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2024.10.17
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読まれ、活用される社史を作るコツ!作成後の有効活用方法も解説
社史とは、企業がこれまで歩んできた歴史や活動などを過去の資料などを元に読み物としてまとめたものです。
主に企業の周年事業の一貫として社史を編纂するのが一般的ですが、上場や、企業にとって記念すべきイベントの開催などのタイミングに合わせて作られる場合もあります。
せっかくプロジェクトチームを作ったり、お金と時間をかけたりして作るものですから、棚の奥にしまっておかれるようなものではなく、企業により良い影響を与えるような読み物にしたいというニーズが増えてきています。
中には、営業やマーケティングなどに活用している企業もあるほどです。
そこで、今回は読まれ、活用され、会社に良い影響をもたらしてくれる社史を作るコツや、出版後の有効活用方法についてくわしく解説いたします。
目次【本記事の内容】
- 1.そもそも社史を作る目的とは?
- 1-1.周年記念のお祝いと、節目の認識共有
- 1-2.企業の価値観や理念、方針の共有
- 1-3.企業のアイデンティティの共有
- 1-4.全従業員の士気向上
- 1-5.業界内外へのアピール
- 1-6.資料や情報の保全
- 2.社史の基本構成
- 3.読まれ、活用される社史を作るコツ
- 3-1.危機を乗り越えた苦労話を入れる
- 3-2.社員参加型のコンテンツを入れる
- 3-3.営業マンやマーケティング部署などにヒアリングを行う
- 3-4.読むよりは見て理解できるようなデザインにする
- 3-5.思わず人に紹介したくなる装丁にする
- 3-6.見ず知らずの第三者が見て面白い内容にする
- 4.社史の有効活用方法
- 4-1.営業マンやマーケティング部署の販促ツール
- 4-2.採用ツール
- 4-3.社員研修ツール
- 4-4.顧客や取引先への送付
- 5.【まとめ】読まれて、活用され、会社に良い影響をもたらす1冊を作ろう!
執筆者:仲山洋平(株式会社フォーウェイ代表取締役、クリエイティブディレクター) 慶應義塾大学経済学部卒業。清水建設株式会社を経て、幻冬舎グループ入社。企業出版の編集者として金融、IT、不動産、企業創業記などを中心に200冊以上の書籍を担当。2020年2月、東京編集部責任者を最後に幻冬舎グループを退職し、出版プロデューサー・マーケティングアドバイザーとして創業。同年9月、株式会社フォーウェイとして法人化、代表取締役に就任。2021年11月には「日本の地域ビジネスを元気にする」というビジョンを掲げ出版社パノラボを設立。 |
◉そもそも社史を作る目的とは?
社史を作る目的は、主に次の7つです。
・周年記念のお祝いと、節目の認識共有 ・企業の価値観や理念、方針の共有 ・企業のアイデンティティの共有 ・全従業員の士気向上 ・業界内外へのアピール ・資料や情報の保全 |
それぞれ、どのような目的なのか見ていきましょう。
◉-1、周年記念のお祝いと、節目の認識共有
創立10周年や20周年などの節目の周年記念イベントの一環として社史を編纂して出版するのが一般的です。
社史の出版は、企業がこれまで存続するために関わってきた顧客や取引先、株主、パートナー企業、地域社会、社内関係者である従業員・OBなどの方々に対するお礼の意味を込めて行われることがほとんどです。
社史を通じて、企業がこれまでさまざまな方々との関係性によって存続してこられたことを改めて認識し直すと共に、できあがった社史をお世話になった方々に贈ることによって、感謝の気持ちを伝えることができます。
◉-2、企業の価値観や理念、方針の共有
社史は企業の歴史だけを書き連ねるものではなく、創業の理念や企業が果たしてきた社会的意義・価値観、今後の経営方針なども記述される出版物です。
たとえば、会社の歴史を顧みるといろいろな出来事があったはずで、そのときの経営トップや幹部が意思決定をして乗り越えてきたからこそ、現在も企業として存続できているわけです。
このような企業としての価値観を、社内外の多くの関係者に共有してもらうことは大切なことです。
多くの方が社史を読むことによって、これらの企業の価値観や理念、方針などを共有することが可能となります。
◉-3、企業のアイデンティティの共有
社史を出版することによって、企業のアイデンティティ(コーポレート・アイデンティティ:CI)を共有することができます。
