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2025.04.17
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自費出版のやり方を現役書籍編集者が1から分かりやすく解説!

自費出版といっても、依頼する先や本の作り方によって複数のやり方があります。
自費出版を検討しているのであれば、まずは「どのような自費出版のやり方を選べば、自身の思い描く本が出版できるのか?」などを考え、自身にとって最適なやり方を選ぶことが重要です。
適さないやり方を選んでしまうと、本の出版によって得たい利益が得られなかったり、目的が達成できなかったり、せっかくの出版が失敗に終わってしまう場合があります。
今回は、自身に最適な自費出版のやり方を選ぶために必要な知識について、現役の書籍編集者が分かりやすく解説いたします。
目次【本記事の内容】
- 1.自費出版には3種類のやり方がある
- 1-1.出版社に依頼(自費出版)
- 1-2.印刷会社に製本を依頼(個人出版)
- 1-3.電子書籍で出版(電子出版)
- 2.自費出版のやり方を選ぶポイント
- 2-1.自費出版をする目的は何か?
- 2-2.どの程度のクオリティで本を出版したいか?
- 2-3.原稿執筆、デザイン、校正などをどこまで自分でできるか?
- 2-4.本の販売をどこで行うことを想定しているか?
- 2-5.本の出版にかけられる予算感はどれぐらいか?
- 3.自費出版の進め方・手順
- 3-1.出版社に依頼する場合(自費出版)
- 3-2.印刷会社に印刷・製本を依頼する場合(個人出版)
- 3-3.電子書籍で出版する場合(電子出版)
- 4.【まとめ】自費出版のやり方を正しく選ばないと損をする!
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)![]() 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
◉自費出版には3種類のやり方がある

自費出版とは、名前の通り自分自身の費用で本を出版することです。
自費出版のやり方によって、次の3つに分けることができます。
1.出版社に依頼(自費出版)
2.印刷会社に製本を依頼(個人出版)
3.電子書籍で出版(電子出版)
以下で、それぞれの特徴やメリット・デメリットについて詳しく見ていきましょう。
◉-1、1.出版社に依頼(自費出版)
自費出版をする場合、出版社が提供する自費出版サービスを利用する方法があります。
メリットは、本の編集やデザイン、校正などを本の制作のプロに任せることができるため、クオリティの高い本が作れることです。
一方でデメリットとして、著者の費用負担が大きいことや、商業出版された本に比べて信頼性や権威性が低く見られる可能性が挙げられます。
自費出版は「どこまでコストをかけられるか」「どこまで流通させられるか」という点に限界があるからです。
たとえば、カバーデザインが明らかにコストを抑えてつくられていれば「この書籍の内容は信頼できるのだろうか」と疑念を抱いてしまうこともあるでしょう。
このように、出版社に依頼したとしても、必ずしも権威性が担保されるわけではないのです。
◉-1-1、共同出版(協力出版)という形も増えている
近年では、共同出版(協力出版)というスタイルの自費出版も増えてきています。
この方法は、著者と出版社が費用を分担して本の制作・出版を行うものです。
ただし、共同出版は出版社も費用を負担することになるため、一般的な自費出版に比べるとハードルが高くなっています。
◉-2、2.印刷会社に製本を依頼(個人出版)
自分自身で原稿の執筆や編集、デザイン、校正などを行い、印刷会社に持ち込んで印刷・製本してもらうやり方を「個人出版」といいます。
印刷・製本以外はすべて自分でやる必要があります。
メリットは、締切に追われることがなく自由に好きな本を作れることや、出版社に依頼するやり方に比べて出版費用が安いことです。
一方で、すべての作業を一人で行うため、編集やデザインの専門的なサポートがなく、完成した本のクオリティが出版社経由の出版よりも劣ってしまう可能性がある点はデメリットといえるでしょう。
個人出版については、関連記事【個人出版とは?自費出版との違いやメリット・デメリットを解説】もあわせて参考にしてください。
◉-3、3.電子書籍で出版(電子出版)
電子書籍で出版する場合、印刷・製本工程が不要になるため、ほかの自費出版のやり方に比べて制作費用を大幅に抑えることができます。
メリットは、インターネット上で簡単に誰でも出版手続きができ、在庫リスクがないことです。
その反面で、電子書籍市場そのものがまだ限定的であることに加え、書店での販売ができないため、出版したとしても想定したほどの効果や認知獲得を得られない可能性が高いです。
実際、公益社団法人全国出版協会の「出版指標年報(2023年度版)」によると、2022年の電子書籍のシェアは全体のわずか2.7%にとどまっていることがわかります。
なお、電子出版ができるサービスには、次のようなものがあります。
・Amazon Kindle
・楽天Kobo
・Google Play Books
・Apple Books
・forkN
・BCCKS
・Shopify+bookend
◉自費出版のやり方を選ぶポイント

自費出版のやり方を「出版費用が安いから」といった理由だけで選んでしまうと、後で「せっかくお金を出して自費出版したのに思ったような効果が得られなかった」という後悔につながる可能性があります。
自費出版をして後悔しないためにも、次のようなポイントに注意して、最適な自費出版のやり方を選ぶようにしましょう。
・自費出版をする目的は何か?
