個人や企業が「本を出したい」と思った時に活用する手段が自費出版(企業の場合は企業出版)です。
自費出版は著者が費用を出して出版するため費用はかかりますが、誰でも自分の考えや事業について本が出せるというメリットがあります。
しかし、「本を出したい」と思い、ネットで「自費出版」関連のキーワードで検索してみると、「自費出版はやめておけ」「自費出版をして後悔した」など、ネガティブな情報も目に入ってくると思います。
また、実際に友人や知人などから「やめておけ」と止められた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
自費出版という方法自体は、商業出版のように出版社に企画が通らなければ出せないという制約もなく、誰もが自分の考えを本に載せて世の中に出せる素晴らしい方法ですが、実際に一部で悪質な詐欺まがいの自費出版業者もおり、トラブルに巻き込まれる可能性もゼロではありません。
そのため、自費出版を検討される際には、そういった悪質な自費出版業者からカモにされないように、出版した後に「詐欺まがいだ」「話と違う」などトラブルにならないように、正しい知識を持つ必要があります。
今回は、そんな自費出版で詐欺まがいの出版業者にカモにされないために注意すべきポイントを、現役の書籍編集者が注意喚起の意味で詳しくご紹介します。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
◉カモにされた!実際にあった自費出版のトラブル事例
実際に自費出版で「カモにされた」「話と違う」「詐欺まがいだ」と言われている出版社と著者のトラブル事例をいくつかご紹介します。
まずは、どんなトラブルで「カモにされた」と著者側が後悔するケースがあるのか、実際の事例で知っておきましょう。
◉-1、書店に並ぶと言っていたのに全然並ばない
営業マンから「書店に並びますよ」と言われ、いざ出版後に書店に行ってみるとどこにも並んでいなかったことでトラブルになるケースがあります。
実は自費出版の場合、書店流通は費用の中に含まれていないことがほとんどです。
基本的にはオプションとして、別途費用を支払って広告や宣伝、書店配本・営業などを依頼します。
自費出版の営業マンが「書店に並びます」というのは「書店配本オプションをつけた場合は」という前提がある可能性が高いので注意しましょう。
また、書店配本オプションをつけたらと言って自分が希望する書店に期待した形で並ぶかは保証できないことも認識しておきましょう。
専門コーナーの本棚の片隅に1冊だけ置かれていたり、書店によっては自費出版専用の棚があり、そこにまとめられている、という場合もあります。
「大型書店の専門ジャンルの棚にしっかり平積みされるのでは?」と過度に期待してしまうと、結果的に「話が違う」と感じてしまうかもしれません。
こうした誤解や自費出版の流通に過度な期待をしないためにも、契約する前に書店配本・流通のプラン内容や費用についてしっかりと出版社側の説明を聞くようにしましょう。
営業マンが「書店に並びますよ」と過度な期待をさせてくるような出版社ではなく、そういった事実や可能性について事前に説明してくれる出版社を選ぶのがおすすめです。
◉-2、売れると言っていたのに、全然売れない
営業マンから「この本はきっと売れますよ」と言われたが、実際にはほとんど売れずに在庫が残ってしまった、というトラブルもよく聞きます。
まず、大前提として自費出版で本を出しただけではほとんど売れません。
なぜなら、自費出版は商業出版と違い、多額の費用をかけて大々的に広告や販促、書店営業を行う訳ではないからです。
自費出版の場合、著者自身が積極的に売り込みや宣伝をしない限り、売れるのは難しいというのが現実です。
世の中でベストセラーとなる本の多くは商業出版であり、出版社が世間のニーズを汲み取って練りあげた企画と本の著者の知名度、そして多額の費用をかけた宣伝の3つの相乗効果で販売しているからこそできることと言えます。
自費出版で同じレベルの販売を行うためには、商業出版と同様に相応の費用をかけてマーケティングを行っていく必要があるのです。
自費出版の場合もオプションで広告や販促、書店流通・営業を依頼できたりしますが、商業出版と同じレベルの宣伝効果は期待できないので、過度な期待は持たないようにしましょう。
最初から「自費出版は売れないのが普通」という意識を持ち、出版によって知名度を高めたり、自分自身のビジネスをターゲット層に知ってもらったり、本の売上以外の部分でメリットを得ていく方が真っ当です。
本自体で利益を上げるのではなく、あくまで自分の表現や原稿を本という形にして自己表現を実現するのが自費出版、認知を広げて自身のビジネスや事業などで利益をあげていくのが企業出版と覚えておきましょう。
営業マンが「この本は売れますよ!印税で儲かりますよ」と過剰に強調する場合には注意しましょう。
むしろ「自費出版は商業出版のように売れないのが基本です」という前提の元で「一緒に頑張って売っていきましょう」と売り方やアイデアを提案してくれるような営業マンは信用できます。
売れ残った本を買い取れと言われ、追加で費用がかかってしまった
「書店に配本して売れ残ったから買い取ってくれ」と言われて、追加で買い取らなければならなくなった、というトラブルもよく聞きます。
そもそも自費出版では、著者が発行部数全ての費用を負担します。
書店の流通をオプションとしてつけた場合、「書店に流通した本で返品された在庫は最終的に著者が買い取る」という契約になっていることが少なくありません。
そのため、「書店で売れ残った本を買い取る」というのは自費出版ではごく一般的なことです。
トラブルに発展するケースというのは、営業マンが契約時点で「書店で売れ残った本については著者が買取ることになります」と説明していなかった、もしくはその説明を聞いていなかったお互いの認識のズレが原因です。
悪質な自費出版業者の場合には、契約時にこういった買い取りに関する項目について説明しなかったり、契約書の読み合わせをせずに契約締結を求めてくることがあります。
こういったトラブルを避けるためにも、しっかりと自費出版業者に説明を求めたり、契約書の読み合わせを行ったりしましょう。
 株式会社フォーウェイ代表取締役 / クリエイティブディレクター 仲山 洋平 | 企業出版の場合は自費出版とは異なり、企業ブランディングやPRを前提にした出版施策のため、当然ながら書店への流通を前提とした仕組みが整っています。しかし、自費出版の場合はそもそも流通はオプションで別料金で行うことがほとんどなため、出版社によってはこういった書店流通の仕組みが整っておらず、認識のズレからトラブルに発展してしまうことが多いので注意しましょう。 |
◉-3、著作権を知らぬ間に奪われてしまった
自費出版の場合、著作権は著者に帰属するのが一般的です。
しかし、中には「著作権を出版社側に譲渡する」という内容の条項が契約書に含まれている場合があり、知らない内に著作権を奪われていたというトラブルも聞きます。
本の著作権が出版社に奪われてしまうと、著者が本の二次利用(翻訳、映像化、記事化、営業ツール化など)を自由にできなくなってしまうので、契約書の著作権の項目があるかどうか、著作権を著者側が持てる内容になっているのかを必ず確認しましょう。
もし著作権が出版社側という内容になっていた場合には、しっかりと説明を求めましょう。
◉-4、出来上がった本のクオリティが低かった
「紙質やデザイン、編集の粗さなど、予想よりもずっと品質が低い仕上がりになってしまった」というトラブルも聞きます。
悪質な出版社の場合、印刷費用や編集費用を最小限に抑えるために、制作工程を勝手に省略していることがあります。
「クオリティが低い」と問い合わせても「これが普通です」と開き直られてしまうだけなので、契約前に過去の自費出版物やサンプルなどを実際に見せてもらい、紙質やデザイン、編集の完成度を確認しておきましょう。
なお、「有名な大手出版社だから大丈夫だろう」という思い込みも危険です。
大手出版社の場合は紙質だったりあからさまに本のクオリティが低くなることはないものの、大量の案件を抱えて編集部の仕事が回っておらず、編集が粗くなる、ということも少なからず想定しておくべきです。
◉-5、儲かると言われていたのに、実際は在庫の山になってしまった
営業マンから「この本は売れますよ!利益が出ますよ」と言われて期待していたのに、蓋を開けてみたらほとんど売れずに在庫の山が残った、というケースもトラブルとして珍しくありません。
もちろん自費出版した本が話題となり、売上が伸びて大きく利益が出るケースもありますが、こういった成功事例はごく一部です。
営業マンが「このジャンルは売れやすいですよ」「本の売上で利益が出ますよ」と強調してくる場合には口車に乗らないように注意してください。
本が売れる前提で話す出版社よりも、むしろ「売れない前提でどう本を活用していくと利益につながるか?」を提案してくれるような出版社を選ぶ方が健全です。
◉-6、自由に書けると言われたのに、実際は制約ばかり
商業出版とは違い、自分自身が世の中に発信したい内容を本にできるのが自費出版のメリットですが、「自由度が高いはずの自費出版なのに、実際に作ってみると制約ばかりで全然自由に書けなかった」とトラブルになるケースもあります。
自費出版は自由と言っても「法に触れない範囲で自由」というのが正しい認識です。
法に触れるような内容は出版社による修正などが入る、と思っておきましょう。
なぜなら、自費出版であっても本を出版する場合には本の最後のページに出版社名が掲載されるからです。
 株式会社フォーウェイ代表取締役 / クリエイティブディレクター 仲山 洋平 | もし出版された本の内容が法に抵触することが発覚した場合、法に触れた本の著者だけではなく、その本を出版した出版社の責任も問われる可能性があるので、法に触れる範囲は出版社としても当然修正を入れていくのが一般的です。 |
近年は薬機法(旧薬事法)や、景品表示法、ステルスマーケティング規制など、広告・宣伝に関する法規制が厳しくなっています。
たとえば著者が自分のプロデュースした商品について本の中で「この美容液を使えば若返り効果があります」などと書いた場合には、薬機法(旧薬事法)に抵触する恐れがあるため、出版社側で修正指摘が入るはずです。
このように、「自費出版だからなんでも書いてOKという訳ではなく、あくまで法律や規制の範囲内で自由」という認識で自費出版を検討しましょう。
あらかじめ出版社に「どんな表現が問題になるのか?」「どこまでOKなのか?」といった範囲を確認しておくのも有効です。
◉期待値のズレによって、悪質ではない出版社でも詐欺まがいだと言われているケースもあるので注意!
自費出版におけるトラブルは大きく次の2つのケースに分類できます。
・明らかに出版社側が悪質であるケース ・著者と出版社の認識の違いにより「詐欺まがいだ」と誤解されてしまうケース |
出版社側が明らかに悪質なケースは、今回解説するようなトラブル事例や対処法を知っておくことで事前に防ぐことができます。
一方で、後者のケースについては、どの出版社でも起き得ることです。
なぜなら、そのトラブルの多くが、著者側が抱く「自費出版すれば書店に自分の本が並んでたくさん売れるはず」という期待と、出版社側の「そこまでの成果は保証できない」という認識のズレによって起こるものだからです。
営業マンのトークだけを鵜呑みにしてしまうと、「本が大手書店で平積みされる」「本が多く売れて利益が出る」というイメージが先行してしまいます。
実際には、それを実現するためには追加費用や著者自身の努力が必要であり、場合によってはほとんど売れないこともあります。
この認識を著者がしっかりと持っておくことで、自費出版におけるトラブルを回避できるはずです。
口コミよりも、実際に営業マンや担当者に合ってみて「自費出版は売れないことが基本」という大前提の元、本の売上以外のところでいかにメリットを得るか、利益を出していくのか、などについてしっかりと提案してくれるような出版社を選ぶのがおすすめです。
◉自費出版で悪質出版社のカモにならないために特に注意すべき5つのコト
自費出版で悪質な出版社のカモになってしまわないようにするためには、契約前の確認が重要です。
具体的には次の6点を契約前に確認しましょう。
・自費出版にかかる費用 ・契約内容 ・売れる、売れないの期待値 ・出来上がる本の品質、仕上がり ・出版後の活用方法 ・担当者の対応 |
それぞれ、詳しく解説していきます。
◉-1、自費出版にかかる費用
自費出版の費用は編集やデザイン、印刷部数、書店への流通の有無などによって大きく変わります。
依頼する出版社や、自費出版のプランやつけるオプションによっても変わってきます。
自費出版をする上での費用関係はトラブルに発展しやすい要素の1つなので、「総額でいくらになるのか?」を契約前に見積もってもらい把握しておきましょう。
この時、「追加費用がかかるとすればどんな時にいくらぐらいかかるのか?」についても合わせて問い合わせておくと安心です。
▶自費出版の費用相場については、関連記事【自費出版とは?メリットやデメリット、費用相場、成功事例などを解説】もあわせて参考にしてください。
◉-2、契約内容
自費出版のトラブルのほとんどが「最初に言っていたことと違う」という認識のズレによっておきます。
そのため、契約時の認識合わせ、取り決めは特に重要です。
口頭でどんなに「大丈夫です」と言われても、契約書に書いていないことは後から争点になる可能性が高く、トラブルの原因になるので注意しましょう。
具体的に後々トラブルになりやすいのは以下のような項目になります。
・出版社の対応範囲 ・書店流通など出版後の広告・宣伝の有無 ・追加で費用がかかる項目 ・買い取りの条件 ・著作権の条項 |
これらの項目をしっかりと確認して、読み合わせを行った上で契約するようにしましょう。
◉-2-1、出版社の対応範囲
編集、装丁デザイン、校正など、出版社側の対応範囲を確認しておきましょう。
出版社によっては、編集作業の対応範囲や、校正の回数やデザインの修正回数などに制限を設けている場合もあります。
自費出版の費用でどの範囲を対応してもらえるのか、逆にどこからどこまでが追加費用が必要なオプションなのかを契約書でしっかり確認しましょう。
不明確な部分がある場合には、後々にトラブルになることを防ぐためにも、出版社側に確認し、契約書に反映していくことが重要です。
◉-2-2、書店流通など出版後の広告・宣伝の有無
自費出版の場合、書店流通や広告・宣伝については別料金となっている出版社がほとんどですが、営業マンが「書店に並べます」「広告を打ちます」などと言っている場合には、契約に本当に含まれているのかをチェックしましょう。
基本料金には含まれておらず、勝手に書店流通や広告・宣伝のオプションが追加されている場合もあるので要注意です。
曖昧なままで契約してしまわないように確認することが重要です。
◉-2-3、追加で費用がかかる項目
追加で費用が発生する項目や、タイミング、内容などは出版社によって違います。
たとえば原稿をライターに書いてもらう場合には通常の自費出版の費用に追加でライティング費用が追加でかかってきます。
また、校正の回数が何回以上の場合、特殊な装丁の場合、増刷する場合、書店流通して返品があった場合、などどのような追加費用が、どのようなタイミングでいくらぐらい発生する可能性があるのか、を明確にしておきましょう。
曖昧なまま契約すると、「後で追加費用を請求された」というトラブルになってしまう可能性もあります。
◉-2-4、買い取りの条件
自費出版では著者が売れ残りや返品分を買い取るケースが珍しくありません。
しかし、中には「返品された本を買い取るなんて聞いてない」と認識のズレからトラブルになってしまうケースもあります。
そのため、返品時の扱いや買い取り条件について契約書に記載されているかどうかを確認しましょう。
◉-2-5、著作権の条項
自費出版の著作権は著者が持つのが一般的です。
しかし、出版社の中には「著作権を譲渡する」など著者にとって不利なことが記載されている場合があるので、契約時に著作権の条項は必ずチェックしましょう。
もし契約を締結してしまうと著作権が譲渡され、自分で費用を出して出版した本なのにもかかわらず自由に二次利用ができないなど不利益を被る可能性があります。
◉-3、売れる・売れないの期待値
大前提として「自費出版した本が大きく売れる」というケースは稀です。
商業出版のように出版社が多額の広告費用を投下して販売する訳ではないため、著者の知名度がよほど高かったり、話題性がない限りは大きく売れるということはありません。
出版社側が「本が売れます」と著者側を期待させてくる場合は、後々「全然売れないじゃないか」と期待値のズレによってトラブルになってしまう可能性があるので注意しましょう。
一方で、自費出版の場合は売れ行き以上に「本をきっかけに会社への問い合わせが増えた」「ブランディングによって講演が決まった」という形で利益を得られている著者は少なくありません。
本の売上や利益を期待値として提示してくる出版社よりも、「自費出版は大きく売れるというケースは稀です」と現実的な「売れない」という期待値を提示してくれた上で、本をどのように活用すれば利益が出るか、など現実的な提案をしてくれる出版社の方が誠実と言えるでしょう。
◉-4、出来上がる本の品質・仕上がり
悪質な出版社の場合、本の制作コストを削減するために、著者に断りなく制作工程を削ってしまうことがあります。
結果として本の仕上がりが思った以上にクオリティが低かったり、トラブルに発展する可能性があります。
事前に自費出版の完成品やサンプルを見せてもらうだけではなく、可能であれば本の内容などもチェックしましょう。
◉-5、出版後の活用方法
自費出版した本は「本をいかにたくさん売るか」ではなく「どう活用するか」の方が重要です。
たとえば、営業時に見込み顧客に本を渡したり、セミナーや講演などで名刺代わりに配布すれば、受け取った側は「この分野の専門家なんだ」と理解してもらいやすくなります。
また、本を出しているということから「本を出すほどの専門家なんだ」と権威性などもアピールすることが可能です。
また、WebサイトやSNSと連動したプロモーションを行うなど、出版後の活用方法はいくらでもあります。
このように自費出版の場合は、本をいかにたくさん売るか、ではなくどのように活用すれば良いかの方が重要なので、その点を明確にアドバイスをくれる業者なのかどうかも契約前に確認しておくべき重要な項目の1つです。
◉-6、担当者の対応
自費出版を行う場合、出版社側の担当者と多くの打ち合わせややり取りが発生します。
いくら大手の出版社であっても、対応してくれるのは担当者です。
担当者の対応が悪かったり、そもそも人間的な相性が悪かったりすると、打ち合わせなど出版作業がスムーズに進まず、お互いにストレスが溜まる原因になります。
出版社の規模や知名度にかかわらず、担当者がこちらからの要望にしっかりと丁寧に、かつ迅速に答えてくれるかどうかなども契約前に確認しておきましょう。
契約前に担当者と話してみるのも有効です。
◉契約時は契約書の読み合わせを実施しよう!
一部の悪質な出版社の事例を除き、ほとんどのトラブルが出版社と著者の期待値と認識のズレで起きています。
当たり前のことではありますが、お互いの期待値や認識を合わせる上で、後のトラブルを避けるために、契約締結前には「契約書の読み合わせ」を行いましょう。
読み合わせでは、出版社の担当者と著者が一緒に契約書の文章を確認していきます。
基本的に悪質な出版社は契約書の読み合わせを嫌がります。
なぜなら、不利益となるような項目をわざわざ著者に読ませて疑問を持たせたくないためです。
読み合わせを行う場合も「著作権に関してはまぁ普通のことが書いてあるので飛ばしますね」など、内容に触れずに飛ばしたり、著者に読ませたく無い箇所を意図的に飛ばそうとしたりしますので、一文一文丁寧に読み合わせを行うことで、様々なトラブルを未然に回避することができます。
悪質な業者ではなくとも、読み合わせを行うことで、期待値が大きく異なったまま自費出版をしてしまうことを防げますし、もし曖昧な表現があったり、勘違いしていたことなどがあればその場で質問・解消が可能です。
「後で騙された」「聞いていない」というトラブルを回避する上でも、著者もしっかりとチェックを行い、納得した上で署名・押印することが重要です。
◉【まとめ】自費出版について正しい知識を持つことがカモにならず安全に出版する一番の対策!
自費出版は本を出版する手段として決して悪い選択肢ではありません。
しかし、さまざまな誤解や期待値・認識のズレから「思っていたのと違う」「損をした」「出版社のカモにされた」などトラブルになり、後悔してしまう人がいるのも事実です。
ごく一部ですが、悪質な出版社もいます。
そんな中で「出版社のカモにされた」と後悔することなく、安全に自費出版するためには、自費出版に関する正しい認識を持つことが何より大切です。
今回ご紹介したような「自費出版は売れないのが大前提」や、「自費出版はどれだけ売れるかよりも、どのように活用するかが重要」「自費出版で成功している方の多くは本の売上とは違う場所でメリットを得ている」など現実的な期待値を持っておけば、いくら悪徳な出版社の営業マンに説得されたところで、騙されることはありません。
また、出版社と著者の期待値と認識のズレがトラブルになる最大の原因、ということが分かっていれば、事前にきちんと自分自身でも確認しよう、となると思います。
このように、自費出版について正しい知識を持つことが出版社のカモにならず出版ができる一番の対策です。
フォーウェイでは、自費出版に関する相談も受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
出版を含むあらゆるコンテンツを活用したマーケティングを得意としている会社であり、みなさまが出版を通して目指したいゴールに向けてどのように本を活用すべきか、なども含めご提案させていただきます。
特に、企業の経営者で自費出版を考えていらっしゃる方であれば、自費出版よりもむしろ、企業や事業、商品・サービスのブランディングを目的として出版を活用する企業出版の方が合う可能性があります。
実際に経営者の方で本を出版して「業界での地位を確立した」「売上が上がった」「問い合わせが増えた」「講演依頼が増えた」「採用応募がくるようになった」などの成果も上がっております。
本の出版を今後考えている、という方はぜひお気軽にご相談ください。
住宅会社やハウスメーカーなどのように高単価商品を取り扱う企業にとって、売上や利益を向上させるための有効なツールの一つがパンフレットです。
住宅販売は営業活動を始めてから成約に至るまでのリードタイムが長い傾向があるので、パンフレットのような紙媒体の販促ツールを活用することでリードタイムの短縮効果も期待できます。
本記事では、「住宅販売に伸び悩んでいる」「住宅販売のリードタイムの長さに悩んでいる」という方向けに、パンフレットの作り込み方や活用方法についてくわしく解説いたします。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
◉住宅会社・ハウスメーカーなど高単価ビジネスにパンフレットは有効!
