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2025.06.04
Branding, Marketing
価格競争から脱却して選ばれるブランドになる方法|差別化戦略や成功事例などを解説

価格競争から抜け出せず、「価格を下げなければ売れない」と悩んでいる企業は少なくありません。
特に、商品やサービスの違いが明確に出しにくい業界では、価格競争に巻き込まれてしまうリスクが常につきまとっているといっても過言ではありません。
しかし、価格の安さだけで選ばれる状態が続くと、企業の利益もブランドも徐々にすり減り、衰退していってしまいます。
そうならないためにも、競合他社との価格競争から脱却していく必要があります。
この記事では、価格競争から脱却し、価格ではなく価値で選ばれる企業に変わるための実践的な方法について分かりやすく解説いたします。
目次【本記事の内容】
- 1.価格競争が企業にもたらすリスク
- 1-1.利益率の低下
- 1-2.商品・サービス品質の低下
- 1-3.顧客ロイヤリティの低下
- 1-4.ブランドイメージの低下
- 2.価格競争に巻き込まれてしまう原因
- 2-1.商品・サービスの価値が顧客に正しく伝わっていない
- 2-2.コモディティ商品を取り扱っている
- 2-3.安さをウリにしている
- 2-4.競合他社と差別化ができていない
- 2-5.営業部門に「値下げしてでも数字を取る」という文化がある
- 3.価格競争から脱却し、価値で選ばれる企業になるための方法
- 3-1.ターゲットの見直し
- 3-2.自社や商品・サービスのUSPを再定義する
- 3-3.商品・サービスに独自性(機能・体験・世界観)を持たせる
- 3-4.ストーリーテリングによりファンを増やす
- 3-5.営業・マーケティング部署を中心とした社内の意識・体質を変える
- 4.書籍出版により価格競争から脱却した成功事例
- 4-1.事例1:常識を覆す持論を展開して注目を集めた保険代理店
- 4-2.事例2:書籍出版により独自の強みをPRした会計事務所
- 5.【まとめ】価格競争から脱却し、本質的な価値で選ばれる企業を目指そう!
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター)![]() 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
◉価格競争が企業にもたらすリスク

価格を下げることで一時的な売上を確保できる場合もありますが、それはあくまで短期的な対処方法にすぎません。
結果として、次の4つのリスクが生じて企業の競争力を大きく損なうことにつながります。
・利益率の低下 ・商品・サービス品質の低下 ・顧客ロイヤリティの低下 ・ブランドイメージの低下 |
以下では、それぞれのリスクについて詳しく見ていきましょう。
◉-1、利益率の低下
価格を下げると、売上は一時的に増えますが、利益率は確実に低下します。
十分な利益を確保できなければ、商品開発や人材育成といった将来への投資が難しくなり、企業の成長は次第に鈍化していくでしょう。
最終的には、利益減少に歯止めがかからず、打つ手が尽きて撤退や倒産に追い込まれるケースも少なくありません。
◉-2、商品・サービス品質の低下
価格を下げたうえで利益を確保しようとすると、仕入れコストや人件費の削減に踏み切らざるを得なくなります。
しかし、その影響で製品やサービスの品質は徐々に損なわれ、顧客満足度も次第に低下していきます。
品質の低下は、クレームや返品の増加、リピート率の減少といった悪循環を招き、最終的には企業への信頼そのものを揺るがすリスクとなりかねません。
◉-3、顧客ロイヤリティの低下
「価格が安いから選んだ」という顧客は、より低価格の競合商品が登場すれば、迷わずそちらに流れてしまう傾向があります。
価格以外の価値で選ばれていない場合、顧客との継続的な関係を築くのは困難です。
このような状態では、リピート購入や紹介をしてくれるロイヤリティの高い顧客が育ちにくくなり、長期的な利益につながる顧客との関係構築がしにくくなります。
◉-4、ブランドイメージの低下
頻繁な値下げを繰り返すと、「安さだけが魅力のブランド」「品質に不安があるのでは」といったイメージが定着しやすくなります。
その結果、どれだけ優れた商品やサービスを提供していても、本来の強みや価値が伝わらなくなり、企業のブランド価値が下がってしまうでしょう。
ブランドイメージが損なわれることで、価格以外の面で差別化することが難しくなり、さらなる値下げに頼らざるを得ないという悪循環に陥るリスクが高まります。
