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2024.04.11

Marketing

プル型営業とプッシュ型営業の違いとは?知らないと損する効果的な手法

近年、SNS等の発展で情報収集が容易になりました。

そのため、顧客側は問い合わせ段階で購買意思が固まっているのが大半と言われており、プル型営業の重要性が高まっています。

本記事ではプル型営業とプッシュ型営業の違いや効果的なプル型営業手法を解説します。

目次【本記事の内容】

プル型営業とプッシュ型営業の違いとは

営業には大きく分けて、プル型営業とプッシュ型営業の2種類があります。

簡単に言えば、「待ちの営業(プル型営業)」なのか、「攻めの営業(プッシュ型営業)」なのか、という違いがあります。

実際にプル型営業とプッシュ型営業の具体的な違いや、それぞれの特徴を見ていきましょう。

プル型営業とプッシュ型営業の違いについて

プル型営業は、事前に仕組みをつくり顧客からの問い合わせを待つ営業スタイル、プッシュ型営業は、自分から積極的に顧客にアプローチする営業スタイルです。

プル型営業とプッシュ型営業それぞれの違いについては、以下のように比較してみると分かりやすいです。

特徴 営業タイミング 営業範囲 成約までの期間 営業に使う主な媒体 主な手法
プル型営業 事前に仕掛けづくりをして顧客からのアプローチを待つ営業 顧客が決めるため、自社では決められない 多数の顧客にアプローチできる プッシュ型営業に比べて成約までの期間は長い ・SNS ・オウンドメディア ・メルマガ ・オンラインセミナー(ウェビナー) ・SNS経由の問い合わせ ・Webサイトでの問い合わせ ・リスティング広告
プッシュ型営業 積極的に顧客にアプローチする営業 自社が決める 一度に1人(1社)の顧客にしかアプローチできない プル型営業に比べて成約までの期間は短い ・電話 ・DM ・メール ・訪問 ・電話営業(テレアポ) ・ダイレクトメール営業 ・メール営業 ・訪問営業 ・キャッチセールス

プル型営業の特徴

プル型営業とは、事前に仕掛けを作っておき顧客からの問い合わせや資料請求などのアプローチを待つ営業スタイルです。

プル型営業は、インターネットやスマホの普及に伴って増加してきた営業手法です。インバウンド営業とも言われます。

かつてはプッシュ型営業(アウトバウンド営業)が主流でしたが、現在はプル型営業に取り組む企業が増えてきています。

プル型営業に取り組む企業が増えている背景には、多くの顧客が購入前にインターネットを利用して商品の情報収集や比較検討をするようになったという、行動傾向の変化があります。

インターネットで調べれば、あらゆる製品やサービスの情報が得られる時代。「自分で調べて自分で選ぶ」という選択肢が取りやすくなった現代だからこそ、時代に合った営業手法として、プル型営業は注目されているのです。

SNSやオウンドメディアでの情報発信、SEO対策、メルマガでの情報発信、オンラインセミナー(ウェビナー)の開催などが代表的なプル型営業の手法です。このように手法を用いてアプローチした見込み顧客に対して、商品やサービスをPRし、成約を獲得していきます。

プル型営業は仕組みを作ったり、顧客からの問い合わせを待つという手法なので、成果が出るまでに中長期的な取り組みが必要になりますが、1人の営業マンが多くの見込み顧客に継続的にアプローチし続けられる、といった効率の高さが特徴です。

プッシュ型営業の特徴

プッシュ型営業は、企業から顧客に積極的にアプローチする営業スタイルです。

たとえば、代表的な手法として電話営業(テレアポ)、ダイレクトメール営業、メール営業、訪問営業などがあります。

プッシュ型営業の場合、一度の営業でアプローチできる顧客は少人数です。プル型営業と違い、1人の営業マンができるアプローチ数には限界があるため、事前に顧客分析を行い、購入する可能性が高いターゲット層を選定しておく必要があります。

プル型営業ほど効率的ではありませんが、プッシュ型営業は、積極的に顧客にアプローチするため、成約するまでの期間が短く、早めに成果が出やすいというのが特徴です。

なぜいまプル型営業が必要なのか

インターネットが急速に普及した現代では、ほとんどの顧客が事前に商品やサービスについて調べており、問い合わせや来店の段階で購入するものを決めていると言われています。

このことは、Googleが2011年に提唱したZMOT(Zero Moment Of Truth)という概念にも示されています。

Whether we're shopping for corn flakes, concert tickets or a honeymoon in Paris, the Internet has changed how we decide what to buy. At Google, we call this online decision-making moment the Zero Moment of Truth, or simply, ZMOT. The ZMOT refers to the moment in the buying process when the consumer researches a product prior to purchase.