パンフレットなどの紙媒体が高単価ビジネスに有効と言われる理由は次の通りです。
・紙媒体ならではの安心・信頼感 ・紙媒体の方が比較検討しやすい ・紙媒体の方が伝わりやすく、理解しやすい ・紙媒体の方が長期間手元に保管してもらいやすい |
それぞれ、くわしく見ていきましょう。
◉-1、紙媒体ならではの安心・信頼感
一般的に、紙媒体はデジタル媒体より信用度が高いと考えられています。
なぜなら、紙媒体はデジタル媒体と比べると発行の難易度が高いイメージがあるためです。
紙媒体は、一度紙にして出すと修正が難しいため、ライターや編集者、発行責任者など多くの人のチェックが入ったり、情報の発信元が明確です。
しかし、デジタル媒体は誰でもノーチェックで自由に情報を発信できてしまいます。
このようなイメージから、Webサイト記事やSNS投稿などに比べて顧客からの安心感や信頼感が得られやすいという特徴があります。
そのため、住宅会社やハウスメーカーのように高単価な商品を扱うビジネスにおいては、紙媒体のパンフレットは顧客との信頼関係を構築するうえで非常に有効なツールとなるのです。
◉-2、紙媒体の方が比較検討しやすい
紙媒体はデジタル媒体に比べて、同時に並べて比較検討しやすいことも有効な理由です。
Webサイト記事やSNS投稿などのデジタル媒体も画面を切り替えたりして複数の情報を見ることはできますが、同時に並べて見比べるのには向いていません。
特に住宅を購入する際は、家族などと一緒に比較検討することが多いため、紙媒体のパンフレットの方が複数人で一緒に見て比較検討しやすいのです。
◉-3、紙媒体の方が伝わりやすく、理解しやすい
紙媒体の方がデジタル媒体よりも視認性や可読性、一覧性が高いことも有効な理由です。
なぜなら、Webサイト記事やSNS投稿などよりはパンフレットの方が、パッと見て分かりやすく読みやすいため、記載内容が伝わりやすく理解しやすいのです。
また、Webサイト記事やSNS投稿などに比べて、パンフレットの方が写真や画像を鮮明に表示することができるため、イメージや印象が重要な住宅販売などに向いていると言うことができます。
◉-4、紙媒体の方が長期間手元に保管してもらいやすい
紙媒体はデジタル媒体よりも保存性や保管性に優れていることも有効な理由です。
Webサイト記事やSNS投稿などのデジタル媒体は、WebサイトやSNSにアクセスしているときだけしか情報を表示することができません。
それに比べて紙媒体は、捨てられない限り顧客の手元に残り続けるため、ふとしたタイミングで何度も見返してもらえる可能性があります。
◉住宅会社・ハウスメーカーで用意すべきパンフレットの種類
住宅会社やハウスメーカーで用意すべきパンフレットは、主に次の3種類です。
・会社案内パンフレット ・採用パンフレット ・住宅販売パンフレット |
それぞれどのようなパンフレットなのかを、見ていきましょう。
◉-1、会社案内パンフレット
一般的に、会社案内パンフレットには、企業の経営理念や事業・サービス内容のほか、会社の基本情報などが記載されています。
企業としてどのような理念やコンセプトのもとに住宅を提供しているのか、どのような強みや特徴を持っているのか、いつごろから住宅販売を行っているのかなどのストーリー性のあるコンテンツを盛り込むと顧客へのアピール効果が高くなります。
また、後述する他のパンフレットにも統一したキャッチコピーやデザインを採用して、ブランディングを意識したものにしても良いでしょう。
◉-2、採用パンフレット
採用パンフレットは、自社に必要な人材を確保するための重要なツールです。
企業の基本情報として企業理念や事業・サービス内容などを記載するほか、先輩社員へのインタビュー、部署ごとの業務内容の詳しい説明など「この会社で働いてみたい」と思ってもらえるようなコンテンツを盛り込みましょう。
実際に住宅を購入していただいたお客様の喜びの声などを掲載することも効果的です。
採用パンフレットは、新卒採用として学校に配布したり、中途採用として転職サイトや企業説明会で配布したりします。
◉-3、住宅販売パンフレット
住宅会社やハウスメーカーの住宅販売パンフレットは、商品である住宅の説明をするためのメインとなるパンフレットです。
住宅会社やハウスメーカーによっては、デザインや建築プラン、仕様などの違いによって複数の商品群を持っている場合がありますが、そのような場合はそれぞれ個別にパンフレットを作った方が良いでしょう。
個別パンフレットとは別に総合パンフレットを作ることも考えられますし、建築実績や施工実績などを集めたパンフレットも、顧客に実績をアピールするためには有効と言えます。
また、住宅会社やハウスメーカーの多くは「標準仕様」を設定しているケースが多いと思われるので、顧客にその具体的な情報を提示するためのパンフレットもあった方が良いでしょう。
◉住宅会社・ハウスメーカーのパンフレットに盛り込むべき内容
住宅会社やハウスメーカーのパンフレットを、より成果につなげられるものにするために、次のような内容を掲載することを検討してみましょう。
・販売する住宅のコンセプト、イメージ ・販売する住宅の写真 ・販売する住宅の仕様図(わかりやすく) ・住宅の施工事例・顧客の声・社員の声(施工のこだわりなど) |
以下で、それぞれについてくわしく解説します。
◉-1、販売する住宅のコンセプト、イメージ
住宅の仕様ではなく「自分がこの住宅に住んだらどのような生活が待っているのだろう」という将来像を伝えることが重要です。
住宅の仕様だけ伝えると、価格や性能の良し悪しなどでしか顧客は判断することができず、結果として他社住宅との競争に巻き込まれてしまいます。
競争にならないようにするためにも「その住宅がどのようなコンセプトで建てられているのか」「その住宅に住む人にどうなって欲しいのか」などのイメージをキャッチコピーとイメージ写真などを使って明確に伝えることが重要です。
◉-2、販売する住宅の写真
住宅会社やハウスメーカーのパンフレットにおいて、販売する住宅の写真の掲載は必須です。
住宅は高額商品ですが、同時にイメージや印象が重要な商品でもあります。
建築前で建物がない場合は3Dの設計図などで仕方ないと言えますが、写真で購入が決まるといっても過言ではないため、特にこだわって撮影すべきです。
◉-3、販売する住宅の仕様図(わかりやすく)
販売する住宅の仕様図を分かりやすく掲載するのもおすすめです。
専門的な建築図のようなものではなく、顧客が気にすると思われる水回りの仕様や収納スペースの大きさや数などがよく分かるようにしておくとベターです。
◉-4、住宅の施工事例
会社がこれまでに手掛けてきた施工事例を掲載することも重要です。
これまでにどのような住宅を施工してきた実績があるのかを明確に記載しておくと、豊富な施工実績に、顧客は安心感を覚えてくれます。
また、施工実績が多く掲載されていると、既存顧客との間にトラブルなどがなく信頼できる会社だということを印象付けることができます。
◉-5、顧客の声
会社が伝えたいことだけを発信するのではなく、実際に住宅を購入した人の声のように第三者視点も入れ込みましょう。
既存顧客へのインタビューなどを行って、掲載しても良いという許可が得られたものはできる限り掲載した方が良いです。
自社からの情報発信だと嘘くさく聞こえてしまいますが、顧客という第三者の視点と言葉で感想を語ってもらうと信頼性が高くなります。
◉-6、社員の声(施工のこだわりなど)
住宅会社やハウスメーカーのパンフレットには、自社の社員の声もぜひ掲載したいものです。
住宅は購入者にとっても大きな買い物ですが、住宅を建てる側の職人もこだわりを持って作っています。
社員や職人のこだわりや想いを記載することによって、顧客に「住みたい」と思ってもらいやすくなります。
社員や職員がこの住宅に持っている想いなどを語るコンテンツも有効です。
◉パンフレットを成果につなげるためには配るだけではなく、他部署との連携が重要!
住宅会社やハウスメーカーのパンフレットは、住宅展示会などで配布するのが一般的ですが、ただ配るだけではなく、より積極的に活用していくと成果につながりやすくなります。
具体的には次のような方法があります。
・WebサイトでもPDFを配布できるようにする(リスト獲得) ・ターゲットリストへの送付する ・営業部と連携してターゲットによってデザインを分ける ・他のマーケティング施策と連携 |
それぞれ、くわしく見ていきましょう。
◉-1、WebサイトでもPDFを配布できるようにする(リスト獲得)
パンフレットは紙媒体で作るだけではなく、PDF化してWeb上でも配布しましょう。
Web経由であれば多くの顧客に低コストで配布することができます。
近年はスマホやPCからWebサイトを訪問する人も増えているので、Webサイト上でもパンフレットを閲覧・配布できるようにしたりしておくべきです。
ダウンロード時に、住所や氏名、住宅購入の意向などの記載を必須にしておけば、顧客リストという資産獲得にもつながります。
◉-2、ターゲットリストへ送付する
自社で作成した見込み度合いの高いターゲットリストに、直接パンフレットを送付する方法も有効です。
パンフレットを送付するためにはコストがかかるので、ターゲットの興味関心度の高い層にはパンフレットを紙媒体で送付し、そうでもない層にはメールなどで送付するなど、送付方法を分けるのがおすすめです。
◉-3、営業部と連携してターゲットによってデザインを分ける
住宅会社やハウスメーカーの場合、住宅の種類によってターゲット顧客が異なります。
そのため、ターゲットに応じてパンフレットのデザインを使い分けることも有効です。
たとえば、富裕層向けの住宅であれば、ラグジュアリーなデザインにしたり、高齢者向けであれば安心感を持ってもらえるような柔らかいデザインにしたり、などです。
どのデザインにするかどうかは、営業部と連携をして、それぞれのターゲット層がどのようなテイストを好むのかなどを良くリサーチしたうえで決めるようにしましょう。
◉-4、他のマーケティング施策と連携
パンフレットをターゲットに送付するなどのようにパンフレット単体で使うという方法のほかに、他のマーケティング施策などの媒体と連携して相乗効果を狙うことも有効な活用方法の一つです。
具体的な連携方法としては、次の3つが挙げられます。
・SEO×住宅販売パンフレット ・SNS×住宅販売パンフレット ・企業出版(ブックマーケティング)×住宅販売パンフレット |
それぞれについてくわしく見ていきましょう。
◉-4-1、SEO×住宅販売パンフレット
住宅販売パンフレットの情報の一部をWebサイトに記事を掲載して情報発信をすることによって、検索結果によるWebサイトへの流入が期待できます。
住宅販売パンフレットに記載されたオリジナル性の高いコンテンツがWebサイトにアップされることになりますのでSEO対策にもつながります。
◉-4-2、SNS×住宅販売パンフレット
住宅販売パンフレットの情報の一部をSNSに小出しにしながら情報発信することによって、より多くの人に情報が伝わりやすくなります。
また、住宅販売パンフレットからSNSに飛べるようなQRコードを設置したり、住宅販売パンフレットと連動したキャンペーンをSNSで告知する方法などもおすすめです。
◉-4-3、企業出版(ブックマーケティング)×住宅販売パンフレット
ブックマーケティングとは、書籍を活用したマーケティング手法です。
たとえば、住宅販売パンフレットの中で書籍を紹介したり、顧客に住宅販売パンフレットを送付して良い反応があった場合に出版物を送付して購買意欲を高めてもらうなどで、成約につなげることができます。
出版物も住宅販売パンフレットも同じ紙媒体ですが、これらを連携することによって相乗効果を得ることができるのです。
また、注文住宅を得意とする住宅会社などでは、一定の商圏の中で営業活動を行っているケースがありますが、ブックマーケティングを利用すればその商圏の中の書店に重点配本してマーケティング効果を高めるといったことも可能です。
書籍は社会的に信頼性の高い媒体なので、住宅の信頼性向上にもつながります。
▶ブックマーケティングについては、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。
◉住宅会社・ハウスメーカーのパンフレット事例
実際の住宅会社・ハウスメーカーのパンフレット制作事例を紹介します。
◉-1、建築設計会社
東京都北区の建築設計会社で、専門学校などに求人票と一緒に配布することを想定した採用パンフレットを制作。
学生向けであることを意識して「目を引くようなインパクトのあるデザイン」「建築設計事務所だということがすぐに分かるデザイン」「親しみやすく明るいデザイン」を心がけたパンフレットにしました。
ターゲットや利用目的がはっきりしており、要望も明確になっていたことから短期間で完成度の高いパンフレットが完成。
その後、採用パンフレットを活用した採用活動によって若い有能な人材の獲得につながりました。
◉【まとめ】パンフレットを作り込み、売上と利益率向上、リードタイム短縮を目指そう!
本記事では、紙媒体のパンフレットが住宅などの高単価ビジネスに有効な理由、住宅会社やハウスメーカーのパンフレットに盛り込むべき内容、パンフレットの活用方法や制作事例などについてくわしく解説しました。
紙媒体のパンフレットのメリットとしては、信頼性の高さや比較検討のしやすさ、保存性の良さなどがあり、高単価商品である住宅販売において最も重要な顧客との信頼関係の構築に大きく寄与することができます。
フォーウェイでは、パンフレットの制作はもちろん、他のマーケティング施策との連携についても多くの実績があります。
住宅会社やハウスメーカーのパンフレットのご相談はぜひフォーウェイまで。
参考コラム:ホームインスペクションは新築でも必要?理由とメリットを理解しよう!|株式会社テックビルケア
セールスプロモーションを積極的にやっているはずなのに商品やサービスが思ったように売れない…、そんな時にはセールスプロモーションの成功事例を研究してみるのがおすすめです。
もちろんその成功事例の真似をしても自社でうまくいくとは限りませんが、セールスプロモーションの成功事例を見てみると、意外に多くの共通点に気づくはずです。
成功している会社がどこも共通して押さえているポイントがわかれば、それを自社風にアレンジして取り入れることで成功確率は大きく向上する可能性があります。
この記事では、そんなセールスプロモーションの成功事例を10例と、その全てに共通する点をご紹介します。
ぜひ貴社のセールスプロモーションにも生かしてみてください。
目次【本記事の内容】
執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)
 福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経済法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を担当し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。 |
◉セールスプロモーションに成功するには?
セールスプロモーションに成功するためには、小手先のテクニックを駆使するだけではうまくいきません。
たとえ最初の時点ではうまくいったとしても、途中から伸び悩んでしまい、その後どうやって改善していけば良いのかが分からなくなってしまうことが多いものです。
セールスプロモーションを長期的に成功させるためには、本質をきちんと押さえて実践しなければなりません。
では、一体その本質とはどのように知るのか。
実はセールスプロモーションを成功に導く本質は成功事例の中に隠れているのです。
◉セールスプロモーションの成功事例の共通点
セールスプロモーションの成功事例というと「このSNSを使って成功した」「このテクニックを使ったから成功した」という小手先のテクニックに目が行ってしまいがちです。
これらの小手先のテクニックをそのまま自社に適用したとしても一過性の成功に終わってしまいます。
将来を見据えて売上アップを狙うのであれば、これらのテクニックに着目するのではなく、奥に隠れた本質的な共通点を見つけることが重要です。
具体的には次の3つのポイントが着目してほしい共通点です。
・顧客ターゲットに合わせたタイミング ・顧客ターゲットに合わせた媒体・手法選定 ・顧客ターゲットを巻き込んだ企画(UGC) |
それぞれ詳しくみていきましょう。
◉-1、顧客ターゲットに合わせたタイミング
顧客ターゲットには、ある商品やサービスを検討したり、欲しくなったりするタイミングが必ず存在します。
そのタイミングを逃さないように、そのタイミングはいつなのかを検討してプロモーションを実施することが重要です。
たとえば、ダウンジャケットを例にあげると、1月の寒くなった時期からプロモーションを始めても遅いのです。
なぜなら、ダウンジャケットのような冬物アウターの購入を顧客が検討する時期は、「寒くなる前」だからです。
徐々に寒くなってくる11月末〜12月にかけて、もっと寒くなる時期に備えてダウンジャケットを購入することが多い傾向があります。
株式会社ナビットが2024年11月に20代〜80代の男女1,000人に対して実施した「冬物アウターについてのアンケート調査」によれば、1,000人中の18.5%(235人)が「寒くなってから」と回答しており、一番多くなっています。
そのため、11月の秋頃の段階から徐々にプロモーションを始めて、12月になって気温が下がってきて誰もが「寒いなぁ」と感じるようになった段階でプロモーションを強化する、もしくは始めるために商品を販売準備しておく必要があるのです。
このダウンジャケットのように、自社の顧客ターゲットがいつから購入検討を始めていつ購入するのかを考えて、前もって計画し仕込んでおくことが重要です。
成功事例を見てみると、そんな顧客ターゲットのタイミングにバッチリ合わせてプロモーションを始めていることがわかります。
◉-2、顧客ターゲットに合わせた媒体・手法選定
顧客ターゲットには、それぞれ年代ごとによく利用したり目にしたりする媒体があるはずです。
たとえば、60代以上が顧客ターゲットの場合、いくらSNSを利用したプロモーションを行ったとしても、そもそも60代以上の顧客ターゲットは若い世代に比べるとSNSをメインで見るという割合が少ない傾向があるので、そのプロモーションは効果がないと言えるでしょう。
一方、若い20代の女性が顧客ターゲットであれば、よく使う媒体の1つがSNSです。
特にSNSの中でもInstagramやTikTokなどが見られています。
成功事例を見ると、顧客ターゲットに合わせた媒体や手法を吟味して選択しているという共通点がわかります。
◉-3、顧客ターゲットを巻き込んだ企画(UGC)
セールスプロモーションなので売る側としては売り込みをしたくなるものですが、だからといって売り込みをしすぎると売れなくなってしまうというのが現代のマーケティングの実情です。
これは、プロモーションの中に「売りたい」という売る側の意図が滲んでしまうという点と、現代が情報に溢れすぎているという点が要因としてあげられます。
そんな中で顧客にしっかりと商品をプロモーションしていくためには、「売り込み」や「情報発信」といった商品販売元側からの発信に重きをおくだけでは不十分と言えます。
実際に弊社にもプロモーションに悩む多くのクライアントさまからの相談がありますが、フタを開けてみるとこちら側からの一方的な発信や広告ばかりを行っていることがほとんどです。
顧客ターゲットが「やってみたい」「面白そう」と思ってもらえるような企画を実施して、顧客ターゲットが自主的にSNSなどに投稿したり拡散したりしてくれるようなUGC(User Generated Content:ユーザー生成コンテンツ)が積極的に行われるような環境を作ることが重要です。
UGCは、一見売上に直接つながらないと思われますが、認知拡大などで結果的に商品が売れたりします。
多くの成功事例を見てみると、まずは「顧客を楽しませる」「顧客とコミュニケーションを積極的に行う」ということを実践されていることがよくわかると思います。
一つポイントとしてお伝えしたいのが、セールスプロモーションのKPIは売上や販売数などにしない方が良い、という点です。
なぜなら、そのKPIを達成しようと考えて、セールスプロモーションに売り込み要素を入れ込んでしまいやすくなるからです。
◉セールスプロモーション成功事例10選
前述したように、セールスプロモーションの成功事例にはいずれも顧客ターゲットに合った「タイミング」「手法・媒体」というマーケットインの考え方と、顧客ターゲットを「巻き込んで」実施するというユーザーコミュニケーションの実践という3点が共通しています。
実際にセールスプロモーションに成功した事例を元に、3つの共通点をどのような形で取り入れているのかを見ていきましょう。
◉-1、保険代理店が書籍出版でブランディングに成功
ある保険代理店は、同業他社との差別化を図るために書籍を出版してプロモーションを行いブランディングに成功しました。
保険代理店は飽和状態にあり差別化が難しいと言われている時期に、その解決策の一つとして書籍を使って「保険業界で当たり前に行われている成果報酬型の給与体型を一律報酬型に変え、一部の限られたトップ営業マンに頼るのではなく、アベレージヒッターを育てていく経営にすれば業績拡大ができる」という持論を提唱。
悩んでいる保険代理店が多いタイミングだったこともあり業界内での自社の地位向上にも寄与することができました。
結果として、出版記念セミナーや講演などで顧客ターゲットを巻き込み、書籍によって「保険会社にとって頼れる代理店」という認知を獲得。
大口の法人案件獲得や採用強化にもつながっています。
書籍出版という方法を選んだことにより、Webなどを見ないような経営者層などに読んでもらうことができたという点(顧客ターゲットに合わせた媒体選択)、また書籍を通して業界の大きな課題に対して解決策を提唱した点が、このセールスプロモーションの成功の要因と言えるでしょう。
また、ただ出版するだけではなく、SNSやSEOなどWebマーケティング手法を活用したり、セミナーを開いたりすることで多くの顧客ターゲットを巻き込み、共感を生むことができたという点も大きな要因の1つと言えます。
◉-2、医師をターゲットとした効果的なプロモーションで売上向上
ある不動産投資会社は、医師をターゲットとして書籍を活用した効果的なプロモーションを行い売上が倍増しました。
コロナ禍の影響で収入が増えた医師が納税について検討を始めるタイミングに合わせて「医師の節税対策として最も効果的なのは不動産投資である」という書籍を出版。
この会社では従来からWeb広告を利用して情報発信を行っていましたが、期待通りの成果が得られなかったため、書籍を読むことが多い医師に向けてのプロモーションを行ったのです。
書籍出版後、多くの医師に書籍を読んでもらって売上につながったのはもちろん、顧客の医師が知り合いの医師に紹介してくれて口コミが広がり、新規顧客の獲得につながりました。
書籍に合わせた媒体を選択したことや、忙しくてなかなか節税対策ができない医師の気持ちに寄り添い情報発信を行ったことが成功の大きな要因と言えます。
◉-3、学生をターゲットとしたダンス企画でブランド認知度を向上
2016年からダンスによるコミュニケーションを実施してきたポカリスエットは、2020年春には約500人での大合唱CMを企画していましたが、新型コロナの感染拡大により断念せざるを得ないという窮地に陥りました。
この最悪のタイミングを逆手にとって、約100人の学生による自撮り動画を使った「リモート合唱」をCMにしてプロモーションに成功。
TikTokなどでの動画投稿を日常的に行っている学生にとって、自撮りで歌唱動画を撮ってTikTokで投稿することには全く抵抗はなく「#ポカリNEO合唱」のハッシュタグをつけた投稿が相次ぎました。
約100人の学生が自分たちの生活する場所から、一つの歌を自分らしく歌い、それを編集してひとつのプロモーションCMが完成したのです。
コロナ禍という特異な状況の中での学生たちのリアルな思いが「NEO合唱」となって完成し、結果としてポカリスエットのプロモーションの成功につながりました。
UGCのお手本のような事例でしょう。
ポカリスエットの顧客ターゲットはアクティブな活動をする若者であり、そこを巻き込むような企画ができたことが、結果として「ポカリスエットが若者の活動を支えている」というイメージが付き、商品認知度やブランディングにつながった典型事例と言えます。
◉-4、どっち派?をうまく活用し売上向上
チョコレート菓子の「きのこの山」と「たけのこの里」を発売する明治製菓は、2018年にSNSを活用したプロモーションを実施。
どちらも発売後約40年というロングセラー商品でしたが、カタチや味わいの違いから「きのこ派」と「たけのこ派」に分かれた「きのこたけのこ論争」がたびたびSNS上で行われて話題になっていたのです。
このタイミングで、Twitterを活用した「きのこの山・たけのこの里国民総選挙2018」というプロモーションを実施してCMを超える大きな成果をおさめました。
きのこの山が好きな「きのこ党」、たけのこの里が好きな「たけのこ党」、どっちも好きな「どっちも党」の3党による国民総選挙を行い、最終的にTwitterやはがきでの投票総数は約1,600万票にも上ったそうです。
明治製菓側からの一方的なアンケートではなく、SNSで多くの議論がすでに行われていたことに対して公式が大々的に国民総選挙を企画したことや、「この総選挙をしたことで何が明治製菓にとって得なのか?」が全く見えない「売り込み感のなさ」が成功の要因と言えます。
もし明治製菓側が欲しいアンケート結果を取るために別の話題で総選挙を企画していたとしたら、ここまでの成功には繋がらなかったのではないでしょうか。
◉-5、オウンドメディアで店舗スタッフの専門知識を記事として発信、売上向上
ホームセンターCAINZを展開するカインズは、自社のオウンドメディア「となりのカインズさん」を活用したプロモーションを実施。
「となりのカインズさん」を創刊した2020年6月は、ちょうどコロナ禍真っ最中で、Webマーケティングの手法としてオウンドメディアは「もうオワコン」と言われていた時期でした。
しかし、あえてこのタイミングで「ホームセンターを遊び倒すメディア」をコンセプトに創刊して、その後半年で月間100万PVを記録、1年で月間400万PVを達成。
それぞれの店舗でスタッフが培ってきた専門知識をリアル店舗での「1対1」の接客だけで終わらせるのではなく、オウンドメディアを使って「1対多」の接客に活かすことができたのです。
記事がリアル店舗での売上増につながるとともに、多くのメディアからの問い合わせのきっかけになりました。
ただ記事で情報発信するのではなく、店舗スタッフが店頭で行ってきた顧客への疑問への回答などを情報として発信したことにより、一方的な情報発信にならなかった点が成功要因の1つと言えるでしょう。
また、コロナ禍であり、「おうち時間の充実」が重要視され、DIYなどの需要が増えたタイミングで始めたというのも成功要因と言えそうです。
◉-6、賃貸住宅企業がハンバーガーチェーンとコラボしユニークな企画を実施
賃貸住宅企業のエイブルは、ハンバーガーチェーンのバーガーキングとユニークな異色コラボによるプロモーションを行いました。
「近くに店舗がない」「近くに店舗を作ってほしい」というバーガーキングのファンの声がSNS上で散見されるようになったタイミングで、バーガーキングの店舗の2.5km以内にあるエイブルの物件を契約すると人気メニューが当たるというキャンペーンです。
物件情報サイト「BK TOWN ROOM」を設置するなど、非常にユニークなプロモーションとして話題になりました。
新店舗の出店はすぐには実現できません。
その代替施策として実施したこのプロモーションですが、「意外と近くに店舗がある」という気付きを与えることができるなど、バーガーキングの認知度向上に大きく寄与しました。
SNS上ですでにあがっていた声を拾って企画に昇華した点や、ユニークで面白い企画であることにより、「物件を紹介したい」という真の企業側の意図がうまく隠れたことがプロモーション成功につながった要因の一つと言えるのではないでしょうか。
◉-7、フリマアプリ企業が新聞の折り込み広告を活用、高齢者層への認知を拡大
フリマアプリ企業のメルカリが、2018年に北海道と愛知県限定で新聞折り込みチラシを使ったプロモーションを実施。
フリマアプリといえば、比較的若い世代の人がスマホを使って出品者と購入者がやり取りするものですが、あえてこのタイミングで新聞折り込みチラシを利用することによって話題となりさらに利用者が増えるという効果が得られました。
新聞折り込みチラシを配布した当日夜には「メルカリの新聞折り込みチラシ」というキーワードがTwitterで注目されるなど、大きなインパクトを与えたのです。
新聞折り込みチラシを使ったことにより、スマホの利用に慣れていない高齢者の話題にあがったり、自宅に眠ったままになっている日用品や洋服などをフリマ市場に流通させることにも成功しました。
このメルカリの事例のように、「デジタル時代だからデジタルの手法でやる」というのではなく、デジタル時代についていけない層に寄り添った媒体・手法選びをあえて行ったことが成功の要因の1つと言えます。
◉-8、難しい製造業の決裁権者へのアプローチを書籍にて実施、問い合わせ数増加
ある製造業向けのコンサルティング会社は、決裁権者へアプローチするために書籍を使ったプロモーションを実施。
近年製造業DXなどが話題になってきたタイミングで書籍を出版したもので、書籍を選んだ背景には製造業の決裁権者はWebは見ないが書籍を読む人が多いという理由もありました。
書籍のテーマは「ファクトリーオートメーションによって製造業の人材不足を解決し、経営効率化と利益の最大化ができる」というもので、製造業DXの目的にも沿うものでした。
書籍出版後の1ヶ月間で10件以上の問い合わせがあり、今までアプローチできていなかった新規のターゲットからの問い合わせも含まれていたそうです。
書籍を読んだ顧客からの問い合わせだったため、説明に長い時間がかかることもなく、新しいコンサル契約を獲得することにつながっています。
顧客ターゲットに合わせた適切な媒体・手法選びが功を奏した典型的な事例と言えるでしょう。
◉-9、自社のデジタルビデオカメラを使用した動画をYoutubeで募集、商品の認知度向上
ソニーは、自社のデジタルビデオカメラ「ソニーアクションカム」で撮影した動画をYoutubeで募集するプロモーション「アクションカム動画投稿キャンペーン」を実施。
アクションカムを使うと、これまでのビデオカメラでは撮影が難しかった自転車やスノーボードなどのスポーツシーンの動画が簡単に撮れることになったタイミングに合わせて、このプロモーションを始めたのです。
このキャンペーンの投稿動画の再生回数は1億回以上にも上ったと言われています。
このキャンペーンを通して、アクションカムを購入したもののあまり使っていなかったという人に、動画撮影や動画共有の楽しさを再認識してもらうことができ、ソニーアクションカムの認知度向上やブランディングにも寄与しました。
デジタルビデオカメラの性能を伝える動画は自社で制作して発信したくなるのが一般的です。
そんな中で、「自由に撮影した動画を募集する」という形で顧客ターゲット自身に動画をアップしてもらい、その動画を通じてデジタルビデオカメラ性能を伝えたことにより、「売り込み感」を全く感じることなく商品プロモーションができた点が成功につながったと言えます。
◉-10、ユーザーの声を徹底的にヒアリングし開発した商品がヒット
美容分野に特化した動画メディアDINETTEを2017年にスタートさせたDINETTE株式会社は、2019年にD2Cコスメブランド「PHOEBE BEAUTY UP」を立ち上げました。
DINETTE株式会社では、動画メディアDINETTEで「ファンと距離の近いメディア」を作りあげ、ユーザーの声を徹底的にヒアリングしてまつ毛美容液を完成させました。
この完成のタイミングで、「PHOEBE BEAUTY UP」のブランド第一弾商品としてのプロモーションを行い、多くのファンの支持を集めてヒット商品になったのです。
その後もフェイスマスクや毛穴美容液、化粧水・乳液などを次々に商品化して、ブランド立ち上げ後2年で年商15億円にまで成長しました。
顧客ターゲットの声を徹底的にヒアリングしたことにより、商品開発自体に顧客を大きく巻き込んだ点や、自社の作りたい商品ではなく顧客が欲しいと思う商品を販売したことが、このプロモーション成功の大きな要因と言えるでしょう。
◉【まとめ】マーケットインの考え方とユーザーコミュニケーションが成功の秘訣
本記事では、セールスプロモーションの共通点について、実際にセールスプロモーションに成功した10の事例を取り上げて解説しました。
成功事例に共通する3つの共通点は、顧客ターゲットに合った「タイミング」「手法・媒体」というマーケットインの考え方と、顧客ターゲットを「巻き込んで」実施するというユーザーコミュニケーションの実践です。
株式会社フォーウェイでは、この3つの共通点を達成するプロモーション手法の1つとして書籍を活用したプロモーション手法「ブックマーケティング」のサービスを提供しております。
ブックマーケティングとは、名前の通り書籍をマーケティング活動に活用するもので、書籍の社会的信頼性の高さによって、デジタル媒体ではアプローチが難しい高齢者世代や富裕層、経営層にもアプローチすることが可能です。
「書籍は情報を得るための媒体」と思っている方が多いため、売り込み感を出すことなく、顧客ターゲットの悩みを解決する方法の1つとして商品やサービスの紹介ができます。
ブックマーケティングのように書籍を活用したセールスプロモーションをご検討中の方はぜひ一度ご相談ください。
「権威性」とは、「社会全体からどの程度認められた存在なのか?」を表す評価指標です。
たとえば、「その業界や分野の第一人者であり、世界的な権威者」という人の話の方が、そうでない人の話に比べると、信頼感を持って聞いてもらえるということがあるはずです。
実際に、人は権威のある人の話に耳を傾けやすく、信用しやすいという傾向があります。
そのため、マーケティングで成果を出していく上では「いかに権威性を高めるか」は重要なポイントとなっています。
また、2014年からGoogleが検索結果の表示順位を決めるための要素の一つとして「権威性」を導入したことから、SEO対策を行う上でも重要性が増しました。
この記事では、企業や経営者が「権威性」を高める方法などについて詳しく解説いたします。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
◉権威性とは?
