Column

フォーウェイは、コンテンツマーケティングで成果を出したい経営者・マーケティング担当者向けの情報を発信しています。
今すぐ自社サイトのSEOを改善させる方法から長期的なブランディングの考え方まで、
実際に弊社のサービスに用いているノウハウを惜しみなく開示します。

2024.09.10

Branding, Marketing

薬機法(旧:薬事法)とは?違反せずに広告・PRする7つのポイントを分かりやすく解説

健康食品や化粧品、サプリメントなどの広告・PRに携わっている広告担当者や広報担当者にとって、薬機法(旧:薬事法)に関する知識は欠かせません。

薬機法(旧:薬事法)に違反する広告・PRを行ってしまうと、場合によっては罰金や逮捕などの厳罰が課せられることもあります。

そこで本記事では、まず薬機法(旧:薬事法)とは何かについて説明し、その後に薬機法(旧:薬事法)に違反せずに広告・PRするための7つのポイントについて分かりやすく解説していきます。

目次【本記事の内容】

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。

■薬機法(旧:薬事法)とはどんな法律?

薬機法(旧:薬事法)とは、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの品質と有効性、安全性を確保するために、製造から販売、販売後の安全対策までを規制する法律です。

この法律は従来「薬事法」と呼ばれていましたが、2014年(平成26年)に改正が行われて、名称が「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に変更されたため、これを略して「医療品医療機器等法」や「薬機法」と呼ばれています。

薬機法(旧:薬事法)の規制対象となるジャンル

薬機法(旧:薬事法)の規制対象となっているのは、主に以下のようなジャンルの商品・サービスです。

  • ・医薬品
  • ・医薬部外品
  • ・化粧品(コスメ)
  • ・医療機器
  • ・再生医療等製品

薬機法(旧:薬事法)の規制対象となる広告の3要件

1998年(平成10年)9月29日、厚生労働省は「医薬監第148号厚生省医薬安全局監視指導課長通知」において、「薬機法(旧:薬事法)の規制対象となる広告」とは、次の3つの要件をすべて満たすものであるということを示しました。

  • ・顧客を誘引する意図が明確である
  • ・特定医薬品等の商品名が明らかにされている
  • ・一般人が認知できる状態である

以下では、この3つの要件について詳しく見ていきましょう。

顧客を誘引する意図が明確であること

1つ目の要件は「顧客の購入意欲を昂進(こうしん)させる意図が明確であること」と言い換えることが可能です。

つまり、「商品を販売したい」という目的が明確にわかることが要件だということです。

この意味から、アフィリエイトリンクやインフルエンサーによるPR投稿などは、この要件を満たしているため、「広告」とみなされます。

逆に、学会などでの論文において「ある健康食品の効果」について発表したような場合は、「商品を販売したい」という目的で行われたものではないので、この要件を満たさず、「広告」とはみなされません。

特定医薬品等の商品名が明らかにされていること

2つ目の要件は、販売者(事業者や企業など)から消費者に対して行うアプローチを総合的にみて「広告」に該当するかどうかが判断されます。

たとえば、販売者(事業者や企業など)が消費者に「ある商品に含まれる成分の効果効能について説明されたチラシ」を送付した場合、このチラシは効果効能だけを説明しているので「広告」とはみなされません。

しかし、その数日後に「商品のチラシ」や「商品の購入案内」などを送付すると、総合的に判断して「広告」とみなされてしまうのです。

また、ホームページなどで「ある商品に含まれる成分の効果効能を説明するページ」と「商品の購入申し込みページ」が分かれている場合であっても」、「ある商品に含まれる成分の効果効能を説明するページ」から「商品の購入申し込みページ」へのリンクが貼られている場合には、「広告」とみなされてしまいます。

