印刷してしまえば取り返しがつきません。
もちろん、失敗した場合に刷り直しをしようとすると、追加の費用が発生します。そのため、ゲラ(誤字脱字チェック用の校正刷り)を試し刷りする段階で、しっかりとチェックすることをおすすめします。
流通や販売のトラブル
自費出版では、流通や販売で著者と出版社の「言った言わない」のトラブルが発生しがちです。
その主な要因が、出版業界ならではの仕組みや慣習の存在。一般的には書籍が完成したら、当然のように書店に並ぶものだと考えている人もいます。
しかし、本を書店に流通して陳列させるのはそう簡単なことではありません。
書籍の流通の仕組みはかなり特殊で、出版社と書店の間には取次という問屋が存在します。その取次が出版社の実績などを踏まえて、配本を組み立てているのが通例です。
一般的に自費出版と呼ばれる手段の場合は、部数が限られていることや版元の営業力がそれほど強くないことが要因で、結果的に書店に全然並んでいないことは珍しくありません。
そのため、書籍を出版することになった出版社には流通システムについて、きちんと確認を行いましょう。具体的には次の項目を確認すると良いでしょう。
ちなみに、SNSやメディア露出などで影響力のある著者でない限りは、初めての出版できちんと書店に並ぶのは至難の業です。書店で販売していきたい意欲をお持ちであれば、どの程度のプロモーションを実施するのかは、出版社に事前確認すると良いでしょう。
販促活動の不備や効果不足
自費出版でよく聞かれる不満として、「思ったほど販促活動をしてもらえなかった」という声があります。
出版社にもよりますが、書店に並ぶというメリットをバリューにして提案するところが大半です。しかし、注意してほしいのは最終的に書籍を並べるかどうかの判断をするのは書店員である点です。これはネームバリューのある大手出版社であっても同様です。
出版の流通におけるトラブルの多くは認識の相違から生まれます。
書店への販促活動や広告施策、プロモーション活動などを、契約内でどれほど実施してもらえるのかは必ず確認しましょう。
著作権や権利のトラブル
自費出版において重要なのは権利関係の確認です。
大きく3つの権利があり、それぞれ著作権、出版権、所有権です。
書籍を執筆したのが著者である以上、著作権が著者に帰属するのは当然でしょう。一方で、一般的に聞き馴染みがないのが出版権です。
出版権とは、著者側が出版社に対して著作物を販売して良いという許可を与えること。著作権が著者にある以上、著作物の二次利用については著者である程度自由に活用できるのですが、書籍の「文庫化」や「映画化」の話が来たら著者だけで判断することができません。
なぜならば、文庫化や映画化することは書籍の売り上げに直結することだからです。出版社は出版権を保有している以上、そのような話が舞い込んできた時にどのように対処するかを話し合って決める必要があります。
細かい取り決めは出版社との契約内容で変わってくるので、事前に確認をしておきましょう。
所有権については、著作物の実物がどちらの手元にあるかで変わってきますが、著者に納品された書籍は著者に、流通・販売する書籍は出版社に所有権があります。
自費出版を検討する際に注意すべきポイント
次に、具体的に自費出版を検討する際に、どのような点に注意したらよいかを解説します。
出版社の信頼性と実績
書籍を出版する場合、いかに出版社が信頼できるか、実績があるかを確認することは重要です。
現在、出版社は全部で2907社ある(日販による「出版物販売額の実態」最新版(2021年版)より)と言われており、正確な数字は不明ですが自費出版のサービスを提供している出版社も少なくありません。
その中で、営業力および流通力がある出版社はごく一部です。そのため、一般的に誰もが知るような出版社で本を出すことが一番安心できるでしょう。
ただし、大手の出版社は多くの人員を抱えており、制作体制や流通力を担保できる一方で、多額の出版費用がかかってしまいがちです。
そのほか、自費出版サービスの提供会社には、過去の出版物や編集者の制作実績を確認することをおすすめします。自費出版を検討するうえで、費用は重要なポイントになるでしょうから、いかに信頼と実績でバランスの良い会社を選択するかが大切です。
契約内容や条件の確認
自費出版をいざ実行しようとすると、出版契約書を締結することになります。
出版契約書で確認する事項として重要なのは下記のポイントです。
確認すべき項目は多いですが、最低限でも上記は確認しましょう。
なかでも書籍を出版する著者として、印税は気になるところだと考えられます。自費出版の印税はさまざまな形態があります。初版から印税が発生するケースは稀ですが、重版をしたら印税が支払われるケースがあります。