「権威性」とは、「社会的にどの程度承認を受けているのか」を表す評価指標です。
「権威」という言葉からは「権力」や「他人を服従させること」などを連想しがちですが、マーケティング分野やSEO対策において「権威性がある」とは、「社会的に承認を受けている」という意味になります。
たとえば、人や組織などが「社会的に承認を受けている」具体例としては、次のようなものがあります。
- ・正式(オフィシャル)である
- ・公的機関である
- ・公的資格を有している
- ・その分野の第一人者である
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SEO対策においては、Googleが検索アルゴリズムに「権威性」を導入したことから、必要不可欠な要素となりました。
また、マーケティング分野においても「権威性」は重要な要素の一つで、たとえばLP(ランディングページ)制作の際には、「権威性」の表現を用いることが推奨されています。
◉権威性があるメリット
「権威性」があるメリットとして、顧客からの信頼を得やすくなるということがあります。
具体的なメリットとしては次のようなことが挙げられます。
- ・サイトや記事などがGoogleから評価されやすくなる(SEO)
- ・顧客からの信頼を得やすくなる(成約率向上)
- ・ファンができる
それぞれくわしく見ていきましょう。
◉-1、サイトや記事などがGoogleから評価されやすくなる(SEO)
Googleは、2014年から検索品質ガイドラインに「E-E-A-T」という評価基準を導入しました。
これは、Exprerience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の頭文字を表しており、この中に「Authoritativeness:権威性」が含まれています。
つまり、Googleによって「権威性」が高いと評価されると検索結果の表示順位が上位になるということです。
これによって、顧客(検索した人)が自社サイトを閲覧する可能性が高くなり、売上や成約率の向上などにつながることが期待できるのです。
たとえば、SEOの傾向として、大手企業が運営するサイトの方が、個人や中小企業のサイトよりも検索結果の表示順位が上位になる傾向があります。
これは、個人や中小企業のサイトよりも大手企業が運営するサイトの方が「権威性」が高いと判断されるからです。
このGoogleの評価基準では、コンテンツやその作者だけではなく、Webサイト全体が評価対象となりますので、「権威性」を高めるためには、記事単位のコンテンツだけではなくWebサイト全般についても配慮しなければなりません。
◉-2、顧客からの信頼を得やすくなる(成約率向上)
経営者や営業担当者に「権威性」があると、顧客と話をする際に自然と説得力のある話し方になります。
商談の場などで説得力のある話し方をするためには、商品やサービスについての専門的な知識はもちろん、関連する質問などがあっても何でも答えられるという自信が必要です。
たとえば、経験豊富なベテラン営業担当者と新入社員の営業担当者とでは「権威性」には大きな差が出てくるでしょう。
また、同年代の営業担当者であっても、商品やサービスに関連する資格を持っている人とそうでない人では、話の説得力が変わってきます。
実際に、対面で話をする際には、自信がある話し方とそうでない話し方は、顧客にはすぐに違いが分かってしまいます。
「権威性」があると顧客から無条件に信頼してもらいやすくなり、結果として売上や成約率の向上につながります。
◉-3、ファンができる
「権威性」が高いと、SNSなどで発信したメッセージを受け取ってもらいやすくなり、メッセージの内容についても信頼して受け入れてもらいやすくなります。
たとえば、特に何の権威性のない人が「日本経済は今後こういった傾向になっていく」と発言するのと、有名大学の経済学部の教授が同じ発言をするのでは、後者の方が説得力を感じると思います。
このように、権威性があるかないかで発言についての説得力が変わってくるのです。
そのため、メッセージに対して好意的な返信をしたり、好意的なメッセージを付けて拡散をしたりしてくれるなど反響が大きく、ファンを獲得しやすくなるというメリットが生まれます。
参考コラム:【2024年最新】公認会計士事務所におすすめのSEO対策6選
◉企業や経営者の権威性を高めるための方法
「権威性」があると自社や自身に大きなメリットがもたらされます。
では、企業や経営者が自社や自身の「権威性」を高めるにはどうすれば良いのでしょうか?
具体的には次のような方法が有効です。
- ・公的な資格を取得する
- ・書籍を出版する
- ・受賞する
- ・メディア露出を増やす
- ・権威性を高めるSEO対策の実施・講演を行う
- ・実績の数を増やす
- ・上場する
それぞれどのような方法なのか、具体的に見ていきましょう。
◉-1、公的な資格を取得する
弁護士や公認会計士、税理士、一級建築士などの国家資格や社会的に認知度が高い資格を取得することによって「権威性」を高めることが可能です。
難関資格であればあるほど、資格の等級が高ければ高いほど「権威性」は高まります。
たとえば、「簿記資格」よりは「公認会計士」や「税理士」の方が「権威性」は高くなりますし、「二級建築士」よりは「一級建築士」の方が圧倒的に「権威性」が高くなります。
なお、資格を必要としないコピーライターやデザイナー、フォトグラファーなどの職業を表す言葉も、その道の専門家というイメージを与えますので「権威性」を高めるための一定の効果があると言えるでしょう。
◉-1-1、民間資格ではダメ?
民間資格の場合、社会的に認知されていないことが多いため、あまり「権威性」は高くありません。
どちらかというと、「ないよりは良い」というレベルでしょう。
しかしながら、民間資格であっても「英検1級」のように認知度が高いものは存在します。
また、「薬機法管理者」などのように、民間であっても「こういった専門家なのかな」と分かりやすい資格もありますので、ないよりはあった方が「権威性」は高くなります。
◉-2、書籍を出版する
一般的に、その道の専門家であったり、知名度が高くないと書籍を出版できないイメージがあります。
デジタル時代の今でも書籍の社会的信頼性は高いため、書籍を出版することで「権威性」を高める効果が期待できます。
◉-2-1、書籍を出版するだけでは不十分!
書籍を出版するだけであれば、それほど難しくはありません。
費用はかかりますが、自費出版を活用すれば、自分の書籍を比較的簡単に出すことができるのです。
書籍を出版することで、確かに「権威性」は高まりますが、それだけでは不十分です。
なぜならば、前述のように「権威性」を高めるためには「より社会的に承認を受けている状態」でなければならないからです。
そのため、「自費出版」した場合は、書店でも販売したり、見込み客に配るなどの方法によって、世の中に「出版した事実」を広める努力が必要となります。
◉-3、受賞する
何か賞を受賞することによって「権威性」を高めることもできます。
賞といってもいろいろなものがありますので、自社の商品やサービスに応じて選ぶ必要があります。
たとえば、「グッドデザイン賞」は、日本のデザイン分野では最も認知度の高い賞です。
また、製品、建築、ソフトウェア、システム、サービスなど形の有る無しに関わらず対象となりますので応募しやすいと考えられます。
食品関係であれば「モンドセレクション」がありますし、販売系であれば通販サイトの「ショップ・オブ・ザ・イヤー」などがあります。
自社のHPや商品パンフレットなどにこれらの受賞実績を表示すると、取り扱っている商品やサービス、サイトを「すごい」と感じさせることができます。
その他にも探せば応募できる賞はたくさんありますので、自社に合ったものを探して応募してみましょう。
◉-4、メディア露出を増やす
「権威性」は「社会的にどれぐらい認められているのか」を表す指標なので、自身や企業自体がいかにメディアに露出して認知されるかが重要です。
そのためにも、書籍だけではなく、世の中の多くの人が「すごい」と思ってもらえるようなメディアに露出していく必要があります。
メディアにも多くの種類があります。
そのため、自社の取扱商品やサービスに応じて適切なメディアを選ばなければなりません。
たとえば、一般消費者向けの商品やサービスであれば、テレビや新聞、雑誌、SNSなどが考えられますし、BtoB商品やサービスであれば、新聞や業界紙、事業に関連するポータルサイト、SNSなどが考えられます。
また、できるだけ信用度の高い有名なメディアに取り上げられることが「権威性」を高めるためには重要です。
具体的には以下のような方法でメディア露出を増やしていけないかを検討してみましょう。
- ・積極的にプレスリリースを打つ
- ・大手メディアに記事を寄稿する
- ・積極的にSNSで情報発信する
- ・テレビやラジオに出演する
- ・テレビCMを打つ
具体的にどのような方法なのかをくわしく見ていきましょう。
◉-4-1、積極的にプレスリリースを打つ
プレスリリースの最大の目的は、各方々のメディアに取り上げられて記事にされることです。
つまり、積極的にプレスリリースをすると、メディアの目に留まる機会が増え、取り上げられる可能性が高くなり「権威性」も高くなるというわけです。
メディアに取り上げられやすくするためには、トレンドになっている話題を絡めたり、開発秘話などのストーリー性のある話題を盛り込んだり、顧客にどのようなメリットがあるのかを分かりやすく盛り込んだりすることなどが必要です。
また、新商品発売のプレスリリースの場合は、旧商品とどこが違うのか、他社製品とどこが違うのかなどが分かりやすく記載しておくと、メディアで記事を作成する際の手間がかからないため取り上げられる機会が増えます。
◉-4-2、大手メディアに記事を寄稿する
大手メディアに記事を寄稿することによって、記事になり「権威性」が向上します。
まったく縁のないメディアにいきなり寄稿しても相手にされないことが多いと思われますので、たとえばこれまでにプレスリリースを取り上げてくれたメディアなど、何らかのつながりのあったところに寄稿依頼などを送ってみてはいかがでしょうか。
また、ジャンル違いのメディアに掲載しても意味がないので、商品やサービスに合ったジャンルのメディアを選定して依頼することが大切です。
◉-4-3、積極的にSNSで情報発信する
SNSで情報発信することによって、メディアの目に留まって取り上げられる可能性が増えて、「権威性」の向上につながります。
SNSは個人が閲覧するだけではなく、多くのメディアが何か記事になるネタがないかを探しています。
最近ニュースなどで「このニュースに関してSNSでは〜」という風にSNSの反響などをそのまま活用している放送局も多くなってきています。
前述のようにメディアといってもいろいろな種類があり、そのメディアのターゲットに注目されるようなネタを探しているわけですから、一般消費者向けの商品やサービスでなくても、積極的に情報発信をしていくべきです。
◉-4-4、テレビやラジオに出演する
テレビ番組やラジオ番組に出演してメディア露出を増やすことも「権威性」を高める方法の1つです。
テレビ番組やラジオ番組に出演するためには、テレビ局やラジオ局にふさわしい番組がなくてはなりませんが、ワイドショーなどの番組であれば最近話題の商品やサービスを紹介することがありますのでチャンスはあります。
自社の商品やサービスが、近年話題の省エネや環境問題、節約などに貢献するものであるなど、話題性のあるものであれば出演の機会が期待できます。
◉-4-5、テレビCMを打つ
自社の商品やサービスが一般消費者向けである場合は、テレビCMを打ってメディア露出を上げ「権威性」を高めることができます。
テレビCMを出稿するとそれなりに費用はかかりますが、CMが流れている期間中は確実にその効果が表れて売り上げに寄与することができます。
ただし、テレビCMが流れなくなったあとまで効果が継続するかどうかは、どのような商品やサービスなのかやテレビCMの出来などによって変わってくると考えられます。
◉-5、権威性を高めるSEO対策の実施
SEO対策により、検索結果で上位表示されることも「権威性」を高める方法の1つです。
具体的には次のような方法があります。
◉-5-1、良質な被リンクの獲得
すでに「権威性」があると認められている良質なWebサイトから被リンクを獲得することによって「権威性」を高めることができます。
「権威性」のある良質なWebサイトとは、公的機関や業界で上位に位置する企業のWebサイトなどです。
権威性の高いサイトからの被リンクを獲得しているということは、それだけ信頼できる記事を出しているということと判断され、「権威性がある」とGoogleから評価されやすくなるのです。
具体的に被リンクを獲得するためには、継続的なプレスリリースを行ったり相互リンクの提案をしたりします。
◉-5-2、他メディアの記事を監修
他のメディアの記事を監修することによって「その道の専門家」と見られるようになります。
たとえば、税金のことを解説する記事に「監修者」として名前が載っていたら、その人が税金についての専門家であることが分かります。
このように、他メディアの記事を監修すると、自分自身の「権威性」を高めることができるのです。
ただし、この場合は自分自身が何らかの資格を持っていたり、専門知識があるなど、その記事のメディアから認められることが前提となります。
あるいは、自社の商品やサービス、保有技術などが他社にないような独自なものであるような場合も記事の監修をすることが可能です。
◉-6、講演を行う
講演は、その道の第一人者としてテーマに沿った話をする場なので「権威性」を高めるのに有効です。
たとえば、知名度の高いセミナーやイベントで講演すると、権威のある人と認識されて、別のセミナーの講師としてオファーを受けることも考えられます。
ちなみに、前述したように書籍を出版すると、その道の第一人者と認識されやすくなるため、講演の依頼が増加することがあります。
次の「【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店」でご紹介している保険代理店の代表は、書籍を出版した結果、多くの講演依頼が来たそうです。
◉-7、実績の数を増やす
実績の数を増やすことも「権威性」を高めるのに有効な方法です。
たとえば、HPに多くの実績が掲載されている企業と実績が掲載されていない企業では、実績が掲載されている方に「権威性」を感じるようになります。
実績の具体的例としては、売上高や売上数、顧客数、営業年数などがあります。
また、「顧客満足度No.1」や「リピート率98%」などのように計測可能な高い数値を表示すると多くの人が利用しているというイメージを抱かせることができ「権威性」を高めることにつながります。
◉-8、上場する
株式を上場すると会社の情報が公になるため、社会的認知度が一気に高まり「権威性」も高くなります。
一般的に「上場している会社=一流企業」というイメージがあるため「権威性」が高くなるのです。
◉書籍の出版が権威性を高めるにはやりやすくておすすめ!
「権威性」を高める方法の中で、一番やりやすく、かつ効果的なのが書籍の出版です。
実際に書籍の出版によって「権威性」が高まり、成約につながった事例を紹介します。
◉-1、保険代理店の事例
埼玉県で保険代理店を営む経営者は自身が出版した書籍の中で、保険業界の現状と問題点について解説し、今後の保険代理店経営に必要な考え方やシステムについて持論を展開しました。
それは保険業界の給与体系に関するもので、成果に応じて給与が決まる「成果報酬型」が当たり前ですが、これを「一律報酬型」に変えることで業績拡大ができるという内容でした。
つまり、限られた少数のスーパー営業マンに頼るのではなく、すべての社員による経営で業績拡大ができるということを書籍の中で紹介したのです。
書籍を出版したことにより業界関係者に読んでもらうことができ、多くのセミナーや講演会に講師として招かれるようになりました。
特に保険会社から講演の依頼が来たり、同業者を支援してほしいという依頼が来たり、保険会社側から一目置かれる代理店になったということの意義は非常に大きいと感じているそうです。
また、本を読んだ人から新規のコンサル契約を獲得したり、口コミでの紹介が増えて保険契約数が伸びるという大きな経営効果も得られて、出版前には考えられなかったような状態になっているそうです。
◉【まとめ】権威性を高めることで、企業や事業、経営者に良い影響を出そう
本記事では、「権威性」についてのメリットや、高めるための具体的な方法などについて解説しました。
また、企業や経営者が「権威性」を高めるために最も効果的な方法として書籍の出版があり、実際に「権威性」の向上に成功した事例を紹介しました。
デジタル技術全盛の時代にあって、どうして紙メディアの書籍なのかという疑問もあるかと思います。
それは、書籍は伝達できる情報量が非常に多く、単なる商品やサービスの紹介だけではなく、開発秘話などのストーリーをまとめて顧客に届けることができるという大きな特徴があるからです。
書籍を出版しているという「権威性」に加えて、顧客をファン化することができるコンテンツを確実に伝達することができます。
書籍の出版によって「権威性」を高めて、企業や事業の経営に良い影響を与えることができるでしょう。
商品やサービスの課題として「権威性のなさ」を感じている企業さまは、ぜひ書籍の出版を検討してみてはいかがでしょうか。
フォーウェイまでお気軽にご相談ください。
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健康食品や化粧品、サプリメントなどの広告・PRに携わっている広告担当者や広報担当者にとって、薬機法(旧:薬事法)に関する知識は欠かせません。
薬機法(旧:薬事法)に違反する広告・PRを行ってしまうと、場合によっては罰金や逮捕などの厳罰が課せられることもあります。
そこで本記事では、まず薬機法(旧:薬事法)とは何かについて説明し、その後に薬機法(旧:薬事法)に違反せずに広告するためのポイントについて分かりやすく解説していきます。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
◉薬機法(旧:薬事法)とはどんな法律?
薬機法(旧:薬事法)とは、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの品質と有効性、安全性を確保するために、製造から販売、販売後の安全対策までを規制する法律です。
この法律は従来「薬事法」と呼ばれていましたが、2014年(平成26年)に改正が行われて、名称が「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に変更されたため、これを略して「医療品医療機器等法」や「薬機法」と呼ばれています。
◉-1、薬機法(旧:薬事法)の広告規制の対象となるジャンル
薬機法(旧:薬事法)の規制対象となっているのは、主に以下のようなジャンルの商品・サービスです。
- 医薬品
- 医薬部外品
- 化粧品(コスメ)
- 医療機器
- 再生医療等製品
◉-2、薬機法(旧:薬事法)の広告規制の対象者
薬機法(旧:薬事法)の広告規制の対象は「広告に関係したすべての関係者」となります。
たとえば、製造販売会社が広告を広告代理店に依頼していた場合には、広告代理店も対象になります。
また、広告を掲載した媒体の運営者や、アフィリエイター、インフルエンサーなども対象です。
◉薬機法(旧:薬事法)で規制対象となる広告の3要件とは?