このように、単独のチラシやページだけでは「広告」に該当しない場合であっても、総合的に見て「広告」とみなされるということです。

一般人が認知できる状態であること

3つ目の要件は、「広告の3要件」の中で最も広く解釈されて運用されているものです。

そのため、この要件にはホームページ(HP)、LP、広告、SNS投稿、などほとんどすべての情報発信が該当します。

たとえば、2014年(平成26年)5月22日の厚生労働省の通知において、IDやパスワードを入力しないと入れないサイトであっても「一般人が認知できる状態」に該当するとされています。

■薬機法(旧:薬事法)における広告・PR担当者が知っておくべき主な禁止事項

健康食品や化粧品、サプリメントなどの広告・広報担当者の頭を悩ませる薬機法(旧:薬事法)。

もちろん、専門家によるチェックや修正は重要ですが、担当者もある程度「これはダメ」「これはOK」と言った薬機法(旧:薬事法)の禁止事項などを事例とともに知っておいた方が良いと言えます。

そうすることで担当者である程度チェック・修正することができますし、薬機法(旧:薬事法)のチェックにかかる費用の削減や、ダブルチェックにもつながります。

薬機法(旧:薬事法)に該当するような商品・サービスの広告・広報担当者は、次に挙げるような「薬機法(旧:薬事法)における主な禁止事項」をぜひ知っておきましょう。

虚偽・誇大広告の禁止(過度な褒めや効果効能など)

薬機法(旧:薬事法)では、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの名称や製造方法、効能・効果、性能に関して、虚偽広告や誇大広告をすることが禁止されています。

具体的には、「過度な褒め」や「過度な効能・効果」などを謳った広告がダメということです。

実際に「ズタボロだった肝臓が半年で復活」という肝臓疾患の予防に関する誇大広告を行ったとして摘発された事例や、解毒成分であるグルタチオンを含む錠剤 (医療用医薬品)に「美白や日焼け予防などの効果がある」と宣伝して摘発された事例などがあります。

このように、「〜するだけで痩せる」「〜することで血圧が下がる」など自社の商品やサービスを使うことによって何らかの健康効果が得られる」といった表現をする場合には十分注意しましょう。

未承認の医薬品の広告の禁止

薬機法(旧:薬事法)では、未承認の医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの名称や製造方法、効能・効果、性能に関して広告することが禁止されています。

たとえば、「米国食品薬品局が認可した画期的な飲む育毛剤」と広告した事例がありますが、たとえ米国食品薬品局で承認されていた医薬品であっても、日本で承認されていないものの広告をすることはできません。

実際に厚生労働大臣の承認を受けていない医薬品である「スーパープラセンタ」を、肌の若返りなどを謳って宣伝・販売したとして摘発された事例もあります。

そもそも取り扱う医薬品がきちんと厚生労働大臣の承認を受けているものなのかを確認することも重要です。特に他社の商品を取り扱う会社の広報・広告担当者は注意しましょう。

他社商品の誹謗広告の禁止

薬機法(旧:薬事法)では、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの名称や製造方法、効能・効果、性能に関して、他社商品の誹謗広告をすることが禁止されています。

たとえば、「〇〇社の製品よりも良く効きます」や「他社製品より安全です」などの表現が該当します。

「他社製品より安全です」のように、他社や他社製品を明示せずに漠然と比較する場合でも、間接的に他社を批判しているとみなされて薬機法に抵触するおそれがあるので注意が必要です。

そのため、製品同士で比較広告を行う場合は、自社製品の範囲で行う必要があります。また、対象商品の名称を明示しなければなりません。

医療関係者等の推せんの禁止

薬機法(旧:薬事法)では、「医療関係者等」による推せんが禁止されています。

ここでいう「医薬関係者等」とは、医療や美容に関する国家資格や同等の資格を持っている専門家のことを言い、医師や歯科医師、美容師、理容師、鍼灸師、教授などが該当します。