企業のアイデンティティ(コーポレート・アイデンティティ)とは、「企業文化の独自性などを社内的に再認識・再構築し、統一されたロゴやイメージ、メッセージを社外に発信して共有し企業の存在価値を高めていこう」という企業戦略のことです。
自社の歴史を書籍にまとめることによって、全従業員が創業理念や企業の存在意義などを認識することができ、社外に対しても自ら積極的に企業の存在価値を高めていくように働きかけることができるようになります。
◉-4、全従業員の士気向上
社史によって全従業員が自社の歴史を理解することができます。
「創業者がどんな想いで、どんな信念を持って企業を作ったのか」「どんな苦労を乗り越えて今があるのか」など企業が歩んできた道のりには必ず人の想いやドラマがあるはずです。
社史を通して、企業の一員であるということに、今以上に誇りを感じる従業員も多くいることでしょう。
このように、企業理解を深め、全従業員の士気向上につなげるのも社史編纂の大きな目的の一つです。
◉-5、業界内外へのアピール
社史を通じて、業界内外における自社の役割や存在意義、存在価値をアピールすることができます。
社史には自社に関する歴史的事実を記載していきますが、これによって業界内で自社が果たしてきた役割などを業界内外の人に周知することができるのです。
たとえば、かつて自社の社長が業界団体の会長を努めて業界の発展に尽力したことがあるような場合、そのことを知らない世代の人々にも伝えることで、「あの会社はこの業界になくてはならない存在だ」と一目おいてもらえる可能性が高くなります。
◉-6、資料や情報の保全
企業活動を行うことによって多くの資料が発生しますが、そのすべてを残しておくわけにはいきません。
一方で、日々しっかりと整理整頓しておかないと、企業にとって貴重な資料が行方不明となってしまうことも考えられます。
こういったことは、歴史の長い企業ほど、規模の大きい会社ほど起こりやすいことです。
そんな時、残す資料と捨てる資料との区別をつけたり、社内に分散している資料や情報を収集して整理するなどの保全を行うことができる1つのきっかけが社史の編纂です。
収集した資料や情報の中には、地域社会や業界にとっても重要な記録となりうるものが含まれる可能性もあるので、地域の図書館に寄贈したり、業界団体に寄贈したりすることもできるかもしれません。
このように、企業活動によって発生した資料や情報をしっかりと後世に残していくことも社史編纂の重要な目的の1つと言えるでしょう。
◉社史の基本構成
社史は基本的に、口絵・本編・関連する資料・年表の4つの構成から成り立っています。
口絵 | 企業にとって象徴的な写真(社屋、創業者など)や社是・社訓などを掲載します。歴代社長の写真を掲載することもあります。 |
本編 | 本編の構成は大きく5タイプに分けることができますので、発行目的や用途に応じて選ぶことになります。 ・正史型:代表的な社史で、記録としての目的が優先されるため事実を正確に掲載します。発生した出来事を時系列で紹介していきます。・テーマ型:いわゆる目玉企画を社史の冒頭に掲載するもので、自社をよりアピールできるような企画デザインを行います。歴史年表などは後半に掲載されます。・多角型:多くのステークホルダーを意識して出版する社史で、各ターゲットが求める情報を提供することが目標となりますので、より幅広い企画内容になります。・自由型:従来の社史の形式にこだわらずに、漫画、語録、映像、Webなどの媒体で企業メッセージを伝えるものです。 |
資料 | 本編に関連する各種の社内資料などを掲載します。たとえば、会社概要、定款、歴代役員の一覧、社内組織の変遷、資本金の推移、売上高・経常利益の推移、受賞歴の一覧、取得特許の一覧などの資料を掲載します。 |
年表 | 時系列の年表形式で、社内の出来事、業界の出来事、社会の出来事などを対比させて記載します。大企業の場合は、社内の出来事を拠点別や部署別に分けて記載することもあります。 |
◉読まれ、活用される社史を作るコツ
いくら崇高な目的を持って制作された社史であっても、会社の歴史をただ年表としてまとめただけでは、読まれず、活用されず、周年記念を過ぎたら会社の棚の奥底でホコリを被ってしまうことでしょう。
特に、現代は活字がなかなか読まれない時代。
前述したような社史編纂の崇高な目的を達成するためにも、「どうすれば1人でも多くの社員に社史を読んでもらえるか」「どうすれば社史を1人でも多くの人に活用してもらって、会社に良い影響をもたらしてもらえるのか」という視点で社史のデザイン、構成、内容などを抜本的に考える必要があります。