1998年(平成10年)9月29日、厚生労働省は「医薬監第148号厚生省医薬安全局監視指導課長通知」において、「薬機法(旧:薬事法)の規制対象となる広告」とは、次の3つの要件をすべて満たすものであるということを示しました。
- 顧客を誘引する意図が明確である(誘引性)
- 特定医薬品等の商品名が明らかにされている(特定性)
- 一般人が認知できる状態である(認知性)
以下では、この3つの要件について詳しく見ていきましょう。
◉-1、顧客を誘引する意図が明確であること
1つ目の要件は「顧客の購入意欲を昂進(こうしん)させる意図が明確であること」と言い換えることが可能です。
つまり、「商品を販売したい」という目的が明確にわかることが要件だということです。
この意味から、アフィリエイトリンクやインフルエンサーによるPR投稿などは、この要件を満たしているため、「広告」とみなされます。
逆に、学会などでの論文において「ある健康食品の効果」について発表したような場合は、「商品を販売したい」という目的で行われたものではないので、この要件を満たさず、「広告」とはみなされません。
◉-2、特定医薬品等の商品名が明らかにされていること
2つ目の要件は、販売者(事業者や企業など)から消費者に対して行うアプローチを総合的にみて「広告」に該当するかどうかが判断されます。
たとえば、販売者(事業者や企業など)が消費者に「ある商品に含まれる成分の効果効能について説明されたチラシ」を送付した場合、このチラシは効果効能だけを説明しているので「広告」とはみなされません。
しかし、その数日後に「商品のチラシ」や「商品の購入案内」などを送付すると、総合的に判断して「広告」とみなされてしまうのです。
また、ホームページなどで「ある商品に含まれる成分の効果効能を説明するページ」と「商品の購入申し込みページ」が分かれている場合であっても」、「ある商品に含まれる成分の効果効能を説明するページ」から「商品の購入申し込みページ」へのリンクが貼られている場合には、「広告」とみなされてしまいます。
このように、単独のチラシやページだけでは「広告」に該当しない場合であっても、総合的に見て「広告」とみなされるということです。
◉-3、一般人が認知できる状態であること
3つ目の要件は、「広告の3要件」の中で最も広く解釈されて運用されているものです。
そのため、この要件にはホームページ(HP)、LP、広告、SNS投稿、などほとんどすべての情報発信が該当します。
たとえば、2014年(平成26年)5月22日の厚生労働省の通知において、IDやパスワードを入力しないと入れないサイトであっても「一般人が認知できる状態」に該当するとされています。
◉【広告担当者必見】広告における薬機法(旧:薬事法)の主な禁止事項と違反事例
健康食品や化粧品、サプリメントなどの広告・広報担当者の頭を悩ませる薬機法(旧:薬事法)。
もちろん、専門家によるチェックや修正は重要ですが、担当者もある程度「これはダメ」「これはOK」と言った薬機法(旧:薬事法)の禁止事項などを違反事例とともに知っておいた方が良いと言えます。
そうすることで担当者である程度チェック・修正することができますし、薬機法(旧:薬事法)のチェックにかかる費用の削減や、ダブルチェックにもつながります。
薬機法(旧:薬事法)に該当するような商品・サービスの広告・広報担当者は、次に挙げるような「薬機法(旧:薬事法)における主な禁止事項」を違反事例とともにぜひ知っておきましょう。
◉-1、虚偽・誇大広告の禁止(過度な褒めや効果効能など)
薬機法(旧:薬事法)では、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの名称や製造方法、効能・効果、性能に関して、虚偽広告や誇大広告をすることが禁止されています。
1.何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。 2.医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。 3.何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品に関して堕胎を暗示し、又はわいせつにわたる文書又は図画を用いてはならない。 引用元: 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第十章 第六十六条(誇大広告等) |
具体的には、「過度な褒め」や「過度な効能・効果」などを謳った広告がダメということです。
実際に「ズタボロだった肝臓が半年で復活」という肝臓疾患の予防に関する誇大広告を行ったとして摘発された事例や、解毒成分であるグルタチオンを含む錠剤(医療用医薬品)に「美白や日焼け予防などの効果がある」と宣伝して摘発された事例などがあります。
このように、「〜するだけで痩せる」「〜することで血圧が下がる」など自社の商品やサービスを使うことによって何らかの健康効果が得られる」といった表現をする場合には十分注意しましょう。
◉-1-1、違反事例1:広告表現の根拠となる臨床研究データの一部改ざんが発覚
2014年(平成26年)にある製薬会社が販売する高血圧治療薬に関する広告において、虚偽・誇大な表現を用いていたことが発覚し、薬機法(旧:薬事法)違反の疑いで告発、起訴されました。
この高血圧治療薬は狭心症や脳卒中の発症を抑える効果が他の薬剤よりも優れていることを謳った広告を行っていましたが、後にその根拠となる臨床研究データの一部改ざんが判明。
これにより、「消費者に誤解を与える広告内容」として薬機法(旧:薬事法)の「虚偽・誇大広告の禁止」に抵触したとして摘発の対象となりました。
医薬品や医療関連製品の広告では、こういった広告表現の根拠となる臨床研究データには「それが第三者機関による検証を経ているのか?」など正当性を注意深く判断しなければなりません。
◉-1-2、違反事例2:健康食品で「肝臓疾患の予防に効果がある」と効果・効能を謳い摘発
2020年(令和2年)に健康食品の製造販売会社が「肝臓疾患の予防に効果がある」という医薬品的な効果・効能を謳った広告を行い、薬機法(旧:薬事法)の「虚偽・誇大広告の禁止」に違反したとして摘発された事例です。
同社の社員と広告代理店の関係者6名が逮捕されています。
健康食品は医薬品的な効果・効能を謳って広告を行うと薬機法違反となってしまうため十分に注意しましょう。
この事例のように製造販売会社だけではなく、その広告を担当した広告代理店も一緒に摘発される可能性があるため、「広告代理店を使っているから安心」と考えるのはやめましょう。
今回のように「〜が回復する」「〜を治す」といった医薬品的な効果・効能は薬機法(旧:薬事法)の知識が少しあれば、「あれ?この表現いいのかな?」と未然に防げる事例です。
広告代理店任せではなく、しっかりと広告担当者も薬機法(旧:薬事法)の知識を持つことが重要になってくると言えます。
◉-1-3、違反事例3:健康食品で「がんが治る」と効果・効能を謳い摘発
2023年(令和5年)に、健康食品の製造販売会社が「がん細胞が99%消えた」という医薬品的な効果・効能を謳った広告を行い、薬機法(旧:薬事法)の「虚偽・誇大広告の禁止」に違反したとして摘発されています。
「〜が治る」「〜の予防になる」など効果・効能を謳った広告は、原則として医薬品、医薬部外品などに限られています。
また、医薬品や医薬部外品なども厚生労働業の承認を受けた上で、その承認範囲内でのみ効果・効能を広告することが許されているのです。
サプリメントのような医薬品や医薬部外品に該当していない商品で、「〜が治る」「〜の予防につながる」や、今回のように体験談かのように「〜が治った」や、ビフォーアフターであたかも治ったかのような表現をすることは薬機法(旧:薬事法)違反になります。
薬機法(旧:薬事法)の知識があればすぐに「あれ?」と気付ける初歩的な事例なので、きちんと広告担当者が知識を持ち、こういったアラートを出すことが重要です。
◉-2、未承認の医薬品の広告の禁止
薬機法(旧:薬事法)では、未承認の医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの名称や製造方法、効能・効果、性能に関して広告することが禁止されています。
たとえば、「米国食品薬品局が認可した画期的な飲む育毛剤」と広告した事例がありますが、たとえ米国食品薬品局で承認されていた医薬品であっても、日本で承認されていないものの広告をすることはできません。
実際に厚生労働大臣の承認を受けていない医薬品である「スーパープラセンタ」を、肌の若返りなどを謳って宣伝・販売したとして摘発された事例もあります。
そもそも取り扱う医薬品がきちんと厚生労働大臣の承認を受けているものなのかを確認することも重要です。特に他社の商品を取り扱う会社の広報・広告担当者は注意しましょう。
◉-2-1、違反事例1:承認を受けずに「免疫機能を正常化」と広告し違反
2023年(令和5年)9月27日、ペットフードの研究開発・製造・販売を行っている企業が、承認を受けずにホームページで「免疫機能を正常化」と広告したことにより、その企業の代表取締役が薬機法(旧:薬事法)の「承認前の広告の禁止等」に違反した疑いで逮捕されました。
ペットフードであっても薬機法(旧:薬事法)違反で摘発される可能性があるというもので、新潟県内では初の事例、全国でも2件目の事例となりました。
このように、「初の摘発事例」などは要チェックです。
今までは見過ごされていたものがある時期から摘発対象になる場合もあるので、十分注意しましょう。
◉-2-2、違反事例2:「アトピー治る」と未承認の医薬品を広告・宣伝し違反
この違反事例は、2013年(平成25年)2月に、自ら作製した液体を「アトピー治る」と謳って医薬品として無許可で販売した製造業者が、当時の薬事法違反の疑いで逮捕されたものです。
この容疑者は、2009年(平成21年)ごろから食酢や緑茶の成分を混ぜた「クリン8」という液体を、インターネットで全国の約2400人に1本100ML入りを4900円で販売していました。
「クリン8」の購入者から「薬機法(旧:薬事法)違反になるのではないか」という相談が警察にあり、山形県警が捜査して逮捕に至ったようです。
未承認の医薬品を販売したことはもちろんのこと、広告・広報担当者として注目したいのは「アトピー治る」と未承認の医薬品を宣伝したということです。
◉-2-3、違反事例3:未承認のサプリメントを「がんに効く」と広告し違反
2020年(令和2年)10月に、「がんに効く」という広告をして医薬品として未承認のサプリメントなどを販売した容疑で医師らが逮捕されました。
この医師が経営するサプリメント製造販売会社のホームページで、4種類のサプリメントやお茶について「乳がん予防」「インフルエンザ予防」「便秘解消」などのように医薬品としての効果があるように広告・販売していました。
この事例では、代表者の医師だけではなくサプリメント製造販売会社の従業員2名も逮捕されています。
未承認の医薬品を販売したのはもちろんのこと、注目すべきはその製造や宣伝に関わった人も巻き込んで逮捕されているということです。
このように、薬機法(旧:薬事法)違反は、周辺のさまざまな関係者を巻き込んでしまう可能性があることを知っておきましょう。
◉-3、他社商品の誹謗広告の禁止
薬機法(旧:薬事法)では、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの名称や製造方法、効能・効果、性能に関して、他社商品の誹謗広告をすることが禁止されています。
たとえば、「〇〇社の製品よりも良く効きます」や「他社製品より安全です」などの表現が該当します。
「他社製品より安全です」のように、他社や他社製品を明示せずに漠然と比較する場合でも、間接的に他社を批判しているとみなされて薬機法に抵触するおそれがあるので注意が必要です。
そのため、製品同士で比較広告を行う場合は、自社製品の範囲で行う必要があります。また、対象商品の名称を明示しなければなりません。
◉-4、医療関係者等の推せんの禁止
薬機法(旧:薬事法)では、「医療関係者等」による推せんが禁止されています。
ここでいう「医薬関係者等」とは、医療や美容に関する国家資格や同等の資格を持っている専門家のことを言い、医師や歯科医師、美容師、理容師、鍼灸師、教授などが該当します。
これは、医師や美容師による推せんには影響力があり「効能・効果や安全性の保証」とみなすことができると考えられるからです。
たとえば、医薬品などの広告で、医師が「〇〇に効きます」というような表現をしている場合は「効能・効果を保証している」と誤解されるおそれがあるため禁止されています。
また、化粧品の広告で「美容師がおすすめします」というような推せん行為もNGです。
ただし、医師や美容師が監修した商品の広告において、「共同開発した事実」を記載することは問題ないとされています。
◉-4-1、違反事例1:医師の推薦コメントを使用し広告を行い摘発
2020年(令和2年)に健康食品の製造販売会社が自社商品に医師の推薦コメントを使用し、「肝臓疾患の予防に効果がある」と宣伝広告を行ったとして摘発されています。
前述の「虚偽・誇大広告の禁止(過度な褒めや効果効能など)」でも取り上げた違反事例です。
薬機法(旧:薬事法)は「根拠があれば良い」「医療関係者の推薦があれば良い」という訳ではありません。
今回のように専門家である医師の推薦コメントがあったとしても、健康食品で医薬品的な効果・効能を謳うのは違反です。
また、そもそも医師を含む医療関係者の推せんは薬機法(旧:薬事法)違反となるので、「医療関係者による推薦コメント」の使用はやめましょう。
「専門家が認めた」「医師監修」などの表現も十分注意しましょう。
医師と共同開発した事実として「医師と共同開発」程度に表現を止めておくのが良いと言えます。
◉-5、化粧品の効能・効果の範囲を超えた表記の禁止
薬機法(旧:薬事法)では、化粧品の広告においては効能・効果以外の表記が禁止されています。
たとえば、基礎化粧品の広告で「脂肪分解を昂進(こうしん)してセルライトの除去や皮膚の老化防止をする作用があります」と表現したところ、肌の機能そのものに関わる表現は化粧品の効能効果の範囲を超えているとして摘発を受けた事例があります。
化粧品の効能・効果の範囲については、厚生労働省が平成23年7月に発表した「化粧品の効能の範囲の改正について」で明確に56項目が指定されています。
たとえば、以下が化粧品の効能の範囲として許されている表現例です。
(1)頭皮、毛髪を清浄にする。 (2)香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。 (3)頭皮、毛髪をすこやかに保つ。 (4)毛髪にはり、こしを与える。 (5)頭皮、毛髪にうるおいを与える。 (6)頭皮、毛髪のうるおいを保つ。 (7)毛髪をしなやかにする。 (8)クシどおりをよくする。 (9)毛髪のつやを保つ。 (10)毛髪につやを与える。 引用元:厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」 |
また、「化粧品であれば上記どのような表現を使っても良い」という事ではなく、あくまでその化粧品に該当するもののみ使用可能となっているので、注意しましょう。
■薬機法(旧:薬事法)に違反すると重い罰則を受ける可能性があるので注意
薬機法(旧:薬事法)に違反した場合は、業務停止や課徴金納付などの重い罰則を受ける可能性があるので注意が必要です。
以下では、具体的な罰則の内容などについて説明します。
◉-1、「措置命令」や「中止命令」が下される
薬機法(旧:薬事法)に違反した事業者や企業に対しては、厚生労働大臣や都道府県知事から違反行為の中止や排除、再発防止策の実施を命じる「措置命令」や「中止命令」が下されることがあります。
なお、未承認の医薬品や医療機器の販売をした場合は、刑事罰の対象となる可能性もありますので、十分な注意が必要です。
◉-2、売上に対する課徴金が課せられる
薬機法(旧:薬事法)に違反して虚偽や誇大広告を行った事業者や企業に対しては、厚生労働大臣から課徴金が課せられます。
この「課徴金制度」は2021年(令和3年)8月1日から施行されたもので、違反を行っていた期間における対象商品の「売り上げ金額×4.5%」を課徴金として納付しなければなりません。
◉-3、社会的信用を失い契約打ち切りなど連鎖的に事業失墜に向かってしまう
薬機法(旧:薬事法)に違反して措置命令や中止命令が下されたり、売上に対する課徴金が課せられたりすると、その企業の社会的信用は低下します。
企業イメージがダウンして商品の販売中止・回収になったり、消費者はもちろんのこと株主や取引先からの信用も失って株式の下落や取引先との取引停止になることもありえます。
また、未承認の医薬品や医療機器の広告・販売をした場合は「未承認医薬品の広告禁止」に該当するため、より重い刑事罰の対象となりますので十分な注意が必要です。
最悪の場合、その企業の経営者などが逮捕されるケースも。
このように、1つの広告の違反行為によって大きな損失を被る可能性があることを知っておきましょう。
■薬機法(旧:薬事法)に違反せずに広告・PRするためのポイント
ツールです。有料ツールですが、2日間だけ全機能を制限なしで利用できるお試し制度があります。
広告・広報担当者が薬機法(旧:薬事法)に違反せずに、健康食品や化粧品、サプリメントなどを広告するためにはどのようなことに注意すれば良いのでしょうか。
具体的には以下の6つのポイントを押さえておくことで、薬機法(旧:薬事法)違反を防ぐことができます。
◉-1、薬機法(旧:薬事法)関連の資格を取得する
薬剤師資格を取らずとも、薬機法(旧:薬事法)の改正などに伴い、関連する資格も多く出てきています。
広告担当者自身がこういった資格や認証を取得し、薬機法(旧:薬事法)に精通していくのは、広告における薬機法(旧:薬事法)違反を防ぐ効果的な方法と言えるでしょう。
・薬機法広告検定 ・YMAA個人認証マーク / YMAA団体認証マーク ・薬機法管理者 ・コスメ薬機法管理者 |
薬機法広告検定
一般社団法人D2Cエキスパート協会が運営する『薬機法広告検定』は、広告やマーケティングに関わる方向けの民間資格です。
薬機法(旧:薬事法)に基づいた適切な広告表現の知識があることを証明することができます。
具体的には次の5つの商品カテゴリーごとに、薬機法(旧:薬事法)に関する基本的なルールの知識や、違反表現に対する言い換え表現を試されます。」
・健康食品 ・機能性表示食品 ・化粧品、医薬部外品 ・雑貨 ・ペットフード |
資格の勉強をすることで、薬機法に抵触せずに商品の魅力を最大限伝える表現方法を身につけることができるのがメリットです。
◉-1-1、YMAA個人認証マーク / YMAA団体認証マーク
一般社団法人薬機法医療法規格協会が運営する民間認証制度です。
薬機法などに関する適切な知識があるかどうか、実務能力を持っているかどうかを証明することができます。
個人向けと団体向けがあるのが特徴です。
合格率は『一般社団法人薬機法医療法規格協会:YMAA認証マーク資格試験』によれば、約30.7%と低いので薬機法についてある程度の知識や経験がないと取得が難しいと言えるでしょう。
◉-1-2、薬機法管理者
株式会社薬事法ドットコムが運営する民間資格です。
健康食品や化粧品、医療機器、美容機器、健康器具などのカテゴリーで、薬機法や機能性表示食品、景品表示法に関する知識があることを証明することができます。
資格取得後も最新情報をキャッチアップできたり、年3回〜4回開催される薬機法・景品表示法セミナーに参加できたり、フォローが手厚いのが特徴。
薬機法(旧:薬事法)は不定期で改正されるため、こういった最新情報のキャッチアップは重要です。
◉-1-3、コスメ薬機法管理者
薬機法管理者と同じく、株式会社薬事法ドットコムが運営する民間資格です。
商品カテゴリーの中でも特に化粧品や薬用化粧品に特化した薬機法資格となっているのが特徴です。
◉-2、業界の薬機法(旧:薬事法)に関するガイドラインをよく読む
薬機法(旧:薬事法)に関するガイドラインをよく読み込んで理解しましょう。
薬機法(旧:薬事法)自体は法律文なので小難しい表現が多いですが、それを厚生労働省が出すガイドラインを中心に、各自治体や業界団体などがNG表現など具体的な事例を踏まえて分かりやすく解説してくれています。
基本となるガイドラインとしては、以下の2つです。
また、広告に関する基準としては、以下のようなガイドラインがあります。
また、これらを元にして、以下のように各業界で個別のガイドラインが作成されているのでそちらを参考にするのもおすすめです。
これらのガイドラインを理解しておくことによって、広告を作成する際に意識して違反表現を避けることができるようになります。
また、次のように地方自治体のHPなどでも分かりやすいガイドラインが作られていたりするので、そちらも見ておきましょう。
また、これらのガイドラインを参考に、自社の商品やサービスに関する独自のガイドラインを作成しておくことも有効です。
自社のガイドラインとしてまとめるのも有効
薬機法(旧:薬事法)違反を避けるためには、前述のように広告作成用の社内ガイドラインを作成して全社的に共有するのがおすすめです。
これらを広告代理店などに共有し、広告表現がガイドラインに沿っているかどうかを厳しくチェックしていきましょう。
◉-3、過去の違反事例から学ぶ
過去の違反事例から学ぶことも重要なポイントです。
たとえば、2020年(令和2年)、健康食品輸入会社が「抗ウイルス効果がある」とお茶の広告を自社サイトで行い、医薬品として未承認の健康食品を販売したとして代表ら2人が逮捕されました。
この事例のように、特に健康食品については、医薬品と同等の効能・効果があるという広告をすると「未承認の医薬品」とみなされて薬機法(旧:薬事法)に抵触する場合があります。
これらの他社事例を参考にして、「OK表現」「NG表現」などを自社のガイドラインとしてまとめておくことも有効です。
◉-4、専門家への確認 / リーガルチェック
薬機法(旧:薬事法)の専門家にリーガルチェックを依頼して確認してもらう方法もあります。
薬機法(旧:薬事法)の知識を持った専門家が行いますので、間違いや見落としが起こる可能性は非常に少ないのですが相応の費用が発生します。
Webページの更新頻度が高いような場合は、費用対効果について検討する必要があるでしょう。
◉-5、薬機法チェックツールを使用
薬機法(旧:薬事法)チェックツールを使用する方法もあります。
薬機法(旧:薬事法)チェックツールとは、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、健康食品などの広告表現が薬機法(旧:薬事法)などの法律に抵触していないかどうかをチェックしてくれるツールのことです。
広告表現に問題がないかどうかを確認するだけではなく、代替表現の提案をしてくれるものもあります。
料金体系はツールごとに異なっており無料で利用できるものもありますが、文字数の制限などがある場合がありますので、用途に応じて検討が必要です。
主に以下のようなツールがあります。
◉-5-1、薬事法広告表現チェックツール(無料)
URL:https://check.yakujimarke.jp/
無料のチェックツールで、30文字までの広告表現のチェックが可能です。
主に健康食品や化粧品に対応しています。
薬機法(旧:薬事法)に抵触する表現の場合は結果欄に抵触している箇所とその理由が表示されます。
◉-5-2、TRUSQUETTA(トラスクエタ)
URL:https://trusquetta.net/
従来KONOHAという名称で利用されていたツールで有料です。
主に化粧品(コスメ)や健康食品に関する広告表現が薬機法(旧:薬事法)や景品表示法に抵触していないかどうかをチェックし、代替表現を提案してくれる機能もあります。
◉-5-3、Cosme Design
化粧品(コスメ)の広告チェック、成分表示名称チェックなどを行うツールです。
有料ツールですが、2日間だけ全機能を制限なしで利用できるお試し制度があります。
◉-6、次期薬機法(旧:薬事法)改正に関する動向を抑える
薬機法(旧薬事法)は次のように不定期で改正が行われています。
・2019年:法令遵守体制の義務付けや課徴金制度の導入
・2022年:緊急承認制度や電子処方箋などの創設
薬機法による規制は時代とともに厳しくなっていく傾向があり、2025年1月24日から召集の通常国会にて提出予定の薬機法改正案について注目が集まっています。
盛り込まれる可能性のある内容としては、以下の通りです。
・後発医薬品供給支援基金の設置 ・出荷停止時の届け出義務付け(製薬会社) ・法令違反のあった製薬会社に対しての役員変更命令 ・品質保証責任者を法律上明確化・課徴金制度の対象の拡大(医薬品限定で「承認内容と異なる成分・分量等の製造販売・製造等の禁止違反」を追加) ・薬事監視体制の強化 など |
2022年の薬機法改正以来、ジェネリック医薬品製造販売業者による違反が相次いだことにより、医薬品の製造販売業者における規制がより強化されることが予想されています。
広告規制についてもより強化される可能性があるため、今後の薬機法改正の動向に注目しておきましょう。
◉-7、商品カテゴリーごとに代表的なNG表現事例を把握する
薬機法(旧:薬事法)には色々と細かい規制がありますが、全てを完璧に把握するのは時間がかかります。
そのため、まずは大まかに各商品カテゴリーにおける代表的なNG表現事例を把握しておきましょう。
この業界では「こういうのが薬機法的にNG」というのが大まかにわかっていれば、その表現が出てきた時に「薬機法違反かも…」というアラートが立つようになってきます。
具体的に見ていきましょう。
◉-7-1、医薬品の薬機法NG表現事例
医薬品は一般用医薬品(OTC医薬品))に限り、厚生労働省に承認を受けた範囲で、客観的な根拠に基づき、次のような効果効能の表現が許されています。(※処方薬の広告は禁止、医療関係者向けのみOK)
・「〜の治療に効果があります」 ・「〜の症状を改善します」 |
誇大・虚偽表現を避け、承認された内容と必要な情報(用法・用量、副作用や、医薬品の正式名称など広告に含めるべき必須事項)、事実のみを記載するようにしましょう。
具体的に次のようなものがNG表現になるので、出てきた場合には削除、もしくは適切な言い換えを検討することが重要です。
