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2024.10.08
Branding, Marketing
IT企業のマーケティング戦略で出版が重要な理由は?より高い成果が期待できるブックマーケティングや具体的な事例なども解説
インターネットの普及によってIT業界の市場規模が膨らんだことで、近年多くの企業がIT関連のサービスに参入しています。業界内の競合が増える中でIT企業が生き残るには、SEOやSNSマーケティングなどの戦略強化が必要です。
しかし、競合他社もこのようなインターネットを活用した戦略に取り組んでいるため、何らかの形で差別化を図り、効果的に自社の魅力をアピールすることが欠かせません。
この差別化戦略のひとつとして有効なものが「書籍出版」です。書籍は出版までのハードルが高いため、「出版したこと自体」が企業の信頼につながります。さらに、WebサイトやSNSより圧倒的な量の情報を届けられるため、見込み顧客からの満足度を高め自社へのCVにつなげやすいでしょう。
今回は、IT企業のマーケティング戦略で出版が重要な理由や高い成果が期待できる「ブックマーケティング」の概要、その具体的な事例などを解説します。
目次【本記事の内容】
- 1.市場規模が膨らみ続けるIT企業では競合も多い
- 1-1.競合が増えるIT企業では「マーケティング戦略の差別化」が求められる
- 2.IT企業におけるマーケティング戦略の差別化で「出版」が効果的な理由
- 2-1.書籍は出版のハードルが高いため世間からの信頼を獲得しやすい
- 2-2.幅広いターゲットに合わせて専門知識を丁寧に説明できる
- 2-3.伝えられる情報量が圧倒的に多いため読者からの満足度を獲得しやすい
- 2-4.手元に残るため二次活用しやすい
- 3.「既存のマーケティング戦略×出版」によって高い成果が期待できる
- 4.マーケティング戦略との掛け合わせで成果を得るなら「ブックマーケティング」の活用がおすすめ
- 4-1.Web広告×出版
- 5.ブックマーケティングは採用活動にも応用できる
- 6.ブックマーケティングを成功させるポイント
- 6-1.最初に出版の目的を定める
- 6-2.出版前に書籍の内容を十分に精査する
- 6-3.マーケティング戦略との掛け合わせに強い出版社にサポートしてもらう
- 7.まとめ
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター) 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
◉市場規模が膨らみ続けるIT企業では競合も多い
インターネットの普及に伴い、IT市場の規模も膨らみ続けています。実際に日本のIT業界(情報通信産業)のGDP(国内総生産)は、「厚生労働省 | ICT市場の動向」によると、2024年度で54.7兆円となりました。
他の産業と異なりIT業界のGDPが年々増加し続けていることからも、需要の高さが伺えるでしょう。
画像出典:総務省 | ICT市場の動向p.3
こうしたIT需要の増加に伴い、世の中では以下のようにさまざまな製品・サービスが開発されています。
- SaaS製品
- ECサイト
- 音楽配信プラットフォーム
- 動画配信プラットフォーム
- 電子決済システム
- Web広告
上記は世の中に出ている製品のほんの一部です。ここまで世間に浸透している「IT」というジャンルは、もはや人々の生活から切り離せません。
ここまで市場規模が膨らみ、さまざまなIT企業が製品・サービスを開発していれば、競合も増えて企業間の競争は激しくなります。
◉-1、競合が増えるIT企業では「マーケティング戦略の差別化」が求められる
市場規模が大きくなったことで、市場に出回る製品の機能や価格、サービス内容なども多様化しています。
こうした競合サービスが多い状況下で、IT企業が自社製品・サービスを選んでもらうというのは、簡単ではありません。
