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2021.03.09

Branding

「ブランディング」の意味とブランディングの手法

経営者やマーケティング担当者の間で、「ブランディング」という言葉は広く普及しました。 「当社もこれからはブランディングが重要だ」「来期はブランディングのために予算を投じよう」……こうした会話がビジネスで日常のやり取りになっていますが、そもそもブランディングとは何なのか? という問いをかけられると、明確に答えられない人は意外に多いのではないのでしょうか。 今回は、今さら聞けないブランディングの何たるかと、ブランディングを達成するための具体的な手法を解説します。

ブランドとブランディング

ブランディングの説明をするうえで、まずは「ブランド」という概念について説明しましょう。

ブランドとは簡単にいえば、企業や商品、サービスなどを他と区別し、ユーザーに共通のイメージを持ってもらうための要素すべてを指します。

ブランドという言葉は英語の「burned(焼印を押す)」から来ており、放牧している牛や製造したウイスキー樽に焼印を押して所有者・製造元を明確に示したことに由来して、「ブランド」という概念が用いられるようになりました。

現代のブランドを構成する要素

ビジネスでいわれるブランドとは、たとえば高級革製品のエルメスやグッチといったブランドが皆さんにも馴染み深いでしょう。こうしたハイブランドのみならず、自動車のトヨタや家電のパナソニックなどもブランドです。

現代のブランドを構成する要素には、たとえば次のようなものがあります。

・企業や製品のロゴ
・名称や商標
・広告などに用いられるキャッチフレーズ
・WEBサイトやその他制作物のデザインとコンテンツ
・CSRなど企業の理念を体現した取り組み
・経営者や社員による社会への発信

これら、企業と社会とが接点を持つすべての施策による総合的なイメージから、ブランドが形作られるのです。

そして、ブランドを意図して確立するために行なう取り組みを総称して、ブランディングと呼びます。

ブランディングによって価格競争から解き放たれる

「ブランド力がある」というと、「高級なイメージがあって価格が高くても買ってもらえる」という意味と同義で考えている人が多いかもしれません。こうした認識はブランドの一部を捉えていますが、本来のブランドはもう少し広い概念を含みます。

たとえば、アウトドアファッションブランドのパタゴニアは、「リサイクル素材100%使用のアイテム開発」「持続的な農業研究への参画」など、環境意識の高いサステナブルな企業としての取り組みを積極的に発信しています。

このブランディングが功を奏し、環境意識の高い先進的な人々から、他のブランドではなく絶対にパタゴニアを選ぶ、というファン層を多く獲得しているのです。

シューズメーカーのドクターマーチンは、その独特な丸みを帯びた靴のフォルムがイギリスのロックカルチャー文化の体現としてブランド化され、ブリティッシュロックのファン層から積極的に選ばれています。

ほかに有名どころだと、コーヒーチェーンのスターバックスは、元CEOのハワード・シュルツ氏による「サードプレイス(家でも職場でもない素敵な第三の場所)」というコンセプトに基づいたブランディングの成果で、外で落ち着いてコーヒーを飲みたいユーザーが真っ先に思い浮かべる場所として自社を位置づけることに成功しました。

これらのブランディング成功企業は、必ずしも競合に比べて価格がとても高いわけではありません。

重要なポイントは、ブランディングによって自社の位置付けや考え方をユーザーと明確に共有し、競合と比較されずに指名で選ばれる商品・サービスにできた点です。それにより、ブランディング成功企業は競合との値下げ競争から解き放たれ、適正な利益を確保しながらブランドをより強化する取り組みに経営資源を割くことができています。

ユニクロをグローバルブランドに押し上げたブランディング戦略

ブランディングの意義について理解を深めるため、日本企業の例についても紹介しましょう。

柳井正氏率いるファーストリテイリングによる、ユニクロです。

ユニクロロゴ

(画像引用元:Wikipedia)

皆さんもご存知のこちらのロゴは、ユニクロのリブランディングを依頼されたアートディレクターの佐藤可士和氏によってデザインされました。

佐藤氏は、柳井正氏へのヒアリングの際、このような質問をしました。

「柳井さんはユニクロを、『日本発のブランド』として印象付けたいですか?」

それに対し柳井正さんは、

「これからは、日本発のアパレルブランドとしてユニクロを世界中に拡大したい」

と返答したそうです。

そのやりとりから最終的に決定したのが、ユニクロの現在のロゴです。

以前はエンジ系の沈んだ色がベースだったロゴは「日の丸カラー」のパキッとした紅白ロゴに生まれ変わり、文字は欧米人にも好まれるシャープなフォントに。英語だけでなくカタカナ版も用意することで、あえて海外向けに「アジア感」を演出する機会にカタカナ版を使用する提案も佐藤氏からされています。

その後、ユニクロがグローバルブランドとして飛躍したのは、周知の事実です。ユニクロのリブランディングは、経営者の思いとブランディングのアウトプットの方向性がバッチリ噛み合った好例といえるでしょう。

ブランディングを成功させる3ステップ

では、実際にビジネスの現場でブランディング、あるいはリブランディングを成功させる方法を解説します。

今回は、個人事業主や小さな企業でもブランディングを実行できるように、ごくごくシンプルなステップにまとめました。

ブランディングのステップ①自社ブランドの現状測定

ブランディングに取り組むうえでまず行なうべきは、現状の自社ブランドについて、客観的に把握することです。

それには、ユーザーの声を聞くのが最も適切です。自社の既存ユーザーにアンケートを取ったりヒアリングをかけたりして、なぜ自社を選んだのか聞いてみてください。

自社の担当者から直接聞くとおべっかを使われてしまう可能性があるので、外部調査機関を使っても良いでしょう。

一方で、「選ばれなかった理由」を知るのはさらに重要です。

営業マンなどから、商談のなかで競合に決まってしまったケースの情報を可能な限り多く集め、社内で徹底的に分析しましょう。

この際、「価格では負けていなかったのに競合に取られてしまった」「競合であると考えていなかった低価格低品質の他社に取られた」といった事例が必ず出てくるはずです。このような事例こそ、自社のブランド力不足を炙り出すヒント。ブランドが確立していれば起こり得ないケースだからです。