これは、医師や美容師による推せんには影響力があり「効能・効果や安全性の保証」とみなすことができると考えられるからです。

たとえば、医薬品などの広告で、医師が「〇〇に効きます」というような表現をしている場合は「効能・効果を保証している」と誤解されるおそれがあるため禁止されています。

また、化粧品の広告で「美容師がおすすめします」というような推せん行為もNGです。

ただし、医師や美容師が監修した商品の広告において、「共同開発した事実」を記載することは問題ないとされています。

化粧品の効能・効果の範囲を超えた表記の禁止

薬機法(旧:薬事法)では、化粧品の広告においては効能・効果以外の表記が禁止されています。

たとえば、基礎化粧品の広告で「脂肪分解を昂進(こうしん)してセルライトの除去や皮膚の老化防止をする作用があります」と表現したところ、肌の機能そのものに関わる表現は化粧品の効能効果の範囲を超えているとして摘発を受けた事例があります。

化粧品の効能・効果の範囲については、厚生労働省が平成23年7月に発表した「化粧品の効能の範囲の改正について」で明確に56項目が指定されています。

たとえば、以下が化粧品の効能の範囲として許されている表現例です。

(1)頭皮、毛髪を清浄にする。
(2)香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。
(3)頭皮、毛髪をすこやかに保つ。
(4)毛髪にはり、こしを与える。
(5)頭皮、毛髪にうるおいを与える。
(6)頭皮、毛髪のうるおいを保つ。
(7)毛髪をしなやかにする。
(8)クシどおりをよくする。
(9)毛髪のつやを保つ。
(10)毛髪につやを与える。

引用元:厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」

また、「化粧品であれば上記どのような表現を使っても良い」という事ではなく、あくまでその化粧品に該当するもののみ使用可能となっているので、注意しましょう。

■薬機法(旧:薬事法)に違反すると重い罰則を受ける可能性があるので注意

薬機法(旧:薬事法)に違反した場合は、業務停止や課徴金納付などの重い罰則を受ける可能性があるので注意が必要です。

以下では、具体的な罰則の内容などについて説明します。

「措置命令」や「中止命令」が下される

薬機法(旧:薬事法)に違反した事業者や企業に対しては、厚生労働大臣や都道府県知事から違反行為の中止や排除、再発防止策の実施を命じる「措置命令」や「中止命令」が下されることがあります。

なお、未承認の医薬品や医療機器の販売をした場合は、刑事罰の対象となる可能性もありますので、十分な注意が必要です。

売上に対する課徴金が課せられる

薬機法(旧:薬事法)に違反して虚偽や誇大広告を行った事業者や企業に対しては、厚生労働大臣から課徴金が課せられます。

この「課徴金制度」は2021年(令和3年)8月1日から施行されたもので、違反を行っていた期間における対象商品の「売り上げ金額×4.5%」を課徴金として納付しなければなりません。

社会的信用を失い契約打ち切りなど連鎖的に事業失墜に向かってしまう

薬機法(旧:薬事法)に違反して措置命令や中止命令が下されたり、売上に対する課徴金が課せられたりすると、その企業の社会的信用は低下します。

企業イメージがダウンして商品の販売中止・回収になったり、消費者はもちろんのこと株主や取引先からの信用も失って株式の下落や取引先との取引停止になることもありえます。

また、未承認の医薬品や医療機器の広告・販売をした場合は「未承認医薬品の広告禁止」に該当するため、より重い刑事罰の対象となりますので十分な注意が必要です。

最悪の場合、その企業の経営者などが逮捕されるケースも。

このように、1つの広告の違反行為によって大きな損失を被る可能性があることを知っておきましょう。

■実際の薬機法(旧:薬事法)の広告・PR違反事例

薬機法(旧:薬事法)は範囲や解釈が広いため、広告・広報担当者が一から全てを学ぶのには無理があります。

そこでおすすめしたいのが、「違反事例をたくさん学ぶ」ということです。

法律の文面や表現のOK・NG事例を覚えるよりも、実際に薬機法(旧:薬事法)違反をした事例が頭に入っているだけで、「これはOKかNGか?」の判断ができるようになってくるので、効率的です。