インターネットの登場により、コーンフレークを買う時も、コンサートチケットを買う時も、パリへの新婚旅行も、私たちが何を買うのかを意思決定する方法が変わりました。Googleでは、このオンライン上の意思決定の瞬間を「Zero Moment of Truth」、または単に「ZMOT」と呼んでいます。ZMOTとは、購買プロセスにおいて、消費者が購入前に商品をリサーチする瞬間を指します。

引用元:Think with Google「Zero Moment of Truth(ZMOT)

かつては、直接店頭に行ってどの商品を買うかを決めるという顧客行動が主流だったので、企業は商品のポップやパッケージの改良に重要を置いていました。

しかし、インターネットが普及し、顧客行動が変化したため、企業のマーケティング手法も変化せざるを得なくなり、プル型営業のような「顧客側が選ぶ営業」が必要となったのです。

プル型営業のメリットとは

プル型営業のメリットをひと言で表すと「成約率の高い営業が効率よく少人数でできること」です。

一度に少人数の顧客にしかアプローチできないプッシュ型営業とは違い、プル型営業は一度に多くの人にアプローチすることができます。

仕組みを作るまでにある程度の時間と労力、お金がかかりますが、一度仕組みができてしまうと顧客側から自動的にアプローチしてもらえるような状態が出来上がります。

このように、プッシュ型営業よりも効率の良く、少人数で営業活動ができるのが、プル型営業のメリットと言えるでしょう。

そんな効率性の高さを含め、プル型営業に取り組むことで企業は次のような5つのメリットを享受することができます。

アポ獲得率や営業成約率が向上する

プル型営業のメリットとして、アポ獲得率や成約率の高さが挙げられます。

なぜなら、顧客がある程度興味を持ったうえで専用フォームや電話などで問い合わせをしてくれるからです。

サイトや記事、メルマガなどで、ある程度自社の商品やサービスの内容を理解し、興味を持った人だけが問い合わせをしてくれるので、アポイント獲得や成約につながりやすくなります。

また、企業としては、問い合わせを受けた時点で、事前に顧客が抱えている悩みなどを把握することができます。それを元に商談の際に適切な解決策を提示したり、顧客に合わせた提案をする準備ができるのもプル型営業ならではのメリットと言えるでしょう。

たとえば、あなたが「是が非でも今日は焼肉を食べたい」と思っていたときに、友人から「この寿司屋めちゃくちゃ上手いからおすすめだよ」と言われても行こうとは思わないでしょう。

一方で、美味しそうな焼肉屋さんを食べログで見つけたり、友人に「そういえば今日焼肉行きたいって言ってたよね?めっちゃ上手い焼肉屋みつけたから行こうよ!」と言われたりすると、「行こうかな」と思ってしまうと思います。

このように、プル型営業は、ある程度自社商品やサービスに興味を持った状態で問い合わせをくれたることによる見込み度合いの高さや、問い合わせ内容に応じて相手に合った提案をすることができるという点から、アポ獲得率や営業成約率は自ずと高くなります。

営業効率が格段に上がる(営業工数の削減につながる)

営業効率が格段に上がり営業工数の削減につながることもメリットの1つでしょう。

プル型営業は、仕組みを作るまでが大変ですが、一度出来上がってしまえば、1人の営業マンが、多くの顧客に無理なく情報を発信し続けることができます。また、興味を持った見込み度合いの高い顧客が自動的に集まってくる状態になるので、少ない人員で回すことが可能です。

たとえば、化粧品を購入したい顧客が、Googleなどの検索エンジンで「化粧品 おすすめ」で検索したとしましょう。検索上位に自社の商品が掲載されると、購買意欲の高い顧客に自社サイトや記事、商品・サービスページを見てもらうことができます。

