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2024.12.02

Branding, Marketing

本の出版費用は?項目別の目安や成果を出すために意識すべき「出版社の選び方」も解説

本の出版費用は「出版方法の種類」に応じて異なり、安く抑えたいのであれば、自費出版や商業出版が最適です。一方で、あまり安く抑えすぎると、企業ブランディングの一環で出版する際に「書籍経由で問い合わせを増やしたい」「商品の売上を伸ばしたい」といった目的を達成しにくくなるため注意しましょう。

書籍の出版で成果を出すためには、「必要な部分にはしっかり費用を投下する」といった決断が重要です。

今回は、本の出版費用の相場や項目別の目安、成果を出すために意識すべき「出版社の選び方」を解説します。

目次【本記事の内容】

執筆者:江崎雄二(株式会社フォーウェイ取締役マーケティング統括)


福岡県出身。東福岡高校、山口大学経済学部経済法学科卒業。大学卒業後、月刊誌の編集者兼ライターに携わる。その後時事通信社での勤務を経て、幻冬舎グループに入社。書店営業部門の立ち上げメンバーとして活躍後、書籍の販売促進提案のプロモーション部を経て、法人営業部へ。東京と大阪にて書籍出版の提案営業を担当し、2020年11月、株式会社フォーウェイに参画。2023年9月取締役就任。グループの出版社、株式会社パノラボの流通管理も担う。

◉本の出版費用は「出版の種類」に応じて異なる

本の出版費用は「出版の種類」に応じて異なります。具体的な種類は以下の3つです。

  • 自費出版
  • 商業出版
  • 企業出版(ブックマーケティング)

◉-1、自費出版

自費出版とは、著者が出版費用を全額負担し、自ら書籍を制作する方法です。著者自身で文章やデザイン、印刷部数などを自由に決定できるため、オリジナリティのある作品に仕上げられます。販売する際は、著者自身がプロモーション施策を決めて実行することが多いです。

費用は「250万〜600万円程度」が目安です。この費用には、デザインや編集、印刷、流通などのコストも含まれており、印刷部数や仕様に応じて増減します。

▶自費出版に関しては、関連記事【自費出版とは?メリットやデメリット、費用相場、成功事例などを解説】も合わせて参考にしてください。

◉-2、商業出版

商業出版とは、出版社が書籍の企画を担当し、著者に経済的な負担をかけず出版する方法です。著者は基本的に「費用負担なし」で出版できます。

ただし、出版社が費用を負担する分、自費出版と異なり著者の好きなように執筆できるわけではありません。また、出版自体のハードルも高く、「企画が市場のニーズに合っているか?」「著者に一定の影響力があるか?」などをクリアした場合に出版できます。

企画が採用されれば、出版社の流通網やマーケティング戦略を活用できるため、広い読者層へアプローチが可能です。

▶商業出版については、関連記事【商業出版とは?企業がブランディングを考えたときの出版の選択肢】もあわせて参考にしてください。

◉-3、企業出版(ブックマーケティング)

企業出版(ブックマーケティング)とは、書籍の出版を活用したマーケティング手法のことです。独自の知見や有益情報、商品・サービスなどを書籍にまとめて出版し、「会社のブランディング強化」「サービスへの集客」「認知度向上」といった自社の目的を達成するために行います。

自費出版や商業出版では「部数を伸ばすこと」がメインの目的です。一方で企業出版(ブックマーケティング)の場合、部数よりも「書籍を通じて自社の目的を達成できたか?」という点を重視します。

出版費用は「500万〜1,000万円程度」です。広告やプロモーション費用も含まれるためやや高額ですが、その分、ターゲットに届けるまでのマーケティング戦略を入念に設計してくれます。書籍を通じて達成したい目的がある企業であれば、積極的に活用すべきです。

▶企業出版については、関連記事【ブックマーケティングとは?メリットや効果的な戦略の作り方】もあわせて参考にしてください。

◉本の出版費用を決める主な項目

本の出版費用を決める主な項目は、以下の8つです。

  • 企画費
  • 原稿作成(ライティング・編集・構成)や撮影にかかる人件費
  • 流通にかかわる費用
  • デザイン費用
  • 印刷代
  • 本の保管費用
  • 書籍の作り
  • 出版社のクラス