では、実際に発生した薬機法(旧:薬事法)の広告・PRの違反事例をいくつか見ていきましょう。

免疫機能を正常化

2023年(令和5年)9月27日、ペットフードの研究開発・製造・販売を行っている企業が、承認を受けずにホームページで「免疫機能を正常化」と広告したことにより、その企業の代表取締役が薬機法(旧:薬事法)の「承認前の広告の禁止等」に違反した疑いで逮捕されました。

ペットフードであっても薬機法(旧:薬事法)違反で摘発される可能性があるというもので、新潟県内では初の事例、全国でも2件目の事例となりました。

このように、「初の摘発事例」などは要チェックです。

今までは見過ごされていたものがある時期から摘発対象になる場合もあるので、十分注意しましょう。

アトピー治る

この違反事例は、2013年(平成25年)2月に、自ら作製した液体を「アトピー治る」と謳って医薬品として無許可で販売した製造業者が、当時の薬事法違反の疑いで逮捕されたものです。

この容疑者は、2009年(平成21年)ごろから食酢や緑茶の成分を混ぜた「クリン8」という液体を、インターネットで全国の約2400人に1本100ML入りを4900円で販売していました。

「クリン8」の購入者から「薬機法(旧:薬事法)違反になるのではないか」という相談が警察にあり、山形県警が捜査して逮捕に至ったようです。

未承認の医薬品を販売したことはもちろんのこと、広告・広報担当者として注目したいのは「アトピー治る」と未承認の医薬品を宣伝したということです。

がん予防

2020年(令和2年)10月に、「がんに効く」という広告をして医薬品として未承認のサプリメントなどを販売した容疑で医師らが逮捕されました。

この医師が経営するサプリメント製造販売会社のホームページで、4種類のサプリメントやお茶について「乳がん予防」「インフルエンザ予防」「便秘解消」などのように医薬品としての効果があるように広告・販売していました。

この事例では、代表者の医師だけではなくサプリメント製造販売会社の従業員2名も逮捕されています。

未承認の医薬品を販売したのはもちろんのこと、注目すべきはその製造や宣伝に関わった人も巻き込んで逮捕されているということです。

このように、薬機法(旧:薬事法)違反は、 周辺のさまざまな関係者を巻き込んでしまう可能性があることを知っておきましょう。

■薬機法(旧:薬事法)に違反せずに広告・PRするためのポイント

広告・広報担当者が薬機法(旧:薬事法)に違反せずに、健康食品や化粧品、サプリメントなどの広告・PRを行うためにはどのようなことに注意すれば良いのでしょうか。

具体的には以下の5つのポイントを押さえておくことで、薬機法(旧:薬事法)違反を防ぐことができます。

自社商品・サービスが薬機法(旧:薬事法)に該当するかをチェックする

まず最初にすべきことは、自社の商品やサービスが薬機法(旧:薬事法)に該当するかどうかをチェックすることです。

薬機法(旧:薬事法)の対象となるジャンルは、医薬品や医薬部外品、化粧品(コスメ)、医療機器、再生医療等製品などですので、自社の商品やサービスがこのジャンルに該当するかどうかで判断することができます。

業界のガイドラインを良く読む

次に、薬機法(旧:薬事法)に関するガイドラインをよく読み込んで理解することが必要です。

基本となるガイドラインとしては、以下の2つです。

また、広告に関する基準としては、以下のようなガイドラインがあります。

・厚生労働省「医薬品等適正広告基準

また、これらを元にして、以下のように各業界で個別のガイドラインが作成されているのでそちらを参考にするのもおすすめです。

これらのガイドラインを理解しておくことによって、広告を作成する際に意識して違反表現を避けることができるようになります。

また、次のように地方自治体のHPなどでも分かりやすいガイドラインが作られていたりするので、そちらも見ておきましょう。

また、これらのガイドラインを参考に、自社の商品やサービスに関する独自のガイドラインを作成しておくことも有効です。

他社の違反事例から学ぶ

他社の違反事例から学ぶことも重要なポイントです。

たとえば、2020年(令和2年)、健康食品輸入会社が「抗ウイルス効果がある」とお茶の広告を自社サイトで行い、医薬品として未承認の健康食品を販売したとして代表ら2人が逮捕されました。

