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2025.06.12
Interview
【企業インタビュー】愛をもって、仕事を楽しむ。難病ケアの未来を描く訪問介護事業所
「やりたいことは、楽しく仕事をすることです。そして、従業員にも楽しく働いてほしい。そこに愛があるかどうか、それがすべてだと思っています」
そう語ってくれたのは、株式会社ホートン社の代表取締役・齋藤さんです。重度訪問介護の分野に特化し、10年以上にわたって事業を展開してきた同社。今回は、事業の現在地と未来の展望についてお話をうかがいました。
インタビュイー/ 齋藤 信弥(株式会社HORTON 代表取締役 介護福祉士) 【プロフィール】 東京都生まれ。デザイン会社でキャリアをスタートし、カメラマンのアシスタントとして撮影現場に従事。退職を機に旅に出る。20代はバックパッカーとして各地を巡るなかで、写真活動やアルバイトを通じ、NPO団体などの福祉系活動にも関わる。 その経験を土台に、2013年に重度訪問介護に特化した株式会社HORTONを設立。現在は新宿・国分寺を拠点に、地域密着型の介護支援を展開している。 |
インタビュアー/執筆者: 仲山洋平(株式会社フォーウェイ 代表取締役、クリエイティブディレクター) 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
◉理念と実践がつながる現場へ
ホートン社は、重度障害者の方々への訪問介護を中心とした事業を展開しています。近年は従業員数が60名近くに増え、拠点も新宿と国分寺の2箇所へと拡大。組織としての転換期を迎えています。
その中で齋藤さんが強調するのは、理念と現場の“地続き感”です。
「どんなに立派な理念を掲げても、現場のスタッフに伝わらなければ意味がない。だから、採用時や研修時には、理念や行動指針の読み合わせをするようにしています。昔はそこまでやっていなかったんですが、やっぱり伝える努力をしないと、現場がバラバラになってしまう」
最近では、各拠点の責任者を集めて週1回のミーティングも行うようになり、組織としての一体感が醸成されてきているそうです。
そうした変化が生まれたのには、自分自身の内面が変わってきたことが大きいと齋藤さんは語ります。2024年にホートン社の10周年記念パーティーをホテルの会場で開いて従業員や取引先に感謝を伝えたことをきっかけに、日々、働いてくれる仲間への感謝を抵抗なく口に出せるようになったんだそう。それから、ホートン社の団結力が強まってきたと実感できるようになるまで、さほど時間はかからなかったといいます。
◉出版がもたらした、理念の共感と人の輪
同社では、以前フォーウェイの出版支援を通じて一冊の書籍を刊行しました。その書籍が思わぬ効果をもたらしたといいます。
「出版してから、“あの本を読んで応募しました”という方が増えました。会社の理念や現場の雰囲気が伝わるので、採用時のミスマッチが少なくなるんですよね」
それは単なる広報効果にとどまらず、従業員や利用者との関係構築にも良い影響を与えています。書籍を読んで、代表だけでなく代表の奥様の人柄にも共感する方も多いそうです。
「“ファン”とまでは言いませんが、距離が近く感じられるのだと思います」
奥様の智恵子さんは、より現場に近い位置での取り仕切り役を務める、現役の介護のプロ。ご夫妻に対して親近感を持って応募してきた社員は、その後の定着率も非常に良いのだそうです。
「当社の介護は難病患者専門で、いわゆる高齢者のお宅に訪問するヘルパーさんとは業務がかなり異なります。本のなかで実際に働くメンバーの姿や利用者さんの声をたくさん紹介したので、入社前後の理解のギャップを防げているのかもしれません」
◉難病訪問介護がもっと知られてほしい
ここ数年で、ALSなどの難病に対する社会的関心が高まり、在宅ケアや介護サービスへの期待も大きくなっています。しかしその一方で、重度訪問介護というサービス自体を知らず、適切な支援を受けられずに苦しんでいる患者さんやご家族もまだまだ多く存在しています。
「本当に必要としている人たちに、私たちのようなサービスがあることをもっと知ってもらいたい。その思いはずっと持ち続けています」
そう語る齋藤さんの言葉には、現場を見てきた人間だからこその切実な気持ちが込められています。
また、組織の内部にも変化の兆しが見えています。
「最近は、入ってきたばかりの新人を教えられるスタッフが増えてきて、それがすごくうれしいですね。以前はそういう層が少なくて、自分たちが直接教えるしかなかった。今は“教えられる人”が育ってきていて、組織としての土台が厚くなってきた実感があります」
これまでの蓄積が組織力として実を結びはじめている今、ホートン社は“次のフェーズ”に入ろうとしています。
◉自然な広がりを大切に
急激な成長を志向する企業が多い中、ホートン社は「自然な広がり」を重視しています。
「もちろん、拠点を増やすことも考えてはいます。でも、ただ人を増やして拡大するというよりは、“この人となら一緒にやれる”という仲間と自然に広がっていくのが理想です」
実際に、大阪で新規拠点を検討している話もありますが、担当者の意見を尊重して慎重に進めているとのこと。そもそも彼女は「ホートンは辞めたくない。でも大阪の実家に帰らないといけない」それなりの理由があったんです。その気持ちを汲んで「ならば、現地で一緒にやってみようよ」と。齋藤さんのトップダウン経営ではなく、全社的に「従業員がやりたいことを形にしていく」ボトムアップの文化がホートン社には根付いています。
「今でもリソースの問題ですべての依頼には応えられていないので、受け皿として一定の規模感は目指すべきなんだろうなと。ただ、難病訪問介護はとにかく現場のヘルパーがちゃんと育っていて、サービスの質が維持されていることが絶対的に重要。クオリティの担保を確信できていない状態でむやみに拡大することは考えていません」
◉これから出会うすべての人に、楽しみを
「これからどれだけの人たちに出会えるんだろう。それが楽しみなんですよ」
そう語ってくれた齋藤さんの笑顔は、過去でも現在でもなく、これからにしっかりと目を向けているものでした。
介護という分野には、どうしても「大変そう」「厳しそう」というイメージがつきまとうかもしれません。けれど、ホートン社が大切にしているのは、「楽しむこと」「愛を持つこと」「誠実であること」。その原点が、ひとりひとりの人生を丁寧に支えるという仕事に、自然と滲み出ているのだと思います。これからも齋藤さんは、人との出会いを楽しみにしながら、仲間とともに、無理なく、嘘なく、そして“楽しく”事業を続けていくのでしょう。
そのあり方こそが、介護業界に確かなあたたかさと新しい風を吹き込んでいると、あらためて感じさせられる時間でした。
【インタビュー企業のご紹介】 社名:株式会社HORTON 事業内容:訪問介護、重度訪問介護、居宅身体(家事)介護 代表者:代表取締役 齋藤 信弥 会社URL:https://www.horton-care.jp/ 書籍(Amazonページ):https://www.amazon.co.jp/dp/4074515822/ SNS①:https://www.facebook.com/horton.cs SNS②:https://x.com/hortoncareserv SNS③:https://www.instagram.com/horton.cs/ YouTubeチャンネル:ホートンケアサービス その他(特設サイトなど):【ラジオ】聞いてよ!ホートン |

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