具体的な金額の相場は、出版社の方針や値付け方法などで変動するため、実際に出版社へ問い合わせてみることがおすすめです。

◉-1、企画費

企画費とは、書籍の内容やテーマを定めるために必要な費用です。以下のように書籍の方向性を明確化する要素が含まれており、プロジェクトの成否を大きく左右します。

  • 読者ターゲット
  • ターゲットの市場
  • 書籍タイトルやサブタイトル
  • 帯のキャッチコピー案
  • 類書の分析・調査内容
  • 目次案(章立て)
  • 著名人の推薦文

経験豊富なスタッフによる企画立案や著者へのインタビューなどで詳細なリサーチが求められる場合には、その分の費用がかかります。書籍の完成度を高め自社の目的を達成するためには、この企画費にどこまで注力できるかが重要です。

◉-2、原稿作成(ライティング・編集・校正)や撮影にかかる人件費

著者の主張を初心者でもわかりやすくまとめたり、自社の魅力を伝えたりするには、プロの「ライティング・編集・校正」技術を持った人材が不可欠です。また、本文や表紙などで写真を使うのであれば、カメラマンへの人件費も必要になります。

上記のようなライターやカメラマンといった「クリエイターへの委託費用」は、クリエイター自身のレベルが高いほど上がります。例えば「ベストセラー書籍に関わった実績を持つクリエイター」などへの依頼費は高くなりやすいです。

◉-3、流通に関わる費用

本を読者に届けるためには、書店で流通させるための手配が不可欠です。流通費には、例えば以下が挙げられます。

  • 書店に書籍の配置を依頼するための営業費用
  • ISBNコードの取得費
  • 広告などを活用したマーケティング戦略の費用
  • 書店に本を置く際の手数料
  • オンラインショップに販売ページを作るための費用
  • 出版後の倉庫管理料

安定した流通経路を確保することで、ターゲットの手元に届く可能性が高まります。とくにブックマーケティングの場合は、ターゲットの手元に届かなければ自社の目的達成が遠のくため、流通に関わる費用をいかに割けるかという点もポイントです。

◉-4、デザイン費用

デザイン費用とは、書籍の表紙やページレイアウト、帯などのデザインを整えるために必要なコストです。とくに表紙デザインは、読者への第一印象を決定づけるため重要なポイントです。

また、ページレイアウトは、読者の読みやすさや情報の伝わりやすさに関わるため、細部にわたって丁寧に設計することが求められます。

プロのデザイナーに依頼し、ターゲットにマッチした質の高いデザインを制作してもらえれば、書籍の販売促進効果が期待できるでしょう。

◉-5、印刷代

印刷費用は、書籍のサイズやページ数、発行部数、使用する紙の質、カラーの有無などによって変動します。

印刷については、「版」を作る際に大きな費用がかかります。しかし残りは同じ版を使えるため、「部数が2倍なので金額も2倍」とはならず、印刷数が多いほど単価は下がるでしょう。

ただし、だからといって安易に印刷部数を増やすことは避けましょう。印刷部数を増やしても、すべての書籍を必ず書店が受け入れてくれるわけではありません。需要と供給のバランスを考えないと、大量の在庫が残るため要注意です。

◉-6、本の保管費用

書籍を保管するには、在庫管理の費用が必要です。保管費用は書籍がある限り発生します。書籍がすぐ売り切れるとは限らないため、需要と供給のバランスをチェックしながら、常に最適な数の在庫を維持することが重要です。

保管する際は、しっかりとスペースを確保し、汚損や劣化を防ぎつつ必要なときに確実に出荷できる体制を整えることが求められます。

出版社の中には、出版物の保管用倉庫を契約しているケースもあるため、その倉庫を利用することがおすすめです。とくに「書籍を年間にいくつも出版している」「書店流通に力を入れている」といった出版社であれば、基本的に自社倉庫を保有しています。

◉-7、書籍の作り

テキストだけでなく、以下のように書籍の作りに凝った場合、費用は大きく変動します。

  • イラストをふんだんに盛り込む
  • 撮り下ろしの写真を本文中に差し込む
  • ページレイアウトを雑誌のように凝る
  • 著名人から帯コメントをもらう

とくに著名人とタイアップすると、謝礼金が発生するため別途で確認が必要です。

◉-8、出版社のクラス

出版社のクラスも費用を決めるポイントです。基本的には、実績豊富でブランド力がある会社ほど、出版費用も高めに設定されています。

この出版費用については、書籍のクオリティや実際の売れ行きとは関係なく設定されることが多いです

◉出版費用以上のリターンを得るために!出版社を選ぶ際のポイント

出版費用以上のリターンを得るためには、以下のポイントを意識しましょう。

  • 原稿作成前のターゲット設定やヒアリングなどを入念に行ってくれるかチェックする
  • 流通戦略の設計までをサポートしてくれるかをチェックする
  • 過去に出版した本が残した成果をチェックする
  • スキルが高いクリエイターが在籍しているか