この事例のように、特に健康食品については、医薬品と同等の効能・効果があるという広告をすると「未承認の医薬品」とみなされて薬機法(旧:薬事法)に抵触する場合があります。

これらの他社事例を参考にして、「OK表現」「NG表現」などを自社のガイドラインとしてまとめておくことも有効です。

専門家への確認 / リーガルチェック

薬機法(旧:薬事法)の専門家にリーガルチェックを依頼して確認してもらう方法もあります。

薬機法(旧:薬事法)の知識を持った専門家が行いますので、間違いや見落としが起こる可能性は非常に少ないのですが相応の費用が発生します。

Webページの更新頻度が高いような場合は、費用対効果について検討する必要があるでしょう。

薬機法チェックツールを使用

薬機法(旧:薬事法)チェックツールを使用する方法もあります。

薬機法(旧:薬事法)チェックツールとは、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、健康食品などの広告表現が薬機法(旧:薬事法)などの法律に抵触していないかどうかをチェックしてくれるツールのことです。

広告表現に問題がないかどうかを確認するだけではなく、代替表現の提案をしてくれるものもあります。

料金体系はツールごとに異なっており無料で利用できるものもありますが、文字数の制限などがある場合がありますので、用途に応じて検討が必要です。

主に以下のようなツールがあります。

薬事法広告表現チェックツール:無料のチェックツールで、30文字までの広告表現のチェックが可能です。主に健康食品や化粧品に対応しています。薬機法(旧:薬事法)に抵触する表現の場合は結果欄に抵触している箇所とその理由が表示されます。

TRUSQUETTA(トラスクエタ):従来KONOHAという名称で利用されていたツールで有料です。主に化粧品(コスメ)や健康食品に関する広告表現が薬機法(旧:薬事法)や景品表示法に抵触していないかどうかをチェックし、代替表現を提案してくれる機能もあります。

Cosme Design:化粧品(コスメ)の広告チェック、成分表示名称チェックなどを行うツールです。有料ツールですが、2日間だけ全機能を制限なしで利用できるお試し制度があります。

書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディングの活用

広告宣伝というと、テレビCMやWeb広告、SEO記事、SNS投稿などのように、パッと見てすぐわかるような方法を考えますが、「書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディング」という方法も有効です。

これは、商品やサービスの効果・効能を伝えるのではなく、それに含まれる成分などについて詳しく訴求することにより、その成分の入った商品・サービスのニーズを喚起するという方法です。

▶ブックマーケティングについては、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。

実際に書籍を使い成分ブランディングに成功して問い合わせが殺到した事例が数多くあります。

ただし、書籍だからといって一般広告よりも薬機法(旧:薬事法)の規制が緩いということではありません。

一般広告と同じように薬機法(旧:薬事法)のリーガルチェックが必要になりますし、薬機法(旧:薬事法)に違反すると、その罰則は著者だけではなく、出版社にも及ぶことがあります。

ブックマーケティング

バイブル商法にならないように出版社選択は慎重に

「書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディング」を行う際に注意しなければならないのは「バイブル商法」にならないようにすることです。