◉-7-2、医薬部外品の薬機法NG表現事例
医薬部外品とは薬用歯磨き粉や、育毛剤、制汗剤、薬用化粧品などのことです。
厚生労働省に承認を受けた範囲で、客観的な根拠に基づき、次のような予防や衛生を目的とした効果を謳うことができます。
・「フケやかゆみを防ぐ」 ・「健やかな頭皮を保つ」 ・「体臭・汗臭を防ぐ」 ・「口臭を防ぐ」 ・「肌を清潔に保ち、ニキビを予防」 |
一方で、医薬品のように「治療」「改善」を示す表現がNGです。
次のようなものがNG表現になるので、出てきた場合には削除、もしくは適切な言い換えを検討しましょう。
・「シミが消える」 ・「髪が生える」 ・「肌荒れが治る」 |
◉-7-3、医療機器の薬機法NG表現事例
医療機器の広告では、次のように、厚生労働省に承認を受けた範囲で、客観的な根拠に基づき誤解を招かないような表現を使うことができます。
・「血圧の測定をサポートします」 ・「筋肉のコリをほぐします」 ・「医療機器認証を受けた家庭用治療器です」 |
一方で承認の範囲外の効果効能や、「治療」「改善」「完全」「即効」など誇大な表現をするのはNGです。
主に次のような表現には気をつけましょう。
・「高血圧が改善」 ・「肩こりや腰痛を完全に解消」 ・「最新の医療技術で、プロの治療が家庭で簡単に」 |
◉-7-4、健康食品の薬機法NG表現事例
薬機法(旧:薬事法)においては、医薬品や医薬部外品、医療機器、再生医療等製品、特定保健用食品(トクホ)、機能性表示食品、以外で広告に効果効能を記載してはならないとされています。
そのため、まずは健康食品については「治る」「改善する」「回復する」「予防する」「免疫力向上」など効果効能を謳うような表現は避けましょう。
例えば次のような表現は薬機法NGの代表例です。
・「血圧を下げる効果があります」 ・「風邪を予防します」 ・「免疫力を高めます」 ・「関節の痛みが改善します」 |
一方で、次のように「健康維持」「サポート」「応援」など、食品としての役割を適切に伝える表現は薬機法違反にはなりません。
もし上記ような効果効能を謳う表現があった場合には、言い換えられないかを検討しましょう。
・「毎日の健康維持をサポート」 ・「栄養バランスを考えた補助食品」 ・「元気な毎日を応援する成分を配合」 |
◉-7-5、化粧品(コスメ)の薬機法NG表現事例
健康食品同様に、効果効能を広告で謳うのはNGです。
特に医薬品のように「治療」や「改善」、「再生」など医薬品や医薬部外品と誤認されるような表現をすることは禁止されています。
具体的なNG事例としては次のようなものがあります。
・「シミ・シワが消える」 ・「ニキビを治す」 ・「吹き出ものがなくなる」 ・「肌の奥深くから再生する」 |
一方で、以下のような「保つ」「整える」「与える」「防ぐ」などの表現は厚生労働省が定める「化粧品の効果効能の範囲」の中に収まる表現であり、薬機法(旧:薬事法)には抵触しません。
・「肌にうるおいを与える」 ・「日焼けによるシミ、そばかすを防ぐ」 ・「毛髪にハリ・コシを与える」 |
◉広告担当者が勘違いして使ってしまいがちな薬機法(旧:薬事法)違反表現
薬機法(旧:薬事法)に該当しない商品の広告と同じような感覚で、広告担当者が「こういう項目や表現があった方がいいよね」と知らず知らずのうちに違反表現を使ってしまうことも少なくありません。
勘違いして使ってしまいがちな広告表現が次の4つです。
・医師の推薦コメント ・お客様の声 ・打ち消し表現(ディスクレーマー) ・ビフォーアフター画像 |
それぞれ具体的に見ていきましょう。
◉-1、医師の推薦コメント
「あの有名な医師も推薦!」「医療関係者からの推薦コメント」などは使わないように注意しましょう。
薬機法第六十六条第二項にて、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器などの効果・効能や性能について、医師などが保証していると誤解される恐れのある広告を禁止しています。
専門家のお墨付きというのは、強い商品訴求につながりますが、薬機法(旧:薬事法)に該当する商品に関しては使ってはいけません。
薬機法違反と指摘されるケースが多くあります。
◉-2、お客様の声
買う決め手につながりやすい「お客様の声」ですが、「お客様の声をそのまま使って違反になってしまう」というケースに注意しましょう。
個人的な感想程度であれば良いですが、次のような内容や表現が入っているお客様の声をそのまま掲載してしまうと薬機法(旧:薬事法)違反になってしまいます。
・〜という効果がある ・〜という効果があった ・〜という病気が治った ・〜という症状が良くなった |
たとえばアンケートに記載した手書きの文字をそのまま掲載する場合や、お客様が書いたリアリティを出すためにそのままの文章で出す場合などは要注意です。
◉-3、打ち消し表現(ディスクレーマー)
よくお客様の声を紹介する際に「あくまで個人の感想です」という表現を使ったり、商品の効果効能を謳ったあとに、「これは効果・効能を表すものではありません」と注意書きをしたりしていませんか。
あくまで注意書きとして記載することは問題ありませんが、この打ち消し表現を使うことで薬機法(旧:薬事法)違反を回避できると勘違いしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このような打ち消し表現を追記したとしても、広告上に記載した表現が薬機法(旧:薬事法)チェックを免れることはありません。
勘違いしている広告担当者も多いので、十分注意しましょう。
他にも次のような打ち消し表現にも注意が必要です。
個人の感想を強調する打ち消し表現 | ・あくまで個人の感想です。・効果を保証するものではなく、個人の実感に基づくものです。 |
個人差を強調する打ち消し表現 | ・使用感には個人差があります。・すべての方に同様の結果を保証するものではありません。・ご利用環境や体質により異なる結果となる場合があります。 |
効果効能に関する打ち消し表現 | ・本商品は医薬品ではありません。・健康維持のサポートを目的とした商品です。・本商品は疾病の診断・治療・予防を目的としたものではありません。 |
根拠に関する打ち消し表現 | ・これは一般的な例であり、すべての方に当てはまるわけではありません。・本内容は一部の研究に基づくもので、確実な効果を示すものではありません。 |
◉-4、ビフォーアフター画像
薬機法(旧:薬事法)に該当する商品の場合、「ビフォーアフターの画像」などを掲載したいと考える広告担当者は多いと思います。
なぜなら、お腹がぽっこり膨れた画像をビフォーとし、お腹がへこんだ画像をアフターとすれば、効果効能を文章で言わずとも、見る側に「この商品を使ったら痩せるんだ」と効果効能を暗に訴求することができるからです。
しかし、薬機法(旧:薬事法)に該当する商品の広告では、以下に該当する画像の掲載を禁止しています。
・承認を受けている範囲以上の効果・効能を表現している ・効果が現れるまでの時間を保証している ・効果の持続時間を保証している ・安全性を謳っている |
これらに該当するビフォーアフター画像を掲載すると薬機法(旧:薬事法)違反になってしまうので十分注意しましょう。
◉薬機法(旧:薬事法)を遵守しながら広告できるおすすめの方法が成分ブランディング
広告宣伝というと、テレビCMやWeb広告、SEO記事、SNS投稿などのように、パッと見てすぐわかるような方法を考えますが、「書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディング」という方法も有効です。
これは、商品やサービスの効果・効能を伝えるのではなく、それに含まれる成分などについて詳しく訴求することにより、その成分の入った商品・サービスのニーズを喚起するという方法です。
▶ブックマーケティングについては、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。
実際に書籍を使い成分ブランディングに成功して問い合わせが殺到した事例が数多くあります。
ただし、書籍だからといって一般広告よりも薬機法(旧:薬事法)の規制が緩いということではありません。
一般広告と同じように薬機法(旧:薬事法)のリーガルチェックが必要になりますし、薬機法(旧:薬事法)に違反すると、その罰則は著者だけではなく、出版社にも及ぶことがあります。
バイブル商法にならないように出版社選択は慎重に
「書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディング」を行う際に注意しなければならないのは「バイブル商法」にならないようにすることです。
「バイブル商法」とは、健康食品や化粧品、サプリメントなどの効果効能を書籍で宣伝すると同時に、その商品を販売するような商法のことをいいます。
出版業界では過去に出版社の社長がこの「バイブル商法」で逮捕されるという事件が発生しています。
これは2011年(平成23年)に発生したもので、書籍で「健康食品がガンに効く」と宣伝して健康食品の販売を幇助した容疑で逮捕されたものです。
どんなに広告担当者が薬機法(旧:薬事法)に気をつけていても、出版社に薬機法(旧:薬事法)の知識やノウハウがなければこのような事件に発展してしまいかねません。
「バイブル商法」にならないように、出版社選びは慎重に行いましょう。
◉書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディングの具体的な活用事例
ここでは、「書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディング」を活用して問い合わせの増加や販促につながったという具体的な事例を2件紹介します。
◉-1、事例①:コラーゲンという成分について説明し結果的にサプリメントの販売促進につながった事例
「あらゆる死に至る病気の原因は血管が老朽化することであり、その血管を若返らせることが健康寿命を延ばす近道だ」という内容の書籍があります。
著者は、コラーゲンサプリメントの開発・販売会社の代表者であり、医師でもありました。
書籍のタイトルやカバーなどには、サプリメントの販促につながるような話は一切入っておらず、内容も血管を若返らせるコラーゲンについて説明をする内容となっています。
しかし、本の出版後、書籍を読んだ読者から「この本で説明されているコラーゲンはどうやったら摂取できるのか」という問い合わせが出版社や著者に殺到し、結果的にコラーゲンサプリメントの販売促進につながっています。
書籍の中でコラーゲンについて説明することで、読者の中に「この本で説明されているコラーゲンを取りたい」というニーズが生まれたのです。
書籍は広告などと違い、長文をしっかりと読んでもらえる媒体です。
書籍の中でしっかりとコラーゲンに関する魅力を伝え、読者教育ができたからこそ、このようなニーズが読者の中に生まれたのだと言えます。
◉-2、事例②:サラダ油の危険性を訴求し、結果的に米油ブームにつながった事例
この書籍の著者は米油の製造・販売している企業に勤務している研究開発者で、出版の目的は米油のBtoB販売の促進でした。
書籍の内容は「一般家庭で当たり前に使っているサラダ油を摂りすぎると、がんや脳卒中、心臓病の原因になりうるという」というものです。
特に商品の訴求などをしている訳ではありませんでしたが、出版後に大きな反響があり、結果的に米油ブームにつながりました。
その後は、出版目的のBtoBでの米油の卸先の開拓だけでなく、一般消費者の反響が大きかったためBtoCでの訴求にも成功しています。
このように、商品やビジネスの話を出さずとも、成分について詳しく語ることで、商品の販売促進やビジネスの活性化につながることを証明した事例と言えるでしょう。
◉【まとめ】薬機法(旧:薬事法)を遵守しながら適切に広告・PRを実施しよう!
健康食品や化粧品、サプリメントなどの広告担当者や広報担当者は、薬機法(旧:薬事法)に違反しないように、広告・PRについて自社で入念にチェックをしたり、社外の専門家にリーガルチェックを依頼したり、薬機法(旧:薬事法)チェックツールを使用したりといろいろなことを行っていることと思います。
しかし、同時に「広告やPR、SEO記事、SNS投稿など以外の方法で、自社商品やサービスの良さを効果的に伝える方法はないのか?」ということを検討していくことも重要です。
そこでおすすめしたいのが、この記事でご紹介した「書籍(ブックマーケティング)による成分ブランディング」です。
広告やPR、SEO記事、SNS投稿などのように商品やサービスの効果・効能をダイレクトに伝えるのではなく、商品に含まれる成分について訴求することで、ユーザーに「成分を取りたい」と言うニーズを喚起させるという、薬機法(旧:薬事法)規制が厳しい時代には有効なマーケティング手段の1つです。
「薬機法(旧:薬事法)の規制によりうまくマーケティングができていない」と感じている方はぜひ一度書籍による成分ブランディングを検討されてみてはいかがでしょうか。
※書籍であっても薬機法(旧:薬事法)の規制を受けますので、薬機法(旧:薬事法)に関する知識やノウハウを有する弊社のような出版社を選ぶようにしてください。
不動産会社のように高額な商品・サービスを販売する業種の場合は、単に商品・サービスが良いだけではなく、「信頼できる会社であるかどうか」が顧客から選ばれるための重要な要素になります。
なぜなら、商品・サービスが高額になればなるほど、顧客は「信頼できる会社から買いたい」と思う傾向があるためです。
「信頼できる会社かどうか」を顧客に判断してもらう上で、会社案内は契約の決め手につながる重要な販促ツールの1つです。
この記事では、より成約につながるような不動産会社の会社案内を作るコツや、活用方法などをくわしく解説いたします。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
◉不動産会社にとって紙媒体の会社案内が重要な理由
不動産会社にとって紙媒体の会社案内が重要な理由は次の5つです。
・販売している商品の価格が高額なため
・成約までのリードタイムが長く、顧客教育が必要なため
・比較検討しやすく、一覧性が高いため
・信頼できる会社であることのアピールが必要なため
・差別化が難しい業種であるため
どのような理由なのか、それぞれくわしく見ていきましょう。
◉-1、販売している商品の価格が高額なため
不動産会社が取り扱っている商品・サービスは、購入物件と賃貸物件に分けられますが、特に購入物件である家や土地などは、顧客が一生に一度買うか買わないかというような商品です。
つまり、人生の中で購入するものの中で最も高額な商品であるといっても過言ではありません。
購入代金の支払い方法も、「35年の住宅ローン」などのように長期にわたって返済をしていくような方法が一般的です。
また、購入後になんらかの理由で売却しようと思っても、そう簡単に売れるようなものではありません。
そのため顧客も「不動産物件の購入には失敗したくない」という思いが特に強く、購入前には入念な検討を行い、購入する不動産会社と不動産物件を慎重に選定します。
その際に、「どの不動産会社から買うのか?」の比較基準の一つとして会社の信頼性が重要です。
実際に、株式会社KINTOが行った「オンラインでの高額商品の購入・契約に関する意識調査」では、「オンラインで購入・契約する際に重視したい点」について、「品質の良さ」や「コストパフォーマンスの良さ」に次いで「販売元の信頼性が高いこと」が挙がっています。
「信頼できる会社ですよ」と伝えるためにも他の会社が作っているのと同等のクオリティで、紙媒体の会社案内は必要になってきます。
◉-2、成約までのリードタイムが長く、顧客教育が必要なため
不動産物件のような高額な商品を購入する際には、顧客は不安な気持ちになっているはずです。
「不動産物件の購入に失敗できない」「もし購入後に何か不具合が起きてしまったら」というような「もしもの事態」を想定してすぐに決断できなくなっています。
そのため、不動産物件を購入する際などに、入念な比較検討が必要だったり、「そもそもこの物件を購入する必要があるのか?」などを学んだり、どうしてもリードタイムが長くなってしまいがちです。
このようなとき、顧客の不安を解消してくれるような情報を会社案内に掲載しておくことで顧客教育ができます。
「いかに顧客の購入時の不安に寄り添い、それを解消できるか?」というようなコンテンツを会社案内に掲載することが、リードタイムの短縮につながります。
◉-3、比較検討しやすく、一覧性が高いため
不動産のように商品を購入する際に比較検討を行う業種の場合、Webサイトに比べると紙媒体の会社案内の方が、机の上に並べて比較検討しやすいという強みがあります。
たとえば、家族でマイホームの購入を検討する際、「夫・妻が一人で勝手に決める」というよりも、家族で机の上にパンフレットなどを広げて、一緒に検討することのが一般的だと思います。
実際に「国立社会保障・人口問題研究所」が公表しているデータによれば、「車や耐久消費財など高価なものの購入」について、夫婦二人で一緒に考えるという回答が48.6%と一番多くなっています。
このように不動産のような高価なもの購買決定の際には、意思決定が2人以上で行われることが多いため、紙媒体との相性が良いと言えるのです。
また、画面をスクロールすることが前提のWebサイトとは違って、紙媒体はひと目で全体を見れるため、目的の情報にたどり着きやすいという一覧性の高さもメリットです。
◉-4、信頼できる会社であることのアピールが必要なため
会社のWebサイトだけではなく紙媒体の会社案内があることで、実態のある会社であることを顧客にアピールできます。
また、顧客に「きちんと紙の会社案内を用意している会社なんだ」という印象を与えられるので、会社案内のない会社よりも「信頼できる会社である」というアピールにつながります。
◉-5、差別化が難しい業種であるため
不動産会社は取り扱っている商品・サービスが決まっているため、競合他社との差別化が難しい業種といえます。
商品・サービスで「自社ならでは」という特徴を押し出していくのが難しいため、ついつい価格競争に陥りがちです。
そのため、会社案内の中で自社のイメージや考え方などを適切に伝えて差別化を図っていくことが重要となり、会社案内は競合他社との差別化を図るための重要なツールとなります。
◉成約につながる会社案内を作るコツ
不動産会社の会社案内が購入物件の成約につながる有効な販促ツールとなるように、次の7つのコツを押さえて作りましょう。
・ターゲットを明確にする
・ターゲットに合わせたデザイン・コピーを検討する
・第三者視点(お客様の声)をいれる
・不動産の写真はお金をかけても綺麗に見せる
・図表などで視覚的にパッと見てわかりやすい構成にする
・具体的な行動に移せるオファーをつける
・営業やマーケケティング活用を見据えて作る
どのようなコツなのか、くわしく見ていきましょう。
◉-1、ターゲットを明確にする
不動産業界では、ついつい「こんな人にも買って欲しい、あんな人にも買って欲しい」とターゲットを広げてしまい、訴求がぼやけてしまうことがありがちです。
たとえば、「ファミリー層」という漠然としたターゲットよりも、「5歳未満の子どもが1人いる40代のファミリー層」のように、より具体的にターゲットを設定した方が「刺さる訴求」ができるようになります。
「ターゲットを明確にする」というのは「対象を狭める」ことが目的ではなく、販売する不動産商品のメインターゲットをしっかりと明確化することが目的です。
まずはこの点をしっかりとしておかなければ、いくら見栄えの良い会社案内を作ってもターゲットに刺さるものにはなりません。
◉-2、ターゲットに合わせたデザイン・コピーを検討する
ターゲットが明確化できれば、そのターゲットの頭の中にある言葉でコピーが作成できたり、そのターゲットが興味を示すようなデザインができるようになります。
このようにして、ターゲットに合わせたコピーやデザインの会社案内を検討するのがポイントです。
◉-3、第三者視点(お客様の声)をいれる
「不動産物件を売らなければ」という気持ちから、どうしても会社案内の中に自分たちが発信したい情報だけを掲載してしまうことが多くなりがちです。
しかし、このような一方的な不動産会社が発信したい情報のみを発信していては成約につながることはありません。
「実際に購入したお客様がどうだったのか?」というような第三者視点の情報をいれなければ、説得力がなく、押しが弱くなってしまいます。
「お客様の声」などを掲載して顧客から見た不動産物件の評価をいれるようにしましょう。
◉-4、不動産の写真はお金をかけても綺麗に見せる
いくら良い商品・サービスであっても、不動産物件の写真が悪ければ、顧客の印象は「パッとしないもの」になってしまいます。
たとえば、不動産物件を探していたときに会社案内などに掲載された不動産物件の写真が薄暗かったりすると「この不動産会社はやめとこうかな」と思われてしまいかねません。
不動産の場合、不動産物件の写真は成約の決め手になる重要な要素なので、お金をかけてもしっかりと撮影しましょう。
とにかく不動産の写真を綺麗に見せることがポイントです。
◉-5、図表などで視覚的にパッと見てわかりやすい構成にする
紙媒体の会社案内は、Webサイトの情報に比べると比較的文章を読んでもらいやすいといえます。
しかし、今は「読まれない時代」です。
そのトレンドも汲んで、会社案内に掲載する図表などは視覚的にパッと見て理解できるようなデザインや構成になるように心がけましょう。
◉-6、具体的な行動に移せるオファーをつける
顧客が会社案内を「見て終わり」になってしまうと成約にはつながりません。
会社案内を見た顧客に「次のアクション」を起こしてもらうようにすることが成約に近づけるポイントです。
そのためには、会社案内の中にも「無料で内覧受付中」などの時期に関係なく使える文言に、次のような無料オファーをつけるのがポイントです。
・ホームページのURLやQRコード
・代表電話番号ではなく、お問い合わせや相談の電話番号
・LINE公式への導線(QRコードなど)
・SNSのURLやQRコード
これによって、会社案内を「見て終わり」にせず、見た顧客を次のアクションに誘導できます。
とにかく「見て終わり」にせず、「次のアクションにいかにつなげるか?」を考えましょう。
◉-7、営業やマーケケティング活用を見据えて作る
会社案内を一般的なフォーマットに則って作っているような会社も多く見かけますが、それでは顧客には刺さりにくいモノになってしまいます。
作成した会社案内を、営業やマーケティング部署でしっかりと活用してもらって相乗効果を出していくことが大きなポイントです。
会社案内を作る際には、営業やマーケティング部署から「顧客からよく聞かれること」「この情報があったら営業がしやすい」「こういう客層にはよく売れる」などの情報をヒアリングして、現場の情報を元にしたコンテンツを作り込んでいくことが重要です。
◉ただ作るだけではダメ!会社案内の営業やマーケティング活用方法
会社案内をただ作るだけでは何の成果にもつながらないので、実際に顧客と接している営業やマーケティング部署などに活用してもらうことが重要になります。
会社案内の具体的な活用方法は次の7つです。
・Webサイトへの導線をいれる
・PDF化してWeb上でも閲覧・ダウンロードできるようにする
・フォーム営業などでターゲットリストに送付する
・代理店や紹介が生まれそうな相手にも送付する
・既存のお客様にも送付する
・会社案内を活用した営業トークを行う
・WebサイトやSNSでも情報発信を行う
それぞれ活用方法をくわしく見ていきましょう。
◉-1、Webサイトへの導線を入れる
会社案内を「見て終わり」にしないためには、顧客が明確に次の行動に移せるような導線を作っておくことが重要です。
たとえば、会社案内の中に公式Webサイトや公式SNS・公式LINEへ飛べるURLやQRコードなどを掲載したりすることが考えられます。
◉-2、PDF化してWeb上でも閲覧・ダウンロードできるようにする
会社案内に掲載されたコンテンツを二次利用して他の媒体に活用できます。
たとえば、紙媒体の会社案内をPDF化して自社のWebサイトで自由に閲覧したりダウンロードできるようにするなどです。
これによって、検索サイトなどから自社のWebサイトを訪れてくれた顧客に会社案内の情報を伝えられ、新規顧客の獲得につながる可能性があります。
◉-3、フォーム営業などでターゲットリストに送付する
フォーム営業とは、企業のホームページの問い合わせフォームからメッセージを送ってアプローチする営業手法の1つです。
ターゲットリストの中からホームページに問い合わせフォームを設置している企業を抽出し、問い合わせフォームからPDF化した会社案内のURLを入れた営業メッセージを送付します。
ほとんどは無視されますが、タイミングが合ったり、興味を持ってくれた相手から返信が来る可能性があります。
もし、レスポンスが返ってきた場合はすぐに返信をして、アポを取って訪問するようにしましょう。
◉-4、代理店や紹介が生まれそうな相手にも送付する
会社案内をプラットフォーマーやパートナーなどの紹介が生まれそうな相手に送付することも有効です。
プラットフォーマーやパートナーなどは直接的な顧客にはならないと考えられますが、新規の顧客を紹介してもらえる可能性があります。
◉-5、既存のお客様にも送付する
会社案内を既存のお客様に送付することも有効な活用方法になります。
既存のお客様は自社を利用したことがあるので、その良さについては十分わかっているはずです。
会社案内が送付されてきたことをきっかけに、知人や親せきなどに紹介したり、SNSなどで口コミを発信したりして、新規顧客からの問い合わせや商談につながる可能性があります。
◉-6、会社案内を活用した営業トークを行う
前述のように、会社案内を作る前に営業やマーケティング部署にヒアリングをして、営業やマーケティング活動に使える会社案内にしておくことが大切です。
これによって、会社案内を活用した営業トークを行いやすくなり、販促活動に活かすことができます。
◉-7、WebサイトやSNSでも情報発信を行う
会社案内に掲載した情報をWebサイトやSNSに投稿して情報発信できます。
これにより、より多くの人に自社の情報を伝えられるようになります。
WebやSNSなどでの二次活用は効果的です。
◉【まとめ】作るのであれば1件でも成約につながる会社案内を作ろう!