◉価格競争に巻き込まれてしまう原因

近年の価格競争の激化には、「比較サイト」や「レビュー文化」の浸透、市場のコモディティ化など、外部環境の変化が影響しています。
しかし、それ以上に重要なのが、企業側の姿勢や構造に起因する要因です。
企業が価格競争に巻き込まれてしまう主な原因として、次の5つが挙げられます。
・商品・サービスの価値が顧客に正しく伝わっていない ・コモディティ商品を取り扱っている ・安さをウリにしている ・競合他社と差別化ができていない ・営業部門に「値下げしてでも数字を取る」という文化がある |
以下では、それぞれの要因について詳しく解説していきます。
◉-1、商品・サービスの価値が顧客に正しく伝わっていない
たとえ他社より優れた商品やサービスを提供していても、その価値が顧客に伝わらなければ、最終的な購入判断は価格になってしまいます。
商品やサービスの価値が正しく伝わっていなければ、他社と価格で戦わざるを得なくなり、自然と価格競争に引き込まれていきます。
自社の強みや商品・サービスの価値を顧客に正しく伝える努力が不足していることが、価格競争に巻き込まれる原因の一つといえるでしょう。
◉-2、コモディティ商品を取り扱っている
どこで買っても大きな違いがない商品やサービスは、顧客にとって価格が判断基準になりやすいという傾向があります。
たとえば、以下のようなものがこれに該当します。
・事務用品 ・日用品 ・BtoB向けの部品や資材 ・OEM製品 |
このような商品は、顧客から見ると違いが分かりづらいため、最も分かりやすい比較要素である「価格」が重視され、結果として価格競争に巻き込まれやすくなります。
そのため、価格以外の価値をどう打ち出すかが重要であり、明確な差別化要素がなければ価格競争から抜け出すのは困難でしょう。
◉-3、安さをウリにしている
「業界最安値」や「他社より〇%安い」といったアピールは、一時的な集客効果をもたらす反面、自ら価格競争に踏み込む行為でもあります。
こうしたアピールを続けていると、値下げが当たり前の状態となり、利益率が圧迫されていくという悪循環に陥ります。
安さをウリにするのではなく、「その価格で得られる価値は何か」を伝える視点が欠かせません。
◉-4、競合他社と差別化ができていない
商品やサービスの特徴、営業資料やWebサイトの内容などが競合他社と似通っていると、顧客は価格以外で比較することができなくなり、必然的に価格競争に陥ってしまいます。
差別化できていなければ、顧客にとって「選ぶ理由」は価格だけになってしまうからです。
価格以外の魅力を打ち出せなければ、顧客は最終的に「より安い方」を選ぶ傾向が強くなり、持続的な競争優位を築くことが難しくなります。
◉-5、営業部門に「値下げしてでも数字を取る」という文化がある
営業現場で「とにかく今月の数字を達成する」というノルマを重視しすぎると、「値引きしてでも購入してもらう」という安易な受注体質が生まれやすくなります。
このような姿勢が常態化すると、営業部門にとどまらず、組織全体に「価格で勝負するのが当たり前」といった意識が広がりやすくなります。
その結果、商品の価値を伝える工夫や、課題解決型の提案営業といった本来重視すべきアプローチが育ちにくくなるのです。
中長期的に見れば、価格競争からの脱却をますます困難にする大きな要因となります。
◉価格競争から脱却し、価値で選ばれる企業になるための方法

価格競争から抜け出し、価格ではなく価値で選ばれる企業になるためには、戦略的な見直しと社内体制の再構築が欠かせません。
そのための実践的な方法として、次の5つを紹介します。
・ターゲットの見直し ・自社や商品・サービスのUSPを再定義する ・商品・サービスに独自性(機能・体験・世界観)を持たせる ・ストーリーテリングによりファンを増やす ・営業・マーケティング部署を中心とした社内の意識・体質を変える |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
◉-1、ターゲットの見直し
まず重要なのは、「誰に売るか」を見直すことです。
価格を重視する層ばかりにアプローチしていては価格競争から抜け出せないので、価格よりも価値を重視する顧客層にターゲットを絞ることが効果的です。
見込み顧客のニーズを再定義し、価格以外の魅力を求めている層に焦点を当てて、訴求内容や接点を見直していきましょう。
◉-2、自社や商品・サービスのUSPを再定義する
次に、自社や商品のUSP(Unique Selling Proposition)、すなわち顧客にとっての「選ぶ理由」を再設計します。