同じような検索をする購買意欲の高い顧客が多数存在する可能性があるので、プッシュ型営業で個別にアプローチを行い、購買意欲を高めて成約を得るのに比べると営業効率が格段に上がります。

結果として、営業活動全体の効率を高めて営業工数を削減することができるのです。

信頼関係が構築しやすい

プル型営業のメリットとして、顧客との信頼関係が構築しやすいことも挙げられます。

なぜなら、プル型営業では、顧客が自分の都合でアプローチをしてくるからです。

プッシュ型営業の場合、企業の都合によって営業活動(売り込み)を行うため、顧客によっては迷惑と感じたり印象を悪くしたりします。

一方でプル型営業の場合は、顧客自身は営業を受けているという感覚を持つことはなく、むしろ必要な情報がタイムリーに得られたことに好印象を抱きやすくなります。

たとえば、自分が興味のある美顔器について問い合わせをした結果、営業マンが詳しく丁寧に教えてくれることに対して、好印象を抱く人は多いでしょう。

一方で、営業マンがいきなり家に来て、一方的に全く興味のない商品に関して、「おすすめです」と詳しく丁寧に教えられたとしたらどうでしょうか。おそらく、好印象を抱くどころか迷惑に感じる方も多いのではないでしょうか。

このように、プル型営業は、結果を急がず、顧客が主体的にアプローチしてくるように上手く誘導していく手法のため、顧客と良好な関係を構築しやすいのです。

見込み顧客のニーズが把握しやすい

見込み顧客のニーズが把握しやすいというメリットもあります。

なぜなら、問い合わせの際に、見込み顧客の悩みやニーズなどを把握することができるためです。

たとえば、ダイエットに関心のある顧客の場合、問い合わせフォームに「食べ物でダイエットしたいのか、それとも軽い運動でダイエットしたいのか、比較的ハードなトレーニングでも良いのか」などの質問項目を設けておけば、その回答によって顧客のニーズが把握できます。

顧客のニーズが具体的に把握できれば、それに応える最適な提案を先回りして準備することが可能となります。結果的に、提案した際に「今の私にぴったりな商品・サービスだ」と思ってもらいやすくなるのです。

長期的な費用対効果が高い/コンテンツが資産になる

資産性の高さや、長期的な費用対効果が高いこともプル型営業のメリットの1つでしょう。

プル型営業の場合は、SNS、メルマガ、オウンドメディアなどでの継続的な情報発信や、そこから成約させるための導線設計、成約しやすいLP(ランディングページづくり)、など営業の仕組みを作るのに手間がかかり、ある程度の初期投資が必要となります。

しかし、一度作った仕組みは長期間にわたって自社で活用できる営業資産となる上、顧客の反応やデータ分析を元にして最適化していくことができるので、長期的な運用により、費用対効果が徐々に高くなっていきます。

このように、プル型営業で作った営業の仕組みは、一過性のものではありません。継続的に効果が続きます。結果として、継続的な顧客獲得や売上向上につながるため、費用対効果が高くなるのです。

プル型営業のデメリットとは

プル型営業のデメリットを簡単に言えば、成果がでるまで時間がかかることや、短期で安定した成果が出にくいことなどです。

具体的には以下の3つがプル型営業のデメリットです。

仕組みを作るまで時間がかかる

プル型営業では、顧客が興味を持ち、問い合わせをしてしまうような仕掛けを作ったり、そこから自動的に顧客教育を施すようなコンテンツを作成したり、多くの見込み顧客に商品・サービスページを見てもらうためにSNSやオウンドメディアなどで情報発信したり、仕組みの構築が必要不可欠です。

たとえば、プル型営業の代表的な手法であるSEO対策の場合、次のような事前準備が必要です。

  • ・見込み顧客が検索するキーワードの調査・選定
  • ・コンテンツ制作
  • ・コンテンツ改善
  • ・お問い合わせフォームなど、導線作成
  • ・LP(ランディングページ)の作成