読まれ、活用される社史を作るコツは、主に次の5つです。
・危機を乗り越えた苦労話を入れる ・社員参加型のコンテンツを入れる ・営業マンやマーケティング部署などにヒアリングを行う ・読むよりは見て理解できるようなデザインにする ・思わず人に紹介したくなる装丁にする |
それぞれ、どういうコツなのかについてくわしく見ていきましょう。
◉-1、危機を乗り越えた苦労話を入れる
企業の長い歴史の中には色々なエピソードがあるはずです。
これらをうまくコンテンツとして入れていくことが重要です。
たとえば、何らかの危機に陥ってそれを乗り越えた苦労話やこぼれ話などは、時代が違っても読み手に「自分も頑張ろう」という前向きな気持ちにさせる力があります。
「プロフェッショナルの流儀」や「情熱大陸」のようなドキュメンタリータッチのコンテンツに仕上げることによって、読み物として面白いだけではなく、社員のモチベーションを後押ししてくれるようなものに昇華することができます。
◉-2、社員参加型のコンテンツを入れる
誰しも自分が参加したコンテンツには興味が湧くものです。
社史の中に次のような社員参加型の企画を入れることも読んで、活用してもらうコツです。
◉-2-1、当時の振り返りインタビューコンテンツ
企業における歴史的事実をつらつらと書き並べるよりも、人が語る方が面白いコンテンツになります。
当時を知る社員や現役引退したOBなどへのインタビューを行い、その歴史をさまざまな人の視点で語ってもらうことで、より多角的に会社の歴史を理解することができます。
こういったさまざまな人へのインタビューコンテンツを入れていくのも、読まれるコンテンツを作るコツの1つです。
◉-2-2、全社員のアンケート結果
全社員に対するアンケートを行うと、全員がその結果に興味を持って社史を読んでくれるようになります。
アンケートのコツとしては、オーソドックスなものから、少し変わったクスッと笑えるようなものまで、幅広いアンケート内容にすることです。
◉-2-3、会社関係者の座談会・対談コンテンツ
座談会や対談は読まれやすい鉄板コンテンツと言えます。
経営陣や主要取引先、パートナーなどの会社関係者を巻き込んだ座談会や対談を開くことで、思わぬこぼれ話なども出てきやすくなり、面白いコンテンツになる可能性が高くなります。
◉-3、営業マンやマーケティング部署などにヒアリングを行う
社史を営業やマーケティングに活用することも考えられます。
そのため、事前に営業マンやマーケティング部署などにヒアリングを行うこともコツの1つです。
たとえば、「営業マンが自社についてどのような紹介をしているのか」「マーケティング部署では自社のどのような強みを訴求しているのか」などをヒアリングして、その根拠となるような歴史的事実を盛り込むなどです。
そうすることにより、営業マンが自社を紹介する際に根拠の1つとして社史を使うなど、出版後も活用されやすくなります。
◉-4、読むよりは見て理解できるようなデザインにする
近年は、文章よりはビジュアルなデザインやコンテンツが好まれる傾向があります。
社史はどうしても文章が中心の出版物になってしまいがちですが、「文章を読む」だけではなく「パッと見て理解しやすいデザイン」にすることもコツです。
たとえば、写真やイラスト、図表などをたくさん組み込んで、読者にビジュアル的に訴求できるようなデザインに仕上げることも、読まれやすくなるコツと言えるでしょう。
◉-5、思わず人に紹介したくなる装丁にする
社史の装丁(外観)をちょっと変わったものにすると、それだけで話題になり、人に紹介したくなるものです。
だからといって奇をてらいすぎたものにするのは考えものですが、その装丁が企業を象徴するようなものであればぜひ検討すべきでしょう。
◉-6、見ず知らずの第三者が見て面白い内容にする
社史は、出版物ですから、書店で流通させることも可能です。
社史はどうしても内向きの出版物として作られることが多いため、第三者が読むことをあまり想定して作られません。
だからこそ、棚の奥底に眠ってしまっている読み物になってしまう訳なのです。
しかし、せっかく会社で総力を上げて、お金をかけてつくるのですから、見ず知らずの第三者が見て、この会社面白いな、と興味を持ってもらえるような読み物にした方が絶対に良いはずです。
「見ず知らずの第三者が読んで面白いか」をしっかりと考え、コンテンツを作りあげていくことで、出版後も営業やマーケティング、採用、研修などさまざまな場面で活用できる社史を作り上げることができます。