価格以外のどこに魅力があるのかを明確に言語化して発信していくことが、価値を重視する顧客層に響くアプローチになります。
たとえば、次のような視点について、自社の強みを洗い出してみましょう。
・高品質・高性能・専門性 ・サポートの手厚さ ・納期の早さ・対応スピード ・社会的信頼 ・長年の実績・顧客との関係性 ・導入しやすさ ・パッケージング |
自社では当たり前と思っていたことでも、顧客から見ると大きな価値である可能性があります。
実際の顧客の声をヒアリングしながら、選ばれている理由を客観的に再発見することがUSPの見直しに有効です。
◉-2-1、高品質・高性能・専門性
競合には真似できない品質や技術、専門性は強力な差別化要素になります。
たとえば、「精度が1.5倍高い検査機器」「特定業界向けに開発された高耐久フィルター」「自社開発エンジンによる2倍以上の処理性能」「40年以上の実績を が裏付ける品質」などは、大手企業の資本力だけでは再現が難しい領域です。
こうした独自性の高い強みを明確に打ち出すことが、競争優位性を確立するポイントです。
◉-2-2、サポートの手厚さ
きめ細やかで手厚いサポート体制も顧客に選ばれる理由になります。
たとえば、「導入から初期設定まで専任スタッフがオンラインで対応」「電話・チャット・メールすべて即日返信」「マニュアルと操作研修がセットで初心者でも安心」といった対応は、かゆいところに手が届くサポートとして高く評価されます。
大手企業が規模の都合上提供しづらいサービスこそが、小回りの利く企業の差別化ポイントになり得ます。
◉-2-3、納期の早さ・対応スピード
納期の早さや対応スピードも強みになります。
たとえば、「午前11時までの注文は当日出荷」「初回見積もりは24時間以内に回答」「突発案件にも即日対応できる在庫体制あり」などの迅速な対応は顧客の信頼につながります。
ただし、過度なスピード対応は社内に負担をかけるため、持続できる体制を整えることが重要です。
◉-2-4、社会的信頼
地域活動への参加なども地域に特化した差別化に有効です。
「地域で50年以上の歴史」「行政や教育機関との協業実績」など、全国的な認知度が低くても、地域での強い支持を得ている企業は数多くあります。
地元に根ざした活動の積み重ねは、他社にはない信頼を築きます。
◉-2-5、長年の実績・顧客との関係性
積み重ねてきた実績は、何よりの信頼の証です。
たとえば、「創業50年」「累計導入企業2,000社以上」「15年以上継続取引の企業多数」「大手メーカー●●社に10年以上納品」といった具体的な数字があると、顧客に安心感を与えます。
特にBtoB取引においては、このような数字の裏付けがあると大きな説得力を持ちます。
◉-2-6、導入しやすさ
使いやすく、導入しやすい商品やサービスは、初めての顧客にとって大きな安心材料です。
たとえば、「初期費用ゼロで月額定額制から始められる」「マニュアルや初期設定キットが付属しており、現場ですぐに活用できる」「ITに不慣れでも安心の電話サポート付き」といった特徴は、現場の実用性を重視する顧客に高く評価されます。
また、導入のハードルが低いことで、購買意欲を後押しする効果も期待できます。
◉-2-7、パッケージング
商品やサービス自体での差別化が難しい場合は、パッケージや提供形式を工夫することで独自性を打ち出すことが可能です。
たとえば、キッコーマンは「しぼりたて生しょうゆ」を卓上ボトルで展開することで、他社と一線を画す価値を生み出しました。
このように、包装・提供方法・サブスクリプション化などで新たな価値を生むことができます。
特にコモディティ化しやすい商品やサービスを取り扱う企業は、パッケージングで競合他社との差別化を図るのがおすすめです。
◉-3、商品・サービスに独自性(機能・体験・世界観)を持たせる
価格だけで選ばれる状態から脱却するためには、商品やサービスに「体験価値」や「ブランドの世界観」などの情緒的な価値を加えることが有効です。
たとえば、「購入からアフターサポートまで一貫した顧客体験」や「ブランドの想いを物語として体現する演出」などを通じて、顧客の共感や愛着を引き出し「その企業で買いたい」と思わせることができます。
◉-4、ストーリーテリングによりファンを増やす
創業の理念や創業の背景、困難を乗り越えたエピソードなど、単なる商品説明では伝えきれない人間的な価値を伝える手法がストーリーテリングです。
企業の想いや価値観に共感した顧客は、価格ではなくそのブランドの姿勢に惹かれ、長期的な関係を築くロイヤルユーザーへと変わっていきます。