高品質な自社製品・サービスを作るのはもちろんですが、ユーザーへアピールするための「マーケティング施策の強化」も必須です。現在の主要なマーケティング戦略として、例えば以下が挙げられます。
- オウンドメディアを運営して集客する
- SNSアカウントを運用してフォロワーとの信頼性を構築し最終的な購入へつなげる
- ターゲットにマッチした媒体でWeb広告を出稿する
確かに、多くの人がインターネットを使う現代において、こうしたマーケティング戦略は欠かせません。しかし、上記のようなマーケティング戦略を行っているのは、他社も同じです。多くの企業がメディア運用や広告出稿などを行い、自社を選んでもらうための工夫を凝らしています。
このようにIT企業には、製品・サービスの品質アップだけでなく、マーケティング施策自体の差別化も求められています。他社と異なる施策でアプローチすることで、競合が多いIT業界でも生き残る確率が高まるでしょう。
◉IT企業におけるマーケティング戦略の差別化で「出版」が効果的な理由
競合サービスが多い中でIT企業が生き残るには「マーケティング戦略自体の差別化」が必須です。他社にはない角度からユーザーへアプローチして競合より目立つことができれば、自社製品・サービスに興味を持ってもらうきっかけを作れるでしょう。
このマーケティング戦略を差別化する手段として効果的なものが「書籍出版」です。
「今は紙の書籍はあまり読まれないのでは?」と感じる方が多いかもしれません。しかし実は、書籍の中で売上を落としているのは、あくまでも雑誌や娯楽系の小説などが中心です。
出典 | 出版指標 年報 2023年版
ビジネス書や実用書などの書籍は、グラフの「書籍」部分からわかるように、堅調に読まれ続けています。そのためIT企業が、自社をアピールする目的で紙の書籍を販売するのは、有効な手段といえるのです。
より具体的に、IT企業がマーケティング戦略を差別化するうえで「出版」が効果的な理由を解説します。
- 書籍は出版のハードルが高いため世間からの信頼を獲得しやすい
- 幅広いターゲットに合わせて専門知識を丁寧に説明できる
- 伝えられる情報量が圧倒的に多いため読者からの満足度を獲得しやすい
- 手元に残るため二次活用しやすい
◉-1、書籍は出版のハードルが高いため世間からの信頼を獲得しやすい
書籍の出版は、以下のような理由から「ハードルが高い」といわれています。
- 一度販売したらコンテンツやデザインを簡単に変更できないため事前チェックに時間をかける必要がある
- 書店に置いてもらうために工夫を凝らさなければならない
- 読者の手元に届けるまでの流通網を整備する必要がある
- 出版マーケティングでは500万〜1,000万円程度の資金が必要になる
1冊を作り上げるまでに多くの時間と費用を投下しなければならず、販売戦略の設計も必要なため、簡単には取り組めないでしょう。
こうした印象がある中で自社の書籍を販売すれば、「出版できるほどの資金やノウハウを持っている」という認識を広げ、企業への信頼性を高められます。
◉-2、幅広いターゲットに合わせて専門知識を丁寧に説明できる
現在はWebサイトなどを活用して、ITに関する専門知識を発信している企業や個人もいます。一方で書籍は、平均でも「約200ページ・7万〜10万文字」というボリュームで作れるため、より詳しく丁寧にITの専門知識を解説できます。
とくにIT分野の場合、プログラミングやAIなど、専門性が高い技術的な内容を勉強する人も多いでしょう。そうしたターゲットのニーズやレベルに合わせ、充実したページ数で高品質な情報を大量に届けられるというのは、紙の書籍ならではの魅力です。
◉-3、伝えられる情報量が圧倒的に多いため読者からの満足度を獲得しやすい
書籍は数万字単位で情報をまとめられるため、Webより圧倒的に多くのメッセージを伝えられます。読者が求める情報を丁寧かつ網羅的に伝えられれば、満足してもらえるでしょう。顧客が内容に満足し「このIT企業が提供するサービスなら信頼できる」と思ってもらえれば、自社への問い合わせや成約につながる可能性も高まります。
◉-4、手元に残るため二次活用しやすい