また、これらの準備が整ったとしても、Googleで検索上位になり、成果を出すには最低でも6ヶ月程度かかります。このように、プル型営業は成果が出るまでには仕組み作りや、サイト育成など、少なくとも数ヶ月以上はかかると言われています。

そのため「成果を一刻も早く出したい」という企業や、「このような仕組みが出来上がるまで資金が続かない」という企業には向かない営業手法です。

安定した成果を得るのが難しい

安定した成果を得るのが難しいこともプル型営業のデメリットの1つです。

なぜなら、問い合わせのタイミングを決めるのはあくまで顧客自身だからです。

つまり、SNSやオウンドメディア、メルマガなどで情報やコンテンツを発信して、LPやフォームなどの導線を整えたあとは、顧客からの問い合わせを待つしかありません。

見込み顧客が問い合わせをしやすいような誘導はできても、最後に問い合わせするかどうかを決めるのは顧客自身です。これを企業側がコントロールすることは難しいと言えます。

このように、プル型営業の場合、問い合わせ数をコントロールすることが難しいため、予想以上の問い合わせの対応に追われたり、問い合わせが少なすぎて成果が表れないことなども十分に考えられます。

柔軟な提案に繋げづらい

柔軟な提案に繋げづらいこともデメリットの1つでしょう。

なぜなら、顧客が購入意欲を持って問い合わせをしてくるケースが多いためです。

顧客によっては、どの商品をどのように利用したいかまで決めている場合もあります。そのため、プッシュ型営業のように、ヒアリングや関係性構築から始める場合と比べて、自社からの柔軟な提案をしづらくなります。

たとえば、顧客が「部屋の空気をきれいにしたい」と考えて、空気清浄機の購入を決めて問い合わせをしてきた場合、「空気をきれいにするだけではなく、水もきれいにしましょう。こちらも今安くなっていてお得ですよ」とウォーターサーバーの契約を提案しても、断られる可能性が高いと言えます。

このように、問い合わせをした時点で、顧客のニーズは決まっているので、その意思決定を変えることは難しいと言えるでしょう。

プル型営業の効果的な方法

プル型営業のメリットは「成約率の高い営業が効率よくできること」です。

そのため、営業の仕組みができたら「いかにその仕組みに見込み度の高い顧客を多く引き込めるか」に注力するのが成果を出す効果的な方法と言えます。

具体的には以下のような6つの方法を用いて見込み度合いの高い顧客を引き込んでいきましょう。

SEO対策を図り自然流入を増やす

顧客の多くは、商品・サービスを購入する際にGoogleやYahoo!などの検索エンジンを利用して調べます。

そのため、もし顧客の検索結果の上の方に自社サイトなどが表示されていれば、顧客が検索した際に目につきやすくなり、プル型営業の仕組みに自然と流入するようになります。

この検索結果に自社サイトが上位に表示される状態を意図的に作り出すのが、SEO対策です。

顧客が検索するキーワードは数多く存在しますが、見込み度合いの高い顧客が検索するであろうキーワードで上位表示ができれば、安定的な問い合わせ獲得にもつながります。

メルマガでの情報発信・情報提供

自社のWebサイトを訪問して無料会員登録や、資料請求をしてくれた顧客などに対して、メルマガを発行し、継続的な情報発信を行うことも有効です。

無料会員登録や資料請求の申込フォームで、記入を必須にしておけば、見込み顧客のメールアドレスを入手することができます。

このメールアドレスに対して、顧客の購買意欲を高めるような内容のメルマガを定期的に配信すれば、継続的にプル型営業の仕組みに見込み顧客を引き込むことが可能です。

「お問い合わせしてもらったが成約しなかった人」なども、こういった情報発信を継続して行い続けることで、後に成約につながるケースも多々あります。

セミナー(ウェビナー)の実施

セミナー(ウェビナー)の実施をすることも有効です。

しかし、「商品・サービスの説明」という名目でセミナーを開いても人は集まりません。そのため、自社の商品・サービスに興味を持つ可能性の高い顧客が持つ悩みの解決方法を教えるセミナーを企画します。

たとえば、美顔器を販売する場合には、「40代女性向け、顔のたるみ解消セミナー」を企画するなどです。こうすることで、「顔のたるみに悩む人」「顔のハリに悩む人」など美顔器への関心や購入意欲が高いであろう多くの見込み顧客を引き込むことができます。