◉-4-1企業のストーリーを伝えるなら書籍出版がおすすめ
企業の想いや成り立ち、価値観を深く伝えたいなら、書籍が有効です。
書籍はマーケティングツールの中でも、社会的信頼性や専門性が高く、WebサイトやSNSと比べて「権威性のある情報発信」が可能になります。
また、読者は書籍という形式であれば長文をじっくり読んでくれるため、深い共感やファン化につながりやすいのも特徴です。
さらに、営業資料や広報活動におけるPRツールとしても活用でき、新規リード獲得のきっかけとしても効果が期待できます。
▶︎企業出版のやり方については、関連記事【企業出版(ブックマーケティング)のメリットとは? 企業が考えるべき出版による効果】もあわせて参考にしてください。
◉-5、営業・マーケティング部署を中心とした社内の意識・体質を変える
どれだけ価値を訴えても、現場が「売るためには値下げが必要」という意識のままでは、価格競争からの脱却は困難です。
そのため、営業やマーケティング部門を中心に、「価格ではなく価値で選ばれる」という文化を社内に浸透させることが重要です。
具体的には、教育や評価制度の見直し、KPI設計の再構築などを通じて、価格以外の魅力を語れる組織体制を整えていく必要があります。
◉書籍出版により価格競争から脱却した成功事例

価格ではなく価値で選ばれるための手段として、近年注目を集めているのが書籍出版を活用したブランディングです。
ここでは、実際に書籍出版を通じて、価格競争から脱却し、自社ならではの強みを市場に浸透させた2つの事例を紹介します。
・事例1:常識を覆す持論を展開して注目を集めた保険代理店 ・事例2:書籍出版により独自の強みをPRした会計事務所 |
以下で、それぞれ詳しく紹介します。
◉-1、事例1:常識を覆す持論を展開して注目を集めた保険代理店
保険商品は、どの保険代理店が販売しても商品内容も価格も基本的には同じという性質があります。
そのため、提案力や信頼性といった「見えにくい価値」が重視される業界だといえます。
そんな中で、この保険代理店の経営者は「成果報酬型ではなく、一律報酬型の給与制度こそが業績拡大につながる」という、業界の常識とは真逆の持論を打ち出し、その考えを一冊の書籍として出版しました。
この書籍は大きな話題を呼び、問い合わせが急増。
保険契約の件数が増えただけでなく、保険会社からの講演依頼も相次ぐなど、出版をきっかけに存在感が一気に高まりました。
▶︎保険代理店の詳しい事例については【【事例コラム】大口案件の集客、人材採用、大手企業からの講演依頼!出版ですごいことになった保険代理店】もあわせて参考にしてください。
◉-2、事例2:書籍出版により独自の強みをPRした会計事務所
税理士・会計士業界も、価格競争に陥りやすい分野の一つです。
特に中小企業向けの税務顧問業務では、「記帳や申告だけしてくれればいいから安くしてほしい」といった要望が多く、価格以外で選ばれる理由をいかに示すかが課題となっています。
このような状況の中で、東京と名古屋で会計事務所を開設している代表者は、自らの海外における勤務経験を活かして「海外へのビジネス展開におけるリスクやマネジメントのポイント」をまとめた書籍を出版しました。
その結果、「外資系企業やグローバル案件にも対応できる会計事務所」であることを伝えることができ、結果として他事務所との差別化に成功しました。
▶︎公認会計士事務所の詳しい事例については【【事例コラム】出版をきっかけにメディア取材が続々、著名人との対談も実現!”海外進出の第一人者”のポジションを得た公認会計士】もあわせて参考にしてください。
◉【まとめ】価格競争から脱却し、本質的な価値で選ばれる企業を目指そう!
この記事では、価格競争のリスクや価格競争に巻き込まれてしまう原因、価格競争から脱却して価値で選ばれる企業になるための方法などについて事例を交えて解説しました。
価格競争から抜け出すためには、「安さ」以外の魅力を明確に伝え、選ばれる理由を構築することが不可欠です。
その手段の一つとして、注目されているのが書籍出版です。
フォーウェイが提供する「ブックマーケティングサービス」は、企業が持つ強みや創業の背景、商品・サービスに込めた想いなどをプロの編集者が丁寧に掘り下げ、書籍という形で見える化します。
書籍出版は、単なる宣伝だけでなく、「信頼性」「専門性」「共感力」を備えた強力なブランディング手段です。
書籍という形で自社の独自性や強みを明確化することで、価格ではなく価値で選ばれる企業を目指すことが可能になります。
書籍出版に少しでもご興味のある方は、ぜひ一度フォーウェイまでお気軽にご相談ください。