本記事では、不動産会社の成約につながりやすい会社案内の作り方についてくわしく解説しました。
不動産会社が取り扱っている商品・サービスは高額商品です。
そのため、顧客は多くの不動産会社から得た情報を比較検討して、信頼できる不動産会社や魅力的な購入物件を選ぶはずです。
その際に、紙媒体の会社案内は顧客に自社がいかに信頼性の高い不動産会社であるかを伝える重要な役割を果たします。
また、会社案内を制作するためにはそれなりの費用と手間がかかります。
せっかく作るのであれば、営業やマーケティング活動にも活用できる成果に結びつくようなものを作るべきでしょう。
株式会社フォーウェイはコンテンツマーケティング専門会社だからこそ、コンテンツをいかに営業やマーケティングに活かしていくのかを考えた会社案内を制作できます。
不動産の成約につながる会社案内を作りたいとお考えの方がいらっしゃいましたら、ぜひ株式会社フォーウェイまでご相談ください。
出版は個人や企業にとって、ブランディングの強化や社会的信頼性の向上、さらに集客やマーケティングなどビジネスチャンスを広げるための効果的な手段の1つです。
しかし、「本を出したい」と思ったら、出版に踏み切る前に検討すべき重要なポイントがいくつかあります。
本記事では、現役の書籍編集者が、出版方法の選択から、目的設定、そして出版後の効果的な活用方法などについてくわしく解説していきます。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
◉本を出したいと思ったらまず検討すべき3つのこと
「本を出したい」と思ったときに、まず検討すべきことは次の3つです。
・出版方法の検討
・出版する目的
・出版後の活用方法
それぞれについて、くわしく見ていきましょう。
◉-1、出版方法の検討
本の出版方法としては次の3つの方法があります。
・商業出版
・自費出版
・企業出版
それぞれメリットとデメリットが異なるので、それぞれについてくわしく見ていきましょう。
◉-1-1、商業出版
商業出版とは、出版社が主導して本の企画をして著者の選定までも行う出版方法で、出版費用のすべてを出版社が負担します。
本の認知度を上げて出版社が利益を出すために行うもので、初版の発行部数は3,000部~10,000部程度が一般的です。
ベストセラーになる本の多くが商業出版で出版されており、出版社がプロモーションをして出版社の販路を使って全国の書店やインターネット書店で販売します。
そのため、商業出版では著者が書きたい内容の本が書けるわけではなく、また著者側から商業出版をしたいと企画を持ち込んでも採用される確率は低いというのが実情です。
▶︎商業出版については、関連記事【商業出版とは?企業がブランディングを考えたときの出版の選択肢】もあわせて参考にしてください。
◉-1-2、自費出版
自費出版とは、自分が出したい本の企画を出版社に持ち込み、出版していく方法です。
主に個人(企業の経営者も含む)が社会的権威性を高める目的で出版したり、自分の経験や考えを世の中に伝えたり、自分史をまとめたりする目的で行われます。
初版の発行部数は100部~500部程度です。
売上や発行部数などにとらわれずに、著者自身のペースで出版が可能で、内容についても自由にコントロールできるのが特徴です。
一方で、出版費用はすべて著者が負担するので、高い費用がかかるのがデメリットと言えるでしょう。
また、本を作ること自体は出版社がアドバイスなどをしてくれますが、商業出版や企業出版のようにプロモーションや流通(書店配本など)などについては関与してもらえないことがほとんどです。
プロモーションや流通などは基本的に著者自身が行わなければなりません。
別料金で行ってもらえる可能性もありますが、全くそういったサービス提供を行っていない場合もあります。
▶︎自費出版については、関連記事【自費出版とは?メリットやデメリット、費用相場、成功事例などを解説】もあわせて参考にしてください。
◉-1-3、企業出版
企業出版とは、企業や企業経営者が経営課題を解決するために利用する出版方法です。
企業出版により解決できる経営課題としては、主に次のようなものがあります。
・ブランディング強化
・社会的信頼性の向上
・自社の商品やサービスの認知度向上
・従業員への企業理念の浸透
・採用活動におけるミスマッチの減少
出版費用は全額企業が負担します。
本の社会的信頼性の高さやストーリー性という特徴を使って、企業が顧客や従業員に伝えたいメッセージをしっかりと形にできるのが企業出版のメリットと言えるでしょう。
企業出版では、出版社の販路を使って全国の書店への配本を行い、しっかりと読者の手元に届けるような施策を行います。
通常の営業活動ではアプローチが難しい富裕層や、社長などの経営トップ層にも読んでもらいやすいのも特徴です。
ある程度の規模になった中小企業が次のステージに進みたい場合や、同業他社との差別化を図りたいという場合にも有効な施策と言えるでしょう。
▶︎企業出版については、関連記事【企業出版(ブックマーケティング)のメリットとは? 企業が考えるべき出版による効果】もあわせて参考にしてください。
株式会社フォーウェイでは、企業出版で単に経営課題を解決するだけではなく、本というコンテンツをマーケティングに活用していく、ブックマーケティング(企業出版+マーケティング)サービスを提供しています。
◉-2、出版する目的
本を出版する際には、出版する目的を明確にすることが重要です。
目的を決めないままに出版してしまうと、何にも活用できない、ただ単に名刺代わりに配ることしかできない本ができ上がってしまいます。
本を出版する目的としては主に次のようなものがあります。
・ブランディング強化
・信頼性向上
・集客・マーケティング
それぞれくわしく見ていきましょう。
◉-2-1、ブランディング強化
本に対する社会的信頼性は高いため、本を出版することによって社会的な知名度が向上してブランディングが強化されます。
近年ではホームページやブログなどのデジタル媒体で、自社の商品やサービスの魅力をアピールする方法が注目されていますが、デジタル媒体よりは紙媒体の方が高い信頼性が得られます。
同じ消費をするのなら、信頼性の高い会社の商品やサービスを利用したいという消費者心理に応えられるのも出版のメリットと言えるでしょう。
また、本を出版することによってその道の専門家と見られるようになるので、競合他社との差別化にも有効です。
たとえば、出版後に営業マンが顧客を訪問すると「本を出版した会社の方ですね」といわれて営業活動がやりやすくなるというようなことが起こります。
◉-2-2、信頼性向上
経営者が個人として本を出版する場合でも、企業の代表者として本を出版する場合でも、個人や企業の社会的信頼性の向上につながります。
紙媒体であり、出版社や書店など多くの企業を介して作られる本の社会的信頼性はデジタル媒体での情報発信に比べて必然的に高くなります。
本を出版しているというだけで、業界内での地位が向上して一目置かれる存在として注目される可能性もありますし、テレビや雑誌などからの注目が集まれば、番組出演やインタビューなどへのオファーがあるかもしれません。
また、本をマーケティングに活用すれば、顕在層をファン化して商品やサービスの購入を促進できるようになります。
◉-2-3、認知度向上
認知度とは、名前だけでなく商品・サービスなどの価値が知られている度合いのことをいいます。
本を出版することによって、企業の認知度が上がって自社の商品やサービスの価値が顧客に認知されるようになり、集客や売上の向上につながります。
▶︎認知度向上については、関連記事【経営者必読!認知度向上の方法と効果的なマーケティングの選択肢】もあわせて参考にしてください。
◉-2-4、集客・マーケティング
本は自分でお金を支払って購入するものです。
そのため本を購入してくれた読者は、自社の商品やサービスに興味や関心のある潜在顧客だと考えられます。
この潜在顧客に本をじっくりと読んでもらうことで顧客教育につながり、より受注確度の高い顧客に引き上げることが可能です。
もちろん、潜在顧客の手元に出版した本を届けることができたという前提ではありますが、出版をうまく活用することができれば、潜在顧客や受注確度の高い集客が期待できるのです。
一方で、集客・マーケティング戦略としての書籍出版にも1つだけ決定的な弱点があります。
それは、書籍を購入してくれた読者を追いかけられないことです。
書籍を購入してくれた方というのは見込み度合いの高いリードです。
書籍を購入してくれても「いきなり問い合わせするのはハードルが高い」「まだそこまでの温度感ではない」という方も多くいらっしゃいます。
そんな方に引き続きアプローチし続ける仕掛けを書籍に行うことで、見込み度合いの高いリードを獲得することができるのです。
弊社ではそういった書籍出版や配本だけではなく、出版後のリード獲得などにもつなげる施策を提供していますが、書籍を集客・マーケティングに最大限活用するのであれば、こういった書籍出版の弱点を補う施策もどんどん活用していく必要があります。
◉-3、出版後の活用方法
出版後に本が有効に活用されるか、ただ出版するだけで終わるかどうかは、出版前に活用方法を見据えて本の企画をしたかどうかによって決まります。
自費出版や企業出版で失敗したという事例の多くは、出版後の活用方法を見据えて企画がされていないことによるものがほとんどです。
出版前から本の活用を見据えて、以下のようなことをしっかり取り決めておきましょう。
・書店配本による認知度向上
・出版記念イベント、セミナーの開催
・マーケティングや営業ツールとしての活用
・SNSと連携したプロモーション活用
・各種情報発信などへの活用
それぞれ、くわしく解説していきます。
◉-3-1、書店配本による認知度向上
書店には富裕層や企業の経営者や役員など、さまざまな方が本を探しに来店します。
ネットやSNSなどを見ないような方も多数来店されるので、他の広告手法ではアプローチできないような顧客層との接点につながります。
また、書店には、なんらかの悩みを持った人が悩みの解決になるような本を探しに来ることもあるでしょう。
自分が持っている悩みに関連するジャンルの棚から本を探す際に、目に触れる機会があり認知度向上に役立ちます。
書籍の活用方法として書店配本はプロモーションの基本です。
出版を行うのであれば、一番最初に考えるべきものと言えます。
◉-3-2、出版記念イベント、セミナーの開催
本の出版をきっかけとした出版記念イベントやセミナーを開催することも活用方法として有効です。
本の認知度を自然と高めたり、本をきっかけに自社や商品・サービスの情報を多くの人にしってもらう良いきっかけにつながります。
ただ「この商品・サービスをぜひ使ってください!」と宣伝するより、「出版を記念してイベント・セミナーを開催します!」の方が売り込み感がなく、自然な流れで商品・サービスのプロモーションのきっかけを作るのに有効な方法と言えるでしょう。
また、出版記念イベントやセミナーでは、読者や顧客と直接つながる機会を作れるので、読者や顧客の興味や関心を惹くような強い訴求ができます。
◉-3-3、マーケティングや営業ツールとしての活用
本はマーケティングツールや営業ツールとしても有効活用できます。
たとえば、販促のためにターゲットに本を配布したり、顧客との商談の際にお渡しして信頼構築や顧客教育につなげたりすることが考えられます。
◉-3-4、SNSと連携したプロモーション活用
本には大量のコンテンツが集約されています。
その一部を切り取ってSNSなどで発信することもプロモーションのきっかけとなり有効です。
「本を出版しました!」という投稿だけではなく、その中身を小出しにして活用すれば、さまざまな角度、ターゲットに対して訴求する投稿が作れるため、それだけでSNS運用を行うことが可能になります。
「何を投稿すればいいのか」と投稿内容に悩むこともなくなります。
◉-3-5、各種情報発信などへの活用
本の著作権は著者(契約者)に帰属するので、コンテンツを二次利用してより効果的に情報発信することが可能です。
そのため、Webサイトやニュースレター、メールマガジンなどに本の一部のコンテンツを活用することで、相乗効果が期待できます。
たとえば、Webサイトに活用すればSEO対策につながりますし、ニュースレターやメールマガジンに活用すれば、読者の興味喚起や、見込み顧客への教育、アップセルなどにつなげることが期待できます。
本の内容は独自性の高いコンテンツなので、こういったデジタル媒体での二次利用は効果的です。
◉本を出すまでの流れ
実際に本を出すためには、次のような手順を踏むのが一般的です。
・本の企画
・原稿の執筆
・デザイン
・校正・校閲
・印刷・製本
本を出すまでにかかる期間としては、早くて3ヶ月程度です。
一般的には半年〜8ヶ月程度かかると見積もっておくと良いでしょう。
それぞれの手順についてくわしく見ていきましょう。
▶︎書籍出版の流れ、費用感、出版社の選び方などより詳しく知りたい場合には、関連記事【本の出版費用は?項目別の目安や成果を出すために意識すべき「出版社の選び方」も解説】もあわせて参考にしてください。
◉-1、本の企画
まず「本を出したい」と思ったら、本のコンセプトとターゲットを決めることが重要です。
具体的には、次のようなことを決める必要があります。
・なぜ本を書くのか?
・誰に読んでもらうのか?
・何を伝えるのか?
また、ターゲットに本を届けるためのプロモーションについても検討しておく必要があります。
本の企画に要する期間は約2週間~2か月程度です。
◉-2、原稿の執筆
本の企画が終わると、構成案を起こし、原稿を執筆していきます。
もしライターに執筆してもらう場合は、ライターからの取材を複数回受けて、それを元に書いてもらうことになります。
また、本の中で使う写真・図表・イラストなどの準備も必要です。
原稿執筆や写真・図表・イラストなどの準備に必要な期間は約2週間~4か月程度です。
◉-3、デザイン
原稿が完成すると、本の内容に合った表紙や誌面のデザインやレイアウトを決めていきます。
デザインに必要な期間は約2週間~1か月程度です。
◉-4、校正・校閲
デザインが完了すると紙やPDFに出力して校正を行い、誤字脱字や表記ゆれがないか、イメージ通りのデザインになっているか、写真や図表・イラストは適切かなどについてチェックをする校正を行います。
同時に校閲(ファクトチェック)を行い事実関係に誤りがないことを確認します。
校正・校閲に必要な期間は約2週間~1か月程度です。
◉-5、印刷・製本
校正が終わって校了すると、出版社から印刷会社に本のデータを入稿します。
印刷会社から色校正が提示されるので、インクのノリ具合や写真の色味を確認して問題がなければ印刷・製本されて納品されます。
印刷・製本に必要な期間は約1か月程度です。
◉本を出してビジネスが発展した成功事例
ここでは、実際に本を出版してビジネスの発展につながった成功事例を紹介します
◉-1、保険代理店の出版事例
法人をメインターゲットとして営業しているある保険代理店の経営者は、保険業界における人材育成と給与体系に関する持論を公開するために本を出版しました。
本の中で、保険業界で当たり前に行われている「成果報酬型」の給与体系を、自社でも取り入れて業績向上に寄与している「一律報酬型」に変えることを提唱。
これは、一部のスーパー営業マンに頼った経営から、社員をアベレージヒッターに育成して、全員で支えていく経営に変えることによって業績拡大できることを紹介したものです。
情報量が大きく信頼性の高い本というメディアを使って持論を展開したことで、多くの業界関係者から共感を得られ、自社のブランディングに成功。
本業の保険代理店の保険契約数が伸長したのはもちろんのこと、新規事業であるコンサルティングの新規契約を獲得できたという大きな効果が得られました。
不動産投資サービスを営む不動産会社の経営者は、高収入でありながら多忙なため節税対策を考える暇がなく高額納税をしている医師をターゲットとして、SNSやウェブ広告などを利用して情報発信を行っていました。
しかし期待通りの効果が得られないことから、「医師の節税対策として最も効果的なのは不動産投資である」という内容の本を出版。
本の企画段階から、医師を対象としたマーケティング戦略やプロモーション戦略を立案して実践したことにより、多くの医師に本を購入してもらうことに成功しました。
出版後は、本を購入した医師からの問い合わせが相次ぎ、「不動産投資に大きな節税効果があること」を認知してもらい売上が倍増。
また、既存顧客の医師が知り合いの医師に紹介してくれたりして口コミが広がり、新規顧客の獲得にもつながりました。
◉「本を出したい!」という方からいただくよくある質問
ここでは「本を出したい!」という方からいただく、よくある質問に対する回答を紹介します。
◉-1、出版による費用対効果は良いか?
単に本を出版しただけでは費用対効果は良くはなりません。
本の企画段階で、出版後にどのように活用するのかを見据えて、ターゲットの設定や本の内容の検討、プロモーションの方法などを検討することによって費用対効果を高められます。
◉-2、ビジネスのどのようなフェーズで出版は有効?
たとえば、企業が次のような状況で本を出版することが有効です。
・すでに多くの広告手法やマーケティング手法を実践してきているものの、徐々に効果が低くなってきている場合
・売上や利益は安定して上がってきて従業員も増えてきており、業界内での自社の地位をいま一歩高めたい場合
・企業としての社会的信頼性を高めたい場合
◉-3、出版に向き・不向きはある?