何かしらの悩みがあり、「その解決策がわかるかもしれない」とセミナーに参加した見込み顧客に、解決策の一つとして自社の商品・サービスを提案していくのです。

各種SNSで情報発信して認知拡大

SEO対策などと同様に、自社のSNSでの情報発信も、より多くの見込み顧客を獲得する上で有効な手段です。

よく利用される主要SNSは、X(旧Twitter)、Facebook、Instagram、Youtube、TikTokなどです。

近年は検索エンジンではなく、SNSで検索する顧客も増えています。SNSは、拡散性の高い媒体なので、運用に成功すれば、多くの見込み顧客の流入が期待できます。

リファラルマーケティングの活用

リファラルマーケティングとは、既存の顧客が新規の顧客を紹介することによって商品やサービスを広めるマーケティング戦略のことです。

簡単に言えば、取引先や知人、友人からの紹介を活用して、商圏を広げていくのがリファラルマーケティングです。

また、ネットでの口コミやレビューを投稿し、商品やサービスを広めていくこともリファラルマーケティングにあたります。

リファラルマーケティングは、すでにある人間関係の中から紹介が生まれるため、成約率が高いのが特徴です。

商品やサービスのティーアップがされている状態で紹介されるため、信頼関係ができた状態、または紹介者の信用を借りた状態で営業ができます。

自社や自分のいないところで商品・サービスの魅力が人づてで伝わっていく状態が作れるので、多くの見込み度合いの高い顧客を集めることにつながります。

ブックマーケティングで確度の高い見込み客を集客

ブックマーケティングもプル型営業において、見込み度の高い顧客を多く集めるのに有効な手法です。

プル型営業は、待ちの営業なので、「問い合わせをしてみたい」「興味がある」と顧客が思う状態をいかに作り出すのかがポイントです。

そのためには、商品・サービスの説明だけではなく「その商品やサービスがいまの自分に必要な理由」など、顧客がその商品・サービスに興味を持つように、顧客を教育していかなければなりません。

しかし、今は見込み顧客に文章を読んでもらうことが難しい時代です。

特に、見込み顧客との関係値構築が長期で必要なビジネスの場合、「Web上で発信してもなかなか商品・サービスの良さが伝わらない」などの悩みを抱えている方も多いと思います。

そんな方におすすめなのが、ブックマーケティングです。

書籍をただ出版するのではなく、いかに見込み度合いの高い顧客の手元に届けるのかまでを見据えてあらゆる施策を行っていくのがブックマーケティングです。

書籍は、読者がタイトルや内容に興味を持ち、お金を出して買っているため、基本的に長い文章が読まれます。

書籍が信頼性の高い媒体であることもあり、一冊読んでもらうだけで顧客教育がある程度できてしまうというのが、強みと言えるでしょう。

ある程度顧客教育ができた状態で問い合わせがくるため、必然的に成約率は高くなります。

このように、ブックマーケティングを活用することでも、見込み度合いの高い顧客を集めることが可能です。

プル型営業施策とブックマーケティングの相乗効果

プル型営業とブックマーケティングは相性がよく、それぞれの施策を組み合わせることにより、営業の仕組みが強化され、成約率が向上します。

具体的にプル型営業施策とブックマーケティングでどのような相乗効果を生み出せるのか、を具体的に紹介します。

ウェブマーケティング×ブックマーケティング

書籍のコンテンツは、たとえライターが書いたものであっても、著者や企業側の二次利用が可能です。

書籍の一部をコラムや記事として自社HPやオウンドメディアに掲載すれば、結果的に自社HPのGoogleからの評価を高めることができ、SEO対策の強化につながります。