「バイブル商法」とは、健康食品や化粧品、サプリメントなどの効果効能を書籍で宣伝すると同時に、その商品を販売するような商法のことをいいます。

出版業界では過去に出版社の社長がこの「バイブル商法」で逮捕されるという事件が発生しています。

これは2011年(平成23年)に発生したもので、書籍で「健康食品がガンに効く」と宣伝して健康食品の販売を幇助した容疑で逮捕されたものです。

どんなに広告担当者が薬機法(旧:薬事法)に気をつけていても、出版社に薬機法(旧:薬事法)の知識やノウハウがなければこのような事件に発展してしまいかねません。

「バイブル商法」にならないように、出版社選びは慎重に行いましょう。

■書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディングの具体的な活用事例

ここでは、「書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディング」を活用して問い合わせの増加や販促につながったという具体的な事例を2件紹介します。

事例①:コラーゲンという成分について説明し結果的にサプリメントの販売促進につながった事例

「あらゆる死に至る病気の原因は血管が老朽化することであり、その血管を若返らせることが健康寿命を延ばす近道だ」という内容の書籍があります。

著者は、コラーゲンサプリメントの開発・販売会社の代表者であり、医師でもありました。

書籍のタイトルやカバーなどには、サプリメントの販促につながるような話は一切入っておらず、内容も血管を若返らせるコラーゲンについて説明をする内容となっています。

しかし、本の出版後、書籍を読んだ読者から「この本で説明されているコラーゲンはどうやったら摂取できるのか」という問い合わせが出版社や著者に殺到し、結果的にコラーゲンサプリメントの販売促進につながっています。

書籍の中でコラーゲンについて説明することで、読者の中に「この本で説明されているコラーゲンを取りたい」というニーズが生まれたのです。

書籍は広告などと違い、長文をしっかりと読んでもらえる媒体です。

書籍の中でしっかりとコラーゲンに関する魅力を伝え、読者教育ができたからこそ、このようなニーズが読者の中に生まれたのだと言えます。

事例②:サラダ油の危険性を訴求し、結果的に米油ブームにつながった事例

この書籍の著者は米油の製造・販売している企業に勤務している研究開発者で、出版の目的は米油のBtoB販売の促進でした。

書籍の内容は「一般家庭で当たり前に使っているサラダ油を摂りすぎると、がんや脳卒中、心臓病の原因になりうるという」というものです。

特に商品の訴求などをしている訳ではありませんでしたが、出版後に大きな反響があり、結果的に米油ブームにつながりました。

その後は、出版目的のBtoBでの米油の卸先の開拓だけでなく、一般消費者の反響が大きかったためBtoCでの訴求にも成功しています。

このように、商品やビジネスの話を出さずとも、成分について詳しく語ることで、商品の販売促進やビジネスの活性化につながることを証明した事例と言えるでしょう。

■まとめ

健康食品や化粧品、サプリメントなどの広告担当者や広報担当者は、薬機法(旧:薬事法)に違反しないように、広告・PRについて自社で入念にチェックをしたり、社外の専門家にリーガルチェックを依頼したり、薬機法(旧:薬事法)チェックツールを使用したりといろいろなことを行っていることと思います。

しかし、同時に「広告やPR、SEO記事、SNS投稿など以外の方法で、自社商品やサービスの良さを効果的に伝える方法はないのか?」ということを検討していくことも重要です。

そこでおすすめしたいのが、この記事でご紹介した「書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディング」です。

広告やPR、SEO記事、SNS投稿などのように商品やサービスの効果・効能をダイレクトに伝えるのではなく、商品に含まれる成分について訴求することで、ユーザーに「成分を取りたい」と言うニーズを喚起させるという、薬機法(旧:薬事法)規制が厳しい時代には有効なマーケティング手段の1つです。

「薬機法(旧:薬事法)の規制によりうまくマーケティングができていない」と感じている方はぜひ一度書籍による成分ブランディングを検討されてみてはいかがでしょうか。

※書籍であっても薬機法(旧:薬事法)の規制を受けますので、薬機法(旧:薬事法)に関する知識やノウハウを有する弊社のような出版社を選ぶようにしてください。

ブックマーケティング