本の出版は、企業に長期的な視点での効果をもたらすので、ブランディングや認知度向上、社会的信頼性の向上などには向いています。
一方、今すぐ集客効果を得たいというような短期的な目的には不向きです。
すぐに集客効果を得たい場合には、デジタル広告などの活用が有効です。
◉【まとめ】本を出すのは意外と簡単!それをどう活かしていくのかの方が重要
本記事では、本を出したいときにやるべきことについてくわしく解説しました。
株式会社フォーウェイでは、大手出版社の編集者経験があるスタッフが、本の企画から出版後の本を活用したマーケティングまでを一括でサポートする、ブックマーケティングサービスを提供しています。
「本を出したい」という希望をお持ちの方は、ぜひ株式会社フォーウェイまでご相談ください。
コンサルティングサービスは、顧客側からすると費用対効果が分かりづらい代表的なビジネスの1つです。
そのため、どんな素晴らしいサービスを提供しているコンサルタントであっても、実績や知名度がない状態では、依頼してもらえるまでのハードルが高く、なかなか成約に至らないのが現実です。
もっと言えば、実績や知名度がなければ、見込み顧客の集客も難しいのが実情です。
このように、コンサルタントで集客に関する悩みを抱えている方は、意外と多いのではないでしょうか。
本記事では、集客できないと悩むコンサルタントが、見込み顧客との信頼性を獲得し、効率的かつ効果的に集客できる手段を詳しく解説します。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
◉コンサルタントの集客が難しい理由
コンサルタントの集客が難しい最大の理由は、サービス内容などの分かりにくさにあります。
そういった分かりにくさを払拭することができずに、次のような理由で集客に苦戦しているコンサルタントが多いようです。
◉-1、自分の強みをうまく発信できていない
少しでも多くの仕事が欲しいコンサルタントは「どんなことでも相談に乗ります」というアピールをしがちです。
これは、特に独立したばかりのコンサルタントに多く見られる傾向です。
これは「顧客からのどんな依頼にも応えて多くの受注を獲得したい」と考えてのことですが、そのことがかえってコンサルタント本人の狙いとは逆に集客を難しくする一因になっています。
実際に依頼する顧客側の視点で考えると、何が専門なのかが分からず、「依頼しても的確なアドバイスが得られないかもしれない」と思って依頼しにくいのです。
たとえば、自社のIT情報システムに課題があることが分かっているときには、「何でもサポートできます」というコンサルタントよりは「IT分野ならお任せください」というコンサルタントを選ぶのではないでしょうか。
もっと言えば、「IT情報システムの見直しや再構築ならお任せください」とより具体的にアピールしているコンサルタントの方が「この人にお願いしたい」と思ってもらいやすくなります。
主なコンサルタントの専門領域としては、経営、業務改善、IT、マーケティング、財務、人事、事業再生などがあります。
自分がどの分野に強く、かつ顧客にどのようなメリットをもたらすことができるのかを明確に発信していくことが重要です。
◉-2、見込み顧客に向けての信頼性の欠如
コンサルタントが見込み客に自身のサービスをアピールしたとしても、簡単には信頼してもらえません。
なぜなら、コンサルタントは肩書きだけで信頼されるような職種ではないためです。
コンサルタントには、弁護士や税理士などのように公的な資格などがありません。
極端に言えば、コンサルタントと名乗れば誰でもなれてしまう職種であり、肩書きだけでは信用されにくい職種です。
そんな中で、見込み顧客の信頼を獲得するためには、自身のこれまでの経歴や、コンサルティング実績、それに代わるエビデンスを明確に示していく必要があります。
それがコンサルタントの集客を難しくしている要因の1つです。
◉-3、知名度やブランド力の不足
コンサルタントの知名度やブランド力が不足している場合も集客が難しくなります。
なぜなら、知名度やブランド力が不足していると、どんなに高品質なサービスを提供していたとしても、顧客側の依頼候補先として上がりにくいためです。
たとえば、「SEOコンサルタント」とネットで検索した際に、せいぜい担当者が見るのは検索結果の2〜3ページ目程度です。
もし8ページに表示されていたとしても、見てもらえないでしょう。
このように、知名度やブランド力が不足していると、どんなに良いサービスを提供している優秀なコンサルタントでも、顧客側の候補先としても上がりにくくなります。
どうしても知名度やブランド力の強いコンサルタントに依頼が集中してしまい、それらが不足しているコンサルタントに依頼が来にくい、というのも集客が難しいと言われる要因の1つと言えるでしょう。
◉-4、集客につながるマーケティング手法が打てていない
コンサルタントが効果的なマーケティング手法を実施していない場合も、集客は難しくなります。
なぜなら、コンサルティング業を営んでいる競合他社は数多くいるからです。
競合が多いため、マーケティングをすることなく集客ができるような業種ではありません(もちろん、例外もあります)。
たとえば、コンサルタントには、外部からの視点で経営課題を把握し、論理的に分析し、目標を達成するための解決策を示す能力が求められますが、コンサルティング契約を結ぶ時点ではその能力を持っているかどうかは分かりません。
ホームページやコラム、SNSなどでの発信情報、セミナーでの講義内容などから、信頼に足るコンサルタントであることが確信できなければ、相談をしてもらうことはもちろん成約に至ることはありえません。
そのため、コンサルタントにとって、マーケティングは集客を行う上で必要不可欠なものであることを認識しておく必要があります。
◉コンサルはまずクライアントを知ることから
集客につながるマーケティング施策を検討するためには、見込み顧客がどうやってコンサルタントを探すのかを、まず知ることからです。
なぜなら、顧客企業のコンサルタント選定がどのように行われているのかを知らずに、マーケティング施策を考えることはできないからです。
一般的にコンサルタントは、次のような過程を踏んで選定されます(あくまで一般例です。例外もあります)。
- 1.社内に経営課題が見つかり、外部の視点を入れた解決の必要性が生じる
- 2.その経営課題に対応できるコンサルタントを探す
- 3.対応可能な複数のコンサルタントの実力や課題解決能力を知る
- 4.対応可能な複数のコンサルタントを比較して依頼先を決める
このコンサルタントの選定過程からわかることは、まず最初の「コンサルタント探し」の段階で「自分の存在に気づいてもらうこと」、すなわち「認知してもらうこと」の重要性です。
また、そもそも見込み顧客はなぜコンサルタントに社内の課題解決を依頼しようとするのかについても知る必要がありますが、それは次の3つに集約することができます。
- 第三者視点からの客観的な評価や分析
- 課題解決のスピードアップ
- 課題解決能力や知識、ノウハウの習得
このように、見込み顧客がどのような時にコンサルタントへの依頼を検討し、どのようなプロセスで選ぶのかは、最低限知っておくべきことと言えるでしょう。
◉コンサルが集客施策を実行するときの心構え
ここからは、コンサルタントが集客施策を実行する際に、心がけておきたい3つのポイントについて解説していきます。
◉-1、相談しやすい受け皿を作る
コンサルタントは、そもそも見込み顧客側にとってサービス内容や専門性、経歴や実績などが分かりづらい職種です。
見込み顧客にとって相談ハードルが高くなりやすい職種とも言えます。
そのため、見込み顧客が相談しやすい仕組みを作り、相談ハードルを下げることを心がけていく必要があります。
たとえば「集客コンサルタント」であれば、「企業の広報担当者向けのSNS集客セミナー」「企業の広報担当者向けのブログ集客セミナー」など、ターゲットを絞り込んだ具体的な無料セミナーを企画するなどです。
そういったセミナーに集まった方々に、無料相談などのサービスを提供し、お悩みを聞いた上で解決策を提案していきます。
このように、「集客のことならなんでも相談ください」というスタンスではなく、「自分が顧客側だったら」という視点で、顧客が相談しやすい仕組みを構築していく必要があります。
◉-2、人脈(ネットワーク)を作る
コンサルタントは、見ず知らずの第三者からの依頼ではなく、知人からの紹介など人とのネットワークを介した相談や仕事の依頼が最も多いと言われています。
そのため、まずは自分の人脈をフルに活用して集客を図ることが大切です。
顧客側からすれば、全く知らない人よりも、信頼できる友人や知人に紹介してもらった人の方が、相談しやすいものです。
また、「友人や知人が紹介してくれるコンサルタントだから」と信頼も得やすくなります。
コンサルタントとして集客に困っている方は、Web広告やSNSなどに目が向いてしまいがちですが、人脈を活用した方が早く確実に成約につながりやすくなります。まずは「人脈を活用して集客ができないか」を考えてみましょう。
過去に勤めていた会社の同僚や、その際に知り合った知人など既存のネットワークを大切にしていくことはもちろん、異業種交流会や勉強会、各種セミナーなどに顔を出すことで人脈を広げることができます。
また、このような場で自分の強みや得意分野について紹介して、認知度を上げるようにしましょう。
◉-3、フォローアップを忘れない
コンサルタントの中には、実績を上げるために新規顧客の獲得にばかり熱心な方がいます。
しかし、既存の顧客のフォローアップも忘れずに行う必要があります。
なぜなら、リピーターになってくれたり、長期契約や顧問契約に発展したりして売り上げの安定化につながる可能性があるからです。
さらに、既存の顧客が知人を紹介してくれて新規顧客の獲得につながることもあります。
フォローアップにはいろいろな方法がありますが、たとえば定期的にメルマガやDMを発信して、有益な情報を届けるという方法が考えられます。
このように、既存の顧客一人ひとりにしっかりと応えてきめ細かに対応することが、経営の安定化や新規顧客獲得につながるということを忘れてはいけません。
◉コンサルタントに適した集客手段とは
集客する手段としては、多くの選択肢がありますが、職種によって向き不向きがあります。
ここからは、コンサルタントに適した集客手段をいくつかご紹介いたします。
◉-1、ホームページ制作とコンテンツマーケティングを実践
コンサルタントの集客手段としてホームページの制作は必要不可欠です。
なぜなら、「依頼する前にまずはホームページを見る」という顧客が多いからです。
いくら良いサービスを提供していたとしても、「誰が提供するのか?」は誰でも気になるものです。特にコンサルタントのような、自身のビジネスにとって重要な助言をもらう存在であればなおさらです。
また、HPがあれば、コンテンツマーケティングを行うことが可能です。
コンテンツマーケティングにおいては、開設したホームページに自分の専門領域や実績を掲載し、加えて顧客にとって有益な情報をコラムなどの形で発信していきます。
これによって、自分の強みやノウハウなどが言語化されて顧客に伝わりますし、SEO対策を行うことによって、検索エンジンで検索結果の上位に表示されることも可能となります。
つまり、問い合わせや相談の機会が増加して、それに伴う成約率アップの可能性が高まるということです。
◉-2、チラシやパンフレット、名刺のコンテンツ化
紙媒体のチラシやパンフレット、名刺をコンテンツ化して集客を図る方法もあります。
インターネットやSNSの時代だからこそ紙媒体のチラシやパンフレット、名刺を見込み客などに配布することは集客に効果的です。
チラシやパンフレット、名刺に経営理念、経歴、専門分野、コンサル実績などのブランディングを意識したコンテンツを掲載するなど工夫すれば、顧客から興味を持ってもらえる可能性があります。
また、自分自身が力を入れて発信している媒体(SNSやブログ、自社サイトなど)のQRコードを掲載するのも有効です。
◉-3、SNSで自己PRと情報発信
SNSによる情報発信もコンサルタントの集客手段として有効です。
SNSで発信した情報は「いいね」や「シェア」「リポスト」などによって拡散されます。思わぬ人や企業に伝わって、認知や集客につながる可能性があります。
SNSで発信される情報の種類は千差万別なので、多くの情報の中に埋もれてしまわないように、独自性を持たせた専門分野の豆知識やTIPSなどを定期的に投稿することがコツです。
SNSの投稿は比較的気軽に行えることがメリットですが、ホームページのコンテンツと同様に手間がかかるという点や、集客できるまでには時間がかかる点には注意しましょう。
◉-4、セミナーを開催
自分の得意分野や専門分野をテーマとするセミナーを開催することも有効です。
なぜなら、セミナーにはテーマに関心のある顧客が有益な情報を求めて参加しているためです。
また、そういった受講者と直接話をする機会を持つことができるのもメリットです。
受講者の中には、テーマに関心があるだけではなく、他にも具体的な課題を抱えた方がいる可能性もあり、コンサル契約に発展することも十分に考えられます。
自分の得意分野や専門分野に関するセミナーということもあり、自ずと自信にあふれた講義ができるので、ブランディングという点からも効果的です。
◉-5、書籍を出版
自分の専門分野に関する書籍を出版し、全国の書店に流通させることも集客に有効な手段の1つです。
「書籍が持つ信頼性の高さ」は他のメディア以上です。そのため、書籍は自身のブランディングという点でも非常に効果があります。
また、書籍の情報量はホームページのコラムやチラシ、パンフレット、SNS投稿などよりも多いため、自分が顧客に伝えたいことを余すことなく掲載することができます。
ちなみに、一般的な書籍のページ数は200ページ程度で、文字数は7万~10万文字程度です。
紙媒体のA4判のチラシの文字数は1,000文字〜2,000文字程度ですから、書籍では比較にならないほどの情報を伝えることができることがわかります。
しかし、出版するだけではダメです。出版しても、ターゲットとなる見込み顧客に読んでもらえなければ意味がありません。そこで重要になってくるのが、ブックマーケティングです。
◉ブックマーケティング(企業出版)の重要性
コンサルタントが書籍を出版したとしても、単に自分が配るだけの名刺代わりの書籍で終わってしまっていては意味がありません。
書籍をマーケティングの一部として活用し、コンサルタント自身の強みなどを伝え、問い合わせなどの集客につながるような取り組みをしていく必要があります。
そこで重要になってくるのがブックマーケティングです。
ブックマーケティングは、書籍を単に出版社の販路だけではなく、あらゆる情報発信の手段を活用し、ターゲットとなる見込み顧客に届けて問い合わせなど、集客面で貢献させるマーケティング施策です。
ブックマーケティングを実施する際の重要事項について、以下で具体的に説明します。
◉-1、事業ターゲットの理解と的確なアプローチ
ブックマーケティングを行う際には、書籍の企画段階からターゲットの明確化とアプローチ方法を決めておく必要があります。
つまり、出版する書籍を誰に読んでもらって、何を伝えるのかということを決めておき、さらにそのターゲットに確実に届けるためのプロモーションまでを想定しておくことが大切です。
◉-2、効果的なコンテンツ戦略の立案と事例の紹介
書籍のターゲットと伝えたいことが決まったら、次は具体的なコンテンツを練り上げていく段階です。
編集者とともにターゲットの課題に寄り添うコンテンツを作り上げていきます。コンテンツの中に、自然な形で自分自身の実績もできるだけ事例として掲載していくことを心がけましょう。
◉-3、書店でプロモーションを実践
書籍が完成すると、具体的なプロモーション計画を立てます。
ブックマーケティングの場合は、あくまで書籍はマーケティングのためのツールですから、確実にターゲットの目にとまる書店の書棚に並べて、書籍テーマに関心のある方やニーズのある方に購入してもらうようにしなければなりません。
ブックマーケティングのゴールは書籍を売ることではなく、書籍を読んだ見込み客の集客をはじめとして、ビジネスメリットを達成するための手段であることにあります。
◉-4、書籍コンテンツを二次利用してSNSやWEBサイトを強化
ブックマーケティングで出版した書籍コンテンツは、著作権が著者にあるため、二次利用できます。
たとえば、書籍の一部をホームページのコラムやブログに掲載してSEO対策に活用したり、SNSで発信したりすることも可能です。
このように、書籍コンテンツをあらゆる媒体に活用し、マーケティング効果を最大化することができます。
◉-5、営業ツールや紹介ツールとして書籍を活用
ブックマーケティングで出版した書籍を、営業ツールとして配布したりすることができます。
また、自分で配布する以外にも、見込み顧客や知人に配布しておくことで、思わぬ集客や相談につながる可能性があります。
◉-6、書籍テーマでセミナーを開催
ブックマーケティングで出版した書籍のテーマでセミナーを開催することもできます。
書籍は全国規模で流通しますので、興味や関心のある見込み顧客や書籍の内容に共感した潜在顧客などが全国から参加してくれる可能性があります。
さらに、セミナー後に名刺交換会や懇談会を設けることによって、集客や具体的案件の相談などにつながる可能性があります。
▶️ブックマーケティングの詳細については、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。
◉コンサルタントのブックマーケティング成功事例
コンサルタントのような、顧客から依頼してもらえるまでのハードルが高く、顧客との信頼関係の構築が重要なビジネスを行っている方にとって、ブックマーケティングは相性の良いマーケティング手法です。
実際に、コンサルタントがブックマーケティングを行って集客に成功した事例を2件ご紹介します。
◉-1、事例①:ターゲット特化してその道の専門家としてブランディング
建設業専門のコンサルタントの事例です。
この方は、自身の商圏での開拓はある程度行ってきていましたが、次のステージにすすむために、知名度の向上と商圏の拡大を狙って書籍を出版しました。
書籍のタイトルに「建設業のための」という文言を入れたことによって、狙い通りのターゲットにダイレクトにアプローチすることができ、さらには書籍の配本を首都圏中心に行うことによって「商圏の拡大」にもつながりました。出版の翌日から問い合わせが殺到し、複数件の顧問契約獲得につながっています。
このように、ターゲットに特化した専門家であることを世間に認知させ、ブランディングを行っていくために、ブックマーケティングは有効な手段と言えます。
通常、本は販売部数を増やすために、「できるだけ多くの人に読んでもらいたい」という意図でタイトル付けをするものです。今回の書籍であれば、「建設業のための」と入れることによって、ターゲットが一気に狭まってしまうため、販売できる可能性のある部数が減ってしまいます。
しかし、書籍を通じでどのようなブランディングを行っていきたいのか、の目的を企画段階で明確にしていたからこそ、書籍のタイトルに「建設業のための」という、ターゲットを狭めながらも狙った読者層からの集客をイメージした文言を入れる決断ができたのです。
このように、通常の出版とは違う考え方で、マーケティングのツールの1つとして企画し、出版していくのがブックマーケティングです。
◉-2、事例②:得意分野をコンテンツ化してその分野のNo.1へ
日本では起業した会社の約6割が1年以内に廃業しているという現実がありますが、資金調達支援のコンサルタントである著者は「適切な融資の下、創業者が夢を実現できるように」という思いから書籍を出版しました。
書籍の中では、自らが立ち上げた会社が創業後3年間に8200万円の融資を受けて事業を軌道に乗せることができた実績を元に、中小企業でも高額の融資が受けられるという秘訣を公開。
自社が得意とするWebやSNSのコンテンツ化によって、問い合わせ件数が3~4倍に増加して受注件数が伸び、その結果、融資支援実績が日本一になりました。
このように、自身の強みや想いをしっかりとターゲットに届けることができるのもブックマーケティングならではのメリットです。
Web広告やSNSなどでいくら長文で伝えようとしたとしても、「パッと見てわかる」ことが重視されるネット媒体では、伝えられる情報量に限界があります。
しかし、書籍は違います。しっかりと長文が読まれる媒体です。特に内容がターゲットに刺さるものであれば、ネット媒体の比にならないほどの情報量を伝えることができます。
また、書籍を読んでもらえることによって著者や提供するコンサルティングサービスへの理解も深まり、顧客教育にもつながります。
結果として、読者は著者のファンになり、仕事の依頼をすること前提で問い合わせいただけるようなホットな信頼関係を作ることができるのです。
◉まとめ
本記事では、コンサルタントの集客が難しい理由やコンサルタントに適した集客手段について解説しました。
コンサルタントの集客手段にはいろいろありますが、成功事例でも紹介したようにブックマーケティングを利用した集客は相性抜群です。
コンサルティングの依頼をしてもらうためには顧客からの信頼を勝ち取ることが不可欠ですが、「書籍を出版したという事実」だけで社会的な信頼性は飛躍的に高まります。
また、ターゲットを明確にした書籍内容やタイトルなどによって、効果的なマーケティングが可能です。結果として相談件数や成約件数の増加が期待できるでしょう。
集客に課題をお持ちのコンサルタントの方は、ぜひブックマーケティングの活用を検討してみてください。
また、士業のマーケティングについては次のコラムでもわかりやすく解説されているので参考にしてみてください。
参考コラム:士業マーケティング成功の秘訣:集客力を高める戦略と実践|神栄企画
企業SNSを運用したいが、やり方がわからないーーこのように考えるマーケティングや広報の担当者は多いことでしょう。
以前は「個人の遊び」という印象が強かったSNSですが、時代はすっかり変わりました。SNSはビジネスにおけるコミュニケーションの重要な一部分である、という認識が多くの企業に浸透してきたのです。
しかし、企業SNSのアカウントが乱立するなかで、ビジネスにおけるメリットをきちんと獲得できているケースはごく一部と言わざるを得ません。
そこで本記事では、企業SNSの運用を考える方向けに、SNSによってビジネスメリットを実現する「運用のやり方」を解説します。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
■企業のSNS運用とは?
企業にとってSNS運用は、ビジネスの成長に欠かせないものとなっています。
企業のSNS運用は、一言でいえば「ビジネス目的」である点が最大のポイント。個人のアカウントに比べてよりプロフェッショナルで戦略的な運用のやり方が求められます。
◉個人のSNS運用との違い
個人のSNS運用は、主に自己表現や交流が目的です。もちろんSNSを通じたマネタイズに成功しているインフルエンサーなどの個人はいますが、そうした人たちはビジネス目的の運用という意味で、個人の趣味的なアカウントとは違う種類の運用だと言えるでしょう。
企業のSNS運用は、商品やサービスのプロモーションやブランドイメージの向上など、ビジネス上の目的があります。そのため、やり方としても投稿内容や投稿頻度、ターゲット層など戦略的な視点が求められます。
また、ユーザーに悪印象を与えないようにする気配りも、個人アカウントに比べてより重要になるのです。
◉SNSマーケティングとの違い
SNSマーケティングは、SNSを活用してマーケティング活動を行うことです。
具体的には、下記のようなやり方があります。
- インフルエンサーマーケティング
- SNS広告運用
- ソーシャルリスニング
- SNSキャンペーン施策の実施
総じて言えることとして、費用を投じたタイミングにだけ効果を発揮し、商品購入や問い合わせなど直接的なリターンを目指すのがSNS運用以外のSNSマーケティングです。広告施策としての色が強い取り組み、とも言い換えられます。
一方でSNS運用はSNSマーケティングのくくりにはありますが、下記のような特徴があります。
- オーガニック投稿として自由度の高い発信が可能
- ユーザーとのコミュニケーションによりファン化を促進できる
- 運用をやめたり頻度を鈍らせたりしてもアカウントや過去の投稿は残る
- 一度フォローしてもらったユーザーをアカウントの資産として持ち続けられる
- 長期にわたる施策の継続がやりやすい
これらの特徴により、長期的なブランディングを目指したりマーケティングの基盤を作ったりといった目的を達成するために適しているのが、SNS運用です。
■SNS運用が重要になっている理由
SNS運用がビジネスにおいて重要になっているトレンドは、データからもわかります。
「ソーシャルメディアマーケティング市場、2023年ついに1兆円を突破の予測【サイバー・バズ/デジタルインファクト調べ】」(https://webtan.impress.co.jp/n/2022/11/11/43642)によると、ソーシャルメディアマーケティングの市場規模は2020年の5,971億円から2022年には9,317億円へと大幅増加。
2027年には1兆8,868億円にまで市場が拡大すると推計されています。
SNS運用はやり方を工夫すれば大きなリターンを得られる一方で、フォロワーを伸ばすためにはどうしても一定の時間が必要です。SNSの市場が伸びていくなかで、早く始めた企業ほど成功に近づくのは間違いありません。
■SNS運用によって得られるメリット
ここで、企業のSNS運用によって得られるメリットを改めて整理しましょう。
大きくいうと、以下のとおりです。
- 商品やサービスのプロモーションができる
- 自社ターゲット層に直接訴求できる
- 顧客とのコミュニケーションを深めることができる
- 企業のブランドイメージを向上させることができる
- リアルタイムな情報の発信が可能になる
いずれにも共通するのが、SNS運用によるメリットの発揮とは運用のやり方にかかっている、ということです。
SNSアカウントがあるだけで売上につながるような理想的状況を作るには、狙ったターゲット層のフォロワーをたくさん抱えた「強い」アカウントを作る労力を惜しまないのが、成功事例に共通した特徴です。
■各SNSの特徴と運用のコツ
一言にSNSといっても、種類は様々です。母体となる会社もそれぞれ違います。
SNSの種類によって、やり方や発信すべき内容は異なります。
主要なSNSの特徴について、運用のコツも含めて紹介しましょう。
◉Instagram
Instagramは、写真や動画を投稿するSNSです。ビジネスにおいては、商品の宣伝やイメージアップに活用されることが多く、特に若い世代に人気があります。
ただ、40代以上の層も利用率は低いものの、実数でいうと若年層に匹敵しており、実は全年齢に向けたアプローチにも使えるSNSがInstagramです。
Instagramの運用のポイントは簡単に以下の通りです。
- ハッシュタグや発見タブによって投稿を検索されやすくする
- 投稿のビジュアルについて方向性を定め、ユーザーに価値を感じてもらえる投稿を一定頻度で続ける
- ストーリーズ機能を使い、日常的な情報を発信することでフォロワーとのコミュニケーションを深める
- インスタライブを使い、フォロワーとの関係性をより強化する
勘違いされがちですが、「発信者のビジュアルが優れていて顔出しできる」「商品の綺麗な宣伝写真がたくさんある」などの要素はInstagram運用で必須ではありません。
「商品のターゲット層が興味を持つノウハウを発信する」「日常風景の投稿でユーザーと距離感を縮める」など企画の方向性によって、あらゆるビジネスでInstagramの強みを発揮できます。
◉X(旧Twitter)
X(旧Twitter)は、140文字以内(X Premium加入者はそれ以上も可能)の短い文章を投稿することができるSNSです。
主にリアルタイム情報の収集や発信に使われ、特にニュースやトレンドに関する情報が多く取り扱われています。
Xの運用のポイントは以下の通りです。
- アカウントのテーマに沿った自分なりの「情報提供」と「持論」を発信してフォロワーを増やす
- 他のアカウントとコミュニケーションを増やし、タイムライン上の表示優先度を高める
- 他のアカウントをフォローし、フォロー返しを獲得することでフォロワーを増やす
Xは実名顔出しで運用するアカウントが多く、アカウント同士のコミュニケーションが非常に重視されるカルチャーのSNSです。
企業アカウントとして活用する場合でも、事務的な発信だけでなく「中の人」の人柄が感じられるアカウントが好まれます。
リツイート機能でツイートが大きく拡散される仕様により、投稿が大きくバズる可能性のあるSNSでもあります。
◉Facebook