自費出版と似て非なる手法として企業出版がありますが、企業出版は広告の手段として実施するケースがほとんどですので、印税を目的に出版を検討するものではありません。
費用や予算の明確化
自費出版は著者が費用を負担します。
そのため、書籍を制作するのにいくらかかるのか、著者自身の予算はいくらまでなのかをある程度明確にする必要があるでしょう。
出版のトラブルの一つでもよくありますが、後になって想定していた予算以上に追加費用がかかってくるケースは悩みの種となります。書店に流通するプロモーションや広告宣伝のための予算も含めていくらでやってくれるのかは、事前に出版社に確認をしておきましょう。
販売・宣伝活動の充実度
書籍を出版した以上は「本を売りたい」と思うのは自然なことです。
そのためには、出版社がいかに書店営業活動や販売活動に懸命になってくれるかが重要でしょう。
書籍は発売したら簡単に売れるというものではありません。読者がその本を知るきっかけを作る必要があるからです。
事前の書店営業活動にどれだけ熱心に動いてくれるか、広報および広告宣伝をどれだけやってくれるか、書籍を売るためのプラン計画は必要不可欠です。
本を売るためのプロモーションの方法など、さまざまなアイデアを提案してくれる出版社と組むことがポイントです。
自費出版成功のための具体的な対策
自費出版をどこから成功と呼べるのかの基準は、著者自身の中にしかありません。
書籍を出版することがゴールなのか、それとも届けたいターゲットに届けることがゴールなのか、より多くの人々に届けてベストセラーを目指すのかなどです。
著者の期待値と理想を、出版社ができる役務内容といかに近づけられるかを確認しましょう。
プロの編集者への依頼
自費出版の成功には、腕のある編集者に担当してもらうのが一番の近道です。
書籍の制作には編集者やライター、校正者、デザイナーなど多くの人員が関わります。この人員をまとめ上げ、ディレクションするのが編集者の仕事です。
著者の最大の理解者になる必要があるため、お互いに知り合う場を作ることが大切でしょう。
また、編集者にはジャンルによって得意や不得意があります。これまでの編集・制作実績でどのようなものがあるかを事前に確認するのをおすすめします。
実績のある編集者であれば、ライターやデザイナーといったクリエイターも多くの繋がりがあります。著者の出版したい内容に応じて、最適な制作布陣を作り上げられるかも成功の鍵となるでしょう。
マーケティングプランの検討
執筆した書籍を届けたいターゲットが明確であるほど、具体的なマーケティングプランが必要です。
どのように販売するかという流通・販売戦略も重要ですが、一番大切なのは企画段階からのペルソナの設計。作り上げた企画が世の中にどれだけ求められているのか、どのようなターゲットにニーズがあるのか、そもそもどのようなターゲットに届けたいのかなどです。
だからこそ、前述したとおり、腕と実績のある編集者に担当して提案をもらうことがとても重要といえます。
費用対効果の高い販促活動
書籍の販売促進のためのプロモーションはさまざまです。
自費出版をする目的に立ち返って、その目的を達成するにはどのようなプロモーションが効果的かを検討しましょう。
書籍の販促活動で効果的なのは、新聞広告です。新聞の購読者数や広告費は年々減少をしていますが、ビジネス書やシニア向けの書籍の場合はいまだに新聞広告で売り伸ばしが図りやすいです(新聞広告データアーカイブ「新聞広告月間動向」より)。
ほか、店頭で目立たせて手に取ってもらうためには、書店でのプロモーションも検討の余地はあるでしょう。
▼書籍出版の効果的なプロモーションについては「出版マーケティングの効果的なプロモーションとは? 広告手段も解説」でも紹介していますので、合わせてお読みください。
自費出版と他の出版方法の比較
書籍出版の方法は、自費出版のほかにもさまざまです。企業出版や商業出版、近年では電子書籍のみやオンデマンド出版という方法もあります。
自費出版のメリットとデメリット
自費出版は、著者自身が費用負担することで書きたいテーマで本を作ることができます。
では、自費出版のメリットとデメリットを紹介しましょう。
<メリット>
<デメリット>
このように、自費出版は自由度が高い一方で、自己満足で終わる可能性が高く、あくまで「本を作った」という実績が欲しい人のための手法といえます。
企業出版のメリットとデメリット
企業出版は、企業や法人、または個人が自身のブランディングやPRのために本を作ります。では、企業出版のメリットとデメリットを紹介しましょう。