「どうせ読まれない」ということではなく、書店で「面白そう」と手にとってもらえるような読み物に仕上げていきましょう。
◉社史の有効活用方法
社史はただ作るだけではなく、さまざまな部署で活用できるようにすることが何より大切です。
主な社史の有効活用方法としては次のようなものが考えられます。
・営業マンやマーケティング部署の販促ツール ・採用ツール ・社員研修ツール ・顧客や取引先への送付 |
それぞれの活用方法についてくわしく見ていきましょう。
◉-1、営業マンやマーケティング部署の販促ツール
社史には、営業マンやマーケティング部署の「販促ツール」としての活用方法があります。
通常は「販促ツール」として、商品・サービスのパンフレットやカタログなどを使いますが、社史も有効な「販促ツール」になります。
なぜなら、社史には創業から現在までに開発した商品やサービスが客観的に紹介されているからです。
その商品・サービスの開発経緯や時代背景、どのように世の中の役に立ったのかなどが記載されているため、優れた「販促ツール」となるのです。
たとえば、紙や電子、さまざまな情報媒体を扱うTOPPANエッジ株式会社(旧トッパン・フォームズ株式会社)では設立50周年にあたり「5メートルの長さの巻物社史」を作っています。
同社は、事務処理用の帳票(宅配便の伝票)や磁気テープ付きチケット(航空券)などを製造して伸びてきた会社で、長い紙に継ぎ目なく印刷できる独自技術を持っていました。
この巻紙社史は、この独自技術を用いて作ったもので、その技術力の高さをその場で体感できる「販促ツール」として活用されています。
このように、営業マンが説得力を持って自社や自社技術の紹介ができるような根拠やコンテンツを入れ込むことによって、より活用されやすくなります。
◉-2、採用ツール
社史を人材の採用ツールとして活用することもできます。
企業では採用活動時に採用パンフレットなどを配るのが一般的ですが、内定者のフォロー用に社史を渡すのも効果的です。
なぜなら、社史には自社の歴史や創業理念、将来展望などがびっしりと書かれているからです。
もちろん読まれない可能性も大いにありますが、それを読むことによって、自社への帰属意識の醸成やモチベーションの向上が期待できます。
また、採用説明会などにおいても、社史からの情報を抜粋して採用トークに活用することもできます。
◉-3、社員研修ツール
社史を社員研修用のツールとして活用することもできます。
自社の成り立ちやその後の軌跡、商品・サービス・独自技術の開発経緯、先人たちの苦労話などが読み物として分かりやすくまとめられているため、自社のDNAを知り企業理解を深めるための絶好の資料となります。
ある企業では、社員を対象に社史を読んで「これからの当社と私の役割」というテーマで論文募集をしたところ、全社員の約30%から応募があったということです。
社長は全ての応募論文に目を通して、社員がどのようなことを考えているのかを理解するのに役立ったのだとか。
◉-4、顧客や取引先への送付
社史を顧客や取引先に送付して、関係性の強化につなげる活用方法もあります。
前述のような、商品開発の背景や苦労話、全社員アンケート結果などが記載されていると、顧客や取引先により親近感を持ってもらい、自社の理解を深めてもらいやすくなります。
また、面白い目を惹くような社史であれば、見込み顧客開拓にも使える可能性も十分にあるでしょう。
◉【まとめ】読まれて、活用され、会社に良い影響をもたらす1冊を作ろう!
本記事では、社史を作る目的、読まれ活用される社史を作るコツ、社史の有効活用方法などについてくわしく解説しました。
近年では、社史は作って終わりではなく、いかに多くの人に読んでもらえるか、いかにさまざまな場面で活用できるか、という視点で制作されることが多くなってきています。
社史を制作する際には、会社の歴史としてまとめるという視点だけではなく、ツールとして様々な場面で活用することを見据えた営業・マーケティング視点を取り入れることが何より重要です。
フォーウェイは、書籍やパンフレット、記事などの面白いコンテンツを作るだけではなく、それをいかに活用していくかを探究してきたコンテンツマーケティング専門の会社です。
読まれて、活用され、さらには会社に良い影響をもたらすツールの1つとして社史を作っていきたいという方はぜひフォーウェイまでご相談ください。
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