とことん突っ込んで議論し、自社の現状を謙虚に把握しましょう。

ブランディングのステップ②ブランドコンセプトとターゲットの決定

自社のブランドについて現状を把握したら、次は進むべき方向を定めます。

ステップ①で把握した現状の不足に対して、それを克服できるようなブランドコンセプトを定め、自社のターゲットも同時に明確にします。

実在の例を用いると、次のような内部コンセプトを決定するイメージです。

・おしゃれで先進的な人々に対し、クールな製品を通じたスタイリッシュなライフスタイルを提供する(Apple)
・最も安心できる自動車をお手頃価格で求める人々に対し、運転しやすく安全性能の高い、丈夫なクルマを適正価格で提供する(トヨタ自動車)
・モノへのこだわりを表現して自分自身をブランディングしたいハイソサエティ層に対し、職人一人ひとりのストーリーが詰まった最高品質の腕時計を提供する(リシャール・ミル)

※それぞれのブランドの内部コンセプトは、当社の独自分析によるものです。

このように、ターゲットを含めた内部コンセプトがはっきりすると、ブランディングの方向性は自然と明確になってきます。

ブランディングのステップ③個別施策の精査と実行

ブランドコンセプトとターゲットが定まったら、自社が現在、ユーザーと持っている接点をすべて再検証します。

たとえば、ハイソサエティ向けに高品質な商品・サービスを提供しているのに、自社サイトがポップなデザインで「安さ・手軽さ」を売りにしているようであれば、ブランドコンセプトとのミスマッチになります。製品に対する哲学やサービスに対する思いを強みにしたいのに、自社の理念やストーリーを何も公開していないとしたら、ブランディングは成功しません。

このように、あるべき自社のブランドに沿った施策をきちんと取っているか精査し、足りない施策は新たに実行する必要があるのです。

ブランディングプロセスの好事例として、ゼネコンの前田建設工業の取り組みを紹介しましょう。

ゼネコンとは非常にブランディングの難しい業種です。ある程度の規模であればどこも技術力や得意な工事にはさほど差がなく、結局横並びで「安心」「誠実」といった抽象的なメッセージを発信するブランディング施策になってしまいがちなのです。前田建設工業についても、特徴や強みの打ち出しに苦労していたことは容易に想像できます。

そこで前田建設工業が行なったのは、特設ページによる「前田建設ファンタジー事業部」というコンセプトの打ち出しです(https://www.maeda.co.jp/fantasy/)。

前田建設ファンタジー営業部は特設サイトにおいて、「マジンガーZ地下格納庫一式工事は予算72億円、工期6年5ヵ月(ただし機械獣の襲撃期間を除く)で引き受けます」など、ファンタジー世界の構造物を実際に大手ゼネコンが請け負ったらどうなるか、という空想を面白コンテンツとして展開。そのマニアックさと異様なまでの緻密な分析によってサイトが大ヒットし、同テーマで出版した書籍もベストセラーになりました。2020年には映画も公開されています。

こうした、ブランドの現状を見据えた一連のブランディング施策により、前田建設工業は「遊び心があって挑戦的なゼネコン」としてのブランドを確立することに成功。会社の知名度を大きくアップさせるとともに、競合と比べられない独自の立ち位置を確立したのです。

このほかにも、テレビCMをはじめとした大規模な広告ブランディングや、自社店舗の全店改装でブランディングを成功させた事例が見られます。ただ、今回は「予算がそれほど潤沢でなくても実行できる」という観点に重きをおいて解説しました。

Tips:「インナーブランディング」の威力

最後に、ブランディングの副次的効果としての、社内へのブランディングーー「インナーブランディング」について簡単に触れましょう。

ブランディングの威力は、ユーザーに対するものにとどまりません。

自社の立ち位置と目指している方向を明確にすれば、同時に、従業員の意思を統一し、全員が同じ方向を向いて仕事に取り組む組織をつくることにつながります。

たとえば、「同業他社にはない超一流の気配りと温かみを提供するホテル」というブランドコンセプトを設定し、それに則った施策を実行すれば、従業員も自然に「私たちは超一流の気配りと温かみを提供しなければいけないのだ」という意識になります。従業員の間違った行ないに対するフィードバックもしやすくなるでしょう。

よく、経営においては従業員に理念を浸透する重要性が説かれますが、理念浸透もブランディング強化によって自然に実現することができるのです。

まとめーーブランディング施策で最も重要なのは?

ブランディングという概念の意味と、ブランディングを成功させる施策について述べてきました。

重要なのは、どういったストーリーに基づいてブランドコンセプトを導き出すかと、コンセプトを自社のすべてに一貫させることです。

よく、「なんとなく高級感を出したい」などといってウェブサイトだけハイブランドのように作り直す企業がありますが、一貫性のあるコンセプトに則っていなければ無駄な出費になります。

うまくポイントをおさえてブランディングを成功させ、ユーザーから積極的に選ばれるブランドづくりを実現しましょう。

参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから参考:フォーウェイのブランディングサービスについてはこちらから

執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、編集者)

慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月にはエリアマーケティングに特化した出版社、株式会社パノラボを設立。

 

 

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