また、書籍を出版したということでプレスリリースを打ったり、書籍の著者として大手メディアに寄稿したりすることにより、被リンク対策や情報の拡散にもつながります。

さらには、書籍を出版すると書籍のタイトルや著者の名前で検索する人が増えるので、おのずと自社のWebサイトへの流入も増加していくでしょう。

このように、紙媒体とWeb媒体で、さまざまな相乗効果が期待できるのが特徴です。

セミナー(ウェビナー)×ブックマーケティング

出版をきっかけに、セミナーを開催することで、書籍の内容に関心のある見込み顧客を集めることが可能です。

たとえば、出版記念セミナーや、書籍の内容に関連したセミナーなどです。

書籍の制作期間はおおよそ6ヶ月~8ヶ月なので、企画の段階でセミナー実施することを想定しておけば、書籍の告知と合わせてセミナー集客をすることができます。

また、出版実績のない講師よりも、ある講師の方が信頼性が高く、成約率が高くなりやすいのが特徴です。セミナー後の問い合わせ増加なども見込めます。

このように、セミナー(ウェビナー)とブックマーケティングもさまざまな相乗効果が期待できます。

SNS発信×ブックマーケティング

書籍を出版すると、おのずとWeb上に発信される情報が増えるため、SNSでの発信がしやすくなります。

たとえば、Amazonに書籍ページができたり、出版社が書籍の新刊リリースを出したり、書籍のコンテンツを二次利用してSNSの投稿ネタにしたり、SNSで書籍のプレゼントキャンペーンを行う、などです。

それに伴いコメントやリポストで拡散される数も自然と増えていきます。

結果的に、書籍の販売数が増えるという好循環が生まれ、読者からの反響の増加にもつながります。

このように、SNS発信とブックマーケティングにも、さまざまな相乗効果が期待できるのです。

リファラルマーケティング×ブックマーケティング

書籍を出版すると、既存の顧客が、著者や自社のことを紹介しやすくなります。

たとえば、書籍を出版していない著者を紹介する場合は、一体どんな人なのか、専門性や実績などを丁寧に説明していかなければなりません。

一方で、書籍の場合は、書籍の存在が著者や企業の「信頼性」や「専門性」を暗に伝えてくれるため、紹介されやすく、結果的に紹介が増えていくという相乗効果が期待できます。

プル型営業とブックマーケティングの成功事例

プル型営業の施策とブックマーケティングの施策をそれぞれ組み合わせることで、具体的にどのような相乗効果が生まれるのか、実際の事例をご紹介します。

不動産投資会社の出版書籍を医師が紹介して営業効率化に成功

この不動産会社の経営者は、高収入で支払う税金が多い医師に向けた不動産投資サービスの情報を記事やSNS、Web広告などを通じて発信し続けていましたが、なかなか魅力が伝わらず、悩んでいました。

そこで、高収入で購買意欲が高い一方で税金が多いことに悩む医師に対して、「最も効果的な節税対策が不動産投資である」ということを伝える書籍を出版。

ただ出版するだけではなく、あらかじめ、その後のマーケティング施策や展開なども見据えて企画していたことから、ターゲットである多くの医師に書籍を届けることができました。

その結果、書籍を購入した多くの医師に不動産投資に大きな節税効果があることを認知してもらうことができて多くの成約を獲得しました。

そればかりか、既存の顧客が知り合いの医師に書籍を配ってくれて、そのことから新規の問い合わせにも繋がったそうです。

ブックマーケティングによって書籍を出版して顧客からの問い合わせを待つという、まさにプル型営業を実践して、営業効率や成約率を高めることに成功した事例と言えるでしょう。

まとめ

本記事では、プル型営業とプッシュ型営業のそれぞれの特徴や違い、プル型営業の具体的な手法や効果などについて紹介しました。

プル型営業手法はいくつもありますが、その中でもWebにはない特徴や強みを持ったブックマーケティングに今注目が集まっています。

「文章が読まれない時代に、いかにターゲットに多くの情報を読み込んでもらえるのか?」はどの企業も抱えている課題の1つでしょう。

そんな時代だからこそ、書籍という「読まれる媒体」の活用に突破口があるのです。

プル型営業の施策はWeb上での施策がほとんどなため、ブックマーケティングのような紙媒体の施策とは相性が良く、組み合わせることによってさまざまな相乗効果が生まれます。結果として、営業の仕組みが強化されて成約率が向上するなどの効果が見込めます。

もし、「プル型営業施策をやっているが、なかなか成果につながらない」という方は、プル型営業施策と合わせてブックマーケティングの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)

福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経営法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を歴任し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。