紙の書籍は、Webと異なり手元に残るため、二次活用しやすい点も魅力です。二次活用できれば、例えば以下のような方法でターゲットへアプローチできます。
- ウェビナー参加者へプレゼントする
- SNSの企画へ参加してくれたフォロワーに抽選でプレゼントする
- 書籍コンテンツを自社サイトやSNSで二次活用する
紙の書籍は「物」として存在感があるため、ターゲットの目に留まる機会も増えるでしょう。もし、見込み顧客が複数のITサービスを比較・検討している際、紙の書籍が手元にあれば自社を思い浮かべてもらいやすくなります。
また、書籍の著作権は自社に帰属するため、「サイトのコンテンツとして発信する」「SNSの発信ネタに使う」といった活用も可能です。
◉「既存のマーケティング戦略×出版」によって高い成果が期待できる
このように、紙の書籍の販売には「見込み顧客から信頼を獲得できる」「手元に残るため自社の存在を印象付けられる」などのメリットがあります。多くのIT企業がインターネットを使いアプローチする中で、「紙」を使うというのは差別化の要素につながるでしょう。
ただし「インターネットで行うマーケティング戦略を切り捨ててもよい」というわけではありません。
確かに、出版という行為自体が差別化要因となるため、単体でも効果は期待できるでしょう。しかし、既存のマーケティング戦略と組み合わせることで、より高い効果を生み出せます。
組み合わせる際は、ターゲットや書籍のメッセージなどを踏まえて最適な施策を行うことが重要です。
例えば、若者向けのITサービスを展開する企業の場合、若年層が多く利用するInstagramに広告を出稿することで、より効果的に書籍をPRできるでしょう。広告経由でAmazonへ飛んでもらい注文する流れを構築できれば、よりターゲットへ書籍を届けやすくなります。
このように、出版では漠然と本を出して終わるのではなく、既存のWeb広告やメディアなどの施策と絡めることが重要です。
◉マーケティング戦略との掛け合わせで成果を得るなら「ブックマーケティング」の活用がおすすめ
上記のように、既存のマーケティング戦略と掛け合わせて出版効果を高めるなら、「ブックマーケティング」の活用がおすすめです。
ブックマーケティングとは、書籍の出版と他のマーケティング戦略を組み合わせる手法のことです。出版以外の施策と組み合わせることで、書籍販売の先にある「自社の目的」を達成しやすくなります。目的としては、例えば「初心者向けにITの専門書を販売して認知度を高める」「競合他社よりわかりやすい専門書を販売して信頼性を高める」などが挙げられます。
ブックマーケティングは商業出版と異なり「書籍自体で売上を作ること」を目的としていません。あくまでも、自社の目的達成に向けた「マーケティング戦略の一環」として出版を行います。そのため、同じく自社の目的達成のために行うSNS運用やSEO施策といった、他のマーケティング戦略と掛け合わせることで高い成果が期待できるのです。
▶︎ブックマーケティングについては、関連記事【ブックマーケティングとは?効果的な戦略】もあわせて参考にしてください。
◉-1、Web広告×出版
具体的なブックマーケティングにおける組み合わせの例として、「Web広告×出版」が挙げられます。
現在、Amazonの⽉間利⽤者数は約5,000万⼈といわれています。そのため、書籍を効果的に販売しターゲットへ届きやすくするには、Amazon上で多くのユーザーに見てもらうことが欠かせません。
このAmazonへ誘導する際に効果的なものが「Web広告」です。Web広告にはInstagramやFacebookなど多くの種類があり、ターゲットとの親和性を踏まえて出稿することで、高い成果を残せます。
ビジネスパーソン向けに書籍を出版する場合は、Facebook広告やGoogleディスプレイ広告が効果的です。とくにFacebookは中高年の利用者がメインのため、ビジネスとの親和性は高いでしょう。
実際、Facebook広告とGoogleディスプレイ広告を出稿した結果、建設ジャンルの書籍が「発売1ヶ月で重版」、保険代理店経営の書籍が「発売2週間で重版」した事例もあります。