・どの程度のクオリティで本を出版したいか?
・原稿執筆、デザイン、校正などをどこまで自分でできるか?
・本の販売をどこで行うことを想定しているか?
・本の出版にかけられる予算感はどれぐらいか?
以下で、詳しく解説します。
◉-1、自費出版をする目的は何か?
自費出版のやり方を選ぶうえでまず重要なのは、出版する目的を明確にすることです。
そうはいっても、実際のところ「ただ本を出版したい」という人は少なく、何らかの目的があって本を出版するはずです。
この目的によって、適した出版方法や予算のかけ方、必要なサポートの内容が大きく変わってくるため、最初にしっかりと整理しておく必要があります。
以下では、よくある自費出版の目的別に、どのようなやり方を選ぶのがおすすめなのかを解説します。
◉-1-1、自身の作品(小説・写真集など)を本という形にしたい
もし「作品を本の形にしたい」という目的のみであれば、基本的にはどの出版方法を選んでも問題ありません。
たとえば、出版社に依頼して費用をかけて完成度の高い本にするのも一つの手です。
また、費用を抑えて印刷会社に製本だけを依頼する方法もあります。
この場合は、費用感とクオリティのバランスを考えることが大切です。
◉-1-2、自身の作品(小説・写真集など)を世の中にもっと広めたい
小説や写真集などの自身の作品を「世の中にもっと広めたい」という目的がある場合は、出版社と契約して書店流通オプションをつけるやり方がおすすめです。
書店で扱ってもらうことができれば、多くの人の目に触れるチャンスが増えます。
ただし、書店流通したからといって必ず売れるとは限らないので、自分自身でも販促活動を行うことが重要です。
たとえば、自身の作品集が書店で販売されていることをSNSでこまめに情報発信したり、電子書籍でダイジェスト版を発行してインターネット上でPRしたりするなどの方法が考えられます。
実際に、山田悠介「リアル鬼ごっこ」やJamais Jamais(じゃめじゃめ)「B型自分の説明書」など、自費出版からベストセラーになった作品も存在します。
◉-1-3、イベントやセミナーなどで特定の誰かに配布・販売したい
イベントやセミナーなどのように、本を配布・販売する相手が限定されている場合は、費用面から印刷会社に依頼して制作する個人出版がおすすめです。
PowerPointやWordなどで原稿を作って印刷会社に持ち込めば、印刷と製本の費用だけで済むため、比較的安価に本を用意できます。
◉-1-4、交流会や営業先などで名刺代わりに本を配りたい
業界の交流会や営業先で本を「名刺代わりに配る」ことが目的の場合、相手に社会的信頼性や権威性、専門性などをいかにアピールできるのかがポイントです。
そのため、出版社に依頼して完成度の高い本に仕上げるやり方が向いています。
この場合は、本の売り上げ自体よりも、本を配った相手からの問い合わせや仕事の受注などで元を取るイメージです。
出版費用が多少高かったとしても、自身のビジネスで後から元を取れれば問題ないでしょう。
◉-1-5、商品・サービスのマーケティングの一環として本を活用したい
商品やサービスの認知度を高める手段として本を活用するなら、出版社に依頼し、プロのライターやデザイナーの力を借りてクオリティを高める方法がおすすめです。
本を読んだ人が「この商品やサービスを利用してみたい」と思うように、ターゲットを明確に定めて、マーケティングのどのタイミングで本を配るのかをよく検討する必要があります。
また、本を書店に流通させて新規顧客開拓やアプローチにつなげることも重要なため、ブックマーケティングというやり方を選ぶのもおすすめです。
▶︎ブックマーケティングのやり方については、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。
◉-1-6、事業のブランディングのために活用したい
ブランディングのために本を活用するのであれば、「自社のファンになってもらうこと」「認知を拡大すること」「信頼してもらうこと」が重要な目的となります。
そのため、出版社に依頼して完成度の高い本にしてもらうやり方がおすすめです。
また、本を書店に流通させていくことが重要なため、企業出版(カスタム出版)という方法を選ぶのも一つのやり方です。
▶︎企業出版のやり方については、関連記事【企業出版(ブックマーケティング)のメリットとは? 企業が考えるべき出版による効果】もあわせて参考にしてください。
◉-2、どの程度のクオリティで本を出版したいか?
自費出版の目的を達成するために、どの程度のクオリティが必要なのかを検討しておくことが重要です。
一般的には、出版社、印刷会社、電子出版の順に仕上がりの完成度が高いとされますが、それに比例して費用も高額になる傾向があります。
どの程度のクオリティを求めるか、またそれに見合う費用のバランスをよく検討しましょう。
◉-3、原稿執筆、デザイン、校正などをどこまで自分でできるか?