<メリット>
<デメリット>
このように、企業出版は一定の広告コストを負担する必要がありますが、ブランディング効果が期待できます。明確な目的やテーマがある法人は、企業出版は一つの選択肢となりえるでしょう。
▼企業出版については、「企業出版のメリットとは? 企業が考えるべき出版による効果」でも詳しく解説しているので、合わせてお読みください。
商業出版のメリットとデメリット
商業出版は、出版社が企画を作り、制作費も出版社が負担します。
では、商業出版のメリットとデメリットを紹介しましょう。
<メリット>
<デメリット>
このように、商業出版はブランディング効果やメリットが大きい出版方法です。ただし、声がかかるかは著者の認知度や専門性といった要因が必要なので、声がかかるハードルはかなり高いでしょう。
電子書籍のメリットとデメリット
電子書籍は紙で印刷せずに、電子データとしてオンラインストアのみで販売する出版方法です。電子書籍のメリットとデメリットを紹介しましょう。
<メリット>
<デメリット>
このように電子書籍は、圧倒的にコストを抑えて出版することができます。ただし、実物がない分、人に渡しづらいのは難点です。紙の書籍出版にくわえて、電子書籍の購読者にも広く読んでもらうためのオプションのような立ち位置と考えた方が良いでしょう。
オンデマンド出版のメリットとデメリット
オンデマンド出版は、オンデマンド印刷という技法を活用して、読者から注文が入ってから印刷して販売する出版方法です。オンデマンド出版のメリットとデメリットを紹介しましょう。
<メリット>
<デメリット>
このように、オンデマンド出版は安価に少部数から作れるのが魅力です。ただし、たくさん売りたい、大量に配布したいといったニーズがある場合は余分にコストがかかるうえ、印刷の品質が低いため、出版社で流通する書籍と比べると箔もつきづらいでしょう。
企業出版という選択肢
ここまで企業出版という出版手法が何度か登場しました。この企業出版という選択肢について見ていきましょう。
自費出版と企業出版は何が違う?
自費出版と企業出版は、著者が費用を負担する出版という意味では同義です。
最も大きな違いは、出版する「目的」です。
自費出版は、自己表現のための出版で、書籍を流通して販売することは二の次です。
一方、企業出版は、経営者もしくは法人がブランディングやPRなどの目的を持っていることが多いです。広告を打つときに「商品の販売促進のため」などの目的を持つことと同じです。
とくに企業出版は、高額商材を販売している業種・業態の会社や一言で説明が難しいようなサービス・商材を販売しているような会社には向いています。
書籍はほかの広告宣伝手段と比較して、圧倒的にボリュームが多いからです。書籍が営業マンの代わりとなって、自社の説明ツールの役割を果たし、商談が進めやすくなると喜びの声も少なくありません。
▼経営者や企業が検討する出版については、「本を出版したい! 経営者が取り組むべき書籍出版とは」でも解説しているので、合わせてお読みください。
企業出版に向く業種・業態
企業出版に向く業種や業態は、次のような方々です。
また、上記にくわえて、一般の広告で効果が感じられなかったり、情報発信の手段に悩んでいたりする人にはおすすめの手段です。
企業出版は目的以外にも、ターゲットが明確であればあるほど効果が期待しやすいため、前述の業種・業態のほか、地域に特化したエリアマーケティングに取り組む事業者とも相性は良いでしょう。
▼エリアマーケティングについては、「出版によるエリアマーケティングのススメーー地域で勝つための営業戦略」でも解説しているので、合わせてお読みください。
まとめ
以上、自費出版のトラブル事例や各種出版の方法ごとの特徴を解説しました。
トラブルについては「自費出版商法」や「自費出版詐欺」のように、著者に夢を与えて騙すような出版社や出版コンサルタントも存在します。
今回の記事で解説したようなポイントを踏まえて、まずは自分のニーズを満たしてくれる出版方法なのか、きちんと納得した上で出版に踏み切ることをおすすめします。
少しでも疑念があるようであれば、出版社の担当者と細かく確認を取り合って、お互いに信頼できる関係性を築いたうえで契約をしましょう。
▼パノラボ出版のご案内はこちら
https://forway.co.jp/panolabo/lp/
参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。
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