Facebookは、世界で最も利用者数の多いSNSの一つです。友達や家族とのコミュニケーションが中心ですが、ビジネスにも活用されることが多く、商品の販売やブランドの発信などに使われます。
Facebookの運用のポイントは以下の通りです。
- 定期的にコンテンツを投稿することで、フォロワーの獲得やエンゲージメントの向上を目指す
- Facebookページを作成し、“いいね”を獲得することで拡散力を高める
- Facebookグループを作成し、ファンコミュニティを形成することで、ファンとの交流を深める
Facebookは一定年齢以上の人のビジネス活用においては根強い人気のあるSNSです。
ただ、友達に追加する人数に5000人という制限があるため、つながりをたくさん増やして大きく拡散しようとする運用方針には向きません。
関係性のある相手から自社への認知を維持したり、仕事の相談をもらいやすくしたりする運用がFacebook活用のコツです。
◉LinkedIn
LinkedInは、ビジネス関係者が集まるSNSです。求人情報やビジネスマッチングなどに使われることが多く、ビジネスユースに特化したSNSであると言えます。
LinkedInの運用のコツは以下のとおりです。
- 原則実名登録なので、反感を招くような投稿は避ける
- 他のアカウントと交流し、コミュニティなどにも積極的に参加する
- ターゲットに対して積極的にDMを送る
いわゆる営業のためのDMや採用DMは他のSNSだと嫌がられる場合がありますが、LinkedInはビジネスSNSである側面から、他アカウントへの直接アプローチは比較的、受け入れられているのが特徴です。
ただし、大量のスパム送信はLinkedIn側から制限をかけられる危険があります。
丁寧に絞り込んだターゲットアカウントに対し、一通一通、心を込めてDMを送ることが成果の秘訣です。
■SNS運用を始める前に決めること5
続いてはSNS運用の実践編です。
SNS運用は、やり方を決めずにとりあえず始めてみても成功率は低いです。
ビジネスにつなげるためには、事前準備がカギを握ります。
事前準備として考えるべき項目は、以下のとおりです。
◉決めること①運用の目的
SNSを始める前に、まずは運用の目的を明確にすることが必要です。
例えば、ブランド認知度の向上、製品やサービスの販売促進、情報発信や顧客対応など、目的は様々です。
目的に応じて、運用するSNSの種類やコンテンツ、投稿頻度、投稿内容、ターゲット層などが異なるため、運用の目的をはっきりと決めてから取り組むことが重要です。
気をつけたいのが、「運用目的は売上に決まっているでしょ」と単純に決めてしまうこと。SNS運用は短期的な売上効果だけでなく、ブランディング効果やファンユーザーの獲得など様々な尺度での効果を視野に入れる必要があります。
長期的にアカウントを育てる施策だけに、短期の集客では広告施策より数値が劣る場合が多く、運用目的を売上だけと定めてしまうとスムーズな運用が進まない危険性が高いのです。
短期で何を目的にするのか、中期〜長期で何を目指すのか……など、細かく設計するのが成功するコツです。
▼SNS運用の目的設定については、過去コラム『SNS運用で大切な「目的設定」とは?運用効果を最大化する秘訣を徹底解説』で解説しているので、こちらもご参照ください。
◉決めること②運用体制
SNS運用では、運用担当者やチームの体制を整えることも大切です。
運用にあたっては、誰が投稿するのか、どのようなスケジュールで投稿するのか、コメントやメッセージの返信は誰が担当するのか、といったことを明確にしておく必要があります。
また、社内で運用する場合は、社員の研修やマニュアル作成なども必要かもしれません。
会社としてSNS運用に取り組むときの体制で重要なのは、組織として担当者をフォローアップして運用を管理する仕組みをつくることです。
社内の担当者はほとんどの場合、SNSのプロではありません。「いい感じにやっておいてくれ」と丸投げして放置していると、運用の目的が達成できないどころか投稿やアクション自体が止まってしまうケースも珍しくありません。
自社の貴重なリソースを使って、徒労に終わらないように気をつけましょう。
◉決めること③アカウントの方向性
SNSアカウントの方向性についても、事前に決めておくことが重要です。
たとえば、ファッションブランドのアカウントであれば、コーディネートの紹介や新作アイテムの情報を発信することが求められます。
一方で、医療機関のアカウントであれば、健康情報や病気の予防・治療についての情報提供がいいかもしれません。アカウントの方向性を明確にしておくことで、フォロワーの期待に応えることができ、効果的な運用が可能になります。
例えばSNS運用の代行を請け負うプロであれば、クライアントへのヒアリングをもとにペルソナシートやアカウント構成シートといった資料を作成します。
ターゲット層や運用目的に合わせてデザインのトンマナから投稿文体まで細かく設定し、ブレない運用を実現するのです。
◉決めること④ターゲット層
SNSを利用するユーザーは、それぞれ年齢層や性別、興味関心、ライフスタイルなどが異なります。運用するアカウントのターゲット層を明確にし、その層に合った投稿やコンテンツを提供することが必要です。
また、ターゲット層に応じて、運用するSNSや投稿する時間帯、投稿内容、コンテンツの種類なども変わってきます。
このターゲット設定は、「30代以上の女性」など大まかすぎるくくりではあまり意味がありません。
よくマーケティングで使われる「ペルソナ(代表的なターゲット像の架空のプロフィール)」を設定するのも効果的でしょう。
誰か一人に深く刺さるコンテンツは他の人にも刺さる、というのがSNS運用の原則です。
◉決めること⑤具体的なタスクとスケジュール
SNSの運用においては、具体的なタスクとスケジュールを決めておくことが大切です。どのようなコンテンツを、どのようなタイミングで発信するのかを明確にすることで、運用がスムーズに行われます。
また、週次や月次での運用の報告や評価を行い、必要に応じて改善を行うことも大切です。
コツとしては、とにかく曖昧さを残さないこと。「ネタがあるときに投稿する」「なるべく他のアカウントに“いいね”する」といったルール設定でなく明確に行動目標を決めましょう。
実際ちゃんとやってみると担当者にかなりの負担がかかりますが、強いアカウントを育てるにはそれなりの努力が必要です。
■SNS運用の効果測定と運用改善
続いて、運用開始後のやり方についてです。
「SNS運用の効果はどのように測定して改善したらいいの?」と思われる方も多いかもしれません。
たとえば、計測指標には下記が考えられます。
- フォロワー数
- リーチ数
- エンゲージメント数(「いいね!」やコメント数など)
- コンバージョン数(集客数、商品の売上数など)
計測すべき指標は、運用目的やどのSNSを用いるかによって変わってきます。
たとえば対面アポイントの獲得を目標にする運用なら、DMのうちのアポイント率が指標になるでしょう。改善項目としては普段の投稿の質よりも、アカウントの信頼性を高めるためのフォロワー増やDM文面の改善などの優先順位が高くなります。
おすすめとして、ある程度フォロワーが増えるまではフォロワー数だけをKPIにするのが良いでしょう。
SNS運用による効果の多くは、ある程度フォロワーがいないと発揮されにくいためです。管理をシンプルにすることで運用もスムーズになります。
■SNS運用のよくある失敗例3パターン
続いてSNS運用において、よくある失敗例を3パターン、紹介します。
どれも本当に多いので、失敗の典型例に当てはまらないよう注意して運用しましょう。
◉失敗例①フォロワー数が増えない
思うようにフォロワーが伸びないのは、SNS運用で最もよくある失敗ケースです。
理由として、たとえば下記が考えられます。
多くのSNSは、自アカウントの投稿が他のユーザーのタイムラインに表示されることでフォローが発生します。
したがって、投稿が少なければどんなにアカウントを作り込んでいてもフォロワーが増えるチャンスはほとんどありません。
最低でもInstagramなら週3回、Xなら1日1回は投稿が必要です。
「いいね」や「コメント」など他のアカウントに対して自分からアクションするのも、フォロワーを増やすためには重要です。ここを怠るとフォロワーはほとんど増えません。
ただし、アクションする先のアカウントの選定にもコツがあります。リアクションを返してくれそうなアカウントや信頼度の高いアカウントの共通点を見出し、適切な相手に対してコミュニケーションを取る必要があります。
◉失敗例②運用が止まってしまう
前述したように、SNS運用がストップしてしまう失敗事例はとても多いです。
その理由のほとんどは、はっきり方針を決めずに担当者に丸投げしたきり管理しない運用体制にあります。
投稿スケジュールの明確な設定と投稿物の確認、定例の確認ミーティングなどは組織内で必ず行いましょう。
また、「売上につながっていないからものすごくクオリティの高い投稿をしなきゃ」など、成果を焦って答えのない課題を設定してしまうのも投稿ストップの原因になります。
SNSは定期的にコンテンツを発信して自アカウントにあった運用のやり方を探っていくプロセスがとても重要です。むやみにクオリティにこだわるよりも継続的な運用を重視しましょう。
◉失敗例③運用の方向性が迷走する
SNSの運用は、アカウントの方向性を守ることがとても重要です。
失敗例②に近いですが、成果を焦って方向性の切り替えを連発し、コンセプトのよくわからないアカウントになってしまうのもよくある失敗パターンです。
どんな方向性を試してみても、運用初期に一つの投稿でわかりやすい効果が発揮されることはなかなかありません。
まずは運用開始前のコンセプト設計を細かく行い、決めた方向性に則って腰を据えて取り組みましょう。そうすれば長期的な成果に高い確率でつながります。
■SNSの炎上を防ぐ対応策4選
SNS運用において、炎上を気にする方は多いかもしれません。
企業のSNS活用が普及するにあたって、炎上してしまった事例も多く聞かれるようになりました。
そこで以下に、SNSの炎上を防ぐための対応策を紹介します。
◉炎上防止策①投稿ガイドラインの策定
SNS運用を始める前に、社内でSNSマニュアルを策定しましょう。
このマニュアルには、発信内容のチェックや、危険な発言を行わないようにするためのガイドラインなどが含まれています。
ガイドラインを設定する際には、ぜひSNS慣れした若いスタッフの力を借りてください。普段からSNSに慣れ親しんだ人間であれば、それぞれのSNSにおけるマナーを感覚で理解しています。
若いスタッフにたたき台をつくってもらったうえで、広報やリスク管理担当などプロの目で見てブラッシュアップする進め方がおすすめです。
◉炎上防止策②対応ガイドラインの共有
もしも炎上騒ぎが起こってしまった場合には、迅速かつ的確な対応が必要です。SNS上でのトラブルの拡散を防ぐために、炎上した場合には速やかに謝罪し、原因究明を行いましょう。
ただし、SNS運用に慣れていない企業が担当者任せにする体制は危険です。機転をきかせたつもりが火に油を注いでしまう可能性もあります。
投稿物だけでなく、炎上懸念がある場合の対応についても社内でガイドラインを設定し、フローを明確にするのがおすすめです。
弁護士やPR会社などの外部専門家にリアルタイムで相談できる体制を構築しておくのも効果的でしょう。
◉炎上防止策③投稿監視体制の整備
SNS上でのトラブルを未然に防ぐためには、定期的にSNSのコンテンツを監視し、問題のあるコメントや投稿に対して迅速に対応することが必要です。
また、不適切なコメントや投稿があった場合には、速やかに削除し、投稿者に対して注意喚起を行う必要があります。
投稿の監視には、「上司が毎日11時にチェック」「広報が朝礼でチェック」など、担当者ではなく第三者的な目線でチェックを入れる決まりごとを作っておきましょう。
社内リソース的に難しければアルバイト数人でチェックする体制でも、一般的な目線による第三者チェックは入れられます。
さらに、SNSコンテンツの監視を効率化するために、ソーシャルリスニングツールの活用もおすすめします。
Meltwaterのソーシャルリスニングツールは、SNSの投稿をリアルタイムで一元的に分析できるため、炎上の火種となりうる投稿の把握に役立ちます。
◉炎上防止策④炎上事例の社内共有
SNSの炎上を防ぐのにもっとも大事なのは、抽象的ながら社内のリテラシーです。
関係者の知識を増やし教育をしていくのが、時間はかかりますが炎上を防ぐために最も有効な施策です。
そこで、日々SNS上の炎上情報をウォッチし、社内で定期的に共有、ポイントを話し合う機会を設けましょう。
特に自社と業種や運用目的の近いアカウントが炎上してしまった事例は、貴重な学習材料になります。
■SNS運用で一番大切なポイントとは?
ここまで、SNS運用のノウハウについて述べてきました。
では、SNS運用において最も大事なポイントとは、なんなのでしょうか?
それは、「投稿コンテンツ」です。
他アカウントとのコミュニケーションや、広告・キャンペーンとの併用もビジネスで成果を出すためには有効ですが、これらは要領がわかれば競合他社でも実行可能です。
しかし、自アカウントならではの良質な投稿は、決して差別化のできないコンテンツになります。良質なコンテンツでフォロワーを獲得すれば、ファン顧客という得がたい財産になるでしょう。
濃いファンを直接自社の側から取りにいけるのは、企業のSNS運用がもつ最大の魅力だといえます。
いわば雑誌などのメディア編集者になったつもりで、ユーザーにとって価値のあるコンテンツを定期的に発信するのが、SNS運用の極意です。
■外注の運用パートナーは入れるべきか
SNS運用を外注化するかどうかは、企業の状況や目的によって異なります。
外注するメリットとしては、運用に必要な人材をスピーディに確保できることや、専門的なノウハウを持った運用パートナーを活用できることが挙げられます。
一つの考え方として、「人手が足りない」「アカウントを育てるのにそこまで長い期間をかけられない」という課題がある場合、外注を検討することがおすすめです。
ここまで述べたように、SNS運用をきちんとやると担当者にも組織にも意外に手間がかかります。
社員一人がほとんど張り付きになっている会社も多いです。
そうなると、人件費的にSNS運用会社に頼んだほうが安くつく場合も考えられます。
また、外注先は当然ノウハウを持っているため、プロの運用によって最短経路でアカウントを育ててくれるのは大きなポイントでしょう。特に投稿コンテンツの企画は、一般企業のリソースではなかなか難しい場合も多いです。
ゼロの状態から探り探りでSNS運用をスタートすると、継続できても成果が出るのは数年後といったケースが少なくありません。その時間を短縮して成果を確実にする選択肢として、外注を活用するのはおすすめです。
■SNS運用に関するおすすめ書籍4選
最後に、企業のSNS運用者にとって役に立つおすすめ書籍を4冊、紹介しましょう。
◉『平均4.2カ月で1万フォロワーを実現する プロ目線のインスタ運用法』石川侑輝 (著)
Version 1.0.0
アカウントの設定方法からフォロワーが増えやすいプロフィールの書き方、投稿内容の考え方などわかりやすくまとまった一冊。2022年7月出版と比較的、新しいのもポイントです。
SNS界隈は非常に変化の激しい業界なので、なるべく新しくて売れている本から情報収集するのがコツです。
◉『世界一やさしい Twitter集客・運用の教科書 1年生』岳野めぐみ (著)
Twitter(現X)のビジネス活用についての書籍です。
Twitterは日本で浸透した歴史が古く、多くのユーザーを獲得しています。基本的に短文を投稿するのみのシンプルな仕様ですが、ビジネスに繋げるのにはちょっとしたノウハウが必要です。
本書なら、Twitterで集客したい方の入門書としておすすめです。
◉『LinkedIn(リンクトイン)活用大全 情報発信、起業、転職、人脈…ビジネスで一番使えるSNS』松本 淳 (著)
まだ日本にはほとんどない、LinkedInのビジネス活用についての書籍です。
実際にLinkedInを数多くのビジネスに繋げたLinkedInインフルエンサーによる執筆で、LinkedInの基本知識からアカウント設定の方法まで具体的に述べられています。
これからLinkedInを始める方にはぜひ読んでほしい一冊です。
◉『【超完全版】YouTube大全 6ヶ月でチャンネル登録者数を10万人にする方法』小山 竜央 (著)
今回のコラムで個別には扱いませんでしたが、YouTubeもコンテンツによって視聴回数やチャンネル登録を増やすという意味では、運用の性質がSNSにとても近いツールです。
こちらの書籍では、実際に10万登録を超えるチャンネルを多数作り出してきたマーケターがYouTube運用を徹底的に解説しています。
特にユーザー受けするコンテンツの考え方は本質的で、YouTubeだけでなく他のSNSやコラム記事などあらゆる媒体にノウハウを転用できます。
■まとめ
以上、ビジネスに繋がるSNS運用について述べました。
ビジネスコミュニケーションにおけるSNSの重要性が高まっている昨今、とにかくやらなきゃ!と考える企業は多いです。
ただし、SNS活用はやり方次第な部分がとても多いです。
それぞれのSNSの特徴を理解し、運用の方針をしっかりと定め、戦略的なSNS運用をスタートさせましょう。
ゴーストライターとは、著者に代わって書籍を執筆するライターのことです。著者へのインタビューや取材を通じて発信したいメッセージを正しく把握し、読者へ向けてわかりやすい文章を書いてくれます。
ビジネス書では、ゴーストライターに近い役割として「ブックライター」と呼ばれる執筆者が担当することが一般的です。ブックライターは、ビジネス書の執筆において当たり前の存在となっています。実際にビジネス書では、多くの著者がブックライターを活用しています。
ブックライターは、忙しい著者に代わり「メッセージをわかりやすく世間に発信する」という重要な役割を担う存在です。
著者自身の本業に集中しながら書籍を出版したいのであれば、積極的にゴーストライター(ブックライター)を活用することがおすすめです。
今回は、ゴーストライターの意味やビジネス書の執筆で活用すべき理由、ハイクオリティな原稿を書いてもらうためのコツなどを解説します。
目次【本記事の内容】
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)
 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
◉ゴーストライターとは?
ゴーストライターとは、著者に代わって書籍の執筆を行う人物のことです。著者へのインタビューや取材などを通じ、本人の主張や考え、価値観を把握したうえで、読者がスムーズに理解できるようわかりやすい文章でまとめていきます。
また、書籍だけでなく、作曲など別ジャンルでゴーストライターという言葉が使われることもあります。
◉ゴーストライター自体は決して悪ではない!
もしかすると、ゴーストライターに対して「悪いもの」というイメージを持つ方がいるかもしれません。
しかし名称こそ違いますが、上記で解説したようにゴーストライターは、著者の代理として本人の主張をわかりやすく噛み砕き、世間へ発信する役割を持っています。とくに、著者本人が「自分の知識をわかりやすく伝える自信がない」と考えている場合、理解しやすい文章を書けるゴーストライターは大いに力を発揮する存在です。
このように、著者の主張を世間にわかりやすく伝える力を持ったゴーストライターが「悪いもの」ということは、決してありません。
◉-1、ただし「ゴーストライターを使うべきでないケース」も存在するのは事実
ただし、小説・詩・曲など「制作者自身の独創性」が重要な作品では、ゴーストライターを使うべきではありません。
小説の世界観や言葉遣い、曲のメロディラインなどは、制作者の感性によって作られることが一般的です。読者やファンも「制作者自身が創作した作品」に対して価値を感じています。
それにも関わらず、ゴーストライターが小説を書いたり曲を作ったりしてしまうと、もはや「制作者本人による作品」とは呼べません。ファンとしても裏切られた気分になるでしょう。
このように、著者による創作性が高い分野については、ゴーストライターを使うべきではありません。
◉ビジネス書の執筆ではむしろゴーストライターを活用すべき!その理由は?
小説や詩などの分野ではゴーストライターを使うべきではありません。しかし、ビジネス書や実用書などでは、むしろゴーストライター(ブックライター)を活用することが当たり前になっています。
具体的な理由は、以下の3つです。
- 著者が多忙で執筆に時間を割けないため
- 著者が本業に注力するため
- 「文章を書くプロ」に任せたほうがクオリティの高い書籍を作れるため
◉-1、著者が多忙で執筆に時間を割けないため
ビジネス書や実用書は、経営者などの多忙な人物が著者となることが一般的です。そのため本業が忙しく、なかなか執筆に時間を取れないことも珍しくありません。
執筆に時間を取れなければ、文章の構成をブラッシュアップしたり誤字脱字を入念にチェックしたりなど「質を高めるための作業」にリソースを割けず、書籍のクオリティが下がるリスクがあります。もし、内容に間違いがあったり日本語的におかしい部分が多かったりすると、著者の信頼性にも関わるでしょう。また、原稿が進まず納期に遅れる可能性もあります。
ブックライターを活用できれば、多忙な著者でもハイクオリティな書籍を出版することが可能です。
◉-2、著者が本業に注力するため
書籍は平均して「200〜300ページ・7万〜10万文字」というボリュームで文章を書きます。そのため、自分で執筆すると大幅に時間を取られてしまいます。とくに、著者自身に本業がある以上、執筆に時間を使い過ぎるわけにもいきません。
確かに、長期的な視点で「自社のブランディングを強化したい」「認知度を高めて売上アップにつなげたい」といった目的を達成したいなら、書籍は執筆すべきです。とはいえ、著者本来の仕事に支障が出ることは避けなければなりません。
ブックライターを活用すれば、執筆に関わる作業はほぼ丸投げできるため、著者は本業に注力できます。日々の業務をこなしながら、長期的な施策である書籍の制作にも取り組めるのは、ブックライターを活用するからこそできることです。
◉-3、「文章を書くプロ」に任せたほうがクオリティの高い書籍を作れるため
基本的に著者は、特定ジャンルの専門家ではありますが「文章を書くプロ」ではありません。
ターゲットにもよりますが、基本的に書籍は、専門知識を持たない人でも理解できるよう「わかりやすく・噛み砕いて」まとめる必要があります。もし、執筆に慣れていない著者が無理に文章を書くと、読みにくい書籍が完成するかもしれません。せっかく役立つ知識を持っているのに、執筆に慣れていないことが原因で読者へ正しく伝えられないのはもったいないです。
文章のプロであるブックライターなら、著者の主張を理解して噛み砕き、読者の視点に合わせてわかりやすくまとめられます。執筆のプロであれば修正回数も少なく済むため、結果的にハイクオリティな書籍をスピーディーに仕上げられるでしょう。
◉出版業界では「ゴーストライター(ブックライター)」が著者の代理で執筆するケースが当たり前!
このようにビジネス書においては、忙しい著者に代わりハイクオリティな原稿を執筆できるゴーストライターによる執筆が当たり前になっています。出版業界では「ブックライター」と呼ばれるほどスタンダードな存在です。実際に弊社が書籍の出版を請け負う中でも、ビジネス書ではほとんどの著者がブックライターに執筆を任せています。
とはいえ、出版を検討する中で「文章なら自分でも書けるのでは?」と考える人もいるでしょう。確かに「文章を書く」という行為は、ほとんどの人が日常的に行っています。
しかし、実は「日頃から何気なく書いている文章」と「書籍を書く文章」では、必要なスキルが違います。そのため、文章表現のプロであるブックライターに依頼したほうが、著者にとっても大きなプラスとなるのです。
具体的な理由を確認していきましょう。
◉-1、文章表現のプロであるブックライターに依頼したほうが著者にとってもプラス
基本的にビジネス書は、以下のような目的の達成に向けて出版するものです。
- 商品購入につなげたい
- 問い合わせを増やしたい
- 採用の応募者数を増やしたい
- 自社のブランディングを強化したい
目的を達成するには、自社の知識や考え方などを「わかりやすく・想定読者が理解できる形で」まとめることが必須です。
しかし、執筆に不慣れな専門家が文章を書くと、つい専門用語を使ってしまい、知識を持たない読者では理解できないことも多いでしょう。
一方でブックライターなら、対象読者の理解度に合わせ、専門的な話を順序立てて噛み砕いて説明できます。そして、結果的に自社のメッセージがターゲットへスムーズに伝わり、目的も達成しやすくなるのです。
とくにブックマーケティングでは、書籍の出版を通じて上記のような目的を達成することがメインとなるため、なおさらブックライターに依頼したほうがよいでしょう。
▶︎ブックマーケティングについては、関連記事【ブックマーケティングとは?効果的な戦略】もあわせて参考にしてください。
◉ブックライターにハイクオリティな原稿を書いてもらうためのポイント!
このようにビジネス書を執筆する際は、ブックライターに任せたほうが安心です。
もちろん「ブックライターに丸投げしたらOK」というわけではありません。ブックライターに高品質な原稿を制作してもらうには、以下のポイントを押さえて依頼することが大切です。
- 書籍を出版する目的を明確化しておく
- 取材やインタビューへ丁寧に回答する
- 伝えたいメッセージを事前に洗い出しておく
◉-1、書籍を出版する目的を明確化しておく
以下のように、書籍の出版目的を明確化しておきましょう。
- 自社のブランディングにつなげたい
- 採用活動に使いたい
- 問い合わせ数を増やしたい
- 信頼性を高めて商談の成約率を改善したい
こうした書籍の出版目的に応じて、執筆すべきコンテンツも変わります。例えば「ブランディングにつなげたい」という目的であれば、自社の理念やサービスのコンセプト、哲学などを深掘りした内容がメインになるでしょう。
ブックライターとしても、出版目的を明確化しているほうが、最初の著者へのヒアリング時に「どこを質問して深掘りすべきか?」を的確に判断できます。
◉-2、取材やインタビューへ丁寧に回答する
ブックライターに依頼する場合は、書籍の執筆前に取材やインタビューが行われるため、丁寧に回答しましょう。質問へしっかりと回答することで、ブックライターも執筆に必要な情報を集めやすくなり、結果的に著者の意向を反映した高品質な原稿を制作しやすくなります。
◉-3、伝えたいメッセージを事前に洗い出しておく
「書籍を通じ伝えたいメッセージ」を洗い出しておくことも大切です。ビジネス書であれば、例えば「投資に関する知識を知ってもらいお金で困る人を減らしたい」「◯◯業界で利益を最大化する方法を広めて赤字続きの会社を救いたい」などが挙げられるでしょう。
目的と合わせメッセージも明確化することで、ブックライターや出版社と書籍のイメージをより正しく共有し、スムーズな執筆を実現できます。
また、メッセージと合わせて「原稿の完成イメージ」もブックライターに伝えると、さらに書きやすくなるでしょう。具体的には、参考書籍を提示して「この本の◯◯と同じように表現したい」などと伝えることがおすすめです。
◉まとめ
この記事では、ゴーストライターの意味や出版業界における呼び方、ビジネス書の執筆で活用すべき理由などを解説しました。
ゴーストライターとは、著者の代理として書籍を執筆する人のことです。著者への取材やヒアリングを行って主張や考え方を把握し、わかりやすい文章でまとめる役割を持ちます。
このゴーストライターは、出版業界では「ブックライター」と呼ばれています。ビジネス書や実用書の執筆では、今やブックライターに執筆してもらうことが当たり前です。文章執筆のプロであるブックライターに任せることで、著者は本業に集中しつつ、高品質な原稿を制作してもらうことができます。
とくにブックライターは、読者の理解度に合わせて「専門知識をわかりやすくまとめること」のプロです。そのため、著者の主張がより明確に読者へ伝わり、ブックマーケティングにおける「自社のブランディングにつなげたい」「採用活動に使いたい」といった目的を達成しやすくなるでしょう。
ブックマーケティングの成功確率を高めたいのであれば、ブックライターの活用に加えて「出版後のマーケティング戦略を設計する」「書店に置いてもらえるよう営業を行う」といった施策も重要です。
弊社が提供するブックマーケティングサービスでは、上記のようなサポートを含め、書籍がターゲットの手元に届くまで責任を持ってお手伝いいたします。書籍の執筆経験が豊富なブックライターも在籍しているため、書籍の出版によるマーケティングを考えている方は、まずお気軽にお問い合わせください。