◉ブックマーケティングは採用活動にも応用できる
ブックマーケティングは、採用活動への応用も可能です。例えば、書籍で自社の考え方をまとめて「理念に共感した人からの応募を増やしたい」という目的で販売すれば、採用時のミスマッチを減らせます。また、自社の理念をまとめることで、新卒研修や社員教育にも活用できるでしょう。
とくにIT業界は「2030年までに人材が約80万人不足する」といわれるほど、人材不足に悩まされています。こうした人材不足で悩む業界の企業にとって、「自社とマッチする人材を採用しやすくなる」「入社後に研修して定着率を高められる」というのは大きな魅力です。
参照:厚生労働省 | IT・デジタル人材の労働市場に関する 研究調査事業p.3
◉ブックマーケティングを成功させるポイント
ブックマーケティングを成功させるポイントは、以下の3つです。
- 最初に出版の目的を定める
- 出版前に書籍の内容を十分に精査する
- マーケティング戦略との掛け合わせに強い出版社にサポートしてもらう
◉-1、最初に出版の目的を定める
ブックマーケティングは、「製品・サービスへのCV向上」「認知度アップ」「採用活動におけるミスマッチの防止」というように、幅広い目的で活用できます。
最初にこうした目的を定めることで、ターゲットが明らかになり、以下のように出版で必要な項目を詳細に考えられるでしょう。
- ターゲットが知りたい情報は何か?
- どんなデザインが好まれるか?
- どの広告媒体と組み合わせてアプローチすべきか?
とくに競合が多いIT企業においては、上記の目的を入念に定めたうえで「どんな書籍を販売すれば差別化につながるか?」という点まで設計しましょう。
◉-2、出版前に書籍の内容を十分に精査する
ITに関する知識には、プログラミングやAI、IoTなど、専門的な内容が数多くあります。そのため、書籍の出版前に「専門用語の説明や解釈に間違いはないか?」を十分にチェックしましょう。紙の書籍は、一度出版すると簡単に内容を変更できないため、万が一コンテンツに間違いがあると修正に手間がかかります。
また、情報に間違いがあると、自社への信頼性を低下させるかもしれません。とくにITの知識はトレンドの変化が早いため、常に最新情報をまとめる意識が重要です。
◉-3、マーケティング戦略との掛け合わせに強い出版社にサポートしてもらう
出版社の中には「作って終わり」という会社もあります。しかし、ブックマーケティングにおける出版では、「書籍をターゲットの手元へ届けて目的を達成する」ということが重要です。
そのため、以下のように、出版作業以外の面まで丁寧にサポートしてくれる出版社を選びましょう。
- 新聞広告やWeb広告と組み合わせた戦略を提案してくれる
- 書店に書籍を置いてもらえるよう直接営業してくれる
- 「クラウドファンディング×出版」といった特別な施策もサポートしてくれる
◉まとめ
この記事では、IT企業のマーケティング戦略で出版が重要な理由や「ブックマーケティング」の概要、具体的な事例などを解説しました。
市場規模が大きく競合も増えている業界でIT企業が生き残るには、高品質な製品・サービスを作るのはもちろんのこと、マーケティング戦略での差別化も重要です。戦略面で差別化を図ることで、よりユーザーから認知されやすくなり、将来的に自社の顧客となってくれる可能性が高まります。
マーケティング戦略を差別化するうえでは、書籍の出版を通じた「ブックマーケティング」も効果的です。紙の書籍を出版し信頼を高めることで、自社が定める最終的なゴールを達成しやすくなるでしょう。また、採用活動にも使えるため、人材不足で悩むIT企業にとっても魅力的です。
ブックマーケティングを行う際は、ターゲットの手元に届くまで手厚くサポートしてくれる出版社を選びましょう。Web広告やクラウドファンディングなど、既存のマーケティング戦略と組み合わせてサポートできる出版社なら、書籍販売によって自社の目的を達成しやすくなります。
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