原稿執筆やデザイン、構成などの工程を自分でどこまで行えるのかによって選べるやり方や費用感が変わってきます。
これらの工程をすべて自分で行えるのであれば、費用の安い印刷会社に依頼しても問題はありません。
しかし、「原稿が書けない」「デザインができない」「本の製本データを作ることが難しい」など自分でできない工程があるのであれば、出版社に依頼したほうが安心です。
必要に応じて、ライターやデザイナー、カメラマンをアサインしてもらうことができます。
その分費用が高くなりますが、良い本が期待できるでしょう。
なお、印刷会社に依頼する場合は、基本的にすべての工程を自分で対応することが前提となる点に注意が必要です。
◉-4、本の販売をどこで行うことを想定しているか?
本を販売する場所によっても選べるやり方や費用感が変わります。
書店流通やオンラインで販売することを考えているのであれば、出版社に依頼するやり方がおすすめです。
自費出版でも、オプション料金を払えば書店流通を利用できるケースがあります。
ただし、書店に流通させて読者に「自社の商品やサービスを購入してもらいたい」と考えているような場合は、自費出版ではなく書店流通が前提の企業出版を検討したほうが良いでしょう。
また、コミックマーケット(コミケ)といったイベントやセミナーなどで本の販売を行うことを決めている場合は、書店流通がない印刷会社のほうが費用が安くなるのでおすすめです。
◉-5、本の出版にかけられる予算感はどれぐらいか?
本の出版にどれくらいの予算をかけることができるかで、選択肢や仕上がりのクオリティが変わってきます。
出版社は、予算感が高くなりますが、完成度の高い本を出版したいのであれば最適です。
一方で、予算をできるだけ抑えたい場合や、まずは本を出版すること自体を重視したい場合には、費用を抑えられる印刷会社や電子出版を選びましょう。
最初から予算感だけでやり方を決めるのではなく、「どれぐらいのクオリティを求めるか」によって予算感を決めるのが重要です。
◉自費出版の進め方・手順

実際に自費出版を進めるには、どのような手順で進めればよいのでしょうか。
以下の3つのやり方について紹介します。
・出版社に依頼する場合(自費出版)
・印刷会社に印刷・製本を依頼する場合(個人出版)
・電子書籍で出版する場合(電子出版)
それぞれ詳しく見ていきましょう。
◉-1、出版社に依頼する場合(自費出版)
自費出版で出版社に依頼する場合は、以下のような手順で進めます。
1.自分で出版の目的を明確にする
2.出版社を選んで、出版目的や作業分担などを決める
(自分で原稿を執筆するのかライターに依頼するのかなどを決める)
3.自分で原稿を執筆し図版を準備する
(ライターに原稿執筆を依頼する場合は図版だけを準備する)
4.出版社と打ち合わせをして、装丁や紙面デザイン・レイアウトを決める
5.出版社と著者で校正・校閲を行う
6.出版社から印刷会社にデータを入稿する
7.印刷会社が印刷・製本する
出版社に依頼する際は、どの工程までを出版社に任せるのかを事前に取り決めておくことが重要です。
また、書店流通やプロモーションなどのオプションサービスが用意されている場合もあるため、この点についても出版社に確認するようにしましょう。
▶︎自費出版の全体像や費用感については、関連記事【自費出版とは?メリットやデメリット、費用相場、成功事例などを解説】もあわせて参考にしてください。
◉-2、印刷会社に印刷・製本を依頼する場合(個人出版)
個人出版で印刷会社に印刷・製本を依頼する場合の具体的な進め方や手順は、次の通りです。
1.自分で企画・構成を組み立てる
2.自分で原稿を執筆して図版を準備する
3.自分で装丁や紙面デザイン・レイアウトを決める
4.自分で校正・校閲を行う
5.自分で印刷会社に印刷データを入稿する
6.印刷会社が印刷・製本する
個人出版の場合は、印刷・製本以外の工程はすべて自分で行う必要があります。
印刷会社に入稿する印刷データはPowerPointやWordなどで作ったもので構いません。
◉-3、電子書籍で出版する場合(電子出版)
電子書籍として出版する電子出版の場合の具体的な進め方や手順は、次の通りです。
1.自分で企画・構成を組み立てる
2.自分で原稿を執筆して図版を準備する
3.自分で紙面デザインやレイアウトを決める
4.自分で校正・校閲を行う
5.自分で電子出版の手続きを行う
電子出版の場合は、すべての工程を自分でやることになります。
原稿執筆は、WordやGoogle Documentなどを使って行います。
【まとめ】自費出版のやり方を正しく選ばないと損をする!
この記事では、自身に最適な自費出版のやり方を選ぶために必要な知識、自費出版のやり方を選ぶポイント、自費出版の具体的な進め方・手順などについて、現役の書籍編集者が詳しく解説しました。
自社の商品・サービスのマーケティングや、ブランディング目的で本を活用したい場合には、書店流通が可能な出版社への依頼がおすすめです。
そのようなニーズには、書店流通を前提とした「企業出版」という選択肢もあり、マーケティングとの親和性が高いため、特に効果的な方法です。
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