◉-1、原稿作成前のターゲット設定やヒアリングなどを入念に行ってくれるかチェックする

原稿作成に入る前に、出版社が「ターゲット設定や内容のヒアリングなどを丁寧に行ってくれるか?」という点を確認しましょう。ターゲット設定が曖昧なまま進めてしまうと、伝えたいメッセージがぼやけてしまい、期待する成果を得られない可能性があります。

とくにブックマーケティングの場合は、会社の目的を達成する手段として書籍の出版を活用しています。そのため、届けたいターゲット層や自社の主張などの詳細を丁寧にヒアリングしてもらうことが必須です。

ターゲットやコンテンツの詳細などを丁寧にヒアリングしてくれる出版社であれば、読者に響く内容を提供しやすくなり、結果として出版後の反響も大きくなるでしょう。

◉-2、流通戦略の設計までをサポートしてくれるかチェックする

出版後に読者へリーチするためには、的確な流通戦略の構築が不可欠です。流通戦略とは、書籍を「どの書店やオンラインショップに展開するか?」「どのようなプロモーションを行うか?」などを計画することを指します。

具体的な施策として、「ターゲットに合わせてWeb広告や新聞広告を活用して書籍の認知度を向上させる」「書店に営業を行い目立つ場所に書籍を並べてもらうよう交渉する」などが挙げられます。

読者の手元に書籍が届くよう設計してくれる出版社を選ぶことで、ターゲット層へ効果的にアプローチでき、出版による目的達成が期待できるでしょう。

◉-3、過去に出版した本が残した成果をチェックする

出版社を選ぶ際は、具体的に「どのような本を出版し・どの程度の成果を上げたか?」を確認することが重要です。出版を通じて「著者自身にどのようなビジネス上の成果を残せたのか?」がわかると、信頼できる出版社であるか判断できます。

具体的に「出版によって問い合わせ数が◯◯件増加した」「売上が前年比◯◯%アップを実現した」といった数値的な成果を挙げていれば、質の高いマーケティング戦略の設計や流通サポートを受けられると期待できるでしょう。

◉-4、スキルが高いクリエイターが在籍しているか?

出版を成功させるには、質の高いクリエイターによる制作が欠かせません。ライティング・デザイン・編集といった各プロセスで、高い専門性を誇るクリエイターが携わることで、自社の魅力がわかりやすく伝わる書籍を制作できます。

例えば、デザイナーであれば「ターゲット層に合わせたデザインを作れる」、編集者であれば「専門知識を持たない読者でも読めるように文章を磨き上げられる」といったイメージです。また、ブックマーケティングを行うのであれば「ブックライティング専門のライターが在籍している」という点も重要です。

とくに、ベストセラーや業界で話題となった書籍の制作に関わったスタッフがいる出版社であれば、目的にマッチした高品質な本を制作できるでしょう。

◉まとめ

この記事では、本の出版費用の目安や、会社が出版費用以上のリターンを得るためのポイントについて解説しました。

本の出版費用目安は、以下のように書籍の種類によって異なります。

  • 自費出版:250万〜600万円程度
  • 商業出版:基本的に費用負担なし
  • 企業出版(ブックマーケティング):500万〜1,000万円程度

具体的な費用は、企画のクオリティやクリエイターの人件費、流通にかかわる費用などによって変動します。自社の目的に合わせて最適な出版方法を選び、適切な部分にコストを投下しましょう。

とくに、「問い合わせ増加につなげたい」「商品の売り上げ個数を伸ばしたい」などを目的にしてブックマーケティングを行う際は、必要な部分に惜しまず費用を投下する意識が重要です。適切に投資を行い、詳細なターゲット設定やメッセージの洗い出し、ハイスキルなクリエイターの採用などを行うことで、ターゲット層に確実に届く書籍を制作できます。

弊社が提供するブックマーケティングサービスでも、出版後にターゲットの手元に届くよう手厚いサポートを行っています。Web広告と絡めたマーケティング戦略の立案や書店に並べてもらうための営業活動も含め、幅広く支援可能です。

書籍の出版を活用したマーケティング戦略の設計を考えている場合は、まずお気軽にご相談ください。